説明

安定化されたガス−過飽和エマルジョン及び懸濁液

【課題】過飽和ガスを含有するエマルジョン又は懸濁液を、ガス消耗環境へ送達する為の方法を提供する。
【解決手段】本発明は、この方法は、一般に、エマルジョン又は懸濁液を調製する工程、エマルジョン又は懸濁液を、2×105Pa(2bar)より高い圧力のガスに暴露する工程、及びエマルジョン又は懸濁液を、周囲圧力のガス消耗環境へ送達する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス−過飽和エマルジョン又は懸濁液の調製方法並びに、それを高圧環境からガス−消耗場所へ、キャビテーション(cavitation)又は発泡の瞬時の発生を伴う事なしに送達する為の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中において達成できる最大ガス濃度は、ヘンリーの法則に支配される。液体、例えば、水中での多くのガス(例えば、酸素又は窒素)の周囲圧力での相対的に低い溶解度は、それらが混合された時に液体中のガス濃度を低いものとする。然しながら、液体内でのガス濃度が、周囲圧力において、その溶解度を遥かに越える液体混合物のガスを使用するのが有利な多くの用途が存在する。
【0003】
液体エマルジョン内の液体又は液体懸濁液内の固体の高圧圧縮は、高溶解ガス濃度を達成する為に使用する事が出来るが、高圧貯蔵所から、1×105Pa(1bar)の環境への放出(ejection)によるこの過飽和液体の変動が、一般に、出口部分又はその近辺でのキャビテーション初生(cavitation inception)となる。この出口部分で発生する泡の急速な放出が、液体からガスの多くを抜き、その結果、液体内の高度のガス濃度が、高圧容器の外側の周囲圧力で、著しく減少する。更に、この流出液中の泡の存在は、乱気流を発生し、出口部分を超える流出液の流れを妨害する。
様々な用途が、出口部分又はその近辺でのキャビテーション初生を含む事のない方法で、高圧貯蔵所から周囲圧力環境へのガス−過飽和液体の放出から利益を受ける。
【0004】
例えば、有機材料及びプラント廃水、例えば、ペーパーミル及び化学プラントの廃水は、それらの廃水が水域へ安全に放出される前に溶解酸素濃度の増加を必要とする。米国特許第4,965,022号明細書は、同様のニーズが、又、市の廃棄物処理プラントでも起る事、及び養魚場は、高密度の水産養殖のニーズを満足させる為に溶解酸素レベルの増加を必要とする事を認めている。その他の用途については、米国特許第5,261,875号明細書において開示されている。
【0005】
水の酸素含有量を豊富にする為の方法については、多くの先行文献が存在する。例えば、米国特許第4,664,680号明細書は、液体と酸素含有ガス流とを連続的に接触させて、液体内での酸素吸収を効果的にする為に使用する事の出来る幾つかの通常タイプの装置を開示している。特に、液体内に導入される前に、溶解した酸素の早期開放を避ける為に、加圧可能な閉じ込められた流れの通路が使用される。その他の酸素飽和装置は、米国特許第4,874,509号明細書及び第4,973,558号明細書に開示されている。然しながら、これらの方法は、高圧貯蔵所から低圧環境に、ガス濃縮液体溶液を、出口部分又はその近辺での流出液中での泡の形成無しに如何にして放出するかの問題を解決しないままに残している。
【0006】
先の出願(出願番号第08/581,019号、1996年1月3日出願)において、本発明者は、高圧から低圧環境へ、キャビテーション無しにガス−過飽和液体を放出する方法を開示している。この方法は、液体を毛細管の溝を通して押出し、その溝の内側表面に沿うキャビテーション核(cavitation nuclei)を除去する為に圧縮する事から成る。50〜100MPa(0.5kbar〜1.0kbar)の圧力での静水圧圧縮は、キャビテーション核及び液体からの泡を迅速に除去する。ガス源が、液体の加圧及び、相対的に不溶性のガスの液体中での所望の濃度の達成の為の両方に使用される時は、一般に、ガス圧を、1MPa〜15MPa(10bar〜150bar)の範囲に維持する事が必要である。
【0007】
高濃度の酸素で飽和された水中でのキャビテーション初生の完全な不存在は、血液の酸素濃度を増加させながら毛細血管を閉塞させる泡の形成を避ける目的の為に、生体内において、その水の、静脈血又は動脈血への注入を可能にする。
【0008】
この毛細管チャンネル方法とは反対に、本発明は、ガス−過飽和エマルジョンと懸濁液の使用によって、毛細管チャンネル内での液体の圧縮の必要性を不要のものとする。
【発明の概要】
【0009】
高圧貯蔵所から相対的に低圧な環境(周囲圧力を含めた)へガス−過飽和液体を、瞬時のキャビテーション初生無しに輸送する為のエマルジョン又は懸濁液の使用方法が述べられる。
【0010】
相対的に高いガス溶解度を有する液体(又は、内部相として知られる)が、別の非相溶性液体又は、相対的に低いガス溶解度を有する半固体(担体又は外部相として知られる)内に微細小滴として懸濁されると、ガスの高水準の過飽和度が、得られるエマルジョン中において、周囲圧力でのガス消耗環境へのガスの放出によって達成される。同様に、固体粒子は、液体担体内に懸濁されて、同じ性質を持つ懸濁液を形成する(特に指示されない限り、液体エマルジョン中の液体に対する記述は、同様に、液体懸濁液中の固体に対する記述である)。ガス過飽和エマルジョンの形成の為の対象となる主なガスは、酸素、窒素、及び二酸化炭素である。
【0011】
一時的な高静水圧への暴露に関して、小さい寸法の小滴又は粒子は、小さな直径の毛細管によって用意されるのと同じ方法で、その小滴又は粒子に安定性を与える。一般に、微細小滴は、直径が約0.1ミクロン〜約10ミクロンである。
【0012】
この様に、エマルジョンを周囲圧力環境に放出した後、高水準の過飽和度で溶解しているガスは、その小滴又は粒子内のガスの相対的に高い濃度にも拘わらず、泡を形成しない。
【0013】
小滴又は粒子の担体は、高いガス分圧のもとで安定であるが、これは、担体の相対的に低いガス溶解度と静水圧圧縮後のガス核の不存在の為である。担体中での低いガス拡散係数は、小滴又は粒子から担体への、及びエマルジョンからガス消耗環境への両方のガスのゆっくりとした、遅い放出をもたらす。エマルジョンからのこの遅いガス放出及び担体中のガスの相対的に低い濃度にも拘わらず、エマルジョン中でのガスの高い分圧は、エマルジョンとガス欠乏表面との間に、高い推進圧力勾配を創り出す。
【0014】
出口部分又はその近辺におけるキャビテーション初生の欠如の結果として、ガス−過飽和エマルジョンの流れが、ガス欠乏部位へのエマルジョンの伝達により、ガス欠乏部位、例えば液体を、迅速且つ効率的に濃縮する為に使用できる。気相から液体への拡散によるガスでのガス欠乏液体の濃縮は、反対に、極端に遅い方法である。
流出液での泡の欠如は、更に、ガス欠乏部位への障害のない放出を可能とする。ガス−過飽和エマルジョンが、空中に放出される時、出口部分又はその近辺でのキャビテーション初生の欠如が、流出液をして、ガスで過飽和とされていない様な挙動を許す。即ち、放出された流れは、ガス核の急速な成長により、出口部分付近で拡散噴霧に分解することなく、そのままで残る。
【0015】
ガス−過飽和エマルジョンを形成する為の基本的な工程(同じ方法が、ガス−過飽和懸濁液の形成に適用される)は、エマルジョンを調製する工程、このエマルジョンを2×105Pa(2bar)より高い圧力のガスに暴露する工程、及びこのエマルジョンを、周囲圧力で、ガス消耗環境へ送達する工程である。一般に、エマルジョンは、5×105Pa〜20×105Pa(約5bar〜約20bar)の圧力のガス(対象となる主なガスは酸素である)に暴露される。エマルジョンは、7kg/cm2〜105kg/cm2(100psi〜1500psi)の分圧のガスに暴露中、数時間、急速に混合(例えば、約1600rpmで)できる。更に、エマルジョンは、ガスの分圧を更に増加させる為に、高圧静水圧ポンプへ送ることができる。
【0016】
エマルジョンは、加圧可能な容器の出口で、エマルジョンを約0.1〜約10ml/分で外側環境に送達する管を通して押出される。
【0017】
この種のエマルジョンは、皮膚や、傷口、又はその他の環境へ酸素を効率的に送達するのに使用する事が出来る。生物学的背景においては、エマルジョンと組織との接触により、その様な組織に到達する高水準の酸素は、様々な方法、例えば、コラーゲン合成、嫌気性バクテリアの成長抑制、及び好気性新陳代謝において有用なものである。過飽和酸素エマルジョンは、又、様々な医療用途の為の血液を酸素化する為に使用する事が出来る。エマルジョンは、血流中に直接注射されて、血液への酸素送達を増大させる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
エマルジョンの形成: エマルジョンを形成する為には、担体内に小滴として懸濁される液体及びその担体が選択されなければならない。エマルジョンの為の担体としては、任意の液体、又は、溶解されるガスの相対的に低い拡散速度を有する半固体が挙げられる。同じ方法を、液体担体内の粒子の懸濁液の形成に適用する。
【0019】
一般に、高粘度と低いガス溶解度を特徴とする液体は、それらの性質が、泡形成に対する液体の抵抗を増加させるので、最も有効な担体である。理想的には、担体の粘度は、1cps〜10cpsの範囲に在るべきである。通常使用される担体の例としては、グリセリン、ヒドロゲルの様なゲル、ワセリン、パラフィン及びワックスが挙げられる。
又、ゼラチンは、有効な担体を造る。例えば、5〜10重量%ゼラチンは、グルタルアルデヒド中で架橋されて水不溶性とされ、10×105Pa〜20×105Pa(10〜20bar)で酸素に暴露され、次いで、約一時間高静水圧、例えば、50〜1000MPa(0.5〜10kbar)で圧縮される。1×105Pa(1bar)の静水圧に放出しても、泡はゼラチン中に形成されず、>2000mmHgの表面pO2が、少なくとも20〜30分間維持された事が認められた。
この担体とは反対に、この担体中に懸濁される液体小滴又は固体粒子は、高いガス溶解度を持たなければならない。例えば、ペルフルオロ化学物質(PFC)の小滴は、ホットなゼラチン溶液をPFC小滴濃縮物に添加し、極僅か混合し、固化させる為に冷却する事によってゼラチン内に懸濁出来る。十分に高い酸素圧で、PFC小滴は、高濃度の酸素を吸収し、それらの小さな寸法の故に、1×105Pa(1bar)で安定性を維持する。同様に、ゼラチンは、粒子からの、及びゼラチンを通しての酸素欠乏部位への酸素のゆっくりとした拡散速度を用意する。この懸濁液が適用できる様な環境の一つに、生物学的組織がある。
【0020】
PFC小滴に加えて、濃縮酸素の安定な貯蔵所を用意する為に使用できるその他の小滴材料としては、脂質、リポソーム及び油(鉱物、ココナッツ及び植物油を含む油類)が挙げられ、その殆どが、水の溶解度に比べて、高い酸素溶解度を有する。
【0021】
本発明の懸濁液を調製するのに有用な固体粒子は、ポリマーから成る。これらのポリマーは、酸素の様なガスを、高圧条件下で吸収し、そのガスを、周囲圧力への暴露で、泡を形成する事無しに放出する事が分かった。好ましいポリマーとしては、ポリアクリルアミド(その非水和又は水和形態のいずれか)、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリソルベート、ポポリメチルメタクリレート及びそれらのコポリマーが挙げられる。好ましくは、固体粒子のサイズは、0.1〜10ミクロンの範囲内である。
又、任意の粒子又は小滴が、粒子又は小滴から担体への拡散速度を更に調節する半浸透性表面膜でマイクロ又はナノカプセル化できる。カプセル化は、周知の方法、例えば、コアセルベーション又は蒸着によって達成する事ができる。
【0022】
エマルジョンを形成する為に、水中に懸濁される所望の液体から成る市販のエマルジョンを利用する事ができる。このエマルジョンを遠心分離に掛け、上澄み液をデカンテーションした後、所望の小滴を、選択の担体に再懸濁する事ができる。同様に、懸濁液の形成では、粒子の懸濁液を遠心分離に掛け、上澄み液をデカントし、粒子を選択の他の担体に再懸濁する事ができる。
【0023】
好ましい実施態様 以下の実施例は、上記の原理を例示する為に用意される。その低い酸素溶解度(0.008cc O2/g/atm.)、相対的に高い粘度及び低い酸素拡散速度の理由で、担体としてグリセリンを選択した。更に、グリセリンは、生体適合性液体であり、従って、皮膚又は傷口への適用が許される。その高い酸素溶解度(0.5cc O2/g/atm.)、小さな粒子を形成する為のその固有の能力(一般に、0.5μm以下)、及びその生体適合性により、担体中に懸濁されるべき粒子として、ペルフルオロ化学物質(PFC)粒子が選択された。
【0024】
PFC/グリセリン懸濁液を調製する為に、前以って調製された市販のPFC/水性懸濁液を遠心分離に掛けた。遠心分離管の底に在るPFC粒子を、上澄み液をデカントした後にグリセリン中に再懸濁した。
PFC/グリセリン懸濁液(200ml)を、容量300mlのパー反応容器(Parr reactor vessel)に入れ、懸濁液を、羽根攪拌機で急速な混合の間に(約1600rpmで)、35〜105kg/cm2(500〜1500psi)の分圧の酸素に暴露した。高酸素分圧は、グリセリンを通過する酸素の拡散速度が遅い為に、何時間にもわたって懸濁液中に酸素を送り込む為に必要であった。
【0025】
高酸素分圧にも拘わらず、上記の処理及び、21kg/cm2(300psi)の酸素への一昼夜にわたる暴露(攪拌無し)後の懸濁液中に発生した酸素分圧は、10kg/cm2(約10atm)と推定された。この懸濁液を、ハスケル高圧静水圧ポンプへ、70kg/cm2(1000psi)の酸素分圧で送達した後、静水圧は843kg/cm2(12,000psi)に増加した。ポンプの出口では、内径0.2mm(0.009インチ)のステンレススチール管(長さ約100cm)が、懸濁液を外側の周囲環境へ、約0.2ml/分の流量で送達する為に使用された。
【0026】
ガラスビーカー、プラスチックテストチューブ、又は皮膚(手の皮膚の上にこの懸濁液を手で引き伸ばす事を含めて)に、この懸濁液を押出した後、懸濁液中に泡は形成されなかった。
【0027】
然しながら、懸濁液中のpO2は、ポーラログラフ型膜pO2電極(Diamond General,Ann Arbor社製)での測定では、空気だけに暴露されたグリセリンにおいて認められたよりも約10倍高かった。懸濁液の1mlのアリコートは、1×105Pa(1bar)での容積変化を測定する為に水銀カラムと連結され、同時にプロトタイプチタニウムプローブ(その末端部は液体サンプルの上部と接触している)と接触させられた。このプローブを、その結節点で装置内に組み込まれており、ピペットに連結したチューブの内側に接着されたカラーで以って、ピペット内に着床させた。1500ワットアンプ(Sonics and Materials,Inc製)で運転されたこのプローブを、1分間の超音波処理中に、液体サンプルの脱泡に使用した。
【0028】
この懸濁液は、約1mlO2/gを含む事が分かった。懸濁液は、水中で、通常約0.1mlO2/g/barを含み、グリセリン中のPFCの容量割合は水中のそれよりも小さいので、ガスの分圧は、1MPa(約10bar)でなければならない。
【0029】
懸濁液がどの位の長きにわたって高酸素濃度を保持するのかを決定する為に、酸素濃度の測定を、懸濁液を50mlビーカーに送達した後、5、10、20及び30分単位で酸素濃度の測定を繰返した。最初の10分では、懸濁液から失われた酸素は30%に過ぎなかった。然しながら、30分では、殆どの酸素が拡散してしまった。この様に、懸濁液からの酸素の拡散は、部分的に、担体の相対的に不浸透性の結果として、全く遅い事が明らかである。
【0030】
エマルジョンの調剤 酸素リッチのクリームエマルジョンの為の単純ディスペンサーは、血管形成カテーテル上で高圧バルーン(21kg/cm2(300psi)程度)を加圧する為に使用される市販の「インデフレイター」(indeflator)の操作と同様の、ネジ山の上をスクリューの様にして進むピストンを手動で動かすバレルを持ったシリンジ型設計のものである。
【0031】
手動加圧で、少なくとも21kg/cm2(300psi)は簡単に達成でき、シリンジの末端部のバルブは、クリームを、調節された方法で、シリンジから絞り出す事を可能とする。クリームの所望量を調剤した後、二方コックを閉め、溶解したガス分圧に等しい或いは過剰の静水圧を維持する為に、追加の圧力を適用した。シリンジは、酸素不浸透性の材料から造られる。
【0032】
キャビテーション初生無しに、ガスー過飽和エマルジョンを、高圧貯蔵所から、1×105Pa(1bar)の環境へ押出す事を可能とする、出口部分又はその近辺で使用できる様々な形態が存在する点に注目すべきである。例えば、本発明者は、50ミクロン径の四角いボロシリケートガラス管が、この目的に対して、同じ直径の丸いガラス管及び丸いステンレススチール管の両方と同様に有効に機能する事を見出した。
【0033】
長方形又はスリット状形態を特徴とする送達溝も又、有効である事が期待される。
【0034】
本発明は、開示され且つ詳細に例示されたが、本発明は、例示及び実施例のみによるものであって、これらに限定されるものではない事が明確に理解され、本発明の精神と範囲は、添付のクレームの文言によってのみ限定されるものである。
【0035】
本明細書に引用された全ての参考例は、参照として導入される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過飽和ガスを含有する液体のエマルジョンをガス−消耗環境へ送達する為の方法であって、(a)エマルジョンを調製する工程、(b)該エマルジョンを、2×105Pa(2bar)より高い圧力のガスに暴露する工程、及び、(c)該エマルジョンを、周囲圧力又はその近辺の圧力でガス消耗環境へ送達して、過飽和ガスエマルジョンを形成する工程、を含む事を特徴とする方法。
【請求項2】
エマルジョンが、約5×105Pa〜20×105Pa(約5bar〜約20 bar)の圧力のガスに暴露される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスが酸素である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
エマルジョンが、相対的に低いガス溶解度を有する第二液体内に微細小滴として懸濁した高いガス溶解度を有する第一液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
該微細小滴が、約0.1ミクロン〜約10ミクロンの直径を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第一液体が、ペルフルオロ化学物質である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
第一液体が、脂質又はリポソームである、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
第一液体が、油である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
油が、鉱物油、ココナッツ油、又は植物油である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
第二液体が、グリセリンである、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
第二液体が、ゲルである、請求項4に記載の方法。
【請求項12】
第二液体が、ワセリン、パラフィン又はワックスである、請求項4に記載の方法。
【請求項13】
第二液体が、架橋された5〜10重量%ゼラチンである、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
エマルジョンが、ゼラチンから成る第二液体内のペルフルオロ化学物質の小滴を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項15】
ガスが酸素である、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
エマルジョンが、(a)ペルフルオロ化学物質の水性エマルジョンを遠心分離に掛ける工程、(b)上澄み液をデカントする工程、及び、(c)ペルフルオロ化学物質の粒子を、低いガス溶解度を有する液体中に再懸 濁する工程、によって調製される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
工程(b)において、急速な混合中に、エマルジョンを高分圧のガスに数時間暴露する事によって、エマルジョン中にガスを溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)において、混合中に、エマルジョンを、約7kg/cm2〜105kg/cm2(約100psi〜約1500psi)の分圧の酸素に暴露する事によって、エマルジョン中に酸素を溶解する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
工程(b)の後で工程(c)の前に、エマルジョンを高圧静水圧ポンプに送達して、ガスの分圧を更に増加する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
エマルジョンを、約0.1〜約10ml/分で、外部環境に送達する管を通して、エマルジョンが、加圧された容器の出口で押出される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
過飽和ガスを含む液体のエマルジョンをガス−消耗環境中に射出する方法であって、(a)低いガス溶解度を有する第二液体内に微細小滴として懸濁した高いガス溶解度を有する液体の混合物から成るエマルジョンを調製する工程、(b)該エマルジョンを、高分圧のガスに暴露する工程、及び(c)該エマルジョンを、管を通して、周囲圧力又はその近辺の圧力で、ガス 消耗環境へ送達する工程、を含む事を特徴とする方法。
【請求項22】
生物学的組織への酸素送達を増加させる方法であって、(a)グリセリン中に懸濁されたペルフルオロ化学物質の小滴から成るエマルジョンを調製する工程、(b)該エマルジョンを、高分圧の酸素に暴露する工程、及び(c)該エマルジョンを、生物学的組織上に押出す工程、を含む事を特徴とする方法。
【請求項23】
エマルジョンの調製方法であって、(a)エマルジョンを調製する工程、及び (b)該エマルジョンを2×105Pa(2bar)より高い圧力のガスに暴露する工程、を含む事を特徴とする方法。
【請求項24】
エマルジョンが、(a)第二液体内に懸濁された第一液体を含む第一エマルジョンを遠心分離に掛ける工程、(b)第一液体を、第二液体から実質的に分離する工程、(c)第一液体を第三液体内に再懸濁して第二エマルジョンを形成する工程、及び(d)第二エマルジョンを、混合中に、約7kg/cm2〜105kg/cm2(約100psi〜約1500psi)の分圧のガスに暴露する工程、によって形成される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
相対的に低いガス溶解度を有する第二液体内に微細小滴として懸濁された高いガス溶解度を有する第一液体を含む事を特徴とする、過飽和ガス含有エマルジョン。
【請求項26】
(a)エマルジョンを調製する工程、(b)該エマルジョンを、2×105Pa(2bar)より高い圧力のガスに 暴露する工程、を含む方法によって形成される事を特徴とするエマルジョン。
【請求項27】
(a)第二液体内に懸濁された第一液体を含む第一エマルジョンを遠心分離に掛ける工程、(b)第一液休を、第二液体から実質的に分離する工程、(c)第一液体を第三液体内に再懸濁して、第二エマルジョンを形成する工程、及び(d)該エマルジョンを、混合中に、約7kg/cm2〜105kg/cm2(約100psi〜約1500psi)の分圧のガスに暴露する工程、を含む方法によって形成される事を特徴とするエマルジョン。
【請求項28】
酸素を傷に供給する事によって、傷ついた生物学的組織を治療する方法であって、傷ついた組織に過飽和酸素エマルジョンを適用して、傷ついた部分に酸 素送達を増加させる工程を含む事を特徴とする方法。
【請求項29】
コラーゲン合成を促進する為に酸素を皮膚に供給する為の方法であって、皮膚に対して過飽和酸素エマルジョンンを適用して、皮膚への酸素送達を増加させる工程を含む事を特徴とする方法。
【請求項30】
血液を酸素化する方法であって、過飽和酸素エマルジョンを血液中に注入して、血液への酸素送達を増加させる工程を含む事を特徴とする方法。
【請求項31】
過飽和ガスを含有する液体内の粒子懸濁液を、ガス−消耗環境中に送達する方法であって、(a)液体内に粒子から成る懸濁液を調製する工程、(b)該懸濁液を、2×105Pa(2bar)より高い圧力のガスに暴露する工程、及び(c)該懸濁液を、ガス消耗環境へ送達する工程、を含む事を特徴とする方法。
【請求項32】
粒子がポリマーから成る、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポ リエチレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリソルベート、ポリメタクリレート及びそれらのコポリマーから成る群から選ばれる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
粒子が、半浸透性表面被膜でマイクロカプセル化又はナノカプセル化されている、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
過飽和ガス懸濁液が、(a)水中に懸濁された粒子から成る懸濁液を遠心分離に掛ける工程、(b)粒子を水から実質的に分離する工程、(c)液体内に粒子を再懸濁してエマルジョンを形成する工程、及び(d)懸濁液を、混合中に、約7kg/cm2〜105kg/cm2(約100psi〜約1500psi)の分圧のガスに暴露する工程、によって形成される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
相対的に低いガス溶解度を有する液体内に懸濁された高いガス溶解度を有する粒子から成る事を特徴とする、過飽和ガス含有懸濁液。
【請求項37】
粒子がポリマーから成る、請求項36に記載の懸濁液。
【請求項38】
ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポ リエチレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリスチレン、ポリソルベート、ポリメタクリレート及びそれらのコポリマーから成る群から選ばれる、請求項37に記載の懸濁液。

【公開番号】特開2009−167222(P2009−167222A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−112785(P2009−112785)
【出願日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【分割の表示】特願平10−518560の分割
【原出願日】平成9年10月9日(1997.10.9)
【出願人】(509097873)ウェイン ステイト ユニヴァーシティ (1)
【Fターム(参考)】