説明

安全性部材を使用するPCMを含むバッテリーパック

【課題】バッテリーセルに電気的に接続された保護回路モジュール(PCM)を包含するバッテリーパックであって、該PCMが安全装置を備え、該安全装置の回路が、温度が高いか、または電流が大量の時(大量の電流が流れた「通電した」時)に遮断(cut-off:切断)される、バッテリーパックを提供する。
【解決手段】カソード/セパレータ/アノード構造の電極アセンブリーがバッテリーケース中に電解質と共に密封状態で取り付けられているバッテリーセル、及び該バッテリーセルに電気的に接続された保護回路モジュール(PCM)150を包含するバッテリーパックであって、該PCMが安全装置を備え、該安全装置の回路が、温度が高いか、または大量の電流が流れた時に切断される、バッテリーパックを開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、安全装置を備えた保護回路モジュール(PCM)を包含するバッテリーパックに関し、より詳しくは、カソード/セパレータ/アノード構造の電極アセンブリーがバッテリーケース中に電解質と共に密封状態で取り付けられているバッテリーセル、及び該バッテリーセルに電気的に接続された保護回路モジュール(PCM)を包含するバッテリーパックであって、該PCMが安全装置を備え、該安全装置の回路が、温度が高いか、または電流が大量の時(大量の電流が流れた「通電した」時)に遮断(cut-off:切断)される、バッテリーパックに関する。
【発明の背景】
【0002】
可動装置の開発が進み、そのような可動装置の需要が増加するにつれて、可動装置のエネルギー供給源としての二次バッテリーの需要も急速に増加している。特に、高いエネルギー密度及び高い放電電圧を有し、多くの研究が行われているリチウム二次バッテリーが商業的に広く使用されている。
【0003】
リチウム二次バッテリーは、その外観に基づいて、円筒形バッテリー、プリズム形バッテリー、または小袋形バッテリーに分類することができる。リチウム二次バッテリーは、その中に使用する電解質の種類に基づいて、リチウム-イオンバッテリーまたはリチウム-イオン重合体バッテリー分類することもできる。可動装置における最近の小型化傾向により、厚さが小さいプリズム形バッテリーまたは小袋形バッテリーの需要が増加している。
【0004】
しかし、リチウム二次バッテリーには様々な可燃性材料が含まれる。その結果、リチウム二次バッテリーが、過充電、過電流、または他の外部の物理的衝撃により、加熱されるか、または爆発する危険性がある。つまり、リチウム二次バッテリーの安全性は低い。従って、リチウム二次バッテリーを高温にさらした時、または過放電、外部短絡、釘貫通、または局所的な破壊のために大量の電流がバッテリー中に短時間で流れた時、バッテリーはIR発熱のために加熱され、バッテリーが発火または爆発することがある。
【0005】
バッテリーの温度が増加すると、電解質と電極との間の反応が促進される。その結果、反応熱が発生するために、バッテリーの温度がさらに増加し、電解質と電極との間の反応が加速される。従って、バッテリーの温度が急速に増加し、電解質と電極との間の反応がさらに加速される。この悪循環により、バッテリーの温度が急激に増加する熱的暴走現象が引き起こされる。バッテリーの温度が、予め決められた温度レベルに増加すると、バッテリーは発火することがある。また、電解質と電極との間の反応の結果、ガスが発生し、従って、バッテリーの内部圧力が増加する。リチウム二次バッテリーの内部圧力が予め決められた圧力レベルに増加すると、バッテリーは爆発することがある。この、リチウム二次バッテリーが発火または爆発する可能性は、バッテリーの最も致命的な欠点である。
【0006】
従って、リチウム二次バッテリーを開発する際に考慮しなければならない点は、バッテリーの安全性を確保することである。バッテリーの安全性確保は、電池の外側に安全装置を取り付ける方法または電池中に含まれる材料の使用方法により達成することができる。バッテリーの温度変化を利用する正温度係数(PTC)素子及び回路遮断装置(CID)素子、バッテリーの電圧及び電流を制御するための保護回路、及びバッテリーの内部圧力変化を利用する安全通気孔の使用は、前者に属する。バッテリーの内部温度または電圧の変化に応じて物理的、化学的、及び電気化学的に変化し得る材料の添加は後者に属する。
【0007】
前者の場合、バッテリーパックは、バッテリーを二次的に保護するのに役立ち、外部装置に接続できる外部入力及び出力端子を有するPCMが、ニッケル板を介してカソード端子及びアノード端子に接続され、バッテリーを、バッテリーセルの過電流、過放電、及び過充電から一次的に保護するのに役立つPTC素子が電極端子に接続される構造に構築される。ニッケル板は、PTC素子の上部及び底部に取り付ける。PTC素子の上部に取り付けたニッケル板は、PCMに電気的に接続され、PTC素子の底部に取り付けたニッケル板は、バッテリーセルの電極端子に電気的に接続される。
【0008】
しかし、上記の構造を有するバッテリーパックを組み立てるには、PTC素子とPCMとの間及びPTC素子電極端子との間の電気的接続を達成するために幾つかの溶接工程が必要である。さらに、PTC素子及びニッケル板が所定の位置にない場合に溶接を行うと、組立またはバッテリーパック使用の際に、短絡が生じるか、または接続区域が相互から分離することがある。また、PTC素子はPCM及びバッテリーセルに接続するので、ニッケル板の長さを大きくする必要がある。PCMがバッテリーセル上に搭載されるように、長いニッケル板を曲げる必要があるので、曲げ空間に対応する死空間が形成され、従って、バッテリーパックの容積密度が相対的に低下する。さらに、ニッケル板を曲げる時に応力が発生するので、ニッケル板またはPTCに亀裂が生じることがある。
【0009】
後者の場合、安全性を改良するための添加剤を電解質または電極に添加する方法を、電池に含まれる材料を使用する方法として使用することができる。化学的安全装置には、化学的安全装置が追加の工程及び空間を必要とせず、あらゆる種類のバッテリーに応用できるという利点がある。しかし、化学的安全装置には、材料の添加により、バッテリーの性能が低下することがあるという問題がある。そのような材料としては、電極に固定された被膜を形成する材料、及び温度が増加した時に体積を増加することにより電極の抵抗を増加する材料が報告されている。しかし、固定された被膜を形成する場合、副生成物も形成されるので、バッテリーの性能が低下することがある。また、バッテリーの内部を占有する材料の体積が増加するので、バッテリーの容量が低下する。従って、材料を添加しても確実な安全性が保証される訳ではなく、材料を添加する方法を独立した手段として使用することはできない。
【発明の概要】
【0010】
従って、本発明は、上記の問題及び他の未解決の技術的問題を解決するためになされたものである。
【0011】
上記の問題を解決するための、様々な広範囲で集中的な研究及び実験の結果、本発明者らは、保護回路モジュール(PCM)に、温度が高い時または大量の電流が流れた時にその回路が遮断される安全装置を備えることにより、安全装置の簡単な電気的接続により、バッテリーの内部空間を効率的に活用し、バッテリーの安全性を効率的に確保することができることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成された。
【0012】
本発明の一態様により、上記の、及び他の目的は、カソード/セパレータ/アノード構造の電極アセンブリーがバッテリーケース中に電解質と共に密封状態で取り付けられているバッテリーセル、及び該バッテリーセルに電気的に接続された保護回路モジュール(PCM)を包含するバッテリーパックであって、該PCMが安全装置を備え、該安全装置の回路が、温度が高いか、または大量の電流が流れた時に切断される、バッテリーパックを提供することにより、達成される。
本発明の好ましい態様
〔1〕バッテリーパックであって、
バッテリーケース中に電解質と共に密封状態で取り付けられてなる、カソード/セパレータ/アノード構造の電極アセンブリーを有してなるバッテリーセルと、及び、
前記バッテリーセルに電気的に接続された保護回路モジュール(PCM)とを備えてなるものであり、
前記PCMが安全装置を備えてなり、前記安全装置の回路が、温度が高い時又は大量の電流が流れた時に遮断される、バッテリーパックが提案される。
〔2〕前記PCM上に搭載され、温度が高い時に電流を遮断する、正温度係数(PTC)素子を更に備えてなり、
前記PTCが、追加の接続部材を用いることなく、前記PCMに直接取り付けられた上部を有して、前記PTCが前記PCMに電気的に接続されてなり、
底部に取り付けられた接続部材を介して、予め決められた回路に電気的に接続された前記底部を有してなる、〔1〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔3〕前記接続部材が、温度が高い時に前記バッテリーセルと前記PCMとの間における電流の流れを遮断するために、前記バッテリーセルの対応する電極端子に接続されてなる、〔2〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔4〕前記接続部材が、温度が高い時に前記PCM回路中の電流の流れを遮断するために、前記PCMの作動回路に接続されてなる、〔2〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔5〕前記PTC素子の上部が、前記PCMの基板上に形成された金被覆部分に取り付けられてなる、〔2〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔6〕前記接続部材が、前記接続部材全体の平均水平断面積の10〜90%に等しい水平断面積を有する過電流遮断部分を包含してなる、〔2〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔7〕前記過電流遮断部分が、前記接続部材の幅を減少させた構造、前記接続部材の厚さを減少させた構造、及び前記接続部材の中央部がドリル加工された構造、又はこれらの組合せの構造からなる群から選択された構造に構築されてなる、〔6〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔8〕前記PCMが、前記バッテリーセルに電気的に接続された保護回路基板(PCB)を包含してなり、
前記PCBが、回路が接続される区域に、比較的高い抵抗を有する融解部分を包含する導電性パターンを備えてなり、電流が大量の時に前記融解部分自体が融解し、電流の流れを遮断するように構築されてなる、〔1〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔9〕前記融解部分が、高い抵抗を有し、低電流密度となるものである、〔8〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔10〕前記融解部分が、前記導電性パターンの全幅より小さい幅を有してなるものである、〔9〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔11〕前記融解部分が、前記導電性パターンの全幅の10〜90%に等しい幅を有するものである、〔10〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔12〕前記導電性パターンが、前記PCB上に印刷された、金(Au)から製造された保護回路パターンの一部である、〔8〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔13〕前記融解部分が、高い比抵抗を示す金属材料から形成されてなる、〔8〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔14〕前記導電性パターンが、前記PCB上に印刷された保護回路パターンの比抵抗より高い比抵抗を示す金属材料から形成されてなる、〔8〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔15〕前記高い比抵抗を示す金属材料が、スズ(Sn)又はスズ合金である、〔13〕又は〔14〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔16〕バッテリーパックであって、
前記PCMが安全装置を備えてなり、
前記バッテリーセルが、金属容器中に電解質と共に取り付けられた電極アセンブリーを有してなり、前記金属容器が、トップキャップにより密封される開いた上部を有してなり、
前記バッテリーパックが、絶縁性取付部材と、及び絶縁性キャップとをさらに備えてなるものであり、
前記絶縁性取付部材が、前記PCMが前記絶縁性取付部材の上部に搭載され、前記絶縁性取付部材が、前記バッテリーセルの前記トップキャップに取り付けられてなる構造に構築されてなり、
前記絶縁性キャップが前記バッテリーセルの上側末端に連結され、前記PCMが前記絶縁性取付部材上に搭載された状態で、前記絶縁性取付部材を覆うものであり、
前記トップキャップが、前記電極アセンブリーのカソード及びアノードにそれぞれ接続された一対の突起型電極端子(第一突起型電極端子及び第二突起型電極端子)を備えてなり、前記絶縁性取付部材が、前記突起型電極端子に対応する通し孔を備えてなり、前記PCMが、前記突起型電極端子に対応する通し孔を備えてなり、前記絶縁性取付部材及び前記PCMと前記バッテリーセルとの連結が、前記突起型電極端子を前記絶縁性取付部材及び前記PCMの前記通し孔を通じて順次挿入して固定することにより達成されてなる、〔1〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔17〕前記突起型電極端子の末端が、前記保護回路モジュールの上部から予め決められた長さだけ突き出ており、前記突起型電極端子の前記突き出た末端を圧迫し、前記保護回路モジュールに固定する、〔16〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔18〕前記突起型電極端子の少なくとも一個を、前記バッテリーケースの内側と連絡する通し通路を包含する中空構造に構築し、前記通し通路が、電解質注入口として使用した後、金属ボールにより密封されてなる、〔16〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔19〕前記第一突起型電極端子が、前記トップキャップと一体的に形成されてなる、〔16〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔20〕バッテリーパックであって、
前記トップキャップが通し孔を備えてなり、
前記第二突起型電極端子が、
板形状の本体と、
上側延長部と、及び
下側延長部とを包含してなり、
前記上側延長部が、前記本体から上向きに伸びて、前記本体から直角になるものであり、
前記下側延長部が、前記本体から下向きに伸びて、前記本体から直角になるものであり、
前記下側延長部が、前記トップキャップの前記通し孔を通じて挿入されるように構築されてなり、
前記下側延長部の末端を圧迫することにより、前記第二突起型電極端子を前記トップキャップに連結し、前記第二突起型電極端子と前記トップキャップの前記通し孔との間の界面に電気的に絶縁性のガスケットを取り付けて、前記第二突起型電極端子と前記トップキャップとの間の絶縁を達成するものである、〔16〕に記載のバッテリーパックが提案される。
〔21〕バッテリーセルの、過充電、過放電、及び過電流を制御するための保護回路を備えてなる保護回路モジュール(PCM)であって、
前記PCMが安全装置を備えてなり、温度が高い時又は電流が大量の時に前記安全装置の回路が遮断され、それによって、温度が高い時または電流が大量の時にPCM回路中の電流の流れが遮断される、保護回路モジュールが提案される。
【0013】
本発明のバッテリーパックは、上記のように、PCMに安全装置を備えているので、バッテリーパックの内部空間の無駄を最小に抑え、バッテリーパックの体積密度を増加させ、バッテリーパックの組立工程を簡素化することができる。
【0014】
具体的な実施態様で、バッテリーパックは、PCM上に取り付けた、温度が高い時に電流を遮断するための正温度係数(PTC)素子をさらに包含し、そのPTCの上部は、PTCがPCMに電気的に接続されるように、追加の接続部材無しにPCMに直接取り付けられ、底部は、その底部に取り付けた接続部材を介して予め決められた回路に電気的に接続される。
【0015】
PTC素子は、バッテリーセル及びバッテリーパックの作動に関連する回路、すなわちPCMの作動回路、に電気的に、PTC素子の底部に取り付けた接続部材により接続され、PTC素子の上部はPCMに電気的に接続さるので、電流は、外部の入力及び出力端子とバッテリーセルとの間を電流が流れるように、PTC素子を通過することができる。
【0016】
上記の構造を有するバッテリーパックでは、PTC素子の上部は、追加の接続部材無しに、PCMに直接取り付けられる。従って、接続を、ニッケル板を使用して溶接により行う場合、組立工程の際に起こることがある短絡の発生または接続区域間の分離を根本的に阻止することができる。また、PCMとPTC素子を接続する際に接続部材により占有される内部空間を少なくし、そのような新たに利用できるようになった空間を最大限に活用し、同じ標準を有する他のバッテリーセルと比較して、バッテリーセルの体積密度を増加させることができる。
【0017】
上記のように、PTC素子は、その底部に取り付けた接続部材により、予め決められた回路に電気的に接続される。接続部材に電気的に接続された予め決められた回路は、バッテリーセルでよい。
【0018】
上記の構造では、接続部材は、温度が高い時にバッテリーセルとPCMとの間における電流の流れを(一時的に)遮断(interrupting:中断)するために、バッテリーセルの対応する電極端子に接続される。すなわち、PTC素子は、接続部材により、バッテリーセルに直接接続される。
【0019】
接続部材と電極端子との間の接続は、例えば、金属容器から製造されたバッテリーケースを包含するバッテリーパックで、突き出た端子をバッテリーセル上部の中央に、その突き出た端子が金属容器から絶縁されるように形成し、PTC素子の接続部材をその突き出た端子に接続する構造で達成することができる。
【0020】
また、接続部材に電気的に接続された予め決められた回路は、PCMの作動回路でよい。
【0021】
すなわち、接続部材は、バッテリーパックの充電及び放電操作を行うための、PCMの電気的接続を必要とする回路(「作動回路」)に接続される。その結果、電流はPTC素子を経由して流れ、それによって、バッテリーパックの正常な充電及び放電を達成する。従って、温度が高い時、PTC素子は、PCM回路中の電流の流れを遮断し、従って、バッテリーセルと外部の入力及び出力端子戸の間の分離を達成することができる。
【0022】
一方、PTC素子の上部は、PTC素子がPCMに電気的に接続されるように、追加の接続部材無しにPCMに直接取り付けられる。この場合、PTC素子は、好ましくはPCM基板、すなわちプリント回路基板(PCB)、上に形成された金被覆部分に取り付け、PTC素子とPCMとの間の連結及び電気的接続を容易に達成する。
【0023】
PTC素子上部とPCMとの間の接続及び/またはPTC素子と接続部材との間の接続は、様々な方法、例えば接着、溶接、及びはんだ付け、により達成することができる。好ましくは、PTC素子上部とPCMとの間の接続及び/またはPTC素子と接続部材との間の接続は、はんだ付けにより達成する。
【0024】
接続部材用の材料には、接続部材が可変導電性を示す限り、特に制限は無い。また、接続部材の形状には、特に制限は無い。好ましくは、接続部材は、ニッケル板から形成する。
【0025】
代表的な例では、接続部材は、接続部材全体の平均水平断面積の10〜90%に等しい水平断面積を有する過電流遮断部分を包含することができる。この場合、接続部材の一部の断面積は、接続部材の残りの部分の断面積より小さい。
【0026】
前に説明したように、PTC素子は、バッテリーセル及びバッテリーセルに接続されたPCM上の作動回路に、PTC素子の底部に取り付けられた接続部材により、電気的に接続される。過電流遮断部分は、上記の構造を有する接続部材中に包含される。従って、接続部材は、過電流が発生した時に、自動的にそれ自体を切断し、それによって、電流の流れを遮断することができる。特に、過電流遮断部分は、バッテリーの物理的形状の変化ではなく、電流の変化に応答して作動するので、過電流遮断部分は、速い応答速度を示す。
【0027】
従って、上記の構造を備えた接続部材を有するPTC素子は、バッテリーの温度が異常に高い時に電流の流れを遮断するのみならず、過電流が発生した時にも電流の流れを遮断し、それによって、他の安全装置を構成する部品の数を少なくし、処理効率を改良する。
【0028】
過電流遮断部分の抵抗は、バッテリーの正常作動状態では、無視できる。しかし、バッテリーの異常作動状態では、例えば外部の短絡により過電流が導かれ、数十アンペア(A)の過電流が流れた時、過電流遮断部分は、比較的大量の熱が過電流遮断部分から発生する間に自動的にそれ自体を切断し、バッテリー中の電気伝導を阻止する。すなわち、過電流遮断部分は安全装置の一種として機能する。この原理を以下に詳細に説明する。
【0029】
一般的に、抵抗、電流、及び発熱量の間の関係は、下記の式1により表される。
W=IxR (1)
【0030】
ここで、Wは発生した熱の量を表し、Iは電流を表し、Rは抵抗を表す。
【0031】
また、抵抗は、下記の式2により表されるように、断面積に反比例する。
R ∝ 1/A (2)
【0032】
ここで、Rは抵抗を表し、Aは断面積を表す。
【0033】
接続部材全体の平均水平断面積の10〜90%に等しい水平断面積を有する部分を包含する接続部材では、過電流が発生した時に、上記の等式1により表されるように、小さな断面積を有する部分から発生する熱の量は急激に増加する。従って、過電流遮断部分は、発生する大量の熱により、それ自体を容易に切断し、それによって、高温状態におけるバッテリーの安定性のみならず、バッテリーの異常作動による過電流状態におけるバッテリーの安定性も確保することができる。
【0034】
過電流遮断部分の形状には、過電流遮断部分が上記の条件を満たす限り、特に制限は無い。例えば、過電流遮断部分は、接続部材の幅が減少する構造に、接続部材の厚さが減少する構造に、または接続部材の中央にドリル加工した構造に構築することができる。状況に応じて、過電流遮断部分は、上記構造の組合せに構築することもできる。
【0035】
接続部材の幅が減少する構造は、接続部材の片側または両方に様々な形状の窪みを形成することにより、与えることができる。窪みは、丸い形状、切欠形状、または正方形に形成することができる。しかし、窪みは、上記の形状に限定するものではない。接続部材の中央にドリル加工する構造は、接続部材の中央に様々な形状の通し孔を形成することにより、与えることができる。通し孔は、円形、長円形、長方形、または三角形に形成することができる。しかし、通し孔は、上記の形状に限定するものではない。過電流遮断部分は、その形状に応じて、様々な様式で形成することができる。例えば、過電流遮断部分は、鍛造、圧延、またはパンチ加工により形成することができる。
【0036】
他方、別の具体的な例では、PCMが、バッテリーセルに電気的に接続された保護回路基板(PCB)を包含することができ、そのPCBは、回路が接続される区域に、比較的高い抵抗を有する融解部分を包含する導電性パターンを備えることができ、その融解部分は、大量の電流が導かれた時にそれ自体が融解し、電流の流れを遮断するように構築される。
【0037】
すなわち、過電流を遮断するように構築された導電性パターンは、PCB上に、例えば導電性パターン回路として印刷され、その結果、バッテリーパックは、特定の体積を有する追加安全装置を取り付けるための空間を必要としない。従って、バッテリーパックの内部空間の無駄を最小に抑え、バッテリーパックの体積密度を増加し、バッテリーパックの組立方法を簡素化することができる。また、融解部分は、大量の電流が導かれた時に、電流の変化に応答して、それ自体を急速に融解させ、電流の流れを直ちに遮断し、それによって、バッテリーパックの安全性を高い作動信頼性で確保する。
【0038】
上記の構造では、大量の電流が流れる時に融解部分から発生する熱の量は、上記の等式1により表されるように、抵抗の増加と共に急激に増加する。従って、発生する熱の量は、融解部分の抵抗増加と共に増加し、大量の電流が導かれた時に、融解部分はそれ自体を容易に融解させる。その結果、大量の電流が導かれることにより、バッテリーの安全性が臨界レベルに達する前に、電流の流れを急速に遮断する。この事実を考慮し、融解部分を、高い抵抗値を有するように構築することができる。
【0039】
代表的な例では、融解部分は、低い電流密度を有するように構築することができる。このためには、導電性パターンの断面積を小さくする方法が考えられる。この問題に関して、導電性パターンの高さを調節することは非常に困難である。この理由から、導電性パターンの幅を変えることが好ましい。従って、融解部分は、導電性パターンの全幅より小さい幅を有する構造に構築することができる。
【0040】
すなわち、過電流が発生すると、導電性パターンから発生する熱の量は、上記の等式により表されるように、急激に増加する。そのような増加は、幅が小さい部分である融解部分では2倍になる。従って、融解部分は、融解部分から発生する大量の熱により、それ自体を容易に融解させ、それによって、バッテリーの異常作動による過電流状態で、バッテリーの安定性を確保する。
【0041】
しかし、融解部分の幅が小さすぎる場合、融解部分の高い抵抗のために、正常作動状態における融解部分の出力損失が非効率的に増加し、融解部分は、融解部分から発生する比較的小さい量の熱によっても、それ自体を容易に融解させるので、作動信頼性が低下する。他方、融解部分の幅が大きすぎる場合、過電流が発生した時に、融解部分がそれ自体を自動的に融解させることが困難になり、その結果、所望の効果を達成することが困難になる。この事実を考慮し、融解部分は、導電性パターンの平均幅の10〜90%、好ましくは30〜80%に等しい幅を有することができる。
【0042】
融解部分の幅を小さくした構造は、融解部分の片側または両側に様々な形状の窪みを形成することにより、得ることができる。窪みは、上記の窪みと同じ形状に形成することができる。また、融解部分の数には、特に制限は無い。例えば、必要に応じて2個以上の融解部分を形成することができる。
【0043】
導電性パターンは、PCB上に印刷する保護回路パターンの一部でよい。また、導電性パターンは、保護回路パターンに一般的に使用するのに十分な導電性を示す金(Au)から製造することができる。
【0044】
代表的な例では、導電性パターンは、PCB上に印刷する保護回路パターンの比抵抗より高い比抵抗を示す金属材料から形成することができる。あるいは、融解部分だけを、高い比抵抗を示す金属材料から形成することもできる。
【0045】
本明細書では、高い比抵抗を示す金属材料は、比抵抗の絶対値を有する金属のみならず、PCB上の保護回路パターンを構成する金属材料または導電性パターンの残りの区域を構成する金属材料の比抵抗より高い比抵抗を示す金属材料を包含する概念である。高い比抵抗を示す金属材料は、バッテリーの正常作動状態における電気伝導を妨害しない十分な導電性を有する。代表的な例では、高い比抵抗を示す金属材料は、スズ(Sn)またはスズ合金でよいが、これらに限定するものではない。
【0046】
導電性パターンを形成する方法には、特に制限は無い。例えば、導電性パターンは、良く知られているパターン形成方法、例えば写真平版印刷、により形成することができる。
【0047】
バッテリーパックの構造には、バッテリーパックがバッテリーセル及びPCBを包含する限り、特に制限は無い。従って、様々な良く知られている構造を、特別な制限無しに、バッテリーパックの構造に適用することができる。バッテリーセルは、円筒形バッテリー、プリズム形バッテリー、及び小袋形バッテリーに使用することができる。様々な安全装置をPCB上に搭載し、PCMを構成することができる。PCM 150は、電界効果トランジスタ(FET)を電流伝導を制御するための切換素子として、及び受動素子、例えば電圧検出器、抵抗、及びコンデンサー、を包含することができる。
【0048】
本発明のバッテリーパックの代表的な構造では、PCMが安全装置を備え、バッテリーセルが、金属容器中に電解質と共に取り付けられた電極アセンブリーを有し、該金属容器が、トップキャップにより密封される開いた上部を有し、該バッテリーパックが、
絶縁性取付部材と、及び
該絶縁性取付部材は、該PCMが該絶縁性取付部材の上部に搭載され、該絶縁性取付部材が、該バッテリーセルの該トップキャップに取り付けられる構造に構築され、
縁性キャップとをさらに包含し、該縁性キャップが、該PCMが該絶縁性取付部材上に搭載された状態で絶該絶縁性取付部材を覆うために、該バッテリーセルの上側末端に連結される。また、トップキャップは、電極アセンブリーのカソード及びアノードにそれぞれ接続された一対の突起型電極端子(第一突起型電極端子及び第二突起型電極端子)を備え、絶縁性取付部材は、突起型電極端子に対応する通し孔を備え、PCMは、突起型電極端子に対応する通し孔を備え、絶縁性取付部材及びPCMとバッテリーセルとの連結は、突起型電極端子を絶縁性取付部材及びPCMの通し孔を通して順次挿入して固定することにより、達成される。
【0049】
上記の構造を有するバッテリーパックでは、バッテリーパックを構成する部品間の連結が、突起型電極端子を、絶縁性取付部材及びPCMの通し孔を通して順次挿入して固定することにより、達成される。
【0050】
この時、接続部材と突起型電極端子との間の電気的接続は、溶接により達成することができる。あるいは、接続部材と突起型電極端子との間の電気的接続は、接続部材を、突起型電極端子と保護回路モジュールとの間に単純に挿入することにより達成することができるが、これは、以下に添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0051】
上記の構造を有するバッテリーパックには、組立を簡単な連結様式で達成し、簡単な機械的連結を達成し、製造方法を簡素化し、外部衝撃または振動に対して非常に安定した連結構造を達成する効果がある。
【0052】
突起型電極端子の末端は、保護回路モジュールの上部から予め決められた長さだけ突き出ることができ、突起型電極端子の突き出た末端を圧迫し、保護回路モジュールに固定することができる。具体的には、絶縁性取付部材及びPCMとバッテリーセルとの連結及び電気的接続、及び保護回路モジュールと電極端子との間の電気的接続は、一対の突起型電極端子をトップキャップに、突起型電極端子が電極アセンブリーのカソード及びアノードにそれぞれ接続されるように形成すること、突起型電極端子を絶縁性取付部材及びPCMの対応する通し孔を通して順次挿入すること、及びPCMの上部から突き出た電極端子の末端を圧迫することを包含する、一連の簡単な工程により、同時に達成される。
【0053】
突起型電極端子は、例えば導電性リベット構造に構築することができる。突起型電極端子の形状には、突起型電極端子が保護回路モジュール及び絶縁性取付部材の通し孔を通して容易に挿入される限り、特に制限は無い。例えば、突起型電極端子は、円形、長円形、または長方形の平面形状に形成することができる。突起型電極端子の末端を圧迫することにより、絶縁性取付部材及びPCMのバッテリーセルに対する連結強度がさらに増加する。
【0054】
突起型電極端子用の材料には、突起型電極端子が高導電性材料から製造される限り、特に制限は無い。好ましくは、突起型電極端子は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、及び/またはクロム(Cr)で被覆された鋼、ステンレス鋼、アルミニウム(Al)、Al合金、Ni合金、Cu合金、またはCr合金から製造する。突起型電極端子をトップキャップと一体的に形成する場合、無論、突起型電極端子をトップキャップと同じ材料から製造する。
【0055】
一方、突起型電極端子は、保護回路モジュール及び絶縁性取付部材をバッテリーセルの上部に連結して固定するのみならず、バッテリーセルを容易に製造し、バッテリーセルの構造を簡素化するのに役立つ。
【0056】
例えば、突起型電極端子の少なくとも一個を、バッテリーケースの内側と連絡する通し通路を包含する中空構造に構築することができる。通し通路は、バッテリーセルを製造する際の、電極アセンブリーをバッテリーケース中に取り付けた後に、電解質注入口として使用し、そこを通して電解質を注入することができる。すなわち、突起型電極端子の少なくとも一個を電解質注入口として使用することができるので、従来のバッテリーセルと異なり、トップキャップに追加の電解質注入口を形成する必要が無い。従って、通し通路は、電解質注入口として使用した後、例えば金属ボールにより密封することができる。
【0057】
突起型電極端子は、バッテリーセルの種類及び外側形状に関係なく、様々に使用できる。例えば、プリズム形バッテリーセルでは、第一突起型電極端子を、トップキャップに電気的に接続した状態で、バッテリーセルのカソードに接続することができ、第二突起型電極端子を、トップキャップから電気的に絶縁した状態で、バッテリーセルのアノードに接続することができる。従って、第一突起型電極端子はカソード端子として作用し、第二突起型電極端子はアノード端子として作用することができる。
【0058】
上記の構造では、第一突起型電極端子は、トップキャップと一体的に形成することができる。すなわち、第一突起型電極端子は、トップキャップをプレス加工する時に同時に形成することができる。しかし、無論、突起型電極端子を別に製造し、次いで突起型電極端子をトップキャップに連結することもできる。例えば、突起型電極端子をトップキャップに溶接により連結することができる。しかし、生産性を考えると、前者の方法を使用して突起型電極端子を形成する、すなわちトップキャップをプレス加工する時に突起型電極端子を同時に形成する方が、より好ましい。
【0059】
別の例では、トップキャップが通し孔を備え、第二突起型電極端子が、
板形状の本体と、
上側延長部と、
該上側延長部が本体から直角になるように本体から上向きに伸び、
下側延長部とを包含し、
該下側延長部が本体から直角になるように本体から下向きに伸び、該下側延長部が、トップキャップの通し孔を通して挿入されるように構築され、各突起型電極端子の下側延長部がトップキャップの通し孔を通して挿入された状態で、第二突起型電極端子の下側延長部の末端を圧迫することにより、第二突起型電極端子をトップキャップに連結することができる。
【0060】
上記のようなトップキャップと突起型電極端子との間の連結構造では、電極端子をトップキャップに、より容易に、安定して連結することができる。また、各突起型電極端子の上側延長部及び下側延長部は、突起型電極端子及び絶縁性取付部材のバッテリーセルに対する連結を、より確実に、安定して維持する。
【0061】
一方、絶縁性取付部材は、バッテリーセルに、絶縁性取付部材がトップキャップに安定して取り付けられるように、好ましくは接着剤を使用する接着方法により連結し、それによって、絶縁性取付部材のバッテリーセルに対する連結強度を増加することができる。
【0062】
本発明の別の態様により、バッテリーセルの過充電、過放電、及び過電流を制御するための保護回路を包含する保護回路モジュール(PCM)であって、該PCMが安全装置を備え、該安全装置の回路が、温度が高い時または大量の電流が導かれた時に切断され、それによって、温度が高い時または大量の電流が導かれた時にPCM回路中の電流の流れが遮断される、保護回路モジュールを提供する。
【0063】
上記の構造を備えたPCMでは、安全装置がPCMに直接取り付けられるか、または保護回路が接続される区域に導電性パターンが形成され、その結果、PCMと安全装置との間の連結を達成するための追加の接続部材を使用すること、及び溶接工程を行うことが不要になる。従って、処理効率を改良し、バッテリーパックの体積密度を著しく増加し、バッテリーセルの安全性を効率的に改良することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
本発明の上記の、及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照しながら記載する下記の詳細な説明により、より深く理解される。
【図1】図1は、本発明の一実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築された保護回路モジュール(PCM)を例示する透視図である。
【図2】図2は、本発明の別の実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築されたPCMを例示する平面図である。
【図3】図3は、本発明の別の実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築されたPCMを例示する平面図である。
【図4】図4は、本発明の別の実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築されたPCMを例示する平面図である。
【図5】図5は、本発明の一実施態様によるバッテリーパックを例示する分解組立図である。
【図6】図6は、図5に示すバッテリーパックの上側部分を例示する垂直断面図である。
【好ましい実施態様の詳細な説明】
【0065】
図1は、本発明の一実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築された保護回路モジュール(PCM)を典型的に例示する透視図である。
【0066】
図1に関して、PCM 150は、保護回路基板(PCB)200、PCB 200の底部に印刷された保護回路212、上部が保護回路212の末端211に取り付けられた正温度係数(PTC)素子300、及びPTC素子300の底部に取り付けられた接続部材310を包含する。
【0067】
PCB 200は、バッテリーセルの過充電、過放電、及び過電流を制御し、バッテリーセルと外部の入力及び出力端子との間の電気的接続を達成する保護回路212が、エポキシ複合材料から製造された長方形の平行六面体構造の上に印刷される構造に構築される。PTC素子300の上部は、PCB 200上に印刷された回路の中で、外部の入力及び出力端子に電気的に接続された保護回路212の一端211に、はんだ付けにより直接取り付けられる。
【0068】
PTC素子300とPCM 150との間の電気的接続を達成するのに、他の接続部材は使用しない。従って、同じ標準を有する他のバッテリーセルと比較して、バッテリーセルの内部空間を小さくし、バッテリーセルのサイズを増加させる、溶接工程を省略し、それによって、製造効率を改良することができる。
【0069】
一方、接続部材310は、PTC素子300の底部にはんだ付けにより取り付ける。接続部材310は、バッテリーセル(図には示していない)の対応する電極端子に、溶接またははんだ付けにより連結し、バッテリーセルとPTC素子300との間の電気的接続を達成する。
【0070】
この構造で、電流は、接続部材310により、バッテリーセルからPTC素子300を経由してPCB 200上の保護回路212に流れる。従って、バッテリーセルが過熱し、例えばバッテリーセルの温度が急激に増加すると、PTC素子300が保護回路212への電流供給を遮断し、バッテリーセルの安全性を確保する。
【0071】
図2は、本発明の別の実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築されたPCMを例示する平面図である。
【0072】
図2に関して、PTC素子300は、保護回路212の一端211に直接連結し、保護回路212は、図1と同じ様式で、外部の入力及び出力端子に電気的に接続される。接続部材310は、PTC素子300の底部に取り付けられる。また、接続部材310は、PCB 200上の別の回路、すなわちバッテリーパックの作動に必要な作動回路222、の一端221に連結される。
【0073】
この構造で、例えば、電流はバッテリーセルからPCB 200上の作動回路222に流れ、次いで接続部材310によりPTC素子300を経由して外部の入力及び出力端子に接続された保護回路212に流れる。従って、バッテリーセルの内部温度が増加すると、PTC素子300が保護回路212への電流供給を遮断し、バッテリーセルの安全性を確保する。
【0074】
図3は、本発明の別の実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築されたPCMを例示する平面図である。図3のPCMは、PTC素子に取り付ける接続部材の形状以外は、図2のPCMと等しい。従って、接続部材を除いた他の部品の詳細な説明は行わない。
【0075】
図3に関して、PTC素子300の上部に取り付けた接続部材311は、対向する側部に窪み321を部分的に備えた過電流遮断部分320を有する。窪み321により、過電流遮断部分320の幅は、接続部材311の他の区域の幅より小さい。前に説明したように、抵抗値Rは、断面図に反比例することを考えると、接続部材311が同じ厚さを有すると仮定して、過電流遮断部分320の抵抗値は、接続部材311の他の区域の抵抗値より高い。従って、過電流が発生し、従って、バッテリーセルが異常作動状態になると、過電流遮断部分320から発生する熱の量は増加し、その結果、過電流遮断部分320は容易に切断される。過電流が発生した場合、特に、幅が狭い区域Wが切断される可能性が大きい。
【0076】
上記の構造を有する接続部材311は、バッテリーセルまたはPCM上に形成された回路に電気的に接続されるのみならず、過電流が発生した時に、それ自体を切断することにより、その中を流れる電流を遮断する。従って、過電流を遮断するための別の保護素子を取り付ける必要がないので、バッテリーパックの部品数を少なくし、組立を容易に達成し、それによって、生産性を向上させることができる。
【0077】
一方、過電流遮断部分320の窪み321は、図に示す様に、接続部材311の対向する側部に形成しているが、窪み321を接続部材311の片側にのみ形成することもできる。また、窪み321を丸い形状に形成しているが、窪み321は、切欠形状または正方形に形成することもできる。
【0078】
図4は、本発明の別の実施態様によりバッテリーセルに取り付けるように構築されたPCMを例示する平面図である。
【0079】
図4に関して、PCM 150は、PCB 200、PCB 200上に印刷された保護回路210、各種の素子330、例えば電界効果トランジスタ(FET)、電圧検出器、抵抗、及びコンデンサー、及び融解部分410を有する導電性パターン400を包含する。
【0080】
PCB 200には、バッテリーセル(図には示していない)の対応する電極端子に連結するように構築された端子接続部分220が形成されている。端子接続部分220は、電極端子に直接連結することができる。あるいは、端子接続部分220は、別の導電性接続部材(図には示していない)、例えばニッケル板、を経由して電極端子に連結することもできる。
【0081】
PCB 200上に印刷された保護回路210は、外部の入力及び出力端子(図には示していない)及び端子接続部分220に電気的に接続される。
【0082】
導電性パターン400は、PCB 200上に、保護回路210の一部として印刷される。従って、過電流が発生した時、保護回路210における電流の流れが遮断され、それによって、外部の入力及び出力端子とバッテリーセルとの間の通電が遮断される。図面では、導電性パターン400が、一端が端子接続部分220に直接接続された回路として示されている。しかし、無論、導電性パターン400は、回路の、外部の入力及び出力端子と端子接続部分220が互いに接続されている任意の区域に形成することもできる。
【0083】
融解部分410は、導電性パターン400の予め決められた位置に形成する。融解部分410の幅は、導電性パターン400の全幅より小さい。この構造では、融解部分410は、比較的低い電流密度及び比較的高い抵抗を有する。従って、大量の電流が導かれた時、融解部分410から発生する熱の量は大きい。従って、大量の電流が導かれた時、融解部分410は、発生した熱によりそれ自体を融解させ、電流の流れを遮断し、それによって、バッテリーセルの安全性を確保する。一方、導電性パターン400は、高い導電率を示す金(Au)から製造するとよい。あるいは、導電性パターン400は、高い比抵抗値を有する金属材料、例えばスズ、から製造することができる。また、融解部分は、切欠、長方形、または円の形状に形成することができる。
【0084】
図5は、本発明の一実施態様によるバッテリーパック100を例示する分解組立図である。
【0085】
図5に関して、この実施態様による二次バッテリーパック100は、バッテリーケース中に電解質と共に受け入れた電極アセンブリーを有するバッテリーセル130、バッテリーケースの開いている上部を密封するためのトップキャップ120、保護回路が上に形成されている板形状保護回路モジュール150、バッテリーセル130のトップキャップ120に取り付けた絶縁性取付部材140、保護回路モジュール150が絶縁性取付部材140上に搭載された状態で絶縁性取付部材140を覆うための、バッテリーセル130の上側末端に連結された絶縁性キャップ160、及びバッテリーセル130の下側末端に取り付ける底部キャップ170を包含する。
【0086】
一対の突起型電極端子112及び114、すなわち第一突起型電極端子112及び第二突起型電極端子114、が、トップキャップ120の上側末端の対向する側部から上向きに突き出ている。絶縁性取付部材140は、突起型電極端子112及び114の下側末端に対応する形状及びサイズを有する通し孔142及び144を備えている。保護回路モジュール150は、突起型電極端子112及び114の上側末端に対応する形状及びサイズを有する通し孔152及び154を備えている。
【0087】
第一突起型電極端子112は、トップキャップ120に接続された状態で、バッテリーセル130のカソード(図には示していない)に接続される。第二突起型電極端子114は、トップキャップ120から電気的に絶縁された状態で、バッテリーセル130のアノード(図には示していない)に接続されている。
【0088】
絶縁性取付部材140及び保護回路モジュール150の、バッテリーセル130に対する連結は、突起型電極端子112及び114を、絶縁性取付部材140の対向する側部に配置された通し孔142及び144、及び保護回路モジュール150の対向する側部に配置された通し孔152及び154を通して挿入し、突起型電極端子112及び114の末端を圧迫することにより、達成される。また、絶縁性取付部材140の、トップキャップ120に対する連結は、接着剤により達成することができる。
【0089】
絶縁性キャップ160は、保護回路モジュール150が絶縁性取付部材140上に搭載された状態で、絶縁性取付部材140を覆うために、バッテリーセル130の上側末端に連結する。絶縁性キャップ160は、下向きに予め決められた長さだけ伸び、バッテリーセル130の上側部分の外側を覆う。底部キャップ170は、バッテリーセル150の下側末端に取り付ける。
【0090】
上記の構造を有するバッテリーパック100では、図1〜3に示すように、PTC素子(図には示していない)の上部を保護回路モジュール150の底部に取り付け、PTC素子の底部を、PTC素子の底部に連結された接続部材を経由して、突起型電極端子112及び114に直接連結し、PTC素子が突起型電極端子112及び114に電気的に接続されるようにする。
【0091】
PTC素子が、接続部材を経由して、電極端子に直接連結される構造に構築されたバッテリーパックの上側部分を図6に垂直断面図として示す。
【0092】
図6及び図5に関して、絶縁性取付部材140及び保護回路モジュール150は、バッテリーパック100の上部で第一突起型電極端子112と一体的に形成されたトップキャップ120に、順次取り付けられる。
【0093】
電解質を注入するための通し通路1121が、第一突起型電極端子112の中央区域に形成されている。また、第一突起型電極端子112は、トップキャップ120と一体的に形成されている。他方、第二突起型電極端子114は、トップキャップ120の通し孔122を通して上から挿入された下側延長部1146を有する。第二突起型電極端子114とトップキャップ120との間の界面には、第二突起型電極端子114とトップキャップ120との間の絶縁を達成するための、電気的に絶縁性のガスケット124が取り付けられている。また、第二突起型電極端子114の上側延長部1144及び下側延長部1146の末端には、窪み溝1143及び1145が形成されている。
【0094】
PTC素子300は、保護回路モジュール150の底部に直接取り付けられる。PTC素子300の底部に取り付けられた接続部材310は、第二突起型電極端子114に接続される。接続部材310と第二突起型電極端子114との間の連結は、溶接により行うことができる。しかし、接続部材310がガスケット124及び第二突起型電極端子114と緊密に接触するように、接続部材310がガスケット124と第二突起型電極端子114との間に単純に挿入されている状態でも、接続部材310と第二突起型電極端子114との間に電気的接続を安定して達成することができる。
【0095】
他方、上記の構造を有するバッテリーパック100では、別の接続部材を使用せずに、PCM 1560を電極端子に直接電気的に接続することができる。また、過電流が発生した時に電流を遮断するための導電性パターン(図には示していない)を、図4に示すように、保護回路の一部としてPCM 150の底部に印刷するので、過電流遮断のための、予め決められた体積を有する安全素子を取り付ける必要がない。すなわち、本発明のバッテリーパック100は、安全素子を電気的に接続し、取り付けるための空間を必要としない。従って、バッテリーパックを非常に緻密な構造に構築し、バッテリーパックの体積密度を増加することができる。
【産業上の利用可能性】
【0096】
上記の説明から明らかなように、本発明のバッテリーパックは、PCMが安全装置を備え、その安全装置の回路が、温度が高いか、または大量の電流が流れた時に遮断される構造に構築されている。従って、バッテリーパックの体積密度を増加させ、同時に、バッテリーパックの安全装置を効率的に向上させることができる。
【0097】
本発明の好ましい実施態様を例示のために開示したが、当業者には明らかなように、請求項に記載する本発明の範囲及び精神から離れることなく、様々な修正、追加、及び置き換えが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックであって、
バッテリーケース中に電解質と共に密封状態で取り付けられてなる、カソード/セパレータ/アノード構造の電極アセンブリーを有してなるバッテリーセルと、及び、
前記バッテリーセルに電気的に接続された保護回路モジュール(PCM)とを備えてなるものであり、
前記PCMが安全装置を備えてなり、前記安全装置の回路が、温度が高い時又は大量の電流が流れた時に遮断されてなり、
前記バッテリーセルが、金属容器中に電解質と共に取り付けられた電極アセンブリーを有してなり、
前記金属容器が、トップキャップにより密封される開いた上部を有してなり、
前記バッテリーパックが、絶縁性取付部材と、及び縁性キャップとをさらに備えてなり、
前記絶縁性取付部材が、前記PCMが前記絶縁性取付部材の上部に搭載され、前記絶縁性取付部材が、前記バッテリーセルの前記トップキャップに取り付けられる構造で構築されてなり、
前記縁性キャップが、前記PCMが前記絶縁性取付部材上に搭載された状態で、前記絶縁性取付部材を覆うために、該バッテリーセルの上側末端に連結されてなり、
前記トップキャップが、電極アセンブリーのカソード及びアノードにそれぞれ接続された一対の突起型電極端子(第一突起型電極端子及び第二突起型電極端子)を備えてなり、
前記絶縁性取付部材が、突起型電極端子に対応する通し孔を備えてなり、
前記PCMが、突起型電極端子に対応する通し孔を備えてなり、
前記絶縁性取付部材及び前記PCMとバッテリーセルとの連結が、突起型電極端子を絶縁性取付部材及びPCMの通し孔を通して順次挿入して固定することにより達成されるものである、バッテリーパック。
【請求項2】
前記PCM上に搭載され、温度が高い時に電流を遮断する、正温度係数(PTC)素子を更に備えてなり、
前記PTCが、追加の接続部材を用いることなく、前記PCMに直接取り付けられた上部を有して、前記PTCが前記PCMに電気的に接続されてなり、
底部に取り付けられた接続部材を介して、予め決められた回路に電気的に接続された前記底部を有してなる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項3】
前記接続部材が、温度が高い時に前記バッテリーセルと前記PCMとの間における電流の流れを遮断するために、前記バッテリーセルの対応する電極端子に接続されてなる、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項4】
前記接続部材が、温度が高い時に前記PCM回路中の電流の流れを遮断するために、前記PCMの作動回路に接続されてなる、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項5】
前記PTC素子の上部が、前記PCMの基板上に形成された金被覆部分に取り付けられてなる、請求項21に記載のバッテリーパック。
【請求項6】
前記接続部材が、前記接続部材全体の平均水平断面積の10〜90%に等しい水平断面積を有する過電流遮断部分を包含してなる、請求項2に記載のバッテリーパック。
【請求項7】
前記過電流遮断部分が、前記接続部材の幅を減少させた構造、前記接続部材の厚さを減少させた構造、及び前記接続部材の中央部がドリル加工された構造、又はこれらの組合せの構造からなる群から選択された構造に構築されてなる、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
前記PCMが、前記バッテリーセルに電気的に接続された保護回路基板(PCB)を包含してなり、
前記PCBが、回路が接続される区域に、比較的高い抵抗を有する融解部分を包含する導電性パターンを備えてなり、電流が大量の時に前記融解部分自体が融解し、電流の流れを遮断するように構築されてなる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記融解部分が、高い抵抗を有し、低電流密度となるものである、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
前記融解部分が、前記導電性パターンの全幅より小さい幅を有してなるものである、請求項9に記載のバッテリーパック。
【請求項11】
前記融解部分が、前記導電性パターンの全幅の10〜90%に等しい幅を有するものである、請求項10に記載のバッテリーパック。
【請求項12】
前記導電性パターンが、前記PCB上に印刷された、金(Au)から製造された保護回路パターンの一部である、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項13】
前記融解部分が、高い比抵抗を示す金属材料から形成されてなる、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項14】
前記導電性パターンが、前記PCB上に印刷された保護回路パターンの比抵抗より高い比抵抗を示す金属材料から形成されてなる、請求項8に記載のバッテリーパック。
【請求項15】
前記高い比抵抗を示す金属材料が、スズ(Sn)又はスズ合金である、請求項13又は14に記載のバッテリーパック。
【請求項16】
前記突起型電極端子の末端が、前記保護回路モジュールの上部から予め決められた長さだけ突き出ており、前記突起型電極端子の前記突き出た末端を圧迫し、前記保護回路モジュールに固定する、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項17】
前記突起型電極端子の少なくとも一個を、前記バッテリーケースの内側と連絡する通し通路を包含する中空構造に構築し、前記通し通路が、電解質注入口として使用した後、金属ボールにより密封されてなる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項18】
前記第一突起型電極端子が、前記トップキャップと一体的に形成されてなる、請求項1に記載のバッテリーパック。
【請求項19】
バッテリーパックであって、
前記トップキャップが通し孔を備えてなり、
前記第二突起型電極端子が、
板形状の本体と、
上側延長部と、及び
下側延長部とを包含してなり、
前記上側延長部が、前記本体から上向きに伸びて、前記本体から直角になるものであり、
前記下側延長部が、前記本体から下向きに伸びて、前記本体から直角になるものであり、
前記下側延長部が、前記トップキャップの前記通し孔を通じて挿入されるように構築されてなり、
前記下側延長部の末端を圧迫することにより、前記第二突起型電極端子を前記トップキャップに連結し、前記第二突起型電極端子と前記トップキャップの前記通し孔との間の界面に電気的に絶縁性のガスケットを取り付けて、前記第二突起型電極端子と前記トップキャップとの間の絶縁を達成するものである、請求項1に記載のバッテリーパック。

【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−101953(P2013−101953A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−701(P2013−701)
【出願日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【分割の表示】特願2010−535877(P2010−535877)の分割
【原出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】