説明

安全運転評価システム及び安全運転評価プログラム

【課題】信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることのできる安全運転評価システムを提供する。
【解決手段】車両の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を取得する信号情報取得手段8と、信号機が設置されている信号機設置地点の手前に設定された所定の停止補助区間内に車両がいることを判定する区間判定手段10と、車両が停止補助区間内にあり、信号情報が赤信号を示している状態を赤信号遭遇状態と判定する赤信号判定手段15と、赤信号遭遇状態での車両の運転操作に基づいて、運転者に対して信号機設置地点で車両を停止させるための停止補助動作を行う停止補助手段16と、赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する割合算出手段22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることができる安全運転評価システム及び安全運転評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の信号機通過時を含む車両走行中の様々な場面で安全運転の評価を行い、他車両との間で評価結果の比較を行った上で、順位化や得点化を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照)。信号機に関連する安全運転評価として、特許文献1に記載のシステムでは、車載カメラで撮影した信号機の画像に対して画像処理を施すことで信号機の点灯状態を把握し、車両が当該信号機を通過した時点の信号機の点灯状態に基づき信号遵守度を算出する構成となっている。また、特許文献2に記載のシステムでは、信号機に関連する安全運転評価として、車載カメラで撮影した画像や路車間通信により信号機情報を取得し、前方の信号機が赤信号を表示している場合に、当該信号機に対応する停止線の手前で車速がゼロになる信号停止が行われたか否かを判定する構成となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−172487号公報
【特許文献2】特開2008−186045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載のシステムでは、信号機に関連する安全運転評価は、信号機の点灯状態や信号停止が行われたか否かの判定のみに基づくものであるため、車両前方の信号機が赤信号を表示している場合に、運転者に対して車両を停止させることを促すことはできるものの、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識の向上を充分に図ることができない。すなわち、例えば、前方の信号機が赤信号を表示している場合に、車両が停止線直前まで当該信号機が赤信号を表示していることに気付かず、停止線直前で急ブレーキ操作を行うことにより車両を停止させたような場合でも、赤信号を表示している信号機に対応する停止線の手前で車両が停止する限りは肯定的な評価がなされる。そのため、前方の信号機が赤信号を表示している場合に、信号機設置地点の手前で運転者が車両を安全に停止させることに反する運転操作(例えば、アクセルオン)を行ったとしても、当該運転操作は信号機に関する安全運転評価に反映されないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、前方の信号機が赤信号を表示している場合における信号機設置地点手前での運転者の操作を適切に評価することで、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることのできる安全運転評価システム及び安全運転評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための、本発明に係る安全運転評価システムの特徴構成は、車両の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を取得する信号情報取得手段と、信号機が設置されている信号機設置地点の手前に設定された所定の停止補助区間内に車両がいることを判定する区間判定手段と、車両が前記停止補助区間内にあり、前記信号情報が赤信号を示している状態を赤信号遭遇状態と判定する赤信号判定手段と、前記赤信号遭遇状態での車両の運転操作に基づいて、運転者に対して前記信号機設置地点で車両を停止させるための停止補助動作を行う停止補助手段と、前記赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、前記停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する割合算出手段と、を備えた点にある。
【0007】
なお、本願において「停止補助」は、運転者に対する報知や車両制御等を包括的に含む概念として用いている。運転者に対する報知としては、例えば、音声や画面表示等で運転者に対して注意喚起を行うことが挙げられる。車両制御としては、例えば、運転者のブレーキ操作を補助するブレーキアシスト等の操作補助を行うことや、強制的にブレーキを作動させる強制ブレーキや強制的にアクセル開度をゼロにするアクセル閉制御等の車両を停止させる方向の停止方向動作を行うことが挙げられる。
【0008】
また、本願において「赤信号」は、「赤信号」を表示している信号機に対応する停止位置を超えて車両が進行してはいけないことを意味するものであり、当然ながら、信号機の表示色は赤色に限定されず、当該意味に相当する表示状態を示すあらゆる信号を包括的に含む概念として用いている。
【0009】
上記の特徴構成によれば、車両が信号機設置地点の手前において赤信号に遭遇した赤信号遭遇状態にあるか否かを適切に判断することができる。また、赤信号遭遇状態で停止補助動作が行われないほど安全運転であることを意味するので、赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出し、それに基づく安全運転評価を行うことで、運転者に対して、赤信号遭遇状態において停止補助動作がなされないような運転操作を促すことができる。そのため、運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることができる。
【0010】
ここで、前記停止補助手段は、前記赤信号遭遇状態で車両のアクセル開度が所定値より大きい場合に、前記停止補助動作を行う構成とすると好適である。なお、所定値は、車両が一定速度で走行する状態を維持するためのアクセル開度以下に設定すると好適であり、例えば、アクセル開度ゼロとしても好適である。
【0011】
前方の信号機が赤信号を表示しているにもかかわらずアクセル開度が所定値より大きい場合は、運転者に赤信号での停止意思がないと考えられ、安全運転上問題である。この構成によれば、赤信号遭遇状態においてアクセル開度が所定値より大きい場合に停止補助動作がなされ、赤信号遭遇回数に占める停止補助回数の割合に応じて算出される停止補助割合に基づいて安全運転評価が行われるので、運転者に対してアクセル開度を小さくすることを促すことができる。そのため、車両の進行方向前方に存在する信号機が赤信号を表示している場合に、車両の加速を的確に抑制することができ、運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることができる。
【0012】
また、前記割合算出手段は、前記停止補助動作が行われた場合において、車両が前記停止補助区間より手前に設定された所定の判定位置を通過した際に前記信号情報が赤信号を示していた場合には前記停止補助割合を高くするように補正する構成とすると好適である。
【0013】
この構成によれば、車両が停止補助区間内に入る前から車両の進行方向前方の信号機が赤信号を表示していた場合には、赤信号遭遇状態で停止補助動作が行われると停止補助割合が通常より高くなり、その停止補助割合に基づいて安全運転評価が行われる。そのため、赤信号遭遇状態で不適切な運転操作がなされることを的確に抑制することができる。
【0014】
また、前記判定位置は、前記信号機設置地点に設置された信号機の表示状態を運転者が認識可能となる位置よりも進行方向前方に設定されている構成とすると好適である。
【0015】
ここで、運転者が信号機の表示状態を認識可能となる位置としては、例えば、運転者が信号機の表示状態を目視で確認できる位置としたり、音声や画面表示等で運転者が信号機の表示状態を認識可能となった位置とすることができる。この構成によれば、運転者が赤信号を認識できるか否かに基づいて前記判定位置を適切に設定することができるので、運転者の感覚に合致する適切な停止補助割合の算出を行うことができる。
【0016】
また、前記信号情報取得手段は、路車間通信により得られる情報、及び、車載カメラで信号機を撮影した画像の画像認識結果から得られる情報の一方又は双方を利用して、前記信号情報を取得する構成とすると好適である。
【0017】
この構成によれば、車両の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を的確に取得することができるため、停止補助動作を適切に行うことができ、さらに停止補助割合の信頼性を高めることができる。
【0018】
また、車両が信号機設置地点に停止した時点で前記信号情報が黄信号を示していた場合に黄信号停止と判定する黄信号停止判定手段を更に備え、前記割合算出手段は、前記黄信号停止と判定された回数である黄信号停止回数に応じて前記停止補助割合を低くするように補正する構成とすると好適である。
【0019】
なお、本願において「黄信号」は、安全に停止することができない場合を除き、「黄信号」を表示している信号機に対応する停止位置を超えて車両が進行してはいけないことを意味するものであり、当然ながら、信号機の表示色は黄色に限定されず、当該意味に相当する表示状態を示すあらゆる信号を包括的に含む概念として用いている。
【0020】
この構成によれば、前方の信号機が黄信号を表示している間に車両を停止させる黄信号停止が行われると、停止補助割合が低くなり、その停止補助割合に基づいて安全運転評価が行われる。そのため、運転者に対して、安全運転に資する操作である黄信号停止を行うことを促すことができる。
【0021】
また、車両が信号機設置地点を通過した時点で前記信号情報が黄信号を示していた場合に黄信号通過と判定する黄信号通過判定手段を更に備え、前記割合算出手段は、前記黄信号通過と判定された回数である黄信号通過回数と、前記黄信号停止回数とに応じて前記停止補助割合を補正する構成とすると好適である。
【0022】
この構成によれば、黄信号停止回数のみを用いて補正する場合に比べ、より適切に停止補助割合を補正することができる。例えば、黄信号通過回数と黄信号停止回数との和に占める、黄信号停止回数の割合を算出し、その割合に基づいて停止補助割合を補正することで、運転者の安全運転に資する操作が行われた割合を停止補助割合に適切に反映させることができる。
【0023】
また、自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することを検出する前方車両検出手段を更に備え、前記割合算出手段は、前記停止補助区間内で自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することが検出された場合には、当該停止補助区間を、前記停止補助割合を算出する対象から除外する構成とすると好適である。
【0024】
自車両の前方に他の車両が存在する場合には、当該他の車両との関係によっては停止補助区間内での運転操作が運転者の意思通りのものでない場合があり、このような場合を含めると、停止補助割合が運転者の運転操作を適切に反映しないものとなるおそれがある。そこで、上記の構成を採用することにより、算出される停止補助割合をより実情に即したものとすることができる。
【0025】
また、自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することを検出する前方車両検出手段を更に備え、前記黄信号停止判定手段は、車両が信号機設置地点に停止した時点で前記信号情報が黄信号を示していた場合でも、当該停止した時点で自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することが検出された場合には、黄信号停止ではないと判定する構成とすると好適である。
【0026】
自車両の前方に他の車両が存在する場合には、当該他の車両が黄信号停止したことにより、運転者の意思とは無関係に黄信号停止をする場合があり、このような場合を含めると、停止補助割合が運転者の運転操作を適切に反映しないものとなるおそれがある。そこで、上記の構成を採用することにより、算出される停止補助割合をより実情に即したものとすることができる。
【0027】
また、各信号機設置地点において過去に発生した事故件数の情報を取得する事故情報取得手段を更に備え、前記割合算出手段は、前記停止補助割合を算出するに際し、前記停止補助動作がなされた各信号機設置地点について、当該信号機設置地点における事故件数に応じて前記停止補助割合を補正する構成とすると好適である。
【0028】
この構成によれば、例えば、各信号機設置地点において過去に発生した事故件数が多いほど停止補助割合を高くするように補正することができる。そのため、運転者に対して、事故件数の多い信号機設置地点において、当該信号機設置地点に設置された信号機が赤信号を表示している場合に、適切な運転操作を行うためのより高い注意を促すことができる。
【0029】
また、前記停止補助割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段を更に備え、前記評価情報取得手段は、前記停止補助割合に応じて付与されるポイント、前記停止補助割合に応じた内容のアドバイス文、及び各時点での前記停止補助割合を視覚的に表すグラフの表示、の少なくとも一つの情報を前記評価情報として取得する構成とすると好適である。
【0030】
この構成によれば、停止補助割合に応じて、運転者にとって分かりやすい形態で表された評価情報が取得されるので、運転者に対して、当該評価情報に基づいて、全体的な傾向としてどの程度信号機設置地点の手前において安全に走行できているかを客観的且つ適切に知らせることができる。そのため、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることができる。
【0031】
また、前記停止補助割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段と、前記停止補助割合に関する情報を複数の車両から収集する情報収集手段とを更に備え、前記評価情報取得手段は、前記情報収集手段にて収集された情報に基づいて、他車両との比較での前記停止補助割合に関する各車両の順位、及び他車両との比較での各車両の過去の前記停止補助割合に基づいて付与される階級、の一方又は双方の情報を前記評価情報として取得する構成とすると好適である。
【0032】
この構成によれば、複数の車両から停止補助割合を収集することで他車両との比較を行い、他車両との関係での自車両の位置づけが運転者にとって分かりやすい形態で表された評価情報が取得されるので、運転者に対して、全体的な傾向としてどの程度信号機設置地点の手前において安全に走行できているかを客観的且つ適切に知らせることができる。そのため、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることができる。
【0033】
また、車両に搭載された車載端末装置と、複数の前記車載端末装置と通信可能に設けられた集中管理装置と、を有して構成され、前記車載端末装置は、当該車載端末装置が搭載された車両の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の前記停止補助割合に関する情報を前記集中管理装置へ送信し、前記集中管理装置は、前記車載端末装置から受信した前記停止補助割合に関する情報に基づいて、当該車載端末装置についての前記評価情報を生成する構成とすると好適である。
【0034】
この構成によれば、複数の車両のそれぞれに搭載された車載端末装置から停止補助割合に関する情報を集中管理装置に集め、複数の車両についての停止補助割合に関する情報に基づいて、各車載端末装置についての評価情報を生成することが可能となる。したがって、複数の車両間での比較に基づいた適切な内容の評価情報を各車載端末装置に提供することが可能となる。また、車載端末装置が搭載された車両の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の停止補助割合に関する情報を集中管理装置へ送信するため、少ない通信回数で、車両の主電源がオンされている間の停止補助割合に関する情報を集中管理装置に集めることができる。したがって、集中管理装置において多くの情報を効率的に収集することができ、より適切な評価情報を各車載端末装置に提供することが可能となる。
【0035】
以上の各構成を備えた本発明に係る安全運転評価システムの技術的特徴は、安全運転評価方法や安全運転評価プログラムにも適用可能であり、そのため、本発明は、そのような方法やプログラムも権利の対象とすることができる。
【0036】
その場合における、安全運転評価プログラムの特徴構成は、車両の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を取得する信号情報取得機能と、信号機が設置されている信号機設置地点の手前に設定された所定の停止補助区間内に車両がいることを判定する区間判定機能と、車両が前記停止補助区間内にあり、前記信号情報が赤信号を示している状態を赤信号遭遇状態と判定する赤信号判定機能と、前記赤信号遭遇状態での車両の運転操作に基づいて、運転者に対して前記信号機設置地点で車両を停止させるための停止補助動作を行う停止補助機能と、前記赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、前記停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する割合算出機能と、をコンピュータに実現させる点にある。
【0037】
当然ながら、この安全運転評価プログラムも上述した安全運転評価システムに係る作用効果を得ることができ、更に、その好適な構成の例として挙げたいくつかの付加的技術を組み込むことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明に係る安全運転評価システムを、車載用のナビゲーション装置1と、複数のナビゲーション装置1と通信可能に設けられた集中管理サーバ2と、により構成する場合を例として説明する。図1は、このナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。この安全運転評価システムを構成するナビゲーション装置1は、車両3が信号機設置地点の手前において赤信号に遭遇した赤信号遭遇状態にあるか否かを判定し、赤信号遭遇状態にあると判定された場合には、車両3のアクセル開度に基づき、運転者の操作が車両3を赤信号で停止させるという観点から見て適切なものであるか否かを判定する。そして、運転者の操作が適切なものでないと判定された場合には、信号機設置地点で車両3を停止させるための停止補助動作を行う。なお、本実施形態においては、停止補助動作として、運転者に対して音声による注意喚起を行う。さらに、車両3が赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて算出される停止補助割合に基づいて評価情報61(図4及び図5を参照)を取得して出力する。この評価情報61は、停止補助割合が低いほど良い評価となる。これにより、ナビゲーション装置1を搭載した車両3の運転者は、当該評価情報61に基づいて、全体的な傾向としてどの程度信号機設置地点の手前において安全に走行できているかを客観的に知ることができる。したがって、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識及び安全運転技術の向上を図ることができる。
【0039】
図2は、集中管理サーバ2の概略構成を示すブロック図である。集中管理サーバ2は、複数の車両3のそれぞれに搭載された複数のナビゲーション装置1から情報を収集して集計する。そして、収集した情報から評価情報61を生成し、各ナビゲーション装置1に配信する。本実施形態においては、ナビゲーション装置1が本発明における「車載端末装置」に相当し、集中管理サーバ2が本発明における「集中管理装置」及び「情報収集手段」に相当する。
【0040】
1.ナビゲーション装置の構成
まず、ナビゲーション装置1の構成について説明する。図1に示すナビゲーション装置1の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション装置1は、送受信部11、自車位置情報取得部12、運転状況取得部14、画像処理部6、前方車両検出部7、信号情報取得部8、路車間通信部9、ナビゲーション用演算部13、通知処理部16、主電源監視部28、送信処理部29、更新処理部30、区間判定部10、赤信号判定部15、黄信号通過判定部17、黄信号停止判定部18、地点情報取得部19、割合算出部22、及び評価情報取得部23を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、地図データベース31は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等の記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。また、メモリ32は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体をハードウェア構成として備えている。このメモリ32は、地図データベース31が書き換え可能な記録媒体で構成される場合には、地図データベース31と共通の記録媒体内に設けられても良い。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0041】
1−1.地図データベース
地図データベース31は、地図データ34が記憶されたデータベースである。地図データ34は、複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードと、各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータを含んでいる。また、地図データ34は、道路ネットワークデータの他に、ナビゲーション用演算部13による地図表示処理に必要な描画情報や経路案内処理に必要な各種の案内情報等を含んでいる。ここで、描画情報には、道路形状、建物、河川等を表示するために必要な背景情報、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字情報等が含まれる。また、地図データベース31に格納された地図データ34には、この他にも、信号機の設置されている地点(以下、「信号機設置地点」とする)の位置を表す情報が含まれる。信号機設置地点の位置を表す情報は、例えば、信号機が設置されている交差点に対応するノードに付加情報(例えば、信号機の有無を示すフラグ)として記憶させたり、当該ノードに接続されているリンクが有する属性情報(例えば、一方側のリンク端に信号機がある旨の情報)として記憶させることができる。
【0042】
1−2.送受信部
送受信部11は、無線基地局等を介して集中管理サーバ2との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。このような無線通信方法としては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。本実施形態においては、送受信部11は、後述するように、停止補助割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する。また、送受信部11は、集中管理サーバ2から順位情報65や階級情報66等のような他の車両3との比較による評価情報61(図4及び図5を参照)を受信する他、メモリ32に記憶された補正規則40やポイント規則38、アドバイスデータ37を更新するための更新情報も受信する。これらの点については後述する。更に、送受信部11は、集中管理サーバ2から各信号機設置地点に関する情報である地点情報を受信し、地点情報取得部19へ出力する。地点情報には、各信号機設置地点において過去に発生した事故件数の情報である事故情報が含まれ、当該情報は事故情報取得部20へ出力される。
【0043】
1−3.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部12は、自車両3の現在位置を示す自車位置情報を取得する機能部である。ここでは、自車位置情報取得部12は、GPS受信機41、方位センサ42及び距離センサ43に接続されている。ここで、GPS受信機41は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部12へ出力される。自車位置情報取得部12では、GPS受信機41で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、現在の自車位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ42は、自車両3の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ42は、例えば、ジャイロスコープや、地磁気センサ等により構成される。そして、方位センサ42は、その検出結果を自車位置情報取得部12へ出力する。距離センサ43は、自車両3の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ43は、例えば、車両3のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両3の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ43は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部12へ出力する。
【0044】
自車位置情報取得部12は、これらのGPS受信機41、方位センサ42及び距離センサ43からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部12は、地図データベース31に記憶された地図データ34に基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより自車位置を地図データ34に示される道路上に合わせる補正も行う。このようなマップマッチング処理による自車位置情報の補正結果は自車位置情報に反映される。このようにして、自車位置情報取得部12は、座標(緯度及び経度)で表された現在の自車位置及びその進行方位の情報を含む自車位置情報を取得する。
【0045】
1−4.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部13は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するためにアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理手段である。例えば、ナビゲーション用演算部13は、地図データベース31から自車両周辺の地図データ34を取得して表示入力装置47に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報に基づいて自位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部13は、公知の方法により計算された出発地から目的地までの経路と自車位置情報とに基づいて、表示入力装置47及び音声出力装置48の一方又は双方を用いて進路案内を行う。また、表示入力装置47は、評価情報取得部23から入力される評価情報61(詳しくは後述する)を出力する。なお、ナビゲーション用演算部13は、この他にも、リモートコントローラや表示入力装置47と一体的に設けられたタッチパネルなどのユーザインタフェース等、ナビゲーション装置1として必要な公知の各種構成に接続されている。
【0046】
1−5.運転状況取得部
運転状況取得部14は、車両3の運転状況を取得する機能部である。本実施形態においては、運転状況取得部14は、アクセル開度センサ44と接続されている。ここで、アクセル開度センサ44は、アクセルペダルの踏み込み量からアクセル開度を検出するためのセンサである。アクセル開度は、アクセル全閉の場合をアクセル開度0〔%〕、アクセル全開の場合をアクセル開度100〔%〕として取得される。なお、このアクセル開度に関する情報は、通知処理部16へ出力され、停止補助動作である注意喚起を行うか否かの判定に用いられる。
なお、運転状況取得部14には、さらに、ブレーキ油圧からブレーキ操作量を検出するためのセンサであるブレーキ操作量センサや、車両3の車輪に駆動連結された駆動軸の回転速度等から車速を検出する車速センサを接続させることもできる。
【0047】
1−6.区間判定部
区間判定部10は、信号機設置地点の手前に設置された所定の停止補助区間内に車両3が存在するか否かを判定する区間判定手段として機能する。区間判定部10は、地図データベース31に格納された信号機設置地点の位置を表す情報と自車位置情報取得部12により取得された自車位置情報とに基づいて、自車両3が停止補助区間A2の内部にいるかどうかを判定する。ここで、停止補助区間A2は、図3に示すように、信号機設置地点を基点として、車両3の進行方向に対して手前側(車両3の後方側)に設定されている。本実施形態においては、停止補助区間A2の距離は、一例として、100mに設定されている。なお、停止補助区間A2の距離は、信号機設置地点において車両3を停止させるための停止補助動作を有効に行うために必要となる距離に適宜設定される。例えば、10mから100mの間から選択した値を設定することができる。
そして、区間判定部10は、車両3が停止補助区間A2の内部に存在すると判定された場合、その情報を赤信号判定部15へ出力するように構成されている。
【0048】
区間判定部10は、さらに、停止補助区間A2より車両3の進行方向に対して手前側(車両3の後方側)に設定される判定位置A1(図3参照)を車両3が通過したか否かの判定も行うように構成されている。本実施形態においては、判定位置A1と信号機設置地点との間の距離は、一例として、200mに設定されている。なお、判定位置A1の位置は、停止補助区間A2の手前側の端部より手前側で、且つ運転者が信号機設置地点に設置されている信号機の表示状態を目視で認識可能となる位置よりも進行方向前方に適宜設定される。
そして、区間判定部10は、車両3が判定位置A1を通過した際、車両3が判定位置A1を通過したことを示す情報を、赤信号判定部15へ出力するように構成されている。
【0049】
1−7.信号情報取得部
信号情報取得部8は、車両3の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を取得する信号情報取得手段として機能する。本実施形態においては、ナビゲーション装置1は路車間通信部9を備え、信号情報取得部8は、路車間通信部9を介して信号情報を取得するように構成されている。
路車間通信部9は、道路側に設置された通信装置との間で通信を行う機能部であり、車両3が信号機設置地点に差し掛かった際に、車両3の進行方向に対応する信号機の表示状態を示す信号情報を取得可能に構成されている。なお、本実施形態においては、道路側に設置された通信装置との間の通信は、送受信部11を介して行うように構成されている。そして、路車間通信部9により取得された信号機の表示状態に関する信号情報は、信号情報取得部8へ出力される。
【0050】
1−8.前方車両検出部
前方車両検出部7は、車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在することを検出する前方車両検出手段として機能する。本実施形態においては、ナビゲーション装置1は画像処理部6を備え、前方車両検出部7は、画像処理部6から入力される情報を基に、前方の所定距離内に他の車両3が存在することを検出するように構成されている。なお、所定距離としては、例えば、0mから100mの間から選択した値を適用することができる。
画像処理部6は、車両3が備える車載カメラ5が撮影した画像に対して画像処理を施す機能部である。本実施形態においては、車載カメラ5は、車両3の進行方向前方を撮影可能に設置されており、車両3の進行方向前方を撮影した画像を画像処理部6へ出力可能に構成されている。そして、画像処理部6は、車載カメラ5から入力された画像に画像処理を施すことで、車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在するか否かを判定可能に構成されている。そして、他の車両3が存在すると判定された場合には、画像処理部6は、その情報を前方車両検出部7へ出力するように構成されている。
そして、前方車両検出部7は、前方の所定距離内に他の車両3が存在することを検出した場合は、後述する通知処理部16や黄信号停止判定部18へ、前方の所定距離内に他の車両3が存在することを示す情報を出力するように構成されている。
なお、前方車両検出部7は、車両3がミリ波レーダを備えている場合には、ミリ波レーダからの信号を利用して、車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在することを検出する構成としても良い。
【0051】
1−9.赤信号判定部
赤信号判定部15は、車両3が停止補助区間内にあり、信号情報が赤信号を示している状態を赤信号遭遇状態と判定する赤信号判定手段として機能する。区間判定部10より車両3が停止補助区間A2の内部に存在することを示す情報が入力されると、赤信号判定部15は、信号情報取得部8から前方の信号機設置地点に設置された信号機の信号情報を取得する。そして、当該信号機が赤信号を表示している場合には、赤信号判定部15は、車両3が赤信号遭遇状態にあると判定する。そして、赤信号判定部15は、車両3が赤信号遭遇状態にあることを示す情報を、割合算出部22、及び、停止補助動作である注意喚起を行うか否かの判定を行う通知処理部16へ出力する。
【0052】
また、赤信号判定部15は、車両3が判定位置A1を通過した際に、前方の信号機設置地点に設置されている信号機が赤信号を表示していたか否かを判定する機能も有している。区間判定部10より車両3が判定位置A1を通過したことを示す情報が入力されると、赤信号判定部15は、信号情報取得部8から前方の信号機設置地点に設置されている信号機の信号情報を取得する。そして、車両3が判定位置A1を通過した時点で当該信号機が赤信号を表示していたか否かに関する情報を、割合算出部22へ出力する。
【0053】
1−10.黄信号通過判定部
黄信号通過判定部17は、車両3が信号機設置地点を通過した時点で当該信号機設置地点に設置されている信号機が黄信号を示していた場合に、黄信号通過と判定する黄信号通過判定手段として機能する。黄信号通過判定部17は、地図データベース31に格納された信号機設置地点の位置を表す情報と自車位置情報取得部12により取得された自車位置情報とに基づいて、車両3が信号機設置地点を通過したか否かを判定する。そして、車両3が信号機設置地点を通過したと判定された場合には、車両3が信号機設置地点を通過した時点の信号機の信号情報を信号情報取得部8から取得する。そして、車両3が信号機設置地点を通過した時点で当該信号機が黄信号を表示していた場合には、黄信号通過判定部17は、車両3が黄信号通過を行ったと判定し、黄信号通過と判定された回数である黄信号通過回数に「1」を加算して更新する。なお、黄信号通過回数に関する情報は、黄信号通過判定部17が参照及び更新可能な形態でメモリ32に記憶されている。
【0054】
1−11.黄信号停止判定部
黄信号停止判定部18は、車両3が信号機設置地点に停止した時点で当該信号機設置地点に設置されている信号機が黄信号を示していた場合に、黄信号停止と判定する黄信号停止判定手段として機能する。なお、本実施形態においては、車両3が信号機設置地点に停止するとは、停止補助区間A2の内部において車両3の車速がゼロになったことを意味する。なお、車速がゼロになったか否かの判定は、距離センサ43により検出され自車位置情報取得部12に入力された車両3の車速の情報に基づき行う。そして、車両3が信号機設置地点に停止したと判定された場合には、その時点の信号機の信号情報を信号情報取得部8から取得し、当該信号機が黄信号を表示していた場合には、黄信号停止判定部18は、車両3が黄信号停止を行ったと判定する。そして、黄信号停止判定部18は、黄信号停止と判定した場合には、黄信号停止と判定された回数である黄信号停止回数に「1」を加算し更新する。なお、黄信号停止回数に関する情報は、黄信号停止判定部18が参照及び更新可能な形態でメモリ32に記憶されている。
なお、本実施形態においては、車両3が信号機設置地点に停止した時点で、前方車両検出部7が車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在することを検出している場合は、黄信号停止判定部18は、信号機が黄信号を表示していた場合であっても黄信号停止ではないと判定するように構成されている。
なお、車両3が信号機設置地点に停止したか否かの判定は、停止補助区間A2とは異なる区間の内部において車両3の車速がゼロになったか否かに基づき行う構成としても良い。例えば、信号機設置地点を基点としてその手前に設定される区間の距離として、停止補助区間A2の距離とは異なる値を、10mから100mの間から選択することができる。
【0055】
1−12.通知処理部
通知処理部16は、運転者に対して、所定の条件を満たす場合に停止補助動作としての注意喚起を行なう停止補助手段として機能する。本実施形態においては、通知処理部16は、赤信号判定部15より赤信号遭遇状態にあるという情報が入力された場合に、運転状況取得部14より現在の車両3のアクセル開度を取得する。そして、当該アクセル開度に基づいて、運転者の操作が車両3を赤信号で停止させるという観点から見て適切なものであるか否かを判定し、当該操作が不適切なものであると判定される場合に、音声出力装置48を介して運転者に対して注意喚起の音声案内を行う。そして、停止補助動作である注意喚起を行ったという情報を、後述する割合算出部22へ出力する。
【0056】
具体的には、赤信号遭遇状態において車両3のアクセル開度が所定値より大きい場合に、通知処理部16は、音声出力装置48を介して注意喚起の音声案内を行う。なお、所定値は、車両が一定速度で走行する状態を維持するためのアクセル開度以下に設定すると好適であり、例えば、所定値をアクセル開度ゼロとしても好適である。例えば、アクセル開度が0〔%〕を所定値としたり、アクセル開度が10〔%〕を所定値とすることができ、適宜変更可能である。本実施形態においては所定値を0〔%〕とし、アクセル開度がゼロでない場合に注意喚起が行われる構成となっている。一方、赤信号遭遇状態においてアクセル開度が所定値より大きくない場合は、通知処理部16は、適切な運転操作がなされていると判定し、注意喚起の音声案内はなされない。なお、注意喚起を行うに際しては、表示入力装置47を介した文字やアイコン表示等による案内を行う構成や、文字やアイコン表示等による案内と音声案内とを併用する構成としても良い。
【0057】
なお、通知処理部16は、車両3が信号機設置地点の手前に設定された停止補助区間A2の内部に存在する間は、赤信号遭遇状態であるという情報が赤信号判定部15から入力される度に、注意喚起を行うか否かの判定を繰り返し行うように構成されている。そして、一度停止補助動作である注意喚起がなされると、当該停止補助区間A2における判定は終了し、車両3が再度別の信号機設置地点に差し掛かるまでの間は、通知処理部16による判定は行われない。
【0058】
また、通知処理部16は、赤信号遭遇状態において、前方車両検出部7から前方の所定距離内に他の車両3が存在するという情報が入力された場合には、当該停止補助区間A2における上記の判定を中止するとともに、割合算出部22へその情報を出力し、当該停止補助区間A2を停止補助割合を算出する対象から除外するように構成されている。
【0059】
また、通知処理部16は、車両3が判定位置A1を通過した時点や、車両3が停止補助区間A2内に進入した時点で、前方に信号機が設置されている旨の案内や、前方の信号機の表示状態を案内するように構成しても良い。さらに、通知処理部16は、上記の案内に加え、各信号機設置地点に関する地点情報としての事故情報を併せて通知するように構成しても良い。この事故情報は、送受信部11を介して集中管理サーバ2から受信され、事故情報取得部20を含む地点情報取得部19により取得される。また、事故情報が地図データベース31に地図データ34と関連付けて格納されている場合は、事故情報取得部20は、地図データベース31から事故情報を読み出して取得する構成としても良い。
【0060】
1−13.割合算出部
割合算出部22は、車両3が赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、停止補助動作である注意喚起がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する割合算出手段として機能する。本実施形態においては、赤信号遭遇回数、停止補助回数、及び、停止補助割合に関する情報は、割合算出部22が参照及び更新可能な形態でメモリ32に記憶されている。
【0061】
割合算出部22は、赤信号判定部15より車両3が赤信号遭遇状態にあるという情報が入力されると、赤信号遭遇回数を更新する。なお、赤信号遭遇回数を一度更新すると、車両3が停止補助区間A2の外部に出るまでの間は、赤信号遭遇回数の更新を再度行わないように構成されている。また、割合算出部22は、通知処理部16より停止補助動作である注意喚起を行ったという情報が入力されると、停止補助回数を更新する。そして、赤信号遭遇回数や停止補助回数が更新されると、割合算出部22は、赤信号遭遇回数に占める停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する。本実施形態においては、車両3の走行に伴って、赤信号遭遇回数や停止補助回数が更新される度に、停止補助割合を最新のものに更新するように構成されている。
なお、本実施形態においては、以下に述べるように、車両3が判定位置A1を通過した時点で、前方の信号機設置地点に設置されている信号機が赤信号を表示していたという情報が入力された場合、停止補助割合を算出するに際し補正を行うように構成されている。
【0062】
割合算出部22は、赤信号判定部15より、車両3が判定位置A1を通過した時点で前方の信号機設置地点に設置されている信号機が赤信号を表示していたという情報が入力されると、当該信号機に対応する停止補助区間A2の内部で停止補助動作が行われた場合に、停止補助割合を高くするように補正する。本実施形態においては、割合算出部22は、停止補助回数が通常より大きくなるように補正することで、それに基づき算出される停止補助割合が高くなるように補正される。この補正は、以下に述べるように補正係数を用いて行われる。
【0063】
補正係数はメモリ32に記憶されているパラメータであり、同じくメモリ32に記憶されている補正規則40に基づいて値が設定されように構成されている。割合算出部22は、赤信号判定部15より入力される、車両3が判定位置A1を通過した時点で当該信号機が赤信号を表示していたか否かに関する情報に基づき、補正係数を補正規則40に基づき設定する。なお、本実施形態においては、補正規則40は、車両3が判定位置A1を通過する際に信号機が赤信号を表示していた場合には補正係数を「1.2」とし、赤信号を表示していなかった場合は補正係数を「1.0」とする規則となっている。なお、上記の「1.2」及び「1.0」という数値はあくまで例示であり、それぞれの場合において補正係数をどのように設定するかは、適宜変更可能である。
【0064】
そして、割合算出部22は停止補助回数を更新するに際し、「1」と補正係数との積を、更新前の停止補助回数に加算することで停止補助回数の更新を行う。一方、赤信号遭遇回数を更新する際には補正を行わず、更新前の赤信号遭遇回数に「1」を加算することで赤信号遭遇回数の更新を行う。このように停止補助回数及び赤信号遭遇回数を更新することで、車両3が判定位置A1を通過する際に信号機が赤信号を表示していた場合には、停止補助動作がなされた場合に停止補助回数の増分が大きくなる方向に補正され、その結果、赤信号遭遇回数に占める停止補助回数の割合である停止補助割合を高くするように補正することができる。
【0065】
割合算出部22は、以下の式(1)を用いて赤信号遭遇回数に占める停止補助回数の割合である停止補助割合を算出する。
停止補助割合〔%〕=(停止補助回数)/(赤信号遭遇回数)×100
・・・(1)
このようにして算出される停止補助割合は、赤信号遭遇状態において、運転者の操作が車両3を信号機設置地点で停止させるという観点から見て適切なものではなかった割合を表すものとなっている。逆に言えば、停止補助割合をX〔%〕とすると、(100−X)〔%〕で表される割合が、赤信号遭遇状態において、運転者の操作が車両3を信号機設置地点で停止させるという観点から見て適切なものであった割合を表すものとなっている。したがって、停止補助割合が小さいほどより安全な運転をしていると評価されることになる。
【0066】
さらに、本実施形態においては、割合算出部22は、黄信号通過回数、及び黄信号停止回数に基づいて停止補助割合を補正するように構成されており、黄信号通過回数や黄信号停止回数が更新される度に、停止補助割合を最新のものに更新する。具体的には、以下の式(2)より黄信号停止割合を算出し、黄信号停止割合と所定の係数との積を、停止補助割合から減算することで停止補助割合を更新する。なお、所定の係数に関する情報は、メモリ32に記憶されている補正規則40が備えている。
黄信号停止割合〔%〕
=(黄信号停止回数)/(黄信号停止回数+黄信号通過回数)×100
・・・(2)
【0067】
なお、割合算出部22により参照される補正規則40は、集中管理サーバ2から受信した更新情報により更新可能とされている。この更新処理は、更新処理部30により行われる。すなわち、更新処理部30は、送受信部11を介して集中管理サーバ2から補正規則40の更新情報を受信した場合には、当該更新情報に基づいて、メモリ32に記憶された補正規則40を更新する。これにより、例えば、これまでに取得した総ポイント(後述する)や運転者の技能レベル、運転歴等に基づいて停止補助割合がより適切な値となるように規則を随時変更すること等が可能となる。
【0068】
1−14.評価情報取得部
評価情報取得部23は、割合算出部22により算出された停止補助割合に基づいて評価情報61を取得する評価情報取得手段として機能する。ここでは図1に示すように、評価情報取得部23は、ポイント算出部24、グラフ生成部25、アドバイス文取得部26及び外部情報取得部27を備えている。そして、評価情報取得部23は、評価情報61として、ポイント情報62、アドバイス文情報、評価グラフ情報64、順位情報65及び階級情報66を取得する。また、メモリ32には、評価情報取得部23により参照されるポイント規則38及びアドバイスデータ37が記憶されている。図4及び図5は、評価情報取得部23により取得された評価情報61を、表示入力装置47に表示する際の画面の一例を示している。なお、アドバイス文情報については図示を省略している。ここで、図4は、これまでの停止補助割合に関して総合的に評価した結果を表示するための総合評価画面の一例であり、図5は、車両3の走行中における停止補助割合の変化を逐次表すための評価グラフ情報64を表示した案内画面の一例である。なお、図5の例では、評価グラフ情報64の他に、階級情報66と経路案内のための案内地図とが表示されている。
【0069】
ポイント算出部24は、停止補助割合に応じて付与されるポイントを算出する。この際、ポイント算出部24は、メモリ32に記憶されたポイント規則38を参照し、当該ポイント規則38に従って付与されるポイントの算出を行う。このポイント規則38は、割合算出部22により算出された停止補助割合と付与されるポイントとの関係を規定した規則である。本実施形態においては、一例として、ポイント規則38は、停止補助割合をX〔%〕とすると、(100−X)〔%〕を求め、1〔%〕につき1ポイントを付与するという規則となっている。ただし、停止補助割合を算出するための停止補助回数が補正されたことにより、割合算出部22によって車両3の主電源のオンからオフまでの一走行毎に算出される停止補助割合が100〔%〕を超えた場合には、0ポイントが付与される(言い換えれば、ポイントは付与されない)という規則となっている。或いは、(X−100)〔%〕を求め、1〔%〕につき1ポイントを剥奪するという規則としても良い。逆に、割合算出部22によって車両3の主電源のオンからオフまでの一走行毎に算出される停止補助割合が0〔%〕を下回る場合がある。例えば、停止補助回数が少なく、黄信号停止回数が多い場合などには、停止補助割合が0〔%〕を下回ることがある。そのような場合には、100ポイントが付与される規則としても良いし、100ポイント以上のポイントを付与する構成としても良い。
【0070】
また、ポイント算出部24は、上記のように算出された一走行毎のポイントを積算し、これまでに取得した総ポイントを算出する。総ポイントは、所定期間毎、例えば一年毎に積算及び集計され、年が変われば再度ゼロから積算される構成とし、或いはこれまでに取得した全てのポイントの積算値とされる。ポイント算出部24により算出された一走行毎のポイント及び総ポイントは、車両ポイントデータ39としてメモリ32に記憶される。そして、ポイント算出部24は、メモリ32に記憶された車両ポイントデータ39に基づいて、前回の走行により取得したポイント(前回取得ポイント)及び総ポイントを表すポイント情報62を表示入力装置47に表示させる。図4に示す例では、このようなポイント情報62を総合評価画面の一部に表示している。
【0071】
ポイント算出部24により参照されるポイント規則38は、集中管理サーバ2から受信した更新情報により更新可能とされている。この更新処理は、更新処理部30により行われる。すなわち、更新処理部30は、送受信部11を介して集中管理サーバ2からポイント規則38の更新情報を受信した場合には、当該更新情報に基づいて、メモリ32に記憶されたポイント規則38を更新する。これにより、例えば、付与されるポイントがより適切な値となるように規則を随時変更することや、期間限定で付与されるポイントを多くするように規則を変更すること等が可能となる。なお、上記ポイント規則38の内容は単なる一例であり、この規則の内容は任意に設定することが可能である。したがって、例えば、車両3が一走行で移動した距離に応じて、同じ停止補助割合であっても付与されるポイントを変えるようにポイント規則38を設定しても好適である。
【0072】
グラフ生成部25は、停止補助割合に基づいて導出される、信号機設置地点を安全に運転している割合を表す安全運転割合を、各時点において視覚的に表すグラフ表示を生成する。安全運転割合〔%〕は、停止補助割合をX〔%〕とすると(100−X)〔%〕として導出される。ただし、補正により、停止補助割合が100〔%〕を超えた場合には、安全運転割合は0〔%〕とされ、逆に、停止補助割合が0〔%〕を下回った場合は、安全運転割合は100〔%〕とされる。グラフ生成部25は、具体的には、図5に示すように、車両3の走行中における安全運転割合の変化を逐次表すための評価グラフ情報64を生成する。また、グラフ生成部25は、生成した評価グラフ情報64を表示入力装置47に表示させる。この評価グラフ情報64は、安全運転割合の現在値のグラフと、安全運転割合の過去平均値のグラフとを有して構成され、互いに対比可能な状態となるように隣接配置されている。ここで、安全運転割合の現在値のグラフは、主電源のオンから現時点までの間に走行した経路についての安全運転割合を、車両3の走行に伴って逐次更新しながら表示するためのグラフである。また、安全運転割合の過去平均値のグラフは、主電源のオンからオフまでの間に走行した経路についての安全運転割合についての過去の情報の平均値を表示するためのグラフであり、車両3の一走行毎に値が更新される。図示の例では、両グラフは、いずれも棒グラフとされている。なお、過去の安全運転割合の情報としては、ナビゲーション装置1において記憶され、或いは集中管理サーバ2において車両3毎に記憶された情報が用いられる。
【0073】
アドバイス文取得部26は、停止補助割合に応じた内容のアドバイス文情報を取得する。ここでは、アドバイス文取得部26は、メモリ32に格納されたアドバイスデータ37から停止補助割合に応じた内容のアドバイス文情報を読み出して取得する。また、アドバイス文取得部26は、取得したアドバイス文情報を表示入力装置47に表示させる。アドバイス文情報は、停止補助割合に応じて、停止補助割合に応じた評価の内容を運転者に伝えるための文章の情報である。例えば、停止補助割合が低い場合には、そのことを褒める内容の文章がアドバイス文情報として取得され、停止補助割合が高い場合には、信号機設置地点を走行する際の運転者の安全運転意識の向上を促す内容の文章がアドバイス文情報として取得される。
【0074】
メモリ32に格納されたアドバイスデータ37は、集中管理サーバ2から受信した更新情報により更新可能とされている。この更新処理は、更新処理部30により行われる。すなわち、更新処理部30は、送受信部11を介して集中管理サーバ2からアドバイスデータ37の更新情報を受信した場合には、当該更新情報に基づいて、メモリ32に記憶されたアドバイスデータ37を更新する。これにより、例えば、運転者の運転操作傾向や運転歴等に応じてアドバイス文情報の内容を変更する等のように、アドバイス文情報の内容をより適切なものに随時変更することが可能となる。
【0075】
外部情報取得部27は、車両3の外部に設けられた集中管理サーバ2からの評価情報61を取得するための処理を行う。具体的には、外部情報取得部27は、送受信部11を介して集中管理サーバ2と通信を行い、順位情報65や階級情報66等の他車両3との比較による評価情報61を受信する。後述するように、集中管理サーバ2は、複数の車両3に搭載されたナビゲーション装置1と通信可能に設けられ、これら複数の車両3から停止補助割合に関する情報を収集して集計する。本実施形態においては、集中管理サーバ2は、各車両3のナビゲーション装置1から停止補助割合に応じて付与されるポイント、並びに停止補助割合を算出する際の元情報となる赤信号遭遇回数、補正後の停止補助回数、黄信号停止回数、及び黄信号通過回数の情報を収集して集計し、その集計結果として順位情報65及び階級情報66を生成する。各ナビゲーション装置1の外部情報取得部27は、このように生成された順位情報65及び階級情報66を集中管理サーバ2に対して所定のタイミングで要求し、取得する。本実施形態においては、外部情報取得部27は、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の主電源がオンされた時に、集中管理サーバ2に対して順位情報65及び階級情報66を要求する。
【0076】
順位情報65は、他車両3との比較での停止補助割合、或いはこれに基づいて導出される安全運転割合に関する各車両3の順位を表す情報である。この順位情報65としては、例えば、各車両3の所定期間内での停止補助割合等の平均値の順位や、各車両3が所定期間内で取得したポイント合計の順位等の情報とすることができる。ここで、所定期間としては、例えば、一年、一月、一週間、一日等のように、各種の期間を設定することができる。そして、外部情報取得部27は、取得した順位情報65を表示入力装置47に表示させる。本実施形態においては、図4の例に示すように、順位情報65は、各車両3が月毎に取得したポイント合計の他車両3との比較での順位、及び当該順位が前月に対して上昇したか下降したかを示す矢印画像を含んでいる。
【0077】
階級情報66は、他車両3との比較での各車両3の過去の停止補助割合、或いはこれに基づいて導出される安全運転割合に基づいて付与される階級を表す情報である。この階級情報66としては、例えば、各車両3の所定期間内での停止補助割合等の平均値の順位や、各車両3が所定期間内で取得したポイント合計の順位、各車両3がこれまでに取得した総ポイント等に応じて、各車両3を複数の階級に区分した際における各車両3の属する階級の情報とすることができる。本実施形態においては、階級情報66は、所定期間(例えば1年間)に取得したポイント合計の順位に応じて、現在の階級を上下させることにより決定される。ここで、階級としては、例えば、A、B、C、・・・の区分や、1、2、3、・・・の区分等を用いることができる。そして、外部情報取得部27は、取得した階級情報66を表示入力装置47に表示させる。本実施形態においては、図4の例に示すように、階級情報66は、A、B、C、・・・の階級を用いており、図示の例では車両3は「B」階級に属することが表示されている。
【0078】
1−15.主電源監視部
主電源監視部28は、車両3の主電源スイッチ4の状態を監視する主電源監視手段として機能する。そして、主電源スイッチ4がオンされて車両3の各部に電力が供給されている状態を主電源のオン状態と判定し、主電源スイッチ4がオフされて車両3の各部に電力が供給されていない状態を主電源のオフ状態と判定する。
【0079】
1−16.送信処理部
送信処理部29は、所定のタイミングで停止補助割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する処理を行う。より具体的には、送信処理部29は、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の停止補助割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する処理を行う。主電源のオン及びオフは、主電源監視部28により判定される。本実施形態においては、送信処理部29は、主電源のオンからオフまでの停止補助割合に応じて付与される一走行毎のポイント情報、並びに停止補助割合を算出する際の元情報となる赤信号遭遇回数、補正後の停止補助回数、黄信号停止回数、及び黄信号通過回数の情報を、集中管理サーバ2へ送信する。
【0080】
2.集中管理サーバの構成
次に、集中管理サーバ2の構成について説明する。図2に示すように、集中管理サーバ2は、複数の車両3のそれぞれに搭載された複数のナビゲーション装置1と通信可能に設けられている。そして、集中管理サーバ2は、各ナビゲーション装置1から停止補助割合に関する情報を収集して集計するとともに、集計した情報に基づいて各ナビゲーション装置1についての評価情報61を生成する。また、集中管理サーバ2は、各ナビゲーション装置1からの要求に従って、生成した評価情報61を配信する。
【0081】
図2に示す集中管理サーバ2の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、集中管理サーバ2は、送受信部52、格納処理部53、集計処理部54、及び配信処理部55を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、前記演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、ユーザデータベース51は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係る集中管理サーバ2の各部の構成について詳細に説明する。
【0082】
2−1.送受信部
送受信部52は、無線基地局等を介して複数の車両3に搭載されたナビゲーション装置1との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。この無線通信方法には、ナビゲーション装置1の送受信部11と共通のものが使用される。上記のとおり、本実施形態においては、送受信部52は、停止補助割合に関する情報、具体的には、停止補助割合に応じて付与されるポイント、並びに停止補助割合を算出する際の元情報となる赤信号遭遇回数、補正後の停止補助回数、黄信号停止回数、及び黄信号通過回数の情報をナビゲーション装置1から受信する。また、送受信部52は、順位情報65や階級情報66等の他の車両3との比較による評価情報61、及びナビゲーション装置1のメモリ32に記憶された補正規則40やポイント規則38、アドバイスデータ37を更新するための更新情報をナビゲーション装置1へ送信する。
【0083】
2−2.格納処理部
格納処理部53は、送受信部52により各車両3に搭載されたナビゲーション装置1から受信した停止補助割合に関する情報を、車両3毎に区分してユーザデータベース51に格納する処理を行う。上記のとおり、本実施形態においては、停止補助割合に関する情報には、停止補助割合に応じて付与されるポイント、並びに停止補助割合を算出する際の元情報となる赤信号遭遇回数、補正後の停止補助回数、黄信号停止回数、及び黄信号通過回数の情報が含まれる。ここで、停止補助割合に応じて付与されるポイントの情報は、具体的には、主電源のオンからオフまでの停止補助割合に応じて付与される一走行毎のポイント情報である。また、赤信号遭遇回数、補正後の停止補助回数、黄信号停止回数、及び黄信号通過回数の情報についても、主電源のオンからオフまでの一走行毎の情報である。これらの情報は、各車両3において主電源がオフされた時に、当該車両3の一走行毎の情報としてナビゲーション装置1から送信され、送受信部52において受信される。格納処理部53は、受信した停止補助割合に関する情報を、各車両3の識別情報及び受信日時の情報と関連付けた状態で、ユーザデータベース51に格納する。ここで、各車両3の識別情報としては、例えば、各車両3又は各ナビゲーション装置1の識別コードや各車両3のナンバープレートの番号等を用いることができる。
【0084】
2−3.集計処理部
集計処理部54は、ユーザデータベース51に記憶された車両3毎の停止補助割合に関する情報を集計し、各車両3(各ナビゲーション装置1)についての評価情報61を生成する処理を行う。具体的には、集計処理部54は、各車両3から受信した一走行毎のポイントの情報を所定期間毎に集計し、複数の車両3を比較したポイント合計の順位を表す順位情報65を生成する。本実施形態においては、集計処理部54は、各車両3が月毎に取得したポイントの合計を演算し、他車両3との比較での順位を表す順位情報65を生成する。更に、集計処理部54は、各車両3が所定期間内で取得したポイントを集計し、その集計結果に応じて付与される階級を表す階級情報66を生成する。本実施形態においては、集計処理部54は、所定期間(例えば1年間)に取得したポイント合計の順位に応じて、順位が高ければ階級を上昇させ、順位が低ければ階級を下降させることにより、各車両3の階級を決定する。なお、最初に所定期間が経過するまでの階級は、最も低い階級や中間の階級等、任意に設定することができる。生成された順位情報65及び階級情報66は、各車両3の識別情報と関連付けた状態で、ユーザデータベース51に格納される。
【0085】
また、集計処理部54は、各車両3から受信した一走行毎のポイントの情報を車両3毎に積算し、これまでに取得した総ポイントを算出をする。上記のとおり、総ポイントは、所定期間毎に積算された積算値とされ、或いはこれまでに取得した全てのポイントの積算値とされる。算出された総ポイントの情報は、各車両3の識別情報と関連付けた状態で、ユーザデータベース51に格納される。このようにユーザデータベース51に格納される総ポイントの情報は、各ナビゲーション装置1のメモリ32に記憶された総ポイントの情報のバックアップ及び確認等のために用いられる。したがって、この情報は、ナビゲーション装置1において車両ポイントデータ39としてメモリ32に記憶される総ポイントの情報と一致する。
【0086】
2−4.配信処理部
配信処理部55は、各ナビゲーション装置1の外部情報取得部27からの要求に応じて、集計処理部54により生成した評価情報61としての順位情報65及び階級情報66をユーザデータベース51から読み出し、各ナビゲーション装置1へ送信する処理を行う。また、配信処理部55は、図示しない更新情報生成部によりポイント規則38やアドバイスデータ37を更新するための更新情報が生成された際には、当該更新情報をナビゲーション装置1へ送信する処理を行う。
【0087】
3.動作処理の手順
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1において実行される安全運転評価処理の手順(安全運転評価方法)について説明する。図6は、本実施形態に係る安全運転評価処理の全体の手順を示すフローチャートである。また、図7は、図6のステップ#05の停止補助割合算出処理の手順を示すフローチャートである。図8は、図6のステップ#06の黄信号停止割合算出処理の手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
【0088】
3−1.安全運転評価処理の全体の手順
まず、安全運転評価処理の全体の手順について説明する。図6に示すように、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の主電源スイッチ4がオンされた場合には(ステップ#01:Yes)、外部情報取得部27により、集中管理サーバ2に対して、当該車両3に対する評価情報61としての順位情報65及び階級情報66を要求し、これらの情報を受信する(ステップ#02)。そして、総合評価画面を表示する(ステップ#03)。この総合評価画面は、図4に示すように、前回の走行により取得したポイント(前回取得ポイント)及び総ポイントを表すポイント情報62、順位情報65、及び階級情報66の表示を含んでいる。なお、図示は省略するが、上記の情報に併せてアドバイス文情報を表示するように構成されている。ここで、ポイント情報62は、ポイント算出部24により算出され、メモリ32に記憶された車両ポイントデータ39から取得される。アドバイス文情報は、アドバイス文取得部26により、メモリ32に格納されたアドバイスデータ37から、前回の走行時の停止補助割合に応じた内容のアドバイス文情報を読み出すことにより取得される。順位情報65及び階級情報66は、ステップ#02において集中管理サーバ2から受信して取得される。総合評価画面は、これらの情報を所定の形式に従って配置して構成される。
【0089】
そして、車両3が走行を開始した場合には(ステップ#04:Yes)、割合算出部22により、停止補助割合を算出する処理が行われるとともに(ステップ#05)、黄信号停止割合を算出する処理が行われる(ステップ#06)。これらの停止補助割合算出処理、及び黄信号停止割合算出処理については、後に図7、及び図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。また、次に、グラフ生成部25により、評価グラフ情報64を生成し、表示する(ステップ#07)。この評価グラフ情報64は、図5に示すように、各時点での停止補助割合に基づいて導出される安全運転割合を視覚的に表すグラフ表示であって、安全運転割合の現在値のグラフと、安全運転割合の過去平均値のグラフとを有して構成されている。ステップ#05、#06、及び#07の処理は、主電源がオフされるまでの間繰り返し実行される。したがって、車両3の主電源がオンされた後、主電源がオフされるまでは(ステップ#08:No)、各時点での停止補助割合が随時算出されるとともに、当該各時点での安全運転割合を表示する評価グラフ情報64が表示入力装置47に表示される。
【0090】
その後、主電源がオフされた場合には(ステップ#08:Yes)、送信処理部29により、主電源のオンからオフまでの間の停止補助割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する(ステップ#09)。ここで、送信される停止補助割合に関する情報には、上記のとおり、一走行毎のポイント情報、並びに停止補助割合を算出する際の元情報となる赤信号遭遇回数、補正後の停止補助回数、黄信号停止回数、及び黄信号通過回数の情報が含まれる。ここで、一走行毎のポイント情報は、主電源のオンからオフまでの停止補助割合に応じて付与されるポイントの情報である。なお、主電源のオンからオフまでの停止補助割合は、主電源がオフされる直前にステップ#05又は#06により算出された当該時点での停止補助割合に等しい。以上で安全運転評価処理の全体の手順を終了する。
【0091】
3−2.停止補助割合算出処理の手順
次に、図6のステップ#05における停止補助割合算出処理の手順について説明する。図7に示すように、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の前方に信号機が存在すると(ステップ#11:Yes)、区間判定部10は車両3が判定位置A1を通過したか否かの判定を行う(ステップ#12)。そして、車両3が判定位置A1を通過すると(ステップ#12:Yes)、赤信号判定部15は、信号情報取得部8より前方の信号機の信号情報を取得し、判定位置A1を通過した時点の信号が赤信号であるか否かの判定を行う(ステップ#13)。そして、ステップ#13で赤信号であると判定された場合には(ステップ#13:Yes)、割合算出部22は補正係数を「1.2」に設定する(ステップ#14)。一方、ステップ#13で赤信号でないと判定された場合には(ステップ#13:No)、割合算出部22は補正係数を「1.0」に設定する(ステップ#15)。次に、区間判定部10は、車両3が停止補助区間A2の内部に進入しているか否かの判定に進む(ステップ#16)。
【0092】
車両3が停止補助区間A2の内部に進入すると(ステップ#16:Yes)、赤信号判定部15は、信号情報取得部8から前方の信号機の信号情報を取得し、信号が赤信号であるか否かの判定を行う(ステップ#17)。ステップ#16及び#17の判定を行うことで、車両3が赤信号遭遇状態にあるか否かの判定を行うことができる。そして、ステップ#17において赤信号であると判定された場合には(ステップ#17:Yes)、前方車両検出部7の検出結果に基づいて、車両3の前方の所定距離内に他の車両3が存在するか否かの判定を行う(ステップ#18)。そして、車両3の前方に他の車両3が存在すると判定された場合には(ステップ#18:No)、処理がステップ#11に戻されることで、当該停止補助区間A2での運転操作の評価が中止される。一方、車両3の前方に他の車両3が存在しないと判定された場合には(ステップ#18:Yes)、赤信号遭遇フラグが1であるか否かの判定を行う(ステップ#19)。赤信号遭遇フラグは、赤信号送遭遇状態と判定された場合に、それが当該信号機に対しての最初の赤信号遭遇状態であるか否かを区別するために用いられる。この赤信号遭遇フラグを用いることで、同じ信号機に対して、赤信号遭遇回数が何度も更新されることを防ぐことができる。そして、赤信号遭遇フラグが1でない場合は(ステップ#19:No)、赤信号遭遇フラグを1にするとともに(ステップ#20)、赤信号遭遇回数に「1」を加算して更新し(ステップ#21)、アクセル開度がゼロであるか否かの判定に進む(ステップ#22)。一方、赤信号遭遇フラグが1である場合は(ステップ#19:Yes)、赤信号遭遇回数を更新せずに、アクセル開度がゼロであるか否かの判定に進む(ステップ#22)。
【0093】
ステップ#22においてアクセル開度がゼロであると判定されると(ステップ#22:Yes)、信号機設置地点に到達したか否かの判定を行う(ステップ#23)。なお、ステップ#17において赤信号でないと判定された場合にも(ステップ#17:No)、信号機設置地点に到達したか否かの判定が行われる(ステップ#23)。そして、信号機設置地点に到達していない場合は(ステップ#23:No)、信号が赤信号であるか否かの判定に戻される(ステップ#17)。一方、信号機設置地点に到達した場合は(ステップ#23:Yes)、赤信号遭遇フラグが1か否かの判定に進み(ステップ#24)、赤信号遭遇フラグが1である場合(ステップ#24:Yes)、すなわち、停止補助区間A2の内部で少なくとも一度赤信号遭遇状態になった場合は、赤信号遭遇回数が更新されているので、割合算出部22は停止補助割合の更新を行う(ステップ#27)。そして、赤信号遭遇フラグを0に戻し(ステップ#28)、処理はステップ#11に戻される。一方、赤信号遭遇フラグが0である場合(ステップ#24:No)、すなわち、停止補助区間A2の内部で一度も赤信号遭遇状態にならなかった場合は、赤信号遭遇回数は更新されていないため停止補助割合の更新は不要であり、処理はステップ#11に戻される。
【0094】
上記ステップ#22でアクセル開度がゼロでないと判定された場合(ステップ#22:No)、すなわち、赤信号遭遇状態にあるにもかかわらず車両3のアクセル開度がゼロでない場合は、通知処理部16は停止補助動作としての注意喚起を行うとともに(ステップ#25)、割合算出部22は、「1」と補正係数との積を停止補助回数に加算して、停止補助回数の更新を行う(ステップ#26)。そして、割合算出部22は停止補助割合の更新を行い(ステップ#27)、赤信号遭遇フラグを0に戻し(ステップ#28)、処理はステップ#11に戻される。
【0095】
処理がステップ#11に戻された後は、車両3の前方に再び信号機が現れるまで待機し(ステップ#11:No)、車両3の前方に信号機が現れると(ステップ#11:Yes)、上記の処理を再度行う。つまり、車両3が信号機設置地点に差し掛かる度に、上記の処理が繰り返し行われる。
【0096】
3−3.黄信号停止割合算出処理の手順
次に、図6のステップ#06における黄信号停止割合算出処理の手順について説明する。図8に示すように、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の前方に信号機が存在すると(ステップ#31:Yes)、区間判定部10は、車両3が停止補助区間A2の内部に進入しているか否かの判定を行う(ステップ#32)。そして、車両3が停止補助区間A2の内部に進入すると(ステップ#32:Yes)、黄信号停止判定部18は、自車位置情報取得部12より車両3の車速に関する情報を取得し、車速がゼロであるか否かの判定を行う(ステップ#33)。そして、車速がゼロであれば(ステップ#33:Yes)、前方の信号機の信号情報を信号情報取得部8から取得し、信号機が黄信号でない場合は(ステップ#39:No)、処理はステップ#31に戻される。一方、信号機が黄信号である場合は(ステップ#39:Yes)、黄信号停止判定部18は、前方車両検出部7の検出結果に基づいて、車両3の前方に他の車両3が存在するか否かの判定を行う(ステップ#40)。そして、前方に他の車両3が存在しないと判定された場合には(ステップ#40:Yes)、黄信号停止回数に「1」を加算することで黄信号停止回数を更新する(ステップ#41)。そして、割合算出部22は、黄信号停止割合の更新を行うとともに(ステップ#37)、更新後の黄信号停止割合を用いて停止補助割合の更新を行い(ステップ#38)、処理はステップ#31に戻される。一方、前方に他の車両3が存在すると判定された場合には(ステップ#40:No)、処理はステップ#31に戻される。
【0097】
一方、ステップ#33において車速がゼロでないと判定された場合(ステップ#33:No)、信号機設置地点に到達したか否かの判定が行われる(ステップ#34)。信号機設置地点に到達していない場合は(ステップ#34:No)、処理はステップ#33に戻される。一方、信号機設置地点に到達した場合は(ステップ#34:Yes)、黄信号通過判定部17は、信号情報取得部8から信号機の信号情報を取得し、信号機設置地点に到達した時点において信号機が黄信号を表示していたか否かの判定を行う(ステップ#35)。そして、信号機が黄信号を表示していなかった場合は(ステップ#35:No)、処理はステップ#31に戻される。一方、信号機が黄信号を表示していた場合は(ステップ#35:Yes)、黄信号通過判定部17は、黄信号通過回数に「1」を加算することで黄信号通過回数を更新する(ステップ#36)。そして、割合算出部22は、黄信号停止割合の更新を行うとともに(ステップ#37)、更新後の黄信号停止割合を用いて停止補助割合の更新を行い(ステップ#38)、処理はステップ#31に戻される。
【0098】
処理がステップ#31に戻された後は、車両3の前方に再び信号機が現れるまで待機し(ステップ#31:No)、車両3の前方に信号機が現れると(ステップ#31:Yes)、上記の処理を再度行う。つまり、車両3が信号機設置地点に差し掛かる度に、上記の処理が繰り返し行われる。
【0099】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態においては、車両3が判定位置A1を通過した時点で前方の信号機設置地点に設置された信号機が赤信号を表示していた場合に停止補助動作が行われると、停止補助割合を高くするように補正するために、停止補助割合を求める算出式(1)の分子である停止補助回数を補正する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、算出式(1)の分母である赤信号遭遇回数を補正する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、停止補助回数の更新は、更新前の停止補助回数に「1」を加算することで行い、赤信号遭遇回数の更新は、「1」と補正係数との積を更新前の赤信号遭遇回数に加算することで行う。この場合、上記の実施例とは異なり、補正規則40は、車両3が判定位置A1を通過する際に信号機が赤信号を表示していた場合には補正係数を「1.0」未満の値とし、赤信号を表示していなかった場合は補正係数を「1.0」とする規則とすると好適である。このように、赤信号遭遇回数の増分が小さくなる方向の補正を行うことで、停止補助割合を高くする補正を行うことができる。また、停止補助回数と赤信号遭遇回数の双方の増分を補正する構成とすることや、停止補助回数と赤信号遭遇回数の双方とも補正せずに、停止補助回数及び赤信号遭遇回数の双方とも、更新時の増分は「1」とする構成としても良い。さらに、停止補助回数及び赤信号遭遇回数の双方とも、更新時の増分は「1」とし、算出式(1)に基づいて算出された停止補助割合に所定の値を加算或いは減算したり、所定の係数を乗じたりすることによって停止補助割合を補正する構成としても良い。
【0100】
また、車両3が判定位置A1を通過した時点の信号機の表示状態ではなく、車両3が判定位置A1を通過した時点の車両3の運転状態(例えば、車速やアクセル開度等)に応じて補正係数の設定を行う構成としても良い。例えば、車両3が判定位置A1を通過した時点の車速及びアクセル開度の一方又は双方が大きい場合に停止補助動作がなされると、停止補助回数更新時の停止補助回数の増分を大きく、又は、赤信号遭遇回数更新時の赤信号遭遇回数の増分を小さく、或いは、それらの双方を行うことで、信号機設置地点の手前での安全運転意識の向上を図ることができる。
【0101】
さらに、判定位置A1での信号機や車両3の状態に基づく停止補助割合の補正の他、事故情報取得部20により取得される各信号機設置地点において過去に発生した事故件数の情報に応じて、停止補助割合を算出するための停止補助回数や赤信号遭遇回数を補正する構成としても良い。より具体的には、過去に発生した事故件数の多い信号機設置地点ほど、停止補助動作である注意喚起がなされた場合に、停止補助回数更新時の停止補助回数の増分を大きく、又は、赤信号遭遇回数更新時の赤信号遭遇回数の増分を小さく、或いは、それらの双方を行うと好ましい。このようにすれば、運転者に対して事故件数の多い信号機設置地点ではより注意をして安全な運転をしようとする安全運転意識の向上を図ることができる。
【0102】
(2)上記の実施形態においては、停止補助区間A2の内部で、車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在することが検出された場合は、当該停止補助区間A2での停止補助動作を行うか否かの判定を中止し、その停止補助区間A2を停止補助割合を算出する対象から除外するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在するか否かにかかわらず、停止補助区間A2での停止補助動作を行うか否かの判定を行う構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。また、上記の実施形態においては、黄信号停止判定部18は、車両3が信号機設置地点に停止した時点で、前方の所定距離内に他の車両3が存在する場合には、信号機が黄信号を表示している場合であっても黄信号停止ではないと判定するように構成されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。すなわち、車両3の進行方向前方の所定距離内に他の車両3が存在するか否かにかかわらず、車両3が信号機設置地点に停止した時点で信号機が黄信号を表示していた場合には、当該停止を黄信号停止と判定する構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。
【0103】
(3)上記の実施形態においては、通知処理部16は、赤信号遭遇状態における車両3のアクセル開度に基づいて、運転者の操作が車両3を赤信号で停止させるという観点から見て適切なものであるか否かを判定し、当該操作が不適切なものであると判定される場合に、停止補助動作としての注意喚起を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、停止補助動作を行うか否かの判定は、運転者の運転操作が車両3を減速させるものではないことや、運転者に減速の意思がないこと等を判定するためのあらゆる情報を用いて行うことができる。例えば、アクセル開度ではなく、ブレーキ操作の有無や、ブレーキ操作量、又は車速に関する情報等に基づいて、停止補助動作を行うか否かの判定を行う構成とすると良い。
【0104】
また、上記の実施形態では、停止補助動作として、運転者に対して音声による注意喚起を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、表示入力装置47を介した文字やアイコン表示等による画面表示での注意喚起を行う構成としても良い。さらに、注意喚起のような運転者に対する報知ではなく、停止補助動作として車両制御を行う構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、例えば、運転者のブレーキ操作を補助するブレーキアシスト等の操作補助を行うことや、強制的にブレーキを作動させる強制ブレーキや強制的にアクセル開度をゼロにするアクセル閉制御等の車両3を停止させる方向の停止方向動作を行う構成とすると良い。
【0105】
(4)上記の実施形態においては、算出式(2)を用いて黄信号停止割合を算出し、停止補助割合を補正する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、黄信号通過回数を用いずに、黄信号停止回数のみを用いて停止補助割合の補正を行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、黄信号停止回数と所定の係数との積を、算出式(1)の分子である停止補助回数から減算することで、停止補助割合を補正すると良い。また、車両3が通過した全ての信号機設置地点を計数し、車両3が通過した信号機設置地点の総数に占める黄信号停止回数の割合を求め、その割合と所定の係数との積を、停止補助割合から減算して停止補助割合を補正する構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。また、黄信号停止回数や黄信号通過回数を用いて停止補助割合を補正しない構成としても良い。
【0106】
(5)上記の実施形態においては、信号情報取得部8は、路車間通信部9により取得された信号機の表示状態に関する信号情報より、車両3の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を判別する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば、車載カメラ5が車両進行方向前方に存在する信号機を含む画像を撮影し、画像処理部6がその画像に対して画像処理を施すことで信号機の表示状態を検出し、その検出結果を信号情報取得部8へ出力する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この構成の場合、カーブの手前などで信号機設置地点に設置されている信号機の画像が撮影できないことがあり得るが、当該信号機の表示状態を示す予告信号等を撮影することで、信号機の表示状態を検出しても良い。さらに、この画像処理を用いた信号情報の取得と併せて路車間通信部9による信号情報の取得を行い、双方の情報に基づいて、車両3の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を判別する構成としても良い。
【0107】
(6)上記の実施形態においては、判定位置A1の位置を、停止補助区間A2より車両3の進行方向に対して手前側であり、且つ運転者が信号機設置地点に設置されている信号機の表示状態を目視で認識可能となる位置よりも進行方向前方に設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、運転者が信号機の表示状態を認識可能となる位置は、運転者が目視で信号機の表示状態を認識可能となる位置に限られない。例えば、信号機情報取得部8が取得した信号情報を、表示入力装置47が備える画面や音声出力装置48を介して運転者に通知するように構成し、当該通知が行われた位置を、運転者が信号機の表示状態を認識可能となる位置とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この構成によれば、カーブの手前などで前方の信号機を目視できないような状況でも、判定位置A1の位置を適切に定めることができる。
【0108】
(7)上記の実施形態においては、停止補助区間A2の距離が固定値として設定されている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両3が信号機設置地点に差し掛かる度に、車両3の現在の速度に応じて停止補助区間A2の距離が可変に設定される構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、判定位置A1を車両3が通過した際の車両3の速度に基づいて、停止補助区間A2の距離を定めることができる。この際、当該速度に対応する制動距離や、制動距離に空走距離を足し合わせた停止距離を、停止補助区間A2の距離とすることができる。このように停止補助区間A2を定めることで、当該信号機設置地点において車両3を停止させるために最低限必要となる距離を停止補助区間A2の距離とすることができる。
【0109】
(8)上記の実施形態においては、評価情報61として、ポイント情報62、アドバイス文情報、評価グラフ情報64、順位情報65及び階級情報66を取得し、運転者が知ることができるように出力する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの中の一部の情報のみを評価情報61として取得する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、これら以外の停止補助割合に関しての評価を表す各種の情報を評価情報61として取得する構成としても好適である。さらに、評価情報取得手段23を備えず、停止補助割合を運転者が知ることができるように音声や画面表示で出力する構成としても良い。
【0110】
(9)上記の実施形態においては、ナビゲーション装置1が備えるポイント算出部24が、一走行毎のポイント及びこれまでに取得した総ポイントを算出し、ナビゲーション装置1のメモリ32に記憶する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち例えば、ポイント算出部24で算出された一走行毎のポイントの情報が集中管理サーバ2へ送信され、集中管理サーバ2において車両3毎の総ポイントが算出される構成、或いは、一走行毎の停止補助割合の情報が集中管理サーバ2へ送信され、集中管理サーバ2において一走行毎のポイントの算出及び総ポイントの算出が行われる構成としても好適である。この場合、ナビゲーション装置1は、外部情報取得部27により、所定のタイミングで送受信部11を介して集中管理サーバ2から当該車両3の総ポイントや一走行毎のポイントの情報を取得する。
【0111】
(10)上記の実施形態においては、ナビゲーション装置1が備える地図データベース31に記憶された地図データ34(特に信号機設置地点の位置を表す情報)に基づいて、信号機設置地点の位置を取得する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、路車間通信部9が、信号機設置地点に関する情報(信号機設置地点の位置座標や信号機設置地点までの残距離等)を道路側に設置された通信装置から取得する構成としても良い。また、例えば、VICS(登録商標;Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム))から配信される道路交通情報等のように、車両3の外部に設置された施設から提供される情報により信号機設置地点に関する情報(信号機設置地点の位置座標や信号機設置地点までの残距離等)を取得する構成としても良い。これらの場合、距離センサ43により検出される車速についての情報に基づいて、信号機設置地点から自車位置までの距離が推定される。そして、推定された信号機設置地点から自車位置までの距離に基づいて、上記の実施形態における各処理が行われる。
【0112】
(11)上記の実施形態において説明した、ナビゲーション装置1と集中管理サーバ2とのそれぞれが備える機能部の割り当ては単なる一例である。したがって、例えば自車位置情報取得部12等のように、ナビゲーション装置1側に備える必要がある機能部を除き、各機能部は、ナビゲーション装置1と集中管理サーバ2とのいずれに備えていてもよい。したがって、例えば、安全運転評価システムの全ての構成が車載端末装置としてのナビゲーション装置1に備えられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、例えば、安全運転評価システムの主要な構成の全てが集中管理装置としての集中管理サーバ2に備えられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。ここで、安全運転評価システムの主要な構成には、停止補助手段としての通知処理部16、割合算出手段としての割合算出部22及び評価情報取得手段としての評価情報取得部23が含まれる。
【0113】
(12)上記の実施形態では、本発明に係る安全運転評価システムを構成する車載端末装置が、ナビゲーション装置1である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば本発明に係る安全運転評価システムを構成する車載端末装置が、ナビゲーション装置1とは無関係な車両3の制御装置である構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、信号機設置地点手前における運転者の運転操作を評価する安全運転評価システム及び安全運転評価プログラムに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る集中管理サーバの概略構成を示すブロック図
【図3】信号機設置地点手前における判定位置及び停止補助区間の設定例を示す図
【図4】評価情報取得部により取得された評価情報を表示する総合評価画面の一例を示す図
【図5】走行中における停止補助割合の変化を逐次表すための評価グラフ情報を表示した案内画面の一例を示す図
【図6】本発明の実施形態に係る安全運転評価処理の全体の手順を示すフローチャート
【図7】停止補助割合算出処理の手順を示すフローチャート
【図8】黄信号停止割合算出処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0116】
1:ナビゲーション装置(車載端末装置)
2:集中管理サーバ(集中管理装置、情報収集手段)
7:前方車両検出部(前方車両検出手段)
8:信号情報取得部(信号情報取得手段)
10:区間判定部(区間判定手段)
15:赤信号判定部(赤信号判定手段)
16:通知処理部(停止補助手段)
17:黄信号通過判定部(黄信号通過判定手段)
18:黄信号停止判定部(黄信号停止判定手段)
20:事故情報取得部(事故情報取得手段)
22:割合算出部(割合算出手段)
23:評価情報取得部(評価情報取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を取得する信号情報取得手段と、
信号機が設置されている信号機設置地点の手前に設定された所定の停止補助区間内に車両がいることを判定する区間判定手段と、
車両が前記停止補助区間内にあり、前記信号情報が赤信号を示している状態を赤信号遭遇状態と判定する赤信号判定手段と、
前記赤信号遭遇状態での車両の運転操作に基づいて、運転者に対して前記信号機設置地点で車両を停止させるための停止補助動作を行う停止補助手段と、
前記赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、前記停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する割合算出手段と、
を備えた安全運転評価システム。
【請求項2】
前記停止補助手段は、前記赤信号遭遇状態で車両のアクセル開度が所定値より大きい場合に、前記停止補助動作を行う請求項1に記載の安全運転評価システム。
【請求項3】
前記割合算出手段は、前記停止補助動作が行われた場合において、車両が前記停止補助区間より手前に設定された所定の判定位置を通過した際に前記信号情報が赤信号を示していた場合には前記停止補助割合を高くするように補正する請求項1又は2に記載の安全運転評価システム。
【請求項4】
前記判定位置は、前記信号機設置地点に設置された信号機の表示状態を運転者が認識可能となる位置よりも進行方向前方に設定されている請求項3に記載の安全運転評価システム。
【請求項5】
前記信号情報取得手段は、路車間通信により得られる情報、及び、車載カメラで信号機を撮影した画像の画像認識結果から得られる情報の一方又は双方を利用して、前記信号情報を取得する請求項1から4のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項6】
車両が信号機設置地点に停止した時点で前記信号情報が黄信号を示していた場合に黄信号停止と判定する黄信号停止判定手段を更に備え、
前記割合算出手段は、前記黄信号停止と判定された回数である黄信号停止回数に応じて前記停止補助割合を低くするように補正する請求項1から5のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項7】
車両が信号機設置地点を通過した時点で前記信号情報が黄信号を示していた場合に黄信号通過と判定する黄信号通過判定手段を更に備え、
前記割合算出手段は、前記黄信号通過と判定された回数である黄信号通過回数と、前記黄信号停止回数とに応じて前記停止補助割合を補正する請求項6に記載の安全運転評価システム。
【請求項8】
自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することを検出する前方車両検出手段を更に備え、
前記割合算出手段は、前記停止補助区間内で自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することが検出された場合には、当該停止補助区間を、前記停止補助割合を算出する対象から除外する請求項1から7のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項9】
自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することを検出する前方車両検出手段を更に備え、
前記黄信号停止判定手段は、車両が信号機設置地点に停止した時点で前記信号情報が黄信号を示していた場合でも、当該停止した時点で自車両の進行方向前方の所定距離内に他の車両が存在することが検出された場合には、黄信号停止ではないと判定する請求項6又は7に記載の安全運転評価システム。
【請求項10】
各信号機設置地点において過去に発生した事故件数の情報を取得する事故情報取得手段を更に備え、
前記割合算出手段は、前記停止補助割合を算出するに際し、前記停止補助動作がなされた各信号機設置地点について、当該信号機設置地点における事故件数に応じて前記停止補助割合を補正する請求項1から9のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項11】
前記停止補助割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段を更に備え、
前記評価情報取得手段は、前記停止補助割合に応じて付与されるポイント、前記停止補助割合に応じた内容のアドバイス文、及び各時点での前記停止補助割合を視覚的に表すグラフの表示、の少なくとも一つの情報を前記評価情報として取得する請求項1から10のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項12】
前記停止補助割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段と、前記停止補助割合に関する情報を複数の車両から収集する情報収集手段とを更に備え、
前記評価情報取得手段は、前記情報収集手段にて収集された情報に基づいて、他車両との比較での前記停止補助割合に関する各車両の順位、及び他車両との比較での各車両の過去の前記停止補助割合に基づいて付与される階級、の一方又は双方の情報を前記評価情報として取得する請求項1から10のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項13】
車両に搭載された車載端末装置と、複数の前記車載端末装置と通信可能に設けられた集中管理装置と、を有して構成され、
前記車載端末装置は、当該車載端末装置が搭載された車両の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の前記停止補助割合に関する情報を前記集中管理装置へ送信し、
前記集中管理装置は、前記車載端末装置から受信した前記停止補助割合に関する情報に基づいて、当該車載端末装置についての前記評価情報を生成する請求項11又は12に記載の安全運転評価システム。
【請求項14】
車両の進行方向前方に存在する信号機の表示状態を示す信号情報を取得する信号情報取得機能と、
信号機が設置されている信号機設置地点の手前に設定された所定の停止補助区間内に車両がいることを判定する区間判定機能と、
車両が前記停止補助区間内にあり、前記信号情報が赤信号を示している状態を赤信号遭遇状態と判定する赤信号判定機能と、
前記赤信号遭遇状態での車両の運転操作に基づいて、運転者に対して前記信号機設置地点で車両を停止させるための停止補助動作を行う停止補助機能と、
前記赤信号遭遇状態となった回数である赤信号遭遇回数に占める、前記停止補助動作がなされた回数である停止補助回数の割合に応じて停止補助割合を算出する割合算出機能と、
をコンピュータに実現させるための安全運転評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−107384(P2010−107384A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280370(P2008−280370)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】