安全スイッチ用アクチュエータ機構
【課題】 扉が閉まる際の反動による扉の開方向への移動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉の閉方向への移動を吸収できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供する。
【解決手段】 安全スイッチ用アクチュエータ機構において、扉Dに固定されるベース30と、ベース30をスライド自在に支持するボルト31と、ボルト31の一端に取り付けられ、スイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに対して抜き差し自在なアクチュエータ4と、ボルト31の他端に取り付けられ、緩衝ブロック37を有するストッパプレート32と、ベース30およびストッパプレート32間においてボルト31の回りに装着されたコイルバネ33とを設ける。扉Dが閉まる際の反動は、ベース30のボルト31に沿った移動およびその移動の際のコイルバネ33の収縮による弾性反発力の作用により吸収できる。
【解決手段】 安全スイッチ用アクチュエータ機構において、扉Dに固定されるベース30と、ベース30をスライド自在に支持するボルト31と、ボルト31の一端に取り付けられ、スイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに対して抜き差し自在なアクチュエータ4と、ボルト31の他端に取り付けられ、緩衝ブロック37を有するストッパプレート32と、ベース30およびストッパプレート32間においてボルト31の回りに装着されたコイルバネ33とを設ける。扉Dが閉まる際の反動は、ベース30のボルト31に沿った移動およびその移動の際のコイルバネ33の収縮による弾性反発力の作用により吸収できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の開閉部分において壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側の安全スイッチ用アクチュエータ機構に関し、詳細には、扉が閉まる際の反動による扉の開方向への移動を吸収でき、またはアクチュエータの作動後さらに扉が閉まろうとする際の扉の閉方向への移動を吸収できるようにするためのアクチュエータ機構の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工場内において、自動運転される産業用機械が設置された危険区域内の出入り口には、扉の開閉状態に応じてオン、オフする安全スイッチが設けられている。
【0003】
従来の安全スイッチは、特開平10−302580号公報の図1に示すように、壁側に固定されるスイッチ本体(101)と、扉側に固定され、スイッチ本体(101)の挿入孔(101a、101b)に挿入されるアクチュエータ(102)とから主として構成されている。
【0004】
この場合、扉の閉塞時にアクチュエータ(102)がスイッチ本体(101)の挿入孔(101a、101b)に挿入されると、スイッチ本体(101)に内蔵された接点ブロックの接点が切り換わって、機械が駆動可能な状態におかれるとともに、アクチュエータ(102)がスイッチ本体(101)の挿入孔(101a、101b)から抜けると、スイッチ本体(101)内部の接点ブロックの接点が元の状態に戻って、機械への電源供給がオフにされる。このようにして、扉の閉塞時に限り、機械の駆動が許可されるようになっている。また、安全性を一層向上させるために、扉の閉塞状態をロックするロック装置が設けられた安全スイッチも提供されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、扉の移動速度が速かったり、扉や壁にクッション材が設けられたりしている場合には、扉が閉まる際の反動によって扉がバウンドして開方向に移動することがある。このとき、ロック装置のない安全スイッチの場合には、扉の開方向への移動によってアクチュエータがスイッチ本体から外れることにより、スイッチ本体内部で一旦オン状態にされた接点が再びオフ状態に戻ることになる。その場合、操作者が扉を再び閉め直す必要があるため、操作者にとって負担である。また、ロック装置のある安全スイッチの場合には、扉が開方向に移動した際に、ロック装置に無理な力が作用してロック装置が破損する恐れがある。
【0006】
その一方、扉の閉塞時に扉と壁との間に隙間が形成されるような仕様の場合、扉を急速に閉めた際に、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部の接点が切り換わった後(つまりアクチュエータの作動後)においても、扉がさらに壁に向かって移動しようとする。このとき、スイッチ本体内部の接点には、扉の慣性による大きな衝撃力が作用し、その結果、スイッチ本体内部の機構が破損する恐れがある。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、扉を閉塞する際の扉の移動に起因した、スイッチ本体内部の接点の切り換わりやスイッチ本体内部の機構の破損を防止できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供することにある。具体的には、本発明は、扉が閉まる際の反動による扉の開方向への移動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉の閉方向への移動を吸収できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供することにある。また、本発明は、扉が閉まる際の反動による扉の開方向移動に起因して、安全スイッチの接点が切り換わるのを防止でき、または扉が閉まる際の扉の閉方向移動に起因して、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供しようとしている。さらに、本発明は、扉が閉まる際の反動による扉の開方向移動、または扉が閉まる際の扉の閉方向移動に起因した、ロック機構の破損を防止できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構は、扉側に設けられ、スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、扉に固定され、アクチュエータを保持するベースとを備えている。ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された後に当該挿入状態を維持しつつ、アクチュエータに対して移動可能に設けられている。
【0009】
請求項1の発明においては、扉の閉塞時には、扉とともにベースが移動して、扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されることにより、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われる。
【0010】
この扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとする。または、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部の接点が切り換わった後(つまりアクチュエータの作動後)において、扉がさらに壁に向かって移動したとする。このとき、ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、アクチュエータに対して移動する。つまり、ベースは、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動し(請求項2参照)、または扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する(請求項4参照)。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0011】
このように、扉が閉まる際の反動、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースがアクチュエータに対して移動することにより吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、また扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持でき、またはスイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。なお、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1において、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態で、ベースがアクチュエータに対して移動可能な方向は、アクチュエータから離反する方向である。
【0013】
この場合には、扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとする。このとき、ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動する。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収できる。
【0014】
このように、扉が閉まる際の反動をベースがアクチュエータから離反する側への移動により吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2において、ベースがアクチュエータから離反する際には、ベースがアクチュエータに接近する側に付勢されている。
【0016】
この場合には、扉が閉まる際の反動でベースがアクチュエータから離反する方向に移動するとき、ベースには、アクチュエータ側に接近する方向の付勢力が作用するので、ベースは当該付勢力に抗して移動することになる。これにより、扉が閉まる際の反動をより効果的に吸収できる。
【0017】
請求項4の発明では、請求項1において、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態で、ベースがアクチュエータに対して移動可能な方向は、アクチュエータに接近する方向である。
【0018】
この場合には、扉の閉塞時において、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部の接点が切り換わった後(つまりアクチュエータの作動後)において、扉がさらに壁に向かって移動したとする。このとき、ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する。これにより、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0019】
このように、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を、ベースがアクチュエータに接近する側への移動により吸収できるので、扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0020】
請求項5の発明では、請求項4において、ベースがアクチュエータに接近する際には、ベースがアクチュエータから離反する側に付勢されている。
【0021】
この場合には、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動時にベースがアクチュエータに接近する方向に移動するとき、ベースには、アクチュエータから離反する側への付勢力が作用するので、ベースは当該付勢力に抗して移動することになる。これにより、扉が閉まる際の扉の移動をより効果的に吸収できる。
【0022】
請求項6の発明では、請求項3または5において、ベースに対する付勢力が調整可能になっている。
【0023】
この場合には、ベースに対する付勢力を適宜調整することで、扉が閉まる際の反動または扉が閉まる際の扉の閉方向への移動に対する吸収特性を調整できる。
【0024】
請求項7の発明では、請求項1において、ベースが、扉の移動方向に配設された支軸部に保持されている。
【0025】
この場合には、ベースを保持する支軸部が扉の移動方向に配設されていることにより、ベースが、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動する際、または扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する際には、ベースは支軸部に沿ってスムーズに移動を行える。
【0026】
請求項8の発明では、請求項1において、ベースのアクチュエータに対する移動量を調整する調整手段が設けられている。
【0027】
この場合には、扉が閉まる際の反動でベースがアクチュエータから離反する側に移動する際の移動量、または扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動することでベースがアクチュエータに接近する側に移動する際の移動量を調整手段により調整できるようになり、これにより、個々の扉の反動、または個々の扉の閉方向へのさらなる移動に応じた細やかな調整が可能になる。
【0028】
請求項9の発明では、請求項1において、ベースがアクチュエータに対して移動する際にベースまたはアクチュエータに対して緩衝作用を及ぼす緩衝材が設けられている。
【0029】
この場合には、扉の閉塞時に扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動して、ベースがアクチュエータから離反する方向に移動するとき、または扉の閉塞時に扉がさらに閉方向に移動して、ベースがアクチュエータに接近する方向に移動するとき、緩衝材がベースまたはアクチュエータに対して緩衝作用を及ぼすので、扉が閉まる際の反動、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を確実に吸収できるともに、ベースが急激に停止するのを防止できる。
【0030】
請求項10の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構は、扉に固定されるベースと、ベースをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、各支軸部の一端側に取り付けられ、スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、ベースとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材とを備えている。
【0031】
請求項10の発明においては、扉の閉塞時には、扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されることにより、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われる。
【0032】
この扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとする。このとき、ベースは、開方向に移動する扉とともに各支軸部に沿って移動しつつ、ストッパ部材との間で弾性反発部材の作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収できるともに、ベースがストッパ部材に急激に衝突するのを回避できる。
【0033】
また、この弾性反発部材の作用によって、ベースは、各支軸部に沿って前記移動方向とは逆方向に付勢され、その結果、ベースとともに移動する扉が閉方向に向かって移動することにより、扉が閉じられる。
【0034】
このように、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0035】
請求項11の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構は、スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、アクチュエータをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、各支軸部の一端側に取り付けられるとともに、扉に固定されるベースと、各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、アクチュエータとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材とを備えている。
【0036】
請求項11の発明においては、扉の閉塞時には、扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されることにより、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われる。
【0037】
この扉の閉塞時において、スイッチ本体内部の接点の切換え後、扉がさらに閉方向に移動したとする。このとき、ベースは、閉方向に移動する扉とともに移動しつつ、アクチュエータとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材による作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できるともに、ストッパ部材がアクチュエータに急激に衝突するのを回避できる。
【0038】
また、この弾性反発部材の作用によって、ベースは、前記移動方向とは逆方向に付勢され、その結果、ベースとともに移動する扉が開方向に向かって移動して、壁との間に所定の隙間を形成する。
【0039】
このように、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0040】
請求項12の発明では、請求項11において、スイッチ本体またはベースの少なくともいずれか一方には、扉が閉方向に移動して壁に接近したときに、アクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている。
【0041】
この場合には、扉を閉じる際に扉がさらに閉方向に移動した際、スイッチ本体または(および)ベースのストッパによりアクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを確実に防止できるので、スイッチ本体またはアクチュエータ機構が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【0042】
請求項13の発明では、請求項11において、扉または壁の少なくともいずれか一方には、扉が閉方向に移動して壁に接近したときに、当該アクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている。
【0043】
この場合には、扉を閉じる際に扉がさらに閉方向に移動した際、扉または(および)壁のストッパによりアクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを確実に防止できるので、スイッチ本体またはアクチュエータ機構が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明の第1の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構によれば、扉側にアクチュエータを設け、アクチュエータを保持するベースを扉に固定するとともに、アクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、ベースをアクチュエータに対して移動可能に設けるようにしたので、扉の閉塞時には、扉とともにベースが移動して扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入され、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われるとともに、扉の閉塞時に扉の反動で扉が開方向に移動した際、またはアクチュエータの作動後において扉がさらに壁側に移動した際には、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、ベースがアクチュエータに対して移動する。つまり、ベースは、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動し、または扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0045】
このように、扉が閉まる際の反動、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースがアクチュエータに対して移動することにより吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、また扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持でき、またはスイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。なお、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0046】
また、本発明の第2の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構によれば、扉にベースを固定するとともに、ベースをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部を設け、各支軸部の一端側にアクチュエータを取り付け、各支軸部の他端側にストッパ部材を取り付け、ベースとストッパ部材の間に弾性反発部材を介装するようにしたので、扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとき、ベースは、開方向に移動する扉とともに各支軸部に沿って移動しつつ、ストッパ部材との間で弾性反発部材の作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収できるともに、ベースがストッパ部材に急激に衝突するのを回避できる。
【0047】
このように、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0048】
さらに、本発明の第3の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構によれば、アクチュエータをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部を設け、ベースを各支軸部の一端側に取り付けるとともに扉に固定し、各支軸部の他端側にストッパ部材を取り付け、アクチュエータとストッパ部材の間に弾性反発部材を介装するようにしたので、扉の閉塞時において、スイッチ本体内部の接点の切換え後に扉がさらに閉方向に移動したとき、ベースは、閉方向に移動する扉とともに移動しつつ、アクチュエータとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材による作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できるともに、ストッパ部材がアクチュエータに急激に衝突するのを回避できる。
【0049】
このように、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、スイッチ本体内部の接点の切換え後に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチの正面図である。
【図2】図1のII-II線矢視図であって、アクチュエータ機構(図1)の側面図である。
【図3】扉閉塞時のアクチュエータ機構(図1)の作動を説明するための正面図である。
【図4】扉閉塞時のアクチュエータ機構(図1)の作動を説明するための正面図であって、扉が完全に閉まった状態を示している。
【図5】扉閉塞時のアクチュエータ機構(図1)の作動を説明するための正面図であって、扉を閉めた直後に反動で扉が開方向に移動した状態を示している。
【図5A】図5のアクチュエータ機構の側面図である。
【図6】安全スイッチ(図1)のスイッチ本体の作動を説明するための内部構造図であって、アクチュエータをスイッチ本体に挿入した直後の状態を示しており、スイッチ本体内部のカムが作動する前の状態を示している。
【図7】安全スイッチ(図1)のスイッチ本体の作動を説明するための内部構造図であって、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示している。
【図8】本発明の変形例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチの側面図であって、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示している。
【図9】図8に示す状態からさらに扉が閉方向に移動した状態を示す側面図である。
【図10】本発明の別の変形例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチの側面図であって、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示している。
【図11】図10に示す状態からさらに扉が閉方向に移動した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチを示している。同図に示すように、この安全スイッチ1は、壁Wの側に設けられたスイッチ本体2と、図示左右方向にスライド自在な扉Dの側に設けられたアクチュエータ機構3とから主として構成されており、扉Dの開閉を検知するためのスイッチである。ここでは、扉Dがスライド式のものを例にとって説明する。
【0052】
アクチュエータ機構3は、図1および図2に示すように、扉Dに固定されたベース30と、ベース30を図示左右方向にスライド自在に支持するように並設された2本のボルト(支軸部)31と、各ボルト31の一端(この例では頭部31A)側に取り付けられ、スイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2a(図6、図7参照)に対して抜き差し自在なアクチュエータ4と、各ボルト31の他端(この例ではネジ部先端)側に取り付けられたストッパプレート(ストッパ部材)32と、各ボルト31の周りに嵌合する中空のスリーブ34と、ベース30とストッパプレート32との間において各スリーブ34の周りにそれぞれ装着され、ベース30をアクチュエータ4に接近する側に付勢するようバネ力を作用させるコイルバネ(弾性反発部材)33とを備えている。
【0053】
この構成により、アクチュエータ4は、ボルト31を介してベース30に保持されており、ベース30は、アクチュエータ4から離反する方向に移動可能になっている。
【0054】
ベース30は、扉Dの主面に固定される固定板部30Aと、固定板部30Aに直交しつつ固定板部30Aから立ち上がる立板部30Bとを有する側面視L字状のL型プレートから構成されている。固定板部30Aは、複数の取付孔30aを有しており、これらの取付孔30aに挿入された取付ネジ(図示せず)を介して扉Dの主面に固定されている。立板部30Bは、各ボルト31および各スリーブ34がそれぞれ挿入される2つの貫通孔30bを有している。各貫通孔30bは、各スリーブ34をそれぞれスライド自在に支持している。
【0055】
アクチュエータ4は、ボルト31を取り付けるための取付板部4Bを有しており、取付板部4Bには、ボルト31およびスリーブ34が挿入される2つの貫通孔4bが形成されている。取付板部4Bは、ベース30の立板部30Bに対向配置されており、対応する各貫通孔4b、30bは整列している。ベース30の立板部30Bは、アクチュエータ4の取付板部4Bから離反する方向に移動可能になっている。取付板部4Bとボルト31の頭部31Aとの間には、ワッシャー35が装着されている。また、アクチュエータ4は、その先端側に押圧部40を有しており、中央部に窓孔4aを有している。
【0056】
ストッパプレート32は、ベース30の立板部30Bおよびアクチュエータ4の取付板部4Bに対して間隔を隔てて対向配置されている。ストッパプレート32には、各ボルト31が挿入される2つの貫通孔32aが形成されている。各ボルト31は、アクチュエータ4の取付板部4Bの貫通孔4b、ベース30の立板部30Bの貫通孔30b、ストッパプレート32の貫通孔32aを挿通して延びており、そのネジ部先端にはナット36が螺合している。また、ストッパプレート32を挟んで各ナット36の逆側には、緩衝ブロック(緩衝材)37がそれぞれ設けられている。この緩衝ブロック37は、扉Dが閉まる際の反動により扉Dが開方向に移動した際に、ベース30の立板部30Bに対して緩衝作用を及ぼすための部材である。ボルト31およびスリーブ34は、緩衝ブロック37を挿通している。
【0057】
この構成により、ベース30およびアクチュエータ4が各ボルト31およびストッパプレート32を介して一体化されるとともに、ストッパプレート32によって、扉Dが閉まる際の反動により扉Dが開方向に移動した際にコイルバネ33およびベース30がボルト31から抜け落ちるのが防止されている。
【0058】
扉Dの端面には、壁Wの端面との衝突を緩和するためのクッション材5が装着されている。
【0059】
一方、スイッチ本体2は、図6および図7に示すように、アクチュエータ4が挿入されるアクチュエータ挿入孔2aを有している。スイッチ本体2の内部には、アクチュエータ4により駆動される板カム20と、板カム20の作動により接点が切り換わる接点ブロック25とが設けられている。
【0060】
板カム20は、カム軸21の回りに回転自在に設けられており、第1の突起部20a、第2の突起部20bおよび第3の突起部20cを有している。接点ブロック25は、固定接点26と、固定接点26に対して接近・離反可能に設けられた可動接点27とを有している。可動接点27の取付ベース27Bには、板カム20の側に延設された操作ロッド28が設けられている。また、取付ベース27Bの背面には、取付ベース27Bを介して操作ロッド28を板カム20の側に付勢するバネ29が配設されている。
【0061】
次に、本実施例の作用効果について、図3ないし図7を参照しつつ説明する。
図3は、扉Dが開いた状態を示しており、このとき、アクチュエータ機構3のアクチュエータ4と壁W側のスイッチ本体2との間には、隙間が形成されている(図6二点鎖線参照)。
【0062】
図3に示す状態から、扉Dを少し閉めて、アクチュエータ4の先端部をスイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに挿入する。すると、図6に示すように、アクチュエータ4先端の押圧部40が板カム20の第1の突起部20aに当接する。このとき、スイッチ本体2の内部では、板カム20の第3の突起部20cが接点ブロック25の操作ロッド28の先端に圧接しており、操作ロッド28をバネ29のバネ力に抗して縮退させている。その結果、可動接点27は固定接点26から離反しており、接点はオフ状態になっている。
【0063】
次に、図4に示すように、扉Dを完全に閉めると、アクチュエータ4がさらにスイッチ本体2の内部に進入するとともに、クッション材5が壁Wの端面に当接する。このとき、スイッチ本体2の内部では、図7に示すように、アクチュエータ4の押圧部40が板カム20を図示左回りに回転させる。すると、板カム20の第3の突起部20cに圧接していた操作ロッド28の先端が第3の突起部20cから外れ、その結果、操作ロッド28が、バネ29の弾性反発力の作用により、板カム20の側に移動する。これにより、可動接点27が固定接点26に接触する。このようにして、接点がオン状態に切り換えられる。なお、アクチュエータ4の進入により回転した板カム20は、その第2の突起部20bがアクチュエータ4の窓孔4aに係合しており(図7参照)、これにより、2つの接点の接続状態が維持されている。
【0064】
次に、扉Dを閉めた直後に、扉Dが閉まる際の反動で扉Dが開方向に移動したとする。このとき、図5および図5Aに示すように、アクチュエータ機構3のベース30は、各スリーブ34に沿いつつ、開方向に移動する扉Dとともに図示右方(つまりアクチュエータ4から離反する方向)に移動する。この移動により、コイルバネ33がベース30の立板部30Bとストッパプレート32との間で圧縮され(図5、図5A参照)、その結果、ベース30の立板部30Bは、コイルバネ33から弾性反発力の作用を受ける。また、このとき、ストッパプレート32に緩衝ブロック37が設けられていることで、ベース30がストッパプレート32に急激に衝突するのが防止される。
【0065】
このようにして、扉Dの反動がアクチュエータ4に直接作用するのが防止されることで、扉Dの反動を吸収でき、これにより、スイッチ本体2の内部において、アクチュエータ4と板カム20との係合状態(図7参照)を維持でき、接点ブロック25の2つの接点のオン状態を維持できる。
【0066】
また、図5および図5Aに示すように、圧縮変形していたコイルバネ33は、ベース30の立板部30Bに対して弾性反発力を作用させ、これにより、ベース30は、各スリーブ34に沿って図5および図5A左方に付勢され、その結果、ベース30とともに移動する扉Dが閉方向に向かって移動することにより、扉Dが閉じられる。
【0067】
このような本実施例によれば、扉Dが閉まる際の反動をベース30の各スリーブ34に沿った移動およびコイルバネ33の圧縮変形により吸収できるので、扉Dが反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータ4はスイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体2の内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体2の内部にロック装置が設けられている場合でも、扉Dが閉まる際の反動をベース30の各スリーブ34に沿った移動により吸収できることで、スイッチ本体2の内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0068】
また、この場合には、各ボルト31の長さを変えることにより、扉Dが閉まる際の反動でベース30がアクチュエータ4から離反する側に移動する際の移動量を調整できる。さらに、この場合において、ナット36の締込み量を適宜調整しておくことで、コイルバネ33が装着されるボルト部分の長さを調整でき、これにより、扉Dが閉まる際の反動でベース30がアクチュエータ4から離反する側に移動する際の移動量を微調整できるようになり、その結果、個々の扉の反動に応じた細やかな調整が可能になる。また、ナット36を締め込むことでコイルバネ33に予め初期撓みを与えておくことにより、扉Dが反動で開方向に移動した際に、コイルバネ33がより大きな弾性反発力を作用できるようになる。
【0069】
前記実施例では、アクチュエータ機構3のベース30をスライド自在に支持する支軸部として、2本のボルト31を設けた例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。支軸部としてのボルトは、1本でもよく、または3本以上並設するようにしてもよい。
【0070】
前記実施例では、各ボルト31にスリーブ34が嵌合している例を示したが、スリーブ34は省略することも可能である。この場合、ベース30の立板部30Bの貫通孔30bが摺動するボルト部分には、ネジ部を形成しないようにするのが好ましい。
【0071】
前記実施例では、弾性反発部材として、各ボルト31にそれぞれ単一のコイルバネ33を用いた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、小径および大径の2種類のコイルバネからなる組合せバネを各ボルト31に装着するようにしてもよい。また、ボルト31の直径や長さに応じて、コイルバネ33の直径や長さ、線径を変えることにより、コイルバネの弾性反発力(または付勢力)を適宜調整するようにしてもよい。さらに、コイルバネの代わりに、反発係数の大きな素材(ラバー、エラストマー、発泡材等)からなる弾性ブロックを用いるようにしてもよい。あるいは、小型のショックアブソーバー(油圧式、空圧式等)を採用するようにしてもよい。
【0072】
前記実施例では、コイルバネ33がベース30およびストッパプレート32間に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。コイルバネ33は、ベース30およびアクチュエータ4間に設けるようにしてもよい。この場合、コイルバネ33の一端はアクチュエータ4の取付板部4Bに係止されかつ他端はベース30の立板部30Bに係止されているのが好ましい。この場合、扉Dが閉まる際の反動でベース30がアクチュエータ4から離反するとき、コイルバネ33は引張弾性変形し、この引張弾性変形にともなう弾性復元力がベース30に作用することになる。あるいは、コイルバネ33は、ベース30およびストッパプレート32間、ならびにベース30およびアクチュエータ4間の双方に設けるようにしてもよい。
【0073】
前記実施例では、ベース30を側面視L字状に形成することで、各ボルト31が挿通する立板部30Bをベース30の一端に一つ設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ベース30は、立板部30Bが中央に一つ形成された側面視逆T字形状に形成するようにしてもよい。また、ベース30を側面視U字状に形成することで、ベース30に2つの立板部を設けるようにしてもよい。この場合には、各ボルト31を扉Dの主面に対して容易に平行に支持できるようになる。さらに、ベース30は、ボルト配設方向に厚みを有するブロック状の部材から構成するようにしてもよい。
【0074】
前記実施例では、クッション材5を扉Dの側に設けた例を示したが、クッション材は壁Wの側に設けるようにしてもよい。
【0075】
<変形例>
図8および図9は、本発明の変形例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチを示している。図8は、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示しており、図9は、図8に示す状態からさらに扉が閉方向に移動した状態を示している。なお、これらの図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0076】
この変形例が前記実施例と大きく異なっているのは、アクチュエータ4とベース30のボルト31上の位置関係が前記実施例に示す位置関係とは逆になっている点である。
【0077】
すなわち、図8に示すように、アクチュエータ機構3は、扉Dに固定された側面視L字状のベース30を有し、ベース30の立板部30Bは、並設された2本のボルト(支軸部)31の一端(この例では頭部31A)側に取り付けられている。各ボルト31には、アクチュエータ4の取付板部4Bが図示左右方向にスライド自在に支持されている。各ボルト31の他端(この例ではネジ部先端)側には、ストッパプレート(ストッパ部材)32が取り付けられている。各ボルト31の周りには、中空のスリーブ34が嵌合しており、アクチュエータ4の取付板部4Bとストッパプレート32との間において各スリーブ34の周りには、アクチュエータ4の取付板部4Bをベース30の立板部30Bに接近する側に付勢するようバネ力を作用させるコイルバネ(弾性反発部材)33がそれぞれ装着されている。
【0078】
この構成により、アクチュエータ4は、ボルト31を介してベース30に保持されており、ベース30の立板部30Bは、アクチュエータ4の取付板部4Bから離反する方向に移動可能になっている。別の言い方をすれば、ベース30は、アクチュエータ4の先端部に接近する方向に移動可能になっている。なお、スイッチ本体2の端面およびベース30の立板部30Bの側面には、扉Dが閉方向に移動して壁Wに接近したときに、アクチュエータ機構3のボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に衝突するのを防止するストッパ6がそれぞれ装着されている。また、ストッパ6は、スイッチ本体2の端面またはベース30の立板部30Bの側面のいずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0079】
次に、この変形例の作用効果について、図8および図9を参照しつつ説明する。
扉Dを閉めることで、図8に示すように、アクチュエータ4がスイッチ本体2に挿入されると、スイッチ本体内部のカムが作動して接点が切り換えられる(図7参照)。この状態においては、扉Dと壁Wの間、および相対する各ストッパ6の間には、所定の隙間が形成されている。
【0080】
この状態から、扉Dがさらに閉方向に移動したとする。このとき、図9に示すように、ベース30は、アクチュエータ4がスイッチ本体2内部に挿入された状態を維持しつつ、ベース30の立板部30Bは、アクチュエータ4の取付板部4Bから離れる側に向かって扉Dとともに扉Dの閉方向(図示左方)に移動する。この移動により、コイルバネ33がアクチュエータ4の立板部4Bとストッパプレート32との間で圧縮され(図9参照)、その結果、ベース30は、コイルバネ33から弾性反発力の作用を受ける。これにより、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0081】
また、このとき、ボルト31の先端側において、ストッパプレート32とコイルバネ33の間には緩衝ブロック37が設けられているので、扉Dの移動によりアクチュエータ4の立板部4Bが急速にストッパプレート32の側に移動した場合でも、立板部4Bの衝撃荷重を緩衝ブロック37による緩衝作用により吸収できる。
【0082】
図9に示す例では、ベース30側のストッパ6がスイッチ本体2側のストッパ6に当接した状態が示されている。また、この状態において、ボルト31の頭部31Aとスイッチ本体2の端面との間には、依然として隙間が形成されている。
【0083】
これにより、アクチュエータ4がスイッチ本体2内部に挿入された状態で、扉Dがさらに閉方向に移動した際に、ボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に衝突するのを確実に防止でき、その結果、スイッチ本体2または(および)アクチュエータ機構3が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【0084】
なお、ストッパ6は必須の部材ではなく、省略することも可能である。この場合には、ボルト31に設けられたコイルバネ33の収縮による弾性反発力の作用および緩衝ブロック37による緩衝作用によって、ボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に及ぼす衝撃荷重を軽減できる。
【0085】
このようにして、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動がアクチュエータ4に直接作用するのが防止されることで、扉Dの閉方向を吸収でき、これにより、スイッチ本体2の内部において、アクチュエータ4と板カム20との係合状態(図7参照)を維持でき、接点ブロック25の2つの接点のオン状態を維持できる。
【0086】
また、図9に示すように、圧縮変形していたコイルバネ33は、ボルト31のストッパプレート32に対して弾性反発力を作用させ、これにより、ベース30は、図9右方に付勢され、その結果、ベース30とともに移動する扉Dが開方向に向かって移動することにより、扉Dは、壁Wのストッパ6との間に所定の隙間が形成された状態に戻る(図8参照)。
【0087】
このような変形例によれば、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動をベース30の移動およびコイルバネ33の圧縮変形により吸収できるので、扉Dが閉まる際に扉Dがさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータ4はスイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体2の内部にロック装置が設けられている場合でも、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動をベース30の移動により吸収できることで、スイッチ本体2の内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0088】
また、この場合には、各ボルト31の長さを変えることにより、扉Dが閉まる際に扉Dがさらに閉方向に移動する際の移動量を調整できる。さらに、この場合において、ナット36の締込み量を適宜調整しておくことで、コイルバネ33が装着されるボルト部分の長さを調整でき、これにより、扉Dの閉方向への移動量を微調整できるようになり、その結果、個々の扉の慣性に応じた細やかな調整が可能になる。また、ナット36を締め込むことでコイルバネ33に予め初期撓みを与えておくことにより、扉Dが閉方向に移動した際に、コイルバネ33がより大きな弾性反発力を作用できるようになる。
【0089】
なお、アクチュエータ機構3のベース30をスライド自在に支持する支軸部としては、2本のボルト31には限定されず、支軸部としてのボルトは、1本でもよく、または3本以上並設するようにしてもよい。
【0090】
また、各ボルト31に嵌合しているスリーブ34は省略することも可能である。この場合、アクチュエータ4の取付板部4Bの貫通孔4bが摺動するボルト部分には、ネジ部を形成しないようにするのが好ましい。
【0091】
各ボルト31に設けられる弾性反発部材としては、単一のコイルバネ33には限定されない。例えば、小径および大径の2種類のコイルバネからなる組合せバネを各ボルト31に装着するようにしてもよい。また、ボルト31の直径や長さに応じて、コイルバネ33の直径や長さ、線径を変えることにより、コイルバネの弾性反発力(または付勢力)を適宜調整するようにしてもよい。さらに、コイルバネの代わりに、反発係数の大きな素材(ラバー、エラストマー、発泡材等)からなる弾性ブロックを用いるようにしてもよい。あるいは、小型のショックアブソーバー(油圧式、空圧式等)を採用するようにしてもよい。
【0092】
コイルバネ33は、アクチュエータ4の取付板部4Bおよびストッパプレート32間に設けられる場合に限定されない。コイルバネ33は、ベース30の立板部30Bとアクチュエータ4の取付板部4Bとの間に設けるようにしてもよい。この場合、コイルバネ33の一端はベース30の立板部30Bに係止されかつ他端はアクチュエータ4の取付板部4Bに係止されているのが好ましい。この場合、扉Dが閉まる際に扉Dがさらに閉方向に移動するとき、コイルバネ33は引張弾性変形し、この引張弾性変形にともなう弾性復元力がベース30に作用することになる。あるいは、コイルバネ33は、アクチュエータ4の取付板部4Bとストッパプレート32との間、ならびにベース30の立板部30Bとアクチュエータ4の取付板部4Bとの間の双方に設けるようにしてもよい。
【0093】
ベース30の形状は、側面視L字状に限定されない。ベース30は、立板部30Bが中央に一つ形成された側面視逆T字形状に形成するようにしてもよい。また、ベース30を側面視U字状に形成することで、ベース30に2つの立板部を設けるようにしてもよい。この場合には、各ボルト31を扉Dの主面に対して容易に平行に支持できるようになる。さらに、ベース30は、ボルト配設方向に厚みを有するブロック状の部材から構成するようにしてもよい。
【0094】
前記変形例では、スイッチ本体2の端面に設けたストッパ6に対しては、ベース30の立板部30Bの側面に設けたストッパ6が、またはベース30の立板部30Bが直接当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。スイッチ本体2の端面のストッパ6に対しては、扉Dの端面(または扉Dの端面に設けられたストッパ6)が、あるいは扉Dの端面(または扉Dの端面に設けられたストッパ6)と立板部30Bの側面(または立板部30Bの側面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0095】
同様に、前記変形例では、ベース30の立板部30Bの側面に設けたストッパ6に対しては、スイッチ本体2の端面に設けたストッパ6が、またはスイッチ本体2の端面が直接当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ベース30の立板部30Bの側面のストッパ6に対しては、壁Wの端面(または壁Wの端面に設けられたストッパ6)が、あるいは壁Wの端面(または壁Wの端面に設けられたストッパ6)とスイッチ本体2の端面(またはスイッチ本体2の端面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0096】
前記変形例では、スイッチ本体2の端面および(または)ベース30の立板部30Bにストッパ6を設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図10および図11に示すように、ストッパ6は、壁Wの端面に設けるようにしてもよい。なお、図10は前記変形例の図8に相当する図面であり、図11は前記変形例の図9に相当する図面である。
【0097】
この場合においても、前記変形例と同様に、アクチュエータ4がスイッチ本体2内部に挿入された状態で、扉Dがさらに閉方向に移動した際、ボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に衝突するのを確実に防止でき(図11参照)、これにより、スイッチ本体2または(および)アクチュエータ機構3が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【0098】
なお、ストッパ6は、扉Dの端面、または扉Dおよび壁Wの双方の端面に設けるようにしてもよい。
【0099】
また、図10および図11に示す例では、壁Wの端面に設けたストッパ6に対しては、扉Dの端面が直接、または扉Dの端面に設けたストッパ6が当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。壁Wの端面のストッパ6に対しては、立板部30Bの側面(または立板部30Bの側面に設けられたストッパ6)が、あるいは立板部30Bの側面(または立板部30Bの側面に設けられたストッパ6)と扉Dの端面(または壁Dの端面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0100】
同様に、図10および図11に示す例では、扉Dの端面に設けたストッパ6に対しては、壁Wの端面が直接、または壁Wの端面に設けたストッパ6が当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。扉Dの端面のストッパ6に対しては、スイッチ本体2の端面(またはスイッチ本体2の端面に設けられたストッパ6)が、あるいはスイッチ本体2の端面(またはスイッチ本体2の端面に設けられたストッパ6)と壁Wの端面(または壁Wの端面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0101】
前記実施例および前記変形例では、スライド式の扉を例にとって説明したが、本発明は、回動式のドアにも同様に適用可能である。この場合、アクチュエータは、ドアの回動方向に対して接線方向に抜き差し自在に設けるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、安全スイッチに好適であり、とくに、扉が閉まる際の反動が大きな扉や慣性が大きい扉に適している。
【符号の説明】
【0103】
1: 安全スイッチ
2: スイッチ本体
2a: アクチュエータ挿入孔
3: アクチュエータ機構
30: ベース
30A: 固定板部
30B: 立板部
30b: 貫通孔
31: ボルト(支軸部)
32: ストッパプレート(ストッパ部材)
33: コイルバネ(弾性反発部材)
36: ナット
37: 緩衝ブロック(緩衝材)
4: アクチュエータ
4B: 取付板部
4b: 貫通孔
6: ストッパ
D: 扉
W: 壁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開平10−302580号公報(図1参照)
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の開閉部分において壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側の安全スイッチ用アクチュエータ機構に関し、詳細には、扉が閉まる際の反動による扉の開方向への移動を吸収でき、またはアクチュエータの作動後さらに扉が閉まろうとする際の扉の閉方向への移動を吸収できるようにするためのアクチュエータ機構の構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工場内において、自動運転される産業用機械が設置された危険区域内の出入り口には、扉の開閉状態に応じてオン、オフする安全スイッチが設けられている。
【0003】
従来の安全スイッチは、特開平10−302580号公報の図1に示すように、壁側に固定されるスイッチ本体(101)と、扉側に固定され、スイッチ本体(101)の挿入孔(101a、101b)に挿入されるアクチュエータ(102)とから主として構成されている。
【0004】
この場合、扉の閉塞時にアクチュエータ(102)がスイッチ本体(101)の挿入孔(101a、101b)に挿入されると、スイッチ本体(101)に内蔵された接点ブロックの接点が切り換わって、機械が駆動可能な状態におかれるとともに、アクチュエータ(102)がスイッチ本体(101)の挿入孔(101a、101b)から抜けると、スイッチ本体(101)内部の接点ブロックの接点が元の状態に戻って、機械への電源供給がオフにされる。このようにして、扉の閉塞時に限り、機械の駆動が許可されるようになっている。また、安全性を一層向上させるために、扉の閉塞状態をロックするロック装置が設けられた安全スイッチも提供されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、扉の移動速度が速かったり、扉や壁にクッション材が設けられたりしている場合には、扉が閉まる際の反動によって扉がバウンドして開方向に移動することがある。このとき、ロック装置のない安全スイッチの場合には、扉の開方向への移動によってアクチュエータがスイッチ本体から外れることにより、スイッチ本体内部で一旦オン状態にされた接点が再びオフ状態に戻ることになる。その場合、操作者が扉を再び閉め直す必要があるため、操作者にとって負担である。また、ロック装置のある安全スイッチの場合には、扉が開方向に移動した際に、ロック装置に無理な力が作用してロック装置が破損する恐れがある。
【0006】
その一方、扉の閉塞時に扉と壁との間に隙間が形成されるような仕様の場合、扉を急速に閉めた際に、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部の接点が切り換わった後(つまりアクチュエータの作動後)においても、扉がさらに壁に向かって移動しようとする。このとき、スイッチ本体内部の接点には、扉の慣性による大きな衝撃力が作用し、その結果、スイッチ本体内部の機構が破損する恐れがある。
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、扉を閉塞する際の扉の移動に起因した、スイッチ本体内部の接点の切り換わりやスイッチ本体内部の機構の破損を防止できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供することにある。具体的には、本発明は、扉が閉まる際の反動による扉の開方向への移動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉の閉方向への移動を吸収できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供することにある。また、本発明は、扉が閉まる際の反動による扉の開方向移動に起因して、安全スイッチの接点が切り換わるのを防止でき、または扉が閉まる際の扉の閉方向移動に起因して、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供しようとしている。さらに、本発明は、扉が閉まる際の反動による扉の開方向移動、または扉が閉まる際の扉の閉方向移動に起因した、ロック機構の破損を防止できる安全スイッチ用アクチュエータ機構を提供しようとしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構は、扉側に設けられ、スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、扉に固定され、アクチュエータを保持するベースとを備えている。ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された後に当該挿入状態を維持しつつ、アクチュエータに対して移動可能に設けられている。
【0009】
請求項1の発明においては、扉の閉塞時には、扉とともにベースが移動して、扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されることにより、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われる。
【0010】
この扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとする。または、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部の接点が切り換わった後(つまりアクチュエータの作動後)において、扉がさらに壁に向かって移動したとする。このとき、ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、アクチュエータに対して移動する。つまり、ベースは、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動し(請求項2参照)、または扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する(請求項4参照)。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0011】
このように、扉が閉まる際の反動、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースがアクチュエータに対して移動することにより吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、また扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持でき、またはスイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。なお、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0012】
請求項2の発明では、請求項1において、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態で、ベースがアクチュエータに対して移動可能な方向は、アクチュエータから離反する方向である。
【0013】
この場合には、扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとする。このとき、ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動する。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収できる。
【0014】
このように、扉が閉まる際の反動をベースがアクチュエータから離反する側への移動により吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2において、ベースがアクチュエータから離反する際には、ベースがアクチュエータに接近する側に付勢されている。
【0016】
この場合には、扉が閉まる際の反動でベースがアクチュエータから離反する方向に移動するとき、ベースには、アクチュエータ側に接近する方向の付勢力が作用するので、ベースは当該付勢力に抗して移動することになる。これにより、扉が閉まる際の反動をより効果的に吸収できる。
【0017】
請求項4の発明では、請求項1において、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態で、ベースがアクチュエータに対して移動可能な方向は、アクチュエータに接近する方向である。
【0018】
この場合には、扉の閉塞時において、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部の接点が切り換わった後(つまりアクチュエータの作動後)において、扉がさらに壁に向かって移動したとする。このとき、ベースは、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する。これにより、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0019】
このように、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を、ベースがアクチュエータに接近する側への移動により吸収できるので、扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0020】
請求項5の発明では、請求項4において、ベースがアクチュエータに接近する際には、ベースがアクチュエータから離反する側に付勢されている。
【0021】
この場合には、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動時にベースがアクチュエータに接近する方向に移動するとき、ベースには、アクチュエータから離反する側への付勢力が作用するので、ベースは当該付勢力に抗して移動することになる。これにより、扉が閉まる際の扉の移動をより効果的に吸収できる。
【0022】
請求項6の発明では、請求項3または5において、ベースに対する付勢力が調整可能になっている。
【0023】
この場合には、ベースに対する付勢力を適宜調整することで、扉が閉まる際の反動または扉が閉まる際の扉の閉方向への移動に対する吸収特性を調整できる。
【0024】
請求項7の発明では、請求項1において、ベースが、扉の移動方向に配設された支軸部に保持されている。
【0025】
この場合には、ベースを保持する支軸部が扉の移動方向に配設されていることにより、ベースが、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動する際、または扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する際には、ベースは支軸部に沿ってスムーズに移動を行える。
【0026】
請求項8の発明では、請求項1において、ベースのアクチュエータに対する移動量を調整する調整手段が設けられている。
【0027】
この場合には、扉が閉まる際の反動でベースがアクチュエータから離反する側に移動する際の移動量、または扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動することでベースがアクチュエータに接近する側に移動する際の移動量を調整手段により調整できるようになり、これにより、個々の扉の反動、または個々の扉の閉方向へのさらなる移動に応じた細やかな調整が可能になる。
【0028】
請求項9の発明では、請求項1において、ベースがアクチュエータに対して移動する際にベースまたはアクチュエータに対して緩衝作用を及ぼす緩衝材が設けられている。
【0029】
この場合には、扉の閉塞時に扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動して、ベースがアクチュエータから離反する方向に移動するとき、または扉の閉塞時に扉がさらに閉方向に移動して、ベースがアクチュエータに接近する方向に移動するとき、緩衝材がベースまたはアクチュエータに対して緩衝作用を及ぼすので、扉が閉まる際の反動、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を確実に吸収できるともに、ベースが急激に停止するのを防止できる。
【0030】
請求項10の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構は、扉に固定されるベースと、ベースをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、各支軸部の一端側に取り付けられ、スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、ベースとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材とを備えている。
【0031】
請求項10の発明においては、扉の閉塞時には、扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されることにより、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われる。
【0032】
この扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとする。このとき、ベースは、開方向に移動する扉とともに各支軸部に沿って移動しつつ、ストッパ部材との間で弾性反発部材の作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収できるともに、ベースがストッパ部材に急激に衝突するのを回避できる。
【0033】
また、この弾性反発部材の作用によって、ベースは、各支軸部に沿って前記移動方向とは逆方向に付勢され、その結果、ベースとともに移動する扉が閉方向に向かって移動することにより、扉が閉じられる。
【0034】
このように、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0035】
請求項11の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構は、スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、アクチュエータをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、各支軸部の一端側に取り付けられるとともに、扉に固定されるベースと、各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、アクチュエータとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材とを備えている。
【0036】
請求項11の発明においては、扉の閉塞時には、扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されることにより、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われる。
【0037】
この扉の閉塞時において、スイッチ本体内部の接点の切換え後、扉がさらに閉方向に移動したとする。このとき、ベースは、閉方向に移動する扉とともに移動しつつ、アクチュエータとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材による作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できるともに、ストッパ部材がアクチュエータに急激に衝突するのを回避できる。
【0038】
また、この弾性反発部材の作用によって、ベースは、前記移動方向とは逆方向に付勢され、その結果、ベースとともに移動する扉が開方向に向かって移動して、壁との間に所定の隙間を形成する。
【0039】
このように、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0040】
請求項12の発明では、請求項11において、スイッチ本体またはベースの少なくともいずれか一方には、扉が閉方向に移動して壁に接近したときに、アクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている。
【0041】
この場合には、扉を閉じる際に扉がさらに閉方向に移動した際、スイッチ本体または(および)ベースのストッパによりアクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを確実に防止できるので、スイッチ本体またはアクチュエータ機構が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【0042】
請求項13の発明では、請求項11において、扉または壁の少なくともいずれか一方には、扉が閉方向に移動して壁に接近したときに、当該アクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている。
【0043】
この場合には、扉を閉じる際に扉がさらに閉方向に移動した際、扉または(および)壁のストッパによりアクチュエータ機構がスイッチ本体に衝突するのを確実に防止できるので、スイッチ本体またはアクチュエータ機構が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【発明の効果】
【0044】
以上のように、本発明の第1の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構によれば、扉側にアクチュエータを設け、アクチュエータを保持するベースを扉に固定するとともに、アクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、ベースをアクチュエータに対して移動可能に設けるようにしたので、扉の閉塞時には、扉とともにベースが移動して扉側のアクチュエータが壁側のスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入され、スイッチ本体内部の接点の切換えが行われるとともに、扉の閉塞時に扉の反動で扉が開方向に移動した際、またはアクチュエータの作動後において扉がさらに壁側に移動した際には、アクチュエータがアクチュエータ挿入孔に挿入された状態を維持しつつ、ベースがアクチュエータに対して移動する。つまり、ベースは、扉とともにアクチュエータから離反する方向に移動し、または扉とともにアクチュエータに接近する方向に移動する。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収でき、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0045】
このように、扉が閉まる際の反動、または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースがアクチュエータに対して移動することにより吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、また扉が閉まる際に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持でき、またはスイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。なお、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動または扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0046】
また、本発明の第2の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構によれば、扉にベースを固定するとともに、ベースをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部を設け、各支軸部の一端側にアクチュエータを取り付け、各支軸部の他端側にストッパ部材を取り付け、ベースとストッパ部材の間に弾性反発部材を介装するようにしたので、扉の閉塞時において、扉が閉まる際の反動で扉が開方向に移動したとき、ベースは、開方向に移動する扉とともに各支軸部に沿って移動しつつ、ストッパ部材との間で弾性反発部材の作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の反動を吸収できるともに、ベースがストッパ部材に急激に衝突するのを回避できる。
【0047】
このように、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、扉が反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の反動をベースの各支軸部に沿った移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0048】
さらに、本発明の第3の発明に係る安全スイッチ用アクチュエータ機構によれば、アクチュエータをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部を設け、ベースを各支軸部の一端側に取り付けるとともに扉に固定し、各支軸部の他端側にストッパ部材を取り付け、アクチュエータとストッパ部材の間に弾性反発部材を介装するようにしたので、扉の閉塞時において、スイッチ本体内部の接点の切換え後に扉がさらに閉方向に移動したとき、ベースは、閉方向に移動する扉とともに移動しつつ、アクチュエータとストッパ部材の間に介装された弾性反発部材による作用を受ける。これにより、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動を吸収できるともに、ストッパ部材がアクチュエータに急激に衝突するのを回避できる。
【0049】
このように、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動および弾性反発部材の作用により吸収できるので、スイッチ本体内部の接点の切換え後に扉がさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータはスイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体内部にロック装置が設けられている場合でも、扉が閉まる際の扉のさらなる閉方向への移動をベースの移動により吸収できることで、スイッチ本体内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチの正面図である。
【図2】図1のII-II線矢視図であって、アクチュエータ機構(図1)の側面図である。
【図3】扉閉塞時のアクチュエータ機構(図1)の作動を説明するための正面図である。
【図4】扉閉塞時のアクチュエータ機構(図1)の作動を説明するための正面図であって、扉が完全に閉まった状態を示している。
【図5】扉閉塞時のアクチュエータ機構(図1)の作動を説明するための正面図であって、扉を閉めた直後に反動で扉が開方向に移動した状態を示している。
【図5A】図5のアクチュエータ機構の側面図である。
【図6】安全スイッチ(図1)のスイッチ本体の作動を説明するための内部構造図であって、アクチュエータをスイッチ本体に挿入した直後の状態を示しており、スイッチ本体内部のカムが作動する前の状態を示している。
【図7】安全スイッチ(図1)のスイッチ本体の作動を説明するための内部構造図であって、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示している。
【図8】本発明の変形例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチの側面図であって、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示している。
【図9】図8に示す状態からさらに扉が閉方向に移動した状態を示す側面図である。
【図10】本発明の別の変形例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチの側面図であって、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示している。
【図11】図10に示す状態からさらに扉が閉方向に移動した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチを示している。同図に示すように、この安全スイッチ1は、壁Wの側に設けられたスイッチ本体2と、図示左右方向にスライド自在な扉Dの側に設けられたアクチュエータ機構3とから主として構成されており、扉Dの開閉を検知するためのスイッチである。ここでは、扉Dがスライド式のものを例にとって説明する。
【0052】
アクチュエータ機構3は、図1および図2に示すように、扉Dに固定されたベース30と、ベース30を図示左右方向にスライド自在に支持するように並設された2本のボルト(支軸部)31と、各ボルト31の一端(この例では頭部31A)側に取り付けられ、スイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2a(図6、図7参照)に対して抜き差し自在なアクチュエータ4と、各ボルト31の他端(この例ではネジ部先端)側に取り付けられたストッパプレート(ストッパ部材)32と、各ボルト31の周りに嵌合する中空のスリーブ34と、ベース30とストッパプレート32との間において各スリーブ34の周りにそれぞれ装着され、ベース30をアクチュエータ4に接近する側に付勢するようバネ力を作用させるコイルバネ(弾性反発部材)33とを備えている。
【0053】
この構成により、アクチュエータ4は、ボルト31を介してベース30に保持されており、ベース30は、アクチュエータ4から離反する方向に移動可能になっている。
【0054】
ベース30は、扉Dの主面に固定される固定板部30Aと、固定板部30Aに直交しつつ固定板部30Aから立ち上がる立板部30Bとを有する側面視L字状のL型プレートから構成されている。固定板部30Aは、複数の取付孔30aを有しており、これらの取付孔30aに挿入された取付ネジ(図示せず)を介して扉Dの主面に固定されている。立板部30Bは、各ボルト31および各スリーブ34がそれぞれ挿入される2つの貫通孔30bを有している。各貫通孔30bは、各スリーブ34をそれぞれスライド自在に支持している。
【0055】
アクチュエータ4は、ボルト31を取り付けるための取付板部4Bを有しており、取付板部4Bには、ボルト31およびスリーブ34が挿入される2つの貫通孔4bが形成されている。取付板部4Bは、ベース30の立板部30Bに対向配置されており、対応する各貫通孔4b、30bは整列している。ベース30の立板部30Bは、アクチュエータ4の取付板部4Bから離反する方向に移動可能になっている。取付板部4Bとボルト31の頭部31Aとの間には、ワッシャー35が装着されている。また、アクチュエータ4は、その先端側に押圧部40を有しており、中央部に窓孔4aを有している。
【0056】
ストッパプレート32は、ベース30の立板部30Bおよびアクチュエータ4の取付板部4Bに対して間隔を隔てて対向配置されている。ストッパプレート32には、各ボルト31が挿入される2つの貫通孔32aが形成されている。各ボルト31は、アクチュエータ4の取付板部4Bの貫通孔4b、ベース30の立板部30Bの貫通孔30b、ストッパプレート32の貫通孔32aを挿通して延びており、そのネジ部先端にはナット36が螺合している。また、ストッパプレート32を挟んで各ナット36の逆側には、緩衝ブロック(緩衝材)37がそれぞれ設けられている。この緩衝ブロック37は、扉Dが閉まる際の反動により扉Dが開方向に移動した際に、ベース30の立板部30Bに対して緩衝作用を及ぼすための部材である。ボルト31およびスリーブ34は、緩衝ブロック37を挿通している。
【0057】
この構成により、ベース30およびアクチュエータ4が各ボルト31およびストッパプレート32を介して一体化されるとともに、ストッパプレート32によって、扉Dが閉まる際の反動により扉Dが開方向に移動した際にコイルバネ33およびベース30がボルト31から抜け落ちるのが防止されている。
【0058】
扉Dの端面には、壁Wの端面との衝突を緩和するためのクッション材5が装着されている。
【0059】
一方、スイッチ本体2は、図6および図7に示すように、アクチュエータ4が挿入されるアクチュエータ挿入孔2aを有している。スイッチ本体2の内部には、アクチュエータ4により駆動される板カム20と、板カム20の作動により接点が切り換わる接点ブロック25とが設けられている。
【0060】
板カム20は、カム軸21の回りに回転自在に設けられており、第1の突起部20a、第2の突起部20bおよび第3の突起部20cを有している。接点ブロック25は、固定接点26と、固定接点26に対して接近・離反可能に設けられた可動接点27とを有している。可動接点27の取付ベース27Bには、板カム20の側に延設された操作ロッド28が設けられている。また、取付ベース27Bの背面には、取付ベース27Bを介して操作ロッド28を板カム20の側に付勢するバネ29が配設されている。
【0061】
次に、本実施例の作用効果について、図3ないし図7を参照しつつ説明する。
図3は、扉Dが開いた状態を示しており、このとき、アクチュエータ機構3のアクチュエータ4と壁W側のスイッチ本体2との間には、隙間が形成されている(図6二点鎖線参照)。
【0062】
図3に示す状態から、扉Dを少し閉めて、アクチュエータ4の先端部をスイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに挿入する。すると、図6に示すように、アクチュエータ4先端の押圧部40が板カム20の第1の突起部20aに当接する。このとき、スイッチ本体2の内部では、板カム20の第3の突起部20cが接点ブロック25の操作ロッド28の先端に圧接しており、操作ロッド28をバネ29のバネ力に抗して縮退させている。その結果、可動接点27は固定接点26から離反しており、接点はオフ状態になっている。
【0063】
次に、図4に示すように、扉Dを完全に閉めると、アクチュエータ4がさらにスイッチ本体2の内部に進入するとともに、クッション材5が壁Wの端面に当接する。このとき、スイッチ本体2の内部では、図7に示すように、アクチュエータ4の押圧部40が板カム20を図示左回りに回転させる。すると、板カム20の第3の突起部20cに圧接していた操作ロッド28の先端が第3の突起部20cから外れ、その結果、操作ロッド28が、バネ29の弾性反発力の作用により、板カム20の側に移動する。これにより、可動接点27が固定接点26に接触する。このようにして、接点がオン状態に切り換えられる。なお、アクチュエータ4の進入により回転した板カム20は、その第2の突起部20bがアクチュエータ4の窓孔4aに係合しており(図7参照)、これにより、2つの接点の接続状態が維持されている。
【0064】
次に、扉Dを閉めた直後に、扉Dが閉まる際の反動で扉Dが開方向に移動したとする。このとき、図5および図5Aに示すように、アクチュエータ機構3のベース30は、各スリーブ34に沿いつつ、開方向に移動する扉Dとともに図示右方(つまりアクチュエータ4から離反する方向)に移動する。この移動により、コイルバネ33がベース30の立板部30Bとストッパプレート32との間で圧縮され(図5、図5A参照)、その結果、ベース30の立板部30Bは、コイルバネ33から弾性反発力の作用を受ける。また、このとき、ストッパプレート32に緩衝ブロック37が設けられていることで、ベース30がストッパプレート32に急激に衝突するのが防止される。
【0065】
このようにして、扉Dの反動がアクチュエータ4に直接作用するのが防止されることで、扉Dの反動を吸収でき、これにより、スイッチ本体2の内部において、アクチュエータ4と板カム20との係合状態(図7参照)を維持でき、接点ブロック25の2つの接点のオン状態を維持できる。
【0066】
また、図5および図5Aに示すように、圧縮変形していたコイルバネ33は、ベース30の立板部30Bに対して弾性反発力を作用させ、これにより、ベース30は、各スリーブ34に沿って図5および図5A左方に付勢され、その結果、ベース30とともに移動する扉Dが閉方向に向かって移動することにより、扉Dが閉じられる。
【0067】
このような本実施例によれば、扉Dが閉まる際の反動をベース30の各スリーブ34に沿った移動およびコイルバネ33の圧縮変形により吸収できるので、扉Dが反動で開方向に移動した場合でも、アクチュエータ4はスイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体2の内部の接点のオン状態を維持できる。また、このとき、スイッチ本体2の内部にロック装置が設けられている場合でも、扉Dが閉まる際の反動をベース30の各スリーブ34に沿った移動により吸収できることで、スイッチ本体2の内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0068】
また、この場合には、各ボルト31の長さを変えることにより、扉Dが閉まる際の反動でベース30がアクチュエータ4から離反する側に移動する際の移動量を調整できる。さらに、この場合において、ナット36の締込み量を適宜調整しておくことで、コイルバネ33が装着されるボルト部分の長さを調整でき、これにより、扉Dが閉まる際の反動でベース30がアクチュエータ4から離反する側に移動する際の移動量を微調整できるようになり、その結果、個々の扉の反動に応じた細やかな調整が可能になる。また、ナット36を締め込むことでコイルバネ33に予め初期撓みを与えておくことにより、扉Dが反動で開方向に移動した際に、コイルバネ33がより大きな弾性反発力を作用できるようになる。
【0069】
前記実施例では、アクチュエータ機構3のベース30をスライド自在に支持する支軸部として、2本のボルト31を設けた例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。支軸部としてのボルトは、1本でもよく、または3本以上並設するようにしてもよい。
【0070】
前記実施例では、各ボルト31にスリーブ34が嵌合している例を示したが、スリーブ34は省略することも可能である。この場合、ベース30の立板部30Bの貫通孔30bが摺動するボルト部分には、ネジ部を形成しないようにするのが好ましい。
【0071】
前記実施例では、弾性反発部材として、各ボルト31にそれぞれ単一のコイルバネ33を用いた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。例えば、小径および大径の2種類のコイルバネからなる組合せバネを各ボルト31に装着するようにしてもよい。また、ボルト31の直径や長さに応じて、コイルバネ33の直径や長さ、線径を変えることにより、コイルバネの弾性反発力(または付勢力)を適宜調整するようにしてもよい。さらに、コイルバネの代わりに、反発係数の大きな素材(ラバー、エラストマー、発泡材等)からなる弾性ブロックを用いるようにしてもよい。あるいは、小型のショックアブソーバー(油圧式、空圧式等)を採用するようにしてもよい。
【0072】
前記実施例では、コイルバネ33がベース30およびストッパプレート32間に設けられた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。コイルバネ33は、ベース30およびアクチュエータ4間に設けるようにしてもよい。この場合、コイルバネ33の一端はアクチュエータ4の取付板部4Bに係止されかつ他端はベース30の立板部30Bに係止されているのが好ましい。この場合、扉Dが閉まる際の反動でベース30がアクチュエータ4から離反するとき、コイルバネ33は引張弾性変形し、この引張弾性変形にともなう弾性復元力がベース30に作用することになる。あるいは、コイルバネ33は、ベース30およびストッパプレート32間、ならびにベース30およびアクチュエータ4間の双方に設けるようにしてもよい。
【0073】
前記実施例では、ベース30を側面視L字状に形成することで、各ボルト31が挿通する立板部30Bをベース30の一端に一つ設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ベース30は、立板部30Bが中央に一つ形成された側面視逆T字形状に形成するようにしてもよい。また、ベース30を側面視U字状に形成することで、ベース30に2つの立板部を設けるようにしてもよい。この場合には、各ボルト31を扉Dの主面に対して容易に平行に支持できるようになる。さらに、ベース30は、ボルト配設方向に厚みを有するブロック状の部材から構成するようにしてもよい。
【0074】
前記実施例では、クッション材5を扉Dの側に設けた例を示したが、クッション材は壁Wの側に設けるようにしてもよい。
【0075】
<変形例>
図8および図9は、本発明の変形例によるアクチュエータ機構を備えた安全スイッチを示している。図8は、アクチュエータがスイッチ本体に挿入されてスイッチ本体内部のカムが作動した状態(つまり接点が切り換わった状態)を示しており、図9は、図8に示す状態からさらに扉が閉方向に移動した状態を示している。なお、これらの図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0076】
この変形例が前記実施例と大きく異なっているのは、アクチュエータ4とベース30のボルト31上の位置関係が前記実施例に示す位置関係とは逆になっている点である。
【0077】
すなわち、図8に示すように、アクチュエータ機構3は、扉Dに固定された側面視L字状のベース30を有し、ベース30の立板部30Bは、並設された2本のボルト(支軸部)31の一端(この例では頭部31A)側に取り付けられている。各ボルト31には、アクチュエータ4の取付板部4Bが図示左右方向にスライド自在に支持されている。各ボルト31の他端(この例ではネジ部先端)側には、ストッパプレート(ストッパ部材)32が取り付けられている。各ボルト31の周りには、中空のスリーブ34が嵌合しており、アクチュエータ4の取付板部4Bとストッパプレート32との間において各スリーブ34の周りには、アクチュエータ4の取付板部4Bをベース30の立板部30Bに接近する側に付勢するようバネ力を作用させるコイルバネ(弾性反発部材)33がそれぞれ装着されている。
【0078】
この構成により、アクチュエータ4は、ボルト31を介してベース30に保持されており、ベース30の立板部30Bは、アクチュエータ4の取付板部4Bから離反する方向に移動可能になっている。別の言い方をすれば、ベース30は、アクチュエータ4の先端部に接近する方向に移動可能になっている。なお、スイッチ本体2の端面およびベース30の立板部30Bの側面には、扉Dが閉方向に移動して壁Wに接近したときに、アクチュエータ機構3のボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に衝突するのを防止するストッパ6がそれぞれ装着されている。また、ストッパ6は、スイッチ本体2の端面またはベース30の立板部30Bの側面のいずれか一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0079】
次に、この変形例の作用効果について、図8および図9を参照しつつ説明する。
扉Dを閉めることで、図8に示すように、アクチュエータ4がスイッチ本体2に挿入されると、スイッチ本体内部のカムが作動して接点が切り換えられる(図7参照)。この状態においては、扉Dと壁Wの間、および相対する各ストッパ6の間には、所定の隙間が形成されている。
【0080】
この状態から、扉Dがさらに閉方向に移動したとする。このとき、図9に示すように、ベース30は、アクチュエータ4がスイッチ本体2内部に挿入された状態を維持しつつ、ベース30の立板部30Bは、アクチュエータ4の取付板部4Bから離れる側に向かって扉Dとともに扉Dの閉方向(図示左方)に移動する。この移動により、コイルバネ33がアクチュエータ4の立板部4Bとストッパプレート32との間で圧縮され(図9参照)、その結果、ベース30は、コイルバネ33から弾性反発力の作用を受ける。これにより、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動を吸収できる。
【0081】
また、このとき、ボルト31の先端側において、ストッパプレート32とコイルバネ33の間には緩衝ブロック37が設けられているので、扉Dの移動によりアクチュエータ4の立板部4Bが急速にストッパプレート32の側に移動した場合でも、立板部4Bの衝撃荷重を緩衝ブロック37による緩衝作用により吸収できる。
【0082】
図9に示す例では、ベース30側のストッパ6がスイッチ本体2側のストッパ6に当接した状態が示されている。また、この状態において、ボルト31の頭部31Aとスイッチ本体2の端面との間には、依然として隙間が形成されている。
【0083】
これにより、アクチュエータ4がスイッチ本体2内部に挿入された状態で、扉Dがさらに閉方向に移動した際に、ボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に衝突するのを確実に防止でき、その結果、スイッチ本体2または(および)アクチュエータ機構3が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【0084】
なお、ストッパ6は必須の部材ではなく、省略することも可能である。この場合には、ボルト31に設けられたコイルバネ33の収縮による弾性反発力の作用および緩衝ブロック37による緩衝作用によって、ボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に及ぼす衝撃荷重を軽減できる。
【0085】
このようにして、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動がアクチュエータ4に直接作用するのが防止されることで、扉Dの閉方向を吸収でき、これにより、スイッチ本体2の内部において、アクチュエータ4と板カム20との係合状態(図7参照)を維持でき、接点ブロック25の2つの接点のオン状態を維持できる。
【0086】
また、図9に示すように、圧縮変形していたコイルバネ33は、ボルト31のストッパプレート32に対して弾性反発力を作用させ、これにより、ベース30は、図9右方に付勢され、その結果、ベース30とともに移動する扉Dが開方向に向かって移動することにより、扉Dは、壁Wのストッパ6との間に所定の隙間が形成された状態に戻る(図8参照)。
【0087】
このような変形例によれば、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動をベース30の移動およびコイルバネ33の圧縮変形により吸収できるので、扉Dが閉まる際に扉Dがさらに閉方向に移動した場合でも、アクチュエータ4はスイッチ本体2のアクチュエータ挿入孔2aに挿入されたままの状態を維持でき、これにより、スイッチ本体内部の機構が破損するのを防止できる。また、このとき、スイッチ本体2の内部にロック装置が設けられている場合でも、扉Dが閉まる際の扉Dのさらなる閉方向への移動をベース30の移動により吸収できることで、スイッチ本体2の内部のロック装置に過大な力が作用してロック装置が破損するのを防止できる。
【0088】
また、この場合には、各ボルト31の長さを変えることにより、扉Dが閉まる際に扉Dがさらに閉方向に移動する際の移動量を調整できる。さらに、この場合において、ナット36の締込み量を適宜調整しておくことで、コイルバネ33が装着されるボルト部分の長さを調整でき、これにより、扉Dの閉方向への移動量を微調整できるようになり、その結果、個々の扉の慣性に応じた細やかな調整が可能になる。また、ナット36を締め込むことでコイルバネ33に予め初期撓みを与えておくことにより、扉Dが閉方向に移動した際に、コイルバネ33がより大きな弾性反発力を作用できるようになる。
【0089】
なお、アクチュエータ機構3のベース30をスライド自在に支持する支軸部としては、2本のボルト31には限定されず、支軸部としてのボルトは、1本でもよく、または3本以上並設するようにしてもよい。
【0090】
また、各ボルト31に嵌合しているスリーブ34は省略することも可能である。この場合、アクチュエータ4の取付板部4Bの貫通孔4bが摺動するボルト部分には、ネジ部を形成しないようにするのが好ましい。
【0091】
各ボルト31に設けられる弾性反発部材としては、単一のコイルバネ33には限定されない。例えば、小径および大径の2種類のコイルバネからなる組合せバネを各ボルト31に装着するようにしてもよい。また、ボルト31の直径や長さに応じて、コイルバネ33の直径や長さ、線径を変えることにより、コイルバネの弾性反発力(または付勢力)を適宜調整するようにしてもよい。さらに、コイルバネの代わりに、反発係数の大きな素材(ラバー、エラストマー、発泡材等)からなる弾性ブロックを用いるようにしてもよい。あるいは、小型のショックアブソーバー(油圧式、空圧式等)を採用するようにしてもよい。
【0092】
コイルバネ33は、アクチュエータ4の取付板部4Bおよびストッパプレート32間に設けられる場合に限定されない。コイルバネ33は、ベース30の立板部30Bとアクチュエータ4の取付板部4Bとの間に設けるようにしてもよい。この場合、コイルバネ33の一端はベース30の立板部30Bに係止されかつ他端はアクチュエータ4の取付板部4Bに係止されているのが好ましい。この場合、扉Dが閉まる際に扉Dがさらに閉方向に移動するとき、コイルバネ33は引張弾性変形し、この引張弾性変形にともなう弾性復元力がベース30に作用することになる。あるいは、コイルバネ33は、アクチュエータ4の取付板部4Bとストッパプレート32との間、ならびにベース30の立板部30Bとアクチュエータ4の取付板部4Bとの間の双方に設けるようにしてもよい。
【0093】
ベース30の形状は、側面視L字状に限定されない。ベース30は、立板部30Bが中央に一つ形成された側面視逆T字形状に形成するようにしてもよい。また、ベース30を側面視U字状に形成することで、ベース30に2つの立板部を設けるようにしてもよい。この場合には、各ボルト31を扉Dの主面に対して容易に平行に支持できるようになる。さらに、ベース30は、ボルト配設方向に厚みを有するブロック状の部材から構成するようにしてもよい。
【0094】
前記変形例では、スイッチ本体2の端面に設けたストッパ6に対しては、ベース30の立板部30Bの側面に設けたストッパ6が、またはベース30の立板部30Bが直接当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。スイッチ本体2の端面のストッパ6に対しては、扉Dの端面(または扉Dの端面に設けられたストッパ6)が、あるいは扉Dの端面(または扉Dの端面に設けられたストッパ6)と立板部30Bの側面(または立板部30Bの側面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0095】
同様に、前記変形例では、ベース30の立板部30Bの側面に設けたストッパ6に対しては、スイッチ本体2の端面に設けたストッパ6が、またはスイッチ本体2の端面が直接当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。ベース30の立板部30Bの側面のストッパ6に対しては、壁Wの端面(または壁Wの端面に設けられたストッパ6)が、あるいは壁Wの端面(または壁Wの端面に設けられたストッパ6)とスイッチ本体2の端面(またはスイッチ本体2の端面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0096】
前記変形例では、スイッチ本体2の端面および(または)ベース30の立板部30Bにストッパ6を設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。図10および図11に示すように、ストッパ6は、壁Wの端面に設けるようにしてもよい。なお、図10は前記変形例の図8に相当する図面であり、図11は前記変形例の図9に相当する図面である。
【0097】
この場合においても、前記変形例と同様に、アクチュエータ4がスイッチ本体2内部に挿入された状態で、扉Dがさらに閉方向に移動した際、ボルト31の頭部31Aがスイッチ本体2の端面に衝突するのを確実に防止でき(図11参照)、これにより、スイッチ本体2または(および)アクチュエータ機構3が衝突により破損するのを確実に防止できる。
【0098】
なお、ストッパ6は、扉Dの端面、または扉Dおよび壁Wの双方の端面に設けるようにしてもよい。
【0099】
また、図10および図11に示す例では、壁Wの端面に設けたストッパ6に対しては、扉Dの端面が直接、または扉Dの端面に設けたストッパ6が当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。壁Wの端面のストッパ6に対しては、立板部30Bの側面(または立板部30Bの側面に設けられたストッパ6)が、あるいは立板部30Bの側面(または立板部30Bの側面に設けられたストッパ6)と扉Dの端面(または壁Dの端面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0100】
同様に、図10および図11に示す例では、扉Dの端面に設けたストッパ6に対しては、壁Wの端面が直接、または壁Wの端面に設けたストッパ6が当接する例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。扉Dの端面のストッパ6に対しては、スイッチ本体2の端面(またはスイッチ本体2の端面に設けられたストッパ6)が、あるいはスイッチ本体2の端面(またはスイッチ本体2の端面に設けられたストッパ6)と壁Wの端面(または壁Wの端面に設けられたストッパ6)の双方が当接するようにしてもよい。
【0101】
前記実施例および前記変形例では、スライド式の扉を例にとって説明したが、本発明は、回動式のドアにも同様に適用可能である。この場合、アクチュエータは、ドアの回動方向に対して接線方向に抜き差し自在に設けるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、安全スイッチに好適であり、とくに、扉が閉まる際の反動が大きな扉や慣性が大きい扉に適している。
【符号の説明】
【0103】
1: 安全スイッチ
2: スイッチ本体
2a: アクチュエータ挿入孔
3: アクチュエータ機構
30: ベース
30A: 固定板部
30B: 立板部
30b: 貫通孔
31: ボルト(支軸部)
32: ストッパプレート(ストッパ部材)
33: コイルバネ(弾性反発部材)
36: ナット
37: 緩衝ブロック(緩衝材)
4: アクチュエータ
4B: 取付板部
4b: 貫通孔
6: ストッパ
D: 扉
W: 壁
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開平10−302580号公報(図1参照)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の開閉を検知する安全スイッチにおいて、壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側のアクチュエータ機構であって、
扉側に設けられ、前記スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、
扉に固定され、前記アクチュエータを保持するベースとを備え、
前記ベースは、前記アクチュエータが前記アクチュエータ挿入孔に挿入された後に当該挿入状態を維持しつつ、前記アクチュエータに対して移動可能に設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベースの移動可能な方向は、前記アクチュエータから離反する方向である、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項3】
請求項2において、
前記ベースが前記アクチュエータから離反する際には、前記ベースが前記アクチュエータに接近する側に付勢されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項4】
請求項1において、
前記ベースの移動可能な方向は、前記アクチュエータに接近する方向である、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項5】
請求項4において、
前記ベースが前記アクチュエータに接近する際には、前記ベースが前記アクチュエータから離反する側に付勢されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項6】
請求項3または5において、
前記ベースに対する付勢力が調整可能になっている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項7】
請求項1において、
前記ベースが、扉の移動方向に配設された支軸部に保持されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項8】
請求項1において、
前記ベースの前記アクチュエータに対する移動量を調整する調整手段が設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項9】
請求項1において、
前記ベースが前記アクチュエータに対して移動する際に前記ベースまたは前記アクチュエータに対して緩衝作用を及ぼす緩衝材が設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項10】
扉の開閉を検知する安全スイッチにおいて、壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側のアクチュエータ機構であって、
扉に固定されるベースと、
前記ベースをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、
前記各支軸部の一端側に取り付けられ、前記スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、
前記各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、
前記ベースと前記ストッパ部材の間に介装された弾性反発部材と、
を備えた安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項11】
扉の開閉を検知する安全スイッチにおいて、壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側のアクチュエータ機構であって、
前記スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、
前記アクチュエータをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、
前記各支軸部の一端側に取り付けられるとともに、扉に固定されるベースと、
前記各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、
前記アクチュエータと前記ストッパ部材の間に介装された弾性反発部材と、
を備えた安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項12】
請求項11において、
前記スイッチ本体または前記ベースの少なくともいずれか一方には、扉が閉塞方向に移動して壁に接近したときに、当該アクチュエータ機構が前記スイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項13】
請求項11において、
扉または壁の少なくともいずれか一方には、扉が閉塞方向に移動して壁に接近したときに、当該アクチュエータ機構が前記スイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項1】
扉の開閉を検知する安全スイッチにおいて、壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側のアクチュエータ機構であって、
扉側に設けられ、前記スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、
扉に固定され、前記アクチュエータを保持するベースとを備え、
前記ベースは、前記アクチュエータが前記アクチュエータ挿入孔に挿入された後に当該挿入状態を維持しつつ、前記アクチュエータに対して移動可能に設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記ベースの移動可能な方向は、前記アクチュエータから離反する方向である、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項3】
請求項2において、
前記ベースが前記アクチュエータから離反する際には、前記ベースが前記アクチュエータに接近する側に付勢されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項4】
請求項1において、
前記ベースの移動可能な方向は、前記アクチュエータに接近する方向である、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項5】
請求項4において、
前記ベースが前記アクチュエータに接近する際には、前記ベースが前記アクチュエータから離反する側に付勢されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項6】
請求項3または5において、
前記ベースに対する付勢力が調整可能になっている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項7】
請求項1において、
前記ベースが、扉の移動方向に配設された支軸部に保持されている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項8】
請求項1において、
前記ベースの前記アクチュエータに対する移動量を調整する調整手段が設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項9】
請求項1において、
前記ベースが前記アクチュエータに対して移動する際に前記ベースまたは前記アクチュエータに対して緩衝作用を及ぼす緩衝材が設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項10】
扉の開閉を検知する安全スイッチにおいて、壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側のアクチュエータ機構であって、
扉に固定されるベースと、
前記ベースをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、
前記各支軸部の一端側に取り付けられ、前記スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、
前記各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、
前記ベースと前記ストッパ部材の間に介装された弾性反発部材と、
を備えた安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項11】
扉の開閉を検知する安全スイッチにおいて、壁側のスイッチ本体とともに用いられる扉側のアクチュエータ機構であって、
前記スイッチ本体のアクチュエータ挿入孔に対して抜き差し自在なアクチュエータと、
前記アクチュエータをスライド自在に支持する一つまたは複数の支軸部と、
前記各支軸部の一端側に取り付けられるとともに、扉に固定されるベースと、
前記各支軸部の他端側に取り付けられたストッパ部材と、
前記アクチュエータと前記ストッパ部材の間に介装された弾性反発部材と、
を備えた安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項12】
請求項11において、
前記スイッチ本体または前記ベースの少なくともいずれか一方には、扉が閉塞方向に移動して壁に接近したときに、当該アクチュエータ機構が前記スイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【請求項13】
請求項11において、
扉または壁の少なくともいずれか一方には、扉が閉塞方向に移動して壁に接近したときに、当該アクチュエータ機構が前記スイッチ本体に衝突するのを防止するためのストッパが設けられている、
ことを特徴とする安全スイッチ用アクチュエータ機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−142075(P2011−142075A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275981(P2010−275981)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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