説明

嫌気硬化性組成物用の硬化促進剤

本発明は、嫌気硬化性組成物、例えば、接着剤およびシーラントに有用な硬化促進剤に関する。硬化促進剤は、ジオールからウレタン/尿素/チオウレタン(メタ)アクリレート樹脂として構成され、構造A:


の範囲内に包含される単位を含み、構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、嫌気硬化性組成物、例えば、接着剤およびシーラントのための有用な硬化促進剤に関する。硬化促進剤は、ジオールからウレタン/尿素/チオウレタン(メタ)アクリレート樹脂として構成され、および構造A:
【0002】
【化1】

の範囲内に包含される単位を含み、構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の簡単な説明)
嫌気接着組成物は一般に周知である。例えば、R.D.Rich「嫌気接着剤(Anaerobic Adhesives)」[接着剤技術ハンドブック(Handbook of Adhesive Technology)、第29章、第467〜79頁、A.Pizzi、K.L.Mittal編、Marcel Dekker,Inc.、New York(1994年)]およびそこに引用されている参考文献を参照。それらは数多く使用され、新規の用途が引き続き開発されている。
【0004】
従来の嫌気接着剤は、通常、ペルオキシ開始剤および禁止剤成分と共に、フリーラジカル重合可能なアクリレートエステルモノマーを含む。そのような嫌気接着組成物はまた、組成物が硬化する速度を増大させる促進剤成分も含むことも多い。
【0005】
硬化を誘導および促進するための望ましい嫌気硬化誘導組成物は、サッカリン、トルイジン、例えば、N,N−ジエチル−p−トルイジン(「DE−p−T」)およびN,N−ジメチル−o−トルイジン(「DM−o−T」)、アセチルフェニルヒドラジン(「APH」)、マレイン酸、およびキノン、例えば、ナフタキノンおよびアントラキノンの1種以上を含んでいてよい。例えば、米国特許第3,218,305号(Kriebe)、同4,180,640号(Melody)、同4,287,330号(Rich)および同4,321,349号(Rich)各公報を参照。
【0006】
サッカリンおよびAPHは、嫌気接着剤硬化システムにおいて標準的硬化促進剤成分として使用される。現在Henkel Corporationから入手できるLOCTITEブランドの嫌気接着剤製品は、その嫌気接着剤のほとんどにおいて、サッカリンを単独で使用するか、またはサッカリンとAPHを併用するかのいずれかである。しかしながら、これらの成分は世界のある地域では規制監視下に置かれており、従って、代替物としての候補を同定するための努力が払われてきた。
【0007】
嫌気接着剤のための他の硬化剤の例としては、チオカプロラクタム(例えば、米国特許第5,411,988号)およびチオ尿素[例えば、米国特許第3,970,505号(Hauser)(テトラメチルチオ尿素)、独国特許文献第DE1 817 989号(アルキルチオ尿素およびN,N’−ジシクロヘキシルチオ尿素)および同2 806 701号(エチレンチオ尿素)、ならびに日本特許文献第07−308,757号(アシル、アルキル、アルキリデン、アルキレンおよびアルキルチオ尿素)]が挙げられ、後者の一部は約20年前まで商業的に使用されていた。
【0008】
Loctite(R&D)Ltd.は、嫌気接着組成物のための有効な硬化剤として、新しい種類の材料であるトリチアジアザペンタレンを見いだした。これらの材料を従来の硬化剤(例えば、APH)の代替として嫌気接着剤に添加すると、驚くべきことにそれらから形成された反応生成物に、少なくとも従来に匹敵する硬化速度および物理的特性をもたらす。米国特許第6,583,289号(McArdle)公報を参照。
【0009】
米国特許第6,835,762号(Klemarczyk)公報は、実質的にアセチルフェニルヒドラジンおよびマレイン酸を含まない嫌気硬化誘導組成物と、同じ分子上に連結基−C(=O)−NH−NH−および有機酸基を有する嫌気硬化促進剤化合物[ただし、この嫌気硬化促進剤化合物は1−(2−カルボキシアクリロイル)−2−フェニルヒドラジンを除外する]を有する、(メタ)アクリレート成分をベースとする嫌気硬化性組成物を提供する。嫌気硬化促進剤は:
【0010】
【化2】

によって包含され、上記式中、R〜Rは、各々独立して、水素およびC1〜4から選択され;Zは、炭素−炭素の単結合または炭素−炭素の二重結合であり;qは、0または1であり;pは、1〜5の整数であり、それらの例として、3−カルボキシアクリロイルフェニルヒドラジン、メチル−3−カルボキシアクリロイルフェニルヒドラジン、3−カルボキシプロパノイルフェニルヒドラジン、およびメチレン−3−カルボキシプロパノイルフェニルヒドラジンがある。
【0011】
米国特許第6,897,277号(Klemarczyk)公報は、実質的にサッカリンを含まない嫌気硬化誘導組成物と、下記の構造:
【0012】
【化3】

の範囲内にある嫌気硬化促進剤化合物を有する、(メタ)アクリレート成分をベースとする嫌気硬化性組成物を提供し、上記構造中、Rは、水素、ハロゲン、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、カルボキシル、およびスルホナトから選択され、Rは、水素、アルキル、アルケニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、およびアルカリルから選択され、それらの例として、フェニルグリシンおよびN−メチルフェニルグリシンがある。
【0013】
米国特許第6,958,368号(Messana)公報は、嫌気硬化性組成物を提供する。この組成物は、実質的にサッカリンを含まない嫌気硬化誘導組成物を有する、(メタ)アクリレート成分をベースとし、下記の構造:
【0014】
【化4】

の範囲内にあり、上記構造中、Yは、C1〜6のアルキルまたはアルコキシ、もしくはハロ基によって5つまでの位置で任意に置換されていてもよい芳香族環であり;Aは、C=O、S=OまたはO=S=Oであり;Xは、NH、OまたはSであり、Zは、C1〜6のアルキルまたはアルコキシ、もしくはハロ基によって5つまでの位置で任意に置換されていてもよい芳香族環であり、またはYおよびZは、一緒になって同じ芳香族環または芳香族環システムに結合されてよいが、ただし、XがNHである場合、o−安息香酸スルフィミドは上記構造から除外される。上記構造に包含される嫌気硬化促進剤化合物の例としては、2−スルホ安息香酸環状無水物、および3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1−ジオキシドが挙げられる。
【0015】
株式会社スリーボンド(東京、日本)は、過去に嫌気接着およびシーラント組成物における成分として、テトラヒドロキノリン(「THQ」)と呼ばれる成分を記載した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
当該技術分野の現状にもかかわらず、現存する製品と異なり原材料の供給不足または停止の場合に供給を保障する、嫌気硬化促進剤に対する代替の技術を見いだすことが、継続的に要求されている。さらに、従来の嫌気硬化誘導組成物で使用される原材料のいくつかは、多かれ少なかれ規制監視下に置かれなければならないので、嫌気硬化誘導組成物のための代替の成分は望ましいであろう。従って、嫌気的硬化性組成物の硬化において硬化成分として機能する新規の材料を同定することは望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
最も広い意味において、本発明によって、
(a)構造A:
【0018】
【化5】

(構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である)の範囲内にある化合物と、
(b)少なくとも1種のイソシアネート官能性材料と
を含む反応体から調製される反応生成物が提供される。
【0019】
例えば、構造Aの範囲内にある化合物は以下のとおりに調製されてよい:
【0020】
【化6】

【0021】
THQ−DおよびInd−Dは異性体混合物であり、それぞれ以下のとおり表される:
【0022】
【化7】

【0023】
構造Aによって包含される硬化促進剤中の単位は、(a)構造I:
【0024】
【化8】

(構造中、zは、1〜3である)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物と、(b)構造II:
【0025】
【化9】

(構造中、Z’’は、−O−、−S−、または−NH−から選択され;qは、1〜2であり;Rは、独立して、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル、またはチオアルキルから選択され、nは、少なくとも1である)で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物とを、含む反応体から調製されてよく、ここで反応生成物は、独立して、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも2つのペンダント官能基を含む。
【0026】
また、反応生成物は、反応生成物が調製される反応体として(a)ヒドロキシ、チオおよび/またはアミノ官能性(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ官能性ビニルエーテル、(b)ジオールおよび/または(c)(メタ)アクリレート成分を含んでいてよい。
【0027】
すなわち、特に望ましい態様では、本発明は嫌気硬化性組成物、例えば、接着剤およびシーラントのために有用な硬化促進剤に関する。硬化促進剤は、ジオールからウレタン/尿素/チオウレタン(メタ)アクリレート樹脂として構成され、構造A:
【0028】
【化10】

によって包含される単位を含み、上記構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である。
【0029】
また、反応生成物を調製する方法も本発明によって提供され、該反応生成物は反応体から調製されるが、その方法は(a)構造Aによって表される化合物と、(b)少なくとも1種のイソシアネート官能性材料と、(c)任意に、ヒドロキシ、チオおよび/またはアミノ官能性(メタ)アクリレートおよびヒドロキシ官能性ビニルエーテルと、(d)任意に、(メタ)アクリレート成分と、を反応させることを含む。
【0030】
反応生成物は、嫌気硬化性組成物、例えば、接着剤およびシーラントの配合において、(メタ)アクリレート成分および嫌気硬化誘導組成物と共に成分として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、スチールピンおよびカラーについて、樹脂1(約7重量%のTHQ−グリシドール付加物から作製された)を含む嫌気接着組成物の硬化時間に対する剪断強度のプロットを示し、そのいくつかは本発明の硬化促進剤を使用している。
【図2】図2は、間にスペーサーを有するスチールナットおよびボルトについて、樹脂2(約3重量%のTHQ−グリシドール付加物から作製された)を含む嫌気接着組成物の硬化時間に対する解除破壊強度のプロットを示し、そのいくつかは本発明の硬化促進剤を使用している。
【図3】図3は、間にスペーサーを有するスチールナットおよびボルトについて、樹脂3(約3重量%のインドリン−グリシドール付加物から作製された)を含む嫌気接着組成物の硬化時間に対する解除優性強度のプロットを示し、そのいくつかは本発明の硬化促進剤を使用している。
【0032】
(発明の詳細な説明)
本発明は、嫌気組成物のための硬化促進剤として有用な反応生成物に関する。従来の嫌気硬化促進剤(例えば、トルイジンおよび/またはアセチルフェニルヒドラジン)の一部の量またはすべての量の代替として、そのような反応生成物を硬化促進剤として嫌気接着剤中に添加すると、驚くべきことにそれらの硬化促進剤から形成された反応生成物に、従来の嫌気硬化性組成物から観察されたものと比較して、少なくとも匹敵する硬化速度および物理的特性が提供される。
【0033】
上記のように本発明において、
(a)構造A:
【0034】
【化11】

(構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である)の範囲内にある化合物と、
(b)少なくとも1種のイソシアネート官能性材料と
を含む反応体から調製される反応生成物が提供される。
【0035】
上で考察されたように、反応生成物は、独立して、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも2つ(望ましくは3つ)のペンダント官能基、望ましくはヒドロキシ官能基を含む。
【0036】
構造Aの化合物(それは本発明の反応生成物での単位を形成する)は、THQ、インドリンまたはインドールをベースにすることが望ましい。
【0037】
構造Aで表される化合物とイソシアネート官能性材料との反応は、溶媒の存在下で実施されてよい。その場合、構造Aで表される化合物は、イソシアネート官能性材料との反応の前に溶媒に溶解されてよく、逆もまた同様である。適した溶媒の例としては、石油スピリット、アルコール(例えば、メタノール、エタノールまたはブタノール)、芳香族炭化水素(例えば、キシレン)、グリコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル)、エステル、脂肪族化合物、および前述の任意のものの混合物が挙げられる。
【0038】
また、反応で採用される温度は広い範囲に渡って変えてもよい。成分がほぼ化学的に当量、またはイソシアネート反応体がわずかに過剰で混合される場合、有用な温度は、室温または室温より低い温度(例えば、10℃〜15℃)から、100℃〜175℃まで、およびそれらの温度を含めた温度まで変化してよい。より単純なイソシアネートを反応させる場合、成分は室温、または室温近く、例えば、20℃〜30℃の温度範囲で混合されことが好ましい。過剰量のイソシアネートを使用する高分子量イソシアネート付加物の調製では、反応体は室温で混合されてよく、または好ましくは約40℃〜約150℃の温度範囲で加熱されてよい。約90℃〜120℃で実施された反応は円滑に進むことが見出された。
【0039】
反応生成物(単数または複数)は、精製して不純物、例えば、反応副生物または反応体に付随する不純物(例えばキャリア)が除去されてよい。反応生成物(単数または複数)は、精製された反応生成物(単数または複数)が、実質的に不純物を含まないか、または約1重量%未満の不純物を含むか、または不純物を含まないように、例えば、蒸留、濾過、ストリッピングまたはクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0040】
本明細書で用いる場合、用語「イソシアネート官能性材料」は、少なくとも1つまたは少なくとも2つの−N=C=O官能基、および/または少なくとも1つまたは少なくとも2つの−N=C=S(イソチオシアネート)基を含む化合物、モノマー、オリゴマーおよびポリマーを含む。単官能性イソシアネートは、重合の連鎖停止剤として、または末端基を提供するために使用することができる。本明細書で用いる場合、「ポリイソシアネート」は、少なくとも2つの−N=C=O官能基を含むイソシアネート、例えば、ジイソシアネートまたはトリイソシアネート、さらに2量体および3量体またはイソシアネートのビュレット、ならびにそれらの混合物を意味する。適したイソシアネートは、反応性基、例えば、ヒドロキシ官能基と共有結合を形成することができる。本発明で有用なイソシアネートは、分岐鎖または非分岐鎖であってよい。
【0041】
本発明で有用なイソシアネートとしては、「変性(modified)」、「非変性(unmodified)」、ならびに「変性」および「非変性」イソシアネートの混合物が挙げられる。そのイソシアネートは、「遊離した(free)」、「ブロックされた(blocked)」または部分的にブロックされたイソシアネート基を有しうる。用語「変性(modified)」は、上記イソシアネートを公知の方法で変化させて、ビュレット、尿素、カルボジイミド、ウレタン、またはイソシアヌレート基もしくはブロッキング基を導入することを意味する。「変性」イソシアネートは、イソシアネート2量体および3量体、すなわち、ポリイソシアネートを生じさせる付加環化プロセスによって得られる。遊離イソシアネート基は著しく反応性がある。イソシアネート基含有成分の反応性を制御するために、NCO基は、イソシアネート基を反応性水素化合物に対して室温で不活性にする、ある選択された有機化合物でブロックされてよい。高い温度、例えば、約90℃〜約200℃の範囲の温度に加熱された場合、ブロックされたイソシアネートはブロッキング剤を放出し、元のブロックされていないイソシアネート、つまり遊離イソシアネートと同様に反応する。
【0042】
一般的に、イソシアネートをブロックするために使用される化合物は、活性水素原子を有する有機化合物、例えば、揮発性アルコール、ε−カプロラクタムまたはケトオキシム化合物である。適したブロッキング化合物の例としては、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、ε−カプロラクタムおよびメチルエチルケトオキシムが挙げられる。
【0043】
本明細書で用いる場合、NCO:OH比でのNCOとは、遊離イソシアネート含有材料の遊離イソシアネート、およびブロックされたイソシアネート含有材料またはブロッキング剤が放出された後の部分的にブロックされたイソシアネート含有材料の遊離イソシアネートを意味する。ある場合では、すべてのブロッキング剤を除くことはできない。そのような状況では、ブロックされたイソシアネート含有材料をより多く使用して、遊離NCOの所望の濃度が実現されるであろう。
【0044】
イソシアネート官能性材料の分子量は広範に変えることができる。別の実施形態では、各々の数平均分子量(Mn)は、少なくとも約100グラム/モル、または少なくとも約150グラム/モル、または約15,000グラム/モル未満、または約5,000グラム/モル未満であってよい。数平均分子量は公知の方法、例えば、ポリスチレン標準を使用するゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって決定されうる。
【0045】
適したイソシアネート官能性材料の例としては、脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式イソシアネート、それらの2量体および3量体、ならびにそれらの混合物が挙げられる。芳香族ポリイソシアネートが使用される場合、一般に、ポリウレタンが着色(例えば、黄色)しない材料を選択するように注意を払わなければならない。
【0046】
脂肪族および脂環式ジイソシアネートは、直鎖または環状に結合された約6〜約100個の炭素原子を含み、2つのイソシアネート反応性末端基を有することができる。
【0047】
適した脂肪族イソシアネートの例としては、直鎖イソシアネート、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)−カーボネート、およびビス(イソシアナトエチル)エーテルが挙げられる。
【0048】
適した脂肪族イソシアネートの他の例としては、分岐鎖イソシアネート、例えば、トリメチルヘキサンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−(イソシアナトメチル)オクタン、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、リジンジイソシアネートメチルエステル、およびリジントリイソシアネートメチルエステルが挙げられる。
【0049】
適した脂環式イソシアネートの例としては、イソプロピリデン基または1〜3個の炭素原子のアルキレン基によって架橋された二核化合物が挙げられる。適した脂環式イソシアネートの例としては、1,1’−メチレン−ビス(4−イソシアナトシクロヘキサン)または4,4’−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)(例えば、Bayer Corp.から市販品が入手可能なDESMODUR W)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、1,4−シクロへキシルジイソシアネート(CHDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、Arco Chemical Co.から市販品が入手可能な3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネートまたはIPDIとしても公知の分岐鎖イソシアネート)、およびメタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート[Cytec Industries Inc.から市販品がTMXDI(メタ)脂肪族イソシアネートの商品名で入手可能な、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)−ベンゼンとしても公知の分岐鎖イソシアネート]およびそれらの混合物が挙げられる。
【0050】
他の有用な二核脂環式ジイソシアネートとしては、1〜3個の炭素原子を含むアルキレン基から形成されたものが挙げられ、それらは、ニトロ、塩素、アルキル、アルコキシ、およびヒドロキシル基(または活性水素)と反応性がない他の基で置換されていてよいが、ただし、それらの置換基は、イソシアネート基を非反応性にするようには配置されない。また、水素化トルエンジイソシアネートのような水素化芳香族ジイソシアネートも使用されてよい。1つの環が飽和、他が不飽和である二核ジイソシアネートも使用されてよく、それらはジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルイソプロピリデンジイソシアネート、およびジフェニレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートを部分的に水素化することによって調製される。
【0051】
脂環式ジイソシアネートと脂肪族ジイソシアネートおよび/または芳香族ジイソシアネートとの混合物も使用されてよい。1つの例は、4,4’−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)と、商業品のトルエンジイソシアネートの異性体混合物またはメタ−フェニレンジイソシアネートとの混合物である。
【0052】
上記ジイソシアネートに対応するチオイソシアネート、さらにはイソシアネートおよびチオイソシアネート基を共に含有する混合化合物は使用されうる。
【0053】
適したイソシアネート官能性材料の例としては限定されるものではないが、DESMODUR W、DESMODUR N3300(ヘキサメチレンジイソシアネート3量体)、DESMODUR N 3400(60%ヘキサメチレンジイソシアネート2量体および40%ヘキサメチレンジイソシアネート3量体)を挙げることができ、それらはBayer Corp.から市販品が入手可能である。
【0054】
適したポリイソシアネートの他の例としては、エチレン系不飽和ポリイソシアネート;脂環式ポリイソシアネート;芳香族ポリイソシアネート;脂肪族ポリイソシアネート;ハロゲン化、アルキル化、アルコキシル化、ニトロ化、カルボジイミド変性、尿素変性、およびビュレット変性イソシアネートの誘導体;ならびにイソシアネートの2量化および3量化生成物が挙げられる。
【0055】
適したエチレン系不飽和ポリイソシアネートの例としては、ブテンジイソシアネートおよび1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネートが挙げられる。適した脂環式ポリイソシアネートの例としては、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−2,2−プロパン、ビス(イソシアナトシクロヘキシル)−1,2−エタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、および2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタンが挙げられる。
【0056】
適した芳香族ポリイソシアネートの例としては、α,α’−キシレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシレンジイソシアネート、1,3−ビス(1−イソシアナト−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネートおよび2,5−ジ(イソシアナトメチル)フラン、フェニレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、トリリジンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(3−メチル−4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシ−ビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリック4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、4−メチルジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)エチレングリコール、ビス(イソシアナトフェニルエーテル)−1,3−プロピレングリコール、ベンゾフェノンジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネートおよびジクロロカルバゾールジイソシアネートが挙げられる。
【0057】
イソシアネート官能性材料は、少なくとも1種のトリイソシアネートまたは少なくとも1種のポリイソシアネート3量体を含む。そのようなイソシアネートの例としては、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン(DESMODUR R)、1,3,5−トリス(3−イソシアナト−4−メチルフェニル)−2,3,6−トリオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DESMODUR IL)のような芳香族トリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート(TDI、2,4−ジイソシアナトトルエン)およびトリメチロールプロパン(DESMODUR L)の付加物のような芳香族ジイソシアネートの付加物;ならびに、N−イソシアナトヘキシルアミノカルボニル−N,N’−ビス(イソシアナトヘキシル)尿素(DESMODUR N)、2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリス(6−イソシアナトヘキシル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DESMODUR N3390)、2,4,6−トリオキソ−1,3,5−トリス(5−イソシアナト−1,3,3−トリメチルシクロヘキシルメチル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DESMODUR Z4370)、および4−(イソシアナトメチル)−1,8−オクタンジイソシアネートのような脂肪族トリイソシアネートが挙げられる。上記のDESMODUR製品は、Bayer Corp.から市販品が入手可能である。同様に有用なのは、ヘキサンジイソシアネートのビュレット、ポリメリックメタンジイソシアネート、およびポリメリックイソホロンジイソシアネートである。ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートおよびテトラメチルキシリレンジイソシアネートの3量体である。
【0058】
イソシアネート官能性材料は、脂環式化合物、例えば、イソプロピリデン基または1〜3個の炭素原子のアルキレン基によって架橋された二核化合物である。
【0059】
イソシアネート官能性材料は、ジイソシアネート、例えば、メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDIとしても公知)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,4−および2,6−トルエンジイソシアネートの80:20混合物(TDIとして公知)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、m−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、および4,4’−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)(DESMODUR Wとして市販品が入手可能)である。
【0060】
イソシアネート官能性材料は、イソシアネート官能性(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0061】
構造Aで表される化合物(単数または複数)と、イソシアネート官能性材料との反応生成物は、反応生成物を調製するために使用される反応体の全重量の約5〜約99重量%、または反応体の約50〜約95重量%、または約85重量%含んでよい。イソシアネート官能性材料は、反応生成物を調製するために使用される反応体の全重量の約1〜約30重量%、または反応体の約10〜約30重量%、または約25重量%含んでよい。
【0062】
構造Aの化合物とイソシアネート官能性材料との反応生成物は、さらに、ヒドロキシ、チオおよび/またはアミノ官能性材料、例えば、ヒドロキシ、チオおよび/またはアミノ官能性(メタ)アクリレートならびにヒドロキシ官能性ビニルエーテルと反応させることができる残留イソシアネート官能基を有することができる。
【0063】
構造Aで表される化合物(単数または複数)とイソシアネート官能性材料とのヒドロキシ官能性反応生成物(単数または複数)は、ウレタン連結を形成する。そのように形成されたヒドロキシ官能性反応生成物を、ポリイソシアネート化合物(単数または複数)と反応させてイソシアネート官能性ウレタンプレポリマーを形成し、その後、反応性(メタ)アクリレートモノマー、例えば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させて、官能性促進剤部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0064】
構造Aで表される化合物(単数または複数)のアミノ官能性反応生成物を、次いでイソシアネート官能性材料と反応させて尿素連結を形成する。そのように形成された構造Aで表される化合物(単数または複数)のアミノ官能性反応生成物を、次いでポリイソシアネート化合物(単数または複数)と反応させてイソシアネート官能性尿素プレポリマーを形成し、その後反応性(メタ)アクリレートモノマー、例えば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させて、官能性促進剤部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0065】
構造Aで表される化合物(単数または複数)とイソシアネート官能性材料とのチオール官能性反応生成物は、カルバモチオエート連結を形成する。そのように形成されたチオール官能性反応生成物を、次いでポリイソシアネート化合物(単数または複数)と反応させてイソシアネート官能性カルバモチオエートプレポリマーを形成し、その後、反応性(メタ)アクリレートモノマー、例えば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートと反応させて、官能性促進剤部分を含むジ(メタ)アクリレート系ポリマーまたは樹脂を生成する。
【0066】
語句「ヒドロキシル官能性(メタ)アクリレート」とは、キャップされたウレタン材料を作製および使用するのに適するであろう任意のヒドロキシル置換アクリレートまたはメタクリレート化合物を意味し、適したものの例としては、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(「HPMA」)、ヒドロキシブチルメタクリレートおよびそれらの混合物が挙げられる。適したヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの他の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(「PETA」)、および4−ヒドロキシブチルアクリレートが挙げられる。
【0067】
語句「ヒドロキシ官能性ビニルエーテル」は、キャップされたウレタンオリゴマーを作製および使用するために適するであろう任意のヒドロキシ置換ビニルエーテルを意味し、適したものの例としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテルおよびそれらの混合物、例えば、エチレングリコールモノビニルエーテル、およびシクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテルが挙げられる。
【0068】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、約80〜約1,000グラム/モル、または約100〜約800グラム/モル、または約110〜約600グラム/モルの数平均分子量を有することができる。
【0069】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、ウレタンの調製のために使用される反応体の約1〜約30重量%、または反応体の約2〜約15重量%、または反応体の約3〜約12重量%含んでよい。
【0070】
ある実施形態では、反応生成物は、ヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオ−官能性化合物(単数または複数)から選択される追加の反応体から調製される。これらの実施形態では、反応生成物は、約100〜約20,000グラム/モル、または約500〜約5,000グラム/モル、または約3,000グラム/モルの数平均分子量を有することができる。
【0071】
上記単量体の生成物の調製において使用するのに適したヒドロキシ−、アミノ−および/またはチオ−官能性化合物は、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシオクチルメタクリレートなどのような材料によって例示される。
【0072】
反応体はさらに、少なくとも1種のポリオールを含むことができる。本明細書で用いる場合、用語「ポリオール」としては、少なくとも2つのヒドロキシル基(例えば、ジオール)または少なくとも3つのヒドロキシル基(例えば、トリオール)を含む化合物、モノマー、オリゴマーおよびポリマー、高官能性ポリオールおよびそれらの混合物が挙げられる。適したポリオールは、イソシアネート官能基のような反応性基と共有結合を形成することができる。
【0073】
適したポリオールの例としては、炭化水素ポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で用いる場合、炭化水素ポリオールとは、オレフィン、脂環式ポリオールおよび芳香族ポリオールのような飽和脂肪族ポリオール、不飽和脂肪族ポリオールを意味する。
【0074】
適したジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−エタンジオールのような直鎖アルカンジオール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールのようなプロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、および1,4−ブタンジオールのようなブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオールおよび2,4−ペンタンジオールのようなペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび2,5−ヘキサンジオールのようなヘキサンジオール、2,4−ヘプタンジオールのようなヘプタンジオール、1,8−オクタンジオールのようなオクタンジオール、1,9−ノナンジオールのようなノナンジオール、1,10−デカンジオールのようなデカンジオール、1,12−ドデカンジオールのようなドデカンジオール、1,18−オクタデカンジオールのようなオクタデカンジオール、ソルビトール、マンニトール、およびそれらの混合物が挙げられる。ジオールは、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールのようなプロパンジオール、または1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、および1,4−ブタンジオールのようなブタンジオールであってよい。ポリオールの1個以上の炭素原子は、1個以上のヘテロ原子、例えば、N、S、またはOで置き換えられてよく、例としては、ジチオ−オクタンビスジオールのようなスルホン化ポリオール、2,2−チオジエタノールのようなチオジエタノール、または3,6−ジチア−1,2−オクタンジオールである。
【0075】
適したジオールの他の例としては、下記の式:
【0076】
【化12】

によって表されるものが挙げられ、上記式中、Rは、C〜C18の二価直鎖または分岐鎖脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、またはオリゴマーの飽和アルキレン基もしくはそれらの混合物;炭素および水素原子に加えて硫黄、酸素およびシリコンから選択される少なくとも1種の元素を含有するC〜C18の二価有機基;C〜C18の二価飽和シクロアルキレン基;またはC〜C18の二価飽和ヘテロシクロアルキレン基を表し、R’およびR”は、存在してもよくまたは存在しなくてもよく、存在する場合、各々独立して、C〜C18の二価直鎖または分岐鎖脂肪族、脂環式、芳香族またはアリール、複素環式、ポリマー、またはオリゴマーの飽和アルキレン基もしくはそれらの混合物を表す。
【0077】
適したジオールの他の例としては、分岐鎖アルカンジオール、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−ブタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、ジブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコールのようなポリアルキレングリコール、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0078】
ジオールは、シクロアルカンジオール、例えば、シクロペンタジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、シクロドデカンジオール、4,4’−イソプロピリデン−ビスシクロヘキサノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、シクロヘキサンジエタノール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)−シクロヘキサン、4,4’−イソプロピリデン−ビスシクロヘキサノール、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキサノール)メタン、および4,8−ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンならびにそれらの混合物であってよい。
【0079】
ジオールは、芳香族ジオール、例えば、ジヒドロキシベンゼン、1,4−ベンゼンジメタノール、キシレングリコール、ヒドロキシベンジルアルコールおよびジヒドロキシトルエン;ビスフェノール、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’−オキシビスフェノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−チオビスフェノール、フェノールフタレイン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−(1,2−エテンジル)ビスフェノールおよび4,4’−スルホニルビスフェノール;水素化ビスフェノール、ハロゲン化ビスフェノール、例えば、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジブロモフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジクロロフェノール)および4,4’−イソプロピリデンビス(2,3,5,6−テトラクロロフェノール);アルコキシル化ビスフェノールであって、例えば、エトキシ、プロポキシ、α−ブトキシおよびβ−ブトキシ基を有するもの;対応するビスフェノールを水素化することによって調製されうるビシクロヘキサノール、例えば、4,4’−イソプロピリデン−ビシクロヘキサノール、4,4’−オキシビスシクロヘキサノール、4,4’−チオビスシクロヘキサノールおよびビス(4−ヒドロキシシクロヘキサノール)メタン;1モルの2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノールA)と2モルのプロピレンオキシドとのアルコキシル化生成物;ヒドロキシアルキルテレフタレート、例えば、メタまたはパラビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート;ビス(ヒドロキシエチル)ヒドロキノン;および、それらの混合物であってよい。
【0080】
ジオールは、複素環式ジオール、例えば、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジンのようなジヒドロキシピペリジン;アミドまたはアルカンアミド[例えば、エタンジアミド(オキサミド)]のジオール、例えば、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)オキサミド;プロピオネートのジオール、例えば、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート;ヒダントインのジオール、例えば、ビスヒドロキシプロピルヒダントイン;フタレートのジオール、例えば、メタまたはパラビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート;ヒドロキノンのジオール、例えば、ジヒドロキシエチルヒドロキノン;および/またはイソシアヌレートのジオール、例えば、ジヒドロキシエチルイソシアヌレートであってよい。
【0081】
使用に適した3官能、4官能またはさらに高官能ポリオールの例としては、グリセロールまたはグリセリンのような分岐鎖アルカンポリオール、テトラメチロールメタン、トリメチロールエタン(例えば、1,1,1−トリメチロールエタン)、トリメチロールプロパン(TMP)(例えば、1,1,1−トリメチロールプロパン)、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビタン、それらのアルコキシル化誘導体およびそれらの混合物が挙げられる。
【0082】
ポリオールは、シクロアルカンポリオール、例えば、トリメチレンビス(1,3,5−シクロヘキサントリオール)、または芳香族ポリオール、例えば、トリメチレンビス(1,3,5−ベンゼントリオール)であってよい。
【0083】
適したポリオールのさらなる例としては、アルコキシル化誘導体、例えば、エトキシ化、プロポキシル化およびブトキシ化誘導体であってよい上記のポリオールが挙げられる。次のポリオール:グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ベンゼントリオール、シクロヘキサントリオール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジペンタエリスリトールおよびトリペンタエリスリトールは、1〜10個のアルコキシ基でアルコキシル化されうる。適したアルコキシル化ポリオールの例としては、エトキシ化トリメチロールプロパン、プロポキシル化トリメチロールプロパン、エトキシ化トリメチロールエタン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0084】
ポリオールは、日本曹達株式会社から市販品が入手可能な約1500の計算数平均分子量および約60〜120KOH mg/gの水酸基値を有するNISSO GI−1000ヒドロキシ末端、水素化1,2−ポリブタジエン(HPBD樹脂)のような不飽和脂肪族ポリオールであってよい。
【0085】
本発明で使用するためのポリオールは、SH−含有材料、例えば、ジチオールまたはポリチオールであってよく、それらの例としては、脂肪族ポリチオール、脂環式ポリチオール、芳香族ポリチオール、複素環式ポリチオール、ポリマーポリチオール、オリゴマーポリチオール、およびそれらの混合物が挙げられる。本明細書で用いる場合、用語「チオール」、「チオール基」、「メルカプト」または「メルカプト基」は、イソシアネート基でチオウレタン連結(すなわち、−NH−C(O)−S−)またはイソチオシアネート基でジチオウレタン連結(すなわち、−NH−C(S)−S−)を形成することができる−SH基を意味する。
【0086】
ポリオールは1種以上のポリエーテルポリオール(単数または複数)であってよく、その例としては、ポリ(オキシアルキレン)ポリオールまたはポリアルコキシル化ポリオールが挙げられる。ポリ(オキシアルキレン)ポリオールは、公知の方法に従って調製されうる。ポリ(オキシアルキレン)ポリオールは、酸または塩基触媒による多価開始剤または多価開始剤の混合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、およびソルビトールとの付加を利用して、アルキレンオキシド、またはアルキレンオキシドの混合物を縮合することによって調製されうる。アルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、アミレンオキシド、アラルキレンオキシド、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドの混合物を挙げることができる。ポリオキシアルキレンポリオールは、ランダムまたは段階式オキシアルキル化を利用してアルキレンオキシドの混合物を用いて調製できる。そのようなポリ(オキシアルキレン)ポリオールの例としては、ポリオキシエチレンポリオール、例えば、ポリエチレングリコール、およびポリオキシプロピレンポリオール、例えば、ポリプロピレングリコールが挙げられる。
【0087】
他のポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキシド−プロピレンオキシドおよび/またはエチレンオキシド−ブチレンオキシドのブロックを有するようなブロックポリマーが挙げられる。ある限定されない実施形態では、ポリエーテルポリオールは、次の式:
HO−(CHRCHR−O)−(CHRCHR−O)−(CHRCHR−O)−H
で表されるブロックコポリマーを含み、式中、R〜Rは、各々、独立して、水素またはメチルを表し;a、b、およびcは、各々、独立して、0〜300の整数から選択され、ここで、a、b、およびcは、ポリオールの数平均分子量がGPCによる測定で約32,000グラム/モル未満、または約10,000グラム/モル未満であるように選択される。
【0088】
ポリアルコキシル化ポリオールは、次の一般式:
【0089】
【化13】

によって表されてよく、上記式中、mおよびnは、各々、正の整数であってよく、mおよびnの合計は、5〜70であり;RおよびRは、各々、水素、メチルまたはエチルであり;Aは、1〜8個の炭素原子を含んでいてよい直鎖または分岐鎖アルキレン、フェニレン、およびC〜Cのアルキル置換フェニレンのような二価結合基である。mおよびnの値は、選択される二価連結基との組合せでポリオールの分子量を決定できる。ポリオール、例えば、4,4’−イソプロピリデンジフェノールは、オキシラン含有材料、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドと反応させて、ヒドロキシル官能基を有する、エトキシ化、プロポキシル化またはブトキシ化ポリオールと通常呼ばれるものを形成することができる。
【0090】
ポリエーテルポリオールは、PLURONICエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマー、例えば、PLURONIC RおよびPLURONIC L62D、および/またはエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースとするTETRONICテトラ官能性ブロックコポリマー、例えば、TETRONIC Rであってよく、それらはBASF Corp.から市販品が入手可能である。
【0091】
本明細書で用いる場合、また語句「ポリエーテルポリオール」は、限定されないが、例えば、三フッ化ボロン、錫(IV)塩化物およびスルホニル塩化物のようなルイス酸触媒の存在下で、テトラヒドロフランの重合によって調製されるポリ(オキシテトラメチレン)ジオールを含むことができる。
【0092】
適したポリエーテルポリオールの例としては、ポリ(プロピレンオキシド)ジオール、コポリ(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ジオール、およびポリ(テトラメチレンオキシド)ジオールが挙げられる。
【0093】
ポリエーテルポリオールは、Lyondellから市販品が入手可能なPOLYMEG(登録商標)2000ポリテトラメチレンエーテルグリコール(エーテル連結によって結合されたテトラメチレン反復単位の骨格を有し、第1級ヒドロキシルでキャップされ、約1900〜2100の分子量および約53.0〜約59.0の水酸価を有する直鎖ジオール)であってよい。
【0094】
ポリエーテルポリオールは、ヒドロキシル基が反復テトラメチレンエーテル基:HO(CHCHCHCH−O−)Hによって分離され(ここでnは平均すると14である)、107〜118の水酸価を有する直鎖ジオールのブレンドであるTERATHANE(登録商標)1000ポリテトラメチレンエーテルグリコール(INVISTAから市販品が入手可能)、またはPOLYMEG(登録商標)1000であってよい。
【0095】
ポリオールは1種以上のポリエステルポリオール(単数または複数)、例えば、ポリエステルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびそれらの混合物から選択されるものであってよい。適したポリエステルポリオールの例としては、ジカルボン酸またはそれらの無水物と、ジ−、トリ−、またはテトラ−アルコールとの重縮合反応によって調製されるポリラクトンポリエステルおよびポリエステルポリオールのような任意の周知のジ−、トリ−、またはテトラヒドロキシ末端ポリエステルが挙げられる。
【0096】
そのようなポリエステルポリオールの例としては、ポリエステルグリコール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、およびそれらの混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとしては、4〜10個の炭素原子を有する1種以上のジカルボン酸、例えば、アジピン酸、コハク酸またはセバシン酸と、2〜10個の炭素原子を有する1種以上の低分子量グリコール、例えば、限定されないが、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールおよび1,10−デカンジオールとのエステル化生成物を挙げることができる。
【0097】
ポリカプロラクトンポリオールの例としては、水または低分子量グリコール、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールのような2官能性の活性水素材料の存在下で、カプロラクトンを縮合することによって調製されたものが挙げられる。適したポリカプロラクトンポリオールの例としては、Solvay Chemical(Houston、TX)から市販品が入手可能なCAPAポリカプロラクトンポリオール、例えば、第1級ヒドロキシル基によって末端化され、830の平均分子量、および典型的に135mgKOH/gのOH値を有する、カプロラクトンモノマーから誘導されたCAPA2085直鎖ポリエステルジオール、ならびにDow Chemical(Midland、MI)からのTONEシリーズ、例えば、TONE0201、0210、0230および0241を挙げることができる。ポリカプロラクトンポリオールは、約500〜約2000グラム/モル、または約500〜約1000グラム/モルの範囲の分子量を有することができる。
【0098】
ポリカーボネートポリオールの例としては、脂肪族ポリカーボネートジオール、例えば、アルキレングリコール、エーテルグリコール、脂環式グリコール、またはそれらの混合物をベースとするものが挙げられる。ポリカーボネートポリオールを調製するためのアルキレン基は、5〜10個の炭素原子を含んでいてよく、直鎖、シクロアルキレン、またはそれらの組合せであってよい。そのようなアルキレン基としては、ヘキシレン、オクチレン、デシレン、シクロヘキシレンおよびシクロヘキシルジメチレンが挙げられる。適したポリカーボネートポリオールは当業者に周知の方法で、ヒドロキシ末端アルキレングリコールと、ジアルキルカーボネート、例えば、メチル、エチル、n−プロピルまたはn−ブチルカーボネート、もしくはジアリールカーボネート、例えば、ジフェニルまたはジナフチルカーボネートとを反応させることによって、またはヒドロキシ末端アルキレンジオールと、ホスゲンまたはビスクロロホルメートとを反応させることによって調製することができる。適したポリカーボネートポリオールの例としては、Arch Chemicalから市販品が入手可能な、POLY−CD210ヒドロキシル末端1000MWポリ(1,6−ヘキサンジオール)カーボネートポリオールが挙げられる。
【0099】
上記ポリオールの任意の混合物が使用されうる。
【0100】
ポリオールは、約100〜約10,000グラム/モル、または約500〜約5,000グラム/モル、または約600〜約3500グラム/モルの数平均分子量を有することができる。
【0101】
ポリオールは、ウレタンを調製するために使用される反応体の約10〜約90重量%、または反応体の約30〜約70重量%、または反応体の約35〜約65重量%含んでもよい。
【0102】
反応は、希釈剤の存在または非存在中で達成されてよい。炭化水素、例えば、脂肪族、脂環式および芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、ヘキサン、ヘプタンなどを含む希釈剤が使用されることが好ましいが、所望であれば、特にシーラントシステムとの完全な相溶性が望ましい場合には、他の希釈剤、例えば、メチルイソブチルケトン、ジアミルケトン、イソブチルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、およびシクロへキシルメタクリレートも都合よく利用することができる。
【0103】
本発明の反応生成物は、約500〜約10,000グラム/モル、または約1000〜約7000グラム/モルの範囲の数平均分子量を有することができる。
【0104】
本発明の反応生成物は、嫌気硬化システムのための促進剤および/または樹脂システムの成分として有用である。従って、反応生成物は(メタ)アクリレートマトリックス中に架橋するので、反応生成物の一部を形成する。
【0105】
構造Aで表される化合物(単数または複数)とイソシアネート官能性材料との反応生成物は、反応生成物を調製するために使用される反応体の全重量の約5〜約99重量%、または約50〜約95重量%、または反応体の約85重量%含んでよい。イソシアネート官能性材料は、反応生成物を調製するために使用される反応体の全重量の約1〜約30重量%、または反応体の約10〜約30重量%、または約25重量%含んでよい。
【0106】
嫌気硬化性組成物は一般に、(メタ)アクリレート成分を嫌気硬化誘導組成物と共にベースとする。本発明の嫌気硬化性組成物は、(メタ)アクリレート成分を嫌気硬化誘導組成物と共にベースとするが、その誘導組成物は、少なくとも低減した濃度でのAPH(例えば、従来の嫌気硬化性組成物において使用される重量の約50%以下)を有することが好ましく、実質的にAPHを含まず(約10重量%未満、約5重量%未満または約1重量%未満)またはAPHを含まない。APHの一部またはすべてを代替したものが本発明の反応生成物である。
【0107】
本発明で(メタ)アクリレート成分として使用するのに適した(メタ)アクリレートモノマーは、広く様々な材料、例えば、HC=CGCOによって表されるものから選択されてよく、ここでGは、水素、ハロゲンまたは1〜約4個の炭素原子を有するアルキル基であってよく、Rは、1〜約16個の炭素原子有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリル、アラルキルまたはアリール基から選択されてよく、場合によっては、それらのすべてが任意に、シラン、シリコン、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで置換または割り込まれていてよい。
【0108】
本発明における(メタ)アクリレート成分として、または反応生成物の調製での成分として本発明で使用するために適した追加の(メタ)アクリレートモノマーとしては、多官能性(メタ)アクリレートモノマー、例えば、2または3官能性(メタ)アクリレート、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフラン(メタ)アクリレートおよびジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(「HPMA」)、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(「TMPTMA」)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ−(ペンタメチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、テトラエチレンジグリコールジ(メタ)アクリレート、ジグリセロールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、エチレンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ならびにビスフェノール−Aモノおよびジ(メタ)アクリレート、例えば、エトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)、ならびにビスフェノール−Fモノおよびジ(メタ)アクリレート、例えば、エトキシ化ビスフェノール−A(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0109】
さらに、本発明で使用されてよい他の(メタ)アクリレートモノマーとしては、シリコーン(メタ)アクリレート部分構造(「SiMA」)、例えば、米国特許第5,605,999号(Chu)公報で教示および特許請求されたものが挙げられ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
他の適したモノマーとしては、式:
【0111】
【化14】

で表されるポリアクリレートエステルが挙げられ、上記式中、Rは、水素、ハロゲンまたは1〜約4個の炭素原子のアルキルから選択される基であり;qは、少なくとも1に等しい整数であり、好ましくは1〜約4に等しい整数であり;Xは、少なくとも2個の炭素原子を含有し、q+1の全結合能力を有する有機基である。Xにおける炭素原子数の上限に関して、有効なモノマーは実質的に任意の値で存在する。しかしながら、実際問題として一般的な上限は、約50個の炭素原子であり、30個が好ましく、約20個が最も好ましい。
【0112】
例えば、Xは、式:
【0113】
【化15】

で表される有機基であってよく、上記式中、YおよびYの各々は、少なくとも2個の炭素原子、望ましくは2〜約10個の炭素原子を含有する有機基、好ましくは炭化水素基であり、Zは、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは2〜約10個の炭素原子を含有する有機基、好ましくは炭化水素基である。
【0114】
他の有用なモノマー種は、ジ−またはトリ−アルキロールアミン(例えば、エタノールアミンまたはプロパノールアミン)と、アクリル酸、例えば、フランス特許第1,581,361号公報に開示されているものとの反応生成物である。
【0115】
有用なアクリルエステルオリゴマーの例としては、次の一般式:
【0116】
【化16】

を有するものが挙げられ、上記式中、Rは、水素、1〜約4個の炭素原子の低級アルキル、1〜約4個の炭素原子のヒドロキシアルキル、および
【0117】
【化17】

上記式中、Rは、水素、ハロゲン、または1〜約4個の炭素原子の低級アルキルから選択される基であり、Rは、水素、ヒドロキシル、または
【0118】
【化18】

から選択される基であり、mは、少なくとも1に等しい整数、例えば、1〜約15またはそれよりも大きい整数、望ましくは1〜約8の整数であり;nは、少なくとも1に等しい整数、例えば、1〜約40またはそれよりも大きい整数、望ましくは約2〜約10の間の整数であり;pは0または1である。
【0119】
上記一般式に対応するアクリルエステルオリゴマーの典型例としては、ジ−、トリ−およびテトラエチレングリコールジメタクリレート、ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート)、ジグリセロールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、およびトリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0120】
ジ−および他のポリアクリレートエステル、特に先行する段落に記載されたポリアクリレートエステルは望ましいものでありうるが、単官能アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含有するエステル)も使用されてよい。単官能アクリレートエステルを取り扱う場合、比較的極性のアルコール性部分構造を有するエステルを使用することが非常に望ましい。そのような材料は低分子量アルキルエステルよりも揮発性が低く、さらに重要なことに、極性基は硬化の間および後に分子間引力を提供する傾向があり、従って、より望ましい硬化特性、ならびに、より耐久性を有するシーラントまたは接着剤を生成する。極性基は、不安定な水素、複素環式環、ヒドロキシ、アミノ、シアノ、およびハロ極性基から選択されることが最も好ましい。この分類の範囲内にある化合物の典型例は、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、およびクロロエチルメタクリレートである。
【0121】
他の有用なモノマー種は、官能性置換基上に活性水素原子を含有する単官能的に置換されたアルキルまたはアリールアクリレートエステルの反応によって調製される。この単官能アクリレート末端材料は、すべてのイソシアネート基をウレタンまたはウレイド基に転化するのに適した割合で有機ポリイソシアネートと反応させる。単官能アルキルおよびアリールアクリレートエステルは、ヒドロキシまたはアミノ官能基をそれらの非アクリレート部分に含有するアクリレートおよびメタクリレートであることが好ましい。使用するのに適したアクリレートエステルは、式:
【0122】
【化19】

を有し、上記式中、Xは、−O−または
【0123】
【化20】

から選択され、Rは、水素または1〜7個の炭素原子の低級アルキルから選択され;Rは、水素、塩素またはメチルおよびエチル基から選択され;Rは、1〜8個の炭素原子の低級アルキレン、フェニレンまたはナフチレンから選択される二価有機基である。これらの基はポリイソシアネートとの適切な反応によって、下記の一般式:
【0124】
【化21】

で表されるモノマーを与え、式中、nは、2〜約6の整数であり;Bは、置換および未置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アラルキル、アルカリルまたは複素環式基から選択される多価有機基であり;R、RおよびXは、上記と同じ意味を有する。
【0125】
当然ながら、これらの(メタ)アクリレートモノマーの組合せも使用されてよい。
【0126】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の全重量を基準に組成物の約10〜約90重量%、例えば、約60〜約90重量%含んでよい。
【0127】
嫌気硬化促進剤として有用な本発明の反応生成物は、組成物の全重量を基準にして約0.1〜約95重量%、例えば、約10〜約50重量%の量で使用してよい。嫌気硬化促進剤として有用な本発明の反応生成物は、従来の促進剤との組合せで使用されてよい(そのような従来の促進剤よりは低い濃度で、ではあるが)。
【0128】
(メタ)アクリレート成分、嫌気硬化誘導組成物および本発明の反応生成物には、配合物またはそれらの反応生成物のいずれかの物理的特性を変えるために従来の嫌気接着剤に含まれてきた追加成分が添加されてよい。例えば、1種以上のマレイミド成分、耐熱性を付与する共反応体、昇温条件で反応性を有する希釈剤成分、モノ−またはポリ−ヒドロキシアルカン、ポリマー可塑剤、およびキレート剤(参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,391,993号公報を参照)は、配合物の物理的特性および/または硬化プロファイルおよび/または硬化接着剤の強度または温度抵抗性を改変するために含まれてよい。
【0129】
マレイミド、共反応体、反応性希釈剤、可塑剤、および/またはモノ−またはポリ−ヒドロキシアルカンは、使用される場合、組成物の全重量を基準に約1重量%〜約30重量%の範囲内で存在してよい。
【0130】
また、本発明の組成物は他の従来的な成分、例えば、フリーラジカル開始剤、フリーラジカル共促進剤、およびフリーラジカル生成禁止剤、ならびに金属触媒を含んでもよい。
【0131】
限定されることなしに、ヒドロペルオキシド、例えば、クメンヒドロペルオキシド(「CHP」)、パラ−メンタンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)およびt−ブチルペルベンゾエートなどの多くの周知のフリーラジカル重合開始剤は、典型的には本発明の組成物に含有される。他のペルオキシドとしては、ベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジアセチルペルオキシド、ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バリレート、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、t−ブチルペルベンゾエート、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチル−ペルオキシヘキサ−3−イン、4−メチル−2,2−ジ−t−ブチルペルオキシペンタン、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0132】
そのようなペルオキシド化合物は、典型的には本発明において、組成物の全重量を基準に約0.1〜約10重量%の範囲で採用され、約1〜約5重量%が望ましい。
【0133】
上記のように、本発明の嫌気硬化促進剤と併用して従来のフリーラジカル重合の促進剤も、過去に使用された量よりも少ない量ではあるが使用してよい。そのような促進剤は、典型的には米国特許第4,287,350号(Rich)および同4,321,349号(Rich)各公報に開示されているヒドラジン型(例えば、APH)である。マレイン酸は通常、APH含有嫌気硬化システムに添加される。本発明の1つの利益は、嫌気接着組成物の調製において本発明の嫌気硬化促進剤がそのような酸の使用を不必要にすることである。
【0134】
フリーラジカル重合の共促進剤も本発明の組成物において使用してよく、有機アミドおよびイミド、例えば、安息香酸スルフィミド(サッカリンとしても公知)(米国特許第4,324,349号公報を参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
早期のペルオキシド分解および本発明の組成物の重合を制御および防止するために、安定剤および禁止剤(例えば、ヒドロキノンおよびキノンを含むフェノール類)、さらにそれらに由来する微量の金属汚染物質を捕捉するために、キレート化剤[例えば、エチレンジアミン四酢酸テトラナトリウム塩(「EDTA」)]も採用されてよい。使用される場合、キレート化剤は通常、組成物の全重量を基準に約0.001重量%〜約0.1重量%の量で存在してよい。
【0136】
金属触媒溶液またはそれらの事前混合物は、約0.03重量%〜約0.1重量%の量で使用される。
【0137】
増粘剤、非反応性可塑剤、フィラー、強化剤(例えば、エラストマーおよびゴム)のような他の添加物、ならびに他の周知の添加物は、当業者が望ましいであろうと考える場合、包含されてよい。
【0138】
また本発明は、本発明の嫌気接着組成物を調製および使用する方法、さらにはその組成物の反応生成物も提供する。
【0139】
本発明の組成物は、当業者には周知である従来の方法を使用して調製されてよい。例えば、本発明の組成物の成分は、成分が組成物中で果たす役割および機能と調和する任意の都合の良い順序で共に混合されてよい。公知の装置を使用する従来の混合技術を採用してよい。
【0140】
本発明の組成物は様々な基体に塗布され、本明細書に記載された所望の利益および利点を伴って機能することができる。例えば、適切な基体は、スチール、真鍮、銅、アルミニウム、亜鉛、および他の金属および合金、セラミックおよび熱硬化性樹脂から構成されてよい。本発明の組成物は、特に、スチール、真鍮、銅および亜鉛上で良好な結合力を示す。嫌気硬化性組成物のための適切なプライマーは、硬化速度を増大するために選択された基体の表面に塗布されてよい。または、本発明の嫌気硬化促進剤は、プライマーとして基体の表面に塗布されてよい。例えば、米国特許第5,811,473号(Ramos)公報を参照。
【0141】
さらに本発明は、嫌気硬化性組成物を調製する方法を提供し、そのステップは、(メタ)アクリレート成分、嫌気硬化誘導組成物、および嫌気硬化促進剤反応生成物を共に混合することを含む。
【0142】
また、本発明は、本発明の嫌気硬化性組成物から反応生成物を調製するための工程も提供し、そのステップは、組成物を所望の基体表面に塗布するステップ、および組成物を硬化するのに充分な時間、組成物を嫌気環境に曝すステップを含む。
【0143】
また、本発明は、嫌気硬化性組成物のための硬化促進剤として、上で考察した嫌気硬化促進剤反応生成物を使用する方法も提供する。
【0144】
また本発明は、嫌気硬化促進剤化合物を使用する方法を提供し、それは(I)嫌気硬化促進剤化合物を嫌気硬化性組成物中で混合するステップ、または(II)嫌気硬化促進剤化合物を基体表面に塗布し、その上に嫌気硬化性組成物を塗布するステップを含む。当然ながら、また本発明は、嵌合した基体間に本発明の組成物によって形成された接合も提供する。
【0145】
本発明の上述を参照して、広範囲の実用機会が提供されることは明らかである。下記の実施例は例示的な目的のみであり、本明細書の教示を決して制限するようには解釈されるべきではない。
【実施例】
【0146】
<構造Aで表される化合物の合成>
APHの代替品としてグリシドールとインドリンまたはTHQとの反応生成物(単数または複数)およびある種のアルキル化インドリンまたはTHQ付加物を、嫌気硬化性組成物、例えば、接着剤における硬化促進剤として評価するために研究を実施した。
【0147】
APHの代替品としてグリシドールとインドリンまたはTHQとの反応生成物(単数または複数)を、嫌気硬化性組成物、例えば、接着剤における硬化促進剤として評価するために研究を実施した。下記の合成スキームに従ってインドリン−グリシドール付加物を調製した:
【0148】
【化22】

【0149】
コンデンサー、添加漏斗、窒素パージ、磁気撹拌子およびサーモプローブを備えた500mlの四つ口丸底フラスコにグリシドール(62グラム;805ミリモル)を添加した。フラスコを氷浴中に置き、その後、インドリン(97グラム;805ミリモル)を窒素のパージ下で混合しながら添加した。混合を2時間継続し、その時点で固体の形成を観察した。
【0150】
そのように形成した固体は、混合しながら固体−アセトン混合物を溶液が形成するまで50℃に加熱することによって、アセトンで再結晶した。次いで温度を38℃に下げ、そこで固体の再形成を観察した。次いで混合物を濾過し、固体を採取し、オーブン中50℃で真空乾燥した。
【0151】
下記の合成スキームに従ってTHQ−グリシドール付加物を調製した:
【0152】
【化23】

【0153】
コンデンサー、添加漏斗、窒素パージ、磁気撹拌子およびサーモプローブを備えた500mlの四つ口丸底フラスコにグリシドール(8グラム;108ミリモル)およびTHQ(14グラム;108ミリモル)を添加した。フラスコを60℃で維持したホットプレート上に9時間置き、その間中、攪拌を続けた。反応混合物を一夜、室温で放置した。100mlの脱イオン水を添加し、反応混合物を再度60℃に加熱した。
【0154】
混合物をイソプロピルアルコール/水、続いて脱イオン水を混合することによって再結晶化し、ここで固体が再形成するのを観察した。次いで混合物を濾過し、固体を採取し、オーブン中、50℃で真空乾燥した。
【0155】
<構造Aで表される化合物、イソシアネート官能性材料、(メタ)アクリレート化合物およびヒドロキシ官能性化合物からの反応生成物の合成>
下記の手順を用いて、構造Aで表される化合物の〜7.0%(重量/重量)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(「TMXDI」)およびテトラヒドロフルフリル(「THF」)メタクリレートからの反応生成物として樹脂(0.6kg理論収量)を調製した。本発明の反応生成物を、示された重量%で下記の材料から調製した。最初に、攪拌子、サーモカップル、空気入口、および空気出口を備えた500mlのジャケット型反応容器に、混合しながら39.37%のTMXDI、20.79%のポリ(テトラヒドロフラン)−250、20.10%のTHFメタクリレート、0.05%のIRGANOX1010、0.05%のMeHQ、および0.10%のジブチル錫ジラウレート(「DBTDL」)を添加し、空気を通しながら75℃で1時間反応させた。次いで12.13%のヒドロキシプロピルメタクリレート(「HPMA」)を添加し、75℃の温度で2時間反応させた。次いで残存NCOを確認した。6.91%のTHQ−グリシドール付加物を添加し、75℃の温度で3時間反応させた。最後にエチレングリコール中、0.50%のEDTAを攪拌しながら添加し、15分間撹拌を継続した。
【0156】
そのように調製した反応生成物を本明細書では樹脂1と呼ぶ。樹脂1を使用して試料C〜Fを調製した。THQ−グリシドール付加物の量を約3%に下方に調節して樹脂2を調製した。樹脂2を使用して試料G〜Jを調製した。インドリン−グリシドール付加物を6.91%の量で使用して樹脂3を調製した。樹脂3を使用して試料K〜Nを調製した。
【0157】
<嫌気硬化性組成物の調製>
ここで、下の表に示される量で記載された成分を使用して6種の嫌気硬化性組成物を形成した。試料AおよびBを各々コントロールとして使用し、試料AはDE−p−Tで促進し、試料Bは促進していない。表1では試料C〜Fは、10部ずつ加算して10〜40部(この場合、重量%)の範囲の量で本発明の反応生成物(上記の樹脂1)を含んでいた。表2で試料G〜Jは、10部ずつ加算して10〜40部(この場合、重量%)の範囲の量で本発明の反応生成物(上記の樹脂2)を含んでいた。表3で試料K〜Nは、10部ずつ加算して10〜40部(この場合、重量%)の範囲の量で本発明の反応生成物(上記の樹脂3)を含んでいた。
【0158】
【表1】

【0159】
【表2】

【0160】
【表3】

【0161】
試料の調製において、各々の表での最初の5つの成分をリストした順序で混合した。成分が溶解するようにステンレススチールプロペラ型混合器を用いて成分を混合した。残りの成分を添加し、上記のように混合した。
【0162】
<物理的特性評価>
解除/優性接着力試験(breakloose/prevail adhesion testing)をASTM D5649に従って実施した。解除トルク(breakloose torque)は、固定した組立品において軸力を減少または除去するのに必要な初期トルクである。優性トルク(prevailing torque)は、接合の初期破壊の後、ナットの360°回転中の任意の点で測定される。優性トルクは通常、ナットの180°回転で決定される。スチール3/8×16ナットおよびボルトを1,1,1−トリクロロエチレンで脱グリースし、接着剤をボルトに塗布し、スペーサーとしてスチールカラーを備えたボルトにナットをねじ込んだ。
【0163】
試験する接着剤配合物の各々に対して、スチールおよびステンレススチールの20個のナットおよびボルト試験片を組み立てた。破壊/優性接着力試験では、試験片を組立後(各々5つの試験片)、環境温度で15分間、30分間、1時間、4時間および24時間維持した。次いで破壊および優性トルク強度[インチ−ポンド(in−lbs)で測定]は、各々の配合物の5つの試験片をそれぞれ環境温度(25℃)および45〜50%相対湿度で15分、30分、1時間、4時間および24時間後に記録した。較正した自動トルク分析器を用いてトルク強度を測定した。樹脂1に関するこれらの評価に対するデータを、図1を参照して下の表4に説明する。
【0164】
【表4】

【0165】
このデータは、本発明に従った試料C〜Fは、基体上で塗布および硬化した場合、従来の嫌気(メタ)アクリレート系接着剤組成物(試料A)と比較して、室温で概して類似の解除および優性特性を見せ、ならびに促進剤が存在しないこと以外は類似した試料(試料B)より優れた性能を見せたことを示す。
【0166】
樹脂2に関するこれらの評価に対するデータを、図2を参照して下の表5に説明する。
【0167】
【表5】

【0168】
このデータは、本発明に従った試料G〜Jは、基体上で塗布および硬化した場合、従来の嫌気(メタ)アクリレート系接着剤組成物(試料A)と比較して、室温で一般に類似の解除および優性特性を見せ、ならびに促進剤が存在しないこと以外は類似した試料(試料B)より優れた性能を見せたことを示す。
【0169】
樹脂2に関するこれらの評価に対するデータを、図3を参照して下の表6に説明する。
【0170】
【表6】

【0171】
このデータは、本発明に従った試料K〜Nは、基体上で塗布および硬化した場合、従来の嫌気(メタ)アクリレート系接着剤組成物(試料A)と比較して、室温で一般に類似のわずかに優れた解除および優性特性を見せ、ならびに促進剤が存在しないこと以外は類似した試料(試料B)より優れた性能を見せたことを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)構造A:
【化1】

(構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である)の範囲内に包含される化合物と、
(b)少なくとも1種のイソシアネート官能性材料と
を含む反応体から調製される、反応生成物。
【請求項2】
さらに、反応体として(c)ヒドロキシ官能性材料、アミノ官能性材料、チオ官能性材料、ならびにそれらの組合せおよび混合物からなる群より選択される少なくとも1種の官能性材料を含む、請求項1に記載の反応生成物。
【請求項3】
さらに、反応体として(d)少なくとも1種の(メタ)アクリレート官能性材料を含む、請求項1に記載の反応生成物。
【請求項4】
前記ヒドロキシ官能性材料が、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートである、請求項2に記載の反応生成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートが、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロポキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレートおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項4に記載の反応生成物。
【請求項6】
前記反応生成物が、残存イソシアネート官能基を含む、請求項1に記載の反応生成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種のイソシアネート官能性材料が、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)−カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、トリメチルヘキサンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、2,2’−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−(イソシアナトメチル)オクタン、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、リジンジイソシアネートメチルエステル、リジントリイソシアネートメチルエステル、4,4’−メチレン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(シクロへキシルイソシアネート)、1,4−シクロへキシルジイソシアネート(CHDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の反応生成物。
【請求項8】
さらに、反応体として(e)少なくとも1種のジオールを含む、請求項1に記載の反応生成物。
【請求項9】
(a)(メタ)アクリレート成分と、
(b)嫌気硬化誘導組成物と、および
(c)請求項1に記載の反応生成物と
を含む、嫌気硬化性組成物。
【請求項10】
前記嫌気硬化誘導組成物が、t−ブチルヒドロペルオキシド、p−メタンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド(CHP)、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、およびそれらの混合物からなる群より選択されるヒドロペルオキシドを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
さらに、少なくとも1種の促進剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記促進剤が、アミン、アミンオキシド、スルホンアミド、金属源、酸、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記促進剤が、トリアジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、ベンゼンスルホンイミド、シクロへキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、サッカリン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−o−トルイジン、アセチルフェニルヒドラジン、マレイン酸、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
さらに、少なくとも1種の安定剤を含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項15】
前記安定剤が、ベンゾキノン、ナフトキノンおよびアントラキノン、ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ブチル化ヒドロキシトルエン、エチレンジアミン四酢酸またはその塩、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
(a)構造A:
【化2】

(構造中、Xは、C1〜20のアルキル、C2〜20のアルケニル、またはC7〜20のアルカリルであり、そのうちのいずれも1つ以上のヘテロ原子によって割り込まれていてよく、−OH、−NHまたは−SHから選択される少なくとも1つの基、好ましくは少なくとも2つの基によって官能基化されており、zは、1〜3である)の範囲内に包含される化合物と、
(b)少なくとも1種のイソシアネート官能性材料と、
(c)任意に、ヒドロキシ官能性材料、アミノ官能性材料、チオ官能性材料、およびそれらの組合せならびに混合物からなる群より選択される少なくとも1種の官能性材料と、
(d)任意に、少なくとも1種の(メタ)アクリレート官能性材料と、および
(e)少なくとも1種のジオールとを、
含む反応体から調製される反応生成物を調製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−525481(P2012−525481A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508668(P2012−508668)
【出願日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/032869
【国際公開番号】WO2010/127053
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【出願人】(501194879)ロックタイト (アール アンド ディー) リミテッド (25)
【氏名又は名称原語表記】LOCTITE (R & D) LIMITED
【Fターム(参考)】