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安定化された含ハロゲン樹脂組成物
説明

安定化された含ハロゲン樹脂組成物

【課題】ポリ塩化ビニルの熱安定剤として水酸化カルシウムと2価金属との複合体は、熱安定性が優れているが、初期着色が強い欠点がある。また、透明性が比較的良いが、高い透明性が要求される用途には使用できない。
【解決手段】水酸化カルシウムに2価金属としてマグネシウムを選択し、これを特定量(2〜6モル%)複合化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定組成の水酸化カルシウム系複合体を含有する安定化された含ハロゲン樹脂組成物に関する。 さらに詳しくは、初期着色性,透明性、および熱安定性等に優れた安定化された含ハロゲン樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
含ハロゲン樹脂組成物は、熱や光に対して不安定である。このため、種々のいわゆる熱安定剤が使用されてきた。熱安定剤としては、鉛化合物、有機スズ化合物、Cd/Ba系、Ba/Zn系およびCa/Zn系等の複合金属せつけん等が知られている。
【0003】
熱安定剤の分野においても剤そのものの安全性(無毒性)が重要視されるようになり、先進諸国では、Cd系およびPb系安定剤が数年後に完全使用禁止されることが決まっている。さらに、ブチルスズ等のスズ系の一部およびBa系も安全性に懸念があり、いずれ使用禁止される可能性がある。
【0004】
したがって、安全性の高いCa/Zn系が検討されてきたが、熱安定性が貧弱であるため、高性能の新しい安定剤が待望されてきた。その様な背景にあって、本発明者が発明したハイドロタルサイト類が優れた熱安定性を示した結果、現在無毒安定剤として代表的な存在となっている。
【0005】
しかし、ハイドロタルサイト類は結晶水を持つため、添加量を制限しないと成型時に発泡する問題がある。また、透明性が不十分であるため、スズ系安定剤等が得意とする高い透明性が要求される用途には使用できない問題がある。
【0006】
そこで、本発明者は下記式(3)
【0007】
【化3】

(但し、式中、M2+はMg2+,Mn2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Cu2+およびZn2+イオンの少なくとも一種を示し、xは0.005<x<0.5の範囲の数を示す)で表わされるカルシウム系複合金属水酸化物を発明した。(特許文献1参照)
この発明により、ハイドロタルサイト類の発泡の問題が解決されるとともに、ハイドロタルサイト類よりも透明性と熱安定性が向上し、且つ新しい機能として耐チヨーキング性が付加された。
【0008】
しかし、初期着色性だけが、ハイドロタウサイト類に比較しても劣る。そのため、含ハロゲン樹脂への添加量を低く抑える必要がある。これは、配合量が多くなるほど初期着色が強くなるためである。また、透明性がスズ系安定剤に比較すると未だ少し劣るため、高い透明性が要求される分野での使用ができ無い。
【0009】
【特許文献1】特開平6−316662
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上記式(3)のカルシウム系複合金属水酸化物(以後複合体と略称する)の欠点である初期着色を改善するとともに、透明性も改善することである。そのことにより、ほとんど全ての含ハロゲン樹脂の用途分野に、配合量の制約なく使用でき、安全性、高熱安定性、透明性、非発泡性、耐チヨーキング性、経済性等に優れた、安定化された含ハロゲン樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、含ハロゲン樹脂100重量部と(a)0.01〜10重量部の下記式(1)
【0012】
【化1】

(但し、式中xは0.02<x<0.007の範囲の数を示す)で表わされる水酸化カルシウム系複合体と(b)0.01〜10重量部のスズ系安定剤を含有する安定化された含ハロゲン樹脂組成物を提供する。さらに本発明は、上記(b)に代えて(c)0.001〜2重量部のβ―ジケトン類、(d)0〜2重量部の亜鉛の有機酸塩、(e)0〜2重量部の多価アルコール類、またはその部分エステル類を含有する安定化された含ハロゲン樹脂組成物を提供する。
【0013】
本発明者は、式(1)に示す特定組成の複合体、すなわち水酸化カルシウムにMgを1モル%より多く、7モル%より少ない量で、好ましくは2モル%以上、6モル%以下、特に好ましくは3モル%以上、5モル%以下で、複合した水酸化カルシウム系複合体のみが、初期着色を顕著に改善できることを発見した。さらに、上記特定組成において、透明性と熱安定性も優れることを発見した。
【0014】
本発明は、式(1)の、特に好ましくはxが3≦x≦5の範囲にある複合体と(b)スズ系安定剤を、前者を後者の10〜40重量%、より好ましくは20〜30重量%置換することによりスズ系安定剤単独よりも初期着色性、熱安定性および経済性等が優れ、スズ系安定剤と同等の透明性を有する含ハロゲン樹脂組成物を提供する。
さらに本発明は、(b)スズ系安定剤に代えて、前期(c)、(d)および(e)を併用することにより、ハイドロタルサイト類よりも初期着色性、熱安定性、非発泡性(機械的強度)等、が優れた無毒〜低毒安定剤を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、熱安定性が相乗的に向上するため、高い透明性が要求される高価なスズ系安定剤の使用量を最大で約40%低減できる。さらにスズ使用量の低下は、スズ系安定剤の低毒化に寄与する。さらに、本発明により、無毒安定剤として今まで最も優れていたハイドロタルサイト類との相乗効果があるため、使用できる用途が広がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
式(1)の複合体は、本発明者が先に発明した新規の化合物である(特許文献2参照)。この複合体は、Ca(OH)結晶のCaの一部をMgが置換した構造が主成分である。固溶したMgの一部をZnで最大25モル%、好ましくは10〜20モル%置換しても良い。この微量のZnの固溶によりさらに初期着色が改善される傾向にある。しかし、25モル%を超えてくると熱安定性と透明性が低下してくる。
【0017】
【特許文献2】特開平6−72709
【0018】
式(1)の複合体の2次粒子は、細かいほど熱安定性および透明性が良くなる。したがって、粒度分布測定で求められる平均2次粒子径は、好ましくは2μm以下、特には1μm以下であることが好ましい。1次粒子径は、BET比表面積で代表でき、その値が6m/g以上,特には9m/g以上であることが好ましい。
【0019】
本発明で用いる式(1)の複合物は、そのまま用いることもできるが、本発明の効果をより一層発揮せしめるためには、表面処理剤で表面処理することが好ましい。表面処理剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、これら以外のアニオン系界面活性剤類、リン酸エステル類、シラン、チタンおよびアルミミニウム系カップリング剤、および多価アルコールと脂肪酸のエステル類が例示される。これらの表面処理剤をさらに具体的に例示すると次の通りである。ステアリン酸、エルカ酸、パルミチン酸、ラウリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸類;前期高級脂肪酸のアルカリ金属塩;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩;ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等のアニオン系界面活性剤類;オルトリン酸とオレイルアルコール、ステアリルアルコール等のモノまたはジエステルまたは両者の混合物であって、それらの酸型またはアルアカリ金属塩またはアミン塩等のリン酸エステル類;ビニルエトキシシラン、ビニルートリス(2−メトキシーエトキシ)シラン、ガンマーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマーアミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマーグリシドキシプロピルトリメトキシスィラン、ガンマーメルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤類;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロフォスフエート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等のチタネート系カップリング剤類;アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系カップリング剤類;グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等の多価アルコールと脂肪酸ノエステル類。
【0020】
表面処理剤による式(1)の複合体の表面処理は、それ自体公知の方法により実施できる。例えば、式(1)の複合体のスラリーに該表面処理剤を液状またはエマルジョン状で加え、約100℃以下の温度で均一に混合すればよい。あるいは、式(1)の複合体の粉末をヘンシェルミキサー等の混合機により高速攪拌下に、表面処理剤をそのまま、または希釈、または適当な溶媒に溶解して液状、エマルジョン状、固形状で加え、加熱または非加熱下に十分に混合すればよい。表面処理剤の添加量は適宜選択できるが、該固溶体の重量に基づいて約0.1〜約10重量%とするのが好ましい。表面処理をした後は、必要に応じ、例えば水洗、脱水、造粒、乾燥、粉砕,分級等の手段を適宜選択して実施し、最終製品形態とすることができる。
【0021】
本発明で用いる複合体は、種々の方法で製造できる。例えば、CaとMgの水溶性塩またはCa,MgおよびZnの水溶性塩とを含有する水溶液に、ほぼ当量のアルカリを攪拌下に加えて沈殿させる共沈法で製造できる。また他の方法としては、水酸化カルシウムを水に分散、攪拌下にMgの水溶性塩またはMgとZnの混合水溶性塩の水溶液を添加、反応させる方法によっても製造できる。
【0022】
固溶体の形成に利用されるCa,MgおよびZnイオンの水溶性塩の例としては、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド等のアルコラート、苦汁、海水、地下かん水等が例示される。固溶体の形成に用いられるアルカリの例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア水、アンモニアガス等を例示できる。
【0023】
本発明で用いられる(b)スズ系安定剤は、次の一般式(4)
【0024】
【化4】

(但し、式中、Rはメチル、ブチル、オクチル等のアルキル基を示し、Yはメルカプタイド類、マレエート類、カルボキシレート類の一種以上を示し、zは1または2である)で表わされる有機スズ化合物である。具体例としては、例えばモノまたはジメチルスズステアロキシエチルメルカプタイド、モノまたはジメチルスズー2−エチルヘキシルチオグリコレート、モノまたはジメチルスズメルカプタイドーイソオクチルチオグルコレート、モノまたはジブチルスズマレエート、モノまたはジブチルスズラウレート、モノまたはジメチルスズビスー2−エチルヘキシルチオグリコレート、モノまたはジオクチルスズー2−エチルヘキシルチオグリコレート等を挙げることができる。
【0025】
本発明で用いられる(c)β―ジケトン類は、下記式(5)
【0026】
【化5】

(式中、RおよびRは同一または異なっても良く、30個までの炭素原子を有する直鎖または分岐状のアルキルまたはアルケニル基、アリール基または脂環式基(脂環式基が場合によっては炭素―炭素二重結合を含むことができ、いずれか一方は水素原子であっても良い)、Rは水素原子、アルキル基,アルケニル基を表わす)の化合物である。
【0027】
このようなβ―ジケトン化合物の例としては、次の化合物が例示される。デヒドロ酢酸、デヒドロプロピオニル酢酸、デヒドロベンゾイル酢酸、シクロヘキサンー1,3-ジオン、ジメドン、2,2’-メチレンビスシクロヘキサンー1,3-ジオン,2−ベンジルシクロヘキサンー1,3―ジオン、アセチルテトラロン、パルミトイルテトラロン、ステアロイルテトラロン、ベンゾイルテトラロン、2―アセチルシクロヘキサノン、2−ベンゾイルシクロヘキサノン、2−アセチルーシクロヘキサノンー1,3-ジオン、ベンゾイルーp−クロルベンゾイルメタン、ビス(4−メチルベンゾイル)メタン、ビス(2−ヒドロキシベンゾイル)メタン、ベンゾイルアセチルメタン、トリベンゾイルメタン、ジアセチルベンゾイルメタン、ステアロイル・ベンゾイルメタン、パルミトイル・ベンゾイルメタン、ジべンゾイルメタン、4−メトキシベンゾイル・ベンゾイルメトキシ、ビス(4-クロルベンゾイル)メタン、ビス(3,4−メチレンジオキシベンゾイル)メタン、ベンゾイル・アセチル・オクチルメタン、ベンゾイル・アセチル・フェニルメタン、ステアロイルー4−メトキシベンゾイルメタン、びす(4−t−ブチルベンゾイル)メタン、ベンゾイル・アセチル・エチルメタン、ベンゾイル・トリフルオル・アセチルメタン、ジアセチルメタン、ブタノイル・アセチルメタン、ヘプタノイル・アセチルメタン、トリアセチルメタン、ジステアロイルメタン、ステアロイル・アセチルメタン、パルミトイル・アセチルメタン、ラウロイル・アセチルメタン、ベンゾイル・ホルミルメタン、アセチル・ホルミル・メチルメタン、ベンゾイル・フェニルアセチルメタン、ビス(シクロヘキサノイル)メタン等。
【0028】
これらβ―ジケトン類の金属塩、例えばLi,Na,K,Mg,Ca,Ba,Zn,Sn,Al等の金属イオンの塩を用いることもできる。上記β―ジケトン類の中で特に好ましいのは、ステアロイル・ベンゾイルメタン、ジベンゾイルメタンである。β―ジケトン類またはその金属塩の使用量は、含ハロゲン樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。
【0029】
本発明で用いられる(d)亜鉛の有機酸塩としては、次に具体的に示有機酸の亜鉛塩が例示される。酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリ酸、ネオデカン酸、2−エチルヘキシル酸、ベラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、1,2−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、p―t−ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、3,5−ジ−ter−ブチルー4−ヒドロキシ安息香酸、トルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、クミン酸、n−プロピル安息香酸、アミノ安息香酸、N,N−ジメチル安息香酸、アセトキシ安息香酸、サリチル酸、p−t−オクチルサリチル酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、オクチルメルカプトプロピオン酸などの一価カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オキシフタル酸、クロルフタル酸、アミノフタル酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、メタコン酸、イタコン酸、アコニット酸、チオジプロピオン酸などの二価カルボン酸のモノエステルまたはモノアマイド化合物、ヘミメリット酸、トリメッリト酸、メロファン酸、ピロメリット酸、メリット酸などの三価または四価カルボン酸のジマテャトリエステル化合物。これら亜鉛の有機酸塩の使用量は、含ハロゲン樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部、特に好ましくは0.1〜0,5重量部である。
【0030】
本発明で用いられる(e)多価アルコールまたはその部分エステルを具体的に例示すると次の通りである。多価アルコール類としては、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン等が例示される。モノまたはポリカルボン酸としては、酢酸、乳酸、4−ヒドロキシ酪酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、イタコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等が例示される。多価アルコールの部分エステルは、これらの多価アルコール類の少なくとも一種とモノまたはポリカルボン酸の少なくとも一種とを反応して得られる。本発明で用いられる多価アルコールまたは多価アルコールの部分エステルの使用量は、含ハロゲン樹脂100重量部に対して0〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部である。
【0031】
本発明で用いられる含ハロゲン樹脂としては、次のようなものが例示される。ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩化ビニル−スチレン共重合体、塩化ビニル−イソブチレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−スチレン−無水マレイン酸三元共重合体、塩化ビニル−スチレン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−ブタジエン共重合体、塩化ビニル−イソプレン共重合体、塩化ビニル−塩素化プロピレン共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン−酢酸ビニル三元共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−マレイン酸エステル共重合体、塩化ビニル−メタクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−各種ビニルエーテル共重合体等の含塩素合成樹脂。これらの含塩素合成樹脂相互のあるいは他の塩素を含まない合成樹脂とのブレンド品、ブロック共重合体、グラフト共重合体等。
【0032】
本発明の樹脂組成物には、慣用の他の添加材を配合することもできる。このような他の添加材としては、次のものを例示できる。エポキシ化植物油、エポキシ化オレイン酸エステル類、エポキシ化エルシン酸エステル類等のエポキシ系安定剤類。トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、水添4,4‘−イソプロピリデンフェノールホスファイト等の亜リン酸エステル類安定剤。チオジプロピオン酸、ジエチルチオジプロピオン酸エステル等の含硫黄化合物系安定剤。アルキルガレート、アルキル化フェノール、スチレン化フェノール等のフェノール系安定剤。グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、グリシンアミド、ヒスチジンエチルエステル、トリプトファンベンジルエステル等のα―アミノ酸、およびその官能性誘導体系安定剤。過塩素酸バリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸イオン型ハイドロタルサイト類等の過塩素酸系安定剤兼初着防止剤。スチレン化パラクレゾール、2,6−ジ第3級ブチル−4−メチルフェノール、ブチル化アニソール、4,4‘−メチルビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)、2,2‘−メチレンビス(6-第3級ブチル−4−メチルフェノール)1,3,5−トリメチルー2,4,6−トリス(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[3−(4−ヒドロキシー3,5−ジ第3級ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチレン]メタン等の酸化防止剤。
【0033】
これら添加材の配合量は適宜選択することができ、例えば、含ハロゲン樹脂100重量部に対して約0.01〜5重量部の熱安定剤類、約0.01〜2重量部の酸化防止剤が例示される。本発明は前記添加材以外に、慣用の他の添加材、例えば可塑剤、滑剤、加工助剤、耐候性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、強化剤、充填剤、顔料等を配合しても良い。本発明において、含ハロゲン樹脂と本発明の添加材および他の添加材との混合混練は、両者を均一に混合できる慣用の方法を採用すればよい。例えば、一軸または二軸押出機、ロール、バンバリーミキサー等の任意の混合混練 手段を採用できる。成型方法にも特別の制約はなく、例えば射出成型、押出成型、シートフォーミング成型、トランスファー成型、積層成型、真空成型等の任意の成型手段を採用できる。
【0034】
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
【実施例1】
【0035】
塩化カルシウム(試薬1級)の水溶液(Ca=2モル/リットル、約30℃)2リットルを、2モル/リットルの水酸化ナトリウム(試薬1級)の水溶液(約30℃)4.2リットルを入れた容量10リットルの反応槽に攪拌下に加え反応させ水酸化カルシウムを作成した。引き続き攪拌下に、0.5モル/リットルの塩化マグネシウム(試薬1級)の水溶液(Mg=0.5モル/リットル、約30℃)0.16リットルを添加した。この反応物を加熱して約80℃にした後、10gのステアリン酸ソーダ(純度90%)を溶解した水溶液(約80℃)を攪拌下に加え表面処理を行った。この後、減圧濾過,水洗、脱水、乾燥(オーブンで約120℃、約6時間)、粉砕した。
【0036】
X線回折の測定:得られた粉末のX線回折分析の結果、わずかに高角度にシフトしているが、水酸化カルシウムの回折パターンであった。したがって、ほとんどのMgがCa(OH)に固溶していることが分かる。化学組成の分析:試料をエタノールに浸したのち、塩酸を加えて溶解後、キレート滴定法でCaとMgを分析し、決定された化学組成は、Ca0.98Mg0.02(OH)2、であった。粒度分布の測定:粉末試料をイソプロピルアルコールに添加、超音波で5分間分散処理後、その一部を取り、レーザー回折法粒度分布測定器で測定した。その結果、累積50%の平均2次粒子径は、1.4μmであった。BET比表面積の測定:液体窒素温度で窒素のモノレイヤー物理吸着量を測定し、BET法で決定した比表面積は、8.6m/gであった。
【0037】
上記方法で得られた粉末を安定剤として、スズ系安定剤と併用する下記処方
ポリ塩化ビニル(信越化学(株)製、TH-1000) 100重量部
メチルスズイソオクチルチオグリコレート
(勝田化工(株)製、TM−181FS 0.8重量部
滑剤(ヘンケル(株)製、Loxiol G32) 0.5重量部
滑剤(ヘンケル(株)製、Loxiol G70S) 0.3重量部
熱安定剤 0.2重量部
で、均一に混合後、オープンロールを用いて、170℃で3分間混練してシートを作成した。得られたシートを約3cm角のテストピースに切り取り、アルミニウムホイルで包んだ後、これを190℃に設定した加熱成型機に2枚の成型版に挟んでセットし、約100kg/cmの圧力で所定の時間(15分の整数倍)維持した(いわゆるプレス耐熱試験)。試験後取り出されたテストピースの色を目視により初期着色および熱安定性(黒化するまでの時間)を評価した。
【0038】
別途、上記混練したシートを厚さ1mmに、185℃、圧力約150kg/cmで3分間プレス成型後、分光光度計により可視光線透過率を測定した。波長600nmの光線透過率により透明性を評価した。その結果を表1に示す。
【実施例2】
【0039】
実施例1において、添加する塩化マグネシウムの量を0.24リットルに変更する以外は、実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は以下の通りである。X線回折:わずかに高角度にシフトしているが、水酸化カルシウムの回折パターンであり、MgがCa(OH)に固溶していることが分かる。その他の分析結果は、化学組成:Ca0.97Mg0.03(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.1μm, BET比表面積:10.2m/gであった。この粉末について、実施例1と同様にして安定剤としての評価を行った。
【実施例3】
【0040】
実施例1において、添加する塩化マグネシウムの量を0.32リットルに変更する以外は、実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、MgはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.959Mg0.041(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.3μm、BET比表面積:9.6m/gであった。この粉末について、実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【実施例4】
【0041】
実施例1において、添加する塩化マグネシウムの量を0.4リットルに変更する以外は、実施例1と同様に行った。 得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、MgはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.948Mg0.052(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.4μm、BET比表面積:9.6m/gであった。この粉末について、実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【実施例5】
【0042】
硝酸カルシウム(試薬1級)、硝酸マグネシウム(試薬1級)および硝酸亜鉛(試薬1級)の混合水溶液(Ca=0.94、モル/リットル、Mg=0.055モル/リットル、Zn=0.005モル/リットル、約40℃)と4モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液(工業用、約40℃)を計量ポンプを用い、それぞれ200ミリリットル/分、約100ミリリットル/分の流速で、ただし、pHを約12.5〜12.8の範囲に水酸化ナトリウムの流量を微調節して、攪拌化に共沈させた。得られたスラリーから10リットルを容量約15リットルのステンレス製容器に取り、これを攪拌下にガスコンロで約80℃に加熱した。これに、ステアリン酸ソーダ(純度90%)16gを溶解した水溶液500ミリリットル(約80℃)を、攪拌下に添加し表面処理をした。この後、減圧濾過、水洗、脱水、乾燥(オーブンで約120℃、6時間)、粉砕した。
【0043】
得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、MgとZnはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.94Mg0.055Zn0.005(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.7μm、BET比表面積:10.5m/gであった。この粉末について実施例1と同様にして安定剤としての評価を行った。
【0044】
[比較例1]
実施例1において、塩化マグネシウムの添加量を0.08リットルにする以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、MgはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.99Mg0.01(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.6μm、BET比表面積:8.6m/gであった。この粉末について実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【0045】
[比較例2]
実施例1において、塩化マグネシウムの添加量を0.54リットルにする以外は、実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、MgはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.93Mg0.07(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.72μm、BET比表面積:8.1m/gであった。この粉末を用い、実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【0046】
[比較例3]
実施例1において、熱安定剤としての評価試験における処方で、スズ系安定剤の添加量を0.8重量部から1.5重量部に増やし0.2重量部の熱安定剤を省略した処方で試験した結果を表1に示す。
【0047】
[比較例4]
実施例1において、塩化マグネシウム水溶液を塩化亜鉛水溶液(Zn=0.5モル/リットル、30℃)に変更し、その添加量を0.16リットルとする以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、ZnはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.92Zn0.02(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.61μm、BET比表面積:8.3m/gであった。この粉末を用い、実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【0048】
[比較例5]
実施例1において、塩化マグネシウム水溶液を硝酸第二銅水溶液(Cu=0.5モル/リットル、30℃)に変更し、その添加量を0.32リットルとする以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、CuはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.96Cu0.04(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.59μm、BET比表面積:8.2m/gであった。この粉末を用い、実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【0049】
[比較例6]
実施例1において、塩化マグネシウム水溶液を硝酸マンガン水溶液(Mn=0.5モル/リットル、30℃)に変更し、その添加量を0.32リットルとする以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末の分析結果は、X線回折:実施例1と同様であり、MnはCa(OH)に固溶している、化学組成:Ca0.96Mn0.04(OH)、累積50%の平均2次粒子径:1.41μm、BET比表面積:7.2m/gであった。この粉末を用い、実施例1と同様の安定剤としての評価を行った。
【0050】
表1に示す結果から、式(3)の複合体を構成する2価金属のなかでMgが、しかも、その特定の複合範囲(xが0.02〜0.06)において、初期着色性だけでなく、熱安定性および透明性も特別優れていることが分かる。特に、Mgの複合範囲xが0.03〜0.05(3〜5モル%)で初期着色と熱安定性が際立って良くなっている。
【0051】
【表1】












【実施例6】
【0052】
下記処方(異型押出用)
ポリ塩化ビニル(信越化学(株)製、TH−1000) 100重量部
炭酸カルシウム 3.5重量部
ステアリン酸カルシウム 0.4重量部
ステアリン酸亜鉛 0.8重量部
ジベンゾイルメタン(DBM) 0.05重量部
ステロイルベンゾイルメタン(SBM) 0.05重量部
ジペンタエリスリトール(DPE) 0.2重量部
滑剤 0.7重量部
熱安定剤 0.8重量部
で、熱安定剤として実施例3で得られた水酸化カルシウム系複合体を使用し、均一混合後、オープンロ−ルを使用し、190℃で5分間混練し、シートを作成した。この後、実施例1と同様にして、プレス耐熱試験をおこなった。その評価結果を表2に示す。
【実施例7】
【0053】
実施例6において、熱安定剤をハイドロタルサイト類(協和化学工業(株)製、ALCAMIZER−1、化学組成:MgAl(OH)12CO・3HO)の0.2重量部と実施例3で得られた複合体の0.3重量部に変更する以外は実施例6と同様に行った。その評価結果を表1に示す
【0054】
[比較例7]
実施例6において、熱安定剤として実施例7で用いたハイドロタルサイト類に全量置き換えて使用する以外は、実施例6と同様におこなった。その結果を表2に示す。
【0055】
[比較例8]
実施例6において、熱安定剤として比較例1で得られた複合体を使用する以外は実施例6と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0056】
[比較例9]
実施例6において、熱安定剤として比較例2で得られた複合体を使用する以外は実施例6と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0057】
[比較例10]
実施例6において、熱安定剤として比較例4で得られた複合体を使用する以外は実施例6と同様に行った。その結果を表2に示す。
【0058】
【表2】











【0059】
表2の結果から、本発明の特定組成の複合体は、それ以外の組成の複合体およびハイドロタルサイト類に比較して、初期着色性と熱安定性が特に優れていることが分かる。また本発明複合体とハイドロタルサイト類の併用により、熱安定性に相乗効果が表れることが分かる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
含ハロゲン樹脂100重量部に(a)0.01〜10重量部の下記式(1)
【化1】

(但し、式中、xは0.01<x<0.07の範囲の数を示す)で表わされる水酸化カルシウム系複合体と(b)0.01〜10重量部のスズ系安定剤を含有する安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の含ハロゲン樹脂組成物が、(b)のスズ系安定剤に代えて、
(c)0.01〜2重量部のβ―ジケトン類と、(d)0〜2重量部の亜鉛の有機酸塩と、(e)0〜2重量部の多価アルコール類またはその部分エステル類、を含有する安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1記載の式(1)のxの範囲が0.02<x<0.06である安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1記載の式(1)のxの範囲が0.03≦x≦0.05である安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1記載の式(1)のMgの一部がZnでMgの25%以下の量で置換されている安定化された含ハロゲン化樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1記載の(a)と(b)の添加量の重量比が(a)/(b)=5/95〜40/60の範囲にある安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1記載の式1の水酸化カルシウム系複合体が、高級脂肪酸、高級脂肪酸の金属塩、リン酸エステル、シラン、チタンおよびアルミニウム系カップリング剤、多価アルコールと脂肪酸のエステル類からなる群から選ばれた表面処理剤の少なくとも一種により表面処理されたものである安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1記載の式(1)の水酸化カルシウム系複合体の平均2次粒子径が、0.1〜2μmである安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1記載の式(1)の水酸化カルシウム系複合体のBET比表面積が6以上である安定化された含ハロゲン樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1および2記載の安定化された含ハロゲン樹脂組成物に、下記式(2)
【化2】

(但し、式中、An−はn(1以上の整数)価のアニオン、好ましくは(CO)2−を示し、yとmは次の範囲にある、0<y<0.5,0<m<5)で表わされるハイドロタルサイト類を、0.01〜10重量部さらに添加してなる安定化された含ハロゲン樹脂組成物。

【公開番号】特開2011−84619(P2011−84619A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237311(P2009−237311)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(391001664)株式会社海水化学研究所 (26)
【Fターム(参考)】