説明

安定な放射性医薬品組成物およびその製法

【課題】安定化放射性医薬品製剤を開示する。安定化放射性医薬品製剤を製造し、使用する方法もまた開示する。
【解決手段】本発明は、放射線治療用および放射線診断用化合物、およびそれらを含む製剤の放射安定性を改善する安定剤に関する。具体的には、本発明は標的の放射線診断用および放射線治療用化合物の製造および安定化に有用な安定剤に関し、好ましい具体的態様にて、ガストリン放出ペプチド受容体(GRP−受容体)に標的される放射線診断用および放射線治療用化合物の製造および安定化に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2003年7月24日に出願された米国仮出願番号60/489,850の利益を主張し、該出願は本明細書にそのまま引用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、放射線治療用および放射線診断用化合物、およびそれらを含む製剤の放射安定性を改善する安定剤に関する。具体的には、本発明は標的の放射線診断用および放射線治療用化合物の製造および安定化に有用な安定剤に関し、好ましい具体的態様において、ガストリン放出ペプチド受容体(GRP受容体)に標的される放射線診断用および放射線治療用化合物の製造および安定化に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
放射線診断薬としての使用のために設計される放射性標識化合物は一般に、放射性標識としてのガンマ線放出同位体により製造される。これらのガンマフォトンは水および体組織を容易に貫通し、数センチメートルの範囲の組織または空気を有することができる。一般に、そのような放射線診断用化合物は、これらの物質を用いてイメージングされる組織系に有意の損傷を引き起こさない。これは、放出されたガンマフォトンが質量または電荷を有さず、注入される放射能物質の量が、用いられる同位体およびイメージング剤に依存し、一般に約3〜50mCiの範囲で診断イメージを得るために必要な量に制限されるからである。この量は十分に小さいので、患者に有意の放射線量なしで有用なイメージを得ることができる。99mTc、111In、123I、67Gaおよび64Cuのような放射性核種はこの目的のために使用されている。
【0004】
一方、放射線治療薬としての使用のために設計される放射性標識化合物は一般に、オージェ(Auger)−、ベータ−またはアルファ−放出同位体で標識され、該化合物はまた適宜ガンマフォトンを放出していてもよい。90Y、177Lu、149Pm、153Sm、109Pd、67Cu、166Ho、131I、32P、186/188Re、105Rh、211At、225Ac、47Sc、213Biおよびその他のような放射性核種は、潜在的に放射線治療に有用である。ランタニド同位体の+3金属イオンは特に興味深く、177Lu(比較的に低エネルギーのβ−放射体)、149Pm、153Sm(中間エネルギー)および166Ho(高エネルギー)が含まれる。90Yもまた、+3金属イオンを形成し、ランタニド類のものと同様の配位化学を有する。ランタニド類の配位化学はよく発展し、当業者によく知られている。
【0005】
これらの放射性同位体で標識された化合物から放出される電離放射線は、放射性標識化合物が局在している部位における細胞および組織を損傷するために適当なエネルギーを有する。放出される放射線は、標的組織における細胞成分を直接的に損傷するか、または組織内の水に影響してフリーラジカルを形成させることができる。これらのラジカルは非常に反応性が高く、タンパク質およびDNAを損傷し得る。
【0006】
水の放射線分解から形成されるいくつかの即時生成物を以下に説明する。
O→H+e
→H+OH
O+e→H→H+OH
【0007】
形成される生成物(例えばH、OH、HおよびOH)のうち、ヒドロキシルラジカル[OH]は特に有害である。このラジカルはまた、それ自体で一緒になって、強酸化剤である過酸化水素を形成することができる。
OH+OH→H(強酸化剤)
【0008】
さらに電離放射線の溶解した酸素との相互作用は、スーパーオキシド・ラジカルのような非常に反応性の高い種を生成することができる。これらのラジカルは有機分子に対して非常に反応性が高い(例えば、ガリソンらの文献(Garrison, W. M., Chem. Rev. 1987, 87, 381-398)を参照のこと)。
【0009】
放射線治療用または放射線診断用化合物が標的とする部位または部位群(例えば腫瘍、骨転移、血球または他の標的組織もしくは組織系)におけるそのような反応性の高い種の産生は、十分な量が産生されるならば、細胞増殖抑制効果または細胞毒性効果を有するであろう。成功する放射線治療のための主要な要因は、有意なまたは耐えられない副作用を伴わない、細胞毒性効果または殺腫瘍効果をもたらすための標的組織(例えば腫瘍細胞など)への十分な放射線量の送達である。同様に、放射線診断のための主要な要因は、有意なまたは耐えられない副作用を伴わない、標的組織をイメージするための標的組織への十分な放射線の送達である。
【0010】
アルファ粒子は、組織における浸透の範囲が〜50μmだけであるので、1または2細胞直径内で大量のエネルギーを分散する。これは、特に放射性標識化合物が細胞核に内在している場合、激しい局所的損傷をもたらし得る。同様に、111Inのようなオージェ電子放射体で標識された放射線治療用化合物は非常に短い範囲を有し、作用の所望部位にて強力な生物学的効果を有することができる。177Luまたは90Yのような治療用ベータ放出同位体からの放出は、組織においていくらか長い範囲を有するが、産生される損傷の多くも、局在部位から数ミリメートルまたは数センチメートル以内で起こる。
【0011】
しかし、放射線治療用同位体の放出の場合によっては破壊的な特性は、それらの細胞内標的に限定されない。放射線治療用および放射線診断用化合物について、放射性標識化合物自体への放射線分解損傷は、目的の用途よりも先に、放射性標識された放射線治療用化合物または放射線診断用化合物の製造、精製、貯蔵および/または配送中に、重大な問題となり得る。
【0012】
そのような放射線分解損傷は例えば、放射性同位体の放出(例えば、放射性ヨウ化抗体の脱ハロゲン化または放射性金属を保持するように設計されたキレート部分の分解)を引き起こし得るか、または標的物質をその目的とする標的に送達するために必要な標的分子を損傷し得る。両方のタイプの損傷は、未結合同位体、例えば遊離放射性ヨウ素またはキレートしていない放射性金属の甲状腺、骨および他の組織への放出を場合によっては引き起こし得るか、または標的ペプチドもしくは放射性標識抗体の受容体結合領域のような標的分子への放射線分解損傷の結果として標的能力の減少もしくは廃棄を引き起こし得るので、非常に望ましいことではない。その標的組織と関連しない放射能は、望ましくない副作用の原因であることがある。
【0013】
例えば、図1および2にそれぞれ示される二つのキレートリガンドDOTA−Gly−ACA−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Leu−Met−NH(ACA=3−アミノ−3−デオキシコール酸)およびDOTA−Gly−Abz4−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Leu−Met−NH(Abz4=4−アミノ安息香酸)は、ガストリン放出ペプチド(GRP)受容体を具体的に標的するために示している。これらは、それぞれ化合物Aおよび化合物Bとして後述の実施例にて説明されている。他のGRP受容体結合リガンドは、ホフマン(Hoffman)らによる米国出願U.S. 2002/0054855開示の米国特許6,200,546および2003年1月13日出願の同時係属出願番号10/341,577に記載されており、その全内容は引用される。
【0014】
111Inおよび177Luのような診断用および放射線治療用放射性核種により放射性標識する場合、化合物AおよびBはインビトロおよびインビボともにGRP受容体への高い親和性を有することを示している。しかし、これらの化合物は、これらの放射性標識錯体が一つ以上の放射安定剤(放射線分解損傷に対して保護する化合物)の同時にまたは続いて起こる付加を伴わずに製造される場合、放射能標識により誘起される有意の放射線分解損傷を受け得る。β粒子の水との相互作用により生成されたヒドロキシルおよびスーパーオキシドラジカルが高酸化性であるので、この結果は驚くべきことではない。これらのペプチドにおけるメチオニン(Met)残基への放射線分解損傷は、メチオニンスルホキシド誘導体を生じ得る、最も容易な分解である。
【0015】
細胞結合結果は、得られた放射線分解損傷誘導体がGRP受容体結合活性(マイクロモーラーより大きなIC50値)を欠いていることを示す。従って、放射線診断用および放射線治療用化合物におけるメチオニン酸化および他の放射線分解経路の両方を妨害するために使用することができる放射線分解の阻害剤を発見することが重要である。
【0016】
そのような放射線分解損傷を防ぐことは、放射線診断用および放射線治療用化合物の製剤化において主要な課題である。この目的のために、ラジカル捕捉剤または抗酸化剤として知られている化合物が典型的に使用される。これらは、例えばヒドロキシルラジカルおよびスーパーオキシドと急速に反応することにより、興味の放射性医薬品またはその製造のための試薬とそれらの反応を防ぐ化合物である。
【0017】
この領域にて広範な研究がある。そのほとんどは、放射線診断用製剤における放射線分解損傷の予防に焦点を合わせており、いくつかのラジカル捕捉剤がそのような使用のために提案されている。しかし、他の研究者により有効であると報告されている安定剤は、特に高濃度および大量の放射能が使用される場合、177Lu−Aおよび177Lu−B、それぞれ化合物AおよびBのルテチウム錯体を放射線分解損傷から保護するためには不十分な放射安定化を提供することが本明細書に記載の検討にて見出された。
【0018】
例えば、シル(Cyr)およびピアソン(Pearson)の文献(Stabilization of radiopharmaceutical compositions using hydrophilic thioethers and hydrophilic 6-hydroxy chromans. Cyr, John E.; Pearson, Daniel A. (Diatide, Inc., USA). PCT国際出願(2002),WO 200260491 A2 20020808)は、125I、131I、211At、47Sc、67Cu、72Ga、90Y、153Sm、159Gd、165Dy、166Ho、175Yb、177Lu、212Bi、213Bi、68Ga、99mTc、111Inおよび123Iで放射性標識された診断用および治療用放射性医薬品組成物は親水性チオエーテルの付加により安定化させることができ、アミノ酸メチオニン、親水性チオエーテルが本目的のために特に有用であることを述べている。
【0019】
それゆえラジカル捕捉剤として供する能力を評価するために、L−メチオニン(5mg/mL)を177Lu−Aに加える検討が行われた。以下により詳細に記載するように、使用される放射安定剤が放射線分解損傷を防ぐために不十分であることを示唆する、ほとんど完全な177Lu−Aの分解が5日後に起こったことが、逆相HPLCにより示される。インビトロ結合は、そのような分解が本化合物の有効性および標的能力、それに従う放射線治療効果を劇的に軽減し、従って損傷し得ることを示す。所望の放射線治療効果を達成するために、放射能をより多く注入することが必要であり、従って正常組織への毒性の可能性が増大するだろう。
【0020】
GRP受容体結合放射線診断用化合物およびGRP受容体結合放射線治療用化合物の放射安定化に有用であることができる適切な抗酸化体ラジカル捕捉剤を同定するために、いくつかの検討がなされた。一つ以上の潜在的な放射安定剤を錯体形成後に加える(二つのバイアル製剤)か、またはそれらを放射性金属との錯体化より前(または両方)に反応混合物に直接加えた。理想的には、放射安定剤は生成物の放射化学的純度(RCP)を有意に軽減せずに、製剤に直接加えることができるべきであり、そのようなものとして製剤化は単一バイアルキットである可能性を有する。
【0021】
これらの検討の結果として同定されるラジカル捕捉剤は、種々の放射線診断的および放射線治療的用途に用いられる化合物の製造のための製剤化に一般的有用性を有し、種々の同位体、例えば99mTc、186/188Re、111In、90Y、177Lu、213Bi、225Ac、166Hoおよびその他で放射性標識された化合物を安定化するのに有用であることがある。本出願における実施例の主な焦点は、GRP結合ペプチドの放射安定化であり、特にこれらの分子におけるメチオニン残基の放射線保護である。しかし同定される安定剤は、広範な放射性標識ペプチド、ペプトイド、小分子、タンパク質、抗体および抗体断片などに適用可能性を有するべきである。それらは放射線分解損傷に特に敏感である残基または残基群、例えばトリプトファン(インドール環の酸化)、チロシン(酸化的二量化または他の酸化)、ヒスチジン、システイン(チオール基の酸化)、より程度の小さいものとしてはセリン、トレオニン、グルタミン酸およびアスパラギン酸を有するいずれかの化合物の放射線保護に有用である。敏感な官能基(インドール、イミダゾール、チアゾール、フラン、チオフェンおよび他のヘテロ環)を含むペプチドまたは薬物にて通常使用される独特のアミノ酸もまた、保護することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
発明の概要
標的放射線治療用および標的放射線診断用放射性標識化合物、特に放射性金属で標識された化合物への放射線分解損傷を減退または予防し、従って本化合物の標的能力および特異性を保存する安定剤および組合せ安定剤(stabilizer combinations)を提供することが本発明のねらいである。これらの安定剤を含む製剤を提供することもまたねらいである。以下の実施例に記載するように、多くの安定剤が、単一でまたは組合せで放射性標識化合物に対する放射線分解損傷を阻害することが認識されている。今回、4つのアプローチが特に好ましい。最初のアプローチにて、放射性標識反応の直後に、次の成分の混合物を含む放射線分解安定化溶液を放射性標識化合物に加える: ゲンチシン酸、アスコルビン酸、ヒト血清アルブミン、ベンジルアルコール、約4.5〜約8.5のpHにおける生理学的に許容される緩衝液または塩溶液、およびメチオニン、セレノメチオニン、セレノシステインまたはシステインから選択される一つ以上のアミノ酸。
【課題を解決するための手段】
【0023】
生理学的に許容される緩衝液または塩溶液は、好ましくは約0.02Mから約0.2Mのモル濃度におけるリン酸塩、クエン酸塩もしくは酢酸塩緩衝液または生理学的に許容される塩化ナトリウム溶液またはその混合物から選択される。ベンジルアルコール試薬は本製剤における重要な成分であり、二つの目的を供する。その目的の一つは、限定された溶解度を有する化合物について、別の有機溶媒を必要とせずに、反応溶液における放射線診断用または放射線治療用標的化合物を可溶化することである。その第二の目的は、静菌効果を提供することである。これは重要で、本発明の放射安定剤を含む溶液が長い再構成後安定性を有すると期待されるので、静菌剤の存在が無菌を維持するために重要である。メチオニン、セレノメチオニン、システインおよびセレノシステインなどのアミノ酸は、この放射安定化された組合せで安定化された標的分子におけるメチオニル残基に対する放射線分解損傷を予防する特別な役割を担う。
【0024】
第二のアプローチにて、安定化は次の一般式:
【化1】

[式中、R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C1−C8アルキル、−OR3(ここに、R3はC1−C8アルキルまたはベンジル(Bn)(非置換または水溶性基で適宜置換されていてもよい)である)であるか、またはR1R2Nは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−であり、MはH、Na、K、NH、M−メチルグルカミンまたは他の医薬的に許容される+1イオンである]
を有するジチオカルバミン酸塩化合物の使用により達成される。
【0025】
あるいは、以下の式:
【化2】

[式中、MはMg2+またはCa2+などの+2酸化状態における生理学的に許容される金属であり、R1およびR2は上記と同じ定義を有する]
で示される形態の化合物を使用することができる。
【0026】
これらの試薬は、放射性標識錯体の製造中に反応混合物に直接加えられるか、または錯体化完了後に加えられるか、またはその両方であり得る。
【0027】
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)化合物は、反応混合物に直接加えるとき、または錯体形成後に加えるときに、安定剤として最も有効であることが判明した。放射性医薬品のための安定剤としての本化合物の使用について、これらの検討より前に報告されていないので、このような結果は意外であった。ジチオカルバミン酸塩、特にPDTCは、反応混合物における外来性の微量金属を捕捉する働きをする別の利点を有する。
【0028】
第三のアプローチにて、製剤は、セレンが酸化状態+2である水溶性有機セレン化合物である安定剤を含む。特に好ましくは、セレノメチオニンおよびセレノシステインなどのアミノ酸化合物ならびにそのエステルおよびアミド誘導体ならびにそのジペプチドおよびトリペプチドであり、これらは放射性標識錯体の製造中または錯体の製造後に反応混合物に直接加えることができる。標識の際のバイアルまたは別のバイアルにおいてこれらの安定剤を有する柔軟性は、放射線診断用または放射線治療用キットを製造するための本発明の有用性を拡張する。
【0029】
アスコルビン酸ナトリウムまたは他の医薬的に許容される形態のアスコルビン酸およびその誘導体との組合せにてこれらのセレン化合物を用いることは、非常に有効である。
【0030】
アスコルビン酸塩は、錯体化完了後に加えるのが最も好ましい。あるいは、上記の製剤を安定化させる成分として使用することができる。第四のアプローチは、硫黄が+2酸化状態である水溶性含硫黄化合物の使用を含む。好ましいチオール化合物としては、システイン、メルカプトエタノールおよびジチオールスレイトールの誘導体が挙げられる。これらの試薬は、メチオニン残基の酸化形態(例えば酸化メチオニン残基)をメチオニル残基に還元する能力のために特に好ましく、従って放射線分解の結果として起こる酸化的損傷を回復させる。これらのチオール化合物とともに、アスコルビン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸の他の医薬的に許容される形態およびその誘導体とを組み合わせてこれらの安定化剤を使用することは非常に有効である。アスコルビン酸塩は、錯体化完了後に加えるのが最も好ましい。
【0031】
安定剤および組合せ安定剤は、ペプチド、非ペプチド小分子、放射性標識タンパク質、放射性標識抗体およびその断片を含む標的放射性医薬品の放射線分解安定性を改善するために使用することができる。これらの安定剤は、本明細書に記載のGRP結合化合物の分類とともに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は化合物Aの構造を示す。
【0033】
【図2】図2は化合物Bの構造を示す。
【0034】
【図3A】図3は2.5mg/mLのL−メチオニンによる室温、25mCi/mLの放射濃度にて5日にわたる177Lu−Aの混合物のHPLC分析の結果を説明する[全50mCi]。図3Aは177Lu−Aの製造のための反応混合物のラジオクロマトグラムであり、177Lu−Aは>98%収率にて最初に形成された。
【0035】
【図3B】図3Bは[177Lu−A]、25mCi/mLのラジオクロマトグラムであり、室温にて5日後、所望の化合物の完全な放射線分解破壊を示した。付加された放射安定剤(5mg/mL L−メチオニン)は、必要な放射線保護のレベルについて明らかに不十分であった。
【0036】
【図4】図4は、錯体形成後に加えられた放射線分解保護溶液で1:1に希釈した場合、177Lu−B(104mCi)が5日間>99%RCPを有することを示すHPLC痕跡[放射性検出]である。
【0037】
【図5】図5は、錯体形成後に放射線分解保護溶液1mLを加える場合、177Lu−Aが55mCi/2mLの濃度にて5日間>95%RCPを有することを示すHPLC痕跡[放射性検出]である。
【0038】
【図6A】図6Aおよび図6Bは、177Lu−Aのメチオニンスルホキシド誘導体(図6A)および111In−Bのメチオニンスルホキシド誘導体(図6B)の構造を示す。
【0039】
【図6B】図6Aおよび図6Bは、177Lu−Aのメチオニンスルホキシド誘導体(図6A)および111In−Bのメチオニンスルホキシド誘導体(図6B)の構造を示す。
【0040】
【図7A】図7Aおよび図7Bは、177Lu−A(図7A)および177Lu−B(図7B)の安定剤検討を示す。放射能の痕跡は、室温にて48時間貯蔵後、10mM、pH7.0のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水[PBS]中6.6mg/mLのアミノ酸濃度、〜20mCi/mLの放射能濃度にて177Lu−A(図7A)および177Lu−B(図7B)に加えた場合、異なるアミノ酸の放射安定化効果を比較する検討から示される。すべての177Lu(3.5mCi)を各バイアルに加えた。実験手順の完全な記載は実施例1に示す。
【0041】
【図7B】図7Aおよび図7Bは、177Lu−A(図7A)および177Lu−B(図7B)の安定剤検討を示す。放射能の痕跡は、室温にて48時間貯蔵後、10mM、pH7.0のダルベッコリン酸緩衝生理食塩水[PBS]中6.6mg/mLのアミノ酸濃度、〜20mCi/mLの放射能濃度にて177Lu−A(図7A)および177Lu−B(図7B)に加えた場合、異なるアミノ酸の放射安定化効果を比較する検討から示される。すべての177Lu(3.5mCi)を各バイアルに加えた。実験手順の完全な記載は実施例1に示す。
【0042】
【図8】図8は、室温にて5日間にわたる2.5mg/mL L−メチオニンの存在下25mCi/mLの放射濃度(全50mCi)における177Lu−Aの放射安定性を示すHPLC痕跡[放射検出]を示す。本検討の詳細は実施例2に示す。
【0043】
【図9】図9は、L−メチオニンを含む放射線分解保護溶液中50mCi/2mLの濃度にて177Lu−Bの安定性を示すHPLC痕跡[放射検出]を示す。本検討の詳細は実施例4に示す。
【0044】
【図10A】図10A−Cは、反応緩衝液中の1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩を含むサンプルと含まないサンプルおよび177Lu−Bの反応中の汚染金属として亜鉛を含むものを比較したラジオクロマトグラムおよびUVクロマトグラムを示す。本検討の実験手順は実施例20に示す。
【0045】
【図10B】図10A−Cは、反応緩衝液中の1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩を含むサンプルと含まないサンプルおよび177Lu−Bの反応中の汚染金属として亜鉛を含むものを比較したラジオクロマトグラムおよびUVクロマトグラムを示す。本検討の実験手順は実施例20に示す。
【0046】
【図10C】図10A−Cは、反応緩衝液中の1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩を含むサンプルと含まないサンプルおよび177Lu−Bの反応中の汚染金属として亜鉛を含むものを比較したラジオクロマトグラムおよびUVクロマトグラムを示す。本検討の実験手順は実施例20に示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
発明の詳述
次の記載にて、本発明の種々の態様をさらに詳細に説明する。説明の目的上、本発明の完全な理解を提供するために具体的なコンフィギュレーションおよび詳細を説明する。しかし、本発明が具体的な詳細なしで実施することができることもまた、当業者に明白なことであろう。
【0048】
さらに、よく知られた特徴は、本発明を不明瞭にしないために省略または簡略化することがある。
【0049】
1.金属キレート剤
いくつかの放射性医薬品にて、同位体は123I、131Iまたは18Fなどの非金属であり、残りの分子に直接カップリングするか、またはリンカーに結合している。しかし、用いられる放射性同位体が金属である場合、一般に金属キレート剤に組み込まれる。用語「金属キレート剤」は、金属原子と錯体を形成する分子を意味する。放射線診断的用途および放射線治療的用途について、上記錯体は生理学的条件下安定であることが一般に好ましい。すなわち、金属はインビボにおけるキレート剤骨格に錯体化したままであろう。好ましい具体的態様にて、金属キレート剤は、放射性核種金属に錯体化して生理学的条件下安定な金属錯体を形成し、以下に定義される標的分子、スペーサーまたは連結基とのコンジュゲーションのための少なくとも一つの反応性の高い官能基も有する分子である。金属キレート剤Mは、医薬的に有用な金属イオンまたは放射性核種を錯体化するために当業者に知られているいずれかの金属キレート剤であることができる。金属キレート剤は、金属放射性核種と錯体化してもよいか、またはしなくてもよい。さらに金属キレート剤は、金属と錯体化しないが、金属キレート剤とリンカーの間の物理的分離を作り出す単一アミノ酸(例えばGly)のような任意のスペーサーを含むことができる。
【0050】
本発明の金属キレート剤としては、例えば線状、大環状テルピリジンおよびNS、NまたはNキレート剤(U.S. 4,647,447, U.S. 4,957,939, U.S. 4,963,344, U.S. 5,367,080, U.S. 5,364,613, U.S. 5,021,556, U.S. 5,075,099, U.S. 5,886,142もまた参照のこと。これらの開示は本明細書にそのまま引用される)、ならびにHYNIC、DTPA、EDTA、DOTA、TETAおよびビスアミノビスチオール(BAT)キレート剤(U.S. 5,720,934もまた参照のこと)に限定されないがこれらを含む、当業者に知られている他のキレート剤を挙げることができる。例えば大環状キレート剤、特にNキレート剤は、米国特許番号4,885,363; 5,846,519; 5,474,756; 6,143,274; 6,093,382; 5,608,110; 5,665,329; 5,656,254および5,688,487に記載されており、これらの開示は本明細書にそのまま引用される。いくつかのNSキレート剤は、PCT/CA94/00395, PCT/CA94/00479, PCT/CA95/00249および米国特許番号5,662,885; 5,976,495および5,780,006に記載されており、これらの開示は本明細書にそのまま引用される。キレート剤としてはまた、NS、およびMAMA(モノアミドモノアミンジチオール)、DADS(NSジアミンジチオール)、CODADSなどのN系を含む、キレートリガンド、メルカプト−アセチル−グリシル−グリシル−グリシン(MAG3)の誘導体を挙げることができる。これらのリガンド系および他の種々のリガンドは、リューらの文献(Liu and Edwards, Chem Rev. 1999, 99, 2235-2268)、キャラバンらの文献(Caravanら, Chem. Rev. 1999, 99, 2293-2352)およびその参考文献に記載されており、これらの開示は本明細書にそのまま引用される。
【0051】
金属キレート剤としてはまた、米国特許番号5,183,653、5,387,409および5,118,797に記載のようなテクネチウムおよびレニウムジオキシムのボロン酸付加体として知られている錯体を挙げることができ、これらの開示は本明細書にそのまま引用される。
【0052】
好ましいキレート剤の例としては、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)の誘導体、1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,7,10−四酢酸(DOTA)、1−置換1,4,7−トリカルボキシメチル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン三酢酸(DO3A)、1−1−(1−カルボキシ−3−(p−ニトロフェニル)プロピル−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン三酢酸塩(PA−DOTA)の誘導体およびMeO−DOTA、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、および1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−四酢酸(TETA)、3,3,9,9−テトラメチル−4,8−ジアザウンデカン−2,10−ジオンジオキシム(PnAO)の誘導体、および3,3,9,9−テトラメチル−5−オキサ−4,8−ジアザウンデカン−2,10−ジオンジオキシム(オキサPnAO)の誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。さらなるキレートリガンドは、エチレンビス−(2−ヒドロキシ−フェニルグリシン)(EHPG)、ならびに5−Cl−EHPG、5−Br−EHPG、5−Me−EHPG、5−t−Bu−EHPGおよび5−sec−Bu−EHPGなどの誘導体; ベンゾジエチレントリアミン五酢酸(ベンゾ−DTPA)、ならびにジベンゾ−DTPA、フェニル−DTPA、ジフェニル−DTPA、ベンジル−DTPAおよびジベンジル−DTPAなどの誘導体; ビス−2−(ヒドロキシベンジル)エチレン−ジアミン二酢酸(HBED)およびその誘導体; 少なくとも3つの炭素原子、より好ましくは少なくとも6つの炭素原子および少なくとも2つのヘテロ原子(Oおよび/またはN)を含む大環状化合物の分類(ここに、該大環状化合物は1つの環、またはヘテロ環要素にて一緒になった2もしくは3つの環からなることができ、例えばベンゾ−DOTA、ジベンゾ−DOTAおよびベンゾ−NOTA(ここに、NOTAは1,4,7−トリアザシクロノナン−N,N’,N’’−三酢酸である)、ベンゾ−TETA、ベンゾ−DOTMA(ここに、DOTMAは1,4,7,10−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,7,10−テトラ(メチル四酢酸)である)、およびベンゾ−TETMA(ここに、TETMAは1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン−1,4,8,11−(メチル四酢酸)である)である); 1,3−プロピレンジアミン四酢酸(PDTA)およびトリエチレンテトラアミン六酢酸(TTHA)の誘導体; 1,5,10−N,N’,N’’−トリス(2,3−ジヒドロキシベンゾイル)トリカテコール酸(tricatecholate)(LICAM)および1,3,5−N,N’,N’’−トリス(2,3−ジヒドロキシベンゾイル)アミノメチルベンゼン(MECAM)の誘導体である。本発明に包含される代表的なキレート剤およびキレート基の例は、国際公開番号WO 98/18496、WO 86/06605、WO 91/03200、WO 95/28179、WO 96/23526、WO 97/36619、国際出願番号PCT/US98/01473、PCT/US98/20182および米国特許番号U.S. 4,899,755、U.S. 5,474,756、U.S. 5,846,519およびU.S. 6,143,274に記載されており、これらはそれぞれ本明細書にそのまま引用される。
【0053】
特に好ましい金属キレート剤としては、以下に説明する式1、2および3aおよび3bの化合物(111In、90Y、および例えば177Lu、153Smおよび166Hoなどの放射性ランタニドについて)および式4、5および6の化合物(放射性99mTc、186Reおよび188Reについて)が挙げられる。これらおよび他の金属キレート基は、米国特許番号6,093,382および5,608,110に記載されており、これらは本明細書にそのまま引用される。さらに式3のキレート基は、例えば米国特許番号6,143,274に記載されており、式5のキレート基は、例えば米国特許番号5,627,286および6,093,382に記載されており、式6のキレート基は、例えば米国特許番号5,662,885、5,780,006および5,976,495に記載されており、これらはすべて引用される。式6の具体的な金属キレート剤としては、N,N−ジメチル−Gly−Ser−Cys、N,N−ジメチル−Gly−Thr−Cys、N,N−ジエチル−Gly−Ser−Cys、N,N−ジベンジル−Gly−Ser−Cysおよびそれらの他の変形が挙げられる。例えば余分の単一アミノ酸Glyのような、金属放射性核種と実質的に錯体化しないスペーサーは、これらの金属キレート剤(例えばN,N−ジメチル−Gly−Ser−Cys−Gly、N,N−ジメチル−Gly−Thr−Cys−Gly、N,N−ジエチル−Gly−Ser−Cys−Gly、N,N−ジベンジル−Gly−Ser−Cys−Gly)に結合していてもよい。米国特許番号6,334,996に開示されるすべての化合物のような他の有用な金属キレート剤もまた引用される(例えばジメチルgly−L−t−ブチルgly−L−Cys−Gly、ジメチルgly−D−t−ブチルgly−L−Cys−Gly、ジメチルgly−L−t−ブチルgly−L−Cysなど)。
【0054】
さらにAcm(アセトアミドメチル)、トリチルまたは他の知られているアルキル、アリール、アシル、アルカノイル、アリーロイル(aryloyl)、メルカプトアシルおよび有機チオール基のような硫黄保護基が、これらの金属キレート剤のシステインアミノ酸に結合していてもよい。
【0055】
特に有用な金属キレート剤としては、
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

が挙げられる。
【0056】
上式1および2にて、Rは水素またはアルキル、好ましくはメチルである。上式3bにて、RおよびRは米国特許番号U.S. 6,143,274に定義されており、これは本明細書にそのまま引用される。上式5にて、XはCHまたはOのいずれかであり、YはC−C10分枝鎖または非分枝鎖アルキル; アリール、アリールオキシ、アリールアミノ、アリールアミノアシル; アリールアルキル(ここに、アリール基に結合しているアルキル基は、C−C10分枝鎖もしくは非分枝鎖アルキル基、C−C10分枝鎖もしくは非分枝鎖ヒドロキシアルキル基もしくはポリヒドロキシアルキル基またはポリアルコキシアルキル基もしくはポリヒドロキシ−ポリアルコキシアルキル基である)であり、JはC(=O)−、OC(=O)−、SO−、NC(=O)−、NC(=S)−、N(Y)、NC(=NCH)−、NC(=NH)−、N=N−、合成もしくは天然アミノ酸由来のホモポリアミドまたはヘテロポリアミンであり、nはすべて1〜100である。Jはまた存在しなくてもよい。これらの構造の他の変数は、例えば米国特許番号6,093,382に記載されている。式6にて、S−NHCOCH基は、SHまたはS−Z(ここに、Zは上記のような知られている硫黄保護基のいずれかである)で置き換えられていてもよい。式7は金属キレート剤として有用なt−ブチル化合物の一つの具体的態様を説明する。上述の特許、出願および引用文献のそれぞれの開示は、本明細書にそのまま引用される。
【0057】
好ましい具体的態様にて、金属キレート剤としては、DOTA(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7,10−四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA−ビスメチルアミド、DTPA−ビスモルホリンアミド、DO3A N−[[4,7,10−トリス(カルボキシメチル)−1,4,7,10−テトラアザシクロドデカ−1−イル]アセチル]、HP−DO3A、DO3A−モノアミドおよびそれらの誘導体のような、環状または非環状ポリアミノカルボン酸が挙げられる。
【0058】
これらのキレートリガンドは、複数の窒素および酸素原子により放射性金属に結合し、それにより体内への遊離(未結合)放射性金属の放出を防止することによって、該放射性金属をカプセル化する。これは、3放射性金属のキレートからのインビボ解離が肝臓、骨および脾臓における放射性金属の取り込みを引き起こし得るため重要である[ブレヒビールらの文献(Brechbiel MW, Gansow OA,「Backbone-substituted DTPA ligands for 90Y radioimmunotherapy」, Bioconj. Chem. 1991; 2: 187-194)、リーらの文献(Li, WP, Ma DS, Higginbotham C, Hoffman T, Ketring AR, Cutler CS, Jurisson, SS,「Development of an in vitro model for assessing the in vivo stability of lanthanide chelates.」Nucl. Med. Biol. 2001; 28(2): 145-154)、カソカットらの文献(Kasokat T, Urich K. Arzneim.-Forsch,「Quantification of dechelation of gadopentetate dimeglumine in rats.」1992; 42(6): 869-76)]。具体的にこれらの組織を標的化しなければ、非標的組織の非特異的放射を引き起こすため、そのような非特異的な取り込みは極めて望ましくなく、骨髄の放射による造血抑制などの問題を引き起こし得る。
【0059】
2.放射性同位体
シンチグラフィーまたは放射線治療のための好ましい放射性核種としては、99mTc、67Ga、68Ga、47Sc、51Cr、167Tm、141Ce、111In、123I、125I、131I、18F、11C、15N、168Yb、175Yb、140La、90Y、88Y、86Y、153Sm、166Ho、165Dy、166Dy、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、225Ac、211At、105Rh、109Pd、117mSn、149Pm、161Tb、177Lu、198Au、199Auおよびそれらの酸化物または窒化物が挙げられる。同位体の選択は、所望の治療または診断用途に基づいて決定されよう。例えば診断上の目的のため(例えば原発腫瘍および転移における治療上の進展を診断およびモニターするため)に好ましい放射性核種としては、64Cu、67Ga、68Ga、99mTcおよび111Inが挙げられ、特に好ましくは99mTcおよび111Inである。治療上の目的のため(例えば前立腺癌、乳癌、肺癌などの癌に関する原発腫瘍および転移のための放射線治療を提供するため)に好ましい放射性核種としては、64Cu、90Y、105Rh、111In、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186/188Reおよび199Au、特に好ましくは177Luおよび90Yである。99mTcは特に有用であり、その低コスト、入手容易性、イメージング特性および高比放射能のため、好ましい診断用放射性核種である。99mTcの核特性および放射能特性により、この同位体は理想のシンチグラフィックイメージング剤となる。この同位体は、140keVのシングルフォトンエネルギーおよび約6時間の放射能半減期を有し、99Mo−99mTcジェネレータから容易に入手可能である。111Inもまた、この+3金属イオンが放射線治療用+3ランタニドと非常に類似の化学を有するので、特に好ましい診断用同位体であり、従って診断用/治療用111In/177Luペアの製造が可能である。177Lu、90Yまたは他の治療用放射性核種で標識されたペプチドは、前立腺癌、乳癌、肺癌などの癌に関する原発腫瘍および転移についての放射線治療を提供するために使用することができ、111In類似体はそのような腫瘍の存在を検出するために使用することができる。特定の放射線治療用途における使用のための適切な核種の選択は、以下に示す多くの要因に依る:
【0060】
a.物理的半減期−これは、注射前の有意の放射性崩壊を伴わずに、放射性金属およびコンジュゲートからの放射線治療構築物の合成および精製、およびその構築物の注射部位への送達を可能にするために十分に長いものであるべきである。好ましい放射性核種は、約0.5〜8日の間の物理的半減期を有するべきである。
【0061】
b.放射性核種からの放出エネルギー−粒子放射体(例えばアルファ線放射体およびベータ線放射体)である放射性核種は、短い期間にわたってそれらのエネルギーを堆積させる高エネルギーの粒子を放出し、それにより高く局在化された損傷を生成するので特に有用である。ベータ線放出放射性核種は、これらの同位体からのベータ粒子放出からのエネルギーが5〜約150細胞直径内に堆積されるので、特に好ましい。これらの核種から製造される放射線治療薬は、その局在化部位に比較的近い異常細胞を殺すことが可能であるが、長い距離を移動して骨髄のような隣接した正常組織を損傷することはできない。
【0062】
c.比放射能(すなわち放射性核種の質量あたりの放射能)−高比放射能を有する放射性核種(例えば、ジェネレータ生成90−Y、111−In、177−Lu)が特に好ましい。放射性核種の比放射能は、その生成方法、それを生成するために用いられる特定の標的および問題の同位体の特性により決定される。
【0063】
3.連結基
用語「リンカー」および「連結基」は、本明細書にて同意語として使用され、標的分子を金属キレート剤にカップリングさせる一方で、標的分子の標的機能または金属キレート剤の金属錯体化機能に不利な影響を与えない、いずれかの化学基を意味する。連結基は、本発明の安定化放射性医薬品製剤にて適宜存在していてもよい。
【0064】
適切な連結基としては、ペプチド(すなわち一緒に連結されたアミノ酸)のみ、非ペプチド基(例えば炭化水素鎖)またはアミノ酸配列と非ペプチドスペーサーの組合せが挙げられる。
【0065】
ある具体的態様にて、連結基としては、L−グルタミンおよび炭化水素鎖、またはその組合せが挙げられる。
【0066】
別の具体的態様にて、連結基としては、一連のアミノ酸からなる純粋なペプチド連結基(例えばジグリシン、トリグリシン、gly−gly−glu、gly−ser−glyなど)が挙げられ、ここに、ポリマー鎖における標的分子のN−末端残基と金属キレート剤との間の総原子数は≦12原子である。
【0067】
さらなる具体的態様にて、連結基としては、炭化水素鎖(すなわちR−(CH−R[ここに、nは0〜10、好ましくはn=3〜9であり、Rはリガンド骨格または予め形成された金属キレート剤もしくは金属錯体骨格を共有的に連結させるための部位として使用することができる基(例えばHN−、HS−、−COOH)であり、そしてRは標的分子(例えば標的ペプチドのN−末端NH基)に共有的にカップリングするために使用される基(例えばRは活性化COOH基である)である])が挙げられる。コンジュゲートリガンド(すなわちキレート剤)または生体分子への好ましい金属キレートについてのいくつかの化学的方法は、文献[ウィルバー(Wilbur), 1992、パーカー(Parker), 1990、ヘルマンソン(Hermanson), 1996、フリッツバーグ(Frizberg)ら, 1995]によく記載されている。一つ以上のこれらの方法は、非錯体化リガンド(キレート剤)、もしくはリンカーへの放射性金属キレートのいずれかに連結させるか、または標的分子にリンカーを連結させるために使用することができる。これらの方法としては、酸無水物、アルデヒド、アリールイソチオシアネート、活性化エステルまたはN−ヒドロキシスクシンイミドの形成が挙げられる[ウィルバー, 1992、パーカー, 1990、ヘルマンソン, 1996、フリッツバーグら, 1995]。
【0068】
3A.少なくとも一つの非アルファアミノ酸を含む連結基
本発明の好ましい具体的態様にて、連結基は式N−O−Pを有し、少なくとも一つの非アルファアミノ酸を含む。従ってこのリンカーN−O−Pの具体的態様にて、
Nは0(ここに、0は存在しないことを意味する)、アルファもしくは非アルファアミノ酸または他の連結基であり、
Oはアルファまたは非アルファアミノ酸であり、そして
Pは0、アルファもしくは非アルファアミノ酸または他の連結基である(ここに、N、OまたはPのうち少なくとも一つは非アルファアミノ酸である)。
【0069】
従ってある例にて、N=Gly、O=非アルファアミノ酸であり、P=0である。
【0070】
アルファアミノ酸は当業者によく知られており、天然および合成アミノ酸を含む。非アルファアミノ酸としてもまた、天然または合成アミノ酸が挙げられる。好ましい非アルファアミノ酸としては、
8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸、
N−4−アミノエチル−N−1−酢酸および
式NH−(CHCHO)−CHCOHまたはNH−(CHCHO)−CHCHCOH(n=2〜100)を有するポリエチレングリコール誘導体
が挙げられる。
【0071】
3B.少なくとも一つの置換胆汁酸を含む連結基
本発明の別の具体的態様にて、リンカーは式N−O−Pを有し、少なくとも一つの置換胆汁酸を含む。従ってこのリンカーN−O−Pの具体的態様にて、
Nは0(ここに、0は存在しないことを意味する)、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または置換胆汁酸であり、そして
Pは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基である(ここに、N、OまたはPのうち少なくとも一つは置換酸である)。
【0072】
胆汁酸は、胆汁(肝臓の分泌物)中に見られ、ヒドロキシル基、およびカルボキシル基にて終結する五つの炭素原子側鎖を有するステロイドである。置換胆汁酸にて、胆汁酸の水素原子などの少なくとも一つの原子が別の原子、分子または化学基で置換される。例えば置換胆汁酸としては、3−アミノ、24−カルボキシル官能基を有し、7および12位にて水素、ヒドロキシルまたはケト官能基で適宜置換されていてもよいものが挙げられる。
【0073】
本発明における他の有用な置換胆汁酸としては、置換コール酸およびその誘導体が挙げられる。特異的な置換コール酸誘導体としては、
(3β,5β)−3−アミノコラン−24−酸、
(3β,5β,12α)−3−アミノ−12−ヒドロキシコラン−24−酸、
(3β,5β,7α,12α)−3−アミノ−7,12−ジヒドロキシコラン−24−酸、
Lys−(3,6,9)−トリオキサウンデカン−1,11−ジカルボニル−3,7−ジデオキシ−3−アミノコール酸、
(3β,5β,7α)−3−アミノ−7−ヒドロキシ−12−オキソコラン−24−酸、および
(3β,5β,7α)−3−アミノ−7−ヒドロキシコラン−24−酸
が挙げられる。
【0074】
3C.環状基を有する少なくとも一つの非アルファアミノ酸を含むリンカー
本発明のさらに別の具体的態様にて、リンカーN−O−Pは、環状基を有する少なくとも一つの非アルファアミノ酸を含む。従ってこのリンカーN−O−Pの具体的態様にて、
Nは0(ここに、0は存在しないことを意味する)、アルファアミノ酸、環状基を有する非アルファアミノ酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または環状基を有する非アルファアミノ酸であり、そして
Pは0、アルファアミノ酸、環状基を有する非アルファアミノ酸または他の連結基である(ここに、N、OまたはPのうち少なくとも一つは、環状基を有する非アルファアミノ酸である)。
【0075】
環状基を有する非アルファアミノ酸としては、置換フェニル、ビフェニル、シクロヘキシルまたは他のアミンおよび環状脂肪族もしくはヘテロ環部分を含むカルボキシルが挙げられる。そのようなものの例としては、
4−アミノ安息香酸
4−アミノメチル安息香酸
トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸
4−(2−アミノエトキシ)安息香酸
イソニペコチン酸
2−アミノメチル安息香酸
4−アミノ−3−ニトロ安息香酸
4−(3−カルボキシメチル−2−ケト−1−ベンズイミダゾリル−ピペリジン
6−(ピペラジン−1−イル)−4−(3H)−キナゾリノン−3−酢酸
(2S,5S)−5−アミノ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロ−5−アミノ−1,2,4,5,6,7−ヘキサヒドロアゼピノ[3,2,1−hi]インドール−4−オン−2−カルボン酸
(4S,7R)−4−アミノ−6−アザ−5−オキソ−9−チアビシクロ[4.3.0]ノナン−7−カルボン酸
3−カルボキシメチル−1−フェニル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−4−オン
N1−ピペラジン酢酸
N−4−アミノエチル−N−1−ピペラジン酢酸
(3S)−3−アミノ−1−カルボキシメチルカプロラクタム
(2S,6S,9)−6−アミノ−2−カルボキシメチル−3,8−ジアザビシクロ−[4,3,0]−ノナン−1,4−ジオン
が挙げられる。
【0076】
4.標的分子
受容体または与えられた標的細胞集団と関連する他の受容部分と特に結合するか、または反応的に解離するか、または錯体化するいずれかの分子は、本発明の放射性医薬品製剤における標的分子として使用することができる。金属キレート剤が連結基により適宜連結していてもよい、この細胞反応性分子は、結合または局在化しようとする細胞集団と結合するか、錯体化するか、または反応するいずれかの分子であることができる。細胞反応性分子は、分子が反応する特定の標的細胞集団に放射性医薬品を送達する役割を果たす。標的分子は、例えばステロイド、炭水化物または非ペプチド小分子のような非ペプチドであることができる。標的分子はまた、例えばモノクローナルまたはポリクローナル抗体などの抗体、その断片、または例えばアネキシン、抗CEA、トシツモマブ、HUA33、エプラツズマブ(Epratuzumab)、cG250、ヒト血清アルブミン、イブリツモマブ・チウキセタンなどの誘導体を含むタンパク質であることができる。好ましい標的分子は、ペプチド、ペプチド模倣薬またはペプトイドである。最も好ましい標的分子はペプチド(「標的ペプチド」)である。
【0077】
好ましい具体的態様にて、本発明の放射性医薬品製剤において使用される標的分子は、生物学的に活性なペプチドである。
より好ましい具体的態様にて、標的分子は問題の受容体または酵素に結合するペプチドである。例えば標的分子は、例えば文献(例えば国際出願番号PCT/US96/08695(Radiometal-Binding Analogues of Luteinizing Hormone Releasing Hormone)、国際出願番号PCT/US97/12084(国際公開番号WO 98/02192))に記載の黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、オキシトシン、ソマトスタチン、ニューロキニン−1(NK−1)、文献[例えばボリンらの文献(Comparison of Cyclic and Linear Analogs of Vasoactive Intestinal Peptide. D. R. Bolin, J. M. Cottrell, R. Garippa, N. Rinaldi, R. Senda, B. Simkio, M. O'Donnell)、カウマヤらの文献(Peptides: Chemistry, Structure and Biology Pravin T. P. Kaumaya, and Roberts S. Hodges (Eds). Mayflower Scientific LTD., 1996, pgs 174-175)]に記載の線状および環状の両方の型を含む血管活性腸管ペプチド(VIP)、ガストリン放出ペプチド(GRP)、ボンベシンのようなペプチドホルモンおよび他の知られているホルモンペプチド、ならびにそれらの類似体および誘導体であることがある。
【0078】
他の有用な標的分子としては、例えばランレオチド(Lanreotide)(Nal−Cys−Thr−DTrp−Lys−Val−Cys−Thr−NH)、オクトレオチド(Nal−Cys−Thr−DTrp−Lys−Val−Cys−Thr−オール)およびマルトース−(Phe−Cys−Thr−DTrp−Lys−Val−Cys−Thr−オール)である、ソマトスタチンの類似体が挙げられる。これらの類似体は文献[例えばキムらの文献(Potent Somatostatin Analogs Containing N-terminal Modifications, S. H. Kim, J. Z. Dong, T. D. Gordon, H. L. Kimball, S. C. Moreau, J.-P. Moreau, B.A. Morgan, W. A. Murphy and J. E. Taylor)、カウマヤらの文献(Peptides: Chemistry, Structure and Biology Pravin T. P. Kaumaya, and Roberts S. Hodges (Eds)., Mayflower Scientific LTD., 1996, pgs 241-243)]に記載されている。
【0079】
さらに他の有用な標的分子としては、P物質アゴニスト[例えばG. Bitan, G. Byk, Y. Mahriki, M. Hanani, D. Halle, Z. Selinger, C. Gilon, カウマヤらの文献(Peptides: Chemistry, Structure and Biology, Pravin T. P. Kaumaya, and Roberts S. Hodges (Eds), Mayflower Scientific LTD., 1996, pgs 697-698)、ムカイらの文献(G Protein Antagonists A novel hydrophobic peptide competes with receptor for G protein binding, Hidehito Mukai, Eisuke Munekata, Tsutomu Higashijima, J. Biol. Chem. 1992, 267, 16237-16243)]、NPY(Y1)[例えばソルらの文献(Novel Analogues of Neuropeptide Y with a Preference for the Y1-receptor, Richard M. Soll, Michaela, C. Dinger, Ingrid Lundell, Dan Larhammer, Annette G. Beck-Sickinger, Eur. J. Biochem. 2001, 268, 2828-2837)、ランガーらの文献(99mTc-Labeled Neuropeptide Y Analogues as Potential Tumor Imaging Agents, Michael Langer, Roberto La Bella, Elisa Garcia-Garayoa, Annette G. Beck-Sickinger, Bioconjugate Chem. 2001, 12, 1028-1034)、ランガーらの文献(Novel Peptide Conjugates for Tumor-Specific Chemotherapy, Michael Langer, Felix Kratz, Barbara Rothen-Rutishauser, Heidi Wnderli-Allenspach, Annette G. Beck-Sickinger, J. Med. Chem. 2001, 44, 1341-1348)]、オキシトシン、エンドセリンAおよびエンドセリンB、ブラジキニン、上皮増殖因子(EGF)、インターロイキン−1[シーミオンらの文献(Anti-IL-1 Activity of Peptide Fragments of IL-1 Family Proteins, I. Z. Siemion, A. Kluczyk, Zbigtniew Wieczorek, Peptides 1998, 19, 373-382)]、およびコレシストキニン(CCK−B)[文献(Cholecystokinin Receptor Imaging Using an Octapeptide DTPA-CCK Analogue in Patients with Medullary Thryroid Carcinoma, Eur. J. Nucl Med. 200, 27, 1312-1317)]が挙げられる。他の標的分子として有用なものとしては、トランスフェリン、血小板由来増殖因子、TGF−aおよびTGF−βなどの腫瘍増殖因子(「TGF」)、痘疹増殖因子(「VGF」)、インスリン様増殖因子IおよびII、ウロテンシンIIペプチドおよび類似体、デプレオチド(depreotide)、バプレオチド(vapreotide)、インスリン様増殖因子(IGF)、VEGF受容体などの血管形成にてアップレギュレーションされたペプチド標的受容体(例えばKDR、NP−1など)、RGD含有ペプチド、メラニン細胞刺激ホルモン(MSH)ペプチド、ニューロテンシン、カルシトニン、抗腫瘍抗体の相補性決定領域からのペプチド、グルタチオン、YIGSR(白血球結合(leukocyte-avid)ペプチド、例えば血小板因子−4(PF−4)のヘパリン結合領域およびリジンに富んだ配列を含むP483H)、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、β−アミロイドペプチド、デルタ−オピオイドアンタゴニスト(ITIPP(psi)など)、アネキシン−V、IL−1/IL−1ra、IL−2、IL−6、IL−8、ロイコトリエンB4(LTB4)、走化性ペプチド(N−ホルミル−メチオニル−ロイシル−フェニルアラニン−リジン(fMLFK)など)、GP IIb/IIIa受容体アンタゴニスト(DMP444など)、上皮増殖因子、ヒト好中級エラスターゼ阻害剤(EPI−HNE−2、HNE2およびHNE4)、プラスミン阻害剤、抗微生物ペプチド、アプチシド(apticide)(P280)、P274、トロンボスポンジン受容体(TP−1300などの類似体を含む)、ビチスタチン(bitistatin)、下垂体アデニルシクラーゼI型受容体(PAC1)、ならびにこれらの類似体および誘導体が挙げられる。
【0080】
標的分子の一般評論は、例えば次の文献: ジャン・クロード・ルビの文献(The Role of Peptides and Their Receptors as Tumor Markers, Jean-Claude Reubi, Gastrointestinal Hormones in Medicine, pg. 899-939)、ブロックらの文献(Peptide Radiopharmaceuticals in Nuclear Medicine, D. Blok, R. I. J. Feitsma, P. Vermeij, E. J. K. Pauwels, Eur. J. Nucl Med. 1999, 26, 1511-1519)およびマッカフィーらの文献(Radiolabeled Peptides and Other Ligands for Receptors Overexpressed in Tumor Cells for Imaging Neoplasms, John G. McAfee, Ronald D. Neumann, Nuclear Medicine and Biology, 1996, 23, 673-676)(ソマトスタチン、VIP、CCK、GRP、P物質、ガラニン、MSH、LHRH、アルギニン−バソプレシン、エンドセリン)に見られる。先の段落におけるすべての上記文献は、本明細書にそのまま引用される。
【0081】
他の標的分子の参考文献としては、次の文献: ジャン・クロード・ルビらの文献(Co-expressed peptide receptors in breast cancer as a molecular basis of in vivo multireceptor tumour targeting. Jean Claude Reubi, Mathias Gugger, Beatrice Waser. Eur. J. Nucl Med. 2002, 29, 855-862(NPY、GRPなど))、国際出願番号PCT/US96/08695(Radiometal-Binding Analogues of Leutenizing Hormone Releasing Hormone(LHRH))、国際出願番号PCT/US97/12084(国際公開番号WO 98/02192)(LHRH)、国際出願番号PCT/EP90/01169(ペプチドの放射線治療)、国際公開番号WO 91/01144(ペプチドの放射線治療)および国際出願番号PCT/EP00/01553(腫瘍の治療用および診断用分子)が挙げられ、これらはすべて本明細書にそのまま引用される。
【0082】
さらに、標的分子の類似体を使用することができる。これらの類似体としては、標的分子自体より大きいか、またはそれと同程度の親和力で所望の部位受容体を標的する分子が挙げられる。標的ペプチド類似体については、標的ペプチドの突然変異タンパク質、レトロペプチド(retropeptide)およびレトロ・インベルソ・ペプチド(retro-inverso-peptide)が挙げられる。これらの類似体はまた、これらの改変が標的分子の生物活性を否定的に変えない程度において、1つまたはいくつかのアミノ酸の置換および/または削除および/または添加を含む改変を含むことができることを当業者は十分認識するだろう。標的ペプチドの置換は、1つ以上のアミノ酸をその同義的アミノ酸で置き換えることにより実行することができる。ある群内の同義的アミノ酸は、分子の生物学的機能を維持するために群のメンバー間の置換を可能にするために十分な物理化学的特性を有するアミノ酸として定義される。本明細書において同義的アミノ酸としては、これらのアミノ酸の合成誘導体(例えばアミノ酸のD体および他の合成誘導体)が挙げられる。本用途を通して、アミノ酸は、その三文字または一文字の略語により同義的に省略され、これらは当業者によく知られている。従って、例えばTまたはThrはトレオニンを、KまたはLysはリジンを、PまたはProはプロリンを、そしてRまたはArgはアルギニンを意味する。
【0083】
アミノ酸の削除または挿入もまた、定義の配列の生物学的機能を変えない場合、その標的ペプチドの配列に導入することができる。優先的に、そのような挿入または削除は、1、2、3、4または5アミノ酸に限定すべきであり、機能上のコンフォメーションに重大なアミノ酸を除去または物理的に阻害もしくは置換すべきではない。標的のペプチドまたはポリペプチドの突然変異タンパク質は、元の標的ペプチド配列と相同的な配列を有することができ、ここに、アミノ酸の置換、削除または挿入は1つ以上のアミノ酸の位置にて存在する。突然変異タンパク質は、元の標的ペプチドの少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは60〜70%、最も好ましくは80〜90%の生物活性を有することができる。しかしそれはまた、元の標的ペプチドよりも大きな生物活性を有することができ、従って元の標的ペプチドの生物学的機能と必ずしも同一でなければならないことはない。標的ペプチドの類似体はまた、チオアミド、メチレンアミンおよびE−オレフィンなどのペプチド骨格のアミド結合への変化を組み込んだペプチド模倣薬または疑似ペプチド(pseudopeptide)も含む。標的ペプチド、またはそのN−置換ヒドラジンカルボニル化合物で置き換わっているアミノ酸(アザアミノ酸としても知られる)との類似体の構造に基づく分子もまた、本明細書における用語類似体に含まれる。
【0084】
標的ペプチドを用いる場合、これは、NまたはC末端により、あるいはリジンのイプシロン窒素、オルニチンのガンマ窒素またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸の第二カルボキシル基への結合により、リンカーに結合することができる。
【0085】
好ましい具体的態様にて、標的分子はガストリン放出ペプチド(GRP)受容体標的分子である。GRP受容体標的分子は、GRP受容体ファミリーの一つ以上のメンバーと特異的に結合するか、または反動的に結合させるか、または錯体化する分子である。言い換えると、GRP受容体ファミリーに結合親和性を有する分子である。特に好ましい具体的態様にて、標的分子はGRP受容体標的ペプチド(例えばGRP受容体ファミリーの一つ以上のメンバーに結合親和性を有するペプチド、その等価体、類似体または誘導体)である。
【0086】
GRP受容体標的分子は、アゴニストまたはアンタゴニストの形態を取ることができる。GRP受容体標的分子アゴニストは、高い親和力の結合の後に細胞を「活性化」させることが知られており、細胞により取り込まれることがある。逆に、GRP受容体標的分子アンタゴニストは、細胞による刺激的な取り込みおよび細胞の「活性化」を伴わずに、細胞におけるGRP受容体に結合するだけであることが知られている。好ましい具体的態様にて、GRP受容体標的分子はアゴニストであり、より好ましくはペプチドアゴニストである。
【0087】
本発明のより好ましい具体的態様にて、GRPアゴニストはボンベシン(BBN)類似体および/またはその誘導体である。好ましいBBN誘導体またはその類似体は、BBNのみ(すなわちKd<25nM)のようによりよいまたは同様の結合親和性を有するGRP受容体に特異的に結合する特異的なアミノ酸置換を伴って、BBN結合領域と同じ主要構造(すなわちBBN(7−14)[配列番号:1])または同様の主要構造を含む。適切な化合物としては、ペプチド、ペプチド模倣薬ならびにその類似体および誘導体が挙げられる。BBN−14位におけるL−メチオニン(Met)の存在は一般に、アゴニスト特性を与えるが、この残基がBBN−14に存在しない場合は一般に、アンタゴニスト特性を与える[ホフケン(Hoffken), 1994]。
【0088】
BBN(8−14)結合領域におけるいくつかの、および選択的な数の特異的なアミノ酸置換があり(例えばL−Gly11についてD−Ala11またはL−TrpについてD−Trp)、これらは結合親和性を軽減させずになされ得ることが文献[レバン(Leban)ら, 1994、チン(Qin)ら, 1994、イェンセン(Jensen)ら, 1993]によく記録されている。さらにBBN−8位におけるN末端アミン基へのいくつかのアミノ酸鎖または他の基の結合(すなわちTrp残基)は劇的に、GRP受容体へのBBN類似体の結合親和性を軽減させることができる[デイビス(Davis)ら, 1992、ホフケン, 1994、ムーディー(Moody)ら, 1996、コイ(Coy)ら, 1988、カイ(Cai)ら, 1994]。いくつかの場合、結合親和性の軽減を伴わずに、さらにアミノ酸または化学的部分を付加することができる。
【0089】
BBN受容体標的分子の類似体としては、BBN、ならびにGRPまたはBBNの突然変異タンパク、レトロペプチドおよびレトロ・インベルソ・ペプチドよりも大きいか、または同等の親和力を有するGRP受容体を標的とする分子が挙げられる。これらの類似体はまた、これらの改変が文献に記載のペプチドの生物活性を否定的に変えない程度において、1つまたはいくつかのアミノ酸の置換および/または削除および/または添加を含む改変を含むことができることを当業者は十分認識するだろう。これらの置換は、1つ以上のアミノ酸をその同義的アミノ酸で置き換えることにより実行することができる。
【0090】
本発明の安定剤はまた、明確な標的基または連結基を有しない化合物についても使用することができ、ここに、金属/キレート剤の組合せのみが所望の組織または組織系への標的化を提供する。例えば本明細書に記載の安定剤は、166Ho−DOTMP、188Re−HEDTMP、153Sm−EDTMP、99mTc−MDPなどの化合物の安定化において潜在的な有用性を有し、これらはすべて標的骨格である。
【0091】
5.化合物の標識および投与
本発明の安定化コンジュゲート中の放射性同位体の取り込みは、配位化学の分野で一般に知られている種々の方法により達成することができる。例えば111Inまたは177Luの取り込みが望ましい場合、実施例に記載の方法を使用することができる。金属が99mTc、診断用イメージングに好ましい放射性核種である場合、テクネチウム錯体を形成させるために次の一般的手順を使用することができる。ペプチド−キレート剤コンジュゲート溶液は始めに、希釈酸、塩基、塩もしくは緩衝液の水溶液、またはエタノールのようなアルコールの水溶液にコンジュゲートを溶解させることにより形成させる。次いで溶液を適宜脱気し、溶解した酸素を除去する。−SH基がペプチドに存在する場合、そのチオールを酸化から保護するために、Acm(アセトアミドメチル)、トリチルのようなチオール保護基または他のチオール保護基を適宜用いてもよい。チオール保護基は、例えば水酸化ナトリウムのような適切な試薬で除去した後、酢酸のような有機酸で中和する。あるいはチオール保護基は、テクネチウムキレート化の間に系中にて除去することができる。標識工程にて、モリブデンジェネレータから得られた過テクネチウム酸ナトリウムは、十分な量の塩化第一スズのような還元剤とのコンジュゲートの溶液に加えてテクネチウムを還元し、そして室温にて放置するか、または加熱のいずれかを行う。標識コンジュゲートは、例えばC-18 Sep Pakカートリッジ[ミリポア社(Millipore Corporation)]により、または当業者に知られている方法を用いたHPLCにより、99mTcOおよびコロイド状の99mTcOの汚染物質からクロマトグラフ的に分離することができる。
【0092】
別法にて、トランスキレート化(transchelation)反応により標識を達成することができる。この方法にて、テクネチウム源は還元されており、選択されたキレート剤との反応前の不安定なリガンドと錯体化したテクネチウムの溶液であり、従って選択されたキレート剤とのリガンド交換を促進する。トランスキレート化に適切なリガンドの例としては、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩およびヘプタグルコン酸塩が挙げられる。コンジュゲートは上記技術を用いて標識することができ、あるいはキレート剤自体が標識された後、ペプチドに連結してコンジュゲートを形成(「プレ標識キレート」法として呼称される工程)させることができることは十分認識されよう。ReおよびTcはともに周期表のVIIB族にあり、それらは化学的同族元素である。従って通例、高いインビトロおよびインビボ安定性を示すリガンド骨格を有するこれら2つの金属の錯形成化学は、同じであり[エッケルマン(Eckelman), 1995]、同様のキレート剤および手順を用いてReで標識することができる。多くの99mTcまたは186/188Re錯体は、ペプチドおよびタンパク質との安定な放射性金属錯体を形成させるために用いられ、これらの金属をその+5酸化状態にてキレートする[リスター・ジェイムズ(Lister-James)ら, 1997]。この酸化状態は、99mTc−または186/188Reを、種々の99mTc(V)および/または186/188Re(V)の弱いキレート(例えば99mTc−グルコヘプトネート、クエン酸塩、グルコン酸塩など)から構築された生体分子にすでにコンジュゲートしているリガンド骨格に選択的に置くことを可能にする[エッケルマン, 1995、リスター・ジェイムズら, 1997、ポラック(Pollak)ら, 1996]。
【0093】
6.診断的および治療的用途
本発明の安定化放射性医薬品および安定化放射性医薬品製剤は、選択された組織に放射線治療をイメージングするか、または送達するために使用することができる。好ましい具体的態様にて、それらは、放射線診断および放射線治療の分野にて確立された手順により、腫瘍などの癌を治療および/または検出するために使用することができる[ブッシュバウム(Bushbaum), 1995、フィッシュマン(Fischman)ら, 1993、シュービガー(Schubiger)ら, 1996、ローバーツ(Lowbertz)ら, 1994、クレニング(Krenning)ら, 1994]。
【0094】
実施例の安定化放射性医薬品製剤は実際に、腫瘍などのGRP受容体発現組織を標的し、それによりこれらの組織に放射線治療をイメージングするか、または送達することができる。GRP受容体は、前立腺癌、乳癌および小細胞肺癌などの多くの癌タイプにて過剰発現されていることがよく記載されているので、そのような受容体を標的にする放射線診断薬または放射線治療薬が、そのような癌の診断または治療に広く有用である可能性を有する。本発明の安定化放射性医薬品の診断的用途は、例えばシンチグラフィック・イメージングを用いた新生物細胞のような疾患状態の存在についての第一線診断スクリーンとして、放射線誘導手術(radio guided surgery、RIGS)の分野における手持ち式放射線検出装置を用いた特定の組織(例えば新生物組織)を標的するための物質として、マッチドペア(matched pair)放射線治療用化合物の投与前に線量測定データを得る方法として、そして例えば長期間の治療の効用として受容体群を評価する手段としてであることができる。
【0095】
本発明の安定化放射性医薬品の治療的用途は、癌などの疾患の治療における単剤療法として、本発明の放射性標識物質を補助化学療法と併せて利用することができる組合せ療法として、そしてマッチドペア治療薬として使用されるであろう物質としてであることができる。マッチドペア概念は、適当なキレートに結合するために選択されている放射性同位体に依存する診断薬および治療薬の両方として機能することができる単一の非標識化合物を意味する。キレート剤が所望の金属に適合できない場合、適当な置換は、異なる金属を適合させるためになすことができる一方、診断化合物のインビボにおける振る舞いは放射線治療用化合物の振る舞いを予測するために使用することができるような薬理学を維持する。
【0096】
本発明の安定化化合物および製剤は、それのみで、または当業者によく知られている賦形剤、希釈剤およびキャリアなどの他の成分からなる組成物の一部として患者に投与することができる。本化合物は、静脈内、皮下、動脈内、腹腔内、腫瘍内投与にて、または例えば脳内の切除空洞への導入により、患者に投与することができる。本発明により提供される安定化放射性標識シンチグラフィック・イメージング剤は、適切な量の放射能を有して提供される。99mTc放射性錯体を形成させるとき、約0.01ミリキュリー(mCi)〜100mCi/mLの濃度にて放射能を含む溶液中にて放射性錯体を形成させることが一般に好ましい。一般に投与される単位線量は、約0.01mCi〜約100mCi、好ましくは1mCi〜30mCiの放射能を有する。単位投与にて注射される溶液は、約0.01mL〜約10mLである。111In標識錯体について、投与される単位線量は典型的に、診断的用途について約0.01mCi〜約10mCi、好ましくは3〜6mCiであり、放射線治療的用途について10mCi〜約2キュリー、好ましくは30mCi〜800mCiの範囲である。177Lu標識錯体について、投与される単位線量は典型的に、約10mCi〜約200mCi、好ましくは約100〜200mCiの範囲である。投与に適当な標識コンジュゲートの量は、急速に除去されたコンジュゲートが急速に除去されないものよりも高線量にて投与されることを必要とすることができるという意味で選択されたコンジュゲートの分布プロファイルに依存する。インビボ分布および局在化は、投与後の適当な時間; 非標識組織における除去速度に対する標的部位における蓄積速度に依存し、典型的には30分〜180分にて標準的シンチグラフィー法により追跡することができる。例えば本発明の安定化診断用放射性核種標識化合物の患者への注射後、イメージング剤に組み込まれた核種のガンマ線エネルギーについて測定するガンマカメラは、物質の吸収の領域をイメージし、部位に存在する放射能の量を定量するために使用することができる。インビボにおける部位のイメージングは数分間行うことができる。しかし所望ならば、放射性標識化合物が患者に注射された後、何時間かまたは何日間かイメージングを行うことができる。たいていの場合、十分な量の投与された線量は、約0.1時間以内でイメージされる領域に蓄積され、シンチフォトをとることが可能であろう。放射性標識抗体および抗体断片について、適当なイメージング時間は、投与後約一週間までであってよい。
【0097】
本発明に関連する数多くの利点がある。本発明に従って製造される化合物は、安定で明確な111Inまたは177Lu標識化合物を形成する。本発明の同様の安定化化合物および製剤はまた、それぞれの放射性金属についての適当なキレート剤骨格を用いることにより製造され、153Sm、90Y、166Ho、105Rh、199Au、149Pm、99mTc、186/188Reまたは他の放射性金属で標識された安定で明確な生成物を形成させることができる。安定化放射性標識GRP受容体標的ペプチドは、GRP受容体を発現させる新生物細胞に選択的に結合し、アゴニストを使用する場合には取り込まれ、拡張された期間、腫瘍細胞に保持される。得られる高放射安定性のために、放射能製剤は有意な分解を受けず、従って例えば主要な放射性標識設備にて製造され、次いで有意な分解および標的能力の欠乏を伴わずに、離れた部位に輸送され得る。
【0098】
7.放射線治療
放射性同位体治療は、標的組織を損傷させるか、または破壊するのに十分な量における放射性標識化合物の投与に関与する。化合物の投与(例えば静脈内、皮下または腹腔内注射による)後、安定化放射性標識医薬品は疾患部位(例えばGRP受容体ファミリーのメンバーを発現させる腫瘍組織)にて優先的に局在化する。局在化すると、次いで放射性標識化合物は、投与される同位体の放射性崩壊中に放出されるエネルギーで病的組織を損傷させるか、または破壊する。
【0099】
成功した放射線治療の設計としては、以下のいくつかの重大な因子に関与する:
1. 疾患部位に放射能を送達するための適当な標的基の選択、
2. 実質的に隣接する正常組織を損傷せずに、その疾患部位を損傷させるために十分なエネルギーを放出する適当な放射性核種の選択、および
3. 本コンジュゲートの疾患部位における局在化能力に悪影響を及ぼさない、標的基と放射性核種の適当な組合せの選択。これは、放射性金属について、上記キレートを標的基とカップリングさせるリンカーと一緒になった放射性核種にしっかりと配位し、そして標的組織への吸収を最大限にし、かつ正常非標的組織への吸収を最小限にする化合物の全般的生体内分布に影響するキレート基に関与することが多い。
4. いったん形成された放射線治療用化合物は投与の前に有意な放射線分解を受けないような、適当な放射安定剤の選択。
【0100】
本発明は、安定剤または安定剤群、標的基、放射性核種、金属キレート[存在する場合]および任意のリンカーの適切な選択を通して、上記すべての基準を満たす安定化放射線治療薬を提供する。
【0101】
放射線治療的用途について、本明細書に開示の治療用放射性核種のためのいずれかのキレート剤を使用することができる。しかし、DOTAキレートの形態[トゥイードゥルらの文献(Tweedle MF, Gaughan GT, Hagan JT,「1-Substituted-1,4,7-triscarboxymethyl-1,4,7,10-tetraazacyclododecane and analogs.」米国特許4,885,363, Dec. 5, 1989)]は、該DOTAキレートがDTPAまたは他の直線状キレートよりも体内での結合放射性核種の欠乏がより少ないと予想されるので特に好ましい。
リンカーを通したDOTA型大環状体の標的基へのカップリングのための一般的方法(例えば、DOTAのカルボン酸塩の一つを活性化させて活性化エステルを形成させ、次いでリンカー上のアミノ基と反応させて安定なアミド結合を形成させることによる)は、当業者に知られている(例えば、トゥイードゥルらの米国特許4,885,363、カトラーらの文献(Current and potential therapeutic uses of lanthanide radioisotopes, Cutler, Cら, Cancer Biotherapy & Radiopharmaceuticals (2000), 15(6), 531-545)、ヘッペラーらの文献(Receptor targeting for tumor localisation and therapy with radiopeptides, Heppeler, Aら, Current Medicinal Chemistry (2000), 7(9), 971-994)、バドスキーらの文献(Preparation methods for bifunctional chelatones for conjugation with antibodies, Budsky, Fら, Radioisotopy (1990), 31(4), 70-80)を参照のこと)。カップリングはまた、ポリアザ環の骨格に修飾しているDOTA型大環状体上で起こり得る。
【0102】
選択された放射性核種を安定化させるために用いられる適切な安定剤または組合せ安定剤の選択および量はまた、一般に低エネルギーの放射線を放出するものよりも高いエネルギーのアルファまたはベータ放射線を放出する核種の方がより放射安定剤を必要としているため、選択された同位体の特性にも依存するだろう。
【0103】
多くのランタニドおよびランタノイドとしては、それらがベータ粒子を放出するので、放射線治療薬としての使用のために適切なものとする核特性を有する放射性同位体が挙げられる。これらのうちいくつかを以下の表に記載する。
【表1】

Pm:プロメチウム, Sm:サマリウム, Dy:ジスプロシウム, Ho:ホルミウム, Yb:イッテルビウム, Lu:ルテチウム, Y:イットリウム, In:インジウム
【0104】
ベータ放出ランタニド放射性同位体のような放射性金属の製造方法は、当業者に知られており、他の文献[例えばカトラーらの文献(Cutler C S, Smith CJ, Ehrhardt GJ.; Tyler TT, Jurisson SS, Deutsch E.「Current and potential therapeutic uses of lanthanide radioisotopes.」Cancer Biother. Radiopharm. 2000; 15(6): 531-545)]に記載されている。これらの同位体の多くは、比較的低コスト、高収率で生成させることができ、多く(例えば90Y、149Pm、177Lu)はキャリアフリーの比放射能(すなわち大部分の原子が放射能を有する)に近い程度にて生成させることができる。放射能を有しない原子は、標的組織上の受容体に結合するためのそれらの放射性類似体と競争することができるため、本質的に同位体的に純粋である(すなわちそれらの放射能を有しないコンジナーを含まない)同位体を用いて、できるだけ高線量の放射能の標的組織への送達を可能にすることが好都合である。
【0105】
ルテチウムおよびイットリウム(177Luおよび90Y)のベータ放出同位体を含む本発明の安定化放射線治療用誘導体が特に好ましい。
【0106】
8.投与量および添加物
本発明の安定化放射性医薬品化合物についての適切な投与計画は、当業者に知られている。単回または複数回の静脈内または腹腔内注射を含むがこれらに限定されない多くの方法を用いて、イメージングを可能にするために十分であるか、または放射線治療の場合には標的組織の損傷もしくは除去を引き起こすために十分であるが、非標的(正常組織)に実質的な損傷を引き起こさない程度の量の放射能を用いて、安定化化合物を投与することができる。シンチグラフィック・イメージングに必要な量および線量は上述した。放射線治療に必要な量および線量はまた、用いられる同位体のエネルギーおよび半減期、体からの薬剤の摂取および除去の程度ならびに腫瘍の質量に依存し、構築物によって異なる。一般に線量は、約30〜200mCiの単回線量から約3キュリー(Curies)までの累積線量の範囲であることができる。
【0107】
本用途に記載の安定剤に加えて、本発明の放射性医薬品組成物としては、生理学的に許容される緩衝液、非水性溶媒、充填剤および他の凍結乾燥補助剤または可溶化剤を挙げることができる。それらは液体製剤の形態(凍結しているか、または室温である)であることができるか、または凍結乾燥することができる。
【0108】
本発明の安定化放射性医薬品を製造するために必要な、放射性核種以外のすべての成分を含む単一のまたは複数のバイアルキットが、本発明の不可欠な部分である。
【0109】
好ましい具体的態様にて、安定化化合物の製造のための好ましい単一バイアルキットは、キレート剤/任意のリンカー/標的ペプチド分子、任意のスズの塩源または他の医薬的に許容される還元剤(還元が必要である場合、例えばテクネチウムまたはレニウムを用いた場合)を含み、これを医薬的に許容される酸または塩基で適当に緩衝し、約3〜約9の値にpHを調節する。用いる還元剤の量および種類は、形成される交換錯体の性質に高く依存するだろう。適切な条件は当業者によく知られている。ある具体的態様にて、キット内容物は凍結乾燥形態である。用いる放射性同位体により、そのような単一バイアルキットは、酢酸塩、グルコヘプトネート、グルコン酸塩、マンニトール、マレイン酸塩、クエン酸または酒石酸などの不安定なリガンドまたは交換リガンドを適宜含んでいてもよく、ジエチレントリアミン−五酢酸(DPTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、またはα、βもしくはγ−シクロデキストリン、および最終生成物の放射化学的純度および安定性を改善するために機能する誘導体などの反応修飾物質を含むこともできる。キットはまた、凍結乾燥工程にて補助するように設計されたマンニトールなどの充填剤、および当業者に知られている他の添加剤を含むことができる。選択された安定剤または組合せ安定剤は、再構成された生成物の有用な保存寿命にわたる生成物の有意な分解を防ぐために十分な安定剤を含むべきである。
【0110】
好ましい複数バイアルキットは、同じ一般的成分を含むが、放射性医薬品を再構成する際に二つ以上のバイアルを用いる。例えば一つのバイアルは、過テクネチウム酸塩の添加における不安定なTc(V)またはRe(V)錯体を形成させるために必要なすべての成分(例えばスズ源または他の還元剤)を含むことができる。過テクネチウム酸塩をこのバイアルに加え、適当な時間放置した後、キレート剤および標的ペプチド、ならびにpHを最良の値に調節するために適当な緩衝液、および放射線分解損傷を防ぐために十分な安定剤を含む第二バイアルにこのバイアルの内容物を加える。約5〜60分の反応時間後、本発明の錯体が形成される。この複数バイアルキットの両方のバイアルの内容物は凍結乾燥されていることが好都合である。上記のように、反応修飾剤、交換リガンド、安定剤、充填剤などは、いずれかのまたは両方のバイアルに存在することができる。
【0111】
9.放射安定剤
本明細書に記載の一つ以上の放射安定剤の存在は、本発明の安定化製剤に必要である。これらの安定剤の目的は、非標識放射性医薬品と放射性標識放射性医薬品の両方への放射線分解損傷を減退するか、または予防することである。いくつかの放射安定剤が知られているにもかかわらず、放射線診断用または放射線治療用GRP受容体結合化合物のための放射安定剤の必要性を明らかにした文献はない。しかし、特に製剤中の放射能の量が増大するにつれて安定剤が必要であり、ベータ放出放射線治療用同位体を使用する場合に見られる。以下の実施例に記載のように、それのみで、または組合せにて放射性標識化合物への放射線分解損傷を阻害する多くの安定剤が同定されている。今のところ、四つのアプローチがこの課題に対する最も好ましい解決法である。
【0112】
最初のアプローチにて、放射性標識反応の直後に、次の成分の混合物を含む放射線分解安定化溶液を放射性標識化合物に加える: ゲンチシン酸、アスコルビン酸、ヒト血清アルブミン、ベンジルアルコール、約4.5〜約8.5のpHにおける生理学的に許容される緩衝液または塩溶液、そして好ましい具体的態様にてメチオニン、セレノメチオニン、セレノシステインまたはシステインから選択される一つ以上のアミノ酸。
【0113】
生理学的に許容される好ましい緩衝液または塩溶液は、約0.02M〜約0.2Mのモル濃度における、リン酸塩、クエン酸塩もしくは酢酸塩緩衝液、または生理学的に許容される塩化ナトリウム溶液、またはその混合物から選択される。
【0114】
好ましい具体的態様にて、次の濃度を用いる: ゲンチシン酸(2〜20mg/mL、最も好ましくは約10mg/mL)、アスコルビン酸(10〜100mg/mL、最も好ましくは約50mg/mL)、ヒト血清アルブミン(0.1〜0.5%、最も好ましくは約0.2%(w/v))、ベンジルアルコール(20〜100μL/mL、最も好ましくは約90μL/mL)、pH4.5〜8.0、最も好ましくは約pH5.0クエン酸塩緩衝液(0.05モル)、およびD−もしくはL−メチオニン、L−セレノメチオニン、またはL−システイン(2mg/mL)。
【0115】
試薬の生理学的に許容される塩もまた、用いることができる(例えばアスコルビン酸ナトリウムまたはゲンチシン酸ナトリウム)。アミノ酸のD−、L−およびDL−体を用いることができる。実際、本明細書に記載の特定のアミノ酸に関連するものとして、そのアミノ酸のD−、L−およびDL−体の使用を包含するものとする。
【0116】
ベンジルアルコール試薬は、本製剤における重要な成分であり、二つの目的を供する。限定された溶解度を有する化合物について、その目的の一つは、反応溶液における放射線診断用または放射線治療用標的化合物を、別の有機溶媒を添加する必要なく可溶化することである。第二の目的は、静菌効果を提供することである。これは、本発明の放射安定剤を含む溶液が長い再構成後安定性を有すると期待されるため重要であり、従って静菌剤の存在は無菌を維持するために望ましい。好ましい具体的態様にて、アミノ酸メチオニン、セレノメチオニン、システインおよびセレノシステインはまた、本製剤における重要な成分であり、本放射安定剤の組合せにより安定化される標的分子中のメチオニル残基への放射線分解損傷を防ぐ場合に特有の役割を担う。
【0117】
第二のアプローチにて、安定化は、次の一般式:
【化8】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C1−C8アルキル、−OR3(ここに、R3はC1−C8アルキルである)もしくはベンジル(Bn)(無置換もしくは水溶性基で適宜置換されていてもよい)であるか、またはR1R2Nは一緒になって、1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−であり、そして
MはH、Na、K、NH、N−メチルグルカミンまたは他の医薬的に許容される+1イオンであることができる]
を有するジチオカルバミン酸塩化合物の使用により達成される。あるいは、以下に示される形態の化合物を使用することができ、ここに、MはMg2+またはCa2+などの+2酸化状態における生理学的に許容される金属であり、R1およびR2は上記と同定義を有する。
【化9】

【0118】
これらの試薬は、放射性標識錯体製造中に反応混合物に直接加えられるか、錯体化完了後に加えられるか、またはその両方であることができる。
【0119】
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)化合物は、反応混合物に直接加えられるか、または錯体形成後に加えられるいずれかの場合に、安定剤として最も効果的であることが分かった。単一試薬としてのこの化合物の使用は、177Lu−Aおよび177Lu−B(試薬の組合せを使用しなければならない場合である多くの上記検討と異なる)の放射線保護において有効であった。このような結果は、本検討の前に放射性医薬品のための安定剤としての使用については報告されていないので、予想外であった。実施例20に示されるように、PDTCなどのジチオカルバミン酸塩は、標識反応に対する汚染金属の干渉を防ぐさらなる利益を提供する。
【0120】
第三のアプローチにて、製剤は、セレンが+2酸化状態である水溶性有機セレン化合物である安定剤を含む。特に好ましくは、アミノ酸化合物セレノメチオニンおよびセレノシステイン、およびそれらのエステルおよびアミド誘導体、ならびにそれらのジペプチドおよびトリペプチドであり、これらは放射性標識錯体製造前、またはその間、または錯体製造後に反応混合物に直接加えることができる。標識時のバイアルまたは別のバイアル中にこれらの安定剤を有する柔軟性は、放射線診断用または放射線治療用キットを製造するための本発明の有用性を拡張する。
【0121】
これらのセレン化合物とともに、アスコルビン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸の他の医薬的に許容される形態およびその誘導体の組合せにてこれらの試薬を使用することが非常に効果的である。アスコルビン酸塩は、最も好ましくは錯体化完了後に加える。実施例22は、この試薬の組合せとの放射安定性を記載する。あるいは、上記の安定化製剤の成分として使用することができる。セレン化合物がセレノメチオニンまたはセレノシステインのようなアミノ酸誘導体である場合、このアミノ酸誘導体のD−、L−およびDL異性体を使用することがある。
【0122】
第四のアプローチには、硫黄が+2酸化状態である水溶性硫黄含有化合物の使用が含まれる。好ましいチオール化合物としては、システイン、メルカプトエタノールおよびジチオールスレイトールの誘導体が挙げられる。これらの試薬は、メチオニン残基の酸化形態(例えば酸化メチオニン残基)をメチオニル残基に還元し、それによって、放射線分解の結果として起こる酸化的損傷を回復するという能力のために、特に好ましい。これらのチオール化合物とともに、これらの安定化剤をアスコルビン酸ナトリウムまたはアスコルビン酸の他の医薬的に許容される形態およびその誘導体と一緒に使用することが非常に効果的である。アスコルビン酸塩は、最も好ましくは錯体化完了後に加える。チオール化合物がシステインまたはシステインエチルエステルのようなアミノ酸誘導体である場合、このアミノ酸誘導体のD−、L−およびDL異性体を使用することがある。
【0123】
以下の実施例にて、上記試薬の四つの分類例を含む安定化製剤の使用を記載する。安定化される放射線診断用または放射線治療用化合物に適切な放射安定性を提供する必要があるときに、試薬の四つの分類が別々にまたは一緒に使用することができることは理解されるべきである。提供される実施例はGRP受容体ファミリーを標的するメチオニンを含む化合物の安定化に主に焦点を当てるが、本発明はずっと対象範囲が広いことが想定される。これらの酸化的安定化の方法は、例えばペプチド、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体断片、アプタマー、オリゴヌクレオチドおよび小分子に由来する他の放射線診断薬または放射線治療薬を酸化的分解(必ずしもメチオニン酸化のみに限らない)から保護するために使用することができる。
【0124】
潜在的な安定剤は、177Lu−Aとして呼称される化合物Aの177Lu錯体および177Lu−Bとして呼称される化合物Bの177Lu錯体、それらのインジウム標識類似体111In−Aおよび111In−B、およびこの分類における他の化合物の分解を予防または減退する能力について評価した。潜在的な捕捉剤は異なる方法で評価した: 177Luまたは111In錯体を形成させるために用いる反応混合物に直接それらを加えることによるか、または放射性金属錯体が形成された後に安定剤を加えることによる(またはその両方による)。いくつかの効果的な安定剤および組合せ安定剤は同定されている。
第1表: 安定剤として試験する化合物およびそれらの構造
【表2】







【0125】
いくつかの検討を行った。これらの検討の目的は、>20mCi/mLの放射能濃度における有意の検出可能な放射線分解を長期にわたって示さない安定剤/標的Lu−錯体の組合せを見つけることであり、好ましい具体的態様にて、有意の検出可能な放射線分解を伴わずに、室温にて5日間の保存(放射性医薬品を製造し、輸送しなければならない場合の適度な期間)を提供することができる安定剤および組合せ安定剤を見つけることであった。そのような安定性を提供するものは、さらなる評価について選択した。試験された化合物のうち、L−システインおよびシステイン誘導体L−システインエチルエステルまたはL−システインメチルエステル、D−、L−およびDL−メチオニン、L−セレノメチオニン、ゲンチシン酸(ナトリウム塩)、アスコルビン酸(ナトリウム塩)および1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)は、個々の安定剤として用いた場合、この点に関して最も効果的であることを示した。
【0126】
実際に、安定剤の混合物を含む放射線分解保護溶液が特に有用であることが判明した。そのようなカクテルにより安定化された製剤は、優れた放射化学的純度(RCP)値(>95%RCP)を室温にて5日間維持した。この安定化カクテルは、放射性錯体の形成直後に加えるため、二つのバイアルキットの第二バイアルであろう。この放射線分解保護溶液中の試薬は第2表に示す:
第2表: 放射線分解保護溶液
【表3】

【0127】
放射線分解保護溶液の安定性: 図4は、104mCiの177Lu−Bを含む1mLの反応混合物をpH5.3、0.05Mクエン酸塩緩衝液中にてDL−メチオニン2mg/mL、ゲンチシン酸10mg/mL、アスコルビン酸50mg/mL、0.2%HSAおよびベンジルアルコール90μlを含む1mLの上記放射線分解保護溶液で室温にてインキュベーションした場合に得られた結果を示す。
【0128】
同様の検討にて、放射線分解保護溶液中のメチオニン濃度が3mg/mLに増大し、他のすべての試薬がその前のレベルにて維持される場合、177Lu−Aについて有効な放射安定化(RCP>95%)が達成された。177Lu−Aはまた、安定化カクテルにおけるメチオニンがメチオニン、L−システインまたはL−セレノメチオニンで置き換えられた場合、5日間安定であった。
【0129】
図5におけるデータは、177Lu−A55mCiがpH5.3、0.05Mクエン酸塩緩衝液中における次の混合物: L−システイン1.5mg/mL、ゲンチシン酸5mg/mL、アスコルビン酸25mg/mL、HSA1mg/mL、ベンジルアルコール45μLで室温にて5日間インキュベーションした場合に得られる結果を示す。
【0130】
L−システインを用いて得られるものと同様の結果はまた、システインのかわりにL−セレノメチオニンまたはL−もしくはD−メチオニンを含む放射線分解保護溶液を用いて得ることができる。これらの成分を含む安定化溶液についての予備耐性検討をマウスに行った−重大な悪影響は示さなかった。
【0131】
放射線分解保護溶液における試薬の役割: この安定化カクテルにおけるメチオニン、L−セレノメチオニン、L−セレノシステインまたはL−システインは、これらの試薬がGRP受容体結合ペプチドに存在するメチオニン残基の酸化を防ぎ、メチオニンスルホキシド残基を含む類似体を形成させるのを助けると考えられるので、製剤化に特有の役割を担うことが検討により示されている(例えば図6Aまたは図6Bを参照のこと)。これらのペプチドの酸化メチオニン形態(Met=O誘導体)は生物学的に不活性であり、実質的に軽減された標的能力を有しているので、そのような酸化の予防が重要である。
【0132】
メチオニンは放射線診断用化合物のための安定剤であることが近年報告されている。しかし本用途(下記参照)にて、いくつかの放射安定化が観察されているにもかかわらず、高放射能レベルを用いた場合、メチオニンのみが放射線分解損傷から化合物を保護するために不十分であることが測定された(例えば図3参照のこと)。しかし、上記のメチオニン含有放射線分解保護溶液の添加により、メチオニンのみを用いた場合に存在しない強い保護効果が得られる。
【0133】
+2酸化状態におけるセレンを含有する有機化合物: セレノメチオニンおよびセレノシステインなどの+2酸化状態におけるセレンを含有する有機化合物は、放射性医薬品のための放射線保護剤として報告されておらず、システインについても、+2酸化状態におけるチオールを含有する他の有機化合物についても報告されていない。これらの両方の化合物は、それ自体で放射線保護剤であり、本開示に記載のように放射線分解安定化溶液に加えられる場合、有益な特性を有することが判った。
【0134】
システイン誘導体: L−システインは、放射線分解安定化溶液に加える場合、GRP受容体結合ペプチドに存在するメチオニン残基の酸化を防ぐのを助けると考えられる。L−システインおよびいくつかのシステイン誘導体のそのような安定化に影響する能力(安定化カクテルの一部としてよりもそれ自体による)を評価した。シスタミン二塩酸塩化合物、L−システイン塩酸塩一水和物、L−システインエチルエステル塩酸塩化合物、L−システインジエチルエステル二塩酸塩化合物、L−システインメチルエステル塩酸塩化合物、L−システインジメチルエステル二塩酸塩化合物、L−システインスルフィン酸一水和物は、個々の安定剤として、および本明細書記載のような安定化混合物における成分としての両方の有用性を有することが期待されているので、すべてある程度の放射線保護を提供する。
【0135】
同様に、いくつかのチオール含有化合物、すなわちシステイン、2−メルカプトエタノールおよびジチオスレイトール(DTT)は、GRPペプチドに存在するメチオニン残基の放射線分解的な誘導酸化を防ぐことができるだけでなく、実際に還元することができることが測定された。これらのペプチドの酸化メチオニン形態は生物学的に不活性であり、標的能力を有しないため、これは有用な結果(放射線診断薬または放射線治療薬の放射線保護についての文献に記載されていない)である。これらの試薬はまた、本明細書に記載の安定化混合物における潜在的化合物である。
【0136】
ジチオカルバミン酸塩: ジチオカルバミン酸塩、特に1−ピロリジンジチオカルバミン酸のアンモニウム塩は、錯体形成後に放射性標識ペプチドに加えた場合(2−バイアルキット)、いずれのさらなる安定剤も伴わない単一の試薬として優れた安定性を提供することを実施例は示す。1−ピロリジンジチオカルバミン酸(PDTC)および他のジチオカルバミン酸塩は、放射線診断的用途または放射線治療的用途のいずれについても放射線保護剤として報告されていない。PDTCの構造を以下に示す。
1−ピロリジンカルボジチオ酸アンモニウム塩(PDTC)の構造
【表4】

【0137】
二つの他のジチオカルバミン酸塩、すなわちN,N−ジメチルジチオカルバミン酸塩およびN,N−ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩はまた、放射安定化効果を有するものと評価され、見出されたが、上記化合物の方が優れていた。
【0138】
本化合物はまた、錯体形成中に製剤に直接加える場合、極めて有効である。有効な放射安定剤である場合の濃度において、本化合物は錯体形成に干渉しない。これは、単一バイアル製剤化を可能にするため、一つのバイアル中のすべての成分とともに明確な利点である。
【0139】
PDTCのようなジチオカルバミン酸塩はまた、反応混合物中の外来性微量金属を捕捉するために機能しうる別の利点も有する。多くの放射性同位体(例えば90Y、111In)はキレートのための放射性金属と競争し得るFe、ZnまたはCuなどの汚染非放射能金属を含むことができることは長い間知られている。放射線治療に用いる放射性金属のモル濃度は非常に低いことが多いので、少量の汚染金属さえ標識反応に非常に有害であり得る。これは、できるだけ高い比放射能を得るためにリガンド濃度が最小に維持されなければならない製剤化[すなわち、放射能mCi/リガンドmmole]では特にそうである。
【0140】
例えばPDTCを反応混合物に加える場合、PDTCは汚染金属を大過剰に加える場合でさえも、外来性金属の干渉を阻害する。この結果は驚くべきことであり、意外なことである。
【0141】
以下に示す一般式:
【化10】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立して−H、−C1−C8アルキル、−OR、フェニルもしくはベンジル(Bn)(無置換もしくは水溶性基で適宜置換されていてもよい)であるか、またはR1R2Nは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−(水溶性基で適宜置換されていてもよい)であり、
M=H、Na、K、NHまたは他の医薬的に許容される塩形態である]
で示されるいずれかの化合物が潜在的有用性を有するだろうことは予想される。
【0142】
好ましいR1、R2の組合せは:
−Me、−Me;
−Me、−OMe;
−Et、−Et;
−Et、−OEt;
−Et、−n−Bu;
−Me、−CHCHNMe
−Me、−CHCHNMe
−Me、−CHCOOMe;
−Bn、−Bn;
である。
【0143】
上記化合物の酸化二量体[R1R2NC(S)S]はその上有用であろうことが予想される。
【化11】

【0144】
以下のメグルミンおよびグルカミン化合物の使用もまた想定される。それらは水溶性であるという利点を有する。
【化12】

【0145】
あるいは、以下に示される形態:
【化13】

[式中、MはMg2+またはCa2+のような+2酸化状態における生理学的に許容される金属であり、R1およびR2は上記と同定義を有する]
の化合物を用いることができる。
【0146】
これらの試薬は、放射性標識錯体製造中に反応混合物に直接加えるか、または錯体化完了後加えるか、またはその両方であることができる。
【0147】
PDTC化合物およびその薬理学的に許容される塩が特に好ましい。
【0148】
反応混合物に安定剤を直接加える製剤化: 上記ほとんどの検討において、安定剤は放射性錯体の形成後に加えた。キレート化中に異なる潜在的安定剤を反応混合物に直接加える一連の検討を行った。適切な化合物を見つけることができる場合に、そのようなアプローチは非常に好ましい。
【0149】
本アプローチを用い、次の安定剤を評価した: 1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、2−ヒドロキシベンゾチアゾール、2,1,3−ベンゾチアジアゾール、5−チオ−D−グルコース、シスタミン二塩酸塩、L−システイン塩酸塩一水和物、L−システインエチルエステル塩酸塩、L−システインジエチルエステル二塩酸塩、L−システインメチルエステル塩酸塩、L−システインジメチルエステル二塩酸塩、L−システインスルフィン酸一水和物、L−アスコルビン酸ナトリウム(アスコルビン酸)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸ナトリウム塩水和物(ゲンチシン酸)、チアミン塩酸塩、還元L−グルタチオン、2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシアンチピリンおよびアセチルサリチル酸。
【0150】
製剤への直接添加に最良の安定剤は次のものであることが判った: 1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、D−、L−もしくはD,L−メチオニン、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩、L−システイン、またはL−セレノメチオニン。これらのうち、L−セレノメチオニンおよび1−ピロリジンジチオカルバミン酸(アンモニウム塩)またはその医薬的に許容される塩が最も好ましい。
【0151】
アミノ酸の立体化学は安定化に重大ではないので、上記引用のすべてのアミノ酸のD−、L−およびD,L−混合物が有用であり、その医薬的に許容される塩も同様である。さらにこれらのアミノ酸の、N−アルキル化、N−アセチル化、C−末端アミド化またはエステル化を含むが、これらに限定されない単純な誘導体も有用である。一つ以上のこれらのアミノ酸を含む単純なジペプチド、トリペプチド、テトラペプチドおよびペンタペプチドもまた、放射線診断用または放射線治療用製剤を安定化するために使用することができることが予想される。
【0152】
次の略語を本発明の記載に用いる:
アセトニトリル(ACN)
エタノール(EtOH)
ゲンチシン酸(GA)
グリシン(Gly)
高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)
ヒスチジン(His)
ヒト血清アルブミン(HSA)
次亜リン酸(HPA)
インジウム(In)
ルテチウム(Lu)
メルカプトエタノール(ME)
L−またはD−メチオニン(Met)
リン酸緩衝生理食塩水(PBS)
3,4−ピリジンジカルボン酸(ナトリウム塩)(PDCA)
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)
放射化学的純度(RCP)
L−セレノメチオニン(Se−Met)
テクネチウム(Tc)
トリフルオロ酢酸(TFA)
トリス(カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)
トリチル(Trt)
トリプトファン(Trp)
【実施例】
【0153】
物質:
トリフルオロ酢酸(TFA)、1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)、2−ヒドロキシベンゾチアゾール、2,1,3−ベンゾチアジアゾール、5−チオ−D−グルコース、シスタミン二塩酸塩、L−システイン塩酸塩一水和物、L−システインエチルエステル塩酸塩、L−システインジエチルエステル二塩酸塩、L−システインメチルエステル塩酸塩、L−システインジメチルエステル二塩酸塩、L−システインスルフィン酸一水和物、L−アスコルビン酸ナトリウム(アスコルビン酸)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸ナトリウム塩水和物(ゲンチシン酸)、チアミン塩酸塩、還元L−グルタチオン、2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシアンチピリンおよびアセチルサリチル酸は、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich)化学会社から購入した。氷酢酸(超高純度)は、ジェイ・ティー・べーカー(J.T.Baker)から購入した。無水アセトニトリルおよび無水酢酸ナトリウム(超高純度)は、イーエム・サイエンス(EM Science)から購入した。D−メチオニンは、アボガド社(Avocado Research Chemicals Ltd)から購入した。L−セレノメチオニンは、カルビオケム(Calbiochem)から購入した。無水メタノール、無水クエン酸およびクエン酸ナトリウムは、フィッシャー・サイエンティフィック・カンパニー(Fisher Scientific Company)から購入した。ヒト血清アルブミン(HSA)は、シグマ(Sigma)から購入した。すべての試薬は受け取った後、そのまま使用した。高比放射能177LuCl(0.05N塩酸中)は、ミズーリ大学研究用原子炉(ミズーリ州コロンビア)から得た。111InCl(0.05N塩酸中)は、パーキンエルマー(PerkinElmer)またはマリンクロット(Mallinckrodt)のいずれかから得た。
【0154】
化合物Aは、非金属化リガンドDOTA−Gly−ACA−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Leu−Met−NH(ACA=3−アミノ−3−デオキシコール酸)である。化合物Bは、非金属化リガンドDOTA−Gly−Abz4−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Leu−Met−NH(Abz4=4−アミノ安息香酸)である。これらの化合物から製造される放射性標識錯体は、本明細書にて同位体−化合物文字で示され、すなわち177Lu−AはDOTA−Gly−ACA−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Leu−Met−NH177Lu錯体であり、177Lu−BはDOTA−Gly−Abz4−Gln−Trp−Ala−Val−Gly−His−Leu−Met−NH177Lu錯体である。化合物AおよびBの合成は、2003年1月13日出願の同時係属特許出願番号10/341,577に記載されており、本明細書にそのまま引用される。
【0155】
分析方法:
HPLC方法1は、可変波長検出器(λ=280nm)およびキャンベラ(Canberra)放射検出器を備えたHP−1100 HPLC系(アジレント(Agilent))、YMCベーシックS−5カラム(4.6mm×150mm、5μm)および移動相A: 水中クエン酸ナトリウム(0.02M、pH3.0)およびB: アセトニトリル中20%メタノールを使用した。移動相の流速は1mL/分であり、勾配は30分にわたって32%B〜34%Bで開始し、5分にわたって34%〜40%B、5分にわたって32%Bに戻した後、5分間再平衡を維持した。注入容積は20μLであった。
【0156】
HPLC方法2は、可変波長検出器(λ=280nm)およびキャンベラ放射検出器を備えたHP−1100 HPLC系、YMCベーシックS−5カラム(4.6mm×150mm、5μm)および移動相A: 水中0.1%TFAおよび0.1%アセトニトリル、およびB: アセトニトリル中0.1%TFAを使用した。移動相の流速は1mL/分であり、勾配は20分にわたって29%B〜32%Bで開始し、2分にわたって29%Bに戻した後、5分間再平衡を維持した。注入容積は20μLであった。
【0157】
HPLC方法3は、可変波長検出器(λ=280nm)およびキャンベラ放射検出器を備えたHP−1100 HPLC系、C18カラム(4.6mm×250mm、5μm、VYDAC、カタログ番号218TP54)および移動相A: 水中0.1%TFAおよびB: アセトニトリル中0.1%TFAを使用した。移動相の流速は1mL/分であり、勾配は20分にわたって29%B〜32%Bで開始し、3分にわたって29%Bに戻した後、8分間再平衡を維持した。注入容積は20μLであった。
【0158】
HPLC方法4は、可変波長検出器(λ=280nm)およびキャンベラ放射検出器を備えたHP−1100 HPLC系、C18カラム(4.6mm×250mm、5μm、VYDAC、カタログ番号218TP54)および移動相A: 水中0.1%TFAおよびB: アセトニトリル中0.1%TFAを使用した。移動相の流速は1mL/分であり、勾配は20分にわたって21%B〜24%Bで開始し、3分にわたって21%Bに戻した後、8分間再平衡を維持した。注入容積は20μLであった。
【0159】
HPLC方法5は、可変波長検出器(λ=280nm)およびキャンベラ放射検出器を備えたHP−1100 HPLC系、ステラー・フェイズ・リゲル(Stellar Phases Rigel)C18カラム(4.6mm×150mm、5μm)および移動相A: 水中0.1%TFAおよび0.1%ACN、およびB: ACN中0.1%TFAを使用した。移動相の流速は1mL/分であり、勾配は20%Bで開始し、20分にわたって24%Bに上昇させ、2分にわたって20%Bに戻した後、3分間再平衡を維持した。注入容積は10μLであった。
【0160】
実施例1
予め形成された177Lu−GRP結合化合物177Lu−Aまたは177Lu−Bに加えた場合の種々のアミノ酸の放射線保護効果の比較
実施例1は、177Lu−Aまたは177Lu−Bの溶液に個別に加えた後、室温にて48時間にわたりインキュベーションされた一連のアミノ酸について得られた結果、ならびに非安定化対照についての結果を示す。これらの反応にて、アミノ酸濃度は6.6mg/mLであり、177Lu−Aおよび177Lu−Bは〜20mCi/mLの濃度を有し、177Lu(3.5mCi)を各反応にて用いた。
【0161】
個別のアミノ酸L−メチオニン、L−セレノメチオニン、L−システインHCl・HO、L−トリプトファン、L−ヒスチジンおよびグリシンの溶液をpH7.0の10mMダルベッコリン酸緩衝生理食塩水[PBS]中10mg/mLの濃度にて製造した。
【0162】
177Lu−Aおよび177Lu−Bは、0.2M酢酸ナトリウム300μL(pH5.0)、化合物AまたはB40μgおよび177LuCl(20mCi)を反応バイアルに加えることにより製造した。混合物は100℃にて5分間インキュベーションした後、室温まで冷却した。反応溶液中の遊離(非錯体化)177Luは、10%NaEDTA.2HO水溶液10μLを加えることにより捕捉(キレート)した。反応溶液の50μLアリコート(〜3.5mCi)を2mLオートサンプラーバイアル中の100μLの上記アミノ酸溶液のうちの一つまたはPBS対照と混合した。各サンプルの最終放射能濃度は、〜20mCi/mLであった。サンプルはオートサンプラーチャンバーに貯蔵し、48時間にわたるそれらの安定性はHPLC方法3(177Lu−A)またはHPLC方法4(177Lu−B)を用いて分析した。本検討からの48時間におけるクロマトグラムは図7に示している。
【0163】
安定剤なしの対照反応にて、放射化学的純度(RCP)は室温にて24時間以内に>95%から1.3%まで下がった。一方、メチオニン、L−セレノメチオニンまたはシステインを加えた場合、RCPは48時間90%より大きい値のままであった。
【0164】
以下の第3表は、t=0、24および48時間における177Lu−Aのすべてのサンプルについての本検討で得られたRCP値を示す。
第3表: 177Lu−Aについての放射線保護剤としてのアミノ酸の評価。〜20mCi/mLの放射能濃度にて異なる個別のアミノ酸(6.6mg/mL)を177Lu−Aに加え、次いで室温にて48時間まで貯蔵することによりなされた安定性の比較(全3.5mCi)
【表5】

【0165】
RCPのみおよび177Lu−Aのメチオニン酸化形態(Met=O)の百分率を記載する; 残存放射能量は非同定分解物の形態におけるものである。これらの結果は、試験アミノ酸がそれらの能力にて広く変化し、177Lu−Aおよび177Lu−Bを安定化したことを示す。本検討における試験アミノ酸のうち、メチオニン、L−セレノメチオニンまたはL−システインは、177Lu−標識ペプチドの放射線分解損傷に対する最も高い程度の保護を提供した。本検討にて、トリプトファン、有効な安定剤であると先に報告されている化合物は、システイン、メチオニンおよびセレノメチオニンが有効であるにもかかわらず、標的ペプチドに存在するメチオニン残基の酸化に対して驚くべきことに保護されなかったことが見出された。
【0166】
実施例2
177Lu−A(50mCi/2mL)の放射線保護についてのL−メチオニンの放射線保護効果のさらなる評価
実施例1に見られる結果に基づき、錯体形成後に加えた場合のL−メチオニンの177Lu−Aを保護する能力を検討した。上記実施例1と対照的に、本反応にて3.5mCiよりもむしろ50mCiの177Lu−Aを用いた。
【0167】
177Lu−Aは、化合物A〜70μgおよび177LuCl(50mCi)(ペプチドのルテチウムに対するモル比3:1)をpH5.0の0.2M酢酸ナトリウム1mLに加えることにより形成させた。混合物を100℃にて5分間加熱し、水浴にて室温まで冷却し、5mg/mLのL−メチオニン水溶液1mLおよびNaEDTA.2HO1mgを反応バイアルに加えた。以下の図8のクロマトグラムおよび第4表のデータは、HPLC方法3を用いて逆相HPLCにより分析した場合の室温にて5日にわたって観察された放射化学的純度の変化を示す。第4表は図8に示される結果をまとめる。
第4表: 室温における5日間インキュベーションにわたる2.5mg/mLのL−メチオニン[Met]の付加により安定化された177Lu−A(2mL中50mCi)(%RCP):
【表6】

【0168】
実施例1にて、2.5mg/mLの濃度におけるメチオニンは、177Lu−A(3.5mCi)を放射線分解に対して5日間安定化することができた。しかし、実施例2に見られる結果は、放射能の量を50mCiまで増大させた場合に同じ錯体を安定化させることができないことを示す。L−メチオニンのみを安定剤として用いた場合、錯体のほぼ完全な分解が5日にわたって観察された。現在の実践は、放射線治療的用途について100mCi以上の放射性標識ペプチドの使用を示唆するので、より有効な安定剤または組合せ安定剤が必要であることが明白である。
【0169】
同様の検討をL−システイン、セレノメチオニン、アスコルビン酸ナトリウム、ゲンチシン酸およびHSAで行った。どれも試験された高放射能レベルでのみ用いるための十分な安定化を提供しなかった。
【0170】
実施例3
予め形成された177Lu−A(3.5mCi)に加えた場合の種々の試薬の放射線保護効果の評価
本実験にて試験された潜在的放射線分解保護剤のリストは次のとおりである:
1. アスコルビン酸(ナトリウム塩形態)
2. ゲンチシン酸(ナトリウム塩形態)
3. ヒト血清アルブミン(HSA)
4. 3,4−ピリジンジカルボン酸(ナトリウム塩)(PDCA)
5. 10%エタノール水溶液
6. 2%次亜リン酸(HPA)
7. 2%メルカプトエタノール(ME)
8. トリス(カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)
9. 対照(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.0)
【0171】
試薬1〜5は、放射性医薬品のための安定剤として潜在的に有用であると先に報告されている。試薬6〜8は、放射線分解の結果として形成されたいずれかのメチオニンスルホキシド残基のための還元剤として機能しうる能力を決定するために試験される化合物である。試薬9は非安定化対照に使用した。
【0172】
177Lu−Aは、0.2M酢酸ナトリウム300μL(pH5.0)、化合物A40μgおよび177LuCl(20mCi)を反応バイアルに加えることにより製造した。混合物は100℃にて5分間インキュベーションした後、室温まで冷却した。遊離177Luは、10%NaEDTA・2HO10μLを加えることにより捕捉した。反応溶液(〜3.5mCi)のアリコート50μLおよび10mM、pH7.0PBSにおける上記試薬のうちの一つの10mg/mL溶液100μLを2mLオートサンプラーバイアルに加えた。あるいは、試薬5〜7について、溶液を10%エタノール、2%次亜リン酸または2%メルカプトエタノールを含むように調節した。最終放射能濃度は約20mCi/mLであった。サンプルはオートサンプラーチャンバーに貯蔵し、その安定性は時間とともに分析した。得られた結果は以下の第5表に示す。
第5表: 潜在的非アミノ酸放射線分解保護剤で6.6mg/mLの濃度にて、または特に述べる場合のように、時間とともに室温にてインキュベーションした場合、〜20mCi/mLの放射能濃度における177Lu−Aの安定性
【表7】

エタノール、次亜リン酸(HPA)およびメルカプトエタノール(ME)は液体形態である。
**TCEP=トリスカルボキシエチルホスフィン
***2%次亜リン酸溶液は0.1M、pH7.8リン緩衝液にて製造し、最終pH5.5を得た。
PBS=リン酸緩衝生理食塩水、pH7.0
【0173】
上記第5表は、錯体形成後に177Lu−Aに加えた場合、いくつかの化合物の放射安定化効果を測定するための比較検討の結果を示す。これらの添加物のRCPにおける軽減を防ぐための能力および177Lu−Aにおけるメチオニン残基の酸化を阻害する能力の両方を検討した。
【0174】
用いられた試験条件下では、8つの試験試薬[アスコルビン酸(ナトリウム塩)、ゲンチシン酸(ナトリウム塩)、ヒト血清アルブミン(HSA)、トリス(カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)、3,4−ピリジンジカルボン酸(ナトリウム塩)(PDCA)、2%次亜リン酸(HPA)、2%メルカプトエタノール(ME)または10%エタノール水溶液]のどれも48時間の適切な放射安定性(RCP>90%)を提供しないことを見出した。ゲンチシン酸、アスコルビン酸、HSAおよび3,4−ピリジンジカルボン酸はすべて、他の放射性医薬品についての放射線分解に対する十分な保護を提供することが他の研究者により報告されているので、この結果は意外であった。先に報告された安定剤アスコルビン酸、ゲンチシン酸およびHSAは、PBSにおける対照と比較した場合にいくらかの放射線保護が観察されたが、90%よりも大きなRCP値にて48時間安定性を維持するためには不十分であった。先に有効な放射安定剤として報告された3,4−ピリジンジカルボン酸試薬は、標識反応に悪影響を与えることを見出した。メルカプトエタノールおよびエタノールは、ある程度の放射安定化を提供したが、<90%のRCP値がまた48時間後に見られた。TCEPおよびHPAは用いられた条件下、有効ではなかった。
【0175】
実施例4
メチオニン含有放射線分解保護溶液の177Lu−Aおよび177Lu−B(50mCi)のRCPへの効果
実施例1〜3に記載の検討にて、単一の試験試薬は、特に末端メチオニン残基の酸化について、高放射能レベルにおける177Lu−GRP結合ペプチドの放射線分解損傷からの保護を提供することができる放射線保護剤として完全に有効であることが見出された。
【0176】
放射線分解保護溶液は、10mg/mLゲンチシン酸; 50mg/mLアスコルビン酸ナトリウム塩; 2mg/mL HSA; 0.05M、pH5.3クエン酸塩緩衝液中2.98mg/mL L−メチオニン、0.9%(v:v)ベンジルアルコールおよび1mg/mLのNaEDTA.2HOを含むように製造した。7mLバイアルに0.2M酢酸ナトリウム緩衝液1.0mL(pH5.0)、化合物Aまたは化合物B(〜70μg)および177LuCl(50mCi)を加えた。混合物を100℃にて5分間インキュベーションした後、水浴で室温まで冷却した。放射線分解保護溶液の1mLアリコートをすぐに加えた。反応バイアルをオートサンプラーチャンバーに貯蔵し、安定性はHPLC方法3および4を用いて、逆相HPLCにより時間とともに分析した。177Lu−Bについて得られた結果を図9のクロマトグラムに示す。
【0177】
同様の結果が177Lu−Aについて得られた(以下の第6表を参照のこと)。
第6表: L−メチオニンを含む放射線分解保護溶液における室温での5日のインキュベーションにわたる177Lu−Aまたは177Lu−B(50mCi/2mL)の安定性比較(%RCP)
【表8】

【0178】
これらの結果は、クエン酸塩緩衝液中にゲンチシン酸、アスコルビン酸、ベンジルアルコール、メチオニンおよびHSAを含む放射線分解保護溶液を177Lu−Aまたは177Lu−Bに加えた場合、5日にわたるRCPにおいて有意な低下を示さなかったように、優れた放射安定性が得られることを示す。この結果は、120時間後>99%の放射化学的純度で示されたように、試薬単独で室温にて少なくとも5日間安定性を提供することができるものはないため意外であった。メチオニン含有放射線分解保護溶液により提供される放射安定性は、個別の試薬の効果に基づき予想されないだろう。
【0179】
実施例5
L−セレノメチオニン含有放射線分解保護溶液の177Lu−Aおよび177Lu−B(50mCi/2mL)のRCPへの効果
実施例4に記載のように、177Lu−Aおよび177Lu−Bは50mCiレベルにて製造した。反応混合物を室温まで冷却した後すぐに、10mg/mLゲンチシン酸; 50mg/mLアスコルビン酸ナトリウム塩; 2mg/mL HSA; 0.05M、pH5.3クエン酸塩緩衝液中3.92mg/mL L−セレノメチオニン、0.9%(v:v)ベンジルアルコールおよび1mg/mLのNaEDTA.2HOを含む放射線分解保護溶液1mLを加えた。反応バイアルをオートサンプラーチャンバーに貯蔵し、安定性をHPLC方法3[177Lu−A]または4[177Lu−B]を用いて時間とともにRP−HPLCにより分析した。結果を以下の第7表に示す。
第7表: 室温における5日インキュベーションにわたるL−セレノメチオニンを含む放射線分解保護溶液における177Lu−Aまたは177Lu−Bの安定性(%RCP)
【表9】

【0180】
これらの結果は、120時間後>98%の放射化学的純度で示されているように、試薬単独で室温にて少なくとも5日間安定性を提供することができるものはないため意外であった。セレノメチオニン含有放射線分解保護溶液により提供される放射安定性は、個別の試薬の有効性に基づき予想されないだろう。
【0181】
実施例6
L−システイン含有放射線分解保護溶液の177Lu−Aおよび177Lu−B(50mCi/2mL)のRCPへの効果
実施例4に記載のように、177Lu−Aおよび177Lu−Bは50mCiレベルにて製造した。反応混合物を室温まで冷却した後すぐに、10mg/mLゲンチシン酸; 0.05M、pH5.3クエン酸塩緩衝液中50mg/mLアスコルビン酸ナトリウム塩、2mg/mL HSA、(2mg/mLまたは3.52mg/mL)L−システイン、0.9%(v/v)ベンジルアルコールおよび1mg/mLのNaEDTA.2HOを含む放射線分解保護溶液1mLを加えた。反応バイアルをオートサンプラーチャンバーに貯蔵し、安定性をHPLC方法3[177Lu−A]または4[177Lu−B]を用いて時間とともにRP−HPLCにより分析した。177Lu−Aについて得られた結果を以下の第8表に示す。同様の結果が177Lu−Bについて得られた。
第8表: 室温における5日インキュベーションにわたる1.0または1.75mg/mLにおけるL−システインを含む放射線分解保護溶液における177Lu−A(50mCi/2mL)の安定性(%RCP)
【表10】

【0182】
これらの結果は、120時間後>93%の放射化学的純度で示されているように、試薬単独で室温にて少なくとも5日間安定性を提供することができるものはないため意外であった。システイン含有放射線分解保護溶液により提供される放射安定性は、個別の試薬の有効性に基づき予想されないだろう。
【0183】
実施例7
放射線分解保護溶液の177Lu−A(50mCi/2mL)のRCPへの効果
実施例4に記載のように、177Lu−Aを50mCiレベルにて製造した。反応混合物を室温まで冷却した後すぐに、10mg/mLゲンチシン酸; 50mg/mLアスコルビン酸ナトリウム塩; 2mg/mL HSA; 0.05M、pH5.3クエン酸塩緩衝液中0.9%(v:v)ベンジルアルコールおよび1mg/mLのNaEDTA.2HOを含む放射線分解保護溶液1mLを加えた。反応バイアルをオートサンプラーチャンバーに貯蔵し、安定性を時間とともにRP−HPLCにより分析した。結果は以下の第9表に示す。
第9表: 室温における5日インキュベーションにわたる放射線分解保護溶液における177Lu−A(50mCi/2mL)の安定性(%RCP)
【表11】

ND=測定せず
【0184】
実施例4〜7に示される結果は、メチオニン(実施例4)、セレノメチオニン(実施例5)またはシステイン(実施例6)の、実施例7記載の放射線分解保護溶液への添加が、これらの添加アミノ酸なしで製造された放射線分解保護溶液を超えるさらなる利益を提供することを示す。
【0185】
実施例8
放射性標識後に加えた場合のHSAまたはAAの177Lu−Bの放射安定性への効果:
本実施例にて、放射線分解安定化溶液における二つの試薬HSAおよびアスコルビン酸(ともにそれらの放射線保護能力について知られる)の効果は、非常に高い濃度(50〜100mg/mL)にて個別に試験した。それらはまた、個別の試薬として、>95%のRCP値にて177Lu−Bを24時間以上維持するために不十分であることが見出された。177Lu−Bを次のように製剤化した: 5mLグラスバイアルに、0.2M酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.8)1mL、177LuCl12μL(50mCi)および0.01N塩酸中の化合物Bの5mg/mL溶液30μLを加え、バイアルを100℃にて5分間加熱した。水浴中にて冷却した後、1mLの以下の安定化溶液の一つを加えることにより反応混合物を1:1に希釈した。次いでサンプルをオートサンプラー(室温よりも〜6℃高い平均温度を維持する)に貯蔵し、RP−HPLCにより120時間まで分析した。
【0186】
HSAおよびアスコルビン酸での検討: 本検討にて、三つの異なる安定化溶液(a、bまたはc)を評価し、比較した。
【0187】
a) ヒト血清アルブミン(HSA)は、1mg/mL NaEDTA・2HOを含む、窒素でパージされた0.05M、pH5.0クエン酸塩緩衝液中100mg/mLの濃度まで溶解した。
【0188】
b) アスコルビン酸ナトリウム(AA)99+%は、1mg/mL NaEDTA・2HOを含む、窒素でパージされた0.05M、pH5.0クエン酸塩緩衝液中100mg/mLの濃度まで溶解した。
【0189】
c) アスコルビン酸ナトリウム99+%は、0.9%ベンジルアルコールおよび1mg/mL NaEDTA・2HOを含む、窒素でパージされた0.05M、pH5.0クエン酸塩緩衝液中50mg/mLの濃度まで溶解した。
【0190】
得られたRCPの結果は第10表に示す。
第10表: a)50mg/mLの最終濃度のHSA、b)50mg/mLまたはc)25mg/mLの最終濃度のAAを与える安定化溶液a〜cと1:1で混合した177Lu−Bの安定性。最終177Lu−B濃度は25mCi/mLである。
【表12】

【0191】
上記実施例8の結果は、HSAのみまたはアスコルビン酸のみのいずれかが24時間より長い時間>95%のRCPを維持することができないことを示す。
【0192】
実施例1〜8の結果は、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、ヒト血清アルブミン、ベンジルアルコール、およびシステイン、セレノメチオニンまたはメチオニンのいずれか、および(0.05Mクエン酸塩緩衝液中エタノール)を含む放射線分解保護溶液が、標識後に加えられた場合、177Lu−Aまたは177Lu−Bを安定化し、そのような混合物は単離の際加えられた場合のいずれかの試薬よりもより良い放射安定性を提供するだろうことを示す。
【0193】
そのようなアプローチは、二つのバイアルキットを必要とし、これらは放射性標識生成物を製造するために必要な試薬を含む一つのバイアルと、錯体形成後に加えられる、放射線分解保護溶液を含むもう一方のバイアルである。それゆえ、いくつかの検討を行い、単一のバイアルキット(ここに、177Lu−Aまたは177Lu−Bを形成するために必要な試薬および放射線分解に対して得られた錯体を安定化させるために必要な試薬の両方を単一バイアル中にて混合した)を試して見出した。
【0194】
実施例9
安定剤として個別にL−システイン塩酸塩一水和物、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、L−セレノメチオニンまたはD−メチオニン(1mg/mL)の存在下で製造した場合の177Lu−Aの製造、標識有効性および安定性
本検討にて、安定化緩衝液におけるそれぞれの試薬(システイン、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、セレノメチオニンおよびメチオニン)は、少量の放射能(3.5mCi)を含む放射性標識反応に個々の試薬1.0mg/mLを直接加えることにより個別に試験した。標識反応に影響を及ぼすものはなかったが、セレノメチオニンおよびメチオニンだけが、用いられた低放射能レベルにて時間とともに良い保護を示した。
各個別の安定剤は、酢酸ナトリウム(NaOAc)緩衝液(0.2M、pH4.8)中1mg/mLの濃度にて製造した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに、個別のNaOAc−安定剤溶液200μL、177LuCl(2.72〜3.64mCi)および化合物A4.6〜6μg(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する比は、すべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物を100℃まで5分間加熱した後、常温水浴中にて5分間冷却した。各サンプルに、水中2%NaEDTA.2HO10μLを加えた後、それぞれを二つの100μLアリコートに分けた。あるアリコートをHPLC(方法1)により分析した後、封をした鉛容器中に室温にて24時間貯蔵した。他のアリコートは凍結(−10℃)させて24時間貯蔵した。各サンプルはt=24hにて分析した。得られた放射化学的純度(RCP)百分率データを第11表に記載する。
第11表: 安定剤として個別にL−システイン塩酸塩一水和物、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、L−セレノメチオニンまたはD−メチオニン(1mg/mL)の存在下で製造した場合の177Lu−A(2.7〜3.7mCi)についてのRCPデータ
【表13】

ND=測定せず
【0195】
結果は、5つの安定剤のどれも標識反応に干渉せず、それぞれが用いた1mg/mL濃度における反応中の安定性を提供することを示す。しかし、この濃度において、L−セレノメチオニンおよびD−メチオニンは、24時間の貯蔵中、室温と凍結の両方にて他の試験されたものよりも良い安定剤である。アスコルビン酸を用いた貯蔵されたサンプルについてのデータは集められていなかた。
【0196】
実施例10
安定剤として個別にL−システイン塩酸塩一水和物、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、L−セレノメチオニンまたはD−メチオニン(2.5mg/mL)の存在下で製造した場合の177Lu−Aの製造、標識有効性および安定性
実施例10および11にて、安定化緩衝液中の試薬(システイン、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、セレノメチオニンまたはメチオニン)は、少量の放射能(3.5mCi)を含む放射性標識反応に2.5mg/mL(実施例10)または5.0mg/mL(実施例11)の個別の試薬を直接加えることにより個別に試験した。安定剤の量を2.5mg/mLおよび5mg/mLに増大し、高放射能量レベルにて放射線分解損傷のための潜在性を軽減する場合、ゲンチシン酸、アスコルビン酸およびシステインは5mCiよりも低い放射能量でさえも適切な放射線保護を24時間提供することができないこともまた見出した。各安定剤は、酢酸ナトリウム(NaOAc)緩衝液(0.2M、pH4.8)中2.5mg/mLの濃度にて製造した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに、個別のNaOAc−安定剤溶液200μL、177LuCl(平均3.58mCi)および化合物A5.08μg(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合は、すべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物は100℃まで5分間加熱した後、冷却し、NaEDTA・2HOで処理し、再分割し、実施例9記載のように貯蔵した。得られた放射化学的純度(RCP)百分率データは第12表に記載する。
第12表: 安定剤としてのL−システイン塩酸塩一水和物、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、L−セレノメチオニンまたはD−メチオニン(2.5mg/mL)の存在下製造した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表14】

ND=測定せず
結果は、2.5mg/mL濃度にて、L−システイン、ゲンチシン酸およびD−メチオニンは、標識反応に干渉せず、反応中の安定性を提供することを示す。L−セレノメチオニンはいくらか干渉するか、または反応中より低い安定性を提供する。L−セレノメチオニンおよびD−メチオニンは、この濃度において、貯蔵の24時間中、室温および凍結温度の両方にてより良い安定剤である。アスコルビン酸を用いたt=0hのサンプルについてのデータは集めなかった。
【0197】
実施例11
安定剤としてのL−システイン塩酸塩一水和物、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、L−セレノメチオニンまたはD−メチオニン(5mg/mL)の存在下にて製造した場合の177Lu−Aの製造、標識有効性および安定性
各安定剤は、酢酸ナトリウム(NaOAc)緩衝液(0.2M、pH4.8)中5mg/mLの濃度にて製造した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに個別の安定剤溶液200μL、177LuCl(平均3.55mCi)および化合物A5.44μg(水に溶解)を加えた。各サンプルの複製の第二セットを個別の安定剤を用いて製造した。これらに177LuCl(平均4.37mCi)および化合物A6.7μg(平均)(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合はすべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物を100℃まで5分間加熱した後、常温の水浴中にて5分間冷却した。各サンプルに水中2%NaEDTA・2HO10μLを加えた後、それぞれをHPLC(複製の第一セットについて方法1、複製の第二セットについて方法2)により分析した。複製の第二セットを貯蔵し、t=24hにて再び分析した。得られた放射化学的純度(RCP)百分率データを以下の第13表に示す。
第13表: 安定剤としてL−システイン塩酸塩一水和物、ゲンチシン酸、アスコルビン酸、L−セレノメチオニンまたはD−メチオニン(5mg/mL)の存在下製造した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表15】

【0198】
結果は、5mg/mL濃度にて、D−メチオニンは標識反応に干渉せず、反応中の安定性を提供することを示す。L−システイン、ゲンチシン酸、アスコルビン酸およびL−セレノメチオニンは標識反応に干渉するか、または反応中より低い安定性を提供する。t=0hの時間点における複製間の再現性は、アスコルビン酸を除く各安定剤について適切であった。アスコルビン酸およびL−セレノメチオニンは、貯蔵の24時間中(そのt=0hのRCP%値と比較して)L−システイン、ゲンチシン酸またはD−メチオニンよりも良い安定性を提供した。
【0199】
実施例12
錯体製造後に安定剤として2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物またはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物を用いて安定化された場合の177Lu−Aの安定性
−C=S部分を含む化合物[ジチオカルバミン酸塩およびエチオナミド]を本検討にて試験した。錯体製造後に加えた場合、エチオナミド化合物、トリシアヌル酸化合物、およびジメチルジチオカルバミン酸化合物およびそのジエチル類似体はすべて良い放射安定性を提供した。
【0200】
各個別の安定剤は水中10mg/mLの濃度にて製造した。エチオナミドをEtOHに溶解した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに、酢酸ナトリウム緩衝液(0.2M、pH4.8)500μL、177LuCl(19.6mCi)および化合物A30μg(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合は3:1であった。反応混合物を100℃にて5分間加熱した後、常温水浴中にて5分間冷却した。冷却後、水中2%NaEDTA・2HO20μLを加え、次いでサンプルの100μLの4つのアリコート(それぞれ平均2.78mCiの177Lu)を個別のオートサンプラーバイアルに移し替えた。アリコートに100μLの安定剤溶液の一つ(安定剤1mg)を加えた。各アリコートをHPLC(方法2)により分析(t=0)し、室温にて48時間貯蔵した。すべてのサンプルをt=24hおよび48hにて再び分析した。得られた放射化学的純度(RCP)百分率データは第14表に記載する。
第14表: 錯体製造後に安定剤として2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物またはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物(13.9mCi/mL)を用いて安定化した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表16】

【0201】
結果は、5mg/mL濃度にて各安定剤が13.9mCi/mLの放射濃度にて48時間の貯蔵までの177Lu−Aについての安定性を提供したことを示す。
【0202】
実施例13
安定剤としての2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物またはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物の存在下製造した場合の177Lu−Aの製造、標識有効性および安定性
実施例12にて、−C=S部分を含む化合物[ジチオカルバミン酸塩およびエチオナミド]は放射性標識後に加え、有効な放射安定剤であることを見出した。実施例13にて、これらの化合物は放射性標識前またはそのときに反応混合物に直接加えた。
【0203】
トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物およびジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物の10mg/mL溶液を水中にこれらを溶解することにより製造した。エチオナミドはEtOHに溶解することにより10mg/mL濃度にて製造した。鉛で遮蔽された個別の4mLバイアルに、NaOAc緩衝液(0.2M、pH4.8)200μL、安定剤溶液(安定剤1mg)100μL、177LuCl(平均5.25mCi)および化合物A8.7μg(平均)(水に溶解)を加えた。エタノールのみ100μL(安定剤なし)を加えた別のサンプルを対照サンプルとしての使用のために製造した。化合物Aのルテチウムに対する割合はすべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物を100℃まで5分間加熱した後、常温水浴中にて5分間冷却した。各サンプルに水中2%NaEDTA・2HO10μLを加えた後、それぞれをHPLC(方法2)により分析し、室温にて96時間まで貯蔵した。得られた放射化学的純度(RCP)百分率データを第15表に記載する。
第15表: 安定剤としての2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物またはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物の存在下で製造した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表17】

【0204】
結果は、3.33mg/mLの安定剤濃度にて、エタノール、エチオナミドおよびトリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物は標識反応に干渉せず、それぞれは反応中の安定性を提供したことを示す。ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物およびジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物は反応に干渉し、反応中より低い安定性を提供した。エチオナミドおよびトリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物はそれぞれ24時間および96時間までの貯蔵について安定性を提供した。トリチオシアヌル酸三ナトリウム塩九水和物の場合、24および96時間の間に観察された安定性における低下は、おそらく安定性を維持するために不十分な量の本化合物に依る。実施例12にて、より高濃度の本化合物は48時間の安定性を維持した。
【0205】
実施例14
安定剤としてのチアミン塩酸塩、L−グルタチオン、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシアンチピリン、アセチルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾチアゾールまたは2,1,3−ベンゾチアジアゾールの存在下で製造した場合の177Lu−Aの製造、標識有効性および溶液安定性
チアミン塩酸塩およびL−グルタチオンの10mg/mL溶液を水に溶解させることにより製造した。3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシアンチピリンおよびアセチルサリチル酸の10mg/mL溶液を50%EtOH/水に溶解させることにより製造した。2−ヒドロキシベンゾチアゾールおよび2,1,3−ベンゾチアジアゾールの10mg/mL溶液をEtOHに溶解させることにより製造した。鉛で遮蔽された個別の4mLバイアルに、NaOAc緩衝液(0.2M、pH4.8)200μL、安定剤溶液(安定剤1mg)100μL、177LuCl(平均5.28mCi)および化合物9.6μg(平均)(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合はすべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物を加熱し、冷却し、NaEDTA・2HOで処理し、実施例13記載のHPLCにより分析した後、すべてのサンプルを再び分析するときまで72時間室温にて貯蔵した。得られた放射化学的純度(RCP)百分率データを第16表に記載する。
第16表: 安定剤としてのチアミン塩酸塩、L−グルタチオン、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシアンチピリン、アセチルサリチル酸、2−ヒドロキシベンゾチアゾールまたは2,1,3−ベンゾチアジアゾールの存在下で製造および貯蔵した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表18】

【0206】
結果は、3.33mg/mL濃度にて、チアミン塩酸塩、3−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシアンチピリン、2−ヒドロキシベンゾチアゾールおよび2,1,3−ベンゾチアジアゾールが177Lu−A標識反応に有意に干渉せず、標識反応中に有効な放射安定性を提供することを示す。L−グルタチオンおよびアセチルサリチル酸は標識反応に干渉するか、または試験条件下反応中より低い安定性を提供する。試験された安定剤はどれも、72時間の貯蔵まで有意な安定性を提供しなかった。
【0207】
実施例15
次の実験にて、ジチオカルバミン酸塩である1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩は放射線診断用または放射線治療用化合物のための放射安定剤として先に評価されていないが、これを放射性標識混合物に直接加えた。驚くべきことに、実施例12および13にて試験されたジチオカルバミン酸塩と異なり、PDTCは優れた初期RCPおよび後標識安定性の両方を提供した。この結果は非常に意外であった。本化合物の検討は拡張(実施例18)され、20mg/mLにて100%RCPが48時間までで得られうることを見出した。
【0208】
安定剤としての2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩および5−チオ−D−グルコース(5mg/mL)を用いた177Lu−Aの製造、標識有効性測定および溶液安定性
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)および5−チオ−D−グルコースの5mg/mL溶液を酢酸ナトリウム緩衝液(0.2M、pH4.8)中にて製造した。エチオナミドの5mg/mL溶液を25%EtOH/NaOAc緩衝液中にて製造した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに、個別のNaOAc−安定剤溶液200μL、177LuCl(4.65〜5.64mCi)および化合物A7.1〜8.5μg(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合はすべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物を加熱し、冷却し、NaEDTA・2HOで処理し、実施例13記載のHPLCにより分析した後、すべてのサンプルを再び分析するときまで24時間室温にて貯蔵した。得られたRCPデータを第17表に記載する。
第17表: 安定剤としての2−エチル−4−ピリジンカルボチオアミド(エチオナミド)、1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)または5−チオ−D−グルコース(5mg/mL)の存在下で製造した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表19】

【0209】
結果は、PDTCは177Lu−A標識反応に干渉せず、5mg/mL濃度にて反応中の安定性を提供することを示す。一方、エチオナミド(25%EtOH/NaOAc中)および5−チオ−D−グルコースは標識反応に干渉するか、または試験条件下反応中より低い安定性を提供する。エチオナミドおよびPDTCは24時間の貯蔵中(そのt=0hのRCP%値と比較して)5−チオ−D−グルコースよりも良い安定剤である。
【0210】
実施例16
錯体製造後に安定剤としてシスタミン二塩酸塩、L−システインエチルエステル塩酸塩、L−システインジエチルエステル二塩酸塩、L−システインメチルエステル塩酸塩、L−システインジメチルエステル二塩酸塩またはL−システインスルフィン酸一水和物(5mg/mL)を用いて安定化させた場合の177Lu−Aの安定性
本検討にて硫黄含有化合物を試験した。システインは酸化され得る残基を含む多くの薬物についての抗酸化物として使用されている。しかし、システインのみが177Lu−Aの製造のための反応混合物に直接加えた場合(実施例11)、放射性標識に干渉し、177Lu錯体が形成された後加えた場合、一部有効であることが見出された。驚くべきことに、システインメチルエステルおよびシステインエチルエステルは放射性医薬品における安定剤として先に報告されていないが、これらは試験条件下、より良い放射安定化を提供した。
【0211】
各個別の安定剤の溶液(10mg/mL)を水中にて製造した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに、NaOAc緩衝液(0.2M、pH4.8)300μL、177LuCl(29.6mCi)および化合物A41.4μg(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合は3:1であった。反応混合物を加熱し、冷却し、NaEDTA・2HOで処理し、実施例13記載のHPLCにより分析した。7つの50μLアリコート(それぞれ平均3.34mCiの177Lu)を個別のHPLCバイアルに移し替えた。一つのアリコートに、対照サンプル(安定剤なし)としての使用のために水50μLを加えた。他の6つのアリコートに、個別の安定剤溶液(安定剤0.5mg)50μLを加えた後、それぞれをHPLC(方法2)により分析した。対照サンプルおよびL−システインエチルエステル塩酸塩およびL−システインメチルエステル塩酸塩サンプルを室温にて24時間の貯蔵後に再び分析した。得られたRCPデータを第18表に記載する。
第18表: 錯体製造後に安定剤としてシスタミン二塩酸塩、L−システインエチルエステル塩酸塩、L−システインジエチルエステル二塩酸塩、L−システインメチルエステル塩酸塩、L−システインジメチルエステル二塩酸塩またはL−システインスルフィン酸一水和物(5mg/mL)を用いて安定化した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表20】

【0212】
結果は、5mg/mL濃度にて、L−システインエチルエステル塩酸塩およびL−システインメチルエステル塩酸塩が177Lu−Aについて他の試験安定剤溶液よりも良い放射安定性を提供することを示す。
【0213】
実施例17
安定剤としてL−システインエチルエステル塩酸塩およびL−システインメチルエステル塩酸塩(5mg/mL)を用いた177Lu−Aの製造、標識有効性測定および溶液安定性
L−システインエチルエステル塩酸塩およびL−システインメチルエステル塩酸塩の溶液(5mg/mL)をNaOAc緩衝液(0.2M、pH4.8)に溶解させることにより製造した。鉛で遮蔽された4mLバイアルに、個別のNaOAc−安定剤溶液200μL、177LuCl(4.80mCi)および化合物A7.26μg(水に溶解)を加えた。化合物Aのルテチウムに対する割合はすべてのサンプルについて3:1であった。反応混合物を加熱し、冷却し、NaEDTA・2HOで処理し、実施例13記載のHPLCにより分析した後、それぞれを72時間室温にて貯蔵した。各サンプルをHPLC(方法2)によりt=0、24、48および72hにて分析した。得られたRCPデータを第19表に記載する。
第19表: 安定剤としてのL−システインエチルエステル塩酸塩またはL−システインメチルエステル塩酸塩(5mg/mL)の存在下にて製造した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表21】

【0214】
結果は、5mg/mL濃度にて、両方の安定剤が24時間まで適切な177Lu−A安定性を提供することを示す。
【0215】
実施例18
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(0〜20mg/mL)の存在下にて製造される177Lu−Aの製造、標識有効性および溶液安定性
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)の溶液を20、10、5および1mg/mLの濃度にて酢酸ナトリウム(NaOAc)緩衝液(0.2M、pH4.8)に溶解させることにより製造した。鉛で遮蔽された300μLサンプルバイアルに、対照サンプルとして機能するNaOAc緩衝液のみのアリコートを含むPDTC−NaOAc緩衝液の50μLアリコートを個別に加えた。各緩衝アリコートに、177LuCl(平均9.95mCi)および化合物A17.2μg(水に溶解)を加えた。各サンプルについての化合物A:Lu(全Lu)のモル比は3:1であった。反応中、各サンプルにて、化合物Aの濃度は287μg/mLであり、放射能濃度は167mCi/mLであった。サンプルを100℃まで5分間加熱した後、常温水浴にて5分間冷却した。各サンプルに、水中2%EDTA10μLを加えた後、それぞれをHPLC(方法3)により48時間にわたり分析した。t=0にて放射能濃度は143mCi/mLであった。以下の表は得られた結果を示す。
第20表: 1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩(PDTC)の存在下0〜20mg/mLにて製造した場合の177Lu−AについてのRCPデータ
【表22】

【0216】
これらの結果は他の安定剤なしで得られ、PDTCは例外的な放射安定化を提供することができることを示す。安定剤は標識反応中に存在していたので、この試薬を用いた単一バイアル製剤が適しているべきであることを示す。さらに本実験は、増大した量の安定剤が安定性の期間を拡張することを示す。
【0217】
実施例19
1−ピロリジンカルボジチオ酸アンモニウム塩(PDTC)、セレノメチオニン(Se−Met)、システイン(Cys)またはシステインエチルエステル(CEE)の存在下製造された177Lu−Bの製造、標識有効性および溶液安定性
PDTC: 本検討にて177Lu−Bは次のように製剤化した: 5mLグラスバイアルに、0.2M NaOAc緩衝液(pH4.8)1mLに溶解させたPDTC5mg、177LuCl(44mCi)15μLおよび化合物Bの0.01N塩酸の5mg/mL溶液30μLを加えた。反応バイアルをクリンプ・シール(crimp-sealed)し、100℃にて5分間加熱した。水浴で冷却した後、静菌性0.9%塩化ナトリウム1mLを加え、0.9%ベンジルアルコールおよび1mg/mL NaEDTA・2HOを注入した。サンプルを温度が室温より〜6℃高いオートサンプラーに貯蔵し、24時間までRP−HPLCにより分析した。以下の表は得られた結果を示す。
【0218】
L−セレノメチオニン: 177Lu−Bを製造し、希釈し、上記のように分析したが、L−Se−Met5mgをPDTCの代わりに用い、加熱時間を10分とし、用いた放射能の量を52mCiとした。
【0219】
L−システインエチルエステル塩酸塩: 177Lu−Bを製造し、希釈し、上記のように分析したが、L−CEE塩酸塩5mgをPDTCの代わりに用い、加熱時間を8分とし、用いた放射能の量を50mCiとした。
【0220】
L−システイン塩酸塩一水和物: 177Lu−Bを製造し、希釈し、上記のように分析したが、L−Cys塩酸塩一水和物5mgをPDTCの代わりに用い、加熱時間を8分とし、用いた放射能の量を53mCiとした。
第21表: PDTC、L−セレノメチオニン、L−システインエチルエステルまたはL−システイン塩酸塩一水和物の存在下製造した場合の177Lu−BについてのRCPデータ
【表23】

【0221】
これらのデータは、別の安定剤なしの歴史的対照と比較した場合に、試験条件下すべての化合物がいくらかの放射安定化を提供し、PDTCおよびL−セレノメチオニンが試験化合物の中で最も有効であったことを示す。錯体形成を阻害せずに、Luおよびインジウム錯体[示されていないデータ]の精製のための反応混合物に直接加えることができる事実は予想外である。Tc製剤に加えた場合、ジチオカルバミン酸ジエチル、ジチオカルバミン酸ジメチルおよび他のもののような化合物は、放射性金属がジチオカルバミン酸塩リガンドに配位する錯体(例えばTcNOEt)を形成することが見出されている。同様に、ジチオカルバミン酸塩リガンドのインジウム錯体のいくつかの報告は開示されている。
【0222】
実施例20
反応緩衝液中に1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩を含む場合と含まない場合の177Lu−Bの反応中の汚染金属(亜鉛)の効果の測定
PDTCによる調査中、177LuClを含む反応混合物へのその添加は非常に予想外の利益を提供したことを見出した。時々、177LuCl同位体溶液は放射性標識に緩衝し得る非放射能金属で汚染される。これらの金属(例えば特にZn、Cu、CaおよびFeを含むことができる)はキレート剤のために177Luと競争することができ、従って177Luへのキレート化がなされないのでリガンドの消費により反応収率を低下させる。添加された亜鉛を含む場合と含まない場合のPDTCの存在下における177Lu Aの標識収率の検討は、添加された亜鉛を含む反応混合物へのPDTCの添加がこの汚染金属の干渉を防ぐことをはっきりと示す。
【0223】
1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩の10mg/mL溶液は、酢酸ナトリウム緩衝液(0.2M、pH4.8)に溶解することにより製造した。鉛で遮蔽された300μLサンプルバイアルに、NaOAc緩衝溶液86.5μL、177LuCl(13.7mCi)、亜鉛0.6525μg(亜鉛100μg/mL血漿標準溶液6.52μL)および化合物B15μg(水に溶解)を加えた。これは「サンプル1」として標識した。別の鉛で遮蔽された300μLサンプルバイアルに、10μg/mL1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩/NaOAc緩衝溶液86.5μL、177LuCl(13.8mCi)、亜鉛0.6525μgおよび化合物B15μgを加えた。これは「サンプル2」として標識した。各サンプル中の化合物Bの濃度は150μg/mLであり、各サンプルについての化合物B:177Lu:亜鉛のモル比は3:1:3であった。サンプルを100℃まで5分間加熱した後、常温水浴中5分間冷却した。各サンプルに、水中2%NaEDTA・2HO10μLを加えた後、HPLC方法5を用いてそれぞれをHPLCにより分析した。図10は得られた結果を示す。
【0224】
図10Aは化合物BのHPLCクロマトグラム(UV)を示し、該化合物は用いた系にて15.4分の保持時間を有する。
【0225】
図10Bはサンプル1(対照反応; PDTCなし)のラジオクロマトグラム(上)およびUVクロマトグラム(下)を示し、これらは亜鉛の存在下、化合物Bの177Luとの反応後に得られた。得られたRCPは0%であった。形成された主な生成物は化合物Bの亜鉛錯体であり、17.3分の保持時間を有する。化合物Bはほとんど残らず、177Lu−Bはほとんど形成されなかった。
【0226】
図10Cはサンプル2のラジオクロマトグラム(上)およびUVクロマトグラム(下)を示し、これらは亜鉛およびPDTCの存在下、化合物Bの177Luとの反応後に得られた。得られたRCPは100%であった。
【0227】
図10A〜10Cに説明される結果は、PDTCが過剰の亜鉛を含む標識反応に加えられる場合、得られた放射化学的純度が劇的に改善されるので、1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩が反応混合物中の偶発性微量金属を捕捉するために機能する際に有効であることを示す。
【0228】
実施例21
安定剤としてセレノメチオニン(2.5mg/mL)を用いた111In−Bの製造、標識有効性測定および溶液安定性
L−セレノメチオニンの20mg/mL溶液は、NaOAc緩衝液(0.2M、pH4.0)に溶解することにより製造した。鉛で遮蔽された2mLバイアルに、NaOAc緩衝液(0.2M、pH4.0)111μL、セレノメチオニン溶液25μL(Se−Met0.5mg)、化合物B(0.01N塩酸中20μg)4μLおよび0.05N塩酸60μL中の111InCl(1.0mCi)を加えた。対照反応は上記すべての試薬を含んでなされたが、NaOAc緩衝液をSe−Met溶液に置き換えて行った。反応混合物は100℃にて15分間加熱した後、常温水浴中1分間冷却した。各サンプルに、安定化溶液(50mM、pH5.3クエン酸塩緩衝液中0.2%HSA、5%アスコルビン酸、0.9%ベンジルアルコール、20mM Se−Met)200μLおよび水中1%NaEDTA・2HO2μLを加えた後、それぞれは室温にて6時間まで貯蔵して分析し、以下に記載のようにHPLCにより分析した。得られたRCPデータは第21表に記載する。HPLC条件: Vydac C18カラム, 4.6 x 250 mm, 5μM, 30℃にて1.5mL/分流速。溶媒A: 水中0.1%TFA、溶媒B: アセトニトリル中0.085%TFA。勾配: 20分間80%A/20%Bアイソクラチック、5分間かけて40%A/60%Bに上昇、5分間保持、5分間かけて80%A/20%Bに戻す。
第22表: セレノメチオニン(2.5mg/mL)の存在下製造した場合の111In−BについてのRCPデータ
【表24】

【0229】
これらの結果は、セレノメチオニンを加えた反応混合物中の放射化学的純度が安定剤なしの対照反応にて得られたものよりも高いので、111In Bの放射安定化のためにセレノメチオニンを使用することができることを示す。
【0230】
実施例22
安定剤としてセレノメチオニンおよびアスコルビン酸ナトリウムを用いた177Lu−Bの製造、標識有効性測定および溶液安定性
本検討にて、177Lu−Bは次のように製剤化した: 5mLグラスバイアルに、0.2M NaOAc緩衝液(pH4.8)1mLに溶解したL−セレノメチオニン2.94mg、177LuCl(110.5mCi)25μLおよび0.01N塩酸中の化合物Bの5mg/mL溶液30μLを加えた。反応バイアルをクリンプ・シールし、100℃にて10分間加熱した。反応バイアルを室温まで水浴中にて冷却した後、静菌性0.9%NaCl4mL、および0.9%ベンジルアルコール、50mg/mLアスコルビン酸ナトリウムおよび1mg/mL NaEDTA・2HOを含む注入を加えた。温度が室温よりも〜6℃高いオートサンプラーにサンプルを貯蔵し、120時間までRP−HPLCにより分析した。以下の第23表は得られた結果を示す。
第23表: L−セレノメチオニン(2.94mg/mL)の存在下製造した場合の177Lu−BについてのRCPデータ
【表25】

【0231】
これらの結果は、優れた標識有効性および優れた再構成後安定性の両方が、上記条件、すなわち錯体形成中反応混合物にSe−Met2.94mgを加えた後、錯体形成後すぐにアスコルビン酸ナトリウムおよびベンジルアルコールを含む生理食塩水溶液4mLを加える条件を用いて得ることができることを示す。室温における5日間の貯蔵にわたり分解が観察されなかった。セレノメチオニンの量が1.0mgに軽減された場合に、同様の結果が得られた。
【0232】
実施例23
177Lu−Bの回収に対するベンジルアルコールの効果の測定
二つの放射線分解保護溶液は次のように製造した。
【0233】
安定剤溶液A: 0.25mg/ml NaEDTAを含む500mg/ml、pH5.7のL−アスコルビン酸を9倍の通常の生理食塩水溶液[ベンジルアルコールなし]で希釈した。
【0234】
安定剤溶液B: 0.25mg/ml NaEDTAを含む500mg/ml、pH5.7のL−アスコルビン酸を、0.9%(w/v)ベンジルアルコールを含む9倍の静菌性生理食塩水で希釈した。
【0235】
1mg/mL L−セレノメチオニンおよび化合物B13μgを含む0.2M、pH4.8のNaOAc緩衝液の100μLアリコートを、それぞれサンプル1およびサンプル2と指定して二つの2mLサンプルバイアルに加えた。177LuCl(約10mCi)を各バイアルに加え、サンプルを温度制御加熱ブロック中100℃にて10分間加熱した。次いでそれらを取り出し、常温水浴中にて5分間冷却した。冷却後、溶液A400μLをサンプル1に加え、溶液B400μLをサンプル2に加えた。
【0236】
両方のサンプルは方法3を用いたHPLCにより分析し、室温にて24時間放置した。放置後、RCP分析を繰り返し、次いで全溶液を各バイアルから取り出した。各バイアルに残存する放射能の量および取り出した放射能の量をドーズ・キャリブレータ(dose calibrator)を用いて測定した。各バイアルから回収された放射能の百分率を、(バイアルから回収されたmCi)/(全放射能量[溶液およびバイアル])×100として計算した。観察された結果は第24表に示す。
第24表: ベンジルアルコールの存在下および非存在下における177Lu−BのRCPおよび回収%の比較
【表26】

グラスバイアル中に残存する除去できない放射能の%
【0237】
これらの結果は、安定剤溶液へのベンジルアルコールの添加が、バイアルからの放射能の回収を有意に改善したことを示す。これは、放射能の有意の量がバイアルから回収できない場合、この欠乏を相殺するために過剰の放射能を加えなければならないため重要である。できるだけ高い回収を有することが非常に有利である。
【0238】
実施例24
酸化メチオニン残基を放射性標識ペプチドのメチオニル残基へ変換するための+2硫黄錯体の使用の評価
+2酸化状態における硫黄化合物、特にチオールは、酸化メチオニン残基を還元メチオニル形態に変換する能力について評価した。本検討を行うために、化合物Bのメチオニン酸化形態を合成した。この酸化化合物を化合物Cと称する。化合物Cは放射性標識され、177Lu−Cを形成し、これを種々の+2硫黄誘導体と混合し、室温にて貯蔵し、時間とともに分析してペプチド中の酸化メチオニンがどれだけメチオニンに変換しているかを測定した。
【0239】
試験溶液は以下のとおりである:
1. 0.1M、pH5.0のクエン酸塩緩衝液中の2%メルカプトエタノール[ME]。
2. 0.1M、pH5.0のクエン酸塩緩衝液中の20mg/mlL−システイン・HCl・HO[Cys]; 最終pH〜3.5。
3. 0.1M、pH5.0のクエン酸塩緩衝液中の20mg/mlDL−ジチオスレイトール[DTT]; 最終pH〜5.0。
4. 0.1M、pH5.0のクエン酸塩緩衝液中の20mg/mlL−メチオニン[Met]。
5. 0.1M、pH5.0のクエン酸塩緩衝液中の20mg/mlL−セレノメチオニン[Se−Met]。
【0240】
メルカプトエタノール、システインおよびジチオスレイトールはチオールであり、メチオニンはチオエーテルであり、セレノメチオニンは有機2+セレン化合物である。後半の二つの溶液は対照として用いた。
【0241】
177Lu−Cの製造: 2mLグラスバイアルに、0.2M、pH4.8のNaOAc緩衝液200μl、化合物C30μg[0.01N塩酸30μL中]および177LuCl(5.6mCi)を加えた。85℃にて10分間インキュベーションした後、反応バイアルを水浴により室温まで冷却し、次いで残存する遊離Lu−177に対して2%EDTA20μlを加えた。
【0242】
サンプル製造: 本反応溶液のアリコート[40μl、0.75mCi]を上記溶液、例えば20mg/mlCys; DTT; Met; Se−Met; または2%MEのうちの一つの100μlアリコートと混合した。溶液を室温にて時間とともに貯蔵し、RP−HPLCにより1および3日にて分析した。得られた結果は以下の第25表に示す。
第25表: Cys、DTT、ME、MetまたはSe−Metの存在下1〜3日間の室温貯蔵後、177Lu−Bに変換[還元]された177Lu−Cの百分率(%)
【表27】

【0243】
この結果は、Cys、DTTおよびME、すなわちすべてのチオール含有化合物が放射性標識ペプチド中の酸化メチオニル残基のその還元[メチオニル]形態に還元することができることを示すため有意である。177Lu−Aまたは177Lu−Bの製造のための製剤化にて、Cys、DTTまたはME(または他のチオール)の添加が、起こるいずれかのメチオニン酸化を逆転させることにより、これらの化合物を酸化から保護するために機能することができることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種、および(b)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項2】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項1記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項3】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項1記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項4】
(a)放射性核種と錯体化する金属キレート剤、(b)任意の連結基および標的分子、ならびに(c)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項5】
連結基が炭化水素連結基である、請求項4記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項6】
連結基がアミノ吉草酸である、請求項4記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項7】
(a)一般式:
M−N−Q
[式中、Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、Nは任意のリンカーであり、そしてQは標的分子である]
で示される化合物、および
(b)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項8】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項7記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項9】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項7記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項10】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または非アルファアミノ酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは非アルファアミノ酸である)]
で示される化合物、および
(b)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項11】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項10記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項12】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項10記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項13】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または置換胆汁酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは置換胆汁酸である)]
で示される化合物、および
(b)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項14】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項13記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項15】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項13記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項16】
金属キレート剤がDTPA、DOTA、DO3A、HP−DO3A、PA−DOTA、MeO−DOTA、MX−DTPA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAM、CMDOTA、PnAO、オキサ−PnAO、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys、N,N−ジベンジルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys−Gly、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys−Gly、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys−GlyおよびN,N−ジベンジルGly−Ser−Cys−Glyからなる群から選択される、請求項1〜15記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項17】
標的分子が標的ペプチドである、請求項1〜15記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項18】
標的ペプチドがLHRH、インスリン、オキシトシン、ソマトスタチン、NK−1、VIP、P物質、NPY、エンドセリンA、エンドセリンB、ブラジキニン、インターロイキン−1、EGF、CCK、ガラニン、MSH、ランレオチド、オクトレオチド、マルトース、アルギニン−バソプレシンならびにその類似体および誘導体からなる群から選択される、請求項17記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項19】
標的ペプチドがLHRHまたはその類似体である、請求項17記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項20】
標的分子がGRP受容体標的分子またはその類似体である、請求項17記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項21】
GRP受容体標的分子がアゴニスト、またはアゴニスト活性を与えるペプチドである、請求項20記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項22】
GRP受容体標的分子がボンベシンまたはその類似体である、請求項20記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項23】
放射性核種が99mTc、51Cr、67Ga、68Ga、47Sc、167Tm、141Ce、123I、125I、131I、18F、11C、15N、111In、168Yb、175Yb、140La、90Y、88Y、86Y、153Sm、166Ho、165Dy、166Dy、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、225Ac、211At、105Rh、109Pd、117mSn、149Pm、161Tb、177Lu、198Auおよび199Auならびにその酸化物または窒化物からなる群から選択される、請求項1〜15記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項24】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種、および(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項25】
(a)放射性核種と錯体化する金属キレート剤、(b)任意の連結基および標的分子、および(c)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項26】
(a)一般式:
M−N−Q
[式中、Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、Nは任意のリンカーであり、そしてQは標的分子である]
で示される化合物、および
(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項27】
連結基が炭化水素連結基である、請求項26記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項28】
連結基がアミノ吉草酸である、請求項27記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項29】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または非アルファアミノ酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは非アルファアミノ酸である)]
で示される化合物、および
(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項30】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または置換胆汁酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは置換胆汁酸である)]
で示される化合物、および
(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項31】
安定剤組成物がセレノメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項24〜30のいずれかに記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項32】
安定剤組成物がセレノシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項24〜30のいずれかに記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項33】
安定剤組成物がメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項24〜30のいずれかに記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項34】
安定剤組成物がシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項24〜30のいずれかに記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項35】
金属キレート剤がDTPA、DOTA、DO3A、HP−DO3A、PA−DOTA、MeO−DOTA、MX−DTPA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAM、CMDOTA、PnAO、オキサ−PnAO、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys、N,N−ジベンジルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys−Gly、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys−Gly、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys−GlyおよびN,N−ジベンジルGly−Ser−Cys−Glyからなる群から選択される、請求項24〜35記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項36】
標的分子が標的ペプチドである、請求項24〜35記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項37】
標的ペプチドがLHRH、インスリン、オキシトシン、ソマトスタチン、NK−1、VIP、P物質、NPY、エンドセリンA、エンドセリンB、ブラジキニン、インターロイキン−1、EGF、CCK、ガラニン、MSH、ランレオチド、オクトレオチド、マルトース、アルギニン−バソプレシンならびにその類似体および誘導体からなる群から選択される、請求項36記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項38】
標的ペプチドがLHRHまたはその類似体である、請求項36記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項39】
標的分子がGRP受容体標的分子またはその類似体である、請求項36記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項40】
GRP受容体標的分子がアゴニスト、またはアゴニスト活性を与えるペプチドである、請求項36記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項41】
GRP受容体標的分子がボンベシンまたはその類似体である、請求項36記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項42】
放射性核種が99mTc、51Cr、67Ga、68Ga、47Sc、167Tm、141Ce、123I、125I、131I,18F、11C、15N、111In、168Yb、175Yb、140La、90Y、88Y、86Y、153Sm、166Ho、165Dy、166Dy、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、225Ac、211At、105Rh、109Pd、117mSn、149Pm、161Tb、177Lu、198Auおよび199Auならびにその酸化物または窒化物からなる群から選択される、請求項24〜41記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項43】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種、および(b)ジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項44】
(a)放射性核種と錯体化する金属キレート剤を含む化合物、(b)任意の連結基および標的分子、および(c)ジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項45】
連結基が炭化水素連結基である、請求項44記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項46】
連結基がアミノ吉草酸である、請求項45記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項47】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化1】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはH、Na、K、NH、N−メチルグルカミンまたは他の医薬的に許容される+1イオンである]
で示される、請求項43または44記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項48】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物およびその組合せからなる群から選択される請求項47記載の化合物を含む、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項49】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩である請求項48記載の化合物を含む、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項50】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または非アルファアミノ酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは非アルファアミノ酸である)]
で示される化合物、および
(b)ジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項51】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化2】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはH、Na、K、NH、N−メチルグルカミンまたは他の医薬的に許容される+1イオンである]
で示される、請求項50記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項52】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化3】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはMg2+もしくはCa2+または+2酸化状態における他の生理学的に許容される金属である]
で示される、請求項50記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項53】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物およびその組合せからなる群から選択される請求項51記載の化合物を含む、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項54】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩である請求項53記載の化合物を含む、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項55】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または置換胆汁酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは置換胆汁酸である)]
で示される化合物、および
(b)ジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項56】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化4】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはH、Na、K、NH、N−メチルグルカミンまたは他の医薬的に許容される+1イオンである]
で示される、請求項55記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項57】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化5】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはMg2+もしくはCa2+または+2酸化状態における他の生理学的に許容される金属である]
で示される、請求項55記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項58】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物およびその組合せからなる群から選択される請求項55記載の化合物を含む、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項59】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩である請求項58記載の化合物を含む、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項60】
金属キレート剤がDTPA、DOTA、DO3A、HP−DO3A、PA−DOTA、MeO−DOTA、MX−DTPA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAM、CMDOTA、PnAO、オキサ−PnAO、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys、N,N−ジベンジルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys−Gly、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys−Gly、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys−GlyおよびN,N−ジベンジルGly−Ser−Cys−Glyからなる群から選択される、請求項43〜59記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項61】
標的分子が標的ペプチドである、請求項43〜59記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項62】
標的ペプチドがLHRH、インスリン、オキシトシン、ソマトスタチン、NK−1、VIP、P物質、NPY、エンドセリンA、エンドセリンB、ブラジキニン、インターロイキン−1、EGF、CCK、ガラニン、MSH、ランレオチド、オクトレオチド、マルトース、アルギニン−バソプレシンならびにその類似体および誘導体からなる群から選択される、請求項61記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項63】
標的ペプチドがLHRHまたはその類似体である、請求項61記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項64】
標的分子がGRP受容体標的分子またはその類似体である、請求項61記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項65】
GRP受容体標的分子がアゴニスト、またはアゴニスト活性を与えるペプチドである、請求項64記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項66】
GRP受容体標的分子がボンベシンまたはその類似体である、請求項64記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項67】
放射性核種が99mTc、51Cr、67Ga、68Ga、47Sc、167Tm、141Ce、123I、125I、131I,18F、11C、15N、111In、168Yb、175Yb、140La、90Y、88Y、86Y、153Sm、166Ho、165Dy、166Dy、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、225Ac、211At、105Rh、109Pd、117mSn、149Pm、161Tb、177Lu、198Auおよび199Auならびにその酸化物または窒化物からなる群から選択される、請求項43〜59記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項68】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい、診断用または治療用放射性核種、および(b)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項69】
(a)放射性核種と錯体化する金属キレート剤、(b)任意の連結基および標的分子、および(c)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項70】
連結基が炭化水素連結基である、請求項69記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項71】
連結基がアミノ吉草酸である、請求項70記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項72】
安定剤がシステインもしくはその誘導体、メルカプトエタノール、またはジチオールスレイトール、またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項69記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項73】
安定剤がシスタミン二塩酸塩、システイン塩酸塩一水和物、システインエチルエステル塩酸塩、システインジエチルエステル二塩酸塩、システインメチルエステル塩酸塩、システインジメチルエステル二塩酸塩、システインスルフィン酸一水和物、5−チオ−d−グルコース、還元1−グルタチオンおよびその組合せからなる群から選択されるシステイン誘導体を含む、請求項72記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項74】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または非アルファアミノ酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、非アルファアミノ酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは非アルファアミノ酸である)]
で示される化合物、および
(b)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項75】
安定剤がシステインもしくはその誘導体、メルカプトエタノール、またはジチオールスレイトール、またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項74記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項76】
安定剤がシスタミン二塩酸塩、システイン塩酸塩一水和物、システインエチルエステル塩酸塩、システインジエチルエステル二塩酸塩、システインメチルエステル塩酸塩、システインジメチルエステル二塩酸塩、システインスルフィン酸一水和物、5−チオ−d−グルコース、還元1−グルタチオンおよびその組合せからなる群から選択されるシステイン誘導体を含む、請求項75記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項77】
(a)一般式:
M−N−O−P−Q
[式中、
Mは放射性核種と錯体化する金属キレート剤であり、
Nは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、
Oはアルファアミノ酸または置換胆汁酸であり、
Pは0、アルファアミノ酸、置換胆汁酸または他の連結基であり、そして
Qは標的分子である
(ここに、N、OまたはPの少なくとも一つは置換胆汁酸である)]
で示される化合物、および
(b)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤
からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項78】
安定剤がシステインもしくはその誘導体、メルカプトエタノール、またはジチオールスレイトール、またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項77記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項79】
安定剤がシスタミン二塩酸塩、システイン塩酸塩一水和物、システインエチルエステル塩酸塩、システインジエチルエステル二塩酸塩、システインメチルエステル塩酸塩、システインジメチルエステル二塩酸塩、システインスルフィン酸一水和物、5−チオ−d−グルコース、還元1−グルタチオンおよびその組合せからなる群から選択されるシステイン誘導体を含む、請求項78記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項80】
金属キレート剤がDTPA、DOTA、DO3A、HP−DO3A、PA−DOTA、MeO−DOTA、MX−DTPA、EDTA、TETA、EHPG、HBED、NOTA、DOTMA、TETMA、PDTA、TTHA、LICAM、MECAM、CMDOTA、PnAO、オキサ−PnAO、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys、N,N−ジベンジルGly−Ser−Cys、N,N−ジメチルGly−Ser−Cys−Gly、N,N−ジメチルGly−Thr−Cys−Gly、N,N−ジエチルGly−Ser−Cys−GlyおよびN,N−ジベンジルGly−Ser−Cys−Glyからなる群から選択される、請求項68〜79記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項81】
標的分子が標的ペプチドである、請求項68〜79記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項82】
標的ペプチドがLHRH、インスリン、オキシトシン、ソマトスタチン、NK−1、VIP、P物質、NPY、エンドセリンA、エンドセリンB、ブラジキニン、インターロイキン−1、EGF、CCK、ガラニン、MSH、ランレオチド、オクトレオチド、マルトース、アルギニン−バソプレシンならびにその類似体および誘導体からなる群から選択される、請求項81記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項83】
標的ペプチドがLHRHまたはその類似体である、請求項81記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項84】
標的分子がGRP受容体標的分子またはその類似体である、請求項81記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項85】
GRP受容体標的分子がアゴニスト、またはアゴニスト活性を与えるペプチドである、請求項82記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項86】
GRP受容体標的分子がボンベシンまたはその類似体である、請求項82記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項87】
放射性核種が99mTc、51Cr、67Ga、68Ga、47Sc、167Tm、141Ce、123I、125I、131I,18F、11C、15N、111In、168Yb、175Yb、140La、90Y、88Y、86Y、153Sm、166Ho、165Dy、166Dy、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、103Ru、186Re、188Re、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi、225Ac、211At、105Rh、109Pd、117mSn、149Pm、161Tb、177Lu、198Auおよび199Auならびにその酸化物または窒化物からなる群から選択される、請求項73〜87記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項88】
(a)放射性標識錯体を形成させるために放射性核種をキレート剤と組み合わせること、および(b)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤と該錯体を組み合わせることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項89】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項88記載の方法。
【請求項90】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項88記載の方法。
【請求項91】
(a)放射性標識錯体を形成させるために放射性核種をキレート剤と組み合わせること、および(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物と該錯体を組み合わせることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項92】
安定剤組成物がセレノメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項91記載の方法。
【請求項93】
安定剤組成物がセレノシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項91記載の方法。
【請求項94】
安定剤組成物がメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項91記載の方法。
【請求項95】
安定剤組成物がシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項91記載の方法。
【請求項96】
(a)放射性標識錯体を形成させるために放射性核種をキレート剤と組み合わせること、および(b)ジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤と該錯体を組み合わせることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項97】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化6】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはH、Na、K、NHまたは他の医薬的に許容される+1イオンである]
で示される、請求項96記載の方法。
【請求項98】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化7】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはMg2+もしくはCa2+または+2酸化状態における他の生理学的に許容される金属である]
で示される、請求項96記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項99】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物およびジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水和物ならびにその組合せからなる群から選択される、請求項97記載の方法。
【請求項100】
(a)放射性標識錯体を形成させるために放射性核種をキレート剤と組み合わせること、および(b)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤と該錯体を組み合わせることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項101】
安定剤がシステインもしくはその誘導体、メルカプトエタノール、またはジチオールスレイトール、またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項100記載の方法。
【請求項102】
安定剤がシスタミン二塩酸塩、システイン塩酸塩一水和物、システインエチルエステル塩酸塩、システインジエチルエステル二塩酸塩、システインメチルエステル塩酸塩、システインジメチルエステル二塩酸塩、システインスルフィン酸一水和物、5−チオ−d−グルコース、還元1−グルタチオンおよびその組合せからなる群から選択される、システイン誘導体を含む、請求項101記載の方法。
【請求項103】
放射性核種をキレート剤と、および+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤と、同時に反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項104】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項103記載の方法。
【請求項105】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項103記載の方法。
【請求項106】
放射性核種をキレート剤と、ならびにアスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物と、同時に反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項107】
安定剤組成物がセレノメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項106記載の方法。
【請求項108】
安定剤組成物がセレノシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項106記載の方法。
【請求項109】
安定剤組成物がメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項106記載の方法。
【請求項110】
安定剤組成物がシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項106記載の方法。
【請求項111】
放射性核種をキレート剤と、およびジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤と、同時に反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項112】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化8】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはH、Na、K、NHまたは他の医薬的に許容される+1イオンである]
で示される、請求項111記載の方法。
【請求項113】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化9】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、または水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルまたはベンジルである)であるか、あるいは
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはMg2+もしくはCa2+または+2酸化状態における他の生理学的に許容される金属である]
で示される、請求項111記載の安定化放射性医薬品組成物。
【請求項114】
安定剤化合物が1−ピロリジンジチオカルバミン酸アンモニウム塩である、請求項112記載の方法。
【請求項115】
放射性核種とキレート剤、および+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤を、同時に反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物を安定化させる方法。
【請求項116】
安定剤がシステインもしくはその誘導体、メルカプトエタノール、またはジチオールスレイトール、またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項115記載の方法。
【請求項117】
安定剤がシスタミン二塩酸塩、システイン塩酸塩一水和物、システインエチルエステル塩酸塩、システインジエチルエステル二塩酸塩、システインメチルエステル塩酸塩、システインジメチルエステル二塩酸塩、システインスルフィン酸一水和物、5−チオ−d−グルコース、還元1−グルタチオンおよびその組合せからなる群から選択されるシステイン誘導体を含む、請求項116記載の方法。
【請求項118】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種を含む第一試薬、および(b)+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む安定剤からなる第二試薬を含む、安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項119】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノメチオニンまたはその誘導体である、請求項118記載のキット。
【請求項120】
+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性化合物がセレノシステインまたはその誘導体である、請求項118記載のキット。
【請求項121】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種を含む第一試薬、および(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、ゲンチシン酸またはその医薬的な塩、ヒト血清アルブミン、およびベンジルアルコールを含む安定剤組成物からなる第二試薬を含む、安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項122】
安定剤組成物がセレノメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項121記載のキット。
【請求項123】
安定剤組成物がセレノシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項121記載のキット。
【請求項124】
安定剤組成物がメチオニンまたはその誘導体をさらに含む、請求項121記載のキット。
【請求項125】
安定剤組成物がシステインまたはその誘導体をさらに含む、請求項121記載のキット。
【請求項126】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種を含む第一試薬、および(b)ジチオカルバミン酸塩化合物を含む安定剤をからなる第二試薬を含む、安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項127】
ジチオカルバミン酸塩化合物が式:
【化10】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、もしくは水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルもしくはベンジルである)であるか、または
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはH、Na、K、NHもしくは他の医薬的に許容される+1イオンである]
あるいは式:
【化11】

[式中、
R1およびR2はそれぞれ、独立してH、C−Cアルキル、−OR3(ここに、R3は非置換、もしくは水溶性基で適宜置換されていてもよい、C−Cアルキルもしくはベンジルである)であるか、または
R1、R2およびNは一緒になって1−ピロリジニル−、ピペリジノ−、モルホリノ−、1−ピペラジニル−を形成し、そして
MはMg2+もしくはCa2+、もしくは+2酸化状態における他の生理学的に許容される金属である]
で示される、請求項126記載のキット。
【請求項128】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種を含む第一試薬、および(b)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤からなる第二試薬を含む、安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項129】
安定剤がシステインもしくはその誘導体、メルカプトエタノール、またはジチオールスレイトール、またはその医薬的に許容される塩を含む、請求項128記載のキット。
【請求項130】
安定剤がシスタミン二塩酸塩、システイン塩酸塩一水和物、システインエチルエステル塩酸塩、システインジエチルエステル二塩酸塩、システインメチルエステル塩酸塩、システインジメチルエステル二塩酸塩、システインスルフィン酸一水和物、5−チオ−d−グルコース、還元1−グルタチオンおよびその組合せからなる群から選択されるシステイン誘導体を含む、請求項129記載のキット。
【請求項131】
(a)適宜キレート剤と錯体化していてもよい診断用または治療用放射性核種を含む第一試薬、および(b)+2酸化状態における硫黄を含有する水溶性化合物を含む安定剤からなる第二試薬を含む、安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項132】
式:
【化12】

で示される化合物、ならびにアスコルビン酸、ゲンチシン酸、ヒト血清アルブミン、ベンジルアルコール、およびシステイン、メチオニンまたはセレノメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を含む安定剤組成物からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項133】
式:
【化13】

で示される化合物、ならびにアスコルビン酸、ゲンチシン酸、ヒト血清アルブミン、ベンジルアルコール、およびシステイン、メチオニンまたはセレノメチオニンからなる群から選択されるアミノ酸を含む安定剤組成物からなる、安定化放射性医薬品組成物。
【請求項134】
(a)式:
【化14】

で示される化合物、および+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む第一試薬、ならびに
(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、塩化ナトリウム、EDTA、およびベンジルアルコールを含む第二試薬
からなる安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項135】
+2酸化状態におけるセレンを含有する化合物がセレノメチオニンである、請求項134記載のキット。
【請求項136】
第一試薬が放射性核種をさらに含む、請求項135記載のキット。
【請求項137】
放射性核種が177Lu、111Inおよび90Yからなる群から選択される、請求項136記載のキット。
【請求項138】
放射性核種が177Luである、請求項137記載のキット。
【請求項139】
(a)式:
【化15】

で示される化合物、および+2酸化状態におけるセレンを含有する水溶性有機化合物を含む第一試薬、ならびに
(b)アスコルビン酸またはその医薬的な塩、塩化ナトリウム、EDTA、およびベンジルアルコールを含む第二試薬
からなる安定化放射性医薬品組成物の製造用キット。
【請求項140】
+2酸化状態におけるセレンを含有する化合物がセレノメチオニンである、請求項139記載のキット。
【請求項141】
第一試薬が放射性核種をさらに含む、請求項140記載のキット。
【請求項142】
放射性核種が177Lu、111Inおよび90Yからなる群から選択される、請求項141記載のキット。
【請求項143】
放射性核種が177Luである、請求項137記載のキット。
【請求項144】
放射性医薬品組成物を産生する反応混合物にベンジルアルコールを加えることを特徴とする、放射性医薬品組成物を産生する反応からの放射能の回収を増大させる方法。
【請求項145】
(a)放射性核種をキレート剤と反応させて放射性標識キレートを形成させ、(b)ベンジルアルコールを含む安定剤溶液と該放射性標識キレートを反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物を産生する反応からの放射能の回収を増大させる方法。
【請求項146】
安定剤溶液がアスコルビン酸またはその医薬的に許容される塩をさらに含む、請求項145記載の方法。
【請求項147】
安定剤溶液がEDTAをさらに含む、請求項145記載の方法。
【請求項148】
放射性医薬品組成物をシステインと反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物における1つ以上の酸化メチオニン残基を還元する方法。
【請求項149】
放射性医薬品組成物をジチオールスレイトールと反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物における1つ以上の酸化メチオニン残基を還元する方法。
【請求項150】
放射性医薬品組成物をメルカプトエタノールと反応させることを特徴とする、放射性医薬品組成物における1つ以上の酸化メチオニン残基を還元する方法。
【請求項151】
放射性医薬品組成物が化合物Aの式で示される化合物を含む、請求項148〜150のいずれかに記載の方法。
【請求項152】
放射性医薬品組成物が化合物Bの式で示される化合物を含む、請求項148〜150のいずれかに記載の方法。
【請求項153】
反応混合物をジチオカルバミン酸塩と反応させることを特徴とする、放射性医薬品の製造のための反応混合物における金属系汚染物質からの干渉を軽減させる方法。
【請求項154】
ジチオカルバミン酸塩がPDTCである、請求項153記載の方法。
【請求項155】
放射性医薬品を産生する反応混合物にジチオカルバミン酸塩を加えることを特徴とする、所望の放射性医薬品の収率を改善する方法。
【請求項156】
ジチオカルバミン酸塩がPDTCである、請求項155記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【公開番号】特開2012−158600(P2012−158600A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−102165(P2012−102165)
【出願日】平成24年4月27日(2012.4.27)
【分割の表示】特願2006−521297(P2006−521297)の分割
【原出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(504448162)ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】