説明

宅配支援システム

【課題】配送人や配送車の配送時間効率が上がり、燃料費の節約も可能となる宅配支援システムを提供する。
【解決手段】配送事業者が宅配支援サービスを受けようとする顧客から、インターネット等を介して取得した顧客情報から荷物ロッカーに貼る顧客認証RFIDタグと、管理ボックスに装填する顧客情報記録媒体を作成し、配送人の携帯する管理ボックスを顧客の管理する荷物ロッカーに装着することで顧客認証を行い、認証可の場合には通電され電気錠を解除し荷物の出し入れをする。荷物ロッカーには前記電気錠と顧客が解施錠するためのシリンダ錠の2系統を備え、電気錠のノッチとシリンダ錠のレバーを噛みあわせることで、どちらか一方の解錠で扉が開く状態となり、どちらか一方の施錠で扉が開かない状態の構成としているため顧客はシリンダ錠の操作で荷物の出し入れができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は主として配送事業者が運営する宅配支援システムに関し、配送先である顧客の留守中でも配送が可能であり、配送人や配送車の稼働効率を向上させ、また顧客の発送時には在宅若しくは留守にかかわらず配送人が随時荷物を引き取ることのできる宅配支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、宅配便等で荷物を配送先である顧客の留守中に配送した場合、不在連絡票を発行し顧客から指定時間の連絡を受けた後に再配送して届けるのが一般的であり、再配送による配送人や配送車の時間効率の悪さと燃料費の増加が課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−242297
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、従来宅配便等、配送事業者の荷物の配送は、顧客から時間指定の無い場合には、配送人の配送ルートに従って順次顧客に荷物を届け、若し顧客が留守であれば不在連絡票を発行し、再度顧客からの時間指定等を受けて再配送する。又、予め配送時間の指定がある場合には、指定通りに顧客に配送するのが通常となっている。しかしながら顧客の留守の場合は再配送を必要とし、また、時間指定の場合には時間差によって配送ルートを幾度も通過する場合があり、どちらの場合でも配送人や配送車の時間効率の悪さと燃料費の負担増が課題である。
【0005】
また、生肉や鮮魚或いは野菜、弁当等の食品に関する配送の必要性も高まり利用拡大のための対応を課題とする。
【0006】
前記課題を解決するために、顧客の留守を問わず配送を可能にすることを目的として特開平7−242297で提案されているが、提案されている宅配便自動受付機は荷物の受付機能を主旨とした提案であるが、運用面での改善が必要とされ解決手段として本発明の宅配支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の宅配支援システムは、配送事業者が宅配支援サービスを受けようとする顧客から、インターネット等を介して取得した顧客情報をデータベース化して保存する事業者サーバと、配送地域単位に顧客情報を抽出する顧客抽出端末を備え抽出した顧客情報をデータベースで保存する営業所サーバと、抽出した顧客情報を顧客情報記録媒体への書込み手段、及び配送後の配送記録が書込まれた記録媒体の読取り手段を備え、さらに顧客認証用タグの作成手段を備えた端末と、を相互に通信可能に接続した配送事業者の顧客情報管理システムと、配送或いは発送する荷物を保管し、前記作成した顧客認証用タグを所定の位置に貼付け、さらに扉の錠は通電により解錠される電気錠と顧客が解施錠するシリンダ錠の2系統を備えた顧客単位で保有する荷物ロッカーと、前記顧客情報記録媒体を装填する挿入部、さらに装填された顧客情報記録媒体に記録された顧客情報と前記認証用タグとの比較認証手段、および認証後の前記荷物ロッカーに通電するための充電式バッテリー等の部材で構成した携帯可能な管理ボックスを装着し、前記電気錠の解錠を操作する配送人の荷物ロッカー操作システムと、前記荷物ロッカーの前記シリンダ錠を顧客が操作して解施錠操作をする顧客の荷物ロッカー操作システムと、で構成されていることを特徴とする。
【0008】
さらに前記管理ボックスに装填された前記顧客情報記録媒体に当該配送情報を記録し、前記 顧客情報記録媒体作成手段を備えた端末でデータ処理後、事業所サーバからインターネット等通信回線を介して配送記録情報を当該顧客に配信するための手段を備えてなることを特徴とする。
【0009】
本発明の宅配支援システムに利用する前記荷物ロッカーに、電気錠とシリンダ錠の2系統を備え、どちらか一方の錠を解錠すれば扉が開く状態に、また、どちらか一方を施錠することで扉が開かない状態となることを特徴とする。
【0010】
本発明の宅配支援システムに利用する前記荷物ロッカーの内部を、低温にするための手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の果として、配送人が顧客の留守中や、また指定時間も必要なく配送できるため、配送人や配送車の配送時間効率が上がり、燃料費の節約にもなる。
【0012】
荷物ロッカーに冷蔵或いは冷凍手段を備えることで、生肉や鮮魚或いは野菜、弁当等生鮮食品の保管が適用できるため、前記の配送業に加え、前記食品配送での利用拡大につながる。
【0013】
さらに、本発明の効果として配送の利便性だけでなく、顧客の通常の荷物発送においても随時荷物ロッカーに保管することで、留守中でも配送人に引き渡しが可能であり顧客の利便性も高まる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の宅配支援システムの概略構成の一例を説明する図
【図2】本発明の宅配支援システムの構成で使用する荷物ロッカー及び管理ボックスの概要斜視図
【図3】本発明の宅配支援システムに使用する荷物ロッカーの電気錠とシリンダ錠の施錠状態を示す拡大図
【図4】本発明の宅配支援システムに使用する荷物ロッカーの電気錠を操作して解錠の状態を示す拡大図
【図5】本発明の宅配支援システムに使用する荷物ロッカーのシリンダ錠を操作して解錠の状態を示す拡大図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の宅配支援システムの実施の形態を説明する。
【0016】
本発明の宅配支援システムは、一例として荷受或いは送り主側である顧客が、宅配支援サービスを提供する宅配便等の配送事業者とでインターネット等を介して会員登録後にサービスの提供を受けるもので、配送事業者は、会員登録をした顧客に配送或いは発送する荷物を保管するための荷物ロッカーを、顧客情報に基づいて作成の当該顧客認証タグが貼られた状態で顧客単位に提供し、提供された顧客は荷物保管が安全で、且つ出し入れの便利な場所に据付ける。
【0017】
前記配送事業者に登録された顧客情報はデータベース化され、ネットワークで接続された顧客抽出端末により営業所単位或いは配送地域単位に区分けして営業所サーバに保存され、抽出した顧客情報は営業所サーバと接続された端末によりUSBメモリ等に書込み、顧客情報記録媒体を作成する。
【0018】
前記顧客情報記録媒体は配送人の携帯する管理ボックスに装填され、管理ボックスを当該顧客の荷物ロッカーに装着することで、前記当該顧客認証タグの顧客情報と装填した顧客情報記録媒体からの顧客情報とが照合手段により認証処理され、認証可の場合には当該顧客の荷物ロッカーの電気錠を解錠し扉を開け荷物の出し入れ後、管理ボックスを荷物ロッカーから抜き去ることで電気錠を自動的に施錠する。
【0019】
前記管理ボックスを荷物ロッカーの所定の位置に装着し、前記認証後から荷物出し入れ後に管理ボックスを抜き去るまでの配送記録を管理ボックスに装填の顧客情報記録媒体に書込み、荷物配送或いは受取り日時等の情報を事業者の配送管理として記録し、またインターネット等から当該顧客へ配送記録として発信する。
【0020】
配送記録を受信した顧客は、荷物ロッカーに電気錠とシリンダ錠の2系統を備えた錠の内、シリンダ錠を所定の鍵で解錠し荷物を取り出し、発送の場合は荷物を保管した後、施錠する。2系統の錠はどちらか一方を解錠すれば扉が開く状態となり、また、どちらか一方を施錠すると扉が開かない状態となる構造である。
【0021】
以上、本発明の宅配支援システムを利用することで、配送人が顧客の留守中や、また配送時間の指定も不要で配送できるため、配送人や配送車の配送時間効率の向上と燃料費の節約にもなる。また顧客の通常の荷物発送においても時間に関係なく随時荷物ロッカーに保管することで、留守中でも配送人に引き渡しが可能であり顧客の利便性も高まる。
【実施例】
【0022】
次に本発明の宅配支援システムの実施例を、図を参照して説明する。
【0023】
宅配支援システムのサービスを利用しようとする顧客が、サービスを提供する配送事業者にインターネット等を介してパスワード他の顧客情報として登録し、登録された顧客情報は配送業者のサーバ1にデータベース化して保存される。保存されたデータベースは、配送事業者の営業所単位或いは配送地域単位に顧客抽出端末3で区分けされ各営業所等のサーバ2に保存される。区分けは前記の他、配送ルート別等配送事業者の目的に沿った効率のよい内容に区分けして保存が可能である。
【0024】
前記、区分けして保存のデータベースはサーバ2とネットワークで接続された端末4のデータ書込み手段でUSB等の記録媒体に書込み、顧客情報記録媒体7を作成する。端末4は他にパスワード等、顧客認証に必要なデータをサーバ2から取出し顧客認証タグ8に書込む手段と、配送記録データ処理手段と、を備え配送事業者の顧客情報管理システム1aを構成している。
【0025】
宅配支援システムのサービスを利用するために前記情報登録をした顧客には、配送事業者の定める諸手続きを終えた後、顧客単位で管理する前記顧客認証タグ8を所定の位置に貼り付けた荷物ロッカー5が配送事業者により提供され、荷物保管が安全で、且つ出し入れの便利な場所に荷物ロッカー5を据付ける。
【0026】
荷物ロッカー5には前記認証タグ8の他、配送人が携帯する管理ボックス6の装着部12、及び電気を通電すると解錠する電気錠14、顧客が荷物を出し入れする際に操作するシリンダ錠17及び通電時の表示灯15を備えている。
【0027】
配送人は荷物の配送時に管理ボックス6を携帯する。管理ボックス6には前記作成した顧客情報記録媒体7を装填するための挿入口19、及び認証のためのデータ照合手段、その他充電式バッテリーや前記顧客認証タグ8を読取るためのリーダ等を備えている。また、バッテリーに随時充電を可能にするために配送車等の所定の場所に充電器を準備している。
【0028】
配送人は配送荷物の当該顧客が据付けている前記荷物ロッカー5の装着部12に管理ボックス6を装着することで、電極端子9が荷物ロッカー5のコイル端子10と接触し通電され、荷物ロッカー5の所定の位置に貼られた前記認証タグ8をリーダが読取り、装填した顧客情報記録媒体7の顧客情報とをデータ照合手段で照合され、結果が認証可の場合には荷物ロッカー5に通電され、認証不可の場合は通電されない。認証可で通電された荷物ロッカー5には前記電気錠14が解錠され、扉16が開けられる状態となり配送した荷物を保管できる。
【0029】
荷物を保管した後、配送人は扉16を閉じて管理ボックス6を荷物ロッカー5から抜き去ると通電が途切れ電気錠14が自動的に施錠され配送を完了する。また、前記顧客認証タグ8の認証から電気錠14の施錠までを配送記録として管理ボックス6に装填されている顧客情報記録媒体7に記録される。
【0030】
以上、配送人が管理ボックス6を荷物ロッカー5に装着から顧客認証、解錠、荷物保管、管理ボックス6を荷物ロッカー5から抜き去るまでを、配送人の荷物ロッカー操作システム5aを構成している。
【0031】
顧客情報記録媒体7に記録された前記配送記録は、顧客情報記録媒体7を作成する端末4に装填することで配送記録データ処理手段によって処理され、配送事業者の配送管理の履歴に利用され、またサーバを介して当該顧客に所定の内容が配送記録とし当該顧客に配信される。
【0032】
当該顧客が荷物ロッカー5に保管された配送荷物の取出し、或いは当該顧客が発送する荷物を保管する等、荷物ロッカー5の扉16を開ける場合は、荷物ロッカー5に備えたシリンダ錠17を、当該顧客が保持する所定の鍵18で解錠し扉16を開け、同様に扉16を閉じた後の施錠は鍵18で操作する顧客の荷物ロッカー操作システム5bを構成している。
【0033】
前記荷物ロッカー5には扉16を開閉可能に取り付けているが荷物の保管に関わらず通常は施錠して閉じている。このため配送人および顧客の双方各々で扉16の解錠或いは施錠の操作ができる電気錠14とシリンダ錠17の2系統の錠を備えた。
【0034】
前記2系統の錠の構成を図で説明する。図3は前記扉16が施錠された時の電気錠と14とシリンダ錠16の状態を示し、荷物ロッカー5の所定位置に固定された電気錠14の電磁コイル23に挿入されている鉄芯22と連結しているノッチ20の後部をスプリング24で引上げることで、支点ピン25を軸としてノッチ20の鉤状の先端部を下げ、扉16に固定されたシリンダ錠17のレバー21とを絡み合わせることで扉16を施錠する。
【0035】
前記の施錠された扉16を配送人が解錠するには、前記管理ボックス6を荷物ロッカー5の所定の位置に装着することで管理ボックス6内に備えた充電式バッテリーからコイル端子10を介して電気錠14の電磁コイル23に通電され鉄芯14を下方に吸着する。鉄芯14と連結されたノッチ20が下げられると図4に示すように支点ピン25を中心に鉤状の先端部が引き上げられ前記シリンダ錠17のレバー21との絡み合わせが解かれて解錠し、扉16が開く状態となる。解錠の状態から施錠をするには配送人によって管理ボックス6を荷物ロッカー5から抜き去ることで、電磁コイル23への通電を停止するため吸着が解除され、解除された鉄芯22をスプリング24の引張力で引上げることで連結しているノッチ20の鉤状の先端部を下げ、レバー21との絡み合わせが図3に示す施錠の状態に戻る。
【0036】
また、図3に示す施錠の状態を顧客が解錠するには、図5に示すように扉16に固定されたシリンダ錠17を予め顧客の保有する鍵18で解錠方向に回し、連結しているレバー21を回転させることで電気錠14のノッチ20の鉤状の先端部との絡み合いが解除され、解錠となり扉16が開く状態となる。顧客が施錠の時はシリンダ錠17を鍵18で施錠方向に回転し図3に示す状態に戻すことで施錠する。
【0037】
本発明の利用目的を拡大するために、生肉や鮮魚或いは野菜、弁当等生鮮食品の保管ができる例えば小型の冷蔵庫や冷凍庫等を荷物ロッカーとして、前記説明の2系統錠の構成や、前記管理ボックスの装着で電子錠14の解施錠操作等、前記荷物ロッカー5と同等の構成にすることで前記生鮮食品の配送に利用できる。
【0038】
以上、本発明の実施例を図面を参照して説明したが、本発明は実施例の形態に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲において種々の形態に変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 事業者サーバ
1a 配送事業者の顧客情報管理システム
2 営業所サーバ
3 顧客抽出端末
4 端末
5 荷物ロッカー
5a 配送人の荷物ロッカー操作システム
5b 顧客の荷物ロッカー操作システム
6 管理ボックス
7 顧客情報記録媒体
8 顧客認証タグ
9 電極端子
10 コイル端子
11 端子板
12 装着部
13 ストッパー
14 電気錠
15 表示灯
16 扉
17 シリンダ錠
18 鍵
19 挿入口
20 ノッチ
21 レバー
22 鉄芯
23 電磁コイル
24 スプリング
25 支点ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配送事業者が宅配支援サービスを受けようとする顧客から、インターネット等を介して取得した顧客情報をデータベース化して保存する事業者サーバと、配送地域単位に顧客情報を抽出する顧客抽出端末を備え抽出した顧客情報をデータベースで保存する営業所サーバと、抽出した顧客情報を顧客情報記録媒体への書込み手段、及び配送後の配送記録が書込まれた記録媒体の読取り手段を備え、さらに顧客認証用タグの作成手段を備えた端末と、を相互に通信可能に接続した配送事業者の顧客情報管理システムと、配送或いは発送する荷物を保管し、前記作成した顧客認証用タグを所定の位置に貼付け、さらに扉の錠は通電により解錠される電気錠と顧客が解施錠するシリンダ錠の2系統を備えた顧客単位で保有する荷物ロッカーと、前記顧客情報記録媒体を装填する挿入部、さらに装填された顧客情報記録媒体に記録された顧客情報と前記認証用タグとの比較認証手段、および認証後の前記荷物ロッカーに通電するための充電式バッテリー等の部材で構成した携帯可能な管理ボックスを装着し、前記電気錠の解錠を操作する配送人の荷物ロッカー操作システムと、前記荷物ロッカーの前記シリンダ錠を顧客が操作して解施錠操作をする顧客の荷物ロッカー操作システムと、で構成されていることを特徴とする宅配支援システム。
【請求項2】
前記管理ボックスに装填された前記顧客情報記録媒体に当該配送情報を記録し、前記顧客情報記録媒体作成手段を備えた端末でデータ処理後、事業所サーバからインターネット等通信回線を介して配送記録情報を当該顧客に配信するための手段を備えてなることを特徴とする請求項1に記載の宅配支援システム。
【請求項3】
前記荷物ロッカーに電気錠とシリンダ錠の2系統を備え、どちらか一方の錠を解錠すれば扉が開く状態に、また、どちらか一方を施錠すると扉が開かない状態となることを特徴とした請求項1に記載の荷物ロッカー。
【請求項4】
前記荷物ロッカーの内部を低温にするための手段を備えたことを特徴とする請求項1及び3に記載の荷物ロッカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−86972(P2013−86972A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−269427(P2011−269427)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(394004996)日本ハルコン株式会社 (7)
【Fターム(参考)】