安全監視システム
【課題】地下施設において異常又は災害発生場所の迅速な把握と、それに伴う避難誘導路の選択並びに避難誘導の迅速かつ適切な指示等によって作業員の安全を確保する。
【解決手段】本安全監視システムは、メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段とを有し、ガス濃度センサから異常データが送信されると、異常データ発生区域を回避した避難ルートの設定ならびに避難誘導指示によって、危険エリアから速やかに避難し、あるいは一時待避することが可能とする。
【解決手段】本安全監視システムは、メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段とを有し、ガス濃度センサから異常データが送信されると、異常データ発生区域を回避した避難ルートの設定ならびに避難誘導指示によって、危険エリアから速やかに避難し、あるいは一時待避することが可能とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を貯蔵するための地下貯蔵施設又はその研究施設における安全監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で使用された後の使用済燃料については、そのまま廃棄するのではなく、再処理施設でウランやプルトニウムを回収することでその有効利用が図られるが、再処理の際、高レベル放射性廃棄物と呼ばれる廃液が生じる。
かかる廃液は放射能レベルが高く、半減期がきわめて長いものも含まれるため、我が国では、ガラス固化によって安定した形態とした上、深さ300m以上の深地層に地下貯蔵施設を建設し、該地下貯蔵施設に最終処分されることになっている。
高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵施設は、現在のところ立地が未定であるが、将来の建設を踏まえ、その研究施設については建設中であり、深地層での環境調査等を含めた研究開発が進められているところである。
地下貯蔵施設又はその研究施設は、地盤内に深さ数百mの立坑を掘削するとともに、該立坑から水平方向に向けて横坑が掘削形成されてなり、上述した高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、かかる横坑に貯蔵される。
横坑は、深さもさることながら、水平長が数百mにも及ぶものであり、平面的にも大きな拡がりを持つ大規模な地下施設となる。
【0003】
ところが、このような地下施設に対する防災システムの従来例としては、特許文献1に記載のように、石炭等の地下資源の採掘において、坑道が次第に延長され、鉱脈の状況によって複雑で迷路のように進捗されていく。そこで、例えば、一酸化炭素やメタンなどのガスを検知するガスセンサや、火災検知のための温度センサ等を坑道の各所に配設して、当該センサをモデム等を介して有線で地上に導出し、監視装置に接続し、監視員がモニタするように監視システムが構築され、前記各センサは、前記監視装置におけるコンピュータからの指令により、定期的に検知データが監視装置に送られ、該検知データにより監視装置の坑道マップ上に反映されるようになっている形態であり、あくまで、中央の監視装置を中心とした防災システムである。そのため、例えば、災害が発生したときにおいて、中央の監視装置からの各種指令を人的な手段等で伝達して災害を防止する形態となっていたため、作業員の安全を確保できるような迅速かつ適切な対応が取れる状況ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−266599号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記背景技術の問題点に鑑み、水平及び鉛直両方向に展開された三次元的な拡がりを持つ大規模な地下施設において、異常あるいは災害発生場所の迅速な把握と、それに伴う避難誘導路の選択、ならびに避難誘導の迅速かつ適切な指示等によって、作業員の安全を確保できる安全監視システムを構築することを課題とする。
特に、通常のトンネルと同様、酸素濃度の低下や硫化水素あるいはメタンといった有毒ガスあるいは可燃性ガスの発生に対し、作業員の安全を確保できるような迅速かつ適切な対応を取ることができることが不可欠となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明は、立坑と前記立坑に連通形成された横坑からなる地下貯蔵施設において、前記横坑の任意の地点に配置したガス濃度センサからのガス濃度に異常が発生した場合に、前記横坑の任意の地点に配置した誘導手段に避難誘導の指示を行う安全監視システムであって、メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段と、を有する安全監視システムにおいて、
前記メインサーバは、前記立坑と前記横坑との関連を記憶する空間位置情報記憶手段と、
前記ガス濃度センサからの情報について、該ガス濃度データが正常な状態の情報か、異常な状態の情報かを判定する計測データ判定手段と、前記計測データ判定手段において異常な状態の情報と判定された地点を記憶する空間位置情報記憶手段と、前記計測データ判定手段が異常な状態の情報と判定したときに、異常な状態と判定された地点以外の地点に対して、避難ルートを選択する避難ルート選択手段と、前記避難ルート選択手段によって選択された避難ルートに該当する前記横穴の任意の地点に対して避難誘導表示を指示する誘導表示制御手段とを有する安全監視システムである。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に付加して、前記計測データ判定手段において、前記横坑内の正常な状態あるいは異常な状態の判定は、あらかじめ定められたガス別の濃度基準によるところの安全監視システムである。
【0008】
第3の発明は、第1乃至第2の発明に付加して、前記避難ルート選択手段で選択される避難ルートの避難先は、立坑ならびに一時避難場所であり、該避難ルート選択基準は、最短の避難距離であるところの安全監視システムである。
【0009】
第4の発明は、第1乃至第3の発明に付加して、前記ガス濃度センサと前記誘導手段とは、前記横坑内の任意の位置に対にして配置されているところの安全監視システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の安全監視システムを実施することにより、つぎの効果を得ることができる。
1)横坑の一部で作業員に危害が及ぶガスの濃度変動が検出されたとき、横坑のどこにいようと、避難指示又は一時待機指示の知らせを速やかに受けることが可能となり、ガスを原因とした事故を未然に防止することが可能となる。
2)すなわち、ガスの濃度変動検出の知らせを受けて地下貯蔵施設に立ち入った救急隊員などはもちろんのこと、日常的に出入りしている作業員や研究員であっても、地下貯蔵施設の立体構造が複雑な場合には、緊急時における冷静な行動対処が困難になることもあって、たとえ危険エリアで警報装置が作動していたとしても、それだけではどの方向に避難すればよいのか、判断が遅れて適切な行動をとることができず、結果として二次災害が起きる懸念もある。これらを未然に防止することができる。
3)また、立坑への避難ルート、又は一待避エリアヘの一時待避ルートがサテライトサーバに設けられた誘導手段を介して明確に表示されるため、危険エリアから速やかに避難し、あるいは一時待避することが可能となる。
4)また、避難ルートや一時待避ルートは、危険エリアの場所によって常に変化するため、例えば避難方向や一時待避方向を矢印で示す構成においては、避難方向又は一時待避方向を切替自在に表示できる構成とし、例えば電光掲示板あるいはそれに類似するもので構成することにより、時々刻々の変化に対応することが可能となる。
5)立坑や横坑の構造あるいは規模は任意であって、横坑のうち、ある場所で生じたガス濃度の変動が、その場所から離隔した横坑に影響が及んで避難や一時待避が必要になる限り、例えば立坑が1本でその立坑から一本の横坑が延びている最小限の構成をはじめ、1本の立坑から異なる深さごとに複数の横坑が延びている場合や、複数の立坑から異なる深さごとに複数の横坑が延びている場合が含まれる。ちなみに、多くの立坑や横坑が複雑に交錯している場合ほど、本発明による安全性向上の効果が顕著となる。
6)さらに、ガス濃度センサとあわせて、坑道壁面からの湧水量、地下水圧、間隙水圧、地下水や溶存ガスの性状、間隙水圧といった様々なデータを計測する既設のモニタリング装置を併設することで、多方面の災害防止に対応した安全監視システムとすることができる。
7)一方、本発明の安全監視システムによって、模擬的な異常値を再現させることで、避難誘導等の訓練用としても活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る安全監視システムの一実施例としてのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る安全監視システムの処理手順の一実施例を示す処理フローチャートである。
【図3】本発明に使用する空間位置データの一実施例である。
【図4】本発明の避難ルート設定の処理手順の一実施例を示す処理フローチャートである。
【図5】本発明の避難ルート設定に使用する区域別避難ルートマスタM2の構成を示す。
【図6】本発明の避難ルート選定の処理手順の一実施例を示す処理フローチャートである。
【図7】本発明のガス濃度異常の限界値を判別する計測データ基準値マスタの一実施例を示す。
【図8】本発明の安全監視システムを適用する地下貯蔵施設の構成を示した図である。
【図9】本発明の安全監視システムにおける立坑、横坑へのシステム構成機器配置ならびに避難装置の表示内容を示した図である。
【図10】本発明の安全監視システムを適用する地下貯蔵施設への避難装置の表示内容の第2の例を示した図である。
【図11】本発明の安全監視システムを適用する地下貯蔵施設への避難装置の表示内容の第3の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の安全監視システムは、立坑と前記立坑に連通形成された横坑からなる地下貯蔵施設において、前記横坑の任意の地点に配置したガス濃度センサからのガス濃度に異常が発生した場合に、前記横坑の任意の地点に配置した誘導手段に避難誘導の指示を行う安全監視システムであり、その構成は、メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段とを有しており、前記メインサーバは、前記立坑と前記横坑との関連を記憶する空間位置情報記憶手段と、前記ガス濃度センサからの情報について、該ガス濃度データが正常な状態の情報か、異常な状態の情報かを判定する計測データ判定手段と、前記計測データ判定手段において異常な状態の情報と判定された地点を記憶する空間位置情報記憶手段と、前記計測データ判定手段が異常な状態の情報と判定したときに、異常な状態と判定された地点以外の地点に対して、避難ルートを選択する避難ルート選択手段と、前記避難ルート選択手段によって選択された避難ルートに該当する前記横穴の任意の地点に対して避難誘導表示を指示する誘導表示制御手段とで構成されている。
【0013】
また、前記計測データ判定手段においては、前記横坑内の正常な状態あるいは異常な状態の判定を、あらかじめ定められたガス別の濃度基準により判定するように構成されている。
また、前記避難ルート選択手段で選択される避難ルートの避難先は、立坑ならびに一時避難場所であり、該避難ルート選択基準は、最短の避難距離で行うように構成されている。
さらに、前記ガス濃度センサと前記誘導手段とは、前記横坑内の任意の位置に対にして配置されている。
【0014】
これらの構成を図1を基に説明する。
本発明の安全監視システム1は、全体を統括管理するメインサーバ2と、それに接続される複数のサテライトサーバ7と、サテライトサーバ7に接続され横坑各所のガス濃度状況を検知し、そのガス濃度状況をガス濃度情報としてサテライトサーバ7へ送信する複数のガス濃度センサ11と、さらに、サテライトサーバ7を経由してメインサーバ2から送信される避難誘導指示情報を表示する複数の誘導手段12とで構成する。
【0015】
メインサーバ2は、演算処理部3と、演算処理部で処理される各種の処理手段(プログラム)を格納した制御手段4と、演算処理部3での処理結果をサテライトサーバ7へ送信し、かつ、サテライトサーバ7からの情報を受信するM送・受信部5を持ち、演算処理部3の演算処理に必要な各種データを収容したデータベース6とで構成されている。
【0016】
制御手段4は、本発明の監視対象である立坑と横坑の空間の位置関係ネットワークを記憶させる空間位置情報記憶手段T1と、ガス濃度センサ11からのガス濃度情報を受信するガス濃度データ受信手段T5と、前記ガス濃度情報に対して正常な値か、異常な値かを判定する計測データ判定手段T2と、前記計測データ判定手段T2で異常と判断したガス濃度センサ11の位置を記憶する空間位置状況記憶手段T3と、前記異常と判断したガス濃度センサ11の位置をもとに、その異常となったガス濃度センサの位置以外の場所いわゆる誘導手段12に対して避難のための退避ルートを選択する退避ルート選択手段T4と、前記異常となったガス濃度センサの位置以外の場所いわゆる誘導手段12に対して避難誘導の方向表示を行う誘導表示手段T6とを収納している。
【0017】
データベース6は、演算処理部3で、各種制御手段4の制御を行うに必要な、立坑と横坑の空間の位置関係ネットワークを記憶した空間位置データマスタM1と、横坑別の避難ルートの基本を記憶した区域別避難ルートマスタM2と、ガス濃度センサからのガス濃度情報の正常、異常を判定する基準値を記憶した計測データ基準値マスタM3と、前記空間位置データマスタM1を基に、ガス濃度センサの異常値発生の位置を記憶する空間位置状況ファイルF1とで構成する。
【0018】
一方、前記メインサーバ2に接続したサテライトサーバ7は、必要に応じて複数配置するが、メインサーバ2と前記横坑に配置した複数のガス濃度センサ、さらには、複数の誘導手段12との中継を果たす役割であり、その内部には、メインサーバ2との送・受信を行うS1送・受信部と、複数のガス濃度センサ11からの受信、ならびに誘導手段12への送・受信を行うS2送・受信部と、これらの送・受信の制御を行う制御部8とで構成し、該制御部8には、ガス計測データ制御部、誘導手段制御部、送・受信制御部の機能を持つが、原則的には、メインサーバ2とガス濃度センサ11、誘導表示手段12との中継機能を主目的とする。
【0019】
ここで、サテライトサーバ7、ガス濃度センサ11、ならびに、誘導手段12との関係について説明する。
前記では、サテライトサーバ7が複数のガス濃度センサ11と複数の誘導手段12とを接続した構成として説明したが、地下施設の状況によっては、ガス濃度センサ11専用のサテライトサーバ7、誘導手段12専用のサテライトサーバ7のように、必要に応じてサテライトサーバをガス濃度センサ用、誘導手段用とに分割して配置することもできる。
なお、本発明に使用するガス濃度センサ11、誘導表示手段12、ならびに、本発明の対象となる立坑、横坑の関連を模式的に、図1の下部に示す。この中で、一対のガス濃度センサ11と誘導表示手段12の管理範囲は、破線間の一区画とするものである。
また、本安全監視システム1で使用するメインサーバ2、サテライトサーバ7、ガス濃度センサ11ならびに誘導手段12の各間の送・受信については詳述しないが、一般に使用されている通信制御手段を利用する。
【実施例1】
【0020】
実施例1として、安全監視システム1の関連する処理手順を、システム面を中心に、図2を基に説明する。
ステップS1として、安全監視システム1の初期設定を行う。
ステップS2として、メインサーバ2のキーボード等(図示せず)を利用して入力された立坑、横坑各所の位置データを空間位置データとして取込み、空間位置データマスタM1として記憶する。
ステップS3として、空間位置データを基に、各ガス濃度センサ位置を管理単位として、異常が発生した場合の複数の避難ルートを計算し、有効な避難ルートを選択する、同時に、その結果を、ガス濃度センサ位置毎に、区域別避難ルートとして区域別避難ルートマスタM2に登録する。
ステップ1〜ステップ3までの処理は、安全監視の対象となる立坑、横坑が、掘削等によって新たに発生すること等は無ければ、初期段階の処理のものを継続するが、立坑、横坑等に変更があった場合には、新たに、変更部分の空間位置データの追加登録を行い、再設定するものとする。
【0021】
これ以降は、日および時々刻々の管理となるが、
ステップ4として、サテライトサーバ7を経由して受信したガス濃度センサ11のガス濃度情報を受信する。
ステップS5として、受信したガス濃度データを、基準値として登録してある計測データ基準値マスタM3との照合を行い、計測データが異常値かの判定を行う。
計測データが正常の場合には、ステップS4に戻り、つぎのガス濃度計測データの受信を待つ。計測データが異常の場合には、何らかの事故発生判断し、ステップS6の処理に移行する。
ステップS6として、異常が発生したガス濃度センサの位置を空間位置状況ファイルF1に記憶する。
ステップS7として、空間位置状況ファイルF1と、区域別ルートマスタM2を取込み、ガス濃度センサ設置位置毎に、避難ルートを選択する。
ステップS8として、ステップS7の避難ルートに基づき、誘導手段12単位に避難誘導表示の設定を行う。
ステップS9として、各誘導手段12単位に、サテライトサーバ7に対して避難誘導表示情報の送信を行う。
【0022】
異常の場合のステップのうち、その主となるステップS2の「空間位置データ取込み」、ステップS3の「避難ルート設定」、ステップS6の「空間位置状況記録」ならびにステップS7の「避難ルート選択」について以下説明する。
【0023】
〔空間位置データ取込み〕
空間位置データ取り込みは、立坑ならびに横坑の関連をマトリックスとして登録するための情報であり、その概略を図3に模式的に示す。
具体的には、図1の下部図を基に説明するが、一対のガス濃度センサ11と誘導表示手段12の管理範囲(区画)単位に関連ネットワークと避難坑を指定するものである。A1区画は、立坑Xを基準にして前区画が立坑のX、後区画がA2であり、避難坑として立坑側がX,一時退避エリア側がYとなる。以下、区画毎に、関連ネットワークおよび避難坑との関係を記載したものであり、メインサーバ2のキーボード等(図示せず)を利用して入力されたデータを、空間位置データマスタM1として取り込む。本処理は、読み込み、記憶の一連の一般的な処理のため、詳述は割愛する。
【0024】
〔避難ルート設定〕
避難ルートの設定は、本発明が異常発生時の処理を目的としているため、考えられる避難ルートの全てをあらかじめ設定しておくこととした。その処理フローを図4に示す。
本説明では、横坑NOをI、区画NOをN、区画内データをK(I,N)ならびに空間位置データマスタM1のデータをM(I,N)として説明する。
まず、ステップS3−1として、初期設定ならびに横坑NOのI=1、区画NOのN=1として設定する。
ステップS3−2として、Iが最大か、具体的には、横坑全てを終了したかの確認を行い、到達しない場合には、S3−3ステップに移行し、到達した場合には、S3−8の終了処理を行う。
ステップS3−3として、Nが最大か、具体的には、横坑に配置されている区画のすべてを終了したか、いわゆる、一時退避エリアまで終了したかの確認を行う。該当する横坑の区画全てが終了しない場合には、S3−4ステップに移行し、終了した場合には、S3−7ステップに移行し、I=I+1の設定を行った後、ステップS3−2を繰り返し実行する。
ステップS3−4では、設定したIとNに該当する空間位置データK(I,N)と空間位置データマスタM1のM(I,N)とを照合し、等しいものがない場合には、ステップS3−6の処理に移行し、N=N+1の処理の後、ステップS3−3の処理に戻る。等しいものある場合には、空間位置データK(I,N)に空間位置データマスタM1のM(I,N+1)のデータを記憶し、同時に、区域別避難ルートマスタM2に記憶する。以上の処理を繰り返し実行することで、全ての区画にたいする避難ルートを設定する。図4に示すフローチャートは、ある区画の下流側(立坑と反対側である一時退避エリア側)について記載したが、ある区画の上流側(立坑側)についても、Nを(−)側に設定することで同様の区域別避難ルートマスタM2を作成することができる。
これらの処理の結果、作成された区域別避難ルートマスタM2の概念を図5に示す。この図で、左半分が上流側(立坑側避難)、右半分が下流側(一時退避エリア側)を示している。
【0025】
〔空間位置情報記録〕
空間位置情報記録は、前記区域別避難ルートマスタM2と同じ内容(複写した)の空間位置状況ファイルF1に対して、現在、異常が検知された区画情報を記録するものであり、その後の避難ルート選択用の基本データとして使用する。
具体的には、図5の区域別避難ルートマスタM2(実際には、この図5のデータが複写され、空間位置状況ファイルF1としたもの)の概念を使用して説明する。簡単な処理のため、詳細処理手順は割愛するが、例えば、"A3"の区画でガス濃度異常が発生すると、空間位置状況ファイルF1の全てのデータを検索し、立坑側避難データと、一時退避エリア側データで"A3"が記録されている区画データを全て消去する。その結果、"A3"の区画を使用しない避難ルートのみが残ることになり、これらを集めたものが、避難ルート候補として存在することとなり、これらの結果を、空間位置状況ファイルF1として再度、記録する。
【0026】
〔避難ルート選択〕
避難ルート選択について、図6を基に説明する。
まず、ステップS7−1として、避難ルート選択システムの初期設定を行う。
ステップS7−2として、メインサーバ2のキーボード等(図示せず)を利用して入力された避難ルート選択基準(避難距離を優先等)を避難ルート選択基準としてメインサーバ2内のワークファイルに取込み、記憶する。この処理は、避難ルート選択基準の内容が変更となるまで、メインサーバ2内のデータベース6内に記憶しておき使用するものである。
ステップS7−3として、前記図2のステップS4で取込んだガス濃度計測データ中のガス濃度データ異常となった横坑区画を特定し、特定した横坑区画によって空間位置データマスタM1から避難対象区画を全て抽出する。ここでは、ガス濃度データ異常となった区画を含む横坑のみを避難の対象とすることで説明する。ガス濃度データ異常となった区画を含む横坑の近郊の上下いくつまでの横坑を対象とするとの設定であっても良い。
ステップS7−4として、前記ステップS7−3で抽出した区画についての避難ルート候補を、空間位置状況ファイルF1から抽出し、前記ステップS7−2で取込んだ避難ルート選択基準に対応するデータを演算する。本実施例では、避難距離を避難ルート選択基準として説明する。
ステップS7−5として、ステップS7−4で演算された避難距離と区画をキー項目として、区画>避難距離の優先順位で整列する。
ステップS7−6として、ステップS7−5で整列されたデータを基に、区画毎に最小の避難距離のルートを避難ルートとして設定し、その後、ステップS7−7の終了処理を行い、避難ルート選択の処理を終了する。
なお、本避難ルート選択は、一般にナビゲーションシステム等で使用されているルート選択の機能を利用することもできる
【0027】
ここで、本発明の基本データとなる計測データ基準値マスタM3について説明する。
計測データ基準値マスタM3は、図7に示すように、各種ガス毎に、酸欠あるいは中毒を起こす等の限界値、あるいは、それに近い安全値を記憶したものである。具体的には、硫化水素10ppm、一酸化炭素50ppm、メタン10%LEL、酸素18%VOL等であり、安全率を見越して基準値は変更しても良い。
以上、安全監視システムの処理手順を中心にした内容を実施例1として説明した。
【実施例2】
【0028】
実施例2として、高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵施設における立坑、横坑さらにはガス濃度センサ、誘導手段等を中心にした内容を実施例2として、図8〜図11を基に説明する。なお、符号については、サテライトサーバ7の台数に応じて、a、b、c・・の符号を付した。
図8においては、地下貯蔵施設における安全監視システム1は、地下貯蔵施設21に適用されたものであって、サテライトサーバ7a、7b、7cとメインサーバ2とを備える。
地下貯蔵施設21は、立坑22と該立坑22に連通されるように該立坑22から水平に延設された横坑23とからなり、立坑22内にはエレベータ27を昇降自在に配置してあるとともに、横坑23の最も奥側には、酸素供給手段としての酸素ボンベ28を設置してあり、事故が起こったときには、最奥部が一時待避エリア29として機能する。
ここで、上述したサテライトサーバ7a、7b、7cは、横坑23に分散配置してあるとともに、メインサーバ2は、地上に設置された観測所24内に設置してあり、サテライトサーバ7a、7b、7c及びメインサーバ2は、立坑22の地上出口近傍に配置されメインサーバ2がアクセス可能な無線LANアクセスポイント25と該アクセスポイントに接続され立坑22内に鉛直に敷設された光ファイバーケーブル26とを含むネットワークを介して相互に接続してある。
【0029】
サテライトサーバ7aは、横坑23のうち、立坑22に近い位置に設置してあり、該サテライトサーバ7aに接続されたガス濃度センサ11a及び誘導手段12(本実施例では誘導装置12aと称す)を制御する制御部8aと、ガス濃度センサ11aで計測された計測データをメインサーバ2へ送信するとともにメインサーバ2から送信されてきた指示データを受信するS1送・受信部9aを備える。また、ガス濃度センサ11aからのガス濃度データを受信し、かつ、誘導装置12aへの誘導表示情報を送信するS2送・受信部10aを備えている。
サテライトサーバ7bは、横坑23のほぼ中央に設置してあり、該サテライトサーバ7bに接続されたガス濃度センサ11b及び誘導手段としての誘導装置12bを制御する制御部8bと、ガス濃度センサ11bで計測された計測データをメインサーバ2へ送信するとともにメインサーバ2から送信されてきた指示データを受信するS1送・受信部9bとを備える。また、ガス濃度センサ11bからのガス濃度データを受信し、かつ、誘導装置12bへの誘導表示情報を送信するS2送・受信部10bを備えている。
サテライトサーバ7cは、横坑23のうち、立坑22とは反対側に位置する最も奥側に設置してあり、該サテライトサーバ7cに接続されたガス濃度センサ11c及び誘導手段としての誘導装置12cを制御する制御部8cと、ガス濃度センサ11cで計測された計測データをメインサーバ2へ送信するとともにメインサーバ2から送信されてきた指示データを受信するS1送・受信部9cとを備える。また、ガス濃度センサ11cからのガス濃度データを受信し、かつ、誘導装置12cへの誘導表示情報を送信するS2送・受信部10cを備えている。
【0030】
ガス濃度センサ11a、11b、11cはそれぞれ、硫化水素、一酸化炭素、メタン及び酸素の濃度を計測できるようになっている。
誘導装置12a、12b、12cは横坑23の孔壁面に設置してあり、それぞれクライアントコンヒュータ7a、7b、7cからの制御信号に応答して、避難方向又は一時待避方向を示す矢印を切替自在に表示できるようになっている。かかる誘導装置12a、12b、12cは例えばLED電光掲示板で構成することができる。
【0031】
一方、メインサーバ2は、ガス濃度センサ11a、11b、11cで計測された計測データを該ガス濃度センサが設けられたガス計測用サテライトサーバ7a、7b、7cを介して受信する受信部としてのM送・受信部5と、実施例1と同様の演算部3、T1〜T6の各種制御手段を収納した制御手段4ならびに外部記憶装置としてのデータベース6とを備える。
地下貯蔵施設21の空間位置データは、地下貯蔵施設21の三次元マップであり、立坑22及び横坑23に関する水平2方向の座標と深さ方向の座標からなる三次元座標データとすればよい。
演算処理部3では、ガス濃度センサ11a、11b、11cで計測された硫化水素、一酸化炭素及びメタンの各計測データがそれぞれについて定められた上限値を上回っているか、又は酸素濃度がその下限値を下回っているとき、その計測位置を危険エリアと定め、該危険エリアを経由せずに立坑22まで到達可能な避難ルートと、危険エリアを経由せずに一時待避エリア29まで到達可能な一時待避ルートを、空間位置データを用いて横坑23の任意位置ごとに検索、演算するようになっている。
【0032】
ここで、硫化水素の上限値は例えば10ppmと定め、それを上回れば人体に危害が及ぶとの基準を設けることができる。同様に、一酸化炭素であれば7cppm、メタンであれば10%LELとそれぞれ定めることができる。
また、酸素の下限値は、例えば18%VOLと定め、これを下回れば、入体に危害が及ぶとの基準を設けることができる。(図7の計測データ基準値マスタM3を参照)
また、M送・受信部8は、上述した検索結果に従った避難指示又は一時待避指示を指示データとしてサテライトサーバ7a、7b、7cに送信する機能を有する。
本実施形態に係る地下貯蔵施設21における安全監視システム1においては、まず、サテライトサーバ7a、7b、7cに設けられたガス濃度センサ11a、11b、11cで硫化水素、一酸化炭素、メタン及び酸素の濃度計測を継続的に行い、その計測データを、サテライトサーバ7a、7b、7cのS1送・送信部9a、9b、9cを介してメインサーバ2に適当な時間間隔で送信する。
【0033】
次に、これらの計測データをメインサーバ2のM送・受信部5で受信し、演算処理部3において、該計測データを上述した上限値又は下限値と比較し、計測データが上限値を上回っておらず、かつ下限値を下回っていないときは、ガス濃度に関して良好な状態が維持されていると判断し、次の計測データが送信されてくるまで待機する。
一方、例えばガス濃度センサ11bからの計測データのうち、硫化水素の濃度が上限値を上回ったとき、演算処理部3において、これを異常事態と判断し、その計測位置、すなわち、ガス濃度センサ11bの設置位置を危険エリアと定めるとともに、該危険エリアを地下貯蔵施設21の空間位置データを用いて特定する。
図9(a)は、横坑23のほぼ中央に設置されたガス濃度センサ11bの近傍に危険エリアが設定された様子を示したものである。
【0034】
次に、演算処理部3において、危険エリアを経由せずに立坑22まで到達可能な避難ルートと、危険エリアを経由せずに一時待避エリア29まで到達可能な一時待避ルートを、空間位置データを用いて横坑23の任意位置ごとに検索する。
上述の例では、危険エリアの左側に拡がる範囲では立坑22に向かう方向のルートが避難ルートとして検索され、右側に拡がる範囲では最奥部に向かう方向のルートが一時待避ルートとして検索される。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、最も簡単な構成の地下貯蔵施設21を例に挙げているため、避難ルートや一時待避ルートは一目瞭然であるが、多数の立坑や横坑が複雑に交錯している場合には、地下貯蔵施設21の空間位置データを用いることで歩行距離を算出しながら、演算処理部10で最短ルートを検索することとなる。
次に、上述した検索結果に従った避難指示又は一時待避指示を指示データとしてサテライトサーバ7a、7b、7cに送信する。
【0035】
上述の例で説明すると、横坑23には全部で10台の誘導装置12a、12b、12cが設置されているので、危険エリアに配置された2台を除き、左側に配置された4台の誘導装置12a、12bには、立坑22に向かう避難ルートを示す避難指示(左向きの矢印)が表示され、右側に配置された4台の誘導装置12b、12cには、一時待避エリア29に向かう一時待避ルートを示す一時待避指示(右向きの矢印)が表示されるように、サテライトサーバ7a、7b、7cにそれぞれ指示データを送信する。
すなわち、サテライトサーバ7aには3台の誘導装置5aに避難指示が表示されるように指示データを送信し、サテライトサーバ7cには3台の誘導装置5cに一時待避指示が表示されるように指示データを送信すればよい。また、サテライトサーバ7bには、4台の誘導装置12bのうち、最も左側の誘導装置12bに避難指示が表示され、最も右側の誘導装置12bに一時待避指示が表示されるように指示データを送信すればよい。
なお、中央の2台の誘導装置12bについては、危険エリアに位置するため、避難指示や一時待避指示は表示せず、危険エリアであることを例えば全面赤色で表示すればよい。
【0036】
次に、かかる指示データをサテライトサーバ7a、7b、7cのS1送・受信部9a、9b、9cで受信し、該サテライトサーバに接続された誘導装置12a、12b、12cを制御部8a、8b、8c、さらに、それに接続されたS2送・受信部10a、10b、10cを作動させることで、上述した避難指示あるいは一時待避指示を誘導装置12a、12b、12cに表示する。
図9(b)は避難指示の一例を、図9(c)は一時待避指示の一例をそれぞれ示したものである。
このようにすると、横坑23の中央近傍で硫化水素が発生したとき、横坑23の全ての場所で避難指示又は一時待機指示が表示されるので、これに従って、行動すればよい。
【0037】
一方、硫化水素の発生がガス濃度センサ11aで検出された場合には、図10(a)に示すように、横坑23の中央近傍ではなく、立坑22に近い端部近傍に危険エリアが設定され、該危険エリアの右側に位置する箇所すべてに対し、一時待避エリア29に向かうル−トが一時待避ルートとして検索されるので、該検索結果に従って、10台の誘導装置12a、12b、12cのうち、危険エリアに位置する最も左側を除く9台の誘導装置12a、12b、12cに一時待避指示を表示する。
それに対し、硫化水素の発生がガス濃度センサ11cで検出された場合には、図10(b)に示すように、横坑23の中央近傍ではなく、最奥部近傍に危険エリアが設定され、該危険エリアの左側に位置する箇所すべてに対し、立坑22に向かうルートが避難ルートとして検索されるので、該検索結果に従って、10台の誘導装置12a、12b、12cのうち、危険エリアに位置する最も右側を除く9台の誘導装置12a、12b、12cに避難指示を表示する。
濃度変動が検出されたガスの種類が硫化水素ではなく、一酸化炭素、メタン、酸素である場合も上述したと同様であるので、詳維な説明は省略する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る地下貯蔵施設21における安全監視システム1によれば、作業員に危害が及ぶガスの濃度変動が検出されたときであっても、横坑23のどこにいようと、避難指示又は一時待機指示の知らせを速やかに受けることが可能となり、上述したガスを原因とした事故を未然に防止することが可能となる。
本実施形態では、サテライトサーバ7a、7b、7cにガス計測用サテライトサーバと誘導用サテライトサーバの両方を兼用させる構成としたが、これに代えて、ガス濃度センサだけが設けられたサテライトサーバと誘導手段だけが設けられたサテライトサーバとでサテライトサーバ全体を構成してもよい。
また、本実施形態では、説明の便宜上、一本の立坑22と該立坑22に連通するように水平に延設された一本の横坑23とで構成されてなる地下貯蔵施設21に適用した例を説明したが、地下貯蔵施設21の構造は任意である。
【実施例3】
【0039】
図11は、地下貯蔵施設21に代わる別の地下貯蔵施設51を示したものであり、かかる地下貯蔵施設51は、互いに並設された2本の立坑52、56と該立坑からそれぞれ水平に延段された横坑53、55と該横坑の反対側端部を直交方向に相互接合する横坑54とからなる。
かかる地下貯蔵施設51においても上述した実施形態と同様、コの字平面状に連続形成された横坑53、54、55にサテライトサーバ7a、7b、7c、7d・・・を適宜分散配置し、該サテライトサーバにガス濃度センサ11a、11b、11c、11d・・・をそれぞれ接続するとともに、誘導装置12a、12b、12c、12d・・・をそれぞれ接続する。なお、d以下の添字を付けた構成については、a、b、cの添字を付けた実施形態の構成に準じて同様に構成されるものであって、詳細な説明についてはこれを省略する。
かかる構成において例えば横坑53の中央近傍でガスの濃度変動が検出された場合、まず、同図に示すようにその位置を危険エリアとして演算処理部3で定める。
次に、演算処理部3でルート検索を行い、その結果として、危険エリアから立坑52までの範囲においては、立坑52に向かうルートが第1の避難ルートして検索され、危険エリアから横坑54及び横坑55を経て立坑56までの範囲においては、立坑56に向かうルートが第2の避難ルートとして検索される。
次に、この検索結果に従った避難指示を指示データとしてサテライトサーバ7a、7b、7c、7d・・・に送信する。
一方、サテライトサーバ7a、7b、7c、7d・・・側では、かかる指示データに応答する形で、すなわち、危険エリアから立坑52までの範囲においては、第1の避難ルートが表示され、危険エリアから横坑54及び横坑55を経て立坑56までの範囲においては、第2の避難ルートが表示されるように、誘導装置12a、12b、12c、12d・・・を制御部8a、8b、8c、8d・・・でそれぞれ制御する。
【符号の説明】
【0040】
1 安全監視システム
2 メインサーバ
3 演算処理部
4 制御手段
5 M送・受信部
6 データベース
7、7a、7b、7c、・・ サテライトサーバ
8、8a、8b、8c、・・ 制御部
9、9a、9b、9c、・・ S1送・受信部
10、10a、10b、10c、・・ S2送・受信部
11、11a、11b、11c、・・ ガス濃度センサ
12、12a、12b、12c、・・ 誘導手段(誘導装置)
22、52、56 立坑
23、53、54、55 横坑
25 無線LANアクセスポイント
28 酸素ボンベ(酸素供給手段)
29 一時退避エリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として高レベル放射性廃棄物のガラス固化体を貯蔵するための地下貯蔵施設又はその研究施設における安全監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所で使用された後の使用済燃料については、そのまま廃棄するのではなく、再処理施設でウランやプルトニウムを回収することでその有効利用が図られるが、再処理の際、高レベル放射性廃棄物と呼ばれる廃液が生じる。
かかる廃液は放射能レベルが高く、半減期がきわめて長いものも含まれるため、我が国では、ガラス固化によって安定した形態とした上、深さ300m以上の深地層に地下貯蔵施設を建設し、該地下貯蔵施設に最終処分されることになっている。
高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵施設は、現在のところ立地が未定であるが、将来の建設を踏まえ、その研究施設については建設中であり、深地層での環境調査等を含めた研究開発が進められているところである。
地下貯蔵施設又はその研究施設は、地盤内に深さ数百mの立坑を掘削するとともに、該立坑から水平方向に向けて横坑が掘削形成されてなり、上述した高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、かかる横坑に貯蔵される。
横坑は、深さもさることながら、水平長が数百mにも及ぶものであり、平面的にも大きな拡がりを持つ大規模な地下施設となる。
【0003】
ところが、このような地下施設に対する防災システムの従来例としては、特許文献1に記載のように、石炭等の地下資源の採掘において、坑道が次第に延長され、鉱脈の状況によって複雑で迷路のように進捗されていく。そこで、例えば、一酸化炭素やメタンなどのガスを検知するガスセンサや、火災検知のための温度センサ等を坑道の各所に配設して、当該センサをモデム等を介して有線で地上に導出し、監視装置に接続し、監視員がモニタするように監視システムが構築され、前記各センサは、前記監視装置におけるコンピュータからの指令により、定期的に検知データが監視装置に送られ、該検知データにより監視装置の坑道マップ上に反映されるようになっている形態であり、あくまで、中央の監視装置を中心とした防災システムである。そのため、例えば、災害が発生したときにおいて、中央の監視装置からの各種指令を人的な手段等で伝達して災害を防止する形態となっていたため、作業員の安全を確保できるような迅速かつ適切な対応が取れる状況ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−266599号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記背景技術の問題点に鑑み、水平及び鉛直両方向に展開された三次元的な拡がりを持つ大規模な地下施設において、異常あるいは災害発生場所の迅速な把握と、それに伴う避難誘導路の選択、ならびに避難誘導の迅速かつ適切な指示等によって、作業員の安全を確保できる安全監視システムを構築することを課題とする。
特に、通常のトンネルと同様、酸素濃度の低下や硫化水素あるいはメタンといった有毒ガスあるいは可燃性ガスの発生に対し、作業員の安全を確保できるような迅速かつ適切な対応を取ることができることが不可欠となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の発明は、立坑と前記立坑に連通形成された横坑からなる地下貯蔵施設において、前記横坑の任意の地点に配置したガス濃度センサからのガス濃度に異常が発生した場合に、前記横坑の任意の地点に配置した誘導手段に避難誘導の指示を行う安全監視システムであって、メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段と、を有する安全監視システムにおいて、
前記メインサーバは、前記立坑と前記横坑との関連を記憶する空間位置情報記憶手段と、
前記ガス濃度センサからの情報について、該ガス濃度データが正常な状態の情報か、異常な状態の情報かを判定する計測データ判定手段と、前記計測データ判定手段において異常な状態の情報と判定された地点を記憶する空間位置情報記憶手段と、前記計測データ判定手段が異常な状態の情報と判定したときに、異常な状態と判定された地点以外の地点に対して、避難ルートを選択する避難ルート選択手段と、前記避難ルート選択手段によって選択された避難ルートに該当する前記横穴の任意の地点に対して避難誘導表示を指示する誘導表示制御手段とを有する安全監視システムである。
【0007】
第2の発明は、第1の発明に付加して、前記計測データ判定手段において、前記横坑内の正常な状態あるいは異常な状態の判定は、あらかじめ定められたガス別の濃度基準によるところの安全監視システムである。
【0008】
第3の発明は、第1乃至第2の発明に付加して、前記避難ルート選択手段で選択される避難ルートの避難先は、立坑ならびに一時避難場所であり、該避難ルート選択基準は、最短の避難距離であるところの安全監視システムである。
【0009】
第4の発明は、第1乃至第3の発明に付加して、前記ガス濃度センサと前記誘導手段とは、前記横坑内の任意の位置に対にして配置されているところの安全監視システムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の安全監視システムを実施することにより、つぎの効果を得ることができる。
1)横坑の一部で作業員に危害が及ぶガスの濃度変動が検出されたとき、横坑のどこにいようと、避難指示又は一時待機指示の知らせを速やかに受けることが可能となり、ガスを原因とした事故を未然に防止することが可能となる。
2)すなわち、ガスの濃度変動検出の知らせを受けて地下貯蔵施設に立ち入った救急隊員などはもちろんのこと、日常的に出入りしている作業員や研究員であっても、地下貯蔵施設の立体構造が複雑な場合には、緊急時における冷静な行動対処が困難になることもあって、たとえ危険エリアで警報装置が作動していたとしても、それだけではどの方向に避難すればよいのか、判断が遅れて適切な行動をとることができず、結果として二次災害が起きる懸念もある。これらを未然に防止することができる。
3)また、立坑への避難ルート、又は一待避エリアヘの一時待避ルートがサテライトサーバに設けられた誘導手段を介して明確に表示されるため、危険エリアから速やかに避難し、あるいは一時待避することが可能となる。
4)また、避難ルートや一時待避ルートは、危険エリアの場所によって常に変化するため、例えば避難方向や一時待避方向を矢印で示す構成においては、避難方向又は一時待避方向を切替自在に表示できる構成とし、例えば電光掲示板あるいはそれに類似するもので構成することにより、時々刻々の変化に対応することが可能となる。
5)立坑や横坑の構造あるいは規模は任意であって、横坑のうち、ある場所で生じたガス濃度の変動が、その場所から離隔した横坑に影響が及んで避難や一時待避が必要になる限り、例えば立坑が1本でその立坑から一本の横坑が延びている最小限の構成をはじめ、1本の立坑から異なる深さごとに複数の横坑が延びている場合や、複数の立坑から異なる深さごとに複数の横坑が延びている場合が含まれる。ちなみに、多くの立坑や横坑が複雑に交錯している場合ほど、本発明による安全性向上の効果が顕著となる。
6)さらに、ガス濃度センサとあわせて、坑道壁面からの湧水量、地下水圧、間隙水圧、地下水や溶存ガスの性状、間隙水圧といった様々なデータを計測する既設のモニタリング装置を併設することで、多方面の災害防止に対応した安全監視システムとすることができる。
7)一方、本発明の安全監視システムによって、模擬的な異常値を再現させることで、避難誘導等の訓練用としても活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る安全監視システムの一実施例としてのシステム構成図である。
【図2】本発明に係る安全監視システムの処理手順の一実施例を示す処理フローチャートである。
【図3】本発明に使用する空間位置データの一実施例である。
【図4】本発明の避難ルート設定の処理手順の一実施例を示す処理フローチャートである。
【図5】本発明の避難ルート設定に使用する区域別避難ルートマスタM2の構成を示す。
【図6】本発明の避難ルート選定の処理手順の一実施例を示す処理フローチャートである。
【図7】本発明のガス濃度異常の限界値を判別する計測データ基準値マスタの一実施例を示す。
【図8】本発明の安全監視システムを適用する地下貯蔵施設の構成を示した図である。
【図9】本発明の安全監視システムにおける立坑、横坑へのシステム構成機器配置ならびに避難装置の表示内容を示した図である。
【図10】本発明の安全監視システムを適用する地下貯蔵施設への避難装置の表示内容の第2の例を示した図である。
【図11】本発明の安全監視システムを適用する地下貯蔵施設への避難装置の表示内容の第3の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の安全監視システムは、立坑と前記立坑に連通形成された横坑からなる地下貯蔵施設において、前記横坑の任意の地点に配置したガス濃度センサからのガス濃度に異常が発生した場合に、前記横坑の任意の地点に配置した誘導手段に避難誘導の指示を行う安全監視システムであり、その構成は、メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段とを有しており、前記メインサーバは、前記立坑と前記横坑との関連を記憶する空間位置情報記憶手段と、前記ガス濃度センサからの情報について、該ガス濃度データが正常な状態の情報か、異常な状態の情報かを判定する計測データ判定手段と、前記計測データ判定手段において異常な状態の情報と判定された地点を記憶する空間位置情報記憶手段と、前記計測データ判定手段が異常な状態の情報と判定したときに、異常な状態と判定された地点以外の地点に対して、避難ルートを選択する避難ルート選択手段と、前記避難ルート選択手段によって選択された避難ルートに該当する前記横穴の任意の地点に対して避難誘導表示を指示する誘導表示制御手段とで構成されている。
【0013】
また、前記計測データ判定手段においては、前記横坑内の正常な状態あるいは異常な状態の判定を、あらかじめ定められたガス別の濃度基準により判定するように構成されている。
また、前記避難ルート選択手段で選択される避難ルートの避難先は、立坑ならびに一時避難場所であり、該避難ルート選択基準は、最短の避難距離で行うように構成されている。
さらに、前記ガス濃度センサと前記誘導手段とは、前記横坑内の任意の位置に対にして配置されている。
【0014】
これらの構成を図1を基に説明する。
本発明の安全監視システム1は、全体を統括管理するメインサーバ2と、それに接続される複数のサテライトサーバ7と、サテライトサーバ7に接続され横坑各所のガス濃度状況を検知し、そのガス濃度状況をガス濃度情報としてサテライトサーバ7へ送信する複数のガス濃度センサ11と、さらに、サテライトサーバ7を経由してメインサーバ2から送信される避難誘導指示情報を表示する複数の誘導手段12とで構成する。
【0015】
メインサーバ2は、演算処理部3と、演算処理部で処理される各種の処理手段(プログラム)を格納した制御手段4と、演算処理部3での処理結果をサテライトサーバ7へ送信し、かつ、サテライトサーバ7からの情報を受信するM送・受信部5を持ち、演算処理部3の演算処理に必要な各種データを収容したデータベース6とで構成されている。
【0016】
制御手段4は、本発明の監視対象である立坑と横坑の空間の位置関係ネットワークを記憶させる空間位置情報記憶手段T1と、ガス濃度センサ11からのガス濃度情報を受信するガス濃度データ受信手段T5と、前記ガス濃度情報に対して正常な値か、異常な値かを判定する計測データ判定手段T2と、前記計測データ判定手段T2で異常と判断したガス濃度センサ11の位置を記憶する空間位置状況記憶手段T3と、前記異常と判断したガス濃度センサ11の位置をもとに、その異常となったガス濃度センサの位置以外の場所いわゆる誘導手段12に対して避難のための退避ルートを選択する退避ルート選択手段T4と、前記異常となったガス濃度センサの位置以外の場所いわゆる誘導手段12に対して避難誘導の方向表示を行う誘導表示手段T6とを収納している。
【0017】
データベース6は、演算処理部3で、各種制御手段4の制御を行うに必要な、立坑と横坑の空間の位置関係ネットワークを記憶した空間位置データマスタM1と、横坑別の避難ルートの基本を記憶した区域別避難ルートマスタM2と、ガス濃度センサからのガス濃度情報の正常、異常を判定する基準値を記憶した計測データ基準値マスタM3と、前記空間位置データマスタM1を基に、ガス濃度センサの異常値発生の位置を記憶する空間位置状況ファイルF1とで構成する。
【0018】
一方、前記メインサーバ2に接続したサテライトサーバ7は、必要に応じて複数配置するが、メインサーバ2と前記横坑に配置した複数のガス濃度センサ、さらには、複数の誘導手段12との中継を果たす役割であり、その内部には、メインサーバ2との送・受信を行うS1送・受信部と、複数のガス濃度センサ11からの受信、ならびに誘導手段12への送・受信を行うS2送・受信部と、これらの送・受信の制御を行う制御部8とで構成し、該制御部8には、ガス計測データ制御部、誘導手段制御部、送・受信制御部の機能を持つが、原則的には、メインサーバ2とガス濃度センサ11、誘導表示手段12との中継機能を主目的とする。
【0019】
ここで、サテライトサーバ7、ガス濃度センサ11、ならびに、誘導手段12との関係について説明する。
前記では、サテライトサーバ7が複数のガス濃度センサ11と複数の誘導手段12とを接続した構成として説明したが、地下施設の状況によっては、ガス濃度センサ11専用のサテライトサーバ7、誘導手段12専用のサテライトサーバ7のように、必要に応じてサテライトサーバをガス濃度センサ用、誘導手段用とに分割して配置することもできる。
なお、本発明に使用するガス濃度センサ11、誘導表示手段12、ならびに、本発明の対象となる立坑、横坑の関連を模式的に、図1の下部に示す。この中で、一対のガス濃度センサ11と誘導表示手段12の管理範囲は、破線間の一区画とするものである。
また、本安全監視システム1で使用するメインサーバ2、サテライトサーバ7、ガス濃度センサ11ならびに誘導手段12の各間の送・受信については詳述しないが、一般に使用されている通信制御手段を利用する。
【実施例1】
【0020】
実施例1として、安全監視システム1の関連する処理手順を、システム面を中心に、図2を基に説明する。
ステップS1として、安全監視システム1の初期設定を行う。
ステップS2として、メインサーバ2のキーボード等(図示せず)を利用して入力された立坑、横坑各所の位置データを空間位置データとして取込み、空間位置データマスタM1として記憶する。
ステップS3として、空間位置データを基に、各ガス濃度センサ位置を管理単位として、異常が発生した場合の複数の避難ルートを計算し、有効な避難ルートを選択する、同時に、その結果を、ガス濃度センサ位置毎に、区域別避難ルートとして区域別避難ルートマスタM2に登録する。
ステップ1〜ステップ3までの処理は、安全監視の対象となる立坑、横坑が、掘削等によって新たに発生すること等は無ければ、初期段階の処理のものを継続するが、立坑、横坑等に変更があった場合には、新たに、変更部分の空間位置データの追加登録を行い、再設定するものとする。
【0021】
これ以降は、日および時々刻々の管理となるが、
ステップ4として、サテライトサーバ7を経由して受信したガス濃度センサ11のガス濃度情報を受信する。
ステップS5として、受信したガス濃度データを、基準値として登録してある計測データ基準値マスタM3との照合を行い、計測データが異常値かの判定を行う。
計測データが正常の場合には、ステップS4に戻り、つぎのガス濃度計測データの受信を待つ。計測データが異常の場合には、何らかの事故発生判断し、ステップS6の処理に移行する。
ステップS6として、異常が発生したガス濃度センサの位置を空間位置状況ファイルF1に記憶する。
ステップS7として、空間位置状況ファイルF1と、区域別ルートマスタM2を取込み、ガス濃度センサ設置位置毎に、避難ルートを選択する。
ステップS8として、ステップS7の避難ルートに基づき、誘導手段12単位に避難誘導表示の設定を行う。
ステップS9として、各誘導手段12単位に、サテライトサーバ7に対して避難誘導表示情報の送信を行う。
【0022】
異常の場合のステップのうち、その主となるステップS2の「空間位置データ取込み」、ステップS3の「避難ルート設定」、ステップS6の「空間位置状況記録」ならびにステップS7の「避難ルート選択」について以下説明する。
【0023】
〔空間位置データ取込み〕
空間位置データ取り込みは、立坑ならびに横坑の関連をマトリックスとして登録するための情報であり、その概略を図3に模式的に示す。
具体的には、図1の下部図を基に説明するが、一対のガス濃度センサ11と誘導表示手段12の管理範囲(区画)単位に関連ネットワークと避難坑を指定するものである。A1区画は、立坑Xを基準にして前区画が立坑のX、後区画がA2であり、避難坑として立坑側がX,一時退避エリア側がYとなる。以下、区画毎に、関連ネットワークおよび避難坑との関係を記載したものであり、メインサーバ2のキーボード等(図示せず)を利用して入力されたデータを、空間位置データマスタM1として取り込む。本処理は、読み込み、記憶の一連の一般的な処理のため、詳述は割愛する。
【0024】
〔避難ルート設定〕
避難ルートの設定は、本発明が異常発生時の処理を目的としているため、考えられる避難ルートの全てをあらかじめ設定しておくこととした。その処理フローを図4に示す。
本説明では、横坑NOをI、区画NOをN、区画内データをK(I,N)ならびに空間位置データマスタM1のデータをM(I,N)として説明する。
まず、ステップS3−1として、初期設定ならびに横坑NOのI=1、区画NOのN=1として設定する。
ステップS3−2として、Iが最大か、具体的には、横坑全てを終了したかの確認を行い、到達しない場合には、S3−3ステップに移行し、到達した場合には、S3−8の終了処理を行う。
ステップS3−3として、Nが最大か、具体的には、横坑に配置されている区画のすべてを終了したか、いわゆる、一時退避エリアまで終了したかの確認を行う。該当する横坑の区画全てが終了しない場合には、S3−4ステップに移行し、終了した場合には、S3−7ステップに移行し、I=I+1の設定を行った後、ステップS3−2を繰り返し実行する。
ステップS3−4では、設定したIとNに該当する空間位置データK(I,N)と空間位置データマスタM1のM(I,N)とを照合し、等しいものがない場合には、ステップS3−6の処理に移行し、N=N+1の処理の後、ステップS3−3の処理に戻る。等しいものある場合には、空間位置データK(I,N)に空間位置データマスタM1のM(I,N+1)のデータを記憶し、同時に、区域別避難ルートマスタM2に記憶する。以上の処理を繰り返し実行することで、全ての区画にたいする避難ルートを設定する。図4に示すフローチャートは、ある区画の下流側(立坑と反対側である一時退避エリア側)について記載したが、ある区画の上流側(立坑側)についても、Nを(−)側に設定することで同様の区域別避難ルートマスタM2を作成することができる。
これらの処理の結果、作成された区域別避難ルートマスタM2の概念を図5に示す。この図で、左半分が上流側(立坑側避難)、右半分が下流側(一時退避エリア側)を示している。
【0025】
〔空間位置情報記録〕
空間位置情報記録は、前記区域別避難ルートマスタM2と同じ内容(複写した)の空間位置状況ファイルF1に対して、現在、異常が検知された区画情報を記録するものであり、その後の避難ルート選択用の基本データとして使用する。
具体的には、図5の区域別避難ルートマスタM2(実際には、この図5のデータが複写され、空間位置状況ファイルF1としたもの)の概念を使用して説明する。簡単な処理のため、詳細処理手順は割愛するが、例えば、"A3"の区画でガス濃度異常が発生すると、空間位置状況ファイルF1の全てのデータを検索し、立坑側避難データと、一時退避エリア側データで"A3"が記録されている区画データを全て消去する。その結果、"A3"の区画を使用しない避難ルートのみが残ることになり、これらを集めたものが、避難ルート候補として存在することとなり、これらの結果を、空間位置状況ファイルF1として再度、記録する。
【0026】
〔避難ルート選択〕
避難ルート選択について、図6を基に説明する。
まず、ステップS7−1として、避難ルート選択システムの初期設定を行う。
ステップS7−2として、メインサーバ2のキーボード等(図示せず)を利用して入力された避難ルート選択基準(避難距離を優先等)を避難ルート選択基準としてメインサーバ2内のワークファイルに取込み、記憶する。この処理は、避難ルート選択基準の内容が変更となるまで、メインサーバ2内のデータベース6内に記憶しておき使用するものである。
ステップS7−3として、前記図2のステップS4で取込んだガス濃度計測データ中のガス濃度データ異常となった横坑区画を特定し、特定した横坑区画によって空間位置データマスタM1から避難対象区画を全て抽出する。ここでは、ガス濃度データ異常となった区画を含む横坑のみを避難の対象とすることで説明する。ガス濃度データ異常となった区画を含む横坑の近郊の上下いくつまでの横坑を対象とするとの設定であっても良い。
ステップS7−4として、前記ステップS7−3で抽出した区画についての避難ルート候補を、空間位置状況ファイルF1から抽出し、前記ステップS7−2で取込んだ避難ルート選択基準に対応するデータを演算する。本実施例では、避難距離を避難ルート選択基準として説明する。
ステップS7−5として、ステップS7−4で演算された避難距離と区画をキー項目として、区画>避難距離の優先順位で整列する。
ステップS7−6として、ステップS7−5で整列されたデータを基に、区画毎に最小の避難距離のルートを避難ルートとして設定し、その後、ステップS7−7の終了処理を行い、避難ルート選択の処理を終了する。
なお、本避難ルート選択は、一般にナビゲーションシステム等で使用されているルート選択の機能を利用することもできる
【0027】
ここで、本発明の基本データとなる計測データ基準値マスタM3について説明する。
計測データ基準値マスタM3は、図7に示すように、各種ガス毎に、酸欠あるいは中毒を起こす等の限界値、あるいは、それに近い安全値を記憶したものである。具体的には、硫化水素10ppm、一酸化炭素50ppm、メタン10%LEL、酸素18%VOL等であり、安全率を見越して基準値は変更しても良い。
以上、安全監視システムの処理手順を中心にした内容を実施例1として説明した。
【実施例2】
【0028】
実施例2として、高レベル放射性廃棄物の地下貯蔵施設における立坑、横坑さらにはガス濃度センサ、誘導手段等を中心にした内容を実施例2として、図8〜図11を基に説明する。なお、符号については、サテライトサーバ7の台数に応じて、a、b、c・・の符号を付した。
図8においては、地下貯蔵施設における安全監視システム1は、地下貯蔵施設21に適用されたものであって、サテライトサーバ7a、7b、7cとメインサーバ2とを備える。
地下貯蔵施設21は、立坑22と該立坑22に連通されるように該立坑22から水平に延設された横坑23とからなり、立坑22内にはエレベータ27を昇降自在に配置してあるとともに、横坑23の最も奥側には、酸素供給手段としての酸素ボンベ28を設置してあり、事故が起こったときには、最奥部が一時待避エリア29として機能する。
ここで、上述したサテライトサーバ7a、7b、7cは、横坑23に分散配置してあるとともに、メインサーバ2は、地上に設置された観測所24内に設置してあり、サテライトサーバ7a、7b、7c及びメインサーバ2は、立坑22の地上出口近傍に配置されメインサーバ2がアクセス可能な無線LANアクセスポイント25と該アクセスポイントに接続され立坑22内に鉛直に敷設された光ファイバーケーブル26とを含むネットワークを介して相互に接続してある。
【0029】
サテライトサーバ7aは、横坑23のうち、立坑22に近い位置に設置してあり、該サテライトサーバ7aに接続されたガス濃度センサ11a及び誘導手段12(本実施例では誘導装置12aと称す)を制御する制御部8aと、ガス濃度センサ11aで計測された計測データをメインサーバ2へ送信するとともにメインサーバ2から送信されてきた指示データを受信するS1送・受信部9aを備える。また、ガス濃度センサ11aからのガス濃度データを受信し、かつ、誘導装置12aへの誘導表示情報を送信するS2送・受信部10aを備えている。
サテライトサーバ7bは、横坑23のほぼ中央に設置してあり、該サテライトサーバ7bに接続されたガス濃度センサ11b及び誘導手段としての誘導装置12bを制御する制御部8bと、ガス濃度センサ11bで計測された計測データをメインサーバ2へ送信するとともにメインサーバ2から送信されてきた指示データを受信するS1送・受信部9bとを備える。また、ガス濃度センサ11bからのガス濃度データを受信し、かつ、誘導装置12bへの誘導表示情報を送信するS2送・受信部10bを備えている。
サテライトサーバ7cは、横坑23のうち、立坑22とは反対側に位置する最も奥側に設置してあり、該サテライトサーバ7cに接続されたガス濃度センサ11c及び誘導手段としての誘導装置12cを制御する制御部8cと、ガス濃度センサ11cで計測された計測データをメインサーバ2へ送信するとともにメインサーバ2から送信されてきた指示データを受信するS1送・受信部9cとを備える。また、ガス濃度センサ11cからのガス濃度データを受信し、かつ、誘導装置12cへの誘導表示情報を送信するS2送・受信部10cを備えている。
【0030】
ガス濃度センサ11a、11b、11cはそれぞれ、硫化水素、一酸化炭素、メタン及び酸素の濃度を計測できるようになっている。
誘導装置12a、12b、12cは横坑23の孔壁面に設置してあり、それぞれクライアントコンヒュータ7a、7b、7cからの制御信号に応答して、避難方向又は一時待避方向を示す矢印を切替自在に表示できるようになっている。かかる誘導装置12a、12b、12cは例えばLED電光掲示板で構成することができる。
【0031】
一方、メインサーバ2は、ガス濃度センサ11a、11b、11cで計測された計測データを該ガス濃度センサが設けられたガス計測用サテライトサーバ7a、7b、7cを介して受信する受信部としてのM送・受信部5と、実施例1と同様の演算部3、T1〜T6の各種制御手段を収納した制御手段4ならびに外部記憶装置としてのデータベース6とを備える。
地下貯蔵施設21の空間位置データは、地下貯蔵施設21の三次元マップであり、立坑22及び横坑23に関する水平2方向の座標と深さ方向の座標からなる三次元座標データとすればよい。
演算処理部3では、ガス濃度センサ11a、11b、11cで計測された硫化水素、一酸化炭素及びメタンの各計測データがそれぞれについて定められた上限値を上回っているか、又は酸素濃度がその下限値を下回っているとき、その計測位置を危険エリアと定め、該危険エリアを経由せずに立坑22まで到達可能な避難ルートと、危険エリアを経由せずに一時待避エリア29まで到達可能な一時待避ルートを、空間位置データを用いて横坑23の任意位置ごとに検索、演算するようになっている。
【0032】
ここで、硫化水素の上限値は例えば10ppmと定め、それを上回れば人体に危害が及ぶとの基準を設けることができる。同様に、一酸化炭素であれば7cppm、メタンであれば10%LELとそれぞれ定めることができる。
また、酸素の下限値は、例えば18%VOLと定め、これを下回れば、入体に危害が及ぶとの基準を設けることができる。(図7の計測データ基準値マスタM3を参照)
また、M送・受信部8は、上述した検索結果に従った避難指示又は一時待避指示を指示データとしてサテライトサーバ7a、7b、7cに送信する機能を有する。
本実施形態に係る地下貯蔵施設21における安全監視システム1においては、まず、サテライトサーバ7a、7b、7cに設けられたガス濃度センサ11a、11b、11cで硫化水素、一酸化炭素、メタン及び酸素の濃度計測を継続的に行い、その計測データを、サテライトサーバ7a、7b、7cのS1送・送信部9a、9b、9cを介してメインサーバ2に適当な時間間隔で送信する。
【0033】
次に、これらの計測データをメインサーバ2のM送・受信部5で受信し、演算処理部3において、該計測データを上述した上限値又は下限値と比較し、計測データが上限値を上回っておらず、かつ下限値を下回っていないときは、ガス濃度に関して良好な状態が維持されていると判断し、次の計測データが送信されてくるまで待機する。
一方、例えばガス濃度センサ11bからの計測データのうち、硫化水素の濃度が上限値を上回ったとき、演算処理部3において、これを異常事態と判断し、その計測位置、すなわち、ガス濃度センサ11bの設置位置を危険エリアと定めるとともに、該危険エリアを地下貯蔵施設21の空間位置データを用いて特定する。
図9(a)は、横坑23のほぼ中央に設置されたガス濃度センサ11bの近傍に危険エリアが設定された様子を示したものである。
【0034】
次に、演算処理部3において、危険エリアを経由せずに立坑22まで到達可能な避難ルートと、危険エリアを経由せずに一時待避エリア29まで到達可能な一時待避ルートを、空間位置データを用いて横坑23の任意位置ごとに検索する。
上述の例では、危険エリアの左側に拡がる範囲では立坑22に向かう方向のルートが避難ルートとして検索され、右側に拡がる範囲では最奥部に向かう方向のルートが一時待避ルートとして検索される。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、最も簡単な構成の地下貯蔵施設21を例に挙げているため、避難ルートや一時待避ルートは一目瞭然であるが、多数の立坑や横坑が複雑に交錯している場合には、地下貯蔵施設21の空間位置データを用いることで歩行距離を算出しながら、演算処理部10で最短ルートを検索することとなる。
次に、上述した検索結果に従った避難指示又は一時待避指示を指示データとしてサテライトサーバ7a、7b、7cに送信する。
【0035】
上述の例で説明すると、横坑23には全部で10台の誘導装置12a、12b、12cが設置されているので、危険エリアに配置された2台を除き、左側に配置された4台の誘導装置12a、12bには、立坑22に向かう避難ルートを示す避難指示(左向きの矢印)が表示され、右側に配置された4台の誘導装置12b、12cには、一時待避エリア29に向かう一時待避ルートを示す一時待避指示(右向きの矢印)が表示されるように、サテライトサーバ7a、7b、7cにそれぞれ指示データを送信する。
すなわち、サテライトサーバ7aには3台の誘導装置5aに避難指示が表示されるように指示データを送信し、サテライトサーバ7cには3台の誘導装置5cに一時待避指示が表示されるように指示データを送信すればよい。また、サテライトサーバ7bには、4台の誘導装置12bのうち、最も左側の誘導装置12bに避難指示が表示され、最も右側の誘導装置12bに一時待避指示が表示されるように指示データを送信すればよい。
なお、中央の2台の誘導装置12bについては、危険エリアに位置するため、避難指示や一時待避指示は表示せず、危険エリアであることを例えば全面赤色で表示すればよい。
【0036】
次に、かかる指示データをサテライトサーバ7a、7b、7cのS1送・受信部9a、9b、9cで受信し、該サテライトサーバに接続された誘導装置12a、12b、12cを制御部8a、8b、8c、さらに、それに接続されたS2送・受信部10a、10b、10cを作動させることで、上述した避難指示あるいは一時待避指示を誘導装置12a、12b、12cに表示する。
図9(b)は避難指示の一例を、図9(c)は一時待避指示の一例をそれぞれ示したものである。
このようにすると、横坑23の中央近傍で硫化水素が発生したとき、横坑23の全ての場所で避難指示又は一時待機指示が表示されるので、これに従って、行動すればよい。
【0037】
一方、硫化水素の発生がガス濃度センサ11aで検出された場合には、図10(a)に示すように、横坑23の中央近傍ではなく、立坑22に近い端部近傍に危険エリアが設定され、該危険エリアの右側に位置する箇所すべてに対し、一時待避エリア29に向かうル−トが一時待避ルートとして検索されるので、該検索結果に従って、10台の誘導装置12a、12b、12cのうち、危険エリアに位置する最も左側を除く9台の誘導装置12a、12b、12cに一時待避指示を表示する。
それに対し、硫化水素の発生がガス濃度センサ11cで検出された場合には、図10(b)に示すように、横坑23の中央近傍ではなく、最奥部近傍に危険エリアが設定され、該危険エリアの左側に位置する箇所すべてに対し、立坑22に向かうルートが避難ルートとして検索されるので、該検索結果に従って、10台の誘導装置12a、12b、12cのうち、危険エリアに位置する最も右側を除く9台の誘導装置12a、12b、12cに避難指示を表示する。
濃度変動が検出されたガスの種類が硫化水素ではなく、一酸化炭素、メタン、酸素である場合も上述したと同様であるので、詳維な説明は省略する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態に係る地下貯蔵施設21における安全監視システム1によれば、作業員に危害が及ぶガスの濃度変動が検出されたときであっても、横坑23のどこにいようと、避難指示又は一時待機指示の知らせを速やかに受けることが可能となり、上述したガスを原因とした事故を未然に防止することが可能となる。
本実施形態では、サテライトサーバ7a、7b、7cにガス計測用サテライトサーバと誘導用サテライトサーバの両方を兼用させる構成としたが、これに代えて、ガス濃度センサだけが設けられたサテライトサーバと誘導手段だけが設けられたサテライトサーバとでサテライトサーバ全体を構成してもよい。
また、本実施形態では、説明の便宜上、一本の立坑22と該立坑22に連通するように水平に延設された一本の横坑23とで構成されてなる地下貯蔵施設21に適用した例を説明したが、地下貯蔵施設21の構造は任意である。
【実施例3】
【0039】
図11は、地下貯蔵施設21に代わる別の地下貯蔵施設51を示したものであり、かかる地下貯蔵施設51は、互いに並設された2本の立坑52、56と該立坑からそれぞれ水平に延段された横坑53、55と該横坑の反対側端部を直交方向に相互接合する横坑54とからなる。
かかる地下貯蔵施設51においても上述した実施形態と同様、コの字平面状に連続形成された横坑53、54、55にサテライトサーバ7a、7b、7c、7d・・・を適宜分散配置し、該サテライトサーバにガス濃度センサ11a、11b、11c、11d・・・をそれぞれ接続するとともに、誘導装置12a、12b、12c、12d・・・をそれぞれ接続する。なお、d以下の添字を付けた構成については、a、b、cの添字を付けた実施形態の構成に準じて同様に構成されるものであって、詳細な説明についてはこれを省略する。
かかる構成において例えば横坑53の中央近傍でガスの濃度変動が検出された場合、まず、同図に示すようにその位置を危険エリアとして演算処理部3で定める。
次に、演算処理部3でルート検索を行い、その結果として、危険エリアから立坑52までの範囲においては、立坑52に向かうルートが第1の避難ルートして検索され、危険エリアから横坑54及び横坑55を経て立坑56までの範囲においては、立坑56に向かうルートが第2の避難ルートとして検索される。
次に、この検索結果に従った避難指示を指示データとしてサテライトサーバ7a、7b、7c、7d・・・に送信する。
一方、サテライトサーバ7a、7b、7c、7d・・・側では、かかる指示データに応答する形で、すなわち、危険エリアから立坑52までの範囲においては、第1の避難ルートが表示され、危険エリアから横坑54及び横坑55を経て立坑56までの範囲においては、第2の避難ルートが表示されるように、誘導装置12a、12b、12c、12d・・・を制御部8a、8b、8c、8d・・・でそれぞれ制御する。
【符号の説明】
【0040】
1 安全監視システム
2 メインサーバ
3 演算処理部
4 制御手段
5 M送・受信部
6 データベース
7、7a、7b、7c、・・ サテライトサーバ
8、8a、8b、8c、・・ 制御部
9、9a、9b、9c、・・ S1送・受信部
10、10a、10b、10c、・・ S2送・受信部
11、11a、11b、11c、・・ ガス濃度センサ
12、12a、12b、12c、・・ 誘導手段(誘導装置)
22、52、56 立坑
23、53、54、55 横坑
25 無線LANアクセスポイント
28 酸素ボンベ(酸素供給手段)
29 一時退避エリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立坑と前記立坑に連通形成された横坑からなる地下貯蔵施設において、前記横坑の任意の地点に配置したガス濃度センサからのガス濃度に異常が発生した場合に、前記横坑の任意の地点に配置した誘導手段に避難誘導の指示を行う安全監視システムであって、
メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、
前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段と、を有する安全監視システムにおいて、
前記メインサーバは、
前記立坑と前記横坑との関連を記憶する空間位置情報記憶手段と、
前記ガス濃度センサからの情報について、該ガス濃度データが正常な状態の情報か、異常な状態の情報かを判定する計測データ判定手段と、
前記計測データ判定手段において異常な状態の情報と判定された地点を記憶する空間位置情報記憶手段と、
前記計測データ判定手段が異常な状態の情報と判定したときに、異常な状態と判定された地点以外の地点に対して、避難ルートを選択する避難ルート選択手段と、
前記避難ルート選択手段によって選択された避難ルートに該当する前記横穴の任意の地点に対して避難誘導表示を指示する誘導表示制御手段と、
を有することを特徴とする安全監視システム。
【請求項2】
前記計測データ判定手段において、前記横坑内の正常な状態あるいは異常な状態の判定は、あらかじめ定められたガス別の濃度基準によることを特徴とする請求項1に記載の安全監視システム。
【請求項3】
前記避難ルート選択手段で選択される避難ルートの避難先は、立坑ならびに一時避難場所であり、該避難ルート選択基準は、最短の避難距離であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の安全監視システム。
【請求項4】
前記ガス濃度センサと前記誘導手段とは、前記横坑内の任意の位置に対にして配置されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の安全監視システム。
【請求項1】
立坑と前記立坑に連通形成された横坑からなる地下貯蔵施設において、前記横坑の任意の地点に配置したガス濃度センサからのガス濃度に異常が発生した場合に、前記横坑の任意の地点に配置した誘導手段に避難誘導の指示を行う安全監視システムであって、
メインサーバと、前記メインサーバに対して前記ガス濃度センサからのガス濃度情報を送信し、かつ、誘導手段に対してメインサーバからの避難誘導指示情報を送信する複数のサテライトサーバと、
前記横穴の任意の地点のガス濃度を検知し、該検知したガス濃度情報を前記サテライトサーバへ送信する複数のガス濃度センサと、前記メインサーバからサテライトサーバ経由で送信される避難誘導指示を前記横穴の任意の地点に表示する誘導手段と、を有する安全監視システムにおいて、
前記メインサーバは、
前記立坑と前記横坑との関連を記憶する空間位置情報記憶手段と、
前記ガス濃度センサからの情報について、該ガス濃度データが正常な状態の情報か、異常な状態の情報かを判定する計測データ判定手段と、
前記計測データ判定手段において異常な状態の情報と判定された地点を記憶する空間位置情報記憶手段と、
前記計測データ判定手段が異常な状態の情報と判定したときに、異常な状態と判定された地点以外の地点に対して、避難ルートを選択する避難ルート選択手段と、
前記避難ルート選択手段によって選択された避難ルートに該当する前記横穴の任意の地点に対して避難誘導表示を指示する誘導表示制御手段と、
を有することを特徴とする安全監視システム。
【請求項2】
前記計測データ判定手段において、前記横坑内の正常な状態あるいは異常な状態の判定は、あらかじめ定められたガス別の濃度基準によることを特徴とする請求項1に記載の安全監視システム。
【請求項3】
前記避難ルート選択手段で選択される避難ルートの避難先は、立坑ならびに一時避難場所であり、該避難ルート選択基準は、最短の避難距離であることを特徴とする請求項1乃至2に記載の安全監視システム。
【請求項4】
前記ガス濃度センサと前記誘導手段とは、前記横坑内の任意の位置に対にして配置されていることを特徴とする請求項1乃至3に記載の安全監視システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−134214(P2011−134214A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294695(P2009−294695)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【Fターム(参考)】
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