説明

媒体検出装置

【課題】搬送面の外側に反射板を配設するとともに、センサ光の光路が搬送面に対して斜めになるようにセンサを配設することによって、センサ光が搬送面を複数回通過するので、1組のセンサにより複数種類の異なるサイズの媒体を確実に検出することができ、構造を簡素化してコストを低減することができ、信頼性を向上させることができるようにする。
【解決手段】センサ光を出射する発光センサと、前記センサ光が媒体の搬送面を通過した後に入射する受光センサとを有し、該受光センサが受光するセンサ光の光量の変化に基づいて前記媒体を検出する媒体検出装置であって、前記搬送面の少なくとも一側に配設された反射板を更に有し、前記発光センサ及び受光センサは、前記センサ光の光路が前記搬送面に対して斜めになるとともに、前記センサ光が前記反射板で反射して前記搬送面を複数回通過するように配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関の支店、すなわち、営業店等の場所には、顧客が自分で操作して、入金、出金、振込、残高照会等の金融取引を行うためのATM(Automatic Teller Machine:現金自動預払機)、CD(Cash Dispenser:現金自動支払機)等の自動取引装置が配設されている。該自動取引装置は、紙幣を取り扱う紙幣入出金機を有し、入金等の金融取引においては顧客が入金した紙幣を受け取り、カウントして保管し、出金等の金融取引においては、保管している紙幣の中から所定金額の紙幣を払い出すようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、商品やサービスを販売する店舗においては、代金精算のためにレジスター機が配設されている。該レジスター機も紙幣を取り扱う紙幣入出金機を有し、顧客から受領したた紙幣を受け取り、カウントして保管し、釣銭の支払いにおいては、保管している紙幣の中から所定金額の紙幣を払い出すようになっている。
【0004】
ところで、紙幣の間に、レシートのような紙幣とはサイズの異なる媒体が紛れ込んでいることがある。そして、このようなサイズの異なる媒体が紙幣入出金機内で搬送されると、搬送路や集積部においてジャムが発生する可能性がある。そこで、搬送経路の途中に媒体検出装置を配設し、該媒体検出装置が備えるセンサによって紙幣とはサイズの異なる媒体を検出して排除するようになっている。
【0005】
図2は従来の紙幣入出金機の媒体検出装置におけるセンサの配置を示す図である。なお、図において、(a)は紙幣が搬送されている状態を示す図であり、(b)は紙幣より小さなサイズの媒体が搬送されている状態を示す図である。
【0006】
図2において、101a、102a及び103aは、それぞれ、第1発光センサ、第2発光センサ及び第3発光センサであり、発光ダイオード等の発光素子から成る。また、101b、102b及び103bは、それぞれ、第1受光センサ、第2受光センサ及び第3受光センサであり、フォトトランジスタ等の受光素子から成る。なお、104は、紙幣入出金機の搬送路における搬送面であり、紙幣105は搬送面104に沿って搬送される。
【0007】
そして、第1発光センサ101a、第2発光センサ102a及び第3発光センサ103aと第1受光センサ101b、第2受光センサ102b及び第3受光センサ103bとは、搬送路における検出位置において、搬送面104の両面側に互いに対向するように配設され、紙幣105が搬送されていない状態においては、第1発光センサ101a、第2発光センサ102a及び第3発光センサ103aが発光した光を第1受光センサ101b、第2受光センサ102b及び第3受光センサ103bが受光するようになっている。
【0008】
また、図2(a)に示されるように、紙幣105が搬送路における検出位置を通過すると、第1発光センサ101a、第2発光センサ102a及び第3発光センサ103aが発光した光は、すべて紙幣105によって遮断され、第1受光センサ101b、第2受光センサ102b及び第3受光センサ103bによって受光されなくなる。したがって、第1受光センサ101b、第2受光センサ102b及び第3受光センサ103bの出力信号の変化に基づいて、紙幣105が搬送路における検出位置を通過したことが検出される。
【0009】
一方、図2(b)に示されるように、紙幣105よりサイズの小さな媒体106が搬送路における検出位置を通過すると、第1発光センサ101a、第2発光センサ102a及び第3発光センサ103aが発光した光の一部のみが媒体106によって遮断されることとなる。したがって、第1受光センサ101b、第2受光センサ102b及び第3受光センサ103bの出力信号の変化は、紙幣105が搬送路における検出位置を通過した場合と異なるものとなる。このように、出力信号の変化は、紙幣105が搬送路における検出位置を通過した場合と異なることによって紙幣105よりサイズの小さな媒体106が搬送されていることが検出されるので、前記媒体106を排除することにより、搬送路等におけるジャムの発生を未然に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平10−91840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の媒体検出装置においては、複数組の発光センサ及び受光センサを並べて配設する必要があるので、発光センサ及び受光センサの数が多く、コストが高くなってしまう。特に、媒体106のサイズが小さい場合には、隣接する発光センサ及び受光センサの組同士の間隔を狭くする必要があるので、発光センサ及び受光センサの数が非常に多くなり、コストが更に高くなってしまう。
【0012】
本発明は、前記従来の媒体検出装置の問題点を解決して、搬送面の外側に反射板を配設するとともに、センサ光の光路が搬送面に対して斜めになるようにセンサを配設することによって、センサ光が搬送面を複数回通過するので、1組のセンサにより複数種類の異なるサイズの媒体を確実に検出することができ、構造が簡素でコストが低く、信頼性が高い媒体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明の媒体検出装置においては、センサ光を出射する発光センサと、前記センサ光が媒体の搬送面を通過した後に入射する受光センサとを有し、該受光センサが受光するセンサ光の光量の変化に基づいて前記媒体を検出する媒体検出装置であって、前記搬送面の少なくとも一側に配設された反射板を更に有し、前記発光センサ及び受光センサは、前記センサ光の光路が前記搬送面に対して斜めになるとともに、前記センサ光が前記反射板で反射して前記搬送面を複数回通過するように配設される。
【0014】
本発明の他の媒体検出装置においては、さらに、前記受光センサが受光するセンサ光の光量の変化に基づいて前記媒体のサイズを判別する。
【0015】
本発明の更に他の媒体検出装置においては、さらに、前記光路が前記媒体を通過する数に基づいて前記媒体のサイズを判別する。
【0016】
本発明の更に他の媒体検出装置においては、さらに、前記センサ光は前記搬送面における相違する箇所を通過する。
【0017】
本発明の更に他の媒体検出装置においては、さらに、前記反射板は前記搬送面の両側に配設される。
【0018】
本発明の更に他の媒体検出装置においては、さらに、前記発光センサ及び受光センサは1組である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、媒体検出装置においては、搬送面の外側に反射板が配設されるとともに、センサ光の光路が搬送面に対して斜めになるようにセンサが配設されている。これにより、センサ光が搬送面を複数回通過することができるので、1組のセンサによって複数種類の異なるサイズの媒体を確実に検出することができ、構造を簡素化してコストを低減することができ、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における媒体検出装置の構成を示す図である。
【図2】従来の紙幣入出金機の媒体検出装置におけるセンサの配置を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における媒体検出装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における媒体検出装置を媒体が通過した状態を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における受光信号の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施の形態における媒体検出装置の構成を示す図である。
【0023】
図において、10は本実施の形態における媒体検出装置であり、ATM、CD等の自動取引装置、レジスター機、自動販売機、両替機、ゲーム機等の装置に配設され、図示されない媒体25が前記装置内の搬送路を通過するのを検出するために使用されるとともに、媒体25のサイズを検出し、複数種類の異なるサイズの媒体25を検出するために使用される。
【0024】
ここで、媒体25は、例えば、紙幣であるが、ビール券、ギフト券、商品券等の金券、トラベラーズチェック、小切手、株券等の有価証券、入場券等の施設利用券、切符、帳票、カード、通帳等であってもよく、いかなる種類のものであってもよい。本実施の形態においては、説明の都合上、前記媒体25が紙幣である場合について説明する。
【0025】
この場合、前記媒体検出装置10は、媒体25の大きさ、すなわち、サイズを検出し、検出した媒体25のサイズに基づいて、前記媒体25が本来のサイズの媒体25a、すなわち、紙幣であるか、本来のサイズとは異なるサイズの媒体25b、すなわち、レシートのような紙幣以外のものであるかを判別する。
【0026】
そして、前記媒体検出装置10は、自動取引装置のように媒体25としての紙幣を取り扱う装置における紙幣の搬送路に配設され、該搬送路を搬送される媒体25が本来のサイズの媒体25a、すなわち、紙幣であるか、本来のサイズとは異なるサイズの媒体25bであるかを判別する。なお、前記紙幣を取り扱う装置は、一般的には、銀行、郵便局、信用金庫、消費者金融会社等の金融機関の支店等の営業店に配設されているATM、CD等の自動取引装置や、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート等の商店の店舗に配設されているレジスター機であるが、紙幣を取り扱う装置であれば、鉄道、バス等の交通機関の券売機、飲料、タバコ等の自動販売機、両替機、ゲーム機等いかなる装置であってもよい。そして、前記紙幣を取り扱う装置は、前記媒体検出装置10が判別した結果に基づいて、レシートのような紙幣以外のものを排除する。
【0027】
図に示されるように、前記媒体検出装置10は、反射板31と、発光ダイオード等の発光素子を備える発光センサ21aと、フォトトランジスタ等の受光素子を備える受光センサ21bとを有する。なお、発光センサ21a及び受光センサ21bを統合的に説明する場合には、センサ21として説明する。
【0028】
図において、点線で示される32は紙幣を取り扱う装置の搬送路における搬送面であり、媒体25は、搬送面32に沿って搬送される。そして、前記反射板31は、前記搬送面32の外側に配設される。なお、図に示される例において、反射板31は2枚、すなわち、一対なので、搬送面32の両面側に配設され、それぞれの反射面31aが互いに対向するように配設されている。また、図に示される例においては、搬送面32から各反射面31aまでの距離が等しく設定されているが、該距離は必ずしも等しくなくてもよい。
【0029】
そして、発光センサ21a及び受光センサ21bは、矢印で示されるセンサ光の光路33が搬送面32に対して斜めになるように、配設されている。より具体的には、発光センサ21aはその出射面部22aが搬送面32に対して斜めになるように搬送面32の外側に配設され、受光センサ21bはその入射面部22bが搬送面32に対して斜めになるように搬送面32の外側に配設される。すると、発光センサ21aからのセンサ光は、光路33が示すように、反射板31の反射面31aで反射して搬送面32に対して斜めに出射するので、受光センサ21bは、搬送面32に対して斜めに出射したセンサ光を入射光として受光することができる。
【0030】
なお、図に示される例では、発光センサ21aの出射面部22aから出射したセンサ光は、搬送面32の一面の側(図における上側)に配設された反射板31の反射面31aで1回反射され、搬送面32の他面の側(図における下側)に配設された反射板31の反射面31aで2回反射された後、受光センサ21bの入射面部22bに入射して受光されるようになっている。つまり、光路33と搬送面32との交差点は4箇所であり、センサ光は搬送面32を4回通過するようになっている。しかしながら、センサ光が反射板31の反射面31aで反射される回数及び搬送面32を通過する回数は、発光センサ21aから出射したセンサ光の搬送面32に対する角度、対向する反射板31の反射面31a間の距離、及び、反射板31の幅方向(図における横方向)の寸法を調整することで、適宜変更することができる。
【0031】
例えば、発光センサ21aから出射したセンサ光の搬送面32に対する角度が、搬送面32の垂線に近くなるほど、センサ光が反射される回数及び搬送面32を通過する回数は多くなる。また、例えば、対向する反射板31の反射面31a間の距離が短くなるほど、センサ光が反射される回数及び搬送面32を通過する回数は多くなる。さらに、例えば、反射板31の幅方向の寸法が長くなるほど、センサ光が反射される回数及び搬送面32を通過する回数は多くなる。
【0032】
また、図に示される例では、発光センサ21a及び受光センサ21bがともに、搬送面32の一面の側に配設されているが、センサ光の反射の態様によっては、発光センサ21a及び受光センサ21bのいずれか一方が搬送面32の一面の側に配設され、他方が搬送面32の他面の側に配設されることとなる。すなわち、センサ光が両方の反射板31の反射面31aで同一回数ずつ反射されるようにすると、発光センサ21a及び受光センサ21bのいずれか一方が搬送面32の一面の側に配設され、他方が搬送面32の他面の側に配設されることとなる。
【0033】
さらに、図に示される例では、発光センサ21a及び受光センサ21bが、出射面部22a及び入射面部22bが反射板31の幅方向外側に位置するように、配設されているが、反射板31の途中に開口部を形成し、該開口部をセンサ光が通過可能である場合には、前記開口部に出射面部22a又は入射面部22bが位置するようにしてもよい。
【0034】
さらに、図に示される例では、搬送面32の両面側に配設された反射板31の幅方向の寸法が互いに等しくなっているが、両方の反射板31の反射面31aがセンサ光を反射するのであれば、搬送面32の両面側に配設された反射板31の幅方向の寸法が互いに異なっていてもよい。
【0035】
さらに、図に示される例では、搬送面32の両面側に配設された反射板31の反射面31aが互いに平行となっているが、両方の反射面31aがセンサ光を反射するのであれば、反射面31aが互いに平行でなくてもよい。
【0036】
さらに、図に示される例では、反射板31が2枚であって搬送面32の両面側に配設されているが、センサ光が搬送面32を2回通過するのであれば、反射板31が1枚だけであってもよい。すなわち、反射板31は、搬送面32の少なくとも一側に配設されていればよい。
【0037】
つまり、センサ光の光路33が搬送面32に対して斜めになり、光路33と搬送面32との交差点が複数であり、発光センサ21aの出射面部22aから出射したセンサ光が搬送面32を複数回通過して、受光センサ21bの入射面部22bに入射して受光されるようになっているのであれば、反射板31、発光センサ21a及び受光センサ21bの配置は、どのような態様であってもよい。なお、センサ光は前記搬送面32における相違する箇所を通過する。
【0038】
次に、前記媒体検出装置10の制御システムについて説明する。
【0039】
図3は本発明の実施の形態における媒体検出装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
【0040】
図において、12は発光センサ21aに供給される電流を制御する発光電流制御部であり、11はPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)出力部であって前記発光電流制御部12に対して周期的なパルス信号を付与する。前記PWM出力部11及び発光電流制御部12によって発光センサ21aがセンサ光を発光して出射する動作が制御される。
【0041】
また、14は受光センサ21bの出力信号である受光信号を受信する受光信号セレクタ部であり、13はアナログ信号である受光信号セレクタ部14の出力信号をデジタル信号に変換するAD(Analog−Digital)コンバータである。前記受光センサ21bは、受光したセンサ光を電流に変換して受光信号として出力し、前記受光信号セレクタ部14は、電流である受光信号を電圧に変換し、出力信号として出力する。
【0042】
そして、27は、CPU等のプロセッサを備える制御部であり、該制御部27には、プログラム、データ等を記憶する記憶装置であるROM23、及び、ワーキングメモリとして機能する記憶装置であるRAM24が接続されている。さらに、前記制御部27は、媒体検出装置10が配設されている紙幣を取り扱う装置の制御装置である上位装置15に通信可能に接続されている。
【0043】
前記制御部27は、発光センサ21aに供給する電流の値をROM23から取得し、PWM出力部11及び発光電流制御部12に対して、前記値の電流を発光センサ21aに供給するように指令する。また、前記制御部27は、ADコンバータ13から受信したデジタル信号に基づいて、受光センサ21bが受光したセンサ光の光量を測定し、測定した光量に基づいて、媒体25を検出したか否かを判別するとともに、検出した媒体25のサイズを検出する。具体的には、受光センサ21bが受光するセンサ光の光量の変化に基づいて媒体25のサイズを判別する。すなわち、センサ光の光路33が媒体25を通過する数に基づいて媒体25のサイズを判別する。
【0044】
なお、ADコンバータ13から受信したデジタル信号と受光センサ21bが受光したセンサ光の光量との関係、媒体25を検出したか否かを判別するための光量又はデジタル信号の値の閾(しきい)値、媒体25のサイズを検出するための光量又はデジタル信号の値の閾値等のデータは、ROM23から取得することができる。
【0045】
そして、前記制御部27は、検出した媒体25のサイズに基づいて、前記媒体25が本来のサイズの媒体25a、すなわち、紙幣であるか、本来のサイズとは異なるサイズの媒体25b、すなわち、レシートのような紙幣以外のものであるかを判別する。ここで、検出した媒体25が本来のサイズとは異なるサイズの媒体25bであると判断すると、前記制御部27は、その旨を上位装置15に通知する。すると、該上位装置15は、紙幣を取り扱う装置の動作を制御して、本来のサイズとは異なるサイズの媒体25bを搬送路から排除させる。
【0046】
なお、受光センサ21bが受光したセンサ光の光量の測定、媒体25を検出したか否かの判別、媒体25のサイズの検出、媒体25が本来のサイズの媒体25aであるか本来のサイズとは異なるサイズの媒体25bであるかの判別等のいずれか又はすべてを、制御部27に代えて上位装置15が行うようにしてもよい。
【0047】
次に、前記構成の媒体検出装置10の動作について説明する。
【0048】
図4は本発明の実施の形態における媒体検出装置を媒体が通過した状態を示す図、図5は本発明の実施の形態における受光信号の変化を示す図である。なお、図4において、(a)は本来のサイズの媒体が通過した状態を示す図であり、(b)は本来のサイズとは異なるサイズの媒体が通過した状態を示す図である。
【0049】
まず、紙幣を取り扱う装置の搬送路を媒体25が搬送されていない場合、媒体検出装置10を媒体25が通過しないので、図1に示されるように、発光センサ21aからのセンサ光は、媒体25に妨げられることなく、受光センサ21bによって受光される。したがって、センサ光は、ほどんど減衰することなく受光センサ21bによって受光されるので、図5において、波形38の頂上38aとして示されるように、受光センサ21bの受光信号は高い値を示すこととなる。
【0050】
なお、図5における縦軸は、受光信号セレクタ部14によって前記受光信号を電圧に変換した値を示しているが、この値は、受光センサ21bの受光量の値及び制御部27がADコンバータ13から受信するデジタル信号の値と等価であると考えることができる。
【0051】
この場合、制御部27は、受光信号の波形38における頂上38aの値が、点線で示される第1閾値36よりも高いので、媒体無、すなわち、媒体25を検出していない、と判別する。なお、前記第1閾値36は、あらかじめ設定されてROM23に記憶されているデータであって、媒体25を検出したか否かを判別するための閾値である。
【0052】
次に、紙幣を取り扱う装置の搬送路を本来のサイズの媒体25aが搬送されている場合、媒体検出装置10を媒体25aが通過すると、図4(a)に示されるように、発光センサ21aからのセンサ光が媒体25aに妨げられる。この場合、媒体25aが搬送面32に位置するので、センサ光は、搬送面32を通過する毎に、すなわち、光路33と搬送面32との4つの交差点のすべてにおいて、媒体25aに妨げられる。もっとも、センサ光は、媒体25aによって完全に遮断されることはなく、媒体25aを透過する際に、その一部が吸収されて透過する。つまり、センサ光は、光路33と搬送面32との交差点において媒体25aを透過する毎に光量が減少する。
【0053】
そして、図4(a)に示されるように、媒体25aは、本来のサイズを有し、幅方向の寸法が大きいので、光路33と搬送面32との4つの交差点のすべてにおいて、センサ光を妨げる。そのため、センサ光は、媒体25aを4回透過し、その都度、光量が減少した後に、受光センサ21bによって受光される。したがって、受光センサ21bの受光信号は、図5において、波形38の第1の谷38bとして示されるように、低い値を示すこととなる。
【0054】
この場合、制御部27は、受光信号の波形38における第1の谷38bの値が、点線で示される第2閾値37よりも低いので、本来のサイズの媒体有、すなわち、本来のサイズの媒体25aを検出した、と判別する。なお、前記第2閾値37は、あらかじめ設定されてROM23に記憶されているデータであって、本来のサイズの媒体25aを検出したか否かを判別するための閾値である。
【0055】
次に、紙幣を取り扱う装置の搬送路を本来のサイズとは異なるサイズの媒体25bが搬送されている場合、媒体検出装置10を媒体25bが通過すると、図4(b)に示されるように、発光センサ21aからのセンサ光が媒体25bに妨げられる。ここでは、媒体25bのサイズが本来のサイズよりも小さい場合についてのみ説明する。この場合、媒体25bが搬送面32に位置するので、センサ光は、媒体25bに妨げられる。
【0056】
もっとも、図4(b)に示されるように、媒体25bは、サイズが小さく、幅方向の寸法が小さいので、光路33と搬送面32との4つの交差点のうちの一部(図に示される例においては、右端の1箇所)のみにおいて、センサ光を妨げる。そのため、センサ光は、媒体25bを1回だけ透過し、光量がやや減少した後に、受光センサ21bによって受光される。したがって、受光センサ21bの受光信号は、図5において、波形38の第2の谷38cとして示されるように、頂上38aよりは低いが第1の谷38bよりは高い値を示すこととなる。
【0057】
この場合、制御部27は、受光信号の波形38における第2の谷38cの値が、第1閾値36よりは低いが第2閾値37よりも高いので、小さいサイズの媒体有、すなわち、本来のサイズより小さいサイズの媒体25bを検出した、と判別し、その旨を上位装置15に通知する。すると、該上位装置15は、紙幣を取り扱う装置の動作を制御して、前記媒体25bを搬送路から排除させる。
【0058】
なお、図4(b)に示される例においては、媒体25bが搬送面32における右寄りに位置し、光路33と搬送面32との4つの交差点のうちの右端の1箇所において、センサ光を妨げるようになっているが、媒体25bの位置が、図4(b)に示される例よりも左寄りであって、前記交差点のうちの他の箇所においてセンサ光を妨げる場合も、同様に、受光センサ21bの受光信号は第2の谷38cとして示される。また、媒体25bが、図4(b)に示される例よりも大きなサイズを有し、光路33と搬送面32との4つの交差点のうちの2〜3箇所においてセンサ光を妨げる場合も、受光センサ21bの受光信号は、頂上38aよりは低いが第1の谷38bよりは高い値を示すこととなるので、制御部27は、小さいサイズの媒体有、と判別することができる。
【0059】
このように、本実施の形態においては、媒体25の搬送路における搬送面32の外側に反射板31を配設するとともに、センサ光の光路33が搬送面32に対して斜めになるように発光センサ21a及び受光センサ21bが配設されている。
【0060】
これにより、センサ光が搬送面32を複数回通過するので、媒体25のサイズに合わせて複数組のセンサ21を配設する必要がなく、1組のセンサ21によって複数種類の異なるサイズの媒体25を確実に検出することができる。そのため、媒体検出装置10の構造を簡素化することができ、コストを低減することができ、信頼性を向上させることができる。
【0061】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、媒体検出装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0063】
10 媒体検出装置
21a 発光センサ
21b 受光センサ
25a、25b 媒体
31 反射板
32 搬送面
33 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)センサ光を出射する発光センサと、
(b)前記センサ光が媒体の搬送面を通過した後に入射する受光センサとを有し、
(c)該受光センサが受光するセンサ光の光量の変化に基づいて前記媒体を検出する媒体検出装置であって、
(d)前記搬送面の少なくとも一側に配設された反射板を更に有し、
(e)前記発光センサ及び受光センサは、前記センサ光の光路が前記搬送面に対して斜めになるとともに、前記センサ光が前記反射板で反射して前記搬送面を複数回通過するように配設されることを特徴とする媒体検出装置。
【請求項2】
前記受光センサが受光するセンサ光の光量の変化に基づいて前記媒体のサイズを判別する請求項1に記載の媒体検出装置。
【請求項3】
前記光路が前記媒体を通過する数に基づいて前記媒体のサイズを判別する請求項1に記載の媒体検出装置。
【請求項4】
前記センサ光は前記搬送面における相違する箇所を通過する請求項1〜3のいずれか1項に記載の媒体検出装置。
【請求項5】
前記反射板は前記搬送面の両側に配設される請求項1〜4のいずれか1項に記載の媒体検出装置。
【請求項6】
前記発光センサ及び受光センサは1組である請求項1〜5のいずれか1項に記載の媒体検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−128736(P2011−128736A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284634(P2009−284634)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】