説明

孟宗竹の熱水抽出物を有効成分とする血行促進剤及び皮膚外用剤

【課題】従来ある植物抽出物を有効成分とした製剤よりも優れた効果を発揮することができ、竹抽出の有効成分が発揮する血行促進作用及び界面活性効果により、血行を促進すると共に、血行不良に起因する皮下又は皮膚の状態を改善する血行促進剤及び皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有する血行促進剤と、前記孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有する皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、孟宗竹の熱水抽出物を有効成分とする血行促進剤及び皮膚外用剤に関し、更に詳しくは、孟宗竹の熱水抽出物の有効成分が発揮する血行促進作用及び界面活性効果により、血行不良に起因する皮下或いは皮膚の状態を改善すると共に、経時安定性に優れた血行促進剤と、医薬品、医薬部外品、化粧料などに適用可能な皮膚外用剤とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、皮膚外用剤の有効成分として種々の植物成分や植物抽出物が提案されている。例えばカプサイシンやヨモギ抽出液などが血行促進作用を示すことが知られ、皮膚の新陳代謝を促進し、潤いのある若々しい肌を保つために使用されてきている。
【0003】
また、竹の抽出物を化粧料に配合することが知られていて、竹の抽出物による保湿効果、肌荒れを改善する効果、防腐殺菌性、抗チロシナーゼ活性(メラニン抑制効果)などが報告されている。
【特許文献1】特開平10−194935号公報
【特許文献2】特開平11−1428号公報
【特許文献3】特許3623930号公報
【特許文献4】特開2000−247864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開平10−194935号公報(特許文献1)には、ヨモギやドクダミ等の植物からの抽出物と、血行促進剤等の合成薬剤成分とを配合した養毛・育毛料が開示されている。また、特開平11−1428号公報(特許文献2)には、トウガラシエキスを用いて、温感効果(血行促進効果)を目的としたパップ剤が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されている養毛・育毛料は、合成薬剤部分を配合する際に所定量より少ないと効果が得られず、所定量より多いと皮膚炎を引き起こすといったことがあり、いずれも植物(ヨモギ、ドクダミなど)抽出エキスの成分の効果を損なう懸念がある。また、これらの植物エキスの抽出方法は有機溶剤を用いた方法が主であり、水も抽出溶媒として用いる旨の記載はあるが、抽出溶媒としては有機溶剤ほど有用ではなく、むしろ抽出された植物エキスを使用する際の基剤として用いている。
【0006】
特許文献2に開示されている温感パップシートは、温感効果をもたらす薬剤を湿布として患部に用いるため、塗布(貼付)する範囲が限られており、その範囲に限って温感効果はもたらされるが、それによって肩凝りや関節痛などを改善することは開示されていない。
【0007】
また、特許3623930号公報(特許文献3)及び特開2000−247864号公報(特許文献4)には、竹の抽出物による保湿効果を利用した化粧料が開示されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載の化粧料は上記保湿効果を利用して肌の表面(肌荒れ部分)の改善効果について記述しているものの、肌荒れの根本的原因(皮膚疾患、血行不良等)の改善については開示していない。また、特許文献4に記載の化粧料組成物は、竹の抽出物の防腐防菌性や肌荒れの原因対策として抗チロシナーゼ活性について言及しているが、その他の肌荒れの原因対策(血行促進、紫外線対策のためのビタミン等補給など)については言及していない。
【0009】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、従来ある植物抽出物を有効成分とした製剤よりも優れた効果を発揮することができ、竹抽出の有効成分が発揮する血行促進作用及び界面活性効果により、血行を促進すると共に、血行不良に起因する皮下又は皮膚の状態を改善する血行促進剤及び皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有する血行促進剤によって、また、前記孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有する皮膚外用剤によって達成される。
【0011】
本発明で使用する孟宗竹の熱水抽出物を付形剤に含有させることにより、或いは孟宗竹の10月〜12月頃に採取した成竹を用いることで、効果的に達成される。
【発明の効果】
【0012】
孟宗竹の熱水抽出物は血行促進作用に優れており、本発明の血行促進剤及び皮膚外用剤は孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有しているので、血行不良の改善に有用であり、皮膚に適用することにより、血行不良に起因する肩凝りなどのこり、関節痛、腱鞘炎の痛みや不快感などを軽減することができる。
【0013】
本発明により、血行促進作用のある皮膚外用剤が得られる。本発明の皮膚外用剤は、種々の形態で化粧品、医薬部外品などの用途に適用でき、例えば化粧料としての種々の剤形に製剤化することができる。本発明の皮膚外用剤、詳しくは化粧料は、血行不良に起因する皮膚の形態、肌荒れ、シワ、シミなどを改善するのに有用である。
【0014】
上記効果は、孟宗竹に含まれるオーキシンやジベレリン、アブシジン酸などの植物ホルモンが有効成分として作用しているものと考えられる。
【0015】
本発明の血行促進剤及び皮膚外用剤に配合する有効成分である孟宗竹の熱水抽出物はまた、界面活性効果を有している。そのため、それを配合した製剤に経時安定性を付与し、従来、界面活性効果を組成物へ付与するために使用していた化学合成品などの量を低減、削除することができ、一層安全で経時安定性の良好な製剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者らは、従来技術の問題点を解決するために鋭意研究を重ねた結果、孟宗竹の熱水による抽出物を皮膚へ適用することによって、その竹の抽出有効成分が顕著な血行促進作用を示すことを知見した。更に、孟宗竹の熱水抽出物の血行促進作用により、肌荒れを改善する効果、保湿効果、シミを改善する効果に優れていることを見出した。
【0017】
先ず本発明で使用する孟宗竹の熱水抽出物について説明する。孟宗竹(Phyllostachysheterocycla)は、イネ科マダケ属に属する植物である。孟宗竹は中国原産で、アジアの温暖湿潤地域に分布し、日本でも暖帯から温帯南部の地域で栽培されている。
【0018】
本発明は竹抽出の成分、特に孟宗竹の成竹を抽出原料として用いることが好ましく、この成竹とは竹の子の状態から3〜5年ほど経過したものを意味する。本発明ではさらに、10月〜12月頃に採取した孟宗竹の成竹を抽出原料とすることが好ましい。このような時期の成竹により、特に本発明に有効な抽出物が得られる。
【0019】
本発明において、孟宗竹の抽出原料として用いる部位は、幹、竹皮(表皮)部、茎部、枝部、葉部等の各部位を用いることができ、これらの部位を一種類の単独で、又は複数種類の部位を2種以上混合して抽出原料として用いることができる。孟宗竹の抽出原料は、部位によって抽出しやすいように、適当な長さに切ったもの、割ったもの、砕片、粉末にしたものなどを使用することができ、例えば幹であれば、適当な長さに切った後、縦方向に適当な幅で、例えば3〜5cmの幅で割った竹片を抽出原料として用いることができる。本発明で使用する孟宗竹の抽出原料として、竹部位中でも、特に孟宗竹の幹部位を好ましく使用することができる。
【0020】
また、抽出溶媒として使用する水の量は、抽出原料の質量に対して0.5〜1.5倍の質量が適当であり、好ましくは0.9〜1.1倍量である。最も好ましくは、孟宗竹:水=1:1の質量比である。
【0021】
鍋等の適当な抽出装置において、上記抽出原料を適量の水に浸漬し、通常95℃以上で100℃以下に加熱し、その温度で1〜10時間ほど、好ましくは2〜6時間、更に好ましくは2時間45分〜3時間15分程度の間、保持する。このような抽出操作に用いる装置は、特に限定されるものではなく、例えば深さ50cm程度の鍋(容器)の底部をガス等の釜で熱するものなどを用いることができる。
【0022】
その後、熱水が上記温度95〜100℃を維持している状態で、孟宗竹の抽出原料を容器から出して取り除き、容器に残った抽出液を20〜50℃の温度まで冷却し、濾過する。この濾過は、例えば目の細かい布や金網などで実施することができる。こうして得られた濾液(抽出液)を適当な濃縮操作、例えば減圧濃縮により濃縮して濃縮液を得ても良く、更に乾固物を得ても良い。或いは、噴霧乾燥、凍結乾燥といった適当な乾燥方法により粉末を得ることもできる。
【0023】
本発明で使用する孟宗竹の熱水抽出物としては、上述の濾液(抽出物)をそのまま用いても良いし、或いは濃縮液、乾固物又は凍結乾燥などの乾燥粉末を用いても良い。中でも、上記抽出液を用いることが簡便で有利である。上記抽出液は再度、濾過しても良い。
【0024】
なお、本発明で用いる孟宗竹の熱水抽出物の製造例の一つとして、本発明者が開発した特許3554684号公報に掲載の竹エキスの製法が挙げられる。
【0025】
本発明では、上述のようにして濾過して得た抽出液を孟宗竹の熱水抽出物として使用することができるし、この抽出液を更に濾過して用いても良い。
【0026】
或いは別の態様として、上述のように濾過して得た抽出液を1ヶ月程度保持した後、ハーブ類、例えばローズマリー、フェンネル、マジョラム及び赤紫蘇などから選ばれるハーブを3日〜1週間程度抽出液に浸漬しても良い。具体例として、抽出液100質量部に対して、マジョラムを2質量部又は赤紫蘇を10質量部、3日〜1週間程度浸漬することが好ましい。その後、抽出液からハーブ類を引き上げ、例えば目の細かい布等で濾過すれば良い。このようなハーブ類の浸漬操作は、竹特有の臭いを除くのに有用である。
【0027】
上述のようにして得た抽出液に対して、95℃以上で約10分間殺菌した後、室温まで冷却させる殺菌工程を施しても良い。
【0028】
本発明で使用する孟宗竹の熱水抽出物は極めて毒性が低く、具体的には急性毒性が極めて低く、また、変異原性も認められない。
【0029】
本発明の血行促進剤は、上記のようにして得た孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有し、付形剤に含有させれば利用が容易となる。このような血行促進剤は皮膚に適用する剤形で製剤化されることが望ましい。従って本発明は、孟宗竹の熱水抽出物を含有することを特徴とする血行促進剤及び皮膚外用剤に向けられる。
【0030】
本発明の皮膚外用剤は特に限定されず、具体的には薬用外用剤、薬用化粧料(医薬部外品)、化粧品などの通常の化粧料及びトイレタリー製品などを広く包含する。また、本発明の皮膚外用剤は種々の形態とすることができ、例えば化粧水、クリーム、乳液、パック、ファンデーション、美容液、化粧油、軟膏、ジェル、防臭消臭剤、養毛トニック、ヘアミスト、ヘアジェル、ヘアシャンプー、ヘアリンス、洗顔料、ボディソープ、クレンジングなどが挙げられる。中でも、ジェル及びクレンジングの形態が好ましい。
【0031】
本発明の皮膚外用剤における孟宗竹の熱水抽出物の配合量は、孟宗竹から上述のように熱水抽出して得られる抽出物を用いるとき、皮膚外用剤の全質量(100質量部)に対して0.01〜50.00質量部が適当であり、好ましくは0.1〜40.0質量部、より好ましくは3〜35質量部である。
【0032】
本発明の皮膚外用剤の製剤化にあたっては、その剤形、形態に応じて適宜、基剤や添加剤を使用することができる。
【0033】
本発明の皮膚外用剤に使用する基剤及び添加剤としては、例えば鉱物油、動植物油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、エステル油、界面活性剤、保湿剤、高分子化合物、動植物抽出物、アミノ酸類、ビタミン類、溶剤、防腐剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤(ビルダー)、酸化防止剤などが挙げられ、本発明の効果即ち孟宗竹の熱水抽出物の有効成分を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【0034】
製剤化の際には、孟宗竹抽出物に含まれるレシチンやサポニンなどの界面活性ホルモンの効果で有効成分が直ぐに浸透してしまうので、鉱物油や動植物油といった油系成分、中でも動植物油、例えば馬油などを配合し、表皮で有効成分が滞留するよう処方組みすることが望ましい。以下に基剤や添加剤の具体例を挙げる。
【0035】
鉱物油としては、流動パラフィン、流動イソパラフィン等がある。動植物油としてはスクワラン、スクワレン、オリーブ油、ツバキ油、小麦胚芽油、ホホバ油、アボカド油、カロット油、シア油、パーム油、硬化油、馬油、ラノリン類、卵黄油、丁子油、ローズヒップ油、ラベンダー油、ハッカ油、スペアミント油、ローズマリー油等がある。ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、固形パラフィン、蜜蝋等がある。
【0036】
脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等がある。脂肪アルコールとしてはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ラノリンアルコール等がある。エステル油(脂肪酸エステル)としてはトリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、2−エチルへキサン酸セチル、トリ2−エチルへキサン酸グリセリル、オクタン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、ジオクタン酸エチレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、パルミチン酸セチル等がある。
【0037】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、テトラデセンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸塩、ラウロイルサルコシン塩、アルキルメチル−β−アラニン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石けん、N−アシルグルタミン酸塩、ラウリン酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルメチルタウリン酸塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルグルコシド、ポリエーテル変性シリコン、ハロゲン化(塩化又は臭化)アルキルトリメチルアンモニウム、アミドアミン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、アルキルジメチル酢酸ベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、レシチン(大豆又は卵黄)誘導体、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどがある。なお、これらの界面活性剤について、イオン(カチオン、アニオン)系或いは非イオン系を用いるかは、他の基剤や添加剤との関係によって自由に選択することができる。
【0038】
保湿剤としては、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、グリセリン、ジグリセリン、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビット、キシリット、マルチトール、トレハロース、海水乾燥物などある。皮膚コンディショニング剤としては、ホエイ、ラクトフェリンなどがある。
【0039】
高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カチオン化セルロースなどのセルロース誘導体、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カチオン化グァガム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、カラギーナンなどがある。これらは付形剤、増粘剤等に用いられる。
【0040】
動植物抽出物としては、プラセンタエキス、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解エラスチン、酵母エキス、アロエエキス、コンフリーエキス、芍薬エキス、紫蘇エキス、センブリエキス、ハマメリス水、ヒキオコシエキス、ホップエキス、セージエキス、マロニエエキス、モモ葉エキス、ユキノシタエキス、メリッサエキス、ヨモギエキス、ローズマリーエキス、米糠発酵エキス、マツエキス、プルーンエキス、
ヨクイニンエキス、グレープフルーツエキス、ダイズ発酵エキス、キュウリエキス、クロレラエキス、アルゲエキス、クチナシエキス、カッコンエキス、キウイエキス、ブドウ種子エキス、ブドウ葉エキス、ワインエキス、ウィキョウエキス、アロエベラエキスなどがある。なお、この動植物抽出物の中には、前述の保湿剤や竹エキス補助成分として用いられるものがある。
【0041】
アミノ酸類としては、L−アラニン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン、L−システイン、L−セリン、L−チロシン、L−プロリン、ピロリドンカルボン酸塩、グリシンなどがある。
【0042】
ビタミン類としては、ビタミンA、酢酸レチノール、塩酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、ビオチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、リン酸L−アスコルビルマグネシウム、エルゴカルシフェロール、ビタミンE、酢酸トコフェロール等がある。
【0043】
基剤や添加剤を溶解若しくは分散させるための溶剤には、精製水若しくは水を用いる。なお、必要に応じてエタノールやイソプロパノール等のアルコール類や、これらのアルコール類を精製水若しくは水に加えた混合溶剤を用いても良い。
【0044】
防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、安息香酸、安息香酸ナトリウム、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ウンデシレン酸、ピオニン、l−メントール、d−カンフル等がある。
【0045】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、オキシベンゾン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、サリチル酸オクチルなどがある。
【0046】
金属イオン封鎖剤(ビルダー)としては、エデト酸、エデト酸塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、エチレンジアミンテトラキス(2−ヒドロキシイソプロピル)ジオレイン酸塩、ヒドロキシエタンジスルホン酸、ヒドロキシエタンジスルホン酸四ナトリウム、フィチン酸等がある。
【0047】
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、d−δ―トコフェロール等がある。
【0048】
以上、基剤及び添加剤として用いる化合物等の具体例を挙げたが、これらの化合物の組み合わせは、他の基剤や添加剤との関係によって自由に選択することができる。また、化合物等の具体例は列挙しないが、pH調整剤、色素(顔料)、香料なども、孟宗竹の熱水抽出物の有効成分及び効果を損なわない範囲で添加剤として加えることができる。
【0049】
孟宗竹の熱水抽出物はカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれているが、鉄の含有量が比較的低いため、製剤化の際にはマツエキス、プルーンエキスなど鉄分を多く含む植物エキスを追加することができる。
【0050】
本発明の皮膚外用剤はその形態に応じて、常法に従って製造することができ、その製造過程の適宜の段階に、孟宗竹の熱水抽出物を配合する。
【0051】
以下、本発明の血行促進剤及び皮膚外用剤の調整方法及び効果を実施例として説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】
【0052】
孟宗竹の熱水抽出物の調整を行った。以下に詳細を説明する。
【0053】
孟宗竹の熱水抽出のための装置として、深さ50cm、直径1mの鉄製鍋を使用し、底部を釜で熱した。
【0054】
竹の子から4年経ち、10月〜12月に採取した孟宗竹の幹を50cmの長さに切って、それを更に3〜5cmの幅に縦割りした。このようにして縦割りされた竹片を20〜30本ずつ束ね、これら竹片150kgを、150kgの水に入れた上記鍋に浸漬し、95〜100℃に加熱し、その温度で3時間の間保持した。こうして保持した後、その温度を維持したまま、竹片の束を鍋から引き上げ、鍋に残った抽出液を25℃に自然冷却し、その後、目の細かいさらし布で濾過し、孟宗竹の熱水抽出物を得た。
【実施例2】
【0055】
実施例1で得た孟宗竹の熱水抽出物を用いて、下記表1に示す組成(単位:質量部)で調整し、皮膚外用剤ジェルを製造した。なお、精製水(成分番号9)により全量100とした。作り方手順は成分番号1〜7の成分と成分番号9の成分を均一に混合し、これに成分番号8の成分を添加し、攪拌した。
【0056】
【表1】

【実施例3】
【0057】
次に実施例1で得た孟宗竹の熱水抽出物を用いて、下記表2に示す組成(単位:質量部)で調整し、クレンジングを製造した。なお、精製水(成分番号7)により全量100とした。作り方手順は成分番号5の成分と成分番号7の成分の一部を混ぜたものに、成分番号1〜3、6及び7の成分の残りを混ぜたものを徐々に加え、攪拌して均一にした後、成分番号4の成分を添加し、攪拌した。
【0058】
【表2】

【実施例4】
【0059】
実施例2で得た皮膚外用剤ジェルをサンプルとして、9人の被験者により試験した効果(血行促進効果など)を以下の表3にまとめた。肩凝りや関節痛、腱鞘炎などの緩和などには塗付直後から数分以内に効果が表れ、シミなどの皮膚疾患などには数ヶ月のうちに患部が目立たなくなるといった効果が表れた。
【0060】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする血行促進剤。
【請求項2】
前記孟宗竹の熱水抽出物が付形剤に含有されている請求項1に記載の血行促進剤。
【請求項3】
前記孟宗竹の熱水抽出物は、孟宗竹の10月〜12月頃に採取した成竹の熱水抽出物である請求項1又は2に記載の血行促進剤。
【請求項4】
孟宗竹の熱水抽出物を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項5】
前記孟宗竹の熱水抽出物が付形剤に含有されている請求項4に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
前記孟宗竹の熱水抽出物は、孟宗竹の10月〜12月頃に採取した成竹の熱水抽出物である請求項4又は5に記載の皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の皮膚外用剤を化粧に使用する化粧料。
【請求項8】
孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする関節痛緩和剤。
【請求項9】
孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする腱鞘炎緩和剤。
【請求項10】
孟宗竹の熱水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする肩凝り緩和剤。


【公開番号】特開2009−13090(P2009−13090A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−174933(P2007−174933)
【出願日】平成19年7月3日(2007.7.3)
【出願人】(599139523)
【出願人】(503249119)株式会社 ソーシン (6)
【Fターム(参考)】