説明

子扉付き鋼製ドア

【課題】 子扉付きドアの親扉と子扉を、室内外各1枚のドア鋼板によって被覆する。
【解決手段】 横幅を規格寸法とし、縦長さをユーザー指定寸法とするメーカー規格のドア鋼板4を用いて、親扉2における子扉開口23内周の見込面の被覆を除外するように、親扉2及び子扉3の各見付面と外周の見込面を被覆することによって、横幅の制約がある中で親扉2と子扉3を実質的に被覆する。親扉2の子扉開口23側は、その端部乃至端部近傍まで被覆し、この子扉開口23側の端部に装飾モール5を配置することによって、ドア鋼板4の切断面をカバーする。従来室内外用に4枚のドア鋼板によって親扉2と子扉3を被覆したが、これを、室内外用に2枚のドア鋼板とすることができ、使用するドア鋼板を半減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、集合住宅の玄関に使用する子扉付き鋼製ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の子扉付き鋼製ドアとして、本発明者うちの1名は、下記特許文献1によって、親扉とその子扉開口に吊り支持した子扉を備え、上記親扉の室外一方の見付面における子扉開口端に、該親扉を被覆したドア鋼板を屈曲配置した気密材受条を上記子扉開口面内張出状とし、該気密材受条に気密材を配置し、該気密材を子扉の外周端部に対接することによって親扉と子扉間の気密性を確保する気密措置とした子扉付き鋼製ドアを提案済みであり、これによれば、親扉と子扉のドア表面板は、それぞれ親扉と同寸法のドア鋼板に打抜き及び折曲の加工を施して形成したものを用いて、ドア被覆の常法に従って、親扉及び子扉の全体、即ち、全ての見付面及び見込面を被覆したものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−97302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、親扉と子扉はドア鋼板によってその全体を被覆して外観良好な子扉付き鋼製ドアとすることができるが、親扉と子扉のドア表面板を、それぞれ親扉と同寸法のドア鋼板に打抜き及び折曲の加工を施して形成したものとするから、少なくとも親扉の子扉開口及び子扉の見込面分の寸法が増加する上、更に上記子扉開口端の気密材受条を形成する分の寸法が増加する結果、親扉用に室内外2枚、子扉用に同じく室内外2枚の、合計4枚のドア鋼板を使用して、各1枚のドア鋼板から、親扉、子扉の各室外、室内側のドア表面板を形成する必要が生じることになる。
【0005】
即ち、鋼製の両面フラッシュドアの室内外2枚に対して、子扉付きの鋼製ドアは、子扉を備えることによって室内外4枚のドア鋼板を使用するために、ドア鋼板の枚数を2倍必要として、コストアップの要因となるとともに親扉及び子扉用に用いた各室内外2枚のドア鋼板には、それぞれ子扉用、親扉用には面積が不足するために、再利用不能な鋼板ロスが生じる結果となる。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、外観を可及的良好に確保しつつ、可及的に少ないドア鋼板を用い、該ドア鋼板を可及的有効に利用して構成した子扉付鋼製ドアを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って本発明は、子扉を備えて親扉の子扉開口と子扉の外周が形成されることによってドア鋼板による被覆対象面積の増加するところ、該被覆対象面積の増加に拘らず、横幅を親扉用とした室内外2枚のドア鋼板、即ち、横幅寸法を親扉用のものとした横幅規制の室内外2枚のドア鋼板を用いて子扉付ドアの親扉と子扉を実質的に被覆することにより、外観を可及的良好に確保し、上記室内外4枚のドア鋼板を用いるものに対して使用するドア鋼板を2枚に半減してドア鋼板の可及的有効な利用を図ったものとするように、請求項1に記載の発明を、親扉とその子扉開口に吊り支持した子扉を備え、子扉開口内周と子扉外周間に気密措置を施した子扉付き鋼製ドアであって、横幅を上記親扉用とした室内外2枚のドア鋼板を用い、該ドア鋼板に打抜き乃至打抜きと折曲の加工を施して形成した加工鋼板により、少なくとも見付面を含め親扉と子扉を実質的に被覆してなることを特徴とする子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記室内外2枚のドア鋼板を、一般に市販される規格寸法(即ち、横幅を規格寸法とし、縦長さをユーザー指定寸法としたメーカー規格を意味する。以下同じ。)のドア鋼板とすることによって、上記室内外2枚のドア鋼板を特殊寸法のものとすることなく、可及的にコストを抑制し得るものとするように、これを、上記ドア鋼板を、横幅を規格寸法とし、縦長さをユーザー指定寸法とするメーカー規格のドア鋼板によるものとしてなることを特徴とする請求項1に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記親扉と子扉の実質的な被覆を、見付面乃至これと外周見込面に対して行うことによって、上記室内外2枚のドア鋼板を用いつつも可及的に良好な外観を確保したものとするように、これを、上記室内外2枚のドア鋼板からの加工鋼板によって、親扉及び子扉の各見付面乃至見付面と外周の見込面を実質的に被覆してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記親扉と子扉の実質的な被覆を、親扉の子扉開口の内周見込面を除外して行うことによって、外観への影響を可及的に防止したものとするように、これを、上記室内外2枚のドア鋼板からの加工鋼板による被覆を、親扉における子扉開口内周の見込面を除外して行なってなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、親扉における子扉開口の見込面にドア鋼板を折り返し被覆することなく、その見付面の子扉開口側の端部又はその近傍にドア鋼板の打ち抜きの加工による切断端縁を配置するように親扉の見付面を実質的に被覆して、ドア鋼板の可及的有効活用を図るとともに該子扉開口に装飾用のモールを配置し、該ドア鋼板の切断端部を被覆することによって、鋼製ドアとしての良好な外観と安全性を確保したものとするように、これを、上記室内外2枚のドア鋼板からの加工鋼板の被覆を、親扉における見付面の子扉開口側の端部又はその近傍までとし、該子扉開口側の端部に装飾モールを配置することによって、該加工鋼板の上記打ち抜き加工の切断端縁を被覆してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、親扉の室外側における上記装飾モールを金属製として防火性を確保するとともに子扉開口端部への配置を子扉開口面内に張出状に行うことによって、子扉の存在を感じさせない外観として防犯性を向上したものとするように、これを、上記装飾モールを、親扉の室外側において金属製とするとともにその子扉開口の面内側に張出状に配置し、該子扉開口と子扉間の空隙を被覆してなることを特徴とする請求項5に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、子扉を備えて親扉の子扉開口と子扉の外周が形成されることによるドア鋼板の被覆対象面積の増加に拘らず、横幅を親扉用とした室内外2枚のドア鋼板、即ち、横幅寸法を親扉用のものとした横幅規制の室内外2枚のドア鋼板を用いて子扉付ドアの親扉と子扉を実質的に被覆することにより、外観を可及的良好に確保し、上記室内外4枚のドア鋼板を用いるものに対して使用するドア鋼板を2枚に半減してドア鋼板を可及的有効に利用して構成した子扉付鋼製ドアを提供することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、上記室内外2枚のドア鋼板を、一般に市販される規格寸法のドア鋼板とすることによって、上記室内外2枚のドア鋼板を特殊寸法のものとすることなく、可及的にコストを抑制したものとすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記親扉と子扉の実質的な被覆を、見付面乃至見付面と外周見込面に対して行うことによって、上記室内外2枚のドア鋼板を用いつつも可及的に良好な外観を確保したものとすることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記親扉と子扉の実質的な被覆を、親扉の子扉開口の内周見込面を除外して行うことによって、外観への影響を可及的に防止したものとすることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、親扉における子扉開口の見込面にドア鋼板を折り返し被覆することなく、その見付面の子扉開口側の端部又はその近傍にドア鋼板の打ち抜きの加工による切断端縁を配置するように親扉の見付面を実質的に被覆して、ドア鋼板の可及的有効活用を図るとともに該子扉開口に装飾用のモールを配置し、該ドア鋼板の切断端部を被覆することによって、鋼製ドアとしての良好な外観と安全性を確保したものとすることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、親扉の室外側における上記装飾モールを金属製として防火性を確保するとともに子扉開口端部への配置を子扉開口面内に張出状に行うことによって、子扉の存在を感じさせない外観として防犯性を向上したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】子扉付き鋼製ドアの正面図である。
【図2】子扉付き鋼製ドアの縦断面図である。
【図3】子扉付き鋼製ドアの横断面図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】図3の部分拡大図である。
【図6】室内外2枚のドア鋼板と各加工鋼板の関係を示す説明図である。
【図7】装飾モール部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、新築用に新設ドア枠付きとし、また、改装用に既設ドア枠を用いてその既設ドアに交換的に配置することによって、甲種防火戸適合の玄関用とした子扉付き鋼製ドアであり、該子扉付き鋼製ドアAは、親扉2とその子扉開口23に吊り支持した子扉3を備え、子扉開口内周と子扉外周間に気密措置を施したものとしてあり、このとき、横幅を上記親扉用と同寸法の室内外2枚のドア鋼板4を用い、該ドア鋼板4に打抜き及び折曲の加工を施して形成した加工鋼板により、少なくとも見付面を含め親扉2と子扉3を実質的に被覆したものとしてあり、本例にあって、該ドア鋼板4は、これを、横幅を規格寸法とし、縦長さをユーザー指定寸法とするメーカー規格のドア鋼板によるものとしてある。
【0021】
本例にあって、子扉付き鋼製ドアAは、親扉2、子扉3のそれぞれに骨材21、31を配置し、該骨材21、31間に断熱乃至断熱防音材等の充填材22、32を充填配置し、加工鋼板によって室内外を被覆した、例えば、ドア厚を36mm乃至42mm、本例にあっては42mmとしたものとしてあり、このとき親扉2と新設又は既設のドア枠1間及び上記親扉2の子扉開口内周と子扉外周間にそれぞれ気密措置を施したものとしてある。本例の親扉2と新設又は既設のドア枠1間の気密措置は、親扉2の室内側外周に、該ドア枠1に室外側に向けて設置した気密材11に対接する外周段部を配置したものとしてある。
【0022】
また、上記親扉2の子扉開口内周と子扉外周間の気密措置は、これら子扉開口内周と子扉外周にそれぞれ相互に部分的乃至略全面的に対面する、数cm程度以下の見付幅の対面部を配置し、該対面部間に気密材25を介設することによって、気密性を確保したものとしてあり、本例にあって該気密材25は、親扉2の子扉開口23端に位置するように、その対面部に配置した気密材受条24に室内側に向けて気密材25を配置して、子扉3の対面部に該気密材25を対接して、その気密性を確保したものとしてある。
【0023】
本例にあって上記対面部は、親扉2及び子扉3に配置した骨材21、31によってこれを形成してあり、該対面部は、骨材の厚さを薄くする、例えばドア厚の1/2乃至1/3程度に薄くするように子扉開口内周と子扉外周でその先端側を扁平化して段部を形成した対面段部をなすものとしてある。
【0024】
このとき、親扉2の子扉開口23側にあって、該骨材21に、室内側に開口する断面コ字状の気密材受条24を一体又は一体的に形成し、該気密材受条24に気密材25を該子扉開口23内周囲繞状に配置して、該気密材25を室内側に向けて配置してある。本例にあって上記気密材受条24は、該子扉開口23内周の骨材21に、該骨材21構成の鋼材を屈曲することによって該骨材21に一体に並列して子扉開口23側に突出するように形成してあり、このとき、上記骨材21に一体の該気密材受条24は、これを親扉2の見付と略面一に形成したものとしてある。
【0025】
上記ドア鋼板4は、これに上記所定の加工を施して形成した加工鋼板によって、上記骨材21、31と、該骨材21、31間に充填配置した断熱乃至断熱防音材の充填材22、32を備えた親扉2と子扉3の被覆を行って子扉付き鋼製ドアAとしてある。
【0026】
このとき、本例の該子扉付き鋼製ドアAは、上記室内外2枚のドア鋼板4からの加工鋼板によって、親扉2及び子扉3の各見付面乃至見付面と外周見込面を実質的に被覆したものとしてあり、このとき本例にあって、上記室内外2枚のドア鋼板4からの加工鋼板は、これを、親扉2の上記子扉開口23内周の見込面被覆を除外するように加工したものとし、また、同じく該加工鋼板は、子扉3の室外側見付面に続く室外側の見込面被覆を除外するように加工したものとしてある。
【0027】
即ち、これを、図6の室内外2枚のドア鋼板4と各加工鋼板の関係を示す説明図によって説明すると、本例にあって、上記親扉2を同一開口に設置する鋼製両面フラッシュドアと同等寸法、即ち、子扉のない鋼製ドアと同一面積のドア鋼板4を使用したものとしてある。
【0028】
該ドア鋼板は、例えば、塩ビ化粧鋼板(三菱樹脂株式会社製)、エリオ化粧鋼板(大日本印刷株式会社製)、焼付塗装鋼板(日新製鋼株式会社製)等の鋼板メーカーの規格ドア表面材用の鋼板を用いてあり、このとき該ドア鋼板4は、ロールの鋼板から形成するため、横幅を、例えば914mmの規格寸法とし、縦長さをユーザーの指定する、例えば1,900mm、2,000mm、2,150mmといった寸法としたものとされるところ、本例にあっては、横幅を規格の914mm、縦長さを、例えば2,000mmとし、肉厚を0.6mm又は0.8mmとしたものを用いて、これに、上記打ち抜きの加工、折曲の加工を施して、室内外の親扉2及び子扉3を被覆するように、加工鋼板を得たものとしてあり、このとき、上記ドア鋼板4は、予め、室内外の親扉乃至子扉用にその横幅乃至縦長さの余剰分を幾分切り落とし除去したものを用いて、該規格のドア鋼板4の範囲でその可及的な利用を図ったものとしてある。
【0029】
室外側の上記ドア鋼板4は、上記打ち抜きの加工によって、例えば、面内に縦165cm、横42cmの子扉開口23(寸法は特に記載しない限り概数。以下同じ。)を形成した加工鋼板として親扉見付面被覆用の親扉室外側用矩形鋼板41と、縦163cm、横41cmの子扉2の室外側見付面被覆用の子扉室外側用矩形鋼板42を板取りしたものとしてある。
【0030】
該子扉開口を形成した親扉室外側用矩形鋼板41は、その後に折曲の加工によって外周に断面L字状をなすように見込面被覆片46を形成してあり、これによって縦192cm、横816cm、見込面被覆片46の立ち上がり2乃至3cm(正確には2.6cm)、裏面側への折返しを1cm(正確には1.2cm)とした、親扉室外側用のものとしてある。
【0031】
また、子扉用の子扉室外側用矩形鋼板42は、折曲加工を施すことなく、該矩形鋼板をそのまま使用するようにして、縦183cm、横39cmの子扉室外側用、特に該子扉3の室外側見付面被覆用としたものとしてある。
【0032】
一方、室内側のドア鋼板4は、同じく打ち抜きの加工によって、例えば、中央に縦170cm、横50cmの子扉開口を形成した親扉見付面被覆用の親扉室内側用矩形鋼板43と、縦170cm、横49cmの子扉の室内側見付面被覆用の子扉室内側用矩形鋼板44を板取りしたものとしてある。
【0033】
該子扉開口を形成した親扉室内側用矩形鋼板43は、その後に折曲の加工によって外周に断面I字状をなすように見込面被覆片46を形成してあり、これによって縦189cm、横79cm、見込面被覆片46の立ち上がり1乃至2cm(正確には1.4cm)とした、親扉室内側用のものとしてある。
【0034】
また、子扉用の子扉室内側用矩形鋼板44は、同じくその後の折曲の加工によって外周の縦側の一端を除くその余の3端に断面L字状をなすように同じく見込面被覆片46を形成してあり、これによって縦167cm、横46cm、見込面被覆片の立ち上がり1〜2cm(正確には1.5cm)とした、子扉室外側用のものとしてある。
【0035】
このように形成した室内外2枚のドア鋼板4からの加工鋼板は、これを、親扉2、子扉3の該当箇所に配置して、その被覆を行うものとし、このとき、上記親扉2の上記子扉開口23内周の見込面被覆を除外し、また、子扉3の室外側見付面に続く外周の見込面被覆を除外するように配置することによって、該室内外2枚のドア鋼板4によって子扉付き鋼製ドアAの被覆を完結的に行うものとしてある。
【0036】
子扉付き鋼製ドアAの被覆は、室外側のドア鋼板4からの加工鋼板を親扉2及び子扉3の室外側に、室内側のドア鋼板4からの加工鋼板を親扉2及び子扉3の室内側にそれぞれ配置してこれを行うものとしてある。
【0037】
即ち、室外側のドア鋼板4からの親扉室外側用矩形鋼板41は、親扉2の室外側見付面及びその断面L字状をなす見込面被覆片46によって親扉2の外周見込面、本例にあっては、上記ドア枠1の気密材11に対接する外周段部、特にその外周見込面とこれに交差する短幅の交差見付面を被覆するものとしてある。
【0038】
また、子扉室外側用矩形鋼板42は、子扉3の室外側見付面を被覆し、本例にあってその見付面の被覆を省略したものとしてある。
【0039】
これに対して、室内側のドア鋼板4からの親扉室内側用矩形鋼板43は、親扉2の室内側見付面及びその断面I字状をなす見込面被覆片46によって親扉2の外周見込面、本例にあっては、上記外周段部、特にその上記ドア枠の気密材11突出方向に平行な短幅の見込面を被覆するものとしてある。
【0040】
また、子扉室内側用矩形鋼板44は、子扉3の室内側見付面及びその一端、本例にあって吊元側を短寸とした外周の断面L字状の見込面被覆片46によって該子扉3の外周3つの見込面、本例にあっては、親扉2に対する吊元側の見込面を除き、短寸の折返し片によって端部処理を行うとともに戸先側及び上下の見込面を、本例にあっては、上記子扉3の外周の外周段部における親扉2の子扉開口23に配置した気密材25に対接する外周段部、特にその外周見込面とこれに交差する短幅の交差見付面を被覆するものとしてある。
【0041】
このとき、親扉室外側用矩形鋼板41は、親扉2の子扉開口23にあって、該矩形鋼板41の端縁が、子扉開口23端部乃至その近傍に位置するように配置することによって、該子扉開口23の見込面、本例にあってはその骨材21の見込面に至ることなく、該見込面を被覆することのないようにしてあり、本例における該矩形鋼板41の端縁は、これを子扉開口23端部近傍、即ち、本例で用いた骨材21の端部近傍、換言すれば、該骨材21の見付面における上記気密材受条24を除く、例えば子扉開口23端部の開口端から1cm程見付面側に変位した位置までとしてある。
【0042】
また、親扉室内側用矩形鋼板43は、同じく親扉2の子扉開口23にあって、該矩形鋼板43の端縁が、子扉開口23端部乃至その近傍に位置するように配置することによって、該子扉開口23の見込面、本例にあってはその骨材21の見込面に至ることなく、該見込面を被覆することのないようにしてあり、本例における該矩形鋼板43の端縁は、これを、同じく子扉開口23端部近傍、即ち、本例で用いた骨材21の見付面の端部近傍、換言すれば、該見付面中間の開口端から1cm程度の変位した位置までとしてある。
【0043】
このとき、親扉2における該子扉開口23側の端部に装飾モール5を配置することによって、該矩形鋼板41、43の上記打ち抜き加工の切断端縁を被覆したものとしてあり、これによって子扉付鋼製ドアAの室内外の良好な外観及び安全性を確保するようにしてあり、また、上記装飾モール5を、親扉2の室外側において金属製とするとともにその子扉開口23の面内側に張出状に配置し、子扉3の外周端部に至って、本例にあって、室外側の見付面に続く見込面被覆を省略した子扉3の外周の切断面目隠しの端部処理を兼用するように、該子扉開口23と子扉3間の空隙を被覆したものとしてあり、これによって防火性を確保し、また、装飾モール5を付した両面フラッシュドアと同様な外観として、親扉2と子扉3が存在し且つ子扉3が開閉する形態のものであることを室外側から判別し難くして、防犯性を向上確保したものとすることができるようにしてある。
【0044】
装飾モール5は、本例にあって室内側においても同様に金属製としてあり、これら金属製の装飾モール5は、例えばアルミ押出材製の帯状、例えば1〜2cm程度の幅の帯状のものとするとともに該装飾モール5は、これに、その表面において装飾模様、例えば帯状凹凸面による装飾模様を配置する一方、裏面の子扉開口側乃至その中間位置に見付面対接面を配置し且つその見付面の面内側に上記加工鋼板の端部を見付面、本例にあっては骨材21との間で挟持する鋼板肉厚に応じた鋼板受入段部51を配置したものとしてある。
【0045】
該装飾モール5は、上記鋼板受入段部51に各矩形鋼板41、43の端部を受入挟持して、上記子扉開口23の端部に、室外側において子扉開口23側に張出状に突出し、室内側において該端部から突出することなく、これによって子扉3の開閉を阻害しないように、それぞれ接着等の固定手段によって固定することによって納まりよく親扉に配置してある。
【0046】
以上のように構成した子扉付き鋼製ドアAは、特に、親扉2室外側用、親扉2室内側用の矩形鋼板41、43の配置を、子扉開口23端部乃至その近傍までとすることによって、規格のドア鋼板4を用いながら、親扉2及び子扉3の室外側及び室内側の実質的被覆を行い、上記規格のドア鋼板4にあって、その寸法を定められている横幅の寸法内で親扉2と子扉3の双方の被覆を完結的に可能としたものとしてある。
【0047】
本例にあって上記予め切り落とし除去した横幅の余剰分は、室内外のドア鋼板4にあって各数cm乃至それ以下としてドア鋼板4の使用を可及的有効に行う一方、規格のドア鋼板4の長さは、余裕を持った寸法を指定できるところ、本例にあっては最低の2,000mmのものを用いて、同様に親扉2と子扉3の外周側の被覆を有効かつ適切に行うことができる。
【0048】
従って、子扉付き鋼製ドアAは、親扉2の子扉開口23と子扉3の外周が形成されることによるドア鋼板の被覆対象面積の増加に拘らず、横幅を親扉用とした室内外2枚のドア鋼板4を用いて子扉付きドアAの親扉2と子扉3を実質的に被覆することにより、外観を可及的良好に確保して、従来4枚を必要としたドア鋼板を、半減の2枚として、ドア鋼板4の極限的な有効利用を図ることができる。
【0049】
また、親扉2の被覆について、その矩形鋼板41、43の端縁が、子扉開口端部乃至その近傍に位置するように配置して、横幅の節約を行うも、該子扉開口23端に装飾モール5を配置したことによって、子扉付き鋼製ドアAとしての外観、安全性、室外側にあっては更に防犯性を確保して、使い勝手のよいものとすることができる。このとき、上記室内外2枚のドア鋼板4からの矩形鋼板41、43による被覆は、親扉2における子扉開口23内周の見込面を除外して行なったものとするも、該見込面は、本例にあって親扉2の子扉開口23の内周を区画するように骨材21を配置したことによって、該骨材21がその内周を化粧した如き納まりとなるから、該子扉開口23内周は、そもそも室外側から目視し得ないし、室内側から目視し得るとはいえ、該見込面の被覆除外が、室内側の外観を損なうこともない。
【0050】
図中26は、親扉2の開閉用にドア枠1との間に配置した親扉2のヒンジ、33は子扉3の開閉用に親扉2の子扉開口23との間に配置した子扉2のヒンジを示す。
【0051】
図示した例は以上のとおりとしたが、親扉とドア枠間の気密材を、親扉に配置したものとすること、親扉の子扉開口と子扉の気密材を、子扉に配置したものとすること、子扉の室外側見付面に続く見込面の全部又は一部の被覆を行うようにドア鋼板の加工による板取りを行うように規格鋼板と被覆の調整を行うこと、装飾モールを用いるとき、その長手方向端部における子扉開口のコーナー位置で該端部をコーナーキャップで被覆して、装飾モール5の留め接合の鋭角部分露出による危険性を解消すること、ヒンジをオートヒンジとすること等を含めて、本発明の実施に当って、子扉付鋼製ドア、その親扉、子扉、ドア鋼板、必要に応じて用いる装飾モール等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0052】
A 子扉付き鋼製ドア
1 ドア枠
11 気密材
2 親扉
21 骨材
22 充填材
23 子扉開口
24 気密材受条
25 気密材
26 ヒンジ
3 子扉
31 骨材
32 充填材
33 ヒンジ
4 ドア鋼板
41 親扉室外側用矩形鋼板
42 子扉室外側用矩形鋼板
43 親扉室内側用矩形鋼板
44 子扉室内側用矩形鋼板
45 子扉開口
46 見込面被覆片
5 装飾モール
51 鋼板受入段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親扉とその子扉開口に吊り支持した子扉を備え、子扉開口内周と子扉外周間に気密措置を施した子扉付き鋼製ドアであって、横幅を上記親扉用とした室内外2枚のドア鋼板を用い、該ドア鋼板に打抜き乃至打抜きと折曲の加工を施して形成した加工鋼板により、少なくとも見付面を含め親扉と子扉を実質的に被覆してなることを特徴とする子扉付き鋼製ドア。
【請求項2】
上記ドア鋼板を、横幅を規格寸法とし、縦長さをユーザー指定寸法とするメーカー規格のドア鋼板によるものとしてなることを特徴とする請求項1に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項3】
上記室内外2枚のドア鋼板からの加工鋼板によって、親扉及び子扉の各見付面乃至見付面と外周の見込面を実質的に被覆してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項4】
上記室内外2枚のドア鋼板からの加工鋼板による被覆を、親扉における子扉開口内周の見込面を除外して行なってなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項5】
上記室内外2枚のドア鋼板からの加工鋼板の被覆を、親扉における見付面の子扉開口側の端部又はその近傍までとし、該子扉開口側の端部に装飾モールを配置することによって、該加工鋼板の上記打ち抜き加工の切断端縁を被覆してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項6】
上記装飾モールを、親扉の室外側において金属製とするとともにその子扉開口の面内側に張出状に配置し、該子扉開口と子扉間の空隙を被覆してなることを特徴とする請求項5に記載の子扉付き鋼製ドア。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−108341(P2013−108341A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198188(P2012−198188)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【出願人】(598081045)フジメタル株式会社 (23)
【出願人】(511257104)東海ドア株式会社 (4)
【出願人】(596108977)株式会社アイ・エス (12)