安全確保のデータ伝送およびサテライトネットワーククロスリンクのためのマイクロ波自動同調アンテナアレー
【構成】 高方向性トランスポンダはデータ信号ピークを呼掛け器ソースに送信する逆方向性アレー(図1)とナルを呼掛け器に向けて送信しかつその他に妨害信号を送信する自動ナル操縦アレー(図1)の二重システムを用い、呼掛け器ソースにおいて高SN比と妨害の回避を得る。変調器を集積することによって各アレーは送信された信号のスペクトルが同一である異なったデータを送信でき、これによって妨害を不可能にする。このシステムは、安全確報の2点間通信を可能にし、かつ無線LANおよびRFIDサーバのような短距離の無線データ通信システムに用いられることができる。他の特徴として、自動操縦信号伝送が、回転偏向、二次元逆方向性アレーを用いることにより、ランダムに向いたサテライトに対して用いられる。4倍低調波混合が、高周波数LOが実現可能でなく適用できないとき、位相共役を達成する有効な手段として用いられる。これらの特徴は、小型サテライト通信、安全確報の軍事通信、探査および救助、敵位置決定追跡、UAV命令および制御、森林火災検出、海上追跡、および高信号方向性を伴った安全確保を要する多くの他の用途に対して用いられてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にマイクロ波自動同調(self−phasing)アンテナアレーに関し、特に、データ伝送を保証するようになっておりかつサテライト ネットワーク クロスリンクのための自動同調アレーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動操縦(self−steering)アレーは、単純な“視覚のライン”(line−of−sight)通信環境で、高価なハイテクのアンテナシステムに代わる将来有望な代用品である。最も有名な自動位相調整アレー技術の1つは、逆方向性アレーであり、それは、アール ワイ ミヤモト およびティー イトウによる概要「無線通信用逆方向性アレー」(IEEE マイクロ波 マガジン 71−79頁 2002年3月出版)に言及されているように、移相器なしにまたはデジタル信号処理することなしに、呼掛けソース(情報源)に信号を自動的に戻すものである。この自動操縦の特徴から生じる逆方向性アレーと呼掛け器(interrogator)の間の強化した通信リンクは、スペース分割マルチアクセス(SDMA)またはマルチートランスポンダ(サテライト)ネットワークのようなマルチユーザ通信計画に対して逆方向性アレーを有効にさせる。SDMAでユーザの容量を増大させるために、妨害と干渉が、アレーの方向性を増加させることによって最少にされる。なお、方向性の増加は多数のアレーの素子が必要とされることを意味する。そして、このことはシステムの寸法とコストを増大させる。
【0003】
素子の数を増大させることなく、アレーの方向性を効果的に増大させる多数の研究がある。一例がナル操縦(null steering)であり、それは、ナルがビームよりはるかに高い解像度を与えることができるので、単パルスレーダーシステムおよび到着方向(direction of arrival:DOA)推定アルゴリズムでよく用いられる。これらの技術は一般には受信機で用いられてきたが、安全確保のデータ交換システムは伝送に対して高い方向性を必要とする。
【0004】
伝送に対して高い方向性を得る他の技術は他の用途で開発されてきた。アラモウティ等の米国特許出願2003/0231700は、垂直空間適応性を無線離散マルチトーンスペクトル(DMT−SS)通信システムに与えるための垂直空間アンテナの同調式操縦アレーを開示している。このことにより、垂直方向にビームを自動的に位置決めすることが可能であり、干渉が仰角で離れているが同一の方位角にある個所にナルを位置決めする。アジーの米国特許出願2003/0123384は、逆方向性アレー、コードナリング(code−nulling)、干渉取り消し技術と組み合わされた、積み重ねたキャリア(stacked−carrier)展開式スペクトル(SCSS)通信システムを開示している。例えば、伝送された信号のソフトナル(soft null)が干渉ソースに向けられることができ、コードナリングおよび逆方向性ビーム操縦技術が適応性のあるアンテナアレーに組み込まれて、従来のトランシーバの範囲を改良するとともに、より引き締まった空間パッキングを可能にすることによって通信ネットワークの容量を増大させる。ブランルンド等の米国特許出願2003/0086366は、遠隔ユニットからの信号および遠隔ユニットへの信号を識別するためにコード前提部分を用いて、マルチユーザ パケット ラジオ無線ネットワークのための適応性のある通信方法を開示している。
【0005】
フール等(AT&T)の米国特許6,480,522は、周波数ドメインスプレディングに基づき、かつ干渉消去および高めた信号分離のためのコードナリング(code nulling)技術を含む積み重ねた搬送波DMT−SS通信方法を開示している。ディブダル等(Aerspace Corp.)の米国特許5,781,845は適応性のある送信アンテナアレーを開示している。このアンテナアレーは多経路ひずみを生じさせないように反射性の目的物の方向にソフトナルを発生させるために同調した重み係数を調整できる。ヘイニンゲン(Raytheon)の米国特許4,849,764は、ターゲット信号源からの受信を高めるために逆ビーム発生器を用いて干渉信号の方向から信号成分を引く適応性アンテナアレーを開示している。メイロクッス(USAF)の米国特許4,246,585は、信号ビームのナル制御を改良するために決定論的な、適応性のあるナル操縦を用いる適応性のあるアンテナアレーを開示している。グルエンバーグの米国特許4,107,609は、2つのアンテナアレー、すなわち、第1のステーション方向から信号を受信して第1のステーション方向にナルを持った第2の信号を送信する第1のアレーと、第1のアレーと接続され第2ステーションの方向に第2信号のビームピークを送信する第2のアレーとを用いる通信トランスポンダシステムを開示している。
【特許文献1】米国特許出願2003/0231700
【特許文献2】米国特許出願2003/0123384
【特許文献3】米国特許出願2003/0086366
【特許文献4】米国特許6,480,522
【特許文献5】米国特許5,781,845
【特許文献6】米国特許4,849,764
【特許文献7】米国特許4,246,585
【特許文献8】米国特許4,107,609
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行技術のこれらの開発にもかかわらず、ターゲットに向かうデータ送信に対するSN比(SNR)が最大にされ、一方その他の方向では妨害が最少にされるマイクロ波自動同調アンテナアレーに対する安全確報のデータ伝送方法が望まれる。さらに、先行技術に伴う複雑さなしでこの目的を達成することが望ましい。
【0007】
関連する分野では、例えば、エッチ ヘイツ等の「CubeSat:ピコサテライトの新たな発生」(小型サテライトに関する第14年次AIAA/USU会議のProc.中 ローガン UT 2001年8月)に記載のように、種々の用途に対する小型サテライトに関するかなり関心が存在する。ナノサテライト(10kg)およびピコサテライト(1kg)の少ない重さは開発し軌道に打ち上げるのに経済的である。小型のサテライトのネットワークは、単一の大型サテライトに伴う仕事と補助システムを分散することによって打ち上げの融通性と成功を増大することが予想される。自立した小型サテライトネットワークは、また、大失敗を招く1つの失敗の可能性を減らす。もし1つのサテライトが落下すると、代わりが打ち上げられるまで停滞してしまう。しかし分散した小型サテライトのネットワーク、特に動的な再構成可能なサテライトを設計することへの挑戦は、先天的な知識なしで、ネットワーク内の他のサテライトに対するクロスリンク(相互接続)を達成し維持することにある。
【0008】
全方向性アンテナは一定の正常位置に戻るサテライトをクロスリンクすることに対しては疑う余地のない選択である。しかし、ネットワークは正当でない地上のステーションばかりでなくネットワーク外のサテライトによって盗聴を受けやすい。また、全方向性アンテナは、電力が受信機の方向だけでなくすべての方向に放射されるので、非効率である。内密のネットワークまたは安全確保がなされているネットワークでは、信号妨害は従来の同調式アレーアンテナとの直接クロスリンクを用いることによって防止できる。しかし、1000〜1500立方cm範囲のピコサテライトに対しては、処理電力は貴重な供給源であり、動的ビーム操縦はシステムに複雑な他の層を加え、これらの小型サテライトの単純な低コストの特徴の利点を否定することになる。ターゲットに向かうSN比が最大にされ、その他のすべての方向の妨害を最少にする安全確保のデータ伝送を与えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴によると、安全確保のデータ伝送方法は、伝送信号ピークをターゲットに向けるための逆方向性アレーと、ナルをターゲットに向けてかつ他の方向に妨害信号を向けるための自動ナル操縦アレーを持った二重自動同調アレーシステムを用いることによってターゲットに向かう高方向性を与える。データ信号ピークを妨害信号に重ねることによってターゲットに向かうSN比(SNR)を最大にし、一方、他の方向には妨害電波を送る。本発明の二重アレーシステムは、たった2つの小型のアンテナアレーを用いることによって超高方向性を与え、小型プラットホーム環境や宇宙環境に適したシステムを形成し、一方無線通信システムでのユーザの容量を増大させる。二重アンテナアレーはさらに寸法と重量を減少させるために単一の配置で集積されてもよい。
【0010】
本発明の第2の特徴によると、自動操縦逆方向性アンテナアレーは宇宙空間でランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダ(小型サテライト)のネットワーク間の安全確報のクロスリンク通信に対して用いられる。逆方向性アンテナは、従来の同調式アレー内の移相器またはハイテクアンテナ中のデジタル信号処理に伴う複雑さなしで、到来のラジオ伝送の方向を感知でき、同一方向に返答を送り返すことができる。逆方向性アレーに伴う高方向性は、ネットワークの安全を確保するばかりでなく、電力消費を最少にすることによって通信リンク効率を改良する。自動操縦を宇宙空間でランダムに向いたサテライトに適合するために、逆方向性アレーは円形偏向、二次元操縦を用いる。4倍低調波混合を新規に採用することによって、従来の設計に比べて局部発振器の周波数を緩和するように位相共役を達成できる。クロスリンク通信のためのサテライトネットワークは前述の二重アレーシステムを用いて、安全確保した高方向性伝送のために、妨害信号ナルで重ねられた伝送信号ピークをターゲットに向けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安全が確保され(妨害され難く)、傍受され難い、単純な構成の小型のマイクロ波自動同調アンテナアレーが得られる。また、ターゲットに向かう方向に対してSN比を増大させ、その他の方向では妨害を最少できる小型のマイクロ波自動同調アンテナアレーが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の特徴の表示が図1に示されている。安全確保のデータ伝送のための高方向性のトランスポンダは有向ピークを持ったデータ信号を送信する逆方向性アレー(retrodirective array)10と有向ナルを持った妨害信号を送信する自動ナル操縦アレー12の2つの形式の自動操縦アレーを用いる。これらのアレーが呼掛けられると(14)、逆方向性アレー10は呼掛け器ソースに向かってピークを持つ信号ビーム(連続線波形で示す)を送信し、一方自動ナル操縦アレーは呼掛け器ソースに向かってナル(null)(零)を持つ妨害信号(点線波形で示す)を他の方向に送る。妨害信号のナルに重ね合わせたデータ信号のピークの受信に起因して、呼掛け器(interrogator)は妨害信号に邪魔されることなくデータを確実に復調できる。ナルのビーム幅の外側の他の方向では、妨害信号の電力が残留の通信信号の電力を超え、そのため傍受を不可能にする。したがって、このシステムは高いS/N比において超高方向性を有効に与えることができる。
【0013】
図2は、呼掛けソース(interrogating source)が60°にある二重アレーシステムに対するシミュレートされた放射強度とS/N比(SNR)のグラフを示す。0dBにおけるピーク信号は呼掛け器位置において−80dBの妨害信号ナルと重なっている。この結果、極めて高いSNRが呼掛け器位置で受信される。この例は単純な4素子の逆方向性アレーと2素子自動ナル操縦アレーを用いることに基づく。
【0014】
シミュレートした例に対する計算関係は以下のように導き出される。z軸上のN素子ユニホームアレーのアレーファクタは式1によって与えられる。
【式1】
【0015】
【0016】
ここで、ψはkdcosθ+α。 アレーファクタAFは、ψが2π/Nとき、零となり、従って、進行位相でθ=θ’においてナルと置くことができる。
【式2】
【0017】
【0018】
アレーが角度θ’から呼掛け信号で照射されると、各素子はψ=kdcosθ’の進行位相で励起される。したがって、式2中の進行位相は受信した信号の位相共役に2π/Nを加えることによって発生されうる。このことは進行位相を持つLOを位相共役ミキサーに適用することによって達成できる。N素子アレーのn番目の素子における受信した呼掛け信号は式3で表される。
【式3】
【0019】
【0020】
ここで、φnはn番目素子における受信した呼掛け信号の位相である。各素子に加えられるLO信号が式4で与えられると仮定する。
【式4】
【0021】
【0022】
なお、LO信号は2π/Nの進行位相でアレーの各素子に加えられる。
したがって、混合積は式5で与えられる。
【式5】
【0023】
【0024】
ωLO=2ωRFのとき、cos((ωLO−ωRF)t−θn)は受信した信号の位相共役である。したがって、式5の低い側の側波帯は受信した信号の位相共役に2π/Nの進行位相をプラスしたものである。放射ナルは、アレーの各アンテナ素子が混合積を用いて再励起されるとき、θ’で生じるはずである。
【0025】
2素子アレーに対しては、このことはLOをラットーレイス(rat−race)カプラ−を通して各位相共役器(conjugator)に加えることによって達成できる。本発明の新規なアプローチはアレーの各素子において対向して装着されたダイオードを用いることである。LOは同位相で加えられるが、電流は反対方向に流れ、ダイオードをオンおよびオフさせ、逆位相LOを加えることと均等であるようにする。回路の残りの部分が対称構造であるので、より良い信号消去(すなわち、より深いナル)がラットーレイスのアプローチに比べて得られる。
【0026】
図3はRT/デュロイド(duroid)基板(εr=2.2 0.07874cm厚さ)上に製造された新規な位相共役回路の例を示す。回路は5.8GHzに対して最適化されている。ヘテロダイン平衡型ミキサーは同一方向に装着されたGaAsショットキーダイオードを用いている。RFは分岐線カップラーを通して90°位相をずらして加えられ、一方LOは位相を合わせて加えられる。拒絶されたRFは分岐線カップラーの終端ポート中に取り除かれ、一方位相共役信号(IF)はアンテナポートに戻される。回路の性能をテストするために、アンテナは方向性結合器と置き換えられた。RF信号(fRF=5.3−6.3GHz,PRF=30dBm)およびLO信号(fLO=11.6GHz,PLO=5dBm)が平衡型ミキサーに加えられた。出力信号が方向性結合器の結合ポートで測定された。変換ロスとIF−RF分離が測定され、図4に示されている。変換ロス(“X”線)はほとんど一定のままであるが、IF−RF分離(黒丸点線)は全周波数範囲にわたって10dBを超えたままであり、約5.8GHzにピークがあった。
【0027】
2素子のプロトタイプのアレーが図3の構造に基づく位相共役素子を用いて組立てられた。図5Aに示すように、逆方向性アレー中のダイオードはすべて同一方向に装着され、従来の位相共役ミキサーとして機能する。図5Bにおいて、ナル操縦アレーの各素子中のダイオードは逆方向に装着され、電流は逆に流れるが、LO信号は同一位相で加えられる。この構成により、反位相LO信号を発生するためのラットレイスカップラーまたは余分な遅延線の必要性をなくし、LO回路を単純にする。
【0028】
アレーの放射パターンが、図6に示す測定設置に示すように、異なった角度において呼掛けソースで測定された。アレーは固定角度で呼掛けソースによって照射された。アレーからの応答は異なった角度(−60°〜60°)で測定された。RFは、RFおよびIF周波数を20MHzで相殺して応答信号を呼掛け信号から区別するために、5.81GHzに設定された。また、わずかに異なったLO周波数(1MH補正)が各アレーに対して用いられて、逆方向性アレーおよび自動ナル操縦アレーからの信号が区別できた。なお、周波数補正(オフセット)は測定のためだけに用いられたものであり、実際のシステムでは、アレーの搬送周波数は、スペクトルが互いに重なるように、同一でなければならない。S/N比は、式6に示すように、逆方向性アレーと自動ナル操縦アレーからの信号間の電力比として定義された。
【式6】
【0029】
【0030】
測定されたS/N比は図7A〜図7Cに示されている(呼掛けソースが側面、20°、−10°にあるとき)。S/Nのピークは常に呼掛け器の方向にある。この結果によりSNR直線性が代表的な2素子逆方向性アレーのSNR直線性と比べて無視できないほど増大されていることがわかる。側面から離れるように走査すると、副ローブのレベルが増加した。ナルの深さを決定するナル操縦アレー中の2つの素子の均等性がより良い製造工程によって改良でき、ピークにおけるS/Nを増大させる。
【0031】
逆方向性アレーと自動ナル操縦アレーは別個の層に形成される必要はなく、共通の回路に集積されてもよい。二重アレーは異なったデータ(真対妨害)送信するが、送信した信号のスペクトルは同一のデータ速度で送信することによって同一に保たれ、傍受を不可能にする。二重アレーシステムによって、高SNR受信が呼掛けソースにおいて得られ、一方、安全確保のポイント・ツー・ポイント(2点間)通信に対して他の方向の傍受を不可能にする。二重アレーシステムは無線LANおよびRFIDサーバのような短距離の無線データ伝送システムに対しても用いられる。また、周囲環境内のサテライトからのTV信号の海賊行為を防止するためにサテライトTV会社に使用されてもよい。
【0032】
図8は、自動操縦逆方向性アンテナアレーがスペース中の小型プラットホームのトランスポンダ(サテライト)のネットワーク内での安全確保のクロスリンク通信のために用いられる本発明の第2の特徴を示す。小型サテライトのネットワークは、生存性、冗長性、および(または)高い正確性の地図上位置、集団の増強、レーダ探知、狭ビーム/広領域通信のような用途における宇宙空間の対象に対して望ましい。小型サテライトは漂流するかもしれないので、サテライトの呼掛け器ソースに対する運動または互いに対する運動が本質的にランダムである。逆方向性アレーを用いて、小型サテライトネットワークは信号ビームを任意の方向の呼掛け器ソース、および他のサテライトに向けることができる。このことにより、従来の位相配列で移相器を用いること、またはハイテクアンテナでデジタル信号処理を用いることに伴う複雑さが回避できる。これらはネットワークの安全確保を改良するばかりでなく、電力消費を最少にすることによって通信リンク効率を改良する。
【0033】
逆方向性技術は1960年代から出始めてきたが、宇宙空間の用途に対する設計は新たな挑戦を提供している。第1に、重力零、サテライトの浮動性は二次元の追跡を必要とし、したがって、二次元逆方向性アレーを必要とする。第2に、サテライトがしばしば小さすぎて姿勢制御装置を持つことができないので、各サテライトの方位を知ることが不可能である。したがって、アンテナは、信号受信を可能にしかつ他のサテライトに対する方位に関係なく偏向(polarization)の不整合を防止するために回転(円形)偏向を与えなければならない。
【0034】
本発明では、逆方向性アレーは10.5GHz用に設計されている。この周波数はアレーのサイズを最小にして小型の10×10×15cm形状に嵌合できるばかりでなく、アマチュアサテライトバンド内の許容できる周波数である。逆方向性を達成する最も有名な方法はヘテロダイン技術であり、この技術では、各素子における到来ラジオ周波数(RF)がRF信号周波数の2倍で局部発振器(LO)信号と混合されて、RFと同一周波数であるが共役位相を持つ中間周波数(IF)を発生する。しかしながら、反平行ダイオードを用いる低調波混合アプローチが、高周波数LOの必要性をなくすので、高周波数システムに対して特に適している。このことは、ティー ブラベッツ等の「逆方向性アレーの適用に対する平衡低調波ミキサー」IEEE Trans.マイクロ波理論技術 49巻465−469頁 2001年3月発行に提案されている。低調波混合に基づく位相共役はすべて三次混合(fIF=2fLO−fRF)を用いて、RFと同一バンドでLOの使用を可能にしている。しかし、このアプローチは、基本波LOの周波数がRFと重なり濾波できないので大きなLO漏れを受けることになる。
【0035】
したがって、本発明では、4倍(quadruple)低調波混合アプローチが、五次混合生成物(fFR=4fLO−fRF)を用いて適用された。図9に示すように、このアプローチはRFの半分のLO周波数を用いる。反平行ダイオードはRFと同一の周波数であるLOの二次高調波を抑制する。4倍低調波混合を介する位相共役演算は以下の式7で説明される。
【式7】
【0036】
【0037】
もし2ωLO=ωRFならば、式7の右側は到来RF信号の位相共役となる。他の奇数次混合項は容易に濾波できる。
【0038】
図10は、反平行構成で接続された、アジレント(Agilent)HSMS−8202 直列−ペアのダイオードを用いるそのようなミキサーの例を示す。マイクロストリップのフィルタと整合回路がロジャーズ(Rogers)TMM4基板(εr=4.5,h=0.0381cm)に印刷されている。IFと基本周波数LOの間の分離の測定値は65dBである。LOの二次高調波の消去は55dBである。これは従来の三次混合より優れている。低調波ミキサーの測定された変換ロスは26dBである。
【0039】
図11に示すように、アンテナ素子は2つの異なった共振モードを達成するために両端で留め継ぎされた、正方形マイクロストリップパッチとして設計されている。回転偏向は、2つのモードが互いに直交しかつ90°の位相のずれがあるとき、達成される。アンテナはロジャーズ(Rogers)TMM3基板(εr=3.27,h=0.0635cm)上に製造されている。この例では、パッチアンテナ素子はL=0.762cm,c=0.102cm,w1=0.0457cm,I=0.541cm,w2=0.150cmの寸法を持つ。
【0040】
有効な逆方向性は次元に対して少なくとも4つの素子のアレーを要する。従来では、このことは4×4アレーの配置で達成される。回路の寸法と供給電力を減少するために、図12に配置したように、2つの直交する方向に4つの素子から成る十字形状のアレーが代わり用いられて、従来のアレーに対する16から8つの素子に素子の数を減少させている。アレー間隔は素子間で0.484λ=1.383cmであった。共振周波数は10.5GHzであった。
【0041】
図13は逆方向性アンテナアレーを特徴付ける代表的な方法を示す。固定ホーンアンテナがRF呼掛け信号を与える。一旦RF信号がテスト中のアレーに当たると、逆方向性IF信号が、理想的にはRFホーンと同一方向に、反射して戻る。120°の方位角範囲で走査される第2ホーンアンテナがこの反射したIF信号を獲得する。パターン中のピーク特性がソースと同一方向に発生する。ナル(零)もアレーの方向性の結果発生する。入射RF信号と逆方向性のIF信号が共通の周波数を共有するので、常にRFホーンからIFホーンへの望ましくない漏れが存在する。実際には、この問題は、2つの信号がスペクトル分析器で解析されるように、周波数をわずかにずらすことによって克服される。したがって、次の周波数が用いられた。すなわち、5.2375GHz(20.95の四次低調波)のLO信号、10.45GHzのRF信号、10.5のIF信号である。2Dの逆方向性を達成することを保証するために、図14は、ソースが(a)0°,(b)+20°,(c)−20°に配置され、リニアアレーが整列された0°又は90°の軸に沿ってではなく図12から45°に沿って切り取った状態で、バイスタティック・レーダーの断面に対する測定値を示す。偏向楕円も測定され、5.5dBであることが見出された。
【0042】
ピコサテライト(10cm×10cm×15cm)に通常関連する形状の因子は位相共役アレー構成に対する要件を決定した。10cm×10cmの面は4×4アレーのアンテナ素子を収納できるが、他の因子(例えば、直流電力、内部ハウジングの寸法、重量、局部発振器等)がアレー構造に対して考慮された。十字構造に8つのアンテナ素子を構成することは、特定の形状因子、寸法上の要件、重量等に対して最適な構成であるように思われ、バイスタティック・レーダーの断面の結果から分かるように適切な逆方向性が得られた。
【0043】
信号強度はリンク予算に依存し,リンク予算は局部発振器の電力、受信機感度、および多くの他のパラメータに依存する。信号の形状は、理想的には、1つだけのサテライトがその視界角度に入るのに十分なだけ小さいビームであるべきである。ビーム幅はアレーの寸法に依存する。1つのサテライトの応答と他のサテライトの応答の間の干渉は記号化を使用することによって、または各クロスリンクに対して僅かに異なった周波数を用いることによって避けることができる。第三者の呼掛け器は、記号化した伝送を用いることによって、積載した逆方向性アレーでサテライトが音を出すことを防止する。サテライトが空間の4□ステラジアン全体にわたって信号を逆方向に向けるために、逆方向性アレーはサテライトのすべての側部に配置できる。代案としては、逆方向性アレーはハウジングに固定される必要はなく、太陽電池と同様に展開されてもよい。最適のタイミングパラメータ、マルチサテライトのロケーションアルゴリズム、サテライトの数、および信号の呼掛け/応答計画アルゴリズムが小型サテライトネットワークに対する要件と用途によって開発されてもよい。
【0044】
要約すると、宇宙空間でランダムに向けられたサテライトに対して自動操縦信号伝送を適合するために、逆方向性アレーが回転偏向した2次元操縦を用いる。高周波数LOが実現可能でなく、適用できないときには、4倍低調波混合が位相共役を達成する有効な手段として用いられる。小型サテライトネットワークは前述の二重アレーシステムを用いて妨害信号ナルで重ねられた伝送信号ピークをターゲットに向け、妨害信号を他の方向に向ける。以下はこれらの本発明の特徴に対する潜在的な適応環境の例を記載したものである。
ナノサテライト通信
ナノサテライト(10kg以下の重量で地球近くの軌道中のサテライト)が種々の科学、天気および通信事業を実行するために最近開発されてきた。これらのナノサテライトは、ある場合には、大きな高価なサテライトの機能と同様な機能を達成できる。そのような小型サテライト上の通信は一番の関心事である。逆方向性アレー技術によって、従来の同調式のアレーに比べて低電力消費と簡潔さをもってこれらのサテライトが地上のステーションおよび他のサテライトと通信できる。さらに、これらのアレーの逆方向性によって、サテライトがその軸のうちの1つのまわりに回転するような軌道にあるときでさえ通信が可能である。このことにより、打ち上げと設計コストを削減でき、極めて単純な比較的安価なブースタの設計を可能にし、切り離し前にサテライト自体の安定化を達成する必要はない。
【0045】
サテライト自体が単純化でき、特定の回転パターンを維持するための安定化スラスタ(制御ロケット)を必要としない。逆方向性アレーと太陽電池はナノサテライトの表面に順応性よく適用でき、設計を単純化し、拡張可能なソーラーアームを展開することの失敗に起因するミッション問題を減少させる。このようなナノサテライト通信は他のミッション(例えば、偵察、天気、追跡等)を持ったナノサテライトをサポートし、また地上通信専用のナノサテライトをサポートできる。
【0046】
かくのごとく装備されたナノサテライトは安価で安全が確保されたいろいろの通信を達成でき、ナノサテライトからナノサテライトへの伝達を用いて端末間の地上通信をサポートできる。各サテライトの安価なコストによって、適当な軌道に極めて多数のナノサテライトを打ち上げることができる。積載したソフトウエアアルゴリズムと地上制御ステーションに基づくソフトウエアアルゴリズムの組み合わせが、データの流れを確保し、切断したリンクのルートを切り替えるように、ナノサテライト間の通信をダイナミックに行なうように用いられうる。
安全確保の戦術用通信
逆方向性アレー/ナルアレー技術を用いる安全確報の無線通信が、ペンシルビーム幅の信号だけが意図したものの間に送られるのを保証するために用いられる。無線通信は、高い上空の飛行機、サテライト、無人飛行機、または艦船に搭載した中継器を用いて通信してもよい。中継器ステーションは伝送の各ノードが有効であることを保証するために符号化および証明アルゴリズムを含んでもよい。ナルアレー技術は、信号がすべての他の方向で妨害されるのを保証するために中継器と端末装置の両方に積載されて用いられてもよい。このシステムは付加的な安全確保の特徴を米国国防省によって最近開発された統合戦術無線通信システムに与えることができる。
探索および救助/敵位置捕捉および追跡
飛行機または無人飛行機(UAV)に装着されたアレーは遠い送信機に対して方位角決定するように構成できる。三角測量、一連の方位角の読取りおよび載置したGPSを用いて、装置は遠い送信機のグリッド位置を突き止めることができる。このようなシステムは遭難中の飛行機により発生された信号を捕捉することによって下降中の飛行機を迅速に位置決めできる(緊急位置決め送信機)。システムは、また、敵のレーダシステムにより発生された信号を捕捉するために軍事システムによって用いられ、敵の位置を突き止め、その後の空爆その他の適切な行動を可能にする。
無人軍用機(UCAV)命令、制御および偵察
UCAVは遠隔から確実に安全に制御されねばならない。逆方向性アレー/ナルアレー技術は、UCAVが他の位置にある敵軍からの妨害を受けることなく、制御ステーションからの制御信号を受信できることを保証できる。さらに、UCAVが受信した偵察データは、受信機設置場所を選択して送信され、一方、その他のすべての方向のデータ信号はナルアレー技術によって妨害される。このように、軍は安全な位置からUCAVを確実に制御でき、一方UCAVの命令、制御およびUCAVから戻ったデータの確実な受信を保証する。この機能は、利点なしに一斉通報する他のUAV(無人飛行機)プログラムの有能性を拡大できる。
森林火災検出
多数回にわたって貨物航空機から地上に落下される小型の温度/風検出装置に逆方向性アレーを取付けることができる。これらの装置は72時間送信できるのに十分な電力を持った小型の載置電池を持つ。一旦ばら撒かれると、軌道上の飛行機またはUAVは独立に
各装置に呼掛けて多数の位置における温度、風およびその他の天候パラメータを決定する。逆方向性技術は、UAVまたは飛行機の載置航行装置および信号待ち時間測定装置と関連して用いられて、各装置の方位と距離を決定し、したがって、各装置の経緯を決めることができる。ばら撒かれた各装置から集められてUAVによって制御ステーションに送られたデータは動的な温度/天候パターンを決定するために用いられ、パターンは火災現場を突き止める助けとなり、または火災が向かっている方向を消防士に知らせることができる。
海上追跡
逆方向性アレー、温度、塩分濃度および気圧測定装置および望ましくは他の検出装置を備えた小型の浮遊装置が多数回にわたって飛行機または船でばら撒かれる。これらの装置は連続動作を保証するように再充電可能な電池と正方形の太陽アレーパネルを持つ。一旦ばら撒かれると、軌道上の飛行機またはUAVが独立的に各装置に呼掛けて、多数の位置における温度、風、大気圧、天候または他のパラメータを決定する。逆方向性技術は、UAVまたは飛行機の載置航行装置および信号待ち時間測定装置と関連して用いられて、各装置の方位と距離を決定し、したがって、各装置の経緯を決めることができる。ばら撒かれた各装置から集められてUAVによって制御ステーションに送られたデータは環境状態に基づく海中の魚の移動パターンを調査し、また予測できる。このことにより、漁船が目標の種類の魚が集まっている場所の焦点を狭める助けとなる。油検出装置を備えた同様な装置は油や他の汚染物の広がりを追跡するのに用いられてもよい。天候データが国立太洋兼環境機構および他の天候機構に与えられて、海の状態に基づいた天候モデルを精緻化する助けとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】逆方向性アレーおよび自動ナル操縦アレーの二重システムを用いる本発明の高方向性トランスポンダの図である。
【図2】60°に呼掛けソースを持った二重アレーシステムに対する放射強度とS/N比のシミュレートしたグラフを示す。
【図3】ショットキーダイオードを用いる新規な位相結合素子の配置を示す。
【図4】変換ロスとIF−RF分離測定結果を示すグラフである。
【図5】基本の逆方向性アレー構造と基本の自動ナル操縦アレー構造の概略図であり、図5Aは基本の逆方向性アレー構造を示し、図5Bは基本の自動ナル操縦アレー構造を示す。
【図6】逆方向性と自動ナル操縦アレーに対する放射測定設定の例を示す。
【図7】角度に対するSNRのグラフであり、図7Aは呼掛け器ソースがブロードサイド(玄側)に面し、図7Bは呼掛け器ソースが20°であり、図7Cは呼掛け器ソースが−10°であるときの角度に対するSNRのグラフである。
【図8】安全確保のクロスリンク通信用の自動操縦アレーを用いる宇宙空間内の小プラットホームのトランスポンダ(ピコサテライト)のネットワークの概略図である。
【図9】分数調波的にポンプ作用されるミキサーを用いる位相結合アレーの概略図である。
【図10】反平行ダイオードペアを持ち、LOおよびRFポートでマッチング回路を持ち、RFおよびLO周波数で帯域消去フィルタを持つミキサーを示す。
【図11】パッチアンテナ素子を示す。
【図12】円形に分極した十字形状のマイクロストリップのパッチアンテナアレーを示す。
【図13】逆方向性アレーのバイスタティックRCS測定の設置を示す。
【図14】バイスタティック測定値を示し、図14Aは0°におけるバイスタティック測定値を示し、図14Bは+20°におけるバイスタティック測定値を示し、図14Cは−20°におけるバイスタティック測定値を示す。
【符号の説明】
【0048】
10 逆方向性アレー
12 ナル操縦アレー
14 呼掛け器
【技術分野】
【0001】
本発明は一般にマイクロ波自動同調(self−phasing)アンテナアレーに関し、特に、データ伝送を保証するようになっておりかつサテライト ネットワーク クロスリンクのための自動同調アレーに関する。
【背景技術】
【0002】
自動操縦(self−steering)アレーは、単純な“視覚のライン”(line−of−sight)通信環境で、高価なハイテクのアンテナシステムに代わる将来有望な代用品である。最も有名な自動位相調整アレー技術の1つは、逆方向性アレーであり、それは、アール ワイ ミヤモト およびティー イトウによる概要「無線通信用逆方向性アレー」(IEEE マイクロ波 マガジン 71−79頁 2002年3月出版)に言及されているように、移相器なしにまたはデジタル信号処理することなしに、呼掛けソース(情報源)に信号を自動的に戻すものである。この自動操縦の特徴から生じる逆方向性アレーと呼掛け器(interrogator)の間の強化した通信リンクは、スペース分割マルチアクセス(SDMA)またはマルチートランスポンダ(サテライト)ネットワークのようなマルチユーザ通信計画に対して逆方向性アレーを有効にさせる。SDMAでユーザの容量を増大させるために、妨害と干渉が、アレーの方向性を増加させることによって最少にされる。なお、方向性の増加は多数のアレーの素子が必要とされることを意味する。そして、このことはシステムの寸法とコストを増大させる。
【0003】
素子の数を増大させることなく、アレーの方向性を効果的に増大させる多数の研究がある。一例がナル操縦(null steering)であり、それは、ナルがビームよりはるかに高い解像度を与えることができるので、単パルスレーダーシステムおよび到着方向(direction of arrival:DOA)推定アルゴリズムでよく用いられる。これらの技術は一般には受信機で用いられてきたが、安全確保のデータ交換システムは伝送に対して高い方向性を必要とする。
【0004】
伝送に対して高い方向性を得る他の技術は他の用途で開発されてきた。アラモウティ等の米国特許出願2003/0231700は、垂直空間適応性を無線離散マルチトーンスペクトル(DMT−SS)通信システムに与えるための垂直空間アンテナの同調式操縦アレーを開示している。このことにより、垂直方向にビームを自動的に位置決めすることが可能であり、干渉が仰角で離れているが同一の方位角にある個所にナルを位置決めする。アジーの米国特許出願2003/0123384は、逆方向性アレー、コードナリング(code−nulling)、干渉取り消し技術と組み合わされた、積み重ねたキャリア(stacked−carrier)展開式スペクトル(SCSS)通信システムを開示している。例えば、伝送された信号のソフトナル(soft null)が干渉ソースに向けられることができ、コードナリングおよび逆方向性ビーム操縦技術が適応性のあるアンテナアレーに組み込まれて、従来のトランシーバの範囲を改良するとともに、より引き締まった空間パッキングを可能にすることによって通信ネットワークの容量を増大させる。ブランルンド等の米国特許出願2003/0086366は、遠隔ユニットからの信号および遠隔ユニットへの信号を識別するためにコード前提部分を用いて、マルチユーザ パケット ラジオ無線ネットワークのための適応性のある通信方法を開示している。
【0005】
フール等(AT&T)の米国特許6,480,522は、周波数ドメインスプレディングに基づき、かつ干渉消去および高めた信号分離のためのコードナリング(code nulling)技術を含む積み重ねた搬送波DMT−SS通信方法を開示している。ディブダル等(Aerspace Corp.)の米国特許5,781,845は適応性のある送信アンテナアレーを開示している。このアンテナアレーは多経路ひずみを生じさせないように反射性の目的物の方向にソフトナルを発生させるために同調した重み係数を調整できる。ヘイニンゲン(Raytheon)の米国特許4,849,764は、ターゲット信号源からの受信を高めるために逆ビーム発生器を用いて干渉信号の方向から信号成分を引く適応性アンテナアレーを開示している。メイロクッス(USAF)の米国特許4,246,585は、信号ビームのナル制御を改良するために決定論的な、適応性のあるナル操縦を用いる適応性のあるアンテナアレーを開示している。グルエンバーグの米国特許4,107,609は、2つのアンテナアレー、すなわち、第1のステーション方向から信号を受信して第1のステーション方向にナルを持った第2の信号を送信する第1のアレーと、第1のアレーと接続され第2ステーションの方向に第2信号のビームピークを送信する第2のアレーとを用いる通信トランスポンダシステムを開示している。
【特許文献1】米国特許出願2003/0231700
【特許文献2】米国特許出願2003/0123384
【特許文献3】米国特許出願2003/0086366
【特許文献4】米国特許6,480,522
【特許文献5】米国特許5,781,845
【特許文献6】米国特許4,849,764
【特許文献7】米国特許4,246,585
【特許文献8】米国特許4,107,609
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、先行技術のこれらの開発にもかかわらず、ターゲットに向かうデータ送信に対するSN比(SNR)が最大にされ、一方その他の方向では妨害が最少にされるマイクロ波自動同調アンテナアレーに対する安全確報のデータ伝送方法が望まれる。さらに、先行技術に伴う複雑さなしでこの目的を達成することが望ましい。
【0007】
関連する分野では、例えば、エッチ ヘイツ等の「CubeSat:ピコサテライトの新たな発生」(小型サテライトに関する第14年次AIAA/USU会議のProc.中 ローガン UT 2001年8月)に記載のように、種々の用途に対する小型サテライトに関するかなり関心が存在する。ナノサテライト(10kg)およびピコサテライト(1kg)の少ない重さは開発し軌道に打ち上げるのに経済的である。小型のサテライトのネットワークは、単一の大型サテライトに伴う仕事と補助システムを分散することによって打ち上げの融通性と成功を増大することが予想される。自立した小型サテライトネットワークは、また、大失敗を招く1つの失敗の可能性を減らす。もし1つのサテライトが落下すると、代わりが打ち上げられるまで停滞してしまう。しかし分散した小型サテライトのネットワーク、特に動的な再構成可能なサテライトを設計することへの挑戦は、先天的な知識なしで、ネットワーク内の他のサテライトに対するクロスリンク(相互接続)を達成し維持することにある。
【0008】
全方向性アンテナは一定の正常位置に戻るサテライトをクロスリンクすることに対しては疑う余地のない選択である。しかし、ネットワークは正当でない地上のステーションばかりでなくネットワーク外のサテライトによって盗聴を受けやすい。また、全方向性アンテナは、電力が受信機の方向だけでなくすべての方向に放射されるので、非効率である。内密のネットワークまたは安全確保がなされているネットワークでは、信号妨害は従来の同調式アレーアンテナとの直接クロスリンクを用いることによって防止できる。しかし、1000〜1500立方cm範囲のピコサテライトに対しては、処理電力は貴重な供給源であり、動的ビーム操縦はシステムに複雑な他の層を加え、これらの小型サテライトの単純な低コストの特徴の利点を否定することになる。ターゲットに向かうSN比が最大にされ、その他のすべての方向の妨害を最少にする安全確保のデータ伝送を与えることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴によると、安全確保のデータ伝送方法は、伝送信号ピークをターゲットに向けるための逆方向性アレーと、ナルをターゲットに向けてかつ他の方向に妨害信号を向けるための自動ナル操縦アレーを持った二重自動同調アレーシステムを用いることによってターゲットに向かう高方向性を与える。データ信号ピークを妨害信号に重ねることによってターゲットに向かうSN比(SNR)を最大にし、一方、他の方向には妨害電波を送る。本発明の二重アレーシステムは、たった2つの小型のアンテナアレーを用いることによって超高方向性を与え、小型プラットホーム環境や宇宙環境に適したシステムを形成し、一方無線通信システムでのユーザの容量を増大させる。二重アンテナアレーはさらに寸法と重量を減少させるために単一の配置で集積されてもよい。
【0010】
本発明の第2の特徴によると、自動操縦逆方向性アンテナアレーは宇宙空間でランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダ(小型サテライト)のネットワーク間の安全確報のクロスリンク通信に対して用いられる。逆方向性アンテナは、従来の同調式アレー内の移相器またはハイテクアンテナ中のデジタル信号処理に伴う複雑さなしで、到来のラジオ伝送の方向を感知でき、同一方向に返答を送り返すことができる。逆方向性アレーに伴う高方向性は、ネットワークの安全を確保するばかりでなく、電力消費を最少にすることによって通信リンク効率を改良する。自動操縦を宇宙空間でランダムに向いたサテライトに適合するために、逆方向性アレーは円形偏向、二次元操縦を用いる。4倍低調波混合を新規に採用することによって、従来の設計に比べて局部発振器の周波数を緩和するように位相共役を達成できる。クロスリンク通信のためのサテライトネットワークは前述の二重アレーシステムを用いて、安全確保した高方向性伝送のために、妨害信号ナルで重ねられた伝送信号ピークをターゲットに向けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安全が確保され(妨害され難く)、傍受され難い、単純な構成の小型のマイクロ波自動同調アンテナアレーが得られる。また、ターゲットに向かう方向に対してSN比を増大させ、その他の方向では妨害を最少できる小型のマイクロ波自動同調アンテナアレーが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の特徴の表示が図1に示されている。安全確保のデータ伝送のための高方向性のトランスポンダは有向ピークを持ったデータ信号を送信する逆方向性アレー(retrodirective array)10と有向ナルを持った妨害信号を送信する自動ナル操縦アレー12の2つの形式の自動操縦アレーを用いる。これらのアレーが呼掛けられると(14)、逆方向性アレー10は呼掛け器ソースに向かってピークを持つ信号ビーム(連続線波形で示す)を送信し、一方自動ナル操縦アレーは呼掛け器ソースに向かってナル(null)(零)を持つ妨害信号(点線波形で示す)を他の方向に送る。妨害信号のナルに重ね合わせたデータ信号のピークの受信に起因して、呼掛け器(interrogator)は妨害信号に邪魔されることなくデータを確実に復調できる。ナルのビーム幅の外側の他の方向では、妨害信号の電力が残留の通信信号の電力を超え、そのため傍受を不可能にする。したがって、このシステムは高いS/N比において超高方向性を有効に与えることができる。
【0013】
図2は、呼掛けソース(interrogating source)が60°にある二重アレーシステムに対するシミュレートされた放射強度とS/N比(SNR)のグラフを示す。0dBにおけるピーク信号は呼掛け器位置において−80dBの妨害信号ナルと重なっている。この結果、極めて高いSNRが呼掛け器位置で受信される。この例は単純な4素子の逆方向性アレーと2素子自動ナル操縦アレーを用いることに基づく。
【0014】
シミュレートした例に対する計算関係は以下のように導き出される。z軸上のN素子ユニホームアレーのアレーファクタは式1によって与えられる。
【式1】
【0015】
【0016】
ここで、ψはkdcosθ+α。 アレーファクタAFは、ψが2π/Nとき、零となり、従って、進行位相でθ=θ’においてナルと置くことができる。
【式2】
【0017】
【0018】
アレーが角度θ’から呼掛け信号で照射されると、各素子はψ=kdcosθ’の進行位相で励起される。したがって、式2中の進行位相は受信した信号の位相共役に2π/Nを加えることによって発生されうる。このことは進行位相を持つLOを位相共役ミキサーに適用することによって達成できる。N素子アレーのn番目の素子における受信した呼掛け信号は式3で表される。
【式3】
【0019】
【0020】
ここで、φnはn番目素子における受信した呼掛け信号の位相である。各素子に加えられるLO信号が式4で与えられると仮定する。
【式4】
【0021】
【0022】
なお、LO信号は2π/Nの進行位相でアレーの各素子に加えられる。
したがって、混合積は式5で与えられる。
【式5】
【0023】
【0024】
ωLO=2ωRFのとき、cos((ωLO−ωRF)t−θn)は受信した信号の位相共役である。したがって、式5の低い側の側波帯は受信した信号の位相共役に2π/Nの進行位相をプラスしたものである。放射ナルは、アレーの各アンテナ素子が混合積を用いて再励起されるとき、θ’で生じるはずである。
【0025】
2素子アレーに対しては、このことはLOをラットーレイス(rat−race)カプラ−を通して各位相共役器(conjugator)に加えることによって達成できる。本発明の新規なアプローチはアレーの各素子において対向して装着されたダイオードを用いることである。LOは同位相で加えられるが、電流は反対方向に流れ、ダイオードをオンおよびオフさせ、逆位相LOを加えることと均等であるようにする。回路の残りの部分が対称構造であるので、より良い信号消去(すなわち、より深いナル)がラットーレイスのアプローチに比べて得られる。
【0026】
図3はRT/デュロイド(duroid)基板(εr=2.2 0.07874cm厚さ)上に製造された新規な位相共役回路の例を示す。回路は5.8GHzに対して最適化されている。ヘテロダイン平衡型ミキサーは同一方向に装着されたGaAsショットキーダイオードを用いている。RFは分岐線カップラーを通して90°位相をずらして加えられ、一方LOは位相を合わせて加えられる。拒絶されたRFは分岐線カップラーの終端ポート中に取り除かれ、一方位相共役信号(IF)はアンテナポートに戻される。回路の性能をテストするために、アンテナは方向性結合器と置き換えられた。RF信号(fRF=5.3−6.3GHz,PRF=30dBm)およびLO信号(fLO=11.6GHz,PLO=5dBm)が平衡型ミキサーに加えられた。出力信号が方向性結合器の結合ポートで測定された。変換ロスとIF−RF分離が測定され、図4に示されている。変換ロス(“X”線)はほとんど一定のままであるが、IF−RF分離(黒丸点線)は全周波数範囲にわたって10dBを超えたままであり、約5.8GHzにピークがあった。
【0027】
2素子のプロトタイプのアレーが図3の構造に基づく位相共役素子を用いて組立てられた。図5Aに示すように、逆方向性アレー中のダイオードはすべて同一方向に装着され、従来の位相共役ミキサーとして機能する。図5Bにおいて、ナル操縦アレーの各素子中のダイオードは逆方向に装着され、電流は逆に流れるが、LO信号は同一位相で加えられる。この構成により、反位相LO信号を発生するためのラットレイスカップラーまたは余分な遅延線の必要性をなくし、LO回路を単純にする。
【0028】
アレーの放射パターンが、図6に示す測定設置に示すように、異なった角度において呼掛けソースで測定された。アレーは固定角度で呼掛けソースによって照射された。アレーからの応答は異なった角度(−60°〜60°)で測定された。RFは、RFおよびIF周波数を20MHzで相殺して応答信号を呼掛け信号から区別するために、5.81GHzに設定された。また、わずかに異なったLO周波数(1MH補正)が各アレーに対して用いられて、逆方向性アレーおよび自動ナル操縦アレーからの信号が区別できた。なお、周波数補正(オフセット)は測定のためだけに用いられたものであり、実際のシステムでは、アレーの搬送周波数は、スペクトルが互いに重なるように、同一でなければならない。S/N比は、式6に示すように、逆方向性アレーと自動ナル操縦アレーからの信号間の電力比として定義された。
【式6】
【0029】
【0030】
測定されたS/N比は図7A〜図7Cに示されている(呼掛けソースが側面、20°、−10°にあるとき)。S/Nのピークは常に呼掛け器の方向にある。この結果によりSNR直線性が代表的な2素子逆方向性アレーのSNR直線性と比べて無視できないほど増大されていることがわかる。側面から離れるように走査すると、副ローブのレベルが増加した。ナルの深さを決定するナル操縦アレー中の2つの素子の均等性がより良い製造工程によって改良でき、ピークにおけるS/Nを増大させる。
【0031】
逆方向性アレーと自動ナル操縦アレーは別個の層に形成される必要はなく、共通の回路に集積されてもよい。二重アレーは異なったデータ(真対妨害)送信するが、送信した信号のスペクトルは同一のデータ速度で送信することによって同一に保たれ、傍受を不可能にする。二重アレーシステムによって、高SNR受信が呼掛けソースにおいて得られ、一方、安全確保のポイント・ツー・ポイント(2点間)通信に対して他の方向の傍受を不可能にする。二重アレーシステムは無線LANおよびRFIDサーバのような短距離の無線データ伝送システムに対しても用いられる。また、周囲環境内のサテライトからのTV信号の海賊行為を防止するためにサテライトTV会社に使用されてもよい。
【0032】
図8は、自動操縦逆方向性アンテナアレーがスペース中の小型プラットホームのトランスポンダ(サテライト)のネットワーク内での安全確保のクロスリンク通信のために用いられる本発明の第2の特徴を示す。小型サテライトのネットワークは、生存性、冗長性、および(または)高い正確性の地図上位置、集団の増強、レーダ探知、狭ビーム/広領域通信のような用途における宇宙空間の対象に対して望ましい。小型サテライトは漂流するかもしれないので、サテライトの呼掛け器ソースに対する運動または互いに対する運動が本質的にランダムである。逆方向性アレーを用いて、小型サテライトネットワークは信号ビームを任意の方向の呼掛け器ソース、および他のサテライトに向けることができる。このことにより、従来の位相配列で移相器を用いること、またはハイテクアンテナでデジタル信号処理を用いることに伴う複雑さが回避できる。これらはネットワークの安全確保を改良するばかりでなく、電力消費を最少にすることによって通信リンク効率を改良する。
【0033】
逆方向性技術は1960年代から出始めてきたが、宇宙空間の用途に対する設計は新たな挑戦を提供している。第1に、重力零、サテライトの浮動性は二次元の追跡を必要とし、したがって、二次元逆方向性アレーを必要とする。第2に、サテライトがしばしば小さすぎて姿勢制御装置を持つことができないので、各サテライトの方位を知ることが不可能である。したがって、アンテナは、信号受信を可能にしかつ他のサテライトに対する方位に関係なく偏向(polarization)の不整合を防止するために回転(円形)偏向を与えなければならない。
【0034】
本発明では、逆方向性アレーは10.5GHz用に設計されている。この周波数はアレーのサイズを最小にして小型の10×10×15cm形状に嵌合できるばかりでなく、アマチュアサテライトバンド内の許容できる周波数である。逆方向性を達成する最も有名な方法はヘテロダイン技術であり、この技術では、各素子における到来ラジオ周波数(RF)がRF信号周波数の2倍で局部発振器(LO)信号と混合されて、RFと同一周波数であるが共役位相を持つ中間周波数(IF)を発生する。しかしながら、反平行ダイオードを用いる低調波混合アプローチが、高周波数LOの必要性をなくすので、高周波数システムに対して特に適している。このことは、ティー ブラベッツ等の「逆方向性アレーの適用に対する平衡低調波ミキサー」IEEE Trans.マイクロ波理論技術 49巻465−469頁 2001年3月発行に提案されている。低調波混合に基づく位相共役はすべて三次混合(fIF=2fLO−fRF)を用いて、RFと同一バンドでLOの使用を可能にしている。しかし、このアプローチは、基本波LOの周波数がRFと重なり濾波できないので大きなLO漏れを受けることになる。
【0035】
したがって、本発明では、4倍(quadruple)低調波混合アプローチが、五次混合生成物(fFR=4fLO−fRF)を用いて適用された。図9に示すように、このアプローチはRFの半分のLO周波数を用いる。反平行ダイオードはRFと同一の周波数であるLOの二次高調波を抑制する。4倍低調波混合を介する位相共役演算は以下の式7で説明される。
【式7】
【0036】
【0037】
もし2ωLO=ωRFならば、式7の右側は到来RF信号の位相共役となる。他の奇数次混合項は容易に濾波できる。
【0038】
図10は、反平行構成で接続された、アジレント(Agilent)HSMS−8202 直列−ペアのダイオードを用いるそのようなミキサーの例を示す。マイクロストリップのフィルタと整合回路がロジャーズ(Rogers)TMM4基板(εr=4.5,h=0.0381cm)に印刷されている。IFと基本周波数LOの間の分離の測定値は65dBである。LOの二次高調波の消去は55dBである。これは従来の三次混合より優れている。低調波ミキサーの測定された変換ロスは26dBである。
【0039】
図11に示すように、アンテナ素子は2つの異なった共振モードを達成するために両端で留め継ぎされた、正方形マイクロストリップパッチとして設計されている。回転偏向は、2つのモードが互いに直交しかつ90°の位相のずれがあるとき、達成される。アンテナはロジャーズ(Rogers)TMM3基板(εr=3.27,h=0.0635cm)上に製造されている。この例では、パッチアンテナ素子はL=0.762cm,c=0.102cm,w1=0.0457cm,I=0.541cm,w2=0.150cmの寸法を持つ。
【0040】
有効な逆方向性は次元に対して少なくとも4つの素子のアレーを要する。従来では、このことは4×4アレーの配置で達成される。回路の寸法と供給電力を減少するために、図12に配置したように、2つの直交する方向に4つの素子から成る十字形状のアレーが代わり用いられて、従来のアレーに対する16から8つの素子に素子の数を減少させている。アレー間隔は素子間で0.484λ=1.383cmであった。共振周波数は10.5GHzであった。
【0041】
図13は逆方向性アンテナアレーを特徴付ける代表的な方法を示す。固定ホーンアンテナがRF呼掛け信号を与える。一旦RF信号がテスト中のアレーに当たると、逆方向性IF信号が、理想的にはRFホーンと同一方向に、反射して戻る。120°の方位角範囲で走査される第2ホーンアンテナがこの反射したIF信号を獲得する。パターン中のピーク特性がソースと同一方向に発生する。ナル(零)もアレーの方向性の結果発生する。入射RF信号と逆方向性のIF信号が共通の周波数を共有するので、常にRFホーンからIFホーンへの望ましくない漏れが存在する。実際には、この問題は、2つの信号がスペクトル分析器で解析されるように、周波数をわずかにずらすことによって克服される。したがって、次の周波数が用いられた。すなわち、5.2375GHz(20.95の四次低調波)のLO信号、10.45GHzのRF信号、10.5のIF信号である。2Dの逆方向性を達成することを保証するために、図14は、ソースが(a)0°,(b)+20°,(c)−20°に配置され、リニアアレーが整列された0°又は90°の軸に沿ってではなく図12から45°に沿って切り取った状態で、バイスタティック・レーダーの断面に対する測定値を示す。偏向楕円も測定され、5.5dBであることが見出された。
【0042】
ピコサテライト(10cm×10cm×15cm)に通常関連する形状の因子は位相共役アレー構成に対する要件を決定した。10cm×10cmの面は4×4アレーのアンテナ素子を収納できるが、他の因子(例えば、直流電力、内部ハウジングの寸法、重量、局部発振器等)がアレー構造に対して考慮された。十字構造に8つのアンテナ素子を構成することは、特定の形状因子、寸法上の要件、重量等に対して最適な構成であるように思われ、バイスタティック・レーダーの断面の結果から分かるように適切な逆方向性が得られた。
【0043】
信号強度はリンク予算に依存し,リンク予算は局部発振器の電力、受信機感度、および多くの他のパラメータに依存する。信号の形状は、理想的には、1つだけのサテライトがその視界角度に入るのに十分なだけ小さいビームであるべきである。ビーム幅はアレーの寸法に依存する。1つのサテライトの応答と他のサテライトの応答の間の干渉は記号化を使用することによって、または各クロスリンクに対して僅かに異なった周波数を用いることによって避けることができる。第三者の呼掛け器は、記号化した伝送を用いることによって、積載した逆方向性アレーでサテライトが音を出すことを防止する。サテライトが空間の4□ステラジアン全体にわたって信号を逆方向に向けるために、逆方向性アレーはサテライトのすべての側部に配置できる。代案としては、逆方向性アレーはハウジングに固定される必要はなく、太陽電池と同様に展開されてもよい。最適のタイミングパラメータ、マルチサテライトのロケーションアルゴリズム、サテライトの数、および信号の呼掛け/応答計画アルゴリズムが小型サテライトネットワークに対する要件と用途によって開発されてもよい。
【0044】
要約すると、宇宙空間でランダムに向けられたサテライトに対して自動操縦信号伝送を適合するために、逆方向性アレーが回転偏向した2次元操縦を用いる。高周波数LOが実現可能でなく、適用できないときには、4倍低調波混合が位相共役を達成する有効な手段として用いられる。小型サテライトネットワークは前述の二重アレーシステムを用いて妨害信号ナルで重ねられた伝送信号ピークをターゲットに向け、妨害信号を他の方向に向ける。以下はこれらの本発明の特徴に対する潜在的な適応環境の例を記載したものである。
ナノサテライト通信
ナノサテライト(10kg以下の重量で地球近くの軌道中のサテライト)が種々の科学、天気および通信事業を実行するために最近開発されてきた。これらのナノサテライトは、ある場合には、大きな高価なサテライトの機能と同様な機能を達成できる。そのような小型サテライト上の通信は一番の関心事である。逆方向性アレー技術によって、従来の同調式のアレーに比べて低電力消費と簡潔さをもってこれらのサテライトが地上のステーションおよび他のサテライトと通信できる。さらに、これらのアレーの逆方向性によって、サテライトがその軸のうちの1つのまわりに回転するような軌道にあるときでさえ通信が可能である。このことにより、打ち上げと設計コストを削減でき、極めて単純な比較的安価なブースタの設計を可能にし、切り離し前にサテライト自体の安定化を達成する必要はない。
【0045】
サテライト自体が単純化でき、特定の回転パターンを維持するための安定化スラスタ(制御ロケット)を必要としない。逆方向性アレーと太陽電池はナノサテライトの表面に順応性よく適用でき、設計を単純化し、拡張可能なソーラーアームを展開することの失敗に起因するミッション問題を減少させる。このようなナノサテライト通信は他のミッション(例えば、偵察、天気、追跡等)を持ったナノサテライトをサポートし、また地上通信専用のナノサテライトをサポートできる。
【0046】
かくのごとく装備されたナノサテライトは安価で安全が確保されたいろいろの通信を達成でき、ナノサテライトからナノサテライトへの伝達を用いて端末間の地上通信をサポートできる。各サテライトの安価なコストによって、適当な軌道に極めて多数のナノサテライトを打ち上げることができる。積載したソフトウエアアルゴリズムと地上制御ステーションに基づくソフトウエアアルゴリズムの組み合わせが、データの流れを確保し、切断したリンクのルートを切り替えるように、ナノサテライト間の通信をダイナミックに行なうように用いられうる。
安全確保の戦術用通信
逆方向性アレー/ナルアレー技術を用いる安全確報の無線通信が、ペンシルビーム幅の信号だけが意図したものの間に送られるのを保証するために用いられる。無線通信は、高い上空の飛行機、サテライト、無人飛行機、または艦船に搭載した中継器を用いて通信してもよい。中継器ステーションは伝送の各ノードが有効であることを保証するために符号化および証明アルゴリズムを含んでもよい。ナルアレー技術は、信号がすべての他の方向で妨害されるのを保証するために中継器と端末装置の両方に積載されて用いられてもよい。このシステムは付加的な安全確保の特徴を米国国防省によって最近開発された統合戦術無線通信システムに与えることができる。
探索および救助/敵位置捕捉および追跡
飛行機または無人飛行機(UAV)に装着されたアレーは遠い送信機に対して方位角決定するように構成できる。三角測量、一連の方位角の読取りおよび載置したGPSを用いて、装置は遠い送信機のグリッド位置を突き止めることができる。このようなシステムは遭難中の飛行機により発生された信号を捕捉することによって下降中の飛行機を迅速に位置決めできる(緊急位置決め送信機)。システムは、また、敵のレーダシステムにより発生された信号を捕捉するために軍事システムによって用いられ、敵の位置を突き止め、その後の空爆その他の適切な行動を可能にする。
無人軍用機(UCAV)命令、制御および偵察
UCAVは遠隔から確実に安全に制御されねばならない。逆方向性アレー/ナルアレー技術は、UCAVが他の位置にある敵軍からの妨害を受けることなく、制御ステーションからの制御信号を受信できることを保証できる。さらに、UCAVが受信した偵察データは、受信機設置場所を選択して送信され、一方、その他のすべての方向のデータ信号はナルアレー技術によって妨害される。このように、軍は安全な位置からUCAVを確実に制御でき、一方UCAVの命令、制御およびUCAVから戻ったデータの確実な受信を保証する。この機能は、利点なしに一斉通報する他のUAV(無人飛行機)プログラムの有能性を拡大できる。
森林火災検出
多数回にわたって貨物航空機から地上に落下される小型の温度/風検出装置に逆方向性アレーを取付けることができる。これらの装置は72時間送信できるのに十分な電力を持った小型の載置電池を持つ。一旦ばら撒かれると、軌道上の飛行機またはUAVは独立に
各装置に呼掛けて多数の位置における温度、風およびその他の天候パラメータを決定する。逆方向性技術は、UAVまたは飛行機の載置航行装置および信号待ち時間測定装置と関連して用いられて、各装置の方位と距離を決定し、したがって、各装置の経緯を決めることができる。ばら撒かれた各装置から集められてUAVによって制御ステーションに送られたデータは動的な温度/天候パターンを決定するために用いられ、パターンは火災現場を突き止める助けとなり、または火災が向かっている方向を消防士に知らせることができる。
海上追跡
逆方向性アレー、温度、塩分濃度および気圧測定装置および望ましくは他の検出装置を備えた小型の浮遊装置が多数回にわたって飛行機または船でばら撒かれる。これらの装置は連続動作を保証するように再充電可能な電池と正方形の太陽アレーパネルを持つ。一旦ばら撒かれると、軌道上の飛行機またはUAVが独立的に各装置に呼掛けて、多数の位置における温度、風、大気圧、天候または他のパラメータを決定する。逆方向性技術は、UAVまたは飛行機の載置航行装置および信号待ち時間測定装置と関連して用いられて、各装置の方位と距離を決定し、したがって、各装置の経緯を決めることができる。ばら撒かれた各装置から集められてUAVによって制御ステーションに送られたデータは環境状態に基づく海中の魚の移動パターンを調査し、また予測できる。このことにより、漁船が目標の種類の魚が集まっている場所の焦点を狭める助けとなる。油検出装置を備えた同様な装置は油や他の汚染物の広がりを追跡するのに用いられてもよい。天候データが国立太洋兼環境機構および他の天候機構に与えられて、海の状態に基づいた天候モデルを精緻化する助けとなる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】逆方向性アレーおよび自動ナル操縦アレーの二重システムを用いる本発明の高方向性トランスポンダの図である。
【図2】60°に呼掛けソースを持った二重アレーシステムに対する放射強度とS/N比のシミュレートしたグラフを示す。
【図3】ショットキーダイオードを用いる新規な位相結合素子の配置を示す。
【図4】変換ロスとIF−RF分離測定結果を示すグラフである。
【図5】基本の逆方向性アレー構造と基本の自動ナル操縦アレー構造の概略図であり、図5Aは基本の逆方向性アレー構造を示し、図5Bは基本の自動ナル操縦アレー構造を示す。
【図6】逆方向性と自動ナル操縦アレーに対する放射測定設定の例を示す。
【図7】角度に対するSNRのグラフであり、図7Aは呼掛け器ソースがブロードサイド(玄側)に面し、図7Bは呼掛け器ソースが20°であり、図7Cは呼掛け器ソースが−10°であるときの角度に対するSNRのグラフである。
【図8】安全確保のクロスリンク通信用の自動操縦アレーを用いる宇宙空間内の小プラットホームのトランスポンダ(ピコサテライト)のネットワークの概略図である。
【図9】分数調波的にポンプ作用されるミキサーを用いる位相結合アレーの概略図である。
【図10】反平行ダイオードペアを持ち、LOおよびRFポートでマッチング回路を持ち、RFおよびLO周波数で帯域消去フィルタを持つミキサーを示す。
【図11】パッチアンテナ素子を示す。
【図12】円形に分極した十字形状のマイクロストリップのパッチアンテナアレーを示す。
【図13】逆方向性アレーのバイスタティックRCS測定の設置を示す。
【図14】バイスタティック測定値を示し、図14Aは0°におけるバイスタティック測定値を示し、図14Bは+20°におけるバイスタティック測定値を示し、図14Cは−20°におけるバイスタティック測定値を示す。
【符号の説明】
【0048】
10 逆方向性アレー
12 ナル操縦アレー
14 呼掛け器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高方向性を持ったデータ信号をターゲットに向けて送信し、一方妨害を大きく減少させるための安全確報のデータ伝送システムにおいて、
(a)ターゲットから呼掛け信号を受信しかつピークを持ったデータ信号をターゲットに向けて送信する自動同調逆方向性アレーと、
(b)ターゲットからの呼掛け信号を受信しかつ、前記逆方向性アレーと関連して、ナルを持った妨害信号をターゲットに向けて送信しかつ妨害信号を他の方向に送信する自動ナル操縦アレーと、を有し、
それにより、ターゲットは受信の際SN比(SNR)を最大にするために妨害信号ナルに重ねられたデータ信号ピークを受信でき、一方妨害信号が他の方向に送られる、
ことを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項2】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記逆方向性アレーは1つの層に配列された自動同調素子を有し、前記自動ナル操縦アレーは逆方向性アレーと縦列に他の層に配列された自動同調素子を有することを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項3】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記逆方向性アレーは共通の回路配置中で前記自動ナル操縦アレーの自動同調素子と一体の自動同調素子を有することを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項4】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記逆方向性アレーと前記自動ナル操縦アレーは20dB以上の範囲のSNRを持ったデータ信号ピークと妨害信号ナルを呼掛けターゲットに向けて送信するように配列されていることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項5】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記自動ナル操縦アレーは、電流が反対方向に流れる一方局部発振器(LO)信号が同一位相で加えられるように、自動同調素子とアレーの各自動同調素子において対向して取付けられたショットキーダイオードから成る位相共役回路を有することを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項6】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、二重アレーシステムが短距離の無線データ伝送システム中でのデータ伝送のために適用されることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項7】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、二重アレーシステムがターゲット領域を囲む領域内のTV信号の盗難を防止するために広領域にわたって狭ビームを送信するサテライトTVシステム中のデータ伝送に適用されることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項8】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、二重アレーシステムが(a)ナノサテライト通信、(b)安全確保の軍事用通信、(c)探査および救助の位置決定および追跡、(d)軍事目標の位置決定および追跡、(e)無人飛行機(UAV)の命令および制御、(f)森林火災検出、(g)海上の追跡および(h)高信号方向性を持った安全確保通信を要するその他の用途から成る用途のグループの任意の1つにおける安全確保のデータ通信に適用されることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項9】
妨害を大きく減少させながら高方向性を持ったデータ信号をターゲットに向けて送信するための安全確保のデータ伝送方法において、
(a)ターゲットからの呼掛け信号を受信しかつピークを持ったデータ信号ビームをターゲットに向けて送信するために自動同調逆方向性アレーを用い、
(b)ターゲットから呼掛け信号を受信しかつ、前記逆方向性アレーと関連して、ナルを持った妨害信号をターゲットに向けて送信し、他の方向に妨害信号を送信するために自動ナル操縦アレーを用い、
それにより、ターゲットは受信の際SN比(SNR)を最大にするために妨害信号ナルに重ねられたデータ信号ピークを受信でき、一方妨害信号が他の方向に送られる、
ことを特徴とする安全確保のデータ伝送方法。
【請求項10】
請求項9記載の安全確保のデータ伝送方法において、前記データ信号ピークと妨害信号ナルは20dB以上のSNRの範囲を持って呼掛けターゲットに向けて送信されることを特徴とする安全確保のデータ伝送方法。
【請求項11】
空間中をランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、
(a)到来呼掛け信号の方向を検出しかつピークを持った応答信号を呼掛け信号の方向に向けて送信するための逆方向性アンテナアレーを各々が持つ複数の小型プラットホームトランスポンダを有し、
(b)前記複数の小型プラットホームトランスポンダは、それらの位置を推測することなく、呼掛け信号を1つ以上の他のトランスポンダに間欠的に送信することによって前記トランスポンダの各1つが他のトランスポンダとの確実なクロスリンクを達成し維持することによってトランスポンダのネットワークとして動作し、1つ以上の他のトランスポンダが応答信号を1つのトランスポンダに送信することを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項12】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークは低い地上軌道中の小型サテライトのネットワークであることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項13】
請求項12記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、小型サテライトの前記ネットワークは10kgの重量範囲のナノサテライトおよび/または1kgの重量範囲のピコサテライトであることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項14】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの各1つの逆方向性アレーは回転偏向、二次元操縦用に構成されていることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項15】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークは、(a)高正確性の地理位置、(b)オンデマンドでの確実なデータ伝送のためのクラスタ拡大(c)ターゲットを位置決めし固定する際のレーダ発射および(d)狭ビーム、広範囲カバーの通信から成るミッションの任意の1つに対する安全確報のデータ伝送に適用されることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項16】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークは(a)ナノサテライト通信、(b)安全確保の軍事用通信、(c)探査および救助の位置決定および追跡、(d)軍事目標の位置決定および追跡、(e)無人飛行機(UAV)の命令および制御、(f)森林火災検出、(g)海上の追跡および(h)高信号方向性を持った安全確保通信を要するその他の用途から成る用途のグループの任意の1つにおける安全確保のデータ通信に適用されることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項17】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークの各1つは平らな十字構成中に配置された8つの自動同調素子を持つ逆方向性アレーを有し、4つの素子が各々正方形の平らな方向に整列されていることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項18】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークの各1つは、呼掛け信号を受信しかつピークを持ったデータ信号を呼掛け器位置に向けて送信する自動同調逆方向性アレーと、呼掛け信号を受信しかつ、前記逆方向性アレーと関連して、ナルを持った妨害信号を呼掛け器位置に向けて送信する自動ナル操縦アレーと、を含む二重アレーシステムを有することを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項19】
空間中をランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確保のクロスリンク通信のための方法において、
(a)到来呼掛け信号の方向を検出しかつピークを持った応答信号を呼掛け信号の方向に向けて送信するための逆方向性アンテナアレーを小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中の各トランスポンダに設け、
(b)前記複数の小型プラットホームトランスポンダは、それらの位置を推測することなく、呼掛け信号を1つ以上の他のトランスポンダに間欠的に送信することによって前記トランスポンダの各1つが他のトランスポンダとの確実なクロスリンクを達成し維持することによってトランスポンダのネットワークを動作させ、1つ以上の他のトランスポンダが応答信号を1つのトランスポンダに送信する、
ことを特徴とする安全確保のクロスリンク通信のための方法。
【請求項20】
請求項19記載の空間中をランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確保のクロスリンク通信のための方法において、トランスポンダの前記ネットワークは低い地上軌道中の小型サテライトのネットワークであることを特徴とする安全確保のクロスリンク通信のための方法。
【請求項1】
高方向性を持ったデータ信号をターゲットに向けて送信し、一方妨害を大きく減少させるための安全確報のデータ伝送システムにおいて、
(a)ターゲットから呼掛け信号を受信しかつピークを持ったデータ信号をターゲットに向けて送信する自動同調逆方向性アレーと、
(b)ターゲットからの呼掛け信号を受信しかつ、前記逆方向性アレーと関連して、ナルを持った妨害信号をターゲットに向けて送信しかつ妨害信号を他の方向に送信する自動ナル操縦アレーと、を有し、
それにより、ターゲットは受信の際SN比(SNR)を最大にするために妨害信号ナルに重ねられたデータ信号ピークを受信でき、一方妨害信号が他の方向に送られる、
ことを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項2】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記逆方向性アレーは1つの層に配列された自動同調素子を有し、前記自動ナル操縦アレーは逆方向性アレーと縦列に他の層に配列された自動同調素子を有することを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項3】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記逆方向性アレーは共通の回路配置中で前記自動ナル操縦アレーの自動同調素子と一体の自動同調素子を有することを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項4】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記逆方向性アレーと前記自動ナル操縦アレーは20dB以上の範囲のSNRを持ったデータ信号ピークと妨害信号ナルを呼掛けターゲットに向けて送信するように配列されていることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項5】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、前記自動ナル操縦アレーは、電流が反対方向に流れる一方局部発振器(LO)信号が同一位相で加えられるように、自動同調素子とアレーの各自動同調素子において対向して取付けられたショットキーダイオードから成る位相共役回路を有することを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項6】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、二重アレーシステムが短距離の無線データ伝送システム中でのデータ伝送のために適用されることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項7】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、二重アレーシステムがターゲット領域を囲む領域内のTV信号の盗難を防止するために広領域にわたって狭ビームを送信するサテライトTVシステム中のデータ伝送に適用されることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項8】
請求項1記載の安全確報のデータ伝送システムにおいて、二重アレーシステムが(a)ナノサテライト通信、(b)安全確保の軍事用通信、(c)探査および救助の位置決定および追跡、(d)軍事目標の位置決定および追跡、(e)無人飛行機(UAV)の命令および制御、(f)森林火災検出、(g)海上の追跡および(h)高信号方向性を持った安全確保通信を要するその他の用途から成る用途のグループの任意の1つにおける安全確保のデータ通信に適用されることを特徴とする安全確報のデータ伝送システム。
【請求項9】
妨害を大きく減少させながら高方向性を持ったデータ信号をターゲットに向けて送信するための安全確保のデータ伝送方法において、
(a)ターゲットからの呼掛け信号を受信しかつピークを持ったデータ信号ビームをターゲットに向けて送信するために自動同調逆方向性アレーを用い、
(b)ターゲットから呼掛け信号を受信しかつ、前記逆方向性アレーと関連して、ナルを持った妨害信号をターゲットに向けて送信し、他の方向に妨害信号を送信するために自動ナル操縦アレーを用い、
それにより、ターゲットは受信の際SN比(SNR)を最大にするために妨害信号ナルに重ねられたデータ信号ピークを受信でき、一方妨害信号が他の方向に送られる、
ことを特徴とする安全確保のデータ伝送方法。
【請求項10】
請求項9記載の安全確保のデータ伝送方法において、前記データ信号ピークと妨害信号ナルは20dB以上のSNRの範囲を持って呼掛けターゲットに向けて送信されることを特徴とする安全確保のデータ伝送方法。
【請求項11】
空間中をランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、
(a)到来呼掛け信号の方向を検出しかつピークを持った応答信号を呼掛け信号の方向に向けて送信するための逆方向性アンテナアレーを各々が持つ複数の小型プラットホームトランスポンダを有し、
(b)前記複数の小型プラットホームトランスポンダは、それらの位置を推測することなく、呼掛け信号を1つ以上の他のトランスポンダに間欠的に送信することによって前記トランスポンダの各1つが他のトランスポンダとの確実なクロスリンクを達成し維持することによってトランスポンダのネットワークとして動作し、1つ以上の他のトランスポンダが応答信号を1つのトランスポンダに送信することを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項12】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークは低い地上軌道中の小型サテライトのネットワークであることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項13】
請求項12記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、小型サテライトの前記ネットワークは10kgの重量範囲のナノサテライトおよび/または1kgの重量範囲のピコサテライトであることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項14】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの各1つの逆方向性アレーは回転偏向、二次元操縦用に構成されていることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項15】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークは、(a)高正確性の地理位置、(b)オンデマンドでの確実なデータ伝送のためのクラスタ拡大(c)ターゲットを位置決めし固定する際のレーダ発射および(d)狭ビーム、広範囲カバーの通信から成るミッションの任意の1つに対する安全確報のデータ伝送に適用されることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項16】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークは(a)ナノサテライト通信、(b)安全確保の軍事用通信、(c)探査および救助の位置決定および追跡、(d)軍事目標の位置決定および追跡、(e)無人飛行機(UAV)の命令および制御、(f)森林火災検出、(g)海上の追跡および(h)高信号方向性を持った安全確保通信を要するその他の用途から成る用途のグループの任意の1つにおける安全確保のデータ通信に適用されることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項17】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークの各1つは平らな十字構成中に配置された8つの自動同調素子を持つ逆方向性アレーを有し、4つの素子が各々正方形の平らな方向に整列されていることを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項18】
請求項11記載の小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確報のクロスリンク用のシステムにおいて、トランスポンダの前記ネットワークの各1つは、呼掛け信号を受信しかつピークを持ったデータ信号を呼掛け器位置に向けて送信する自動同調逆方向性アレーと、呼掛け信号を受信しかつ、前記逆方向性アレーと関連して、ナルを持った妨害信号を呼掛け器位置に向けて送信する自動ナル操縦アレーと、を含む二重アレーシステムを有することを特徴とする安全確報のクロスリンク用のシステム。
【請求項19】
空間中をランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確保のクロスリンク通信のための方法において、
(a)到来呼掛け信号の方向を検出しかつピークを持った応答信号を呼掛け信号の方向に向けて送信するための逆方向性アンテナアレーを小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中の各トランスポンダに設け、
(b)前記複数の小型プラットホームトランスポンダは、それらの位置を推測することなく、呼掛け信号を1つ以上の他のトランスポンダに間欠的に送信することによって前記トランスポンダの各1つが他のトランスポンダとの確実なクロスリンクを達成し維持することによってトランスポンダのネットワークを動作させ、1つ以上の他のトランスポンダが応答信号を1つのトランスポンダに送信する、
ことを特徴とする安全確保のクロスリンク通信のための方法。
【請求項20】
請求項19記載の空間中をランダムに移動する小型プラットホームトランスポンダのネットワーク中での安全確保のクロスリンク通信のための方法において、トランスポンダの前記ネットワークは低い地上軌道中の小型サテライトのネットワークであることを特徴とする安全確保のクロスリンク通信のための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2007−501397(P2007−501397A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522726(P2006−522726)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025326
【国際公開番号】WO2005/020445
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506041062)ハワイ大学 (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF HAWAI’I
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025326
【国際公開番号】WO2005/020445
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506041062)ハワイ大学 (1)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF HAWAI’I
【Fターム(参考)】
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