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安定化された医薬組成物
説明

安定化された医薬組成物

【課題】 本発明は、カンデサルタンまたはカンデサルタン・シレキセチルに代表されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体の製剤化に伴う不純物の増加を抑制し、経日的な含量低下を防止する医薬組成物、ならびに当該組成物を調製する方法を開示する。
【解決手段】ベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体に多価アルコールを配合すると、安定な製剤が得られることを見出した。すなわち、多価アルコールの添加により、顕著に有効成分の分解が抑えられ、製剤化に伴う不純物の増加を抑制し、有効成分の経日的な含量低下を防止することができるという技術思想を確立した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンデサルタンまたはカンデサルタン・シレキセチルに代表されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体の安定医薬組成物、ならびに当該組成物を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシンII受容体拮抗剤には、オルメサルタン・メドキソミル、ロサルタン、カンデサルタン・シレキセチル、バルサルタン、イルベサルタン、プラトサルタン等のビフェニルテトラゾ−ル化合物、テルミサルタン等のビフェニルカルボン酸化合物、エプロサルタン、アジルサルタン・カメドキソミル等の薬剤が知られている。
【0003】
カンデサルタンおよびバルサルタンは、アンジオテンシンII受容体のうち、選択的にAT1サブタイプに拮抗するアンタゴニストであり、特に、高血圧性疾病、心疾病(例えば心肥大、心不全、心筋梗塞等)、脳卒中、脳出血、腎炎等の循環器系疾病の治療剤として有用である。カンデサルタンは、経口投与では吸収され難く、それ故にプロドラッグであるカンデサルタン・シレキセチルが開発された。カンデサルタンおよびカンデサルタン・シレキセチルに代表されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸およびその誘導体は、単独の固体状態では、温度、湿度、光に対して安定であるが、他成分を配合した製剤処方で錠剤化した場合、製造過程における造粒あるいは加圧成型の際に加えられる圧力、摩擦、熱等により結晶の歪みが生じることがあり、不純物の増加が見られ、経日的な含量低下も加速されることが問題となっている。
【0004】
この観点から、ベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体が錠剤等の固型製剤に製造された場合に伴う問題点の克服が検討されてきた。すなわち有効成分の分解を抑制し、製剤中の有効成分の安定性を改良する試みである。現在、高級アルコール,多価アルコールの脂肪酸エステル,アルキレンオキサイドの重合体または共重合体などの低融油脂状物質を配合することで安定化する技術(特許文献1)、カラギナンなどの親水コロイド特性を有する2から20%の親水性物質を添加する技術(特許文献2)、ポロキサマー、ベヘン酸グリセリル、蜜ろう、ステアリン酸グリセリル、ステアリルアルコール、水素化ヒマシ油、液体トリグリセリドなどの油性物質を用いる技術(特許文献3)が知られているが、さらに安定性を改善し、製剤工程を複雑化せず、コストの低減につながる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2682353号公報
【特許文献2】特表2008−528456公報
【特許文献3】特表2010−525066公報
【特許文献4】特開平4−364171号公報
【特許文献5】米国特許公開公報第2005/0250827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カンデサルタンまたはカンデサルタン・シレキセチルに代表されるベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体の製剤化に伴う不純物の増加を抑制し、経日的な含量低下を防止する医薬組成物、ならびに当該組成物を調製する方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記のような事情に鑑み、カンデサルタンまたはカンデサルタン・シレキセチルに代表される抗アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有するベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体(より具体的には、特許文献1に記載される化合物群等を指す)の安定化を図るべく種々検討を重ねた結果、驚くべきことに、カンデサルタンまたはカンデサルタン・シレキセチルに多価アルコールを配合すると、安定な製剤が得られることを見出した。背景で述べたように従来技術では、多価アルコールを用いて前記課題を解決した例はない。本発明者らは、多価アルコールの添加により、顕著に有効成分の分解が抑えられ、製剤化に伴う不純物の増加を抑制し、有効成分の経日的な含量低下を防止することができるという技術思想を確立し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は
[1]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体、またはその薬学上許容される塩(以下、単に有効成分と略称することもある);および多価アルコールを含むことを特徴とする医薬組成物。
[2]前記ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体が、カンデサルタン、もしくはカンデサルタン・シレキセチルである[1]に記載の医薬組成物。
[3]前記ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体が、カンデサルタン・シレキセチルである[2]に記載の医薬組成物。
[4]前記多価アルコールが、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール;ソルビトール、蔗糖、フライノースなどの糖類;1,5−ソルビタン、1,4−ソルビトール、3,6−ソルビタンなどのソルビトールの分子内脱水化合物;グリセリン、ジエタノールアミン、ペンタエリスリトール;β−シクロデキストリンなどのデキストリン類、またはその混合物からなる群から選ばれる[1]から[3]に記載の医薬組成物。
[5]前記多価アルコールが、D−マンニトール、D−ソルビトール、プロピレングリコール、β−シクロデキストリン、またはその混合物からなる群から選ばれる[4]に記載の医薬組成物。
[6]前記ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体と多価アルコールとの重量比が、10:1から1:100の範囲である[1]から[5]のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[7]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体、またはその薬学上許容される塩と少なくとも1つの多価アルコールを配合する工程を含んでなる[1]から[6]のいずれか1項に記載の医薬組成物の湿式又は乾式の調製方法。
[8]ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体、またはその薬学上許容される塩、少なくとも1つの多価アルコール、および少なくとも1つの担体と混合し;該混合物を粉砕または製粉することを含んでなる[7]に記載の医薬組成物の調製方法。
[9]前記方法が更に、前記医薬組成物を固体投与形態に圧縮することを含むことを特徴とする[7]または[8]に記載の方法。
[10]前記圧縮工程が直接圧縮法である[9]に記載の方法。
[11]疾病を患う患者を治療および/または予防する薬剤の製造における、活性医薬成分および[1]から[6]のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
[12]前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記疾病が循環器系疾病である[11]に記載の使用。
[13]前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記循環器系疾病が高血圧性疾病、または高血圧症に起因する疾病である[12]に記載の使用。
[14]前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記高血圧症に起因する疾病が、心肥大、心不全、心筋梗塞等の心臓疾患、腎炎等の腎疾患である[13]に記載の使用。
【0009】
本発明の医薬組成物は、好ましくは所要成分を混合することによって製造される。
【0010】
カンデサルタン・シレキセチルは、特許文献4(特開平4−364171号公報)等に記載され、その化学名は、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル 2−エトキシ−1−[2’−(1H−テトラゾール−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]−1H−ベンズイミダゾール−7−カルボキシレートであり、本願のカンデサルタン・シレキセチルは、その薬学上許容される塩を包含する。
【0011】
また、上記化合物が不斉炭素を有する場合には、本発明のアンジオテンシンII受容体拮抗剤は、光学異性体及およびそれらの異性体の混合物をも包含する。さらに、上記化合物の水和物も包含する。
【0012】
本発明に係る循環器系疾病治療用の医薬組成物に含まれるベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体の量は特に限定されないが、循環器系疾病に伴う症状を治療、改善、または回復させるのに十分な用量とすべきである。本発明に係る循環器系疾病治療用の医薬組成物の投与量は、使用方法や患者の年齢、性別、状態等に応じて異なる。たとえば、一投与形態中に約2mg、4mg、8mgまたは12mgのカンデサルタン・シレキセチルが含まれるようにする。
【0013】
本発明の医薬組成物は、限定されるものではないが、湿式または乾式造粒、および直接圧縮等の任意の従来手段によって調製され得る。好適には、より好適には湿式造粒法を受ける。
【0014】
医薬組成物を調製するための方法は、多価アルコールを有効成分に配合する工程を含むことを特徴とする。
【0015】
直接圧縮法では、調製するための方法は、好ましくは少なくとも1つの多価アルコール、および少なくとも1つの担体を活性医薬成分と混合することを含んでなり、当該担体は多価アルコールと十分混合される。任意により1以上の他の活性医薬成分を医薬組成物に添加してもよい。得られた混合物は、錠剤、丸薬、顆粒等の固体医薬組成物に圧縮される。好適には固体医薬組成物は、錠剤に圧縮される。なお、調整方法は、湿式方法でも乾式方法でもよいが、湿式方法が好ましい。
【0016】
本発明に用いられる多価アルコールとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコールを指す。たとえばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのアルキレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールあるいはこれらの共重合物などのポリアルキレングリコール;ソルビトール、蔗糖、フライノースなどの糖類;1,5−ソルビタン、1,4−ソルビトール、3,6−ソルビタンなどのソルビトールの分子内脱水化合物;グリセリン、ジエタノールアミン、ペンタエリスリトール;β−シクロデキストリンなどのデキストリン類である。
【0017】
これらの多価アルコールは単独で用いてもまたは二種以上を併用してもよい。これらの多価アルコールは固体状または液状で有効成分に添加される。
【0018】
ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体と多価アルコールとの重量比は、10:1〜1:100の範囲である。より好ましくは、5:1〜1:10の範囲である。
【0019】
本発明の医薬組成物は、任意の形態を採り得るが、好適には固体組成物である。より好適には本発明の医薬組成物は、成型(造粒、加圧成型など)により固体組成物に圧縮される。適切な固体投与形態としては、限定されるものではないが、錠剤、丸薬、顆粒剤、カプセル、粉末、および小袋が挙げられる。
【0020】
本発明の固型剤を製造するにあたっては、通常上記のような多価アルコールを有効成分に配合した後成型することにより行なわれる。これらの配合方法としては一般に製剤において用いられる配合方法、たとえば混合、練合、捏和、篩過、撹拌などにより行なわれる。たとえば多価アルコールを直接有効成分に添加して混合(粉末添加)してもよく、また溶媒を加えて混和し、常法により練合、造粒、乾燥することもできる。また多価アルコールを適当な溶媒に溶解した後、有効成分と均一に混和して常法により練合、造粒、乾燥する(液添加)などにより配合することもできる。さらに多価アルコール含有液および有効成分含有液を別々に賦形剤等の粉末にスプレーして配合してもよい。液添加の場合の適当な溶媒としては、たとえば水、ジメチルホルムアミド、アセトン、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、メチレンクロライド、トリクロルエタンなどの有効成分に悪影響を及ぼさない溶媒が用いられる。配合終了後、公知の加圧成型手段を用いることにより有効成分を含有する錠剤を製造することができる。但し、加圧成型とは、加圧下に圧縮して所望する形態となすことであり、最も一般的には、たとえば打錠などをいう。これらの多価アルコールの配合により練合、造粒および加圧成型時の結晶の歪等が少なくなり、更には、成型性が向上して加圧力が少なくてすむことも有利に働いているものと考えられる。また、本願組成物の製造法においては、固型剤に用いられる種々の添加剤を適当な工程で添加することもできる。例としては、限定されるものではないが、充填剤、希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、賦形剤、結合剤、潤滑剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、湿潤剤等が挙げられる。
【0021】
適切な充填剤および希釈剤としては、限定されるものではないが、粉末セルロース、微結晶性セルロース(例えばAvicel(登録商標))、マイクロファインセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロシキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩および他の置換および非置換セルロース等のセルロース由来物質;デンプン;プレゼラチン化デンプン;ラクトース;タルク;ワックス;糖;マンニトールおよびソルビトール等の糖アルコール;アクリレートポリマーおよびコポリマー;デキストレート;デキストリン;デキストロース;マルトデキストリン;ペクチン;ゼラチン;炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム二水和物、第三リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化ナトリウム、および医薬産業において公知の他の希釈剤等の無機希釈剤などが挙げられる。
【0022】
適切な崩壊剤としては、限定されるものではないが、クロスカルメロールナトリウム(例えばAc Di Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、クロスポピドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、微結晶性セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、プレゼラチン化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標)、Primoljel(登録商標))およびデンプン等が挙げられる。
【0023】
圧縮前の固体組成物の流動能を改善し、特に圧縮およびカプセル充填時の薬品注入精度を改善するために、流動促進剤を添加してもよい。流動促進剤として機能し得る賦形剤としては、限定されるものではないが、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、およびタルク等が挙げられる。
【0024】
適切な賦形剤としては、限定されるものではないが、たとえば、結晶セルロース(例、アビセルPH 101(旭化成製))、カルボキシメチルセルロースカルシウム、コーンスターチ、小麦でんぷん、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。また防腐剤、界面活性剤、抗酸化剤、または他の医薬産業で一般に使用される任意の賦形剤が挙げられる。
【0025】
適切な結合剤としては、限定されるものではないが、たとえば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、グルコース溶液、デンプン溶液、ゼラチン溶液、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、シェラック(shellac)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと略称することがある。)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等、また湿式または乾式造粒においておよび直接圧縮錠剤化方法において使用される他の結合剤が挙げられる。
【0026】
適切な滑沢剤としては、限定されるものではないが、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、合成ケイ酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ホウ酸、酸化マグネシウム、パラフィン等が挙げられる。また、着色剤、矯味剤、矯臭剤、湿潤剤等を添加してもよい。
【0027】
なお、カンデサルタン・シレキセチルのように比重が軽い結晶性物質を有効成分として用いる場合には、HPCなどの結合剤と水とを含有する濃厚な液に、あらかじめ該物質を分散させておくのが望ましい。さらに、本発明の組成物はコーティング錠とすることもできる。
【0028】
コーティングは自体公知の方法で行うことができ、コーティング剤としては通常用いられるコーティング剤(例、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど)が用いられ、コーティング助剤としては、ポリエチレングリコール6000、ポリソルベート(例、ツィーン80など)、酸化チタン、ベンガラ等の色素などが用いられる。有効成分に多価アルコールを配合して得られる本発明の経口用医薬組成物において、有効成分は該組成物中、0.1〜20重量%、好ましくは0.7〜15重量%、さらに好ましくは1.5〜10重量%含有される。また、 本発明の経口用医薬組成物は、 崩壊性の面では、 水溶液中で30分以内に崩壊するものが好ましい。このようにして、有効成分に多価アルコールを配合して得られる本発明の経口用医薬組成物は、成型による経日的な分解が抑制され、安定な製剤となる。本発明の医薬組成物を哺乳動物(例、ヒト、イヌ、ウサギ、ラットなど)の高血圧症、心臓病、脳卒中、腎疾患などの治療に用いる場合は、錠剤等にして経口的に投与することができる。それらの投与量は、有効成分(アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有する化合物)として1日投与量約1〜50 mg、好ましくは約2〜12mgである。
【0029】
医薬組成物がカプセルの投与形態にある場合は、カプセルは、本発明の医薬組成物を圧縮されない形態、または圧縮された顆粒または粉末の混合等の形態で含み得る。カプセルの被覆は、ハードシェルでもソフトシェルでもよい。シェルは、限定されるものではないが、ゼラチン製でもよく、グリセリンおよびソルビトール等の可塑剤、並びに乳白剤または着色剤を含んでいてもよい。
【0030】
医薬組成物を坐剤形態に成形するには、当業者に公知の任意の賦形剤が使用され得る。例えば賦形剤としては、限定されるものではないが、ポリエチレングリコール、ココナツバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチン、および半合成されたグリセリドが挙げられる。
【0031】
本発明の循環器系疾病を治療するための医薬組成物の投与方法は、特に限定されず、また年齢、性別、および患者の状態に応じて多様な調合において投与され得る。適切な医薬組成物の投与経路としては、限定されるものではないが、経口、口腔、および直腸投与を含み得る。所与の場合における最適な投与は、治療される状態の性質および重篤性に応じて異なるが、本発明の最適な投与経路は、経口である。投与量は単位投与形態とすることが便宜上好ましく、また、医薬業界で一般に公知の任意の方法で調合することができる。
【0032】
特定の好適な態様に関連して本発明を説明したが、他の態様は、本明細書の記載から当業者には明白であろう。本発明は、医薬賦形剤複合体および医薬組成物の調製を詳細に記載する以下の実施例を参照することによって、更に定義される。当業者には明白なように、本発明の範囲から逸脱することなく、材料および方法の両面で多々の改変が可能である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、抗アンジオテンシンII受容体拮抗作用を有するベンズイミダゾール−7−カルボン酸またはその誘導体、好ましくはカンデサルタンまたはカンデサルタン・シレキセチルを有効成分とし、これに多価アルコールを配合することにより、有効成分の分解等が抑えられ、製剤化に伴う不純物の増加を抑制し、もって有効成分の経日的な含量低下を防止した安定な製剤が得られるという効果を奏する医薬組成物を得ることができた。
また、本発明の医薬組成物、およびその製造方法は、シンプルで製剤工程を複雑化せず、コストの低減につながる技術思想であり、製品の品質保証期間をより長くし、製品価値を高めるものでもある。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、比較例、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0035】
カンデサルタン・シレキセチルは、本技術分野で公知の方法を用いて調製することができる。例えば、特許文献5(米国特許公開公報第2005/0250827号)によれば、カンデサルタン・シレキセチルの調製は、シレキセチル・トリチル・カンデサルタンを準備し;水及びメタノールの混合物中でシレキセチル・トリチル・カンデサルタンを脱保護し、カンデサルタン・シレキセチルの残渣を得る;メタノール及びトルエンを用いてカンデサルタン・シレキセチルの残渣を結晶化し;その後にカンデサルタン・シレキセチルをメタノール中で再結晶化して結晶性カンデサルタン・シレキセチルが得られる。
【0036】
[比較例1]
精製水及びエタノールの混合液に、ヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、さらにカンデサルタン・シレキセチルを分散させた液を、流動層造粒機(フロイント産業FLO−MINI)を用い、乳糖水和物にスプレーし乾燥後整粒し、ステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、打錠機(菊水製作所VIRGO)でφ7mmの杵を用いて700kgで打錠した。
【0037】
打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル4mg、乳糖水和物123mg、ヒドロキシプロピルセルロース2mg、ステアリン酸マグネシウム1mgからなる。
【0038】
調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。苛酷条件は、50℃、湿度75%、2週間である。
【0039】
測定方法は、日本薬局方カンデサルタンシレキセチル錠の純度試験に準じて行った。
【0040】
[実施例1、2、3]
精製水及びエタノールの混合液に、D−ソルビトール(β−シクロデキストリン)およびヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、さらにカンデサルタン・シレキセチルを分散させた液を、流動層造粒機(フロイント産業FLO−MINI)を用い、乳糖水和物にスプレーし、乾燥後整粒し、ステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、打錠機(菊水製作所VIRGO)でφ7mmの杵を用いて700kgで打錠した。
【0041】
実施例1では、上記のように打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル4mg、乳糖水和物119mg、ヒドロキシプロピルセルロース2mg、D−ソルビトール4mg、ステアリン酸マグネシウム1mgからなる。調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。
【0042】
実施例2では、上記のように打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル4mg、乳糖水和物119mg、ヒドロキシプロピルセルロース2mg、β−シクロデキストリン4mg、ステアリン酸マグネシウム1mgからなる。調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。
実施例3では、上記のように打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル12mg、乳糖水和物111mg、ヒドロキシプロピルセルロース2mg、D−ソルビトール4mg、ステアリン酸マグネシウム1mgからなる。調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。
【0043】
[実施例4]
精製水及びエタノールの混合液に、ヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、さらにカンデサルタン・シレキセチルを分散させた液を、流動層造粒機(フロイント産業FLO−MINI)を用い、D−マンニトール、乳糖水和物、トウモロコシデンプン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースにスプレーし、乾煥後整粒し、ステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、打錠機(菊水製作所VIRGO)でφ7mmの杵を用いて700kgで打錠した。
【0044】
実施例4では、このように打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル4mg、乳糖水和物52mg、トウモロコシデンプン30mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース9.6mg、ヒドロキシプロピルセルロース4mg、D−マンニトール30mg、ステアリン酸マグネシウム0.4mgからなる。調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。
【0045】
[実施例5、6]
精製水及びエタノールの混合液に、D−ソルビトール(プロピレングリコール)およびヒドロキシプロピルセルロースを溶解させ、さらにカンデサルタン・シレキセチルを分散させた液を、流動層造粒機(フロイント産業FLO−MINI)を用い、乳糖水和物、トウモロコシデンプンおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロースにスプレーし、乾燥後整粒し、ステアリン酸マグネシウムを加えて混合し、打錠機(菊水製作所VIRGO)でφ7mmの杵を用いて700kgで打錠した。
【0046】
実施例5では、上記のように打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル4mg、乳糖水和物81mg、トウモロコシデンプン30mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース9.6mg、ヒドロキシプロピルセルロース4mg、D−ソルビトール1mg、ステアリン酸マグネシウム0.4mgからなる。調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。
【0047】
実施例6では、上記のように打錠した錠剤は、カンデサルタン・シレキセチル4mg、乳糖水和物78mg、トウモロコシデンプン30mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース9.6mg、ヒドロキシプロピルセルロース4mg、プロピレングリコール4mg、ステアリン酸マグネシウム0.4mgからなる錠剤を以下のように調製し、調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。
【0048】
【表1】

処方単位:mg、
苛酷条件:50℃、湿度75%、2週間、
類縁物質単位:%
【0049】
結果
錠剤調製直後と苛酷条件保存後の条件下、その総類縁物を測定した。結果を表1にまとめた。すなわち、表1は、カンデサルタン・シレキセチルに多価アルコールを配合した場合の効果を示す表である。比較のため、多価アルコールを配合しない場合(比較例1)を載せている。
【0050】
ここで、総類縁物は、不純物と考えられ、この数字が少ない方が安定性に優れた錠剤を提供できることを示している。また、苛酷条件保存後と錠剤調製直後の差が増加量であり、この数字が少ないほど経日の安定性が良いことを示す。
【0051】
比較例1において、調製直後の時点において、総類縁物不純物の量は、それぞれ医薬組成物のカンデサルタン・シレキセチルの0.98%であった。苛酷条件保存後では、その量は医薬組成物のカンデサルタン・シレキセチルの2.18%まで増加した。それに比べ、実施例1においては、錠剤調製直後の時点において、総類縁物はわずかに0.1%であり、比較例と対比すると約10分の1に分解が抑えられていることが明らかとなった。また、苛酷条件保存後でもその量は、わずか0.13%に過ぎず、これも比較例と対比すると数分の1に分解が抑えられていた。同様に他の実施例2から実施例6においても、いずれも総類縁物不純物の量が抑えられた結果となっていた。したがって本実施例のデータから、カンデサルタン・シレキセチルを本発明の医薬組成物の錠剤は、分解が有意に抑えられたと結論付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体、またはその薬学上許容される塩;および多価アルコールを含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項2】
前記ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体が、カンデサルタン、もしくはカンデサルタン・シレキセチルである請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体が、カンデサルタン・シレキセチルである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記多価アルコールが、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、糖類、ソルビトール、ソルビトールの分子内脱水化合物、グリセリン、ジエタノールアミン、ペンタエリスリトール、デキストリン類、またはその混合物からなる群から選ばれる請求項1から3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記多価アルコールが、D−マンニトール、D−ソルビトール、プロピレングリコール、β−シクロデキストリン、またはその混合物からなる群から選ばれる請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ベンズイミダゾール−7−カルボン酸もしくはその誘導体と多価アルコールとの重量比が、10:1から1:100の範囲である請求項1から5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
活性医薬成分と少なくとも1つの多価アルコールを配合する工程を含んでなる請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物の湿式又は乾式の調製方法。
【請求項8】
活性医薬成分、少なくとも1つの多価アルコール、および少なくとも1つの担体と混合し;該混合物を粉砕または製粉することを含んでなる請求項7に記載の医薬組成物の調製方法。
【請求項9】
前記方法が更に、前記医薬組成物を固体投与形態に圧縮することを含むことを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記圧縮工程が直接圧縮法である請求項9に記載の方法。
【請求項11】
疾病を患う患者を治療および/または予防する薬剤の製造における、活性医薬成分および請求項1から6のいずれか1項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項12】
前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記疾病が循環器系疾病である請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記循環器系疾病が高血圧性疾病、または高血圧症に起因する疾病である請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記活性医薬成分がカンデサルタン・シレキセチルであり、前記高血圧症に起因する疾病が、心肥大、心不全、心筋梗塞である心臓疾患、腎炎である腎疾患である請求項13に記載の使用。

【公開番号】特開2013−67574(P2013−67574A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206246(P2011−206246)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000208145)テバ製薬株式会社 (29)
【Fターム(参考)】