説明

媒体運用量予測装置と媒体運用管理装置と媒体運用量推論方法

【課題】この発明は、運用金のような取引媒体の運用量を最も妥当な量にして、取引媒体の運用効率を向上させ、係員の取引媒体の補充・回収の作業負担を軽減させることのできる媒体運用量予測装置または媒体運用管理装置の提供を目的とする。
【解決手段】この発明は、媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用量予測装置または媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の処理量に基づいて最も妥当な運用量を推論する推論手段を設けることで、運用に準備する取引媒体の量を最少量に設定することができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば、金融業務において使用される自動預金支払い機のように、取引に使用される、紙幣、硬貨、通帳、伝票、ジャーナル用紙などの取引媒体を処理する媒体処理装置(または自動取引処理機)において、媒体の所有量(保有量)が、例えば残少または満杯になるときの予測、または、これらの状況になったときに取引媒体の必要量の補充または回収を行なって、取引媒体の運用量の予測および管理をするような媒体運用量予測装置と媒体運用管理装置と媒体運用量推論方法に関する。
【0002】
【従来の技術】前述例の自動預金支払い機においては、現金(ことに紙幣の万円札)の効率的な運用が求められている。しかし、多数台の自動預金支払い機、係員用入出金機等を設置している店舗では、各機間での取引量(運用量)にばらつきがあり、現金切れを発生させないためには、多めの現金を運用金として準備するので、多量の余剰金が生じ現金の運用効率が悪い問題点を有する。この余剰金を少なくするためには、各自動預金支払い機の現金保有量を少なくして、保有量が少量で変化したとき、直ぐに現金の補充またはおよび回収を実行し、この現金の補充またはおよび回収処理をこまめに実行することで、多少余剰金を削減することができるが、しかし、補充またはおよび回収処理の作業負荷が非常に大きくなり、さらに、必要最少限の現金量が明確でないので、多めに運用金を準備することになり、各自動預金支払い機内の余剰金を削減できても、店舗内には余剰金が存在することになり、そのため、現状以上の現金の効率的な運用が困難な問題点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上述の問題点を解決し、運用金のような取引媒体の運用量を最も妥当な量にして、取引媒体の運用効率を向上させ、係員の取引媒体の補充またはおよび回収の作業負担を軽減させることのできる媒体運用量予測装置または媒体運用管理装置の提供を目的とする。
【0004】この発明の他の目的は、既に設置された自動預金支払い機のような既存の媒体処理装置に対して、取引媒体の運用効率の向上を図ることができる媒体運用量予測装置の提供を目的とする。
【0005】この発明の他の目的は、媒体切れが発生する危険率により運用量を推論することで、利用者(ユーザ)の所望の媒体切れ発生率を保証することのできる媒体運用量推論方法の提供である。
【0006】この発明の他の目的は、運用量を媒体の放出量と運用マージン量(運用の余裕・安心予備量)とに別けて推論することで、推論精度を向上させる媒体運用量推論方法の提供である。
【0007】この発明の他の目的は、推論した運用量をランク別に出力することで、実績データのばらつきが大きい場合、または、サンプルの実績データが少ない場合でも、充分な推論ができる媒体運用量推論方法の提供である。
【0008】この発明の他の目的は、運用量の推論に対して、パラメータをラベルとして持ち、任意にラベルを設定することで、カレンダの設定が簡単となり、ラベルを基本とした推論知識データになるため推論知識が分かり易く、周辺環境や社会制度の若干の変化に対してはラベルの設定を変更することにより対応でき、以前の学習結果を無駄にすることなく、有効に利用できる媒体運用量推論方法の提供である。
【0009】この発明の他の目的は、推論した運用量に上・下限値を設定することで、実際の運用において運用量に制限があるとき、制限量を意識することなく推論結果を利用できる媒体運用量推論方法の提供である。
【0010】この発明の他の目的は、運用量推論の有効パラメータの表示および設定入力を行なうことで、そのルールの適合度、信頼度をユーザが把握して予測(推論)ルールの適用効果を判断し、また、その判断に基づいてルールを補正することで、推論精度の改善が図れる媒体運用管理装置の提供である。
【0011】この発明の他の目的は、複数の媒体処理装置の間の運用量を推論し、これを表示することで、各装置の運用量推論後、各装置間の運用量を時系列に判断し、各装置間の媒体の移動(変動)を含めた運用量が推論でき、システム全体(例えば、店舗全体)での運用効率の向上を図ることができる媒体運用管理装置の提供を目的とする。
【0012】この発明のさらに他の目的は、媒体を現金とすることで、現金の運用効率の向上を図ることのできる媒体運用管理装置またはその媒体運用量推論方法の提供を目的とする。
【0013】この発明の他の目的は、1つの店舗で運用金のような取引媒体の運用量を最も妥当な量にして、1店舗での取引媒体の運用効率を向上させ、係員の取引媒体の補充またはおよび回収の作業負担を軽減させることのできる媒体運用量推論方法の提供を目的とする。
【0014】この発明の他の目的は、運用量の推論に店舗タイプを設定入力することで、ユーザ側のシステムの初期設定の工数が大幅に削減できる媒体運用量推論方法の提供である。
【0015】この発明の他の目的は、店舗タイプを実績データに基づいて設定するこてとで、推論精度を高めることのできる媒体運用量推論方法の提供である。
【0016】この発明の他の目的は、1店舗の推論した運用量の精度を判定し、これを補正できるようにすることで、推論精度の向上を図ることのできる媒体運用量推論方法の提供である。
【0017】この発明の他の目的は、補正値またはルールの設定で1店舗の運用量の補正を可能にすることで、ユーザの補正が簡単な媒体運用量推論方法の提供である。
【0018】この発明の他の目的は、1店舗の運用量の推論にパラメータを持たせて自動設定することで、ユーザの補正を容易に行なわせることができる媒体運用量推論方法の提供である。
【0019】この発明の他の目的は、店舗に適応した運用量を推論して効率的な媒体の運用が得られる媒体運用管理装置の提供を目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1記載の発明は、予め定められた分類に応じた取引媒体運用量予測ルールを記憶する手段と、前記分類を特定する手段と、前記特定された分類に応じた取引媒体運用量予測ルールにしたがって取引媒体運用量を予測する手段とを備え、前記取引媒体運用量予測ルールにしたがって所定期間における取引媒体運用量を予測する媒体運用量予測装置であることを特徴とする。
【0021】この発明の請求項2記載の発明は、前記請求項1記載の発明の構成に併せて、取引媒体運用量の実績値を入力する手段と、前記入力された取引媒体運用量実績を記憶する手段とを備え、前記取引媒体運用量予測ルールと前記取引媒体運用量実績に基づいて所定期間の取引媒体運用量を予測する媒体運用量予測装置であることを特徴とする。
【0022】この発明の請求項3記載の発明は、前記請求項1記載の発明の構成に併せて、取引媒体運用量の予測結果と取引媒体運用量の実績とを比較する手段を備え、前記比較結果に基づいて前記取引媒体運用量予測ルールを学習する媒体運用量予測装置であることを特徴とする。
【0023】この発明の請求項4記載の発明は、前記請求項1記載の発明の構成に併せて、複数の取引処理装置毎に取引媒体運用量を表示する手段を備え、前記予測された取引媒体運用量に基づいて前記取引媒体処理装置毎に取引媒体運用量を表示する媒体運用量予測装置であることを特徴とする。
【0024】この発明の請求項5記載の発明は、取引処理装置に対して取引媒体の補充またはおよび回収を行う媒体運用管理装置であって、予め定められた分類に応じた取引媒体運用量予測ルールを記憶する手段と、前記分類を特定する手段と、前記特定された分類に応じた取引媒体運用量予測ルールにしたがって取引媒体運用量を予測する手段と、前記取引媒体運用量予測ルールにしたがって予測された所定期間の運用量に相当する取引媒体を収納する手段と、取引処理装置の取引媒体保有量を監視する手段とを備え、前記取引処理装置の取引媒体保有量が所定量になることに基づいて前記収納手段より前記取引処理装置に対して取引媒体の補充またはおまよび回収を行うこと媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0025】この発明の請求項6記載の発明は、媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の処理量に基づいて最も妥当な運用量を推論する推論手段を設けた媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0026】この発明の請求項7記載の発明は、上記請求項6記載の発明の構成に併せて、前記媒体処理装置の複数台を使用し、前記推論手段は、上記複数台の媒体処理装置が取引処理する媒体の全体の処理量に基づいて最も妥当な全体の運用量を推論する媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0027】この発明の請求項8記載の発明は、媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の運用量を、過去の実績データと、媒体切れを発生する危険率とに基づいて最も妥当な運用量を推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0028】この発明の請求項9記載の発明は、媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の運用量を、過去の実績データに基づいて、放出量と運用マージン量に分けて最も妥当な運用量に推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0029】この発明の請求項10記載の発明は、上記請求項9記載の発明の構成に併せて、前記運用マージン量を前記放出量の推論値に応じて補正する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0030】この発明の請求項11記載の発明は、媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の運用量を、過去の実績データに基づいて、ランクを付して最も妥当な運用量を推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0031】この発明の請求項12記載の発明は、前記請求項8,9,10または11記載の発明の構成に併せて、前記媒体の運用量の推論に、パラメータをラベルとして持ち、任意にラベルを設定して推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0032】この発明の請求項13記載の発明は、前記請求項8,9,10,11または12記載の発明の構成に併せて、前記媒体の運用量の推論値に、上限値および下限値を設定した媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0033】この発明の請求項14記載の発明は、前記請求項8,9,10,11,12または13の媒体運用量推論方法を採用した媒体運用管理装置であって、前記媒体の運用量の推論における有効パラメータを表示する表示手段を設けた媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0034】この発明の請求項15記載の発明は、前記請求項14記載の発明の構成に併せて、上記有効パラメータの設定入力を許容する入力手段を設けた媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0035】この発明の請求項16記載の発明は、前記請求項8,9,10,11,12および13の媒体運用量推論方法を採用した媒体運用管理装置であって、複数の媒体処理装置の間の運用量を推論する媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0036】この発明の請求項17記載の発明は、前記請求項16記載の発明の構成に併せて、前記複数の媒体処理装置間の推論した運用量を表示する表示手段を設けた媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0037】この発明の請求項18記載の発明は、店舗に媒体を取引処理する媒体処理装置を設置し、該媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理処理装置であって、媒体の運用量に対する店舗タイプの設定を許容し、設定入力された店舗タイプに対応する店舗タイプ別のルール設定に基づいて、最も妥当な媒体の運用量を推論する媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0038】この発明の請求項19記載の発明は、前記請求項18記載の発明の構成に併せて、前記店舗タイプの設定は、媒体運用量の実績データに基づいて複数が予め設定されたタイプを自動設定する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0039】この発明の請求項20記載の発明は、前記請求項18または19記載の発明の構成に併せて、推論した運用量の精度を判定する精度判定手段と、推論した運用量を補正する補正手段とを備え、推論した運用量の精度が外れていると精度判定手段が判定したとき、補正手段で精度が上がる方向に推論した運用量を補正する媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0040】この発明の請求項21記載の発明は、前記請求項3記載の発明の構成に併せて、上記補正手段は補正値またはおよびルールの設定を許容する媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0041】この発明の請求項22記載の発明は、前記請求項18,19,20または21記載の発明の構成に併せて、前記媒体の運用量の推論にパラメータを持ち、該パラメータを自動設定する媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0042】この発明の請求項23記載の発明は、請求項18,19,20,21または22記載の媒体運用量推論方法を採用して最も妥当な媒体の運用量を推論した媒体運用管理装置であることを特徴とする。
【0043】この発明の請求項24記載の発明は、前記請求項1〜23の内の1つの請求項に記載の発明の構成に併せて、前記取引媒体は貨幣で構成した媒体運用管理装置またはその媒体運用量推論方法であることを特徴とする。
【0044】
【発明の作用・効果】この発明の請求項1〜5記載の発明によれば、店舗に既に設置された自動預金支払い機などの媒体処理装置であって、紙幣、硬貨、通帳、伝票、ジャーナル用紙などの取引処理する取引媒体の運用量を予測することで、既存の媒体処理装置に対して有効な取引媒体の運用が図れ、しかも、既存の媒体処理装置がそのまま使用されるとで、経費が節減できる。
【0045】さらに、上述の運用量の予測を既存の媒体処理装置の運用量の実績と予測ルールとに基づくことで、運用量の予測に精度を向上させることができ、加えて、学習することで、さらに精度の向上が得られる。また、運用量の予測値が表示されることで、係員の作業性が向上する。
【0046】この発明の請求項6および7記載の発明によれば、取引媒体を取引処理する1台または複数台の媒体処理装置の取引媒体の運用量を、例えば、ファジイ推論や学習による推論のような推論で最も妥当な運用量に推論して予測するので、運用に準備する取引媒体の量を最少量に設定することができ、余剰の取引媒体量をなくして取引媒体の有効な運用ができ、また、複数台の媒体処理装置を使用する場合は、装置間の取引媒体の量のばらつきを解消して、有効な取引媒体の運用が図れる。その結果、係員の取引媒体の補充またはおよび回収の作業負担が軽減され、取引媒体の運用効率を最大限に向上させることができる。
【0047】この発明の請求項8記載の発明は、媒体切れが発生する危険率により運用量を推論することで、利用者(ユーザ)の所望の媒体切れ発生率を保証することのできる。
【0048】この発明の請求項9および10記載の発明は、運用量を媒体の放出量と運用マージン量(運用の余裕・安心予備量)とに別けて推論することで、推論精度を向上させ、運用効率を向上させることができる。
【0049】この発明の請求項11記載の発明は、推論した運用量をランク別に出力することで、実績データのばらつきが大きい場合、または、サンプルの実績データが少ない場合でも、充分な推論ができる。
【0050】この発明の請求項12記載の発明は、運用量の推論に対して、パラメータをラベルとして持ち、任意にラベルを設定することで、カレンダの設定が簡単となり、ラベルを基本とした推論知識データになるため推論知識が分かり易く、周辺環境や社会制度の若干の変化に対してはラベルの設定を変更することにより対応でき、以前の学習結果を無駄にすることなく、有効に利用できる。
【0051】この発明の請求項13記載の発明は、推論した運用量に上またはおよび下限値を設定することで、実際の運用において運用量に制限があるとき、制限量を意識することなく推論結果を利用できる。
【0052】この発明の請求項14,15記載の発明は、運用量推論の有効パラメータの表示および設定入力を行なうことで、そのルールの適合度、信頼度をユーザが把握して予測(推論)ルールの適用効果を判断し、また、その判断に基づいてルールを補正することで、推論精度の改善が図れる。
【0053】この発明の請求項16,17記載の発明は、複数の媒体処理装置の間の運用量を推論し、これを表示することで、各装置の運用量推論後、各装置間の運用量を時系列に判断し、各装置間の媒体の移動(変動)を含めた運用量が推論でき、システム全体(例えば、店舗全体)での運用効率の向上を図ることができる。例えば、キャッシュコーナにおける自動取引機のみの運用量予測(推論)では店舗全体としての運用量が不明であり、他のキャッシュコーナの窓口の入出金機では入金が多く、窓口業務終了後、これを使用するといった全体的なシステム運用ができないが、この発明の装置によれば、これが可能となる。
【0054】この発明の請求項18記載の発明によれば、例えば、金融業務において使用される自動預金支払い機のように、取引に使用される取引媒体を処理する媒体処理装置(または自動取引処理機)の1台または複数台を配置した店舗において、店舗に対応した最も妥当な媒体の運用量が推論されるので、1店舗での取引媒体の運用効率を向上させ、係員の取引媒体の補充・回収の作業負担を軽減させることができる。
【0055】さらに、運用量の推論には店舗タイプを設定することで得られるので、ユーザ側のシステムの初期設定の工数が大幅に削減できる。
【0056】この発明の請求項19記載の発明によれば、店舗タイプを実績データに基づいて設定することで、推論精度を高めることができると共に、推論システムの汎用化が図れる。
【0057】この発明の請求項20記載の発明によれば、1店舗の運用量の推論が外れたか否か、推論の精度の評価ができ、また、外れたときはこれを補正することで、1店舗に対する推論精度の向上が図れる。
【0058】この発明の請求項21記載の発明によれば、推論した1店舗の運用量の補正を補正値またはルールの設定により行なうことで、ユーザ側の補正が簡単に実行できる。
【0059】この発明の請求項22記載の発明によれば、1店舗の運用量の推論にパラメータを持たせて自動設定することで、ユーザの1店舗の補正が容易となり、推論精度を向上させる補正ができる。
【0060】この発明の請求項23記載の発明は、上述したような特徴を有する方法で1店舗の運用量を推論した媒体を管理することで、媒体の有効な1店舗の運用効率を持つ媒体運用管理装置が得られる。
【0061】この発明の請求項24記載の発明によれば、媒体を現金とすることで、現金の運用効率の向上を図ることのできる媒体運用量予測装置、媒体運用管理装置またはその媒体運用量推論方法を得ることができる。
【0062】
【実施例】この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。図面は金融店舗内に構成される媒体処理装置としての自動取引機における取引媒体としての現金を運用管理する現金運用管理装置を示す。この自動取引機の現金運用管理装置は、図1に示すように、顧客の入力操作に基づいて現金を入出金取引許容する、例えば、自動預金支払い機のような顧客専用自動取引機11…と、係員の入力操作に基づいて現金を入出金取引許容する、例えば、テラー用入出金機のような係員専用自動取引機12…と、これらの自動取引機11,12…に外部より接続して現金を補充または回収動作する現金運用ロボット13と、この現金運用ロボット13に現金を補充または回収動作する自動出納装置14と、これら全ての装置を無線で制御管理する遠隔制御装置15とから構成される。
【0063】上述の各自動取引機11,12…は、入金、出金、振込等の各種の自動取引を許容して店舗内前面の一側と他側に複数台を連設して並列設置しており、来店した顧客は顧客専用自動取引機11を選択して取引利用するか、あるいはカウンター16越しの係員専用自動取引機12を選択して係員を通して取引利用する。
【0064】また、並列設置された自動取引機11,12…の後方には、ロボット走行路17をそれぞれ接続しており、ロボット走行路17上を走行する現金運用ロボット13が各自動取引機11,12…に対応して現金を補充または回収動作する。
【0065】この現金運用ロボット13は、各自動取引機11,12…と、店舗内の後方に設置された自動出納装置14との間を結ぶロボット走行路17上を走行移動し、自動出納装置14と接続して補充または回収動作されることで、該現金運用ロボット13内に収納される補充または回収金額が調整される。
【0066】そして、遠隔制御装置15で各自動取引機11,12…の運用残金を監視し、この監視した運用残金に基づいて現金運用ロボット13および自動出納装置14を駆動出力して、各自動取引機11,12…に対して最適な現金運用量を補充または回収動作させる。
【0067】この場合、遠隔制御装置15からの通信に際しては、各々の装置11〜15に装備したアンテナ18…を介して、図2に示すように、現金を出入れ処理する各装置11〜14を無線通信管理し、このときの通信内容は各装置11〜14からの運用残金や運用状態のデータを受信し、逆に各装置11〜14に対しては運用取引モードの変更指示や補充または回収指示等を送信して制御管理する。
【0068】また、遠隔制御装置15は、表示器19、プリンタ20、ブザー21、表示ランプ22および入力キー23を備え、受信内容に応じてブザー21を警報したり、表示ランプ22を点灯表示し、さらに個々の自動取引機11,12の運用残金および店舗内の運用総額等の運用データを表示器19に表示したり、プリンタ20にプリントアウトすることができる。
【0069】図3は遠隔制御装置15の制御回路ブロック図を示し、CPU31はROM32に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御データをRAM33で読出し可能に記憶する。さらに、上述のCPU31はファジイ推論機能を装備している。
【0070】装置通信部34は、顧客専用自動取引機11…と、係員専用自動取引機12…と、自動出納装置14と無線通信接続して遠隔制御管理し、同じくロボット通信部35は現金運用ロボット13と無線通信接続して遠隔制御管理している。これにより、各装置間を配線不要にして店舗内の自動補充または回収構造を簡素化構成でき、また店舗内を走行する現金運用ロボット13の走行を広範囲に円滑に走行許容させることができる。なお、外部記憶装置としてハードディスク装置36と、フロッピディスク装置37とを備え、必要な取引実績データを記憶する。
【0071】図4は現金運用ロボット13の制御回路ブロック図を示し、CPU41はROM42に格納されたプログラムに沿って各回路装置を制御し、その制御データをRAM43で読出し可能に記憶する。
【0072】遠隔制御装置通信部44は、遠隔制御装置15と無線通信接続して、遠隔制御装置15からの指令信号に基づいてCPU41は補充または回収動作を実行し、また装置通信部45は各自動取引機11,12…および自動出納装置14と無線通信接続して、遠隔制御装置15からの指令信号に基づいてCPU41は該ロボット13より補充あるいは回収動作させる。
【0073】走行駆動部46は、ロボット走行路17上に走行許容して配置された現金運用ロボット13を所定の方向に走行移動させる。現金処理部47は、現金運用ロボット13内に収納されている現金を繰出して外部の接続対応する装置に補充し、また外部の装置から現金を取込んで回収処理する。また、電源部48は遠隔制御装置15からの指令信号に基づいてON・OFFし、ON動作時に自動的に現金運用ロボット13を出力動作させる。
【0074】上述の遠隔制御装置15のCPU31は装備するファジイ推論機能により、該遠隔制御装置15が管理する各自動取引機11,12…の当日の現金運用量(準備金)の最も妥当な量および各機間の運用量を、前日または過去の取引実績データに基づいてファジイ推論する。上述のCPU31および係員による前日の現金運用量の管理処理を図5のフローチャートを参照して説明する。
【0075】前日において、店舗内における全自動取引機11,12…の取引データをRAM33、または、設定されているハードディスク装置36、フロッピディスク装置37から読出し、この取引データは1日の全体の取引実績データであって、このデータから翌日の現金の必要量を推論する(ステップn1)。
【0076】すなわち、各自動取引機11,12…においては出金と入金の各取引を行なっているので、現金を実際に放出した現金放出量は、[出金量−入金量]であって、この現金放出量が前述の現金必要量であり、1日の単位で全体の現金放出量(現金必要量)をファジイ推論し、その推論結果を表示器19に出力して表示する。
【0077】係員は表示器19に表示された推論結果(現金必要量)を確認し(ステップn2)、この推論結果(現金必要量)の現金を、翌日の輸送分として、現金輸送元に依頼する(ステップn3)。
【0078】次いで、遠隔制御装置15のCPU31および係員による当日の現金運用量(準備金)の管理処理を図6のフローチャートを参照して説明する。当日に準備すべき現金必要量を算出する(ステップn11)。すなわち、現金の運用量(準備金)は、前述した前日の推論結果(現金必要量)と、現金切れの発生を解消するために予備の現金として保有する運用マージン量とで構成し、これが初期の目標値となる。
【0079】目標値=現金運用量(準備金)=推論結果(現金必要量)+運用マージン量しかし、前日の取引において現金に残量がある場合、前述の推論結果、すなわち、現金必要量を補正する必要があり、この補正した現金必要量と前日の現金残量との加算値が、当日準備された現金運用量(準備金)の実際値となる。
【0080】実際値=現金運用量(準備金)=補正現金必要量+前日現金残量これらは図7に示す通りであって、上述の補正処理(実際値算出)を実行して、この実際値と補正現金必要量とを表示器19に出力して表示する。
【0081】係員は表示器19に表示された実際値および補正現金必要量を確認し(ステップn12)、この実際値の内、補正現金必要量の現金を既に輸送されている現金から計数して取出し、この補正現金必要量の現金を現金運用ロボット13と自動出納装置14に振分けて装填し(ステップn13)、現金運用ロボット13を駆動制御して、各自動取引機11,12…初期装填する(ステップn14)。
【0082】上述の補正現金必要量の現金を装填する初期装填には、第1の方法として、装填量の全てを各自動取引機11,12…に分配する方法。第2の方法として、装填量の一部(例えば、70%)を各自動取引機11,12…に分配し、残(例えば、30%)を現金運用ロボット13と自動出納装置14に振分けて残す方法。
【0083】上述の第1の方法の装填量の全部の現金を自動取引機11,12…に分配する方法によれば、取引稼動時の現金補充時には、この補充分の現金を余剰のある自動取引機11,12…から回収して補充する必要があるので、補充の処理時間が多少かかるが、しかし、現金運用ロボット13や自動出納装置14が故障した場合、これらの装置13,14に現金を残している時は、この現金が死に金(運用されない現金)になるので、これを避けることができる。
【0084】また、前述の第2の方法の一部の装填量の現金を自動取引機11,12…に分配し、残を現金運用ロボット13と自動出納装置14に振分けて残す方法によれば、取引稼動時の現金補充時に、現金運用ロボット13や自動出納装置14が故障した場合、これらの装置13,14に収納された現金が死に金(運用されない現金)になるが、しかし、現金補充時には、現金運用ロボット13と自動出納装置14に収納された現金を直接的に補充に使用できるので、補充の処理時間が速くなるなどの利点をそれぞれ有する。
【0085】さらに、現金運用ロボット13が各自動取引機11,12…に現金を初期装填する場合の分配量には、第1の方法として、均等量、第2の方法として、残量を考慮して分配した結果均等になる量、第3の方法として、取引量の多少に対応させた量、がある。これらの方法よれば、第1、第2、第3の順に至るにしたがって、現金量の算出が複雑になるも、しかし、それに反して補充またはおよび回収の作業が少なくなる利点を有する。
【0086】以上の現金装填方法を選択して各自動取引機11,12…に現金が初期装填されると、各自動取引機11,12…は稼動が可能状態となり、取引処理を許容する状態となって、現金運用ロボット13と自動出納装置14は待機状態となる(ステップn15)。
【0087】各自動取引機11,12…が稼動し、その取引処理に伴って、何れかの自動取引機11,12…に現金のニアエンド(残少)が発生して補充を要求すると(ステップn16)、現金運用ロボット13がその現金の補充を要求した自動取引機11,12…に移動して、現金の補充処理を実行する(ステップn17)。また、現金運用ロボット13の現金が不足すると、自動出納装置14から補充される。
【0088】上述の実施例によれば、自動取引機11,12…全体が必要とする現金の運用量(準備金)を前日の稼動取引(所定稼動期間の1つ)の取引実績に基づいて、最も妥当な運用量(準備金)をファジイ推論で推論しているので、運用に準備する現金の必要量が最少量に設定でき、余剰の現金をなくして、現金の有効な運用ができ、また、自動取引機11,12…間のばらつきも解消して、現金の運用効率を最大限に向上させ、かつ、係員の現金の補充またはおよび回収の作業負担を軽減させることができる。
【0089】[他の実施例]前述の現金の運用量(準備金)の推論は、前日という過去の稼動期間の取引実績データに基づいて行なっているが、この取引実績データは以下に示す場合、その推論のルールが変更され、また、学習により補正される。すなわち、多くの人が集合する催し(例えば、競馬、競輪、或いはバーゲンセールなどの開催日)などの特別日、平日であっても、給料日、終末曜日、五・十日、月始、月末、年始、年末などの通常とは取引内容が異なる変動日、これらの日は、その取引内容に対応させて推論のルール、および該ルールの軽重の重みも変更する。さらに、上述の特別日、変動日はそれぞれの実績データを学習することで、推論のルールおよび該ルールの重みも補正変更される。
【0090】さらに、上述の推論のルールおよび該ルールの重みは、店舗によって特性が生まれ、自ずとランク付けさせるので、この店舗特性、また、同一の店舗であっても、自動取引機の機種による特性、配設位置による特性があるので、これらの機種や配置の特性により、前述の推論のルールやその重みを変更し、また、その実績データを学習することで、推論のルールやその重みも補正変更される。
【0091】さらに、現金の運用量(準備金)は、現金必要量と運用マージンによって構成しているが、これらは別々に推論することができる。上述の現金必要量は、前述した特定日や変動日、或いは店舗特性、自動取引機の機種や配置の特性により大きく変動されるため、これに適合した推論のルールを用いるが、他方の運用マージンにおいてもその量が変動する。
【0092】すなわち、運用マージンは予備の現金量であって、この予備は例えば、現金切れを解消するために余分に見積る量であって、現金切れが生じる危険率を算定して、この危険率で考慮し、さらに、危険率の精度にも影響されて運用マージンが決定される。
【0093】そして、この危険率も実績データで学習され、同様に精度も学習されて、その推論のルールが補正変更される。
【0094】[推論の説明]前述の他の実施例における現金運用金(準備金)推論の詳細を以下説明する。図8は、推論説明図であって、1つのキャッシュコーナに対する推論を示し、このコーナでは複数台の自動取引機11,12…を配設し、遠隔制御装置15に制御されて現金運用ロボット13は各自動取引機11,12…に対して現金の補充または回収の処理を実行する。
【0095】上述のキャッシュコーナにおいて、現金運用量(準備金)を推論(予測)する目的は、係員の意志決定を支援して、資金運用の効率化を図るためであって、その推論(予測)は、キャッシュコーナ単位で予測し、また、自動取引機11,12…を対象として、1日単位で必要な現金の準備量(運用量)を予測(推論)し、また、自動取引機11,12…の各号機の初期装填量を1日単位で予測(推論)する。
【0096】図9は、運用管理システムの運用を示す説明図であって、現金運用量(準備金)が推論(予測)されて、その予測値が出力され、この予測値により係員が現金をセットアップして自動取引機11,12…を運用し、その運用後、その運用実績データによりシステムを調整する。この調整では予測精度の監視とこの監視に基づくルールの変更であって、このシステム調整を次のシステム運用に用いることで学習され、この学習で予測精度(推論精度)の向上が図れる。
【0097】図10は、1キャッシュコーナにおける現金運用量の推論説明図を示し、現金運用量(準備金)は、現金の放出予測値と運用マージンとで構成する。すなわち、現金運用量(準備金)=現金放出予測値+運用マージン例えば、現金を紙幣として考えたとき、現金運用量(準備金)=紙幣放出枚数予測値+運用マージンである。
【0098】ここで、紙幣放出枚数予測値(または、現金放出予測値)は、紙幣放出枚数を予測するものであって、この紙幣放出枚数は、紙幣放出枚数=出金枚数−入金枚数である。
【0099】前述の運用マージンは、出金が続いた場合に紙幣(現金)が不足し、紙幣切れになることを解消するための予備紙幣枚数(余裕・安心量)である。
【0100】図11は、現金運用量(準備金)の推論内容を示す説明図であって、自動取引機11,12…を稼動させることでその実績データが実績データ収集部51に収集されて実績ファイル52に記録され、さらに、学習部53では予測精度の監視とルールの変更を調整して、過去の実績データにより店舗に合わせたルール(ファジイルール)を学習し、この学習で得たルールをルールファイル54に記録する。
【0101】放出枚数予測部55は紙幣の放出枚数をルールファイル54のルールによりキャッシュコーナ全体の放出枚数(紙幣放出枚数予測値、または、現金放出予測値)を推論し、この放出枚数予測値を運用マージン補正部56で補正する。すなわち、図7で示したように、前述の現金残量が存在するので、上述の放出枚数予測値(図7での推論結果に対応)はこの現金残量で補正して、図7で示した補正現金必要量を算出することになる。
【0102】上述のようにして算出された現金の必要量(必要額)は係員に出力することで、係員は現金を手配し、これを自動出納装置14、現金運用ロボット13に装填し、各自動取引機11,12…に初期装填を実行する。
【0103】一方、初期装填枚数予測部57では、実績ファイル52に記録された過去の実績データにより各号機別の初期装填枚数を現金運用ロボット13に出力し、該ロボット13はその各号機別の初期装填枚数で、それぞれの自動取引機11,12…に紙幣を装填する。
【0104】図12は、自動取引機11,12…の個別のシステム組込みを示す説明図であって、前述の図11による推論で、各店舗毎に推論された現金運用量(準備金)が各店舗の個別システム61に入力されると、この現金運用量(準備金)はその内の紙幣放出枚数予測値(現金放出予測値)が運用量推論部62の推論/推論制御部63でチェックされ、また、運用マージンは運用マージン補正部64でチェックされる。
【0105】上述の推論/推論制御部63の推論制御部65には店舗の特性で設定した店舗運用ルールをファイルしている店舗運用ルールファイル66と、推論した予測データをファイルする予測データファイル67と、取引の実績テータをファイルした実績データファイル68と、推論部69を備え、入力された紙幣放出枚数予測値(現金放出予測値)は、店舗運用ルールと、予測データと、実績データによりさらに推論してその精度を向上し、補正した予測値(推論値)を予測データファイルにファイルすると共に、この紙幣放出枚数予測値(現金放出予測値、または図7で示す実際値の補正現金必要量)は運用金出力部70に入力される。
【0106】また、この運用金出力部70には運用マージン補正部64の運用マージンファイル71から運用マージンが入力され、この運用金出力部70からは紙幣放出枚数予測値(現金放出予測値枚数)と運用マージンを加算した紙幣運用枚数が出力される。
【0107】また、上述の運用金出力部70の紙幣運用枚数は機器別紙幣配分部72に入力され、該部72には実績データ68の各機器の実績データが入力されて、各自動取引機11,12…への機器別紙幣配分枚数が割当てられて出力される。
【0108】さらに、推論部/推論制御部63の予測データファイル67および実績データファイル68の予測データと実績データは、グラフ出力部73とワーニング出力部74とに出力され、グラフ出力部73は予測データと実績データとをグラフで出力し、ワーニング出力部74は予測データと実績データとがずれて紙幣切れが生じるとき警報を出力する。
【0109】また、取引データ収集部75は各自動取引機11,12…からの取引データを収集して、前述の実績データファイル68に記録し、また、の実績データは前述の運用マージン補正部64の補正機能部76に入力されて、運用マージンを補正して、その精度を向上させる。
【0110】[運用マージン量の算出方法(補正方法)の説明]前述の図10で説明したごとく、現金運用量(準備金)は現金放出予測値に運用マージンの量を加算した量であり、現金運用量(準備金)=現金放出予測値+運用マージンであって、運用マージンの量は運用マージン=現金運用量(準備金)−現金放出予測値であり、換言すれば、図40に示すごとく、現金運用量(準備金)、具体例としては、補充した現金準備量から出金に伴い現金が最少残量となったときの現金の最大差から放出量(現金放出予測値)を差し引いた値が運用マージンとなる。
運用マージン=最大差−放出量したがって、運用マージン量の算出は、まず、上述の放出量の推論値(現金放出予測値)を算出する。なお、この放出予測値は図11、図12で説明した通りである。
【0111】次に前述の最大差およびその上限値を実績データに基づいて算出する。そして、これら現金放出予測値と最大差上限値とで運用マージン量の上限値を算出する。すなわち、運用マージン量上限値=最大差上限値−現金放出予測値ここで、上述の各上限値の算出方法については、単純に実績データの最大値を用いるもよく、また、固定値でもよく、さらには、実績データに基づく推論方式を用いるもよい。さらに、最大差の上限値の意味合いは、所定期間において必要な現金量の上限値とする。
【0112】図41は、運用マージンの補正による変動を示す。運用マージンを用いた現金運用量(準備金、例えば、1日間)の算出は、現金運用量(準備金)=現金放出予測値+運用マージン上限値を基本式として考えるが、しかし、この基本式を次の条件で補正する。
【0113】すなわち、現金放出予測値が少ないとき、図41の傾斜線部分(イ)のときであって、現金放出予測値≦最大差上限値−運用マージン上限値のとき、前述の基本式で運用マージンを算出する。
【0114】しかし、最大差上限値−運用マージン上限値<現金放出予測値≦最大差上限値のとき、すなわち、図41の水平実線部分(ロ)のときは、現金運用量(準備金)=最大差上限値とすることて、運用マージンは現金放出予測値に応じて変動(補正)する。
【0115】さらに、最大差上限値<現金放出予測値のとき、すなわち、図41の傾斜線部分(ハ)のときは現金運用量(準備金)=現金放出予測値とすることで、運用マージンは零で対処できる。
【0116】これらの結果、運用マージンを現金放出予測値に応じて補正することで、図36の斜線部分だけ運用マージンの量が減少し、現金の運用効率を向上させることができる。
【0117】図13は、紙幣放出枚数予測値(現金放出予測値枚数)の推論アルゴリズムと学習機能を示す説明図であって、カレンダ処理機能部81は日を設定することができれ、ルール変更部82は推論のためのファジイルールを設定することができ、初期設定部83では装填初期値を設定することができる。
【0118】前述のカレンダ処理機能部81で特別日(例えば、競馬、競輪、或いはバーゲンセールなどで多くの人が集合する催し開催日など)に設定されると、この特別日にはそれに対応した特別日ルール84で紙幣放出枚数予測値(現金放出予測値枚数)が推論される。
【0119】また、前述のカレンダ処理機能部81が平日、および、変動日(例えば、給料日、終末曜日、五・十日、月始、月末、年始、年末など)並びに、土曜日、日曜日を設定すると、それぞれに対応した汎用ルール84で推論され、さらにルールにも重みが付加されて推論される。
【0120】上述の汎用ルール85で推論された紙幣放出枚数予測値はランク決定部86でランクを決定し、ランク値設定部87には各ランクに対応する紙幣放出枚数を設定し、放出金予測部88では決定されたランク、そのランク値、さらに初期設定部83からの初期装填枚数により決定した紙幣放出枚数を出力し、また、前述の特別日ルール84からの推論に対しても、上述と同様に初期設定部83からの初期設定枚数により決定された紙幣放出枚数を出力する。
【0121】上述のようにして推論され紙幣放出枚数で稼動したとき、自動取引機11,12…からの実績データが実績データ部89に収集され、ランク値チューナ90はランク値を抽出し、これを学習してランク値設定部87のランク値を更新し、また、重みチューナ92は実績データからルール重みを抽出し、これを学習して汎用ルール85のルール重みを更新する。
【0122】[ランク付けの説明]前述のランク決定部86およびランク値設定部87におけるランクについて、3つのランクの場合を説明する。紙幣の需要量の出力範囲が0〜1000枚とし、需要量が0以上から1000枚未満のとき、 ランクL1000枚以上から5000枚未満のとき、 ランクM5000枚以上から10000枚未満のとき、ランクHとする。図14に示すメンバシップ関数と、以下のファジイルールを用いてファジイ推論を実行し、各ランクの適合度を求める。
【0123】すなわち、IF 月 初=H THEN ランク=LIF 月 初=M THEN ランク=MIF 給料日=直前 THEN ランク=LIF 給料日=一致 THEN ランク=HIF 給料日=直後 THEN ランク=HIF 月 末=H THEN ランク=HIF 月 末=M THEN ランク=Mこのようなファジイルールから各ランク適合度が最大となるランクを選択し、適合度が最大となるランクが複数存在する場合には、需要量の多いランクを選択する。出力としては、選択されたランクと各ランクに対応するランク値の最大値を用いる。このように推論結果をランクで出力すると、実績データのばらつきが大きい場合やサンプルデータが少ない場合出も有効に推論ができる効果を有する。
【0124】[ランク値およびルール重みの学習の説明]各ランクの範囲とルール重みを実績需要量に基づいて学習する。各ランクの最大値は、予め設定された過去一定期間中(例えば、過去3カ月間)において同一ランクと予想された場合における実績需要量の最大値とする。
【0125】ルールの重みは、汎用ルール群のうち、有意なルール(予測正当率の高いルール)を採用する。これは、過去一定期間中のデータを全ての汎用ルールに一旦適用し、予測需要量と実績需要量とを比較して、各汎用ルールの予測正当率を求める。
【0126】各予測正当率が、予め設定された閾値以上のルールを今後推論部69で用いることにする。また、予測正当率を各ルールの重みとして用いることにする。さらに、全ての場合考慮した汎用ルールは予め用意されているものとする。以上のようにランクとルール重みを実績に基づいて学習することで、特別な初期設定を必要としない。また、環境の変化に対して追従する効果を有する。
【0127】[危険率の説明]危険率とは予測需要量を越えて、実際に需要が発生する確率であって、現金切れ発生率により需要量の予測結果を出力する。推論部69において確率的推論法を用い、これに使用される式は[数1]に示す通りである。
【0128】
【数1】


【0129】各種の要因iによる需要量空間(x)における確率密度分布Pi(x)を仮設する。但し、積分は上述の式1とする。各確率密度分布Pi(x)に対するルールの重みμiをファジイ推論により求める。このとき、予測需要量は、需要量空間(x)における確率密度分布P(x)として、 P(x)=ΣμiPi(x)/Σμi …………式4 で求められる。但し、積分は前述の式2とする。
【0130】確率密度分布P(x)の概形を、図15の下段に示すように、横軸x、縦軸P(x)のグラフを用いてユーザに表示し、ユーザが任意の需要量x0を選択した際、前述の式3が予測需要量x0を越えて、実際に需要が発生する確率(危険率)を意味する。この危険率も同時にユーザに表示することによって、ユーザが予測需要量と危険率の関係を把握しつつ、ユーザが、準備すべき予測需要量を決めることができ、これによって、ユーザの所望の現金切れ発生率を保証する効果が得られる。
【0131】さらに、上述の需要量の確率密度分布P(x)について説明すると、ti時点の実測需要量(紙幣枚数)を確率変数Xiで表し、P(xi)を需要量間策空間(xi)における確率密度分布とすると、各時点の実測需要量の変動様子の概要が、図16に示すことができる。
【0132】さらに、危険率と需要量との関係を説明すると、図17に示すように、ti時点でのユーザ所望現金量x0で表し、もしti時点の実測需要量xi(2)がユーザ所望現金量x0より多ければ現金切れ(紙幣切れ)が発生することになる。
【0133】さらに、ti時点の現金切れ率(危険率)をP(xi>x0)で表すと、ユーザ所望現金量x0と対応する現金切れ率(危険率)が[数2]の式5により求められる。
【0134】
【数2】


【0135】したがって、ユーザが任意の所望需要量x0を設定した際に、それと対応している現金切れ率(危険率)が直ぐ計算され、かつ同時に画面に表示されるため、ユーザが、予測需要量と危険率の関係を把握しながら、準備すべき予測量の意識決定を下すことができる効果がある。
【0136】なお、図18は、ユーザが任意の所望需要量x0を選択したときの危険率10%を示すし、この危険率10%の場合は、10回に1回の割合で現金切れが発生することを意味している。
【0137】上述危険率の応用としては2種類がある。その1は、予測需要量の危険率をユーザに知らせること、その2は、予測需要量を危険率で補正すること、である。
【0138】図19に示すように、例えば、予測需要量 1500万円危険率算出 5%のように予測需要量が1500万円を設定したとき、その危険率が5%として算出されて、画面に表示される。これをユーザにより3%に変更補正するとすれば、前述の式5を用いて算出することで、予測需要量が2300万円となる。
【0139】[ラベルの設定の説明]単純に日付を元に推論知識を作ると、本来その日付が持つ意味との対応が変化した場合に推論知識の大量の修正が必要となり、また、カレンダの設定も非常に多くの労力を必要とする。そこで日付の意味をラベル(ファジイ値)として設定可能にすれば、これらの問題点が解決され、カレンダの設定が簡単になり、例えば、図20に示すように、毎月25日が給料日であるというラベルでは、表示器19にラベルNo1を表示し、これに設定事項として入力キー23で入力する。表示部分の「ラベル」は文字入力、「周期単位」は選択入力、「周期」およひ「起点日」は文字入力で設定することができる。
【0140】このように、ラベルを基本とした推論知識データにすると、推論知識が分かり易くなり、また、周辺環境や社会制度の若干の変化に対しては設定を変更することにより、以前の学習結果を無駄にすることなく利用できる効果を有する。
【0141】[予測値の上限値・下限値の説明]実際に需要量を予測する場合、準備する現金に制限があるため予測量をそのまま使用できないことがある。したがって、予測値に上限値・下限値を設定することで、予測結果(推論結果)をその上・下限を意識することなく利用でき、また、上・下限を越えているときは、ユーザが認識することができる効果を有する。
【0142】図21は、上限・下限を制御する構成を示し、推論部69に上下限処理部101を接続させて、該部101で推論部69で予測された予測値の上限値と下限値を設定すると共に、上記予測値が上下限を越えた場合、それ以上の値にならないように、演算を実行する。また、上述の上下限処理部101には上下限記憶部102と表示器19を接続すると共に、上下限記憶部102と表示器19とも接続されている。
【0143】この上下限処理部101の処理動作を図22を参照して説明すると、該上下限処理部101には予め、予測値の上限値と下限値を設定しており(ステップn21)、推論部69から推論結果の予測値が入力されると、該予測値が上限値より大きいか否かを判定し(ステップn22)、予測値が上限値を越えるときは、図23に示すように、予測結果(上限値)と上限値を越えた量を表示器19に表示する(ステップn23)。
【0144】上述のステップn22の判定で上限値を越えないときは、次に、予測値が下限値より小さいか否かを判定し(ステップn24)、予測値が下限値を越えるときは、予測結果(下限値)と下限値を越えた量を表示器19に表示する(ステップn25)。しかし、上述のステップn24の判定で下限値を越えないときは、予測値を予測結果として表示器19に表示して処理を終了する。
【0145】[現金運用量を放出予測値と運用マージンとに分けた説明]既に図10で示したように、現金運用量(準備金)は、現金の放出予測値と運用マージンとで構成する。上述の放出予測値は出金−入金の差である放出量であり、この放出量と、運用マージンとにより予測することによって、予測精度を向上させることができる効果がある。
【0146】すなわち、連続的な出金がどれだけ行われるかは、利用客の行動によるので不明である。したがって、この不明な運用マージンを一律或いは学習し、放出量の予測とは別に持たせることで、現金運用量の精度を向上させることができる。勿論、前述の放出量と運用マージンとは別々に推論、学習することも予測の精度向上につながる。
【0147】[他の実施例]図24は、前述の図12に関連したより具体的な実施例を示し、同一機能については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。典型店舗タイプファイル111にはリモートメンテ112により典型的な店舗の複数のタイプを示すデータをファイルしている。すなわち、推論用ルールベースを汎用化するために、類似店舗の分類が必要であり、他店舗の特徴データがリモートメンテにより得られるため、典型店舗を作成するためのデータが効率的に収集でき、収集の結果により複数の典型店舗タイプが前述の典型店舗タイプファイル111にファイルされる。
【0148】現金運用量(準備金)の設定部110に当該店舗固有の該現金運用量(準備金)の初期値として、店舗タイプを設定すると、要因重み生成部113で典型店舗タイプと比較して、ルールの重みの修正がチェックされる。
【0149】図25は、上述の設定部110の設定の表示を示し、店舗タイプの設定には、場所の特徴、客層の特徴、主変動要因、取引特徴(紙幣枚数)等の特徴項目を店舗特性として入力され、そして、この店舗タイプの設定は、同じ店舗であっても日によって異なるので、その都度設定されて全て記憶され、過去において類似する日があれば、その類似する過去のタイプを指定することで、店舗タイプの設定に代えられる。
【0150】図26は、前述の要因重み生成部113の処理を示し、設定部110で設定された店舗特性が入力されると(ステップn31)、典型店舗タイプファイル111にファイルされている典型店舗タイプとのマッチングが取られて(ステップn32)、この店舗と一番類似している典型的なタイプの店舗抽出が行われる(ステップn33)。なお、このようにシステムが自動的にこの店舗と一番類似している店舗タイプを選択する。そのためユーザの初期設定の工数が大幅に削減できる効果を有する。次いで、この店舗と類似店舗タイプとを比較し、初期の変動要因のルール重みテーブルを生成して(ステップn34)、類似店舗タイプと異なる部分はルール重みを修正し(ステップn35,n36)、ルール重みテーブルを完成して、運用量システム62の店舗運用ルールファイル66と運用マージン補正量117の運用マージンファイル118にファイルすべく出力する。
【0151】図24において、推論制御部65は設定された店舗タイプのルールに基づいて準備金(現金運用量)を推論し、この推論に用いた推論知識とその適用事例を表示部114(表示器19に対応)に表示し、また、推論結果および運用マージンにより準備金(現金運用量)予想値を準備金設定部115に出力し、さらに、予測データ、実績データをファイル67,68から予測精度モニタ116に出力し、準備金設定部115で設定された準備金(現金運用量)は準備金出力部70から出力される。
【0152】なお、前述の実績データファイル68には各自動取引機11,12…からの取引実績のデータが入力され、ファイルされる。
【0153】前述の運用マージン補正部117は運用マージンを実績に基づいて補正し、そのために実績データファイル68から運用マージンの実績データが補正機能部119に入力されて運用マージンが補正され、精度の向上した運用マージンデータが出力される。
【0154】図27は、上述の表示部114(表示器19)の制御による表示を示し、この表示部114による表示制御ではこの推論に用いた推論知識(パラメータ情報)とその適用事例、すなわち、有効ルール知識(パラメータ情報)を表示している。
【0155】この表示事項としては、推論結果である準備金予測値(紙幣枚数)、ルール内容、ルール番号、該ルールの適合度、信頼度、利用回数、補正回数、本推論知識の過去の適用事例とその評価一覧、および要因重みであって、過去の適用事例は、日付/曜日、その適合度、推論結果、補正の有無、補正がある時その補正量であり、さらに、要因重みは、意味を持つ日の重みを示している。
【0156】上述のように推論に用いた推論知識(パラメータ情報)とその適用事例を表示することで、すなわち、選択されたルールの中で、そのルールの適合度が一番大きいものに関して、そのルールの適合度、信頼度、およびそのルールの過去の適用事例などの情報をユーザに提示することで、ユーザは該当予測ルールの適用効果を判断することができ、またユーザ側が補正(外部補正)したときこの補正に対して自信を持たせることもでき、ユーザの判断による予測精度の改善(準備金の設定)が容易になる効果が得られる。
【0157】図28は、既に図24で示した追加ルール知識の生成部120の処理を示す。前段の推論制御部65の推論で用いられた推論知識とその適用事例が上述の追加ルール知識の生成部120に入力されると、過去の実績と比較して推論が外れいるか否かを判定する(ステップn71,n72)。
【0158】推論が外れていないと判定したときは信頼できる推論である旨を表示のメッセージとしてセットして出力する(ステップn73)。しかし、推論が外れていると判定したとき(ステップn72、NO判定)、外れ履歴ファイル70にファイルする(ステッフn74)。
【0159】図29は、外れ履歴ファイル70のファイル内容を示し、該内容は、日付、要因項目、適用ルール番号、曜日ラベル、適合度、信頼度、補正回数、利用回数、実績値、予測値等のデータである。
【0160】図28に戻って、上述の外れ履歴ファイル121より過去に外れた推論の類似パターンを検索して(ステップn75)、この類似パターンと当該外れた推論とから特徴量と特記項目(ルール)を抽出し(ステップn76)、外れタイプの原因を判断する(ステップn77)。
【0161】上述の推論が外れた原因が予測知識の欠落であると判断したときは(ステップn78)、欠落した知識を補充するために、ルールの生成を支援する(ステッn79)。また、知識の適用が誤ったいると判断したときは(ステップn80)、誤った知識を修正するために、ルールの修正を支援する(ステップn81)。また、誤った予測知識を使用したと判断したときは(ステップn82)、その予測知識を削除するために、該当ルールの削除を支援する(ステップn83)。
【0162】上述のようにして推論の支援が決定されると、その支援を示す表示のメッセージを出力する。図30は、前述の準備金設定部115の設定内容を表示器19に出力した状態を示し、表示事項は、推論結果、外部推定補正量、これらを加味した推定準備金枚数、および補正量修正入力値である。この準備金設定部115ではユーザの人間の判断をシステムに導入することができる。これは複雑な変動による予測精度の大幅な低下を防止するのに有効であり、さらに、予測が外れたときこれを再設定することができる効果を有する。
【0163】図31は、上述の補正量修正入力または再設定の表示を示し、修正としては要因重みの修正が入力され、これが修正されたときの外部補正修正量を表示している。
【0164】図32は、上述の準備金設定部115の修正処理を示し、上述の修正処理を実行するに当っては、予測精度モニタ116から補正指示情報が入力されており、この情報を参照して入力キー23を介し実行する。外部補正を実行するには図30に示した内容を表示しており(ステップn41)、補正を指示すると図31に示した内容を表示し、そして、補正量および補正理由を入力する(ステップn42)。すなわち、図31に示すように、要因重みが予測精度モニタ116からの指示を参照して補正入力されると、準備金予測値が修正され(ステップn43)、外部補正修正量が表示され、これをユーザが確認して、満足できない場合は再補正を実行し(ステップn42にリターン)、修正がよければ(ステップn44)、その修正結果である準備金予測値を予測データファイル67と準備金出力部70に出力する(ステップn45)。したがって、これより出力される予測値が準備金の最終決定となる。
【0165】前述の図28で説明したルールの追加がある場合は、図33で示すように、表示器19には補正の入力後、ルール追加の指示が行われる(図28のステップn84参照)。
【0166】このルール追加の指示は追加ルールの支援が表示されており、ルール追加の実行を入力すると、図34に示すように、前述の追加ルールの支援に対応した入力指示が表示され、これに沿ってルールを追加入力すると、これに伴って推論が補正される。
【0167】図35は予測値と実績値とをグラフで示す監視の表示を示し、予測値を実績値で監視することで、その精度を監視することができる。すなわち、実績値を中心に、例えば、±20%の範囲をグラフ表示することで、予測値の監視が容易となり、予測値が外れた時、その傾向もユーザが把握できると共に、ユーザの補正量の算出が可能となる効果を有する。
【0168】すなわち、実績値に対する相対誤差を予測精度の評価量として、 予測精度の評価量=|実績値−予測値|/実績値 ………式6の式6で求め、設定された精度値(例えば±0.2)の範囲を越えるか否かのチェックを行なう。前述の外部(ユーザ)の補正量の算出か次の式7により行なう。
補正量=w1・e1+w2・e2 ………式7 ここで、e1:予測日の前述の予測誤差w1:重み係数(例えば、0.7)
e2:予測日の前日から1週間前の日(同じ曜日)の予測誤差w2:重み係数(例えば、0.3)。
【0169】図36は、上述の予測値監視処理を示し、前述の式5で予測値の精度をチェックし(ステップn51)、所定の評価量であれば、OKと判定して(ステップn52)非補正回数のカウント値を更新する(ステップn53)。しかし、所定の評価から外れているときは、補正を実行するので、補正回数のカウント値を更新して(ステップn54)、前述の式7で補正量を算出し(ステップn55)、予測精度の評価量を表示すると共に(ステップn56)、該評価量と補正量は予測データファイル67と準備金設定部115に出力される。このように予測値の監視処理が実行される。
【0170】[ファジイ予測の具体例]例えば、1店舗における運用量を推論して予測するには、まず、予測する日が何れのモデルに該当するか、モデルを決定する。このモデルは、例えば、(1)平日(変動日)
(2)土曜日(3)日曜日であって、各モデル毎に使用するルールを対応させて設定する。したがって、予測日のモデルを決定すると、使用するルールが選択可能となる。
【0171】次に、ランク適合度演算をする。すなわち、ルール毎に各ランクの適合度を演算し、それらを総合する。
【0172】例えば、ルール1.もし、給料日ならば、放出枚数はとても多い。
【0173】→ランク値HHルール2.もし、五・十日ならば、放出枚数は多い。
【0174】→ランク値Hルール3.もし、五・十日で金曜日ならば、放出枚数はとても多い。
【0175】→ランク値HH等のルールが設定されているものとすると、適用するルールによってランク値HH,H、その他M,L等が決定される。
【0176】ここで、各ランクに対応して予測値(例えば万円札の枚数)を対応させると、例、 ランクHH=3000枚ランク H=2000枚ランク M=1000枚ランク L= 500枚。
【0177】次に、ルール毎の適合度を演算するとすれば、例えば、予測日が26日であって、25日が給料日であれば、該当ルールは前述の[ルール1]と[ルール2]であり、[ルール1]を使用すると、そのランクHHに対して1日経過後であるため、予測日26日の適合度は“0.67”である(図37を参照)。
【0178】また、[ルール2]を使用すると、そのランクHに対して、1日経過後の予定日26日の適合度は“0.6”となる。すなわち、予測日 26日ランクHH→適合度0.67ランク H→適合度0.67。
【0179】したがって、適合度の高いランクHHを使用することになり、予測日26日の予測値は前述の例では3000枚であって、この値は“0.67”(または67%)は適合しているものと予測される。
【0180】次に、ルール重みの学習を行う。前述例の予測日26日の過去の所定期間の実績放出枚数から、適応ルールが該当店舗に合致しているかを判断し、不要と思われるルールを使用域から不使用域に移す(不使用とする)。
【0181】例えば、前述例の予測日26日に対する過去の実績のランクが、ランクHH→1回ランク H→2回ランク M→0回ランク L→0回であって、[ルール1]が1回、[ルール2]が2回であったとすれば、[ルール1]は全3回の内、1回しか成立していないので、この[ルール1]を不使用の域に移すことになる。勿論、以降の実績で、ランクHが少なく、ランクHHが多くなれば、[ルール1]は復活され、使用域に入れられる。
【0182】次に、ランク値の学習を行う。前述例の予測日26日の過去の所定期間の実績放出枚数から、現在の各ランク値が妥当か否かを判断し、値を調整する。例えば、ランクHと予測した日の実績放出枚数が、2500枚、2000枚、1500枚のように変化があった場合は、これらの値の内、最大値の2500枚をランクH予測値とする。これに合せて他のランク値も調整することができる。すなわち、ランクHH=3000枚を3500枚に調整ランク H=2000枚を2500枚に調整ランク M=1000枚を1500枚に調整ランク L= 500枚を1000枚に調整。
【0183】このように所定期間でランク値の学習を行う。
【0184】[複数の自動取引機間の運用量の推論の説明]キャッシュコーナにおける個々の自動取引機11,12…の現金運用量(準備金)の推論では店舗全体としての運用量が不明であり、例えば、他のコーナの窓口装置では入金処理が多く、これを窓口業務終了後において不使用であれば、現金の運用が悪い。したがって、各自動取引機11,12…の現金運用量(準備金)を推論した後、各装置間の現金運用量を時系列に判断し、各装置間の現金移動およびそのルートを含めた現金運用量を推論することにより、システム全体の現金運用効率を向上させることができる効果がある。
【0185】図38は、各装置間の現金運用量(準備金)の推論処理を示し、自動取引機11,12…の例として、ATMi(自動預金支払い機)、CDi(自動支払い機)、窓口機i(窓口入出金機)として、それぞれの翌日の現金運用量を推論して、その予測値X,Y,Zを算出する。
【0186】さらに、各装置毎に時間区分を予測する(ステップn61)。
【0187】例えば、ATMiは予測値Xであって、9時から15時までの稼動で、−300枚(入金が多いことを示す)、15時から19時までの稼動で、−200枚の予測で、合計−500枚が、予測値Xに対して入金過剰。同様に、CDiは予測値Yであって、9時から15時までの稼動で、500枚(出金が多いことを示す)、15時から19時までの稼動で、300枚の予測で、合計800枚が、予測値Yに対して出金過剰。同様に、窓口機iは予測値Zであって、9時から13時までの稼動で、−300枚、15時以降は稼動停止、合計−300枚が、予測値Zに対して入金過剰。
【0188】次に、各装置の時間区分の予測より、準備金(現金運用量)を算出する(ステップn62)。9時から15時までの各装置の出金超過分を算出する。この時間帯では入金過剰(マイナス値)のATMiと窓口機iの分を零として算出する。
0(ATMi)+500(CDi)+0(窓口機i)=500(枚)
15時から19時までの各装置の出金超過分を算出する。この時間帯では入金過剰(マイナス値)はそのまま加算し、加算結果が入金過剰(マイナス値)となれば零として算出する。したがって、−200(ATMi)+300(CDi)−300(窓口機i)=−200(枚)→0(枚)
その結果、準備金は、15時までが500枚、15時以降が0枚であって、合計500枚となる。
【0189】次に、各装置間の現金の移動ルート、移動量、移動時間を出力する(ステップn63)。すなわち、図39に示すように各装置ATMi,CDi,窓口機iの時間区分予測値を示し、また、窓口機iは15時以降運用されないので、その過剰金300枚を、CDiの15時以降の不足金として移動することを表示している。以上のように処理することで、装置間における現金の移動が明瞭であって、有効な現金の運用が得られる。
【0190】[現金運用量(準備金)の各種適用比較の説明]図42、図43、図44、図45、図46は、自動取引機は11,12…による現金運用量(準備金)の適用例を示す。ここで、予測必要量とは、図41で説明した最大差上限値であり、あるいは現金放出予測値+運用マージン上限値である。
予測必要量=最大差上限値=現金放出予測値+運用マージン上限値。
【0191】図42は、現金運用量(準備金)を固定値に設定した例を示し、現金の補充量は固定値から1日めの余剰量を減算した差を補充して、2日めの現金運用量(準備金)とする。3日め以降も同じ算出方法である。
補充量=固定必要量−前回余剰量このように現金運用量(準備金)を固定値にした場合、日によって取引量が変動するので、現金運用量に無駄が生じる。
【0192】図43は、現金放出量を予測(推論)し、運用マージンを固定値にした例を示し、1日めの終りに2日めの現金放出予測値を算出(推論)し、この現金放出予測値から1日めの余剰量を減算した差を固定値の運用マージンに加算して補充し、2日めの現金運用量(準備金)とする。3日め以降も同じ算出方法である。
補充量=現金放出予測値−前回余剰量+固定運用マージン =予測必要量−(前回余剰量−固定運用マージン)
この場合、現金放出量が予測は(推論)であるため、現金運用が向上する。
【0193】図44は、現金放出量を予測し、運用マージンを補正した例を示し、1日めの終りに2日めの現金放出予測値を算出(推論)し、この現金放出予測値に応じて運用マージンを補正し、これらの加算値からから1日めの余剰量を減算した差を補充して、2日めの現金運用量(準備金)とする。3日め以降も同じ算出方法である。
補充量=(現金放出予測値+運用マージン補正値)−前回余剰量 =予測必要量−前回余剰量この場合、現金放出量が予測は(推論)であり、また、運用マージンが現金放出予測値に応じて補正されているので、現金運用がより向上する。
【0194】図45、図46は、現金運用量(準備金)の算出時点と、現金を補充する時点とにタイムラグがある場合の適用例を示し、現金を補充する場合、該補充する現金を準備するのに時間がかかる時は、その時間分前もって早く現金運用量(準備金)の算出を行う。
【0195】例えば、営業の終了が19:00(時刻)であって、該時点で翌日の現金運用量(準備金)を算出し、補充現金の準備ができないときは、例えば、14:00(時刻)の時点で現金運用量(準備金)を算出し、補充の現金を翌日までに準備し補充する。
【0196】この場合、算出時点の14:00(時刻)から営業終了17:00(時刻)までの3時間のタイムラグに現金の過不足が生じる危険がある。これを解決するためには、前述の現金放出量の予測(推論)の適用であり、また、現金放出予測値に応じた運用マージンの補正である。
【0197】図45は、現金放出量を予測(推論)し、運用マージンを固定値にして、タイムラグをもって現金運用量(準備金)を算出した例を示し、補充量=予測必要量−固定運用マージンとすることで、現金補充の算出と補充とにタイムラグがある場合において、現金運用が向上する。
【0198】図46は、現金放出量を予測(推論)し、運用マージンを補正して、タイムラグをもって現金運用量(準備金)を算出した例を示し、補充量=予測必要量−前回運用マージン補正値とすることで、現金補充の算出と補充とにタイムラグがある場合において、現金運用がより向上する。
【0199】[補充量表示例]既に説明してきた推論(予測)で出した1店舗の各自動取引機11…,12…に対する補充量を図2で示す遠隔制御装置15の表示器19で表示することができる。
【0200】例えば、図47に示すように、顧客専用自動取引機11の複数台をATM(自動預金支払い機)で構成し、この各ATMに対する補充量を、例えば、万円札の枚数で表示している。
【0201】この表示により係員は各ATMに対する補充状態を把握することができる。しかも、補充される毎に“0枚”を表示することで、各ATMの補充状況をも把握することができる。なお、図47で表示した例は、各ATMに前日の余剰量が存在し、新たに補充することで各ATMが均一な量となる補充量を示している。
【0202】[自動取引機に対する補充方法]既に説明してきた推論(予測)で出した補充量を1店舗の各自動取引機11,12に対して補充するには次のようにして実行する。
【0203】図48は補充例のその1つを示し、自動取引機11を構成している各ATMはその初期の収納量を1取引での最大枚数Aに危険率による加算枚数αを加えた量を設定している。すなわち、収納量=A+α営業開始に伴う補充では、全ATMが一律、[A+α]の量になるように、現金運用ロボット13は各ATMに補充し、残りの現金は現金運用ロボット13が保管する。
【0204】各ATMの稼動に伴い収納現金にニアエンドが発生すると、該ニアエンドを発生したATMに対しては、該ATMの収納量が[A+α]になる量、すなわち、補充量=[A+α]−[ニアエンド量]
を補充する。
【0205】また、ATMの稼動に伴い、その収納量が預金取引によって[A+α]を越えたときは、その余剰分を現金運用ロボット13に回収し、各ATMの収納量は略ニアエンドから[A+α]の量で安定するように補充または回収を行う。
【0206】このように補充または回収作業を実行すると、現金の運用効率を高めることができ、また、ニアエンドに対しては現金運用ロボット13が現金を保管しているとから、即補充に対応することができる。ただし、現金運用ロボット13に対する収納負担が大きいので、収納量に制約を受けたり、現金運用ロボット13の故障を考えたとき、複数台の使用が望ましい。
【0207】他の手段としては、各ATMに対して[A+α]の量を補充することが基本であるが、現金運用ロボット13の容量を越える分を各ATMに補充することで、現金運用ロボット13の収納量の制約の問題を解消することができる。
【0208】図49は、他の補充例を示し、現金運用ロボット13には本来1店舗の全補充量の現金が収納されるとすれば、この補充例の営業開始に伴う補充では、全ての収納現金を各ATMに分配して、現金ロボット13を空にする。そして、各ATMに対しては過去の実績データに基づいて、取引の多いATMには多く、取引の少ないATMには少なく補充する。
【0209】各ATMの稼動に伴い収納現金にニアエンドが発生すると、そのATMの収納量が[A+α]になるような量を最も多く現金を収納しているATMから回収して、これをニアエンドを発生したATMに補充し、該ATMの収納量を[A+α]にする。
【0210】このように補充または回収作業を実行すると、現金運用ロボット13に故障が発生しても、ATMに与える影響が少なく、また、現金運用ロボット13の収納量に制約を受けることも少なくなる。ただし、ニアエンド時には回収してから補充するため、即対応ができないので、取引が比較的少ない店舗に適用される。
【0211】また、この即補充の対応については、現金運用ロボット13に常に[A+α]の現金を保有すべく、収納量の多いATMから現金を回収して保有することで、ニアエンド時の補充処理に対して、即対応することができる。
【0212】また、常時の保有量を[A+α]×β β=2〜3とすることで、複数のニアエンドの発生に対しても円滑に対応することができ、素早い補充が可能となる。また、現金運用ロボット13がダウンしても、補充量が少ないため、ATMに与える影響も少ない。
【0213】この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明の媒体は、実施例における紙幣や硬貨の現金、その他通帳、伝票、ジャーナル用紙などの取引媒体に対応し、以下同様に、媒体処理装置は、自動取引機11,12に対応し、媒体運用予測装置は、遠隔制御装置15に対応し、媒体運用管理装置は、現金運用ロボット13、自動出納装置14、遠隔制御装置15に対応するも、この発明は、実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 自動取引機および現金運用管理装置の斜視図。
【図2】 自動取引機および現金運用管理装置の通信状態を示す概略平面図。
【図3】 遠隔制御装置の制御回路ブロック図
【図4】 現金運用ロボットの制御回路ブロック図。
【図5】 前日の現金運用の管理処理のフローチャート。
【図6】 当日の現金運用の管理処理のフローチャート。
【図7】 現金運用量の説明図。
【図8】 推論の説明図。
【図9】 システム運用の説明図。
【図10】 現金運用量の推論説明図。
【図11】 推論内容を示す説明図。
【図12】 自動取引機個別のシステム組込みを示す説明図。
【図13】 推論アルゴリズムと学習機能を示す説明図。
【図14】 ランク付けのメンバシップ関数の説明図。
【図15】 確率密度分布の説明図。
【図16】 需要量の確率密度分布の説明図。
【図17】 ti時点の紙幣切れ率(危険率)の説明図。
【図18】 危険率の説明図。
【図19】 危険率補正の説明図。
【図20】 ラベルの設定表示を示す説明図。
【図21】 上下限処理の構成ブロック図。
【図22】 上下限処理のフローチャート。
【図23】 上限オーバの表示を示す説明図。
【図24】 システムのより具体的例を示す説明図。
【図25】 店舗の設定の表示を示す説明図。
【図26】 要因重み生成処理を示すフローチャート。
【図27】 有効知識の表示を示す説明図。
【図28】 追加ルール知識の生成処理のーチャート。
【図29】 外れ履歴ファイルの内容を示す説明図。
【図30】 準備金設定を表示した説明図。
【図31】 修正処理のフローチャート。
【図32】 補正処理の表示を示す説明図。
【図33】 追加ルールの設定を案内する表示の説明図。
【図34】 追加ルールの設定を表示する説明図。
【図35】 予測値と実測値とを表示した説明図。
【図36】 予測値監視処理のフローチャート。
【図37】 ルールに対する適合度の説明図。
【図38】 装置間の推論処理のフローチャート。
【図39】 装置間の運用金を示す説明図。
【図40】 現金運用量の推移の説明図。
【図41】 運用マージンの補正を示す説明図。
【図42】 固定必要量の場合の現金補充を示す説明図。
【図43】 固定運用マージンの予測必要量の場合の現金補充を示す説明図。
【図44】 予測必要量の場合の現金補充を示す説明図。
【図45】 タイムラグの固定運用マージンの予測必要量の場合の現金補充を示す説明図。
【図46】 タイムラグの予測必要量の場合の現金補充を示す説明図。
【図47】 各取引機に対する補充量の表示を示す説明図。
【図48】 各取引機に対する補充例を示す説明図。
【図49】 各取引機に対する補充の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
11、12…自動取引機
13…現金運用ロボット
14…自動出納装置
15…遠隔制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】予め定められた分類に応じた取引媒体運用量予測ルールを記憶する手段と、前記分類を特定する手段と、前記特定された分類に応じた取引媒体運用量予測ルールにしたがって取引媒体運用量を予測する手段とを備え、前記取引媒体運用量予測ルールにしたがって所定期間における取引媒体運用量を予測することを特徴とする媒体運用量予測装置。
【請求項2】取引媒体運用量の実績値を入力する手段と、前記入力された取引媒体運用量実績を記憶する手段とを備え、前記取引媒体運用量予測ルールと前記取引媒体運用量実績に基づいて所定期間の取引媒体運用量を予測することを特徴とする請求項1記載の媒体運用量予測装置。
【請求項3】取引媒体運用量の予測結果と取引媒体運用量の実績とを比較する手段を備え、前記比較結果に基づいて前記取引媒体運用量予測ルールを学習することを特徴とする請求項1記載の媒体運用量予測装置。
【請求項4】複数の取引処理装置毎に取引媒体運用量を表示する手段を備え、前記予測された取引媒体運用量に基づいて前記取引媒体処理装置毎に取引媒体運用量を表示することを特徴とする請求項1記載の媒体運用量予測装置。
【請求項5】取引処理装置に対して取引媒体の補充またはおよび回収を行う媒体運用管理装置であって、予め定められた分類に応じた取引媒体運用量予測ルールを記憶する手段と、前記分類を特定する手段と、前記特定された分類に応じた取引媒体運用量予測ルールにしたがって取引媒体運用量を予測する手段と、前記取引媒体運用量予測ルールにしたがって予測された所定期間の運用量に相当する取引媒体を収納する手段と、取引処理装置の取引媒体保有量を監視する手段とを備え、前記取引処理装置の取引媒体保有量が所定量になることに基づいて前記収納手段より前記取引処理装置に対して取引媒体の補充またはおまよび回収を行うことを特徴とする媒体運用管理装置。
【請求項6】媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の処理量に基づいて最も妥当な運用量を推論する推論手段を設けた媒体運用管理装置。
【請求項7】前記媒体処理装置の複数台を使用し、前記推論手段は、上記複数台の媒体処理装置が取引処理する媒体の全体の処理量に基づいて最も妥当な全体の運用量を推論する請求項6記載の媒体運用管理装置。
【請求項8】媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の運用量を、過去の実績データと、媒体切れを発生する危険率とに基づいて最も妥当な運用量を推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法。
【請求項9】媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の運用量を、過去の実績データに基づいて、放出量と運用マージン量に分けて最も妥当な運用量に推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法。
【請求項10】前記運用マージン量を前記放出量の推論値に応じて補正する請求項9記載の媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法。
【請求項11】媒体を取引処理する媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理装置であって、前記媒体処理装置の所定稼動期間に取引処理する媒体の運用量を、過去の実績データに基づいて、ランクを付して最も妥当な運用量を推論する媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法。
【請求項12】前記媒体の運用量の推論に、パラメータをラベルとして持ち、任意にラベルを設定して推論する前記請求項8,9,10または11記載の媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法。
【請求項13】前記媒体の運用量の推論値に、上限値および下限値を設定した前記請求項8,9,10,11または12記載の媒体運用管理装置の媒体運用量推論方法。
【請求項14】請求項8,9,10,11,12または13の媒体運用量推論方法を採用した媒体運用管理装置であって、前記媒体の運用量の推論における有効パラメータを表示する表示手段を設けた媒体運用管理装置。
【請求項15】上記有効パラメータの設定入力を許容する入力手段を設けた請求項14記載の媒体運用管理装置。
【請求項16】請求項8,9,10,11,12または13の媒体運用量推論方法を採用した媒体運用管理装置であって、複数の媒体処理装置の間の運用量を推論する媒体運用管理装置。
【請求項17】前記複数の媒体処理装置間の推論した運用量を表示する表示手段を設けた請求項16記載の媒体運用管理装置。
【請求項18】店舗に媒体を取引処理する媒体処理装置を設置し、該媒体処理装置の媒体保有量が所定量になることに基づいて、所定量の媒体を補充またはおよび回収する媒体運用管理処理装置であって、媒体の運用量に対する店舗タイプの設定を許容し、設定入力された店舗タイプに対応する店舗タイプ別のルール設定に基づいて、最も妥当な媒体の運用量を推論する媒体運用量推論方法。
【請求項19】前記店舗タイプの設定は、媒体運用量の実績データに基づいて複数が予め設定されたタイプを自動設定する請求項18記載の媒体運用量推論方法。
【請求項20】推論した運用量の精度を判定する精度判定手段と、推論した運用量を補正する補正手段とを備え、推論した運用量の精度が外れていると精度判定手段が判定したとき、補正手段で精度が上がる方向に推論した運用量を補正する請求項18または19記載の媒体運用量推論方法。
【請求項21】上記補正手段は補正値またはおよびルールの設定を許容する請求項20記載の媒体運用量推論方法。
【請求項22】前記媒体の運用量の推論にパラメータを持ち、該パラメータを自動設定する請求項18,19,20または21記載の媒体運用量推論方法。
【請求項23】請求項18,19,20,21または22記載の媒体運用量推論方法を採用して最も妥当な媒体の運用量を推論した媒体運用管理装置。
【請求項24】前記取引媒体は貨幣で構成した請求項1〜23の内の1つの請求項に記載の媒体運用量予測装置、媒体運用管理装置またはその媒体運用量推論方法。

【図1】
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【図14】
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【図18】
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【図19】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図9】
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【図20】
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【図6】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図23】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図21】
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【図22】
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【図25】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図33】
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【図28】
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【図34】
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【図35】
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【図39】
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【図32】
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【図37】
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【図40】
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【図36】
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【図41】
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【図42】
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【図38】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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