説明

安定化された油中グリセリン型エマルション

【課題】本発明は、油中グリセリン型エマルションを安定化するための方法と組成物を提供する。
【解決手段】油中グリセリン型エマルションを安定化するための方法と組成物が提供される。それらは、従来の化粧品または外用組成物に比べて熱に対する不安定性や時間経過に対する不安定性を著しく低減するために使用される。組成物は油中グリセリン型エマルションに1又は複数の油溶性レオロジー調整剤を含み、1又は複数の乳化剤を随意含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中グリセリン型エマルションを安定化するための方法と組成物に関する。本発明はより具体的には、唇を含む顔及び体の表面及び皮膚への外用塗布のための化粧品用及び治療用の安定化された組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
グリセリンのような多価アルコールは、皮膚や唇に塗布された際に湿潤性能を持つ。この性質のため、従来の口紅や唇の荒れ用製品はその調剤にグリセリンのような多価アルコールを含んでいた。そのような製品は典型的にはオゾケライト、蜜蝋およびカンデリラ蝋のような増粘剤を基剤とした蝋質の固体である。例えば特許文献1および特許文献2ではそれぞれ約2〜20%のグリセリン又は他の親水性保湿剤を含有する口紅が開示されている。しかしながら、それらに記載された製品はワックスを基剤としており、硬さ、あるいは耐久性を有する。
【0003】
油中グリセリン型エマルションは、ワックスを基剤とした製品と比べて高いグリセリンの含有量と、唇の快適性を増すためのソフトな調剤とを提供することができるが、安定性に問題のあることが知られている。例えば特許文献3を参照のこと。ここにはオリーブオイルと界面活性剤とを含む安定な油中グリセリン型エマルションを提供しようとする従来技術の試みが失敗に終わっていることが記載されている。油中グリセリン型エマルションの安定性の問題は、少なくとも部分的には、グリセリンと油との密度の差が油と水との場合に比べて大きいことが原因であると考えられる。結果的に、従来の硬いあるいは耐久性の口紅に代わるものとして提供されるソフトな調剤は、グリセリンや他の親水性保湿剤を含んでいない。例えば特許文献4を参照のこと。ここでは、グリセリンや他の親水性成分を含まない、唇に塗布されるソフトな調剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6090386号明細書
【特許文献2】米国特許第6325995号明細書
【特許文献3】米国特許第4254104号明細書
【特許文献4】米国特許第4996044号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
油中グリセリン型エマルションは、極端な温度や、特に高温や、低温と高温とを含む温度の上下に曝されると著しく不安定となる。これらの極端な温度や温度の変化によって相分離やエマルションの消失が起こる可能性がある。このような安定性の問題は、グリセリンを基剤とした製品に対する消費者の評価を低下させる。消費者は一般に相分離や相間浸出のある製品は不出来であると考えるためである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
よって本発明の目的は、唇を含む顔及び体の表面及び皮膚への塗布のための化粧品用及び治療用の組成物を提供することであり、ここで組成物とは時間経過に対する安定性が向上、あるいは高温に曝された際の安定性が向上した油中グリセリン型エマルションである。
【0007】
上述した目的及びその他に従って、本発明は、特に皮膚、顔、唇のための化粧品としての、局所使用のための組成物及びエマルションを安定化する方法を提供する。エマルションとは油中グリセリン型エマルションであり、所望により、無水性のものであってもよい。エマルションは、小売用商品のため、室温あるいは小売用商品が直面する極端な温度において長寿命化を提供するために安定化される。
【0008】
消費者製品に含有される際本発明のエマルションは、チューブ容器あるいは便利な化粧品塗布具によって好適に供給されるクリーム状の組成物を提供するためのレオロジー特性を有してよい。そのようなレオロジー特性には、粘度、ずり粘度及び/あるいは弾性率(G’)が含まれるであろう。ある実施形態において、驚くべきことに、そのような製品は、トリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせを好適な量添加することにより、エマルションが室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズの粘度となるようにすれば、安定化してエマルション破壊やグリセリン相と油相との分離を回避できることが見出された。粘度の測定には、ブルックフィールド粘度計(すなわちブルックフィールドエンジニアリングラボラトリーズ社のDV−Eモデル)を使用した。ある実施形態において、製品は弾性率(G’)>0の連続相によって作られることが見出され、弾性率は本質的に約20℃〜約45℃、好適には20℃〜約60℃、より好適には20℃〜約80℃の温度において温度に依存しない。このように安定性が増すため、改善された外観的、機能的特性が時間経過しても維持されるエマルションの形で多様な製品を調剤することが可能である。
【0009】
本発明のある側面において、油中グリセリン型エマルションが提供される。エマルションは、(i)局所的に許容される1又は複数の油を含有する連続相、(ii)グリセリンを主成分として含有する不連続相、及び(iii)トリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせ、を含む。トリヒドロキシステアリンおよび/又は12−ヒドロキシステアリン酸を欠くのみでその他は同一であるエマルションと比較すると、本発明のエマルションは時間経過や高温に曝された際の安定性が向上している。ある実施形態では、約49℃への加熱を2日間行った後にもこの安定性がみられる。他の場合において、本発明の組成物は約49℃において1週間経過の後にも、向上した安定性を呈し得る。ある実施形態において、安定性の継続が約60℃で12時間、他の場合には1週間起こりうる。
【0010】
油中グリセリン型エマルションの望ましい安定性を達成するため、組み合わせられたトリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸の量は、エマルションが室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズの粘度となるのに適した値である。粘度は、ブルックフィールド粘度計(すなわちDV−Eモデル)を使用した測定値である。ある実施形態において、エマルションはチューブあるいは類似の容器から絞り出されるのに適した軟度のレオロジー特性を持つ。ある実施形態において、トリヒドロキシステアリンの含有量は、エマルションの重量の約0.5%〜約2.5%の範囲であり、該12−ヒドロキシステアリン酸の含有量は、エマルションの重量の約0.2%〜約1.5%の範囲である。典型的には、エマルションはさらに1又は複数種類の乳化剤を含み、総量でエマルションの重量の約0.5%〜約6.0%の範囲である。
【0011】
ある実施形態において、局所的に許容される油がエマルションの重量の約40%〜約90%の範囲で含まれ、グリセリンがエマルションの重量の約5%〜約60%の範囲で含まれ、トリヒドロキシステアリンがエマルションの重量の約0.5%〜約2.5%の範囲で含まれ12−ヒドロキシステアリン酸がエマルションの重量の約0.2%〜約1.5%の範囲で含まれ、1又は複数種類の乳化剤が総量でエマルションの重量の約0.5%〜約6.0%の範囲で含まれる。
【0012】
典型的には、本発明のエマルションの連続相は1又は複数種類の局所的に許容される油を含有し、不連続相はグリセリンを主成分として含有する。エマルションは、特に不連続相に水を含有してもよい。ある実施形態において、エマルションは本質的に無水性である。本発明のエマルションは化粧品組成物中で用いられてよく、そのため典型的には添加成分を含有する。そのような成分は1又は複数の顔料、ワックス、皮膚軟化剤、保湿剤、保存料、香料、抗酸化剤、植物性薬品およびそれらの混合物を含んでよい。添加成分はエマルションの相のうちのいずれか、又は両方に含まれるか、あるいは別の相の部分を形成してよい。
【0013】
本発明のエマルションは、唇や顔用の化粧品、スキンローションおよび日焼け止めのような皮膚用の局所外用製品、痔用クリームあるいは局所外用ドラッグデリバリーローションのような治療用製品を含む様々な製品にとって有益であろう。ある実施形態において本発明のエマルションは、唇保湿剤のような唇への塗布に適した化粧品組成物を形成する。本発明の組成物は、唇用製品のような消費者製品として包装された際、典型的には再密閉可能な容器に収納される。容器は少なくとも部分的に前記化粧品組成物が搭載された収納部と、前記容器に着脱可能に取り付けられた蓋とを有し、蓋は閉じられた状態においては収納部の内容物を封鎖し、開けられた状態においては前記内容物の提供を可能にする。本発明の唇用製品には、リップクリーム、リップバーム、リップグロス、薬用リップトリートメント、唇用保湿剤、唇用化粧品、唇用日焼け止め、唇用香料、およびそれらの類似物が含まれる。
【0014】
本発明の上記あるいは他の側面は、特許請求の範囲を含む当明細書によって、当技術分野の当業者にとって明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施例4に係る様々なサンプルの粘度の温度に対するプロットである。
【図2】図2は、実施例4に係る様々なサンプルの弾性率(G’)の温度に対するプロットである。
【図3】図3は、実施例4に係る様々なサンプルの弾性率(G’)の温度に対する線形スケールプロットである。
【図4】図4は、実施例4に係る様々なワックスの弾性率(G’)の温度に対するプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、特に皮膚、顔、唇のための化粧品としての、局所使用のための組成物及び油中グリセリン型エマルションを安定化する方法を提供する。本発明の安定化された油中グリセリン型エマルションは、(i)局所的に許容される1又は複数の油を含有する連続相、(ii)グリセリンを主成分として含有する不連続相、及び(iii)エマルションが室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズの粘度となるのに適した量の、トリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせ、を含む。ただし粘度の測定には、ブルックフィールド粘度計(すなわちDV−Eモデル)を使用した。特定の理論に束縛されることを望まないが、特にトリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との特定の組み合わせが、室温において十分に低い粘度を提供する課題を解決するため、油中グリセリン型エマルションがチューブ容器あるいは同様の装置に供給されてもよく、同時に高温に曝された際のエマルションの物理的安定性を与える。その他の場合には、本発明に係る組成物は、約20℃〜約45℃、好適には20℃〜約60℃、より好適には20℃〜約80℃の温度において本質的に温度に依存しない弾性率(G’)を呈する。
【0017】
本発明の安定化されたエマルションは、トリヒドロキシステアリン及び12−ヒドロキシステアリン酸を欠くのみでその他は同一であるエマルションと比較して安定性が向上している。安定性は、化粧品分野における様々な方法を用いて測定することができる。例えば、安定性の試験は、一晩、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1か月、等の期間、組成物試料を約49℃に加熱して行うことができる。他の場合、安定性の試験は、1時間、6時間、12時間、18時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、2週間、3週間、1か月、等の期間、組成物試料を約60℃に加熱して行うことができる。ある実施形態において、1又は数回の冷凍/解凍サイクルを実施することによって安定性の試験を行うことができる。最も、油中グリセリン型エマルションは、一般的には、冷凍/解凍の際に、油中水エマルションほどには不安定性を呈しない。グリセリンは水のように体積膨張を伴って結晶化しないためである。安定性の評価は、定性的な目視検査によって行われてよく、相間の分離サイズや分離バンドの成長を測定することによって数値較正してもよい。ある実施形態において、安定なエマルションは目視できる分離を有しない。「その他は同一」とは、それぞれの成分と成分含有量が、除外された成分を除いては同一であることを意味し、除外された成分は残りの全成分によってそれらの比率において置き換えられるか、例えば連続相のグリセリンのような主担体成分によって全体的に置き換えられる。
【0018】
ある実施形態において、本発明の安定化された油中グリセリン型エマルションは、1又は複数の局所的に許容される油を含有する連続相と、グリセリンを主成分として含有する不連続相と、約20℃〜約45℃、好適には20℃〜約60℃、より好適には20℃〜約80℃の温度において本質的に温度に依存しない弾性率(G’)>0を呈する連続相とを有する。
【0019】
連続相は好適には、これらに限定されるものではないが、天然あるいは合成の油を含み、動物油、植物油、石油、脂肪酸トリグリセリド;パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルの様な脂肪酸エステル;ジカプリルエーテルの様なエーテル;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールの様な脂肪族アルコール;ステロール;イソオクタン、イソドデカン、イソヘキサデカン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカン、C8−20 イソパラフィン、鉱油、ワセリン、イソエイコサン、ポリイソブテンの様な炭化水素;C10−30 コレステロール/ラノステロールエステル;ラノリン;等を含む。代表的な炭化水素はパラフィン性の炭化水素を含み、エクソン社からISOPARSの商標名で、あるいはパーメチルコーポレーションから入手可能である。加えて、パラフィン性のC8−20炭化水素、例えばパーメチルコーポレーションによってパーメチル99A(商標)の商品名で製造されているC12イソパラフィン(イソドデカン)もまた好適であると考えられる。様々な市販のC16イソパラフィン、例えばイソヘキサデカン(商品名パーメチルR(登録商標))もまた好適である。ジメチコン、環状シリコーン、ポリシロキサンの様なシリコーン油もまた連続相に含まれうる。ある実施形態において、シリコーン油の量は連続相の重量の5%より少ない。
【0020】
ある好適な実施形態において、連続相は低臭ラノリンを含む。理論に束縛されることを望まないが、ラノリンは局所塗布された際に経表皮水分喪失を抑制する非水溶性のバリアーを付与すると考えられる。同様の効果を与えうる、連続相にとって好適である成分には、亜麻油、ホホバ油、ワセリン、鉱油、ラノステロール、コレステロールエステル、スクアレン、トリグリセリド油、低融点ワックスが含まれる。
【0021】
最も広範な観点において、不連続相は主成分として1又は複数の多価アルコールを含んでよい。その例は限定されるものではないが、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ネオペンチルグリコール、カプリリルグリコールを含むC3−8グリコールである。それらに代えて、不連続相は主成分としてエトキシジグリコールの様なポリエチレングリコールを含んでよい。
【0022】
ある好適な実施形態において、不連続相の溶媒は主成分としてグリセリンを含む。ある実施形態において、グリセリンはUSPグレードのグリセリンである。不連続相に用いられるグリセリンは水を含んでよい。いくつかの実施形態において、不連続相の溶媒は本質的にグリセリンのみから構成されてよく、これは不連続相に意図的には他の溶媒が加えられないことを意味する。これはただし、本質的にグリセリンのみから構成される組成物は少量の水、すなわち化粧品グレードのグリセリンに含まれうる約0.1重量%〜約4重量%の水を含んでよいことが理解されるべきである。
【0023】
主成分とは、グリセリンの量が不連続相の重量の50%以上であることを意味する。典型的には、不連続相は少なくとも約55%がグリセリン、少なくとも約60重量%がグリセリン、少なくとも約65%がグリセリン、少なくとも約70%がグリセリン、少なくとも約75%がグリセリン、少なくとも約80%がグリセリン、少なくとも約85%がグリセリン、少なくとも約90%がグリセリン、あるいは少なくとも約95%がグリセリンである。典型的には、エマルション中のグリセリンの総量はエマルションの重量の約5%〜約50%の範囲である。例えば、エマルション中のグリセリンの量はエマルションの重量の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%あるいは約45%、あるいは約26%、約27%、約28%や約29%のような中間の値であってよい。
【0024】
不連続相は、不連続相の重量の50%より少ない量の水を含んでよい。ある実施形態において、エマルション中の水の総量は、エマルションの総重量の約20%より少ないか、エマルション総重量の約15%より少ないか、約10%より少ないか、エマルションの総重量の約9%より少ないか、エマルションの総重量の約8%より少ないか、エマルションの総重量の約7%より少ないか、エマルションの総重量の約6%より少ないか、エマルションの総重量の約5%より少ないか、エマルションの総重量の約4%より少ないか、エマルションの総重量の約3%より少ないか、エマルションの総重量の約2%より少ないか、あるいはエマルションの総重量の約1%より少ない。いくつかの実施形態において、水の含有量はエマルションの重量の約0.03%〜約1.2%の範囲である。
【0025】
ある実施形態において、エマルションは本質的に無水性である。本質的に無水性であるとは、水の含有量が、エマルションの安定性に対して測定できる物質的な影響を与えない程度の量であることを意味する。典型的には、エマルションは添加される水を含まないが、成分から水を除去するための付加的処理工程は添加の前後いずれにも行われない。また、大気中の水あるいは残余水の除去、貯蔵中に補足されうる水の除去のための付加的処理工程も行われない。理論による束縛は望ましくないが、相当量の水を除去することは、水の蒸発による経時変化を最少化するため、時間経過に伴う安定性をさらに与えるという利点がある。
【0026】
保湿および/あるいは湿潤特性を与える付加的成分が、グリセリンと共に不連続相に含まれてよい。そのような付加的成分は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、あるいはカプリリルグリコール、あるいは上記のグリコール又はポリオールのいずれかを含んでよい。
【0027】
連続相は典型的にはエマルションの約40%〜約95%を構成してよく、一方不連続相は典型的にはエマルションの約5%〜約60%を構成してよい。上記の範囲内にある全ての割合が考えられる。例えば、連続相は約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、又はこの範囲内の任意の値を構成してよい。同様に、不連続相は約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、又はこの範囲内の任意の値を構成してよい。
【0028】
本発明のある観点に係るエマルションには、トリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせが必要である。この組み合わせの含有量は典型的にはエマルションが室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズの粘度となるのに適した量である。ここで粘度は、ブルックフィールド粘度計(すなわちDV−Eモデル)を使用した測定値である。上記含有量は、エマルションがチューブから絞り出されるのに適合した軟度である。トリヒドロキシステアリンはトリ(12−ヒドロキシステアリン酸)グリセリルとしても知られ、グリセリンと12−ヒドロキシステアリン酸とのトリエステルであり、12−ヒドロキシステアリン酸はヒドロキシステアリン酸又は12−ヒドロキシ−オクタデカン酸としても知られ、一般式は以下の通りである。
【0029】
【化1】

【0030】
トリヒドロキシステアリンはエマルションの重量の約0.1%〜約2.5%の範囲で含まれ、エマルションの重量の約0.25〜約1.0%の範囲で含まれてもよい。例えば、トリヒドロキシステアリンの含有量は約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0、約1.1%、約1.2%、約1.3%、約1.4%、約1.5%、約1.6%、約1.7%、約1.8%、約1.9%、約2.0、約2.1%、約2.2%、約2.3%、約2.4%又は任意の他の値であって、必要な粘度や弾性率(G’)のような他の所望のレオロジー特性をヒドロキシステアリン酸との組み合わせにおいて与える値であってよい。ヒドロキシステアリン酸はエマルションの重量の約0.1%〜約3.0%の範囲で含まれ、エマルションの重量の約0.5〜約1.5%の範囲で含まれてもよい。例えばヒドロキシステアリン酸の含有量は約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1.0重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約2.0重量%、約2.5重量%又は任意の他の値であって、必要な粘度や弾性率(G’)のような他の所望のレオロジー特性をトリヒドロキシステアリンとの組み合わせにおいて与える値であってよい。
【0031】
トリヒドロキシステアリンのヒドロキシステアリン酸に対する重量比は典型的には約5/1〜約1/2である。この範囲の中で、約4/1、約3/1、約2/1および約1/1もまた有益であると考えられる。
【0032】
ある実施形態において、本発明の組成物は本質的にトリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸以外のレオロジー調整剤を排除する。本質的に排除するとはここでは、エマルションの粘度に測定可能な物質的な影響を与えるほどの量の付加的レオロジー剤を含まないことを意味する。
【0033】
弾性率(G’)が温度に依存しないとは、最も高温の5度における平均G’を基準とした、所定の温度範囲における平均の分散が50%未満、より典型的には30%未満、あるいは15%未満でさえあることを意味する。例えば図3に示したデータについて、平均の分散(Avg Variance)の算出は次の式を用いて行った。ここでG’は温度xにおける弾性率(G’)であり、T=25℃、T=80℃、T=75℃である。
【0034】
【数1】

【0035】
本発明のエマルションは典型的には1又は複数の乳化剤をさらに含む。例えば、1又は複数の乳化剤は総量としてエマルションの重量の約0.01%〜約10.0%含有されてよい。いくつかの実施形態において、乳化剤の総量は約0.1重量%〜約6.0重量%、又は約0.5重量%〜約4.0重量%の範囲である。いくつかの実施形態において、乳化剤の総量はエマルションの重量の約2%又は約4%である。
【0036】
油中グリセリン型エマルションにおいて使用される乳化剤はHLB値が低いものが好適であろう。例えば、そのような乳化剤は10より低い、又は8.5より低い、低いHLB値を有してよい。ある実施形態において、HLB値は2〜5が好適である。ある実施形態において、1又は複数の低HLB値の乳化剤がより高いHLB値の乳化剤と共に用いられる。乳化剤は例えば、6−ポリリシノレリン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル、2−ジイソステアリン酸ポリグリセリルのようなポリグリセリル化合物;ステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリルのようなグリセロールエステル;レシチン、トリラウレス−4リン酸(Hostaphat(登録商標)KL−340−Dの商品名で市販されている)のようなリン脂質およびリン酸エステル;ラウリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタンのような含ソルビタンエステル(SPAN(登録商標)エステルを含む);ポリオキシエチレンオクチルフェノールのようなポリオキシエチレンフェノール;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルのようなポリオキシエチレンエーテル;ポリヒドロキシステアリン酸PEG−30、アルキルポリエチレングリコールのようなポリエチレングリコール乳化剤;PPG−6ラウレス−3のようなポリプロピレングリコール乳化剤;ジメチコンポリオールおよびポリシロキサン乳化剤;等を含む。レシチンとソルビタンとの組み合わせのような、乳化剤の組み合わせも考慮される。さらなる乳化剤は、INCI Ingredient Dictionary and Handbook、第12版、2008年、に記載され、その開示は参照として本明細書に含まれる。
【0037】
ある実施形態において、本発明のエマルションは1又は複数の局所外用剤として許容される油を連続相中に含んでよく、典型的にはエマルションの重量の約40%〜約95%の範囲、より典型的には約55%〜約75%存在してよい;グリセリンは典型的にはエマルションの重量の約5%〜約60%、より典型的には約20%〜約40%存在してよい;トリヒドロキシステアリンはエマルションの重量の約0.1%〜約2.5%、より典型的には約0.25重量%〜約1.0重量%存在してよい。12−ヒドロキシステアリン酸はエマルションの重量の約0.1%〜約3.0%の範囲、より典型的には約0.5%〜約1.5%存在してよい。典型的には、エマルションはさらに1又は複数の乳化剤を総量にしてエマルションの重量の約0.5〜約3.0%を含んでよい。
【0038】
本発明に係るエマルションは、局所塗布のための化粧品組成物に特に好適である。化粧品組成物として調剤された際、典型的にはエマルションはさらに、所望により、エマルション相のいずれか又は両方に分配された追加成分を含んでよい。それらの成分は顔料、ワックス、皮膚軟化剤、保湿剤、保存料、香料、抗酸化剤、植物性薬品、およびそれらの混合物、からなる群から選ばれてよい。皮膚や唇の治療に有効な創傷治療、抗炎症性、又は他の効能を持ちうる高純度植物抽出物又は合成薬について特に言及しておく。組成物は製品の持続性を向上させる1又は複数のフィルム形成剤を含んでよい。ある実施形態において、本発明の組成物は、局所塗布された際に高含有量のグリセリンのために高い保湿能の測定値を呈し、同時に向上した安定性により、消費者評価を達成する。
【0039】
本発明の組成物は典型的には従来の唇用製品よりもワックスの含有量が低いだろう。いくつかの実施形態において、ワックスの含有量は組成物の重量の約10%より低い。さらに典型的には、組成物のワックス含有量は約5重量%より低く、さらには約1重量%より低くてもよく、あるいはワックスを含まなくてもよい。
【0040】
さらなる機能性を与えるためにさらなる成分を添加してよい。例えば、紫外線(UV)吸収・散乱のために二酸化チタンおよび酸化亜鉛粒子のような粒子状物質、色(例えば顔料)、パール光沢(例えばマイカ)のように外観のための物質等を添加してもよい。他の実施形態ではトコフェロールのような抗酸化剤を含んでよい。その他の場合、本発明のエマルションは例えば痔の治療における局所活性医薬品の送達媒体として使用できる。
【0041】
ある実施形態において、本発明のエマルションは唇に塗布するための小売用商品として提供される。すなわちそれらの唇用製品にはリップクリーム、リップバーム、リップグロス、薬用リップトリートメント、唇用保湿剤、唇用化粧品、唇用日焼け止め、唇用香料が含まれてよい。ある実施形態において、唇用製品はクリーム状、流動性のある唇用製品である。ある実施形態において、本発明に係る製品は半粘性液体又はペーストへの適合性を有してよい。
【0042】
本発明のエマルションは、唇用製品として調剤された際に再密閉可能な容器に収納されてよい。そのような容器は、化粧品組成物として調剤されたエマルションが搭載された封入部又は収納部と、容器に着脱可能に取り付けられた、又は容器に可動に配置された蓋とを有してよい。ある実施形態において、蓋はチューブ状封入部に取り付けられてよく、蓋はチューブ状封入部の開口部から取り外しでき、組成物の分配完了に際しては元に戻すことができる。蓋はチューブ状封入部に取り付けられて良く、使用と使用の間にチューブ状封入部を保存できるように再封鎖することを容易にする。ある実施形態において、蓋は、閉じられた状態では内容物の封鎖のために、開かれた状態では容器の内容物の分配を可能にするために、容器に開閉可能に取り付けられてよい。多種の容器が想定され、限定するものではないがノック式ペン、ポンプ、エアレスポンプ、加圧パッケージ、絞り出し容器、チューブ容器、化粧品塗布具、それらの類似物を含む。
【0043】
化粧品分野で慣例的に行われているように、さらなる成分が充填剤としてや他の機能的目的のために含まれてよい。ただし、上述の化粧品組成物の調剤に適合するさらなる成分が含まれてよい一方、さらなる成分の含有は油中グリセリン型エマルションの調剤に影響を及ぼさない成分に限定される。
【実施例】
【0044】
本発明の油中グリセリン型エマルションは次の一般工程によって調整されてよい。油およびワックス(存在する場合)を反応容器に入れ、全ての成分が融解するまで、一般的には約85℃まで加温する。粉末はそれぞれよく分散するまで粉砕(均一化)されて、顔料および/あるいは粉砕された顔料が加えられ、温度に非依存の他の機能性成分が加えられる。グリセリン相は約85℃に加温され、均一化しながら主反応容器に徐々に加えられる。混合物は粉砕とともに約60℃まで冷却され、香料や温度に依存する活性成分が加えられる。組成物は徐々に混合しながら約55℃に冷却され、試験的器具に搭載されるか評価のために梱包される。安定性の評価は相間分離やバンドの有無によってなされる。
【実施例1】
【0045】
エマルション調剤A−Dは次の表に従って調整された。すべての量は成分の重量%で示される。
【0046】
【表1】

【0047】
目視による安定性評価の結果、調剤Aは60℃のオーブンで一晩処理した後に分離を呈しなかった。調剤BおよびCはいくらかの分離を呈し、DはBおよびCに比べて同条件でいくらか少ない分離を呈した。60℃で1週間が経過したのち、調剤Aは引き続き分離を呈さず、調剤Bは一晩経過後の結果と比べてさらなる分離は呈さず、調剤CおよびDは一晩経過後の結果に比べてそれぞれ分離が増大した。これらの結果は調剤CおよびDは商品として受け入れられないことを示唆している。
【0048】
他の安定性試験において、調剤Aは約49℃(120°F)において2日又は1週間の後に分離を呈しなかった。調剤Bは2日目にいくらかの分離を呈し、同条件下で一週間の後に少量の分離の増加を呈した。調剤Cは2日目と一週間後に顕著な分離を呈した。調剤Dは2日目に少量の分離を呈し、同条件下で1週間後に分離が著しく増大した。これらの結果より調剤CおよびDは商品として受容されないと考えられる。
【実施例2】
【0049】
エマルション調剤Eは次の表に従って調整された。すべての量は成分の重量%で示される。
【0050】
【表2】

【実施例3】
【0051】
エマルション調剤Fは次の表に従って調整された。すべての量は成分の重量%で示される。
【0052】
【表3】

【0053】
エマルションFは3度の冷凍/解凍サイクルを経過した。観測によると、3度目のサイクルの後にエマルションの分離は存在しなかった。室温で3週間又は49℃(120°F)で1週間の後に調剤Fにおいて分離は観測されなかった。
【実施例4】
【0054】
油相が次の表に従って調整された。
【0055】
【表4】

【0056】
試験組成物が次の表に従って調整された。
【0057】
【表5】

【0058】
方法:サンプルはそれぞれレオメーター(AR G2レオメーター;TAインスツルメント社;配置;2つの40mmパラレルプレート、プレート間隙1mm)に充填された。サンプルは80℃で2つのプレートの間に注入され、余剰分は除去した。サンプルを充填した後、5Hzのせん断速度で1分間の前せん断をおこなった。この準備ステップは充填の再現性を確保するために行われた。その後毎分5℃の温度低下率で80℃から25℃に冷却しながら、温度走査に伴うサンプルの測定を行った。測定の間、サンプルは周波数1Hzで振動し、歪は1%に調節した。
【0059】
図1は油相、組成物1、組成物2、組成物CTRについての粘度の温度に対するプロットである。図1によれば、トリヒドロキシステアリンとヒドロキシステアリン酸との組み合わせ(ラベルCTR)はヒドロキシステアリン酸単独との組み合わされた油相(ラベル2)と比較して温度依存性がより低い(温度非依存性が高い)。
【0060】
図2は油相、組成物1、組成物2、組成物CTRについての弾性率(G’)の温度に対するプロットである。図2によれば、トリヒドロキシステアリンとヒドロキシステアリン酸との両方を含むサンプル(ラベルCTR)は、組成物に個別に含んだ成分と比較して有効性を呈する。CTRサンプルは弾性率(G’)の温度感受性が比較的低く、他の調剤と比べて高温における数値が高い。油相単独と油相及びトリヒドロキシステアリン(ラベル1)のデータは図2には表示されておらず、これは図が対数プロットであり負の数値が表示されていないためである。
【0061】
図3は油相、組成物1、組成物2、組成物CTRについての弾性率(G’)の温度に対するプロットである。図3は、油相単独と油相及びトリヒドロキシステアリン(ラベル1)との弾性率(G’)が本質的に0であることを示すために線形スケールで表示されている。
【0062】
図4は表5に記載の様々なワックスについての弾性率(G’)の温度に対するプロットである。構造付与物質として用いられるワックスを含む油相に対する測定によれば、トリヒドロキシステアリンとヒドロキシステアリン酸を含む油相(ラベルCTR)が呈するような挙動は見られなかった。トリヒドロキシステアリンとヒドロキシステアリン酸を含む油相は、0.1Paより大きく温度に非依存の弾性率を示す組成物を与えることが観測される。比較のために試験されたワックスはカルナウバ、オゾケライト及びポリエチレンであり、それらのワックスはトリヒドロキシステアリンとヒドロキシステアリン酸との組み合わせを含む油相に見られるような有効性を呈しなかった。トリヒドロキシステアリンとヒドロキシステアリン酸との両方を組み合わせとして含む油相は、温度非依存の弾性率(G’)を呈し構造化された粘弾性を有する組成物を形成する。この有効性は、それら2つの成分のうち1つのみを含有する場合には観測されず、表5に挙げた一般的なワックスにおいてもまた観測されなかった。
【0063】
本明細書及び特許請求の範囲に記載された発明は、ここに開示された具体的な実施形態の範疇に限定されない。それらの実施形態は本発明のいくつかの側面を例示することを意図しているためである。あらゆる同様の実施形態は本発明の範疇に帰属することが意図される。実際、本明細書への明示や記載に加えての本発明のへ様々な改変が、上記明細書によれば本分野の当業者にとって自明であろう。そのような改変もまた添付の特許請求の範囲の範疇に帰属することが意図される。本明細書で引用された出版物は全てその全体が参照として本明細書に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定化された油中グリセリン型エマルションであって、
(i)1又は複数の局所的に許容可能な油を含む連続相と、
(ii)主成分としてグリセリンを含む不連続相と、
(iii)前記エマルションの粘度が室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズとなるのに適した量のトリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせと、を含み、
トリヒドロキシステアリン及び/又は12−ヒドロキシステアリン酸とを欠くのみでその他は同一であるエマルションと比較して前記エマルションの安定性が向上していること、
を特徴とする、エマルション。
【請求項2】
前記エマルションがさらに、総量にして約0.5重量%〜約6.0重量%の、1又は複数の乳化剤を含むこと、
を特徴とする請求項1に記載のエマルション。
【請求項3】
前記トリヒドロキシステアリンの含有量が約0.5重量%〜約2.5重量%の範囲であり、前記12−ヒドロキシステアリン酸の含有量が約0.2重量%〜約1.5重量%の範囲であること、
を特徴とする請求項2に記載のエマルション。
【請求項4】
約49℃で2日間加温後に前記エマルションがエマルションとして安定であること、
を特徴とする請求項3に記載のエマルション。
【請求項5】
約49℃で一週間加温後に前記エマルションがエマルションとして安定であること、
を特徴とする請求項3に記載のエマルション。
【請求項6】
約60℃で12時間加温後に前記エマルションがエマルションとして安定であること、
を特徴とする請求項3に記載のエマルション。
【請求項7】
約60℃で1週間加温後に前記エマルションがエマルションとして安定であること、
を特徴とする請求項3に記載のエマルション。
【請求項8】
前記エマルションが本質的に無水であること、
を特徴とする請求項1に記載のエマルション。
【請求項9】
(i)安定化された油中グリセリン型エマルションであって、
(a)1又は複数の局所的に許容可能な油を含む連続相と、
(b)主成分としてグリセリンを含む不連続相と、
(c)前記エマルションの粘度が室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズとなるのに適した量のトリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせと、を含むエマルション、を含み、
(ii)所望により、前記エマルションのいずれかの相あるいは両方の相に配される、顔料、ワックス、保湿剤、湿潤剤、保存料、香料、抗酸化剤、植物性薬品、およびそれらの混合物からななる群より選択される1又は複数の成分を含み、
トリヒドロキシステアリン及び/又は12−ヒドロキシステアリン酸とを欠くのみでその他は同一であるエマルションと比較して前記エマルションの安定性が向上していること、
を特徴とする化粧品組成物。
【請求項10】
前記化粧品組成物が唇への塗布に好適であること、
を特徴とする請求項9に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
(A)唇への塗布に好適な化粧品組成物であって、
(i)安定化された油中グリセリン型エマルションであって、
(a)1又は複数の局所的に許容可能な油を含む連続相と、
(b)主成分としてグリセリンを含む不連続相と、
(c)前記エマルションの粘度が室温で約2000センチポアズ〜約3000000センチポアズとなるのに適した量のトリヒドロキシステアリンと12−ヒドロキシステアリン酸との組み合わせと、を含むエマルションを含み、
(ii)所望により、前記エマルションのいずれかの相あるいは両方の相に配される、顔料、ワックス、保湿剤、湿潤剤、保存料、香料、抗酸化剤、植物性薬品、およびそれらの混合物からななる群より選択される1又は複数の成分を含む、化粧品組成物と、
(B)少なくとも部分的に前記組成物が装填された収納部と前記容器に可動に取り付けられた蓋とを有する開閉可能な容器と、を含む唇用製品において、
前記エマルションはチューブから絞り出されるのに適合した軟度を有し、
トリヒドロキシステアリン及び/又は12−ヒドロキシステアリン酸とを欠くのみでその他は同一であるエマルションと比較して前記エマルションの安定性が向上しており、
前記蓋は閉じられた状態においては前記収納部の内容物を封鎖し、開けられた状態においては前記内容物の供給を可能にすること、
を特徴とする、唇用製品。
【請求項12】
(i)前記1又は複数の局所的に許容可能な油の前記化粧品組成物における含有率が約40重量%〜約90重量%の範囲であり、
(ii)前記グリセリンの前記化粧品組成物における含有率が約5重量%〜約60重量%の範囲であり、
(iii)前記ヒドロキシステアリンの前記化粧品組成物における含有率が約0.5重量%〜約2.5重量%の範囲であり、
(iv)前記12−ヒドロキシステアリン酸の前記化粧品組成物における含有率が約0.2重量%〜約1.5重量%の範囲であり、
前記化粧品組成物がさらに
(v)1又は複数の乳化剤を総量にして前記化粧品組成物の約0.5重量%〜約6.0重量%の範囲で含有すること、
を特徴とする、請求項11に記載の唇用製品。
【請求項13】
前記唇用製品が、リップクリーム、リップバーム、リップグロス、薬用リップトリートメント、唇用保湿剤、唇用化粧品、唇用日焼け止めおよび唇用香料からなる群より選択されること、
を特徴とする、請求項11に記載の唇用製品。
【請求項14】
(i)1又は複数の局所的に許容可能な油を含む連続相と、
(ii)主成分としてグリセリンを含む不連続相と、
(iii)約25℃〜約60℃の温度において本質的に温度非依存の弾性率(G’)>0を呈する連続相と、を含む安定化された油中グリセリン型エマルション。
【請求項15】
前記連続相が約20℃〜約80℃の温度において本質的に温度非依存の弾性率(G’)を呈すること、
を特徴とする請求項14に記載のエマルション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−515056(P2013−515056A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546034(P2012−546034)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/060386
【国際公開番号】WO2011/078991
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(399130393)エイボン プロダクツ インコーポレーテッド (75)
【Fターム(参考)】