説明

安否検知システム、宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラム

【課題】個人情報の漏洩を抑制できると共に、誤認識のおそれが小さな安否検知システム、宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラムを提供する。
【解決手段】安否検知システム1は、センター局10と、宅内局30と、センサー群40とを備える。第1〜3センサー41〜43は、ユーザー宅50に配置され、ユーザーの動きを検知する。宅内局30は、センサー41〜43からの検知信号を受信し、検知信号から想定される行動に関する行動情報を生成し、通信データとして送信する。宅内局30は、乱数から生成されるダミーデータを付加して、通信データのデータ量を一定とすると共に、暗号化する。センター局10は、宅内局30とネットワーク20を介して接続され、通信データを受信し、宅内局30への通知を行うか否かを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安否検知システム、宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラムに関し、更に詳しくは、独居世帯での高齢者等の安否確認を行う安否検知システム、それに用いられる宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、独居世帯で生活する高齢者が増加しており、高齢者等の安否を確認する安否検知システムへのニーズが高まっている。安否確認の通信(又は通信形態)としては、インターネット網やメールサーバを利用した形態が知られている。しかし、インターネット網を利用した形態では、災害時に網輻輳する可能性があり、安定性に欠ける。
【0003】
メールサーバを利用した形態では、メールサーバ自体が故障している場合には、自動通報されないという問題がある。また、メールサーバ単独ではメール通報動作はできず、他のネットワーク制御装置の動作が必須となることから、システムが大規模となってしまい、各種装置の故障率を無視できない。さらに、電子メールプロトコルにあっては、平文で通信を行っているので、盗聴されたり、メールデータが漏洩したりした場合には、個人情報が漏れる可能性もある。つまり、上記メールサーバを利用した形態の信頼性は、必ずしも高くはない。
【0004】
そこで、家電製品のボタン操作を検知して在宅チェックする方法が提案されており、特許文献1の図14には、ゲートウエイサーバ装置と、メインコントローラ装置と、各種センサーが付加された家電装置とからなる安否検知システムが示されている。また、特許文献2には、生体の動きを赤外線検知ユニットで検出する安否検知システムが示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−243189号公報
【特許文献2】特開2006−048224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1には、以下のような問題点があった。
通信の際、データ量によってメールの内容が推定されるおそれがある。メール電文が推定などによって解読されると、第三者に個人情報が漏れる等、プライバシーが侵害されるおそれがある。また、センサーを内蔵した家電機器の使用頻繁が低い場合には、検知できるイベント数自体が少なくなり、在室検知が困難となる。
【0007】
更に、上記家電機器の故障やセンサーを備えていない通常の家電機器への入れ替えにより、センサーの数が減ってしまい、在室検知が困難となる。また、設備の回路規模が大きくなってしまい、各種センサー部やゲートウエイサーバ装置、メインコントローラ装置の故障確率を無視できない。更に、災害等によりインターネット網が輻輳状態になった場合、自動通報が大幅に遅延する可能性がある。
【0008】
特許文献2の安否検知システムでは、単一の赤外線センサーの使用を考えると、例えば在室している対象者と大型犬等との判別が困難である等、赤外線誤認識の問題がある。
【0009】
本発明は、個人情報の漏洩を抑制できると共に、誤認識のおそれが小さな安否検知システム及びそれに用いられる宅内局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の安否検知システムは、ユーザーの安否確認を行う安否検知システムであって、
ユーザー宅に配置され、ユーザーの動きを検知するセンサーと、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成し、通信データとして送信する宅内局と、
前記宅内局とネットワークを介して接続され、前記通信データを受信するセンター局と、を備え、
前記宅内局は、前記行動情報の内容に拘わらず前記通信データのデータ量を一定とすることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の宅内局は、ユーザーの安否確認を行う安否検知システムに用いられる宅内局であって、
ユーザーの動きを検知するセンサーと、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成し、通信データとして送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記行動情報の内容に拘わらず前記通信データのデータ量を一定とすることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の安否確認方法は、ユーザーの安否確認を行う安否検知システムの宅内局で用いられる安否確認方法であって、
センサーを用いて、ユーザーの動きを検知するステップと、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成するステップと、
前記行動情報を通信データに生成するステップと、を有し、
前記通信データを生成するステップでは、前記通信データのデータ量を、前記行動情報の内容に拘わらず一定にすることを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の宅内局のためのプログラムは、ユーザーの安否確認を行う安否検知システムの宅内局のためのプログラムであって、前記宅内局に、
センサーを用いて、ユーザーの動きを検知する処理と、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成する処理と、
前記行動情報を通信データに生成する処理と、を実行させ、
前記通信データを生成する処理では、前記通信データのデータ量を、前記行動情報の内容に拘わらず一定にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の安否検知システム、宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラムによると、宅内局からセンター局に送信される通信データのデータ量が一定となる、即ち通信時間も一定となるから、検知信号に対応付けられ、想定された行動に関する行動情報(例えば、ユーザーが外出しているか否か)がデータ量や通信時間に基づいて推定されることがなく、個人情報の漏洩を抑制できる効果がある。また、センサーの検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶することにより、単に検知信号を利用するのに比べて、誤検出のおそれが低減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る安否検知システムを示す構成図である。安否検知システム1は、例えば一人暮らしの高齢者や障害者などの支援対象者(以下、ユーザーという)の安否を検知するシステムであって、センター局10と、センター局10にネットワーク20を介して接続された宅内局30と、センサー群40とを備える。宅内局30とセンサー群40は、ユーザーが暮らしているユーザー宅50に設置されている。
【0016】
センサー群40は、圧力センサーである第1センサー41、第2センサー42及び第3センサー43を含む。第1〜3センサー41〜43は、ユーザー宅50でユーザーが必ず通過する場所、例えば寝室、リビング、廊下にそれぞれ設置され、ユーザーが圧力などの外力を加えると検知信号を発生する。ネットワーク20は、輻輳制御可能な通信回線網であり、インターネット網よりも災害に強いという利点がある。
【0017】
センター局10は、例えば市町村の役場に設置され、複数の宅内局30を管理するものであって、標準時計部11と、記録・判定部12と、警告部13と、通話部14と、暗号・復号部15と、通信部16等を備える。標準時計部11は、基本時刻を記録・判定部12に送信する。
【0018】
記録・判定部12は、プログラム制御により動作し、標準時計部11から取得した基本時刻を1日数回(例えば、1〜3回)、一定時間間隔で各宅内局30へ送信する。また、記録・判定部12は、少なくとも第1〜3センサー41〜43からの検知信号に対応付けられたユーザーの想定される行動に関する行動情報と、宅内局30への通知の必要性と、を対応付けたリストを記憶する不図示のメモリを有する。記録・判定部12は、詳細は後述するが、各宅内局30からの通信データを受信すると、このメモリを検索し、通知を行うか否かを判定する。さらに、記録・判定部12は、この判定結果に応じて、警告部13へ警告情報を送信する。
【0019】
警告部13は、記録・判定部12から送信された警告情報を受信して、警告イベントとして表示し、センター局10の管理者等が警告イベントへの対応情報を入力可能とする。通話部14は、宅内局30に通話接続を行うものであり、従来の電話機、無線機等と略同様の機能を有する。暗号・復号部15は、センター局10と各宅内局30との間で送受信される通信データの暗号化及び復号化を行う。通信部16は、暗号化された通信データを伝送する。
【0020】
宅内局30は、少なくとも第1〜3センサー41〜43からの検知信号と、ユーザーの想定される行動と、を対応付けたリストを記憶する不図示のメモリを有する。宅内局30は、詳細は後述するが、検知信号を受信すると、このメモリを検索し、ユーザーの想定された行動に関する行動情報を生成し、この行動情報を通信データとしてセンター局10に送信する機能を有する。宅内局30は、例えば、信号検知部31と、外出情報入力表示部32と、アラーム部33と、宅内制御部34と、時刻表示部35とを備え、更に、センター局10のものと略同様の機能を有する通話部36、暗号・復号部37及び通信部38を備える。信号検知部31は、第1〜3センサー41〜43からの検知信号を検出し、その検出結果を宅内制御部34に送信する。
【0021】
外出情報入力表示部32は、キーボード等の適宜の入力部と、ディスプレイ等の表示部とを有し、入力部により上記行動情報に含まれるユーザーの外出に関する情報(以下、外出状態データという)を入力可能であり、表示部により、外出状態データを表示可能である。また、外出情報入力表示部32は、ユーザーの音声をボイスメモとして記録可能であって、外出状態データにボイスメモを追加することもできる。外出状態データは、外出情報の有無、外出情報の入力日時、ボイスメモ等を含む。また、外出情報には、外出予定日時及び帰宅予定日時を含む外出申告日時や、単に外出していることを示す適宜の情報がある。アラーム部33は、アラーム時刻になると、音、振動、光の少なくとも1つを一定時間発生させるアラーム動作を行う。
【0022】
宅内制御部34は、センター局10の記録・判定部12から1日に数回送信される上記基本時刻を、暗号・復号部15、通信部16、ネットワーク20、さらに宅内局30の通信部38、暗号・復号部37を経由して受信する。そして、宅内制御部34は、基本時刻を前回受信したときから今回受信した期間に、ユーザー宅50でユーザーによるアクションが検知されたか否かを判定しており、基本時刻を受信した際、その判定結果を含む通信データを、上記経路で記録・判定部12に送信する。
【0023】
また、宅内制御部34は、宅内局30を識別するための宅内局識別番号が記憶された不図示のメモリと、ダミーデータを生成するための不図示の乱数発生部とを有しており、上記通信データに宅内局識別番号を付加する。これにより、通信データがどの宅内局30から送信されたかをセンター局10で識別可能とし、さらに、乱数から生成されるダミーデータを付加することで、通信データのデータ量を一定とする。通信データのデータ量は、例えば通信時間換算で60秒となるように調整される。
【0024】
さらに、宅内制御部34は、不図示の時計部を有し、この時計部によりアラーム時刻を設定可能であり、アラーム時刻になると、アラーム部33に上記アラーム動作を行うように指示する。そして、宅内制御部34は、詳細は後述するが、ユーザーの最新アクションからの経過時間が規定時間を超過したか否かを判定し、超過していたら、アラーム部33に上記アラーム動作を繰り返し行うように指示する。時刻表示部35は、例えば、宅内制御部34の上記時計部から得られる現在時刻、アラーム時刻、及び最新アクションからの経過時間を表示する。
【0025】
最新アクションからの経過時間とは、例えば、ユーザーが帰宅した直後では帰宅してからの経過時間となり、その後アクションが検知されたら、そのアクションが検知された時からの経過時間となり、その後さらに、アクションが検知されたら、その時からの経過時間となる。規定時間とは、記録・判定部12から1日に数回送信される上記基本時刻の送信間隔(例えば、1日に1,2,3回送信されるのであれば、それぞれ24,12,8時間となる)から1時間を減算した時間をいう。
【0026】
以下、安否検知システム1の動作について詳細に説明する。
図2は、センター局10の動作を詳細に示している。記録・判定部12は、標準時計部11から基本時刻を取得し(S1)、宅内局30へ前回基本時刻を送信した時間から一定時間が経過したか否かを判定する(R1)。ステップR1での一定時間とは、1日24時間を任意の数(例えば、1,2,3)で割った値(即ち、24,12,8時間)とする。
【0027】
記録・判定部12は、一定時間経過すると(R1、Y)、暗号・復号部15、通信部16、ネットワーク20、宅内局30の通信部38、暗号・復号部37を経由して、宅内制御部34に基本時刻(現在時刻)を送信すると共に、宅内制御部34から上記通信データを受信する(S2)。通信データとは、最新アクションからの経過時間、第1〜3センサー41〜43で検知信号が発生したときの最新検知時間、宅内局識別番号及び外出状態データ等を含む。次に、記録・判定部12は、通信データに含まれる外出状態データにボイスメモが含まれていれば、そのボイスメモを取得した後(S3)、通信データを記録する(S4)。なお、ステップR1で一定時間を経過していなければ(R1、N)、記録・判定部12は、同じステップR1の処理を繰返す。
【0028】
次に、記録・判定部12は、通信データに含まれる外出状態データに外出情報が含まれているか否かを判定し(R2)、外出情報有りであれば(R2、N)、事前に申告のあった外出申告日時(例えば、帰宅予定日時)を超過しているか否かを判定する(R4)。ステップR4で外出申告日時を超過していなければ(R4、N)、記録・判定部12は、宅内局30から受信した通信データに含まれる最新アクションからの経過時間をクリアする処理を行い(S7)、その後、上記ステップR1の処理を再び行う。
【0029】
一方、ステップR2で外出情報無しであれば(R2、Y)、記録・判定部12は、最新アクションからの経過時間が上記一定時間を超過しているか否かを判定し(R3)、超過していなければ(R3、N)、上記ステップR1の処理を再び行う。
【0030】
ここで、ステップR2で外出情報無しであれば(R2、Y)、記録・判定部12は、ユーザーが在宅中と判定するが、それにもかかわらず、上記最新アクションからの経過時間が一定時間を超過している場合(R3、Y)や、外出情報有りでも(R2、N)、帰宅予定日時を超過している場合(R4、Y)には、ユーザーの安否を確認する必要がある。そこで、記録・判定部12は、ステップR3,R4の後、このような状況を警告情報として記録し、この警告情報を警告部13に送信すると共に、宅内局30に通話接続を行うか否かを警告部13に確認表示させる(S5)。警告部13は、記録・判定部12からの警告情報をディスプレイ上に警告イベント(ここでは、宅内局30に通話接続を行うか否か)として表示し、警告イベントが発生したことをセンター局10の管理者等に認識可能とする。
【0031】
次に、記録・判定部12は、ユーザーの想定される行動に関する行動情報と、宅内局30への通知の必要性と、を対応付けたリストを記憶する上記メモリを検索することで、警報を発生するか否かを判定する(R5)。ここでは、警報の発生により、自動的に宅内局30への通話を行うこととする。通話を行うときには(R5、Y)、センター局10の通話部14から宅内局30の通話部36に通話発呼を行う(S8)。記録・判定部12は、ステップS8の通話発呼により、応答の有無を判定し(R6)、応答無しであれば(R6、Y)、緊急連絡先に通話発呼を行う(S9)。緊急連絡先としては、ユーザーのかかりつけの病院、親類、契約している在宅看護施設等が挙げられる。
【0032】
ステップR5で通話を行わない場合(R5、N)や、ステップR6で応答有りの場合(R6、N)、さらに、ステップS9での緊急連絡先への通話発呼を行った場合には、通話を行わない理由(ボイスメモ等により外出理由が判明した等)、応答有りでユーザー等から得られた理由(ユーザーが外出している旨の連絡をヘルパーから受けた等)、緊急連絡先から得られた理由(ユーザーが入院することになった旨の連絡を入院先の病院から受けた等)が、警告イベントへの対応情報として、センター局10の管理者等によって警告部13に入力され、さらに、これらの対応情報が記録・判定部12に記録される(S6)。なお、対応情報は、センター局10が設置された市区町村役場で集計され、高齢者福祉対策の基本データとされる等の用途が考えられる。次に、記録・判定部12は、上記ステップS7による経過時間クリア処理を行った後、上記ステップR1の処理を再び行う。
【0033】
図3は、宅内局30の動作を詳細に示している。まず、宅内制御部34は、センター局10の記録・判定部12から一定時間の周期で送信される基本時刻を受信する(P1)。ステップP1で基本時刻を受信した際、宅内制御部34は、図2でのステップS2で示したように、通信データを生成し、この通信データを、暗号・復号部37、通信部38、ネットワーク20を経由し、さらにセンター局10の通信部16、暗号・復号部15を介して記録・判定部12に送信し、さらに、宅内制御部34の時計部で刻まれている宅内局時刻を更新する(P2)。ここで、ステップP2では、宅内制御部34が、第1〜3センサー41〜43からの検知信号を例えば信号検知部31から受信し、検知信号とユーザーの想定される行動とを対応付けたリストを記憶する上記メモリを検索することで、ユーザーの想定された行動に関する行動情報を生成し、この行動情報が通信データとして記録・判定部12に送信される。
【0034】
また、ステップP2では、上記したように通信データが必ず通信時間換算で60秒になるようにデータ量が調整されている。具体的には、宅内制御部34は、ボイスメモに録音された時間が短く、通信時間換算で60秒に満たない場合やボイスメモがない場合には、上記乱数発生部から乱数を発生させ、この乱数からなる適宜のダミーデータを後に付加することにより、通信データのデータ量を調整する。通信時間が60秒となるように通信データのデータ量を調整している理由は、センター局10を含む単一行政エリア内に例えば90秒単位で課金される世帯と、180秒単位で課金される世帯が混在しており、通信機器のハンドシェイクに要する時間と、センター局10から時刻同期のために送出される時間補正データの送信に要する時間との合計が最大30秒になることを想定しているからである。つまり、この行政エリア内の全ての世帯で、通信データの送信を1課金内で終了させるには、90秒単位で課金される世帯を考慮して、課金単位90秒から通信ハンドシェイクに要する時間30秒を減算することで得られる60秒を、通信時間の上限とする必要がある。
【0035】
次に、宅内制御部34は、外出情報入力表示部32から上記外出情報等が入力されたか否かにより外出情報の有無を判定し(J1)、外出情報が有る場合には(J1、N)、例えば、外出情報有り、外出情報の入力時間、帰宅予定日時、ボイスメモ等を記録した後(P3)、経過時間クリア処理を行う(P4)。ステップP4の処理により、外出中の経過時間は必ずクリアされることになるので、宅内制御部34は、上記最新アクションからの経過時間を算出可能となる。その後、宅内制御部34は、再び上記ステップJ1の処理を行う。
【0036】
一方、ステップJ1で外出情報がなければ(J1、Y)、宅内制御部34は、外出情報無しを記録し(P5)、宅内局時刻がアラーム時刻から1分以内か否かを判定し(J2)、1分以内であれば(J2、Y)、アラーム部33にアラーム動作を例えば1分間実行するように指示し(P6)、1分以内でなければ(J2、N)、上記アラーム動作を実行しない。
【0037】
次に、宅内制御部34は、アクション検知の有無を判定する(J3)。信号検知部31は、第1センサー41、第2センサー42、第3センサー43の順、又は逆に第3センサー43、第2センサー42、第1センサー41の順(以下、特定の順番という)で検知信号が発生したときのみ、アクション検知された旨を、宅内制御部34に通知する。
【0038】
宅内制御部34は、信号検知部31から上記アクション検知された旨の通知がないとき、アクション検知が無いと判定し(J3、N)、最新アクションからの経過時間が、上記規定時間、即ち、基本時刻の送信間隔(例えば、24,12,8時間)から1時間を減算した時間、を超過しているか否かを判定する(J4)。ステップJ4で最新アクションからの経過時間が規定時間を超過していない場合は(J4、N)、宅内制御部34は、最新アクションからの経過時間として、例えば、帰宅してからの経過時間や、アクション検知されてからの経過時間を、時刻表示部35に随時表示する(P12)。
【0039】
一方、ステップJ4で、最新アクションからの経過時間が上記規定時間を超過した場合(J4、Y)、宅内制御部34は、前回のアラーム動作(ここではステップP11でのアラーム動作)が実行されてからの経過時間が、11分未満であるか否かを判定する(J5)。ステップJ5で11分以上経過していたら(J5、N)、宅内制御部34は、アラーム部33に指示して、1分間のアラーム動作を11分間隔で5回繰り返し実行させ(P11)、その後、上記ステップP12を実行する。このステップP11でのアラーム動作は、警告アラーム動作となる。宅内制御部34は、ステップP12後、又は、ステップJ5で11分未満である場合(J5、Y)、再び上記ステップJ1を実行する。
【0040】
また、宅内制御部34は、上記ステップJ3で信号検知部31から上記通知があれば、アクション検知有りと判定し(J3、Y)、そのアクション検知が発生したアクション発生時刻を記憶し(P7)、経過時間クリアの後(P8)、アラーム動作を停止し(P9)、最新アクションからの経過時間を時刻表示部35に随時表示させて(P10)、再び上記ステップJ1を実行する。
【0041】
図4は、宅内局30の信号検知部31及び宅内制御部34の動作を詳細に示している。信号検知部31は、第1〜3センサー41〜43のいずれかで発生した検知信号を検知すると(T1)、その検知信号を検知した時間、及び第1〜3センサー41〜43のいずれで検知信号が発生したかを、宅内制御部34に記録する(T2)。次に、信号検知部31は、第1〜3センサー41〜43からの検知信号が、上記特定の順番で検知されたか否かを判定し(U1)、上記検知信号が特定の順番で検知されていなければ(U1、N)、再び上記ステップT1を行う。
【0042】
一方、信号検知部31は、上記検知信号を特定の順番で検知したら(U1、Y)、アクション検知された旨を宅内制御部34に通知する(T3)。次に、宅内制御部34は、アラーム部33に指示して、アラーム音を1秒間発生させて(T4)、アクション検知されたことをユーザーに伝える。その後、信号検知部31は、再び上記ステップT1を行う。
【0043】
従って、本実施形態の安否検知システム1によれば、以下の効果を奏する。
宅内局30からセンター局10に送信される通信データのデータ量を、通信時間換算で一定時間(60秒)となるように調整するので、宅内局30からセンター局10の通信が仮に傍受されたとしても、通信時間によって、ユーザーの外出に関する情報(個人情報)が通信データに含まれているか否かが、特定されてしまうことを抑制できる。また、通信データのデータ量を通信時間換算で課金単位以下としているので、通信データを1課金内で送信でき、通信費用を低減できる。
【0044】
通信データは、宅内局の暗号・復号部37により暗号化された状態でセンター局10に送信されるので、暗号解読されない限り、第三者に個人情報が漏洩してしまうことを抑制できる。センター局10は、通信データを一定周期で受信するので、ユーザーの安否確認を定期的に行うことができる。
【0045】
圧力センサーである第1〜3センサー41〜43が、ユーザー宅50の廊下、リビング、寝室等に設置されているので、ボタン操作が苦手なユーザーであっても、廊下等を移動するだけで検知信号が発生することになり、操作性を向上できる。第1〜3センサー41〜43が圧力センサーであるから、日光が入るような場所でも設置可能となる。
【0046】
圧力センサーの設置場所を、ユーザーが予め把握することで、センサーの数をむやみに増やす必要がないので、センサーの数を少なくでき、故障率を下げることができる。
【0047】
第1〜3センサー41〜43から特定の順番で検知信号が発生したときのみ、アクション検知とされるので、ユーザーの動きを確実に検出でき、さらに、特定の順番でノイズが発生しない限り、誤ったアクション検知が発生しないので、ノイズ対策ともなる。
【0048】
第1〜3センサー41〜43の検知信号と想定される行動とを対応付けたリストをメモリに記憶することにより、単に検知信号を利用するのに比べて、誤検出のおそれを低減できる。
【0049】
ユーザーは、アクション検知を発生させるために第1〜3センサー41〜43に特定の順番で圧力を加えることになるので、ユーザーが意識的にアクションを行うことになり、受動的ないわゆるPull型ではなく、能動的ないわゆるPush型の安否検知が可能となる。
【0050】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る安否検知システムを示す構成図である。以下、第2の実施形態では、第1の実施形態に係る安否検知システム1と同一機能等を有する部分には同一符号を付し、説明が重複する部分については適宜省略する。
【0051】
安否検知システム1Aは、安否検知システム1と比べて、防犯機能が追加された点が主に異なる。安否検知システム1Aは、センター局10Aと、センター局10Aにネットワーク20を介して接続された宅内局30Aと、センサー群40とを備える。宅内局30Aとセンサー群40は、ユーザー宅50Aに設置されている。センター局10Aは、複数の宅内局30Aを管理するものであって、その各構成は、記録・判定部12Aの機能(後述)以外についてはセンター局10の構成と略同様である。
【0052】
宅内局30Aは、上記宅内局30に比べて、緊急ボタン39が追加されており、緊急ボタン39の機能に対応して、信号検知部31A、宅内制御部34Aの機能が異なる。宅内制御部34Aは、緊急ボタン39の操作及び外出情報入力表示部32に入力された外出情報の有無に応じて、ユーザーの外出時に、信号検知部31Aの動作モードを変更する機能を有する。信号検知部31Aの動作モードには、在宅モードと外出モードがあり、在宅モードでの動作は、図4に示したフローチャートと同一となる。また、外出モードでの動作は、後述する図8のフローチャートに示される。
【0053】
以下、安否検知システム1Aの動作について詳細に説明する。
図6は、センター局10Aの動作を詳細に示している。以下、図中、ステップQ1〜Q4,Q5,Q6,Q11,Q12,Q13は、図2で示したセンター局10の動作であるステップS1〜S4,S7,S6,S5,S8,S9にそれぞれ対応しており、さらに、ステップV1〜V6は、同じくセンター局10の動作であるステップR1〜R6にそれぞれ対応している。即ち、センター局10Aの動作は、センター局10の動作と比べて、後述するステップQ7〜Q10が追加されている点が主に異なる。
【0054】
まず、記録・判定部12Aは、標準時計部11から基本時刻を取得し(Q1)、宅内局30Aへ前回基本時刻を送信した時間から一定時間が経過したか否かを判定する(V1)。次に、記録・判定部12Aは、一定時間経過すると(V1、Y)、上記経路を経由して、宅内制御部34Aに基本時刻を送信すると共に、宅内制御部34Aから上記通信データを受信し(Q2)、通信データにボイスメモが含まれていれば、そのボイスメモを取得した後(Q3)、通信データを記録する(Q4)。
【0055】
次に、記録・判定部12Aは、通信データに外出情報が含まれているか否かを判定し(V2)、外出情報有りであれば(V2、N)、外出申告日時を超過しているかの判定を行う(V4)。ステップV4で外出申告日時を超過していなければ(V4、N)、記録・判定部12Aは、経過時間クリア処理を行い(Q5)、その後、上記ステップV1の処理を再び行う。
【0056】
一方、ステップV2で外出情報無しであれば(V2、Y)、記録・判定部12Aは、最新アクションからの経過時間が上記一定時間を超過しているか否かを判定し(V3)、超過していなければ(V3、N)、上記ステップV1の処理を再び行う。
【0057】
次に、上記ステップQ7〜Q10について説明する。記録・判定部12Aは、宅内局30Aから異常イベントが発生した旨を示す自動通報(図7のステップW7で詳述)を受信すると(Q7)、直ちに宅内局30Aから通信データを取得し(Q8)、通信データにボイスメモが含まれていれば、そのボイスメモを取得した後(Q9)、通信データを記録する(Q10)。
【0058】
つまり、上記ステップV3で最新アクションからの経過時間が上記一定時間を超過しているときや、上記ステップV4で外出申告日時を超過しているとき、さらに、ステップQ10で異常イベントが発生した旨を示す自動通報に応じて通信データを記録した後は、ユーザーの安否を確認する必要があることから、記録・判定部12Aは、このような状況を警告情報として記録し、この警告情報を警告部13に送信すると共に、宅内局30Aに通話接続を行うか否かを警告部13に確認表示させる(Q11)。
【0059】
その後、記録・判定部12Aは、宅内局30Aに通話を行うか否かを判定し(V5)、通話を行うときには(V5、Y)、センター局10Aの通話部14から宅内局30Aの通話部36に通話発呼を行う(Q12)。次に、記録・判定部12Aは、ステップQ12の通話発呼により、応答の有無を判定し(V6)、応答無しであれば(V6、Y)、緊急連絡先に通話発呼を行う(Q13)。
【0060】
ステップV5で通話を行わない場合(V5、N)や、ステップV6で応答有りの場合(V6、N)、さらに、ステップQ13での緊急連絡先への通話発呼を行った場合には、通話を行わない理由、応答有りでユーザー等から得られた理由、緊急連絡先から得られた理由等が、警告イベントへの対応情報として、センター局10Aの管理者等によって警告部13に入力され、さらに、これらの対応情報が記録・判定部12Aに記録される(Q6)。そして、記録・判定部12Aは、上記ステップQ5による経過時間クリア処理を行った後、上記ステップV1の処理を再び行う。
【0061】
図7は、宅内局30Aの動作を詳細に示している。以下、図中、ステップW1,W2,W10,W11〜W13,W14,W15,W16,W17は、図3で示した宅内局30の動作であるステップP1,P2,P5,P6〜P8,P10,P9,P11,P12にそれぞれ対応しており、さらに、ステップX2,X4〜X7は、同じく宅内局30の動作であるステップJ1,J2〜J5にそれぞれ対応している。即ち、宅内局30Aの動作は、宅内局30の動作と比べて、後述するステップW3〜W9と、ステップX1,X3とが追加されている点が主に異なる。
【0062】
まず、宅内制御部34Aは、センター局10Aの記録・判定部12Aから上記一定時間の周期で送信される基本時刻を受信し(W1)、その際、通信時間換算で60秒になるようなデータ量を有する通信データを生成し、この通信データを、上記経路を経て記録・判定部12Aに送信すると共に、宅内局時刻を更新する(W2)。次に、宅内制御部34Aは、緊急ボタン39がOFFか否かを判定し(X1)、OFFであれば(X1、Y)、外出情報の有無を判定する(X2)。
【0063】
以下、ステップX1で緊急ボタン39がONであった場合(X1、N)と、ステップX2で外出情報が有りの場合(X2、N)における、それ以降の処理、即ち、ステップW3〜W8,ステップX3について説明する。安否検知システム1Aでは、これらの処理により、防犯機能を実現している。
【0064】
まず、ステップX1で緊急ボタン39がONであれば、宅内制御部34Aは、異常イベントが発生した旨を記録し(W6)、異常イベントが発生した旨を、センター局10Aの記録・判定部12Aに直ちに自動通報する(W7)。この自動通報による通信データは、上記通信データに、異常イベントが発生した旨を示す情報が付加されたものである。その後、宅内制御部34Aは、アラーム部33に指示して、アラーム動作を連続して実行させ(W8)、再びステップX1の処理を行う。
【0065】
ステップX2で外出情報が有りであれば、宅内制御部34Aは、信号検知部31Aの動作モードを在宅モードから外出モード(図8に詳述)に変更し(W3)、経過時間クリア処理を行う(W4)。ステップW4により、外出中の経過時間が必ずクリアされことになり、宅内制御部34Aは、帰宅してからの経過時間を得ることができる。そして、宅内制御部34Aは、外出情報有り等を記録する(W5)。
【0066】
次に、宅内制御部34Aは、信号検知部31Aでの累積によるアクションの検知数が一定数(例えば、1,3,5,7)以上であるか否かを判定し(X3)、一定数未満であれば(X3、N)、再びステップX1の処理を行い、一定数以上であれば(X3、Y)、上記ステップW6を行う。
【0067】
一定数は、ユーザー宅50A内での、第1〜3センサー41〜43及び外出情報入力表示部32の設置箇所の組み合わせ(以下、レイアウトという)に基づいて、設定される。レイアウトに基づいて一定数が設定される理由は、ユーザーが外出情報入力表示部32を用いて外出情報を入力した後、ユーザー自身が第1〜3センサー41〜43を通過する場合があり、その回数がレイアウトによって異なるためである。なお、この一定数は、安否検知システム1Aの導入時に例えば宅内制御部34Aのロータリースイッチ等により適宜設定される。
【0068】
一例として、第1〜3センサー41〜43をエントランス、リビング、寝室にそれぞれ設置した場合について説明する。まず、玄関、外出情報入力表示部32、エントランス、リビング、寝室のようなレイアウトであれば、ユーザーが外出情報を入力した後、直ぐに玄関から外出すれば、検知信号は発生しない。そこで、このレイアウトでは、一定数を例えば「1」とする。
【0069】
また、玄関、エントランス、外出情報入力表示部32、リビング、寝室のようなレイアウトであれば、ユーザーが外出情報を入力した後、玄関から外出するまでに、第1センサー41から検知信号が1回発生することになる。そこで、このレイアウトでは、ユーザーが外出情報を再入力する(つまり、外出情報入力表示部32〜玄関を往復する)ことを考慮し、その場合には、検知信号が2回発生するので、それを超える「3」を一定数とする。
【0070】
さらに、玄関、エントランス、リビング、外出情報入力表示部32、寝室のようなレイアウトであれば、ユーザーが外出情報を入力した後、玄関から外出するまでに、第1センサー41及び第2センサー42から検知信号がそれぞれ1回発生することになる。そこで、このレイアウトでは、ユーザーが外出情報を再入力する際に、検知信号が4回発生することになるので、それを超える「5」を一定数とする。
【0071】
そして、玄関、エントランス、リビング、寝室、外出情報入力表示部32のようなレイアウトであれば、ユーザーが外出情報を入力した後、玄関から外出するまでに、第1〜3センサー41〜43から検知信号がそれぞれ1回発生することになる。そこで、このレイアウトでは、ユーザーが外出情報を再入力する際に、検出信号が6回発生することになるので、それを超える「7」を一定数とする。
【0072】
再び、ステップX2について説明する。ステップX2で外出情報無しであれば(X2、Y)、宅内制御部34Aは、信号検知部31Aの動作モードを在宅モードに変更する(W9)。この在宅モードは、上記したように図4のフローチャートと同一であるので、説明を省略する。その後、宅内制御部34Aは、外出情報無しを記録し(W10)、宅内局時刻がアラーム時刻から1分以内か否かを判定し(X4)、1分以内であれば(X4、Y)、アラーム動作を1分間実行するように指示し(W11)、1分以内でなければ(X4、N)、上記アラーム動作を実行しない。
【0073】
次に、宅内制御部34Aは、アクション検知の有無を判定し(X5)、アクション検知無しであれば(X5、N)、最新アクションからの経過時間が上記規定時間を超過しているか否かを判定する(X6)。そして、ステップX6で超過していない場合は(X6、N)、宅内制御部34Aは、最新アクションからの経過時間を時刻表示部35に随時表示する(W17)。
【0074】
一方、ステップX6で、最新アクションからの経過時間が上記規定時間を超過した場合(X6、Y)、宅内制御部34Aは、前回のアラーム動作(ここでは、ステップW16でのアラーム動作)が実行されてからの経過時間が、11分未満であるか否かを判定し(X7)、11分以上経過していたら(X7、N)、アラーム動作を実行させ(W16)、その後、上記ステップW17を実行する。このステップW16のアラーム動作は、警告アラーム動作となる。宅内制御部34Aは、ステップW17の後、又は、ステップX7で11分未満である場合(X7、Y)、再び上記ステップX1を実行する。
【0075】
また、宅内制御部34Aは、上記ステップX5でアクション検知があれば(X5、Y)、アクション発生時刻を記憶し(W12)、経過時間クリアの後(W13)、最新アクションからの経過時間を上記時計表示部35に随時表示させ(W14)、アラーム動作を停止した後(W15)、再び上記ステップX1を実行する。
【0076】
図8は、宅内局30Aの信号検知部31A及び宅内制御部34Aの外出モードでの動作を詳細に示している。まず、信号検知部31Aは、第1〜3センサー41〜43のいずれかで発生した検知信号を検知すると(Y1)、その検知信号を検知した時間、及び第1〜3センサー41〜43のいずれで検知信号が発生したかを、宅内制御部34Aに記録する(Y2)。次に、信号検知部31Aは、アクションを検知した旨を宅内制御部34Aに通知する(Y3)。そして、宅内制御部34Aは、アラーム部33に指示して、アラーム音、光、振動によるアラーム動作を例えば1秒間発生させ(Y4)、アクションが検知されたことを、侵入者等に伝える。このように、信号検知部31Aは、外出モードでは第1〜3センサー41〜43から発生する検知信号の検知動作を随時行うことになる。
【0077】
従って、本実施形態の安否検知システム1Aによれば、上記安否検知システム1の効果に加えて、以下の効果を奏する。
【0078】
宅内制御部34Aは、ユーザーの外出時に第1〜3センサー41〜43から検知信号が一定数以上発生したとき、異常イベントが発生したとしてセンター局10Aに直ちに自動通報するので、ユーザーの外出中に、侵入者がいるような場合であっても、それ以降の指示をセンター局10Aに託すことができる。
【0079】
緊急ボタン39が操作されたとき、ユーザー宅50Aに異常イベントが発生したとしてセンター局10Aに直ちに自動通報されるので、ユーザーの在宅中に、例えば体調が急に悪くなった等の緊急事態に、センター局10Aが素早く対処できる。
【0080】
異常イベントが発生したとき、アラーム動作を連続して行うので、侵入者等に対して警告を伝えることができる。
【0081】
上記各実施形態では、宅内制御部34,34Aは、ステップP2,W2で通信データのデータ量を通信時間換算で60秒となるように調整したが、これに限定されない。例えば、単一行政エリア内全ての世帯の課金単位が180秒であれば、通信データのデータ量を通信時間換算で、課金単位180秒から通信ハンドシェイクに要する時間30秒を減算した150秒となるように調整してもよい。また、通信データの送信による通信費用を1課金内にしないのであれば、通信データのデータ量を大きくでき、例えばボイスメモに録音可能な時間を長くすることができる。
【0082】
ステップR6、V6の処理では、宅内局30,30Aに通話発呼したときの応答の有無だけを判定したが、これに限られず、通話中か否かを判定してもよい。このようにすれば、ユーザーが通話しようとして急病等で倒れてしまい、受話器が外れたままとなっている(即ち、通話中と判定される)ような緊急事態が発生した場合であっても、記録・判定部12,12Aは、ステップS9,Q13の処理により緊急連絡先に通話発呼することができる。
【0083】
第1〜3センサー41〜43は、圧力センサーとしたが、これに限定されず、犬や猫等を飼っている場合は非接触式のセンサーを用いてもよい。例えば、ユーザーが大型犬をユーザー宅50,50A内で飼っていた場合、圧力センサーでは大型犬の体重によって、検知信号が発生してしまう可能性がある。しかし、ユーザーが非接触式のセンサーで検知可能なICタグを持つようにすれば、ユーザーが非接触式のセンサーに所定距離まで近付くことで、ユーザーのアクションを確実に検知できる。このように、利用環境に合わせてセンサーを適宜使い分けることで、操作性を改善できる。
【0084】
第1〜3センサー41〜43からの検知信号が上記特定の順番で発生したときのみ、信号検知部31,31Aによりアクション検知とされるようにしたが、この順番に限定されず、順番が変更されたことをユーザーに予め指示しておけば、適宜の順番であってもよい。
【0085】
アラーム部33のアラーム動作の際、アラーム音を発生していたが、これに限られず、第1〜3センサー41〜43を上記特定の順番で操作するように誘導する音声ガイダンスを発生させてもよい。このようにすれば、ユーザーにアクション検知を促すことができるので、ユーザーの安否確認を積極的に行うことができ、また、操作性の向上も期待できる。さらに、アラーム音に限られず、光や振動を発生させるようにすれば、聴力の弱いユーザーであっても、安否検知システム1,1Aが利用可能となる。
【0086】
アラーム部33を目覚まし時計として利用してもよい。具体的には、宅内制御部34,34Aが、毎日一定時刻にアラーム動作、及び第1〜第3センサー41〜43によるスキャン動作を開始し、さらに、上記アクション検知が発生したら、アラーム動作を停止するようにすればよい。
【0087】
センター局10,10Aと宅内局30,30A間の通信は、通信回線網を用いた有線通信としたが、これに限定されず、無線通信用アンテナを用いた無線通信としてもよい。無線通信では、周波数帯域が確保できれば原理的に輻輳が発生せず、さらに、無線へのジャミング等の妨害があった場合でも周波数分散や周波数ホップ等の対策が可能であるから、インターネット網よりも災害に強いシステムを構築できる。
【0088】
本発明の安否検知システム、宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラムでは、以下の態様の採用が可能である。
宅内局(30,30A)は、通信データを暗号化して、センター局(10,10A)に送信する。これにより、宅内局からセンター局に送信された通信データが第三者に傍受されても、暗号解読されない限り、想定された行動に関する行動情報が第三者に漏洩することを抑制できる。
【0089】
宅内局は、乱数から生成されるダミーデータを行動情報に付加して、通信データのデータ量を一定とする。ダミーデータを付加することで、宅内局からセンター局に情報が送信される際の通信時間を一定とし、情報の内容が通信時間から推定されることを抑制する。
【0090】
複数のセンサー(41〜43)を備えており、宅内局は、複数のセンサーからの検知信号が特定の順番で発生したとき、ユーザーがユーザー宅内で動いたことを示すアクション検知を行う。ユーザーが複数のセンサーに特定の順番で検知されることで、初めてアクション検知となるので、ユーザーがユーザー宅で動いたこと、即ち、ユーザーの安否を確実に検知できることになる。
【0091】
行動情報は、ユーザーがユーザー宅に帰宅してからの経過時間と、ユーザーの外出情報の有無を示す情報と、を含み、宅内局は、外出情報が無く、かつ、アクション検知が行われていない状態で、経過時間が所定時間を経過したときに、アラームを発生するアラーム部(33)を更に備える。これにより、ユーザーが在宅していながら、ユーザーが所定時間動いていないとき、ユーザーに対してアクション検知されるように誘導することができる。
【0092】
行動情報は、ユーザーの外出情報の有無を示す情報を含み、宅内局は、外出情報が有る場合には、センサーからの検知信号が所定回数以上発生したとき、異常イベントが発生したとしてセンター局に通報する。この場合、ユーザーの外出中に、例えば侵入者がいる等の異常イベントをセンター局に通報するので、それ以降の指示をセンター局に託すことができる。
【0093】
宅内局は、緊急ボタン(39)を更に備え、緊急ボタンが操作されたとき、ユーザー宅に異常イベントが発生したとしてセンター局に通報する。この場合、ユーザーの在宅中に、例えば体調が急に悪くなった等の異常イベントの発生を、緊急ボタンを操作するだけでセンター局に通報できるから、センター局が緊急事態に素早く対処できる。
【0094】
宅内局は、異常イベントが発生したとき、アラームを発生するアラーム部を更に備える。この場合、不審者等に対して警告を伝えることができる。
【0095】
センサーは、圧力センサー及び非接触式のセンサーの少なくとも一方を含む。この場合、ボタン操作が不要となり、操作性を向上できる。
【0096】
ネットワーク(20)は、通信回線網又は無線通信用アンテナである。この場合、インターネット網と比べて、災害時に輻輳が発生し難いので、システムの信頼性を高めることができる。
【0097】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の安否検知システム、宅内局、安否確認方法及び宅内局のためのプログラムは、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る安否検知システムを示す構成図。
【図2】図1に示すセンター局の動作を示すフローチャート。
【図3】図1に示す宅内局の動作を示すフローチャート。
【図4】宅内局の信号検知部及び宅内制御部の動作を示すフローチャート。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る安否検知システムを示す構成図。
【図6】図5に示すセンター局の動作を示すフローチャート。
【図7】図5に示す宅内局の動作を示すフローチャート。
【図8】宅内局の信号検知部及び宅内制御部の外出モードでの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0099】
1,1A:安否検知システム
10,10A:センター局
11:標準時計部
12,12A:記録・判定部
13:警告部
14,36:通話部
15,37:暗号・復号部
16,38:通信部
20:ネットワーク
30,30A:宅内局
31,31A:信号検知部
32:外出情報入力表示部
33:アラーム部
34,34A:宅内制御部
35:時刻表示部
39:緊急ボタン
40:センサー群
41,42,43:第1〜第3センサー
50,50A:ユーザー宅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの安否確認を行う安否検知システムであって、
ユーザー宅に配置され、ユーザーの動きを検知するセンサーと、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成し、通信データとして送信する宅内局と、
前記宅内局とネットワークを介して接続され、前記通信データを受信するセンター局と、を備え、
前記宅内局は、前記行動情報の内容に拘わらず前記通信データのデータ量を一定とすることを特徴とする安否検知システム。
【請求項2】
前記宅内局は、前記通信データを暗号化して、前記センター局に送信する、請求項1に記載の安否検知システム。
【請求項3】
前記宅内局は、乱数から生成されるダミーデータを前記行動情報に付加して、前記通信データのデータ量を一定とする、請求項1又は2に記載の安否検知システム。
【請求項4】
複数の前記センサーを備えており、
前記宅内局は、前記複数のセンサーからの検知信号が特定の順番で発生したとき、ユーザーがユーザー宅内で動いたことを示すアクション検知を行う、請求項1〜3の何れか一に記載の安否検知システム。
【請求項5】
前記行動情報は、ユーザーがユーザー宅に帰宅してからの経過時間と、ユーザーの外出情報の有無を示す情報と、を含み、
前記宅内局は、前記外出情報が無く、かつ、前記アクション検知が行われていない状態で、前記経過時間が所定時間を経過したときに、アラームを発生するアラーム部を更に備える、請求項4に記載の安否検知システム。
【請求項6】
前記行動情報は、ユーザーの外出情報の有無を示す情報を含み、
前記宅内局は、前記外出情報が有る場合には、前記センサーからの検知信号が所定回数以上発生したとき、異常イベントが発生したとして前記センター局に通報する、請求項1〜5の何れか一に記載の安否検知システム。
【請求項7】
前記宅内局は、緊急ボタンを更に備え、
前記緊急ボタンが操作されたとき、ユーザー宅に異常イベントが発生したとして前記センター局に通報する、請求項1〜6の何れか一に記載の安否検知システム。
【請求項8】
前記宅内局は、前記異常イベントが発生したとき、アラームを発生するアラーム部を更に備える、請求項6又は7に記載の安否検知システム。
【請求項9】
前記センサーは、圧力センサー及び非接触式のセンサーの少なくとも一方を含む、請求項1〜8の何れか一に記載の安否検知システム。
【請求項10】
前記ネットワークは、通信回線網又は無線通信用アンテナである、請求項1〜9の何れか一に記載の安否検知システム。
【請求項11】
ユーザーの安否確認を行う安否検知システムに用いられる宅内局であって、
ユーザーの動きを検知するセンサーと、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成し、通信データとして送信する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記行動情報の内容に拘わらず前記通信データのデータ量を一定とすることを特徴とする宅内局。
【請求項12】
前記制御部は、前記通信データを暗号化する暗号化部を備える、請求項11記載の宅内局。
【請求項13】
前記制御部は、乱数から生成されるダミーデータを前記行動情報に付加して、前記通信データのデータ量を一定とする、請求項11又は12に記載の宅内局。
【請求項14】
ユーザーの安否確認を行う安否検知システムの宅内局で用いられる安否確認方法であって、
センサーを用いて、ユーザーの動きを検知するステップと、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成するステップと、
前記行動情報を通信データに生成するステップと、を有し、
前記通信データを生成するステップでは、前記通信データのデータ量を、前記行動情報の内容に拘わらず一定にすることを特徴とする安否確認方法。
【請求項15】
ユーザーの安否確認を行う安否検知システムの宅内局のためのプログラムであって、前記宅内局に、
センサーを用いて、ユーザーの動きを検知する処理と、
前記センサーの検知信号を受信すると、前記検知信号と想定される行動とを対応付けて記憶する記憶装置を検索し、想定された行動に関する行動情報を生成する処理と、
前記行動情報を通信データに生成する処理と、を実行させ、
前記通信データを生成する処理では、前記通信データのデータ量を、前記行動情報の内容に拘わらず一定にすることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−70069(P2009−70069A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−236816(P2007−236816)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】