安全制御システムおよび安全制御方法
【課題】 設備内に進入する移動体を無線で安全に制御できるようにする。
【解決手段】 安全制御システム1において、制御対象領域A〜Dにそれぞれ対応して設置され、無線により移動ロボット10を停止させるための停止スイッチ2a〜2dと、制御対象領域A〜Dに進入する移動ロボット10を検知するアンテナ4a〜4eと、各アンテナ4a〜4eで検知された移動ロボット10に対して停止スイッチ2a〜2dを有効にするとともに、停止スイッチ2a〜2dの操作に基づいて当該停止スイッチに対応する移動ロボット10を停止させるよう制御する制御部とを設ける。この場合には、移動ロボット10の進入の度に当該移動ロボット10が検知されて、停止スイッチ2a〜2dが当該移動ロボット10に対して有効にされるので、制御対象領域内に進入する移動ロボットを無線で安全に制御できるようになる。
【解決手段】 安全制御システム1において、制御対象領域A〜Dにそれぞれ対応して設置され、無線により移動ロボット10を停止させるための停止スイッチ2a〜2dと、制御対象領域A〜Dに進入する移動ロボット10を検知するアンテナ4a〜4eと、各アンテナ4a〜4eで検知された移動ロボット10に対して停止スイッチ2a〜2dを有効にするとともに、停止スイッチ2a〜2dの操作に基づいて当該停止スイッチに対応する移動ロボット10を停止させるよう制御する制御部とを設ける。この場合には、移動ロボット10の進入の度に当該移動ロボット10が検知されて、停止スイッチ2a〜2dが当該移動ロボット10に対して有効にされるので、制御対象領域内に進入する移動ロボットを無線で安全に制御できるようになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ロボット等の移動体の安全制御に関し、詳細には、移動体を無線で安全に制御するためのシステムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット制御システムにおいて、設備内に設置された例えば産業用ロボット等の固定ロボットの場合、作業者の安全を確保するために固定ロボットを緊急停止させる非常停止スイッチは、一般に、設備内の所定の位置に取り付けられている。
【0003】
この場合、非常停止スイッチとロボットは、有線を介した接続により、常時一定の対応関係にあり、非常停止スイッチを操作すると、これに対応するロボットが停止するようになっている。
【0004】
その一方、設備内を移動する、例えば無人搬送ロボット等の移動ロボットの場合には、移動ロボットを非常停止スイッチに対して有線で接続するのは実用的でなく、無線で接続する必要が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、設備内を移動しまた設備内に出入りする移動ロボットを無線で非常停止または停止させることにより、設備内の移動ロボットを無線で安全に制御することができるシステムは構築されていなかった。
【0006】
なお、特開平10−126866号公報は、無線操作器の非常停止装置に関するものであるが、離れた場所で運転される建設機械等の機械を無線操作器の非常停止スイッチの操作により無線で非常停止させる点について記載している(段落[0012]参照)。
【0007】
この場合、無線操作器と機械は、常時一定の一対一の対応関係におかれており、無線操作器の非常停止スイッチを操作すると、これに対応した機械が停止するようになっている。このため、上記公報に示すシステムは、一定の設備内に複数の移動ロボットが進入してくるようなケースでは、同じ無線操作器の操作により複数の移動ロボットを無線で非常停止させることができない。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、設備内に進入する移動体を無線で安全に制御できる安全制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、移動体を安全に制御するための安全制御システムであって、制御対象領域に対応して設置され、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチと、制御対象領域に進入する移動体を検知する検知手段と、検知手段で検知された移動体に対して無線操作スイッチを有効にするとともに、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させるよう制御する制御部とを備えている。
【0010】
請求項1の発明によれば、制御対象領域に進入する移動体は検知手段により検知され、当該制御対象領域に対応して設置された無線操作スイッチが、検知手段により進入を検知された移動体に対して有効にされる。そして、この状態から、無線操作スイッチが操作されると、当該無線操作スイッチに対応する移動体が停止する。
【0011】
この場合には、制御対象領域に複数の移動体が進入する場合でも、各移動体の進入の度に当該各移動体が検知手段により検知されて、無線操作スイッチがこれらの移動体に対して有効にされるので、無線操作スイッチを操作することで、当該無線操作スイッチに対応するすべての移動体が停止させられる。これにより、制御対象領域に進入する移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【0012】
請求項2の発明は、移動体を安全に制御するための安全制御方法であって、制御対象領域に進入する移動体を検知する工程と、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチを、進入を検知された移動体に対して有効にする工程と、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させる工程とを備えている。
【0013】
請求項2の発明によれば、制御対象領域に進入する移動体は検知され、無線操作スイッチが当該移動体に対して有効にされる。そして、この状態から、無線操作スイッチが操作されると、当該無線操作スイッチに対応する移動体が停止する。
【0014】
この場合には、制御対象領域に複数の移動体が進入する場合でも、各移動体の進入の度に当該各移動体が検知されて、無線操作スイッチがこれらの移動体に対して有効にされるので、無線操作スイッチを操作することで、当該無線操作スイッチに対応するすべての移動体が停止させられる。これにより、制御対象領域に進入する移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2において、制御対象領域から退出する移動体を検知するとともに、当該移動体に対応する無線操作スイッチを無効にする工程をさらに備えている。
【0016】
この場合には、制御対象領域から退出する移動体が検知され、当該移動体に対応する無線操作スイッチが無効にされることにより、無線操作スイッチの操作が制御対象領域内の移動体にのみ及び、制御対象領域を退出した移動体には及ばなくなるので、制御対象領域に出入りする移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【0017】
請求項4の発明では、請求項2において、無線操作スイッチがそれぞれグループIDを有しており、当該無線操作スイッチは、制御対象領域内の複数の移動体に対して当該グループIDを用いたブロードキャスト方式の通信により有効にされている。
【0018】
この場合には、無線操作スイッチが各移動体に対して個々に有効化処理を行う必要がなくなって、効率的に処理を行える。
【0019】
請求項5の発明では、請求項2において、無線操作スイッチの操作により制御対象領域内の移動体が停止している際に当該制御対象領域内に進入してくる別の移動体を検知し、当該別の移動体に対して無線操作スイッチを有効にして当該別の移動体を停止させるようにしている。
【0020】
この場合には、制御対象領域内の移動体が停止または非常停止している際に、別の移動体が制御対象領域内に進入しても、当該別の移動体は制御対象領域内で停止して当該制御対象領域内を移動することがなくなるので、より安全な制御を行なえるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る安全制御システムによれば、制御対象領域に対応して設置され、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチと、制御対象領域に進入する移動体を検知する検知手段と、検知手段で検知された移動体に対して無線操作スイッチを有効にするとともに、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させるよう制御する制御部とを設けたことにより、制御対象領域に複数の移動体が進入する場合でも、各移動体の進入の度に当該各移動体が検知手段により検知されて、無線操作スイッチがこれらの移動体に対して有効にされるので、無線操作スイッチの操作により、当該無線操作スイッチに対応するすべての移動体が停止させられる。これにより、制御対象領域に進入する移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図6】停止スイッチと移動ロボットとの間で交信される伝送メッセージの一例を示す図であって、停止スイッチから各移動ロボットに対して個々に交信するポーリング方式の例を示している。
【図7】停止スイッチと移動ロボットとの間で交信される伝送メッセージの他の例を示す図であって、停止スイッチから複数の移動ロボットに対してグループIDを用いて交信を行うブロードキャスト方式の例を示している。
【図8】停止スイッチ側の通信処理スレッドの第1の実施例を示すフローチャートである。
【図9】図8におけるロボット導入検知処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図8における、接続された移動ロボットとの通信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】停止スイッチ側の通信処理スレッドの第2の実施例を示すフローチャートである。
【図12】移動ロボット側の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の変形例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施例〕
図1は、本発明の第1の実施例による安全制御システムを示している。同図に示すように、この安全制御システム1は、無線制御の対象となる一定の空間領域である制御対象領域A、B、C、Dを備えている。これらの制御対象領域A、B、C、Dは、例えば、工場内の製造設備等における無人搬送ヤードに設けられている。無人搬送車等の移動ロボット(移動体)10(10a〜10d)は、これらの制御対象領域A、B、C、Dを含む設備内を移動可能になっている。
【0024】
各制御対象領域A、B、C、Dにそれぞれ対応して停止スイッチ(無線操作スイッチ)2a、2b、2c、2dが設置されている。停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、各制御対象領域A、B、C、Dの正面中央を作業者が傍観できる位置に設けられている。これらの停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、制御対象領域A、B、C、D内での作業者の安全を確保するために、無線により移動ロボット10を操作して、移動ロボット10の移動を無線で安全に制御するためのものである。各停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、各移動ロボット10の無線端末11と通信可能になっている。
【0025】
各移動ロボット10には、IDタグとしてのアクティブRFID(radio frequency identification)タグ3が搭載されている。RFIDタグ3には、これが搭載された移動ロボット10のID情報等の情報が格納されている。また、各制御対象領域A、B、C、Dの出入口には、RFIDタグ3から発せられた電波を受信するアンテナ(検知手段)4a、4b、4c、4d、4eと、各アンテナ4a、4b、4c、4d、4eで受信されたRFIDタグ3からの電波に含まれる各移動ロボット10のID情報等の情報を読み取るためのRFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eがそれぞれ設けられている。
【0026】
この構成により、いずれの制御対象領域A、B、C、Dにどの移動ロボット10が進入しているかが検知されて、当該移動ロボット10の個体認識が行われるようになっている。また、このとき、個体認識された移動ロボット10は、各制御対象領域に対応するメモリ内のロボットリストに登録されるようになっている。
【0027】
各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eには、それぞれ無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eが隣接して接続されている。各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eは、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eで読み取られた各移動ロボット10の情報を、当該各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eにそれぞれ対応する各停止スイッチ2a、2b、2c、2dに送信するためのものである。
【0028】
移動ロボット10の情報を各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eから受信した停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、当該移動ロボット10に対して電気的に接続可能な状態となって有効(アクティブ)となる。有効となった停止スイッチは、無効(ノンアクティブ)状態のままの停止スイッチと区別するために、例えば、当該停止スイッチに内蔵されたランプが点灯する。図1に示す例では、停止スイッチ2a、2b、2dが有効となってランプが点灯しており、停止スイッチ2cは無効のままでランプが消灯している。なお、停止スイッチに内蔵されたランプを点灯させるかわりに、停止スイッチの操作部の色を蛍光発光等により変化させたり、あるいは、蛍光発光等に加えて、停止スイッチに搭載された表示灯を点灯させるようにしてもよい。
【0029】
移動ロボット10がメモリ内のロボットリストに登録された後、当該移動ロボット10が制御対象領域から退出した場合には、当該移動ロボット10はロボットリストから削除されるとともに、当該制御対象領域に対応する停止スイッチ2a、2b、2c、2dが、退出した移動ロボット10に対して無効にされるようになっている。
【0030】
なお、図示していないが、この安全制御システム1には、当該システム全体の制御を行う制御部が設けられている。当該制御部は、制御対象領域A、B、C、Dに進入した移動ロボット10の有効化処理のほか、制御対象領域A、B、C、Dから退出した移動ロボット10の無効化処理や、上述したメモリ内のロボットリストの更新などを行う。
【0031】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
いま、制御対象領域A内に1台の移動ロボット10aが進入し、制御対象領域Bに2台の移動ロボット10b、10cが進入し、制御対象領域Dに1台の移動ロボット10dが進入しているとする。また、このとき、制御対象領域B内の一方の移動ロボット10bは制御対象領域Aに進入しようとしているとする(図1参照)。
【0032】
制御対象領域Aにおいては、移動ロボット10aがアンテナ4aの近傍を通過したときに移動ロボット10aのRFIDタグ3から発せられた電波がアンテナ4aで受信され、RFIDタグ3からの電波に含まれた移動ロボット10aのID情報等の情報がRFIDタグリーダ5aにより読み取られる。これにより、制御対象領域Aに移動ロボット10aが進入していることが検知されて、当該移動ロボット10aの個体認識が行われる。
【0033】
RFIDタグリーダ5aで読み取られた移動ロボット10aの情報は、無線サーバ6aを介して停止スイッチ2aに送信される。これにより、停止スイッチ2aが当該移動ロボット10aに対して通信接続可能な状態となって有効(アクティブ)となる。また、このとき、停止スイッチ2aが点灯するので、アクティブ状態の停止スイッチ2aを明示でき、停止スイッチ2aの視認性および操作性が向上する。
【0034】
この状態から、作業者が停止スイッチ2aを操作すると、停止スイッチ2aの停止信号が無線で移動ロボット10aの無線端末11に入力されて、移動ロボット10aが停止する。この場合、移動ロボット10aの動力源がオフにされる。これにより、制御対象領域A内での作業者の安全が確保される。
【0035】
制御対象領域Bにおいては、2台の移動ロボット10b、10cのID情報等の情報がすでに読み取られて、制御対象領域Bに2台の移動ロボット10b、10cが進入していることが検知されており、これらの移動ロボット10b、10cの個体認識がそれぞれ行われる。
【0036】
各移動ロボット10b、10cの情報は、停止スイッチ2bに送信されており、停止スイッチ2bが各移動ロボット10b、10cに対して有効(アクティブ)となっている。また、このとき、停止スイッチ2bが点灯するので、停止スイッチ2bを明示でき、停止スイッチ2bの視認性および操作性が向上する。
【0037】
この状態から、作業者が停止スイッチ2bを操作すると、停止スイッチ2bの停止信号が無線で各移動ロボット10b、10cの各無線端末11に入力され、各移動ロボット10が停止する。これにより、制御対象領域B内での作業者の安全が確保される。
【0038】
また、この場合には、制御対象領域B内の一方の移動ロボット10bが制御対象領域Aに進入しようとしており、移動ロボット10bが制御対象領域A内に進入する際にアンテナ4bの近傍を通過することで、移動ロボット10bのRFIDタグ3から発せられた電波がアンテナ4bで受信されて、移動ロボット10bの情報がRFIDタグリーダ5bから無線サーバ6bを介して停止スイッチ2aに送信される。これにより、停止スイッチ2aが移動ロボット10bに対して有効になる。その一方、移動ロボット10bの情報は、同時に、無線サーバ6bを介して停止スイッチ2bにも送信されるので、停止スイッチ2bは移動ロボット10bに対して無効となる。
【0039】
したがって、作業者が停止スイッチ2aを操作すると、制御対象領域A内にすでに進入していた移動ロボット10aのみならず、新たに制御対象領域A内に進入した移動ロボット10bについても停止することになる。
【0040】
なお、制御対象領域Aに後から進入した移動ロボット10bは、制御対象領域Aに対応するロボットリストに追加されるとともに、制御対象領域Bから退出した移動ロボット10bは、制御対象領域Bに対応するロボットリストから削除される。そして、停止スイッチ2bは、制御対象領域Bから退出した移動ロボット10bに対して無効にされる。
【0041】
制御対象領域Dにおいては、移動ロボット10dが当該制御対象領域D内に進入した直後の状態であり、このとき、制御対象領域Dにおける移動ロボットdの出入口に配置されたアンテナ4eが移動ロボット10dのRFIDタグ3から発せられた電波を受信する。そして、RFIDタグ3からの電波に含まれた移動ロボット10dのID情報等の情報がRFIDタグリーダ5eにより読み取られて、移動ロボット10dの個体認識が行われる。
【0042】
RFIDタグリーダ5eで読み取られた移動ロボット10dのID情報は、無線サーバ6eを介して停止スイッチ2dに送信される。これにより、停止スイッチ2dが移動ロボット10dに対して有効(アクティブ)となる。また、このとき、停止スイッチ2dが点灯するので、アクティブ状態の停止スイッチ2dを明示でき、停止スイッチ2dの視認性および操作性が向上する。
【0043】
この状態から、作業者が停止スイッチ2dを操作すると、停止スイッチ2dの停止信号が無線で移動ロボット10dの無線端末11に入力されて、移動ロボット10dが停止する。この場合、移動ロボット10dの動力源がオフにされる。これにより、制御対象領域D内での作業者の安全が確保される。
【0044】
このようにして、制御対象領域に出入りする移動ロボット10を無線で安全に制御できるようになる。
【0045】
なお、図1では、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eが、これらにそれぞれ対応する各アンテナ4a、4b、4c、4d、4eとそれぞれ一体化された例を示しているが、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eは、各アンテナ4a、4b、4c、4d、4eから分離して設けるようにしてもよい。
【0046】
また、各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eは、対応する各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eとそれぞれ一体化されていてもよく、あるいは、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eから分離して設けられていてもよい。
【0047】
〔第2の実施例〕
前記第1の実施例では、制御対象領域A、B、C、Dに対応して設けられた無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eを用いることにより、停止スイッチ2a、2b、2c、2dの有効化処理を無線で行う例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0048】
図2は、本発明の第2の実施例による安全制御システムを示している。なお、図2において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0049】
この第2の実施例では、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eがケーブル7を介して停止スイッチ2a、2b、2c、2dに有線接続されている。
【0050】
この場合には、RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eで読み取られた各移動ロボット10のID情報等の情報が、ケーブル7を介してそれぞれ対応する各停止スイッチ2a、2b、2c、2dに送信される点のみが前記第1の実施例と異なっており、その他の点は前記第1の実施例と同様である。
【0051】
この第2の実施例によれば、制御対象領域ごとに無線サーバを設ける必要がないので、製造コストを低減できる。
【0052】
〔第3の実施例〕
図3は、本発明の第3の実施例による安全制御システムを示している。なお、図3において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0053】
この第3の実施例では、アンテナ4a、4b、4c、4d、4eおよびRFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eが省略されており、制御対象領域A、B、C、Dに対応して無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eのみが設けられている。
【0054】
この場合、図3に示すように、制御対象領域Aにおいては、移動ロボット10aの無線端末11からの電波は、無線サーバ6c、6d、6eと比較して、移動ロボット10aが接近している無線サーバ6a、6bの方に届きやすくなっており、このため、電波強度が強く、さらに電波到達時間も短い。
【0055】
同様に、制御対象領域Bにおいては、各移動ロボット10b、10cの無線端末11からの電波は、無線サーバ6a、6d、6eと比較して、移動ロボット10b、10cが接近している無線サーバ6b、6cの方に届きやすくなっており、このため、電波強度が強く、さらに電波到達時間も短い。また、制御対象領域Dにおいては、移動ロボット10dの無線端末11からの電波は、無線サーバ6a、6b、6cと比較して、移動ロボット10dが接近している無線サーバ6d、6eの方に届きやすくなっており、このため、電波強度が強く、さらに電波到達時間も短い。
【0056】
そこで、この第3の実施例においては、移動ロボットが、電波強度の強いまたは電波到達時間の短い2つの無線サーバ間の領域に存在することが分かり、任意の無線サーバが移動ロボット10から得たID情報等の情報を停止スイッチに送信して、停止スイッチの有効化処理を行うようにしている。
【0057】
すなわち、例えば制御対象領域Aにおいては、無線サーバ6bが移動ロボット10aから得た情報を停止スイッチ2aに送信して、停止スイッチ2aの有効化処理が行われる。
【0058】
また、この場合、無線サーバ6a、6b間における電波強度の差または電波到達時間の差に基づいて、移動ロボット10の各無線サーバ6a、6bからの距離が分かり、制御対象領域A内で或る時刻における移動ロボット10の位置を正確に知ることができる。この点は、他の制御対象領域においても同様である。ただ、この場合には、システムの制御部が、移動ロボットの停止処理のみならず、位置測定のルーチン処理をも行うことになるので、CPUの負担がやや大きくなる。
【0059】
〔第4の実施例〕
前記第1ないし第3の実施例では、停止スイッチが制御対象領域からやや離れた位置に設置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0060】
図4は、本発明の第4の実施例による安全制御システムを示している。なお、図4において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0061】
この第4の実施例においては、停止スイッチ2aが制御対象領域A、B間の出入口に設置されており、同様に、停止スイッチ2bが制御対象領域B、C間の出入口に、停止スイッチ2cが制御対象領域C、D間の出入口に、停止スイッチ2dが制御対象領域D、E間の出入口にそれぞれ設置されている。なお、各停止スイッチの設置位置は、隣り合う各制御対象領域間の出入口に限らず、各制御対象領域内でもよく、あるいは各制御対象領域の直近近傍に設置するようにしてもよい。
【0062】
また、この場合には、各アンテナ4a、4b、4c、4d、4e、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5e、および各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eが省略されており、移動ロボット10の無線端末11は、当該移動ロボット11が進入している制御対象領域の停止スイッチと直接通信を行うことにより、当該移動ロボット11の検知および個体認識処理、ならびに当該停止スイッチの有効化処理を行う。
【0063】
〔第5の実施例〕
前記第1ないし第4の実施例では、移動ロボット10の各制御対象領域に対する進入および退出の検出をアンテナ、無線サーバまたは停止スイッチにより行った例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0064】
図5は、本発明の第5の実施例による安全制御システムを示している。なお、図5において、図4と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0065】
この第5の実施例においては、移動ロボット10の進入および退出を検知するためのライトカーテン8が各制御対象領域A、B、C、Dの出入口に設けられている。すなわち、制御対象領域Aの出入口にはライトカーテン8aが、制御対象領域A、B間の出入口にはライトカーテン8bが、制御対象領域B、C間の出入口にはライトカーテン8cが、制御対象領域C、D間の出入口にはライトカーテン8dが、制御対象領域D、E間の出入口にはライトカーテン8eが、制御対象領域Eの出入口にはライトカーテン8fがそれぞれ設けられている。各ライトカーテンは、投光部とこれから出射された光を受ける受光部から構成されている。
【0066】
この場合、移動ロボット10がいずれかのライトカーテンを通過して当該ライトカーテンの光を遮断することにより、移動ロボット10の進入および退出が検出される。
【0067】
いま、制御対象領域B内の左側の移動ロボット10bが制御対象領域Bから退出して制御対象領域Aに進入しようとしているとする。このとき、前記第1ないし第4の実施例では、アンテナ、無線サーバまたは停止スイッチが定期的に有効化処理を常に行っている必要があるが、この第5の実施例では、移動ロボットの進入および退出の検出をライトカーテンが分担するので、アンテナ、サーバまたは停止スイッチはその瞬間だけ有効化処理を行えばよく、定期的な有効化処理を常に行っている場合と比べて、CPUの負担を軽減できる。
【0068】
なお、移動ロボットの進入および退出を検出する検出装置としては、上述したライトカーテンの他、光電センサ等のその他の非接触式センサまたは接触式センサを用いるようにしてもよい。
【0069】
〔伝送メッセージの例〕
前記第1ないし第5の実施例において、各停止スイッチと各移動ロボットとの間で交信される伝送メッセージの例について図6および図7を用いて説明する。ここでは、一つの停止スイッチが複数の移動ロボットと交信する場合を例にとっている。また、図6は、停止スイッチから各移動ロボットに対して個々に交信するポーリング方式の例を示し、図7は、停止スイッチから複数の移動ロボットに対してグループIDを用いて交信を行うブロードキャスト方式の例を示している。なお、各図中、「Estop」は停止スイッチ(または非常停止スイッチ)を示し、「RT」は移動ロボットを示している。
【0070】
図6に示すポーリング方式の場合、停止スイッチ(Estop)から各移動ロボット(RT1〜RTn)に対して、同図の上側に示すようなデータ送信要求(リクエスト)がなされる。このリクエストには、当該停止スイッチの端末ID、ロボットの端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、停止(オン/オフ含む)、およびその他の安全情報が含まれている。なお、図6では、停止スイッチからロボット(RT1)へのリクエストの伝送メッセージのみが記載されているが、他のロボット(RT2〜RTn)へのリクエストについても同様の伝送メッセージが含まれている。
【0071】
その一方、各移動ロボット(RT1〜RTn)から停止スイッチ(Estop)に対しては、図6の下側に示すようなデータ送信(レスポンス)が行われる。このレスポンスには、当該停止スイッチの端末ID、ロボットの端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、およびその他の安全情報が含まれている。なお、図6では、ロボット(RT1)から停止スイッチへのレスポンスの伝送メッセージのみが記載されているが、他のロボット(RT2〜RTn)からのレスポンスについても同様の伝送メッセージが含まれている。
【0072】
この場合、一つの停止スイッチが複数の移動ロボットに対して個別に通信を行う必要があるため、通常、時分割による多重伝送が行われる。また、他の停止スイッチと各移動ロボットとの間においても、図6と同様の伝送メッセージを用いた通信が行われている。
【0073】
このようなポーリング方式の場合には、移動ロボットごとにリクエストおよびレスポンスを1セットとした処理が行われており、各停止スイッチと各移動ロボットは、常に一対一に対応している。そして、停止スイッチからのリクエストに対する移動ロボットからのレスポンスの処理が完了すると、移動ロボットと停止スイッチとの間の通信が正常に行われたことになる。
【0074】
図7に示すブロードキャスト方式の場合には、停止スイッチ(Estop)から各移動ロボット(RT1〜RTn)に対して、同図の上側に示すようなデータ送信要求(リクエスト)がなされる。このリクエストには、図7上側の左側に示すように、当該停止スイッチの端末ID(グループID)、ロボット(RT1)の端末ID、ロボット(RT2)の端末ID、…ロボット(RTn)の端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、停止(オン/オフ含む)、およびその他の安全情報が含まれている。あるいは、図7上側の右側に示すように、このリクエストには、当該停止スイッチの端末ID(グループID)、ロボット(RT1〜RTn)の端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、停止(オン/オフ含む)、およびその他の安全情報が含まれている。
【0075】
その一方、各移動ロボット(RT1〜RTn)から停止スイッチ(Estop)に対しては、図7の下側に示すようなデータ送信(レスポンス)が行われる。このレスポンスには、当該停止スイッチの端末ID、ロボットの端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、およびその他の安全情報が含まれている。なお、図7では、ロボット(RT1)から停止スイッチへのレスポンスの伝送メッセージのみが記載されているが、他のロボット(RT2〜RTn)からのレスポンスについても同様の伝送メッセージが含まれている。
【0076】
この場合、各停止スイッチがそれぞれグループIDを有しており、各停止スイッチは、それぞれの制御対象領域内の複数の移動ロボットに対して当該グループIDを用いて一度に通信が行う。したがって、当該制御対象領域内の各移動ロボットは、停止スイッチから同一のグループIDを受け取ることで、同一のグループに属することになる。
【0077】
このようなブロードキャスト方式の場合には、ポーリング方式のように移動ロボットごとにリクエストおよびレスポンスを1セットとした処理を行う必要がなく、停止スイッチ(Estop)から各移動ロボット(RT1〜RTn)へのリクエストは一度に行われる。そして、レスポンスの処理が完了した移動ロボットに対しては、停止スイッチとの間の通信が正常に行われたことになる。
【0078】
〔停止スイッチ側の通信処理スレッドの第1の実施例〕
図8ないし図10は、停止スイッチ側の通信処理スレッドの第1の実施例を示している。図8は通信処理スレッドのメインのフローチャートを、図9は図8におけるロボット進入検知処理のサブルーチンを、図10は図8におけるロボット通信処理のサブルーチンをそれぞれ示している。
【0079】
プログラムがスタートすると、まず、図8のステップS1において、制御対象領域(エリア)内への移動ロボットの進入検知処理を行うサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて図9を用いて説明する。
【0080】
図9のステップT1では、停止スイッチが移動ロボット(RT)の情報を受け取る。制御対象領域に進入しまたは制御対象領域から退出した移動ロボットの情報は、上述した前記第1、第2の実施例では、当該制御対象領域に対応するRFIDタグリーダ5a〜5eで読み取られ、前記第3の実施例では無線サーバ6a〜6eで読み取られ、前記第4、第5の実施例では停止スイッチ2a〜2dで読み取られる。読み取られた情報は、前記第1、第3の実施例では無線サーバ6a〜6eにより、前記第2の実施例ではケーブル7を介して、前記第4、第5の実施例では直接、当該制御対象領域の停止スイッチに入力される。
【0081】
次に、ステップT2では、ステップT1で受け取った情報に基づいて、エリア内に存在する移動ロボット(RT)の登録リストの更新を行う。すなわち、エリア内に新たに移動ロボットが進入していれば、当該移動ロボットを登録リストに追加し、また、エリアから移動ロボットが退出していれば、当該移動ロボットを登録リストから削除する。
【0082】
次に、ステップT3では、更新された登録リストが更新前の前回の登録リストに対して差があるか否かを判断する。ステップT3での判断が「Yes」となれば、プログラムはステップT4に移行する。ステップT4では、登録リストに新たに追加された移動ロボットと通信接続処理を実行する。通信接続処理が完了すれば、当該移動ロボットに対して停止スイッチが有効となる。次に、ステップT5では、登録リストから新たに削除された移動ロボットとの通信接続を解除する。通信接続が解除されれば、当該移動ロボットに対して停止スイッチが無効にされる。ステップT5での処理後、プログラムは図8のメインルーチンに戻る。同様に、ステップT3での判断が「No」となった場合も、プログラムは図8のメインルーチンに戻る。
【0083】
図8において、ステップS1におけるロボット進入検知処理のサブルーチンが終了すれば、ステップS2に移行する。ステップS2では、接続された移動ロボットとの通信処理を行うサブルーチンが実行される。この通信処理のサブルーチンについて図10を用いて説明する。
【0084】
図10のステップU1では、停止スイッチ(SW)が押されたか否かが判断される。停止スイッチが押されたと判断されれば、ステップU2に移行する。ステップU2では、移動ロボット(RT)の登録リスト(RTリスト)にある全ての移動ロボットに対して停止信号を送信する。ステップU2での処理後、プログラムは図8のメインルーチンに戻る。ステップU1での判断が「No」となった場合は、ステップU3に移行する。ステップU3では、移動ロボット(RT)の登録リスト(RTリスト)にある全ての移動ロボットと安全確認信号を交信する。ステップU3での処理後、プログラムは図8のルーチンに戻る。図8では、ステップS1およびS2の処理を繰り返し行う。
【0085】
〔停止スイッチ側の通信処理スレッドの第2の実施例〕
図11は、停止スイッチ側の通信処理スレッドの第2の実施例を示している。この第2の実施例は、接続された移動ロボットとの通信処理のサブルーチンを実行するメイン処理において、制御対象領域内に新たに別の移動ロボットが進入してきた場合の割り込み処理に関する。
【0086】
図11のメイン処理におけるステップV1では、接続された移動ロボットとの通信処理のサブルーチンが実行されている。このサブルーチンは、上述した図10におけるサブルーチンと同様である。このサブルーチンの処理後、進入検知センサから移動ロボットの検知信号が発生すると、プログラムは、図11中の割り込み処理に移行する。この割り込み処理では、ステップV2において、エリア内への移動ロボット進入検知処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンは、上述した図9におけるサブルーチンと同様である。当該サブルーチンの処理後、プログラムはメイン処理に戻る。
【0087】
この場合には、例えば、ステップV1でのサブルーチンの実行中に、停止スイッチが押されて、エリア内の全ての移動ロボットが停止している最中に、当該エリア内に別の移動ロボットが新たに進入してきたとき、停止スイッチが当該移動ロボットの情報を受け取って新たに登録リストに登録し、当該移動ロボットに対して停止スイッチを有効にする。このとき、停止スイッチが押されている状態なので、新たに進入した移動ロボットは、当該エリアに進入すると同時に停止することになる。このようにして、エリア内の安全性を向上できる。
【0088】
〔移動ロボット側の制御フローの一例〕
図12は、移動ロボット側の制御フローチャートの一例を示しており、通信エラー発生時の処理に関する。
【0089】
図12のステップW1では、停止スイッチから受信した受信メッセージが有るか否か判断される。受信メッセージが受信されれば、ステップW2に移行する。ステップW2では、受信メッセージが正常か否か判断される。受信メッセージが正常であれば、ステップW3に移行する。ステップW3では、受信メッセージが停止信号か否か判断される。停止信号であれば、ステップW4に移行して、停止処理が実行される。この停止処理では、移動ロボットの駆動回路の動力が遮断される。ステップW4での処理後、ステップW5に移行する。ステップW5では、リセット信号の入力によりリセット処理がなされたか否か判断される。リセット処理がされれば、プログラムはステップW1に戻る。
【0090】
その一方、ステップW2において、受信メッセージが正常でないと判断されれば、ステップW6に移行する。ステップW6では、移動ロボットの駆動回路の動力が遮断される。また、ステップW3において、受信メッセージが停止信号でないと判断されれば、ステップW7に移行する。ステップW7では、停止スイッチに対してレスポンス処理(図6、図7参照)を行う。ステップW6、W7での処理後、プログラムはステップW1に戻る。
【0091】
この場合には、受信メッセージが正常でない場合のような通信エラー発生時に移動ロボットを停止させることができ、エリア内の安全性を確保できるとともに、通信エラーの解除後には、移動ロボットを自動復帰させることができる。
【0092】
〔安全制御システムの変形例〕
図13は、本発明の変形例による安全制御システムを示している。なお、同図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0093】
図13に示すように、制御対象領域A、B間の出入口には、停止スイッチ2aの他に非常停止スイッチ2a’が設置されており、同様に、制御対象領域B、C間の出入口には停止スイッチ2bおよび非常停止スイッチ2b’が、制御対象領域C、D間の出入口には停止スイッチ2cおよび非常停止スイッチ2c’が、制御対象領域D、E間の出入口には停止スイッチ2dおよび非常停止スイッチ2d’がそれぞれ設置されている。これらの非常停止スイッチ2a’、2b’、2c’、2d’は、緊急時にすべての制御対象領域内のすべての移動ロボットを非常停止させるためのものである。これに対して、上述した停止スイッチは、対応する制御対象領域内に存在する移動ロボットに対してのみ有効となる。
【0094】
図13において、例えば停止スイッチ2cは、制御対象領域C、Dに存在する移動ロボットに対して有効となるが、例えば非常停止スイッチ2c’は、すべての制御対象領域A〜E内のすべての移動ロボットに対して有効となる。したがって、図13に示す状態から、停止スイッチ2cを押してもどの移動ロボットも停止しないが、非常停止スイッチ2c’を押すと、すべての移動ロボットが停止する。同様に、例えば停止スイッチ2dを押すと、移動ロボット10dのみが停止するが、非常停止スイッチ2d’を押すと、すべての移動ロボットが停止する。
【0095】
なお、各移動ロボット10は、電源が投入されても、任意の安全無線機器と接続されない限り、動作しない仕様になっている。一旦、安全無線機器と接続して安全が確認された移動ロボット10は動作が可能になるが、各安全無線機器は互いに通信を行っており、このため、結果的に、安全が確認された移動ロボット10に対しては、すべての非常停止スイッチが有効となる。
【0096】
また、いずれの停止スイッチ2a、2b、2c、2dについても、各制御対象領域に進入した各移動ロボットに対して有効化処理される手順は、上述した各実施例の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、移動ロボット等の移動体の安全制御システムに好適であり、とくに、移動体の安全制御を無線で行うシステムに適している。
【符号の説明】
【0098】
1: 安全制御システム
2a、2b、2c、2d: 停止スイッチ
2a’、2b’、2c’、2d’: 非常停止スイッチ
4a、4b、4c、4d、4e: アンテナ(検知手段)
10: 移動ロボット
A、B、C、D、E: 制御対象領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開平10−126866号公報(段落[0012]参照)
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動ロボット等の移動体の安全制御に関し、詳細には、移動体を無線で安全に制御するためのシステムの構築に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット制御システムにおいて、設備内に設置された例えば産業用ロボット等の固定ロボットの場合、作業者の安全を確保するために固定ロボットを緊急停止させる非常停止スイッチは、一般に、設備内の所定の位置に取り付けられている。
【0003】
この場合、非常停止スイッチとロボットは、有線を介した接続により、常時一定の対応関係にあり、非常停止スイッチを操作すると、これに対応するロボットが停止するようになっている。
【0004】
その一方、設備内を移動する、例えば無人搬送ロボット等の移動ロボットの場合には、移動ロボットを非常停止スイッチに対して有線で接続するのは実用的でなく、無線で接続する必要が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来においては、設備内を移動しまた設備内に出入りする移動ロボットを無線で非常停止または停止させることにより、設備内の移動ロボットを無線で安全に制御することができるシステムは構築されていなかった。
【0006】
なお、特開平10−126866号公報は、無線操作器の非常停止装置に関するものであるが、離れた場所で運転される建設機械等の機械を無線操作器の非常停止スイッチの操作により無線で非常停止させる点について記載している(段落[0012]参照)。
【0007】
この場合、無線操作器と機械は、常時一定の一対一の対応関係におかれており、無線操作器の非常停止スイッチを操作すると、これに対応した機械が停止するようになっている。このため、上記公報に示すシステムは、一定の設備内に複数の移動ロボットが進入してくるようなケースでは、同じ無線操作器の操作により複数の移動ロボットを無線で非常停止させることができない。
【0008】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、設備内に進入する移動体を無線で安全に制御できる安全制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、移動体を安全に制御するための安全制御システムであって、制御対象領域に対応して設置され、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチと、制御対象領域に進入する移動体を検知する検知手段と、検知手段で検知された移動体に対して無線操作スイッチを有効にするとともに、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させるよう制御する制御部とを備えている。
【0010】
請求項1の発明によれば、制御対象領域に進入する移動体は検知手段により検知され、当該制御対象領域に対応して設置された無線操作スイッチが、検知手段により進入を検知された移動体に対して有効にされる。そして、この状態から、無線操作スイッチが操作されると、当該無線操作スイッチに対応する移動体が停止する。
【0011】
この場合には、制御対象領域に複数の移動体が進入する場合でも、各移動体の進入の度に当該各移動体が検知手段により検知されて、無線操作スイッチがこれらの移動体に対して有効にされるので、無線操作スイッチを操作することで、当該無線操作スイッチに対応するすべての移動体が停止させられる。これにより、制御対象領域に進入する移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【0012】
請求項2の発明は、移動体を安全に制御するための安全制御方法であって、制御対象領域に進入する移動体を検知する工程と、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチを、進入を検知された移動体に対して有効にする工程と、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させる工程とを備えている。
【0013】
請求項2の発明によれば、制御対象領域に進入する移動体は検知され、無線操作スイッチが当該移動体に対して有効にされる。そして、この状態から、無線操作スイッチが操作されると、当該無線操作スイッチに対応する移動体が停止する。
【0014】
この場合には、制御対象領域に複数の移動体が進入する場合でも、各移動体の進入の度に当該各移動体が検知されて、無線操作スイッチがこれらの移動体に対して有効にされるので、無線操作スイッチを操作することで、当該無線操作スイッチに対応するすべての移動体が停止させられる。これにより、制御対象領域に進入する移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【0015】
請求項3の発明では、請求項2において、制御対象領域から退出する移動体を検知するとともに、当該移動体に対応する無線操作スイッチを無効にする工程をさらに備えている。
【0016】
この場合には、制御対象領域から退出する移動体が検知され、当該移動体に対応する無線操作スイッチが無効にされることにより、無線操作スイッチの操作が制御対象領域内の移動体にのみ及び、制御対象領域を退出した移動体には及ばなくなるので、制御対象領域に出入りする移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【0017】
請求項4の発明では、請求項2において、無線操作スイッチがそれぞれグループIDを有しており、当該無線操作スイッチは、制御対象領域内の複数の移動体に対して当該グループIDを用いたブロードキャスト方式の通信により有効にされている。
【0018】
この場合には、無線操作スイッチが各移動体に対して個々に有効化処理を行う必要がなくなって、効率的に処理を行える。
【0019】
請求項5の発明では、請求項2において、無線操作スイッチの操作により制御対象領域内の移動体が停止している際に当該制御対象領域内に進入してくる別の移動体を検知し、当該別の移動体に対して無線操作スイッチを有効にして当該別の移動体を停止させるようにしている。
【0020】
この場合には、制御対象領域内の移動体が停止または非常停止している際に、別の移動体が制御対象領域内に進入しても、当該別の移動体は制御対象領域内で停止して当該制御対象領域内を移動することがなくなるので、より安全な制御を行なえるようになる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係る安全制御システムによれば、制御対象領域に対応して設置され、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチと、制御対象領域に進入する移動体を検知する検知手段と、検知手段で検知された移動体に対して無線操作スイッチを有効にするとともに、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させるよう制御する制御部とを設けたことにより、制御対象領域に複数の移動体が進入する場合でも、各移動体の進入の度に当該各移動体が検知手段により検知されて、無線操作スイッチがこれらの移動体に対して有効にされるので、無線操作スイッチの操作により、当該無線操作スイッチに対応するすべての移動体が停止させられる。これにより、制御対象領域に進入する移動体を無線で安全に制御できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【図6】停止スイッチと移動ロボットとの間で交信される伝送メッセージの一例を示す図であって、停止スイッチから各移動ロボットに対して個々に交信するポーリング方式の例を示している。
【図7】停止スイッチと移動ロボットとの間で交信される伝送メッセージの他の例を示す図であって、停止スイッチから複数の移動ロボットに対してグループIDを用いて交信を行うブロードキャスト方式の例を示している。
【図8】停止スイッチ側の通信処理スレッドの第1の実施例を示すフローチャートである。
【図9】図8におけるロボット導入検知処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図10】図8における、接続された移動ロボットとの通信処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図11】停止スイッチ側の通信処理スレッドの第2の実施例を示すフローチャートである。
【図12】移動ロボット側の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明の変形例による安全制御システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
〔第1の実施例〕
図1は、本発明の第1の実施例による安全制御システムを示している。同図に示すように、この安全制御システム1は、無線制御の対象となる一定の空間領域である制御対象領域A、B、C、Dを備えている。これらの制御対象領域A、B、C、Dは、例えば、工場内の製造設備等における無人搬送ヤードに設けられている。無人搬送車等の移動ロボット(移動体)10(10a〜10d)は、これらの制御対象領域A、B、C、Dを含む設備内を移動可能になっている。
【0024】
各制御対象領域A、B、C、Dにそれぞれ対応して停止スイッチ(無線操作スイッチ)2a、2b、2c、2dが設置されている。停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、各制御対象領域A、B、C、Dの正面中央を作業者が傍観できる位置に設けられている。これらの停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、制御対象領域A、B、C、D内での作業者の安全を確保するために、無線により移動ロボット10を操作して、移動ロボット10の移動を無線で安全に制御するためのものである。各停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、各移動ロボット10の無線端末11と通信可能になっている。
【0025】
各移動ロボット10には、IDタグとしてのアクティブRFID(radio frequency identification)タグ3が搭載されている。RFIDタグ3には、これが搭載された移動ロボット10のID情報等の情報が格納されている。また、各制御対象領域A、B、C、Dの出入口には、RFIDタグ3から発せられた電波を受信するアンテナ(検知手段)4a、4b、4c、4d、4eと、各アンテナ4a、4b、4c、4d、4eで受信されたRFIDタグ3からの電波に含まれる各移動ロボット10のID情報等の情報を読み取るためのRFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eがそれぞれ設けられている。
【0026】
この構成により、いずれの制御対象領域A、B、C、Dにどの移動ロボット10が進入しているかが検知されて、当該移動ロボット10の個体認識が行われるようになっている。また、このとき、個体認識された移動ロボット10は、各制御対象領域に対応するメモリ内のロボットリストに登録されるようになっている。
【0027】
各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eには、それぞれ無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eが隣接して接続されている。各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eは、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eで読み取られた各移動ロボット10の情報を、当該各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eにそれぞれ対応する各停止スイッチ2a、2b、2c、2dに送信するためのものである。
【0028】
移動ロボット10の情報を各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eから受信した停止スイッチ2a、2b、2c、2dは、当該移動ロボット10に対して電気的に接続可能な状態となって有効(アクティブ)となる。有効となった停止スイッチは、無効(ノンアクティブ)状態のままの停止スイッチと区別するために、例えば、当該停止スイッチに内蔵されたランプが点灯する。図1に示す例では、停止スイッチ2a、2b、2dが有効となってランプが点灯しており、停止スイッチ2cは無効のままでランプが消灯している。なお、停止スイッチに内蔵されたランプを点灯させるかわりに、停止スイッチの操作部の色を蛍光発光等により変化させたり、あるいは、蛍光発光等に加えて、停止スイッチに搭載された表示灯を点灯させるようにしてもよい。
【0029】
移動ロボット10がメモリ内のロボットリストに登録された後、当該移動ロボット10が制御対象領域から退出した場合には、当該移動ロボット10はロボットリストから削除されるとともに、当該制御対象領域に対応する停止スイッチ2a、2b、2c、2dが、退出した移動ロボット10に対して無効にされるようになっている。
【0030】
なお、図示していないが、この安全制御システム1には、当該システム全体の制御を行う制御部が設けられている。当該制御部は、制御対象領域A、B、C、Dに進入した移動ロボット10の有効化処理のほか、制御対象領域A、B、C、Dから退出した移動ロボット10の無効化処理や、上述したメモリ内のロボットリストの更新などを行う。
【0031】
次に、本実施例の作用効果について説明する。
いま、制御対象領域A内に1台の移動ロボット10aが進入し、制御対象領域Bに2台の移動ロボット10b、10cが進入し、制御対象領域Dに1台の移動ロボット10dが進入しているとする。また、このとき、制御対象領域B内の一方の移動ロボット10bは制御対象領域Aに進入しようとしているとする(図1参照)。
【0032】
制御対象領域Aにおいては、移動ロボット10aがアンテナ4aの近傍を通過したときに移動ロボット10aのRFIDタグ3から発せられた電波がアンテナ4aで受信され、RFIDタグ3からの電波に含まれた移動ロボット10aのID情報等の情報がRFIDタグリーダ5aにより読み取られる。これにより、制御対象領域Aに移動ロボット10aが進入していることが検知されて、当該移動ロボット10aの個体認識が行われる。
【0033】
RFIDタグリーダ5aで読み取られた移動ロボット10aの情報は、無線サーバ6aを介して停止スイッチ2aに送信される。これにより、停止スイッチ2aが当該移動ロボット10aに対して通信接続可能な状態となって有効(アクティブ)となる。また、このとき、停止スイッチ2aが点灯するので、アクティブ状態の停止スイッチ2aを明示でき、停止スイッチ2aの視認性および操作性が向上する。
【0034】
この状態から、作業者が停止スイッチ2aを操作すると、停止スイッチ2aの停止信号が無線で移動ロボット10aの無線端末11に入力されて、移動ロボット10aが停止する。この場合、移動ロボット10aの動力源がオフにされる。これにより、制御対象領域A内での作業者の安全が確保される。
【0035】
制御対象領域Bにおいては、2台の移動ロボット10b、10cのID情報等の情報がすでに読み取られて、制御対象領域Bに2台の移動ロボット10b、10cが進入していることが検知されており、これらの移動ロボット10b、10cの個体認識がそれぞれ行われる。
【0036】
各移動ロボット10b、10cの情報は、停止スイッチ2bに送信されており、停止スイッチ2bが各移動ロボット10b、10cに対して有効(アクティブ)となっている。また、このとき、停止スイッチ2bが点灯するので、停止スイッチ2bを明示でき、停止スイッチ2bの視認性および操作性が向上する。
【0037】
この状態から、作業者が停止スイッチ2bを操作すると、停止スイッチ2bの停止信号が無線で各移動ロボット10b、10cの各無線端末11に入力され、各移動ロボット10が停止する。これにより、制御対象領域B内での作業者の安全が確保される。
【0038】
また、この場合には、制御対象領域B内の一方の移動ロボット10bが制御対象領域Aに進入しようとしており、移動ロボット10bが制御対象領域A内に進入する際にアンテナ4bの近傍を通過することで、移動ロボット10bのRFIDタグ3から発せられた電波がアンテナ4bで受信されて、移動ロボット10bの情報がRFIDタグリーダ5bから無線サーバ6bを介して停止スイッチ2aに送信される。これにより、停止スイッチ2aが移動ロボット10bに対して有効になる。その一方、移動ロボット10bの情報は、同時に、無線サーバ6bを介して停止スイッチ2bにも送信されるので、停止スイッチ2bは移動ロボット10bに対して無効となる。
【0039】
したがって、作業者が停止スイッチ2aを操作すると、制御対象領域A内にすでに進入していた移動ロボット10aのみならず、新たに制御対象領域A内に進入した移動ロボット10bについても停止することになる。
【0040】
なお、制御対象領域Aに後から進入した移動ロボット10bは、制御対象領域Aに対応するロボットリストに追加されるとともに、制御対象領域Bから退出した移動ロボット10bは、制御対象領域Bに対応するロボットリストから削除される。そして、停止スイッチ2bは、制御対象領域Bから退出した移動ロボット10bに対して無効にされる。
【0041】
制御対象領域Dにおいては、移動ロボット10dが当該制御対象領域D内に進入した直後の状態であり、このとき、制御対象領域Dにおける移動ロボットdの出入口に配置されたアンテナ4eが移動ロボット10dのRFIDタグ3から発せられた電波を受信する。そして、RFIDタグ3からの電波に含まれた移動ロボット10dのID情報等の情報がRFIDタグリーダ5eにより読み取られて、移動ロボット10dの個体認識が行われる。
【0042】
RFIDタグリーダ5eで読み取られた移動ロボット10dのID情報は、無線サーバ6eを介して停止スイッチ2dに送信される。これにより、停止スイッチ2dが移動ロボット10dに対して有効(アクティブ)となる。また、このとき、停止スイッチ2dが点灯するので、アクティブ状態の停止スイッチ2dを明示でき、停止スイッチ2dの視認性および操作性が向上する。
【0043】
この状態から、作業者が停止スイッチ2dを操作すると、停止スイッチ2dの停止信号が無線で移動ロボット10dの無線端末11に入力されて、移動ロボット10dが停止する。この場合、移動ロボット10dの動力源がオフにされる。これにより、制御対象領域D内での作業者の安全が確保される。
【0044】
このようにして、制御対象領域に出入りする移動ロボット10を無線で安全に制御できるようになる。
【0045】
なお、図1では、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eが、これらにそれぞれ対応する各アンテナ4a、4b、4c、4d、4eとそれぞれ一体化された例を示しているが、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eは、各アンテナ4a、4b、4c、4d、4eから分離して設けるようにしてもよい。
【0046】
また、各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eは、対応する各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eとそれぞれ一体化されていてもよく、あるいは、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eから分離して設けられていてもよい。
【0047】
〔第2の実施例〕
前記第1の実施例では、制御対象領域A、B、C、Dに対応して設けられた無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eを用いることにより、停止スイッチ2a、2b、2c、2dの有効化処理を無線で行う例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0048】
図2は、本発明の第2の実施例による安全制御システムを示している。なお、図2において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0049】
この第2の実施例では、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eがケーブル7を介して停止スイッチ2a、2b、2c、2dに有線接続されている。
【0050】
この場合には、RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eで読み取られた各移動ロボット10のID情報等の情報が、ケーブル7を介してそれぞれ対応する各停止スイッチ2a、2b、2c、2dに送信される点のみが前記第1の実施例と異なっており、その他の点は前記第1の実施例と同様である。
【0051】
この第2の実施例によれば、制御対象領域ごとに無線サーバを設ける必要がないので、製造コストを低減できる。
【0052】
〔第3の実施例〕
図3は、本発明の第3の実施例による安全制御システムを示している。なお、図3において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0053】
この第3の実施例では、アンテナ4a、4b、4c、4d、4eおよびRFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5eが省略されており、制御対象領域A、B、C、Dに対応して無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eのみが設けられている。
【0054】
この場合、図3に示すように、制御対象領域Aにおいては、移動ロボット10aの無線端末11からの電波は、無線サーバ6c、6d、6eと比較して、移動ロボット10aが接近している無線サーバ6a、6bの方に届きやすくなっており、このため、電波強度が強く、さらに電波到達時間も短い。
【0055】
同様に、制御対象領域Bにおいては、各移動ロボット10b、10cの無線端末11からの電波は、無線サーバ6a、6d、6eと比較して、移動ロボット10b、10cが接近している無線サーバ6b、6cの方に届きやすくなっており、このため、電波強度が強く、さらに電波到達時間も短い。また、制御対象領域Dにおいては、移動ロボット10dの無線端末11からの電波は、無線サーバ6a、6b、6cと比較して、移動ロボット10dが接近している無線サーバ6d、6eの方に届きやすくなっており、このため、電波強度が強く、さらに電波到達時間も短い。
【0056】
そこで、この第3の実施例においては、移動ロボットが、電波強度の強いまたは電波到達時間の短い2つの無線サーバ間の領域に存在することが分かり、任意の無線サーバが移動ロボット10から得たID情報等の情報を停止スイッチに送信して、停止スイッチの有効化処理を行うようにしている。
【0057】
すなわち、例えば制御対象領域Aにおいては、無線サーバ6bが移動ロボット10aから得た情報を停止スイッチ2aに送信して、停止スイッチ2aの有効化処理が行われる。
【0058】
また、この場合、無線サーバ6a、6b間における電波強度の差または電波到達時間の差に基づいて、移動ロボット10の各無線サーバ6a、6bからの距離が分かり、制御対象領域A内で或る時刻における移動ロボット10の位置を正確に知ることができる。この点は、他の制御対象領域においても同様である。ただ、この場合には、システムの制御部が、移動ロボットの停止処理のみならず、位置測定のルーチン処理をも行うことになるので、CPUの負担がやや大きくなる。
【0059】
〔第4の実施例〕
前記第1ないし第3の実施例では、停止スイッチが制御対象領域からやや離れた位置に設置された例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0060】
図4は、本発明の第4の実施例による安全制御システムを示している。なお、図4において、図1と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0061】
この第4の実施例においては、停止スイッチ2aが制御対象領域A、B間の出入口に設置されており、同様に、停止スイッチ2bが制御対象領域B、C間の出入口に、停止スイッチ2cが制御対象領域C、D間の出入口に、停止スイッチ2dが制御対象領域D、E間の出入口にそれぞれ設置されている。なお、各停止スイッチの設置位置は、隣り合う各制御対象領域間の出入口に限らず、各制御対象領域内でもよく、あるいは各制御対象領域の直近近傍に設置するようにしてもよい。
【0062】
また、この場合には、各アンテナ4a、4b、4c、4d、4e、各RFIDタグリーダ5a、5b、5c、5d、5e、および各無線サーバ6a、6b、6c、6d、6eが省略されており、移動ロボット10の無線端末11は、当該移動ロボット11が進入している制御対象領域の停止スイッチと直接通信を行うことにより、当該移動ロボット11の検知および個体認識処理、ならびに当該停止スイッチの有効化処理を行う。
【0063】
〔第5の実施例〕
前記第1ないし第4の実施例では、移動ロボット10の各制御対象領域に対する進入および退出の検出をアンテナ、無線サーバまたは停止スイッチにより行った例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。
【0064】
図5は、本発明の第5の実施例による安全制御システムを示している。なお、図5において、図4と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0065】
この第5の実施例においては、移動ロボット10の進入および退出を検知するためのライトカーテン8が各制御対象領域A、B、C、Dの出入口に設けられている。すなわち、制御対象領域Aの出入口にはライトカーテン8aが、制御対象領域A、B間の出入口にはライトカーテン8bが、制御対象領域B、C間の出入口にはライトカーテン8cが、制御対象領域C、D間の出入口にはライトカーテン8dが、制御対象領域D、E間の出入口にはライトカーテン8eが、制御対象領域Eの出入口にはライトカーテン8fがそれぞれ設けられている。各ライトカーテンは、投光部とこれから出射された光を受ける受光部から構成されている。
【0066】
この場合、移動ロボット10がいずれかのライトカーテンを通過して当該ライトカーテンの光を遮断することにより、移動ロボット10の進入および退出が検出される。
【0067】
いま、制御対象領域B内の左側の移動ロボット10bが制御対象領域Bから退出して制御対象領域Aに進入しようとしているとする。このとき、前記第1ないし第4の実施例では、アンテナ、無線サーバまたは停止スイッチが定期的に有効化処理を常に行っている必要があるが、この第5の実施例では、移動ロボットの進入および退出の検出をライトカーテンが分担するので、アンテナ、サーバまたは停止スイッチはその瞬間だけ有効化処理を行えばよく、定期的な有効化処理を常に行っている場合と比べて、CPUの負担を軽減できる。
【0068】
なお、移動ロボットの進入および退出を検出する検出装置としては、上述したライトカーテンの他、光電センサ等のその他の非接触式センサまたは接触式センサを用いるようにしてもよい。
【0069】
〔伝送メッセージの例〕
前記第1ないし第5の実施例において、各停止スイッチと各移動ロボットとの間で交信される伝送メッセージの例について図6および図7を用いて説明する。ここでは、一つの停止スイッチが複数の移動ロボットと交信する場合を例にとっている。また、図6は、停止スイッチから各移動ロボットに対して個々に交信するポーリング方式の例を示し、図7は、停止スイッチから複数の移動ロボットに対してグループIDを用いて交信を行うブロードキャスト方式の例を示している。なお、各図中、「Estop」は停止スイッチ(または非常停止スイッチ)を示し、「RT」は移動ロボットを示している。
【0070】
図6に示すポーリング方式の場合、停止スイッチ(Estop)から各移動ロボット(RT1〜RTn)に対して、同図の上側に示すようなデータ送信要求(リクエスト)がなされる。このリクエストには、当該停止スイッチの端末ID、ロボットの端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、停止(オン/オフ含む)、およびその他の安全情報が含まれている。なお、図6では、停止スイッチからロボット(RT1)へのリクエストの伝送メッセージのみが記載されているが、他のロボット(RT2〜RTn)へのリクエストについても同様の伝送メッセージが含まれている。
【0071】
その一方、各移動ロボット(RT1〜RTn)から停止スイッチ(Estop)に対しては、図6の下側に示すようなデータ送信(レスポンス)が行われる。このレスポンスには、当該停止スイッチの端末ID、ロボットの端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、およびその他の安全情報が含まれている。なお、図6では、ロボット(RT1)から停止スイッチへのレスポンスの伝送メッセージのみが記載されているが、他のロボット(RT2〜RTn)からのレスポンスについても同様の伝送メッセージが含まれている。
【0072】
この場合、一つの停止スイッチが複数の移動ロボットに対して個別に通信を行う必要があるため、通常、時分割による多重伝送が行われる。また、他の停止スイッチと各移動ロボットとの間においても、図6と同様の伝送メッセージを用いた通信が行われている。
【0073】
このようなポーリング方式の場合には、移動ロボットごとにリクエストおよびレスポンスを1セットとした処理が行われており、各停止スイッチと各移動ロボットは、常に一対一に対応している。そして、停止スイッチからのリクエストに対する移動ロボットからのレスポンスの処理が完了すると、移動ロボットと停止スイッチとの間の通信が正常に行われたことになる。
【0074】
図7に示すブロードキャスト方式の場合には、停止スイッチ(Estop)から各移動ロボット(RT1〜RTn)に対して、同図の上側に示すようなデータ送信要求(リクエスト)がなされる。このリクエストには、図7上側の左側に示すように、当該停止スイッチの端末ID(グループID)、ロボット(RT1)の端末ID、ロボット(RT2)の端末ID、…ロボット(RTn)の端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、停止(オン/オフ含む)、およびその他の安全情報が含まれている。あるいは、図7上側の右側に示すように、このリクエストには、当該停止スイッチの端末ID(グループID)、ロボット(RT1〜RTn)の端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、停止(オン/オフ含む)、およびその他の安全情報が含まれている。
【0075】
その一方、各移動ロボット(RT1〜RTn)から停止スイッチ(Estop)に対しては、図7の下側に示すようなデータ送信(レスポンス)が行われる。このレスポンスには、当該停止スイッチの端末ID、ロボットの端末ID、自己診断情報(無線通信状態などを含む)、およびその他の安全情報が含まれている。なお、図7では、ロボット(RT1)から停止スイッチへのレスポンスの伝送メッセージのみが記載されているが、他のロボット(RT2〜RTn)からのレスポンスについても同様の伝送メッセージが含まれている。
【0076】
この場合、各停止スイッチがそれぞれグループIDを有しており、各停止スイッチは、それぞれの制御対象領域内の複数の移動ロボットに対して当該グループIDを用いて一度に通信が行う。したがって、当該制御対象領域内の各移動ロボットは、停止スイッチから同一のグループIDを受け取ることで、同一のグループに属することになる。
【0077】
このようなブロードキャスト方式の場合には、ポーリング方式のように移動ロボットごとにリクエストおよびレスポンスを1セットとした処理を行う必要がなく、停止スイッチ(Estop)から各移動ロボット(RT1〜RTn)へのリクエストは一度に行われる。そして、レスポンスの処理が完了した移動ロボットに対しては、停止スイッチとの間の通信が正常に行われたことになる。
【0078】
〔停止スイッチ側の通信処理スレッドの第1の実施例〕
図8ないし図10は、停止スイッチ側の通信処理スレッドの第1の実施例を示している。図8は通信処理スレッドのメインのフローチャートを、図9は図8におけるロボット進入検知処理のサブルーチンを、図10は図8におけるロボット通信処理のサブルーチンをそれぞれ示している。
【0079】
プログラムがスタートすると、まず、図8のステップS1において、制御対象領域(エリア)内への移動ロボットの進入検知処理を行うサブルーチンが実行される。このサブルーチンについて図9を用いて説明する。
【0080】
図9のステップT1では、停止スイッチが移動ロボット(RT)の情報を受け取る。制御対象領域に進入しまたは制御対象領域から退出した移動ロボットの情報は、上述した前記第1、第2の実施例では、当該制御対象領域に対応するRFIDタグリーダ5a〜5eで読み取られ、前記第3の実施例では無線サーバ6a〜6eで読み取られ、前記第4、第5の実施例では停止スイッチ2a〜2dで読み取られる。読み取られた情報は、前記第1、第3の実施例では無線サーバ6a〜6eにより、前記第2の実施例ではケーブル7を介して、前記第4、第5の実施例では直接、当該制御対象領域の停止スイッチに入力される。
【0081】
次に、ステップT2では、ステップT1で受け取った情報に基づいて、エリア内に存在する移動ロボット(RT)の登録リストの更新を行う。すなわち、エリア内に新たに移動ロボットが進入していれば、当該移動ロボットを登録リストに追加し、また、エリアから移動ロボットが退出していれば、当該移動ロボットを登録リストから削除する。
【0082】
次に、ステップT3では、更新された登録リストが更新前の前回の登録リストに対して差があるか否かを判断する。ステップT3での判断が「Yes」となれば、プログラムはステップT4に移行する。ステップT4では、登録リストに新たに追加された移動ロボットと通信接続処理を実行する。通信接続処理が完了すれば、当該移動ロボットに対して停止スイッチが有効となる。次に、ステップT5では、登録リストから新たに削除された移動ロボットとの通信接続を解除する。通信接続が解除されれば、当該移動ロボットに対して停止スイッチが無効にされる。ステップT5での処理後、プログラムは図8のメインルーチンに戻る。同様に、ステップT3での判断が「No」となった場合も、プログラムは図8のメインルーチンに戻る。
【0083】
図8において、ステップS1におけるロボット進入検知処理のサブルーチンが終了すれば、ステップS2に移行する。ステップS2では、接続された移動ロボットとの通信処理を行うサブルーチンが実行される。この通信処理のサブルーチンについて図10を用いて説明する。
【0084】
図10のステップU1では、停止スイッチ(SW)が押されたか否かが判断される。停止スイッチが押されたと判断されれば、ステップU2に移行する。ステップU2では、移動ロボット(RT)の登録リスト(RTリスト)にある全ての移動ロボットに対して停止信号を送信する。ステップU2での処理後、プログラムは図8のメインルーチンに戻る。ステップU1での判断が「No」となった場合は、ステップU3に移行する。ステップU3では、移動ロボット(RT)の登録リスト(RTリスト)にある全ての移動ロボットと安全確認信号を交信する。ステップU3での処理後、プログラムは図8のルーチンに戻る。図8では、ステップS1およびS2の処理を繰り返し行う。
【0085】
〔停止スイッチ側の通信処理スレッドの第2の実施例〕
図11は、停止スイッチ側の通信処理スレッドの第2の実施例を示している。この第2の実施例は、接続された移動ロボットとの通信処理のサブルーチンを実行するメイン処理において、制御対象領域内に新たに別の移動ロボットが進入してきた場合の割り込み処理に関する。
【0086】
図11のメイン処理におけるステップV1では、接続された移動ロボットとの通信処理のサブルーチンが実行されている。このサブルーチンは、上述した図10におけるサブルーチンと同様である。このサブルーチンの処理後、進入検知センサから移動ロボットの検知信号が発生すると、プログラムは、図11中の割り込み処理に移行する。この割り込み処理では、ステップV2において、エリア内への移動ロボット進入検知処理のサブルーチンが実行される。このサブルーチンは、上述した図9におけるサブルーチンと同様である。当該サブルーチンの処理後、プログラムはメイン処理に戻る。
【0087】
この場合には、例えば、ステップV1でのサブルーチンの実行中に、停止スイッチが押されて、エリア内の全ての移動ロボットが停止している最中に、当該エリア内に別の移動ロボットが新たに進入してきたとき、停止スイッチが当該移動ロボットの情報を受け取って新たに登録リストに登録し、当該移動ロボットに対して停止スイッチを有効にする。このとき、停止スイッチが押されている状態なので、新たに進入した移動ロボットは、当該エリアに進入すると同時に停止することになる。このようにして、エリア内の安全性を向上できる。
【0088】
〔移動ロボット側の制御フローの一例〕
図12は、移動ロボット側の制御フローチャートの一例を示しており、通信エラー発生時の処理に関する。
【0089】
図12のステップW1では、停止スイッチから受信した受信メッセージが有るか否か判断される。受信メッセージが受信されれば、ステップW2に移行する。ステップW2では、受信メッセージが正常か否か判断される。受信メッセージが正常であれば、ステップW3に移行する。ステップW3では、受信メッセージが停止信号か否か判断される。停止信号であれば、ステップW4に移行して、停止処理が実行される。この停止処理では、移動ロボットの駆動回路の動力が遮断される。ステップW4での処理後、ステップW5に移行する。ステップW5では、リセット信号の入力によりリセット処理がなされたか否か判断される。リセット処理がされれば、プログラムはステップW1に戻る。
【0090】
その一方、ステップW2において、受信メッセージが正常でないと判断されれば、ステップW6に移行する。ステップW6では、移動ロボットの駆動回路の動力が遮断される。また、ステップW3において、受信メッセージが停止信号でないと判断されれば、ステップW7に移行する。ステップW7では、停止スイッチに対してレスポンス処理(図6、図7参照)を行う。ステップW6、W7での処理後、プログラムはステップW1に戻る。
【0091】
この場合には、受信メッセージが正常でない場合のような通信エラー発生時に移動ロボットを停止させることができ、エリア内の安全性を確保できるとともに、通信エラーの解除後には、移動ロボットを自動復帰させることができる。
【0092】
〔安全制御システムの変形例〕
図13は、本発明の変形例による安全制御システムを示している。なお、同図において、前記各実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0093】
図13に示すように、制御対象領域A、B間の出入口には、停止スイッチ2aの他に非常停止スイッチ2a’が設置されており、同様に、制御対象領域B、C間の出入口には停止スイッチ2bおよび非常停止スイッチ2b’が、制御対象領域C、D間の出入口には停止スイッチ2cおよび非常停止スイッチ2c’が、制御対象領域D、E間の出入口には停止スイッチ2dおよび非常停止スイッチ2d’がそれぞれ設置されている。これらの非常停止スイッチ2a’、2b’、2c’、2d’は、緊急時にすべての制御対象領域内のすべての移動ロボットを非常停止させるためのものである。これに対して、上述した停止スイッチは、対応する制御対象領域内に存在する移動ロボットに対してのみ有効となる。
【0094】
図13において、例えば停止スイッチ2cは、制御対象領域C、Dに存在する移動ロボットに対して有効となるが、例えば非常停止スイッチ2c’は、すべての制御対象領域A〜E内のすべての移動ロボットに対して有効となる。したがって、図13に示す状態から、停止スイッチ2cを押してもどの移動ロボットも停止しないが、非常停止スイッチ2c’を押すと、すべての移動ロボットが停止する。同様に、例えば停止スイッチ2dを押すと、移動ロボット10dのみが停止するが、非常停止スイッチ2d’を押すと、すべての移動ロボットが停止する。
【0095】
なお、各移動ロボット10は、電源が投入されても、任意の安全無線機器と接続されない限り、動作しない仕様になっている。一旦、安全無線機器と接続して安全が確認された移動ロボット10は動作が可能になるが、各安全無線機器は互いに通信を行っており、このため、結果的に、安全が確認された移動ロボット10に対しては、すべての非常停止スイッチが有効となる。
【0096】
また、いずれの停止スイッチ2a、2b、2c、2dについても、各制御対象領域に進入した各移動ロボットに対して有効化処理される手順は、上述した各実施例の場合と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、移動ロボット等の移動体の安全制御システムに好適であり、とくに、移動体の安全制御を無線で行うシステムに適している。
【符号の説明】
【0098】
1: 安全制御システム
2a、2b、2c、2d: 停止スイッチ
2a’、2b’、2c’、2d’: 非常停止スイッチ
4a、4b、4c、4d、4e: アンテナ(検知手段)
10: 移動ロボット
A、B、C、D、E: 制御対象領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開平10−126866号公報(段落[0012]参照)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動を安全に制御するための安全制御システムであって、
制御対象領域に対応して設置され、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチと、
制御対象領域に進入する移動体を検知する検知手段と、
検知手段で検知された移動体に対して無線操作スイッチを有効にするとともに、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させるよう制御する制御部と、
を備えた安全制御システム。
【請求項2】
移動体の移動を安全に制御するための安全制御方法であって、
制御対象領域に進入する移動体を検知する工程と、
無線により移動体を操作するための無線操作スイッチを、進入を検知された移動体に対して有効にする工程と、
無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させる工程と、
を備えた安全制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
制御対象領域から退出する移動体を検知するとともに、当該移動体に対応する無線操作スイッチを無効にする工程をさらに備えた、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項4】
請求項2において、
無線操作スイッチがそれぞれグループIDを有しており、無線操作スイッチは、制御対象領域内の複数の移動体に対して当該グループIDを用いたブロードキャスト方式の通信により有効にされている、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項5】
請求項2において、
無線操作スイッチの操作により制御対象領域内の移動体が停止している際に当該制御対象領域内に進入してくる別の移動体を検知し、当該別の移動体に対して無線操作スイッチを有効にして当該別の移動体を停止させるようにした、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項1】
移動体の移動を安全に制御するための安全制御システムであって、
制御対象領域に対応して設置され、無線により移動体を操作するための無線操作スイッチと、
制御対象領域に進入する移動体を検知する検知手段と、
検知手段で検知された移動体に対して無線操作スイッチを有効にするとともに、無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させるよう制御する制御部と、
を備えた安全制御システム。
【請求項2】
移動体の移動を安全に制御するための安全制御方法であって、
制御対象領域に進入する移動体を検知する工程と、
無線により移動体を操作するための無線操作スイッチを、進入を検知された移動体に対して有効にする工程と、
無線操作スイッチの操作に基づいて当該無線操作スイッチに対応する移動体を停止させる工程と、
を備えた安全制御方法。
【請求項3】
請求項2において、
制御対象領域から退出する移動体を検知するとともに、当該移動体に対応する無線操作スイッチを無効にする工程をさらに備えた、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項4】
請求項2において、
無線操作スイッチがそれぞれグループIDを有しており、無線操作スイッチは、制御対象領域内の複数の移動体に対して当該グループIDを用いたブロードキャスト方式の通信により有効にされている、
ことを特徴とする安全制御方法。
【請求項5】
請求項2において、
無線操作スイッチの操作により制御対象領域内の移動体が停止している際に当該制御対象領域内に進入してくる別の移動体を検知し、当該別の移動体に対して無線操作スイッチを有効にして当該別の移動体を停止させるようにした、
ことを特徴とする安全制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−3078(P2011−3078A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146646(P2009−146646)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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