説明

安全運転支援システム

【課題】運転者が自ら意識的に休憩を取りながら走行をすることを支援することで、安全運転を行えるように導く安全運転支援システムを提供する。
【解決手段】この安全運転支援システム1は、入力条件に基づき目的地点までの走行予定経路を設定するとともに、設定された走行予定経路上に休憩地点を設定する経路設定手段7と、車両の現在時刻を検出する時刻検出手段3と、時刻検出手段で検出された、経路設定手段で設定された休憩地点に車両が到着した時刻が、予め設定された到着予定時刻よりも早い場合には安全運転寄与ポイントを減算し、到着時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算するとともに、安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを情報出力装置11に提示する安全運転支援手段10を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を運転する際に運転者に自身の運転状態を把握させて安全運転に導く安全運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
グローバル・ポジショニング・システム(GPS)用の人工衛星からの信号を車両位置検出手段となるアンテナで受信して、車両の位置を把握することや、目的地点までの経路を自動で検索する、所謂ナビゲーション装置が知られている。
例えば、特許文献1に記載のナビゲーション装置では、自動経路探索に際し、予め設定された所定間隔で休憩をとるために所定の休憩点を設定し、経路誘導を行う際に休憩点に接近したときに休憩を促す所定のメッセージを出力するとともに、実際の走行経路が休憩点を含む走行予定経路を外れたときに、新たな休憩点を含むように経路探索を再実施する内容が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3434134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、予め経路探索を行って走行予定経路を設定する際に、所定間隔で休憩点を設定し、以後の経路誘導においてはこの休憩点に接近したときに休憩を促すメッセージが出力されるため、車両の運転者が気づかずに長時間運転することがなく、適度な間隔で体を休めることができる。予め休憩点を設定しているため、希望する施設で必ず休憩をとることができ、休憩と同時に給油や買物あるいは食事をとるといった計画が立てやすくなり、時間の有効利用を図ることができる。実際の走行経路が走行予定経路を外れた場合であっても、休憩点を含む走行予定経路を再設定することにより、確実に休憩をとることができるとされている。しかし、運転者が休憩するか否かは、運転者や乗員の意思によるところが大きく、より確実に休憩を促し、安全運転をしてもらうためには、今以上に、運転者や乗員に安全運転に対する意識を持たせることが重要である。
本発明は、運転者が自ら意識的に休憩を取りながら走行をすることを支援することで、安全運転を行えるように導く安全運転支援システムを提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる安全運転支援システムは、入力条件に基づき目的地点までの走行予定経路を設定するとともに、設定された走行予定経路上に休憩地点を設定する経路設定手段と、車両の現在時刻を検出する時刻検出手段と、時刻検出手段で検出された、経路設定手段で設定された休憩地点に車両が到着した時刻が、予め設定された到着予定時刻よりも早い場合には安全運転寄与ポイントを減算し、到着時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算するとともに、算出された安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを情報出力装置に提示する安全運転支援手段を有することを特徴としている。
本発明にかかる安全運転支援システムにおいて、安全運転支援手段は、車両が目的地点に到着すると、安全運転寄与ポイントを集計し、集計された安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを情報出力装置に提示することを特徴としている。
本発明にかかる安全運転支援システムにおいて、他車に搭載された安全運転支援システムとの間で通信を行い、他車に搭載された安全運転支援システムにより他車に付与された安全運転寄与ポイントまたは当該安全運転寄与ポイントに応じた他車の安全運転度合いを検出する他車情報検出手段を有し、安全運転支援手段は、他車情報検出手段で検知された、他車の安全運転寄与ポイント情報または他車の安全運転度合いの少なくとも一方をさらに情報出力装置に提示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、時刻検出手段で検出された休憩地点に車両が到着した時刻が、予め設定された到着予定時刻よりも早い場合には安全運転寄与ポイントを減算し、到着時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算し、安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを情報出力装置に提示するので、休憩地点の到着予定時刻を、運転者に対してゲーム感覚で意識させることができるので、運転者が自ら意識的に休憩を取りながら運転をすることを支援でき、安全運転を行えるように導くことができる。また、従来のように所定区間の移動時間、すなわち、車両速度や道路状況を踏まえた到着予定時刻による評価に比べて、運転者の休憩度合いも考慮して安全運転状況を判断するため、より運転者に対して積極的に休憩を促すことができ、安全運転を行えるように導くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る安全運転支援システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】安全運転支援システムの安全運転支援処理における初期ルーチンの一形態を示すフローチャートである。
【図3】安全運転支援システムの安全運転支援処理におけるメインルーチンの一形態を示すフローチャートである。
【図4】図3の端子Aに続くフローチャートである。
【図5】休憩地点への到着時刻による安全運転寄与ポイントの付与ルーチンの一形態を示すフローチャートである。
【図6】安全運転支援処理における休憩ルーチンの一形態を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る安全運転支援システムの別な構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示す安全運転支援システムの安全運転支援処理における休憩ルーチンの一形態を示すフローチャートである。
【図9】図7に示す安全運転支援システムの安全運転支援処理におけるメインルーチンの主要部の一形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。図1に示す安全運転支援システム1は、本形態では図示しない車両に搭載されて用いる態様とする。安全運転支援システム1は、出発地や目的地、各種設定に必要な情報を入力する入力手段2と、車両の現在時刻を検出する時刻検出手段3と、車両の位置をリアルタイムに検出する車両位置検出手段4と、各種情報を受信する情報受信ユニット6と、入力条件に基づき出発地点から目的地点までの走行予定経路を設定するとともに、設定された走行予定経路上に休憩地点を設定する経路設定手段7と、各種情報を記憶する記憶手段8と、他車に搭載された安全運転支援システム5との間で通信を行う他車情報検出手段9と、安全運転支援手段10と、各種情報が出力される情報出力手段11を備えている。本形態では、経路設定手段7と記憶手段8と他車情報検出手段9と安全運転支援手段10とが一体的に構成されているが、これらは、それぞれ個別な構成であってもよい。また他車の安全運転支援システム5とは、安全運転支援システム1と同一機能を持ったシステムであるので、詳細は省略する。安全運転支援手段10には、システム作動スイッチ20が接続されていて、このスイッチ操作されてオンすると、安全運転支援システム1が起動するように構成されている。
【0009】
入力手段2は、コントローラあるいは操作ボタン、情報出力手段11に配置されるタッチパネルスイッチの少なくとも1つで構成されていて、操作者により入力操作がなされることで、各種情報を経路設定手段7、安全運転支援手段10に入力する機能を備えている。時刻検出手段3は所謂時計であって、ここでは誤差の少ない電波時計を用いる。車両位置検出手段4は、GPS衛星から送信される座標データを受信して、車両の現在位置を検出するGPSアンテナで構成されている。情報受信ユニット6は、地図情報、道路渋滞情報、道路通行可否情報、道路速度制限情報、周辺施設情報などを受信するVICSビーコンユニットで構成されている。情報出力手段11は車両内部に設置されたモニターで構成されていて、各種情報を表示することで運転者に情報を提示している。
【0010】
経路設定手段7は、図示しない記憶メディアに検索可能に記憶された地図情報、経路情報、施設情報と、入力手段2から入力された情報と、情報受信ユニット6で受信した情報に基づいて、走行予定経路や走行予定経路上の休憩地点の設定を行う機能を備えている。
【0011】
経路設定手段7における休憩地点を設定機能は、走行予定経路を決定した後に、情報受信ユニット6で受信した道路渋滞情報、道路通行可否情報、道路速度制限情報、周辺施設情報に基づき、法定速度で移動した場合に運転者に所定時間毎に休憩をとらせる休憩地点となる、例えばサービスエリヤやパーキングエリア、駐車スペースを有する施設を設定する機能と、休憩地点における休憩時間を設定する機能を備えている。
【0012】
休憩時間は、車両が休憩地点で休憩する時間であり、最初に休憩地点を設定する際には休憩地点への到着予想時刻から算出して設定する。
休憩地点は、走行予定経路の設定時における道路渋滞情報、道路通行可否情報、道路速度制限情報等を基準に初期設定される。しかし、時間の経過により、道路渋滞情報、道路通行可否情報、道路速度制限情報等が変動するため、これら情報に応じて、出発時刻から所定時間毎に休憩するように休憩地点を随時変更される。すなわち経路設定手段7は休憩地点変更機能を備えている。
【0013】
休憩地点が複数ある場合、最初の休憩地点に対する到着時刻が遅れると、次の休憩地点への到着時刻も遅れてしまうため、本形態では、到着予想時刻と休憩地点に到達した時刻とに差が有る場合、休憩地点に到達した時刻から休憩時間を算出して到着予想時刻に基づく初期の休憩時間を変更する機能を備えている。すなわち経路設定手段7は休憩時間変更機能を備えている。
【0014】
記憶手段8は、経路設定手段7で設定された出発地と目的地、走行予定経路と、ドライバーの性別や年齢名との個人情報と、前回の安全運転寄与ポイントや、走行履歴が記憶されている。
【0015】
他車情報検出手段9は、他車に搭載された安全運転支援システム5との間で通信を行い、他車に搭載された安全運転支援システム5により他車に付与された安全運転寄与ポイントまたは当該安全運転寄与ポイントに対応した他車の安全運転度合いを検出するものである。
【0016】
安全運転支援手段10は、経路設定手段7で設定された休憩地点に車両が到着した時刻や休憩時間に応じて安全運転寄与ポイントを運転者に付与するポイント付与手段101と、付与された安全運転寄与ポイント応じて運転者の安全運転度合いを設定する安全度合い設定手段102を備えている。
【0017】
ポイント付与手段101は、休憩地点に車両が到着した時刻が、予め設定された到着予定時刻よりも早い場合には安全運転寄与ポイントを減算し、到着時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算する機能を備えている。ポイント付与手段101は、休憩地点から車両が出発した時刻が、予め設定された出発予定時刻よりも早い場合には、安全運転寄与ポイントを減算し、出発した時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算する機能を備えている。また、本形態では、休憩地点からの出発時刻が出発予定時刻よりも遅い場合には、十分な休憩が取れているが、長すぎる休憩では目的地に到着する遅延につながるため、安全運転寄与ポイントは付与しない設定としている。
【0018】
安全度合い設定手段102は、安全運転寄与ポイントと安全運転度合いとの対応関係が設定されたもので、安全運転寄与ポイントの数値が高くなる程、安全運転度合いが高いことを示す内容が設定され、安全運転寄与ポイントの数値が低くなる程、安全運転度合いが低いことを示す内容が設定されている。安全運転度合いは、予め設定された距離、例えば出発地点から休憩地点、あるいは休憩地点間を所定時間以上で走行することと、休憩地点において所定時間以上休憩したか否かの双方の総合的な判断により行う。
【0019】
安全運転支援手段10は、休憩地点から次の休憩地点への移動には途中経過として、獲得した安全運転寄与ポイントを情報出力装置11に表示させる機能と、目的地に到着した際に、獲得した安全運転寄与ポイントに応じた運転者の安全運転度合いを情報出力装置11に表示させる機能と、他車情報検出手段9で検知された、他車の安全運転寄与ポイント情報または他車の安全運転度合いの少なくとも一方を情報出力装置11に表示する機能を備えている。
【0020】
このような構成の安全運転支援システム1による安全運転支援処理の内容を、図2〜図6に示すフローチャートに沿って説明する。図2は安全運転支援処理における初期ルーチンを示し、図3、図4は安全運転支援処理におけるメインルーチンを示し、図5は安全運転支援処理における休憩地点への到着の早遅による安全運転寄与ポイントの付与ルーチンを示し、図6は安全運転支援処理における休憩ルーチンをそれぞれ示す。図3と図4は、同一フローであるが、紙面の大きさの関係で端子Aの部分で分割している。
【0021】
図2において、安全運転支援システム1は、ステップST1において、システム作動スイッチ20の操作状態を判断し、システム作動スイッチ20がオンであるとステップST2に進む。ステップST2では、必要情報となる運転者の個人情報、出発地と目的地、走行予定経路の情報の読込みが行われ、ステップST3に進んで必要情報の入力状態が判断される。ステップST3において、必要情報が入力されている場合には入力済と判断してステップST4に進んでメインルーチンに移り、必要情報が入力されていない場合にはステップST5に進む。ステップST5では、必要情報入力依頼を行いステップST2に戻る。必要情報入力依頼とは、情報出力装置11に必要情報入力を促すメッセージなどを表示する。あるいは情報出力装置11として、スピーカーと音声発生手段などの周知の構成を備えている場合には、必要情報入力を促す音声メッセージを発するようにしても良い。
【0022】
図3に示すメインルーチンでは、ステップST11からステップST16において各種情報を検出する。ステップST11では現在の時刻情報を時刻検出手段3で検出し、ステップST12では現在の車両位置を、車両位置検出手段4を用いて座標データとして検出する。ステップST13では他車搭載の安全運転支援システム5の情報を検出し、ステップST14では前回の安全運転支援処理時の走行履歴を検出する。ステップST15では道路渋滞情報、道路通行可否情報、道路速度制限情報等の道路情報を情報受信ユニット6で検出し、ステップST16では施設情報を情報受信ユニット6で検出する。
【0023】
ステップST17では、検出した各情報に基づいて安全運転走行計画を演算する。ここでは主に経路設定手段7において、出発地(現在地)から目的地までの走行予定経路と到着予定時刻、同走行経路上の休憩地点と、休憩地点における休憩時間(出発予定時刻)を算出する。
【0024】
ステップST18では、前回の安全運転走行計画の設定の有無が記憶手段8に記憶されているデータから判断される。ここで前回の安全運転走行計画がない場合には、ステップST22に進んで、ステップST17で演算した安全運転走行計画における休憩地点と到着予定時刻を情報出力装置11に表示して運転者に提示する。ステップST18において、前回の安全運転走行計画がある場合にはステップST19に進む。
【0025】
ステップST19では、前回の計画に対する設定変更があるかという設定変更の有無が判断される。ここで、設定変更がある場合にはステップST20に進んで安全運転走行計画を最新のものに更新し、ステップST22において最新の安全運転走行計画における休憩地点と到着予定時刻を情報出力装置11に表示して運転者に提示する。設定変更がない場合には、ステップST21に進んで前回の安全運転走行計画を保持し、同安全運転走行計画における休憩地点と到着予定時刻を情報出力装置11に表示して運転者に提示する。
【0026】
図4に示すステップST23では、車両位置検出手段4によって車両の現在位置を座標データとしてリアルタイムに検出し、ステップST24では、車両が休憩地点に到着したか否かを検出した座標データと休憩視点として設定された座標データとを比較することで判断する。
【0027】
そして、休憩地点に到着していない場合には、ステップST27において休憩地点に関する情報を情報出力装置11に表示して運転者に提示するとともに、ステップST28において道路情報を情報出力装置11に表示して運転者に提示する。休憩地点に到着している場合には、ステップST25に進んで到着時刻を検出するとともに、到着時刻と到着予定時刻とを比較して到着時刻の早遅による安全運転寄与ポイントの付与処理が行われ、ステップST26において休憩ルーチンへと移る。
【0028】
ステップST25の安全運転寄与ポイントの付与処理は、図5に示すようにステップST251において休憩地点への到着時刻と到着予定時刻とを比較し、到着時刻が到着予定時刻である場合には、予め設定した安全運転で到着する走行時間で運転者が運転したものとしてステップST253に進んで安全運転寄与ポイントを加算する。そして、ステップST254において、同ポイントを一次メモリに記憶して図4のメインルーチンのステップST26に進む。
【0029】
到着時刻が到着予定時刻でない場合には、ステップST252に進んで到着時刻が到着予定時刻よりも早いか否かを判断し、到着時刻が到着予定時刻よりも早い場合には、ステップST255において安全運転寄与ポイントを減算し、ステップST254において同ポイントを一次メモリに記憶する。到着時刻が到着予定時刻よりも遅い場合には、安全運転寄与ポイントは付与しない。
【0030】
図6に示す休憩ルーチンでは、ステップST41において、現在の車両の位置を車両位置検出手段4によって座標データとして検出し、ステップST42において休憩地点を出発したか否かを判断する。ここでの判断としては、例えば、休憩地点の座標から一定範囲内を中継地点として、車両位置検出手段4によって検出される座標データが、当該一定範囲内の座標データから外れたときを、休憩地点を出発したものとする。
【0031】
ステップST43では出発時刻を時刻検出手段3で検出し、ステップST44、ステップST45では、検出した出発時刻と出発予定時刻とを比較して出発時刻の早遅を判断する。ステップST44において出発時刻が出発予定時刻である場合には、予め設定した休憩時間、運転者が休憩したものとしてステップST46に進んで安全運転寄与ポイントを加算し、ステップST47において、同ポイントを一次メモリに記憶して図4のメインルーチンのステップST29に進む。
【0032】
ステップST44において出発時刻が出発予定時刻でない場合には、ステップST45において、出発時刻が出発予定時刻よりも早いか否かを判断する。そして、出発時刻が出発予定時刻よりも早い場合には、ステップST48において安全運転寄与ポイントを減算してステップST47において同ポイントを一次メモリに記憶する。出発時刻が出発予定時刻よりも遅い場合には、安全運転寄与ポイントは付与しない。
【0033】
図4のメインルーチンのステップST29では、出発後の途中経過を情報出力装置11に表示して運転者に提示する。ここでは、運転者自身が獲得した安全運転ポイントを情報出力装置11に表示する。また、他者情報検出手段9が、他車搭載の安全運転支援システム4と通信可能な場合には、当該システム4から他者が獲得した安全運転ポイントの情報を受信して、情報出力装置11に、自車の運転で獲得した安全運転ポイントと併記して情報出力装置11に表示してもよい。
【0034】
ステップST30では、目的地に到着したか否かが、車両位置検出手段4で検出する車両の座標データと目的地の座標データとを比較することで判断する。車両が目的地に到着するまでは、ステップST23からステップST30までの処理が繰り返され、目的地に到着すると、ステップST31において安全運転寄与ポイントの合計値となる最終ポイントを演算するとともに、最終ポイントに対応した安全運転度合いの結果を表示する。設定された安全度合いは、ステップST32において情報出力装置11に表示されて運転者に提示される。
【0035】
ステップST33では、最終ポイントや、それに対応した安全運転度合いを結果情報として記憶手段8に記憶し、ステップST34においてシステム作動スイッチ20の状態を判断する。ここでシステム作動スイッチ20がオフになった場合には、一次メモリ内のデータを消去してこの制御を終える。
【0036】
このように、時刻検出手段3で検出された休憩地点への車両の到着時刻が、予め設定された到着予定時刻よりも早い場合には安全運転寄与ポイントを減算し、休憩地点への到着時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算し、安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを情報出力装置に提示するので、休憩地点の到着予定時刻を、運転者に対してゲーム感覚で意識させることができる。このため、運転者が自ら意識的に休憩を取りながら運転をすることを支援でき、安全運転を行えるように導くことができる。
【0037】
また、時刻検出手段3で検出された休憩地点からの出発時刻が、予め設定された出発予定時間よりも遅い場合には休憩が十分になされたものとして安全運転寄与ポイントを加算し、休憩地点への到着時刻が到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算し、出発時刻が出発予定時間よりも早い場合には休憩が不十分であるとして安全運転寄与ポイントを減算し、獲得した安全運転寄与ポイントに応じた安全運転度合いが情報出力装置11に表示される。このため、従来のように休憩地点までの所定区間の移動時間、すなわち、車両速度や道路状況を踏まえた到着予定時刻による評価に比べて、運転者の休憩度合いも考慮して安全運転状況を判断するため、より運転者に対して積極的に休憩を促すことができ、安全運転を行えるように導くことができる。
【0038】
本形態では、他車に搭載された安全運転支援システム5との間で通信を行い、他車に搭載された安全運転支援システム5により他車に付与された安全運転寄与ポイントまたは当該安全運転寄与ポイントに応じた他車の安全運転度合いを他車情報検出手段9で検出し、検出した内容を情報出力装置11に提示するので、運転者は他車との競争関係から、自らがより休憩時間を意識的にとるようになり、より確実に安全運転を行えるように導くことができる。
【0039】
図7は、安全運転支援システムの別な形態を示す。この形態に係る安全運転支援システム1Aは、図1に示す安全運転支援システム1に対して、休憩時間情報と、獲得した安全運転付与ポイントを決済に適用可能とした点が異なっている。これ以外の構成、すなわち、休憩地点に対する到着時間や出発時間による安全運転付与ポイントについては、図1の構成と同一であるので、ここでは極力、その説明は省略する。
【0040】
図7に示す安全運転支援システム1Aは、安全運転支援手段10Aを備えている。安全運転支援手段10Aには、決済手段となるETCカード装置12と、提携電子決済支払いシステム13が接続されている。安全運転支援手段10Aは、安全運転支援手段10の機能に加えて、ETCカード装置12により決済される通行料金の情報と、安全運転寄与ポイントの情報と、休憩地点での休憩時間を提携電子決済支払いシステム13へ送信する機能を備えている。
【0041】
本形態において、提携電子決済支払いシステム13は、ETCカード装置12で使用されるECTカードの所有者との間で個別契約をしており、安全運転支援システム1Aを使用して獲得した安全運転付与ポイントを、提携電子決済支払いシステム13において、支払いに利用することができるようになっている。また、提携電子決済支払いシステム13には、安全運転支援システム1Aを使用した日付と休憩時間の情報が送信されるように構成されている。提携電子決済支払いシステム13では、休憩時間中に通行料金以外の決済された利用料金と通行料金をポイント化して決済に利用できるとともに、安全運転寄与ポイントも決済に利用可能とされている。
【0042】
このような構成の安全運転支援システム1Aによる安全運転支援処理の内容を図8、図9を用いて説明する。
【0043】
図8は休息ルーチンを示し、図9は図3の端子Aに接続する安全運転支援処理におけるメインルーチンの部分である。図8は図6のフローチャートにステップST50の処理内容を追加したものであり、図9は、図4のフローチャートにステップST36の処理内容を追加したものである。このため、図4、図6と同一の処理内容については省略して説明する。
【0044】
安全運転支援システム1Aでは、図8のステップST46、ステップST48、ステップST49において、安全運転寄与ポイント処理がなされ、ステップST47で一次メモリに安全運転寄与ポイントが記憶されると、ステップST50において、休憩地点への到着時刻と休憩地点からの出発時刻を滞在時刻情報として提携電子決済支払いシステム13に送信する。
【0045】
安全運転支援システム1Aでは、図9のステップST33において集計された安全運転寄与ポイントの結果を記憶手段8に記憶すると、ステップST36において提携電子決済支払いシステム13に対して安全運転寄与ポイントの情報を送信する。そしてステップST36においてシステム作動スイッチ20がオフされると、一次メモリ内のデータを消去して、この処理を終える。
【0046】
このように、安全運転支援システム1Aでは、安全運転支援システム1Aを作動して得られた安全運転寄与ポイントを提携電子決済支払いシステム13に送信し、決済に利用できるようにすることで、運転者は運転寄与ポイントを獲得できるような運転を心がけるようになる。このため、運転者が自ら意識的に休憩を取りながら運転をすることをより強く支援でき、安全運転を行えるように導くことができる。
【0047】
さらに、休憩時間内に休憩地点で利用して代金を、決済に利用可能なポイント化するようにすることで、運転者自らがより休憩時間を意識的にとるようになり、安全運転を行えるように導くことができる。
【0048】
上記各形態において、安全運転支援システム1,1Aでは、車両に搭載されて使用される態様を示したが、安全運転支援システム1,1Aとしては車両に対して着脱自在としても良い。この場合、図1、図7に示す各構成を、図示しないケーシング内などに収めて一体的構成とし、ケーシングごと車両に対して着脱するようにすることで、着脱式の態様とすることができる。
【0049】
上記形態では、他車に搭載された安全運転支援システム5と他車情報検知手段9を介して通信して、安全運転支援システム5から他車が獲得した安全運転寄与ポイントを情報出力装置11に表示することで、ゲーム感覚で運転者が休憩時間に対する意識を高めるようにしたが、この安全運転支援システム5との通信に用いる他車情報検知手段9がなくても十分に運転者に休憩時間をとることを意識することが可能な場合、他車情報検知手段9の構成は安全運転支援システム1,1Aから省略しても良い。あるいは、他車情報検知手段9を備えている場合でも、他車情報検知手段9による他車との通信機能をオン/オフするスイッチを設けて、運転者が任意に選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 安全運転支援システム
3 時刻検出手段
4 他車安全運転支援システム
6 情報出力装置
7 経路設定手段
9 他車情報検出手段
10 安全運転支援手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力条件に基づき目的地点までの走行予定経路を設定するとともに、設定された走行予定経路上に休憩地点を設定する経路設定手段と、
車両の現在時刻を検出する時刻検出手段と、
前記時刻検出手段で検出された、前記経路設定手段で設定された前記休憩地点に車両が到着した時刻が、予め設定された到着予定時刻よりも早い場合には安全運転寄与ポイントを減算し、前記到着時刻が、前記到着予定時刻の場合には安全運転寄与ポイントを加算するとともに、前記安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを情報出力装置に提示する安全運転支援手段とを有する特徴とする安全運転支援システム。
【請求項2】
請求項1記載の安全運転支援システムにおいて、
前記安全運転支援手段は、前記車両が目的地点に到着すると、前記安全運転寄与ポイントを集計し、集計された安全運転寄与ポイントに応じて運転者の安全運転度合いを前記情報出力装置に提示することを特徴とする安全運転支援システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の安全運転支援システムにおいて、
他車に搭載された安全運転支援システムとの間で通信を行い、他車に搭載された安全運転支援システムにより他車に付与された安全運転寄与ポイントまたは当該安全運転寄与ポイントに応じた他車の安全運転度合いを検出する他車情報検出手段を有し、
前記提示手段は、前記他車情報検出手段で検知された、前記他車の安全運転寄与ポイント情報または前記他車の安全運転度合いの少なくとも一方をさらに前記情報出力装置に提示することを特徴とする安全運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−103035(P2012−103035A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249568(P2010−249568)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】