説明

安全快適運転支援システムおよび安全快適運転支援センタ

【課題】運転者が安全で快適な運転ができるように支援する。
【解決手段】車両2に備えられるナビゲーション装置21と、安全快適運転支援センタ1とを備え、ナビゲーション装置21は、車両2の運転または挙動に関する運転挙動情報を車両2から収集し、収集された運転挙動情報を安全快適運転支援センタ1へ送信する。安全快適運転支援センタ1は、受信部11で運転挙動情報を受信し、安全快適運転DB16に記憶される模範運転者の運転挙動情報と比較部12が比較する。比較結果に基づいて採点部13で運転の評価を行い、指摘部14で運転に関する指摘内容を作成する。受信部11で受信した運転挙動情報と、採点部13の評価と、指摘部14が作成した指摘内容とを評価情報として運転挙動DB17に記憶する。記憶した評価情報は、送信部15を介して運転者のパソコンなどの情報表示端末3へ送信し、提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全で快適な運転を支援するための安全快適運転支援システムと安全快適運転支援センタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、自車両周辺にある車両や障害物に関する情報に基づいて、燃費効率に対する運転操作の状態を報知することができるエコドライブ支援装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−151115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明は、燃費効率に関する報知により燃費面に関する運転支援を行うことができるが、乗員の快適面に関する運転支援を行うものではなかった。本発明の目的は、運転者が安全で快適な運転ができるように支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である安全快適運転支援システムは、車両に搭載されたナビゲーション装置と、ナビゲーション装置と通信可能な通信センタとからなる安全快適運転支援システムであって、ナビゲーション装置は、車両の運転または挙動に関する運転挙動情報を当該車両から収集する運転挙動情報収集手段と、運転挙動情報収集手段により収集された運転挙動情報を通信センタへ送信する運転挙動情報送信手段とを備え、通信センタは、運転挙動情報送信手段により送信された運転挙動情報を受信する運転挙動情報受信手段と、模範運転の運転挙動情報を記憶する模範運転記憶手段と、運転挙動情報受信手段により受信した運転挙動情報と、模範運転記憶手段に記憶している運転挙動情報とを比較し、車両の運転に関する評価情報を作成する評価情報作成手段と、評価情報作成手段により作成された評価情報を記憶する評価情報記憶手段と、評価情報記憶手段により記憶した評価情報を、車両の運転者に提供する評価情報提供手段とを備えることを特徴とする。
本発明の別の一態様である安全快適運転支援センタは、車両の運転または挙動に関する運転挙動情報を車両から受信する運転挙動情報受信手段と、模範運転の運転挙動情報を記憶する模範運転記憶手段と、運転挙動情報受信手段により受信した運転挙動情報と、模範運転記憶手段に記憶している運転挙動情報とを比較し、車両の運転に関する評価情報を作成する評価情報作成手段と、評価情報作成手段により作成された評価情報を記憶する評価情報記憶手段と、評価情報記憶手段により記憶した評価情報を、車両の運転者に提供する評価情報提供手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
運転者が安全で快適な運転ができるように支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による安全快適運転支援システムの全体構成を示すブロック図の一例である。
【図2】安全快適運転DBのデータ構造の一例である。
【図3】運転挙動DBのデータ構造の一例である。
【図4】本発明の一実施の形態による車両からの安全挙動データの送信処理に関するフローチャートの一例である。
【図5】本発明の一実施の形態による車両からの安全挙動データの送信処理に関するフローチャートの一例である。
【図6】本発明の一実施の形態による車両からの安全挙動データの送信処理に関するフローチャートの一例である。
【図7】本発明の一実施の形態による車両からの安全挙動データを評価する安全快適運転支援システムの処理に関するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による安全快適運転支援システムは、乗用車等の車両の運転を模範運転との比較により評価し、運転者が安全運転および快適運転を行えるようにアドバイスする。ここで、快適運転とは、運転者を含む乗員が不快に感じる加減速が少ない運転のことをいう。安全快適運転支援システムについて図を用いて説明する。
【0009】
図1は、本発明による安全快適運転支援システムの構成を説明するためのブロック図である。本発明による安全快適運転支援システムは、安全快適運転支援センタ1と、一または複数の車両2に備えられたナビゲーション装置21とを備える。安全快適運転支援センタ1と車両2とは、インターネット回線網や携帯電話網などの通信回線網4を介して通信できる。図1の情報表示端末3は、複数の車両2の運転者が使用するパソコン、携帯電話などであって、文字や画像などで提供される情報を出力表示する機能を有する。
【0010】
車両2は、ナビゲーション装置21と、速度センサ22と、ハンドル角センサ23と、ブレーキ24と、距離計25と、CAN(Cotroller Area Network)26とを備える。ナビゲーション装置21には、速度センサ22からの車速情報と、ハンドル角センサ23からの舵角情報と、ブレーキ24からのON/OFF信号と、距離計25から走行距離情報と、GPSアンテナ27が受信したGPS信号とを含む車両2の運転または挙動に関する情報が入力される。さらにナビゲーション装置21は、CAN26からも車両2の運転または挙動に関する情報を入手可能である。ナビゲーション装置21は、車両2の運転者を識別するための情報(たとえば、ユーザID)と、地図データとを不図示の記憶装置に記憶している。
【0011】
ナビゲーション装置21は、走行距離情報やGPS信号などの車両2の運転または挙動に関する情報と、地図データとに基づいて公知のマップマッチング処理を行い、車両2の正確な位置を算出する。ナビゲーション装置21は、車両2の位置が交差点や曲がり道、踏切、立体交差など、車両2の運転に変化が生じると予測される地点から所定の距離の範囲内に到達すると、車両2の運転または挙動に関する情報の記録を開始する。以降、交差点や踏切、立体交差などのような車両2の運転に変化が生じると予測される地点のことを記録対象地点と称し、記録対象地点から所定の距離離れた記録を開始する位置のことを起点位置と称する。ナビゲーション装置21は、車両2の運転または挙動に関する情報を所定時間が経過するごとに不図示の記憶装置に記憶し続け、車両2が記録対象地点を通過したとき記録を終了する。ナビゲーション装置21は、記録対象地点に関する運転または挙動に関する情報の記録が終了すると、車両2の運転者を表す情報と、起点位置を表す情報と、記録した運転または挙動に関する情報とを、通信端末28を介して送信する。以降、これらの起点位置を表す情報と、車両の運転または挙動に関する情報とを含む情報のことを運転挙動情報と称する。特に車両2に関する運転または挙動に関する情報のことを車両2の運転挙動情報と称する。
【0012】
安全快適運転支援センタ1は、サーバ装置を備える通信センタであって、受信部11と、比較部12と、採点部13と、指摘部14と、送信部15と、安全快適運転DB(Data Base)16と、運転挙動DB17とを備える。また、安全快適運転支援センタ1は、安全快適運転支援センタ1を利用するユーザの情報を記憶する不図示のユーザ登録DBと、ナビゲーション装置21と同じ地図データとをさらに有している。
【0013】
安全快適運転支援センタ1の受信部11は、通信回線網4を介して、後述する運転挙動情報を車両2から受信する。受信部11が受信した運転挙動情報は、比較部12において安全快適運転DB16に記憶される模範運転の運転挙動情報と比較される。採点部13は、比較部12の比較結果に基づいて、車両2の運転者の運転に対する評価点を算出する。指摘部14は、比較部12の比較結果に基づいて、車両2の運転者に対してアドバイスする指摘内容を作成する。採点部13の算出結果と、指摘部14の作成した指摘結果は、評価情報として運転挙動DB17に記憶される。送信部15は、運転挙動DB17に記憶された評価情報を車両2のナビゲーション装置21や運転者が使用する情報表示端末3へ送信する。
【0014】
図2は、安全快適運転DB16のデータ構造を示す。安全快適運転DB16には、模範運転の運転挙動情報が記憶されており、記録対象地点の種別や記録対象地点における運転操作種別などによってフォルダ分けされている。図2(a)に示す安全快適運転DB16の一例では、交差点等右左折フォルダ71と、交差点車線変更フォルダ72と、交差点直進フォルダ73と、踏切フォルダ74と、立体交差フォルダ75という五つのフォルダにフォルダ分けされている。
【0015】
図2(a)の交差点等右左折フォルダ71には、交差点または曲がり道で右左折するときの模範運転の運転挙動情報が記憶されている。交差点車線変更フォルダ72には、交差点周辺で車線変更するときの模範運転の運転挙動情報が記憶される。交差点直進フォルダ73には、交差点を直進するときの模範運転の運転挙動情報が記憶される。踏切フォルダ74には、踏切周辺での模範運転の運転挙動情報が記憶される。立体交差フォルダ75には、立体交差周辺での模範運転の運転挙動情報が記憶される。
【0016】
図2(b)は、交差点等右左折フォルダ71と、交差点車線変更フォルダ72と、交差点直進フォルダ73に記憶される模範運転の運転挙動情報のデータフォーマットである。図2(b)のデータフォーマットは、ヘッダ部711と運転履歴部712とを有する。ヘッダ部711には、起点位置の位置情報が記憶されている。運転履歴部712には、起点位置から記録開始地点の通過までの間の模範的な運転に関する情報が記憶されている。
【0017】
図2(b)の運転履歴部712は、履歴番号列712aと、経過時間列712bと、ブレーキの踏み位置列712cと、車両速度列712dと、ハンドルの舵角情報列712eとを有する。履歴番号列712aは、運転履歴部712に記憶される情報の通し番号である。経過時間列712bは、記録開始からの経過時間を表す。経過時間列712bのデータは、所定時間刻みとなっていることが望ましく、この所定時間のことを以降、所定刻み時間と称する。ブレーキの踏み位置列712cには、ブレーキ24を踏むべき場所の位置情報(たとえば、緯度経度)を表す。車両速度列712dには、経過時間列712bの時間だけ経過したときの車両の理想的な速度が記憶される。ハンドルの舵角情報列712eには、経過時間列712bの時間だけ経過したときの車両のハンドルの理想的な舵角情報が記憶される。
【0018】
車両2のナビゲーション装置21が安全快適運転支援センタ1へ送信する運転挙動情報も図2(b)と同様のデータフォーマットを有する。ナビゲーション装置21が作成する運転挙動情報は、「模範的な運転」ではなく、車両2に対して行われた運転について作成される。
【0019】
図2(c)は、踏切フォルダ74と、立体交差フォルダ75に記憶される模範運転の運転挙動情報のデータフォーマットである。図2(c)のデータフォーマットでは、ヘッダ部741と運転履歴部742とを有する。ヘッダ部741には、起点位置の位置情報が記憶される。運転履歴部742には、起点位置から記録開始地点通過までの間の模範的な運転に関する情報が記憶されている。
【0020】
図2(c)の運転履歴部742には、履歴番号列742aと、経過時間列742bと、ブレーキの踏み位置列742cと、車両速度列742dとを有する。履歴番号列742aは、運転履歴部742に記憶される情報の通し番号である。経過時間列742bのデータも、前述の所定刻み時間刻みとなっていることが望ましい。経過時間列742bは、記録開始からの経過時間を表す。経過時間は、所定時間刻みとなっていることが望ましい。ブレーキの踏み位置列742cには、ブレーキ24を踏むべき場所の位置情報(たとえば、緯度経度)を表す。車両速度列742dには、経過時間列742bの時間だけ経過したときの車両の理想的な速度が記憶される。
【0021】
図3は、運転挙動DB17に記憶されるデータ構造を示す。図3(a)に示すように、運転挙動DB17についても安全快適運転DB16と同様に、交差点等右左折フォルダ81と、交差点車線変更フォルダ82と、交差点直進フォルダ83と、踏切フォルダ84と、立体交差フォルダ85という五つのフォルダに分けられている。
【0022】
図3(b)は、交差点等右左折フォルダ81と、交差点車線変更フォルダ82と、交差点直進フォルダ83に記憶される情報のデータフォーマットである。図3(b)のデータフォーマットは、ヘッダ部811と、評価情報記録部812とを有する。ヘッダ部811には、起点位置の位置情報を記憶する起点位置情報記憶部811aのほかに、運転者を識別するための情報を記憶する運転者ID部811bを有する。
【0023】
図3(b)の評価情報記録部812は、記録番号列812aと、経過時間列812bと、ブレーキ踏み位置列812cと、車両速度列812dと、ハンドルの舵角情報列812eと、評価点列812fと、指摘内容列812gとを有する。記録番号列812aは、評価情報記録部812に記憶される情報の通し番号が振られる。経過時間列812bには、車両2が起点位置に到達後の経過時間が記憶される。ブレーキ踏み位置列812cには、車両2の運転者がブレーキ24を踏んだときの車両2の位置情報が記憶されている。経過時間列812bに記憶されている時間だけ経過した際にブレーキ24が踏まれている(ブレーキ信号がONである)と、そのときの車両2の位置情報がブレーキ踏み位置列812cに記憶されている。車両速度列812dには、経過時間列812bの時間だけ経過したときの車両2の速度が記憶される。ハンドルの舵角情報列812eには、経過時間列812bの時間だけ経過したときの車両2のハンドルの舵角情報が記憶される。評価点列812fには、評価情報記録部812の各項目について採点部13が算出した評価値が記憶される。指摘内容表示列812gには、評価情報記録部812の各項目について指摘部14が作成した指摘結果が記憶される。
【0024】
図3(c)は、踏切フォルダ84および立体交差フォルダ85に記憶される情報のデータフォーマットである。図3(c)のデータフォーマットは、ヘッダ部841と、評価情報記録部842とを有する。ヘッダ部841には、起点位置の位置情報を記憶する起点位置情報記憶部841aのほかに、運転者を識別するための情報を記憶する運転者ID部841bを有する。
【0025】
図3(c)の評価情報記録部842は、記録番号列842aと、経過時間列842bと、ブレーキ踏み位置列842cと、車両速度列842dと、評価点列842fと、指摘内容列842gとを有する。記録番号列842aは、評価情報記録部842に記憶される情報の通し番号が振られる。経過時間列842bには、車両2が起点位置に到達後の経過時間が記憶される。ブレーキ踏み位置列842cには、車両2の運転者がブレーキ24を踏んだときの車両2の位置情報が記憶されている。経過時間列842bに記憶されている時間だけ経過した際にブレーキ24が踏まれている(ブレーキ信号がONである)と、そのときの車両2の位置情報がブレーキ踏み位置列842cに記憶されている。車両速度列842dには、経過時間列842bの時間だけ経過したときの車両2の速度が記憶される。評価点列842fには、評価情報記録部842の各項目について採点部13が算出した評価値が記憶される。指摘内容表示列842gには、評価情報記録部842の各項目について指摘部14が作成した指摘結果が記憶される。
【0026】
図4から図6に示すフローチャートは、ナビゲーション装置21が実行する処理であって、運転挙動情報を安全快適運転支援センタ1に送信するための処理の一例を示す。図4のステップS101では、ナビゲーション装置21は、マップマッチング処理などにより車両2の位置を算出する。ステップS102では、ナビゲーション装置21は、算出された車両2の位置が起点位置に到達したか否かを判定する。すなわち、車両2の位置が記録対象地点から所定距離の範囲内に到達したか否かを判定する。車両2が起点位置に到達するまでステップS102に留まり、起点位置に到達したらステップS103に処理を進める。ステップS103では、ナビゲーション装置21は、到達した起点位置の情報を記憶する。ステップS104では、ナビゲーション装置21は、到達した起点位置に対応する記録対象地点が交差点または曲がり角か否かを判定する。交差点または曲がり道である場合は、処理を図5のステップS201に進める。交差点でも曲がり道でもない場合は、処理を図6のステップS301に進める。
【0027】
図5のステップS201では、ナビゲーション装置21は、起点位置に到達後の経過時間と、ブレーキ24の踏み位置と、車両2の速度と、ハンドルの舵角との記録を開始する。ナビゲーション装置21は、記録を開始した後は、所定時間が経過するたびに経過時間と、ブレーキ24の踏み位置と、車両2の速度と、ハンドルの舵角を記録する。経過時間は、GPS信号などに基づいて算出すればよい。所定時間は、前述の所定刻み時間と同一であることが望ましい。ブレーキ24の踏み位置は、ブレーキ24からON信号が出力されたときの車両2の現在位置をマップマッチング処理により算出する。車両2の速度は、速度センサ22から入力される速度情報に基づいて記録する。ハンドルの舵角は、ハンドル角センサ23から入力される舵角情報に基づいて記録する。
【0028】
図5のステップS202では、ナビゲーション装置21は、車両2の速度が零になったか否かを判定する。すなわち、車両2が駐停車したか否かを判定する。車両2の速度が零になった場合は、処理をステップS203に進めステップS201で開始した記録を一時的に中断する。車両2の速度が零でなくなった場合は、処理をステップS204に進めステップS203で中断していた記録を再開する。ステップS205では、ナビゲーション装置21は、車両2が記録対象地点に到達したか否かを判定する。車両2が記録対象地点に到達した場合は処理をステップS206に進め、到達していない場合はステップS202に戻る。
【0029】
図5のステップS206では、ナビゲーション装置21は、記録対象地点に到達するまでの間に記憶した運転挙動情報のハンドルの舵角情報列の項目の中から最大値を抽出し、交差点等で行った運転操作を判別する。この判別結果の情報に基づいて、安全快適運転支援センタ1の比較部12が比較の対象とする運転挙動情報を記憶している安全快適運転DB16のフォルダを選択する。たとえば、ハンドルの舵角情報列の項目が車両2を右左折させるほど大きいときは、交差点等右左折フォルダ71を選択する。また、ハンドルの舵角情報列の項目が略零であるときは、交差点直進フォルダ73を選択する。それ以外のときは、交差点車線変更フォルダ72を選択する。ステップS207では、ナビゲーション装置21は、車両2の運転挙動情報をステップS206で選択した情報と共に安全快適運転支援センタ1へ送信する。ナビゲーション装置21は、車両2の運転挙動情報を安全快適運転支援センタ1へ送信したら、図4のステップS101に戻る。
【0030】
図6のステップS301では、ナビゲーション装置21は、起点位置に到達後の経過時間と、ブレーキ24の踏み位置と、車両2の速度との記録を開始する。ナビゲーション装置21は、記録を開始した後は、所定時間が経過するたびにブレーキ24の踏み位置と、車両2の速度とを記録する。図6のステップS302では、ナビゲーション装置21は、車両2の速度が零になったか否かを判定する。すなわち、車両2が駐停車したか否かを判定する。車両2の速度が零になった場合は、処理をステップS303に進めステップS301で開始した記録を一時的に中断する。車両2の速度が零でなくなった場合は、処理をステップS304に進めステップS303で中断していた記録を再開する。ステップS305では、ナビゲーション装置21は、車両2が記録対象地点に到達したか否かを判定する。車両2が記録対象地点に到達した場合は処理をステップS306に進め、到達していない場合はステップS302に戻る。ステップS307では、ナビゲーション装置21は、運転挙動情報を安全快適運転支援センタ1へ送信する。ナビゲーション装置21は、車両2の運転挙動情報を安全快適運転支援センタ1へ送信したら、図4のステップS101に戻る。
【0031】
図7に示すフローチャートは、安全快適運転支援センタ1が受信した車両2の運転挙動情報に基づいて評価情報を作成し、運転挙動DB17に記憶するための処理の一例を示す。図7の処理は、車両2から送信されてきた運転挙動情報を受信部11が受信したときに開始される。
【0032】
図7のステップS401では、安全快適運転支援センタ1の比較部12は、受信部11で受信した車両2の運転挙動情報に基づいて、対応する模範運転の運転挙動情報を安全快適運転DB16から読み出す。なお、記録対象交差点が交差点等の場合は、ナビゲーション装置21が図5のステップS206で判別した安全快適運転DB16のフォルダから模範運転の運転挙動情報を読み出す。
【0033】
図7のステップS402からステップS405では、比較部12は、受信部11で受信した車両2の運転挙動情報と、ステップS401で読み出した模範運転の運転挙動情報とを比較する。比較部12は、車両2の運転挙動情報の各経過時間ごとにステップS401で読み出した模範運転の運転挙動情報を検索し、経過時間列712bまたは経過時間列742bの中から経過時間が一致する項目を比較対象として抽出する。ステップS402では、比較部12は、ブレーキ24の踏み位置について比較対象を抽出し、車両2の運転挙動情報にそれぞれ含まれるブレーキ24の踏み位置と、模範運転の運転挙動情報の各比較対象のブレーキの踏み位置との間の距離を算出する。ステップS403では、比較部12はステップS402と同様に、車両の速度について車両2の運転挙動情報と模範運転の運転挙動情報とを比較し、車両2の速度と模範運転の速度の差を算出する。
【0034】
ステップS404では、比較部12は、受信部11で受信した車両2の運転挙動情報に対応する記録対象地点が交差点または曲がり道に関するものであるか否かを判定する。これは、たとえばステップS206で判別した安全快適運転DB16のフォルダの情報が有るか否かに基づいて判断してもよい。比較部12は、受信部11で受信した車両2の運転挙動情報に対応する記録対象地点が交差点または曲がり道であれば処理をステップS405に進め、交差点または曲がり道でなければ処理をステップS406に進める。ステップS405では、比較部12はステップS402と同様に、ハンドルの舵角について車両2の運転挙動情報と模範運転の運転挙動情報とを比較し、車両2のハンドルの舵角と模範運転のハンドルの舵角の差を算出する。
【0035】
図7のステップS406では、採点部13は、比較部12がステップS402と、ステップS403と、ステップS405とで算出した算出結果それぞれに基づいて、車両2の運転者の運転の評価値を算出する。たとえば、ステップS402で算出した二つのブレーキの踏み位置間の距離に基づいた点数と、ステップS403で算出した速度の差に基づいた点数と、ステップS405で算出した舵角の差に基づいた点数とを100点から減ずることにより算出する。
【0036】
図7のステップS407では、指摘部14は、比較部12がステップS402と、ステップS403と、ステップS405とで算出した算出結果それぞれに基づいて、車両2の運転者の運転に対する指摘内容を作成する。たとえば、ブレーキ24の踏み位置が記録対象地点よりに大きくずれている場合は、「ブレーキを踏むタイミングが遅いです。」という指摘内容を作成する。急ブレーキにより車両2の速度が模範運転より大きく減少し、模範運転の速度との差が大きくなった場合は「急ブレーキは止めましょう。」などの指摘内容を作成する。
【0037】
図7のステップS408では、安全快適運転支援センタ1は、受信部11で受信した運転挙動情報と、採点部13で算出した評価値と、指摘部14で作成した指摘内容とに基づいて評価情報を作成し、運転挙動DB17に記憶する。安全快適運転支援センタ1は、運転挙動DB17に評価情報が記憶されたら図7の処理を終了する。
【0038】
以上説明した各実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
本発明の安全快適運転支援システムは、ナビゲーション装置21をそれぞれ備える複数の車両2と、ナビゲーション装置21と通信可能な安全快適運転支援センタ1とを備え、ナビゲーション装置21は、車両2の運転または挙動に関する運転挙動情報を車両2から入力され、入力された運転挙動情報を安全快適運転支援センタ1へ送信する。安全快適運転支援センタ1は、受信部11で運転挙動情報を受信し、安全快適運転DB16に記憶される模範運転者の運転挙動情報と比較部12が比較する。比較結果に基づいて採点部13で運転の評価を行い、指摘部14で運転に関する指摘内容を作成する。受信部11で受信した運転挙動情報と、採点部13の評価と、指摘部14が作成した指摘内容とを評価情報として運転挙動DB17に記憶する。記憶した評価情報は、送信部15を介して運転者のパソコンなどの情報表示端末3へ送信し、提供する。これにより、運転者が安全で快適な運転ができるように支援することができる。
【0039】
以上の各実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
〔1〕上記の実施の形態では、安全快適運転DB16は、予め安全快適運転支援センタ1に記憶されたものとしたが、模範運転者の運転する車両から受信した運転挙動情報に基づいてリアルタイムに更新できることにしてもよい。ここでいう模範運転者とは、たとえばタクシードライバーや、優良運転者免許証保有者で免許保有年数が一定年数以上の運転者、第二種運転免許保有者などでよい。模範運転者は、安全快適運転支援センタ1において模範運転者として不図示のユーザ登録DBに登録されることにすればよい。受信部11は、運転挙動情報を受信したとき、送信したナビゲーション装置21のユーザが模範運転者として登録されているか否かを判定し、登録されている場合は安全快適運転DB16の運転挙動情報として記憶することにしてもよい。また、タクシードライバーを模範運転手とする場合、ナビゲーション装置21を搭載したタクシーに客を乗せて走行しているとき(賃走中)に限定してもよい。賃走中か否かはナビゲーション装置21により判断すればよく、たとえばナビゲーション装置21がタクシーメータに接続されており、タクシーメータから賃走中か否かの情報を入力することにすればよい。
【0040】
〔2〕上記の実施の形態では、安全快適運転DB16や、運転挙動DB17に記憶される情報のデータフォーマットは、図2や図3のものだけに限定しない。たとえば、経過時間列712bの各経過時間のときの車両の位置情報を運転履歴部712に追加で記憶することにしてもよい。また、上記の実施の形態では、安全快適運転DB16の交差点等右左折フォルダ71と、踏切フォルダ74とで異なるデータフォーマットとしたが、同一のデータフォーマットでもよい。さらに、上記の実施の形態では、安全快適運転DB16は、記録対象地点の種別や記録対象地点における運転操作種別によってフォルダ分けして記憶することにしたが、記録対象地点の種別や記録対象地点における運転操作種別をデータフォーマットのヘッダ部に記憶することとしてフォルダ分けしないことにしてもよい。
【0041】
〔3〕図5のステップS201では、ナビゲーション装置21は、所定時間が経過するたびに運転挙動情報の各内容を記録することとした。しかし、所定時間刻みではなく、車両2が所定距離走行するたびに記録することにしてもよい。このとき、安全快適運転DB16や、運転挙動DB17に記憶される運転挙動情報も所定距離刻みで記憶されることが望ましい。
【0042】
以上で説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0043】
1 安全快適運転支援センタ
11 受信部
12 比較部
13 採点部
14 指摘部
15 送信部
16 安全快適運転DB
17 運転挙動DB
2 車両
21 ナビゲーション装置
22 速度センサ
23 ハンドル角センサ
24 ブレーキ
25 距離計
26 CAN
27 GPSアンテナ
28 通信端末
3 情報表示端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたナビゲーション装置と、前記ナビゲーション装置と通信可能な通信センタとからなる安全快適運転支援システムであって、
前記ナビゲーション装置は、
前記車両の運転または挙動に関する運転挙動情報を当該車両から収集する運転挙動情報収集手段と、
前記運転挙動情報収集手段により収集された運転挙動情報を前記通信センタへ送信する運転挙動情報送信手段と、
を備え、
前記通信センタは、
前記運転挙動情報送信手段により送信された運転挙動情報を受信する運転挙動情報受信手段と、
模範運転の運転挙動情報を記憶する模範運転記憶手段と、
前記運転挙動情報受信手段により受信した運転挙動情報と、前記模範運転記憶手段に記憶している運転挙動情報とを比較し、前記車両の運転に関する評価情報を作成する評価情報作成手段と、
前記評価情報作成手段により作成された評価情報を記憶する評価情報記憶手段と、
前記評価情報記憶手段により記憶した評価情報を、前記車両の運転者に提供する評価情報提供手段と、
を備えることを特徴とする安全快適運転支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の安全快適運転支援システムにおいて、
前記運転挙動情報は、ブレーキの踏み位置、ハンドル角度、および車両の速度の少なくとも一つを含むことを特徴とする安全快適運転支援システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の安全快適運転支援システムにおいて、
前記通信センタは、
模範運転を行う運転者の識別情報を少なくとも記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報に基づいて、前記車両の運転者が前記模範運転を行う運転者か否かを判定する模範運転者判定手段とを備え、
前記模範運転記憶手段は、前記模範運転者判定手段により前記車両の運転者が前記模範運転を行う運転者であると判定されたときの前記車両からの運転挙動情報を前記模範運転の運転挙動情報として記憶することを特徴とする安全快適運転支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の安全快適運転支援システムにおいて、
前記模範運転を行う運転者は、前記ナビゲーション装置を搭載したタクシーの運転者であって、
前記運転挙動情報送信手段は、前記タクシーが乗客を乗せて走行しているとき、前記タクシーの運転または挙動に関する運転挙動情報を前記通信センタへ送信することを特徴とする安全快適運転支援システム。
【請求項5】
車両の運転または挙動に関する運転挙動情報を前記車両から受信する運転挙動情報受信手段と、
模範運転の運転挙動情報を記憶する模範運転記憶手段と、
前記運転挙動情報受信手段により受信した運転挙動情報と、前記模範運転記憶手段に記憶している運転挙動情報とを比較し、前記車両の運転に関する評価情報を作成する評価情報作成手段と、
前記評価情報作成手段により作成された評価情報を記憶する評価情報記憶手段と、
前記評価情報記憶手段により記憶した評価情報を、前記車両の運転者に提供する評価情報提供手段と、
を備えることを特徴とする安全快適運転支援センタ。
【請求項6】
請求項5に記載の安全快適運転支援センタにおいて、
前記運転挙動情報は、ブレーキの踏み位置、ハンドル角度、および車両の速度の少なくとも一つを含むことを特徴とする安全快適運転支援センタ。
【請求項7】
請求項5または6に記載の安全快適運転支援センタにおいて、
模範運転を行う運転者の識別情報を少なくとも記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報に基づいて、前記車両の運転者が前記模範運転を行う運転者であるか否かを判定する模範運転者判定手段とをさらに備え、
前記模範運転記憶手段は、前記模範運転者判定手段が前記模範運転を行う運転者であると判定されたときの前記車両からの運転挙動情報を前記模範運転の運転挙動情報として記憶することを特徴とする安全快適運転支援センタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146251(P2012−146251A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5943(P2011−5943)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】