説明

媒体識別装置及び媒体識別方法

【課題】
本発明は、同一画像内に複数の搬送媒体が混在していても、分離判別できる硬貨識別装置を提供する。
【解決手段】
本発明の硬貨識別装置は、搬送される硬貨の片側の表面に向けて発光する第1の発光手段と、硬貨の他方の表面に向けて第1の発光手段とは異なる波長の光を発光する第2の発光手段と、第1の発光手段からの光が硬貨の表面で反射した反射光の向きを変える複数の反射手段と、第1の発光手段が発光した光が硬貨の表面で反射した光および第2の発光手段が発光した光が硬貨の表面で反射した光を受けて撮像する撮像手段と、第1の発光手段に対応した第1の硬貨画像と第2の発光手段に対応した第2の硬貨画像とを記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された画像を用いて硬貨の外形を判定し、外形判定結果に応じて金種及び真偽の判別を行なう判別手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体の表面模様を光学的に検出し、種別や真偽を識別する識別装置及び識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の硬貨識別装置及び媒体識別方法においては、硬貨の外径、材質、厚みを検出したり、表面の模様を光学的に検出したりして、金種や真偽を識別している。例えば、特許文献1では、一つの撮像手段で硬貨の上面と下面の両面を撮像して、硬貨の種別及び真偽を識別することについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-276951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発明では、何らかの原因により複数の媒体同士が接近した状態で搬送されると、先行の媒体が媒体下面の撮像位置にある時に、後続の媒体が媒体上面の撮像位置にある場合がある。この場合、先行媒体と後続媒体が同じ画像に混在した状態で撮像してしまうが、画像処理により金種判定や真偽判定する時に、境界が不鮮明などの要因により、先行媒体と後続媒体を画像上で分離できず、正確な種別及び真偽判定ができない。
また、この場合、これら複数の媒体は共に正貨として受付けられないとして排除扱いとなる。しかしながら、複数の媒体が、通常より接近して搬送されることにより同一画像に混在する場合で、少なくとも一方の媒体が搬送中に詰まって機器を破損してしまう可能性のあるクリップ等の媒体の場合は、排除扱いとするだけでなく、機器保護のために搬送を停止させたい場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の媒体識別装置は、搬送される媒体の片側の表面に向けて発光する第1の発光手段と、媒体の他方の表面に向けて第1の発光手段とは異なる波長の光を発光する第2の発光手段と、第1の発光手段からの光が媒体の表面で反射した反射光の向きを変える複数の反射手段と、第1の発光手段が発光した光が媒体の表面で反射した光および第2の発光手段が発光した光が媒体の表面で反射した光を受けて撮像する撮像手段と、第1の発光手段に対応した第1の媒体画像と第2の発光手段に対応した第2の媒体画像とを記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された画像を用いて媒体の外形を判定し、外形判定結果に応じて金種及び真偽の判別を行なう判別手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の媒体画像が同一画像に混在する場合でも、個々の媒体を画像上で分離し判定することにより、より適切な識別が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施例に係る搬送媒体の上面を撮像する媒体識別装置の側面図
【図2】本発明の実施例に係る搬送媒体の上面を撮像する媒体識別装置の上面図
【図3】本発明の実施例に係る搬送媒体の下面を撮像する媒体識別装置の側面図
【図4】本発明の実施例に係る搬送媒体の下面を撮像する媒体識別装置の上面図
【図5】本発明の実施例に係る硬貨識別装置の機能ブロック図
【図6】本発明の実施例に係る識別処理フロー図
【図7】本発明の実施例に係る総合判定処理フロー図
【図8】本発明の実施例に係る複数の媒体が同一画像に混在して撮像された画像例
【図9】本発明の実施例に係る複数の媒体が同一画像に混在して撮像された画像例
【図10】本発明の他の実施例に係る識別処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、本発明の特徴を以下に説明する。
本発明に係る硬貨識別装置は、搬送される硬貨の片側の表面に向けて発光する第1の発光手段と、硬貨の他方の表面に向けて第1の発光手段とは異なる波長の光を発光する第2の発光手段と、第1の発光手段からの光が硬貨の表面で反射した反射光の向きを変える複数の反射手段と、第1の発光手段が発光した光が硬貨の表面で反射した光および第2の発光手段が発光した光が硬貨の表面で反射した光を受けて撮像する画像撮像手段と、第1の発光手段に対応した第1の硬貨画像と、第2の発光手段に対応した第2の硬貨画像と、を記憶する画像記憶手段と、画像記憶手段に記憶された画像について分離処理を行い硬貨の外形を判定し、外形判定結果に応じて金種及び真偽の判別を行なう判別手段と、を有することを特徴とする。また判別手段は、画像記憶手段に記憶された画像に第1の硬貨画像と第2の硬貨画像とが混在している場合に、第1の硬貨画像と前記第2の硬貨画像を分離することにより、各々の硬貨の外形を判別することを特徴とする。さらに、判別手段は、第1の硬貨画像と第2の硬貨画像を所定の色の画素数に応じて分離することが好ましい。また、本発明の硬貨識別方法は、搬送される硬貨の片側の表面に向けて発光するステップと、第1の発光手段により発光した光が硬貨の表面で反射した光を受けて第1の硬貨画像を撮像するステップと、撮像した第1の硬貨画像を記憶するステップと、第1の発光手段による発光とは異なる波長の光を、硬貨の他方の表面に向けて発光するステップと、第2の発光手段が発光した光が硬貨の表面で反射した光を受けて第2の硬貨画像を撮像するステップと、撮像した第2の硬貨画像を記憶するステップと、第1の硬貨画像と第2の硬貨画像とが同一の画像に混在している場合に、第1の硬貨画像と第2の硬貨画像の外形を判定するステップと、外形判定結果に応じて金種及び真偽の判別を行なうステップと、を有することを特徴とする。これらの構成により、同一画像に複数の硬貨画像が含まれている場合でも、波長の異なる光に起因する色に基づいて分離することにより正確な識別をすることが可能となる。
さらに、分離した硬貨画像から障害を誘発する媒体であるか否かを判定する障害誘発媒体判定手段と、障害誘発媒体判定手段によって第1の硬貨画像又は第2の硬貨画像の少なくとも一方が障害を誘発する媒体であると判定された場合に、硬貨識別装置の機能を停止する制御手段を有することが好ましい。このように分離した画像から障害を誘発する異物があるかどうか判定して、異物があると判定した場合に装置の機能を停止させることにより、障害の発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る媒体識別装置は、搬送される媒体を検知する第1の媒体検知手段と、第1の媒体検知手段により媒体を検知した場合に、搬送される媒体の片側の表面に向けて発光する第1の発光手段と、搬送される媒体を検知する第2の媒体検知手段と、第2の媒体検知手段により媒体を検知した場合に、媒体の他方の表面に向けて第1の発光手段とは異なる波長の光を発光する第2の発光手段と、第1の発光手段からの光が媒体の表面で反射した反射光の向きを変える複数の反射手段と、第1の発光手段が発光した光が媒体の表面で反射した光および第2の発光手段が発光した光が前記媒体の表面で反射した光を受けて撮像する画像撮像手段と、第1の発光手段に対応した第1の媒体画像と、第2の発光手段に対応した第2の媒体画像と、を記憶する画像記憶手段と、第1の媒体検知手段による媒体を検知するタイミングと第2の媒体検知手段による媒体を検知するタイミングとの時間差が所定値よりも小さい場合に、画像記憶手段に記憶された画像から媒体の外形を判定し、外形判定結果に応じて、媒体の種別及び真偽の判別を行なう判別手段と、を有することを特徴とする。また、外形判定は、第1の発光手段が発光した光の色と第2の発光手段が発光した光の色に基づいて画像記憶手段に記憶された画像を分離することにより行われることを特徴とする。これにより、媒体が詰まって搬送されることにより同一画像に複数の媒体画像が含まれている場合でも、波長の異なる光に起因する色に基づいて分離することにより正確な識別をすることが可能となる。
【0010】
次に、図面を用いて本発明に係る実施例について説明する。
なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1及び図2は、硬貨識別装置に係る構成の一部についての側面部及び上から見た図を示している。搬送路1上を搬送媒体である硬貨2が矢印3の方向に搬送され、搬送路1上に設けられた媒体検知手段11A及び11Bで硬貨2の位置を把握する構成である。ここで、媒体検知手段11Aは、投光器11Aaと受光器11Abで構成されている。検知位置に硬貨が存在しない場合は、投光器11Aaから投光された光が受光器11Abに受光されるが、硬貨2が搬送されて検知位置にくると投光された光が硬貨2により遮光され受光器11Abに受光されなくなる。このように受光器11Abを監視することにより、硬貨2の到着を検知する。ここで、本実施例では、媒体を検知するのに透過型光学センサを使っているが、反射型光学センサや近接センサ等の他の種類のセンサを使って検知しても良い。また、センサを搬送路の横に配置し、硬貨を水平方向から検知しているが、センサを搬送路の上下に配置し、硬貨を垂直方向から検知しても良い。
次に、媒体検知手段11Aにより硬貨2の到着を検知すると、発光手段12Aより硬貨2の上面に向けて発光される。そして、硬貨2の表面で反射した光は、反射手段13で反射されて向きを変え撮像手段14に導かれる。反射手段13と撮像手段14との間の搬送路1aは反射光を通すために透明となっている。
【0011】
次に、図3及び図4は、硬貨2が媒体検知手段11Aを通過し、媒体検知手段11Bの位置に搬送された状態を示している。ここで、図3は側面図であり、図4は上から見た図である。媒体検知手段11Bは、投光器11B aと受光器11Bbで構成され媒体検知手段11Aと同じ機能により、硬貨2の到着を検知する。そして、媒体検知手段11Bにより硬貨2の到着を検知すると、発光手段12Bから硬貨2の下面に向けて発光される。硬貨2の表面で反射した光は撮像手段14に導かれる。
ここで、発光手段12A及び発光手段12Bは、各々波長の異なる光を発光する構成とする。具体的には、例えば、発光手段12Aが青色の光を発光し、発光手段12Bが赤色の光を発光する。このように色の異なる光(波長が異なる光)を用いることにより、色によって画像を分離することが可能となる。また撮像手段14はカラーイメージセンサであり、青色成分の画像と赤色成分の画像を同時に撮像する。
【0012】
図5は媒体識別装置の機能ブロック図である。搬送路1を硬貨2が搬送されると、まず媒体検知手段11Aが硬貨2の到着したことを検知し、発光手段12Aと撮像手段14に通知する。通知を受けた発光手段12Aは発光し撮像手段14で硬貨画像が撮像される。ここで、発光手段12Aからは硬貨2の上面に対して青色光が投射され、投射された青色光は硬貨2の表面で反射し、更に反射手段13で反射して撮像手段14に導かれ、撮像手段14により画像が撮像される。撮像手段14によって得られた硬貨2の上面の画像は、画像記憶手段53に記憶される。そして、識別手段55では、画像記憶手段53に記憶されている硬貨2の上面の画像と、基準データ記憶手段54に予め記憶されている各金種の表面と裏面のテンプレートとを比較することにより、金種や真偽の識別を行い、結果は一旦は記憶手段56に記憶される。ここで、表面または裏面のどちらかが上面画像として写っている。
【0013】
続いて、硬貨2がさらに搬送されると、媒体検知手段11Bが硬貨2の到着したことを検知し、発光手段12Bと撮像手段14に通知する。通知を受けた発光手段12Bは発光し撮像手段14で硬貨画像が撮像される。ここで、発光手段12Bからは、硬貨2の下面に対して赤色光が投射され、投射された赤色光は硬貨2の表面で反射し、撮像手段14に達し、撮像手段14により画像が撮像される。撮像手段14によって得られた硬貨2の下面の画像は、画像記憶手段53に記憶される。そして、識別手段55では、画像記憶手段53に記憶されている硬貨2の下面の画像と、基準データ記憶手段54に記憶されている各金種の表面と裏面のテンプレートとを比較することにより、金種や真偽の判別を行う。ここで、上面画像とは反対の面の画像が下面画像として写っている。硬貨2の上面及び下面の判別結果は、一度記憶手段56に記憶され、総合判定手段57に通知される。そして、総合判定手段57では、上面画像による金種と真偽の判別結果等と、下面画像による金種と真偽の判別結果等とに基づいて総合判別を行う。
【0014】
ここで、媒体が接近して搬送されている場合には、複数の媒体画像が同一の画像に含まれる場合がある。よって、上面画像と下面画像とが同一画像に含まれる場合、図6に示す通り、両者を分離する処理が実行される。撮像手段によって撮像された画像はカラー画像であり、その画像には青色成分や赤色成分等の色成分が含まれている。各色成分は、1画素当たりの青色成分の明度と赤色成分の明度によって判断される。媒体検知手段11Aで媒体を検知したタイミングで取得した媒体画像と媒体検知手段11Bで媒体を検知したタイミングで取得した媒体画像の両方の媒体が同一の画像に含まれているか否かを判定するために、色分析処理を行う(S61)。具体的には、画像中の各画素に対して、青色の明度が明るいか赤色の明度が明るいか又はそれ以外かを判定する。そして最終的には、画像全体で、青色の明度が所定値より高い画素の個数が規定値以上であれば、媒体検知手段11Aで媒体を検知したタイミングで撮像された媒体の上面画像であると判断する。一方で、赤色の明度が所定値より高い画素の個数が規定値以上であれば、媒体検知手段11Bで媒体を検知したタイミングで撮像された媒体の下面画像であると判断する。なお、これらの判定は、原則として独立して実行されるため、媒体の上面画像と下面画像の両方が含まれることもある。また、前述の各手段は制御手段59によって制御されており、各手段の機能を制御手段59で実行する構成としても何ら問題はない。
【0015】
1.取得した媒体画像の色が単一色である場合
次に、各々の色に関して、画素間の連結性をチェックして、同じ色の領域を切り出す。そして、青色の媒体画像と赤色の媒体画像の両方が混在しているか判定する(S62)。ここで、混在していないと判定されると、切り出した単一の領域に対して外形判定、金種判定または真偽判定などの識別を行なう(S67)。外形判定では、外形の形状により、搬送路で詰まる可能性のある媒体か否かも判定する。次に、識別した画像が上面画像であるか下面画像であるか判定し(S68)、上面画像であると判定されると、この上面画像の識別を終了し、次の下面画像の取得を待つことになる。一方で、識別した画像が下面画像であると判定されると、上面画像の識別結果と併せて総合判定処理を行う(S66)。
【0016】
2.取得した媒体画像の色が単一色でない場合
青色の媒体画像と赤色の媒体画像の両方が同一画像に混在している場合は、複数の搬送媒体が接近して搬送されていることを示す連鎖フラグを記憶する(S63)。ここで、切り出された上面画像領域を使い、基準データ記憶手段54に記憶されている基準データと比較することにより、外形判定、金種判定または真偽判定が実行される。そして、その判定結果が記憶手段56に記憶される(S64)。外形判定では、外形の形状により搬送路で詰まる可能性のある媒体か否かも判定する。
【0017】
次に、切り出された下面画像領域を使い、基準データ記憶手段54に記憶されている基準データと比較することにより、外形判定、金種判定または真偽判定が実行される。そして、その判定結果が記憶手段56に記憶される(S65)。外形判定では、外形の形状により、搬送路で詰まる可能性のある媒体か否かも判定する。そして、次の媒体の上面画像領域の識別結果と併せて総合判定処理を行う(S66)。
【0018】
3.総合判定処理
次に、総合判定処理について図7を用いて具体的に説明する。
総合判定処理は、媒体の下面画像の識別処理が実行された後に実行される。
(1)まず、媒体の上面画像または下面画像の識別結果から、少なくともどちらかが詰まりの要因となる媒体であったか判定する(S71)。詰まり要因を有する媒体である場合は、媒体の搬送を止め障害ダウンとし(S79)、総合判定処理は終了する。
(2)障害要因となる媒体ではなかった場合は、媒体の上面画像の識別結果と下面画像の識別結果が両方存在するか判定する(S72)。どちらか一方のみ存在する場合は、当該媒体を受付けずに排除する(S78)。
(3)双方の識別結果が存在する場合は、連鎖フラグがセットされているか確認し(S73)、セットされていれば連鎖として当該媒体を排除する(S78)。一方、連鎖フラグがセットされていなければ、表面画像の識別結果と裏面画像の識別結果が両方存在するか確認する(S74)。どちらか一方しか存在しない場合は、当該媒体を排除する(S78)。
(4)表面画像の識別結果と裏面画像の識別結果の両方存在する場合は、両者の金種が一致するかを確認する(S75)。一致しないならば当該の媒体は排除する(S78)。
(5)金種が一致していれば、表面画像と裏面画像の両方が正貨であることを確認する(S76)。少なくともどちらか一方が偽貨ならば、当該媒体は排除する(S78)。表面画像も裏面画像も正貨ならば媒体を正貨として受付ける(S77)。
【0019】
次に、図8及び図9に、複数の媒体が混在した撮像した画像の例を示す。図8では撮像した画像81の中に媒体の下面画像82と上面画像83が含まれている。これらは色成分により分離可能である。下面画像は撮像手段に近い位置にあるので媒体全体が撮像されるが、上面媒体は撮像手段から遠い位置にあるので下面画像により部分的または全体が隠される。万一、上面画像全体が下面媒体により隠されてしまうと、当該媒体の下面画像の識別が行なわれず、図7における上面画像・下面画像の識別結果なしと判定され排除扱いとなる。
また、図9は画像91の中に媒体の下面画像93(クリップ)と媒体の上面画像92が含まれている。下面画像93(クリップ)が上面画像92の模様の中に埋もれているが、色成分により分離可能である。
【0020】
(実施例2)
本発明に係る他の実施例として、媒体検知手段11Aが搬送される媒体を検知したタイミングから媒体検知手段11Bが搬送される媒体を検知したタイミングまでの時間をタイマにより測定し、その時間が所定値未満であることを条件に、図6で示す色分析処理を開始したり、連鎖フラグを立てるという構成でも良い。上記時間が所定値未満であるということは、複数の媒体が接近しており、同一画像内に混在して撮像される可能性が高いからである。この場合、上記時間が所定値以上である場合は、複数または単一の媒体が正常に搬送されていると考えられる為、色分析は行わず図6におけるのS61〜62を省略することが可能となる。その結果、処理時間が長くなることなく正確な識別が可能となる。
【0021】
1.媒体検知間隔が所定時間以上の場合
図10を用いて説明すると、まず媒体検知手段11Aが搬送される媒体を検知したタイミングから媒体検知手段11Bが搬送される媒体を検知したタイミングまでの時間をタイマにより測定して、予め定めた所定時間よりも小さいかを判定する(S101)。ここで、予め定めた所定時間よりも大きい場合は、複数の媒体が正常に(詰まった状態ではなく)搬送されていると考えられるため、媒体画像の識別処理を実行する(S107)。そして、識別処理をした媒体画像が下面画像であるか判定する(S108)。ここで、上面画像であると判定されると、この上面画像の識別を終了し、次の下面画像の取得を待つことになる。一方で、識別した画像が下面画像であると判定されると、上面画像の識別結果と併せて総合判定処理を行う(S106)。総合判定処理に関しては実施例1と同様である。
【0022】
2.媒体検知間隔が所定時間未満の場合
S101で予め定めた所定時間未満であると判定された場合は、色分析処理が実行され(S102)、複数の搬送媒体が接近して搬送されていることを示す連鎖フラグを記憶する(S103)。ここで、切り出された上面画像領域を使い、基準データ記憶手段54に記憶されている基準データと比較することにより、外形判定、金種判定または真偽判定が実行される。そして、その判定結果が記憶手段56に記憶される(S104)。外形判定では、外形の形状により搬送路で詰まる可能性のある媒体か否かも判定する。
次に、切り出された下面画像領域を使い、基準データ記憶手段54に記憶されている基準データと比較することにより、外形判定、金種判定または真偽判定が実行される。そして、その判定結果が記憶手段56に記憶される(S105)。外形判定では、外形の形状により、搬送路で詰まる可能性のある媒体か否かも判定する。そして、図7で説明したとおり総合判定処理が実行される(S106)。
【符号の説明】
【0023】
1・・・搬送路
1a・・・搬送路の透明部分
2・・・硬貨
3・・・搬送方向
11A、11B・・・媒体検知手段
11Aa、11Ba・・・投光器
11Ab、11Bb・・・受光器
12A、12B・・・発光手段
13・・・反射手段
14・・・撮像手段
53・・・画像記憶手段
54・・・基準データ記憶手段
55・・・識別手段
56・・・記憶手段
57・・・総合判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される硬貨の片側の表面に向けて発光する第1の発光手段と、
前記硬貨の他方の表面に向けて前記第1の発光手段とは異なる波長の光を発光する第2の発光手段と、
前記第1の発光手段からの光が前記硬貨の表面で反射した反射光の向きを変える複数の反射手段と、
前記第1の発光手段が発光した光が前記硬貨の表面で反射した光および前記第2の発光手段が発光した光が前記硬貨の表面で反射した光を受けて撮像する画像撮像手段と、
前記第1の発光手段に対応した第1の硬貨画像と、前記第2の発光手段に対応した第2の硬貨画像と、を記憶する画像記憶手段と、
前記画像記憶手段に記憶された画像について分離処理を行い硬貨の外形を判定し、該外形判定結果に応じて金種及び真偽の判別を行なう判別手段と、
を有することを特徴とする硬貨識別装置。
【請求項2】
前記判別手段は、
前記画像記憶手段に記憶された画像に、前記第1の硬貨画像と前記第2の硬貨画像とが混在している場合に、前記第1の硬貨画像と前記第2の硬貨画像を分離することにより、各々の硬貨の外形を判別することを特徴とする請求項1に記載の硬貨識別装置。
【請求項3】
前記判別手段は、前記第1の硬貨画像と前記第2の硬貨画像を、所定の色の画素数に応じて分離することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨識別装置。
【請求項4】
前記硬貨識別装置は、
分離した硬貨画像から障害を誘発する媒体であるか否かを判定する障害誘発媒体判定手段と、
前記障害誘発媒体判定手段によって、前記第1の硬貨画像又は前記第2の硬貨画像の少なくとも一方が障害を誘発する媒体であると判定された場合に、前記硬貨識別装置を停止する制御手段と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の硬貨識別装置。
【請求項5】
搬送される媒体を検知する第1の媒体検知手段と、
前記第1の媒体検知手段により媒体を検知した場合に、搬送される媒体の片側の表面に向けて発光する第1の発光手段と、
搬送される媒体を検知する第2の媒体検知手段と、
前記第2の媒体検知手段により媒体を検知した場合に、媒体の他方の表面に向けて前記第1の発光手段とは異なる波長の光を発光する第2の発光手段と、
前記第1の発光手段からの光が前記媒体の表面で反射した反射光の向きを変える複数の反射手段と、
前記第1の発光手段が発光した光が前記媒体の表面で反射した光および前記第2の発光手段が発光した光が前記媒体の表面で反射した光を受けて撮像する画像撮像手段と、
前記第1の発光手段に対応した第1の媒体画像と、前記第2の発光手段に対応した第2の媒体画像と、を記憶する画像記憶手段と、
前記第1の媒体検知手段による媒体を検知するタイミングと前記第2の媒体検知手段による媒体を検知するタイミングとの時間差が所定値よりも小さい場合に、前記画像記憶手段に記憶された画像について分離処理を行い前記媒体の外形を判定し、該外形判定結果に応じて、媒体の種別及び真偽の判別を行なう判別手段と、を有することを特徴とする媒体識別装置。
【請求項6】
前記外形判定は、前記第1の発光手段が発光した光の色と前記第2の発光手段が発光した光の色に基づいて前記画像記憶手段に記憶された画像を分離することにより行われることを特徴とする請求項5に記載の媒体識別装置。
【請求項7】
硬貨を識別する硬貨識別方法であって、
搬送される硬貨の片側の表面に向けて発光するステップと、
第1の発光手段により発光した光が前記硬貨の表面で反射した光を受けて第1の硬貨画像を撮像するステップと、
前記撮像した第1の硬貨画像を記憶するステップと、
前記第1の発光手段による発光とは異なる波長の光を、前記硬貨の他方の表面に向けて発光するステップと、
第2の発光手段が発光した光が前記硬貨の表面で反射した光を受けて第2の硬貨画像を撮像するステップと、
前記撮像した第2の硬貨画像を記憶するステップと、
前記第1の硬貨画像と前記第2の硬貨画像とが同一の画像に混在している場合に、前記第1の硬貨画像と前記第2の硬貨画像の外形を判定するステップと、
前記外形判定結果に応じて金種及び真偽の判別を行なうステップと、を有することを特徴とする硬貨識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−226406(P2012−226406A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90632(P2011−90632)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】