説明

安定化された流体

【課題】貯蔵安定性に優れた3−イソチアゾロン含有流体組成物を提供する。
【解決手段】流体組成物であって、(a)1以上の非塩素化3−イソチアゾロン、(b)前記流体組成物の重量基準で、0.7重量%〜10重量%の1以上の第一級アルカノールアミン、(c)前記流体組成物の重量基準で、2重量%〜30重量%の1以上の第三級アルカノールアミン、(d)ヨードプロピニルブチルカーバメート安定剤を含み、前記安定剤の前記非塩素化3−イソチアゾロンに対するモル比が0.3:1〜3:1である流体組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な有用な流体は、1以上の3−イソチアゾロンを含有し、及び比較的高濃度の1以上のアルカノールアミンを含有する。ある3−イソチアゾロンは、かかる流体のいくつかにおいては貯蔵の間安定ではなく、流体中に安定剤も含むことが望ましい。かかる流体の一例は、金属加工流体濃縮物であって、これは少なくとも10倍希釈した後に、金属加工流体として有用な流体である。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5,210,094号は、金属加工流体および金属加工流体濃縮物であって、3−イソチアゾロンおよび硫黄含有化合物を含有するものを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5210094号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1以上の3−イソチアゾロンを含有し、及び比較的高濃度の特定のアルカノールアミンを含有する流体であって、1以上の3−イソチアゾロンが貯蔵に際して安定であるものを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一つの態様において、
流体組成物であって、
(a)1以上の非塩素化3−イソチアゾロン、
(b)前記流体組成物の重量基準で、0.7重量%〜10重量%の1以上の第一級アルカノールアミン、
(c)前記流体組成物の重量基準で、1重量%〜30重量%の1以上の第三級アルカノールアミン、
(d)ヨウ素含有安定剤、メルカプトベンゾチアゾール、およびその混合物からなる群から選択される1以上の安定剤を含み、
前記安定剤の前記非塩素化3−イソチアゾロンに対する重量比が0.2:1〜5:1である流体組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
流体組成物は、15℃〜60℃または場合によりさらに広い温度範囲にわたって液体である組成物である。
【0007】
3−イソチアゾロンは下記式の化合物である。
【0008】
【化1】

【0009】
式中、R、RおよびRはそれぞれ独立して、水素またはハロゲンあるいは置換または非置換有機基である。RおよびRは環構造を形成するために互いに結合していても、していなくてもよい。R、RおよびRの任意の1以上が1以上の塩素原子を有する場合、化合物は塩素化3−イソチアゾロンと呼ばれる。R、RおよびRの任意の1以上が1以上のハロゲン原子を有する場合、化合物はハロゲン化3−イソチアゾロンと呼ばれる。R、RおよびRのいずれも塩素原子を有さない場合、化合物は非塩素化3−イソチアゾロンと呼ばれる。R、RおよびRのいずれもハロゲン原子を有さない場合、化合物は非ハロゲン化3−イソチアゾロンと呼ばれる。
【0010】
本発明における使用に好適な非塩素化3−イソチアゾロンは、例えば、前記式の化合物であって、式中、Rが(C−C18)アルキルまたは(C−C12)シクロアルキルであり、それぞれがヒドロキシ、シアノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミン、アリールアミノ、カルボキシ、カルボアルコキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチオ、アリールチオ、シクロアルキルアミノ、カルバモキシ、またはイソチアゾロニルの1以上で任意に置換されていてもよいもの;非置換(C−C)アルケニルまたはアルキニル;(C−C10)アルアルキルであって、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルコキシの1以上で任意に置換されていてもよいもの;あるいはアリールであって、ニトロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルキル−アシルアミノ、カルボ(C−C)アルコキシまたはスルファミルの1以上で任意に置換されていてもよいものであり;RおよびRはそれぞれ独立して、H、(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキルであるか、または一緒になってベンジルを形成する。
【0011】
いくつかの実施態様において、流体組成物は、前記定義の非塩素化3−イソチアゾロンのいずれか一つまたは任意の混合物を含有する。本発明の流体組成物は、塩素原子を有さない少なくとも1つの3−イソチアゾロンを含有することが意図される。いくつかの実施態様において、流体組成物は、塩素原子を有する3−イソチアゾロンを含有しない。
【0012】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、1以上の2−メチル−3−イソチアゾロン、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン、1,2−ベンズイソチアゾロン、またはその混合物の含有する。いくつかの実施態様において、流体組成物は、1以上の2−メチル−3−イソチアゾロンまたは2−n−オクチル−3−イソチアゾロンまたはその混合物を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物はハロゲン化3−イソチアゾロンを含有しない。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は2−メチル−3−イソチアゾロン、2−n−オクチル−3−イソチアゾロン、および1,2−ベンズイソチアゾロン以外の3−イソチアゾロンを含有しない。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、2−メチル−3−イソチアゾロンおよび2−n−オクチル−3−イソチアゾロン以外の3−イソチアゾロンを含有しない。
【0013】
使用される非塩素化3−イソチアゾロンの種類に関係なく、非塩素化3−イソチアゾロンの量は広範囲に変化し得る。特定の条件下で使用される特定の流体組成物は、生体成長を形成する傾向が大なり小なりあり、従って、有効な殺生物剤として一般に見なされる非塩素化3−イソチアゾロンが多量または少量で使用される。いくつかの実施態様において、非塩素化3−イソチアゾロンの量は、流体組成物の重量基準で、200ppm以上;または500ppm以上、または900ppm以上である。独立して、いくつかの実施態様において、非塩素化3−イソチアゾロンの量は、流体組成物の重量基準で、20,000ppm以下;または10,000ppm以下、または5,000ppm以下である。
【0014】
アルカノール基は、構造HO−R−(式中、Rはアルキルまたはアルコキシアルキル基である)を有する基である。Rは直鎖、分岐鎖、環状、またはその組み合わせであり得る。いくつかの好適なアルカノール基は、例えば、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、−C(CHCHOH、−CHCH−O−CHCHOH、及び下記式のものである。
【0015】
【化2】

【0016】
いくつかの好適な実施態様において、アルカノール基は、−CHCHOH、−C(CHCHOH、および−CHCH−O−CHCHOHを包含する。
【0017】
アルカノールアミンは、下記構造を有する化合物である。
【0018】
【化3】

【0019】
(式中、Rは、アルカノール基であり、かつ、RおよびRはそれぞれ独立して水素あるいは置換または非置換有機基である。)
【0020】
第一級アルカノールアミンは、RおよびRがそれぞれ水素であるアルカノールアミンである。いくつかの実施態様において、アルカノール基が4つまたは5つの炭素原子を有する第一級アルカノールアミンが使用される。いくつかの実施態様において、アルカノール基が4つの炭素原子を有する第一級アルカノールアミンが使用される。独立して、いくつかの実施態様において、アルカノール基が、−CHCHOH、−C(CHCHOH、−CHCH−O−CHCHOH、または下記式のものである、第一級アルカノールアミンが使用される。
【0021】
【化4】

【0022】
独立して、いくつかの実施態様において、アルカノール基が、−C(CHCHOHまたは−CHCH−O−CHCHOHである第一級アルカノールアミンが使用される。いくつかの実施態様において、−C(CHCHOHまたは−CHCH−O−CHCHOH以外のアルカノール基を有する第一級アルカノールアミンは使用されない。
【0023】
第三級アルカノールアミンは、RもRも水素でないアルカノールアミンである。RおよびRのそれぞれは、例えば、置換または非置換アルキル基(直鎖、分岐鎖、環状、またはその組み合わせ)、置換または非置換アリール基、あるいはその組み合わせであり得る。いくつかの実施態様において、RおよびRの少なくとも1つは非置換アルキル基またはアルカノール基である。いくつかの実施態様において、RおよびRはどちらも非置換アルキル基、アルカノール基、およびその混合物から選択される。いくつかの実施態様において、RおよびRの両方が、非置換アルキル基、アルカノール基、およびその混合物から選択されるもの以外の第三級アルカノールアミンは使用されない。独立して、いくつかの実施態様において、RおよびRの少なくとも1つはアルカノール基である。
【0024】
およびRの少なくとも1つが非置換アルキル基である実施態様において、いくつかの好適な非置換アルキル基は、例えば、直鎖または分岐鎖であるC〜Cアルキル基である。いくつかの実施態様において、RおよびRの少なくとも1つはメチル基である。独立して、RおよびRの少なくとも1つがアルカノール基である実施態様において、好適なアルカノール基は、例えば、−CHOH、−CHCHOH、−CHCHCHOH、および下記式のものを包含する。
【0025】
【化5】

【0026】
いくつかの実施態様において、RおよびRの少なくとも1つは−CHCHOHである。
【0027】
いくつかの好適な第三級アルカノールアミンは、例えば、トリエタノールアミン、ビス(ヒドロキシエチル)メチルアミン(N−メチルジエタノールアミンとも呼ばれる)、2−ジメチルアミノ−2−メチルプロパノール、およびその混合物を包含する。いくつかの実施態様において、第三級アルカノールアミンは、トリエタノールアミン、ビス(ヒドロキシエチル)メチルアミン、またはその混合物を包含する。いくつかの実施態様において、トリエタノールアミンまたはビス(ヒドロキシエチル)メチルアミン以外の第三級アルカノールアミンは使用されない。
【0028】
本発明の流体組成物は、全ての第一級アルカノールアミンの量が、流体組成物の重量基準で0.7重量%以上になるように選択された量で1以上の第一級アルカノールアミンを含有する。いくつかの実施態様において、全ての第一級アルカノールアミンの量は、流体組成物の重量基準で、1.5%以上、または3%以上である。
【0029】
独立して、本発明の流体組成物は、1以上の第一級アルカノールアミンを、全ての第一級アルカノールアミンの量が流体組成物の重量基準で10重量%以下になるように選択された量で含有する。いくつかの実施態様において、全ての第一級アルカノールアミンの量は、流体組成物の重量基準で7重量%以下、または5重量%以下である。
【0030】
本発明の流体組成物は、1以上の第三級アルカノールアミンを、全ての第三級アルカノールアミンの量が流体組成物の重量基準で2重量%以上になるように選択された量で含有する。いくつかの実施態様において、全ての第三級アルカノールアミンの量は、流体組成物の重量基準で、4重量%以上、または8重量%以上である。
【0031】
独立して、本発明の流体組成物は、1以上の第三級アルカノールアミンを、全ての第三級アルカノールアミンの量が流体組成物の重量基準で30重量%以下になるように選択された量で含有する。いくつかの実施態様において、全ての第三級アルカノールアミンの量は、流体組成物の重量基準で、20重量%以下、または15重量%以下である。
【0032】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、第二級アルカノールアミンを含有しない。第二級アルカノールアミンは、RおよびRのちょうど1つが水素であるアルカノールアミンである。
【0033】
本発明の流体組成物は、ヨウ素含有安定剤、メルカプトベンゾチアゾール、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。ヨウ素含有安定剤は、分子あたり少なくとも1つのヨウ素原子を含有し、かつ本発明の流体組成物において使用される場合に非塩素化3−イソチアゾロンの安定化に有効な化合物である。好適なヨウ素含有安定剤は、例えば、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩、およびヨードプロピニルブチルカーバメートを包含する。ヨウ素酸塩は、例えば、アルカリ金属塩を包含する。一つの好適なヨウ素酸塩はヨウ素酸カリウムである。過ヨウ素酸塩は、例えば、アルカリ金属塩を包含する。一つの好適な過ヨウ素酸塩は過ヨウ素酸カリウムである。
【0034】
いくつかの実施態様において、流体組成物は、1以上のヨウ素含有安定剤を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、ヨードプロピニルブチルカーバメート、メルカプトベンゾチアゾール、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、ヨードプロピニルブチルカーバメート、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、ヨウ素酸、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸塩、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、ヨードプロピニルブチルカーバメート、メルカプトベンゾチアゾール、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、ヨードプロピニルブチルカーバメート、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。独立して、いくつかの実施態様において、流体組成物は、ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、およびその混合物から選択される1以上の安定剤を含有する。
【0035】
使用される安定剤の種類と関係なく、安定剤の量は、安定剤の、非塩素化3−イソチアゾロンに対する重量比に従って選択される。本発明の実施において、その重量比は、0.2:1〜5:1である。いくつかの実施態様において、その重量比は0.5以上、または0.75以上、または0.9以上である。独立して、いくつかの実施態様において、その重量比は2以下、または1.5以下である。本明細書において使用される場合に、比が「X以上」であるとされる場合、その比はY:1であってYがX以上であることを意味する。同様に、比が「W以下」であるとされる場合、その比はZ:1であってZがW以下であることを意味する。
【0036】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、ピリジン−N−オキシド、ピリジン、2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリドン、s−トリアジン、またはジメチルオキシムを含有しない。いくつかの実施態様において、流体組成物は、窒素ベースの複素環式化合物を含有しない。いくつかの実施態様において、流体組成物は、窒素含有化合物であって、アルカノールアミンでなく、かつ前記の非塩素化3−イソチアゾロンのいずれかとの付加物を可逆的に形成できる窒素含有化合物を含有しない。
【0037】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、2−メルカプトピリジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリジン−N−オキシドのナトリウム塩、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−4−H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、2−メチルチオベンゾチアゾール、2−チオヒダントイン、メチレンビスチオンシアネート、L−シスチン、または4−R(チアゾリデン−チオン−4−炭酸)を含有しない。いくつかの実施態様において、流体組成物は、窒素ベースの複素環チオールを含有しない。いくつかの実施態様において、流体組成物は、窒素含有芳香族環と結合した硫黄原子を有する化合物を含有しない。いくつかの実施態様において、流体組成物は、硫黄含有化合物またはその塩であって、前記非塩素化3−イソチアゾロンのいずれかとの付加物を可逆的に形成できるものを含有しない。
【0038】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、芳香族ジスルフィドを含有しない。
【0039】
本発明の流体組成物は、任意の目的のために使用できる。例えば、流体組成物は、任意に追加の成分で希釈および/または任意に追加の成分と混合してもよく、広範囲に及ぶ目的のいずれかのために有用である調製物を形成することができる。いくつかの場合において、かかる調製物は、細菌、真菌、酵母、または藻類による汚染に付され、非塩素化3−イソチアゾロンは有用な殺生物特性を提供することが意図される。独立して、いくつかの場合において、かかる調製物は、金属加工流体、工業プロセス水、洗濯すすぎ水、コーティング、接着剤、潤滑剤、プロセス添加剤、化粧品、コーキング、およびパーソナルケア製品の1以上として有用であり得る。
【0040】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、1以上の金属加工添加剤をさらに含有する。金属加工添加剤は、例えば、脂肪酸、界面活性剤、可溶化油、乳化性油、およびその混合物を包含する。いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、1以上の界面活性剤、1以上の脂肪酸、またはその混合物を含有する。
【0041】
独立して、いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、金属加工流体濃縮物として好適である。すなわち、本発明の流体組成物を少なくとも10倍希釈することにより、金属加工流体として好適な調製物が生成し、あるいは、ある場合においては、追加の成分の添加後、金属加工流体として好適になる調製物が生成する。このような実施態様のいくつかにおいて、本発明の流体組成物は、希釈前は、金属加工流体として好適でない。
【0042】
本明細書において用いられる場合、流体組成物をF倍希釈するとは、流体組成物を溶媒と混合し、溶媒の重量と流体組成物の重量比がFであることを意味する。
【0043】
いくつかの実施態様において、本発明の流体組成物は、金属加工流体として好適な調製物を水性溶媒で希釈することにより生成させるために使用される。水性溶媒は、該溶媒の重量基準で50重量%以上の水を含有する溶媒である。いくつかの実施態様において、該溶媒の重量基準で75重量%以上、または90重量%以上、または95重量%以上の水を有する水性溶媒が使用される。
【0044】
いくつかの実施態様において、金属加工流体として好適な調製物は、本発明の流体組成物を15倍以上希釈することにより調製される。独立して、いくつかの実施態様において、金属加工流体として好適な調製物は、本発明の流体組成物を50倍以下、または25倍以下に希釈することにより調製される。
【実施例】
【0045】
次の実施例において、非塩素化3−イソチアゾロンはメチルイソチアゾロン(MIT)、オクチルイソチアゾロン(OIT)およびベンズイソチアゾロン(BIT)であった。使用される第一級アルカノールアミンはモノエタノールアミン(MEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、および2−(2−アミノエトキシ)−エタノール(AEE)であった。使用される第二級アルカノールアミンは、2−ブチルアミノエタノール(BAE)であった。第三級アルカノールアミンはトリエタノールアミン(TEA)およびビス(ヒドロキシエチル)メチルアミン(BHEMA)であった。
【0046】
試験配合物
これらの試験に使用される配合物は2段階で調製された。次の量を使用して、100グラムの配合物を調製した。段階1に関して、以下のものを添加した:蒸留水、2.7g;第三級または第二級アミン、10.1g;第一級アミン、2.6g;ホウ酸、2.0g;Corfree(商標)M1、1.2g;ペラルゴン酸、0.2g;カプリル酸、0.2g;クエン酸、0.1g;およびグリセリン、0.2g。前記成分のそれぞれは、個別に、そして順々に、加熱(50℃)および混合しながら添加した。次の成分の添加前に各成分を完全に溶解させた。全ての成分を添加した後に混合物の加熱を中止した。以下の成分を段階1の混合物に添加した:蒸留水、65.7g;第一級アミン、1.0g;Pluronic(商標)25R(100%ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックコポリマー)、10.0g;カプリル酸、2.0g;ナトリウムトリルトリアゾール−50%溶液、1.0g;および殺生物剤、0.3−0.6g。成分を個別に、前記順序で、室温で撹拌しながら添加した。次の成分を添加する前に各成分を完全に溶解させた。
【0047】
この配合物は、水で20倍に希釈された場合に、金属加工流体として適していることが想定される。
【0048】
各配合物に、次の安定剤の1つを、殺生物活性成分の安定剤に対する比1:1で添加した。試験された安定剤は、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸、ヨードプロニルブチルカーバメート(IPBC)およびメルカプトベンゾチアゾール(MBZ)であった。安定剤を含まないサンプルは対照の役割であった。殺生物剤の配合物に対する添加(活性成分の重量による)は次のとおりであった:2000ppm MIT、1000ppm OIT、および4000ppm BIT。この実験において使用される殺生物剤は、Kordek(商標)LX5000(50%MIT)、Kathon(商標)893MW(45%OIT)、およびRocima(商標)BT2S(19%BIT)であった。
【0049】
サンプルを50℃で30日間老化させて、長時間にわたって残存する殺生物剤のパーセントを測定した。時間0(初期、老化前)および30日後に、高圧流体クロマトグラフィー(HPLC)により3−イソチアゾロン含量を測定した。殺生物剤の残存率(%)は各アミン組み合わせについて、4の安定剤の存在下、または不在下で記載される。各種配合物の初期pHはpH10−11であった。
【0050】
Corfree(商標)M1はINVISTAの登録商標であり、二塩基酸、主にドデカンジオン酸(38−49%)およびウンデカンジオン酸(31−38%)、セバシン酸(5−7%)、他の二塩基酸(9−19%)、他の有機物(7−11%)、窒素(0.5%)、および水(0.3%)を含有する混合物である。
【0051】
Puronic(商標)はBASF Corporationの登録商標である。
【0052】
Kordek、Kathon、およびRocimaはローム・アンド・ハース・カンパニーの登録商標である。
【0053】
〔実施例1〕
MITの結果
【0054】
【表1】

【0055】
安定剤の不在下で、MITは著しく分解した。安定剤のいずれも、第二級アミンとしてBAEを使用した組み合わせ関して有効でなかった(MITの安定性が増加しなかった)。第三級アミンとしてTEAまたはBHEMAとの組み合わせは、1以上の安定剤でMITの安定性を大幅に改善した(67から100%残存)。AMP/BHEMAアミン組み合わせ(#8)は試験された全ての安定剤に関して殺生物剤の測定可能な損失がなく(100%残存)最も有効であった。また、組み合わせ#3(MIPA/TEA)および#4(AMP/TEA)は4つの安定剤のうちの3つに関して優れた安定性を示した。全体として、ヨウ素酸塩およびヨウ素酸は、MITの8アミンとの組み合わせの安定性において最良の改善を示し、60%より多くの殺生物剤残存を示した。IPBCおよびMBZはそれぞれ3および1のアミン組み合わせに関して有効な安定剤であった。
【0056】
〔実施例2〕
OITの結果
【0057】
【表2】

【0058】
安定剤の不在下で、OITは10流体中で完全に分解し、2つの組み合わせにおいて13%しか残存しなかった。安定剤のいずれも、BAEを第二級アミンとして使用する組み合わせに関して有効でなかった(OITの安定性が増加しなかった)。第三級アミンとしてTEAまたはBHEMAとの組み合わせは、1以上の安定剤でMITの大幅に改善した安定性をもたらした(45から100%残存)。アミン組み合わせ#8(AMP/BHEMA)および#4(AMP/TEA)は最も有効であり、試験される4つの安定剤に関して77−100%の殺生物剤が残存した。ヨウ素酸塩およびヨウ素酸は、8のアミン組み合わせに関してOITの安定性において最良の全体的な改善を示し、60%より多い殺生物剤残存を示した。IPBCおよびMBZは2つのアミン組み合わせに関して有効な安定剤であった。
【0059】
〔実施例3〕
BITに関する結果
【0060】
【表3】

【0061】
BITは流体の全てにおいて安定剤を添加しないで非常に良好な安定性を示し、77−100%の殺生物剤が残存していた。いくつかの組み合わせは、安定剤を添加しない対照と比較して、1以上の安定剤を使用してBITの改善された安定性をもたらした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体組成物であって、
(a)1以上の非塩素化3−イソチアゾロン、
(b)前記流体組成物の重量基準で、0.7重量%〜10重量%の1以上の第一級アルカノールアミン、
(c)前記流体組成物の重量基準で、2重量%〜30重量%の1以上の第三級アルカノールアミン、
(d)ヨードプロピニルブチルカーバメートを含み、
ヨードプロピニルブチルカーバメートの前記非塩素化3−イソチアゾロンに対する重量比が0.2:1〜5:1である流体組成物。
【請求項2】
前記非塩素化3−イソチアゾロンが2−メチル−3−イソチアゾロンである、請求項1記載の流体組成物。
【請求項3】
前記第三級アルカノールアミンがトリエタノールアミンを含む、請求項1記載の流体組成物。
【請求項4】
前記第一級アルカノールアミンが、モノアルカノールアミンまたは2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを含む、請求項3記載の流体組成物。
【請求項5】
前記第一級アルカノールアミンが2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを含み、前記第三級アルカノールアミンがビス(ヒドロキシエチル)メチルアミンを含む、請求項1記載の流体組成物。

【公開番号】特開2012−82208(P2012−82208A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−263480(P2011−263480)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【分割の表示】特願2008−99102(P2008−99102)の分割
【原出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】