説明

安定なW/O/Wエマルジョン、及び化粧品及び/又は皮膚科学用組成物としてのその使用

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、安定な水/油/水の三重エマルジョンに関し、またその使用に関するものであり、特には化粧品、及び/又は皮膚科学分野におけるものに関し、その中でも特に皮膚、及び/又は粘膜、及び/又は角質繊維のクレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護の為の有効成分の制御放出に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エマルジョンの形態をとる局所用組成物の使用が、特に化粧品及び皮膚科学の分野で知られている。これらの組成物は、一般的に水中油(O/W)、又は油中水(W/O)のエマルジョンである。本発明はまた、水/油/水(W/O/W)型、又は油/水/油(O/W/O)型の多重エマルジョンに関する。多重エマルジョンの中でも水性外相、即ちW/O/Wエマルジョンが好ましくは使用されるが、これは水性外相中に存在する水に起因した適用時の新鮮さの利点と、比較的多量に存在する油に起因した心地よさの利点とを組み合わせたものである。
【0003】しかしながら、多重エマルジョンは時間とともに安定性の問題をしばしば呈するために、積極的には開発されてはいない。最もしばしば起る不安定化の機構は、内部の液滴から中間の油相を通過して水性外相へ水が移動することによるものであるが、これは油膜への水の単純拡散、又は油膜の優先的な破裂の何れかによって、内部の水滴が合体して内部の水を水性の外部環境へ放出することにより生じるものである。一般的に、この現象は多重性の消失として知られているが、巨視的に見ること可能な相分離が起き、三重エマルジョンの代りに単純なO/Wエマルジョンが生成して終了することとなる。
【0004】結果として、この欠点を軽減する種々の手段が講じられてきている。特に、解決法の一つは、水性内相又は水性外相中へ一以上のゲル状ポリマーを導入することからなっていて、このゲル状ポリマーは長期間において、内相から外相への水の移動を制限することを役割としている。しかしながら、得られる多重エマルジョンは粘性があり、また皮膚内に浸透するのに長時間を要するという欠点を示すが、これは多量のポリマーが存在するためであり、そのポリマー状構造のために皮膚表面に残るからである。
【0005】別の解決手段は、親油性の構造剤を油相中へ導入することにある。よって、資料FR−A−2,679,788では、不飽和直鎖状C8乃至C14の脂肪族アルコールであって、石けんを生じ、乳化するとゲル構造を与えるものの使用を推奨している。残念ながら、得られるエマルジョンの感触上の性質は満足のゆくものではなく、これは皮膚に適用すると蝋様になる傾向を有しているからである。更に、エマルジョン中に石けん分が存在すると、ソーピングという現象が起きるが、これは皮膚への適用時に白色化が起ることである。
【0006】更には、例えば資料WO−A−94/1073により示されるように、ポリオキシエチレン化鎖及び/又はポリオキシプロピレン化鎖を具備し、ポリマーであるが上記した欠点を有さない、シリコーンポリマーを三重エマルジョン中で使用することが知られている。しかしながら、この種の乳化剤には油相中にある量のシリコーン油が存在することが必要であり、よって三重エマルジョンにおける薬学的投与量の組成物を限定することとなる。更には、充分に安定な三重エマルジョンを得るためには、ゲル化剤を水相の一つに添加することがしばしば必要となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】よって、従来技術における欠点を有さず、特に皮膚への使用において心地よい一方で、例えば水性外相を有するエマルジョンの利点に寄与する、安定なW/O/W多重エマルジョンが必要とされている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本出願人は、ポリオキシエチレン化鎖及び/又はポリオキシプロピレン化鎖を具備し、一部のみが又は完全に架橋されたオルガノオポリシロキサンエラストマーを水/油/水(W/O/W)三重エマルジョンへ導入すると、他の安定化剤を付加することなく前記エマルジョンを安定かすることが可能であることを予期せず発見した。
【0009】従って本発明の主題は、水性外相並びに、W/O第一エマルジョンであって油相及び水性内相を有するものを具備するものであり、ポリオキシエチレン化鎖、及び/又はポリオキシプロピレン化鎖を具備し、一部のみが又は完全に架橋された、少なくとも一のオルガノポリシロキサンエラストマーを具備することを特徴とする水/油/水の三重エマルジョンである。
【0010】本発明の別の主題は、ポリオキシエチレン化鎖及び/又はポリオキシプロピレン化鎖を具備し、一部のみが又は完全に架橋された少なくとも一のオルガノポリシロキサンエラストマーを、水/油/水の三重エマルジョンを安定化させるために使用することである。
【0011】局所的な適用の場合には、本発明のエマルジョンは局所的に許容できる媒体、即ち皮膚、粘膜、及び/又は毛髪のような角質繊維に適合する媒体を具備する必要がある。
【0012】本発明の三重エマルジョンは、安定であり、特に水性内相中の有効成分の活性を保持することができるといった利点があるが、これは当該有効成分が皮膚、粘膜、及び/又は毛髪への組成物の適用時に放出されるからである。
【0013】本発明のエマルジョンにおいて使用することが可能である、一部のみが又は完全に架橋されたオルガノポリシロキサンエラストマーは、好ましくはエマルジョン中の油相へ導入される。これらは一般的には乳化剤である。これらは特に、出願EP−A−0,545,002に開示されている架橋済ポリマーより選択することができるが、本願ではこれを参照することにより本願に記載する。これらのオルガノポリシロキサンは以下の化合物(I)及び(II)の付加重合により得られる:(I)式(1)のオルガノヒドロポリシロキサン:(1)R1a2bcSiO(4-a-b-c)/2[式中、R1は、置換型又は非置換型、且つ、炭素原子数が1〜18のアルキル、アリル、若しくはアラルキル基、又はハロゲン化炭化水素含有基であり、R2は、式(3)で表わされる基であり、(3) −Cn2nO(C24O)d(C36O)e3[式中、R3は水素、1乃至10の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素含有基、又は−(CO)−R5基である]、[式中、R5は、1乃至5の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素含有基である];dは、2乃至200の整数であり、eは、0乃至200の整数であり、(但し、d+eは3乃至300の範囲にある数である)nは、2乃至6の数である];aは、不等式1.0≦a≦2.5を満たす値であり、bは、不等式0.001≦b≦1.0を満たす値であり、cは、不等式0.001≦c≦1.0を満たす値である];若しくは下記の式(2)で表わされるオルガノヒドロポリシロキサン:(2)R1fgSiO(4-f-g)/2[式中、R1は、式(1)中におけるものと同じであり、fは、不等式1.0≦f≦3.0を満たす値であり、gは、不等式0.001≦g≦1.5を満たす値である];又は式(1)及び式(2)のオルガノヒドロポリシロキサンの混合物;(II)式(A)で表わされるポリオキシアルキレン:(A) Cm2mO(C24O)h(C36O)im2m-1[式中、hは、2乃至200の整数であり、iは、0乃至200の整数であり、(但し、h+iは3乃至200の数である)mは、2乃至6の数である];若しくは下記の式(B)で表わされるオルガノポリシロキサン:(B) R1j4kSiO(4-j-k)/2[式中、R1は、式(1)中におけるものと同じであり、R4は、末端に不飽和脂肪族の結合を有し、炭素原子が2乃至10である、一価の炭化水素含有基であり、jは、不等式1.0≦j≦3.0を満たす値であり、kは、不等式0.001≦k≦1.5を満たす値である];又は式(A)のポリオキシアルキレン及び式(B)のオルガノポリシロキサンの混合物;ここで、前記付加重合反応の必須の成分として、式(1)のオルガノヒドロポリシロキサン、又は式(A)のポリオキシアルキレンが少なくとも一つ存在する。
【0014】オルガノポリシロキサンは、好ましくはシリコーン油、及び/又はポリオールと混合され、混合物として直接に調製される。シリコーン油としては、25℃において100cSt以下の粘度を示すものが好ましい。本発明の一態様によれば、オルガノポリシロキサンエラストマーは、上記した成分を100重量部と、25℃において100cSt以下の粘度を有するシリコーン油及び/又はポリオールを3乃至200重量部より調製される。シリコーン油としては揮発性のシリコーン油、不揮発性のシリコーン油、又は揮発性のシリコーン油と不揮発性のシリコーン油との混合物であってもよい。
【0015】本発明のオルガノポリシロキサンは特に、資料EP−A−545,002(又はUS−5,412,004)中の実施例3、4、及び8、並びに資料US−A−5,811,487の実施例の方法により得られる。
【0016】本発明の組成物のオルガノポリシロキサンは、一以上のオキシアルキレン化基、特にはオキシエチレン化(OE)基で、例えば1〜40のオキシアルキレン化単位、より好ましくは1〜20のオキシアルキレン化単位を有するものを具備しているが、これによりポリオキシアルキレン鎖、特にはポリオキシエチレン鎖を形成することが可能である。これらの基は、鎖の末端で突き出ていてもよく、又はシリコーン構造の二つの部分を接続するようになっていてもよい。これらの基を有する珪素原子の数はおおよそ1乃至10である。
【0017】本発明は特には、オキシエチレン化基を具備するオルガノポリシロキサンに関するものであるが、オキシプロピレン化基を具備するオルガノポリシロキサンにも関する。オルガノポリシロキサンはまた同時に、一以上のオキシエチレン化(OE)基を、例えば1乃至20個具備し、また一以上のオキシプロピレン化(OP)基を、例えば0乃至20個具備することができ、これらのオルガノポリシロキサンはまた、アルキルエトキシプロピレン化基を具備するオルガノポリシロキサンとしても知られている。オキシエチレン化基の数は、好ましくはオキシプロピレン化基の数よりも大きい。
【0018】ポリオキシエチレン化鎖及び/又はポリオキシプロピレン化鎖を具備する、一部のみが又は完全に架橋されたオルガノポリシロキサンとしては、例えばKSG21の名の下にシンエツより販売されている製品を挙げることができる。この製品は、オルガノポリシロキサンを38%と、粘度が6cStであるシリコーン油を62%とからなっている。別の例としては、オルガノポリシロキサンを33%と、粘度が6cStのシリコーン油を67%とからなる、資料US−5,412,004の実施例3の生成物が挙げられる。
【0019】本発明の三重エマルジョンにおいては、上記の一部のみが又は完全に架橋されたオルガノポリシロキサンは好ましくは、有効物質の量において三重エマルジョンの全重量の0.1乃至10%の範囲、より好ましくは1乃至5%の範囲で使用される。
【0020】上記した三重エマルジョンの水性外相は好ましくは、12より大きいHLB(親水性親油性バランス)を有する少なくとも一の非イオン性界面活性剤を具備し、また前記の第一エマルジョンは、HLBが8未満の、少なくとも一の非イオン性界面活性剤を具備している。
【0021】前記の三重エマルジョン中に適宜存在する、HLBが12よりも大きい非イオン性界面活性剤は、特にエトキシ化又はエトキシ化/プロポキシ化脂肪族アルコールであって脂肪鎖の炭素原子が12乃至22個のものや、PEG−16ソーヤステロール又はPEG−10ソーヤステロールなどのエトキシ化ステロールや、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックポリマー(ポロキサマー)や、これらの混合物から選択される。中でもエトキシ化ステロール及びポロキサマーが好ましく使用される。
【0022】水性外相内の界面活性剤の量は、例えば三重エマルジョンの全重量の0.5乃至5%の範囲、好ましくは1乃至3%の範囲で変化させることが可能である。HLBが8未満の非イオン性界面活性剤は特に、モノ-、ジ-、又はトリ-グリセリルと、モノ-、ジ-、又はトリ- イソステアリン酸又はオレイン酸とのエステル等のグリセリルエステルや、ショ糖又はメチルグルコース、とモノ-、又はジ- イソステアリン酸又はオレイン酸とのエステルのような糖エステルや、オレイル−又はイソステアリル− ポリグルコシド等のアルキルポリグルコシドエーテルや、これらの混合物から選択される。中でも糖エステルとアルキルポリグルコシドエーテルが好ましく使用される。
【0023】本発明の第一エマルジョン中の界面活性剤の量は、例えば前記三重エマルジョンの全重量の0.01乃至5%の範囲、より好ましくは0.5乃至3%の範囲で変化させることが可能である。
【0024】前記の第一エマルジョンの油相は、動物起源の油、植物起源の油(杏仁油)、鉱物油(流動ワセリン)、合成油(イソヘキサデカン)、フッ素化油、ワックス、特にシリコーンワックス、シリコーンゴム、又はシリコーン樹脂から選択される一以上の脂肪性物質を具備している。
【0025】脂肪性物質の量は好ましくは、前記三重エマルジョンの全重量の2乃至40%であり、より好ましくは5乃至30%である。
【0026】前記の第一エマルジョンは例えば、三重エマルジョンの全重量の5乃至70%、好ましくは10乃至65%とすることができる。
【0027】前記三重エマルジョンは通常、第一エマルジョンを調製して、該第一エマルジョンを予め決めておいた量で水性外相へ導入することにより調製される。
【0028】上述したように、本発明のエマルジョンの主要な利点の一つは、後者は安定性を保持しつつも化粧料と治療上の有効成分の両方を具備することが可能であり、よってこれらの有効成分を特に化粧品、皮膚科学、又は医学の分野で今日までに通常使用されている全てのものの中から選択することが可能であることである。
【0029】よって本発明の別の主題は、上記したエマルジョンと少なくとも一の有効成分を具備することを特徴とする局所用組成物である。
【0030】有効成分としては特に、グリセロール、グリコール、及び糖誘導体のようなポリオールや、サリチル酸及びその誘導体のようなβ−ヒドロキシ酸や、乳酸及びグリコール酸のようなα−ヒドロキシ酸や、スクリーニング剤や、蛋白質加水分解物のような保湿剤や、ビタミンEのようなビタミンや、これらの混合物などが挙げられる。
【0031】更に本発明の組成物によれば、酸化媒体中で不安定ないかなる有効成分も安定化することが可能になるが、酸化媒体中で不安定な有効成分としては特に、ビタミン類、具体的にはアスコルビン酸(ビタミンC)とその誘導体、より具体的にはそのグリコシル誘導体及びリン酸塩誘導体や、アスコルビン酸についての酢酸エステル、パルミチン酸エステル、及びプロピオン酸エステル等のエステルが挙げられ、或いはレチノール(ビタミンA)とその誘導体、特にはレチノイン酸についての酢酸エステル、パルミチン酸エステル、及びプロピオン酸エステルなどのエステルが挙げられ、更には、尿素、ルチン、酵素(リパーゼ、プロテアーゼ、ホスホリパーゼ、セルラーゼ等)、天然エキス(緑茶、バルサムエキス、タイムエキス等)、プロシアニドールオリゴマー(PCO)(サンザシPCO、マツPCO、及びグレープシードPCO等)、酸(コージ酸、カフェイン酸、レチノイン酸、及び誘導体)、ベンゼン−1,4−ジ(3−メチリデン−10−ショウノウスルホン酸)、カロテノイド(例えばα−、β−及びγ−カロテンや、β,φ−カロテン、ζ−カロテン、β,λ−カロテンや、リコペン(ψ,ψ−カロテン)等のカロテン)や、ポリ不飽和脂肪酸(ガンマ−リノレン酸等)や、これらの混合物が挙げられる。
【0032】更に、上記した有効成分、特に植物抽出物、とりわけ果実の抽出物を具備することが可能である、いかなる天然物及びいかなる合成化合物でもよい。
【0033】本発明の組成物は、ビタミン類、特にビタミンCとビタミンAと、カロテノイド類、特にはリコペンとを安定化する利点がある。
【0034】本発明の組成物中の有効成分の量は、使用する有効成分の種類と所望の目的に依存する。概して、有効成分又は成分は本発明の組成物中においては、該組成物の全重量に対して0.01乃至20重量%の範囲、好ましくは0.04乃至15%の範囲、より好ましくは0.1乃至10重量%の範囲の量で使用することが可能である。
【0035】使用する有効成分の親水性又は親油性の性質に応じて、後者を組成物中の油相へ導入するか、又は水相の一つ、好ましくは水性内相へ導入する。
【0036】本発明のW/O/Wエマルジョンは、種々の局所用に適用することが可能であり、特に化粧料的適用及び/又は皮膚科学的適用に使用することが可能である。このエマルジョンに基づく組成物は、特に皮膚、粘膜、及び/又は毛髪、とりわけ顔面、首、手、毛髪、頭皮、又はボディー用のみならずまつげ用のクレンジング、保護、処置、及び/又は手入れ用の組成物を構成する。
【0037】よって本発明の別の主題は、本発明の組成物を皮膚、及び/又は粘膜、及び/又は角質繊維、即ち毛髪及び/又はまつげをクレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護するための化粧料として使用することにある。
【0038】本発明の別の主題は、本発明の組成物を皮膚、及び/又は粘膜、及び/又は角質繊維、即ち毛髪及び/又はまつげをクレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護するために使用することにある。
【0039】本発明の別の主題は、上記した組成物を皮膚、粘膜、及び/又は角質繊維に適用することからなることを特徴とする、皮膚、粘膜、及び/又は角質繊維をクレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護する化粧方法である。
【0040】本発明の組成物は特に、顔面、手、又は足を保護、処置、又は手入れするためのクリーム、ボディーを保護又は手入れするためのボディーミルクや、皮膚、粘膜、毛髪及び頭皮を手入れするためのローション、ジェル、又はフォームを構成することが可能である。
【0041】本発明の組成物はまた、既知の方法によって化粧品又は皮膚科学分野における標準的な親油性又は親水性のアジュバントを含ませることが可能であるが、このアジュバントの例としては、界面活性剤、特に気泡性の界面活性剤、保存料、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、溶剤、香料、賦形剤、スクリーニング剤、臭い吸収体、顔料、及び脂質小胞が挙げられる。これらの種々の品目の量は、考慮する分野で通常使用されているものであり、例えば組成物の全重量の0.01乃至15%である。イオン性又は非イオン性の脂質より形成される脂質小胞を具備することも可能である。
【0042】これらのアジュバントはその性質により、油相、又は水相のうちの一つへ導入することができる。
【0043】以下に示される、本発明の組成物についての実施例は例示するために示すものであり、限定する性質を有するものではない。使用される量は重量%で示してある。
【0044】
【発明の実施の形態】
実施例1:エマルジョン 1.第一エマルジョン A相 ジオレイン酸メチルグルコース 1.5% 流動パラフィン 3.8% 杏仁油 4.2% イソヘキサデカン 3.6% シクロヘキサメチルシロキサン 4.5% KSG21(28%のA.M.含有) 2.4% B相 硫酸マグネシウム 0.4% グリセロール 3% 水 39.2% 2.三重エマルジョン A相 第一エマルジョン 62.6% B相 セチルアルコール 0.7% PEG−10ソーヤセテロール 2% 保存料 0.5% 香料 0.3% 脱ミネラル化水 残部(全100%)
KSG21をジメチコーン・コポリオール(シクロメチコーン中で10%)で置き換えて、実施例1のものと同等の組成物を調整した。得られた組成物は単純なエマルジョンであり、三重エマルジョンではなかった。このことは、本発明による組み合わせのみによって、安定な三重エマルジョンを得ることが可能であることを示している。
【0045】
実施例2:エマルジョン 1.第一エマルジョン A相 ジオレイン酸メチルグルコース 1.5% 流動パラフィン 3.8% 杏仁油 4.2% イソヘキサデカン 3.6% シクロヘキサメチルシロキサン 4.5% KSG21(28%のA.M.含有) 2.4% B相 硫酸マグネシウム 0.4% グリセロール 10% ビタミンC 3% 水 29.2% 2.三重エマルジョン A相 第一エマルジョン 62.6% B相 セチルアルコール 0.7% PEG−10ソーヤセテロール 2% 保存料 0.5% 香料 0.3% 脱ミネラル化水 残部(全100%)
【0046】
実施例3 1.第一エマルジョン A相 シリコーン油 cSt 12% 資料US−5,412,004中の 実施例3のオルガノポリシロキサン 18% (約6%のA.M.)
B相 硫酸マグネシウム 0.7% 水 残部(全100%)
2.三重エマルジョン A相 第一エマルジョン 80% B相 ポロキサマー407 0.8% (ICI協会より入手のシンパーオニックPE/F)
保存料 0.5% 脱ミネラル化水 残部(全100%)
安定な三重エマルジョンが得られた。
【0047】
実施例4:エマルジョン 1.第一エマルジョン A相 シリコーン油 12% 資料US−5,412,004中の 実施例3のオルガノポリシロキサン 18% (約6%のA.M.)
B相 硫酸マグネシウム 0.7% 水 残部(全100%)
2.三重エマルジョン A相 第一エマルジョン 80% B相 セチルアルコール 0.7% PEG−10ソーヤステロール 2% 保存料 0.5% 脱ミネラル化水 残部(全100%)
安定な三重エマルジョンが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水性外相と、油相及び水性内相を具備したW/O第一エマルジョンとを具備する水/油/水の三重エマルションであって、ポリオキシエチレン化鎖を具備する、一部のみが又は完全に架橋された、少なくとも一のオルガノポリシロキサンエラストマーを具備し、前記オルガノポリシロキサンエラストマーが以下の化合物(I)及び(II):(I)式(2)で表わされるオルガノヒドロポリシロキサン:(2)RSiO(4−f−g)/2[式中、Rは、メチル基であり、fは、不等式1.0≦f≦3.0を満たす値であり、gは、不等式0.001≦g≦1.5を満たす値である];及び(II)式(A)で表わされるポリオキシアルキレン(A) C2m−1O(CO)2m−1[式中、hは、1乃至20の整数であり、mは、2乃至6の数である];
の付加重合により得られることを特徴とするエマルジョン。
【請求項2】 前記のオルガノポリシロキサンがシリコーン油、及び/又はポリオールと混合されることを特徴とする請求項1記載のエマルジョン。
【請求項3】 前記のシリコーン油が、25℃において100cSt以下の粘度を有することを特徴とする請求項2記載のエマルジョン。
【請求項4】 前記のシリコーン油が25℃において6cStの粘度を有することを特徴とする請求項3記載のエマルジョン。
【請求項5】 前記のシリコーン油が揮発性のシリコーン油、若しくは不揮発性のシリコーン油、又はこれら二つの混合物であることを特徴とする請求項4記載のエマルジョン。
【請求項6】 前記のオルガノポリシロキサンが、三重エマルジョンの全重量の0.1乃至10%の範囲で含まれることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項7】 前記の水性外相が、12より大きいHLBを有する少なくとも一の非イオン性界面活性剤を具備することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項8】 前記の非イオン性界面活性剤が、エトキシ化若しくはエトキシ化/プロポキシ化された脂肪族アルコールであって12乃至22の炭素原子を有する脂肪鎖を有するもの、エトキシ化ステロール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・ブロックポリマー、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項7記載のエマルジョン。
【請求項9】 前記の第一エマルジョンは、HLBが8未満の非イオン性界面活性剤を具備することを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項10】 前記の非イオン性界面活性剤が、グリセリルエステル、糖エステル、アルキルポリグルコシドエーテル、及びこれらの混合物より選択されることを特徴とする請求項9記載のエマルジョン。
【請求項11】 前記の油相が、動物起源の油、植物起源の油、鉱物油、合成油、フッ素化油、ワックス、シリコーンゴム、シリコーン樹脂から選択される一以上の脂肪性物質を具備することを特徴とする請求項1乃至10の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項12】 前記の脂肪性物質の量が、三重エマルジョンの全重量の2乃至40%の範囲であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項13】 前記の第一エマルジョンが三重エマルジョンの全重量の5乃至70%の範囲にあることを特徴とする請求項1乃至12の何れか一項に記載のエマルジョン。
【請求項14】 請求項1乃至13の何れか一項に記載のエマルジョン、及び少なくとも一の有効成分を具備することを特徴とする局所用組成物。
【請求項15】 前記の有効成分が、ポリオール、ビタミン、β−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸、スクリーニング剤、保湿剤、酸化媒体中で不安定な有効成分、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項14に記載の組成物。
【請求項16】 前記の有効成分が、ビタミンC、ビタミンA、尿素、ルチン、酵素、天然エキス、プロシアニドールオリゴマー、カロテノイド、ポリ不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項14又は15記載の組成物。
【請求項17】 前記の有効成分が、組成物の全重量の0.01乃至20%の範囲内の濃度で含まれることを特徴とする請求項14乃至16の何れか一項に記載の組成物。
【請求項18】 保存料、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、溶剤、香料、賦形剤、スクリーニング剤、臭気吸収剤、着色料、及び脂質小胞から選択される親油性又は親水性のアジュバントを少なくとも一つ具備することを特徴とする請求項14乃至17の何れか一項記載の組成物。
【請求項19】 皮膚、及び/又は粘膜、及び/又は角質繊維を、クレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護するために請求項14乃至18の何れか一項に記載の組成物を化粧用として用いる使用。
【請求項20】 皮膚、及び/又は粘膜、及び/又は角質繊維を、クレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護するための組成物を調製するために請求項14乃至18の何れか一項に記載の組成物を配合することを備える使用。
【請求項21】 皮膚、粘膜、及び/又は角質繊維に対して、請求項14乃至18の何れか一項に記載の組成物を適用することからなることを特徴とする、皮膚、及び/又は角質繊維をクレンジング、及び/又は処置、及び/又は保護する美容方法。
【請求項22】 水/油/水の三重エマルジョンを安定化させるための、ポリオキシエチレン化鎖を具備し、一部のみが又は完全に架橋された少なくとも一のオルガノポリシロキサンエラストマーであって、以下の化合物(I)及び(II):(I)式(2)で表わされるオルガノヒドロポリシロキサン:(2)RSiO(4−f−g)/2[式中、Rは、メチル基であり、fは、不等式1.0≦f≦3.0を満たす値であり、gは、不等式0.001≦g≦1.5を満たす値である];及び(II)式(A)で表わされるポリオキシアルキレン(A) C2m−1O(CO)2m−1[式中、hは、1乃至20の整数であり、mは、2乃至6の数である];
の付加重合により得られるエラストマーの使用。

【特許番号】特許第3469127号(P3469127)
【登録日】平成15年9月5日(2003.9.5)
【発行日】平成15年11月25日(2003.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−136253
【出願日】平成11年5月17日(1999.5.17)
【公開番号】特開2000−34221(P2000−34221A)
【公開日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【審査請求日】平成11年5月17日(1999.5.17)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【氏名又は名称原語表記】LOREAL
【参考文献】
【文献】特開 平7−51561(JP,A)
【文献】特開 平9−175932(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開545002(EP,A1)