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孔あき導電箔及びその製造方法
説明

孔あき導電箔及びその製造方法

【課題】 リチウムイオンキャパシタの負極用集電体である孔あき銅箔に代えて使用して孔あき銅箔と遜色ない電気的特性を示し、しかも、その孔あき銅箔と比べて格段に軽量で且つ経済性が良好な孔あき導電箔を製造する。
【解決手段】 アルミニウム箔50をケミカルエッチング又は電解エッチングに供して、多数の貫通孔52が分散して形成された孔あきアルミニウム箔51となす。作製された孔あきアルミニウム箔51の表面に、アルミニウム箔と異なる材質からなる複数層の異種金属膜60を積層被覆する。異種金属膜60は内側から順に、Zn又はZn合金からなる置換層61、Ni又はNi合金からなる抵抗層62、及び電気Cuめっき層63である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の微細な貫通孔が分散して形成されたアルミニウム箔からなる母材の最表面にCuを被覆した複層構造の孔あき導電箔に関し、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体に適した孔あき導電箔及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小型で軽量、且つエネルギー密度が高く、更に繰り返し充放電が可能なリチウムイオン二次電池や電気二重層キャパシタなどの電気化学素子は、その特性を活かして急速に需要を拡大している。リチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が比較的大きいことから携帯電話やノート型パーソナルコンピュータなどの分野で利用され、電気二重層キャパシタはパソコン等のメモリバックアップ小型電源として利用されている。又、電気二重層キャパシタは急速充放電特性に優れることから、繰り返しの充放電が必要なショベル、クレーンなどの建設機械での使用が本格化してきている。
【0003】
一方で、電気二重層キャパシタのエネルギー密度は3〜4Wh/l程度で、リチウムイオン二次電池に比べて二桁程度小さい。このため、高いエネルギー密度と充放電速度の両立を目指し、正極、負極の2つの電極のうち、負極にリチウムイオン電池を、正極に電気二重層キャパシタを組み合わせたリチウムイオンキャパシタの開発が進められている。このリチウムイオンキャパシタは、安全性、高容量及び急速充放電を兼ね備えており、新しい電気化学素子として大いに期待されている。しかしながら、まだ一般に広く使用されるには至っていない。その理由の一つが次に説明するプレドーピングである。
【0004】
リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの関係を図3に示し、リチウムイオンキャパシタの基本構造を図4に模式的に示す。また、リチウムイオンキャパシタにおける単セルの概念図を図5に示す。
【0005】
リチウムイオンキャパシタの基本構造は、図3に示すように、正極に電気二重層キャパシタの正極を使用し、負極にリチウムイオン二次電池の負極を用いたものであり、より具体的には、図4に示すように、それらの正極10と負極20とがセパレータ30を介して巻回、又は交互に積層された積層構造となっている。以下、前者を巻回積層構造、後者の平面型薄膜積層タイプを平面積層構造と称す。電気二重層キャパシタの正極に対応する正極10は、アルミニウム箔からなる集電体11の表面に正極活物質12として活性炭などを被覆したものが一般的である。リチウムイオン二次電池の負極に対応する負極20は、銅箔からなる集電体21の表面に負極活物質22としてカーボンなどを被覆したものが一般的である。
【0006】
このようなリチウムイオンキャパシタでは、高性能を得るために、出荷前の最終段階で予めリチウム箔などのリチウム供給源40から負極活物質22中へリチウムイオンをドーピングする必要がある。この操作がいわゆるプレドーピングであるが、その処理には長時間を要し、負極活物質22に均一にドーピングすることも困難であり、このようなプレドーピング上の問題がリチウムイオンキャパシタの実用化を阻害する一因となっている。
【0007】
リチウムイオンキャパシタにおけるプレドーピングの問題を解決するための対策としては、集電体11,21に多数の微細な貫通孔を形成する方法が一般的である(特許文献1)。多数の微細な貫通孔が形成された孔あき集電体11,21を正極10及び負極20に用いたリチウムイオンキャパシタでは、プレドーピング時にリチウム供給源40から供給されたリチウムイオンが集電体11,21に遮断されることなく、正極10及び負極20を通過することができる。したがって、正極10と負極20とがセパレータ30を介して巻回された巻回積層構造のリチウムイオンキャパシタであっても、平面積層構造のリチウムイオンキャパシタであっても、リチウム供給源40から離れた場所にある負極20にもリチウムイオンをドーピングすることができる。
【0008】
しかしながら、負極20の集電体21に貫通孔を形成することに伴う次のような問題が、リチウムイオンキャパシタの実用化、一般化を阻害する一因になっている。すなわち、負極20の集電体21には前述したとおり銅箔が使用される。銅箔に多数の貫通孔を形成する方法としては、例えば金属箔に千鳥配列の切れ目を入れ、この切れ目を押し広げて網目を形成するエキスパンドメタル方式や、針の往復運動により孔を開けるパンチング方式、表面上に多数の針を立てたロールに沿って金属箔を通過させることにより孔を開ける回転ロールパンチング方式などの機械的方法が一般的であるが、エキスパンドメタル方式では貫通孔を形成した後の銅箔の平坦性に問題があり、パンチング方式では貫通孔の周囲にバリが発生することから同様に平坦性に問題がある。
【0009】
更に、このような機械的方法では、銅箔に相応の機械的強度が必要であるため、金属箔の厚みを薄くするのが困難であり、軽量化が阻害される。プレス加工やロール加工でバリを除去することも行われているが、金属箔の厚みを薄くすると、加工でしわなどが生じるので、厚みが薄い場合は適用が困難である。
【0010】
このような問題のため、機械的方法ではない化学的方法で貫通孔を形成することが特許文献2により提案されている。この方法は、金属箔の一方の表面上に接着層を介して合成樹脂層を付着させる工程、金属箔の他方の表面上に所定パターンのレジスト層を形成する工程、他方の表面上に形成されたレジスト層をマスクとして用いてエッチングすることにより、他方の表面の側から金属箔に複数の貫通孔を形成する工程、貫通孔を形成した後、金属箔から合成樹脂層及びと接着層を剥離する工程、合成樹脂層と接着層とを剥離した後、レジスト層を除去する工程からなる。
【0011】
ケミカルエッチングによる化学的方法は、機械的打ち抜き法によるバリや返りがでない点で優れた方法であると考えられるが、工程数が多く、且つ複雑であるために、コスト高になる可能性がある。又、エッチングを防止するために積層したポリプロピレンフィルムを剥離する工程で、金属箔が薄いためにしわが発生する可能性があり、作業性に課題がある。
【0012】
ケミカルエッチングによる更に別の方法として、写真法を利用する技術が特許文献3及び特許文献4により提案されている。この方法は、銅箔の両面に光感応性樹脂を塗工し、片面に所定のネガフィルム及びポジフィルムを介して紫外線を露光する。続いて現像、金属箔のエッチング、レジスト除去を行うことで、貫通孔を有する金属箔を形成することができる。ネガフィルム及びポジフィルムの仕様変更によって貫通孔の孔径を調整できる点で優れた方法である。しかしながら、ケミカルエッチング法である以上、前述した特許文献2の方法と同様に工数が多く、経済性が悪い。
【0013】
近時の傾向として、電池容量増大等のために、正極部材、負極部材及びセパレータの積層数(巻回構造では巻回回数)が著しく増加しており、その結果として部材面積が増大し、これによる電池の大型化、重量増大及びコスト増が問題になる。このことはリチウムイオンキャパシタにおいても例外ではなく、このため正極部材、負極部材等について軽量で安価なものが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平8−107048号公報
【特許文献2】特開2008−41511号公報
【特許文献3】特開2000−294250号公報
【特許文献4】特開平11−67217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、リチウムイオンキャパシタの負極用集電体である孔あき銅箔に代えて使用して孔あき銅箔と遜色ない電気的特性を示し、しかも、その孔あき銅箔と比べて軽量で安価な孔あき導電箔及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
リチウムイオンキャパシタの小型化、軽量化のために、本発明者らは電極部材、特に負極集電体に着目した。すなわち、リチウムイオンキャパシタにおける正極集電体は比重の小さいアルミニウムの孔あき箔であるのに対し、負極集電体は比重の大きい銅の孔あき箔である。これらの集電体においては薄厚化が進んでいるとは言え、一方では積層数(巻回積層構造では旋回数)が増加しているため、集電体の総面積も増加している。その結果、孔あき銅箔からなる負極集電体の占める重量比は依然として大きく、このことが負極集電体の軽量化を阻害する一因となっているのである。
【0017】
そして、本発明者らは負極集電体の軽量化を実現するために、孔あきアルミニウム箔を母材とし、その表面に銅をコーティングした複層構造の孔あき導電箔の有効性について検討した。その結果、その複合構造の孔あき導電箔がリチウムイオンキャパシタにおける負極集電体として問題なく機能すること、アルミニウム母材を使用する分、軽量となることを確認した。その上、アルミニウム箔の表面への銅コーティングのコストを考慮してもなお、この複合孔あき導電箔は孔あき銅箔より安価となることを知見した。
【0018】
すなわち、アルミニウム箔は銅箔より機械的強度が低く、厚みが小さい場合は機械的な孔あけ加工が難しくなる。このため、アルミニウム箔に対する孔あけ加工は化学的方法が主体となり、化学的方法としてはケミカルエッチングと電解エッチングとが周知である。電解エッチングは、孔あけをすべき金属箔を陽極に繋ぎ、カーボンを陰極に繋ぎ、酸性液中で通電を行う方法である。金属箔が選択的に溶解し、多数の微細な貫通孔が形成される。通電量や酸性液の温度、浸漬時間などを制御することで、貫通孔の孔径を調節することもできる。簡易でバリも生じない方法であるため、リチウムイオンキャパシタの陽極用集電体であるアルミニウム箔の孔あけ加工には使用されている。ただし、この電解エッチングは銅箔の孔あけ加工には使用できない。また、アルミニウム箔の孔あけ加工に使用する場合も、特殊で高価な素材箔が必要になる。
【0019】
これに対し、ケミカルエッチングは、周知のとおり多くの工程を必要とするため電解エッチングより高コストとなるが、ケミカルエッチングに使用可能なアルミニウム箔は、電解エッチングに使用可能なアルミニウム箔と異なり、安価な汎用品でよいため、エッチングのトータルコストとしては、ケミカルエッチングの方が電解エッチングより若干高価となる程度である。
【0020】
一方、材料コストは、アルミニウム箔の方が銅箔に比べて格段に安い。他方、アルミニウム箔の表面に対する銅コーティングのコストはケミカルエッチングのコストと同程度である。その結果、アルミニウム箔の表面への銅コーティングのコストを考慮してもなお、複合孔あき導電箔のトータルコストは孔あき銅箔のトータルコストより安価となるのである。
【0021】
本発明の孔あき導電箔は、かかる知見を基礎として完成されたものであり、複数の貫通孔が分散して形成された孔あきアルミニウム箔の片面又は両面に、アルミニウム箔と異なる材質からなる1層又は複数層の異種金属膜が積層被覆され、異種金属膜における最表層の金属層がCuからなる積層構造を有することを構成上の特徴点としている。
【0022】
また、本発明の孔あき導電箔の製造方法は、アルミニウム箔に複数の貫通孔を分散して形成する工程と、孔あきアルミニウム箔の表面をZn又はZn合金により置換する工程と、Zn又はZn合金の置換膜上にNi又はNi合金を無電解めっきする工程と、Ni又はNi合金のめっき膜上にCuの電気めっきを行う工程とを含んでいる。
【0023】
本発明の孔あき導電箔及びその製造方法の基本概念を、従来の孔あき銅箔の場合と比較して図1に示す。なお、本発明の孔あき導電箔及びその製造方法において、アルミニウムは純アルミニウム又はアルミニウム合金の両方を意味する。
【0024】
孔あき銅箔の場合は、孔のない銅箔70からパンチング法やラス法、ケミカルエッチング法により孔あき銅箔71が製造されるが、それらの孔あけ法に関係なく材料コストが高く単位面積当たりの重量も大きい。これに対し、本発明の孔あき導電箔及びその製造方法の場合は、先ず孔のないアルミニウム箔50から孔あきアルミニウム箔51を作製し、その表面に、最表面がCuである1層又は複数層の異種金属膜60を積層被覆する。孔あきアルミニウム箔51の作製法としてはパンチング法やラス法も可能であるが、平坦性を考慮するとケミカルエッチングや電解エッチング法が好ましく、素材コスト、汎用性、孔仕様のコントロール容易性の点からはケミカルエッチングが好ましく、工数面からは電解エッチング法が好ましい。そして、その孔あきアルミニウム箔51の表面に、最表層がCuからなる1層又は複数層の異種金属膜60を積層被覆することにより、その積層型孔あき導電箔は、ケミカルエッチング法で作製された孔あき銅箔と電気化学的に同様の機能を奏すると共に、その孔あき銅箔より安価で軽量となる。
【0025】
すなわち、本発明の孔あき導電箔の製造では、孔あけ加工の後にめっきを繰り返すため、孔あき銅箔の場合と比べて製造工数、製造コストは若干増加するが、母材がアルミニウムであるため、軽量であり、且つ母材コストが安く、全体としては重量、コスト共に小さくなる。ちなみに、アルミニウム箔の真比重は2.7g/cm3 であり、銅箔の真比重(8.6g/cm3 )の1/3以下である。また、アルミニウム箔の素材コストは、銅箔の素材コストと比べ、ケミカルエッチング用の場合で約1/10、電解エッチング用の場合で約1/5である。
【0026】
本発明の孔あき導電箔は、リチウムイオンキャパシタの負極用集電体として好適である。その場合は、金属膜はアルミニウム箔の両面に被覆される必要があり、且つアルミニウム箔と最外側層のCu膜との間にNi又はCrからなる中間膜を抵抗層として介在させるのが好ましい。また、用途にかかわらず、アルミニウム箔表面の極く薄い領域をZn又はZn合金で置換するのが好ましい。アルミニウム箔の表面は酸化膜で覆われており、金属めっきが困難であるが、Zn又はZn合金からなる置換層を形成することにより、この金属めっきが容易となる。
【0027】
リチウムイオンキャパシタの負極集電体として使用する孔あき導電箔の場合、厚みは1〜100μmが好ましく、5〜50μmが特に好ましい。孔あき導電箔の厚みが大きすぎる場合は集電体の厚みが大きくなり、リチウムイオンキャパシタの小型化が阻害される。ただし、厚みが余りに小さすぎる場合は集電体としての担持機能が失われる危険性がある。また、取り扱い性が低下し、めっき作業等が困難となる。孔あき金属箔の作製に機械的方法の適用が困難となる20μm以下、特に15μm以下の厚みの場合に本発明の有効性が顕著である。
【0028】
貫通孔の孔形状は円形、楕円形、矩形、菱形、スリット形など任意形状であってもよいが、円形、楕円形、矩形が好ましい。孔形状に関係なく、貫通孔は導電箔の厚み方向に同一サイズ、同一形状である必要はなく、異なるサイズ、異なる形状であってもよい。ケミカルエッチングによる貫通孔の形成では、孔形状、孔径、分布状況等を任意にコントロールできる。電解エッチングにより形成した貫通孔は概ね丸孔で、アルミニウム箔全体に均一な分布で分散する。
【0029】
貫通孔の孔径は、開口面積を同一面積の丸孔の直径で表して10〜300μmが好ましい。孔径が小さすぎると、予めドーピングするリチウムイオンの透過や電解液の拡散がスムーズに行われなくなる。反対に、孔径が大きすぎると、機械的強度の低下、電極活物質を塗工する際に液垂れなどの不具合が生じる。アルミニウム箔の電解エッチングでは、エッチング条件、エッチング後の酸処理により孔径を広範囲に変更することができる。
【0030】
貫通孔の個数は、数式1にて定義される開口率で表して10〜80%が好ましく、20〜60%が特に好ましい。開口率が小さすぎると、予めドーピングするリチウムイオンの透過や電解液の拡散がスムーズに行われなくなる。反対に、開口率が大きすぎると孔あき導電箔の機械的強度の低下が問題になる。
【0031】
【数1】

【0032】
なお、前述したとおり、貫通孔の孔形状は問わないが、1枚の孔あき導電箔においては孔径と共に同一に揃えることが好ましく、分布密度も均一であることが望ましい。
【0033】
電解エッチングによる孔あけ加工は、アルミニウム箔に対しては可能であっても、リチウムイオンキャパシタの負極集電体である銅箔に対しては不可能である。その理由は次のように考えられる。アルミニウムの結晶構造は、面心立方格子であり、原子の並び方によってできる結晶面には、緻密に並んだ面(111)と疎に並んだ面(100)とができる。電解エッチングによって、アルミニウムをエッチングする際もその結晶状態が大きく関わるため、エッチングに選択性が出る。つまり、疎の面の方がエッチングされやすい。アルミニウム箔の電解エッチングで使用されるアルミは、予めそのように密の面、疎の面を配列させた状態になっている。一方、Cuの場合は、結晶構造は、アルミニウムと同様であるが、結晶面が一様でなく、ランダムに配列されている。よって、仮に電解エッチングを実施したとしても、Cu表面全体が選択性なくエッチングされるのみとなるので、アルミニウムのような結果とはならない。
【発明の効果】
【0034】
本発明の孔あき導電箔は、材料費が安くて軽い孔あきアルミニウム箔を母材としてその最表面にCuを被覆した複合積層構造の孔あき金属箔であるので、Cu単体からなる孔あき金属箔と比べて、トータルコストが安く軽量である。また、リチウムイオンキャパシタの負極用集電体として使用しても従来の孔あき銅箔と比べて遜色ない電気的特性を示す。したがって、リチウムイオンキャパシタの負極コスト低減、負極軽量化及び負極小型化、ひいてはリチウムイオンキャパシタの製造コスト低減、軽量化及び小型化に大きな効果を発揮する。
【0035】
本発明の孔あき導電箔の製造方法は、材料費が安くて軽い孔あきアルミニウム箔を母材としてその最表面にCuを被覆した複合積層構造の孔あき金属箔を製造するので、Cu単体からなる孔あき金属箔を製造する場合と比べて、トータル製造コストの引き下げ、及び軽量化を可能とする。また、リチウムイオンキャパシタの負極用集電体として使用しても従来の孔あき銅箔と比べて遜色ない電気的特性の孔あき導電箔を製造することができる。したがって、リチウムイオンキャパシタの負極コスト低減、負極軽量化及び負極小型化、ひいてはリチウムイオンキャパシタの製造コスト低減、軽量化及び小型化に大きな効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の孔あき導電箔及びその製造方法の基本概念を、従来の孔あき銅箔の場合と比較して示す工程図である。
【図2】本発明の孔あき導電箔の製造プロセスを段階的に示す模式図である。
【図3】リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ及びリチウムイオンキャパシタの関係図である。
【図4】リチウムイオンキャパシタの基本構造を示す模式図である。
【図5】リチウムイオンキャパシタにおける単セルの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態を図2に基づいて説明する。
【0038】
本実施形態の孔あき導電箔は、リチウムイオンキャパシタの負極集電体に使用されるものであり、アルミニウム箔50から製造された孔あきアルミニウム箔51を母材とし、その両面に、アルミニウムとは異なる複数の金属層からなる異種金属膜60が積層被覆された孔あき金属積層体である。
【0039】
孔あきアルミニウム箔51は、異種金属膜60の担持体(サポート)であり、プレドーピングにおけるリチウムイオンの透過のために、ケミカルエッチング又は電解エッチングにより均一な分布で形成された多数の貫通孔52を有している。異種金属膜60は、ここではZn又はZn合金からなる置換層61、無電解Niめっき層又は無電解Ni合金メッキ層からなる抵抗層62、及び電気Cuメッキ層63からなる3層構造であり、孔あきアルミニウム箔51における各貫通孔52の内周面にも積層被覆されている。
【0040】
異種金属膜60における置換層61は、孔あきアルミニウム箔51の表面に形成されている酸化皮膜を取り除いて抵抗層62のめっきを可能とするものであり、その厚みは非常に薄く、0.01〜0.1μm程度である。
【0041】
無電解Niめっき層又は無電解Ni合金メッキ層からなる抵抗層62は、当該孔あき導電箔をリチウムイオンキャパシタの負極集電体として機能させるための電気的抵抗層であり、その厚みは例えば0.03〜0.5μmである。すなわち、孔あきアルミニウム箔51と電気Cuメッキ層63との間に無電解Niめっき層又は無電解Ni合金メッキ層が存在しないと、孔あきアルミニウム箔51と電気Cuメッキ層53との間に電流が集中して流れ(負極内で電流が循環し)、負極と正極との間に電流が流れ難くなる。この抵抗層62の層厚が小さすぎる抵抗層としての機能を果すことが困難となる。反対に層厚が大きすぎる場合は電気銅めっきする際の抵抗層として働き電気めっき銅の膜厚ムラを生じる。
【0042】
電気Cuメッキ層63は、孔あきアルミニウム箔51に、リチウムイオンキャパシタの負極集電体としての機能を付与する機能膜であり、その厚みは例えば1〜10μmである。電気Cuメッキ層63の層厚が小さすぎると導電率が低下し、銅本来の電気特性が得られず電池機能を果たす事が困難となり、大きすぎる場合は軽量化及び低コストの面での優位性を示すことができない。
【0043】
次に、リチウムイオンキャパシタの負極集電体に使用される孔あき導電膜の製造方法について具体的に説明する。
【0044】
1)孔あきアルミニウム箔を作製する工程
(ケミカルエッチング法)
孔あけ前のアルミニウム箔50の両面にネガ型又はポジ型のレジストを塗布し、一方の面(表面)に所定のネガ型又はポジ型のマスクを重ねUVで露光する。他方の面(裏面)にはフォトマスクを使用せず、全面露光を行う。続いて、現像により表面に所定のパターンでアルミニウム面を露出させ、露出部分を塩化鉄等のアルミニウム用エッチング液により溶解除去する。続いて、表面及び裏面のレジストをカセイソーダ等で剥離液で除去する。かくして、所定パターンで貫通孔が形成された孔あきアルミニウム箔51が得られる。フォトマスクのパターンにより貫通孔の大きさ、形状、分布形態等を変更することができ、開口率も任意に調整することができる。
【0045】
(電解エッチング法)
孔あけ前のアルミニウム箔50を陽極に繋ぎ、カーボンを陰極に繋ぎ、酸性液中で電解エッチングを行う。酸性液としては塩酸を使用することができる。通電量や酸性液の温度、浸漬時間を制御することで、孔あきアルミニウム箔51における貫通孔52の孔径を調節することができる。電解エッチング後の酸性液による処理で貫通孔52の孔径を更に大きくすることもできる。
【0046】
2)Zn又はZn合金からなる置換層を形成する工程
アルミニウムの表面にNi又はNi合金層を形成する場合には、アルミニウムの表面をZn又はZn合金で置換してその表面から酸化膜を除去し、その上にNi又はNi合金を無電解めっきする方法が一般的である。その典型的な工程例は「アルカリ脱脂→脱スマット→Zn又はZn合金置換→置換皮膜剥離→Zn又はZn合金置換→Ni又はNi合金無電解めっき」である。
【0047】
(アルカリ脱脂)
アルミ箔の表面のエッチング及び酸化皮膜を目的として、表面をアルカリ洗浄することが好ましい。その洗浄液としては、例えば、炭酸ナトリウムと第3リン酸ナトリウム各20〜25g/l又は、水酸化ナトリウム水溶液50g/lを使用する。水酸化ナトリウム水溶液を使用する場合の浸漬温度は、50℃〜60℃が好ましく、浸漬時間は、30秒〜60秒が好ましい。
【0048】
(脱スマット)
エッチングにより生じたアルミニウム中の不純物で形成されるスマット(黒色沈殿物)を除去することが好ましい。そのスマット除去剤として、アルミニウムに含まれる金属成分の含有量によるが、例えば65%硝酸500ml/l、硫酸200ml/l等が挙げられる。例えば、硝酸を使用する場合の浸漬温度は、10℃〜30℃が好ましく、浸漬時間は、10秒〜60秒が好ましい。
【0049】
(Zn又はZn合金置換)
脱スマットしたAl表面にZn又はZn合金を置換めっきする。その置換めっき液としては、例えば、水酸化ナトリウム120g/l、酸化亜鉛20g/l、結晶性塩化第二鉄2g/l、ロッセル塩50g/l、硝酸ナトリウム1g/lの混合溶液などがある。又、市販のZn又はZn合金めっき液を使用してもよい。例えば、奥野製薬工業株式会社製サブスターZn−1、Zn−2、Zn−3、Zn−8、Zn−10、Zn−111、Zn−222、Zn−291等が挙げられる。めっきするアルミ箔中の金属不純物量に応じて上記めっき液を使い分ける。この溶液を使用した場合の浸漬温度は、15℃〜25℃が好ましく、浸漬時間は、15秒〜40秒が好ましい。
【0050】
(Zn又はZn合金皮膜剥離)
2重置換する方が置換皮膜を緻密化でき、密着性、被覆力を向上させることができるため、一度被覆置換したZn又はZn合金層を剥離する。その剥離液として、例えば、65%硝酸500ml/l等が挙げられる。浸漬温度は15℃〜30℃が好ましく、浸漬時間は20〜60秒が好ましい。
【0051】
(Zn又はZn合金置換)
Zn又はZn合金層を剥離した面上に再度Zn又はZn合金置換めっきを行う。その置換めっき液としては、例えば、水酸化ナトリウム120g/l、酸化亜鉛20g/l、結晶性塩化第二鉄2g/l、ロッセル塩50g/l、硝酸ナトリウム1g/lの混合溶液などがある。又、市販のZn又はZn合金めっき液を使用してもよい。例えば、奥野製薬工業株式会社製サブスターZn−1、Zn−2、Zn−3、Zn−8、Zn−10、Zn−111、Zn−222、Zn−291等が挙げられる。めっきするアルミ箔中の金属不純物量に応じて上記めっき液を使い分ける。この溶液を使用した場合の浸漬温度は、15℃〜25℃が好ましく、浸漬時間は、15秒〜40秒が好ましい。
【0052】
3)置換層上にNi又はNi合金からなる抵抗層を形成する工程。
(Ni又はNi合金めっき)
置換したZn又はZn合金上にNi又はNi合金めっきを行う。使用するNi又はNi合金めっきとしては、通常、無電解めっきに使用されるめっき液であれば、特に限定されない。例えば、Niめっき液としては、市販品が幅広く使用でき、硫酸ニッケル30g/l、次亜リン酸ソーダ20g/l、クエン酸アンモニウム50g/lを含む水溶液などが挙げられる。Ni合金めっき液としては、りん化合物が還元剤となるNi−P合金めっき液やホウ素化合物が還元剤となるNi−Bメッキ液などが挙げられる。トップニコロンXT(奥野製薬(株))、ICPニコロンGM(E)(奥野製薬(株))、トップケミアロイB−1(奥野製薬(株))、ICP二コロンDK(奥野製薬(株))が好ましく、更に好ましくはICP二コロンDK(奥野製薬(株))、トップケミアロイB−1(奥野製薬(株))である。浸漬温度は30℃〜90℃が好ましい。浸漬時間は15秒〜10分が好ましい。
【0053】
4)抵抗層上に電気Cuめっきを行う工程
電気Cuめっき浴は、一般的に使用されているめっき液であれば特に限定されることはない。例えば、Cuを電気めっきする場合は、硫酸Cu60〜110g/L、硫酸160〜200g/L及び塩酸0.1〜0.15mL/Lを純水に加え、さらに奥野製薬株式会社製トップルチナSFベースWR1z5〜5.0mL/L、トップルチナSF−B0.5〜2.0mL/L及びトップルチナSFレベラー3.0〜1010mL/Lを添加剤として加えてよい。好ましいCuめっき浴としては、硫酸Cu70g/L、硫酸200g/Lおよび塩酸0.5mL/Lを純水に加え、さらにトップルチナSFベースWR2.5mL/L、トップルチナSF−B1.0mL/L及びトップルチナSFレベラー5.0mL/Lを加える。浸漬温度は20〜30℃が好ましい。浸漬時間は、めっきをつけるCu膜の厚さによるが、例えば2μmのCu膜をつける場合は、電流密度2A/dmで約5分間浸漬すればよい。
【0054】
1)〜4)の各工程間には、前工程の処理液が次工程へ侵入するのを防ぐために水洗工程を設けてよい。
【実施例】
【0055】
以下、本発明の実施例を挙げてより詳細な説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0056】
(電解エッチング)
厚み10μmのアルミニウム箔を用意した。そのアルミニウム箔を陽極に繋ぎ、カーボン電極を陰極に繋ぎ、80℃5%塩酸中において電流密度2A/dmで1分間電解エッチングを行なった。続いて、60℃5%塩酸中において、電解エッチングで形成した貫通孔を拡張し、水洗及び乾燥し、厚さ10μm、平均孔径0.1mm、開口率40%の孔あきアルミニウム箔を得た。
【0057】
(Zn置換及び無電解Niめっき)
得られた孔あきアルミニウム箔を、始めに50℃に調整した5%水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬し、次いで30℃に調整した30%硝酸水溶液に浸漬した。続いて、25℃に調整したサブスターZn−111(奥野製薬工業株式会社製)に1分間浸漬し、ジンケート処理した。続いて、ジンケート皮膜を剥離するために、30℃に調整した30%硝酸水溶液に1分間浸漬し、25℃に調整したサブスターZn−111(奥野製薬工業株式会社製)に1分間浸漬した。続いて、50℃に調整したドップケミアロイB1(奥野製薬工業株式会社製)に1分30秒浸漬し、0.02μmのNi層を形成し、100℃で1時間乾燥した。
【0058】
(電気Cuめっき)
得られたNi層が表面に形成された孔あきアルミニウム箔を陰極に繋ぎ、不溶性電極を陽極に繋ぎ、25℃に調整した硫酸Cu水溶液中で電気Cuめっきを行った。電流密度2A/dm2 で5分間浸漬することで、Cu層を2μm形成した。これにより、本発明の孔あき導電箔として、アルミニウム箔の表面上にCuが積層された総厚14μmの孔あき金属積層体が得られた。得られた孔あき金属積層体はバリもしわもなく、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能である。
【実施例2】
【0059】
(Zn置換及び無電解Niめっき)
実施例1で得られた孔あきアルミニウム箔(貫通孔の平均径が0.1mm、厚さが10μm、気孔率が40%)を、始めに50℃に調整した5%水酸化ナトリウム水溶液に1分間浸漬し、次いで30℃に調整した30%硝酸水溶液に浸漬した。続いて、25℃に調整したサブスターZn−111(奥野製薬工業株式会社製)に1分間浸漬し、ジンケート処理した。続いて、ジンケート皮膜を剥離するために、30℃に調整した30%硝酸水溶液に1分間浸漬し、25℃に調整したサブスターZn−111(奥野製薬工業株式会社製)に1分間浸漬した。続いて、50℃に調整したドップケミアロイB1(奥野製薬工業株式会社製)に1分30秒浸漬し、0.02μmのNi層を形成し、100℃で1時間乾燥した。
【0060】
(電気Cuめっき)
上記で得られたNi層が表面に形成されたアルミ箔を陰極に繋ぎ、不溶性電極を陽極に繋ぎ25℃に調整した硫酸Cu水溶液中で電気Cuめっきした。電流密度2A/dm2で10分間浸漬することで、Cu層を4μm形成した。アルミ箔にCuを積層し、総厚18μmの金属積層体が得られた。得られた孔あき金属積層体はバリもしわもなく、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能である。
【実施例3】
【0061】
(ケミカルエッチング)
アルミニウム箔(10μm)にネガ型レジスト液(進和工業製、EF−100)をバーコーターで10μm厚に均一塗布し、80℃で10分乾燥した。続いて、0.25mm四方に0.1mm径の孔が2つあるネガフィルムマスク(150μm)を用意した。そのネガフィルムをレジストが積層されたアルミの片面に真空密着させ、そこから一定の距離を置いて設けた紫外線露光機から300mj/cm2 の紫外線を照射し、レジスト層に潜像を形成した。一方、ネガフィルムマスクを形成密着させた面と異なる他方の面は、ネガフィルムマスクを介在させず全面を300mj/cm2 の紫外線で露光した。続いて、未露光箇所を1%炭酸ナトリウム水溶液により1分間/30℃の条件で現像することで除去した。
【0062】
続いて、現像後にむき出しになったアルミニウム面をエッチング除去した。具体的には、2.2mol/dm3 FeCl3 +1.0mol/cm3 HCl水溶液(温度40℃)により1分間、0.15MPaの圧力でシャワー処理を行った。この後、直ちに水洗及び乾燥した。続いて、硬化させたレジストを剥離除去した。即ち、3%水酸化ナトリウム水溶液(温度40℃)により1分間、0.15MPaの条件でシャワー処理を行った。この後、水洗及び乾燥を行い、厚みが10μmで開口率40%の孔あきアルミニウム箔を得た。
【0063】
得られた孔あきアルミニウム箔に実施例1と同じ方法でZn置換、無電解Niめっき及び電気Cuめっきを行い、アルミニウム箔の表面上にCuが積層された総厚14μmの孔あき金属積層体を得た。得られた孔あき金属積層体はバリもしわもなく、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能である。
【実施例4】
【0064】
実施例3と同じケミカルエッチングにより得た厚みが10μmで開口率40%の孔あきアルミニウム箔に対し、実施例2と同じ方法でZn置換、無電解Niめっき及び電気Cuめっきを行い、アルミニウム箔の表面上にCuが積層された総厚18μmの孔あき金属積層体を得た。得られた孔あき金属積層体はバリもしわもなく、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能である。
【比較例1】
【0065】
厚みが15μmの銅箔(60mm×60mm)にパンチングにより孔径0.3mmの丸孔を0.36mm2 当り2個の密度であけた。パンチングした面の反対の面にバリが生じた。このバリを除去するために、圧延を行った。続いて、圧延時に付着した潤滑油を除去するために、3%水酸化ナトリウム水溶液で脱脂処理した。厚みが14μmで開口率が40%の孔あき銅箔を得たが、銅箔の厚みが薄く、加工途中でしわが生じたため、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用は困難である。
【比較例2】
【0066】
厚みが15μmの銅箔を用意した。銅箔を陽極に繋ぎ、カーボン電極を陰極に繋ぎ、50℃、5%の硫酸水溶液中で、電流密度2A/dm2 の条件にて1分間電解エッチングを行なった。選択的に銅箔をエッチングすることが困難であり、15μmの銅箔が10μmまで薄くなっただけで、貫通孔は形成されなかった。このため、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用は不能である。
【比較例3】
【0067】
厚みが15μmの銅箔(60mm×60mm)にネガ型レジスト液(進和工業製、FE−100)をバーコーターで10μmの厚みに均一塗布し、80℃で10分乾燥した。続いて、0.25mm四方に0.1mm径の丸孔が2つあるネガフィルムマスク(150μm厚)を用意した。そのネガフィルムをレジストが積層された銅箔の片面に真空密着させ、そこから一定の距離を置いて設けた紫外線露光機から300mj/cm2 の紫外線を照射し、レジスト層に潜像を形成した。一方、ネガフィルムマスクを形成密着させた面と異なる他方の面は、ネガフィルムマスクを介在させず全面を300mj/cm2 で露光した。続いて、未露光箇所を1%炭酸ナトリウム水溶液により1分間×30℃の条件で現像することにより除去した。
【0068】
この後、現像後にむき出しになった銅箔表面をエッチング処理した。具体的には、2.2mol/dm3 FeCl3 +1.0mol/cm3 HCl水溶液(温度40℃)により1分間、0.15MPaの圧力でシャワー処理を行った。この後、直ちに水洗及び乾燥処理を行った。続いて、硬化させたレジストを剥離除去した。具体的には、3%水酸化ナトリウム水溶液(温度40℃)により1分間、0.15MPaの圧力でシャワー処理を行った。この後、再度水洗及び乾燥処理を行い、厚みが14μmで開口率40%の孔あき銅箔を得た。得られた孔あき銅箔はバリやしわもなく、リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用は可能である。
【0069】
評価項目
(密着性)
リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能な実施例1の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例2の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく実施例3の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例4の孔あき金属積層体(厚み18μm)に関し、母材である孔あきアルミニウム箔の表面に積層被覆された異種金属膜に対する剥離試験を実施した。剥離試験はJIS−H8504に準じたテープ引き剥がし試験とした。結果を表1に示す。いずれの孔あき金属積層体においても異種金属膜の全層剥離も一部の層の剥離も認められなかった。
【0070】
(導電率)
リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能な実施例1の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例2の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく実施例3の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例4の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)の5種類の孔あき導電箔について、導電率を評価した。導電率は体積抵抗値の逆数であり、実施例1〜4の孔あき金属積層体においては、母材である孔あきアルミニウム箔の表面に積層被覆された異種金属膜とアルミニウム箔の一体性を評価できる。体積抵抗率の測定には「ロレスターEP」(低抵抗率計、三菱化学)を用いた。測定温度は20℃である。結果を表1に示す。実施例1〜4の孔あき金属積層体も比較例3の孔あき銅箔と遜色ない導電率を示した。
【0071】
(重量)
リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能な実施例1の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例2の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく実施例3の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例4の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)の5種類の孔あき導電箔について、重量を比較した。具体的には、比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)の単位面積当たりの重量を100として、実施例1の孔あき金属積層体(厚み14μm)、実施例2の孔あき金属積層体(厚み18μm)、実施例3の孔あき金属積層体(厚み14μm)、実施例4の孔あき金属積層体(厚み18μm)の単位体積当たりの重量を評価した。結果を表1に示す。比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)と同じ厚みの実施例1及び3の孔あき金属積層体(厚み14μm)が、比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)より軽量であることはもとより、比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)より厚みが大きい実施例2及び4の孔あき金属積層体(厚み18μm)も、比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)より軽量である。
【0072】
ちなみに、単位体積当たりの重量はCuで8920kg/m3 、アルミニウムでは2700kg/m3 である。
【0073】
(コスト)
リチウムイオンキャパシタにおける負極集電体としての使用が可能な実施例1の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例2の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく実施例3の孔あき金属積層体(厚み14μm)、同じく実施例4の孔あき金属積層体(厚み18μm)、同じく比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)の3種類の孔あき導電箔について、コストを比較した。具体的には、比較例3の孔あき銅箔(厚み14μm)の製造トータルコストを100として、実施例1の孔あき金属積層体(厚み14μm)、実施例2の孔あき金属積層体(厚み18μm)、実施例3の孔あき金属積層体(厚み14μm)、実施例4の孔あき金属積層体(厚み18μm)の製造トータルコストを評価した。結果を表1に示す。また、コストの内訳を表2に示す。実施例1〜4の孔あき金属積層体においては孔あきアルミニウム箔の表面に電気Cuメッキが余分に必要であるが、そのコストを考慮してもなお、素材コストの差が大きいために、比較例3の孔あき銅箔より安価となる。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
巻回積層構造のリチウムイオンキャパシタにおける負極集電体として、厚みが15μm、開口率が50%の孔あき銅箔に代えて、総厚が15μm、孔あきアルミニウム箔の厚みが10μm、両面に形成された電気Cuめっき膜の合計厚さが5μm、開口率が50%の積層型孔あき導電箔(製造法は実施例3,4と同じ)を使用した。性能上の問題は生じなかった。ここにおけるリチウムイオンキャパシタの仕様は次のとおりである。電圧:上限が3.8V、下限が2.2V、容量:2200F、内部抵抗:1.4mΩ、重量エネルギー密度:14Wh/L、体積エネルギー密度:25Wh/L、各電極のサイズ:0.6m幅×3.3m長、総面積:約2m2 である。
【0077】
また、元のリチウムイオンキャパシタ、すなわち負極集電体として孔あき銅箔を使用したリチウムイオンキャパシタ、及び改良後のリチウムイオンキャパシタ、すなわち負極集電体として積層型孔あき導電箔を使用したリチウムイオンキャパシタの各構成材料の1m2 当たりの重量を表3及び表4に示す。負極集電体として積層型孔あき導電箔を使用することによりリチウムイオンキャパシタの重量が5%程度軽減される。
【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の孔あき導電箔をリチウムイオンキャパシタにおける負極集電体に使用すれば、既存の孔あき銅箔を負極集電体として使用した場合と比較して、同等の負極容量を保持しつつ重量及びコストの低減が可能となる。
【符号の説明】
【0081】
10 リチウムイオンキャパシタの正極
11 集電体
12 正極活物質
20 リチウムイオンキャパシタの負極
21 集電体
22 負極活物質
30 セパレータ
40 リチウム供給源
50 アルミニウム箔
51 孔あきアルミニウム箔
60 異種金属膜
61 置換層
62 抵抗層
63 電気Cuめっき層
70 銅箔
71 孔あき銅箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の貫通孔が分散して形成された孔あきアルミニウム箔の片面又は両面に、アルミニウム箔と異なる材質からなる1層又は複数層の異種金属膜が積層被覆され、異種金属膜における最表層の金属層がCuからなる孔あき導電箔。
【請求項2】
請求項1に記載の孔あき導電箔において、孔あきアルミニウム箔はアルミニウム箔のケミカルエッチング品又は電解エッチング品である孔あき導電箔。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の孔あき導電箔において、異種金属膜は内側から順にZn又はZn合金からなる置換層、Ni又はNi合金からなる抵抗層、及びCu層が積層された3層構造である孔あき導電箔。
【請求項4】
請求項3に記載の孔あき導電箔において、抵抗層はNi又はNi合金の無電解めっき層、Cu層は電気めっき層である孔あき導電箔。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の孔あき導電箔において、当該孔あき導電箔の用途がリチウムイオンキャパシタにおける負極集電体である孔あき導電箔。
【請求項6】
アルミニウム箔に複数の貫通孔を分散して形成する工程と、孔あきアルミニウム箔の表面をZn又はZn合金により置換する工程と、Zn又はZn合金の置換膜上にNi又はNi合金を無電解めっきする工程と、Ni又はNi合金のめっき膜上にCuの電気めっきを行う工程とを含む孔あき導電箔の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の孔あき導電箔の製造方法において、アルミニウム箔への貫通孔の形成をエッチングにより行う孔あき導電箔の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の孔あき導電箔の製造方法において、エッチングはケミカルエッチング又は電解エッチングである孔あき導電箔の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−222672(P2011−222672A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88874(P2010−88874)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【出願人】(591186903)進和工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】