説明

安定な鉄オリゴ糖化合物

本発明は、鉄オキシ水酸化物と安定に会合する水素化オリゴ糖を含む改良された安定性を持つ鉄オリゴ糖化合物に係り、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、上記水素化オリゴ糖中の二量体糖の含有量は2.9重量%以下である。更なる態様において、上記化合物の調製の方法ならびに鉄欠乏性貧血の治療のための組成物の調製のための上記化合物の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
本発明は改良された安定性を持つ鉄オリゴ糖化合物の第一の態様に関する。第二の態様では、本発明は本発明の第一の態様による鉄オリゴ糖化合物の調製の方法に関する。更に、第三の態様にて、本発明は鉄欠乏性貧血の治療のための組成物の調製のための上記化合物の使用に関する。
【0002】
その広範な発生により、鉄欠乏性貧血は世界規模で大きな関心事の健康問題である。ヒト及び家畜動物においても同様に、最も頻繁に観察される病態である。
【0003】
鉄欠乏性貧血はしばしば鉄含有製剤の経口投与により予防又は治療できるが、経口投与の生物学的利用能の変動を避けて、効果的投与を確実にするために、非経口投与可能な鉄製剤を使用することが多くの場合好まれる。
【0004】
従って、非経口投与用の鉄含有製剤、例えば皮下、筋肉内又は静脈内投与は、長年獣医や開業医が自由に使ってきた。
【0005】
様々な鉄含有物質が鉄欠乏性貧血に対する非経口注射用製剤の組成物として使用又は提案されているが、今日受け入れられた最も一般的な製剤は、糖類、特にデキストラン又はデキストリンと会合した鉄オキシ水酸化物(又は水酸化第二鉄)を組み合わせた化合物を含む等のものである。デキストランは微生物のロイコノストックメゼンテロイデスによって生産される高分子炭水化物であり、一方デキストリンはデンプンの脱重合生成物である。
【0006】
鉄−スクロース及び鉄−グルコネート化合物等の、鉄欠乏性貧血の治療のための付加的鉄製剤が知られている。これらの化合物は鉄に強くは結合せず、遊離のFe3+イオンの高い濃度をもたらし、非経口で投与された場合には鉄化合物の毒性が増加し、経口投与された場合には消化障害をもたらす。
【0007】
注射剤用の鉄含有製剤は、ヘモグロビン合成のための鉄の入手し易さ、局所的な又は一般的な副作用が無いこと及び周囲の温度で十分な有効期間を可能にする保管における安定性を含む幾つかの要求を明らかに満たさねばならない。
【0008】
いくつかの場合、鉄製剤を経口的に投与することが望まれるが、これは受容者にとって最も都合が良いためである。鉄製剤の経口投与後にしばしば遭遇する不利益は消化障害である。優れた鉄製剤は、腸上皮を通じて吸収される十分な鉄を供給するために、胃腸管中でコントロールされた方法で鉄を体内へ供給しなければならず、及びそれ自体は消化に悪影響を与えてはならない。
【0009】
貧血の治療のための鉄糖質製剤は何十年間も市販されており、そのような製剤の安定性の改良を目的とし、及びそれらの投与で遭遇する副作用の重症度を減らすために、製造方法や出発物質の選択における多くのバリエーションが提案されてきた。
【0010】
研究、試験及び実経験で得られた結果は、上記で述べた問題は使用した糖類の分子量分布に関係していることを示している。
【0011】
高分子デキストランは低分子量デキストランよりもアナフィラキシー反応のより大きなリスクを含んでいると一般に認識されているが、加水分解の最初の工程に由来する糖類等の低分子量炭水化物の存在も困難を作りだしうることもまた見いだされている。広い分子量分布を持つ糖類の溶液中で水酸化第二鉄を沈殿させることで鉄と反応すると、低分子量炭水化物は鉄と結合し、それら特有の複合体又は会合化合物を形成する。後者の化合物は、中程度の分子量の望まれる鉄オリゴ糖化合物より不安定であり、水酸化鉄又はオキシ水酸化物の沈殿、及び/又は、数日又は数ヶ月中に溶液の完全な凝固を恐らくもたらすゲル形成反応を引き起こす。
【0012】
問題の重要性を考慮して、鉄オリゴ糖の開発にかなりの注意が向けられており、オリゴ糖化合物は適切な分子量分布を示している。
【0013】
英国特許出願公開第1,076,219号は、鉄欠乏性貧血の予防又は治療のための、鉄、低分子量デキストリン又はデキストラン及びソルビトールを含む複合体の製造方法を公開している。
【0014】
米国特許出願公開第4,927,756号は、デキストランの分子量が2000−4000の範囲である鉄デキストラン化合物の製造のための手順を公開している。
【0015】
国際特許出願公開第1999/48533号は、鉄オキシ水酸化物と安定に会合した700から1400の重量平均分子量、及び400から1400ダルトンの数平均分子量を持つデキストランを含む鉄デキストランを公開している。公開された鉄デキストラン複合体はアナフィラキシーの副作用の発生数の減少を生じさせている。
【0016】
国際特許出願公開第2003/087164号は、鉄オキシ水酸化物との安定に会合した3,000ダルトン以下の重量平均分子量で及び400ダルトン以上の数平均分子量を持つデキストリンを含む鉄デキストリン化合物を公開している。上記化合物は低い毒性の度合いを示す。
【0017】
しかしながら、上記の既知の方法及び化合物の観点から、最も重要な特性が著しく劣化すること無く長期間周囲の温度で保存されうるように、鉄欠乏性貧血の治療又は予防のための組成物の調製のために使用可能な鉄オリゴ糖の安定性の更なる改良の必要性がなおある。
【0018】
従って、鉄欠乏性貧血の予防又は治療のための組成物に入るのに適した強化された安定性を持つ鉄オリゴ糖化合物を提供することが本発明の目的である。その化合物は技術範囲で通常の基準を更に満たさねばならず、それらは:1)経口投与された場合に消化不良を起こさずに腸内に吸着する鉄の高い利用能;2)腸内で容易に吸着される形態での鉄の供給;3)非経口的に投与された場合にFe3+の高い局所濃度によって引き起こされる毒性のリスクが無い、鉄の高い利用能;4)アナフィラキシー反応の最小限のリスク;5)高い鉄の含有量、及び6)大量の鉄を含む溶液の形成能であり、その溶液が薬学的組成物に対する基礎的な要求を満たしており、すなわち、好ましくは高圧蒸気滅菌による滅菌に適しており、及び周囲の温度での長期間の貯蔵中もまた安定である。
【0019】
この目的を満たすために、本発明の第一態様に従って、鉄オリゴ糖化合物が提供され、その化合物は鉄オキシ水酸化物と安定に会合した水素化オリゴ糖を含み、その水素化オリゴ糖は重量平均分子量(Mw)が3,000ダルトン未満であり、好ましくは約1,000ダルトンであり、水素化オリゴ糖の総重量に基づいて、上記水素化オリゴ糖の二量体糖類の含有量は2.9重量%以下である。
【0020】
例として、本発明に従って使用される水素化オリゴ糖の製造のための出発物質はデキストラン1であり得、ヨーロッパ薬局方、登録01/2009:1506を満たす。ヨーロッパ薬局方によれば、この出発物質は以下の仕様を持つ:重量平均分子量(Mw):850から1150ダルトン、一又は二糖(すなわち二量体)単位の画分:15%未満、及び9糖単位以上の画分:20重量%未満。通常、デキストラン1の二量体糖の量は8重量%近傍である。例えば膜濾過によって低分子を除くことで、2.9重量%以下の望まれる量の二量体糖が得られる。
【0021】
本文脈及び以下において、「重量平均分子量」及び「数平均分子量」という用語は、単量体以上の全てのオリゴ糖分子に基づき、複合体形成が起きる時のオリゴ糖のそれぞれの分子量と解釈されるべきである。
【0022】
鉄(III)オキシ水酸化物と安定な会合に入るオリゴ糖の二量体の量は最終化合物の安定性に関する鍵因子であり、その効果は非常に非線形的に発揮されることが驚くべきことに見いだされている。通常、鉄(III)オキシ水酸化物は本発明による鉄糖の組成物で唯一の構成成分である。しかしながら、磁気機能を有する造影剤等の所定の適用に対して、酸化鉄(II)及び鉄(III)オキシ水酸化物の混合物を使用することが望まれる。本発明の鉄オリゴ糖化合物はそのような混合物から調製された化合物を含む。
【0023】
本発明によれば、満足のいく安定性を提示するために、二量体の含有量は2.9重量%以下に下げられねばならない。従って、鉄と反応する前にオリゴ糖の二量体の量をコントロールすることで、安定な鉄オリゴ糖化合物が効果的に及びコスト効率高く提供される。デキストラン又はデキストリンの場合、双方ともα1,6−結合及びα1,4−結合を含むグルコース重合体であり、問題になっている二量体はイソマルトース(α1,6−結合で結合した2つのグルコース単量体)及びマルトース(α1,4−結合で結合した2つのグルコース単量体)である。
【0024】
好ましくは、上記の水素化オリゴ糖の単量体糖の含有量は、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、0.5重量%以下である。このことは、とりわけ、非経口投与製剤に存在するときに、単量体及び鉄の化合物からの遊離鉄の放出による毒性作用のリスクを最小にすることに役立つ。上記製剤にて、グルコース等の遊離の単量体糖の濃度の上昇もまたそれ自体好ましくないものであり得る。
【0025】
本発明の一実施態様にて、用いられる水素化オリゴ糖は500から3000ダルトンの重量平均分子量(Mw)で、500ダルトンより上の数平均分子量を持つ水素化デキストランであり、90重量%の上記デキストランは3500ダルトン未満の分子量であり、及び最も高い分子量を持つ10重量%画分のデキストランのMwは4500ダルトンより下である。好ましくは、デキストランは340から800ダルトンのカットオフ値を持つ膜処理を受けている。このようにして、望まれない副作用事故が最小となることを確かなものとしている。
【0026】
別の実施態様では、水素化オリゴ糖は500ダルトン以上の数平均分子量(Mn)を持つ水素化デキストリンであり、最高分子量を持つ上記水素化デキストリンの10%画分は4500ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を持ち、90%のデキストリンは3500ダルトン未満の分子量を持つ。上記デキストリンは低毒性及びデキストリンの溶液の容易で信頼性のある操作を可能とする適切な粘度を持つ。
【0027】
適切には、本発明による鉄オリゴ糖化合物は120から180kDの間の見かけの分子量(M)を持つ。好ましくは、見かけの分子量(M)は130から160kDの間である。
【0028】
見かけの分子量は、鉄オキシ水酸化物の安定溶液中の水素化オリゴ糖の粉末であって、その中の鉄(Fe)の量は25重量%である粉末400gを、1,000mlの水に溶かして調製され高圧蒸気滅菌した水溶液で計られることが示唆される。別の方法又は別の濃度で調製された本発明の化合物を含む溶液は、本方法から外れた見かけの分子量をもたらしうる。
【0029】
見かけの分子量はサイズ排除クロマトグラフィーを使用して計られる。カラムは極性のジオール基を含むシリカ粒子に基づいている。較正は標準としてデキストラン及び鉄デキストランを、及び溶離液として0.1%のアジ化ナトリウムを用いて行う。
【0030】
本発明の鉄オリゴ糖化合物の鉄の量は、最終組成物の使用目的に応じて異なり得る。一般に、鉄オリゴ糖化合物中の鉄の量は50重量%以下である。適切には、鉄オリゴ糖の量は10重量%より上である。
【0031】
一実施態様では、水素化オリゴ糖の二量体の含有量は2.5重量%以下であり、あるいは2.3重量%以下である。
【0032】
任意の特定の理論に拘束されることを望むことなく、少量の二量体は、オリゴ糖とFeOOHとの間の複合体を含むコロイド粒子に配位すると推測される。二量体の含有量が2.9%を超えると、二量体は見かけ上コロイド粒子の「溶解機」として働き、オリゴ糖とFeOOHとの化合物を不安定にし時間とともにゼラチン状にする。
【0033】
本発明の一実施態様では、鉄オリゴ糖化合物は、好ましくは10−50重量%の鉄含量を有する乾燥粉末の唯一又は部分的構成物質である。あるいは、鉄オリゴ糖化合物は水性液体に溶解または分散させ得て、好ましくは得られた溶液又は分散中に1−30%w/vの鉄含量を得る。注射液として使用されるとき、大量の鉄を含む液体は治療される患者に少量の液体が注射される必要があるという利点を提供し、治療される患者並びに治療を行う人にとって明らかに利点である。
【0034】
本発明の更なる態様で、組成物が提供され、上記組成物は本発明の第一態様による化合物を薬理学的に有効な量、ならびに少なくとも一の薬学的に許容される担体を含有する。その組成物は非経口、経口又はその他の投与形態に採用されうる。
【0035】
本発明による鉄オリゴ糖化合物を含む薬学的組成物は、当業者に良く知られた手順を使用して調製されうる。経口使用のための組成物の例は錠剤、カプセル剤、シロップ剤、ペースト及び混合物である。
【0036】
本発明による鉄オリゴ糖を含む薬学的組成物は、ビタミン、好ましくは水溶性ビタミン、例えばコバルト、銅、亜鉛又はセレン等の微量金属等の微量栄養素、静菌剤、又はタイロシン等の抗生物質等の付加的栄養剤又は薬学的製剤とともに処方されうる。水に難溶性のビタミンは適切な乳化剤の使用により、本発明による鉄オリゴ糖化合物を含む水溶液に乳化されさえしうる。
【0037】
本発明の更なる一態様によれば、鉄オリゴ糖化合物を調製する方法が提供され、その方法は、
(a)多糖類を、その分子量を減少させるために加水分解し、
(b)得られたオリゴ糖を水素化して、官能性アルデヒド基をアルコール基へ転換し、
(c)精製画分が3,000ダルトン以下の重量平均分子量を有するように、分子量に従って水素化オリゴ糖を分画し、
(d)水溶液として得られた分画された水素化オリゴ糖を少なくとも一水溶性の鉄塩と組み合わせ、
(e)得られた水溶液に塩基を添加して、水酸化第二鉄を形成し、
(f)得られた塩基性溶液を加熱して、水酸化第二鉄を上記オリゴ糖に会合する鉄オキシ水酸化物に転換する工程を含み、
工程(c)は340から800ダルトンのカットオフ値を持つ一以上の膜処理による精製手順を含み、その手順はオリゴ糖の精製画分の二量体糖含有量が水素化オリゴ糖の総重量に基づいて、2.9重量%以下に減少するまで続けられる。原理的には、精製は、例えばクロマトグラフ法といった分子量の狭い範囲への分画に適した、オリゴ糖の分画のための他の手順を使用して代わりに行うことができる。しかしながら、膜処理による精製が好まれる。いずれの場合も、沈殿に基づく伝統的な分画技術は、得られたオリゴ糖画分があまりにも拡散するため、本発明にとって適切な分画技術ではない。
【0038】
好ましくは、多糖類の初期分解は、硫酸、リン酸又は塩酸などの強い鉱酸を使用して、酸加水分解として実施される。
【0039】
好ましい実施態様では、得られるオリゴ糖の水素化は水溶液中の水素化ホウ素ナトリウムの添加により達成される。
【0040】
優先的に、オリゴ糖との鉄オキシ水酸化物の得られた会合は、好ましくはクエン酸塩から選択された、有機ヒドロキシ酸の少なくとも一塩の添加により安定化される。
【0041】
有利なことに、340から800ダルトンのカットオフ値を持つ一以上の膜処理による上記精製は、単量体の含有量が2.9%(w/w)以下に減少させられるまで続けられる。
【0042】
多糖類という用語は本文脈ではグルコースの単量体単位を含む任意の重合体を記述するために使用される。一実施態様によれば、適用した多糖類はデキストランである。
【0043】
デキストランは、2,700ダルトンより上の分子量のデキストランを阻むのに適したカットオフ値を持つ一以上の膜処理により工程(c)で好ましくは精製される。
【0044】
水酸化第二鉄を形成させるために、得られた水溶液に工程(e)にて塩基を添加する時、上記水溶液は好ましくは10より上のpHに調整する。
【0045】
工程(f)の加熱は、溶液が黒又は暗褐色のコロイド溶液に変わるまで100℃より高い温度で順調に実施し、それを中和後に濾過して一以上の安定剤を添加する。有用なフィルターは0.45μmフィルターである。上記安定剤の添加前に、溶液はまた更なる精製、及び、濾過、加熱及び膜処理を使用した安定化を受けうる。
【0046】
最終的に、好ましい実施態様では得られた塩基性溶液は乾燥され得て、安定粉末として鉄−デキストラン化合物を得る。あるいは、注射液がその中間の乾燥無しで精製溶液から生産できるように、乾燥操作は省略されうる。粉末は、鉄−デキストラン化合物中の鉄(Fe)の量を50重量%以下で適切に含有する。
【0047】
もう一つの実施態様によれば、採用された多糖類はデンプン、又はデキストリンである。デキストリンは通常、酸、塩基又は酵素等の既知の脱重合手法を使用するデンプンの脱重合により作られる。起源に依存して、デンプンはポリグルコース鎖の分岐点に位置する所定量のα1,6−グルコシド結合を含む。従って、デキストリンもまたα1,6−グルコシド結合を同様に低い割合で含みうる。デンプンの脱重合のための条件に調整することで、これらの結合様式間の比率が起源のデンプン及び調製されたデキストリンの間で異なるように、α1,4−グルコシド結合又はα1,6−グルコシド結合の切断を支持することが可能であり得る。
【0048】
デンプン及びデキストリンの特徴的な特性の一はそれらのゲル化特性である。デキストランに対して、デンプン及び高級デキストリンは適度な濃度においてさえ半固体化し、操作を一層難しくしている。
【0049】
分子量が加水分解により減少するとき、デンプン及びデキストリンのゲル化傾向は和らぐ。しかしながら、小さいデキストリンは、(上記を参照)、会合複合体中で鉄と組み合わさると毒性問題を引き起こしうるため、加水分解は非常に広範であるべきではない。好ましくは、デンプンはヨウ素との強い色の複合体を形成しなくなるまで加水分解する。この程度に加水分解されたデンプン溶液は、望まれる分子サイズ範囲のデキストリンを多量に含み、容易で正確な操作を可能にするのに十分低い粘度を示す。デンプンの加水分解のためには塩酸が好ましい酸である。
【0050】
鉄と組み合わせる前に、デキストリンの還元能力を減少させる。これはデキストリンの末端アルデヒド基をアルコールに水素化することでなしうる。この還元は良く知られた手順を用いて実施されうる。水素化ホウ素ナトリウムを使用する水素化が好まれる。水素化の後、デキストリンの還元能は銅酸化法により決定した3.0%未満であるべきである。
【0051】
好ましい実施態様では、工程(c)でデキストリンを精製して500ダルトン以上の数平均分子量(Mn)を得て、最高分子量を持つ上記水素化デキストリンの10%画分は4,500ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を持ち、90%のデキストリンは3,500ダルトン未満の分子量を持つ。
【0052】
とりわけ好ましい実施態様では、デキストリンの10%画分は、4,000ダルトン未満の重量平均分子量を持ち、90%のデキストリンは3,000ダルトン未満の分子量を持ち、最も低い分子量を持つ10%画分は、800ダルトン以上の重量平均分子量を持つ。そうした分子量分布のデキストリンは適切な粘度を示し、安全で安定な鉄との会合複合体を提供する。
【0053】
工程(d)で、水溶液として精製されて水素化されたデキストリンは少なくとも一水溶性鉄塩と組み合わされ、その好ましい実施例は塩化第二鉄である。
【0054】
工程(e)で、水酸化第二鉄を形成するために、得られた溶液に塩基を添加し、好ましくは8.5より上のpHを得る。
【0055】
得られた塩基性溶液は工程(f)で加熱して、水酸化第二鉄をデキストリンと会合する鉄オキシ水酸化物に変換し、及び好ましくは溶液が黒又は暗褐色のコロイド溶液に変わるまで加熱を85℃より高い温度で行い、中和後濾過し、及び一以上の安定剤を添加する。上記安定剤の添加前に、溶液はまた更なる精製及び、濾過、加熱及び膜処理を使用した安定化を受けうる。
【0056】
最終的に、好ましい実施態様では、得られた塩基性溶液は乾燥され得て、安定粉末として鉄−デキストラン化合物を得る。あるいは、注射液がその中間の乾燥無しで精製溶液から生産できるように、乾燥操作は省略されうる。
【0057】
本発明の更なる態様によれば、本発明の第一態様による化合物の使用が、動物又は人間の患者における鉄欠乏性貧血の予防又は治療のための非経口又は経口投与可能な治療のための組成物の製造のために提供される。
【0058】
本発明のその他の実施態様によれば、3,000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を持ち、及び2.9重量%以下の二量体糖の含有量、及び好ましくは0.5重量%以下の単量体の含有量を持つ水素化オリゴ糖が提供される。上記オリゴ糖は、本発明の第一態様による鉄オリゴ糖化合物の生産における中間体である。
【0059】
本発明の付加的態様によると、本発明の前の態様による上記中間体の水素化オリゴ糖の調製のための方法が提供され、その方法は、
(a)多糖類を、その分子量を減少させるために加水分解し、
(b)得られたオリゴ糖を水素化して、官能性アルデヒド基をアルコール基へ転換し、
(c)精製画分が3,000ダルトン以下の重量平均分子量を有するように、分子量に従って水素化オリゴ糖を分画する工程を含み、
工程(c)は340から800ダルトンのカットオフ値を持つ一以上の膜処理による精製手順を含み、その手順はオリゴ糖の精製画分の二量体糖含有量が水素化オリゴ糖の総重量に基づいて、2.9重量%以下に減少するまで続けられる。好ましくは、上記精製はオリゴ糖の精製画分中の単量体の含有量が0.5重量%以下に減少するまで続けられる。
【0060】
本発明の更なる態様によれば、本発明の第一態様による化合物を含む注射液の製造のための方法が提供され、その方法では乾燥粉末としての鉄オリゴ糖化合物を水性媒体に溶解し、pHを調整し、必要あらば、任意で安定剤を添加し、及びその液体をアンプル又はバイアルに充填する前に濾過により、又はそのアンプル又はバイアルに充填後に高圧蒸気滅菌処理により滅菌する。
【0061】
あるいは、上記化合物を含む液体を精製し、鉄含量及びpHに関して調整し、安定化させ、アンプル又はバイアルに充填する前に濾過により、又はそのアンプル又はバイアルに充填後に高圧蒸気滅菌処理により滅菌する。
【0062】
本発明による鉄オリゴ糖化合物は水に溶解性が高く、多量の鉄を含む注射剤の調製を可能としている。本発明の一実施態様によれば、1−20%(w/v)の鉄を含む、ヒトに投与のために適した注射剤が提供される。その他の実施態様では10−30%(w/v)の鉄を含む、動物に投与のために適した注射剤を提供する。
【0063】
本発明による鉄オリゴ糖化合物の溶液は、溶液の実質的な物理的変化無しに高圧蒸気滅菌により滅菌できる。従って、複合体の分子量又は溶液の粘度がほとんど変化せずに、溶液は高圧蒸気滅菌されうる。
【0064】
鉄オリゴ糖化合物の水溶液は、高圧蒸気滅菌、滅菌下での又は保存剤の添加下で0.2−0.5ミクロンフィルターを通す濾過等の任意の評価された保存技術を使用することで保存されうる。保存剤の一例として、0.5%のフェノールをあげることができる。
【0065】
しかしながら、高圧蒸気滅菌は本発明による化合物の水溶液を保存するために好ましい方法である。特に好ましいのは、121−135℃で5−40分間の高圧蒸気滅菌である。
【0066】
本発明による鉄オリゴ糖化合物の水溶液は優れた安定性を示し及びゲル化又は沈殿による等の貯蔵による劣化を受けにくい。
【0067】
本発明を以下の非限定的な実施例によって更に解説する。
【実施例】
【0068】
デキストランの加水分解及び水素化
【0069】
カットオフ値<5,000ダルトンを持つ膜から浸透して集めた事前に加水分解されたデキストランの量を更にpH1.5、温度95℃で加水分解する。
【0070】
加水分解はゲル濾過クロマトフラフィー(GPC)を使用して監視され、及び、加水分解される物質の分子量が望まれる値、すなわち700−1,400ダルトンの重量分子量に到達したと見積もられる時、冷却により終了させる。
【0071】
加水分解において、低分子量デキストランが産生するが、グルコース及びイソ−マルトースもまた形成される。加水分解により、二糖含有量は7−8重量%である。
【0072】
冷却及び中性化後、単量体及び二量体の量は340−800ダルトンのカットオフ値を持つ膜処理により減少する。溶液中の単糖及び二糖の濃度をゲル濾過クロマトフラフィーにより監視し、分画は二量体濃度が2.9重量%以下及びモノマー濃度が0.5重量%以下に達するまで行う。
【0073】
その後、デキストランの含量を旋光度により決定し、及び還元糖の量はソモギ試薬を使用して決定する。還元能を3%より下に下げるために、水素化ホウ素ナトリウムを塩基性pHで溶液に添加する。水素化ホウ素ナトリウム:分画したデキストラン、に適用した比率は:1:34.7である。
【0074】
溶液はpH<7.0に中和し続いて脱イオン化する。平均分子量及び分子量分布はクロマトフラフ上で決定する。クロマトフラフィーは望まれる条件、すなわち90重量%のデキストランは2,700ダルトン未満の分子量を有し及び最高分子量を持つデキストランの10重量%画分の重量平均分子量(Mw)は3,200ダルトンより下であることが満たされる。脱イオン化後のデキストランの最終収量は、事前に加水分解されたデキストランの初期量に対して約50%である。
【0075】
鉄−デキストランの合成
上記で生産した120kgデキストランを150kgのFeCl,6HOとともに18%溶液として混合する。攪拌した混合物に、93kgのNaCOを飽和水溶液として加え、すぐに24リッターの濃縮含水NaOH(27%(w/v))を用いてpHを10.5に上げる。
【0076】
こうして得た混合物は、黒又は暗褐色のコロイド溶液に変わるまで100℃より上の温度で加熱する。冷却後、溶液は12リッターの濃塩酸を用いて中性化しpH5.8を得る。濾過後溶液は、溶液の塩化物含有量が、5%(w/v)鉄を含む溶液をもとに計算して、0.55%未満になるまで膜処理を使用して精製する。
【0077】
溶液の塩化物含有量が等張液を得るために望まれるより少ない場合、塩化ナトリウムを添加しpHを最終的に5.6に調整し、及び溶液を0.45μm(又はその代わりに0.2μm)の膜フィルターを通して濾過する。
【0078】
溶液は噴霧乾燥し、鉄デキストラン粉末を市販のため又は更なる加工のために準備する。
【0079】
噴霧乾燥に代わる方法として、上記に記述したように、溶液は、例えば10%(w/v)の鉄含量を有する注射液を直接製造するために用いうる。
【0080】
注射又は点滴液を製造するために鉄−デキストラン粉末を使用する場合、粉末を水性溶媒に再溶解し、pHを確認し、及び必要あらば調整し、溶液を濾過により滅菌後にアンプル又はバイアルに満たす。あるいは、滅菌はアンプル又はバイアルに満たした後に高圧蒸気滅菌により行うことができる。
【0081】
二量体含有量に関連した鉄オリゴ糖化合物の安定性の分析
二糖の異なる含有量を持つ様々な鉄オリゴ糖化合物を、加水分解速度及び見かけの分子量に関して、その双方とも各化合物の品質指標であるが、分析した。
【0082】
酸性溶液(0.24MのHCl;0,9%のNaCl)中のFeOOHとオリゴ糖との化合物由来のFe3+の加水分解速度は鉄の生理的放出速度と相関していると仮定する。従って、半減期(t1/2)で表される加水分解速度は調べられる化合物の重要なパラメーターである。
【0083】
Fe3+の加水分解は287.3nmで光学的吸収により計測した。
【0084】
その他、鉄オリゴ糖の熱安定性は見かけの分子量(M)の関数であることが見いだされた。従って、試験溶液として3ヶ月間高温で保存し、見かけの分子量が160,000ダルトンの値を顕著に超過した場合、そのような化合物は不満足な程度に不安定である。
【0085】
結果を表1に示す。

【0086】
表1から分かるように、オリゴ糖中の二量体の量が3%未満のとき、見かけの分子量は望まれる範囲に、すなわち約130kDから160kDにある。同じことは、半減期により表された加水分解速度に当てはまる。半減期(t1/2)は吸光度がt=0での吸光度と比較し半分の値となる時間として定義される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
上記の表1に示した結果は2つの数列に並べられうる。結果をt1/2と二量体含有量の図表にプロットすると図1が現れる。2つの数列にフィットさせた2つの直線は、二量体含有量が3.5重量%及びt1/2が12.6時間にて交差を示している。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄オキシ水酸化物と安定して会合した水素化オリゴ糖であって、3,000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有する水素化オリゴ糖を含む鉄オリゴ糖化合物において、上記水素化オリゴ糖中の二量体糖の含有量が、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、2.9重量%以下であることを特徴とする化合物。
【請求項2】
上記水素化オリゴ糖中の単量体糖の含有量が、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
上記水素化オリゴ糖は、500から3,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)、500ダルトンを越える数平均分子量を有する水素化デキストランであり、上記デキストランの90重量%は3,500ダルトン未満の分子量を有し、最高分子量を有するデキストランの10重量%画分の分子量は、4,500ダルトンより小さい、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
上記水素化オリゴ糖は、500ダルトン以上の数平均分子量(Mn)を有する水素化デキストリンであり、最高分子量を有する上記水素化デキストリンの10重量%画分は4,500ダルトン未満の重量平均分子量を有し、90%のデキストリンは3,500ダルトン未満の分子量を有する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
重量平均分子量(Mw)が1,600ダルトン以下で、数平均分子量(Mn)が1,600ダルトン以下である、請求項1から4の何れかに記載の化合物。
【請求項6】
鉄オキシ水酸化物の安定溶液中の水素化オリゴ糖の粉末であって、その中の鉄(Fe)の量が25重量%である粉末400gを、1,000mlの水に溶かして調製した高圧蒸気滅菌した水溶液で計測して、上記化合物の見かけの分子量(M)が、120,000から180,000ダルトンである、請求項1から5の何れかに記載の化合物。
【請求項7】
鉄オリゴ糖化合物中の鉄(Fe)の量が50重量%以下である、請求項1から6の何れかに記載の化合物。
【請求項8】
水素化オリゴ糖中の二量体糖の含有量が、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、2.5重量%以下である、請求項1から7の何れかに記載の化合物。
【請求項9】
水素化オリゴ糖中の二量体糖の含有量が、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、2.3重量%以下である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1から9の何れかに記載の薬理学的に有効な量の化合物と、少なくとも一の薬学的に許容される担体を含有する組成物。
【請求項11】
鉄オリゴ糖化合物を調製する方法であり、
(a)多糖類を、その分子量を減少させるために加水分解し、
(b)得られたオリゴ糖を水素化して、官能性アルデヒド基をアルコール基へ転換し、
(c)精製画分が3,000ダルトン以下の重量平均分子量を有するように、分子量に従って水素化オリゴ糖を分画し、
(d)水溶液として得られた分画された水素化オリゴ糖を少なくとも一の水溶性の鉄塩と組み合わせ、
(e)得られた水溶液に塩基を添加して、水酸化第二鉄を形成し、
(f)得られた塩基性溶液を加熱して、水酸化第二鉄を上記オリゴ糖に会合する鉄オキシ水酸化物に転換する工程を含む鉄オリゴ糖化合物を調製する方法において、
工程(c)は340から800ダルトンのカットオフ値を持つ一以上の膜処理による精製手順を含み、その手順はオリゴ糖の精製画分中の二量体糖含有量が、水素化オリゴ糖の総重量に基づいて、2.9重量%以下に減少するまで続けられることを特徴とする方法。
【請求項12】
上記精製は、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、オリゴ糖の精製画分の単量体糖の含有量が0.5重量%以下に減少するまで続けられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記多糖類がデキストランである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
工程(c)の上記デキストランが分子量2,700ダルトンより上のデキストランを阻むのに適したカットオフ値を有する一以上の膜処理により精製される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
工程(e)において、得られた溶液が上記塩基の添加により10より上のpHに調整される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
工程(f)において、加熱は溶液が黒又は暗褐色のコロイド溶液に変わるまで100℃より上の温度で実施され、そのコロイド溶液を中和後にフィルターを通して濾過し、すぐに一以上の安定剤を添加する、請求項13から15の何れか一に記載の方法。
【請求項17】
得られた水溶液が乾燥されて、得られる鉄デキストラン化合物を安定な粉末として得る、請求項13から16の何れか一に記載の方法。
【請求項18】
鉄デキストラン化合物中の鉄(Fe)の量が50重量%以下である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
上記多糖類がデンプン又はデキストリンである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
工程(c)において、500ダルトン以上の数平均分子量(Mn)を得るために水素化デキストリンは精製され、そこで最高分子量を有する上記水素化デキストリンの10%画分は4,500ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有し、90%のデキストリンは3,500ダルトン未満の分子量を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程(c)において、得られる溶液が上記塩基の添加により8.5より上のpHに調整される、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
工程(f)において、加熱は溶液が黒又は暗褐色のコロイド溶液に変わるまで85℃より上の温度で実施され、そのコロイド溶液を中和後にフィルターを通して濾過し、すぐに一以上の安定剤を添加する、請求項18から21の任意の一に記載の方法。
【請求項23】
得られた水溶液が乾燥されて、得られる鉄デキストラン化合物を安定な粉末として得る、請求項19から22の任意の一に記載の方法。
【請求項24】
鉄デキストラン化合物中の鉄(Fe)の量が50重量%以下である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(b)の水素化は水溶液中で水素化ホウ素ナトリウムを使用して実施される、請求項11から24の何れか一に記載の方法。
【請求項26】
工程(f)に続く安定化は有機ヒドロキシ酸の少なくとも一の塩の添加により達成される、請求項11から25に記載の方法。
【請求項27】
有機ヒドロキシ酸の少なくとも一の塩はクエン酸塩から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
動物及びヒトの患者の鉄欠乏性貧血の予防又は治療のための非経口又は経口投与可能な治療組成物の製造のための請求項1から10の何れか一に記載の化合物の使用。
【請求項29】
3,000ダルトン未満の重量平均分子量(Mw)を有する水素化オリゴ糖において、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、上記水素化オリゴ糖が2.9重量%以下の二量体糖含有量を有することを特徴とする水素化オリゴ糖。
【請求項30】
水素化オリゴ糖の総重量に基づき、単量体糖の含有量が0.5重量%以下である、請求項29に記載の水素化オリゴ糖。
【請求項31】
水素化オリゴ糖の調製のための方法であり、
(a)多糖類を、その分子量を減少させるために加水分解し、
(b)得られたオリゴ糖を水素化して、官能性アルデヒド基をアルコール基へ転換し、
(c)精製画分が3,000ダルトン以下の重量平均分子量を有するように、分子量に従って水素化オリゴ糖を分画する水素化オリゴ糖の調製のための方法において、
工程(c)は340から800ダルトンのカットオフ値を持つ一以上の膜処理による精製手順を含み、その手順はオリゴ糖の精製画分の二量体糖含有量が水素化オリゴ糖の総重量に基づき、2.9重量%以下に減少するまで続けられることを特徴とする方法。
【請求項32】
上記精製は、水素化オリゴ糖の総重量に基づき、オリゴ糖の精製画分の単量体糖の含有量が0.5重量%以下に減少するまで続けられる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
請求項1から9の何れか一に記載の化合物を含む注射液を生産する方法であって、乾燥粉末としての化合物は水溶性溶媒に溶解され;必要あればpHを調整し;任意で安定剤を添加し;及び、アンプル又はバイアルに充填される前に、液体は濾過により滅菌し、又はそうしたアンプル又はバイアルに充填後に高圧蒸気滅菌処理により滅菌される方法。
【請求項34】
請求項1から9の何れか一に記載の化合物を含む注射液を製造する方法であって、上記化合物を含む液体は精製され、鉄含量及びpHに関して調整され、アンプル又はバイアルに充填される前に濾過により、又は上記アンプル又はバイアルに充填後に高圧蒸気滅菌処理により滅菌される方法。

【公表番号】特表2012−521369(P2012−521369A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501133(P2012−501133)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【国際出願番号】PCT/DK2009/050069
【国際公開番号】WO2010/108493
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511228241)ファーマコスモス ホールディング エー/エス (1)
【Fターム(参考)】