説明

安全運転評価システム及び安全運転評価プログラム

【課題】ブレーキ操作に関する運転者の安全運転意識の向上を図ることができる安全運転評価システムを提供する。
【解決手段】車両のブレーキ操作の回数を計数する計数手段18と、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する判定手段19と、計数手段にて計数されるブレーキ操作回数に占める、判定手段にて急ブレーキ操作であると判定されたブレーキ操作の回数である急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する割合算出手段22と、急ブレーキ操作があった際に、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定し、車両減速頻度が低いと判定された場合には急ブレーキ発生割合を高くするように補正する補正手段22と、急ブレーキ発生割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段23と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急ブレーキ発生割合に基づく安全運転評価システム及び安全運転評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、急ブレーキの発生頻度に基づいて車両の運転評価を行うシステムが知られている。例えば以下の特許文献1には、急発進や急ブレーキの単位時間当たりの頻度に基づいて、運転者の安全運転の程度を示す安全運転度を評価する技術が記載されている。また、以下の特許文献2には、所定時間当たりの急ブレーキの発生回数、或いは、ブレーキ操作の全回数に対する急ブレーキの回数の比を急ブレーキ頻度として算出し、当該急ブレーキ頻度が標準的頻度よりも高い場合に、ブレーキ操作の適正化を促すコメントを運転者に提供する技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2008−77502号公報
【特許文献2】特開2005−7932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載のシステムでは、それぞれの急ブレーキ操作は等しく1回の急ブレーキ操作として取り扱われるため、そこに記載された技術を用いて安全運転評価を行う際に、当該安全運転評価の結果が妥当性に欠けるものとなるおそれがある。すなわち、例えば、渋滞がない限り車両がスムーズに流れるような、ブレーキ操作の必要性が少なく、急ブレーキ操作が行われると後方車に大きな影響を与えると考えられる道路上で急ブレーキ操作が行われた場合でも、当該急ブレーキ操作はその他の急ブレーキ操作と同列に扱われる。そのため、上記のシステムでは、急ブレーキの発生頻度を全体的に抑制させることはできるものの、急ブレーキ操作が後方車に与えたであろう影響は全く考慮されずに安全運転評価がなされてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、急ブレーキ操作が行われた場所におけるブレーキ操作の必要性を考慮した上での急ブレーキ発生割合に基づく安全運転評価を行うことで、特にブレーキ操作の必要性が少ないと考えられる道路での急ブレーキ操作を控えようとする運転者の意識を向上させることのできる安全運転評価システム及び安全運転評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するための、本発明に係る安全運転評価システムの特徴構成は、車両のブレーキ操作の回数を計数する計数手段と、前記ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する判定手段と、前記計数手段にて計数されるブレーキ操作回数に占める、前記判定手段にて急ブレーキ操作であると判定されたブレーキ操作の回数である急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する割合算出手段と、前記急ブレーキ操作があった際に、当該急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定し、当該車両減速頻度が低いと判定された場合には前記急ブレーキ発生割合を高くするように補正する補正手段と、前記急ブレーキ発生割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段と、を備えた点にある。
【0007】
上記の特徴構成によれば、ブレーキ操作回数に占める急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合が算出されるが、例えば、高速道路やバイパス道路等のように通常は車両の流れが良く、ブレーキ操作の必要性が少ないと考えられる車両減速頻度が低い道路で急ブレーキ操作が行われた場合には、当該急ブレーキ発生割合を高くするように補正される。そのため、当該急ブレーキ操作が後方車に与えたであろう影響が考慮された急ブレーキ発生割合を得ることができる。そして、当該急ブレーキ発生割合に基づく評価情報が取得されるので、運転者に対して、当該評価情報に基づいて、全体的な傾向としてどの程度ブレーキ操作に関して安全運転が行われているかを客観的に知らせることができる。したがって、ブレーキ操作に関する運転者の安全運転意識の向上を図ることが可能となり、特にブレーキ操作の必要性が少ないと考えられる車両減速頻度が低い道路での急ブレーキ操作を控えようとする運転者の意識を向上させることができる。
【0008】
ここで、車両のブレーキアシスト装置の作動信号を検出するブレーキアシスト検出手段を更に備え、前記判定手段は、前記作動信号に基づいて、前記ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する構成とすると好適である。
【0009】
ブレーキアシスト装置を備えた車両では、ブレーキペダルを踏み込む速さや強さが通常のブレーキ時より大きい場合等に、運転者のブレーキ踏力に対してブレーキの効きを強くするブレーキアシスト動作が行われる。この構成によれば、ブレーキ操作が行われた時に、当該ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを、特別な構成を設けることなく既存の構成を利用して容易に判定することができる。
【0010】
また、車両の加速度を示す情報を取得する加速度情報取得手段を更に備え、前記判定手段は、前記加速度情報取得手段により検出される減速度に基づいて、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する構成とすると好適である。
【0011】
急ブレーキ時には車両に大きな減速度が生じるため、上記の構成を採用することで、ブレーキ操作が行われた時に、当該ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを適切に判定することができる。
【0012】
また、前記補正手段は、前記急ブレーキ操作が行われた地点を基準とする所定の減速頻度判定区間内に存在する、信号機及び交差点の一方又は双方の数に基づいて、当該急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する構成とすると好適である。
【0013】
一般的に、信号機や交差点が設けられる数が少ない道路は、ブレーキ操作の必要性が少ない道路といえる。そこで、この構成によれば、そのような道路の一般的傾向を利用して、道路の車両減速頻度が低いか否かを容易に判定することができる。また、急ブレーキ操作が行われた地点を基準とする所定の区間内での信号機や交差点の数に基づき判定が行われるため、自車の周辺の状況を判定結果に適切に反映させることができる。
【0014】
また、前記減速頻度判定区間は、前記急ブレーキ操作が行われた地点より前方の区間が当該地点より後方の区間よりも大きく設定されている構成とすると好適である。
【0015】
車両減速頻度は、急ブレーキ操作の必要性が少ないか否かの基準となるものであり、このような必要性は、車両の前方に存在する信号機や交差点の数に大きく影響される。そのため、車両の前方が後方よりも重視されるべきである。そこで、上記の構成を採用することで、減速頻度判定区間を適切に定めることができる。
また、急ブレーキ操作が行われた地点より後方の区間も減速頻度判定区間に含めることで、安全運転評価システムが有する車両の現在地情報が車両の進行方向に沿って前後に誤差を有していたとしても、車両の実際の現在地を減速頻度判定区間に含めることができる。そのため、上記のような誤差がある場合であっても、車両減速頻度が低いか否かの判定を適切に行うことができる。
【0016】
また、信号機及び交差点の一方又は双方の存在箇所に関する情報を含む地図データを参照可能に備え、前記補正手段は、前記地図データから前記信号機及び前記交差点の一方又は双方の数を取得する構成とすると好適である。
【0017】
この構成によれば、急ブレーキ操作が行われた道路上の信号機や交差点の個数を容易に取得することができる。
【0018】
また、各道路の種別を表す道路種別情報を含む地図データを参照可能に備え、前記補正手段は、前記地図データから取得される道路種別情報に基づいて、前記急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する構成とすると好適である。
【0019】
一般に、道路種別と、信号機や交差点等の存在によるブレーキ操作の必要性との間には関連がある。例えば、道路種別情報が高速道路を示す道路は、車両減速頻度が低いと考えることができる。この構成によれば、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを、簡素な構成で判定することができる。
【0020】
また、前記評価情報取得手段は、前記急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイント、前記急ブレーキ発生割合に応じた内容のアドバイス文、及び各時点での前記急ブレーキ発生割合を視覚的に表すグラフの表示、の少なくとも一つの情報を前記評価情報として取得する構成とすると好適である。
【0021】
この構成によれば、急ブレーキ発生割合に応じた評価の内容を、適切に運転者に伝えることができる。
【0022】
また、前記急ブレーキ発生割合に関する情報を、複数の車両から収集する情報収集手段を更に備え、前記評価情報取得手段は、前記情報収集手段にて収集された情報に基づいて、他車両との比較での前記急ブレーキ発生割合に関する各車両の順位、及び他車両との比較での各車両の過去の前記急ブレーキ発生割合に基づいて付与される階級、の一方又は双方の情報を前記評価情報として取得する構成とすると好適である。
【0023】
この構成によれば、急ブレーキ発生割合に関する情報を複数の車両から収集する場合において、評価情報の内容を他車両との比較に基づく評価内容とすることができる。したがって、急ブレーキ発生割合に応じた評価の内容を、より適切に運転者に伝えることができる。
【0024】
また、車両に搭載された車載端末装置と、複数の前記車載端末装置と通信可能に設けられた集中管理装置と、を有して構成され、前記車載端末装置は、当該車載端末装置が搭載された車両の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の前記急ブレーキ発生割合に関する情報を前記集中管理装置へ送信し、前記集中管理装置は、前記車載端末装置から受信した前記急ブレーキ発生割合に関する情報に基づいて、当該車載端末装置についての前記評価情報を生成する構成とすると好適である。
【0025】
この構成によれば、複数の車両のそれぞれに搭載された車載端末装置から急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理装置に集め、複数の車両についての急ブレーキ発生割合に関する情報に基づいて、各車載端末装置についての評価情報を生成することが可能となる。したがって、複数の車両間での比較に基づいた適切な内容の評価情報を各車載端末装置に提供することが可能となる。また、車載端末装置が搭載された車両の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理装置へ送信するため、少ない通信回数で、車両の主電源がオンされている間の急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理装置に集めることができる。したがって、集中管理装置において多くの情報を効率的に収集することができ、より適切な評価情報を各車載端末装置に提供することが可能となる。
【0026】
以上の各構成を備えた本発明に係る安全運転評価システムの技術的特徴は、安全運転評価方法や安全運転評価プログラムにも適用可能であり、そのため、本発明は、そのような方法やプログラムも権利の対象とすることができる。
【0027】
その場合における、安全運転評価プログラムの特徴構成は、車両のブレーキ操作の回数を計数する計数機能と、前記ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する判定機能と、前記計数機能にて計数されるブレーキ操作回数に占める、前記判定機能にて急ブレーキ操作であると判定されたブレーキ操作の回数である急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する割合算出機能と、前記急ブレーキ操作があった際に、当該急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定し、当該車両減速頻度が低いと判定された場合には前記急ブレーキ発生割合を高くするように補正する補正機能と、前記急ブレーキ発生割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得機能と、をコンピュータに実現させる点にある。
【0028】
当然ながら、この安全運転評価プログラムも上述した安全運転評価システムに係る作用効果を得ることができ、更に、その好適な構成の例として挙げたいくつかの付加的技術を組み込むことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明に係る安全運転評価システムを、車載用のナビゲーション装置1と、複数のナビゲーション装置1と通信可能に設けられた集中管理サーバ2と、により構成する場合を例として説明する。図1は、このナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。この安全運転評価システムを構成するナビゲーション装置1は、車両3のブレーキ操作の回数を計数するとともに、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かの判定を行う。そして、ブレーキ操作回数に占める急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する際に、ブレーキ操作の必要性が少ないと考えられる道路において急ブレーキ操作が行われた場合には、急ブレーキ発生割合が高くなるように補正される。そして、急ブレーキ発生割合に基づいて評価情報61(図3及び図4を参照)を取得して出力する。この評価情報61は、急ブレーキ発生割合が低いほど良い評価となる。これにより、ナビゲーション装置1を搭載した車両3の運転者は、当該評価情報61に基づいて、全体的な傾向としてどの程度ブレーキ操作に関して安全運転が行われているかを客観的に知ることができる。したがって、ブレーキ操作に関する運転者の安全運転意識の向上を図ることができ、特にブレーキ操作の必要性が少ないと考えられる道路での急ブレーキ操作を控えようとする運転者の意識を向上させることができる。
【0030】
図2は、集中管理サーバ2の概略構成を示すブロック図である。集中管理サーバ2は、複数の車両3のそれぞれに搭載された複数のナビゲーション装置1から情報を収集して集計する。そして、収集した情報から評価情報61を生成し、各ナビゲーション装置1に配信する。本実施形態においては、ナビゲーション装置1が本発明における「車載端末装置」に相当し、集中管理サーバ2が本発明における「集中管理装置」及び「情報収集手段」に相当する。
【0031】
1.ナビゲーション装置の構成
まず、ナビゲーション装置1の構成について説明する。図1に示すナビゲーション装置1の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション装置1は、送受信部11、自車位置情報取得部12、ナビゲーション用演算部13、通知処理部16、主電源監視部28、送信処理部29、更新処理部30、車両減速頻度判定部14、ブレーキ信号検出部15、ブレーキアシスト信号検出部17、ブレーキ計数部18、急ブレーキ判定部19、割合算出部22、及び評価情報取得部23を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、地図データベース31は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等の記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。また、メモリ32は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体をハードウェア構成として備えている。このメモリ32は、地図データベース31が書き換え可能な記録媒体で構成される場合には、地図データベース31と共通の記録媒体内に設けられても良い。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0032】
1−1.地図データベース
地図データベース31は、地図データ34が記憶されたデータベースである。地図データ34は、複数の交差点のそれぞれに対応する複数のノードと、各ノード間を接続する道路に対応する複数のリンクとにより構成される道路ネットワークデータを含んでいる。各リンクは、その属性情報として、道路種別、地域種別、リンク長、道路幅、リンク形状を表現するための形状補間点等の情報を有している。ここで、道路種別情報は、例えば、高速道路、自動車専用道路、市街道路、細街路、山岳路等のように、道路を複数の種別に区分した際の道路種別の情報である。また、地図データ34は、道路ネットワークデータの他に、ナビゲーション用演算部13による地図表示処理に必要な描画情報や経路案内処理に必要な各種の案内情報等を含んでいる。ここで、描画情報には、道路形状、建物、河川等を表示するために必要な背景情報、市町村名や道路名等を表示するために必要な文字情報等が含まれる。また、地図データベース31に格納された地図データ34には、この他にも、信号機の設置されている地点(以下、「信号機設置地点」とする)の位置を表す情報が含まれる。信号機設置地点の位置を表す情報は、例えば、信号機が設置されている交差点に対応するノードに付加情報(例えば、信号機の有無を示すフラグ)として記憶させたり、当該ノードに接続されているリンクが有する属性情報(例えば、一方側のリンク端に信号機がある旨の情報)として記憶させることができる。
【0033】
1−2.送受信部
送受信部11は、無線基地局等を介して集中管理サーバ2との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。このような無線通信方法としては、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)等の公知の通信網を用いることができる。本実施形態においては、送受信部11は、後述するように、急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する。また、送受信部11は、集中管理サーバ2から順位情報65や階級情報66等のような他の車両3との比較による評価情報61(図3及び図4を参照)を受信する他、メモリ32に記憶された補正規則40やポイント規則38、アドバイスデータ37を更新するための更新情報も受信する。これらの点については後述する。
【0034】
1−3.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部12は、自車両の現在位置を示す自車位置情報を取得する機能部である。ここでは、自車位置情報取得部12は、GPS受信機41、方位センサ42及び距離センサ43に接続されている。ここで、GPS受信機41は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部12へ出力される。自車位置情報取得部12では、GPS受信機41で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、現在の自車位置(座標)、進行方位、移動速度等の情報を取得することができる。方位センサ42は、自車両の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ42は、例えば、ジャイロスコープや、地磁気センサ等により構成される。そして、方位センサ42は、その検出結果を自車位置情報取得部12へ出力する。距離センサ43は、自車両の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ43は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ43は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部12へ出力する。
【0035】
自車位置情報取得部12は、これらのGPS受信機41、方位センサ42及び距離センサ43からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部12は、地図データベース31に記憶された地図データ34に基づいて、公知のマップマッチング処理を行うことにより自車位置を地図データ34に示される道路上に合わせる補正も行う。このようなマップマッチング処理による自車位置情報の補正結果は自車位置情報に反映される。このようにして、自車位置情報取得部12は、座標(緯度及び経度)で表された現在の自車位置及びその進行方位の情報を含む自車位置情報を取得する。
【0036】
1−4.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部13は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの経路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するためにアプリケーションプログラムに従って動作する演算処理手段である。例えば、ナビゲーション用演算部13は、地図データベース31から自車両周辺の地図データ34を取得して表示入力装置47に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報に基づいて自位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部13は、公知の方法により計算された出発地から目的地までの経路と自車位置情報とに基づいて、表示入力装置47及び音声出力装置48の一方又は双方を用いて進路案内を行う。また、表示入力装置47は、評価情報取得部23から入力される評価情報61(詳しくは後述する)を出力する。なお、ナビゲーション用演算部13は、この他にも、リモートコントローラや表示入力装置47と一体的に設けられたタッチパネルなどのユーザインタフェース等、ナビゲーション装置1として必要な公知の各種構成に接続されている。
【0037】
1−5.ブレーキ計数部
ブレーキ計数部18は、車両3のブレーキ操作の回数を計数する計数手段として機能する。本実施形態においては、車両3のブレーキ操作がなされると、ブレーキ操作が行われている間、ブレーキ信号がブレーキ信号検出部15に入力されるように構成されている。そして、ブレーキ計数部18は、ブレーキ信号検出部15の検出結果に基づいて、ブレーキ操作が行われる度にブレーキ操作回数に「1」を加算してブレーキ操作回数を更新する。このブレーキ操作回数に関する情報は、ブレーキ計数部18が参照及び更新可能な形態でメモリ32に保存されている。
なお、ブレーキ操作中においてブレーキ操作量が変化する場合があるが、ブレーキ計数部18は、ブレーキ信号検出部15においてブレーキ信号が検出されてからブレーキ信号が検出されなくなるまでを、1回のブレーキ操作として計数する。
【0038】
1−6.急ブレーキ判定部
急ブレーキ判定部19は、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する判定手段として機能する。本実施形態においては、車両3はブレーキアシスト装置を備え、運転者のブレーキペダルを踏み込む速さや強さが通常のブレーキ時より大きい場合等に、運転者のブレーキ踏力に対してブレーキの効きを強くするブレーキアシスト動作が行われる。そして、ブレーキアシスト動作が行われると、ブレーキアシスト信号がブレーキアシスト信号検出部17に入力されるように構成されている。本実施形態においては、ブレーキアシスト信号検出部17が、ブレーキアシスト信号検出手段に相当する。
急ブレーキ時には一般にブレーキアシスト動作が行われるので、急ブレーキ判定部19は、ブレーキアシスト信号検出部17の検出結果に基づいて、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する。また、急ブレーキ判定部19は、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であると判定された場合には、後述する割合算出部22にその情報を出力する。
また、急ブレーキ判定部19により急ブレーキ操作がなされたと判定された場合に、その情報を通知処理部16へ出力し、表示入力装置47を介した文字やアイコン表示等による運転者への注意喚起や、音声出力装置48を介した音声による運転者への注意喚起を行う構成としても良い。
【0039】
1−7.車両減速頻度判定部
車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する機能部である。本実施形態においては、後述する割合算出部22から、急ブレーキ操作が行われた地点の位置に関する情報が入力されると、その入力され情報に基づいて、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かの判定を行うように構成されている。そして、その判定の結果を、割合算出部22へ出力する。
【0040】
本実施形態においては、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた地点を基準とする所定の減速頻度判定区間内に存在する信号機の数に基づいて、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する。例えば、減速頻度判定区間内に存在する信号機が5個未満である場合は、車両減速頻度が低いと判定する構成とすることができる。なお、5個という数値はあくまで例示であり、適宜変更可能である。また、信号機の数ではなく、交差点の数で判定を行うことや、信号機及び交差点の双方の数に基づいて車両原則頻度の判定を行う構成としても良い。
なお、本実施形態においては、車両減速頻度判定部14は、道路に存在する信号機や交差点の個数を、地図データ34を参照して取得可能に構成されている。
【0041】
また、上記の所定の減速頻度判定区間は、車両3が走行している道路に沿って設定される区間であり、例えば、急ブレーキ操作が行われた地点を基点として車両3の進行方向前方に1km離れた地点までを減速頻度判定区間とすることができる。なお、1kmという数値はあくまで例示であり、適宜変更可能である。また、急ブレーキ操作が行われた地点から車両3の進行方向前方に所定距離(例えば100m、適宜変更可)離れた位置を基点として、当該基点から車両3の進行方向前方に所定距離(例えば1km、適宜変更可)離れた地点までを減速頻度判定区間として設定しても良い。また、急ブレーキ操作が行われた地点を含むように減速頻度判定区間を設定しても良い。例えば、急ブレーキ操作が行われた地点を基点として車両3の進行方向後方に所定距離(例えば50m、適宜変更可)離れた地点から、急ブレーキ操作が行われた地点を基点として車両3の進行方向前方に所定距離(例えば1km、適宜変更可)離れた地点までを減速頻度判定区間として設定することで、減速頻度判定区間を、急ブレーキ操作が行われた地点より前方の区間が当該地点より後方の区間よりも大きくなるようにしても良い。また、例えば、急ブレーキ操作が行われた地点を基点として車両3の進行方向後方に所定距離(例えば1km、適宜変更可)離れた地点から、急ブレーキ操作が行われた地点を基点として車両3の進行方向前方に同じ所定距離だけ離れた地点までを減速頻度判定区間として設定することで、減速頻度判定区間を、急ブレーキ操作が行われた地点より前方の区間と当該地点より後方の区間とが均等距離になるようにしても良い。
【0042】
1−8.割合算出部
割合算出部22は、ブレーキ計数部18にて計数されるブレーキ操作回数に占める、急ブレーキ判定部19にて急ブレーキ操作であると判定されたブレーキ操作の回数である急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する割合算出手段として機能するとともに、急ブレーキ操作があった際に、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定し、車両減速頻度が低いと判定された場合には急ブレーキ発生割合を高くするように補正する補正手段として機能する。本実施形態においては、ブレーキ操作回数、急ブレーキ操作回数、及び、急ブレーキ発生割合に関する情報は、割合算出部22が参照及び更新可能な形態でメモリ32に記憶されている。
【0043】
本実施形態においては、割合算出部22は、ブレーキ操作が行われる度に、急ブレーキ発生割合を最新のものに更新するように構成されている。そして、ブレーキ操作が行われた際に、当該ブレーキ操作が急ブレーキ操作であると急ブレーキ判定部19にて判定された場合には、その情報が割合算出部22に入力されるように構成されている。なお、割合算出部22は、急ブレーキ操作回数を更新するに際し、当該急ブレーキ操作がなされた道路の車両減速頻度が低い場合には、後述するように、急ブレーキ発生回数更新時の増分が大きくなるように補正することで、それに基づき算出される急ブレーキ発生割合を高く補正するように構成されている。
【0044】
割合算出部22は、急ブレーキ操作が行われたという情報が急ブレーキ判定部19から入力されると、自車位置情報取得部12から車両の現在位置、つまり、急ブレーキ操作がなされた地点の位置に関する情報を取得し、その情報を車両減速頻度判定部14へ出力する。そして、車両減速頻度判定部14から判定結果を取得し、その判定結果に基づいて以下に述べるように補正係数を用いた補正を行う。
【0045】
補正係数はメモリ32に記憶されているパラメータであり、同じくメモリ32に記憶されている補正規則40に基づいて値が設定されように構成されている。割合算出部22は、車両減速頻度判定部14の判定結果に基づき、補正係数を補正規則40に従って設定する。なお、本実施形態においては、補正規則40は、急ブレーキ操作が車両減速頻度の低い道路で行われた場合には補正係数を「1.2」とし、急ブレーキ操作が車両減速頻度の低い道路で行われなかった場合には補正係数を「1.0」とする規則となっている。なお、上記の「1.2」及び「1.0」という数値はあくまで例示であり、それぞれの場合において補正係数をどのように設定するかは、適宜変更可能である。
【0046】
そして、割合算出部22は急ブレーキ操作回数を更新するに際し、「1」と補正係数との積を、更新前の急ブレーキ操作回数に加算することで急ブレーキ操作回数の更新を行う。一方、ブレーキ操作回数がブレーキ計数部18により更新される際には、補正は行われない。このように急ブレーキ操作回数及びブレーキ操作回数を更新することで、急ブレーキ操作が車両減速頻度の低い道路で行われた場合には、急ブレーキ操作回数更新時の増分が大きくなる方向に補正され、その結果、ブレーキ操作回数に占める急ブレーキ操作回数の割合である急ブレーキ発生割合を高くするように補正することができる。
【0047】
割合算出部22は、以下の式(1)を用いてブレーキ操作回数に占める急ブレーキ操作回数の割合である急ブレーキ発生割合を算出する。
急ブレーキ発生割合〔%〕
=(急ブレーキ操作回数)/(ブレーキ操作回数)×100
・・・(1)
このようにして算出される急ブレーキ発生割合は、運転者が行ったブレーキ操作が適切なものではなかった割合を表すものとなっている。逆に言えば、急ブレーキ発生割合をX〔%〕とすると、(100−X)〔%〕で表される割合が、ブレーキ操作が適切なものであった割合を表すものとなっている。したがって、急ブレーキ発生割合が小さいほどより安全な運転をしていると評価されることになる。
【0048】
なお、割合算出部22により参照される補正規則40は、集中管理サーバ2から受信した更新情報により更新可能とされている。この更新処理は、更新処理部30により行われる。すなわち、更新処理部30は、送受信部11を介して集中管理サーバ2から補正規則40の更新情報を受信した場合には、当該更新情報に基づいて、メモリ32に記憶された補正規則40を更新する。これにより、例えば、これまでに取得した総ポイント(後述する)や運転者の技能レベル、運転歴等に基づいて急ブレーキ発生割合がより適切な値となるように規則を随時変更すること等が可能となる。
【0049】
1−9.評価情報取得部
評価情報取得部23は、割合算出部22により算出された急ブレーキ発生割合に基づいて評価情報61を取得する評価情報取得手段として機能する。ここでは図1に示すように、評価情報取得部23は、ポイント算出部24、グラフ生成部25、アドバイス文取得部26及び外部情報取得部27を備えている。そして、評価情報取得部23は、評価情報61として、ポイント情報62、アドバイス文情報、評価グラフ情報64、順位情報65及び階級情報66を取得する。また、メモリ32には、評価情報取得部23により参照されるポイント規則38及びアドバイスデータ37が記憶されている。図3及び図4は、評価情報取得部23により取得された評価情報61を、表示入力装置47に表示する際の画面の一例を示している。なお、アドバイス文情報については図示を省略している。ここで、図3は、これまでの急ブレーキ発生割合に関して総合的に評価した結果を表示するための総合評価画面の一例であり、図4は、車両3の走行中における急ブレーキ発生割合の変化を逐次表すための評価グラフ情報64を表示した案内画面の一例である。なお、図4の例では、評価グラフ情報64の他に、階級情報66と経路案内のための案内地図とが表示されている。
【0050】
ポイント算出部24は、急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイントを算出する。この際、ポイント算出部24は、メモリ32に記憶されたポイント規則38を参照し、当該ポイント規則38に従って付与されるポイントの算出を行う。このポイント規則38は、割合算出部22により算出された急ブレーキ発生割合と付与されるポイントとの関係を規定した規則である。本実施形態においては、一例として、ポイント規則38は、急ブレーキ発生割合をX〔%〕とすると、(100−X)〔%〕を求め、1〔%〕につき1ポイントを付与するという規則となっている。ただし、急ブレーキ発生割合を算出するための急ブレーキ操作回数が補正されたことにより、割合算出部22によって車両3の主電源のオンからオフまでの一走行毎に算出される急ブレーキ発生割合が100〔%〕を超えた場合には、0ポイントが付与される(言い換えれば、ポイントは付与されない)という規則となっている。或いは、(X−100)〔%〕を求め、1〔%〕につき1ポイントを剥奪するという規則としても良い。
【0051】
また、ポイント算出部24は、上記のように算出された一走行毎のポイントを積算し、これまでに取得した総ポイントを算出する。総ポイントは、所定期間毎、例えば一年毎に積算及び集計され、年が変われば再度ゼロから積算される構成とし、或いはこれまでに取得した全てのポイントの積算値とされる。ポイント算出部24により算出された一走行毎のポイント及び総ポイントは、車両ポイントデータ39としてメモリ32に記憶される。そして、ポイント算出部24は、メモリ32に記憶された車両ポイントデータ39に基づいて、前回の走行により取得したポイント(前回取得ポイント)及び総ポイントを表すポイント情報62を表示入力装置47に表示させる。図3に示す例では、このようなポイント情報62を総合評価画面の一部に表示している。
【0052】
ポイント算出部24により参照されるポイント規則38は、集中管理サーバ2から受信した更新情報により更新可能とされている。この更新処理は、更新処理部30により行われる。すなわち、更新処理部30は、送受信部11を介して集中管理サーバ2からポイント規則38の更新情報を受信した場合には、当該更新情報に基づいて、メモリ32に記憶されたポイント規則38を更新する。これにより、例えば、付与されるポイントがより適切な値となるように規則を随時変更することや、期間限定で付与されるポイントを多くするように規則を変更すること等が可能となる。なお、上記ポイント規則38の内容は単なる一例であり、この規則の内容は任意に設定することが可能である。したがって、例えば、車両3が一走行で移動した距離に応じて、同じ急ブレーキ発生割合であっても付与されるポイントを変えるようにポイント規則38を設定しても好適である。
【0053】
グラフ生成部25は、急ブレーキ発生割合に基づいて導出される、ブレーキ操作に関して安全に運転している割合を表す安全運転割合を、各時点において視覚的に表すグラフ表示を生成する。安全運転割合〔%〕は、急ブレーキ発生割合をX〔%〕とすると(100−X)〔%〕として導出される。ただし、補正により、急ブレーキ発生割合が100〔%〕を超えた場合には、安全運転割合は0〔%〕とされる。グラフ生成部25は、具体的には、図4に示すように、車両3の走行中における安全運転割合の変化を逐次表すための評価グラフ情報64を生成する。また、グラフ生成部25は、生成した評価グラフ情報64を表示入力装置47に表示させる。この評価グラフ情報64は、安全運転割合の現在値のグラフと、安全運転割合の過去平均値のグラフとを有して構成され、互いに対比可能な状態となるように隣接配置されている。ここで、安全運転割合の現在値のグラフは、主電源のオンから現時点までの間に走行した経路についての安全運転割合を、車両3の走行に伴って逐次更新しながら表示するためのグラフである。また、安全運転割合の過去平均値のグラフは、主電源のオンからオフまでの間に走行した経路についての安全運転割合についての過去の情報の平均値を表示するためのグラフであり、車両3の一走行毎に値が更新される。図示の例では、両グラフは、いずれも棒グラフとされている。なお、過去の安全運転割合の情報としては、ナビゲーション装置1において記憶され、或いは集中管理サーバ2において車両3毎に記憶された情報が用いられる。
【0054】
アドバイス文取得部26は、急ブレーキ発生割合に応じた内容のアドバイス文情報を取得する。ここでは、アドバイス文取得部26は、メモリ32に格納されたアドバイスデータ37から急ブレーキ発生割合に応じた内容のアドバイス文情報を読み出して取得する。また、アドバイス文取得部26は、取得したアドバイス文情報を表示入力装置47に表示させる。アドバイス文情報は、急ブレーキ発生割合に応じて、急ブレーキ発生割合に応じた評価の内容を運転者に伝えるための文章の情報である。例えば、急ブレーキ発生割合が低い場合には、そのことを褒める内容の文章がアドバイス文情報として取得され、急ブレーキ発生割合が高い場合には、ブレーキ操作に関する運転者の安全運転意識の向上を促す内容の文章がアドバイス文情報として取得される。
【0055】
メモリ32に格納されたアドバイスデータ37は、集中管理サーバ2から受信した更新情報により更新可能とされている。この更新処理は、更新処理部30により行われる。すなわち、更新処理部30は、送受信部11を介して集中管理サーバ2からアドバイスデータ37の更新情報を受信した場合には、当該更新情報に基づいて、メモリ32に記憶されたアドバイスデータ37を更新する。これにより、例えば、運転者の運転操作傾向や運転歴等に応じてアドバイス文情報の内容を変更する等のように、アドバイス文情報の内容をより適切なものに随時変更することが可能となる。
【0056】
外部情報取得部27は、車両3の外部に設けられた集中管理サーバ2からの評価情報61を取得するための処理を行う。具体的には、外部情報取得部27は、送受信部11を介して集中管理サーバ2と通信を行い、順位情報65や階級情報66等の他車両3との比較による評価情報61を受信する。後述するように、集中管理サーバ2は、複数の車両3に搭載されたナビゲーション装置1と通信可能に設けられ、これら複数の車両3から急ブレーキ発生割合に関する情報を収集して集計する。本実施形態においては、集中管理サーバ2は、各車両3のナビゲーション装置1から急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイント、並びに急ブレーキ発生割合を算出する際の元情報となるブレーキ操作回数及び補正後の急ブレーキ操作回数の情報を収集して集計し、その集計結果として順位情報65及び階級情報66を生成する。各ナビゲーション装置1の外部情報取得部27は、このように生成された順位情報65及び階級情報66を集中管理サーバ2に対して所定のタイミングで要求し、取得する。本実施形態においては、外部情報取得部27は、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の主電源がオンされた時に、集中管理サーバ2に対して順位情報65及び階級情報66を要求する。
【0057】
順位情報65は、他車両3との比較での急ブレーキ発生割合、或いはこれに基づいて導出される安全運転割合に関する各車両3の順位を表す情報である。この順位情報65としては、例えば、各車両の所定期間内での急ブレーキ発生割合等の平均値の順位や、各車両が所定期間内で取得したポイント合計の順位等の情報とすることができる。ここで、所定期間としては、例えば、一年、一月、一週間、一日等のように、各種の期間を設定することができる。そして、外部情報取得部27は、取得した順位情報65を表示入力装置47に表示させる。本実施形態においては、図3の例に示すように、順位情報65は、各車両3が月毎に取得したポイント合計の他車両3との比較での順位、及び当該順位が前月に対して上昇したか下降したかを示す矢印画像を含んでいる。
【0058】
階級情報66は、他車両3との比較での各車両3の過去の急ブレーキ発生割合、或いはこれに基づいて導出される安全運転割合に基づいて付与される階級を表す情報である。この階級情報66としては、例えば、各車両の所定期間内での急ブレーキ発生割合等の平均値の順位や、各車両3が所定期間内で取得したポイント合計の順位、各車両3がこれまでに取得した総ポイント等に応じて、各車両を複数の階級に区分した際における各車両の属する階級の情報とすることができる。本実施形態においては、階級情報66は、所定期間(例えば1年間)に取得したポイント合計の順位に応じて、現在の階級を上下させることにより決定される。ここで、階級としては、例えば、A、B、C、・・・の区分や、1、2、3、・・・の区分等を用いることができる。そして、外部情報取得部27は、取得した階級情報66を表示入力装置47に表示させる。本実施形態においては、図3の例に示すように、階級情報66は、A、B、C、・・・の階級を用いており、図示の例では車両3は「B」階級に属することが表示されている。
【0059】
1−10.主電源監視部
主電源監視部28は、車両3の主電源スイッチ4の状態を監視する主電源監視手段として機能する。そして、主電源スイッチ4がオンされて車両3の各部に電力が供給されている状態を主電源のオン状態と判定し、主電源スイッチ4がオフされて車両3の各部に電力が供給されていない状態を主電源のオフ状態と判定する。
【0060】
1−11.送信処理部
送信処理部29は、所定のタイミングで急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する処理を行う。より具体的には、送信処理部29は、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する処理を行う。主電源のオン及びオフは、主電源監視部28により判定される。本実施形態においては、送信処理部29は、主電源のオンからオフまでの急ブレーキ発生割合に応じて付与される一走行毎のポイント情報、並びに急ブレーキ発生割合を算出する際の元情報となるブレーキ操作回数及び補正後の急ブレーキ操作回数の情報を、集中管理サーバ2へ送信する。
【0061】
2.集中管理サーバの構成
次に、集中管理サーバ2の構成について説明する。図2に示すように、集中管理サーバ2は、複数の車両3のそれぞれに搭載された複数のナビゲーション装置1と通信可能に設けられている。そして、集中管理サーバ2は、各ナビゲーション装置1から急ブレーキ発生割合に関する情報を収集して集計するとともに、集計した情報に基づいて各ナビゲーション装置1についての評価情報61を生成する。また、集中管理サーバ2は、各ナビゲーション装置1からの要求に従って、生成した評価情報61を配信する。
【0062】
図2に示す集中管理サーバ2の各機能部は、互いに共通の或いはそれぞれ独立のCPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。本実施形態においては、集中管理サーバ2は、送受信部52、格納処理部53、集計処理部54、及び配信処理部55を機能部として備えている。そして、これらの各機能部は、デジタル転送バス等の通信線を介して互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。ここで、各機能部がソフトウェア(プログラム)により構成される場合には、当該ソフトウェアは、前記演算処理装置が参照可能なRAMやROM等の記憶手段に記憶される。また、ユーザデータベース51は、例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ等のように、情報を記憶及び書き換え可能な記録媒体(記憶手段)をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係る集中管理サーバ2の各部の構成について詳細に説明する。
【0063】
2−1.送受信部
送受信部52は、無線基地局等を介して複数の車両3に搭載されたナビゲーション装置1との間で無線通信によりデータの送受信を行う通信装置を備えている。この無線通信方法には、ナビゲーション装置1の送受信部11と共通のものが使用される。上記のとおり、本実施形態においては、送受信部52は、急ブレーキ発生割合に関する情報、具体的には、急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイント、並びに急ブレーキ発生割合を算出する際の元情報となるブレーキ操作回数及び補正後の急ブレーキ操作回数の情報をナビゲーション装置1から受信する。また、送受信部52は、順位情報65や階級情報66等の他の車両3との比較による評価情報61、及びナビゲーション装置1のメモリ32に記憶された補正規則40やポイント規則38、アドバイスデータ37を更新するための更新情報をナビゲーション装置1へ送信する。
【0064】
2−2.格納処理部
格納処理部53は、送受信部52により各車両3に搭載されたナビゲーション装置1から受信した急ブレーキ発生割合に関する情報を、車両3毎に区分してユーザデータベース51に格納する処理を行う。上記のとおり、本実施形態においては、急ブレーキ発生割合に関する情報には、急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイント、並びに急ブレーキ発生割合を算出する際の元情報となるブレーキ操作回数及び補正後の急ブレーキ操作回数の情報が含まれる。ここで、急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイントの情報は、具体的には、主電源のオンからオフまでの急ブレーキ発生割合に応じて付与される一走行毎のポイント情報である。また、ブレーキ操作回数及び補正後の急ブレーキ操作回数の情報についても、主電源のオンからオフまでの一走行毎の情報である。これらの情報は、各車両3において主電源がオフされた時に、当該車両3の一走行毎の情報としてナビゲーション装置1から送信され、送受信部52において受信される。格納処理部53は、受信した急ブレーキ発生割合に関する情報を、各車両3の識別情報及び受信日時の情報と関連付けた状態で、ユーザデータベース51に格納する。ここで、各車両3の識別情報としては、例えば、各車両3又は各ナビゲーション装置1の識別コードや各車両3のナンバープレートの番号等を用いることができる。
【0065】
2−3.集計処理部
集計処理部54は、ユーザデータベース51に記憶された車両3毎の急ブレーキ発生割合に関する情報を集計し、各車両3(各ナビゲーション装置1)についての評価情報61を生成する処理を行う。具体的には、集計処理部54は、各車両3から受信した一走行毎のポイントの情報を所定期間毎に集計し、複数の車両3を比較したポイント合計の順位を表す順位情報65を生成する。本実施形態においては、集計処理部54は、各車両3が月毎に取得したポイントの合計を演算し、他車両3との比較での順位を表す順位情報65を生成する。更に、集計処理部54は、各車両3が所定期間内で取得したポイントを集計し、その集計結果に応じて付与される階級を表す階級情報66を生成する。本実施形態においては、集計処理部54は、所定期間(例えば1年間)に取得したポイント合計の順位に応じて、順位が高ければ階級を上昇させ、順位が低ければ階級を下降させることにより、各車両3の階級を決定する。なお、最初に所定期間が経過するまでの階級は、最も低い階級や中間の階級等、任意に設定することができる。生成された順位情報65及び階級情報66は、各車両3の識別情報と関連付けた状態で、ユーザデータベース51に格納される。
【0066】
また、集計処理部54は、各車両3から受信した一走行毎のポイントの情報を車両3毎に積算し、これまでに取得した総ポイントを算出をする。上記のとおり、総ポイントは、所定期間毎に積算された積算値とされ、或いはこれまでに取得した全てのポイントの積算値とされる。算出された総ポイントの情報は、各車両3の識別情報と関連付けた状態で、ユーザデータベース51に格納される。このようにユーザデータベース51に格納される総ポイントの情報は、各ナビゲーション装置1のメモリ32に記憶された総ポイントの情報のバックアップ及び確認等のために用いられる。したがって、この情報は、ナビゲーション装置1において車両ポイントデータ39としてメモリ32に記憶される総ポイントの情報と一致する。
【0067】
2−4.配信処理部
配信処理部55は、各ナビゲーション装置1の外部情報取得部27からの要求に応じて、集計処理部54により生成した評価情報61としての順位情報65及び階級情報66をユーザデータベース51から読み出し、各ナビゲーション装置1へ送信する処理を行う。また、配信処理部55は、図示しない更新情報生成部によりポイント規則38やアドバイスデータ37を更新するための更新情報が生成された際には、当該更新情報をナビゲーション装置1へ送信する処理を行う。
【0068】
3.動作処理の手順
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1において実行される安全運転評価処理の手順(安全運転評価方法)について説明する。図5は、本実施形態に係る安全運転評価処理の全体の手順を示すフローチャートである。また、図6は、図5のステップ#05の急ブレーキ発生割合算出処理の手順を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
【0069】
3−1.安全運転評価処理の全体の手順
まず、安全運転評価処理の全体の手順について説明する。図5に示すように、ナビゲーション装置1が搭載された車両3の主電源スイッチ4がオンされた場合には(ステップ#01:Yes)、外部情報取得部27により、集中管理サーバ2に対して、当該車両3に対する評価情報61としての順位情報65及び階級情報66を要求し、これらの情報を受信する(ステップ#02)。そして、総合評価画面を表示する(ステップ#03)。この総合評価画面は、図3に示すように、前回の走行により取得したポイント(前回取得ポイント)及び総ポイントを表すポイント情報62、順位情報65、及び階級情報66の表示を含んでいる。なお、図示は省略するが、上記の情報に併せてアドバイス文情報を表示するように構成されている。ここで、ポイント情報62は、ポイント算出部24により算出され、メモリ32に記憶された車両ポイントデータ39から取得される。アドバイス文情報は、アドバイス文取得部26により、メモリ32に格納されたアドバイスデータ37から、前回の走行時の急ブレーキ発生割合に応じた内容のアドバイス文情報を読み出すことにより取得される。順位情報65及び階級情報66は、ステップ#02において集中管理サーバ2から受信して取得される。総合評価画面は、これらの情報を所定の形式に従って配置して構成される。
【0070】
そして、車両3が走行を開始した場合には(ステップ#04:Yes)、割合算出部22により、急ブレーキ発生割合を算出する処理が行われる(ステップ#05)。この急ブレーキ発生割合算出処理については、後に図6のフローチャートに基づいて詳細に説明する。また、次に、グラフ生成部25により、評価グラフ情報64を生成し、表示する(ステップ#06)。この評価グラフ情報64は、図4に示すように、各時点での急ブレーキ発生割合に基づいて導出される安全運転割合を視覚的に表すグラフ表示であって、安全運転割合の現在値のグラフと、安全運転割合の過去平均値のグラフとを有して構成されている。ステップ#05及び#06の処理は、主電源がオフされるまでの間繰り返し実行される。したがって、車両3の主電源がオンされた後、主電源がオフされるまでは(ステップ#07:No)、各時点での急ブレーキ発生割合が随時算出されるとともに、当該各時点での安全運転割合を表示する評価グラフ情報64が表示入力装置47に表示される。
【0071】
その後、主電源がオフされた場合には(ステップ#07:Yes)、送信処理部29により、主電源のオンからオフまでの間の急ブレーキ発生割合に関する情報を集中管理サーバ2へ送信する(ステップ#08)。ここで、送信される急ブレーキ発生割合に関する情報には、上記のとおり、一走行毎のポイント情報、並びに急ブレーキ発生割合を算出する際の元情報となるブレーキ操作回数及び補正後の急ブレーキ操作回数の情報が含まれる。ここで、一走行毎のポイント情報は、主電源のオンからオフまでの急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイントの情報である。なお、主電源のオンからオフまでの急ブレーキ発生割合は、主電源がオフされる直前にステップ#05により算出された当該時点での急ブレーキ発生割合に等しい。以上で安全運転評価処理の全体の手順を終了する。
【0072】
3−2.急ブレーキ発生割合算出処理の手順
次に、図5のステップ#05における急ブレーキ発生割合算出処理の手順について説明する。図6に示すように、ブレーキ信号検出部15にてブレーキ信号が検出されると(ステップ#11:Yes)、ブレーキ計数部18はブレーキ操作回数に「1」を加算してブレーキ操作回数を更新する(ステップ#12)。次に、ブレーキアシスト信号検出部17にてブレーキアシスト信号が検出されたか否かの判定に進む(ステップ#13)。ブレーキアシスト信号が検出されると(ステップ#13:Yes)、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かの判定を行う(ステップ#14)。そして、車両減速頻度が低いと判定された場合は(ステップ#14:Yes)、割合算出部22は補正係数を「1.2」に設定する。一方、車両減速頻度が低いと判定されなかった場合は(ステップ#14:No)、割合算出部22は補正係数を「1.0」に設定する。そして、割合算出部22は、「1」と補正係数との積を急ブレーキ操作回数に加算して、急ブレーキ操作回数の更新を行う(ステップ#17)。そして、ブレーキ信号がOFFになるまで待機し(ステップ#18:No)、ブレーキ信号がOFFになると(ステップ#18:Yes)、割合算出部22は急ブレーキ発生割合の更新を行い(ステップ#20)、処理はステップ#11に戻される。
【0073】
また、ステップ#13においてブレーキアシスト信号が検出されなかった場合は(ステップ#13:No)、ブレーキ信号がOFFであるか否かの判定に進む(ステップ#19)。そして、ブレーキ信号がOFFでない場合(ステップ#19:No)、処理はステップ#13に戻される。一方、ブレーキ信号がOFFであった場合は(ステップ#19:Yes)、割合算出部22は急ブレーキ発生割合の更新を行い(ステップ#20)、処理はステップ#11に戻される。
【0074】
処理がステップ#11に戻された後は、ブレーキ信号検出部15にて再びブレーキ信号が検出されるまで待機し(ステップ#11:No)、ブレーキ信号が検出されると(ステップ#11:Yes)と、上記の処理を再度行う。つまり、車両3においてブレーキ操作が行われる度に、上記の処理が繰り返し行われる。
【0075】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態においては、急ブレーキ操作が車両減速頻度の低い道路で行われた場合、急ブレーキ発生割合を求める算出式(1)の分子である急ブレーキ操作回数の更新時の増分を通常より大きくする補正を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、算出式(1)の分母であるブレーキ操作回数を補正する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、急ブレーキ操作回数の更新は、更新前の急ブレーキ操作回数に「1」を加算することで行い、ブレーキ操作回数の更新は、「1」と補正係数との積を更新前のブレーキ操作回数に加算することで行う。この場合、上記の実施例とは異なり、補正規則40は、急ブレーキ操作が車両減速頻度の低い道路で行われた場合には補正係数を「1.0」未満の値とし、急ブレーキ操作が車両減速頻度の低い道路で行われなかった場合には補正係数を「1.0」とする規則とすると好適である。このように、ブレーキ操作回数の更新時の増分が小さくなる方向の補正を行うことで、急ブレーキ発生割合を高くする補正を行うことができる。また、急ブレーキ操作回数とブレーキ操作回数の双方の増分を補正する構成とすることや、急ブレーキ操作回数とブレーキ操作回数の双方とも補正せずに、急ブレーキ操作回数及びブレーキ操作回数の双方とも、更新時の増分は「1」とする構成としても良い。さらに、急ブレーキ操作回数及びブレーキ操作回数の双方とも、更新時の増分は「1」とし、算出式(1)に基づいて算出された急ブレーキ発生割合に所定の値を加算或いは減算したり、所定の係数を乗じたりすることによって急ブレーキ発生割合を補正する構成としても良い。
【0076】
また、上記の実施形態においては、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かの判定を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度を判定するための閾値を複数有し、当該道路の車両減速頻度を複数のレベルに判別する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度を低、中、高の3段階に判別し、それぞれに対して異なる補正係数を設定する構成としても良い。
【0077】
(2)上記の実施形態においては、急ブレーキ判定部19は、ブレーキアシスト信号検出部17がブレーキアシスト信号を検出したか否かに基づき、急ブレーキ操作が行われた否かの判定を行う場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、ナビゲーション装置1が、車両3の加速度を示す情報を取得する加速度情報検出手段を備え、加速度情報検出手段が取得する減速度の大きさに基づいて、急ブレーキ操作が行われたか否かの判定を行う構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この際、距離センサ43が加速度を検知するセンサを備える場合、加速度情報検出手段は、距離センサ43から車両3の加速度を示す情報を取得する構成としても良い。また、ナビゲーション装置1が、車両3の速度を示す情報を取得する速度情報検出手段を備え、ブレーキ操作直前の車両3の速度、及びブレーキ操作後の車両3の速度を検出し、それらの差分に基づいて減速度を算出する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0078】
(3)上記の実施形態では、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた地点を基準とする所定の減速頻度判定区間内に存在する信号機や交差点の数に基づいて、急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、車両減速頻度判定部14は、急ブレーキ操作が行われた道路の道路種別情報を地図データ34を参照して取得し、道路種別情報に基づいて当該道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する構成とすることも本発明の好適な実施形態の一つである。例えば、道路種別情報が高速道路を示す道路は、車両減速頻度が低いと判定すると良い。
【0079】
(4)上記の実施形態においては、ナビゲーション装置1が備える地図データベース31に記憶された地図データ34に基づいて、車両減速頻度判定部14が、道路に存在する信号機や交差点の個数を取得する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば、VICS(登録商標;Vehicle Information and Communication System(道路交通情報通信システム))から配信される道路交通情報等のように、車両3の外部に設置された施設から提供される情報により信号機や交差点の個数に関する情報を取得する構成としても良い。
【0080】
(5)上記の実施形態においては、評価情報61として、ポイント情報62、アドバイス文情報、評価グラフ情報64、順位情報65及び階級情報66を取得し、運転者が知ることができるように出力する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、これらの中の一部の情報のみを評価情報61として取得する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、これら以外の急ブレーキ発生割合に関しての評価を表す各種の情報を評価情報61として取得する構成としても好適である。
【0081】
(6)上記の実施形態においては、ナビゲーション装置1が備えるポイント算出部24が、一走行毎のポイント及びこれまでに取得した総ポイントを算出し、ナビゲーション装置1のメモリ32に記憶する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち例えば、ポイント算出部24で算出された一走行毎のポイントの情報が集中管理サーバ2へ送信され、集中管理サーバ2において車両3毎の総ポイントが算出される構成、或いは、一走行毎の急ブレーキ発生割合の情報が集中管理サーバ2へ送信され、集中管理サーバ2において一走行毎のポイントの算出及び総ポイントの算出が行われる構成としても好適である。この場合、ナビゲーション装置1は、外部情報取得部27により、所定のタイミングで送受信部11を介して集中管理サーバ2から当該車両3の総ポイントや一走行毎のポイントの情報を取得する。
【0082】
(7)上記の実施形態において説明した、ナビゲーション装置1と集中管理サーバ2とのそれぞれが備える機能部の割り当ては単なる一例である。したがって、例えば自車位置情報取得部12等のように、ナビゲーション装置1側に備える必要がある機能部を除き、各機能部は、ナビゲーション装置1と集中管理サーバ2とのいずれに備えていてもよい。したがって、例えば、安全運転評価システムの全ての構成が車載端末装置としてのナビゲーション装置1に備えられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。また、例えば、安全運転評価システムの主要な構成の全てが集中管理装置としての集中管理サーバ2に備えられた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。ここで、安全運転評価システムの主要な構成には、車両減速頻度判定部14、補正手段及び割合算出手段としての割合算出部22、及び評価情報取得手段としての評価情報取得部23が含まれる。
【0083】
(8)上記の実施形態では、本発明に係る安全運転評価システムを構成する車載端末装置が、ナビゲーション装置1である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば本発明に係る安全運転評価システムを構成する車載端末装置が、ナビゲーション装置1とは無関係な車両3の制御装置である構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、急ブレーキ操作が行われた場所におけるブレーキ操作の必要性を考慮した上での急ブレーキ発生割合に基づく安全運転評価を行う安全運転評価システム及び安全運転評価プログラムに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る集中管理サーバの概略構成を示すブロック図
【図3】評価情報取得部により取得された評価情報を表示する総合評価画面の一例を示す図
【図4】走行中における急ブレーキ発生割合の変化を逐次表すための評価グラフ情報を表示した案内画面の一例を示す図
【図5】本発明の実施形態に係る安全運転評価処理の全体の手順を示すフローチャート
【図6】急ブレーキ発生割合算出処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0086】
1:ナビゲーション装置(車載端末装置)
2:集中管理サーバ(集中管理装置、情報収集手段)
17:ブレーキアシスト信号検出部(ブレーキアシスト検出手段)
18:ブレーキ計数部(計数手段)
19:急ブレーキ判定部(判定手段)
22:割合算出部(割合算出手段、補正手段)
23:評価情報取得部(評価情報取得手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のブレーキ操作の回数を計数する計数手段と、
前記ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する判定手段と、
前記計数手段にて計数されるブレーキ操作回数に占める、前記判定手段にて急ブレーキ操作であると判定されたブレーキ操作の回数である急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する割合算出手段と、
前記急ブレーキ操作があった際に、当該急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定し、当該車両減速頻度が低いと判定された場合には前記急ブレーキ発生割合を高くするように補正する補正手段と、
前記急ブレーキ発生割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得手段と、
を備えた安全運転評価システム。
【請求項2】
車両のブレーキアシスト装置の作動信号を検出するブレーキアシスト検出手段を更に備え、
前記判定手段は、前記作動信号に基づいて、前記ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する請求項1に記載の安全運転評価システム。
【請求項3】
車両の加速度を示す情報を取得する加速度情報取得手段を更に備え、
前記判定手段は、前記加速度情報取得手段により検出される減速度に基づいて、ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する請求項1に記載の安全運転評価システム。
【請求項4】
前記補正手段は、前記急ブレーキ操作が行われた地点を基準とする所定の減速頻度判定区間内に存在する、信号機及び交差点の一方又は双方の数に基づいて、当該急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項5】
前記減速頻度判定区間は、前記急ブレーキ操作が行われた地点より前方の区間が当該地点より後方の区間よりも大きく設定されている請求項4に記載の安全運転評価システム。
【請求項6】
信号機及び交差点の一方又は双方の存在箇所に関する情報を含む地図データを参照可能に備え、
前記補正手段は、前記地図データから前記信号機及び前記交差点の一方又は双方の数を取得する請求項4又は5に記載の安全運転評価システム。
【請求項7】
各道路の種別を表す道路種別情報を含む地図データを参照可能に備え、
前記補正手段は、前記地図データから取得される道路種別情報に基づいて、前記急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定する請求項1から3のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項8】
前記評価情報取得手段は、前記急ブレーキ発生割合に応じて付与されるポイント、前記急ブレーキ発生割合に応じた内容のアドバイス文、及び各時点での前記急ブレーキ発生割合を視覚的に表すグラフの表示、の少なくとも一つの情報を前記評価情報として取得する請求項1から7のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項9】
前記急ブレーキ発生割合に関する情報を、複数の車両から収集する情報収集手段を更に備え、
前記評価情報取得手段は、前記情報収集手段にて収集された情報に基づいて、他車両との比較での前記急ブレーキ発生割合に関する各車両の順位、及び他車両との比較での各車両の過去の前記急ブレーキ発生割合に基づいて付与される階級、の一方又は双方の情報を前記評価情報として取得する請求項1から8のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項10】
車両に搭載された車載端末装置と、複数の前記車載端末装置と通信可能に設けられた集中管理装置と、を有して構成され、
前記車載端末装置は、当該車載端末装置が搭載された車両の主電源がオフされた時に、主電源のオンからオフまでの間の前記急ブレーキ発生割合に関する情報を前記集中管理装置へ送信し、
前記集中管理装置は、前記車載端末装置から受信した前記急ブレーキ発生割合に関する情報に基づいて、当該車載端末装置についての前記評価情報を生成する請求項1から9のいずれか一項に記載の安全運転評価システム。
【請求項11】
車両のブレーキ操作の回数を計数する計数機能と、
前記ブレーキ操作が急ブレーキ操作であるか否かを判定する判定機能と、
前記計数機能にて計数されるブレーキ操作回数に占める、前記判定機能にて急ブレーキ操作であると判定されたブレーキ操作の回数である急ブレーキ操作回数の割合に応じて急ブレーキ発生割合を算出する割合算出機能と、
前記急ブレーキ操作があった際に、当該急ブレーキ操作が行われた道路の車両減速頻度が低いか否かを判定し、当該車両減速頻度が低いと判定された場合には前記急ブレーキ発生割合を高くするように補正する補正機能と、
前記急ブレーキ発生割合に基づく評価情報を取得する評価情報取得機能と、
をコンピュータに実現させるための安全運転評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−107385(P2010−107385A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280371(P2008−280371)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】