説明

安否確認システムおよび安否確認方法

【課題】1人で作業を行う作業員の安全を常時監視でき、かつ、作業員も容易に安否確認連絡に容易に応答することが可能な、新規かつ改良された安否確認システムを提供する。
【解決手段】本発明の作業者の安全確認を行う安否確認システムは、1人または複数の作業者の保持する通信端末および作業管理者の保持する通信端末と、作業者の通信端末に対して安全確認のための問い掛けメッセージを送出する問い掛けサーバとが、グループ通話が可能な通信回線によって接続されており、問い掛けサーバは、問い掛け対象の通信端末それぞれに対して問い掛けメッセージを送出し、当該問い掛けメッセージに対する通信端末それぞれからの応答の音量レベルに基づいて、問い掛け対象の通信端末を保持する作業者それぞれの安全を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業員が1人で作業を行う作業現場において、作業員の安全確認を自動的に行う安否確認システムおよび安否確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業員が1人で作業を行う作業現場では、作業員の安全を確認するために、例えば管理者等が作業員の無事を定期的に見回りして確認したり、他の作業員に対して安否を通知するための機器を作業員に保持させたりしている。例えば特許文献1には、自動通話機能を有する電話パソコンにより、1人作業を行う作業者の携帯電話に所定時間毎に公衆回線を介して電話を行い、作業者の安全を確認する安全確認方法が開示されている。かかる安全確認方法では、作業者が応答することによって当該作業者が安全であることを確認し、一方、作業者が応答しない場合には、保安員あるいは他の作業者にその旨が通知され、作業員の安全を確認させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−60290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の発明では、携帯電話をピックアップしたり入力操作したりする必要があり、作業を中断しなければならない。また、作業者が作業都合上応答できない場合には、保安員あるいは他の作業者に不要な通知がされてしまう。さらに、携帯電話は公衆回線に常時接続していないため、有事に接続できないこともある。このため、有事により作業者が大声をあげる等の異常があった場合にも、作業者が携帯電話を操作しない限りはその異常を検出することができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、1人で作業を行う作業員の安全を常時監視でき、かつ、作業員も容易に安否確認連絡に容易に応答することが可能な、新規かつ改良された安否確認システムおよび安否確認方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、1人または複数の作業者の安全確認を行う安否確認システムであって、1人または複数の作業者の保持する通信端末および作業管理者の保持する通信端末と、作業者の通信端末に対して安全確認のための問い掛けメッセージを送出する問い掛けサーバとが、グループ通話が可能な回線で接続されており、問い掛けサーバは、問い掛け対象の通信端末それぞれに対して問い掛けメッセージを送出し、当該問い掛けメッセージに対する通信端末それぞれからの応答の音量レベルに基づいて、問い掛け対象の通信端末を保持する作業者それぞれの安全を判定することを特徴とする、安否確認システムが提供される。グループ通話には、複数台の端末が、同じ回線上で送話/受話できる通話方式で、複数台の端末が特定の番号にコールする参加型や、ある端末から特定の操作を行った上で、相手を呼び出し、相手がピックアップすることを繰り返すことで、それぞれの端末がグループ通話の端末になる招集型がある。
【0007】
本発明によれば、問い掛けサーバは、グループ通話可能な回線で接続された通信端末の応答の音量レベルに基づいて、問い掛けメッセージに対する応答の有無を判定する。これにより、作業者は、通信端末を保持する通信端末を操作することなく問い掛けメッセージに対して応答することができる。
【0008】
問い掛けサーバは、所定の送出タイミングに基づいて、問い掛けメッセージを通信端末それぞれへ送出する問い掛け部と、問い掛けメッセージに対する通信端末それぞれからの応答の有無を判定する応答確認部と、を備えてもよい。このとき、応答確認部は、問い掛けメッセージに対する通信端末からの応答の音量レベルが作業者の通常の応答時の音量レベルを示す第1の音量閾値を超えたとき、作業者は安全であると判定し、問い掛けメッセージに対する通信端末からの応答の音量レベルが作業者の通常の応答時の音量レベルを示す第1の音量閾値以下のとき、作業者からの応答がないと判定する。
【0009】
また、応答確認部は、問い掛けメッセージに対する通信端末からの応答の音量レベルが作業者の通常の応答時の音量レベルを示す第1の音量閾値以下のとき、同一の通信端末に対して連続して問い掛けメッセージを送出可能なリトライ回数だけ通信端末に対して問い掛けメッセージを送出し、リトライ回数だけ通信端末に対して問い掛けメッセージを送出しても、問い掛けメッセージに対する通信端末からの応答の音量レベルが第1の音量閾値以下のとき、作業者からの応答がないと判定してもよい。
【0010】
さらに、問い掛けサーバは、作業員を管理する管理者の通信端末を作業員の通信端末および問い掛けサーバが参加するグループ通話を参加させる呼び出し部を備えてもよい。このとき、呼び出し部は、応答確認部により作業者からの応答がないと判定された場合、管理者の通信端末をグループ通話に参加させ、管理者の通信端末に対して問い掛け対象の通信端末を保持する作業者に関する作業者情報を送出してもよい。
【0011】
呼び出し部は、応答確認部により作業者からの応答がないと判定された場合、問い掛け対象の通信端末以外の他の通信端末に対して、問い掛け対象の通信端末を保持する作業者に関する作業者情報を送出してもよい。
【0012】
また、応答確認部は、グループ通話に参加している通信端末との通信が切断されたとき、呼び出し部に、管理者の通信端末または問い掛け対象の通信端末以外の他の通信端末に対して、問い掛け対象の通信端末を保持する作業者に関する作業者情報を送出させてもよい。
【0013】
さらに、応答確認部は、グループ通話に参加する通信端末から出力される発話音声信号を常時取得して、発話音声信号の音声レベルが第1の音量閾値よりも大きい第2の音量閾値を異常判定時間継続して超えたか否かを判定し、発話音声信号の音声レベルが第2の音量閾値を異常判定時間継続して超えたとき、通信端末を保持する作業者に異常が発生したと判定してもよい。
【0014】
また、発話音声の音質情報を予め登録しておき、通信端末を保持する作業者を規定し、登録された音質情報と通信端末を保持する作業者の発話音声信号の音質が著しく異なる場合に通信端末を保持する作業者に異常が発生したと判定してもよい。
【0015】
また、通信端末は、作業者が操作することなく当該作業者の発話を取得する通話部を備えることもできる。
【0016】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、1人または複数の作業者の安全確認を行う安否確認システムにおける安否確認方法であって、1人または複数の作業者の保持する通信端末および作業管理者の保持する通信端末と、作業者の通信端末に対して安全確認のための問い掛けメッセージを送出する問い掛けサーバとが、グループ通話が可能な通信回線によって接続されており、問い掛けサーバが、問い掛け対象の通信端末それぞれに対して問い掛けメッセージを送出する問い掛けステップと、各通信端末からの応答を取得する応答取得ステップと、問い掛けサーバにより、当該問い掛けメッセージに対する通信端末それぞれからの応答の音量レベルに基づいて、問い掛け対象の通信端末を保持する作業者それぞれの安全を判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする、安否確認方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明によれば、1人で作業を行う作業員の安全を常時監視でき、かつ、作業員も容易に安否確認連絡に容易に応答することが可能な安否確認システムおよび安否確認方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一般通話網を利用した場合の本発明の実施形態に係る安否確認システムの構成を示す説明図である。
【図2】IP電話網を利用した場合の同実施形態に係る安否確認システムの構成を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係る安否確認システムのソフトウェア構成を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る安否確認システムで使用するファイル関係を説明する説明図である。
【図5】同実施形態に係る問い掛けサーバおよび通信端末の機能構成を示すブロック図である。
【図6】同実施形態に係る安否確認システムの全体動作を示すフローチャートである。
【図7】応答確認処理を説明するための説明図である。
【図8】同実施形態に係る音量レベルに基づく異常検知時の処理を示すフローチャートである。
【図9】音量レベルに基づく異常検知処理を説明するための説明図である。
【図10】同実施形態に係る音質に基づく異常検知時の処理を示すフローチャートである。
【図11】音質に基づく異常検知処理を説明するための説明図である。
【図12】同実施形態に係る問い掛けサーバのハードウェアの一構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
<1.安否確認システムの概要>
まず、本発明の実施形態に係る安否確認システムの概要について説明する。本実施形態に係る安否確認システムは、1人または複数の作業員がグループ通話している状況において、各作業者の安全確認を目的とし、予め設定されたスケジュールに従って各作業者に問い掛けを行う。問い掛けに対する応答がない場合には、問い掛けをした作業員に何らかの異常が発生しているものとして、管理者あるいは他の作業員に通知する。
【0021】
このような安否確認システムにより、以下の機能が提供される。
(1)問い掛け機能:グループ通話に規定の問い掛けメッセージを送出する。グループ通話内で送信されているメッセージは、当該グループ通話に参加している全ての作業者にて聴衆が可能である。
(2)応答確認機能:問い掛けメッセージに対する作業員の応答の有無を確認する。確認対象となる作業員の通信端末からの音声データを問い掛けサーバにて監視し、当該通信端末からの音声レベルが規定値以上であれば応答ありと判断する。
(3)管理者呼び出し機能:応答確認機能により、作業員から
の応答がなかった場合、問い掛けサーバは、当該作業員が参加しているグループ通話に管理者の通信端末を招集し、応答のない作業員の情報をメッセージとして送出する。
【0022】
本実施形態に係る安否確認システムでは、作業中の作業者の通信端末はグループ通話に常時参加している。グループ通話内のメッセージを監視する問い掛けサーバは、各作業者の通信端末からの音声データを常時監視し、問い掛けに対する応答だけでなく、有事による作業員の大声や悲鳴等も検知することができる。また、作業中の作業者の通信端末を常時接続するため、例えば通信端末の故障や作業者が通信端末の不感帯に入ったりすることによる通話回線切断が生じた場合には、何らかの異常が発生したことを検知することも可能となる。
【0023】
以下、本実施形態に係る安否確認システムについて、詳細に説明していく。
【0024】
<2.安否確認システムの構成>
まず、図1〜図4に基づいて、本実施形態に係る安否確認システム1の構成について説明する。なお、図1は、一般通話網を利用した場合の本実施形態に係る安否確認システム1の構成を示す説明図である。図2は、IP電話網を利用した場合の本実施形態に係る安否確認システム2の構成を示す説明図である。図3は、本実施形態に係る安否確認システムのソフトウェア構成を示す説明図である。図4は、本実施形態に係る安否確認システムで使用するファイル関係を説明する説明図である。
【0025】
[2−1.一般通話網を利用した場合の安否確認システムの構成]
本実施形態に係る安否確認システム1の構成は、一般通話網を利用した場合、図1に示すように、問い掛けサーバ100と、ソフト交換機200と、通話網交換機300と、ハブ410と、交換機インタフェース420と、アンテナ430(430A〜430C)と、通信端末500(500A〜500C)とからなる。
【0026】
問い掛けサーバ100は、安否確認システム1を監視するサーバである。問い掛けサーバ100は、ハブ410を介してソフト交換機200、交換機インタフェース420と接続されている。問い掛けサーバ100は、グループ通話に参加する通信端末500を保持する1人または複数の作業者の安全を確認するために、各通信端末500に対して問い掛けメッセージを送出する。そして、問い掛けサーバ100は、送出した問い掛けメッセージに対する応答の有無を確認し、応答があった場合にはその通信端末500を保持する作業者は無事であると判定する。一方、問い掛けサーバ100は、送出した問い掛けメッセージに対する応答がなかった場合には、その通信端末500を保持する作業者の無事が確認できないと判定し、問い掛けメッセージの送出を繰り返す。なおも通信端末500の応答がない場合には、作業員を管理する管理者の通信端末500(500C)を通話グループに参加させ、応答の作業員に関する情報を管理者の通信端末500(500C)に対して送出する。
【0027】
また、問い掛けサーバ100は、作業者の通信端末500が参加している通話グループ内で送出されるメッセージを常時監視している。これにより、問い掛けサーバ100は、送出した問い掛けメッセージに対する応答以外にも、通話グループに参加していた通信端末500との通話回線の切断や、有事による作業者500の大声等を確認することができる。
【0028】
ソフト交換機200は、通信端末500および問い掛けサーバ100によって構成される通話グループを管理する機器である。ソフト交換機200は、ハブ410により問い掛けサーバ100および後述する交換機インタフェース420と接続されており、ハブ410を介してこれらの機器と通信することができる。ソフト交換機200は、通話グループに参加している端末500および問い掛けサーバ100についてそれぞれを特定するための固有の識別情報を管理している。ソフト交換機200は、グループ通話内で送出されるメッセージに含まれる識別情報により、メッセージの送信元あるいは送信先を特定することができる。
【0029】
なお、本実施形態において、通信端末500からの音声を問い掛けサーバ100にて監視する必要があるため、ハブ410のポートミラーリング機能を使用し、ソフト交換機200へのデータの問い掛けを問い掛けサーバ100でも取得可能にする必要がある。そこで、ハブ410は、ポートミラーリング機能もしくはこれに同等の機能を有するものを使用する必要がある。これにより、ハブ410は、あるポートで送受信したデータを同時に他のポートから送出するようになり、問い掛けサーバ100が通信している端末以外の端末のデータも取得できるようになる。
【0030】
通話網交換機300は、グループ通話を管理する問い掛けサーバ100と作業員あるいは管理者が利用する通信端末500が利用する一般通話網との相互間通信を可能にするための機器である。通話網交換機300としては、例えば携帯網交換機や自営PHS網交換機等があり、この場合、通信端末500としては、携帯電話機やPHS等の端末が利用される。通話網交換機300は、交換機インタフェース420と接続されている。
【0031】
交換機インタフェース420としては、例えばVoIPゲートウェイ等を用いることができる。VoIPゲートウェイは、一般通話網とIPネットワークとの間に置かれ、一般通話網とIPネットワークの間の中継を行う。交換機インタフェース420は、作業員や管理者が作業する工場や制御室等に配置されたアンテナ430と接続されており、各アンテナ430を介して通信端末500とデータの送受信を行う。
【0032】
通信端末500は、作業員あるいは管理者が保持する端末である。図1に示す一般通話網を利用した安否確認システム1においては、通信端末500は例えば携帯電話機やPHS等を利用することができる。通信端末500は、最寄りのアンテナ430を介して、問い掛けサーバ100や他の通信端末500との情報交換を行うことができる。なお、通信端末500を高騒音現場等で使用する場合には、例えばハンズフリーで通話するためのイヤホンマイク510を用いてもよい。これにより、作業者は、会話は可能であるが作業上通信端末500をピックアップしたり操作したりすることができない場合であっても、問い掛けサーバ100からの問い掛けメッセージに応答することが可能となる。
【0033】
[2−2.IP電話網を利用した場合の安否確認システムの構成]
一方、IP電話網を利用した安否確認システム2の構成は、図2に示すように、問い掛けサーバ100と、ソフト交換機200と、スイッチングハブ440と、無線LANアクセスポイント(無線LAN‐AP)450(450A〜450C)と、通信端末520(520A〜520C)とからなる。図1に示した一般通話網を利用した安否確認システム1とは、作業者や管理者が保持する通信端末が利用する通話網が相違しており、IP電話網を利用した場合には、一般通話網を利用した場合に設置する通話交換機300および交換機インタフェース420が不要となる。
【0034】
問い掛けサーバ100は、安否確認システム2を監視するサーバであり、スイッチングハブ440を介して、ソフト交換機200および作業員や管理者が作業する工場や制御室等に配置された無線LAN‐AP450と接続されている。問い掛けサーバ100の機能は、図1の問い掛けサーバ100と同一とすることができ、グループ通話に参加する通信端末520を保持する作業者の安全を確認するために、各通信端末520に対して問い掛けメッセージを送出する。
【0035】
そして、問い掛けサーバ100は、送出した問い掛けメッセージに対する応答の有無を確認し、応答があった場合にはその通信端末520を保持する作業者は無事であると判定する。一方、問い掛けサーバ100は、送出した問い掛けメッセージに対する応答がなかった場合には、その通信端末520を保持する作業者の無事が確認できないと判定し、問い掛けメッセージの送出を繰り返す。なおも通信端末520の応答がない場合には、作業員を管理する管理者の通信端末520(520C)を通話グループに参加させ、応答の作業員に関する情報を管理者の通信端末520(520C)に対して送出する。
【0036】
また、問い掛けサーバ100は、作業者の通信端末520が参加している通話グループ内で送出されるメッセージを常時監視している。これにより、問い掛けサーバ100は、送出した問い掛けメッセージに対する応答以外にも、通話グループに参加していた通信端末520との通話回線の切断や、有事による作業者520の大声等を確認することができる。
【0037】
ソフト交換機200は、通信端末520および問い掛けサーバ100によって構成される通話グループを管理する機器である。ソフト交換機200は、スイッチングハブ440により問い掛けサーバ100および無線LAN‐AP450と接続されており、スイッチングハブ440を介してこれらの機器と通信することができる。ソフト交換機200は、通話グループに参加している端末520および問い掛けサーバ100についてそれぞれを特定するための固有の識別情報、ここでは各機器に付与されたIPを管理している。ソフト交換機200は、グループ通話内で送出されるメッセージに含まれる識別情報により、メッセージの送信元あるいは送信先を特定することができる。
【0038】
なお、図2に示す安否確認システム2においても、通信端末520からの音声を問い掛けサーバ100にて監視する必要があるため、スイッチングハブ440のポートミラーリング機能を使用し、ソフト交換機200へのデータの問い掛けを問い掛けサーバ100でも取得可能にする必要がある。そこで、スイッチングハブ440は、ポートミラーリング機能もしくはこれに同等の機能を有するものを使用する必要がある。これにより、スイッチングハブ440は、あるポートで送受信したデータを同時に他のポートから送出するようになり、問い掛けサーバ100が通信している端末以外の端末のデータも取得できるようになる。
【0039】
通信端末520は、作業員あるいは管理者が保持する端末である。図2に示すIP電話網を利用した安否確認システム2においては、通信端末520は例えばPDA(Personal Digital Assistants)等のIPが付与された端末を利用することができる。通信端末520は、最寄りの無線LAN‐AP450を介して、問い掛けサーバ100や他の通信端末520との情報交換を行うことができる。なお、この場合にも、通信端末520を高騒音現場等で使用する場合には、例えばハンズフリーで通話するためのイヤホンマイク510を用いてもよい。
【0040】
[2−3.ソフトウェア構成]
図1および図2に示す安否確認システムのソフトウェア構成の概略を図3に示す。図3に示すように、まず、問い掛けサーバ100から各通信端末500(520)へ作業員の安全を確認するための問い掛けメッセージを送信する場合、問い掛けサーバ100は、問い掛けメッセージを送出する問い掛けプロセスを実行するためのSIPスタック(Session Initiation Protocol‐stack)により、ハブ410(またはスイッチングハブ440)を介してソフト交換機200へメッセージの発信要求が出力される(プロセス(a))。
【0041】
メッセージの発信要求を受けたソフト交換機200は、グループ通話に参加している通信端末500のうち問い掛けサーバ100が問い掛けメッセージを送出する対象の通信端末500を特定して呼び出す呼制御プロセスを実行するSIPスタックを機能させる(プロセス(b))。そして、呼制御プロセスが実行されることによりグループ通話プロセスを実行するSIPスタックが機能され、問い掛けサーバ100と問い掛けメッセージを送出する対象の通信端末500とのグループ通話を可能にする(プロセス(c))。
【0042】
問い掛けサーバ100からの問い掛けメッセージを受けた通信端末500(520)は、問い掛けサーバ100に対して、問い掛けメッセージに対する応答メッセージを送出する。通信端末500(520)による応答メッセージの送出では、まず、通信端末500(520)により、ソフト交換機200に対して応答メッセージの発呼要求が行われる(プロセス(a))。
【0043】
メッセージの発呼要求を受けたソフト交換機200は、グループ通話に参加している問い掛けサーバ100との通話を確立するために、問い掛けサーバ100を呼び出す呼制御プロセスを実行するSIPスタックを機能させる(プロセス(b))。そして、呼制御プロセスが実行されることによりグループ通話プロセスを実行するSIPスタックが機能され、応答メッセージを送出する通信端末500(520)と問い掛けサーバ100とのグループ通話を可能にする(プロセス(c))。
【0044】
なお、本実施形態に係る安否確認システムでは、問い掛けサーバ100から各通信端末500(520)への問い掛けメッセージの送出タイミングを個別に設定することができる。具体的には、問い掛けメッセージの送出タイミングを規定する定義ファイルの記載を変更することで適宜設定することができる。この定義ファイルには、問い掛けメッセージの送出タイミングのみならず、例えば、ネットワーク環境に関する全体設定や、問い掛け動作に関する設定、通信端末500(520)に関する設定、ログ出力に関する設定、アプリケーション動作に関する設定等の各種パラメータが記載される。この際、定義ファイルは1つのファイルであってもよく、例えば設定内容に応じて複数ファイルとしてもよい。
【0045】
定義ファイルが複数存在する場合には、例えば図4に示すように、各定義ファイルを設定し依存させることができる。図4において、「Asksafety.ini」はネットワーク環境に関する全体設定を規定したファイルであり、「Ask.ini」は問い掛け動作に関する設定を規定したファイルである。また、「Term.ini」は通信端末500(520)に関する設定を規定したファイルであり、「Log.ini」はログ出力に関する設定を規定したファイルであり、「App.ini」はアプリケーション動作に関する設定を規定したファイルである。
【0046】
問い掛けサーバ100により、問い掛けプロセスが行われるとき、問い掛けアプリケーションは、まず、当該アプリケーションの起動時に定義ファイル「Log.ini」および「App.ini」を読み込む。そして、アプリケーションの動作開始時に定義ファイル「Asksafety.ini」、「Ask.ini」および「Term.ini」を読み込む。アプリケーションの動作開始時に読み出された定義ファイル「Ask.ini」には、各通信端末500(520)を端末IDで管理しており、各端末IDに対応する通信端末500(520)の詳細情報は定義ファイル「Term.ini」に記載されている。このように、定義ファイルを複数用意する場合には、各定義ファイル間での情報を関連付けることで、他定義ファイルに設定された情報も利用することができる。
【0047】
なお、図4に示す定義ファイルの設定は一例であって、本実施形態に係る安否確認システムは、各種パラメータを他の形式で設定することも可能である。
【0048】
<3.安否確認システムの動作>
次に、図5〜図9に基づいて、本実施形態に係る安否確認システムの動作について説明する。なお、図5は、本実施形態に係る問い掛けサーバ100および通信端末500の機能構成を示すブロック図である。図6は、本実施形態に係る安否確認システムの全体動作を示すフローチャートである。図7は、応答確認処理を説明するための説明図である。図8は、本実施形態に係る音量レベルに基づく異常検知時の処理を示すフローチャートである。図9は、音量レベルに基づく異常検知処理を説明するための説明図である。
【0049】
[3−1.問い掛けサーバおよび通信端末の機能構成]
まず、図5に基づいて、本実施形態に係る問い掛けサーバ100および通信端末500の機能構成について説明する。なお、図5では、図1の通信端末500について説明するが、図2の通信端末520も同一の構成である。また、図5においては、問い掛けサーバ100と通信端末500とが直接的に通信するように記載しているが、実際には、図1または図2に示したように、ハブ410等の中継機器や各種交換機を介して接続されているとする。
【0050】
問い掛けサーバ100は、図5に示すように、通信部110と、問い掛け制御部120と、問い掛け部130と、応答監視部140と、記憶部150とからなる。通信部110は、問い掛けサーバ100と他の機器との間で情報のやり取りを行うインタフェースである。問い掛けサーバ100の通信部110は、実際には図1のハブ410(あるいは図2のスイッチングハブ440)と接続されている。通信部110は、問い掛け部130または応答監視部140から送信された情報を他の機器へ送出し、他の機器から送信された情報を応答監視部140へ出力する。
【0051】
問い掛け制御部120は、問い掛けメッセージを送出する問い掛け部130を制御する制御部である。問い掛け制御部120は、例えば記憶部150に記憶された定義ファイルを参照し、定義ファイルに設定された所定の送出タイミングに基づいて、問い掛け部130に対して問い掛けメッセージの送出を指示する。定義ファイルに定義される送出タイミングとしては、例えば問い掛け動作を開始する時刻である問い掛け実行時刻を設定したり、問い掛け動作を繰り返す周期(例えば、分単位)を示す繰り返し周期時間を設定したりすることができる。また、問い掛け制御部120は、問い掛け部130に対して、問い掛けメッセージを送出する通信端末500が参加しているグループ通話を特定するグループ通話特定番号を通知する。
【0052】
さらに、問い掛け制御部120は、問い掛け部130が送出した問い掛けメッセージに対する応答メッセージの受信の有無に基づいて、応答監視部140に対して管理者の通信端末500をグループ通話に参加させるよう指示する。
【0053】
問い掛け部130は、通信部110を介して問い掛けメッセージを送出する。問い掛け部130は、問い掛け制御部120からの問い掛けメッセージ送出の指示に基づいて、例えば記憶部150に記憶された、問い掛けメッセージの音声データである問い掛け音声ファイルを取得する。そして、問い掛け部130は、通信部110を介して、取得した問い掛け音声ファイルを、問い掛け制御部120により通知されたグループ通話特定番号のグループ通話に対して送出する。
【0054】
応答監視部140は、通信端末500の応答を確認するとともに、通信端末500の応答結果に応じて管理者の通信端末500をグループ通話に参加させる機能部であり、応答確認部142と、呼び出し部144とを有する。
【0055】
応答確認部142は、問い掛け対象の通信端末500からの送話音声データを監視し、問い掛けメッセージに対する応答の有無を判定する。問い掛けメッセージに対する応答の有無は、送話音声データに含まれる発話音声信号の音量レベルに基づいて判定される。かかる判定処理の詳細な内容は後述する。また、応答判定部142は、送話音声データを常時監視しており、問い掛けメッセージが送出された場合以外の場合にも発話音声信号の音声レベルを解析している。これにより、作業者に有事がある等の異常事態を検知することができる。この監視処理の詳細な内容についても後述する。応答確認部142は、操作音声データに基づく判定処理により、管理者あるいは他の作業者に通知が必要な場合には、呼び出し部144に対して管理者あるいは他の作業者の通信端末500への通知を指示する。
【0056】
呼び出し部144は、応答確認部142からの指示を受けて、問い掛け対象の通信端末500と同一のグループ通話に参加可能な管理者の通信端末500を招集したり、当該グループ通話に参加している他の作業者の通信端末500を呼び出したりする。呼び出し部144は、呼び出しメッセージの音声データである呼び出し音声ファイルを記憶部150から取得し、通信部110を介して、取得した呼び出し音声ファイルをグループ通話に対して送出する。
【0057】
記憶部150は、問い掛けサーバ100の各種機能を機能させるために必要な設定情報を記憶しており、問い掛け制御部120や問い掛け部130、応答監視部140によって参照される。記憶部150には、例えば、問い掛けメッセージの送出タイミングである問い掛け実行時刻や繰り返し周期時間、グループ通話特定番号、問い掛け音声データや呼び出し音声データ等が記憶されている。また、記憶部150には、応答確認の有無を判定する際に用いる応答待ち時間や各種音量閾値、応答判定時間、問い掛けメッセージに対する応答がない場合の問い掛けメッセージの送出を繰り返すリトライ回数等が記憶されている。さらに、記憶部150には、利用者の通常時すなわちトラブルが発生していない通常操業時における端末からの送話音声信号が記憶されている。
【0058】
一方、通信端末500は、図5に示すように、通信部502と、通話部504とを有する。通信部502は、問い掛けサーバ100と他の機器との間で情報のやり取りを行うインタフェースである。通信端末500の通信部502は、実際には図1のアンテナ430(あるいは図2の無線LAN‐AP450)と接続されている。通信部502は、問い掛けサーバ100から送信された情報を受信し、問い掛けサーバ100に対して通話部504で取得した作業者の発話音声信号を出力する。通話部504は、作業者に対して問い掛けサーバ100からの問い掛けメッセージを出力し、作業者の発話音声信号を送話音声データとして問い掛けサーバ100へ出力する。
【0059】
[3−2.安否確認システムの全体動作]
次に、図6および図7に基づいて、安否確認システムの全体動作について説明する。安否確認システムの機能は、図6に示すように、問い掛け機能と応答確認機能とに大別することができる。まず、問い掛けサーバ100は、各通信端末500に対する問い掛け動作を開始する(S100)。問い掛け動作は、問い掛け制御部120が問い掛けメッセージの送出タイミングに基づいて開始される。例えば、最初の問い掛け動作は問い掛け実行時刻に基づき開始され、その後の問い掛け動作の繰り返しは繰り返し周期時間に基づき開始される。
【0060】
問い掛け動作が開始されると、問い掛けサーバ100は、作業者の作業環境周辺に配置された装置の作動状態を取得する(S102)。ステップS102では、作業者の周辺に危険が存在しないかどうかを確認するために行われる。各装置の作動状態は各装置を監視する別途の監視装置から取得することができる。また、作業者の周辺に配置されている装置の特定は、例えば作業者の保持する通信端末500にGPS機能を搭載することで作業者の作業位置を取得することができるため、取得された作業者の作業位置の周辺にある装置を各装置の監視装置に問い合わせることができる。なお、ステップS102の処理は必ずしも実行しなくてもよく、監視装置の有無や必要に応じて適宜実行の要否を設定することができる。
【0061】
その後、問い掛けサーバ100は、問い掛け部130により、問い掛けメッセージを通信端末500へ送出する(S104)。このとき、問い掛けサーバ100は、記憶部150から問い掛け音声ファイルを取得し、問い掛け対象の通信端末500が参加するグループ通話特定番号を指定し、問い掛けメッセージとして問い掛け対象である通信端末500の識別情報および問い掛け音声ファイルを送出する。送出された問い掛けメッセージは、問い掛け対象の通信端末500に対して送信される。
【0062】
その後、問い掛けサーバ100の応答確認部142は、問い掛けメッセージに対する応答があるか否かを監視する(S106)。ステップS106では、通信端末500からの応答メッセージに含まれる発話音声信号の音量レベルに基づき、応答の有無を判定する。応答確認部142は、常時作業者の送話音声データを受信しており、当該データには、図7に示すような発話音声信号が含まれている。発話音声信号は、ユーザが発話した音声の大きさを表している。発話音声信号は、現場環境に柔軟に対応するため、通信端末500にて問い掛けメッセージ再生中の音量レベルを基準値としている。
【0063】
例えば図7に示すように、問い掛けメッセージが作業者の通信端末500へ送出されたときの音量レベルは基準値を示し、問い掛けメッセージに対して作業者が応答すると、音量レベルは基準値より上昇する。ここで、基準値を基準としたときの作業者が応答する際の通常の音量レベル(すなわち、基準値からの相対値)を基準値に加算した音量レベルが応答判定音量レベル(第1の音量閾値)として設定されている。応答確認部142は、発話音声信号が問い掛けメッセージ送出後から所定の応答判定時間内に応答判例音量レベルを所定時間超えたか否かを判定する。
【0064】
応答判定時間は、例えば、問い掛けメッセージ送出後、通常時であれば応答可能と考えられる時間に設定することができる。また、ステップS106にて、発話音声信号の音量レベルが応答判定音量レベルを応答判定時間内に所定時間(例えば、約1秒)超えることを判定要件とすることで、突発音等の音量レベルの高いノイズを通信端末500が取得して、当該ノイズによって作業者の応答があったものと誤認識しないようにすることができる。
【0065】
ステップS106にて、発話音声信号の音量レベルが応答判定時間内に応答判定音量レベルを所定時間(例えば、約1秒)超えた場合には、作業者からの応答があったものとみなすことができる。このとき、問い掛けサーバ100は、問い掛け対象の通信端末500からの応答メッセージを受けて、応答確認メッセージを通信端末500へ送出し(S108)、定常監視状態に戻る(S110)。そして、通信端末500の監視を継続するか否かを判定し(S122)、継続する場合には、再び問い掛け動作が開始されるまで待機状態となる(S124)。一方、問い掛けサーバ100による通信端末500の監視を継続しない場合には、図6に示す処理を終了する。
【0066】
ところで、ステップS106にて発話音声信号の音量レベルが応答判定時間内に応答判定音量レベルを所定時間超えない場合には、作業者からの応答がないものとみなすことができる。このとき、問い掛けサーバ100は、当該問い掛け対象への問い掛けメッセージの送出回数がリトライ回数となったか否かを判定する(S112)。リトライ回数は、予め記憶部150に記憶されている。問い掛けサーバ100は、当該問い掛け対象への問い掛けメッセージの送出回数がリトライ回数に達しない場合には、ステップS104の処理に戻り、問い掛け部130によって問い掛けメッセージが再度送出される(S104)。
【0067】
一方、当該問い掛け対象への問い掛けメッセージの送出回数がリトライ回数に達した場合には、作業者に何らかの有事が発生したと判定し、管理者呼び出し機能(S114〜S120)を機能させる。管理者呼び出し機能では、管理者の通信端末500を問い掛け対象の通信端末500が参加しているグループ通話に招集し、管理者の通信端末500に対して応答のない作業者に関する情報を通知する。そこで、まず、問い掛けサーバ100の呼び出し部144は、管理者の通信端末500へ作業者に関する情報の通知を開始するためのコマンドを実行し(S114)、管理者の通信端末500をグループ通話に招集する(S116)。
【0068】
このとき、呼び出し部144は、グループ通話への招集対象となる管理者の通信端末500の識別情報をソフト交換機200へ送出する。ソフト交換機200は、管理者の通信端末500を特定し、管理者の通信端末500へ通知メッセージを送出する(S118)。その後、呼び出し部144は、管理者の通信端末500へ作業者に関する情報の通知を終了するためのコマンドを実行し(S120)、定常監視状態に戻る(S110)。そして、通信端末500の監視を継続するか否かを判定し(S122)、継続する場合には、再び問い掛け動作が開始されるまで待機状態となる(S124)。一方、問い掛けサーバ100による通信端末500の監視を継続しない場合には、図6に示す処理を終了する。
【0069】
以上、本実施形態に係る安否確認システムの全体動作について説明した。本実施形態に係る安否確認システムは、グループ通話に参加する作業者の通信端末500からの応答を常時監視し、その音量レベルに基づいて、応答の有無を判定する。これにより、作業者は、問い掛けメッセージに対して応答する際に通信端末500をピックアップしたり操作したりすることなく口頭で応答することができ、作業を中断せずに連絡することが可能となる。
【0070】
[3−3.安否確認システムの異常検知処理]
(音量レベルに基づく異常検知)
次に、図8および図9に基づいて、安否確認システムの異常検知時の処理について説明する。作業員の異常検知として、例えば音量レベルが異常判定音量レベル(第2の音量閾値)を超えたか否かにより判定することが考えられる。一般的に、有事があった場合における作業員の大声や悲鳴等は、通常の問い掛けメッセージに対する応答よりも音量レベルが高い。そこで、安否確認システムでは、応答判定音量レベル(第1の音量閾値)よりも所定値だけ高い音量レベルを異常判定音量レベル(第2の音量閾値)として設定し、異常検知を行っている。なお、この異常検知処理は、図6に示した全体処理と並行して機能されており、例えば異常音が検知されると全体処理に優先して実行されるように設定されている。
【0071】
まず、問い掛けサーバ100は、図8に示すように、図6に示した全体処理と並行して、常時作業者の通信端末500からの異常音の有無を監視している(S200)。そして、通信端末500から送出されてきた発話音声信号を解析して、発話音声信号に異常判定音量レベル以上の音量が存在するか否かを判定する(S202)。ステップS202では、発話音声信号に、異常判定音量レベル以上の音量レベルが異常判定時間継続したか否かにより、異常音を検知している。異常判定時間は、突発音等の音量レベルの高いノイズを異常音と誤認識しないように設定される。
【0072】
問い掛けサーバ100の応答確認部142は、ステップS202にて発話音声信号に異常判定音量レベル以上の音量が異常判定時間継続していない場合には、異常音は発生していないと判定し、定常監視に戻る(S204)。そして、通信端末500の監視を継続するか否かを判定し(S214)、監視を継続する場合にはステップS200からの処理を繰り返す。一方、問い掛けサーバ100による通信端末500の監視を継続しない場合には、図8に示す処理を終了する。
【0073】
ステップS202にて発話音声信号に異常判定音量レベル以上の音量が異常判定時間継続している場合には、応答確認部142は、異常音が発生したと判定し、管理者呼び出し機能(S206〜S212)を機能させる。ステップS206〜S212の処理は、図6のステップS114〜S120の処理と同一であるため、ここでは説明を省略する。ステップS212にて定常監視状態に戻った後、応答確認部142は、通信端末500の監視を継続するか否かを判定し(S214)、監視を継続する場合にはステップS200からの処理を繰り返す。一方、問い掛けサーバ100による通信端末500の監視を継続しない場合には、図8に示す処理を終了する。
【0074】
以上、本実施形態に係る安否確認システムによる異常検知処理の一例を説明した。本実施形態に係る安否確認システムは、グループ通話に参加する作業者の通信端末500からの応答を常時監視し、その音量レベルに基づいて、異常発生の有無を判定する。これにより、作業者が通信端末500を操作することなく、作業者に有事が生じたことを検知することが可能となる。
【0075】
(音質に基づく異常検知)
また、作業員の異常検知として、例えば音質を表す値が異常レベルを超えたか否かにより判定することが考えられる。一般的に、有事があった場合における作業員の大声や悲鳴等は、通常の問い掛けメッセージに対する応答時の音質が相違する。音質を表す値としては、発話音声信号の周波数がある。例えば、悲鳴の周波数は通常の発話時よりも高い。そこで、安否確認システムでは、発話音声信号の周波数が通常の発話時よりも著しく外れている異常レベルを設定し、周波数が異常レベルである発話音声信号が検知されたか否かによって異常検知を行うこともできる。
【0076】
図10は、本実施形態に係る音質に基づく異常検知時の処理を示すフローチャートである。図11は、音質に基づく異常検知処理を説明するための説明図である。なお、図10に示す異常検知時の処理は、上述した図8に示す音量レベルに基づく異常検知時の処理とほぼ同様であり、異常検知の判定処理(図8のステップS202)が相違する。そこで、以下では、図8との相違点を主に説明し、同一の処理についての説明は簡潔に説明する。
【0077】
まず、問い掛けサーバ100は、図10に示すように、図6に示した全体処理と並行して、常時作業者の通信端末500からの異常音の有無を監視している(S200)。そして、通信端末500から送出されてきた発話音声信号を解析して、発話音声信号の周波数が異常レベルであるか否かを判定する(S216)。ステップS216では、発話音声信号の周波数を解析し、その周波数が有事が合った場合と判断する異常レベルであるか否かを判定することによって、異常音を検知している。このとき、周波数のレベルを判定する発話音声信号は、発話しているとみなせる音量レベル(検出レベル)を超えたものを対象とする。
【0078】
ここで、音質には個人差がある。そこで、安否確認システムでは予め各作業者の通常の発話時の音声を取得しておき、通常の音声の周波数範囲を記憶部150に記憶しておく。これ以外の周波数(すなわち、異常レベルの周波数)の発話音声信号の音声は異常音とする。
【0079】
問い掛けサーバ100の応答確認部142は、ステップS216にて音量が検出レベルを超える発話音声信号の周波数が異常レベルではない場合には、異常音は発生していないと判定し、定常監視に戻る(S204)。そして、通信端末500の監視を継続するか否かを判定する(S214)。監視を継続する場合にはステップS200からの処理が繰り返され、監視を継続しない場合には図10に示す処理を終了する。
【0080】
一方、ステップS216にて音量が検出レベルを超える発話音声信号の周波数が異常レベルである場合には、応答確認部142は、異常音が発生したと判定し、管理者呼び出し機能(S206〜S212)を機能させる。ステップS206〜S212の処理は、図6のステップS114〜S120の処理と同一とすることができる。ステップS212にて定常監視状態に戻った後、応答確認部142は、通信端末500の監視を継続するか否かを判定する(S214)。監視を継続する場合にはステップS200からの処理が繰り返され、監視を継続しない場合には図10に示す処理を終了する。
【0081】
以上、本実施形態に係る安否確認システムによる音質に基づく異常検知処理について説明した。この安否確認システムは、グループ通話に参加する作業者の通信端末500からの応答を常時監視し、その音質に基づいて、異常発生の有無を判定する。これにより、作業者が通信端末500を操作することなく、作業者に有事が生じたことを検知することが可能となる。
【0082】
なお、発話音声信号の音量レベルと音質とを解析して、両者を考慮して異常発生の有無を判定してもよい。例えば、音量レベルが異常判定音量レベルを超えた場合、または周波数が異常レベルであった場合の少なくともいずれか一方を満たした場合に異常が発生したと判定してもよい。さらに、安否確認システムによる異常検知としては、発話音声信号の異常判定音量レベルを検知する以外にも、通信端末500がグループ通話に常時参加していることを利用して作業者の異常を検知することもできる。例えば、通信端末500の故障や通信端末500が不感帯に位置したために通話回線が切断されることで、通常の状態との相違が生じ、作業者に何らかの異常や危険が迫っている可能性を検知することができる。
【0083】
<4.ハードウェア構成>
次に、図10に基づいて、上記実施形態に係る問い掛けサーバ100のハードウェア構成について、詳細に説明する。図10は、上記実施形態に係る問い掛けサーバ100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0084】
問い掛けサーバ100は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、問い掛けサーバ100は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
【0085】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、またはリムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、問い掛けサーバ100内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
【0086】
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
【0087】
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、問い掛けサーバ100の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。さらに、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。問い掛けサーバ100のユーザは、この入力装置909を操作することにより、問い掛けサーバ100に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0088】
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、問い掛けサーバ100が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、問い掛けサーバ100が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0089】
ストレージ装置913は、問い掛けサーバ100の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した各種のデータなどを格納する。
【0090】
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、問い掛けサーバ100に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−rayメディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0091】
接続ポート917は、機器を問い掛けサーバ100に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、問い掛けサーバ100は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
【0092】
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0093】
以上、上記の本発明の実施形態に係る問い掛けサーバ100の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0095】
例えば、上記実施形態では、発話音声信号の音量レベルが応答判定音量レベルを超えたか否かによって、問い掛けメッセージに対する作業者の応答の有無を判定したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、問い掛けサーバ100に音声内容解析機能を備え、発話音声信号を解析して作業者が問い掛けメッセージに対して指定された応答文言を発話しているか否かを判定することで、問い掛けメッセージに対する作業者の応答の有無を判定してもよい。この場合、作業者が指定された応答文言を発話していると判定した場合には、問い掛けメッセージに対する応答があったものとみなし、一方、作業者が指定された応答文言以外の文言を発話していると判定した場合には、何らかの異常が発生したと判定し、管理者呼び出し機能を機能させるようにしてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、問い掛けメッセージとして音声ファイルを取得して問い掛け対象の通信端末500へ送出したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、通信端末500に問い掛けメッセージ受信時に再生する音声データを予め設定し、問い掛けメッセージとして当該音声データを再生するコマンドを通信端末500に送信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1、2 安否確認システム
100 問い掛けサーバ
110 通信部
120 問い掛け制御部
130 問い掛け部
140 応答監視部
142 応答確認部
144 呼び出し部
150 記憶部
200 ソフト交換機
300 通話網交換機
410 ハブ
420 交換機インタフェース
430(430A〜430C) アンテナ
440 スイッチングハブ
450(450A〜450C) 無線LAN‐AP
500(500A〜500C)、520(520A〜520C) 通信端末
502 通信部
504 通話部
510(510A〜510C) イヤホンマイク


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人または複数の作業者の安全確認を行う安否確認システムであって、
前記1人または複数の作業者の保持する通信端末および作業管理者の保持する通信端末と、前記作業者の通信端末に対して安全確認のための問い掛けメッセージを送出する問い掛けサーバとが、グループ通話が可能な通信回線によって接続されており、
前記問い掛けサーバは、問い掛け対象の前記通信端末それぞれに対して前記問い掛けメッセージを送出し、当該問い掛けメッセージに対する前記通信端末それぞれからの応答の音量レベルに基づいて、前記問い掛け対象の通信端末を保持する前記作業者それぞれの安全を判定することを特徴とする、安否確認システム。
【請求項2】
前記問い掛けサーバは、
所定の送出タイミングに基づいて、問い掛けメッセージを前記通信端末それぞれへ送出する問い掛け部と、
前記問い掛けメッセージに対する前記通信端末それぞれからの応答の有無を判定する応答確認部と、
を備え、
前記応答確認部は、
前記問い掛けメッセージに対する前記通信端末からの応答の音量レベルが前記作業者の通常の応答時の音量レベルを示す第1の音量閾値を超えたとき、前記作業者は安全であると判定し、
前記問い掛けメッセージに対する前記通信端末からの応答の音量レベルが前記作業者の通常の応答時の音量レベルを示す第1の音量閾値以下のとき、前記作業者からの応答がないと判定することを特徴とする、請求項1に記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記応答確認部は、
前記問い掛けメッセージに対する前記通信端末からの応答の音量レベルが前記作業者の通常の応答時の音量レベルを示す第1の音量閾値以下のとき、同一の前記通信端末に対して連続して問い掛けメッセージを送出可能なリトライ回数だけ前記通信端末に対して前記問い掛けメッセージを送出し、
前記リトライ回数だけ前記通信端末に対して前記問い掛けメッセージを送出しても、前記問い掛けメッセージに対する前記通信端末からの応答の音量レベルが前記第1の音量閾値以下のとき、前記作業者からの応答がないと判定することを特徴とする、請求項1に記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記問い掛けサーバは、前記作業員を管理する管理者の通信端末を前記作業員の通信端末および前記問い掛けサーバが参加する前記グループ通話に参加させる呼び出し部をさらに備え、
前記呼び出し部は、前記応答確認部により前記作業者からの応答がないと判定された場合、前記管理者の通信端末を前記グループ通話に参加させ、前記管理者の通信端末に対して前記問い掛け対象の通信端末を保持する作業者に関する作業者情報を送出することを特徴とする、請求項2または3に記載の安否確認システム。
【請求項5】
前記呼び出し部は、前記応答確認部により前記作業者からの応答がないと判定された場合、前記問い掛け対象の通信端末以外の他の通信端末に対して、前記問い掛け対象の通信端末を保持する作業者に関する作業者情報を送出することを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項6】
前記応答確認部は、前記グループ通話に参加している前記通信端末との通信が切断されたとき、前記呼び出し部に、前記管理者の通信端末または前記問い掛け対象の通信端末以外の他の通信端末に対して、前記問い掛け対象の通信端末を保持する作業者に関する作業者情報を送出させることを特徴とする、請求項4または5に記載の安否確認システム。
【請求項7】
前記応答確認部は、
前記グループ通話に参加する前記通信端末から出力される発話音声信号を常時取得して、前記発話音声信号の音声レベルが前記第1の音量閾値よりも大きい第2の音量閾値を異常判定時間継続して超えたか否かを判定し、
前記発話音声信号の音声レベルが前記第2の音量閾値を異常判定時間継続して超えたとき、前記通信端末を保持する作業者に異常が発生したと判定することを特徴とする、請求項2〜6のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項8】
前記応答確認部は、
前記グループ通話に参加する前記通信端末から出力される発話音声信号を常時取得して、予め登録された通常時の前記発話音声信号の音質が、前記発話音声信号の音質と著しく異なる場合に、前記通信端末を保持する作業者に異常が発生したと判定することを特徴とする、請求項2〜7のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項9】
前記通信端末は、前記作業者が操作することなく当該作業者の発話を取得する通話部を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項10】
1人または複数の作業者の安全確認を行う安否確認システムにおける安否確認方法であって、
前記1人または複数の作業者の保持する通信端末および作業管理者の保持する通信端末と、前記作業者の通信端末に対して安全確認のための問い掛けメッセージを送出する問い掛けサーバとが、グループ通話が可能な通信回線によって接続されており、
前記問い掛けサーバが、問い掛け対象の前記通信端末それぞれに対して前記問い掛けメッセージを送出する問い掛けステップと、
前記各通信端末からの応答を取得する応答取得ステップと、
前記問い掛けサーバにより、当該問い掛けメッセージに対する前記通信端末それぞれからの応答の音量レベルに基づいて、前記問い掛け対象の通信端末を保持する前記作業者それぞれの安全を判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする、安否確認方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−109572(P2013−109572A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253907(P2011−253907)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】