学習支援装置およびコンピュータプログラム
【課題】 グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する研修支援用サーバを提供する。
【解決手段】 受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、 受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、 選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、 送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、 演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手段と、 出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手段と、 その指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、を備えた。
【解決手段】 受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、 受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、 選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、 送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、 演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手段と、 出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手段と、 その指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕事や勉強に関する学習を支援するための装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学習を支援するための技術は、所定の知識や仕事の手順を暗記するため、以下のようなものが一般的であった。
すなわち、情報端末の出力画面に問題を出力し、当該問題に対する回答と端末操作者の入力とを比較し、採点結果を出力する、といったものである。
ごうした、いわば「暗記支援」の技術は、訓練者に対して所定の知識や仕事の手順を覚えさせるには、効率的である。
【0003】
特許文献1には、プラント運転訓練用シミュレータが開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、自己訓練シミュレーションシステムが開示されている。
【0005】
一方、学習の効果を測定したり、評価したりすることは、学習を支援する者や組織においては重要である。たとえば、「暗記支援」に関する技術を応用したものが、最も単純である。たとえば、合格レベルに達するまでに要した操作回数をカウントしたり、最初に操作してから合格レベルに達するまでに要した期間(日数)をカウントしたりする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−94000号公報
【特許文献2】特開2009−42479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
組織における仕事を学習するには、前述した特許文献1や特許文献2に記載の技術では不十分である。仕事では、所定のレベルに達することばかりを評価すべきではない。どのようなことに気付き、閃きを感じたか、ということが重要だからである。
【0008】
また、ベテランの知見を後進に伝達するための工夫は、困難を伴う、と言われている。言語化しにくいから「知見であり、ノウハウである」と片付けられがちであるが、それでは伝達が困難である。
しかし、「知見やノウハウ」と一括りにされてきたベテランの知見に関する研究が進み、言語化ができない知見ばかりではなく、言語化も可能な知見も含まれていることが判明してきた。 たとえば、新人とベテランとの差のひとつとしては、所定の問題の解答力ではなく、「問題の発見力」である。
また、上述した「問題の発見力」を新人に対して向上させつつ、円滑に知見を伝授するには、グループでのディスカッションが重要であることも判明してきた。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、情報通信技術を用いてグループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する技術を提供することを目的とする。
第一および第二発明の目的は、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する研修支援用サーバを提供することである。
第三および第四の目的は、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行するためのコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、 受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論する研修支援用サーバに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、 受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、 その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している模範解答データベースと、 前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、 その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、 その出力順仮演算手段が演算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手段と、 受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手段と、 その指示受信手段が受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、を備えた研修支援用サーバとする。
【0011】
(用語説明)
「受講者データ」とは、性別、年齢、入社年度、配属部署、専門分野などの属性データである。
「課題データ」とは、たとえば、仕事上の知見を伝達するのに適した課題である。テキストデータのみのほか、画像データ、動画データ、音声データなどを組み合わせたデータなどがある。
「課題データの選択」は、研修支援用サーバが任意に選択する場合のほか、研修のインストラクタが選択してインストラクタに係る端末から指示を受けた研修支援用サーバが抽出する場合などがある。
「回答データ」は、テキストデータのみのほか、受講者が作成した画像データ、受講者が喋った音声データなどがある。
「出力順仮演算手段」は、たとえば、受講者データを参照しながら年齢の若い順に出力順を仮決定する、などの仮演算アルゴリズムによって演算する。その仮演算アルゴリズムは、変更することも当然可能である。
「研修のインストラクタ」とは、たとえば、社内の研修担当者や、社外からの研修専門家の場合のほか、受講者の中で一番のベテランが代行することもある。その場合、当該ベテランは、受講者に係る端末ではなく、インストラクタに係る端末を操作することとなる。
「指示データ」とは、出力順仮演算手段による出力順が「是」である場合には、「是である旨」のデータ、「否」である場合にはインストラクタが修正した出力順を含むデータとなる。
【0012】
(作用)
受講者データベースには受講者の属性データなどを蓄積し、課題データベースには受講者に与える課題データを蓄積し、模範解答データベースには課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している。
研修支援用サーバの課題送信手段は、課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する。所定の課題は、たとえば、インストラクタが自らに係る端末を介して選択される。
端末を介して課題データを閲覧した受講者は、その課題データにて回答を考え、回答データを作成して研修支援用サーバに送信する。受講者に係る端末から送信されてきたその回答データは、回答受信手段が受信する。
研修支援用サーバは、出力順仮演算手段を用いて、受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する。そして、その出力順仮演算手段が演算した演算結果を出力順送信手段が当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する。
インストラクタは、自らに係る端末にて出力順序を閲覧し、当該課題データに対する学習効果を勘案して、その出力順序に対する妥当性を判断する。そして、出力順序に対する是非を含む指示データを送信する。送信された指示データは、指示受信手段が受信する。
その指示受信手段が受信した指示データに基づいて回答データを選択し、議論用回答データとして全受講者に係る端末へ議論用回答送信手段が送信する。
【0013】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、前記課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している模範解答データベースを備え、 その模範解答データベースは、前記インストラクタに係る端末がアクセス可能に形成してもよい。
【0014】
(用語説明)
「模範解答データベース」は、インストラクタに係る端末のみがアクセス可能とする場合、インストラクタに係る端末からの許可があった場合にのみ他の端末がアクセス可能とする場合、インストラクタに係る端末からの許可が無くても一部の模範か移動データにはアクセスできる場合、などがある。
【0015】
(作用)
模範解答データベースには、課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している。その模範解答データベースは、前記インストラクタに係る端末がアクセス可能である。したがって、インストラクタが必要と判断した場合にアクセスして参照することができる。
【0016】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、 前記の議論用回答データを受信した受講者に係る端末からの意見データを受信する意見受信手段と、 インストラクタに係る端末および少なくとも当該意見データに係る端末以外の端末に対して前記の意見データを送信する意見送信手段と、を備えることとしてもよい。
【0017】
(用語説明)
「意見データ」とは、他の受講者の回答に対する意見や質問といった、回答データには該当しないデータである。
【0018】
(作用)
議論用回答データを受信した受講者に係る端末からの意見データを意見受信手段が受信する。そして、その意見データは、インストラクタに係る端末および少なくとも当該意見データに係る端末以外の端末に対して意見送信手段が送信する。 それによって、課題データを用いた学習効果の増大に寄与する。
【0019】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、 インストラクタに係る端末から前記の模範解答データベースに追加すべきデ追加データを受信する追加受信手段を備え、 その追加データを前記の模範解答データベースに追加することとしてもよい。
正解が唯一ではないような場合、模範解答データに追加データを追加することは合理的である。
【0020】
(第二の発明)
本願の第二の発明もまた、研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用サーバに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、 受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、 その課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、 その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、 当該研修のインストラクタが閲覧可能な閲覧手段と、 前記インストラクタがデータを入力可能なインストラクタ入力手段と、 そのインストラクタ入力手段から入力された前記出力順序に関する是非を含む指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、を備えた研修支援用サーバである。
第二の発明は第一の発明と異なり、インストラクタがサーバを操作することが前提である。
【0021】
(第三の発明)
本願の第三の発明は、 研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、 受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、 その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、 前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、 その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、 その出力順仮演算手順にて算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手順と、 受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手順と、 その指示受信手順にて受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0022】
(第四の発明)
本願の第四の発明もまた、研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、 受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、 その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、 前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、 その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、 その出力順仮演算手順にて演算された演算結果を当該研修のインストラクタが出力順序に関する是非などについての指示入力を受け付ける指示入力手段手順と、 その指示入力手順にて入力された指示を含む回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0023】
第三および第四の発明は、記録媒体(たとえば、ハードディスク、CD−R、DVD−Rなど)に格納して提供することもできる。また、通信回線を介して送信することもできる。
【発明の効果】
【0024】
第一および第二の発明によれば、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する研修支援用サーバを提供することができた。
また、第三および第四の発明によれば、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行可能な研修支援用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一の実施形態における初期段階を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態における第二段階を示すブロック図である。
【図3】図2に示された実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図4】第一の実施形態における第三段階を示すブロック図である。
【図5】図4に示された実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図6】第二の実施形態における初期段階を示すブロック図である。
【図7】第二の実施形態における第二段階を示すブロック図である。
【図8】第二の実施形態における第三段階を示すブロック図である。
【図9】研修に用いられた課題を示す画面表示の一例である
【図10】研修に用いられた課題を解説するための画面表示の前半である。
【図11】研修に用いられた課題を解説するための画面表示の後半である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願発明を実施形態および図面に基づいて更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1から図11である。図1から図5は、第一の実施形態を示す。図6から図8は、第二の実施形態を示す。図9は、研修に用いられた課題を示す画面である。図10および図11は、研修に用いられた課題を解説するための図面である。
【0027】
第一の実施形態では、研修のインストラクタとその研修を受講する複数の受講者(YおよびZ)とが研修支援用サーバを介して研修を受講する様子を示す。受講者Yは端末Bを、受講者Zは端末Cを、インストラクタXは端末Aをそれぞれ操作する。
研修支援用サーバ(図中では「サーバ」と略記)には、研修にて出題する課題データを予め、課題データベース(図中では「課題DB」と略記)に格納されている。課題データとは、テキストデータや図面、場合によっては動画データや音声データなどを用いて、受講者が回答すべき課題を表示するものである(図9参照)。
【0028】
(図1)
まず、研修支援用サーバの課題送信手段から端末Bおよび端末Cに対して、ある課題データ(図中では「課題」と略記)が送信される。送信された課題データは、各端末における受信手段にて受信する。そして、その課題データをそれぞれの端末における出力手段にて出力させた受講者Y,Zは、回答データ(図中では「回答」と略記)を入力し、回答送信手段にて研修支援用サーバに送信する。 なお、図示は省略しているが、この回答データをインストラクタXに係る端末Aに、同時に送信することとしても良い。
送信された回答データは、研修支援用サーバの回答受信手段が受信し、出力順仮演算手段に送られる。出力順仮演算手段は、受講者データベースおよび模範解答データベースを参照し、受講者Yに係る回答データと受講者Zに係る回答データのいずれから出力するのかについて、自動的に演算する。
ここで、受講者データベースとは、受講者Y,Zに関する属性データ(性別、年齢、職務経歴など)が予め格納されたデータベースである。また、模範解答データベースとは、課題データに対応して予め模範解答として用意されて格納されたデータベースである。
【0029】
出力順仮演算手段によって演算された出力順は、インストラクタに係る端末Aに送信され、端末Aの出力順受信手段が受信する。そして、その端末Aにおける出力画面に出力された出力順をインストラクタが確認し、指示データ(図中では「指示」と略記)を指示送信手段にて研修支援用サーバに送信する。 なお、図示は省略しているが、出力順とともに回答データを送信することとしても良い。
ここで、「指示データ」とは、その出力順で良いのか、あるいは修正が必要ならば修正した出力順を含むデータである。 すなわち、インストラクタXとしては、受講者Y,Zが当該課題を通じて最も効果的に学ぶために、どのような回答順序にてそれぞれの受講者に見せたらよいのかを思案し、指示データを入力、送信するのである。
【0030】
インストラクタXに係る端末Aからの指示データは、研修支援サーバの指示受信手段が受信する。そして、その指示データに係る出力順の最初となっている回答データを議論用回答とし、議論用回答送信手段が受講者Y,Zに係る端末B,Cの受信手段に送信する。その議論用回答を受信した受講者Y,Zは、端末の出力手段にて議論用回答を出力させ、議論を始める準備をする。
【0031】
(図2)
議論用回答を受信した受講者Y,Zのうち、受講者Zが意見データ(図中では「意見」と略記)を自らに係る端末を操作して入力し、意見送信手段を介して研修支援用サーバへ送信したとする。意見データを意見受信手段にて受信した研修支援用サーバは、意見送信手段を介して他の受講者(ここではY)に係る端末(B)と、インストラクタXに係る端末(A)に、その意見データを送信する。
【0032】
インストラクタXは、その意見データを受信したら端末にて出力させて検討し、解説を入力して、解説データ(図中では「解説」と略記)として研修支援用サーバに送信する。送信された解説データは、研修支援用サーバの解説受信手段が受信し、全ての受講者(ここではY,Z)に送信される。
受講者としては、意見データや解説データを入手することによって、課題に対して他の受講者の意見や、インストラクタによる解説によって理解を深めることができる。
【0033】
(図3)
図3は、図2に示した実施形態の変形例である。すなわち、インストラクタXが受講者Yの意見データやその他の状況から、オンラインによる議論では学習効果が高められない、あるいはオンラインよりも現実の議論を現場で行ったほうがよい、といった判断した場合に、実際に集まってオフ会を開催する旨を、研修支援用サーバを介して通知する様子を示している。図2との相違点は、インストラクタXに係る端末から解説データの代わりに、オフ会を開催する旨を研修支援用サーバに送信する点、および研修支援用サーバからオフ会開催通知が全受講者に係る端末へ送信される点である。
【0034】
(図4)
図4に示すのは、研修支援用サーバから解説データが送信され、各受講者に係る端末から感想データ(図中では「感想」と略記)が研修支援用サーバに送信される。研修支援用サーバが受信した感想データはインストラクタXに係る端末Aに送信される。
感想データとは、課題データ、回答データ、意見データ、解説データなどを読んだり、この研修を受講して感じたことについて、受講者が入力したデータである。回答データや意見データと異なり、筆者の許諾なしには他の受講者にはオープンにしない取り決めとしている。
インストラクタXは、感想データを検証することによって、模範解答データベースに対する補充補足や、受講者ごとに対する個別指導などを含む追加データを研修支援用サーバに送信する。受信した追加データは、補充補足であれば模範解答データベースに追加入力し、個人指導であれば受講者データベースに追加入力する。
【0035】
(図5)
図5に示すのは、図4に示した実施形態の変形例である。すなわち、個人指導を受講者データベースに追加入力するのではなく、個人指導に係る受講者の端末に対してインストラクタXに係る端末Aから直接アクセスして個人指導をする、という点が異なる。
受講者データベースに記録するほどでもない内容の場合や、受講者データベースに記録することがはばかられる内容もあり得ることを考慮、あるいは研修の効果を高めるために、インストラクタXが選択できるようにしたものである。
【0036】
(図6〜図8)
図6から図8に示すのは、研修を受講する複数の受講者(YおよびZ)が研修支援用サーバを介して研修を受講する様子を示すが、研修支援用サーバはインストラクタXが直接操作する点が、第一の実施形態との相違点である。 受講者Yは端末Bを、受講者Zは端末Cをそれぞれ操作する。
研修支援用サーバをインストラクタXが直接操作するのは、受講者が比較的少ない場合に向いている。図6は図1に対応し、図7は図2に対応し、図8は図5に対応する。
図1などで示していた端末Aの機能を研修支援用サーバに代行させているが、各構成要件については図1〜5にて説明済みであるので、詳細な説明を省略する。
【0037】
(図9〜図11)
図9から図11に示すのは、図1から図8で説明した情報通信技術を火力発電所における運転員の育成プログラムに活用した場合における、各種情報の具体例を示すものである。
【0038】
図9は、課題DBから課題送信手段を介して受講者に送信される課題例である。この例では、ある圧力計器の指示の動きと、課題から状況を把握するために必要な最低限の関連する設備の状況を表示する。この課題を各受講者が確認し、この状況はどのような原因で起きているのか各自考え回答する。
【0039】
図10は、模範解答DBに蓄積されている回答内容の具体例である。この例では、図9の課題例に対して、原因が何であったか、またその原因を考える上でのポイントが記載されている。
この回答内容をインストラクタXが確認し、各受講者からの回答内容と照らし合わせて、研修支援用サーバから受信した回答の出力順序が効果的であるか確認する。インストラクタXは確認した出力順序に基づき議論用回答として各受講者へ送信する。
【0040】
図11は、インストラクタXが図2の段階において各受講者から受信した意見を総合して、各受講者あてに送信する解説の具体例である。この例では、図10に示されたような原因がなぜ起きたのか、さらに深い原因まで気づきを与えるもので、火力発電所の各設備において運転員が巡視点検等において日頃からおこなうべき行動の注意点などを解説する。
このような解説内容についても模範回答DBに蓄積しておき、図10の回答内容と合わせてインストラクタXの端末Aに送信することにしてもよい。そうすることで、インストラクタXの技量に影響されないレベルの高い研修を実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明は、情報通信の設備メーカ、研修用のソフトウェア開発業、研修の請負サービス業などにおいて、利用可能性を有する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕事や勉強に関する学習を支援するための装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
学習を支援するための技術は、所定の知識や仕事の手順を暗記するため、以下のようなものが一般的であった。
すなわち、情報端末の出力画面に問題を出力し、当該問題に対する回答と端末操作者の入力とを比較し、採点結果を出力する、といったものである。
ごうした、いわば「暗記支援」の技術は、訓練者に対して所定の知識や仕事の手順を覚えさせるには、効率的である。
【0003】
特許文献1には、プラント運転訓練用シミュレータが開示されている。
【0004】
また、特許文献2は、自己訓練シミュレーションシステムが開示されている。
【0005】
一方、学習の効果を測定したり、評価したりすることは、学習を支援する者や組織においては重要である。たとえば、「暗記支援」に関する技術を応用したものが、最も単純である。たとえば、合格レベルに達するまでに要した操作回数をカウントしたり、最初に操作してから合格レベルに達するまでに要した期間(日数)をカウントしたりする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−94000号公報
【特許文献2】特開2009−42479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
組織における仕事を学習するには、前述した特許文献1や特許文献2に記載の技術では不十分である。仕事では、所定のレベルに達することばかりを評価すべきではない。どのようなことに気付き、閃きを感じたか、ということが重要だからである。
【0008】
また、ベテランの知見を後進に伝達するための工夫は、困難を伴う、と言われている。言語化しにくいから「知見であり、ノウハウである」と片付けられがちであるが、それでは伝達が困難である。
しかし、「知見やノウハウ」と一括りにされてきたベテランの知見に関する研究が進み、言語化ができない知見ばかりではなく、言語化も可能な知見も含まれていることが判明してきた。 たとえば、新人とベテランとの差のひとつとしては、所定の問題の解答力ではなく、「問題の発見力」である。
また、上述した「問題の発見力」を新人に対して向上させつつ、円滑に知見を伝授するには、グループでのディスカッションが重要であることも判明してきた。
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、情報通信技術を用いてグループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する技術を提供することを目的とする。
第一および第二発明の目的は、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する研修支援用サーバを提供することである。
第三および第四の目的は、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行するためのコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(第一の発明)
本願における第一の発明は、 受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論する研修支援用サーバに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、 受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、 その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している模範解答データベースと、 前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、 その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、 その出力順仮演算手段が演算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手段と、 受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手段と、 その指示受信手段が受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、を備えた研修支援用サーバとする。
【0011】
(用語説明)
「受講者データ」とは、性別、年齢、入社年度、配属部署、専門分野などの属性データである。
「課題データ」とは、たとえば、仕事上の知見を伝達するのに適した課題である。テキストデータのみのほか、画像データ、動画データ、音声データなどを組み合わせたデータなどがある。
「課題データの選択」は、研修支援用サーバが任意に選択する場合のほか、研修のインストラクタが選択してインストラクタに係る端末から指示を受けた研修支援用サーバが抽出する場合などがある。
「回答データ」は、テキストデータのみのほか、受講者が作成した画像データ、受講者が喋った音声データなどがある。
「出力順仮演算手段」は、たとえば、受講者データを参照しながら年齢の若い順に出力順を仮決定する、などの仮演算アルゴリズムによって演算する。その仮演算アルゴリズムは、変更することも当然可能である。
「研修のインストラクタ」とは、たとえば、社内の研修担当者や、社外からの研修専門家の場合のほか、受講者の中で一番のベテランが代行することもある。その場合、当該ベテランは、受講者に係る端末ではなく、インストラクタに係る端末を操作することとなる。
「指示データ」とは、出力順仮演算手段による出力順が「是」である場合には、「是である旨」のデータ、「否」である場合にはインストラクタが修正した出力順を含むデータとなる。
【0012】
(作用)
受講者データベースには受講者の属性データなどを蓄積し、課題データベースには受講者に与える課題データを蓄積し、模範解答データベースには課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している。
研修支援用サーバの課題送信手段は、課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する。所定の課題は、たとえば、インストラクタが自らに係る端末を介して選択される。
端末を介して課題データを閲覧した受講者は、その課題データにて回答を考え、回答データを作成して研修支援用サーバに送信する。受講者に係る端末から送信されてきたその回答データは、回答受信手段が受信する。
研修支援用サーバは、出力順仮演算手段を用いて、受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する。そして、その出力順仮演算手段が演算した演算結果を出力順送信手段が当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する。
インストラクタは、自らに係る端末にて出力順序を閲覧し、当該課題データに対する学習効果を勘案して、その出力順序に対する妥当性を判断する。そして、出力順序に対する是非を含む指示データを送信する。送信された指示データは、指示受信手段が受信する。
その指示受信手段が受信した指示データに基づいて回答データを選択し、議論用回答データとして全受講者に係る端末へ議論用回答送信手段が送信する。
【0013】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、前記課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している模範解答データベースを備え、 その模範解答データベースは、前記インストラクタに係る端末がアクセス可能に形成してもよい。
【0014】
(用語説明)
「模範解答データベース」は、インストラクタに係る端末のみがアクセス可能とする場合、インストラクタに係る端末からの許可があった場合にのみ他の端末がアクセス可能とする場合、インストラクタに係る端末からの許可が無くても一部の模範か移動データにはアクセスできる場合、などがある。
【0015】
(作用)
模範解答データベースには、課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している。その模範解答データベースは、前記インストラクタに係る端末がアクセス可能である。したがって、インストラクタが必要と判断した場合にアクセスして参照することができる。
【0016】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明は、 前記の議論用回答データを受信した受講者に係る端末からの意見データを受信する意見受信手段と、 インストラクタに係る端末および少なくとも当該意見データに係る端末以外の端末に対して前記の意見データを送信する意見送信手段と、を備えることとしてもよい。
【0017】
(用語説明)
「意見データ」とは、他の受講者の回答に対する意見や質問といった、回答データには該当しないデータである。
【0018】
(作用)
議論用回答データを受信した受講者に係る端末からの意見データを意見受信手段が受信する。そして、その意見データは、インストラクタに係る端末および少なくとも当該意見データに係る端末以外の端末に対して意見送信手段が送信する。 それによって、課題データを用いた学習効果の増大に寄与する。
【0019】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明は、 インストラクタに係る端末から前記の模範解答データベースに追加すべきデ追加データを受信する追加受信手段を備え、 その追加データを前記の模範解答データベースに追加することとしてもよい。
正解が唯一ではないような場合、模範解答データに追加データを追加することは合理的である。
【0020】
(第二の発明)
本願の第二の発明もまた、研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用サーバに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、 受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、 その課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、 その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、 当該研修のインストラクタが閲覧可能な閲覧手段と、 前記インストラクタがデータを入力可能なインストラクタ入力手段と、 そのインストラクタ入力手段から入力された前記出力順序に関する是非を含む指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、を備えた研修支援用サーバである。
第二の発明は第一の発明と異なり、インストラクタがサーバを操作することが前提である。
【0021】
(第三の発明)
本願の第三の発明は、 研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、 受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、 その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、 前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、 その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、 その出力順仮演算手順にて算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手順と、 受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手順と、 その指示受信手順にて受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0022】
(第四の発明)
本願の第四の発明もまた、研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムに係る。
すなわち、受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、 受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、 その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、 前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、 その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、 前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、 その出力順仮演算手順にて演算された演算結果を当該研修のインストラクタが出力順序に関する是非などについての指示入力を受け付ける指示入力手段手順と、 その指示入力手順にて入力された指示を含む回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラムである。
【0023】
第三および第四の発明は、記録媒体(たとえば、ハードディスク、CD−R、DVD−Rなど)に格納して提供することもできる。また、通信回線を介して送信することもできる。
【発明の効果】
【0024】
第一および第二の発明によれば、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行する研修支援用サーバを提供することができた。
また、第三および第四の発明によれば、グループでのディスカッションを効率的、効果的に実行可能な研修支援用コンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第一の実施形態における初期段階を示すブロック図である。
【図2】第一の実施形態における第二段階を示すブロック図である。
【図3】図2に示された実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図4】第一の実施形態における第三段階を示すブロック図である。
【図5】図4に示された実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図6】第二の実施形態における初期段階を示すブロック図である。
【図7】第二の実施形態における第二段階を示すブロック図である。
【図8】第二の実施形態における第三段階を示すブロック図である。
【図9】研修に用いられた課題を示す画面表示の一例である
【図10】研修に用いられた課題を解説するための画面表示の前半である。
【図11】研修に用いられた課題を解説するための画面表示の後半である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本願発明を実施形態および図面に基づいて更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、図1から図11である。図1から図5は、第一の実施形態を示す。図6から図8は、第二の実施形態を示す。図9は、研修に用いられた課題を示す画面である。図10および図11は、研修に用いられた課題を解説するための図面である。
【0027】
第一の実施形態では、研修のインストラクタとその研修を受講する複数の受講者(YおよびZ)とが研修支援用サーバを介して研修を受講する様子を示す。受講者Yは端末Bを、受講者Zは端末Cを、インストラクタXは端末Aをそれぞれ操作する。
研修支援用サーバ(図中では「サーバ」と略記)には、研修にて出題する課題データを予め、課題データベース(図中では「課題DB」と略記)に格納されている。課題データとは、テキストデータや図面、場合によっては動画データや音声データなどを用いて、受講者が回答すべき課題を表示するものである(図9参照)。
【0028】
(図1)
まず、研修支援用サーバの課題送信手段から端末Bおよび端末Cに対して、ある課題データ(図中では「課題」と略記)が送信される。送信された課題データは、各端末における受信手段にて受信する。そして、その課題データをそれぞれの端末における出力手段にて出力させた受講者Y,Zは、回答データ(図中では「回答」と略記)を入力し、回答送信手段にて研修支援用サーバに送信する。 なお、図示は省略しているが、この回答データをインストラクタXに係る端末Aに、同時に送信することとしても良い。
送信された回答データは、研修支援用サーバの回答受信手段が受信し、出力順仮演算手段に送られる。出力順仮演算手段は、受講者データベースおよび模範解答データベースを参照し、受講者Yに係る回答データと受講者Zに係る回答データのいずれから出力するのかについて、自動的に演算する。
ここで、受講者データベースとは、受講者Y,Zに関する属性データ(性別、年齢、職務経歴など)が予め格納されたデータベースである。また、模範解答データベースとは、課題データに対応して予め模範解答として用意されて格納されたデータベースである。
【0029】
出力順仮演算手段によって演算された出力順は、インストラクタに係る端末Aに送信され、端末Aの出力順受信手段が受信する。そして、その端末Aにおける出力画面に出力された出力順をインストラクタが確認し、指示データ(図中では「指示」と略記)を指示送信手段にて研修支援用サーバに送信する。 なお、図示は省略しているが、出力順とともに回答データを送信することとしても良い。
ここで、「指示データ」とは、その出力順で良いのか、あるいは修正が必要ならば修正した出力順を含むデータである。 すなわち、インストラクタXとしては、受講者Y,Zが当該課題を通じて最も効果的に学ぶために、どのような回答順序にてそれぞれの受講者に見せたらよいのかを思案し、指示データを入力、送信するのである。
【0030】
インストラクタXに係る端末Aからの指示データは、研修支援サーバの指示受信手段が受信する。そして、その指示データに係る出力順の最初となっている回答データを議論用回答とし、議論用回答送信手段が受講者Y,Zに係る端末B,Cの受信手段に送信する。その議論用回答を受信した受講者Y,Zは、端末の出力手段にて議論用回答を出力させ、議論を始める準備をする。
【0031】
(図2)
議論用回答を受信した受講者Y,Zのうち、受講者Zが意見データ(図中では「意見」と略記)を自らに係る端末を操作して入力し、意見送信手段を介して研修支援用サーバへ送信したとする。意見データを意見受信手段にて受信した研修支援用サーバは、意見送信手段を介して他の受講者(ここではY)に係る端末(B)と、インストラクタXに係る端末(A)に、その意見データを送信する。
【0032】
インストラクタXは、その意見データを受信したら端末にて出力させて検討し、解説を入力して、解説データ(図中では「解説」と略記)として研修支援用サーバに送信する。送信された解説データは、研修支援用サーバの解説受信手段が受信し、全ての受講者(ここではY,Z)に送信される。
受講者としては、意見データや解説データを入手することによって、課題に対して他の受講者の意見や、インストラクタによる解説によって理解を深めることができる。
【0033】
(図3)
図3は、図2に示した実施形態の変形例である。すなわち、インストラクタXが受講者Yの意見データやその他の状況から、オンラインによる議論では学習効果が高められない、あるいはオンラインよりも現実の議論を現場で行ったほうがよい、といった判断した場合に、実際に集まってオフ会を開催する旨を、研修支援用サーバを介して通知する様子を示している。図2との相違点は、インストラクタXに係る端末から解説データの代わりに、オフ会を開催する旨を研修支援用サーバに送信する点、および研修支援用サーバからオフ会開催通知が全受講者に係る端末へ送信される点である。
【0034】
(図4)
図4に示すのは、研修支援用サーバから解説データが送信され、各受講者に係る端末から感想データ(図中では「感想」と略記)が研修支援用サーバに送信される。研修支援用サーバが受信した感想データはインストラクタXに係る端末Aに送信される。
感想データとは、課題データ、回答データ、意見データ、解説データなどを読んだり、この研修を受講して感じたことについて、受講者が入力したデータである。回答データや意見データと異なり、筆者の許諾なしには他の受講者にはオープンにしない取り決めとしている。
インストラクタXは、感想データを検証することによって、模範解答データベースに対する補充補足や、受講者ごとに対する個別指導などを含む追加データを研修支援用サーバに送信する。受信した追加データは、補充補足であれば模範解答データベースに追加入力し、個人指導であれば受講者データベースに追加入力する。
【0035】
(図5)
図5に示すのは、図4に示した実施形態の変形例である。すなわち、個人指導を受講者データベースに追加入力するのではなく、個人指導に係る受講者の端末に対してインストラクタXに係る端末Aから直接アクセスして個人指導をする、という点が異なる。
受講者データベースに記録するほどでもない内容の場合や、受講者データベースに記録することがはばかられる内容もあり得ることを考慮、あるいは研修の効果を高めるために、インストラクタXが選択できるようにしたものである。
【0036】
(図6〜図8)
図6から図8に示すのは、研修を受講する複数の受講者(YおよびZ)が研修支援用サーバを介して研修を受講する様子を示すが、研修支援用サーバはインストラクタXが直接操作する点が、第一の実施形態との相違点である。 受講者Yは端末Bを、受講者Zは端末Cをそれぞれ操作する。
研修支援用サーバをインストラクタXが直接操作するのは、受講者が比較的少ない場合に向いている。図6は図1に対応し、図7は図2に対応し、図8は図5に対応する。
図1などで示していた端末Aの機能を研修支援用サーバに代行させているが、各構成要件については図1〜5にて説明済みであるので、詳細な説明を省略する。
【0037】
(図9〜図11)
図9から図11に示すのは、図1から図8で説明した情報通信技術を火力発電所における運転員の育成プログラムに活用した場合における、各種情報の具体例を示すものである。
【0038】
図9は、課題DBから課題送信手段を介して受講者に送信される課題例である。この例では、ある圧力計器の指示の動きと、課題から状況を把握するために必要な最低限の関連する設備の状況を表示する。この課題を各受講者が確認し、この状況はどのような原因で起きているのか各自考え回答する。
【0039】
図10は、模範解答DBに蓄積されている回答内容の具体例である。この例では、図9の課題例に対して、原因が何であったか、またその原因を考える上でのポイントが記載されている。
この回答内容をインストラクタXが確認し、各受講者からの回答内容と照らし合わせて、研修支援用サーバから受信した回答の出力順序が効果的であるか確認する。インストラクタXは確認した出力順序に基づき議論用回答として各受講者へ送信する。
【0040】
図11は、インストラクタXが図2の段階において各受講者から受信した意見を総合して、各受講者あてに送信する解説の具体例である。この例では、図10に示されたような原因がなぜ起きたのか、さらに深い原因まで気づきを与えるもので、火力発電所の各設備において運転員が巡視点検等において日頃からおこなうべき行動の注意点などを解説する。
このような解説内容についても模範回答DBに蓄積しておき、図10の回答内容と合わせてインストラクタXの端末Aに送信することにしてもよい。そうすることで、インストラクタXの技量に影響されないレベルの高い研修を実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本願発明は、情報通信の設備メーカ、研修用のソフトウェア開発業、研修の請負サービス業などにおいて、利用可能性を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用サーバであって、
受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、
受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、
その課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、
その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、
その出力順仮演算手段が演算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手段と、
受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手段と、
その指示受信手段が受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、
を備えた研修支援用サーバ。
【請求項2】
前記課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している模範解答データベースを備え、
その模範解答データベースは、前記インストラクタに係る端末がアクセス可能とした請求項1に記載の研修支援用サーバ。
【請求項3】
前記の議論用回答データを受信した受講者に係る端末からの意見データを受信する意見受信手段と、
インストラクタに係る端末および少なくとも当該意見データに係る端末以外の端末に対して前記の意見データを送信する意見送信手段と、を備えることとした請求項1または請求項2のいずれかに記載の研修支援用サーバ。
【請求項4】
インストラクタに係る端末から前記の模範解答データベースに追加すべき追加データを受信する追加受信手段を備え、
その追加データを前記の模範解答データベースに追加することとした請求項1から請求項3のいずれかに記載の研修支援用サーバ。
【請求項5】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用サーバであって、
受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、
受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、
その課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、
その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、
当該研修のインストラクタが閲覧可能な閲覧手段と、
前記インストラクタがデータを入力可能なインストラクタ入力手段と、
そのインストラクタ入力手段から入力された前記出力順序に関する是非を含む指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、
を備えた研修支援用サーバ。
【請求項6】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムであって、
そのプログラムは、 受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、
受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、
その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、
前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、
その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、
その出力順仮演算手順にて算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手順と、
受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手順と、
その指示受信手順にて受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、
をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項7】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムであって、
そのプログラムは、 受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、
受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、
その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、
前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、
その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、
その出力順仮演算手順にて演算された演算結果を当該研修のインストラクタが出力順序に関する是非などについての指示入力を受け付ける指示入力手段手順と、
その指示入力手順にて入力された指示を含む回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、
をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項1】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用サーバであって、
受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、
受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、
その課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、
その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、
その出力順仮演算手段が演算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手段と、
受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手段と、
その指示受信手段が受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、
を備えた研修支援用サーバ。
【請求項2】
前記課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを蓄積している模範解答データベースを備え、
その模範解答データベースは、前記インストラクタに係る端末がアクセス可能とした請求項1に記載の研修支援用サーバ。
【請求項3】
前記の議論用回答データを受信した受講者に係る端末からの意見データを受信する意見受信手段と、
インストラクタに係る端末および少なくとも当該意見データに係る端末以外の端末に対して前記の意見データを送信する意見送信手段と、を備えることとした請求項1または請求項2のいずれかに記載の研修支援用サーバ。
【請求項4】
インストラクタに係る端末から前記の模範解答データベースに追加すべき追加データを受信する追加受信手段を備え、
その追加データを前記の模範解答データベースに追加することとした請求項1から請求項3のいずれかに記載の研修支援用サーバ。
【請求項5】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用サーバであって、
受講者の属性データなどを蓄積する受講者データベースと、
受講者に与える課題データを蓄積する課題データベースと、
その課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手段と、
その課題送信手段から送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手段と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手段と、
当該研修のインストラクタが閲覧可能な閲覧手段と、
前記インストラクタがデータを入力可能なインストラクタ入力手段と、
そのインストラクタ入力手段から入力された前記出力順序に関する是非を含む指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手段と、
を備えた研修支援用サーバ。
【請求項6】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムであって、
そのプログラムは、 受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、
受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、
その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、
前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、
その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、
その出力順仮演算手順にて算した演算結果を当該研修のインストラクタに係る端末へ送信する出力順送信手順と、
受信したその出力順序に関する是非を含む指示データをインストラクタに係る端末から受信する指示受信手順と、
その指示受信手順にて受信した指示データに基づいて回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、
をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項7】
研修の受講者が端末を介して所定の課題に対して回答して議論することを支援する研修支援用のコンピュータプログラムであって、
そのプログラムは、 受講者の属性データなどを予め受講者データベースに蓄積する受講生データ蓄積手順と、
受講者に与える課題データを予め課題データベースに蓄積する課題データ蓄積手順と、
その課題データベースに蓄積された課題に対する模範解答データを予め模範解答データベースに蓄積している模範解答データ蓄積手順と、
前記の課題データベースから選択された所定の課題を受講者に係る端末へ送信する課題送信手順と、
その課題送信手順にて送信された課題に対しての回答データを受講者に係る端末から受信する回答受信手順と、
前記の受講者データベースを参照して全部の受講者に係る端末へ送信すべき回答データの出力順序を仮演算する出力順仮演算手順と、
その出力順仮演算手順にて演算された演算結果を当該研修のインストラクタが出力順序に関する是非などについての指示入力を受け付ける指示入力手段手順と、
その指示入力手順にて入力された指示を含む回答データを選択し議論用回答データとして全受講者に係る端末へ送信する議論用回答送信手順と、
をコンピュータに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−198430(P2012−198430A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63156(P2011−63156)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】
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