説明

安否監視装置

【課題】安否監視装置において、体温によっては検知できない体動や呼吸の異常等を適切に検出する。
【解決手段】マイクロ波を出射し、そのマイクロ波が照射された被検者200からの、ドップラシフトした反射波を検出するマイクロ波ドップラセンサ10と、検出された反射波に基づいて被検者200の体動を検出する体動検出部20と、検出された体動に基づいて得られた体動数Tdに応じて被検者200の安否を特定し、特定された安否に対応した安否パターンデータを出力する安否パターン判定部60と、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲を特定する距離判定部70とを備え、安否パターン判定部70は、特定された距離範囲に応じて、安否を特定するために体動数Tdに対して設定される閾値S1,S2を変動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ひとり住まいの高齢者など単独で生活を営む人の日々の生活状態や健康状態の異常などを検出し、総合的な身体状態を監視する安否監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、社会構造が複雑化し、単独で生活を営む人が増えている。例えば、単身赴任者や通学に便利な場所に単身で住む学生、いわゆる独居高齢者などである。独居高齢者とは、様々な事情により単独で生活を営むことを余儀なくされた高齢の人である。
【0003】
このような単独生活者のうち独居高齢者の中には、家族との結びつきが希薄であるなどの理由で、親族の誰とも連絡を殆どしない人もいる。このような人が地域社会にも溶け込むことなく、かつ地域活動にも参加しない場合は、他者との接触が殆どない隔絶状態となってしまう。
【0004】
そして、そのような隔絶状態の人は、直近でその人の状態を把握できる人がいないため、健康状態や安否などの確認に時間を要することが多く、その人が体調を崩すなどしたときは、適切な対応が遅れるおそれがあった。
【0005】
そこで、例えば、赤外線センサを用いて、部屋の中に人がいるか否か、あるいはその人の移動を検出する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−346270号公報(第3〜5頁、図1等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に開示された先行技術は、人体が発する体温を赤外線センサで検出することで人体の有無を検知するものであるため、例えば座った状態で読書をしている場合等殆ど静止状態でありながら容体が急に悪くなった場合などでは、その容体の悪化状態を検出することはできない。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、体温によっては検知できない体動や呼吸の異常等を適切に検出することで、人体の安否を監視することができる安否監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る安否監視装置は、被検者にマイクロ波を照射して、被検者の動きに応じてドップラシフトした反射波に基づいて被検者の体動等を検出することで被検者が正常(安静状態)状態か異常状態かの安否を監視するものである。
【0010】
また、本発明に係る安否監視装置は、体動の検出レベルが被検者とマイクロ波ドップラセンサとの間の距離に応じて変化するため、被検者とマイクロ波ドップラセンサとの間の距離範囲に応じて、安否の区分を判定するために設定された体動数の閾値を変動させることで、体動数に基づく安否の区分を適切に特定することができ、精度の高い安否判定を行うことができる。
【0011】
すなわち、本発明に係る安否監視装置は、マイクロ波を出射し、そのマイクロ波が照射された被検者からの、ドップラシフトした反射波を検出するマイクロ波ドップラセンサと、検出された前記反射波に基づいて、前記被検者の体動を検出し、検出した前記体動に基づいて体動数を得る体動検出手段と、少なくとも前記体動数に応じて前記被検者の安否を特定し、特定された前記安否に対応した安否パターンデータを出力する安否パターン判定手段と、前記マイクロ波ドップラセンサと前記被検者との間の距離範囲を特定する距離判定手段とを備え、前記安否パターン判定手段は、特定された前記距離範囲に応じて、前記安否を特定するために前記体動数に対して設定される閾値を変動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る安否監視装置によれば、体温によっては検知できない体動の異常等を適切に検出することで、人体の安否を精度よく監視することができる。
【0013】
しかも、被検者とマイクロ波ドップラセンサとの間の距離範囲に応じて、安否の区分を判定するために設定された体動数の閾値を変動させることで、体動数に基づく安否の区分を適切に特定することができ、精度の高い安否判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る安否監視装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は体動波を含むマイクロ波ドップラシフト信号の一例を示す図であり、(b)は体動波を省いた呼吸波と心拍波のみが含まれるマイクロ波ドップラシフト信号の一例を示す図である。
【図3】帯域制限されたマイクロ波デジタルデータをFFT処理して得られた、呼吸成分と心拍成分の周波数分布を示す図である。
【図4】心拍の検出有無と呼吸の検出有無との組み合わせに応じて特定される距離範囲、および閾値との対応関係を示す表である。
【図5】被検者とマイクロ波ドップラセンサとの間の距離ごとのマイクロ波ドップラシフト信号の一例を示す図であり、(a)は距離が近いとき、(b)は距離が遠いとき、をそれぞれ示す。
【図6】本発明に係る安否監視装置の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図7】検出された呼吸の基本成分の強さに応じて特定される距離範囲、および閾値との対応関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る安否監視装置の具体的な実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1に示した本発明の第1の実施形態である安否監視装置100は、マイクロ波を出射し、そのマイクロ波が照射された被検者200からの、ドップラシフトした反射波を検出するマイクロ波ドップラセンサ10と、このマイクロ波ドップラセンサ10によって検出された反射波に基づいて被検者200の体動に対応した体動波を検出する体動検出部20(体動検出手段)と、同じく反射波に基づいて被検者200の心拍に対応した心拍波を検出する心拍検出部40(心拍検出手段)と、同じく反射波に基づいて被検者200の呼吸に対応した呼吸波を検出する呼吸検出部30(呼吸検出手段)とを備えている。
【0017】
安否監視装置100はまた、検出された体動波に基づいて得られた体動数および呼吸波に基づいて得られた呼吸数に応じて被検者200の安否を特定し、特定された安否に対応した安否パターンデータを出力する安否パターン判定部60(安否パターン判定手段)と、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲を特定する距離判定部70(距離判定手段)とを備えていて、安否パターン判定部60は、特定された距離範囲に応じて、安否を特定するために体動数に対して設定される閾値を変動させるものとなっている。
【0018】
安否監視装置100はさらに、マイクロ波ドップラセンサ10から出力された信号に対して帯域制限を行うとともに、デジタル信号化する帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91と、時間情報を出力する計時部92と、安否パターン判定部60で得られた結果を記憶する記憶部93と、安否パターン判定部60で得られた結果に応じて、ケアマネージャ等外部の管理者96(管理者のパーソナルコンピュータや携帯電話等)に、その結果を通報するか否かを判定する通報判断部94と、その通報判断部94により通報すると判定されたとき、その通報を送信し、また管理者96からの問い合わせ等を受信する通信部95と、安否パターン判定部60で得られた結果や管理者96からの問い合わせ等を視覚的出力または音響的出力により被検者200に報知する報知部80(報知手段)とを備えている。
【0019】
ここで、マイクロ波ドップラセンサ10は、具体的には、マイクロ波を出射するマイクロ波発信器、マイクロ波の反射波を受信するマイクロ波受信器、およびマイクロ波復調器を備えた構成である。
【0020】
マイクロ波ドップラセンサ10には、その出力信号がアナログ信号のものとデジタル信号のものとがあるが、本実施形態の安否監視装置100におけるマイクロ波ドップラセンサ10は、マイクロ波復調器からアナログ信号を出力する形式ものであり、このアナログの信号出力はマイクロ波ドップラセンサ10の外部に備えられた帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91によって帯域制限されるとともにデジタル信号化される。
【0021】
マイクロ波発信器は、周波数約2.5[GHz]のマイクロ波を被検者200に発射するとともに、この出射したマイクロ波に対応するマイクロ波電気信号を出力する。
【0022】
マイクロ波発信器から発射されたマイクロ波は、その一部が被検者200の体表で反射されてマイクロ波受信器で受信され、他の一部が被検者200の内部に入り、心筋等や呼吸筋等で反射され、再び被検者200の体表を経由してマイクロ波受信器で受信される。
【0023】
被検者200の心筋等(心筋や脈拍を打つ部位等)で反射された反射波(心拍波)は、その心筋等の動き、すなわち心拍に対応した動き(心拍動)によって、照射されたマイクロ波に対して周波数がドップラシフトしたものとなっている。
【0024】
同様に、被検者200の呼吸筋等(胸郭の拡大、収縮を行う筋肉の総称であり、例えば、横隔膜、内肋間筋、外肋間筋、胸鎖乳突筋、前斜角筋、中斜角筋、後斜角筋、腹直筋、内腹斜筋、外腹斜筋、腹横筋などがある。)で反射された反射波(心拍波)は、その呼吸筋等の動き、すなわち呼吸に対応した動き(呼吸動)によって、照射されたマイクロ波に対して周波数がドップラシフトしたものとなっている。
【0025】
さらに、被検者200の体表で反射された反射波(体動波)は、その四肢や頭部、胸部、腹部等の比較的大きな部位の動き、すなわち体動によって、照射されたマイクロ波に対して周波数がドップラシフトしたものとなっている。
【0026】
このように、ドップラシフトした反射波は、周期的な動きである心拍動に対応した心拍波、同じく周期的な動きである呼吸動に対応した呼吸波、周期性はほとんど無い体動に対応した体動波が含まれている。
【0027】
なお、心拍動は呼吸動よりも小さい動きであり、体動は呼吸動よりも大きい動きであり、また、心拍動は呼吸動よりも高い周波数の動きである。
【0028】
マイクロ波受信器は、反射されたマイクロ波を受信するとともに、この受信したマイクロ波に対応するマイクロ波電気信号を出力する。
【0029】
マイクロ波復調器は、マイクロ波発信器から入力されたマイクロ波電気信号とマイクロ波受信器から入力された受信マイクロ波電気信号とに基づいて、マイクロ波ドップラシフト信号を出力する。
【0030】
そして、このマイクロ波ドップラシフト信号が、例えば図2(a)に示したものであり、このマイクロ波ドップラシフト信号のうち、周期性がなく、かつ比較的大きな振幅の部分Aが体動波であり、最も短い周期の周期性があって、かつ最も小さい振幅の部分Cが心拍波であり、心拍波よりも長い周期の周期性があって、かつ心拍波よりも大きい振幅の部分Bが呼吸波である。
【0031】
図2(b)は、呼吸波と心拍波のみが含まれるマイクロ波ドップラシフト信号を示すものであり、同図(a)と同様に、短い周期で、かつ小さい振幅の部分Cが心拍波であり、心拍波よりも長い周期で、かつ心拍波よりも大きい振幅の部分Bが呼吸波である。
【0032】
帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91の帯域制限フィルタは、マイクロ波ドップラシフト信号のうち、心拍動、呼吸動および体動以外の動きを排除するのに適当な周波数帯域制限をかけるものであり、予め統計的。実験的に得られた心拍動、呼吸動および体動を検出するのに適した帯域制限が設定されている。
【0033】
帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91のA/Dコンバータは、帯域制限されたマイクロ波ドップラシフト信号をデジタル信号のマイクロ波デジタルデータに変換する。
【0034】
体動検出部20は、帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91から出力されたマイクロ波デジタルデータを入力してマイクロ波時間変化率データを出力する時間微分処理部21と、マイクロ波時間変化率データを入力して有効体動信号を出力する閾値比較部22と、有効体動信号を入力して体動数を出力する体動数計数部23とを備えている。
【0035】
時間微分処理部21が、入力されたマイクロ波デジタルデータを時間微分すると、信号の時間変化率が現れ、マイクロ波時間変化率データは、0(ゼロ)を中心にして、ある振幅範囲を増減するような波形となる。
【0036】
マイクロ波時間変化率データは、閾値比較部22によって予め定められた値、すなわち正の閾値(0より大きい+側の閾値(+閾値))と負の閾値(0より小さい−側の閾値(−閾値))で表される2つの閾値と比較され、予め定められた「+閾値」、「−閾値」より大きいマイクロ波時間変化率データが、有効体動信号として閾値比較部22より出力される。
【0037】
なお、この「+閾値」および「−閾値」は、実験などにより予め設定されている。
【0038】
体動数計数部23は、有効体動信号と、計時部92で計時された所定時間(例えば、30秒間)における単位時間当りの体を動かした数である体動数Tdが計数され、その計数された体動数Tdが、距離判定部70および安否パターン判定部60に出力される。
【0039】
なお、所定時間は上述した例示の30秒間に限定されるものではない。
【0040】
呼吸検出部30は、帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91から出力されたマイクロ波デジタルデータを入力して周波数分布データを出力するFFT処理部31(FFT(FFT;Fast Fourier Transform(高速フーリエ変換))処理を行う)と、周波数分布データを入力して呼吸の基本成分を出力する呼吸基本波検出部32と、呼吸の基本成分Rを入力して呼吸数Rrを出力する呼吸数計数部33とを備えている。
【0041】
心拍検出部40は、帯域制限フィルタ・A/Dコンバータ91から出力されたマイクロ波デジタルデータを入力して周波数分布データを出力するFFT処理部31と、周波数分布データを入力して心拍の基本成分を出力する心拍基本波検出部42と、心拍の基本成分Pを入力して心拍数Prを出力する心拍数計数部43とを備えている。
【0042】
なお、心拍検出部40のFFT処理部31は、呼吸検出部30のFFT処理部31を共用したものであるが、呼吸検出部30のFFT処理部31とは別の、心拍検出部40専用のFFT処理部を適用してもよい。
【0043】
次に、呼吸検出部30および心拍検出部40のFFT処理部31は、計時部92で計時された所定時間(例えば、30秒間)に入力されたマイクロ波デジタルデータを蓄積し、この蓄積されたマイクロ波デジタルデータに対してFFT処理を施すことにより、周波数分布データを得、この周波数分布データを表す周波数分布は例えば図3に示すものとなる。
【0044】
ここで、図3は、横軸を周波数、縦軸を強度(強さ)で表した周波数分布である。
【0045】
人間の安静時における呼吸の周波数は0.25〜0.3[Hz]程度であり、同じく人間の安静時における心拍の周波数は0.8〜3.0[Hz]程度であることは統計的に知られている。
【0046】
したがって、図3において、周波数分布のうち周波数f1(例えば0.06[Hz])から周波数f2(例えば0.5[Hz])までの範囲D1の帯域に示された分布が安静時の呼吸成分であり、呼吸基本波検出部32が周波数分布データに対して範囲D1で呼吸成分を抽出し、これらの呼吸成分のうち強さが最も強い呼吸の基本成分Rを呼吸数計数部33に出力する。
【0047】
このとき、最も強いものが単発で現れているものを選ぶのではなく、2回連続で強さが上昇傾向にあり、かつ、ノイズと識別するため特定の閾値以上の条件を満たすものを選択すれば、より確度の高い基本成分Rとすることができるので好ましい。
【0048】
なお、呼吸の基本成分Rが範囲D1外である周波数f2を上回る範囲で探索されたときは、周波数f2を上回る旨の情報とともに、その探索された呼吸の基本成分Rを呼吸数計数部33に出力する。
【0049】
同様に、周波数分布のうち周波数f3(例えば0.8[Hz])から周波数f4(例えば3.0[Hz])までの範囲D2の帯域に示された分布が心拍成分であり、心拍基本波検出部42が周波数分布データに対して範囲D2で帯域制限することにより上述した心拍成分を抽出し、これらの心拍成分のうち強さが最も強い心拍の基本成分Pを心拍数計数部43に出力する。
【0050】
このときも、最も強いものが単発で現れているものを選ぶのではなく、2回連続で強さが上昇傾向にあり、かつ、ノイズと識別するため特定の閾値以上の条件を満たすものを選択すれば、より確度の高い基本成分Pとすることができるので好ましい。
【0051】
なお、体動については上述したように周期性がないため、図3の周波数分布においては体動を表す体動成分が明確に出現する可能性は低い。
【0052】
呼吸数計数部33は、入力された呼吸の基本成分Rに基づいて、前述した所定時間(例えば30秒間)における呼吸数Rrを求め、得られた呼吸数Rrは距離判定部70と安否パターン判定部60に入力される。
【0053】
なお、呼吸の基本成分Rが、周波数f2を上回る範囲で探索されていたときは、呼吸数Rrとともにその旨を表す情報も安否パターン判定部60に入力される。
【0054】
心拍数計数部43は、入力された心拍の基本成分Pに基づいて、前述した所定時間(例えば30秒間)における心拍数Prを求め、得られた心拍数Prは距離判定部70に入力される。
【0055】
距離判定部70は、入力された体動数Td、心拍数Prおよび呼吸数Rrに基づいて、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間のおおよその距離範囲を特定する。
【0056】
ここで、マイクロ波ドップラセンサ10は、動きの大きなものほど大きな振幅のマイクロ波ドップラシフト信号を得るとともに、同じ大きさの動きであっても、マイクロ波ドップラセンサ10からの距離が遠くなるにしたがって、その検出されたマイクロ波ドップラシフト信号は小さくなる。
【0057】
そして、前述したように呼吸動は心拍動よりも大きく、体動は呼吸動よりも大きいため、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200とが近いときは、心拍動、呼吸動および体動の全てが検出されるが、両者間の距離が大きくなるにしたがって、心拍動が検出されなく(計数された心拍数Prがゼロに)なり、さらに距離が大きくなると、心拍動も呼吸動も検出されなく(計数された心拍数Prおよび呼吸数Rrがゼロに)なる。
【0058】
したがって、距離判定部70は、入力された心拍数Prおよび呼吸数Rrに基づいて、
(a)心拍が有(心拍数Prが1以上)かつ呼吸が有(呼吸数Rrが1以上)のとき、両者間の距離範囲は最も近接した近接距離範囲であると特定し、
(b)心拍が無(心拍数Prが1未満)かつ呼吸が有(呼吸数Rrが1以上)のとき、両者間の距離範囲は上記(a)の近接距離範囲よりも遠い中間距離範囲であると特定し、
(c)心拍が無(心拍数Prが1未満)かつ呼吸が無(呼吸数Rrが1未満)のとき、両者間の距離範囲は上記(b)の中間距離範囲よりも遠い遠隔距離範囲であると特定する。
【0059】
ここで、距離判定部70には体動数Tdも入力されているが、体動数Tdは、上述した距離範囲の判定処理そのものには直接利用されるものではなく、体動数Tdが1以上のとき、すなわち体動が有ることを前提として、上述した距離範囲を特定する処理を実行するものであり、体動数Tdが1未満のとき、すなわち体動が無いときは、上述した距離範囲の特定処理は行わない。
【0060】
なお、体動が無い(体動数Tdが1未満のとき)場合に、必ずしも上述した距離範囲の特定処理を行わない、というものに限定されるものではなく、体動が無い場合にも距離範囲の特定処理を行ってもよい。
【0061】
上述した近接距離範囲は例えば0〜1.0[m]の範囲であり、中間距離範囲は例えば1.1〜2.0[m]の範囲であり、遠隔距離範囲は例えば2.1[m]以上の範囲である。
【0062】
このように、本実施形態の安否監視装置100は、入力された心拍数Prおよび呼吸数Rrに基づいて、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲を簡単に特定することができる。
【0063】
なお、マイクロ波ドップラセンサ10の発信出力を大きくしたとしても、心拍波を受信しうる距離範囲は、一般的に上述した例示の近接距離範囲から大きく伸びることはなく、同様に、呼吸波を受信しうる距離範囲も、一般的に上述した例示の中間距離範囲から大きく伸びることはないため、上記(a),(b),(c)を図4に示すように表すことができる。ただし、受診性能の向上等により例示の距離範囲よりも大きな範囲を設定することを排除するものではない。
【0064】
そして、上述した(a)〜(c)により特定された距離範囲は、距離判定部70から安否パターン判定部60に入力される。
【0065】
一方、安否パターン判定部60は、体動検出部20から入力された体動数Td、呼吸検出部30から入力された呼吸数Rr(周波数f2を上回る周波数帯域で呼吸の基本成分Rが検出されたときは、周波数f2を上回る旨の情報も含む)および計時部92から入力された時間情報に基づいて、被検者200の安否パターンデータを生成する。
【0066】
ここで、体動数Tdについて考察したとき、体動数Tdが所定の第2閾値S2以下のとき(Td≦S2)は「体動無し(体動が無い状態)」と考えてよい。
【0067】
また、体動数Tdが所定の第1閾値S1を超えるとき(S1<Td)は「体動異常(通常の体動ではない異常な体動の状態)」と考えてよい。
【0068】
そして、体動数Tdが第2閾値S2を超え第1閾値S1以下のとき(S2<Td≦S1)は通常状態に対応した「体動有り」と考えてよい。
【0069】
そこで、安否パターン判定部60は上述した体動数Tdと各閾値S1,S2との大小関係に応じて、「体動無し」、「体動有り」、「体動異常」の別を判定する。
【0070】
ここで、体動検出部20は、閾値比較部22において予め設定されている閾値との比較により、その閾値を超えた信号を体動数計数部23に出力して体動数を計数しているが、マイクロ波ドップラシフト信号は、前述したようにマイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離が近いときは大きな出力変化となり、距離が遠くなるにしたがって、出力変化は小さくなる。
【0071】
すなわち、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離が近いときは図5(a)に示すように、マイクロ波ドップラシフト信号の強度が全体的に大きいため、マイクロ波ドップラシフト信号をデジタル化したマイクロ波デジタルデータにおいても、値の大きなデータとなり、閾値比較部22に予め設定された閾値(「+閾値」および「−閾値」)と比較したときに、閾値を上回るデータの数が多くなって、体動数計数部23で計数された体動数Tdは大きな値となりやすい。
【0072】
一方、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離が遠いときは図5(b)に示すように、マイクロ波ドップラシフト信号の強度が全体的に小さいため、マイクロ波ドップラシフト信号をデジタル化したマイクロ波デジタルデータにおいても、値の小さなデータとなり、閾値比較部22に予め設定された閾値(「+閾値」および「−閾値」)と比較したときに、閾値を上回るデータの数が少なくなって、体動数計数部23で計数された体動数Tdは小さな値となりやすい。
【0073】
したがって、安否パターン判定部60が体動数Tdと各閾値S1,S2との大小関係に応じて、「体動無し」、「体動有り」、「体動異常」の別を判定するに際しても、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離を考慮したものとするのが好ましい。
【0074】
そこで、安否パターン判定部60は距離判定部70から入力されたマイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲に応じて、被検者200の安否を特定するために体動数Tdに対して設定された第1閾値S1、第2閾値S2の値を変動させる。
【0075】
具体的には、両者間の距離範囲が近接距離範囲であるときは、第1閾値S1、第2閾値S2の値を相対的に大きな値に設定し、両者間の距離範囲が中間距離範囲であるときは、第1閾値S1、第2閾値S2の値を、近接距離範囲に対応した第1閾値S1、第2閾値S2の値よりも小さい値(中間値)に設定し、両者間の距離範囲が遠隔距離範囲であるときは、第1閾値S1、第2閾値S2の値を、中間値よりも小さい値に設定する。
【0076】
ここで、第1閾値S1、第2閾値S2の具体的な値としては、上述した相対的に大きな値として例えばS1=1000、S2=50であり、上述した中間値として例えばS1=500、S2=10であり、上述した中間値よりも小さい値として例えばS1=250、S2=5である。
【0077】
図4は、心拍の有無および呼吸の有無の組み合わせに対応させて、各閾値S1,S2の値、および体動数Tdに応じた「体動無し」、「体動有り」、「体動異常」の別をまとめたものである。
【0078】
このように、安否パターン判定部60が、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲が小さいほど、被検者200の安否を特定するために体動数Tdに対して設定された第1閾値S1、第2閾値S2の値を大きくするように変動させ、これとは反対に、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲が大きいほど、被検者200の安否を特定するために体動数Tdに対して設定された第1閾値S1、第2閾値S2の値を小さくするように変動させることにより、体動数Tdに基づく安否の判定を的確に行うことができる。
【0079】
ここで、安否パターン判定部60は、上述した体動数Tdのみによる判定であってもよいが、本実施形態においては、この体動数Tdと呼吸数Rrとの組み合わせによって規定される。
【0080】
具体的には、呼吸が周波数の範囲D1(図3参照)で検出されたとき(1≦Rr)は「呼吸正常(正常な呼吸状態)」と考えてよい。
【0081】
また、周波数f2を超えた範囲で呼吸が検出されたとき(周波数f1<において、1≦Rr)は「呼吸異常(通常の呼吸ではない異常な呼吸の状態)」と考えてよい。
【0082】
呼吸が範囲D1においても、周波数f2を超えた範囲でも検出されないとき(Rr<1)は「呼吸未検出」と考えてよい。
【0083】
そして、安否パターン判定部60は、計時部92から入力された時間情報(時間t)と、上述した体動数Tdによる安否(「体動無し」、「体動有り」、「体動異常」)と呼吸数Rrによる安否(「呼吸正常」、「呼吸異常」、「呼吸未検出」)との組み合わせに応じて、被検者200の安否を以下のパターンAからパターンEのうちから特定される。
【0084】
安否パターンのパターンAからパターンEの具体的な内容は以下の通りである。なお、被検者200に異常がないと判定した状態を「安判定」、被検者200に異常があると判定した状態を「否判定」と称する。
【0085】
[パターンA]
「体動異常」が、時間t1の間続いたら「否判定」とする。
【0086】
時間t1は、例えば、日中では10分間、就寝時間帯(夜間)では5分間である。
【0087】
上記のパターンAは、高齢者などは、通常、室内で一定時間激しい運動をし続けることは異常と判断するものである。このような状況を検出するため、この時間t1を選定した。
【0088】
[パターンB]
「呼吸異常」が、時間t2の間続いたら「否判定」とする。
【0089】
時間t2は、例えば、日中では10分間、就寝時間帯では3分間である。
【0090】
上記のパターンBは、高齢者などは、通常、室内で一定時間早い呼吸を続けることは異常と判断するものである。このような状況を検出するため、この時間t2を選定した。
【0091】
[パターンC]
「体動有り」が、時間t3の間続いたら「否判定」とする。
【0092】
時間t3は、例えば、日中では60分間、就寝時間帯では10分間である。
【0093】
上記のパターンCは、高齢者などは、通常、室内で一定時間身体を動かし続けることは異常と判断するものである。このような状況を検出するため、この時間t3を選定した。
【0094】
[パターンD]
「体動無し」及び「呼吸正常又は異常」が、時間t4以上(時間t2未満)続いている状態から「体動無し」及び「呼吸未検出」が、時間t5の間続いたら「否判定」とする。
【0095】
時間t4は、例えば、日中では5分間、就寝時間帯では3分間である。時間t5は、例えば、日中では5分間、就寝時間帯では3分間である。
【0096】
上記のパターンDは、被検者200が外出したとすれば、室外へ移動するため「呼吸未検出」になる直前に必ず一時的な「体動有り」又は「体動異常」を伴う。「体動無し」状態からいきなり呼吸が無くなることは異常と判断するものである。このような状況を検出するため、この時間t4と時間t5とを選定した。
【0097】
[パターンE]
「体動有り」の後、時間t6以内から、時間t7の間連続して「体動無し」と「呼吸未検出」とが続いたら「否判定」とする。
【0098】
時間t6は、例えば、日中では2分間、就寝時間帯では2分間である。時間t7は、例えば、日中では60分間、就寝時間帯では20分間である。
【0099】
上記のパターンEは、被検者200が「体動有り」又は「体動異常」と判定された後、一定時間以上、体動も呼吸も検出されない状態は、室外への外出も考えられる。一定時間内に体動又は呼吸が戻らなければ異常と判断する。
【0100】
以上のようにして得られた安否パターンデータは、報知部80と、記憶部93と、通報判断部94とに出力され、記憶部93は安否パターンデータを記憶する。
【0101】
通報判断部94は、「安判定」については通報を行わないと判定し、「否判定」のときは通報を行うと判定し、通信部95を通じて管理者96に、「否判定」を送信する。
【0102】
報知部80は、入力された安否パターンデータを可視的に文字等によって表示する。また、報知部80に対しては、安否パターン判定部60から、距離判定部70で特定された距離範囲を表す距離範囲データも入力されている。
【0103】
ここで、報知部80は、前述したマイクロ波ドップラセンサ10が一体的に設けられている。したがって、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲は、報知手段80被検者200との間の距離範囲ということができる。
【0104】
「否判定」が送られた管理者96は、その「否判定」に対して、被検者200に対して、安否の確認を行うための問い合わせを行うが、この問い合わせは、通信部95で受信され、通報判断部94を介して報知部80に入力される。
【0105】
報知部80はその問い合わせに対応した文字等の視覚的な情報として可視的に出力(表示)することもできるし、その問い合わせに対応した音声等の音響情的な情報として可聴的に出力(発音)することもできるため、これらのうちいずれか一方の出力方式で、または両方の出力方式で出力する。
【0106】
なお、被検者200が報知部80に近接した場所に居るとき、すなわち安否パターン判定部60から入力された距離範囲データが例えば近接距離範囲を表すものであるとき(所定の距離よりも近い範囲であるとき)は、音響的な情報の出力で問い合わせを行うと、被検者200がその音に驚くおそれがあるため、本実施形態においては、例えば近接距離範囲のときは、視覚的な情報の出力のみを行うように切り替えられている。
【0107】
一方、被検者200が報知部80から遠い場所に居るとき、すなわち安否パターン判定部60から入力された距離範囲データが例えば遠隔距離範囲を表すものであるとき(所定の距離よりも遠い範囲であるとき)は、視覚的な情報の出力で問い合わせを行っても、距離が遠いため被検者200はその出力(表示)を視認することができないおそれがあるため、本実施形態においては、例えば遠隔距離範囲のときは、音響的な情報の出力のみを行うように切り替えられている。この出力方式の切り替えを行う所定の距離範囲については、被検者200の年齢や健康状態(視力や聴力の状態や、心臓病の有無等)等に応じて適宜調整してもよい。
【0108】
なお、本実施形態において報知部80は、入力された距離範囲データが中間距離範囲を表すものであるときは視覚的な情報の出力と音響的な情報の出力との両方を行うように設定されている。
【0109】
以上のように、本実施形態の安否監視装置100によれば、体温によっては検知できない体動や呼吸の異常等を適切に検出することで、人体の安否を監視することができる。
【0110】
しかも、本実施形態の安否監視装置100によれば、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲に応じて、被検者200の安否を特定するために体動数Tdに対して設定された第1閾値S1、第2閾値S2の値を変動させることで、被検者200の安否の判定を的確に行うことができる。
【0111】
(第2の実施形態)
図6に示した本発明の第2の実施形態である安否監視装置100′は、第1の実施形態である安否監視装置100のうち、心拍検出部40を省略するとともに、距離判定部70に代えて、呼吸検出部30が出力した呼吸の基本成分Rに基づいてその基本成分Rの強さ(レベル)を求め、その基本成分Rの強さに基づいて、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間のおおよその距離範囲を特定する距離判定部70′を適用した構成が異なる他は、第1の実施形態である安否監視装置100と同じ構成である。
【0112】
以下、第1の実施形態の安否監視装置100と同じ構成についての説明は省略する。
【0113】
呼吸検出部30の呼吸基本波検出部32は、図3において、周波数分布のうち周波数f1(例えば0.06[Hz])から周波数f2(例えば0.5[Hz])までの範囲D1の帯域に示された呼吸成分のうち強さが最も強い呼吸の基本成分Rを呼吸数計数部33に出力するが、このとき、呼吸の基本成分Rは距離判定部70′にも入力される。
【0114】
そして、距離判定部70′は、呼吸基本波検出部32から入力された呼吸の基本成分Rに基づいてその基本成分Rの強さを求める。
【0115】
ここで、呼吸の基本成分Rの強さは、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離に応じたものとなっており、具体的には、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200とが近いときは、基本成分Rの強さは強く検出されるが、両者間の距離が大きくなるにしたがって、基本成分Rの強さは小さくなる。
【0116】
したがって、距離判定部70′は、入力された呼吸の基本成分Rの強さに基づいて、
(a)基本成分Rの強さが予め設定された第1の所定値よりも大きいとき、両者間の距離範囲は最も近接した近接距離範囲であると特定し、
(b)基本成分Rの強さが第1の所定値以下であって予め設定された第2の所定値(第1の所定値よりも小さい値)を超えるとき、両者間の距離範囲は上記(a)の近接距離範囲よりも遠い中間距離範囲であると特定し、
(c)基本成分Rの強さが第2の所定値以下のとき、両者間の距離範囲は上記(b)の中間距離範囲よりも遠い遠隔距離範囲であると特定する。
【0117】
上述した近接距離範囲は例えば0〜1.0[m]の範囲であり、中間距離範囲は例えば1.1〜2.0[m]の範囲であり、遠隔距離範囲は例えば2.1[m]以上の範囲である。
【0118】
また、第1の所定値や第2の所定値の具体的な値は、マイクロ波ドップラシフト信号をどのような単位の出力とするかに応じて、また、特定しようとする距離範囲に応じて適宜設定されるべきものであるため、特定の具体的な値に限定されるものではないが、例えば、マイクロ波ドップラシフト信号を電圧値(単位[V])としたときは、第1の所定値としては10[V]、第2の所定値としては1[V]などの値を適用することができる。
【0119】
また、レベル表現として無次元の単位[dB]によって表された値を適用することもできる。
【0120】
そして、距離判定部70′が特定した上述の距離範囲(近接距離範囲、中間距離範囲、遠隔距離範囲の別)は、安否パターン判定部60に入力される。
【0121】
安否パターン判定部60以降の作用は第1の実施形態の安否監視装置100と同じである。
【0122】
図7は、呼吸の基本成分Rのレベルに対応させて、閾値S1,S2の値、および体動数Tdに応じた「体動無し」、「体動有り」、「体動異常」の別をまとめたものである。
【0123】
以上のように、本実施形態の安否監視装置100′によれば、体温によっては検知できない体動や呼吸の異常等を適切に検出することで、人体の安否を監視することができる。
【0124】
そして、本実施形態の安否監視装置100′は、入力された呼吸の基本成分Rの強さに基づいて、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲を簡単に特定することができる。
【0125】
しかも、本実施形態の安否監視装置100′によれば、安否パターン判定部60が、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲が小さいほど、被検者200の安否を特定するために体動数Tdに対して設定された第1閾値S1、第2閾値S2の値を大きくするように変動させ、これとは反対に、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲が大きいほど、被検者200の安否を特定するために体動数Tdに対して設定された第1閾値S1、第2閾値S2の値を小さくするように変動させることにより、体動数Tdに基づく安否の判定を的確に行うことができる。
【0126】
なお、本実施形態の安否監視装置100′は、入力された呼吸の基本成分Rの強さに基づいて、マイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲を特定したが、呼吸の基本成分Rの強さに代えて、実施形態1の心拍検出部40を用いて求められる心拍の基本成分Pの強さを適用し、この心拍の基本成分Pの強さに基づいてマイクロ波ドップラセンサ10と被検者200との間の距離範囲を特定することもできる。
【0127】
また、上述した各実施形態における体動検出部20、呼吸検出部30、心拍検出部40の各構成やその他の構成については、ハードウェアとしての電気回路で構築してもよいし、ソフトウェアによる信号演算処理部として構築してもよい。
【符号の説明】
【0128】
10 マイクロ波ドップラセンサ
20 体動検出部(体動検出手段)
30 呼吸検出部(呼吸検出手段)
40 心拍検出部(心拍検出手段)
60 安否パターン判定部(安否パターン判定手段)
70 距離判定部(距離判定手段)
80 報知部(報知手段)
96 管理者
100 安否監視装置
200 被検者
Pr 心拍数
Rr 呼吸数
Td 体動数
S1,S2 閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を出射し、そのマイクロ波が照射された被検者からの、ドップラシフトした反射波を検出するマイクロ波ドップラセンサと、
検出された前記反射波に基づいて、前記被検者の体動を検出し、検出した前記体動に基づいて体動数を得る体動検出手段と、
少なくとも前記体動数に応じて前記被検者の安否を特定し、特定された前記安否に対応した安否パターンデータを出力する安否パターン判定手段と、
前記マイクロ波ドップラセンサと前記被検者との間の距離範囲を特定する距離判定手段とを備え、
前記安否パターン判定手段は、特定された前記距離範囲に応じて、前記安否を特定するために前記体動数に対して設定される閾値を変動させることを特徴とする安否監視装置。
【請求項2】
前記マイクロ波ドップラセンサにより検出された前記反射波に基づいて、前記被検者の心拍を検出する心拍検出手段と、
前記マイクロ波ドップラセンサにより検出された前記反射波に基づいて、前記被検者の呼吸を検出し、検出した前記呼吸に基づいて呼吸数を得る呼吸検出手段とを備え、
前記距離判定手段は、前記心拍検出手段による前記心拍の検出の有無と前記呼吸検出手段による前記呼吸の検出の有無との組み合わせに応じて、前記距離範囲を特定するものであり、
前記安否パターン判定手段は、前記体動数に加えて前記呼吸数に応じて前記被検者の安否を特定するものであって、特定された前記距離範囲に応じて、前記安否を特定するために前記体動数に対して設定される閾値を変動させることを特徴とする請求項1に記載安否監視装置。
【請求項3】
(a)前記距離判定手段は、前記心拍が有かつ前記呼吸が有のとき、前記距離範囲として最も近接した近接距離範囲であることを特定するとともに、前記安否パターン判定手段は、前記閾値を相対的に大きな値に設定し、
(b)前記距離判定手段は、前記心拍が無かつ前記呼吸が有のとき、前記距離範囲として前記近接距離範囲よりも遠い中間距離範囲であることを特定するとともに、前記安否パターン判定手段は、前記閾値を前記(a)の値よりも小さい値に設定し、
(c)前記距離判定手段は、前記心拍が無かつ前記呼吸が無のとき、前記距離範囲として前記中間距離範囲よりも遠い遠隔距離範囲であることを特定するとともに、前記安否パターン判定手段は、前記閾値を前記(b)の値よりも小さい値に設定する、
ものであることを特徴とする請求項2に記載の安否監視装置。
【請求項4】
前記マイクロ波ドップラセンサにより検出された前記反射波に基づいて、前記被検者の呼吸を検出し、検出した前記呼吸に基づいて呼吸数を得る呼吸検出手段を備え、
前記距離判定手段は、前記呼吸検出手段により検出された前記呼吸のレベルに応じて、前記距離範囲を特定するものであり、
前記安否パターン判定手段は、前記体動数に加えて前記呼吸数に応じて前記被検者の安否を特定するものであって、特定された前記距離範囲に応じて、前記安否を特定するために前記体動数に対して設定される閾値を変動させることを特徴とする請求項1に記載の安否監視装置。
【請求項5】
(a)前記距離判定手段は、前記呼吸のレベルが予め設定された第1の所定値よりも大きいとき、前記距離範囲として最も近接した近接距離範囲であることを特定するとともに、前記安否パターン判定手段は、前記閾値を相対的に大きな値に設定し、
(b)前記距離判定手段は、前記呼吸のレベルが前記第1の所定値以下であって予め設定された第2の所定値を超えるとき、前記距離範囲として前記近接距離範囲よりも遠い中間距離範囲であることを特定するとともに、前記安否パターン判定手段は、前記閾値を前記(a)の値よりも小さい値に設定し、
(c)前記距離判定手段は、前記呼吸のレベルが予め設定された前記第2の所定値以下のとき、前記距離範囲として前記中間距離範囲よりも遠い遠隔距離範囲であることを特定するとともに、前記安否パターン判定手段は、前記閾値を前記(b)の値よりも小さい値に設定する、
ものであることを特徴とする請求項4に記載の安否監視装置。
【請求項6】
所定の問い合わせを視覚的な情報および音響的な情報を出力可能で、前記視覚的な情報および前記聴覚的な情報のうち少なくとも一方の出力として行う、前記マイクロ波ドップラセンサが設置された報知手段を備え、
前記報知手段は、特定された前記距離範囲が所定の距離よりも近い範囲であるときは、前記問い合わせを前記視覚的な情報として出力し、特定された前記距離範囲が所定の距離よりも遠い範囲であるときは、前記問い合わせを前記聴覚的な情報として出力することを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載の安否監視装置。
【請求項7】
前記安否パターン判定手段は、前記呼吸数と前記体動数との組み合わせに応じて予め設定された複数の安否を記憶し、前記得られた体動数と前記得られた呼吸数との組み合わせに基づいて前記複数の安否のうち1つ以上の安否を特定し、特定された安否に対応する安否パターンデータを出力するものであることを特徴とする請求項2から6のうちいずれか1項に記載の安否監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−97670(P2013−97670A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241248(P2011−241248)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(507351883)シチズン・システムズ株式会社 (82)
【Fターム(参考)】