説明

安全運転の支援機能を備える車両用のナビゲーション装置

【課題】運転者が車両の安全運転の支援機能の設定をする際、その設定を推奨する情報を表示させる車両用のナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】ナビゲーション装置は、入力手段と、支援機能を表示する表示手段と、支援機能を有効または無効とする設定をおこなうための設定情報と、当該設定を推奨する推奨設定情報とを格納するメモリと、表示手段に設定情報を表示させる際に、推奨設定情報を設定情報に反映させて表示手段に表示させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のナビゲーション装置に関し、より具体的には、安全運転の支援機能を備える車両用のナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、一時停止警報装置を開示する。この装置は、車両が一時停止地点へ近づくときに運転者に対して警報を発生する必要がある場合、過去に一時停止地点を通過したときの通過状況情報に基づく一時停止履行頻度から、次回に警報を発生する際の警報レベルを設定し、この設定された警報レベルに応じた警報を発生する際、車両の現在の速度、時間帯や車両の車室内の騒音レベル等に応じて、警報の内容や警報の音響レベルを変更する。
【0003】
特許文献2は、安全運転を励行するための安全運転度蓄積システムを開示する。このシステムは、車両に搭載された車載機器とデータ送受信可能にネットワーク接続されたセンタとを含む。車載機器は、運転者による車両の運転操作から安全運転度を算出する安全運転度算出手段と、算出された安全運転度を累積して記録する車両側安全運転度記録手段と、安全運転度を表示する表示手段と、安全運転度をセンタに送出する送出手段とを備える。センタは、車載機器から送出された安全運転度を取得する安全運転度取得手段と、取得された安全運転度を累積して記録するセンタ側安全運転度記録手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−17411号公報
【特許文献2】特開2007−172487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
安全運転の支援機能は、新機能であるため具体的な機能の内容や動作条件について運転者が十分理解できていないため、最適な設定が困難な場合がある。また、運転者は安全運転支援の報知に対してわずらわしさを感じると、安全運転支援機能の利用を敬遠するおそれもある。安全運転の支援機能の最適な設定を実現するためには、機能を正しく理解するとともに、その機能が必要かどうかを正しく判断する必要がある。
【0006】
特許文献1に記載の発明は、運転者の過去の一時停止遵守状況を踏まえて警報発生を判断できるようになるため、運転者の警報に対する煩わしさを効果的に低減することができるが、一時停止に関してのみ有効である。
【0007】
特許文献2に記載の発明は、ドライバーの安全運転度を取得することはできるが、それに基づいてナビゲーション装置の設定パラメータをどのように変更すれば良いかについては開示されていない。
【0008】
さらに、これらの特許文献に記載の発明では、運転者の適正や意図を反映して安全運転の支援機能を設定するものではない。また、運転者の安全度(危険度)が把握できても、それを向上、改善させるために、安全運転の支援機能をどのように使うかについての開示も無い。
【0009】
本発明は、特許文献1、2では未解決の問題を改善し、運転者が車両の安全運転の支援機能の設定をする際に、その設定を推奨する情報を提供することにより、その設定の判断をしやすくして、より適切な設定ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、安全運転の支援機能を備える車両用のナビゲーション装置を提供する。そのナビゲーション装置は、入力手段と、支援機能を表示する表示手段と、支援機能の活性化および発動条件の設定をおこなうための設定情報と、当該設定を推奨する推奨設定情報とを格納するメモリと、表示手段に設定情報を表示させる際に、推奨設定情報を設定情報に反映させて表示手段に表示させる制御手段と、を備える。
【0011】
本発明によれば、安全運転の支援機能を設定する際に、推奨設定情報が反映された設定情報を利用できるので、支援機能の設定がしやすくなる。
【0012】
本発明の一形態によると、支援機能は複数の支援機能からなり、制御手段は、推奨設定情報に基づき、複数の支援機能から選択した支援機能の各々について、活性化および発動条件の設定をする推奨設定を表示手段に表示させる。
【0013】
この本発明の一形態によれば、複数の支援機能から選択した支援機能の各々について、活性化(有効または無効)および発動条件の設定をする推奨設定が利用できるので、各支援機能の内容について理解した上で適切な設定をすることができる。
【0014】
本発明の一形態によると、推奨設定情報は、車両の運転履歴、車両が走行する道路情報、運転者の運転診断結果、および車両が備える通信手段を介して外部から受信する設定支援情報の少なくとも1つに基づいて作成される。
【0015】
この本発明の一形態によれば、運転者の運転傾向や運転スキル、道路環境、あるいは情報配信サーバから受信する設定支援情報に基づいて推奨設定情報が作成されるので、車両の走行(運転)状況に適合した安全運転の支援機能の設定が可能となる。
【0016】
本発明の一形態によると、制御手段は、車両の運転履歴、車両が走行する道路情報、および運転者の運転診断結果の少なくとも1つから、車両の運転リスクの評価値を求め、評価値が所定の閾値を超える場合に、対応する推奨設定情報を設定情報に反映させる。
【0017】
この本発明の一形態によれば、車両の運転リスクが高い場合に推奨設定情報を設定情報に反映させることにより、あえて設定推奨が必要でないと思われる状況下で、運転者を却って煩わしてしまうことから解放させることができる。
【0018】
本発明の一形態によると、安全運転の支援機能を表示することができる車両用のナビゲーション装置において利用される支援機能の活性化および発動条件の設定を推奨する設定支援情報を作成する設定支援情報作成手段と、当該設定支援情報を送信する手段と、を備える情報サーバーを提供する。
【0019】
この本発明の一形態によれば、情報サーバーからの提供される最新の設定支援情報を利用して安全運転の支援機能の設定をおこなうことができる。
【0020】
本発明の一形態によると、前記設定支援情報作成手段は、運転者の運転診断結果を取得し、当該運転診断結果に基づいて設定支援情報を作成する。
【0021】
この本発明の一形態によれば、運転者の最新の運転スキルに適合した設定支援情報を利用して、安全運転の支援機能の設定をおこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明のナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の制御装置による制御フローを示す図である。
【図3】初期設定画面の一例である。
【図4】支援設定画面の一例である。
【図5】推奨設定情報(選択画面)の一例である。
【図6】支援機能の設定内容の一例である。
【図7】推奨設定情報の表示例である。
【図8】推奨設定情報の表示例である。
【図9】推奨設定情報の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の実施形態に従う、ナビゲーション装置と情報サーバーの構成を示すブロック図である。
【0024】
車両1内のナビゲーション装置100は、制御装置10、表示部12、操作部14、音声出力部16、記憶部18、センサインターフェース(I/F)20、GPS受信部22、通信インターフェース(I/F)24を備える。制御装置10は、電子制御ユニット(以下、「ECU」)という)とも呼ばれ、中央演算処理装置(CPU)およびメモリを備えるコンピュータである。制御装置10は各種制御を実行する。制御装置10の詳細は後述する。
【0025】
表示部12は、LCD等のディスプレイを含む。表示部12は、タッチパネル機能を有するディスプレイとすることができる。その場合、操作部14の操作の一部が表示部12のタッチパネル上で行われる。操作部14は、情報入力のためあるいは表示部12に表示された情報の選択のためのボタン等を含む。音声出力部16はスピーカを備え、制御装置10からのガイダンス(指示)を音声として運転者に伝える。音声出力部16に、運転者の音声による指示を受けるため、マイクロフォンを介した音声入力機能を追加してもよい。
【0026】
記憶部18は、任意の記憶手段(記憶媒体、半導体メモリ、HDD等)にて実現される。記憶部18は、経路探索に必要な地図データを格納する。地図データは、表示部12の表示画面上に地図画像を描画するのに必要なデータを含む。地図データは、さらに道路の接続状態に関する情報を示す道路データを含む。道路データには、各道路についての属性を示す属性情報が含まれる。属性情報には、道路の種別、道路の形状、道路の勾配等に関する情報などが含まれる。
【0027】
記憶部18は、さらに、車両の安全運転の支援機能を有効または無効とする設定をおこなうための設定情報と、当該設定を推奨する推奨設定情報とを格納する。安全運転の支援機能は、道路標識の撮像結果、車両間通信、地図データベース(DB)上に付与された道路属性情報等に基づいて、安全に留意すべき箇所を事前に報知する機能である。本発明では、道路環境や車種に依存しない地図DBの情報を対象としている。
【0028】
安全運転の支援機能には、一時停止案内、踏切案内、合流案内、カーブ案内、レーン案内、事故多発地点案内、スクールゾーン案内等が含まれる。これらの支援機能は、走行中表示部12に表示される地図上に随時報知(表示)される。その際、音声出力部16から音声による案内も随時おこなわれる。報知は、例えば以下のタイミングで行われる。(i)案内すべき地点の所定距離前で事前案内、または(ii)支援機能案内の所定距離手前かつ一定条件(速度等)において事前案内をし、(iii)事前案内後に、安全運転のための回避行動をとらなかった場合に、最終報知(警告)をする。
【0029】
設定情報は各支援機能を運転者が設定できるようにするために、表示部12に表示される情報である。推奨設定情報は、運転者による支援機能の設定をするかしないかの判断を容易にさせるために、設定情報に反映させる情報である。推奨設定情報は、車両の運転履歴、車両が走行する道路情報、および車両が備える通信手段を介して外部の情報配信サーバーから受信する設定支援情報の少なくとも1つに基づいて作成される。
【0030】
記憶部18は、車両状態センサ29からの各種計数値、さらには通信I/F22を介して受信される各種情報を保管するメモリとしても機能する。
【0031】
センサI/F20は、車両1に搭載されたジャイロスコープ26、地磁気センサ28、および車両状態センサ29から受信した信号を制御装置10へ送る。ジャイロスコープ26と地磁気センサ28は、GPS受信部22と同様に、車両の現在位置、向きを特定するための信号を制御装置10へ送る。このうち、GPS受信部22は、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために、複数のGPS衛星からの測位用のデータを含むGPS信号を受信する。制御装置10はGPS信号から車両の現在位置を算出する。
【0032】
車両状態センサ29は、車両の状態を各種パラメータとして検出する複数のセンサの総称として記載されている。車両状態センサ29は、例えば、車両の速度を検出するセンサ、ブレーキペダルの位置を検出するセンサを含む。自車両の速度を検出するセンサは、任意の既知の適切な手段により実現することができ、たとえば、自車両の駆動輪の回転速度(車輪速)を検出する車輪速センサや、自車両の速度を検出する車速センサや、車体に作用する加速度を検知する加速度センサにより実現することができる。ブレーキペダルの位置を検出するセンサは、ブレーキペダルの踏み込み量に応じて移動するペダルの駆動部の位置を検出する機械式あるいは光電式スイッチなどで実現される。
【0033】
車両状態センサ29は、さらに、所定値以上の急な加速度変化(急加速、急減速(減速度))の回数、急ブレーキを踏んだ回数、予め設定された地図上の位置(一時停止標識前等)での一時停止の回数等をカウントして、記憶部18にそのカウント値を保管するカウンタも含む。なお、このカウント機能は制御装置10がおこなうようにしてもよい。
【0034】
通信I/F24は、車両1に搭載された無線通信機30を介して、ネットワーク通信あるいは車両間通信をおこなう。無線通信機30は、専用の通信機の他に、無線通信可能な携帯端末(携帯電話、ノート型PC等)を利用することができる。ネットワーク通信網32は、各種道路情報を保有する情報サーバー200に接続する。
【0035】
情報サーバー200は、通信I/F201を介して車両用のナビゲーション装置100と通信する。情報サーバー200は、各種データを保管する記憶手段203と、データから各種情報を作成し管理する制御装置202を備える。情報サーバー200には、例えば道路交通情報通信システム(VICS)やインターナビ情報システムが含まれる。
【0036】
VICSからは、例えば渋滞、工事、交通規制等に関する道路情報が提供される。インターナビ情報システムからは、例えば道路種別毎の情報等が提供される。インターナビ情報システムは、プローブ車から区間毎の車速パターンを取得して、区間毎の平均車速等も算出できる。
【0037】
情報サーバー200は、車両の安全運転の支援機能をサポートする各種情報を配信する。その情報には、車両の安全運転の支援機能の設定を支援する設定支援情報が含まれる。設定支援情報は、例えば、事故が頻発したエリアや、見通しの悪い道路等の情報サーバー200が保有する情報に基づいて、それらの地域で活動する運転者を対象に最適化した情報を含む。また、運転者からの情報を取得して、運転者の運転適性や運転診断結果を設定支援情報に反映させる。設定支援情報は、定期的に更新され最新の情報として配信されるようになっている。本発明のナビゲーション装置では、こうした各種情報を情報サーバーから取得して利用する。
【0038】
図2は、図1の制御装置10による、安全運転の支援機能の設定をおこなうための制御フローの一例である。図2の動作フローは、制御装置10が内蔵するCPUが記憶部18に格納された制御用プログラムを呼び出して実行することにより実施される。その際、随時記憶部18に格納された各種情報も呼び出されて利用される。
【0039】
以下の例では、全ての表示例は表示部12に表示される。その際、表示部12は、タッチパネル式のディスプレイを想定している。したがって、個々に言及はしていないが、表示画面上のアイコンやスクロールボタン等の選択は、操作者によるディスプレイ(画面)へのタッチによりおこなわれる。なお、タッチパネル式のディスプレイでない場合は、操作ボタン等の操作により表示内容が変更されることは言うまでもない。
【0040】
ステップS102において、表示部12に初期設定画面を表示する。図3は初期設定画面の一例である。初期設定画面は、表示部12において1つのウィンドウ40として表示される。ウィンドウ40内の「設定」等の項目はアイコンとして表示される。図3では、「地図表示設定」から「安全運転支援設定」までの8つの設定項目が表示されている。なお、表示項目は8つに限られず、またその内容も任意に変更できる。
【0041】
図2のステップS104において、安全運転の支援設定42が選択されたかを判定する。支援設定42が選択されると、ステップS106において、表示部12に安全運転の支援設定画面が表示される。図4は、支援設定画面の一例である。支援設定画面は、表示部12において1つのウィンドウ44として表示される。支援機能の「設定」46のアイコンは、文字通り各支援機能を設定するためのアイコンである。
【0042】
支援設定画面44には、「一時停止」から「最高速度慣れ」までの5つの支援機能(支援項目)が表示されている。各機能の「する」または「自宅以外」の表示は、現在の設定状態をデフォルトとして示している。なお、「する」とは機能を活性化する(有効にする)という意味であり、「自宅以外」とは自宅周辺以外の「スクールゾーン」の機能を活性化するという意味である。これらのデフォルトは、画面下の「初期値にする」のアイコン52を選択することにより、機能毎に初期値に戻すことができる。
【0043】
支援設定画面44では、さらにスクロールボタン48により他の支援機能を表示させることができる。支援機能の数と内容は予め設定されている。また、スクロールボタン50により、図3の8つの設定項目のアイコンを表示させることができ、図4の操作の途中で、図3の画面に戻ることなく他の設定項目が選択できるようになっている。
【0044】
図2のステップS108において、支援項目の1つが選択されたかを判定する。図4の例では、「一時停止」から「最高速度慣れ」までの5つの支援機能(支援項目)のいずれかが選択(タッチ)されたかを判定する。支援項目の1つが選択された場合、ステップS110において、推奨される設定情報が選択されたかを判定する。図4の例では、支援設定画面44の下部の「推奨設定」のアイコン54が選択されたかを判定する。推奨される設定情報(以下「推奨設定情報」とも呼ぶ。)とは、後述する所定の判断基準の下で、各支援機能について設定するか(活性化するか)否かとその設定内容(起動条件)を予め決めておき、運転者にお勧めの設定情報として表示する情報である。運転者はこの推奨設定情報を利用することで、個々の支援機能を利用するか否かを判断する手間を軽減することができる。
【0045】
支援項目の1つが選択されると、ステップS112において、推奨設定情報が表示される。なお、推奨設定情報は、以下に述べるように、順次表示される複数の設定情報(設定画面、ウィンドウ)から構成される。
【0046】
図5に、一例として、支援項目の1つして「一時停止案内」56が選択され、かつ「推奨設定」54が選択された場合に、最初に表示される選択画面(ウィンドウ)58を示す。ウィンドウ58は、支援設定画面44上に表示される。ウィンドウ58は、推奨設定の方法A、B、Cを示す。Aは車両の運転履歴に基づいて設定する方法、Bは車両が走行する道路情報に基づいて設定する方法、Cは運転者の運転診断結果に基づいて設定する方法である。以下、「一時停止案内」を例にとり、各方法による推奨設定について説明する。
【0047】
Aの車両の運転履歴に基づいて設定する方法は、車両の運転操作の履歴を一定間隔でサンプリングして蓄積し、それに基づいて支援機能の推奨設定をおこなう。具体的には、既に述べたように、車両状態センサ29が検出した、所定値以上の急な加速度変化(急加速、急減速(減速度))の回数、急ブレーキを踏んだ回数、あるいは予め設定された地図上の位置(一時停止標識前等)での一時停止の回数等を車両の走行中に所定の間隔でカウントして、記憶部18にそのカウント値を保管しておく。そして、そのカウント値を予め決めた所定値(しきい値)と比較して、一時停止案内の有効、無効を判定する。運転履歴として、運転者の特性(例えば年齢、運転歴等)を点数化し、その点数をカウント値の一つとして扱ってもよい。
【0048】
運転履歴の内容(検出項目)とカウント値に応じて支援機能の設定内容(発動条件)を変えることができる。図6に「一時停止案内」機能の設定内容(発動条件)を示す。ウィンドウ60は案内を出す場所を特定する画面であり、5つの選択肢が表示されるが、これらは例示であって他の選択肢を含めてもよい。1つめの「常に案内」は、全ての一時停止案内対象箇所について、その箇所の所定距離手前で一時停止案内を行う設定である。2つめの「自宅周辺以外案内」は、自宅周辺の所定半径以内(例えば1km以内)は一時停止案内を行わない設定である。3つめの「不要エリア以外案内」は、地図上で範囲を指定して「一時停止案内不要」と指定したエリア以外を案内する設定である。4つめの「要注意箇所のみ案内」は、地図DB上の対象箇所に「要注意」属性が付与されている箇所のみを案内する設定である。最後の「常に案内しない」は、文字通り常に一時停止案内を行わない(機能の完全な無効化)設定である。
【0049】
ウィンドウ62は、音声案内の有無を選択する画面であり、その中の「システム判断時に音声案内」とは、制御装置10がマッピング精度(誤差)等に基づいて「一時停止案内」の精度が高い(または低い)と判断する場合に音声案内を行う(または行わない)ことである。なお、各ウィンドウは支援設定画面44上に重ねて表示可能である。
【0050】
図6のウィンドウ60の選択肢と、運転履歴の内容(検出項目)、カウント値との関係は例えば以下のように設定することができる。
【0051】
(a)一時停止の回数を示すカウント値が所定値より小さい場合は、一時停止案内を見落としている可能性が高い、あるいは見ていても一時停止をしない傾向があると判断されるので、「常に案内」を推奨する。また、複数の運転者の特性(例えば年齢と運転歴等)を示すカウント値がいずれも所定値よりも小さい場合も、運転が不慣れであると判断されるので、同様に「常に案内」を推奨する。
【0052】
(b)急ブレーキを踏んだ回数を示すカウント値が所定値より大きい場合は、一時停止案内による停止(危険回避)効果が大きいと判断されるので、「自宅周辺以外案内」を推奨する。
【0053】
(c)運転者の特性(例えば年齢、運転歴等)の1つを示すカウント値が所定値よりも小さい場合も、運転がまた未熟であると判断されるので、「不要エリア以外案内」を推奨する。
【0054】
(d)運転者の特性(例えば運転歴)を示すカウント値が所定値よりも大きい場合、一時停止の回数を示すカウント値が所定値より大きい場合、あるいは急加速や急減速の回数を示すカウント値が所定値より小さい場合は、運転者が運転に慣れており、安全運転を心掛けている可能性が高いと判断されるので、「要注意箇所のみ案内」を推奨する。
【0055】
このように、上述したカウント値は1つの運転リスクの評価値とみなせる。すなわち、カウント値が所定のしきい値より大きい(または小さい)ことは車両が危険な状態に得る可能性が高く(リスク:高)、逆にカウント値が小さい(または大きい)ことは、運転者が安全運転を心掛けている可能性が高い(リスク:低)ことを示していると推測できる。
【0056】
この運転リスクについてさらに例示すると、一時停止案内の場合、一時停止すべき箇所の前後での車速の変化の割合とブレーキ操作量を取得する。車速の変化割合が大きくかつブレーキ操作量が多い場合は、一時停止すべき箇所を見落としたか、あるいは認知しているが速度過多や急ブレーキとなりやすい運転傾向にあることが推測され、リスクが高いと評価できる。この評価に基づき、一時停止案内の機能を活性化させる推奨設定情報を生成してもよい。
【0057】
図6のウィンドウ62の音声案内の選択肢についても、上述したウィンドウ60の場合と同様な考えで設定することができるが、安全運転支援の性格上、すなわち運転者に確実に報知するために、原則として「常に音声案内」を推奨、あるいは「システム判断時に音声案内」(「一時停止案内」の精度が低いと判断する場合を除いて音声案内する)を推奨することが望ましい。
【0058】
図7は、図5のウィンドウ58の「A 運転履歴」を選択した場合に、表示される推奨設定情報の表示例である。推奨設定情報は1つのウィンドウ64として表示される。推奨設定情報64には、「一時停止案内」機能の表示65と、推奨設定である「自宅周辺以外」での案内の表示66と、中央部67に推奨設定の説明、推奨する内容(アドバイス)として、「推奨設定は、「自宅周辺以外」です。あなたの運転は急ブレーキの頻度がやや高めです。早めのアクセルオフは、追突事故の防止以外に、エコドライブにもつながります。一時停止案内を活用して、早めのアクセルオフと緩やかな加減速を心がけましょう。」が表示される。推奨設定情報64には、さらにこの「一時停止案内」の推奨設定を適用する(有効にする)ためのアイコン68と、推奨設定を適用せずに手動で設定するためのアイコン69も表示される。なお、手動設定のアイコン69を選択した場合、例えば図6のウィンドウ60、62が設定用のウィンドウとして表示され、運転者は任意に各選択肢を選ぶことができる。
【0059】
次に、Bの車両が走行する道路情報に基づいて設定する方法は、地図データベース(DB)を利用する。すなわち、予め登録された自宅周辺、自宅位置の市町村、車両の現在位置周辺、あるいは設定経路周辺等の一定距離範囲内について、記憶部18に格納されている地図データベース(DB)を参照する。地図DBのその範囲内に設定された一時停止案内のフラグ数、すなわちその案内を報知すべき箇所をカウントし、そのカウント値を記憶部18に保管する。そして、そのカウント値を予め決めた所定値(しきい値)と比較して、一時停止案内の有効、無効を判定する。なお、カウント値として、一時停止案内のフラグ数の中で特に注意を要する箇所(「要注意」箇所)のカウント値や判定する範囲内での交通事故数などを加えてもよい。上述したAの方法と同様、このカウント値は1つの運転リスクの評価値となる。すなわち、カウント値がしきい値以上であることは特に安全走行をすべき地域であることを示している。
【0060】
Aの方法の場合と同様に、図6のウィンドウ60の選択肢と、Bの方法におけるカウント値との関係は例えば以下のように設定することができる。
【0061】
(a)一時停止案内のフラグ数に対応するカウント値、「要注意」箇所のカウント値、および交通事故数に対応するカウント値のいずれかが、それぞれの所定値(要注意数)以上存在する場合、「常に案内する」を推奨する。
【0062】
(b)一時停止案内のフラグ数に対応するカウント値が所定値(要注意数より小さい)以上であって、「要注意」箇所のカウント値、交通事故数に対応するカウント値のいずれかが1つでも存在する場合、「不要エリア以外案内」を推奨する。
【0063】
(c)その他の場合は「要注意箇所のみ案内」を推奨する。
【0064】
図8は、図5のウィンドウ58の「道路情報」を選択した場合に表示される推奨設定情報の表示例である。推奨設定情報は1つのウィンドウ70として表示される。推奨設定情報70の「一時停止案内」、「適用する」、および「手動設定」の表示の意味は図7と同様である。なお、「手動設定」を選択した場合、例えば図6のウィンドウ60、62と同様に設定用のウィンドウがとして表示され、運転者は任意に各選択肢を選ぶことができる。推奨設定情報70では、推奨設定である「常に案内する」の表示71と、中央部72に推奨設定の説明、推奨する内容(アドバイス)として、「「現在位置周辺」推奨設定は、「常に案内する」です。現在地周辺は交通事故の発生頻度がやや高めで、走行する車の急ブレーキ操作の頻度が高い傾向にあります。速度、車間距離に十分注意して、走行してください。」が表示される。
【0065】
Cの運転者の運転診断結果に基づいて設定する方法では、例えば、PC等の端末を介して情報サーバー200上で運転診断を受け、そこで最適な設定を判定し、その判定結果を1つの「設定支援情報」として受信し、推奨設定に利用する。あるいは、情報サーバー200が収集する車両の走行履歴や走行地域等から支援機能(一時停止案内)の要否を判定し作成した「推奨設定情報」データを1つの「設定支援情報」として情報サーバーから受信し、推奨設定に利用する。あるいは、ナビゲーション装置100上で運転診断を行い、その結果から推奨設定をおこなう。
【0066】
運転診断の内容は、情報サーバー200上でおこなう場合とナビゲーション装置100上でおこなう場合で共通して良いが、その他の安全運転支援機能に関わる事項を含め合計10問程度で診断できるようにする。その際、1つの質問で、「一時停止案内」と「スクールゾーン」の双方についての診断ができるような複合問題も可能である。そして、減点方式を基本とし、点数が少なくなるにつれて、発動条件が緩やかにする(報知されやすくなる)。また、特定の問題を誤って答えた場合、累計スコアに関わらず、「常に案内する」を推奨するようにしても良い。
【0067】
情報サーバー200を利用して推奨設定を作成する場合、サーバーから最新の設定情報を受信できるので、法改正や交通道路情勢が変化した場合においても最新の推奨設定を反映することができる。また、市販のナビゲーション装置の場合、どのような車種に搭載されるかは予め分からないが、車種特有の事象により、特定の安全運転の支援機能を有効にした方が良い場合もある。例えば、大型車両で「スクールゾーン案内」、車高の高い車両で「横風注意案内」等が該当する。このような車種をナビゲーション装置のメーカーが事後的に配信して、より機能の活用を促すことが可能になる。
【0068】
図9は、図5のウィンドウ58の「運転診断」を選択した場合に表示される推奨設定情報の表示例である。推奨設定情報は1つのウィンドウ73として表示される。推奨設定情報73の「一時停止案内」、「適用する」、および「手動設定」の表示の意味は図7と同様である。推奨設定情報73では、推奨設定である「不要エリア以外」を案内する表示74と、中央部75に推奨設定の説明、推奨する内容(アドバイス)として、「運転診断結果に基づく推奨設定は、「不要エリア以外を案内する」です。このまま安全運転をこころがけるとともに、一時停止案内も活用してより安全な運転を目指しましょう。」が表示される。
【0069】
上述した実施形態は一例でありこれに限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で多様な変形が可能である。本発明は、基本的に情報サーバーとの間で無線通信が可能なあらゆる車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 車両
32 ネットワーク通信網
100 ナビゲーション装置
200 情報サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全運転の支援機能を備える車両用のナビゲーション装置であって、
入力手段と、
前記支援機能を表示する表示手段と、
前記支援機能の活性化および発動条件の設定をおこなうための設定情報と、当該設定を推奨する推奨設定情報とを格納するメモリと、
前記表示手段に前記設定情報を表示させる際に、前記推奨設定情報を前記設定情報に反映させて前記表示手段に表示させる制御手段と、を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記支援機能は複数の支援機能からなり、前記制御手段は、前記推奨設定情報に基づき、前記複数の支援機能から選択した支援機能の各々について、前記活性化および発動条件の設定をする推奨設定を前記表示手段に表示させる、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記推奨設定情報は、前記車両の運転履歴、前記車両が走行する道路情報、運転者の運転診断結果、および前記車両が備える通信手段を介して外部から受信する設定支援情報の少なくとも1つに基づいて作成される、請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記車両の運転履歴、前記車両が走行する道路情報、および前記運転者の運転診断結果の少なくとも1つから、当該車両の運転リスクの評価値を求め、当該評価値が所定の閾値を超える場合に、対応する推奨設定情報を前記設定情報に反映させる、請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
安全運転の支援機能を表示することができる車両用のナビゲーション装置において利用される前記支援機能の活性化および発動条件の設定を支援する設定支援情報を作成する設定支援情報作成手段と、当該設定支援情報を送信する手段と、を備える情報サーバー。
【請求項6】
前記設定支援情報作成手段は、運転者の運転診断結果を取得し、当該運転診断結果に基づいて前記設定支援情報を作成する、請求項5に記載の情報サーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−145173(P2011−145173A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−6261(P2010−6261)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】