説明

安全注射器の構造

【課題】 医療人員、廃棄物処理員の刺し傷を防止可能な安全注射器の構造の提供。
【解決手段】 使用者が注射動作完成後に、ただ使用者が針を180度回転させる動作を行ってからプランジャーを後方に引っ張って注射筒内部に真空状態を形成することで、針が注射筒内に吸入され、さらに使用者が注射筒に設けられたカバーで注射筒を閉じられて、確実に針の突出を防止できるようにしてあり、有効に使用人員や処理作業員の安全を保護することができるようにして構成した。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は事故による刺し傷を防止できる安全注射器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に病院で使用されている注射器の構造は、図1、2に示されるようであり、重複使用不可の消耗品とされ、このような注射器の構造は、注射筒10、プランジャー20、針30及びカバー40を具えている。
【0003】
該注射筒10は筒状部材でプランジャー20を内部に収容するための開口を一端に具え、別端に針30を嵌着するネック12が設けられている。
【0004】
該プランジャー20の断面は十字形を呈し、注射筒10内に置き入れられるロッド体とされ、その一端に注射筒10の内径に組み合わされうるゴム製のピストン21を具え、別端が手指による押圧操作を受ける円盤22とされている。
【0005】
該針30は中空の管体とされ、一端に尖った注射孔31が設けられ、別端に注射筒10のネック12上に套設される結合部32が形成されている。
【0006】
該カバー40は針を被覆するキャップ体とされ、従来の注射器が不使用の時に針30の外側に套設されて針30の外側に嵌合される。
【0007】
以上の構成部品を組合せてなる従来の注射器の構造は、一般に、使用完了後にプラスチック製のカバーで針を被覆してから廃棄される。ただし調査によると、廃棄後の注射器の構造は、そのカバーが外れやすく、このため廃棄された注射器が集中処理されないと、医療廃棄物を処理する作業員が針で刺し傷を受けることがあり、またそのために針に残留する病原菌に感染することさえあった。
【0008】
このように、従来の注射器構造の不安全性の問題を有しており、医療関係者や医療廃棄物処理作業員に対して安全である安全注射器の構造を提供する必要があった。
【0009】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の主要な目的は、従来の注射器構造の不安全性の問題を有しており、医療関係者や医療廃棄物処理作業員に対して安全である安全注射器の構造を提供することにあり、それは、使用者が注射動作完成後に、ただ使用者が針を180度回転させる動作を行ってからプランジャーを後方に引っ張って注射筒内部に真空状態を形成することで、針が注射筒内に吸入され、さらに使用者が注射筒に設けられたカバーで注射筒を閉じられて、確実に針の突出を防止できるようにしてあり、有効に使用人員や処理作業員の安全を保護することができるものとする。
【0010】
本考案のもう一つの目的は、一種の安全注射器の構造を提供することにあり、それは、従来の注射器が、カバー、針、注射筒、プランジャーの四つの部品で構成されていたのに対して、三つの部品で構成されて、医療廃棄物の全体トン数を減少して環境汚染を減らすことができるものとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の考案は、注射筒(10)、プランジャー(20)、連接体(50)、及び回転式針(60)を包括する安全注射器の構造であって、 該注射筒(10)は中空の筒体とされ、1 端に筒体直径によって設けられた開口(11)があり、別端の中心に筒体直径より小さいネック(13)が凸設され、該別端の周囲に円球形の凹所(14)が設けられ、またネック(13)に軟条(15)でカバー(16)が連接され、このカバー(16)の一つの端面に該凹所(14)内に嵌合可能な凸粒(161) が設けられ、周縁に凸縁(162) が設けられ、カバー(16)がネック(13)の開口端を緊密に閉じることができ、 該プランジャー(20)は注射筒(10)内縁に設置される柱状体とされ、この柱状体の一端が注射筒(10)内縁と緊密に組み合わされるゴムピストン(21)に挿着され、もう一端に手指による押圧操作に供される円盤(22)が設けられ、 前記連接体(50)の一端に嵌合凸縁(51)が設けられ、該嵌合凸縁(51)のやや上方に第1凸環(52)が設けられ、連接体(50)が注射筒(10)のネック(13)の内側に嵌合可能とされ、連接体(50)の内側に連接体(50)を貫通する管道(53)が形成され、この管道(53)は半円の形式で連接体(50)内に形成され、注射筒(10)と回転式針(60)を連通させ、連接体(50)の別端に別に回転式針(60)に嵌合可能な第2凸環(54)が形成され、 該回転式針(60)は連接体(50)の外側に套設される円錐状のカバー体を具え、この円錐状のカバー体の1 端に細長い針管(61)が嵌着され、下方内縁に連接体(50)の第2凸環(54)と嵌合可能な凹溝環(62)があり、且つ内部にも同様に半円形式の管道(63)が形成されて、連接体(50)の管道(53)が針管(61)に連通するようにしてあり、 以上が組み合わされ、連接体(50)が第2凸環(54)で回転式針(60)の凹溝環(62)と相互に嵌合し、回転式針(60)が連接体(50)と結合され並びに左右に回転の運動可能とされ、回転式針(60)を180度回転させられるごとに、連接体(50)内部の管道(53)と回転式針(60)内部の管道(63)が連通或いは封閉状態を呈し、封閉状態の時にプランジャー(20)が外向きに引っ張られると注射筒(10)内部に真空状態が発生して連接体(50)及び回転式針(60)が注射筒(10)内に吸入されるようにして構成された、安全注射器の構造としている。
【0012】
【考案の実施の形態】
図3、図4、図5に示されるように、本考案は、注射筒(10)、プランジャー(20)、連接体(50)、及び回転式針(60)を包括する。
【0013】
該注射筒(10)は中空の筒体とされ、1 端に筒体直径によって設けられた開口(11)があり、別端の中心に筒体直径より小さいネック(13)が凸設され、該別端の周囲に円球形の凹所(14)が設けられ、またネック(13)に軟条(15)でカバー(16)が連接され、このカバー(16)の一つの端面に該凹所(14)内に嵌合可能な凸粒(161) が設けられ、周縁に凸縁(162) が設けられ、カバー(16)がネック(13)の開口端を緊密に閉じることができるようにしてある。
【0014】
該プランジャー(20)は注射筒(10)内縁に設置される柱状体とされ、この柱状体の一端が注射筒(10)内縁と緊密に組み合わされるゴムピストン(21)に挿着され、もう一端に手指による押圧操作に供される円盤(22)が設けられている。
【0015】
前記連接体(50)の一端に嵌合凸縁(51)が設けられ、該嵌合凸縁(51)のやや上方に第1凸環(52)が設けられ、連接体(50)が注射筒(10)のネック(13)の内側に嵌合可能とされ、連接体(50)の内側に連接体(50)を貫通する管道(53)が形成され、この管道(53)は半円の形式で連接体(50)内に形成され、注射筒(10)と回転式針(60)を連通させ、連接体(50)の別端に別に回転式針(60)に嵌合可能な第2凸環(54)が形成されている。
【0016】
該回転式針(60)は連接体(50)の外側に套設される円錐状のカバー体を具え、この円錐状のカバー体の1 端に細長い針管(61)が嵌着され、下方内縁に連接体(50)の第2凸環(54)と嵌合可能な凹溝環(62)があり、且つ内部にも同様に半円形式の管道(63)が形成されて、連接体(50)の管道(53)が針管(61)に連通するようにしてある。
【0017】
以上の構成部品を組み合わせて安全注射器の構造が構成される。その連接体(50)は注射筒(10)の開口(11)端より置き入れられ、さらにネック(13)より突出し、この時連接体(50)の嵌合凸縁(51)は、注射筒(10)とネック(13)間の組合せ溝(17)の弯折部分に套設し、且つ嵌合凸縁(51)の上方の第1凸環(52)がネック(13)の内縁に嵌合し、連接体(50)が注射筒(10)の嵌合凸縁(51)に保持され、こうして連接体(50)が注射筒(10)のネック(13)部分に位置決めされる。連接体(50)のもう一端の第2凸環(54)は回転式針(60)の凹溝環(62)と相互に嵌合し、回転式針(60)が連接体(50)と結合され並びに左右に回転の運動可能とされ、連接体(50)と回転式針(60)内部の管道(53)、(63)が連通と封閉の動作可能となる。
【0018】
図6に示されるように、本考案は使用前、その連接体(50)及び回転式針(60)内部の管道(53)、(63)が連通状態にあり、この時、カバー(16)を開けて且つカバー(16)の凸粒(161) を円球形の凹所(14)内に圧入してカバー(16)を固定し、並びにプランジャー(20)を押圧して注射筒(10)底部に至らせることで、連接体(50)が組合せ溝(17)内に保持され、さらにプランジャー(20)を外向きに引っ張る動作により薬液を針管(61)より注射筒(10)内に吸入可能で、こうして注射前の準備が完了する。
【0019】
さらに図7に示されるように、注射完了後(この時、プランジャー(20)は完全に注射筒(10)内に挿入されている)、回転式針(60)を180度回転させて、連接体(50)と回転式針(60)内部の管道(53)、(63)を相互に分離させ、閉じた状態とさせ、その後、プランジャー(20)を外向きに引っ張る。この時、注射筒(10)内部に真空状態が発生し、その吸引力により連接体(50)及び回転式針(60)が注射筒(10)内に吸入される。
【0020】
最後に、カバー(16)をネック(13)に嵌合させれば針管(61)が注射筒(10)内に封入され、こうして使用者の安全を保護する形態が形成される。
【0021】
【考案の効果】
本考案の安全注射器の構造は、従来の注射器構造の不安全性の問題を有しており、医療関係者や医療廃棄物処理作業員に対して安全であり、実用性、新規性及び産業上の利用価値を有する考案であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の注射器の構造の斜視図である。
【図2】従来の注射器の構造の局部断面図である。
【図3】本考案の分解斜視図である。
【図4】本考案の組合せ図である。
【図5】本考案の使用前の組合せ図である。
【図6】本考案の注射進行前の状態図である。
【図7】本考案の注射進行後の状態図である。
【符号の説明】
(10) 注射筒
(11) 開口
(12) ネック
(13) ネック
(14) 凹所
(15) 軟条
(16) カバー
(161) 凸粒
(162) 凸条
(17) 組合せ溝
(20) プランジャー
(21) ゴムピストン
(22) 円盤
(30) 針
(31) 注射孔
(32) 突出部
(40) カバー
(50) 連接体
(51) 嵌合凸縁
(52) 第1凸環
(53) 管道
(54) 第2凸環
(60) 回転式針
(61) 針管
(62) 凹溝環
(63) 管道

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 注射筒(10)、プランジャー(20)、連接体(50)、及び回転式針(60)を包括する安全注射器の構造であって、該注射筒(10)は中空の筒体とされ、1 端に筒体直径によって設けられた開口(11)があり、別端の中心に筒体直径より小さいネック(13)が凸設され、該別端の周囲に円球形の凹所(14)が設けられ、またネック(13)に軟条(15)でカバー(16)が連接され、このカバー(16)の一つの端面に該凹所(14)内に嵌合可能な凸粒(161) が設けられ、周縁に凸縁(162) が設けられ、カバー(16)がネック(13)の開口端を緊密に閉じることができ、該プランジャー(20)は注射筒(10)内縁に設置される柱状体とされ、この柱状体の一端が注射筒(10)内縁と緊密に組み合わされるゴムピストン(21)に挿着され、もう一端に手指による押圧操作に供される円盤(22)が設けられ、前記連接体(50)の一端に嵌合凸縁(51)が設けられ、該嵌合凸縁(51)のやや上方に第1凸環(52)が設けられ、連接体(50)が注射筒(10)のネック(13)の内側に嵌合可能とされ、連接体(50)の内側に連接体(50)を貫通する管道(53)が形成され、この管道(53)は半円の形式で連接体(50)内に形成され、注射筒(10)と回転式針(60)を連通させ、連接体(50)の別端に別に回転式針(60)に嵌合可能な第2凸環(54)が形成され、該回転式針(60)は連接体(50)の外側に套設される円錐状のカバー体を具え、この円錐状のカバー体の1 端に細長い針管(61)が嵌着され、下方内縁に連接体(50)の第2凸環(54)と嵌合可能な凹溝環(62)があり、且つ内部にも同様に半円形式の管道(63)が形成されて、連接体(50)の管道(53)が針管(61)に連通するようにしてあり、以上が組み合わされ、連接体(50)が第2凸環(54)で回転式針(60)の凹溝環(62)と相互に嵌合し、回転式針(60)が連接体(50)と結合され並びに左右に回転の運動可能とされ、回転式針(60)を180度回転させられるごとに、連接体(50)内部の管道(53)と回転式針(60)内部の管道(63)が連通或いは封閉状態を呈し、封閉状態の時にプランジャー(20)が外向きに引っ張られると注射筒(10)内部に真空状態が発生して連接体(50)及び回転式針(60)が注射筒(10)内に吸入されるようにして構成された、安全注射器の構造。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【登録番号】第3062087号
【登録日】平成11年(1999)6月30日
【発行日】平成11年(1999)9月28日
【考案の名称】安全注射器の構造
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−1407
【出願日】平成11年(1999)3月11日
【出願人】(599028308)