説明

安定な成長ホルモン化合物

本発明は、さらなるジスルフィド架橋、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を有し、これによりタンパク質分解に対して耐性となる、成長ホルモン(GH)化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質分解に対して耐性である、安定な成長ホルモン(GH)化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
成長ホルモン(GH)は、哺乳動物の下垂体前葉により分泌されるポリペプチドホルモンである。種に依存するが、GHは、約22kDaの分子量に対応する約190アミノ酸残基からなるタンパク質である。GHは、細胞表面受容体であるGH受容体(GHR)に結合し、これを介してシグナル伝達する。GHは、成長の促進、正常な身体組成、同化、および脂質代謝の維持において重要な役割を果たす。GHはまた、グルコース取込みの低下、脂質分解の上昇、アミノ酸取込みおよびタンパク質合成の上昇など、中間代謝に対しても直接的な影響を及ぼす。該ホルモンはまた、脂肪組織、肝臓、腸、腎臓、骨格、結合組織、および筋肉を含めた他の組織に対しても影響を及ぼす。例えば、Genotropin(商標)(Pharmacia Upjohn社製)、Nutropin(商標)およびProtropin(商標)(Genentech社製)、Humatrope(商標)(Eli Lilly社製)、Serostim(商標)(Serono社製)、Norditropin(Novo Nordisk社製)、Omnitrope(Sandoz社製)、Nutropinデポ剤(Genentech社およびAlkermes社製)などの組換えhGHが製造され、市販されている。加えて、例えば、Somatonorm(商標)(Pharmacia Upjohn/Pfizer社製)など、N末端にさらなるメチオニン残基を伴う類アナログもまた市販されている。
【0003】
GHは、タンパク質のGHファミリーの他のメンバーである、プロラクチン(PRL)および胎盤性ラクトゲン(PL)と共通のトポロジーを共有する。GHは、2つの保存的ジスルフィド結合を伴う「上-上-下-下」トポロジーを示す4ヘリックスバンドルタンパク質(図1)として分類される。具体的に述べると、野生型のヒトGH(hGH)は、191アミノ酸残基からなり、53位、165位、182位、および189位において4つのシステイン残基を有し、これが、C53をC165と、C182をC189とそれぞれ連結する2つの分子内ジスルフィド結合を形成することにより、タンパク質の三次元構造を安定化させている(図1)。hGHの構造は、遊離形において(Chantalet L.ら(1995)、Protein and Peptide Letters 3、333〜340頁)、ならびにその結合タンパク質との複合体において(ヒトGHR(hGHR)の細胞外ドメイン)(Devos, A. M.ら(1992)、Science 255、306〜312頁)、X線結晶構造解析により実験的に決定されている。これらの構造は、タンパク質データバンク(PDB)に寄託されており、公表されている(PDB受託コード:それぞれ、1HGUおよび1HWG)。したがって、公表されているhGH構造から、hGHRに対するhGHの結合に重要な残基を同定することができる。さらに、hGHの動態特性は、核磁気共鳴(NMR)分光分析(Kasimova M. R.ら、J. Mol. Biol. (2002)、318、679〜695頁)により研究されている。X線データとNMRデータとを組み合わせると、十分に構造化され、十分に定義されているhGH領域を、それほど構造化されておらず、かつ、それほど動的でない領域から識別することができる。それほど構造化されておらず、かつ、それほど動的でないhGH領域は、タンパク質分解による切断を特に受けやすく、このような領域を適正に安定化させれば、タンパク質分解に対する安定性が改善されるであろう。
【0004】
所望の化学的特性または生物学的特性を示すhGHアナログを作製しようとする試みにおいて、hGHは、広範な変異誘発にかけられてきた。とりわけ、複数の目的のシステイン変異体が記述されてきた。
【0005】
US2003/0162949は、GHスーパー遺伝子ファミリーメンバーのシステインバリアントについて開示している。これらのタンパク質の部位特異的で生物学的に活性なコンジュゲートを創出するための一般的な方法が提供されている。該方法は、システイン残基を、該タンパク質の非必須領域に付加するか、部位指向性変異誘発を用いて、該タンパク質中の非必須アミノ酸をシステイン残基に置換し、次いで、該付加されたシステイン残基を介して、システイン反応性ポリマーまたは他の種類のシステイン反応性部分を該タンパク質に共有結合により連結するステップを伴う。
【0006】
WO02/055532は、共有結合した少なくとも1つのポリペプチド以外の部分を有する、遺伝子操作されたhGH変異体、特に、導入されたシステイン残基をPEG化に用いたhGH変異体を記載している。
【0007】
US5,951,972は、少なくとも1つの天然システイン残基または該タンパク質内へと組み込まれたシステイン残基が、各種の置換基により生理学的に活性な形で誘導体化されている、天然および組換えの、哺乳動物およびヒトのタンパク質およびポリペプチドを記載している。
【0008】
タンパク質分解によるhGHの切断は、詳細に研究されている。残基128〜154からなる長いループは、トロンビン、プラスミン、コラゲナーゼ、スブチリシン、およびキモトリプシン様セリンプロテアーゼなど、複数のプロテアーゼについての推定切断部位を有する。したがって、hGHのこの部分は、タンパク質分解による切断を特に受けやすいことが示されている(Lewis, U.J.、Ann. Rev. Physiol. (1984)、46、33〜42頁)。hGHを分解することが報告されている酵素には、トロンビン、プラスミン、スブチリシン、キモトリプシン様セリンプロテイナーゼ、およびカリクレインが含まれる。
【0009】
ラット組織内でのhGHの分解については、精査されている(Garcia-Barrosら、J. Endocrinol. Invest. (2000)、23、748〜754頁)。
【0010】
ラット甲状腺内では、大きな親油性アミノ酸残基での切断に有利なキモトリプシン様プロテアーゼにより、まず、Y143とS144との間のペプチド結合が切断されて2つの鎖分子がもたらされた後、Y42とS43との間の切断により、N末端ペプチドであるF1〜Y42が遊離することが判明した。2つの鎖分子へと分裂したループは、キモトリプシン様プロテアーゼを介して、さらにカルボキシペプチダーゼの作用を介して、F146とD147との間の切断によりさらにプロセシングされる。
【0011】
タンパク質分解に対して安定化されたhGHアナログを作製する複数の方法が報告されている。
【0012】
Alamら、J. Biotech. 65、183〜190頁(1998)は、特異的な点変異により、トロンビンおよびプラスミンに対して耐性のhGH変異体をデザインした。トロンビンは、R134とT135との間で特異的にhGHを切断するが、二重変異体であるhGH(R134D、T135P)は、トロンビンによる切断に対して耐性のhGH変異体をもたらし、三重変異体であるhGH(R134D、T135P、K140A)は、結果として、プラスミンに対して耐性であった。さらに、後者のhGH変異体は、7日間にわたり、ヒト血漿によるタンパク質分解に対して耐性であった。
【0013】
EP534568は、R134を、アラニン、ロイシン、トレオニン、フェニルアラニン、プロリン、またはヒスチジンへと変異させることにより、タンパク質分解に対して安定化させたhGH変異体を記載している。
【0014】
WO2004022593/Nautilus社は、GHバリアントを含め、タンパク質分解に対する安定性を増大させた修飾サイトカインを生成する、一般的なハイスループット指向の発生法を記載している。
【0015】
WO2006048777/Nautilus社は、タンパク質分解に対する安定性を改善した、修飾hGHアナログについて具体的に記載している。該アナログは、1〜55、57、58、60〜63、67〜87、89〜91、93、95〜100、102〜128、131〜132、135〜139、141、142、144、148〜182、184、185、および187〜191位に1〜5カ所の変異を含む。システイン残基の導入は、潜在的に、ジスルフィド結合された望ましくない二量体の形成をもたらす可能性があり、WO2006048777では、システインによるアミノ酸残基の置換が、範囲から明確に除外されている; WO2006048777(p.65)では、「システイン残基によりアミノ酸を置換すると、潜在的に、分子間のジスルフィド結合が形成されるであろうから、この変化を明確に回避する」と述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】US2003/0162949
【特許文献2】WO02/055532
【特許文献3】US5,951,972
【特許文献4】EP534568
【特許文献5】WO2004022593
【特許文献6】WO2006048777
【特許文献7】WO92/09690
【特許文献8】US6,004931
【特許文献9】US6,143,523
【特許文献10】US6,136,536
【特許文献11】US6,057,292
【特許文献12】US5,849,535
【特許文献13】WO97/11178
【特許文献14】WO90/04788
【特許文献15】WO2008101240
【特許文献16】WO200811283687
【特許文献17】WO2008027854
【特許文献18】WO2008014430
【特許文献19】US20080095837
【特許文献20】US4,683,202
【特許文献21】US6,358,705
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Chantalet L.ら(1995)、Protein and Peptide Letters 3、333〜340頁
【非特許文献2】Devos, A. M.ら(1992)、Science 255、306〜312頁
【非特許文献3】Kasimova M. R.ら、J. Mol. Biol. (2002)、318、679〜695頁
【非特許文献4】Lewis, U.J.、Ann. Rev. Physiol. (1984)、46、33〜42頁
【非特許文献5】Garcia-Barrosら、J. Endocrinol. Invest. (2000)、23、748〜754頁
【非特許文献6】Alamら、J. Biotech. 65、183〜190頁(1998)
【非特許文献7】「Computational Molecular Biology」、Lesk, A. M.編、Oxford University Press、New York、1988
【非特許文献8】「Biocomputing: Informatics and Genome Projects」、Smith, D. W.編、Academic Press、New York、1993
【非特許文献9】「Computer Analysis of Sequence Data」、第1部、Griffin, A. M.およびGriffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994
【非特許文献10】「Sequence Analysis in Molecular Biology」、von Heinje, G.、Academic Press、1987
【非特許文献11】「Sequence Analysis Primer」、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M. Stockton Press、New York、1991
【非特許文献12】Carilloら、SIAM J. Applied Math. 48、1073頁(1988)
【非特許文献13】Devereuxら、Nucl. Acid. Res. 12、387 (1984)
【非特許文献14】Altschulら、J. Mol. Biol. 215、403〜410頁(1990)
【非特許文献15】「BLAST Manual」、Altschulら、NCB/NLM/NIH、Bethesda、Md. 20894
【非特許文献16】Dayhoffら、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、5、(1978)
【非特許文献17】Henikoffら、PNAS USA 89、10915〜10919頁(1992)
【非特許文献18】Needlemanら、J. Mol. Biol. 48、443〜453頁(1970)
【非特許文献19】CabritaおよびBottomley、Biotechnology Annual Review 10、31〜50頁(2004)
【非特許文献20】Dombkowski A., A.、Bioinformatics 19、1852〜1853頁(2003)
【非特許文献21】Petersenら、Protein Eng. 12、535〜548頁(1999)
【非特許文献22】Masuda.Nら、Biochim. Biophys. Acta 949 (1)、125〜131頁(1988)
【非特許文献23】Takatsukaら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 62、52〜58頁(2006)
【非特許文献24】Kondohら、Mol Pharmacology 67、749〜756頁(2005)
【非特許文献25】Palmbergerら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 66、405〜412頁(2007)
【非特許文献26】Leitner, V.Mら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 56、207〜214頁(2003)
【非特許文献27】H. L. Leussenら、Parm. Res. 13、1668〜1672頁(1996)
【非特許文献28】H. L. Leussenら、Int. J. Pharmaceuticals 141、39〜52頁(1996)
【非特許文献29】M. Gumbleton、Adv. Drug. Del. Rev. 49、281〜300頁(2001)
【非特許文献30】K.C. Partlowら、Biomaterials 29、3367〜3375頁(2008)
【非特許文献31】Leeら、Biotechnol. Appl. Biochem. 46、211〜217頁(2007)
【非特許文献32】S.Y. Chaeら、Bioconjugate Chem. 19、334〜341頁(2008)
【非特許文献33】Russell-Jones G.: 17章、「Membrane Transporters as Drug Targets」(1999)
【非特許文献34】SaidおよびMohammed、Curr. Opin. Gastroent. 22、140〜146頁(2006)
【非特許文献35】Chalasaniら、J.Con.Release 117、421〜429頁(2007)
【非特許文献36】H. LiおよびZ.M. Qian、Med. Res. Rev. 22、225〜250頁(2002)
【非特許文献37】LiangおよびYang、Biochem. Biophys. Res. Comm. 225、734〜738頁(2005)
【非特許文献38】GreeneおよびWuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、2006
【非特許文献39】J. Am. Chem. Soc. 125、11782〜11783頁(2003)
【非特許文献40】Science 301、964〜967頁(2003)
【非特許文献41】Science 292、498〜500頁(2001)
【非特許文献42】Science 303、371〜373頁(2004)
【非特許文献43】Sambrook, J、Fritsch, EF、およびManiatis, T、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、1989
【非特許文献44】BeaucageおよびCaruthers、Tetrahedron Letters 22、1859〜1869頁(1981)
【非特許文献45】Matthesら、EMBO Journal 3、801〜805頁(1984)
【非特許文献46】Saikiら、Science 239、487〜491頁(1988)
【発明の概要】
【0018】
タンパク質分解に対して耐性であるhGH化合物を開発する必要が明らかに存在する。このような安定化化合物ならば、hGHに所望の生物学的特性を保持する一方で、タンパク質分解による切断に対する安定性を増大させるはずである。このようなGH分子ならば、安定性を増大させ、クリアランスを遅延させ、かつ/またはin vivoにおける半減期を延長させるであろう。
【0019】
さらに、タンパク質による治療剤は一般に、経口では十分なアベイラビリティーが得られないため、静脈内投与または皮下投与する必要がある。タンパク質の経口バイオアベイラビリティーが低いのは、部分的には、消化管におけるタンパク質分解に起因する。したがって、また、hGH関連障害を治療するのに経口投与されうるhGH化合物を開発する必要も存在する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、ヒト成長ホルモンと比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、成長ホルモン化合物に関する。本発明のGH化合物では、野生型のhGH配列内の少なくとも1つのアミノ酸をシステインへと変異させることにより、少なくとも1つのさらなるシステイン残基を導入している。本発明のGH化合物では、変異部位が、(1)導入されるシステイン残基が、フォールドタンパク質の三次元構造内に適切な形で配置され、野生型タンパク質内に存在しない1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合の形成を可能とし;(2)hGHの天然構造が破壊されず;(3)GH化合物が、野生型のhGHと比較して、タンパク質分解による切断に対する安定性を増大させるか、または他の機能性を増強し;(4)GH化合物が、野生型のhGHと関連する所望の生物学的活性を保持する形で選択される。消化管におけるタンパク質分解に耐性である、hGHのこのようなジスルフィドバリアントを、hGH関連障害を治療するための経口投与薬として開発することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】hGH結合タンパク質(PDB 1HWG)の2つのコピーに結合したhGHの構造を示す図である。hGH内の4つの主要なヘリックスを濃いグレーで示し、「H1〜H4」と表示する。方向(N末端→C末端)を、矢印により示す。hGHのN末端およびC末端を、それぞれ、「N」および「C」と表示する。C53をC165と、C182をC189とそれぞれ連結する2つのジスルフィド結合を、黒色の棒線および丸印で表わす。また、H3およびH4を連結する長い可撓性のループにおけるそれぞれ最初の残基および最後の残基を表わす、L128およびD154も表示する。
【図2】4つの主要なヘリックス(H1〜H4)を強調および表示した、hGHの野生型アミノ酸配列を示す図である。また、主要なヘリックスを連結する3つのループ(L1〜L3)も表示する。ヘリックスの定義は、その結合タンパク質(PDB 1HWG)と複合体化したhGHを指す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
定義
本文脈では、「ヒト成長ホルモン(hGH)」、「hGH wt」、および「野生型hGH(wthGH)」という語を互換的に用い、すべて配列番号1としてのアミノ酸配列を有するタンパク質を指す。
【0023】
本文脈では、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語を互換的に用い、同じものを指すことを意図する。「ペプチド」または「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合により接合される2つ以上のアミノ酸による配列を指し、前記アミノ酸は、天然の場合もあり、非天然の場合もある。構成要素であるアミノ酸は、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸の群に由来することが可能であり、遺伝子コードによってはコードされない天然アミノ酸であることが可能であるほか、合成アミノ酸であることも可能である。遺伝子コードによりコードされない天然アミノ酸は、例えば、Hyp(ヒドロキシプロリン)、y-カルボキシグルタミン酸、Orn(オルニチン)、ホスホセリン、D-アラニン、およびD-グルタミンである。合成アミノ酸は、D-アラニンおよびD-ロイシンなど、遺伝子コードによりコードされるアミノ酸のD-異性体、Aad(α-アミノアジピン酸)、Aib(α-アミノイソ酪酸)、Abu(α-アミノ酪酸)、Agl(α-アミノグリシン)、Asu(α-アミノスベリン酸)、Cpa(β-シクロペンチルアラニン)、Chg(シクロヘキシルグリシン)、Dab(α,γ-ジアミノ酪酸)、Dap(α,β-ジアミノプロパン酸)、Hcy(ホモシステイン)、Hpr(ホモプロリン)、Nle(ノルロイシン)、Phg(フェニルグリシン)、Hph(ホモフェニルアラニン)、1Nal(β-(1-ナフチルアラニン)、2Nal(β-(2-ナフチルアラニン)、2Pal(β-(2-ピリジル)アラニン、3Pal(β-(3-ピリジル)アラニン、Pip(4-アミノピペリジン-4-カルボン酸)、Pra(プロパルギルグリシン)、Pyr(ピログルタミン酸)、Gla(γ-カルボキシグルタミン酸)、Hci(ホモシトルリン)、Nva(ノルバリン)、Tle(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、およびアントラニル酸など、化学合成により作製されるアミノ酸を含む。
【0024】
該用語はまた、「タンパク質」という用語も包含し、これは、1つのポリペプチド鎖からなる場合もあり、例えば、システイン架橋など、非共有結合もしくは共有結合による相互作用を介して併せて保持される2つ以上のポリペプチド鎖からなる場合もある。
【0025】
該用語はまた、例えば、さらなるジスルフィド結合を含むことに加えて、PEG、炭水化物、脂肪酸、アルブミン結合剤、アルキル鎖、親油性基、ビタミン、胆汁酸、またはペプチドの側鎖もしくは主鎖に対するスペーサーなどであるがこれらに限定されない部分を結合させることにより誘導体化させたペプチドを包含することも意図することを理解されたい。ペプチドという用語は、任意の適切なペプチドを包含し、各々のアミノ酸ポリマーを含有する各種の分子が、著明な差違を伴い、これにより、本発明の個々の実施形態(例えば、複数のポリペプチド鎖からなる抗体などのペプチドは、例えば、単鎖抗体、ペプチドであるイムノアドヘシン、または免疫原性の単鎖ペプチドとは著明に異なる)を形成しうることを読者が認識すると仮定すれば、別段に言及するか、または文脈によりこれに反する言及を行わない限り、ポリペプチドおよびタンパク質という用語と同義に用いることができる。したがって、本明細書におけるペプチドという用語は、一般に、任意の適切なサイズおよび組成(アミノ酸数およびタンパク質分子中における会合鎖数)を有する任意の適切なペプチドを指すものと理解すべきである。さらに、本明細書に記載のペプチドは、別段に言及するか、または文脈によりこれに反する言及を行わない限り、非天然アミノ酸残基および/または非L-アミノ酸残基を含みうる。
【0026】
別段に言及するか、または文脈によりこれに反する言及を行わない限り(ならびに、ポリペプチドおよび/またはタンパク質という用語についての個別の実施形態として論じる限り)、ペプチドという用語はまた、誘導体化されたペプチド分子も包含する。誘導体化されたペプチド分子とは、そのアミノ酸残基のうちの1つまたは複数が、化学修飾されている(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、またはアミド形成により)か、または1つまたは複数のアミノ酸以外の有機および/もしくは無機の原子もしくは分子による置換基(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基、親油性置換基(場合によっては、これを、β-アラニン、γ-アミノ酪酸(GABA)、L/D-グルタミン酸、コハク酸などのスペーサー残基またはスペーサー基を介して、該ペプチドのアミノ酸配列へと連結することもできる)、フルオロフォア、ビオチン、放射性核種など)と会合しているペプチド分子であり、また、あるいは代替的に、別段に言及するか、または文脈によりこれに反する言及を行わない限り、非必須アミノ酸残基、非天然アミノ酸残基、および/または非L-アミノ酸残基も含みうる(しかし、このような誘導体は、それら自体において、またはそれ自体により、本発明の個別の特徴として考える場合があり、このような分子を、ペプチドという意味の範囲内に包含させるのは、ネイキッドペプチド(naked peptides)と、このような誘導体との任意の種類の等価性を示唆するためではなく、本発明を説明する際の便宜のために行うのであることを、ここでもまた認識されたい)。
【0027】
このようなアミノ酸残基の非限定的な例には、例えば、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、β-アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリシン、アロヒドロキシリシン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチルリシン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン、プロパルギルグリシン、ならびにスタチンをハロゲン化したアミノ酸が含まれる。
【0028】
本明細書に記載される「化合物」は、「タンパク質」の場合もあり、「ペプチド」の場合もあり、「ポリペプチド」の場合もあり、ポリペプチドは、それが改変された方法に関わらず、wthGHと同様の所望の生物学的活性を保持する、「アナログ」の場合もあり、「誘導体」の場合もあり、「バリアント」の場合もある。
【0029】
ポリペプチドを指す場合に本明細書で用いられる「アナログ」または「バリアント」という用語は、前記ペプチドの改変形を意味し、この場合、該ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基が、他のアミノ酸残基により置換されており、かつ/または1つまたは複数のアミノ酸残基が、該ペプチドから欠失しており、かつ/または1つまたは複数のアミノ酸残基が、該ペプチドに付加されている。このようなアミノ酸残基の置換または付加または欠失は、該ペプチドのN末端で生じる場合もあり、かつ/または該ペプチドのC末端で生じる場合もあり、かつ/または該ペプチドのN末端もしくはC末端で生じる場合もある。その光学異性体が言及されているわけではないすべてのアミノ酸は、L-異性体を意味すると理解されたい。
【0030】
「ジスルフィド結合」または「ジスルフィド架橋」という用語は互換的に用いられ、同じものを指すことを意図する。タンパク質における「ジスルフィド結合」または「ジスルフィド架橋」は、システイン残基のチオール基間で形成される。
【0031】
「さらなるシステイン」または「導入されるシステイン」という用語は互換的に用いられ、同じものを指すことを意図する。該用語は、野生型hGHには存在しないシステイン残基を包含することを意図する。構造的変化を最小化するため、通常アミノ酸残基の置換を介してシステイン残基を導入し、これにより、hGHの長さを維持する。ループ部分内、またはヘリックスの周縁部では、付加的cys残基の挿入が許容されるが、ヘリックス内におけるcys残基の導入は、それほど推奨されない。
【0032】
「さらなるジスルフィド結合」または「導入されるジスルフィド結合」という用語は互換的に用いられ、同じものを指すことを意図する。該用語は、そのうちの少なくとも1つが野生型hGH内には存在しない2つのシステイン残基間で形成されるジスルフィド結合を包含することを意図する。
【0033】
本明細書では、「さらなる単一点突然変異」という用語を用いて、成長ホルモン化合物に導入される、ジスルフィド架橋を形成するさらなるシステインには関連しない突然変異(配列番号1で定義されるhGHと比較した)を指す。「cysによるさらなる単一点突然変異」という用語は、システイン残基を導入する点突然変異を特定するのに用いることができる。このような突然変異は、hGHにおける「さらなる単一点突然変異」の場合もあり、hGHにおけるなおさらなる突然変異の場合もある。
【0034】
本明細書で用いられる「誘導体」という用語は、ペプチドまたはポリペプチドを指し、この場合、該ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基が、PEG、炭水化物部分、アルブミン結合剤、脂肪酸、親油性基、ビタミン、胆汁酸、または成長ホルモン化合物の側鎖もしくは主鎖に対するスペーサーなどのポリマーを導入することにより化学改変されている。化学改変はまた、一過性の性格でもありうる、すなわち、それらは、in vivoにおいて容易に除去することができる。化学改変は、例えば、細胞自体を介して、または発現後においてペプチドに対して実施される化学改変を介して、翻訳後において導入することができる。
【0035】
当技術分野で知られる「同一性」という用語は、配列を比較することにより決定される、2つ以上のペプチドの配列間の関係を指す。当技術分野において、「同一性」はまた、2つ以上のアミノ酸残基の連なりの間のマッチ数により決定される、ペプチド間の配列類似性も意味する。「同一性」では、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)により扱われる、ギャップアライメント(存在する場合)を伴う、2つ以上の配列間の同一性のマッチ百分率が測定される。類似ペプチドの同一性は、知られる方法により容易に計算することができる。このような方法には、「Computational Molecular Biology」、Lesk, A. M.編、Oxford University Press、New York、1988;「Biocomputing: Informatics and Genome Projects」、Smith, D. W.編、Academic Press、New York、1993;「Computer Analysis of Sequence Data」、第1部、Griffin, A. M.およびGriffin, H. G.編、Humana Press、New Jersey、1994;「Sequence Analysis in Molecular Biology」、von Heinje, G.、Academic Press、1987;「Sequence Analysis Primer」、Gribskov, M.およびDevereux, J.編、M. Stockton Press、New York、1991;ならびにCarilloら、SIAM J. Applied Math. 48、1073頁(1988)に記載の方法が含まれるがこれらに限定されない。
【0036】
同一性を決定するのに好ましい方法は、被験配列間で最大のマッチを与えるようにデザインされる。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムにおいて説明されている。2つの配列間の同一性を決定するのに好ましいコンピュータプログラムによる方法には、GAP(Devereuxら、Nucl. Acid. Res. 12、387 (1984);ウィスコンシン州、マジソン、ウィスコンシン大学、Genetics Computer Group)、BLASTP、BLASTN、およびFASTA(Altschulら、J. Mol. Biol. 215、403〜410頁(1990))を含めたGCGプログラムパッケージが含まれる。BLASTXプログラムは、米国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)および他の情報源(「BLAST Manual」、Altschulら、NCB/NLM/NIH、Bethesda、Md. 20894; Altschulら、前出)から公開されている。よく知られたSmith Watermanによるアルゴリズムもまた、同一性を決定するのに用いることができる。
【0037】
例えば、コンピュータアルゴリズムであるGAP(ウィスコンシン州、マジソン、ウィスコンシン大学、Genetics Computer Group)を用いて、それらの百分率による配列同一性が決定される2つのペプチドを、それら各々のアミノ酸が最適な形でマッチングするように整列させる(該アルゴリズムにより決定される「マッチ範囲」)。ギャップ開始時のペナルティー(対角成分の平均の3倍として計算される;「対角成分の平均」とは、用いられる比較行列の対角成分の平均である;「対角成分」とは、特定の比較行列により、各々の完全なアミノ酸マッチに割り当てられるスコアまたは数である)、ならびにギャップ伸長時のペナルティー(これは通常、ギャップ開始時のペナルティーの1/10倍である)のほか、PAM 250またはBLOSUM 62などの比較行列も、該アルゴリズムと共に用いられる。標準的な比較行列(PAM 250比較行列については、Dayhoffら、「Atlas of Protein Sequence and Structure」、5、(1978); BLOSUM 62比較行列については、Henikoffら、PNAS USA 89、10915〜10919頁(1992)を参照されたい)もまた、アルゴリズムによって用いられる。
【0038】
ペプチド配列比較に好ましいパラメータには、以下:
【0039】
アルゴリズム: Needlemanら、J. Mol. Biol. 48、443〜453頁(1970);比較行列: Henikoffら、PNAS USA 89、10915〜10919頁(1992)によるBLOSUM 62;ギャップペナルティー: 12;ギャップ長ペナルティー: 4;類似性の閾値
が含まれる。
【0040】
GAPプログラムは、上記のパラメータにより有用となる。上述のパラメータは、GAPアルゴリズムを用いてペプチド比較(末端ギャップについてのペナルティーを伴わない)を行うためのデフォルトのパラメータである。
【0041】
「プロテアーゼ(proteaseまたはproteases)」とは、加水分解によるペプチド結合の切断を触媒する能力を保有するすべての酵素を包含することを意図する。プロテアーゼは、細胞内プロテアーゼ、細胞内プロテイナーゼ、または細胞内ペプチダーゼの場合もあり、細胞外プロテアーゼ、細胞外プロテイナーゼ、または細胞外ペプチダーゼの場合もあり、膜結合プロテアーゼ、膜結合プロテイナーゼ、または膜結合ペプチダーゼの場合もあり、哺乳動物の腸管内におけるプロテアーゼ、ならびに哺乳動物の血漿中に存在するプロテアーゼを包含する。プロテアーゼは、エンドプロテアーゼおよびエクソプロテアーゼのいずれの種類でもありうる。
【0042】
「タンパク質分解に対して耐性」、または「タンパク質分解に対する安定性の増大」、または「タンパク質分解による切断に対する安定性の増大」、または「タンパク質分解に対する安定性の改善」、または「タンパク質分解に対する安定性」という用語は互換的に用いられ、同じものを指すことを意図する。本発明のhGH化合物との関連で用いられる該用語は、特定の条件下におけるプロテアーゼによる前記hGH化合物のポリペプチド鎖の切断が、野生型hGHと比較してより遅い速度でなされることを示すことを意図する。
【0043】
タンパク質分解によるタンパク質の切断の速度は、当業者に知られる複数の技法により測定することができる。hGHまたはhGH化合物の分解速度を測定するアッセイの例については、実施例5に記載する。
【0044】
本発明はまた、hGH化合物の薬理学的特性を改善するのに有用な方法にも関する。これらの薬理学的特性は、例えば、in vivoにおける機能的半減期の延長、in vivoにおける血漿半減期の延長、平均貯留時間の延長、腎によるクリアランスの低下でありうるだろう。
【0045】
「in vivoにおける機能的半減期」という用語は、その通常の意味、すなわち、ペプチド、例えば、成長ホルモン化合物の生物学的活性の50%が、体内/標的器官中になおも存在する時間、またはペプチド、例えば、成長ホルモン化合物の活性が、その初期値の50%となる時間の意味で用いられる。in vivoにおける機能的半減期の決定に対する代替法として、「in vivoにおける血漿半減期」および持続的作用を決定すること、すなわち、除去される前にペプチドの50%が血流中を循環する時間を決定することもできる。血漿半減期の決定は、機能的半減期の決定より簡単であることが多く、血漿半減期の大きさは、通常、in vivoにおける機能的半減期の大きさについての良好な指標である。
【0046】
本発明は、hGHと比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、GH化合物に関する。ジスルフィド結合は、それらの一方または両方が点変異により野生型hGH配列中の導入される、システイン対の間で形成される。変異部位は、導入されるシステイン残基が、フォールドタンパク質の三次元構造内に適切な形で配置され、ジスルフィド結合の形成を可能とするように選択される。さらなるジスルフィド結合を有するフォールドタンパク質は、適切な宿主生物を介して、可溶性形態のhGHの適切なシステイン変異体を発現させることにより得ることもでき、当業者によく知られている(CabritaおよびBottomley、Biotechnology Annual Review 10、31〜50頁(2004))成長ホルモン化合物の標準的なリフォールディング条件を用いて封入体から回収することもできる。例えば、その結合タンパク質の2つのコピーと複合体化させたhGH(PDB受託コード1HWG)の、実験的に決定された三次元構造を用いるコンピュータ計算法により、さらなるジスルフィド結合を導入するための候補位置の同定を支援することができる。ジスルフィド結合を導入するのに適切な位置は、Dombkowski A., A.、Bioinformatics 19、1852〜1853頁(2003);およびPetersenら、Protein Eng. 12、535〜548頁(1999)に記載されるジスルフィド結合についての距離および形態についての基準に基づいて選択することができる。
【0047】
システイン変異体は、導入されるジスルフィド結合が、タンパク質の天然構造を破壊せず、hGHと関連する所望の生物学的活性に対して及ぼす負の影響が最小限であるように選択される。したがって、化合物は、導入されるジスルフィド結合が、hGHRとの相互作用を損なわないように構築される。受容体との相互作用に重要なhGH内の領域は、1HWGから同定されている。したがって、1HWG構造を解析することにより、生物学的活性に関しては中性であるジスルフィド結合を導入するのに適切な位置の選択を誘導することができる。
【0048】
システイン変異体は、導入されるジスルフィド結合が、タンパク質分解による切断に対する安定性を増大させるように選択することができる。タンパク質が、タンパク質分解による切断をどの程度受けやすいかは、部分的には、前記タンパク質のアミノ酸一次配列により規定される。プロテアーゼは、比較的非特異的な場合もあり、選択性の程度を変化させながら、アミノ酸一次配列内の特異的モチーフを認識する場合もある。しかし、タンパク質分解に対する安定性には、基質として作用するタンパク質分子の三次元構造および動態が強く影響する。高度に可撓性で動的なループ構造が、プロテアーゼにより触媒される切断に対して特に脆弱であるのに対し、十分に構造化された領域は、一般にそれほど脆弱ではない。したがって、ジスルフィド結合を導入することにより、タンパク質の力動的領域を安定化させることにより、タンパク質分解による切断に対する保護が得られる。
【0049】
本発明の一態様は、配列番号1で定義されるhGHと比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む成長ホルモン化合物に関する。本明細書の以下に記載の通り、本発明による成長ホルモン化合物のポリペプチドは、配列番号1により同定されるヒト成長ホルモンと高レベルの同一性を有することが好ましい。
【0050】
したがって、本発明の一実施形態は、配列番号1により定義されるhGHに1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を導入することによりタンパク質分解に対して耐性とした、安定なGH化合物を提供する。一実施形態では、該成長ホルモン化合物が、以下でさらに記載されるタンパク質分解に対して安定化されている。
【0051】
本発明の一実施形態では、ループ部分とヘリックス構造との間にジスルフィド結合を導入することにより、成長ホルモン化合物のタンパク質分解に対する安定性を達成する。
【0052】
本発明の一実施形態では、ループ部分内にジスルフィド結合を導入することにより、成長ホルモン化合物のタンパク質分解に対する安定性を達成する。
【0053】
本発明の一実施形態では、ループ部分間にジスルフィド結合を導入することにより、成長ホルモン化合物のタンパク質分解に対する安定性を達成する。
【0054】
本発明の一実施形態では、ヘリックス間にジスルフィド結合を導入することにより、成長ホルモン化合物のタンパク質分解に対する安定性を達成する。
【0055】
本発明の一実施形態では、導入されるジスルフィド結合のうちの少なくとも1つが、成長ホルモン化合物の2つのシステイン残基を連結し、前記システイン残基のうちの少なくとも1つは、野生型hGH内には存在しない。
【0056】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物に導入されるジスルフィド結合が、Dombkowski A., A.、Bioinformatics 19、1852〜1853頁(2003);およびPetersenら、Protein Eng. 12、535〜548頁(1999)に記載されている距離および形態についての基準を用いて選択されるシステイン残基間に配置される。
【0057】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物に導入されるジスルフィド結合が、H3とH4とを連結するループ(L3;残基128〜154)を安定化させる、すなわち、導入されるジスルフィド結合内のシステインのうちの少なくとも1つが、残基128〜154を含む部分に配置される(図1および2)。
【0058】
上記した通り、本発明は、ポリペプチドのループ部分とヘリックス部分との間を連結するか、またはループ部分内を連結するか、またはループ部分間を連結する、またはヘリックス部分間を連結する、さらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物に関する。本出願の目的では、任意のこのようなさらなるジスルフィド結合の位置を、配列番号1で定義されるhGHポリペプチドと関連して説明する。ヘリックス間、ループ間、およびループとヘリックスとの間を連結する結合をもたらす、cysによる突然変異の非限定的な例を、以下のTable 1(表1)に列挙する。
【0059】
【表1】

【0060】
一実施形態では、本発明による成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、R16C/L117C、A17C/E174C、H21C/M170C、D26/V102C、D26/Y103C、N47C/T50C、Q49C/G161C、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、P61C/E66C、P61C/T67C、S71C/S132C、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、F92C/T148C、R94C/D107C、V102C/A105C、L156C/F146C、L156C/T148C、および/またはV185C/S188Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0061】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、A17C/E174C、H21C/M170C、D26/V102C、D26/Y103C、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、F92C/T148C、および/またはR94C/D107Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0062】
本発明による一実施形態は、さらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物であって、システインのうちの少なくとも1つが、L3(配列番号1中のアミノ酸128〜154)、またはアミノ酸135〜148、もしくは対応するアミノ酸残基により定義されるループの中央領域などに存在する化合物に関する。
【0063】
成長ホルモン化合物の一実施形態では、さらなるジスルフィド結合のシステインのうちの少なくとも1つが、L3の、配列番号1中のアミノ酸141、アミノ酸142、アミノ酸143、アミノ酸144、アミノ酸145、またはアミノ酸146、好ましくはアミノ酸143またはアミノ酸144に対応する位置に存在する。
【0064】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、および/またはF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0065】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、および/またはF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0066】
本発明による一実施形態は、L3をL1と連結するさらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物に関する。
【0067】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1のL3内のアミノ酸54、アミノ酸55、アミノ酸56、アミノ酸57、アミノ酸58、またはアミノ酸59に対応するアミノ酸残基を、配列番号1のL1内のアミノ酸143またはアミノ酸144に対応するアミノ酸と連結するさらなるジスルフィド結合を含む。
【0068】
一実施形態では、本発明による成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、および/またはS71C/S132Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0069】
本発明による一実施形態は、L3をヘリックス2(H2)などのヘリックス部分と連結するさらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物に関する。
【0070】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1のH2内のアミノ酸84またはアミノ酸85に対応するアミノ酸残基を、配列番号1のL3内のアミノ酸143またはアミノ酸144に対応するアミノ酸と連結するさらなるジスルフィド結合を含む。
【0071】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、およびF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0072】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、および/またはF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0073】
本発明による一実施形態は、L2をヘリックス1と連結するさらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物に関する。
【0074】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、D26C/V102CまたはD26C/Y103Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0075】
2つのシステイン残基間におけるジスルフィド架橋では、導入される1つまたは複数のジスルフィド結合の形成を容易にするために、本明細書の上記で定義した領域または位置のうちのいずれかにおいて、システイン残基を導入するか、またはこれに置換することができる。アミノ酸残基の置換および挿入は、当業者に知られる標準的な技法により実施することができる。
【0076】
本発明の一実施形態は、そのポリペプチド配列が、配列番号1により定義されるhGHと90%など、または95%など、少なくとも80%同一である成長ホルモン化合物に関する。さらなる実施形態では、ポリペプチドが、配列番号1により定義されるhGHと96%、97%、98%、または99%同一である。
【0077】
本発明は、ヒト成長ホルモンと比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、成長ホルモン化合物に関する。少なくとも1つの単一点突然変異を成長ホルモン化合物中に組み入れうるのは、成長ホルモン化合物の機能性と関連する多様な理由による。前記少なくとも1つのさらなる単一点突然変異は、プロテアーゼに対する安定性をさらに増大させること、および/または、例えば、化学修飾に適する化学的実体を含むアミノ酸残基を導入することにより、化学修飾に適する「部位」をもたらすことを目的としうる。
【0078】
したがって、本発明は、配列番号1により定義されるヒト成長ホルモンと比較して、本明細書で記載される1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、任意の成長ホルモン化合物に関する。
【0079】
本発明による一実施形態では、成長ホルモン化合物の少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、既知のプロテアーゼ部位に存在する。
【0080】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の1〜55、57、58、60〜63、67〜87、89〜91、93、95〜100、101、102〜128、131〜132、135〜139、141、142、144、148〜182、184、185、および/または187〜191位に対応する位置に存在する。
【0081】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の10、40、41、42、55、57、62、101、134、136、139、142、および/または144位に対応する位置に存在する。
【0082】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の55、57、62、101、134、136、139、142、および/または144位に対応する位置に存在する。
【0083】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の62、101、134、136、139、142、および/または144位に対応する位置に存在する。
【0084】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1(配列番号1のアミノ酸36〜71に対応する)および/またはL3(配列番号1のアミノ酸128〜154に対応する)に存在し、さらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1に存在する。一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1の中央領域(配列番号1のアミノ酸40〜65に対応する)に存在する。一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の40、41、42、55、57、および/または62位に対応する位置に存在する。一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L3に存在し、さらなる実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L3の中央領域(配列番号1のアミノ酸134〜148に対応する)に存在する。
【0085】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の134、136、139、142、および/または144位に対応する位置に存在する。
【0086】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1で定義されるhGHの62位に対応する位置である。このような一実施形態では、セリン(S62)が、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、システイン(C)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、およびグルタミン酸(E)の群から選択されるアミノ酸残基で置換される。
【0087】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1で定義されるhGHの55位に対応する位置である。このような一実施形態では、セリン(S55)が、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、システイン(C)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、およびグルタミン酸(E)の群から選択されるアミノ酸残基で置換される。
【0088】
一実施形態では、少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1で定義されるhGHの57位に対応する位置である。このような一実施形態では、セリン(S57)が、トレオニン(T)、アスパラギン(N)、システイン(C)、ヒスチジン(H)、グルタミン(Q)、およびグルタミン酸(E)の群から選択されるアミノ酸残基で置換される。
【0089】
本発明によれば、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合が、配列番号1と比較して少なくとも2つのアミノ酸をアミノ酸置換することにより得られる。
【0090】
さらなる実施形態では、化合物が、配列番号1と比較して、正確に1つのさらなるジスルフィド結合を含む。
【0091】
一実施形態では、本発明による成長ホルモン化合物のポリペプチドが、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、少なくとも2つのさらなるシステインを含む。
【0092】
さらなる実施形態では、ポリペプチドが、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に2つのさらなるシステインを含む。
【0093】
一実施形態では、本発明による成長ホルモン化合物のポリペプチドが、配列番号1と比較して、最大で合計10カ所のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、成長ホルモン化合物が、最大で7カ所など、最大で6カ所など、最大で5カ所など、最大で4カ所など、最大で合計8カ所のアミノ酸置換を含む。一実施形態では、本発明による成長ホルモン化合物のポリペプチドが、配列番号1と比較して、正確に3カ所のアミノ酸置換を含む。
【0094】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に2つのさらなるシステインを含む。
【0095】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に2つのさらなるシステイン、および正確に1つのさらなる単一点突然変異を含む。
【0096】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に3つのさらなるシステインを含む。
【0097】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、1つのさらなるジスルフィド結合、およびcysによるさらなる単一点突然変異を含む。
【0098】
一実施形態では、cysによるさらなる単一点突然変異が、GHのN末端領域、H1領域、L1領域、H2領域、L2領域、またはH3領域におけるcysによる単一点突然変異のうちのいずれか1つから選択される。
【0099】
一実施形態では、cysによるさらなる単一点突然変異が、hGH(配列番号1)のT3C、P5C、S7C、D11C、H18C、Q29C、E30C、E33C、A34C、Y35C、S55C、S57C、S62C、E88C、Q91C、S95C、A98C、N99C、S100C、L101C、V102C、Y103C、D107C、S108C、D112C、Q122C、およびG126Cに対応する突然変異の群から選択される。
【0100】
一実施形態では、cysによるさらなる単一点突然変異が、hGHにおけるアミノ酸99〜106、またはアミノ酸99〜103など、アミノ酸93〜106に対応する位置に配置される。
【0101】
一実施形態では、cysによるさらなる単一点突然変異が、N99C、S100C、またはL101Cである。
【0102】
一実施形態では、cysによるさらなる単一点突然変異が、hGHにおけるアミノ酸55〜62に対応する位置に配置される。
【0103】
一実施形態では、cysによるさらなる単一点突然変異が、S55C、S57C、またはS62Cである。
【0104】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、さらなるジスルフィド結合を含むことに加えて、PEG、炭水化物、アルブミン結合剤、脂肪酸、アルキル鎖、親油性基、ビタミン、胆汁酸、またはその側鎖もしくは主鎖に対するスペーサーなどであるがこれらに限定されない部分を結合させることにより化学修飾されている。
【0105】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、hGHと比較した場合、上皮を介する輸送を容易とするために化学修飾されている。
【0106】
本発明の一実施形態では、本発明の成長ホルモン化合物が、in vivoにおける作用の持続を延長させるために化学修飾されている。
【0107】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、in vivoにおける機能的半減期の持続を延長させるために化学修飾されている。
【0108】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物の化学修飾がまた、一過性の性質でもありうる、すなわち、in vivoにおいてそれらはまた、容易に除去することもできる。
【0109】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物の修飾が、そのhGHRと成長ホルモン化合物との結合を妨げない任意のアミノ酸残基において生じうる。
【0110】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、タンパク質分解に対する安定性を増大させている。
【0111】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、哺乳動物の血漿中に存在するプロテアーゼによるタンパク質分解に対する安定性を増大させている。
【0112】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、膵臓プロテアーゼによるタンパク質分解に対する安定性を増大させている。
【0113】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、消化管内に存在するプロテアーゼによるタンパク質分解に対する安定性を増大させている。本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、タンパク質分解による切断に対する安定性を増大させている。
【0114】
本発明の一実施形態は、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、および/またはエラスターゼなどの消化性プロテアーゼなど、プロテアーゼによる分解に対して安定化されている、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物に関する。
【0115】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、トリプシン、キモトリプシン、および/またはエラスターゼによるタンパク質分解に対する安定性を増大させている。
【0116】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、キモトリプシンおよび/またはエラスターゼによる分解に対して安定化されている。
【0117】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、H21/M170、D26/V102C、D26/Y103C、F54C/Y143C、F54C/S144C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、および/またはS85C/S144Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0118】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、D26/V102C、D26/Y103C、S57C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、F92C/T148C、および/またはR94C/D107Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0119】
一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1中に、S57C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、および/またはS85C/S144Cに対応する少なくとも1対の変異を含む。
【0120】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、in vivoにおける半減期を延長させている。
【0121】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、保管寿命を延長させている。
【0122】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、融合タンパク質でありうる。
【0123】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1に対して、少なくとも20%、少なくとも30%など、例えば、少なくとも40%、少なくとも50%など、例えば、少なくとも60%、少なくとも70%など、例えば、少なくとも80%、少なくとも90%などの同一性、例えば、少なくとも95%、少なくとも96%など、例えば、少なくとも97%、少なくとも98%などの同一性を示すアミノ酸配列を含むポリペプチドであり、このポリペプチドの活性が、実施例3および実施例3Aで記載するアッセイ(下垂体切除ラットによるアッセイ)において、hGH活性の少なくとも1%、少なくとも5%など、例えば、少なくとも10%、少なくとも25%などである。疑念を回避する目的で述べると、本発明の成長ホルモン化合物の活性はまた、これらのアッセイにおいてhGHより高い場合もある。ある方法で成長ホルモン化合物を誘導体化する場合、該誘導体化により、活性が著明に変化しうるので、hGHと比べた成長ホルモンの活性は、誘導体化されていない成長ホルモン化合物について測定すべきである。例えば、成長ホルモン化合物のin vivoにおける機能的半減期を延長させる特性修飾基により誘導体化された成長ホルモン化合物の場合、該誘導体化された成長ホルモン化合物の活性は、hGHの活性よりはるかに低い場合があるが、この低下は、滞留時間の延長により相殺される。一実施形態では、成長ホルモン化合物が、このようなポリペプチド断片であり、この断片が、顕著な量の、上記した成長ホルモン活性を保持している。
【0124】
本発明の一実施形態では、成長ホルモン化合物が、hGHの切断形である、すなわち、1つまたは複数のアミノ酸残基が、配列番号1に対応するN末端および/またはC末端から欠失しているが、前記化合物は、野生型hGHの所望の生物学的特性を保持している。
【0125】
本発明の一実施形態は、配列番号1にさらなるジスルフィド結合を含むか、または配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を含む成長ホルモン化合物に関し、前記化合物のin vitroにおける活性は、配列番号1により定義されるhGHのin vitroにおける活性と同等である。in vitroにおける成長ホルモン化合物の活性は、本明細書の実施例3で記載されるBAFアッセイで測定することが好ましい。一実施形態では、本発明による化合物のin vitroにおける活性が、in vitroにおけるhGH活性とは異なりうる。上記した通り、in vitroにおける活性が低下しても、in vivoにおける他の機能性により補完されうる。一実施形態では、in vitroにおける活性が、hGH活性の少なくとも1%など、少なくとも5%など、例えば、少なくとも10%、少なくとも25%などでありうる。さらなる実施形態では、配列番号1により定義される野生型hGHと比べた化合物のEC50比が、10を超えず、8を超えず、6を超えず、4を超えず、2を超えない。ある実施形態では、配列番号1により定義される野生型hGHと比較した前記化合物のEC50比が、5〜0.01、または3〜0.01など、または2〜0.01などである。代替法では、本発明によるEC50を、実施例4で記載する表面プラズモン共鳴解析(Biacore解析)により測定することができる。対応する実施形態では、Biacore法により決定される、in vitroにおける活性が、hGH活性の少なくとも1%など、少なくとも5%など、例えば、少なくとも10%、少なくとも25%などでありうる。さらなる実施形態では、Biacore法により決定される、配列番号1により定義される野生型hGHと比べた化合物のEC50比が、10を超えず、8を超えず、6を超えず、4を超えず、2を超えない。一実施形態では、配列番号1により定義される野生型hGHと比較した前記化合物のEC50比が、5〜0.01、または3〜0.01など、または2〜0.01などである。
【0126】
その中にさらなるジスルフィド架橋を導入しうるGH化合物の他の例には、参照により本明細書に組み込まれる、WO92/09690(Genentech社)、US6,004931(Genentech社)、US6,143,523(Genentech社)、US6,136,536(Genentech社)、US6,057,292(Genentech社)、US5,849,535(Genentech社)、WO97/11178(Genentech社)、WO90/04788(Genentech社)、WO02/055532(Maxygen APS社およびMaxygen Holdings社)、US5,951,972(American Cynanamid社)、US2003/0162949(Bolder Biotechnologies社)において開示されるGH化合物が含まれる。含まれるさらなる例は、Masuda.Nら、Biochim. Biophys. Acta 949(1)、125〜131頁(1988)により説明される、20kDaのバリアントなど、hGHの天然バリアントである。
【0127】
本明細書に記載のすべての実施形態では、成長ホルモン化合物が、配列番号1の120位に対応する位置にGly残基を有することがさらなる選択肢である。
【0128】
本発明はまた、本明細書に定義および記載される成長ホルモン化合物を含む医薬組成物も対象とする。
【0129】
一実施形態では、本発明の医薬組成物を、複数の剤形、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、多相乳剤、発泡体、軟膏(salves)、ペースト、プラスター、軟膏(ointments)、錠剤、コーティング錠剤、吸収増強化合物を共調合した錠剤、洗浄液、カプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセルおよび軟質ゼラチンカプセル、コーティングカプセル、坐剤、ドロップ、ゲル、スプレー、粉末、マイクロ粒子、ナノ粒子、エアゾール、吸入剤、注射液、in situ形質転換溶液、例えば、in situゲル化溶液、in situ硬化溶液、in situ沈殿化溶液、in situ結晶化溶液、注射液、および植え込み剤として投与することができる。
【0130】
本発明の一実施形態では、医薬組成物を、経口投与、皮下投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、および静脈内投与を介して投与することができる。
【0131】
本発明の一実施形態では、経口医薬組成物を、複数の投与経路、例えば、舌下(lingual、sublingual)投与、口腔内投与、口内投与、直腸内投与、胃内投与、および腸内投与を介して投与することができる。
【0132】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、例えば、そのすべてが当業者によく知られるデバイスである、計量型吸入器、乾燥粉末吸入器、および噴霧器を用いて、例えば、GHコンジュゲートなどのペプチドコンジュゲートを肺内投与するための固体、半固体、粉末、および溶液の組成物中において有用である。
【0133】
一実施形態では、GHコンジュゲートの安定性をさらに増強し、バイオアベイラビリティーを増大させ、可溶性を増大させ、有害作用を軽減し、当業者によく知られる時間療法を達成し、患者による服薬順守を増進するか、またはこれらの任意の組合せを増進するため、本発明の医薬組成物を、例えば、共有結合的相互作用、疎水性相互作用、および静電的相互作用を介して、薬物担体、薬物送達系、および高度薬物送達系へとさらに混合するか、またはさらに結合させることができる。担体、薬物送達系、および高度薬物送達系の例には、ポリマー、例えば、セルロースおよび誘導体、多糖、例えば、デキストランおよび誘導体、デンプンおよび誘導体、キトサンおよび誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリル酸ポリマーおよびメタクリル酸ポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸ならびにこれらのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、担体タンパク質、例えば、アルブミン、ゲル、例えば、熱ゲル化系、例えば、当業者によく知られるブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、マイクロスフェア、ナノ粒子、液晶およびこれらの分散液、脂質-水系中での相挙動のうちで当業者によく知られるL2相およびこれらの分散液、ポリマー性ミセル、多相エマルジョン、自己乳化ポリマー、自己マイクロ乳化ポリマー、シクロデキストリンおよびこれらの誘導体、ならびにデンドリマーが含まれるがこれらに限定されない。
【0134】
参照により本明細書に組み込まれる経口製剤のための送達系の各種の例には、親水性化合物の浸透を増大させることが知られる界面活性剤が含まれる。界面活性剤の例は、Takatsukaら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 62、52〜58頁(2006)により記載される、カプリン酸ナトリウム、酒石酸、Brij56、Brij58、Brij35、Brij30、脂肪酸糖、タウロデオキシコール酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、p-t-オクチルフェノールポリオキシエチレン9.5(Triton X-100)である。経口送達系にはまた、プロテアーゼ阻害剤および粘液溶解物質もまた含まれうる。プロテアーゼ阻害剤の例は、ダイズトリプシン阻害剤、アプロチニン、およびキモスタチンである。粘液溶解物質の例は、粘液溶解剤および界面活性剤の併用を介する、ジチオトレイトールおよびN-アセチルシステインによる、吸収の悪い親水性化合物に対する腸内吸収増強剤である。Emisphere社により開発された5-CNACおよび類似の化合物(WO2008101240、WO200811283687、WO2008027854、WO2008014430、US20080095837)もまた例として含まれる。
【0135】
経口製剤送達系にはまた、上皮細胞の密着結合に対する特異的開口剤として機能する、密着接合調節剤もまた含まれうる。これらの密着接合調節剤は、一過性でも非一過性でも機能し、上皮細胞を密着結合により併せて密着させるタンパク質複合体に干渉する(Kondohら、Mol Pharmacology 67、749〜756頁(2005))。経口製剤のための送達系の他の例には、粘膜付着剤(例えば、チオール含有添加剤(共製剤)または共有結合させた側鎖により、粘膜層への付着を増大させることができる)、キトサン分子およびカルボマー分子、ポリアクリレート、PEGおよびその誘導体(Palmbergerら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 66、405〜412頁(2007); Leitner, V.Mら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 56、207〜214頁(2003); H. L. Leussenら、Parm. Res. 13、1668〜1672頁(1996); H. L. Leussenら、Int. J. Pharmaceuticals 141、39〜52頁(1996); Takatsukaら、Eur. J. Pharm. Biopharm. 62、52〜58頁(2006))が含まれる。経口製剤のための送達系のさらなる例には、カベオラ/脂質ラフト、SMVT(ナトリウム依存性マルチビタミントランスポーター)が含まれる。経口送達のための製剤の別の例には、ビタミンB12(Cobalamin)を基質として用いるIRF(内因性因子受容体)、FcRn(新生児Fc受容体)、およびトランスフェリンなど、受容体を介するトランスサイトーシスのための製剤(M. Gumbleton、Adv. Drug. Del. Rev. 49、281〜300頁(2001); K.C. Partlowら、Biomaterials 29、3367〜3375頁(2008); Leeら、Biotechnol. Appl. Biochem. 46、211〜217頁(2007); S.Y. Chaeら、Bioconjugate Chem. 19、334〜341頁(2008); Russell-Jones G.: 17章、「Membrane Transporters as Drug Targets」(1999); SaidおよびMohammed、Curr. Opin. Gastroent. 22、140〜146頁(2006); Chalasaniら、J.Con.Release 117、421〜429頁(2007); H. LiおよびZ.M. Qian、Med. Res. Rev. 22、225〜250頁(2002); LiangおよびYang、Biochem. Biophys. Res. Comm. 225、734〜738頁(2005))が含まれる。
【0136】
一実施形態では、本発明のGH化合物が、成長ホルモン活性を及ぼし、これを用いて、循環成長ホルモン量の増大から利益を得る疾患または状態を治療することができる。このような疾患または状態には、成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダー-ウィリー症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎疾患、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受ける小児おけるHIV感染(HIV/HALS小児); SGA性低身長児; SGA以外の極低出生体重児における低身長(VLBW);骨格異形成;低軟骨形成症;軟骨無形成症;特発性低身長(ISS);成人におけるGHD;脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手骨、中足骨、および手指など、長骨における骨折もしくは長骨の骨折;頭蓋骨、手の指節骨底、および足の趾節骨底など、海綿骨における骨折もしくは海綿骨の骨折;例えば、手、膝、もしくは肩における腱もしくは靭帯の手術後における患者;仮骨延長法を施されているかもしくはこれを経過しつつある患者;膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手関節、もしくは顎関節など、股関節もしくは椎間板の置換術、半月板の修復術、脊椎の癒合術もしくは装具固定術後における患者;ネイル、スクリュー、およびプレートなどの骨合成材料を体内に固定した患者;骨折による偽関節もしくは骨折の変形治癒を示す患者;例えば、脛骨または第一趾からの骨切除術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷もしくは関節炎により引き起こされる、膝における関節軟骨の変性;ターナー症候群を示す患者における骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);栄養不良に随伴する、APCDにおける心血管疾患; APCDにおける悪液質の可逆化; APCDにおける癌; APCDにおける慢性閉塞性肺疾患; APCDにおけるHIV; APCDである高齢者; APCDにおける慢性肝疾患、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能不全; HIV感染を示す男性;短腸症候群;中心性肥満; HIVに随伴する脂肪異栄養症候群(HALS);男性不妊症;大規模な待期的手術、アルコール/薬物の解毒、もしくは神経外傷後における患者;老化;虚弱高齢者;骨関節症;外傷による軟骨損傷;勃起障害;線維筋痛;記憶障害;抑うつ症;外傷性脳傷害;クモ膜下出血;極低出生時体重;メタボリック症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児におけるグルココルチコイド治療に起因する低身長が含まれる。成長ホルモンはまた、筋肉組織、神経組織、もしくは創傷の治癒の加速化;損傷した組織への血流の加速化もしくは改善;または損傷した組織における感染率の低減にも用いられている。
【0137】
一実施形態では、本発明が、疾患を治療する方法であって、循環成長ホルモン化合物量の増大から利益を得る疾患または状態を治療するのに成長ホルモン化合物活性を用いることができ、有効量の、配列番号1による成長ホルモン化合物またはそのコンジュゲートによる医薬組成物を、患者に投与するステップを含む方法に関する。
【0138】
一実施形態では、本発明が、それを必要とする患者に、治療有効量の、本発明による成長ホルモン化合物を投与するステップを含む方法に関する。したがって、本発明は、これらの疾患または状態を治療する方法であって、それを必要とする患者に、治療有効量の、本発明による成長ホルモン化合物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0139】
本明細書で用いられる、「治療有効量」の本発明の化合物とは、所与の疾患およびその合併症の臨床症状を治癒させるか、緩和するか、または部分的に停止させるのに十分な量を意味する。これを達成するのに十分な量が、「治療有効量」と規定される。各々の目的に対する有効量は、例えば、疾患または傷害の重症度のほか、対象の体重、性別、年齢、および全般的状態に依存する。適切な用量の決定は、医師または獣医の技術分野の範囲内にある、日常的な実験を用いて達成することができる。
【0140】
一実施形態では、本発明が、上述の疾患または状態を治療するのに用いられる薬剤の製造における、成長ホルモン化合物またはそのコンジュゲートの使用を提供する。
【0141】
本明細書で定義および記載される成長ホルモン化合物は、治療用タンパク質として用いられることを意図する。
【0142】
ポリペプチドの作製は、当技術分野でよく知られている。例えば、ポリペプチドは、古典的なペプチド合成、例えば、tert-Boc化学反応もしくはtert-Fmoc化学反応を用いる固相ペプチド合成、または他の十分に確立された技法により作製することができる(例えば、GreeneおよびWuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、2006を参照されたい)。
【0143】
ポリペプチドはまた、その発現を可能とする条件下にある適切な栄養培地中においてそれをコードするDNA配列を含有し、それを発現させることが可能な宿主細胞を培養するステップを含む方法によっても作製することができる。非天然のアミノ酸残基を含むポリペプチドの場合、例えば、tRNA変異体を用いることにより、該非天然アミノ酸が、ポリペプチド内へと組み込まれるように、組換え細胞を改変すべきである。
【0144】
ポリペプチドはまた、細胞を含まない、in vitroにおける転写/翻訳系を用いても作製することができる。新規の非天然アミノ酸を含有するポリペプチドはまた、例えば、J. Am. Chem. Soc. 125、11782〜11783頁(2003); Science 301、964〜967頁(2003); Science 292、498〜500頁(2001); Science 303、371〜373頁(2004);ならびに本明細書の参考文献中に記載される通り、フレームシフト系またはナンセンス抑制系を用いても作製することができる。
【0145】
細胞を培養するのに用いられる培地は、適切な補充物質を含有する最小培地または複合培地など、宿主細胞を増殖させるのに適する、任意の従来の培地でありうる。適切な培地は、市販品の販売元から販売されているか、または公表されているレシピ(例えば、American Type Culture Collectionのカタログ中のレシピ)に従い調製することができる。次いで、遠心分離または濾過により宿主細胞を培地から分離するステップを含めた従来の手順により、細胞が生成するペプチドを、培地から回収することができる。細胞外生成物については、対象となるポリペプチドの種類に応じて、濾過、カラムクロマトグラフィー、または沈殿、例えば、精密濾過、限外濾過、等電沈殿、各種のクロマトグラフィー手順、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィーなどを介する精製により、上清のタンパク質成分を単離する。細胞内生成物またはペリプラズム生成物の場合は、培地から単離した細胞を、分解するかまたは透過させて抽出し、生成物であるポリペプチドまたはその前駆体を回収する。
【0146】
ポリペプチドをコードするDNA配列は、適切な形でゲノムまたはcDNAに由来することが可能であり、例えば、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーを作製し、標準的な技法(例えば、Sambrook, J、Fritsch, EF、およびManiatis, T、「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New York、1989を参照されたい)に従い、特異的なDNAプローブまたはRNAプローブを用いるハイブリダイゼーションにより、該ペプチドの全部または一部をコードするDNA配列についてスクリーニングすることにより得ることができる。ポリペプチドをコードするDNA配列はまた、確立された標準的な方法、例えば、BeaucageおよびCaruthers、Tetrahedron Letters 22、1859〜1869頁(1981)により記載されるホスホルアミダイト法、またはMatthesら、EMBO Journal 3、801〜805頁(1984)により記載される方法を介する合成によっても調製することができる。DNA配列はまた、例えば、US4,683,202またはSaikiら、Science 239、487〜491頁(1988)に記載される特異的なプライマーを用いるポリメラーゼ連鎖反応によっても調製することができる。
【0147】
発現させるペプチドをコードするDNA配列を、組換えDNA手順にかけることが簡便でありうる任意のベクター内に挿入することができるが、ベクターの選択は、それが導入される宿主細胞に依存することが多い。したがって、ベクターは、自己複製ベクター、すなわち、その複製が、染色体の複製から独立している染色体外の実体、例えば、プラスミドとして存在するベクターでありうる。代替的に、ベクターは、宿主細胞内へと導入されると、宿主細胞のゲノム内へと組み込まれ、それが組み込まれた染色体と併せて複製されるベクターでもありうる。
【0148】
ベクターは、ポリペプチドをコードするDNA配列が、プロモーターなど、DNAの転写に必要とされるさらなる部分へと作動的に連結される発現ベクターでありうる。プロモーターは、選択される宿主細胞内において転写活性を示す任意のDNA配列であることが可能であり、該宿主細胞と同種または異種のタンパク質をコードする遺伝子に由来しうる。各種の宿主細胞内で発現させるペプチドをコードするDNAの転写を誘導するのに適切なプロモーターの例は当技術分野で知られており、例えば、Sambrookら、前出を参照されたい。
【0149】
発現させるペプチドをコードするDNA配列はまた、必要な場合、適切なターミネーター、ポリアデニル化シグナル、転写エンハンサー配列、および翻訳エンハンサー配列にも作動的に連結することができる。本発明の組換えベクターは、対象の宿主細胞内でベクターを複製することが可能なDNA配列をさらに含みうる。
【0150】
ベクターはまた、選択マーカー、例えば、その産物が、宿主細胞内における欠損を補完する遺伝子、または薬物、例えば、アンピシリン、カナマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、ネオマイシン、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートに対する耐性を付与する遺伝子も含みうる。大規模生産の場合、選択マーカーは、例えば、抗生剤耐性ではない場合がある、例えば、ベクター内における抗生剤耐性遺伝子は、該ベクターを大規模生産に用いるときに除去される場合がある。ベクターから抗生剤耐性遺伝子を除去する方法は、当技術分野で知られている(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、US6,358,705を参照されたい)。
【0151】
発現させるペプチドを、宿主細胞の分泌経路内へと誘導するために、組換えベクター内に分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列、またはプレ配列としても知られている)を施すことができる。分泌シグナル配列は、適正なリーディングフレーム内においてペプチドをコードするDNA配列に結合する。分泌シグナル配列は、ペプチドをコードするDNA配列に対して5’側に配置することが一般的である。分泌シグナル配列は、ペプチドと通常の形で会合する配列の場合もあり、別の分泌タンパク質をコードする遺伝子に由来する場合もある。
【0152】
発現させるペプチドをコードするDNA配列、プロモーター、ならびに、場合によって、ターミネーターおよび/または分泌シグナル配列をそれぞれ連結し、これらを、複製に必要な情報を含有する適切なベクター内へと挿入するのに用いられる手順は、当業者によく知られている(例えば、Sambrookら、前出を参照されたい)。
【0153】
DNA配列または組換えベクターを導入する宿主細胞は、本ペプチドを生成することが可能な任意の細胞であることが可能であり、細菌細胞、酵母細胞、真菌細胞、および高等真核細胞を包含する。当技術分野でよく知られ、用いられている適切な例は、大腸菌(E. coli)細胞株、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞株、または哺乳動物のBHK細胞株もしくはCHO細胞株であるがこれらに限定されない。発現させるペプチドはまた、当技術分野でよく知られる、in vitroにおける転写/翻訳系を用いることによっても作製することができる。
【0154】
本明細書で引用される刊行物、特許出願、および特許を含めたすべての参考文献は、参照によりその全体において、ならびに、各参考文献が、参照により組み込まれるように個別かつ具体的に示され、かつ、本明細書においてその全体性において(法律により許容される最大限度まで)示されたと仮定した場合と同程度に本明細書に組み込まれる。
【0155】
本明細書では、すべての見出しおよび小見出しを便宜のためだけに用いるものであり、いかなる形でも本発明を限定するものとしては理解しないものとする。
【0156】
本明細書で示される任意およびすべての例、または例示的表現(例えば、「など」)は、本発明をよりよく例示することだけを意図するものであり、別段に特許請求しない限り、本発明の範囲に対して限定を付与するものではない。本明細書におけるいかなる表現も、本発明の実施にとって本質的ではあるが特許請求はなされない、いかなる要素を示すものとしても理解しないものとする。
【0157】
本明細書における特許文献の引用および組込みは、便宜だけを目的とするものであり、このような特許文献の妥当性、特許性、および/または法的強制力のうちのいかなる観点を反映するものでもない。
【0158】
本発明は、関連法規により許容される通り、本明細書に付属の特許請求の範囲で列挙される対象物に対するすべての改変およびその同等物を包含する。
【0159】
本明細書に記載される本発明は、本明細書に限定されることなく、以下の実施形態によりさらに説明される。
【0160】
実施形態1:配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、成長ホルモン化合物。
【0161】
実施形態2:ループ部分とヘリックス部分との間を連結するか、またはループ部分内を連結するか、またはループ部分間を連結するか、またはヘリックス部分間を連結する、さらなるジスルフィド結合を含む、実施形態1に記載の成長ホルモン化合物。
【0162】
実施形態3:配列番号1中に、R16C/L117C、A17C/E174C、H21C/M170C、D26C/V102C、D26C/V103C、N47C/T50C、Q49C/G161C、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/V143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、P61C/E66C、P61C/T67C、S71C/S132C、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、F92C/T148C、R94C/D107C、V102C/A105C、L156C/F146C、L156C/T148C、および/またはV185C/S188Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態1または2に記載の成長ホルモン化合物。
【0163】
実施形態4:配列番号1中に、A17C/E174C、H21C/M170C、D26C/V102C、D26C/Y103C、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、F92C/T148C、および/またはR94C/D107Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態3に記載の成長ホルモン化合物。
【0164】
実施形態5:さらなるジスルフィド結合を含み、システインのうちの少なくとも1つが、配列番号1中のアミノ酸128〜154に対応するL3内、または配列番号1中のアミノ酸135〜148に対応する領域内などに存在する、実施形態1から4のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0165】
実施形態6:さらなるジスルフィド結合のシステインのうちの少なくとも1つが、配列番号1中のアミノ酸141、アミノ酸142、アミノ酸143、アミノ酸144、アミノ酸145、またはアミノ酸146、好ましくはアミノ酸143またはアミノ酸144に対応する位置にあるL3内に存在する、実施形態5に記載の成長ホルモン化合物。
【0166】
実施形態7:配列番号1中に、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、および/またはF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態6に記載の成長ホルモン化合物。
【0167】
実施形態8:配列番号1中に、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、および/またはF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態7に記載の成長ホルモン化合物。
【0168】
実施形態9: L3をL1と連結するさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態1から8のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0169】
実施形態10:配列番号1のL3内のアミノ酸54、アミノ酸55、アミノ酸56、アミノ酸57、アミノ酸58、またはアミノ酸59に対応するアミノ酸残基を、配列番号1のL1内のアミノ酸143またはアミノ酸144に対応するアミノ酸と連結するさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態9に記載の成長ホルモン化合物。
【0170】
実施形態11:配列番号1中に、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、および/またはS71C/S132Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態10に記載の成長ホルモン化合物。
【0171】
実施形態12: L3をヘリックス部分と連結するさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態1から8のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0172】
実施形態13: L3をヘリックス2と連結するさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態12に記載の成長ホルモン化合物。
【0173】
実施形態14:配列番号1のH2内のアミノ酸84またはアミノ酸85に対応するアミノ酸残基を、配列番号1のL3内のアミノ酸143またはアミノ酸144に対応するアミノ酸と連結するさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態13に記載の成長ホルモン化合物。
【0174】
実施形態15:配列番号1中に、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、およびF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態12に記載の成長ホルモン化合物。
【0175】
実施形態16:配列番号1中に、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、および/またはF92C/T148Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態15に記載の成長ホルモン化合物。
【0176】
実施形態17:L2をヘリックス1と連結するさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態1から8のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0177】
実施形態18:D26C/V102CまたはD26C/Y103Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態17に記載の成長ホルモン化合物。
【0178】
実施形態19:ポリペプチド配列が、配列番号1により定義されるhGHと90%など、95%など、96%など、97%など、98%など、少なくとも80%同一である、実施形態1から18のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0179】
実施形態20:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、プロテアーゼ部位に存在する、実施形態1〜19のいずれか1つに記載の成長ホルモン化合物。
【0180】
実施形態21:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の1〜55、57、58、60〜63、67〜87、89〜91、93、95〜100、101、102〜128、131〜132、135〜139、141、142、144、148〜182、184、185、および/または187〜191位に対応する位置に存在する、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の成長ホルモン化合物。
【0181】
実施形態22:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1(配列番号1のアミノ酸36〜71に対応する)および/またはL3(配列番号1のアミノ酸128〜154に対応する)に存在する、実施形態1〜21のいずれか1つに記載の成長ホルモン化合物。
【0182】
実施形態23:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1に存在する、実施形態22に記載の成長ホルモン化合物。
【0183】
実施形態24:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1の中央領域(配列番号1のアミノ酸40〜65に対応する)に存在する、実施形態23に記載の成長ホルモン化合物。
【0184】
実施形態25:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の40、41、42、55、57、および/または62位に対応する位置に存在する、実施形態24に記載の成長ホルモン化合物。
【0185】
実施形態26:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L3に存在する、実施形態22に記載の成長ホルモン化合物。
【0186】
実施形態27:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L3の中央領域(配列番号1のアミノ酸134〜148に対応する)に存在する、実施形態26に記載の成長ホルモン化合物。
【0187】
実施形態28:少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の134、136、139、142、および/または144位に対応する位置に存在する、実施形態27に記載の成長ホルモン化合物。
【0188】
実施形態29:そのin vitroにおける活性が、配列番号1により定義される野生型hGHの活性の少なくとも5%である、実施形態1から28のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0189】
実施形態30:ポリペプチドのin vivoにおける機能的半減期が、ヒト成長ホルモンと比較して2倍以上である、実施形態1から29のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0190】
実施形態31:ポリペプチドのin vivoにおける機能的半減期が、ヒト成長ホルモンと比較して2〜10倍である、実施形態1から30のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0191】
実施形態32:ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、および/またはエラスターゼなどの消化性プロテアーゼなど、プロテアーゼによる分解に対して安定化されている、実施形態1から31のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0192】
実施形態33:キモトリプシンおよび/またはエラスターゼによる分解に対して安定化されている、実施形態32に記載の成長ホルモン化合物。
【0193】
実施形態34:配列番号1中に、H21/M170C、D26C/V102C、D26C/Y103C、F54C/Y143C、F54C/S144C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、および/またはS85C/S144Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態33に記載の成長ホルモン化合物。
【0194】
実施形態36:配列番号1中に、D26C/V102C、D26C/Y103C、S57C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、F92C/T148C、および/またはR94C/D107Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態33に記載の成長ホルモン化合物。
【0195】
実施形態38:配列番号1中に、S57C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、および/またはS85C/S144Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、実施形態33に記載の成長ホルモン化合物。
【0196】
実施形態40: 1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合が、配列番号1と比較して少なくとも2つのアミノ酸をアミノ酸置換することにより得られる、実施形態1から39のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0197】
実施形態41:成長ホルモン化合物が、配列番号1と比較して、正確に1つのさらなるジスルフィド結合を含む、実施形態1から40のいずれかに記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0198】
実施形態42:成長ホルモン化合物が、番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、少なくとも2つのさらなるシステインを含む、実施形態1から41のいずれかに記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0199】
実施形態43:配列番号1と比較して、正確に3つのアミノ酸置換を含む、実施形態1から42のいずれかに記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0200】
実施形態44:配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に2つのさらなるシステイン、および正確に1つのさらなる単一点突然変異を含む、実施形態1から43のいずれかに記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0201】
実施形態45:成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に2つのさらなるシステインを含む、実施形態1〜44のいずれか1つに記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0202】
実施形態46:成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に3つのさらなるシステインを含む、実施形態1〜44のいずれか1つに記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0203】
実施形態47:成長ホルモン化合物が、配列番号1で定義されるヒト成長ホルモンと比較して、1つのさらなるジスルフィド結合、およびcysによるさらなる単一点突然変異を含む、実施形態46に記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0204】
実施形態48: cysによるさらなる単一点突然変異が、GHのN末端領域、H1領域、L1領域、H2領域、L2領域、またはH3領域におけるcysによる単一点突然変異のうちのいずれか1つから選択される、実施形態47に記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0205】
実施形態49: cysによるさらなる単一点突然変異が、hGHにおけるアミノ酸99〜106、またはアミノ酸99〜103など、アミノ酸93〜106に対応する位置に配置される、実施形態47に記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0206】
実施形態50: cysによるさらなる単一点突然変異が、hGH(配列番号1)のT3C、P5C、S7C、D11C、H18C、Q29C、E30C、E33C、A34C、Y35C、E88C、Q91C、S95C、A98C、N99C、S100C、L101C、V102C、Y103C、D107C、S108C、D112C、Q122C、およびG126Cに対応する突然変異の群から選択される、実施形態47に記載の成長ホルモンコンジュゲート。
【0207】
実施形態51: PEG化により、糖部分、脂肪酸、親油性基、アルブミン結合剤、ビタミン、胆汁酸、ペプチドの側鎖または主鎖に対するスペーサーなどであるがこれらに限定されないポリマーを結合させることにより化学修飾される、実施形態1から50のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0208】
実施形態52:成長ホルモン化合物の化学修飾が、一過性の性質である、すなわち、in vivoにおいてそれらが容易に除去されうる、実施形態51に記載の成長ホルモン化合物。
【0209】
実施形態53:アミノ酸残基の化学修飾が、ペプチドのN末端において、ペプチドのC末端において、かつ/またはペプチドのN末端とC末端との間で生じうる、実施形態51または52に記載の成長ホルモン化合物。
【0210】
実施形態54:化学修飾が、アミノ酸残基Phe1、Gln40、Gln141、またはPhe191において生じる、実施形態51から53のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0211】
実施形態55:化学修飾がPEGを介し、PEGが500Da〜50kDaである、実施形態51から54のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0212】
実施形態56:上皮を介する輸送を容易とするために化学修飾されている、実施形態1から55のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0213】
実施形態57: wthGHと比較した場合、上皮を介する輸送を容易とするために化学修飾されている、実施形態1から56のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0214】
実施形態58: wthGHと比較した場合、in vivoにおける機能的半減期を延長させるために化学修飾されている、実施形態1から57のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0215】
実施形態59:そのin vivoにおける機能的半減期が、hGHと比較して2倍以上である、実施形態58に記載の成長ホルモン化合物。
【0216】
実施形態60: in vivoにおける機能的半減期が、hGHと比較して2〜10倍である、実施形態59に記載の成長ホルモン化合物。
【0217】
実施形態61:化学修飾が、そのhGHRとの結合を妨げないアミノ酸残基において生じる、実施形態51から60のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0218】
実施形態62:ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチダーゼ、および/またはエラスターゼなどの消化性プロテアーゼなど、プロテアーゼによるタンパク質分解に対して安定化されている、実施形態55から61のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0219】
実施形態63:タンパク質分解に対する安定性を増大させた成長ホルモン化合物を調製する方法であって、
a.配列番号1により定義されるヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を、前記成長ホルモン化合物に導入するステップ
を含む方法。
【0220】
実施形態64:実施形態63に記載の、タンパク質分解に対する安定性を増大させた成長ホルモン化合物を調製する方法であって、
a.ヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基を1つまたは複数のシステインで置換することにより1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を導入するステップと、
b.ヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基を置換することにより少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を導入するステップと
を含む方法。
【0221】
実施形態65:実施形態64に記載の、タンパク質分解に対する安定性を増大させた成長ホルモン化合物を調製する方法であって、
a.ヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のシステイン残基を付加することにより1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を導入するステップと、
b.ヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のアミノ酸残基を置換することにより少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を導入するステップと
を含む方法。
【0222】
実施形態66:実施形態1から62のいずれかに記載の成長ホルモン化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【0223】
実施形態67:患者に対して、舌下(lingual、sublingual)投与、口腔内投与、口内投与、経口投与、胃腸内投与、鼻腔内投与、肺内投与、経上皮投与、皮内投与、経皮投与、および非経口投与しうる、実施形態66に記載の医薬組成物。
【0224】
実施形態68:経口投与組成物である、実施形態66または67に記載の医薬組成物。
【0225】
実施形態69:実施形態1から62のいずれかに記載の成長ホルモン化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を調製する方法。
【0226】
実施形態70:循環成長ホルモン化合物量の増大から患者が利益を得る疾患または状態を治療する方法であって、有効量の、実施形態1〜62のいずれか1つに記載の成長ホルモン化合物または実施形態66〜68のいずれか1つに記載の医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法。
【0227】
実施形態71:疾患が、成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダー-ウィリー症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎疾患、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受ける小児おけるHIV感染(HIV/HALS小児); SGA性低身長児; SGA以外の極低出生体重児における低身長(VLBW);骨格異形成;低軟骨形成症;軟骨無形成症;特発性低身長(ISS);成人におけるGHD;脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手骨、中足骨、および手指など、長骨における骨折もしくは長骨の骨折;頭蓋骨、手の指節骨底、および足の趾節骨底など、海綿骨における骨折もしくは海綿骨の骨折;例えば、手、膝、もしくは肩における腱もしくは靭帯の手術後における患者;仮骨延長法を施されているかもしくはこれを経過しつつある患者;膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手関節、もしくは顎関節など、股関節もしくは椎間板の置換術、半月板の修復術、脊椎の癒合術もしくは装具固定術後における患者;ネイル、スクリュー、およびプレートなどの骨合成材料を体内に固定した患者;骨折による偽関節もしくは骨折の変形治癒を示す患者;例えば、脛骨または第一趾からの骨切除術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷もしくは関節炎により引き起こされる、膝における関節軟骨の変性;ターナー症候群を示す患者における骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);栄養不良に随伴する、APCDにおける心血管疾患; APCDにおける悪液質の可逆化; APCDにおける癌; APCDにおける慢性閉塞性肺疾患; APCDにおけるHIV; APCDである高齢者; APCDにおける慢性肝疾患、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能不全; HIV感染を示す男性;短腸症候群;中心性肥満; HIVに随伴する脂肪異栄養症候群(HALS);男性不妊症;大規模な待期的手術、アルコール/薬物の解毒、もしくは神経外傷後における患者;老化;虚弱高齢者;骨関節症;外傷による軟骨損傷;勃起障害;線維筋痛;記憶障害;抑うつ症;外傷性脳傷害;クモ膜下出血;極低出生時体重;メタボリック症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児におけるグルココルチコイド治療に起因する低身長から選択される、実施形態69または70に記載の、疾患を治療する方法。
【0228】
実施形態72:薬剤として用いられる、実施形態1から62のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【0229】
実施形態74:疾患を治療するための薬物として用いられる、実施形態1〜62のいずれか1つに記載の成長ホルモンであって、前記疾患が、成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダー-ウィリー症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎疾患、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受ける小児おけるHIV感染(HIV/HALS小児); SGA性低身長児; SGA以外の極低出生体重児における低身長(VLBW);骨格異形成;低軟骨形成症;軟骨無形成症;特発性低身長(ISS);成人におけるGHD;脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手骨、中足骨、および手指など、長骨における骨折もしくは長骨の骨折;頭蓋骨、手の指節骨底、および足の趾節骨底など、海綿骨における骨折もしくは海綿骨の骨折;例えば、手、膝、もしくは肩における腱もしくは靭帯の手術後における患者;仮骨延長法を施されているかもしくはこれを経過しつつある患者;膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手関節、もしくは顎関節など、股関節もしくは椎間板の置換術、半月板の修復術、脊椎の癒合術もしくは装具固定術後における患者;ネイル、スクリュー、およびプレートなどの骨合成材料を体内に固定した患者;骨折による偽関節もしくは骨折の変形治癒を示す患者;例えば、脛骨または第一趾からの骨切除術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷もしくは関節炎により引き起こされる、膝における関節軟骨の変性;ターナー症候群を示す患者における骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);栄養不良に随伴する、APCDにおける心血管疾患; APCDにおける悪液質の可逆化; APCDにおける癌; APCDにおける慢性閉塞性肺疾患; APCDにおけるHIV; APCDである高齢者; APCDにおける慢性肝疾患、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能不全; HIV感染を示す男性;短腸症候群;中心性肥満; HIVに随伴する脂肪異栄養症候群(HALS);男性不妊症;大規模な待期的手術、アルコール/薬物の解毒、もしくは神経外傷後における患者;老化;虚弱高齢者;骨関節症;外傷による軟骨損傷;勃起障害;線維筋痛;記憶障害;抑うつ症;外傷性脳傷害;クモ膜下出血;極低出生時体重;メタボリック症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児におけるグルココルチコイド治療に起因する低身長から選択される成長ホルモン。
【0230】
実施形態73:薬剤としての、実施形態1から62のいずれかに記載の成長ホルモン化合物の使用。
【0231】
実施形態74:疾患の治療における、実施形態1から62のいずれかに記載の成長ホルモン化合物の使用。
【0232】
実施形態75:疾患が、成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダー-ウィリー症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎疾患、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受ける小児おけるHIV感染(HIV/HALS小児); SGA性低身長児; SGA以外の極低出生体重児における低身長(VLBW);骨格異形成;低軟骨形成症;軟骨無形成症;特発性低身長(ISS);成人におけるGHD;脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手骨、中足骨、および手指など、長骨における骨折もしくは長骨の骨折;頭蓋骨、手の指節骨底、および足の趾節骨底など、海綿骨における骨折もしくは海綿骨の骨折;例えば、手、膝、もしくは肩における腱もしくは靭帯の手術後における患者;仮骨延長法を施されているかもしくはこれを経過しつつある患者;膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手関節、もしくは顎関節など、股関節もしくは椎間板の置換術、半月板の修復術、脊椎の癒合術もしくは装具固定術後における患者;ネイル、スクリュー、およびプレートなどの骨合成材料を体内に固定した患者;骨折による偽関節もしくは骨折の変形治癒を示す患者;例えば、脛骨また第一趾からの骨切除術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷もしくは関節炎により引き起こされる、膝における関節軟骨の変性;ターナー症候群を示す患者における骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);栄養不良に随伴する、APCDにおける心血管疾患; APCDにおける悪液質の可逆化; APCDにおける癌; APCDにおける慢性閉塞性肺疾患; APCDにおけるHIV; APCDである高齢者; APCDにおける慢性肝疾患、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能不全; HIV感染を示す男性;短腸症候群;中心性肥満; HIVに随伴する脂肪異栄養症候群(HALS);男性不妊症;大規模な待期的手術、アルコール/薬物の解毒、もしくは神経外傷後における患者;老化;虚弱高齢者;骨関節症;外傷による軟骨損傷;勃起障害;線維筋痛;記憶障害;抑うつ症;外傷性脳傷害;クモ膜下出血;極低出生時体重;メタボリック症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児におけるグルココルチコイド治療に起因する低身長から選択される、実施形態73または実施形態74に記載の使用。
【0233】
実施形態76:成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダー-ウィリー症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎疾患、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受ける小児おけるHIV感染(HIV/HALS小児); SGA性低身長児; SGA以外の極低出生体重児における低身長(VLBW);骨格異形成;低軟骨形成症;軟骨無形成症;特発性低身長(ISS);成人におけるGHD;脛骨、腓骨、大腿骨、上腕骨、橈骨、尺骨、鎖骨、中手骨、中足骨、および手指など、長骨における骨折もしくは長骨の骨折;頭蓋骨、手の指節骨底、および足の趾節骨底など、海綿骨における骨折もしくは海綿骨の骨折;例えば、手、膝、もしくは肩における腱もしくは靭帯の手術後における患者;仮骨延長法を施されているかもしくはこれを経過しつつある患者;膝関節、股関節、肩関節、肘関節、手関節、もしくは顎関節など、股関節もしくは椎間板の置換術、半月板の修復術、脊椎の癒合術もしくは装具固定術後における患者;ネイル、スクリュー、およびプレートなどの骨合成材料を体内に固定した患者;骨折による偽関節もしくは骨折の変形治癒を示す患者;例えば、脛骨また第一趾からの骨切除術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷もしくは関節炎により引き起こされる、膝における関節軟骨の変性;ターナー症候群を示す患者における骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症;慢性透析の成人患者(APCD);栄養不良に随伴する、APCDにおける心血管疾患; APCDにおける悪液質の可逆化; APCDにおける癌; APCDにおける慢性閉塞性肺疾患; APCDにおけるHIV; APCDである高齢者; APCDにおける慢性肝疾患、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能不全; HIV感染を示す男性;短腸症候群;中心性肥満; HIVに随伴する脂肪異栄養症候群(HALS);男性不妊症;大規模な待期的手術、アルコール/薬物の解毒、もしくは神経外傷後における患者;老化;虚弱高齢者;骨関節症;外傷による軟骨損傷;勃起障害;線維筋痛;記憶障害;抑うつ症;外傷性脳傷害;クモ膜下出血;極低出生時体重;メタボリック症候群;グルココルチコイドミオパシー;または小児におけるグルココルチコイド治療に起因する低身長を治療するのに用いられる薬剤の製造における、実施形態1から62のいずれかに記載の成長ホルモン化合物の使用。
【0234】
(実施例)
本明細書に記載される各種の化合物の調製および特徴づけ、ならびにそれらの生物学的活性を評価する方法について説明する以下の実施例を参照することにより、本発明をさらに明示する。本発明の範囲から逸脱しない限りにおいて、材料および方法のいずれに対しても、多くの変更を行うことが可能であることは、当業者に明らかであろう。
【0235】
本実施例で用いられるTGアーゼは、US5156956による、Streptoverticillium mobaraenseに由来する細菌性トランスグルタミナーゼである。
【0236】
(実施例1)
hGH化合物を調製するための一般的な方法
成長ホルモン化合物をコードする遺伝子を、組換えによりプラスミドベクター内へと挿入する。QuickChange部位指向性変異誘発キット(Stratagene社製)を用いることにより、システインの変異を導入する。その後、プラスミドベクターを用いて、適切な大腸菌株を形質転換する。タンパク質は、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー精製に適する、N末端におけるヒスチジンに富むペプチドタグを伴う可溶性タンパク質として発現させる。
【0237】
50%グリセロール中において細胞原液を調製し、-80℃で保存する。グリセロール原液中の菌株をLBAプレート内に接種し、その後、37℃で一晩にわたりインキュベートする。LB培地により各プレートの内容物を洗浄し、500mlのLB+AMP培地へと希釈して、発現させる。0.6のOD600に達するまで、培養物を220rpmで振とうしながら37℃でインキュベートする。0.2mMのIPTGを用いて、30℃で6時間にわたり後続の誘導を実施し、2.0の最終OD600を得る。遠心分離により、細胞を最終的に回収する。
【0238】
その後、細胞をpH8.5の20mMトリス-HCl中に懸濁させ、30kPSIで細胞破砕器を用いてこれらを破壊する。遠心分離により上清を回収し、その後、クロマトグラフィーによる精製にかける。
【0239】
精製は、捕捉ステップとして、固定化金属アフィニティークロマトグラフィーを用いた後で、Unizyme社製のジアミノペプチダーゼを用いてペプチドタグを除去して実施する。イオン交換クロマトグラフィーにより最終精製を達成する。精製はまた、当業者に知られるイオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、サイズ除外クロマトグラフィー、および膜ベースの分離法を用いることによるがこれらに限定されずに達成することができるであろう。
【0240】
hGH化合物を、2当量の、例えば、Peg-5000-アルデヒド(RAPP Polymere社製; 125000-6)と反応させることにより、PEG基をN末端へと結合させることができる。0.5mlのMeCN中に、10段階でNaCNBH3を添加することにより、反応を開始し、反応混合物を20時間にわたり静置することができる。細菌性トランスグルタミナーゼを触媒として用い、hGH化合物を、1,3-ジアミノ-2-プロパノール(Fluka社製; 33262)とまず反応させることにより、PEG基を、Q40へと結合させることができる(以下を参照)。
【0241】
Cysを突然変異させたGHタンパク質の精製は、標準的手順に対する改変を必要としうる。MEAE-hGH [Q84C、Y143C、L101C]を用いて、この方法を例示する。当技術分野に共通の一般的な知識に基づく単離および精製のスキームを若干変化させて可能な同様の方法で、代替的な突然変異体も単離および精製することができる。
【0242】
細胞は、遠心分離(6056×Gで30分間にわたる)により回収し、-80℃で保存することができる。ホモジナイゼーション:細胞ペレット(2580g)を、約20kgの緩衝液(20mMのトリス、0.1%のTween-20、5mMのEDTA、pH = 8.5)中で溶解させ、pHを8.5へと調整した後に、1000バールおよび200バールの2回の圧力降下によりホモジナイゼーションを行った。細胞ホモジネート(約20kg)を、8Mの尿素中で1:1に希釈する結果として、4Mの尿素濃度を得た。この溶液に、シスタミン2HCl(18g)(0.9g/L)を添加し、結果として得られる混合物を、静かに撹拌しながら、5℃で一晩にわたりインキュベートした。濾過:ホモジネートを、1.0および0.5μmの全量濾過方式により濾過する結果として、約42kgの透過物を得た。MEAE-hGH [Q84C、Y143C、L101C]の精製は、3つのクロマトグラフィーステップと、N末端のMEAE配列を除去する酵素消化とからなる。Q Sepharose XL(GE Healthcare社製)を用いてMEAE-hGH [Q84C、Y143C、L101C]を捕捉し、トリス-NaCl緩衝液、pH8.5中の直線勾配による溶出を介して溶出させた。回収したプールに1.0MのNaClを添加してから、Phenyl Sepharose 6FF(high sub)(GE Healthcare社製)へと投入した。WFIにおける段階的溶出を用いてタンパク質を溶出させ、導電性を低下させて、酵素消化を行った。
【0243】
酵素DAPI(ジペプチジルアミノペプチダーゼ1)を用いて、MEAE配列を除去した。DAPIは、同時に2つのアミノ酸を切断するが、hGHにおける第2のアミノ酸は、天然のDAPIに対する停止サインであるプロリンなので、AEの後で切断は停止される。消化は、2mg/mLのタンパク質濃度、pH4.3、40℃で実施した。消化反応の後、LC-MSにかけ、消化が完了する約60分後に停止させた。5℃まで冷却した後、39% v/vの低温エタノール(99%)を添加して、タンパク質を等電点沈殿させ(iso-precipitate)、pHを4.9に調整した。反応混合物は、5℃で少なくとも2時間にわたり保存し、タンパク質を沈殿させた。
【0244】
沈殿したhGH [Q84C、Y143C、L101C]を、7Mの尿素-トリエタノールアミン緩衝液、pH7.5中で再溶解させ、Source 30Q(GE Healthcare社製)上で精製し、標的タンパク質を、少量の切断されなかった物質、および他の不純物から分離した。最終生成物を、トリエタノールアミン緩衝液、pH7.5中の直線勾配により溶出させた。RP-HPLC解析(UV 214nm)による生成物の純度は、> 97%である。
【0245】
mPEG基との、トランスアミノ化および酸化させたhGH化合物(I)の連結
以下の溶液:
緩衝液A:トリエタノールアミン(119mg、0.8ミリモル)を水(40mL)に溶解させ、pHを8.5に調整した。
緩衝液B: 20mMトリエタノールアミン; 0.2M NaCl
を調製した。
【0246】
(A) 1,3-ジアミノ-2-プロパノールによるhGH(III)のトランスアミノ化
hGH(8.64g)を、撹拌しながら、緩衝液A(500mL)に溶解させた。この溶液に、緩衝液A(50mL)中の1,3-ジアミノ-2-プロパノール(DAP)(8.1g; Fluka社製33262)の混合物をゆっくりと添加した。HCl水溶液を添加することにより、結果として得られる混合物のpHを8.5へと調整した。混合しながら、mTGアーゼ(2.8mL、1.3mg/mL)を添加した。最終混合物を、室温で一晩にわたり撹拌した。
【0247】
緩衝液A(1.2L)により反応混合物を希釈し、イオン交換クロマトグラフィーにより生成物を精製した(100mL/分〜200mL/画分;段階緩衝液B(40%): 15カラム容量=225分間にわたる緩衝液Bの勾配40〜100%)。
【0248】
(B)トランスアミノ化されたhGHの酸化
緩衝液A:トリエタノールアミン(119mg、0.8ミリモル)を水(40mL)に溶解させ、pHを8.5に調整した。
緩衝液B: 3-メチルチオ-1-プロパノール(725mg、7.1ミリモル)を緩衝液A(10mL)に溶解させた。
緩衝液C: HEPES(5.96g)を水(1.0L)に溶解させ、pHを7.0に調整した。
過ヨウ素酸: NaIO4(48.1mg、0.225ミリモル)を水(1.0mL)に溶解させた。
【0249】
DAP反応させたhGH溶液(10mg、0.5マイクロモル)に、緩衝液B(0.2mL)を添加した後、過ヨウ素酸溶液(0.03mL)を添加した。低温で20分間にわたるインキュベーション後、混合物を、緩衝液Cにより4回にわたり透析した。残留物を1mLへと濃縮した。
【0250】
(C)PEG試薬による酸化hGHの還元的アミノ化
(B)からの最終溶液(1mL、0.45マイクロモル)を、pH7.0の25mM HEPES緩衝液中において、PEG-アミン溶液(2mL、0.3マイクロモル)と混合し、結果として得られる混合物を、室温で1時間にわたりゆっくりと回転させた。1時間後に、NaCNBH3(水(0.5mL)中に100μLのNaCNBH3溶液(20mg))を、分割して(10回に分割して)添加した。混合物を、暗所内室温で18〜24時間にわたり静置した。MonoQ上において混合物を精製し、緩衝液を交換し、濃縮した。mPEG-アミン試薬は、市販されている。
【0251】
(実施例2)
精製された成長ホルモン化合物に対するタンパク質化学による特徴づけ
MALDI-MSを用いて、完全精製タンパク質を解析した。観察された質量は、アミノ酸配列から推定される理論的質量と符合した。
【0252】
トリプシンおよびAspNによる消化の後、DTTによるジスルフィド結合の還元前および還元後においてこの消化物のMALDI-MS解析を用いるペプチドマッピングにより、各化合物中の3つのジスルフィド結合について予測される結合が裏付けられた。
【0253】
(実施例3)
精製された成長ホルモン化合物の生物学的活性についての解析
細胞ベースの受容体能による増殖アッセイ、すなわちBAFアッセイにより、hGH化合物の生物学的活性を測定した。該方法は、hGH化合物に対する一般性を示す。
【0254】
BAF-3細胞(骨髄に由来するマウスBリンパ球前駆細胞株)は、増殖および存続についてIL-3依存性である。IL-3は、それらが刺激されるとGHが活性化される同一のメディエーターであるJAK-2およびSTATを活性化する。
【0255】
BAF-3細胞に、hGH受容体を含有するプラスミドをトランスフェクトすることができる。hGHにより刺激されると増殖することが可能なクローンを、本明細書の下記でBAF3-GHRと称する、hGH依存性細胞株へと転換することができる。該細胞株は、用量に比例する増殖パターンによりGHに反応し、したがって、これらを増殖アッセイにおいて用いて、異なるhGH化合物の効果を評価することができる。
【0256】
37℃、5%CO2で24時間にわたり、飢餓培地(GHを有さない培地)中でBAF3-GHR細胞を増殖させた。細胞を遠心分離し、培地を除去し、細胞を飢餓培地中に再懸濁させ、細胞2.22×105個/mlとした。90μlの細胞上清の一部を、マイクロ滴定プレート(96ウェルNUNCクローンプレート)内に播種する。細胞に、異なる濃度の成長ホルモン化合物を添加し、37℃、5%CO2で72時間にわたりプレートをインキュベートする。
【0257】
AlamarBlueは、細胞代謝に生得の反応により還元され、したがって、生細胞数の間接的な測定値を提供する、AlamarBlue(登録商標)(BioSource社製;型番Dal 1025)という酸化還元指示薬である。AlamarBlue(登録商標)を6倍に希釈し(5μlのAlamarBlue(登録商標)+25μlの飢餓培地)、30μlの希釈されたAlamarBlue(登録商標)を各ウェルに添加する。次いで、細胞をさらに4時間にわたりインキュベートする。最後に、544nmの励起フィルターおよび590nmの発光フィルターを用いる蛍光プレートリーダーにより、細胞の代謝活性を測定する。
【0258】
所与の化合物についての結果を、前記化合物のEC50と、並行して測定したwthGHのEC50との比として表現する。さらなる結果は、下記のtable 6(表6)に示す。
【0259】
【表2】

【0260】
(実施例3A)
下垂体切除Sprague Dawleyラットにおける、in vivo用量-反応試験
雄の下垂体切除Sprague Dawleyラットにおいて、in vivoの用量-反応関係を調べることができる。下垂体切除ラットは、よく知られて認知された、成長ホルモン欠損の動物モデルであり、手術により下垂体を除去した後では、成長ホルモンの生成が生じない。これはまた、ヒトにおける成長ホルモン欠損の別の重要な臨床特徴である、循環インスリン様成長因子1(IGF-1)レベルの低下ももたらす。
【0261】
以下は、hGHおよび1つのhGHバリアントを用いて実施したアッセイを記載する。代替的なバリアントおよび化合物も、同様の手順を用いて調べることができる。
【0262】
体重90〜100gの4週齢の雄ラットに対して、下垂体切除術を実施した。手術の3〜4週間後に、体重100〜110gの動物を試験に組み入れた。手術後3〜4週間の間に、体重が10%を超えて増加した動物は、試験に組み入れなかった。
【0263】
下垂体切除Sprague Dawleyラット70匹を、各群10匹ずつ7つの投与群に無作為に割り当てた。1つの群には媒体だけを施し、非治療対照群として用いた。3つの群には、被験化合物(hGH(Q84C、Y143C))を、それぞれ33、3.3、0.33ナノモルずつ施し、3つの群には、対照薬としてのhGHを50、5.0、および0.5ナノモルずつ施した。化合物および媒体のいずれも、頸部での単回の皮下投与として投与した。1週間にわたり、毎日午前8〜10時に体重を測定した。
【0264】
0日目の体重を7日目の体重と比較したところ、hGH(Q84C、Y143C)およびhGHのいずれによっても、用量依存的な形で体重の増加が誘導された。
【0265】
パラメータEmax、E0、およびED50の推定値を計算するため、非線形回帰分析により、S字型用量-反応曲線の式により実験データ(0日目〜7日目の体重増加)を近似した。該式は、GraphPad Prism version 4.00 for Windows(登録商標)(米国、サンディエゴ、GraphPad Software社製)に内蔵されるS字型用量-反応曲線の式であった。パラメータ推定値を含めたデータおよび95%信頼区間を、Table 3(表3)に示す。
【0266】
パラメータE0およびEmaxの推定値については、hGH(Q84C、Y143C)と、hGHとで差が観察されなかった。しかし、hGH(Q84C、Y143C)では、ED50が、hGHと比較して著明に低値であったことは、hGH(Q84C、Y143C)のin vivoにおける効力が高いことを示す。
【0267】
【表3】

【0268】
(実施例4)
表面プラズモン共鳴解析による受容体相互作用試験
表面プラズモン共鳴解析を用いて、hGH化合物の受容体相互作用について解析した。この方法は、hGH化合物について一般性があり、Q84C/Y143C hGH化合物はこれを例示する。
【0269】
Proteon装置(Biorad)またはT100 Biacore(スウェーデン、GE Healthcare社製)を用いる表面プラズモン共鳴により、hGH結合タンパク質(hGHBP)との、hGHおよびアナログの相互作用を調べた。製造元の指示書に従い、典型的には5000〜9000 RUのレベルで、抗hGH mAb(米国、Fitzgerald Industiries International社製;型番10G05B)を、アミン結合によってカルボキシル化マトリックス上へと共有結合的に固定化した。ランニングバッファー(10mM HEPES、0.15M NaCl、30mM EDTA、0.05% Surfactant P20、pH7.4)中9〜25μg/mlでwthGHまたはアナログを捕捉し、この結果、典型的には100〜400 RUのリガンドが捕捉された。その後、30〜100ml/分で、該表面全体に、0〜800nMの濃度のhGHBPを注射した。抗hGH mAbを固定化させているがhGHが捕捉されなかった表面を、基準として用いた。
【0270】
1:1のラングミュア結合モデルを伴う、測定器製造元により提供される適切なソフトウェアにより、反応速度データを解析した。
【0271】
解析(Table 4(表4))は、成長ホルモン結合タンパク質に対するhGH(Q84C、Y143C)のアフィニティーが、wthGHと同様であるかまたはこれより若干高く、hGH(Q84C、Y143C)が、実験の誤差範囲内で、野生型hGHと等効力であることを示した。さらなるhGHバリアントについてのさらなる解析は、Table 7(表7)に組み入れる。
【0272】
【表4】

【0273】
(実施例5)
プロテアーゼによる野生型hGHおよびGH化合物の分解速度を測定するアッセイ
37℃で最長24時間にわたり、適切な緩衝液(例えば、PBSまたは重炭酸アンモニウム)中における関与性のプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、エラスターゼ、因子VIIa、因子Xa、プロテイナーゼK、カルボキシペプチダーゼ、DPPIV、中性エンドペプチダーゼ、グランザイムB、プロリンエンドペプチダーゼ、ブドウ球菌ペプチダーゼI、テルモリシン、トロンビン、Arg-Cプロテイナーゼ、Asp-Nエンドペプチダーゼ、カスパーゼ1〜10、クロストリパイン、エンテロキナーゼ、グルタミルエンドペプチダーゼ、LysC、およびLysN、または組織抽出物)により、対象の化合物を消化させた。タンパク質分解は、HPLCアッセイにより評価する。
【0274】
一般的な方法
タンパク質分解による消化:
重炭酸アンモニウム緩衝液中1mg/mlの被験化合物溶液100μLを、37℃で最長24時間にわたり、酵素により分解させる。各時点に対応する部分試料を採取し、1%TFA中への10倍希釈を介して該試料を酸化させることにより、タンパク質分解反応を停止させる。逆相HPLCによりこれらの希釈試料を解析して、タンパク質分解による消化の程度を推定する。
【0275】
HPLC法:
水中に0.1%TFA〜0.1%TFA含有100%アセトニトリルの直線勾配により溶出させる2×150mmのVydac C4逆相カラム上に、30分間にわたり、0.2ml/分の流速で、10μLの上記溶液を注射する。214nmにおけるUV吸収により、ピークの検出を実施する。時点t=Tにおけるピーク面積(AT)と、時点t=0におけるピーク面積(A0)とから、(AT/A0)×100%として、時点t=Tにおける完全化合物(%)を計算する。本明細書下記のtable 6(表6)に示す結果は、4時間後(上式におけるT=4)に得られた。
【0276】
GraphPad Prismソフトウェアver. 5.01を用いて、完全化合物(%)を時間に対してプロットする。また、GraphPad Prismソフトウェアにより、1相減衰としてのT1/2も計算する。
【0277】
実施例で用いられる酵素は、エラスターゼ(135ng、Sigma社製;ブタ膵臓に由来する)およびキモトリプシン(13ng、Roche社製;配列決定グレード)である。緩衝液は、pH8.5の50mM重炭酸アンモニウムである。
【0278】
【表5】

【0279】
(実施例6)
BAFアッセイ、ならびに実施例3および5に記載したタンパク質分解による消化を介する、選択された化合物についての解析
【0280】
【表6】

【0281】
(実施例7)
実施例3、4、および5に記載したBAFアッセイ、SPR解析、およびタンパク質分解による消化を介する、選択された化合物についての解析
【0282】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1により定義されるヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、成長ホルモン化合物。
【請求項2】
ループ部分とヘリックス部分との間を連結する、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を含む、請求項1に記載の成長ホルモン化合物。
【請求項3】
配列番号1中に、R16C/L117C、A17C/E174C、H21C/M170C、D26C/V102C、D26C/Y103C、N47C/T50C、Q49C/G161C、F54C/Y143C、F54C/S144C、F54C/F146C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、P61C/E66C、P61C/T67C、S71C/S132C、L73C/S132C、L73C/F139C、R77C/I138C、R77C/F139C、L81C/Q141C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、Q84C/S144C、S85C/Y143C、S85C/S144C、P89C/F146C、F92C/F146C、F92C/T148C、R94C/D107C、V102C/A105C、L156C/F146C、L156C/T148C、および/またはV185C/S188Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、請求項1から2のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項4】
1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を含み、そのシステインのうちの少なくとも1つが、配列番号1中のアミノ酸128〜154に対応するループ3(L3)内に存在する、請求項1から3のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項5】
L3を、ヘリックス2(H2)またはループ1(L1)と連結する、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合を含む、請求項4に記載の成長ホルモン化合物。
【請求項6】
配列番号1中に、H21C/M170C、D26C/V102C、D26C/Y103C、F54C/Y143C、F54C/S144C、S55C/Y143C、S57C/Y143C、I58C/Q141C、I58C/Y143C、I58C/S144C、P59C/Q137C、S71C/S132C、L81C/Y143C、Q84C/Y143C、S85C/Y143C、S85C/S144C、F92C/T148C、および/またはR94C/D107Cに対応する少なくとも1対の変異を含む、請求項3に記載の成長ホルモン化合物。
【請求項7】
配列番号1により定義されるヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、プロテアーゼに対する安定性を増大させた、請求項1から6のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項8】
少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の1〜55、57、58、60〜63、67〜87、89〜91、93、95〜100、101、102〜128、131〜132、135〜139、141、142、144、148〜182、184、185、および/または187〜191位に対応する位置に存在する、請求項1から7のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項9】
少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、配列番号1の40、41、42、55、57、62、101、134、136、139、142、および/または144位に対応する位置に存在する、請求項1から8のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項10】
少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1(配列番号1のアミノ酸36〜71に対応する)および/またはL3(配列番号1のアミノ酸128〜154に対応する)に存在する、請求項1から9のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項11】
少なくとも1つのさらなる単一点突然変異が、L1の中央領域(配列番号1のアミノ酸40〜65に対応する)および/またはL3の中央領域(配列番号1のアミノ酸134〜148に対応する)に存在する、請求項1から10のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項12】
配列番号1により定義されるヒト成長ホルモンと比較して、正確に1つのさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を含む、請求項1から11のいずれかに記載の成長ホルモン化合物。
【請求項13】
タンパク質分解に対する安定性を増大させた成長ホルモン化合物を調製する方法であって、
a.配列番号1により定義されるヒト成長ホルモン(hGH)と比較して、1つまたは複数のさらなるジスルフィド結合、および少なくとも1つのさらなる単一点突然変異を、前記成長ホルモン化合物に導入するステップ
を含む方法。
【請求項14】
請求項1から12のいずれかに記載の成長ホルモン化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項15】
疾患または状態を治療する方法であって、循環成長ホルモン化合物量の増大から患者が利益を得る、有効量の、請求項1から12のいずれかに記載の成長ホルモン化合物または請求項14に記載の医薬組成物を患者に投与するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−518037(P2013−518037A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549376(P2012−549376)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050909
【国際公開番号】WO2011/089250
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(511031755)ノヴォ・ノルディスク・ヘルス・ケア・アーゲー (11)
【Fターム(参考)】