説明

子供用スモック及びポケット構造

【課題】従来のスモックの場合、ポケットの入口以外はスモックに完全に縫い付けられているため、種々の問題を惹き起こす。例えば、園児がポケットに砂を入れて遊んだ後、ポケットから砂を取り出しても、完全に取り出すことができず、多少の砂がポケット内に残る。あるいは園児が砂場で遊んでいる際に知らぬ間に砂がポケット内に入り、そのまま残ることもある。ポケットに砂が残ったまま園児が室内に入り、スモックを脱ぐとポケットから砂等が周囲に飛散して室内を汚すことになる。また、園児が昼食時にスモックを脱いだ時に食事に砂が混じってしまうことがある。
【解決手段】本発明のスモック10は、ポケット12を有し、ポケット12は底部12Dにまち部12Eを有し、まち部12Eは多数の孔12Fが全面に均等に分散して形成された網目構造になっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば園児等の子供が着る子供用スモックに関し、更に詳しくは、ポケット内に砂等の粒子状物質を自然に排出できる子供用スモック及びポケット構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば子供用スモック(以下、単に「スモック」と称す。)は、主に通園時や園庭等での遊戯時に着用され、室内では脱ぐことが多い。スモックは、園児が園庭等で遊戯をしたり、走り回ったり、転んだりするため、汚れたり、磨耗しやすい。近年、園庭がアスファルト等で舗装されていることが多いため、また、素材の改良等のため、スモックは以前ほどの汚れや損傷が生じにくくなっている。
【0003】
しかしながら、園児は例えば砂遊びや泥遊びをすることが多いため、スモックは一日で汚れてしまい、毎日洗濯を行わなくてはならない。また、園児が砂遊び等をしている時にポケットに砂等の粒子状物質が入り込み、あるいはポケットに砂を入れて遊びそのままにすることが多くある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のスモックの場合、ポケット口部以外はスモックの前身頃に完全に縫い付けられているため、ポケット内に残った砂等の粒子状物質が原因で種々の問題を惹き起こしている。例えば、園児が砂遊びポケットに砂を入れてそのまま忘れたり、ポケットから砂を十分に排除せずポケットに残っていることがある。あるいは園児が砂場で遊んでいる時に知らぬ間に砂がポケット内に入り、そのままにしておくこともある。ポケットに砂が残ったまま園児が室内に入り、脱衣するとポケットの砂が周囲に飛散して室内を汚し、場合によっては給食の食べ物に砂が混じってしまうこともある。
【0005】
更に、スモックを洗濯する場合には、ポケットの砂が洗濯槽内で飛散して洗濯機の駆動部に入り込み、洗濯機の故障の原因にもなる。また、ポケットに綻びがあればミシンがけして綻びを直すが、ポケットに砂が残っていると、ミシンがけの時にカマ内に砂が混入するなどしてミシンを傷めることもある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、ポケットに残留する砂等の粒子状物質に起因する種々の弊害を解消することができるポケットを有する子供用スモック及びポケット構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の子供用スモックは、ポケットのあるスモックにおいて、上記ポケットは少なくとも底部にまち部を有し、上記まち部が網目構造になっていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項2に記載の子供用スモックは、ポケットのあるスモックにおいて、上記ポケットはその口部以外の部分にまち部を有し、上記まち部の少なくとも底部が網目構造になっていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の請求項3に記載のポケット構造は、衣服に付けられたポケットの構造において、上記ポケットは少なくとも底部にまち部を有し、上記まち部が網目構造になっていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1〜請求項3に記載の発明によれば、ポケットに残留する砂等の粒子状物質に起因する種々の弊害を解消することができるポケットを有する子供用スモック及びポケット構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図1〜図3に示す実施形態に基づいて本発明を説明する。尚、各図中、図1は本発明のスモックの一実施形態を示す正面図、図2の(a)〜(c)はそれぞれ図1に示すスモックのポケットの構造を示す図で、(a)はその正面図、(b)はその底部を示す平面図、(c)はその側面を示す側面図、図3は図2に示すまち部の一部を拡大して示す平面図、図4の(a)〜(c)はそれぞれ本発明のスモックの他の実施形態のポケット構造を示す図2の(a)〜(c)に相当する図である。
【0012】
本実施形態のスモック10は、例えば図1に示すように、裾側から被って着用するタイプで、前身頃11の左右に配置された2つのポケット12、12を備えている。スモック10の襟ぐり13と袖口14にはゴム15A、15Bがそれぞれ装着され、襟ぐり13及び袖口14がそれぞれ伸縮自在になっている。また、スモック10は、撥水、撥油性で且つ通気性に優れ、形態安定性に優れた素材によって形成され、クレヨン等による汚れや食べ物による汚れ等が洗濯により落ちやすくなっている。
【0013】
また、ポケット12は、例えば図2の(a)〜(c)に示すように、正面形状が略矩形に形成されている。ポケット12は、ポケット口部12Aから左右両側縁部12B、12Cの下端近くまで前身頃11に縫い付けられている。ポケット12の底部12Dにはまち部12Eが形成され、まち部12Eを介して前身頃11に縫いつけられている。従って、ポケット12に物品を入れると同図の(b)、(c)に示すように底部12Dが前身頃11からまち部12Eの分だけ膨らむようになっている。
【0014】
而して、まち部12Eは、図2の(b)、(c)に示すように網目構造になっている。まち部12Eには例えば図3に示すように多数の略同一大きさの孔12Fが全面に均等に分散して形成された網目構造になっており、これらの孔12Fは砂等の粒子状物質よりも大きく形成されている。図3では全ての孔12Fが同一大きさになっているが、必ずしも同一の大きさでなくても良い。このまち部12Eは、多数の孔12Fが形成された網目構造であるため、強度的に弱くなる傾向にある。そこで、本実施形態では、まち部12Eは、例えばスモック生地とは異なり、繊維を編んで多数の孔12Fが形成された丈夫な生地によって形成されている。このような生地によってまち部12Eを形成することで、種々の物品をポケット12に入れても破れ難く、しかも砂等の粒子状物質が入った場合等には多数の孔12Fを通り抜けてポケット12の外側へ自然に排出されるようになっている。
【0015】
図2の(a)〜(c)ではポケット12の底部12Dに多数の孔12Fのあるまち部12Eを設けた例について説明したが、図4の(a)〜(c)に示すようにポケット12のポケット口部12A以外の略全周縁部にまち部12Eを設けても良い。
【0016】
この場合にも図3に示すように、まち部12Eに多数の孔12Fが全面に渡って均等に分散して形成されている。この場合にはまち部12Eがポケット12の両側縁部12B、12C及び底部12Dに設けられているため、図2に示す場合よりもポケット12の容積が大きくなるため、ポケット12内により多くの、あるいはより大きな物品を収納することができる。また、ポケット12の両側縁部12B、12Cから底部12Dに渡って多数の孔12Fが形成されているため、内部の砂をより確実に自然に排出することができる。
【0017】
以上説明したように本実施形態によれば、ポケット12の底部12D、あるいは底部12Dから両側縁部12B、12Cに渡ってまち部12Eを設け、しかもまち部12Eに多数の孔12Fを均等に分散させた網目構造にしたため、園児がポケット12に砂を入れて遊んでも、まち部12Eの多数の孔12Fから砂が自然に排出されて、ポケット12内に砂が残ることがない。また、園児が砂場等で遊んでいる時にポケット12に砂が入ってもポケット12内に砂が残ることはない。
【0018】
従って、園児が室内に入ってスモック10を脱いでもポケット12から砂が周囲へ飛散することもなく、また、給食時に砂が食べ物に混入することもない。
【0019】
また、スモック10を洗濯する時にも洗濯槽内の駆動部に砂が入り込んで洗濯機を故障させることもない。更に、ポケット12の綻びを直す時にミシンがけをしてもカマに砂が入り込むこともなくミシンを故障させることもない。
【0020】
尚、本発明は、園児が裾から被って着用するタイプのスモック10を例に挙げて説明したが、その他のタイプのスモックであっても良く、また、園児に限らず、小学校低学年の子供が着用するスモックについても本発明を適用できることは云うまでもない。更に云えば、一般のスポーツウエア等の衣服のポケットにも本発明のポケット構造を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、園児等の子供用スモックに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のスモックの一実施形態を示す正面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ図1に示すスモックのポケットの構造を示す図で、(a)はその正面図、(b)はその底部を示す平面図、(c)はその側面を示す側面図である。
【図3】図2に示すまち部の一部を拡大して示す平面図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ本発明のスモックの他の実施形態のポケット構造を示す図2の(a)〜(c)に相当する図である。
【符号の説明】
【0023】
10 スモック
12 ポケット
12A ポケット口部
12D 底部
12E まち部
12F 孔
WR

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポケットのあるスモックにおいて、上記ポケットは少なくとも底部にまち部を有し、上記まち部が網目構造になっていることを特徴とする子供用スモック。
【請求項2】
ポケットのあるスモックにおいて、上記ポケットはその口部以外の部分にまち部を有し、上記まち部の少なくとも底部が網目構造になっていることを特徴とする子供用スモック。
【請求項3】
衣服に付けられたポケットの構造において、上記ポケットは少なくとも底部にまち部を有し、上記まち部が網目構造になっていることを特徴とするポケット構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−303041(P2007−303041A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−134562(P2006−134562)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(506162622)株式会社矢部プロカッティング (1)
【Fターム(参考)】