説明

子扉付き鋼製ドア

【課題】 子扉付鋼製ドアに化粧モールを付して、親扉子扉一体外観を呈して防犯性を向上する。
【解決手段】 子扉付鋼製ドアAにおける親扉2の子扉開口23の端部に、アルミ押出材製の化粧モール5を配置するとともに化粧モール5を子扉開口面内張出状に、例えば、子扉開口23の面内に1cm程度突出するように配置することによって、子扉開口23と内開きの子扉3間の5mm程度の幅の空隙を被覆して、子扉3の存在を室外側から判別し得ないようにする。子扉開口23のコーナーには化粧モール5長手方向端部の留め接合部分が露出すると危険であるので、化粧モール5の留め接合部分の直交2辺に合成樹脂製のキャップ6を配置して危険解消の安全措置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、集合住宅の玄関に使用する子扉付き鋼製ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の子扉付き鋼製ドアとして、本発明者のうちの1名は、下記特許文献1によって、親扉とその子扉開口に吊り支持した子扉を備え、上記親扉の室外一方の見付面における子扉開口端に、該親扉を被覆したドア鋼板を屈曲形成した気密材受条を子扉開口面内張出状にして親扉室外側見付面の室外側突出状に配置して、これに室内側に向けて気密材を装着し、該気密材を子扉室外側見付面の外周端部に対接することによって親扉と子扉間の気密性を確保するようにした子扉付き鋼製ドアを提案済みである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−97302
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、親扉に対して子扉が開閉自在となるから、地震によってドア枠が変形して親扉の開閉が不能となっても、親扉と子扉間の施錠装置を開錠することにより、子扉室内側配置のハンドルやドアノブを操作して、子扉を開閉することによって室外に緊急脱出することが可能となり、耐震性を有する玄関ドアとして有用なものとすることができ、また、子扉開口端に気密材受条を配置し、これに気密材を装着することによって親扉と子扉間の気密性を確保することができる。
【0005】
しかし乍ら、親扉の子扉開口に気密材受条を配置して、該気密材受条に気密材を装着して親扉と子扉間の気密性を確保するものであるため、ドアの前方位置において子扉開口の上下、ドアの斜め前方位置から左右一方の、気密材受条から子扉側に突出した気密材が肉視し得ることになり、ドアの外観を損なう結果となり易く、また、気密材の肉視によって、ドアに子扉が付されていることを判別し得る結果となり、防犯面からも好ましくない。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、室外側から子扉の存在を判別し難くして、親扉子扉一体の外観を呈するようにした子扉付鋼製ドアを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に沿って、本発明は、親扉の少なくとも室外側の子扉開口端に化粧モールを囲繞配置するとともに該化粧モールを子扉開口面内張出状とすることによって、例えば、化粧モール付きの鋼製の両面フラッシュドアと同様な外観を呈して、子扉の存在を判別し得ないようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、親扉と、該親扉に配置の子扉開口に非常脱出用開閉自在の内開きの子扉を備えた子扉付き鋼製ドアであって、上記親扉の室内外双方又は室外側一方の見付面における子扉開口端に化粧モールを囲繞配置するとともに該室外側の化粧モールの囲繞配置を上記子扉開口面内張出状として親扉子扉一体の外観を確保してなることを特徴とする子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0008】
請求項2に記載の発明は、同じく上記に加えて、化粧モールを室内外双方の子扉開口端に配置するとともに室内側の化粧モールの配置によって子扉の開閉を阻害することなく、室内外のデザインを同様として、子扉付鋼製ドアとしての商品価値を確保したものとするように、これを、上記化粧モールを室内外双方の見付面における子扉開口端に囲繞配置し、その室内側の化粧モールの囲繞配置を子扉開口端面内非張出状乃至僅少張出状として子扉の室内側開閉を自在としてなることを特徴とする請求項1に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記に加えて、上記化粧モールを金属製として防火性を確保するとともにその長手方向接合部位のコーナーに生じる角部に安全措置を施すことによって、化粧モールを子扉開口に設置するに伴なって生じる危険を解消したものとするように、これを、上記室外側配置の化粧モールを金属製とし且つ化粧モールの少なくとも子扉開口下端における長手方向端部に安全措置を施してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0010】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧モールの長手方向端部を留め接合として良好な外観を確保するとともにその安全措置を該留め接合の角部分をキャップで被覆したものとするように、これを、上記化粧モールの長手方向端部を留め接合とし、その上記安全措置を、該留め接合の角部分を被覆するキャップの被覆によるものとしてなることを特徴とする請求項3に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0011】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧モールの長手方向端部をコーナー部材によって連結して良好な外観を確保するとともにその安全措置を該コーナー部材の形状乃至材質によって行ったものとするように、これを、上記化粧モールの長手方向端部をコーナー連結部材を介して連結し、その上記安全措置を該コーナー連結部材の形状乃至材質によって行ってなることを特徴とする請求項3に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧モールをアルミ押出材を用いて形成する一方、その裏面外周にドア表面材受け入れ用の段部を配置して該ドア鋼板端部を受け入れることによって、ドア鋼板端部の露出を防止したものとするように、これを、上記化粧モールをアルミ押出材によって形成するとともにその親扉見付面側の裏面外周にドア鋼板受入用の段部を配置し、該段部に親扉の見付面被覆のドア鋼板端部を受入れて、該ドア鋼板端部の露出防止を兼用してなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の子扉付き鋼製ドアとしたものである。
【0013】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、親扉の少なくとも室外側の子扉開口端に化粧モールを囲繞配置するとともに該化粧モールを子扉開口面内張出状とすることによって、例えば、化粧モール付きの鋼製の両面フラッシュドアと同様な外観を呈して、子扉の存在を判別し得ないようにして親扉子扉一体の外観を呈するようにした子扉付鋼製ドアを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、同じく上記に加えて、化粧モールを室内外双方の子扉開口端に配置するとともに室内側の化粧モールの配置によって子扉の開閉を阻害することなく、室内外のデザインを同様として、子扉付鋼製ドアとしての商品価値を確保したものとすることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明は、上記に加えて、上記化粧モールを金属製として防火性を確保するとともにその長手方向接合部位のコーナーに生じることある角部に安全措置を施すことによって、化粧モールを子扉開口に設置するに伴なって生じる危険を解消したものとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧モールの長手方向端部を留め接合として良好な外観を確保するとともにその安全措置を該留め接合の角部分をキャップで被覆したものとすることができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧モールの長手方向端部をコーナー部材によって連結して良好な外観を確保するとともにその安全措置を該コーナー部材の形状乃至材質によって行ったものとすることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記化粧モールをアルミ押出材を用いて形成する一方、その裏面外周にドア鋼板受け入れ用の段部を配置して該ドア鋼板端部を受け入れることによって、ドア鋼板端部の露出を防止したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】子扉付き鋼製ドアの正面図である。
【図2】子扉付き鋼製ドアの縦断面図である。
【図3】子扉付き鋼製ドアの横断面図である。
【図4】図2の部分拡大図である。
【図5】図3の部分拡大図である。
【図6】室内外2枚のドア鋼板と各加工鋼板の関係を示す説明図である。
【図7】装飾モールの拡大断面図である。
【図8】装飾モールとキャップの関係を示す拡大正面図である。
【図9】装飾モールとコーナー連結部材の関係を示す拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは子扉付き鋼製ドアであり、該ドアAは、親扉2と、該親扉2に配置の子扉開口23に非常脱出用開閉自在の内開きの子扉3を備えたものとしてあり、このとき、上記親扉2の室内外双方又は室外側一方の見付面における子扉開口端に化粧モール5を囲繞配置するとともに該室外側の化粧モール5の囲繞配置を上記子扉開口面内張出状として親扉子扉一体の外観を確保したものとしてあり、本例にあって該ドアAは、その上記化粧モール5を室内外双方の見付面における子扉開口端に囲繞配置し、その室内側の化粧モール5の囲繞配置を子扉開口端面内非張出状乃至僅少張出状として子扉3の室内側開閉を自在としたものとしてある。
【0022】
子扉付き鋼製ドアAは、例えば、親扉2、子扉3のそれぞれに骨材21、31を配置し、該骨材21、31間に断熱乃至断熱防音材等の充填材22、32を充填配置し、ドア鋼板4によって室内外を被覆した、例えば、ドア厚を36mm乃至42mm、本例にあっては42mmとしたものとしてあり、このとき親扉2と新設又は既設のドア枠1間及び上記親扉2の子扉開口23内周と子扉3外周間にそれぞれ気密措置を施したものとしてある。
【0023】
本例の親扉2と新設又は既設のドア枠1間の気密措置は、例えば、親扉2の室内側外周に、該ドア枠1に室外側に向けて設置した気密材11に対接する外周段部を配置したものとしてある。
【0024】
また、上記親扉2の子扉開口23内周と子扉3外周間の気密措置は、親扉2の子扉開口23側に、室内側に開口する断面コ字状の気密材受条24を上記骨材21に、一体又は一体的に形成し、該気密材受条24に室内側に向けて気密材25を該子扉開口23内周囲繞状に配置し、子扉3の骨材31に配置した段部を、該気密材25に対接するようにしてあり、このとき、該子扉3の骨材31は、該骨材31の厚さを薄くする、例えばドア厚の1/2乃至1/3程度に薄くするようにその先端側を扁平化して上記段部を形成したものとしてある。
【0025】
これによって、気密材受条24を親扉3の見付面と面一に配置して、気密材25が、親扉2の子扉開口23の見込方向中間に位置し、該気密材受条24や気密材25が親扉2の見付面に突出したり、露出したりすることなく、該親扉2の子扉開口23と子扉3間の気密性を確保したものとしてある。
【0026】
室内外を被覆したドア鋼板4は、上記親扉2を同一開口に設置する鋼製両面フラッシュドアと同等寸法、即ち、子扉のない鋼製ドアと同一面積のもの、本例にあっては鋼板メーカーの規格ドア鋼板を室内外用に2枚使用し、これに図6に示すように、打ち抜き加工乃至該打ち抜き加工と折曲加工を施して、親扉室外用鋼板41、子扉室外用鋼板42、親扉室内用鋼板43、子扉室内用鋼板44として、親扉2及び子扉3の室内外の各見付面乃至該見付面と親扉2、子扉の外周見込面を実質的に被覆する一方、親扉2の子扉開口23内周の見込面の被覆及び子扉3外周の見込面の被覆を除外して、これら見込面を、親扉2及び子扉3の骨材面をそのまま露出使用したものとしてある。
【0027】
このようにドア鋼板4の被覆を行うことによって、本例の子扉付鋼製ドアAは、両面フラッシュドアに比して子扉開口23と子扉3外周の被覆面積の増加があるも、該被覆面積の増加を吸収して上記室内外2枚のドア鋼板4によって親扉2、子扉3の被覆を完結的に行ったものとしてあり、例えば、上記特許文献1の如くに、被覆面積の増加に拘らず、これらを被覆したり、親扉用のドア鋼板を用いて気密材受条を形成したりすると、親扉、子扉の各室内外被覆用に合計4枚のドア鋼板を必要とすることになるところ、本例にあってはドア鋼板の使用を半減したものとしてある。
【0028】
即ち、これら鋼製ドアに用いられるドア鋼板4は、ロールの鋼板から形成するため、その横幅を、例えば914mmの規格寸法とし、縦長さをユーザー指定の、例えば1,900mm、2,000mm、2,150mmといった寸法としたものとされるところ、子扉開口23と子扉3外周の被覆面積の増加によって、縦長さは、その寸法指定によって吸収し得るも、横幅が914mmの固定寸法とされるから、ドア鋼板は両面フラッシュドアに使用し得ても、該被覆面積の増加を伴なう子扉付鋼製ドアAの親扉2と子扉3の被覆には横幅不足分が生じるに至るが、上記幅方向の必要寸法に関係する見込面の被覆を除外することによって、上記室内外2枚のドア鋼板4による被覆を行うものとすることができる。
【0029】
このとき、本例の親扉室外用鋼板41及び親扉室内用鋼板43は、その子扉開口23側の端縁を、該子扉開口23の端部乃至その近傍に位置するように配置して、上記被覆を行ってあり、本例にあって該親扉室外用鋼板41の端縁は、上記骨材21の見付面における気密材受条24を除く、例えば、子扉開口23端部の開口端から1cm程度見付面側に変位した位置までとし、親扉室内用鋼板43の端縁は、上記骨材21のほぼ端部の位置までとしてあり、これによって、該親扉室外用鋼板41の被覆幅を減少したものとしてある。
【0030】
化粧モール5は、親扉2の室内外双方又は室外側一方、本例にあっては室内外双方の子扉開口端に囲繞配置してあり、室外側の化粧モール5は、これを、上記子扉開口面内張出状とし、本例にあっては上記外周の見込面の被覆を省略した子扉3の室外側鋼板42で被覆した該子扉3の見付面外周端部に至るように、その張出し幅を設定したものを用い、該外周端部の切断端部を目隠しして子扉開口23とともにその露出を回避するようにその囲繞配置を行ってあり、これによって、特に、室外側にあって、子扉3が存在していることを判別し得ないようにして、例えば、化粧モール付きの鋼製の両面フラッシュドアと同様な外観を呈するように、その外観を親扉子扉一体のものとするようにしてあり、また、室内側にあっては、子扉3の室内側開閉を妨げないように、該子扉3の開閉を自在としてある。そして、化粧モール5を室内外双方に囲繞配置したことによって、子扉付鋼製ドアAの外観デザインを室内外共通に統一して、その商品価値を向上したものとしてある。
【0031】
該化粧モール5は、子扉付き鋼製ドアAに防火性を付与するように、室内外ともに、これを金属製としてあり、本例にあって該金属製の化粧モール5は、これを、アルミ押出材によるものとしてある。本例の化粧モール5は、該アルミ押出材の長尺帯状、例えば、2〜3cm程度の幅にして、子扉開口23の縦横の長さに応じた帯状にして、室内外で異幅異断面のものとしてあり、それぞれ表面に装飾模様、例えば、凹凸面による装飾模様を配置して立体感を呈するものとしてある。
【0032】
該化粧モール5は、接着、金具固定等の固定手段、本例にあっては接着によって、親扉2の子扉開口23端部に固定してあり、該子扉開口23端部への固定は、室外側において、該子扉開口23の面内に張出状にして子扉3の室外側外周を被覆するように、数mm乃至1cm程度、本例にあっては1cm弱程度面内に突出するようにその固定を行い、室内側において子扉開口23の周縁位置に一致するようにして、該子扉開口23と子扉3間に、例えば5mm程度の空隙を残して、該子扉3の開閉を阻害することなく、これを開閉自在としてある。
【0033】
このとき該化粧モール5は、親扉2見付面側の裏面外周にドア鋼板受入用の段部51を配置し、該段部51に親扉2の見付面被覆のドア鋼板4端部を受入れて、該ドア鋼板4端部の露出防止を兼用したものとしてあり、本例にあって該化粧モール5は、室内外ともに、その受入用の段部幅が異なるも、これを形成して、各ドア鋼板4の切断縁の露出とこれによる危険を解消して、外観の良好なものとしてある。
【0034】
このように金属製、特にアルミ押出材によって形成した化粧モール5は、その少なくとも子扉開口23下端における長手方向端部に安全措置を施したものとしてあり、これによって親扉2の子扉開口23に化粧モール5を設置するに伴なって長手方向端部の直角乃至鋭角の角部が露出することによって、危険を招くのを防止するようにしてあり、本例にあって該安全措置は、上記子扉開口23下端と子扉開口23上端の長手方向各端部の、子扉開口23の上下左右四隅のコーナーに、これを施したものとしてある。
【0035】
本例の化粧モール5は、その上記子扉開口23端部への固定に際して、長手方向端部を留め接合とし、その上記安全措置を、該留め接合の角部分を被覆するキャップ6の被覆によるものとしてある。
【0036】
即ち、図8に示すように、化粧モール5はその長手方向両端部を留め切りし、相互に突き合わせ配置して上記子扉開口23の端部に固定することによって、その留め接合を行ってあり、このため、長手方向端部にはそれぞれ直角の角部分が形成されるところ、該角部分、本例にあっては留め接合の該角部分を含む直角2辺に亘るように正面L字状の、例えばアルミ鋳物、硬質乃至軟質の合成樹脂等の成形部品、本例にあっては材質による安全措置を兼ねるように、例えば軟質合成樹脂の成形品によるキャップ6で被覆したものとしてある。即ち、キャップ6は正面L字状にして且つ断面ほぼL字状にして、少なくとも化粧モール5の上記直角2辺の正面及び外側面を被覆するものとしてあり、本例にあっては更に薄肉の舌片を背面に備えたものとしてあり、該舌片を親扉のドア鋼板と化粧モール5の背面間に介設して、同じく接着等の固定手段によって各コーナーに配置することによって、化粧モール5の上記直角2辺を被覆してあり、これによって、該化粧モール5の角部分の露出を避け、該化粧モール5の角部分に触れても、怪我を招くことのないものとしてある。
【0037】
図9は、更に安全措置の他の例を示したもので、同じく上記金属製、特にアルミ押出材の化粧モール5を用いた場合、その長手方向端部をコーナー連結部材7を介して連結し、その上記安全措置を該コーナー連結部材7の形状乃至材質によって行った例を示したもので、該コーナー連結部材7は、同じくアルミ鋳物、硬質乃至軟質の合成樹脂等の成形部品によって、化粧モール5の長手方向端部の木口の先端を部分的に受け入れ被覆して、化粧モール5の上記装飾模様を連続するように装飾模様を配置した同じく正面L字状にして上記受け入れ被覆部位を基部から直交配置したものとしてあり、このとき上記基部の角部を面取り乃至角落しするようにその角部の形状を径小のアール面として、上記安全措置とするか、これに代えて又はこれとともに、コーナー連結部材7の材質を合成樹脂、例えば軟質の合成樹脂とすることによって、上記安全措置としてあり、これによって、該留め接合を一般とする化粧モール7のコーナー露出を回避して、コーナー連結部材7に触れても、同様に怪我を招くことのないものとしてある。
【0038】
このように形成した本例の子扉付き鋼製ドアAは、地震によってドア枠1が変形し、親扉2の開閉が不能となっても、図示省略の子扉室内側のハンドル操作によって、親扉2に配置した子扉3の開閉が可能であるから、子扉3を室内側に開成して室外に緊急脱出することができ、このとき、子扉3は内開きとしたことによって、外開きとした場合のように、室外側に廊下の部分崩落等による開閉傷害が生じても、子扉3が開閉不能となるといった危険もなく、確実な脱出ができる上、化粧モール5を親扉2室内外の子扉開口23端部に囲繞配置し、室外側の化粧モール5の囲繞配置を子扉開口面内張出状としたから、親扉子扉一体の良好な外観を確保するとともに子扉3の存在を判別し難くして、防犯性を向上したものとすることができる。また、化粧モール5を金属製としても、長手方向端部に安全措置を施したから、化粧モール5を子扉開口23に設置するに伴なう危険を解消したものとすることができ、更に、該化粧モール5を子扉開口23端部に設置することによって、上記親扉2に対するドア鋼板4の被覆を子扉開口23端部乃至その近傍として、室内外2枚のドア鋼板4によって親扉2及び子扉3の完結的な被覆をなし得るとともにその端縁が露出することを防止することができる。
【0039】
図中26は、上記子扉3の骨材31と部分的に対面するように段部を形成した親扉2の骨材21と子扉3の骨材31間に配置し且つ子扉開口23の見込面内に位置するようにした、例えばスプリングヒンジとした子扉吊り支持用のヒンジ、45はドア鋼板4の加工段階で形成した子扉の開口、46は、本例にあって上記見込面の被覆を省略した子扉室外側鋼板42を除いて、ドア鋼板4の加工段階で各鋼板に形成した見付面に加えてこれに続く見込面を被覆する見込面被覆片をそれぞれ示す。
【0040】
図示した例は以上の通りとしたが、本発明の実施に当って、子扉付き鋼製ドア、親扉、子扉、親扉と子扉を被覆するドア鋼板、子扉開口、化粧モール等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0041】
A 子扉付き鋼製ドア
1 ドア枠
11 気密材
2 親扉
21 骨材
22 充填材
23 子扉開口
24 気密材受条
25 気密材
26 ヒンジ
3 子扉
31 骨材
32 充填材
33 ヒンジ
4 ドア鋼板
41 親扉室外用鋼板
42 子扉室外用鋼板
43 親扉室内用鋼板
44 子扉室内用鋼板
45 子扉の開口
46 見込面被覆片
5 化粧モール
51 鋼板受入段部
6 キャップ
7 コーナー連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親扉と、該親扉に配置の子扉開口に非常脱出用開閉自在の内開きの子扉を備えた子扉付き鋼製ドアであって、上記親扉の室内外双方又は室外側一方の見付面における子扉開口端に化粧モールを囲繞配置するとともに該室外側の化粧モールの囲繞配置を上記子扉開口面内張出状として親扉子扉一体の外観を確保してなることを特徴とする子扉付き鋼製ドア。
【請求項2】
上記化粧モールを室内外双方の見付面における子扉開口端に囲繞配置し、その室内側の化粧モールの囲繞配置を子扉開口端面内非張出状乃至僅少張出状として子扉の室内側開閉を自在としてなることを特徴とする請求項1に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項3】
上記室外側配置の化粧モールを金属製とし且つ化粧モールの少なくとも子扉開口下端における長手方向端部に安全措置を施してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項4】
上記化粧モールの長手方向端部を留め接合とし、その上記安全措置を、該留め接合の角部分を被覆するキャップの被覆によるものとしてなることを特徴とする請求項3に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項5】
上記化粧モールの長手方向端部をコーナー連結部材を介して連結し、その上記安全措置を該コーナー連結部材の形状乃至材質によって行ってなることを特徴とする請求項3に記載の子扉付き鋼製ドア。
【請求項6】
上記化粧モールをアルミ押出材によって形成するとともにその親扉見付面側の裏面外周にドア鋼板受入用の段部を配置し、該段部に親扉の見付面被覆のドア鋼板端部を受入れて、該ドア鋼板端部の露出防止を兼用してなることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5に記載の子扉付き鋼製ドア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−108342(P2013−108342A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198189(P2012−198189)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【出願人】(598081045)フジメタル株式会社 (23)
【出願人】(511257104)東海ドア株式会社 (4)
【出願人】(596108977)株式会社アイ・エス (12)