説明

媒体載置装置及び画像形成装置

【課題】載置する媒体を所定方向にガイドするガイド部材を備えた媒体載置装置では、繰り出す媒体が斜行するのを防止するのが難しかった。
【解決手段】記録用紙を載置する媒体載置板310と、この媒体載置板に対して移動自在に設けられた用紙ガイド520を有し、この用紙ガイド520は、記録用紙の位置を規制する規制面351と媒体載置板310と係合してその移動方向を規制する延在部555,556とを有し、この延在部を複数も設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に載置する媒体のガイドを備えた媒体載置装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の媒体載置装置では、載置する媒体の移動方向に対して直交する用紙の幅方向の位置を規制するため、2つの用紙ガイドを媒体の左右に配置していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−34525号公報(第3頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の用紙ガイドでは、ガイドする媒体の傾きを防ぎきれず、媒体が、移動方向に対して傾いてしまうことがあった。本発明は、簡単な構成によって、上記課題を低減するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による媒体載置装置は、
媒体を載置する媒体載置部と、前記媒体載置部に対して移動自在に設けられた第1の移動部とを有し、
前記第1の移動部は、前記媒体の位置を規制する第1の媒体規制部と、前記媒体載置部と係合して前記移動の方向を規制する第1の移動規制部とを有し、
前記第1の移動規制部が、複数設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、載置する媒体による作用によって、第1の移動部が、媒体の搬送方向に対して傾くことが抑制され、搬送時の媒体の傾きを軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明による媒体載置装置を採用した実施の形態1の画像形成装置の要部構成を、正面からみた概略構成図である。
【図2】実施の形態1において、手差しトレイを正面(Y軸プラス側)からみた構成図である。
【図3】実施の形態1において、媒体載置装置の構成を示す外観斜視図である。
【図4】実施の形態1において、媒体載置装置を下側からみた構成図である。
【図5】媒体載置装置の媒体載置板の表面(上面)の構成を示す外観斜視図である。
【図6】媒体載置板の裏面(下面)の構成を示す外観斜視図である。
【図7】実施の形態1において、図3に示す用紙ガイドの構成を示す外観斜視図である。
【図8】実施の形態1において、図4の構成図から、媒体載置板を除いた図である。
【図9】実施の形態1において、図4に示すネジの中心を通る位置での断面を示すK−K断面図である。
【図10】実施の形態1において、媒体載置板に装着された用紙ガイドと、媒体載置板に回転自在に軸固定されたピニオンギアの位置関係を示す寸法説明図である。
【図11】(a)は、実施の形態1において、ピニオンギアとラックとの噛合を例にして、係合位置を説明するための部分拡大図であり、(b)は、他の噛合例を示す図である。
【図12】実施の形態1において、記録用紙を載置した媒体載置装置の紙ガイドの動作説明に供する図である。
【図13】本発明による実施の形態2の媒体載置装置を下側からみた構成図である。
【図14】図13に示すネジの中心を通る位置での断面を示すM−M断面図であり、媒体載置装置の上側を上にしている。
【図15】実施の形態2において、記録用紙を載置した媒体載置装置の紙ガイドの動作説明に供する図である。
【図16】本発明による実施の形態3の媒体載置装置を下側からみた構成図である。
【図17】実施の形態3において、用紙ガイドの構成を示す外観斜視図である。
【図18】実施の形態4において、用紙ガイドの構成を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、本発明による媒体載置装置を採用した実施の形態1の画像形成装置の要部構成を、正面からみた概略構成図である。
【0009】
図1において、電子写真プリンタとしての構成を有する画像形成装置1内の下部には、内部に記録用紙52が積層される用紙トレイ51が配置され、用紙トレイ51の用紙繰り出し側には、媒体としての記録用紙52を1枚ずつ繰出す用紙繰出し部30が設けられている。用紙繰出し部30には、ある高さまで上昇した記録用紙52に圧接するよう設けられたピックアップローラ31、ピックアップローラ31により繰出された記録用紙52を1枚ずつに分離するフィードローラ32及び分離片33が設けられている。
【0010】
手差しトレイ300には、記録用紙370(図2)を置載する媒体載置装置302、媒体載置装置302の媒体置載板310の当接部311(図2)が圧接するように設けられたピックアップローラ303、ピックアップローラ303により繰り出された用紙を1枚ずつ分離するフィードローラ304及びリタードローラ305が設けられている。媒体載置装置302上の記録用紙370は、図示せぬモータの駆動によりピックアップローラ303が回転してフィードローラ304に繰り出され、フィードローラ304とリタードローラ305により1枚ずつ分離され、用紙搬送部40に送られる。
【0011】
用紙搬送部40は、用紙繰出し部30から1枚に捌いて繰出された記録用紙52を、搬送ローラ対41、42を経由して画像形成部10に搬送し、同じく手差しトレイ300から1枚に捌いて繰出された記録用紙370(図2)を、搬送ローラ対42を経由して画像形成部10に搬送する。画像形成部10は、記録用紙52、370の搬送方向の上流側から順に直列に配設された4つのトナー像形成部11K、11Y、11M、11C(特に区別する必要がない場合は単にトナー像形成部11と称す場合がある)とトナー像形成部11により形成されたトナー像を用紙上面にクーロン力により転写する転写部13を備える。
【0012】
トナー像形成部11Kはブラック(K)のトナー画像を、トナー像形成部11Yはイエロー(Y)のトナー画像を、トナー像形成部11Yはマゼンタ(M)のトナー画像を、トナー像形成部11Cはシアン(C)のトナー画像をそれぞれ形成する。各トナー像形成部11では、図示せぬ帯電ローラにより感光ドラム12を帯電させ、図示せぬ光ヘッドにより回転する感光ドラム12上に画像データを書き込み、その画像データをトナー剤で現像することにより、各色のトナー像が感光ドラム12上に得られる。
【0013】
転写部13は、用紙トレイ51から搬送された記録用紙52或いは手差しトレイ300から搬送された記録用紙370(図2)を矢印方向に搬送する転写ベルト14と、転写ベルト14を介して各トナー像形成部11の感光ドラム12に対向して配置された4つの転写ローラ15を備え、クーロン力により、各トナー像形成部11の感光ドラム12に形成された各色のトナー像を記録用紙52に順次重ねて転写する。
【0014】
定着部20は、熱と圧力により、転写部13で記録用紙52、370上に転写されたトナー像を記録用紙上に定着し、トナー像が定着された記録用紙52、370は、搬送ローラ対53及び排出ローラ対54を経由して、印刷済みの記録用紙を堆積する堆積部56に排出される。
【0015】
図1中のX、Y、Zの各軸は、記録用紙52が現像形成部10を通過する際の搬送方向にX軸をとり、感光体ドラム12の回転軸方向にY軸をとり、これら両軸と直交する方向にZ軸をとっている。また、後述する他の図においてX、Y、Zの各軸が示される場合、これらの軸方向は、共通する方向を示すものとする。即ち、各図のXYZ軸は、各図の描写部分が、図1に示す画像形成装置1を構成する際の配置方向を示している。尚、画像形成装置1は、ここではZ軸が略鉛直方向となるように配置されているものとする。
【0016】
図2は、手差しトレイ300を正面(Y軸プラス側)からみた構成図であり、図3は、媒体載置装置302の構成を示す外観斜視図であり、図4は媒体載置装置302を下側からみた構成図である。
【0017】
図2中、手差しトレイ300のフレーム301は、画像形成装置1本体に固定され、記録用紙370を載置する媒体載置装置302は、後述するようにフレーム301によって回動自在に保持されている。尚、画像形成装置1の手差しトレイ300に対して、それ以外の部分を画像形成装置1本体と称す場合がある。ピックアップローラ303は、媒体載置装置302の媒体載置板310の当接部311と当接可能な位置に配置され、フィードローラ304は、画像形成装置1本体に回転可能に保持されて図示しない駆動モータによって回転駆動され、アイドルギア306は、ピックアップローラ304とフィードローラ303を連結し、リタードローラ305には、図示せぬトルクリミッタが連結されている。スプリング308は、リタードローラ305をフィードローラ304に付勢し、スプリング309は、媒体載置装置302の当接部306がピックアップローラ303に当接する方向に媒体載置装置302を付勢している。
【0018】
尚、ここでの手差しトレイ300は、例えばフレーム301、媒体載置装置302、ピックアップローラ303、スプリング309、及びアイドルギア306を備えている。
【0019】
図3、図4に示すように、媒体載置装置302は、媒体載置部としての媒体載置板310、第1の移動部としての用紙ガイド320、第2の移動部としての用紙ガイド321、第1のギア部としてのピニオンギア325、及び第2のギア部としてのピニオンギア326を備え、媒体載置板310の両端部に形成された一対のポスト335,336が、フレーム301に形成された軸溝301a,301b(図2)にそれぞれ嵌入して回動自在に保持され、更に前記したように、その当接部311がピックアップローラ303に当接する方向にスプリング309によって付勢されている。
【0020】
図5は、媒体載置装置302の媒体載置板310の表面(上面)の構成を示す外観斜視図であり、図6は媒体載置板310の裏面(下面)の構成を示す外観斜視図である。
【0021】
図5、図6に示すように、媒体載置板310には、その中央部に、載置される記録用紙370(図2)の移動方向を示す矢印A方向(Y軸と垂直であるが、Z軸とは必ずしも垂直ではない)に延在する中央平板部340が形成され、その両側から交互に、載置される記録用紙の幅方向(Y軸方向)に延在するガイド溝331,332,333,334が形成されている。各ガイド溝331〜334には、中央平板部340に近い位置において、直交する両方向に所定幅だけ延出した嵌入部331a,332a,333a,334aが形成されている。これらの各ガイド溝331〜334及び嵌入部331a〜334aは、図6に示すように媒体載置板310の裏側まで貫通している。
【0022】
図7は、図3に示す用紙ガイド320の構成を示す外観斜視図である。尚、用紙ガイド321の構成は、ここでは用紙ガイド320と同じ構成としているため、ここでは用紙ガイド320を用いてそれらの構成について説明する。
【0023】
用紙ガイド320は、載置される記録用紙が移動する矢印A方向に延在するガイドブロック350と記録用紙の幅方向(Y軸方向)に延在する第1の移動規制部としての一対のラック355,356を備えている。ガイドブロック350には、Y軸に対して垂直な面であり、矢印A方向に延在して記録用紙の幅方向の位置を規制する第1の媒体規制部としの規制面351と、規制面351と直交して矢印A方向に延在して記録用紙の幅方向の端部を載置する載置面352aとが形成されている。尚、用紙ガイド321の一対のラック355,356が第2の移動規制部に相当し、用紙ガイド321の規制面351が第2の媒体規制部に相当する。
【0024】
その上面が載置面352aとなる板状部352の下方には、板状部352の下面から下方に突き出て、各ラック355,356の上面と板状部352の下面とが所定の間隔gを有するように、ラック355,356を保持するラック保持部353,354が形成されている。図7に示すように、ラック355,356は、互いに所定の間隔を有し、ガイドブロック350の幅中心に対して矢印A方向に偏移した位置に形成されている。これらの位置関係については後に詳しく説明する。
【0025】
ラック355及びラック356は、載置面352aと平行な平面を有する板状部材であり、規制面351に対して垂直に略同じ形状で平行に形成され、そのガイドブロック側の一端部には規制部355b及び規制部356bが形成され、他端部には規制部355f及び規制部356fが形成されている。またラック355及びラック356の、矢印Aとは反対側には、両規制部間において歯部355d及び歯部356dが形成され、矢印A側には、両規制部の近傍に一対の付勢部355c,355e及び付勢部356c,356eが形成されている。
【0026】
図3、図4に示すように、用紙ガイド320,321は、用紙ガイド320のラック保持部353,354がそれぞれ媒体載置板310のガイド溝333,331にガイドされ、用紙ガイド321のラック保持部353,354がそれぞれ媒体載置板310のガイド溝332,334にガイドされるように媒体載置板310に装着される。次にその装着方法について説明する。
【0027】
ここでは、図7に示す用紙ガイド320を、図5、図6に示す媒体載置板310に装着する場合について説明する。先ず、用紙ガイド320をX軸回り矢印B方向に略90回転させ、ラック355の規制部355fの先端部が媒体載置板310のガイド溝333の嵌入部333aに、またラック356の規制部356fの先端部が媒体載置板310のガイド溝331の嵌入部331aにそれぞれ略垂直に嵌入するように矢印C方向(図5)に挿入し、板状部352が媒体載置板310の上面に突き当たるまで押し込む。
【0028】
このため、嵌入部333aの幅は、規制部355b,355fの各幅Wa1,Wa2の各幅より広く、また嵌入部331aの幅は、規制部356b,356fの各幅Wb1,Wb2の各幅より広く設定されている。更にラック保持部353の幅は、規制部355b,355fの各幅Wa1,Wa2の各幅より狭く、ガイド溝333の幅はラック保持部353が嵌入してガイドされるのに適した幅に形成され、同じくラック保持部354の幅は、規制部356b,356fの各幅Wb1,Wb2の各幅より狭く、ガイド溝331の幅はラック保持部354が嵌入してガイドされるのに適した幅に形成されている。
【0029】
板状部352が媒体載置板310の上面に突き当たった段階で、今度は用紙ガイド320をX軸回り矢印B方向と反対方向に回転させることにより、ラック保持部353及びラック保持部354がそれぞれガイド溝333及びガイド溝331に嵌入し、且つラック355及びラック356がそれぞれ媒体載置板310を介してその下面に平行に延在することになる。更にガイドブロック350が媒体載置板310の一端側に位置するまでガイド溝333,331にガイドされながら移動させることにより、用紙ガイド320は、例えば図3に示すように、初期位置にセットされる。ここでいう初期位置とは、用紙ガイド321の最端部位置とする。
【0030】
同様にして、用紙ガイド321のラック355の規制部355fの先端部が媒体載置板310のガイド溝332の嵌入部332aに、またラック355の規制部356fの先端部が媒体載置板310のガイド溝334の嵌入部334aにそれぞれ略垂直に嵌入するように矢印C方向(図5)に挿入し、ガイドブロック350が媒体載置板310の他端側に位置するまでガイド溝332,334にガイドされながら移動させることにより、用紙ガイド321は、例えば図3に示すように、初期位置にセットされる。
【0031】
図4或いは図6に示すように、媒体載置板310は、その下面に、用紙ガイド320のラック356の、付勢部356c,356eに対峙するガイド壁341a及び突き当て部356a,356gに対峙するガイド壁341bが形成され、付勢部356c,356eによる付勢力を受けて、突き当て部356a,356gとガイド壁341bが当接し、がたつきを生じることなく用紙ガイド320のラック356の移動をガイドする。同様に、媒体載置板310は、その下面に、用紙ガイド320のラック355の、付勢部355c,355eに対峙するガイド壁342a及び突き当て部355a,355gに対峙するガイド壁342bが形成され、付勢部355c,355eによる付勢力を受けて、突き当て部355a,355gとガイド壁342bが当接し、がたつきを生じることなく用紙ガイド320のラック355の移動をガイドする。
【0032】
同様に、媒体載置板310は、その下面には、用紙ガイド321のラック356の、付勢部356c,356eに対峙するガイド壁344a及び突き当て部356a,356gに対峙するガイド壁344bが形成され、付勢部356c,356eによる付勢力を受けて、突き当て部356a,356gとガイド壁344bが当接し、がたつきを生じることなく用紙ガイド321のラック356の移動をガイドする。同様に、媒体載置板310は、その下面には、用紙ガイド321のラック355の、付勢部355c,355eに対峙するガイド壁343a及び突き当て部355a,355gに対峙するガイド壁343bが形成され、付勢部355c,355eによる付勢力を受けて、突き当て部355a,355gとガイド壁343bが当接し、がたつきを生じることなく用紙ガイド321のラック355の移動をガイドしている。
【0033】
図8は、図4の構成図から、媒体載置板310を除いた図であり、図9は、図4に示すネジ345,346の中心を通る位置での断面を示すK−K断面図である。
【0034】
図8に示すように、用紙ガイド320と用紙ガイド321は、略同じ形状であり、媒体載置板310に装着されてそれぞれが初期位置にあるとき、記録用紙の移送方向である矢印A方向において、各用紙ガイドのラック355,356が所定の間隔で交互に且つ平行に配置される。特に、用紙ガイド320の歯部355dと用紙ガイド321の歯部356dが、また用紙ガイド320の歯部356dと用紙ガイド321の歯部355dが隣接し、互いに隣接する歯部の各先端側の一部領域が、媒体載置板310の、記録用紙370の幅方向(Y軸方向)の中心部において所定の間隔で対向する。
【0035】
図8に示すように、用紙ガイド320の歯部356dと用紙ガイド321の歯部355dが対向する位置、及び用紙ガイド320の歯部355dと用紙ガイド321の歯部356dが対向する位置には、媒体載置板310の、記録用紙370の幅方向の中心部においてそれぞれピニオンギア381及びピニオンギア382が配置され、ネジ345及びネジ346によって媒体載置板310に回転自在に固定されている。
【0036】
図9に示すように、ピニオンギア381は、用紙ガイド320のラック356の歯部356d及び用紙ガイド321のラック355の歯部355dと噛合する歯部381aと、用紙ガイド320のラック356と用紙ガイド321のラック355の各一部を覆うように張り出したフランジ部381bとが形成され、同様に、ピニオンギア382は、用紙ガイド321のラック356の歯部356d及び用紙ガイド320のラック355の歯部355dと噛合する歯部382aと、用紙ガイド321のラック356と用紙ガイド320のラック355の各一部を覆うように張り出したフランジ部382bとが形成されている。尚、図4、8では、ピニオンギア381、382の各歯部381a、382aのピッチ円(基準円)381p、382pのみを点線で示している。
【0037】
従って、媒体載置板310に装着された用紙ガイド320は、そのガイドブロック350の板状部352が媒体載置板310に規制され、またそのラック355,356が、ピニオンギア381,382の各フランジ部381b,382bによって規制され、下方(ここではZ軸のマイナス側)に外れることはなく、またラック355,356の幅が、それぞれ媒体載置板310のガイド溝331,333の幅より広く形成されているため、上方(ここではZ軸のプラス側)に外れることもない。媒体載置板310に装着された用紙ガイド321についても、同様にして媒体載置板310に対して上下方向に外れないように構成されている。
【0038】
尚、図9に示すように、ピニオンギア382と媒体載置板310の間にはウェーブワッシャ383が圧縮した状態で配設され、ピニオンギア382をネジ346に付勢している。このウェーブワッシャ383は、ピニオンギア382の回転負荷を調整するもので、これによって、用紙ガイド320、321の移動負荷を調整する。ウェーブワッシャ383は、2つのピニオンギア381,382にそれぞれ設けてもよいが、ここでは、後述するように2つのピニオンギア381,382が連動するため、ピニオンギア382にのみ配設しても有効である。
【0039】
図4(図8参照)に示すように、用紙ガイド320の突き当て部356a,356gは、付勢部356c,356eによる付勢によって媒体載置板310のガイド壁341bに当接してピニオンギア381とラック356の噛合位置を規制すると共に、媒体載置板310に対する用紙ガイド320の移動範囲も規制する。同様にして用紙ガイド320の突き当て部355a,355gは、付勢部355c,355eによる付勢によって媒体載置板310のガイド壁342bに当接してピニオンギア382とラック355の噛合位置を規制すると共に、媒体載置板310に対する用紙ガイド320の移動範囲も規制する。
【0040】
一方、用紙ガイド321の突き当て部356a,356gは、付勢部356c,356eによる付勢によって媒体載置板310のガイド壁344bに当接してピニオンギア382とラック356の噛合位置を規制すると共に、媒体載置板310に対する用紙ガイド321の移動範囲も規制する。同様にして用紙ガイド321の突き当て部355a,355gは、付勢部355c,355eによる付勢によって媒体載置板310のガイド壁343bに当接してピニオンギア381とラック355の噛合位置を規制すると共に、媒体載置板310に対する用紙ガイド321の移動範囲も規制する。
【0041】
図10は、媒体載置板310に装着された用紙ガイド320,321と、媒体載置板310に回転自在に軸固定されたピニオンギア381,382の位置関係を示す寸法説明図である。尚、ここでは、便宜上、用紙ガイド321の各構成要素の符号に´を付して、用紙ガイド320の各構成要素に対して区別化している。尚、図10は、媒体載置装置302を下側(Z軸のマイナス側)からみた図8に対応し、同図中の矢印A方向は、載置される記録用紙の移動方向を示している。
【0042】
同図に示すように、用紙ガイド320,321は、同じ形状をしており、各規制面351,351´が、互いに向き合って矢印A方向に延在し、且つ用紙ガイド320のラック355,356及び用紙ガイド321のラック355´,356´が矢印A方向において交互に位置するように配置される。更に、互いに平行に延在する用紙ガイド320のラック356と用紙ガイド321のラック355´との間にはピニオンギア381が各ラックと噛合するように配置され、用紙ガイド320のラック355と用紙ガイド321のラック356´との間にはピニオンギア382が各ラックと噛合するように配置される。
【0043】
ガイドブロック350(350´)の、矢印A方向の長さをLとし、矢印A方向の一直線上に配置されたピニオンギア381,382の各ピッチ円(基準円)381p,382pの直径をdとし、ラック355(355´)及びラック355と平行して延びるラック356(356´)の位置関係について説明する。
【0044】
ピニオンギア381,382の各回転中心381c,382c間の垂直2等分線であって、載置される記録用紙の幅方向(Y軸方向)に延在する仮想中心線をPとし、仮想中心線Pから回転中心381cまでの距離をXとすると、回転中心382cまでの距離も同様にXとなる。
【0045】
このとき、仮想中心線Pから、ピニオンギア381との係合位置であるラック355´のピッチ線(基準線)355p´までの距離をZとしたとき、距離Zを
Z=X−d/2
によって算出し、この位置がラック355´のピッチ線(基準線)355p´となるように歯部355d(図8)を形成する。
また、ラック355´のピッチ線(基準線)355p´から、ピニオンギア382との係合位置であるラック356´のピッチ線(基準線)356p´までの距離をYとしたとき、距離Yを
Y=2X
によって算出し、この位置がラック356´のピッチ線(基準線)356p´となるように歯部356d(図8)を形成する。
【0046】
また、矢印A方向の長さLの規制面351´に対し、規制面351´の矢印A方向における略中心が仮想中心線Pと一致するように配置し、その中心を基準に矢印A方向側とその反対側に少なくとも1つずつのラック355´、356´が配置されている。この場合、図10の配置から明らかなように、ラック355´の幅をw1、ラック356´の幅をw2としたとき、
Z>w1、及び
K=L/2−(Z+d)>w2
となるように設定する必要がある。
【0047】
このように形成することにより、同形状である用紙ガイド320と用紙ガイド321とを互い対向して配置して、媒体載置板310に装着することが可能となる。
【0048】
尚、ここでは規制面351´の矢印A方向における略中心を仮想中心線Pと一致するように配置するとしたが、ここに述べる略中心とはL/2±20%の領域に仮想中心線Pが含まれるのであれば同様の効果が得られる。
【0049】
また、ここでいう係合位置とは、ピニオンギア381とラック355,356´、及びピニオンギア382とラック356,357´が歯合する位置である。図11は、ピニオンギア381とラック355´との噛合を例にして、係合位置を説明するための部分拡大図である。
【0050】
同図(a)に示すように、ピニオンギア381のピッチ円(基準円)381pの接線の1つがラック355´の歯部355d´の歯先から歯底までの範囲h2の略中央に位置するようにしてピニオンギア381とラック355´とを係合させた。このようにピニオンギア381のピッチ円(基準円)381pが接するラック355´上の位置がラックのピッチ線(基準線)355p´に相当する。従って、ここでいう係合位置とは、ピニオンギアのピッチ円(基準円)とラックのピッチ線(基準線)と接する位置に相当する。
【0051】
上記したのは一例であって、係合位置は、ピニオンギア381の歯部381aの歯先から歯底までの範囲h1とラック355´の歯部355d´の歯先から歯底までの範囲h2とが交わる領域内の位置であれば良い。例えば同図(b)に示すように、ピニオンギア381を転移させた場合、ピニオンギア325とラック355´とを係合させる位置関係が異なってくるからである。他のピニオンギアとラックについても同様である。
【0052】
また、例えば図7に示す用紙ガイド320において、ラック355の歯部355dのピッチとラック356の歯部356dは、ピッチは同一であり且つ規制面351からみた位相も同一である。用紙ガイド321も同様に構成されている。たま、例えば図8に示すピニオンギア381とピニオンギア382は、歯数が同数であり、図11に示すように、ここでは偶数の16歯とし、更に共にフランジ部381b、382bを備えて同じモジュールとしている。
【0053】
以上の構成において、図12を参照しながら、手差しトレイ300の媒体載置装置302における用紙ガイド320,321の動作について説明する。尚、図12は、記録用紙370を載置した媒体載置装置302において、紙ガイド320,321の動作説明に供する図であり、同図において、記録用紙370には斜線を施してその存在する領域のみを明示している。
【0054】
先ず、図示しない操作手段により、図2に示す媒体載置装置302の当接部311がピックアップローラ303から所定の間隔だけ離間するように、スプリング309の付勢に抗して媒体載置装置302を押し下げ、その位置に規制する。このように媒体載置装置302を押し下げた状態で、手差しトレイ300に記録用紙370をセットする。このとき、用紙ガイド320及び用紙ガイド321を外側に移動し、記録用紙370の幅方向端部が用紙ガイド320及び用紙ガイド321の各載面載352a上に位置するように記録用紙370を媒体載置装置302上に載置し、用紙ガイド320及び321を、その各規制面351が記録用紙370の端面に突き当たるまで中心方向に移動させる。
【0055】
このとき、用紙ガイド320及び用紙ガイド321の各規制面351は、ピニオンギア381及び382(図8参照)の各回転中心を結ぶ線を中心線として左右対称に移動する。従って、用紙ガイド320及び用紙ガイド321のうち、どちらか一方のガイドブロック350を移動すると、他方のガイドブロック350もピニオンギアを介して対称に移動し、これによって、記録用紙370の幅方向位置を規制する事が可能になる。
【0056】
前記したように、ラック355の歯部355dのピッチとラック356の歯部356dは、ピッチ及び規制面351からみた位相が同一に構成され、且つピニオンギア381とピニオンギア382は同形状であるため、このように、2つのラック355、356を用いてラックアンドピニオンを構成しても摺動動作をスムーズに行うことができる。
【0057】
このようにして、媒体載置装置302上の記録用紙370の幅方向の位置決めを行った後、図示しない操作手段による位置規制を解除し、図2に示すように、スプリング309の付勢力により、載置された記録用紙370の最上部の記録用紙がピックアップローラ303に当接する状態とする。この状態でピックアップローラ303が始動して記録用紙370が繰り出されると、記録用紙370は、図12中の矢印A方向に繰り出される。このとき、記録用紙370は、矢印Ma又は矢印Mbの何れかの回転方向にスキューする場合がある。
【0058】
例えば、記録用紙370が矢印Ma方向にスキューすると、用紙ガイド321の規制面351は、A方向における後端側で、スキューによって発生する記録用紙370からの押圧力Faを受け、用紙ガイド320の規制面351は、A方向における前端側で、スキューによって発生する記録用紙370からの押圧力Fcの力を受ける。このとき、用紙ガイド321は、矢印Mc方向に回転しようとしてその前端側で中心方向への移動力Fdを発生し、用紙ガイド320は、矢印Md方向に回転しようとしてその後端側で中心方向への移動力Fbを発生する。
【0059】
このとき、用紙ガイド321の前端側に発生した移動力Fdは、図10に示す用紙ガイド321のラック355´、ピニオンギア381、用紙ガイド320のラック356を介して用紙ガイド320の前端側に伝わり、記録用紙370からの押圧力Fcを相殺する力として用紙ガイド320の前端側に発生する。同様にして、用紙ガイド320の後端側に発生した移動力Fbは、図10に示す用紙ガイド320のラック355、ピニオンギア382、用紙ガイド321のラック356´を介して用紙ガイド321の後端側に伝わり、記録用紙370からの押圧力Faを相殺する力として用紙ガイド320の後端側に発生する。
【0060】
記録用紙370が矢印Mb方向にスキューする場合も、同様にして、各用紙ガイド320、321がそれぞれ受ける記録用紙370からの押圧力は相殺される。
【0061】
以上のように、本実施の形態の媒体載置装置によれば、矢印A方向の離間した位置に配列されたピニオンギア381、382がそれぞれ用紙ガイド320、321から延在するラックと連結しているため、搬送される記録用紙にスキューが発生しても、これにより用紙ガイド320,321が傾くのを抑制できるため、記録用紙のスキューを軽減することができる。
【0062】
実施の形態2.
図13は、本発明による実施の形態2の媒体載置装置402を下側(Z軸のマイナス側)からみた構成図であり、図14は、図13に示すネジ345,346の中心を通る位置での断面を示すM−M断面図である。但し、図14では、媒体載置装置402の上側を上にしている。
【0063】
この媒体載置装置402を採用する画像形成装置が、前記した例えば図4に示す実施の形態1の媒体載置装置302と主に異なる点は、ピニオンギア481,482(実施の形態1では381,382)に上層ギア481d,482dが追加されて2段ギアに形成されている点、これらの上層ギア481d,482dと噛合するアイドルギア400が追加されている点である。
【0064】
従って、この媒体載置装置402を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、媒体載置装置402以外において図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて図1、図2を参照する。
【0065】
図13、図14において、ピニオンギア481,482には、実施の形態1で説明したように各ラックと噛合する1段目ギアに加え、フランジ部481b,482bを介して形成された2段目ギアである上層ギア481d,482dが形成されている。図13には、それらのピッチ円を示す。これらのピニオンギア481,482の中間部には、アイドルギア400が配置され、ピニオンギア481,482の軸間の中心点において、ネジ401によって媒体載置板310に回転自在に固定されている。図13には、そのピッチ円400pを点線で示している。
【0066】
図14に示すように、アイドルギア400と媒体載置板310間には、ウェーブワッシャ405が圧縮した状態で配置され、アイドルギア400をネジ401に付勢している。尚、用紙ガイド420,421(実施の形態1では320,321)のラック455(実施の形態1では355)には、アイドルギア400の媒体載置板310への取り付けを許容するための切欠き部455hが形成されている。
【0067】
アイドルギア400は、ピニオンギア481,482の中間部で、これらピニオンギア481,482の上層ギア481d,482dとそれぞれ噛合し、ピニオンギア481とピニオンギア482を連結している。
【0068】
尚、ここでは、用紙ガイド420が第1の移動部に相当し、用紙ガイド421が第2の移動部に相当し、用紙ガイド420の一対のラック455,456が第1の移動規制部に相当し、用紙ガイド421の一対のラック455,456が第2の移動規制部に相当し、用紙ガイド420の規制面351が第1の媒体規制部に相当し、用紙ガイド421の規制面351が第2の媒体規制部に相当する。
【0069】
以上の構成において、図15を参照しながら、媒体載置装置402における用紙ガイド420,421の動作について説明する。尚、図15は、記録用紙370を載置した媒体載置装置402において、紙ガイド420,421の動作説明に供する図であり、同図において、記録用紙370には斜線を施してその存在する領域のみを明示している。
【0070】
先ず、図示しない操作手段により、図2に示す媒体載置装置302(ここでは402とする)の当接部311がピックアップローラ303から所定の間隔だけ離間するように、スプリング309の付勢に抗して媒体載置装置402を押し下げ、その位置に規制する。このように媒体載置装置402を押し下げた状態で、手差しトレイに記録用紙370をセットする。このとき、用紙ガイド420及び用紙ガイド421を外側に移動し、記録用紙370の幅方向端部が用紙ガイド420及び用紙ガイド421の各載面載352a上に位置するように記録用紙370を媒体載置装置402上に載置し、用紙ガイド420及び421を、その各規制面351が記録用紙370の端面に突き当たるまで中心方向に移動させる。
【0071】
このとき、用紙ガイド420及び用紙ガイド421の各規制面351は、ピニオンギア481及び482(図13参照)の各回転中心を結ぶ線を中心線として左右対称に移動する。この時ピニオンギア481とピニオンギア482は、用紙ガイド420及び用紙ガイド421の移動に伴って同方向に同回転し、これらを連結するアイドルギア400は、反対方向に回転する。このように、アイドルギア400を追加した場合も、2つのラック455、456を用いてラックアンドピニオンを構成しても摺動動作を円滑に行うことができる。
【0072】
このようにして、媒体載置装置402上の記録用紙370の幅方向の位置決めを行った後、図示しない操作手段による位置規制を解除し、図2に示すように、スプリング309の付勢力により、載置された記録用紙370の最上部の記録用紙がピックアップローラ303に当接する状態とする。この状態でピックアップローラ303が始動して記録用紙370が繰り出されると、記録用紙370は、図15中の矢印A方向に搬送される。このとき、記録用紙370は、矢印Ma又は矢印Mbの方向にスキューする場合がある。
【0073】
例えば、記録用紙370が矢印Ma方向にスキューすると、用紙ガイド421の規制面351は、矢印A方向における後端側で、スキューによって発生する記録用紙370からの押圧力Faを受ける。このとき、用紙ガイド420は、矢印Mc方向に回転しようとしてその前端側で中心方向への移動力Fdを発生する。
【0074】
矢印Ma方向へのスキューによって発生したこれらの力は、ピニオンギア481とピニオンギア482(図13)を互いに逆方向に回転しようとするが、アイドルギア400によって連結されたこれらのピニオンギア481とピニオンギア482は、逆方向に回転することができないため、用紙ガイド421が矢印Ma方向に回転することはない。同様にして、記録用紙370が矢印Mb方向にスキューする場合も用紙ガイド421が矢印Mb方向に回転することはない。用紙ガイド420も対しても同様に作用するため、用紙ガイド420と用紙ガイド421は、用紙搬送方向である矢印A方向に対して、それぞれの規制面351を常に平行に保つことができる。
【0075】
以上のように、本実施の形態の媒体載置装置によれば、矢印A方向の離間した位置に配列されたピニオンギア481、482がアイドルギア400によって連結されているため、搬送される記録用紙にスキューが発生しても、これにより用紙ガイド420,421が用紙搬送方向(矢印A方向)に対して傾くことがないため、記録用紙のスキューを軽減することができる。
【0076】
実施の形態3.
図16は、本発明による実施の形態3の媒体載置装置502を下側(Z軸のマイナス側)からみた構成図であり、図17は、用紙ガイド520(521)の構成を示す外観斜視図である。
【0077】
この媒体載置装置502を採用する画像形成装置が、前記した例えば図4に示す実施の形態1の媒体載置装置302と主に異なる点は、ピニオンギア381,382に代えて、ギアを備えないフランジ581,582をネジ345,346で媒体載置板310に固定し、各用紙ガイド520,521には、ラックに代えて平板状の延在部555,556が形成されている点である。
【0078】
従って、この媒体載置装置502を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、媒体載置装置502以外において図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて図1、図2を参照する。
【0079】
用紙ガイド520の延在部555は、媒体載置板310に形成されたガイド壁342aによって側部555bが、そしてガイド壁342bによって側部555aがそれぞれガイドされ、円滑に摺動するのに必要な最小限の隙間を形成する幅で形成され、同じく用紙ガイド520の延在部556は、媒体載置板310に形成されたガイド壁341aによって側部556bが、そしてガイド壁341bによって側部556aがそれぞれガイドされ、円滑に摺動するのに必要な最小限の隙間を形成する幅で形成されている。
【0080】
尚、ここでは、延在部555の側部555a,555b及び延在部556の側部556a,556bが付き当て部に相当し、ガイド壁341a,341b,342a,342bが当接部に相当する。
【0081】
また、用紙ガイド521の延在部555は、媒体載置板310に形成されたガイド壁342aによって側部555bが、そしてガイド壁343bによって側部555aがそれぞれガイドされ、円滑に摺動するのに必要な最小限の隙間を形成する幅で形成され、同じく用紙ガイド521の延在部556は、媒体載置板310に形成されたガイド壁344aによって側部556bが、そしてガイド壁344bによって側部556aがそれぞれガイドされ、円滑に摺動するのに必要な最小限の隙間を形成する幅で形成されている。
【0082】
フランジ581は、用紙ガイド520の延在部556と用紙ガイド521の延在部555が、下方(ここではZ軸のマイナス側)に外れるのを規制し、フランジ582は、用紙ガイド520の延在部555と用紙ガイド521の延在部556が、下方(ここではZ軸のマイナス側)に外れるのを規制している。従って、ここでは、用紙ガイド520と用紙ガイド521は、連動することなくそれぞれが個別に移動する。
【0083】
尚、ここでは、用紙ガイド520が第1の移動部に相当し、用紙ガイド521が第2の移動部に相当し、用紙ガイド520の一対の延在部555,556が第1の移動規制部に相当し、用紙ガイド521の一対のラック555,556が第2の移動規制部に相当し、用紙ガイド520の規制面351が第1の媒体規制部に相当し、用紙ガイド521の規制面351が第2の媒体規制部に相当する。
【0084】
以上の構成において、媒体載置装置502における用紙ガイド520,521の動作について説明する。
【0085】
先ず、図示しない操作手段により、図2に示す媒体載置装置302(ここでは502とする)の当接部311がピックアップローラ303から所定の間隔だけ離間するように、スプリング309の付勢に抗して媒体載置装置502を押し下げ、その位置に規制する。このように媒体載置装置502を押し下げた状態で、手差しトレイに記録用紙370をセットする。このとき、用紙ガイド520及び用紙ガイド521を外側に移動し、記録用紙370の幅方向端部が用紙ガイド520及び用紙ガイド521の各載面載352a上に位置するように記録用紙370を媒体載置装置502上に載置し、用紙ガイド520及び521を、その各規制面351が記録用紙370の端面に突き当たるまで中心方向に移動させる。
【0086】
このとき、用紙ガイド520及び用紙ガイド521は、連動しないため、操作者によって個別に移動させる必要がある。
【0087】
このようにして、媒体載置装置502上の記録用紙370の幅方向の位置決めを行った後、図示しない操作手段による位置規制を解除し、図2に示すように、スプリング309の付勢力により、載置された記録用紙370の最上部の記録用紙がピックアップローラ303に当接する状態とする。この状態でピックアップローラ303が始動して記録用紙370が繰り出されると、記録用紙370は、図12中の矢印A方向に搬送される。
【0088】
このとき、記録用紙370にスキューが発生して規制面351に押圧力が作用する場合、力の作用点から最も離れた延在部の側部が媒体載置板310のガイド壁に当接するため、同様の寸法精度の延在部を1つだけ用いた場合と比べて、スキューを少なくすることが出来る。
【0089】
例えば、媒体載置装置502上に載置した記録用紙のスキューによって、図17に示す用紙ガイド520の規制面351の用紙先端側(矢印A方向側)が、押圧力Fc1によって押圧された場合、延在部555の側部555bの先端部555hが媒体載置板310のガイド壁342a(図16)に当接して用紙ガイド520が矢印A方向に対して傾くのを抑制することができる。
【0090】
同様にして、媒体載置装置502上に載置した記録用紙のスキューによって、図17に示す用紙ガイド520の規制面351の用紙後端側(矢印A方向と反対側)が、押圧力Fc2によって押圧された場合、延在部556の側部556aの先端部556hが媒体載置板310のガイド壁341b(図16)に当接して用紙ガイド520が矢印A方向に対して傾くのを抑制することができる。このような回転防止の仕組みは、用紙ガイド520と対向して配置される用紙ガイド521においても同様である。
【0091】
以上のように、本実施の形態の媒体載置装置によれば、搬送される記録用紙にスキューが発生しても、これにより用紙ガイド520,521が用紙搬送方向(矢印A方向)に対して傾くのが抑制されるため、記録用紙のスキューを軽減することができる。更に前記した実施の形態1の図10での説明によれば、延在部556及び延在部555は、規制面351の矢印A方向における中心を基準にして、一方が矢印A方向側に、他方がその反対側にそれぞれ設けられている。これによりスキューの方向に関係なく、より効率的に上記した本実施の形態の効果を得ることができる。
【0092】
尚、本実施の形態では、用紙ガイドに2つの延在部を設けた例を示したが、2つ以上としても同様の効果が得られる。
【0093】
実施の形態4.
図18は、本発明による実施の形態4の用紙ガイド620(621)の構成を示す外観斜視図である。
【0094】
この用紙ガイド620(621)を採用する媒体載置装置602が前記した図16に示す実施の形態3の媒体載置装置502と異なる点は、延在部655,656(実施の形態3では、555,556)の形状である。従って、この用紙ガイド620(621)を採用する画像形成装置が、前記した実施の形態1の画像形成装置1(図1)と共通する部分には同符号を付して、或いは図面を省いて説明を省略し、異なる点を重点的に説明する。尚、本実施の形態の画像形成装置の要部構成は、媒体載置装置以外において図1に示す実施の形態1の画像形成装置1の要部構成と共通するため、必要に応じて図1、図2を参照する。
【0095】
用紙ガイド620(621)の延在部655,656の形状は、実施の形態1で説明した図7に示す用紙ガイド320(321)のラック355,356において歯部355d,356dを除いた(形成しない)形状に相当する。従って、この用紙ガイド620(621)を媒体載置板310に装着すると、実施の形態3で説明した図16において、各延在部555,556の側部555b,556bに代わって、図4における付勢部355c,355e及び付勢部365c,365eのように、用紙ガイド620の付勢部655c,655eがガイド壁342aに対向してこれを押圧し、用紙ガイド620の付勢部656c,656eがガイド壁341aに対向してこれを押圧し、用紙ガイド621の付勢部655c,655eがガイド壁343aに対向してこれを押圧し、用紙ガイド621の付勢部656c,656eがガイド壁344aに対向してこれを押圧する。
【0096】
以上の構成において、媒体載置装置に記録用紙をセットする方法は、前記した実施の形態3における方法と同じなので、ここでの説明は省略する。
【0097】
セットされた記録用紙が矢印A方向に搬送されるとき、例えば、媒体載置装置602上に載置した記録用紙のスキューによって、図18に示す用紙ガイド621の規制面351の用紙先端側(矢印A方向側)が、押圧力Fc1によって押圧された場合、付勢部655eがガイド壁342aを、付勢部656eがガイド壁341aをそれぞれ押し当てる方向に力が伝わるため、その力に抗して付勢部655eからは復元力Fa4が、また付勢部656eからは復元力Fa2がそれぞれ発生する。これによって、用紙ガイド620が矢印A方向に対して傾くのを抑制することができる。
【0098】
同様にして媒体載置装置602上に載置した記録用紙のスキューによって、図18に示す用紙ガイド620の規制面351の用紙後端側(矢印A方向と反対側)が、押圧力Fc2によって押圧された場合、延在部656の側部656aの先端部656hが支点となり、付勢部655cがガイド壁342aを、付勢部656cがガイド壁341aをそれぞれ押し当てる方向に力が伝わるため、その力に抗して付勢部655cからは復元力Fa3が、また付勢部656cからは復元力Fa1がそれぞれ発生する。これによって、用紙ガイド620が矢印A方向に対して傾くのを抑制することができる。このような傾き防止の仕組みは、用紙ガイド620と対向して配置される用紙ガイド621においても同様である。
【0099】
以上のように、本実施の形態の媒体載置装置によれば、搬送される記録用紙にスキューが発生しても、これにより用紙ガイド620,621が用紙搬送方向(矢印A方向)に対して傾くのが抑制されるため、記録用紙のスキューを軽減することができる。更に前記した実施の形態1の図10での説明によれば、延在部656及び延在部655は、規制面351の矢印A方向における中心を基準にして、一方が矢印A方向側に、他方がその反対側にそれぞれ設けられている。これによりスキューの方向に関係なく、より効率的に上記した本実施の形態の効果を得ることができる。
【0100】
尚、本実施の形態では、用紙ガイドに2つの延在部を設けた例を示したが、2つ以上としても同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
尚、前記した実施の形態では、本願発明を電子写真プリンタに採用した例を示したが、これに限定されるものではなく、他にもMFP(Multi Function Printer)やファクシミリ、複写機等にも利用できる。また、前記した実施の形態では、本願発明を手差しトレイに採用した例について説明したが、他にもカセットトレイやADF(Auto Document Feeder)などにも適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成装置、 10 画像形成部、 11 トナー像形成部、 12 感光ドラム、 13 転写部、 14 転写ベルト、 15 転写ローラ、 20 定着部、 30 用紙繰出し部、 31 ピックアップローラ、 32 フィードローラ、 33 分離片、 40 用紙搬送部、 41 搬送ローラ対、 42 搬送ローラ対、 51 用紙トレイ、 52 記録用紙、 53 搬送ローラ対、 54 排出ローラ対、 56 堆積部、 300 手差しトレイ、 301 フレーム、 301a 軸溝、 301b 軸溝、 302 媒体載置装置、 303 ピックアップローラ、 304 フィードローラ、 305 リタードローラ、 306 アイドルギア、 308 スプリング、 309 スプリング、 310 媒体載置板、 311 当接部、 320 用紙ガイド、 321 用紙ガイド、 325 ピニオンギア、 326 ピニオンギア、 331 ガイド溝、 331a 嵌入部、 332 ガイド溝、 332a 嵌入部、 333 ガイド溝、 333a 嵌入部、 334 ガイド溝、 334a 嵌入部、 335 ポスト、 336 ポスト、 340 中央平板部、 341a ガイド壁、 341b ガイド壁、 342a ガイド壁、 342b ガイド壁、 343a ガイド壁、 343b ガイド壁、 344a ガイド壁、 344b ガイド壁、 345 ネジ、 346 ネジ、 350 ガイドブロック、 351 規制面、 352 板状部、 352a 載置面、 353 ラック保持部、 354 ラック保持部、 355 ラック、 355a 突き当て部、 355b 規制部、 355c 付勢部、 355d 歯部、 355e 付勢部、 355f 規制部、 355g 突き当て部、 355p ピッチ線、 356 ラック、 356a 突き当て部、 356b 規制部、 356c 付勢部、 356d 歯部、 356e 付勢部、 356f 規制部、 356g 突き当て部、 370 記録用紙、 381 ピニオンギア、 381a 歯部、 381b フランジ部、 381c 回転中心、 381p ピッチ円、 382 ピニオンギア、 382a 歯部、 382b フランジ部、 382c 回転中心、 382p ピッチ円、 400 アイドルギア、 400p ピッチ円、 401 ネジ、 402 媒体載置装置、 405 ウェーブワッシャ、 420 用紙ガイド、 421 用紙ガイド、 455 ラック、 455h 切欠き部、 456 ラック、 481 ピニオンギア、 481b ランジ部、 481d 上層ギア、 482 ピニオンギア、 482b ランジ部、 482d 上層ギア、 502 媒体載置装置、 520 用紙ガイド、 521 用紙ガイド、 550 ガイドブロック、 555 延在部、 555a 側部、 555b 側部、 555h 先端部、 556 延在部、 556a 側部、 556b 側部、 556h 先端部、 581 フランジ、 582 フランジ、 602 媒体載置装置、 620 用紙ガイド、 621 用紙ガイド、 650 ガイドブロック、 655 延在部、 655c 付勢部、 655e 付勢部、 656 延在部、 656a 側部、 656c 付勢部、 656e 付勢部、 656h 先端部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を載置する媒体載置部と、
前記媒体載置部に対して移動自在に設けられた第1の移動部と
を有し、
前記第1の移動部は、
前記媒体の位置を規制する第1の媒体規制部と、
前記媒体載置部と係合して前記移動の方向を規制する第1の移動規制部と
を有し、
前記第1の移動規制部が、複数設けられることを特徴とする媒体載置装置。
【請求項2】
前記第1の媒体規制部は、媒体搬送方向に対して略平行に設けられ、前記第1の移動規制部は、前記媒体搬送方向に対して略垂直に延在することを特徴とする請求項1記載の媒体載置装置。
【請求項3】
前記第1の移動規制部は、突き当て部を備え、
前記媒体載置部は、前記突き当て部と当接する当接部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の媒体載置装置。
【請求項4】
前記第1の移動規制部は、前記突き当て部を前記当接部に付勢するための付勢部を有することを特徴とする請求項3記載の媒体載置装置。
【請求項5】
前記媒体載置部に回転自在に保持されたギア部を有し、
前記第1の移動規制部は、前記ギア部と噛合する歯部を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の媒体載置装置。
【請求項6】
前記第1の移動規制部は、前記第1の媒体規制部の媒体搬送方向における中央を基準としたとき、前記基準に対して媒体搬送方向側と媒体搬送方向と反対側に設けられたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の媒体載置装置。
【請求項7】
前記第1の移動部と対向して配置され、前記媒体載置部に対して移動自在に設けられた第2の移動部を有し、
前記第2の移動部は、
前記媒体の位置を規制する第2の媒体規制部と、
前記媒体載置部と係合して前記移動の方向を規制する第2の移動規制部と
を有し、
前記第2の移動規制部が、複数設けられることを特徴とする請求項1記載の媒体載置装置。
【請求項8】
前記第1の媒体規制部及び前記第2の媒体規制部は、媒体搬送方向に対して略平行に設けられ、前記第1の移動規制部及び前記第2の移動規制部は、前記媒体搬送方向に対して略垂直に且つ互いに接近する方向に延在することを特徴とする請求項7記載の媒体載置装置。
【請求項9】
前記第1の移動規制部及び前記第2の移動規制部は、それぞれ突き当て部を備え、
前記媒体載置部は、前記突き当て部と当接する当接部を有することを特徴とする請求項8記載の媒体載置装置。
【請求項10】
前記第1の移動規制部及び前記第2の移動規制部は、それぞれ前記突き当て部を前記当接部に付勢するための付勢部を有することを特徴とする請求項9記載の媒体載置装置。
【請求項11】
前記媒体載置部に、回転自在に且つ媒体搬送方向対して略平行に保持された第1と第2のギア部を有し、
前記第1の移動規制部は、前記第1のギア部と噛合する歯部と、第2のギア部と噛合する歯部を有し、
前記第2の移動規制部は、前記第1のギア部と噛合する歯部と、第2のギア部と噛合する歯部を有することを特徴とする請求項8乃至10の何れかに記載の媒体載置装置。
【請求項12】
前記第1の移動部と前記第2の移動部は略同形状であることを特徴とする請求項7乃至11の何れかに記載の媒体載置装置。
【請求項13】
前記第1のギア部と前記第2のギア部とにそれぞれ噛合して連結する伝達部を有することを特徴とする請求項8又は9に記載の媒体載置装置。
【請求項14】
媒体を載置する媒体載置部と、
前記媒体載置部に対して移動自在に設けられた第1の移動部と
を有し、
前記第1の移動部は、
前記媒体の位置を規制する第1の媒体規制部と、
前記媒体載置部と係合して前記移動の方向を規制する第1の移動規制部と
を有し、
前記第1の移動規制部が、複数設けられることを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−43737(P2013−43737A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181664(P2011−181664)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】