説明

安定化された酵素製剤

本発明は、少なくとも1種の酵素と、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤とを含む安定化された固体または液体の酵素製剤に関する。本発明はまた、これらの製剤、特に、固体製剤(例えば、顆粒)を製造する方法ならびに動物および/またはヒトの栄養摂取におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定化剤の添加により得られる、安定性、好ましくは熱安定性が増加した固体または液体の酵素製剤に関する。
【0002】
本発明は、炭水化物(例えば、スターチ)を含有する顆粒および/または液体製剤中の酵素、好ましくは食物酵素の製剤に関し、またそのような酵素を含有する顆粒および液体製剤の製造方法に関する。かくして、これらの(食用)顆粒および液体製剤を、動物飼料および/またはヒトの栄養食品中で用いることができる。酵素を含有する顆粒および液体製剤は改良された保存性および加工安定性を示す。
【背景技術】
【0003】
ヒトの栄養食品または動物、例えば、家畜の飼料における様々な酵素の使用はほぼ一般的な実務となっている。これらの酵素は通常、工業的酵素製造業者により操作される大規模発酵装置中で微生物を培養することにより製造される。通常、発酵の最終段階で、得られる「培養液」を、一連の濾過工程にかけて、所望の酵素(溶液中)からバイオマス(微生物)を分離する。そして、酵素溶液は液体として販売されるか、または乾燥製剤に加工される。
【0004】
酵素の液体および乾燥製剤は、飼料および食品業界により商業規模で用いられている。ペレット化工程の間に発生し得る酵素の熱不活性化を回避するために、ペレット化の後に液体製剤を飼料または食品に添加することができる。しかしながら、最終的な飼料または食品調製物中の酵素量は通常、非常に少量であり、そのために飼料または食品中での酵素の均一な分布を達成するのは困難になり、また、液体は乾燥成分よりも均一に混合することがより困難であるのは周知の通りである。さらに、ペレット化後に飼料に液体を添加するためには、特殊化された(高価な)装置が必要であり、これは現在、多くの飼料工場では利用できない(余計な費用のため)。酵素を含む液体製剤を適用する場合でさえ、そのような製剤の保存安定性には問題があることが多い。
【0005】
一方、酵素の乾燥製剤は、ペレット化の際に酵素が熱不活性化するという欠点を有する。飼料および食品業界における好ましい製造プロトコルは、飼料または食品を、ペレット化の前に蒸気噴射に供する蒸気ペレット化を含む。その後のペレット化工程において、飼料または食品を鋳型もしくは金型を通して押し出し、得られるストリップを様々な長さの好適なペレットに切断する。ペレット化の直前の含水率は一般的には10〜20%である。この工程の間、温度は60〜95℃に上昇してもよい。高含水率および高温を合わせた効果は多くの酵素にとって悪影響を及ぼす。これらの欠点は押出成型および伸展などの他のタイプの熱機械処理においても直面するものである。
【0006】
様々な酵素の製造業者が、ペレット化および保存の際の乾燥酵素製品および液体酵素製品の安定性を改良しようとする代替的な製剤化方法を開発してきた。
【0007】
EP 0 758 018 A1は、無機塩類を添加することにより、乾燥酵素調製物の加工および保存安定性を改良する方法を開示している。
【0008】
GB 2 167 758は、酵素の顆粒化方法ならびに1〜35重量%の酵素および0.5〜30重量%の合成繊維チップまたはパルプを含む酵素含有顆粒組成物を開示している。
【0009】
EP 1 069 832 A1(WO 00/47060)は、水性酵素含有液体を固体担体および必要に応じて添加成分と混合し、顆粒へと機械的に加工し、乾燥した後、ポリエチレングリコールでコーティングする、酵素含有顆粒の製造方法を記載している。
【0010】
EP 858 266(WO 97/16076)は、動物飼料組成物の製造における使用に好適な粒子状の酵素含有調製物を開示している。
【0011】
EP 862 623 A1(WO 97/12958)は、約20〜400ミクロンの平均粒子径を有する微小顆粒酵素組成物を開示している。
【0012】
引用された参考文献はアラビアゴムまたは植物タンパク質を用いて安定化された酵素含有製剤を開示していない。
【0013】
DE 1 958 104は、無機酸または有機酸のアルカリ塩を担体として用いる洗浄組成物および洗濯用組成物にとって好適な酵素含有顆粒の製造方法を開示している。
【0014】
DE 2 137 043およびDE 2 137 042は、その担体が無機塩からなる洗浄組成物にとって好適な酵素含有組成物を開示している。
【0015】
EP 716 685は、酵素ならびに無機および/または有機担体材料を含む界面活性剤および洗濯用組成物における組み入れにとって好適な複合酵素顆粒を開示している。
【0016】
WO 00/36927は、酵素を含み、動物に食べさせるのに好適である顆粒を製造する方法を開示している。
【0017】
WO 03/059087は、必要に応じて固体担体および/または添加成分を補給した、水性含有液体を、顆粒へと加工し、乾燥した後、ポリオレフィンでコーティングする、酵素含有顆粒の製造方法を記載している。
【0018】
WO 03/059086は、必要に応じて固体担体および/または添加成分を補給した、水性含有液体を、顆粒へと加工し、乾燥した後、疎水性物質、好ましくはポリオレフィンの粒子を含む分散剤でコーティングする、酵素含有顆粒の製造方法を記載している。
【0019】
飼料への適用については、安定性、好ましくは熱安定性の酵素は、一時的な高温(最大80〜120℃)、水分および剪断力がタンパク質の構造に影響し、望ましくない活性喪失をもたらし得る製剤化(例えば、スプレー乾燥、造粒)および飼料処理加工(例えば、ペレット化、押出成型、伸展)の際に生じ得る問題を回避するための、一般的な興味対象である。
【0020】
一般的には、様々な理由から酵素を飼料および食品調製物に添加する。食品への適用においては、酵素を、例えば、ベイキングまたは醸造時に添加する。飼料への適用における酵素の機能は、例えば、消化粘度を減少させるか、または特定の飼料化合物の抗栄養作用を減少させることにより、飼料変換率を改良することであることが多い。環境に対して有害である肥料中の化合物量を減少させるためなどに食物酵素を用いることもできる。
【0021】
様々な用途の全てにおいて、酵素は、該酵素の部分的または完全な不活性化をもたらし得る、熱負荷、例えば、加熱、湿度または温度曝露に晒されることが多い。
【0022】
大量のリン酸がフィチン酸リンの形態で飼料中に存在するが、ブタおよび家禽などの単胃動物はこの形態のリン酸を使用する能力を欠いている。フィチン酸のアルカリ塩またはアルカリ土類塩は天然には主に穀類中に存在する。単胃動物はこの形態のリン酸を使用することができないため、動物飼料に無機リン酸を添加することが一般的な実務である。
【0023】
一方、フィターゼ(ミオ-イノシトールヘキサキスリン酸ホスホヒドロラーゼ)と呼ばれる酵素は植物およびいくつかの微生物中に存在することが知られている。フィターゼを発酵により製造することができるので、フィチン酸(ミオ-イノシトールヘキサキスリン酸)からの無機リン酸の放出により植物材料の栄養学的価値を増強するために動物飼料添加物としてフィターゼを用いることが当業界で公知である。動物は、フィターゼの使用によりフィチン酸から放出されるリン酸を使用することができるため、フィターゼを動物飼料に添加することにより、環境のリン汚染レベルを減少させることができる。
【0024】
Gist-Brocadesの国際特許出願WO 93/16175(EP 626 010)は、フィターゼの安定化された液体製剤を記載している。安定化剤として尿素ならびに分子量6000を有するソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコールを記載した水溶性ポリオールを使用することが示唆されている。
【0025】
Hoffmann-La Rocheの欧州特許出願EP-A1 0 969 089は、フィターゼと、a)5個の炭素原子を含むポリオール、好ましくはC5糖、より好ましくはキシリトールもしくはリビトール、b)600〜4000 Daの分子量を有するポリエチレングリコール、c)マロン酸、グルタル酸およびコハク酸のジナトリウム塩、d)カルボキシメチルセルロース、およびe)アルギン酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤とを含む安定化された酵素製剤を記載している。それはさらに、グルタルアルデヒドとの化学反応によるか、またはb)ナトリウムペリオダートを用いる酸化およびその後のアジピン酸ジヒドラジドの添加による架橋によって、フィターゼ製剤を安定化することを記載している。
【0026】
WO 98/54980はフィターゼ含有顆粒を記載し、WO 98/55599は高活性フィターゼ液およびそれを含む飼料調製物を記載している。
【0027】
最新技術の様々な手法にも拘らず、ヒトおよび/もしくは動物の栄養食品にとって好適であり、加工、ペレット化および保存の際に増強された安定性を示す、安定化された酵素製剤の必要性が依然として存在する。この製剤は容易に取得可能であると共に、通常の食品および/または飼料成分に容易に適合できるべきである。さらに、この製剤、特に、固体製剤は容易に加工可能であるべきであり、例えば、低い塵化性を示し、所望の基質中に容易に分散可能であるかまたは混合可能であるべきである。
【0028】
本発明の課題は、代替的な安定化剤を提供すること、ならびに種々の条件下で活性を保持する能力として定義される酵素安定性、好ましくは酵素の熱安定性を改良することである。この安定性の態様は、製造(発酵、下流の加工および製剤化)、流通(輸送および保存)ならびに最終適用(飼料および/もしくは食品の製造および保存)を含む、酵素のライフサイクル全体に関する。商業的に興味深い酵素、例えば、フィターゼについては、ペレット化、押出成型および伸展などの種々の飼料および/もしくは食品処理加工の際に達する高温および高湿(最大80〜120℃)に耐えること、ならびに飼料および/もしくは食品への添加後の保存中、特に、長期間の保存中に安定であることが重要である。最終的な製剤中の安定化剤の量は酵素含有製剤に添加することができるさらなる成分を制限するので、本発明のさらなる課題は、当業界で公知の安定化剤よりも少量で用いることができる代替的な安定化剤を提供することである。本発明のさらなる課題は、特に酵素混合物に用いることができる安定化剤を提供することである。酵素調製物を2種以上の発酵培養液から調製する場合、最終製剤に添加することができる安定化剤の量は制限される。これは、高い酵素濃度が最終生成物中で望まれており、したがって最終製剤に添加することができる希釈剤の量が制限される場合に、特に問題となる。本発明のさらなる態様においては、酵素混合物を用いる場合、安定化剤は好ましくは混合物中の1個の酵素だけでなく、全ての酵素を安定化させるべきである。
【0029】
本発明で用いる用語「安定性」は、活性、特異性、貯蔵寿命安定性、機械的安定性、微生物学的安定性、毒性、化学組成および物理的パラメーター(密度、粘度、吸湿性だけでなく、色、匂いおよびダストなど)などの態様を含む、工業用酵素の全ての特徴に関する。本発明の好ましい態様は、製剤化ならびにペレット化、押出成型および伸展などの飼料および/もしくは食品処理加工の際の熱不活性化に対する、酵素、好ましくは、ホスファターゼおよび/またはグリコシダーゼの安定性に関する。
【0030】
酵素、特に、フィターゼ、キシラナーゼおよびグルカナーゼの幅広い使用に対する主要な障害は、飼料および/または食品の処理加工中の不活性化に耐えるためにこれらの酵素に必要とされる熱安定性(80〜120℃)の制約である。飼料および/または食品用途に現在利用可能である工業用酵素の多くは、熱不活性化に対する内在的耐性を不十分にしか有していない。代替的な分子生物学的手法として、または分子生物学的手法に加えて、本発明は、異なる添加物の添加により、酵素の安定性、好ましくは熱安定性を増強する。
【発明の開示】
【0031】
本発明の第1の態様においては、少なくとも1種の酵素と、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤を含む、安定化された固体または液体の酵素製剤が提供される。
【0032】
用語「酵素製剤」は、酵素を製品化する場合の製剤としうる全ての液体および固体製剤を含む。好ましくは、そのような製剤の酵素源は、発酵培養液から得られるある程度粗製の液体調製物である。本発明による液体酵素製剤の調製物については、選択された安定化剤を発酵培養液に直接添加するか、または発酵培養液を、例えば濾過もしくは限外濾過により、精製した後、安定化剤を濾過工程後に添加することができる。
【0033】
安定化された、好ましくは熱安定化された固体製剤を得るためには、酵素を、選択された安定化剤の存在下でスプレー乾燥するか、または造粒することができる。固体製剤は、好ましくは、15%(w/w)未満、好ましくは10%(w/w)未満、特に、8%(w/w)未満の水を含む製剤である。
【0034】
本発明の好ましい実施形態においては、安定化された酵素製剤は、好ましくは顆粒の形態である、固体である。
【0035】
本発明のさらなる態様においては、少なくとも1種の酵素、少なくとも15%(w/w)の食用炭水化物ポリマーを含む固体担体、ならびに、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤を加工することを含む、酵素含有顆粒の製造方法が提供される。本発明のさらなる態様においては、そのような方法により取得可能な酵素含有顆粒が提供される。
【0036】
本発明のさらなる態様においては、少なくとも1種の酵素、少なくとも15%(w/w)の食用炭水化物ポリマーを含む固体担体、ならびに、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤を含む顆粒が提供される。
【0037】
本発明の別の態様においては、少なくとも1種の酵素、少なくとも15%(w/w)の食用炭水化物ポリマーを含む固体担体、ならびに、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤を含み、コーティングされている顆粒が提供される。
【0038】
本発明の説明を通して用いられる用語「顆粒」または「顆粒(複数形)」は、単独の顆粒ならびに複数個の顆粒を区別なく包含する。用語「顆粒」および「顆粒(複数形)」は同義的に用いられる。
【0039】
本発明の方法により得られる酵素含有顆粒は、従来技術において直面した問題を解決しようとするか、または少なくとも軽減しようとするものである。かくして、本発明は、担体として炭水化物を用いる、顆粒の形態の、安定化された酵素製剤の製造方法を提供することができる。この担体は粒子形態または粉末形態にあってもよい。
【0040】
いくつかの従来技術文献が、種々の酵素を含むペレットに言及しているが、これらは、多くは洗浄用組成物における界面活性剤としての用途を見出したものである。対照的に、本出願は、本発明の顆粒が食用に適し(動物による)、好ましくは完全に消化可能でもあるという理由により、動物飼料またはヒト栄養摂取に好適な組成物における用途を見出したものである。従って、本発明の顆粒および組成物が、数例を挙げるだけだが石鹸、界面活性剤および漂白剤または漂白化合物、ゼオライトを含まないことは驚くべきことではないであろう。
【0041】
少なくとも15%(w/w)の固体担体は食用炭水化物ポリマー(スターチなど)から構成される。しかしながら、好ましくは、少なくとも30%(w/w)の固体担体は、最適には、少なくとも40%(w/w)の、炭水化物を含む。有利には、固体担体の主要成分は、例えば、50%(w/w)を超える、好ましくは、少なくとも60%(w/w)、好適には、少なくとも70%(w/w)、および最適には、少なくとも80%(w/w)の炭水化物(例えば、スターチ)である。これらの重量%は、最終乾燥顆粒中の非酵素成分の総重量に基づくものである。
【0042】
食用炭水化物ポリマーは、それが飼料または食品がそれぞれ意図する対象の動物またはヒトによる食用に適し、さらに好ましくは少なくとも部分的には消化可能であるように、選択するべきである。このポリマーは、グルコース(例えば、グルコース含有ポリマー)、すなわち(C6H10O5)nの単位を含むのが好ましい。好ましくは、炭水化物ポリマーは、α-D-グルコピラノース単位、アミロース(線状(1→4)α-D-グルカンポリマー)および/またはアミロペクチン(α-D-(1→4)およびα-(1→6)結合を有する分枝D-グルカン)を含む。スターチは好ましい炭水化物ポリマーである。スターチの代わりに、またはそれに加えて用いることができる他の好適なグルコース含有ポリマーとしては、α-グルカン、β-グルカン、ペクチン(プロトペクチンなど)、およびグリコーゲンが挙げられる。これらの炭水化物ポリマーの誘導体、例えば、そのエーテルおよび/またはエステルも意図されるが、ゼラチン化されたスターチは一番に回避され、かくして、存在しなくてもよい。好適には、炭水化物ポリマーは水不溶性のものである。
【0043】
好適な炭水化物ポリマーは、コーン、ポテトおよびライススターチである。しかしながら、タピオカ、キャッサバ、コムギ、ライ小麦、トウモロコシ、サゴ、ライムギ、オートムギ、オオムギ、ヤムイモ、モロコシ、またはアロールートなどの、他の(例えば、野菜もしくは作物などの植物の)起源から得られたスターチも等しく適用可能である。同様に、天然型または改変型(例えば、デキストリン)のスターチの両方ともを本発明において用いることができる。炭水化物(例えば、スターチ)はタンパク質をほとんど含まないか、または全く含まないのが好ましく、例えば、5%(w/w)未満、例えば、2%(w/w)未満、好ましくは1%(w/w)未満である。スターチ(または他の炭水化物ポリマー)のタイプに拘らず、それは動物飼料中で用いられるのを可能にする形態にあるべきであり、換言すれば、食用であるか、または少なくとも部分的には消化可能な形態であるべきである。
【0044】
その加工に、水が添加されうる。本発明のさらなる実施形態においては、その加工後、顆粒を乾燥させる。一実施形態においては、その加工に水を添加したか否かに関係なく、顆粒を乾燥させることができることが理解される。
【0045】
酵素および水は、固体担体と混合して該担体上に吸収させることができる、溶液またはスラリーなどの、酵素を含有する(好ましくは水性の)液体として提供するのが好ましい。混合の間またはその後に、酵素含有液体および担体を顆粒へと加工した後、これを乾燥することができる。炭水化物担体の使用により、大量の酵素含有液(および従って、酵素)を吸収させることができる。この混合物を用いて、顆粒へと容易に加工することができる可塑性ペーストまたは非弾性生地を形成させ、例えば、それを押出成型することができる。
【0046】
本発明の方法においては、酵素および水は固体担体と接触させる前に同じ組成物中に存在してもよい。この点で、酵素含有水性液体を提供することができる。この液体は、発酵プロセスに由来するか、もしくはそれから得られる溶液またはスラリーであってよい。この発酵プロセスは通常、酵素が産生されているものである。発酵プロセスは微生物(所望の酵素を産生する)および水性溶液を含む培養液もたらし得る。微生物から一度分離されたこの水性溶液(例えば、濾過により)は、本発明で用いられる酵素含有水性液体であってよい。かくして、好ましい実施形態においては、酵素含有水性液体は濾液であり、特に、酵素の産生をもたらす発酵プロセスから得られた濾液である。発酵培養液から酵素を単離するのに用いられる分離方法に応じて、酵素は保持物中にも存在しうる。
【0047】
担体上に吸収させることができる酵素含有液体(すなわち、酵素)の量は通常、吸収させることができる水の量により制限される。好ましくは、固体担体に添加される液体の量は、(水性の)液体中の(実質的には)全ての水が、固体担体中に存在する炭水化物により吸収されるような量である。
【0048】
高温では、スターチおよび他の炭水化物ポリマーは、膨張下でより大量の水を吸収することができる。この理由から、炭水化物ポリマーは、水(または酵素含有水性液体)を吸収することができるのが望ましい。例えば、コーンスターチは60℃でその重量の最大3倍、および70℃で最大10倍の水を吸収することができる。かくして、より多い量の酵素含有液体を吸収させるためのより高い温度の使用が本発明により意図され、実際、熱安定性酵素を扱う場合には特に好ましい。従って、これらの酵素については、固体担体および液体(または酵素および水)および安定化剤の混合を、30℃、好ましくは40℃、および最適には50℃を超える温度などの、上昇した温度(例えば、周囲温度を超える温度)で行うことができる。あるいは、またはさらに、前記液体をこの温度で提供してもよい。
【0049】
しかしながら、一般的には、より低い温度(例えば、周囲温度)での非膨張条件が好ましい。これにより、より高温での(熱感受性)酵素の不安定性から生じる活性の喪失を最小化することができる。好適には、酵素と水の混合の際の温度は、10〜60℃、例えば、10〜50℃、好ましくは20〜40℃、好ましくは、20〜25℃である。
【0050】
酵素、必要に応じて、水(例えば、酵素含有液体)、安定化剤および固体担体の混合物を顆粒にするための本発明で用いられる機械的加工(換言すれば、顆粒化)は、食品、飼料および酵素製剤加工において頻繁に用いられる公知の技術を用いることができる。これは、伸展、押出成型、球状化、ペレット化、高剪断造粒、ドラム造粒、流動床集塊化またはそれらの組合せを含んでよい。これらのプロセスは通常、ネジの駆動、混合手段の回転、ペレット化装置の回転機構の圧力、流動床集塊装置の回転底プレートによる粒子の移動もしくは気体流による粒子の移動、またはそれらの組合せなどの機械的エネルギーの入力を特徴とする。これらのプロセスにより、固体担体(例えば、粉末形態)を、酵素および必要に応じて水、例えば、酵素含有液体(水性溶液もしくはスラリー)、安定化剤と混合した後、造粒することが可能になる。
【0051】
あるいは、固体担体を、酵素(例えば、粉末形態にある)および安定化剤と混合し、それに対し、必要に応じて水、例えば、液体(またはスラリー)を添加することができる(それが、顆粒化液体として機能しうる)。
【0052】
本発明のさらなる実施形態においては、流動床集塊装置中などで、安定化剤と予め混合された酵素含有液体を担体上に噴霧するか、またはコーティングすることにより、顆粒(例えば、集塊)を形成させる。ここで、得られる顆粒は、流動床集塊装置中で製造され得るものと同様の集塊を含んでもよい。
【0053】
好ましくは、酵素含有液体、固体担体および安定化剤の混合は、該混合物の混練をさらに含んでもよい。これは造粒(例えば、押出成型)を容易にするための該混合物の可塑性を改善しうる。
【0054】
好ましい実施形態においては、顆粒を、押出成型、好ましくは低圧での押出成型により形成する。これは、押出成型される混合物の温度が上昇しないか、またはわずかしか上昇しないという利点を提供することができる。低圧押出成型は、例えば、Fuji Paudalバスケット押出成型機またはドーム式押出成型機での押出成型を含む。押出成型が自然に顆粒を生成してもよいし(顆粒は金型を通過した後に分離しうる)、または切断装置を用いてもよい。
【0055】
好適には、顆粒は、乾燥前に15〜50%、例えば、20〜40%、25〜35%、好ましくは33〜37%の含水量を有するであろう。顆粒の酵素含量は、乾燥前に1〜85%、特に、1〜70%、例えば、2〜60%、好ましくは、2〜50%、好ましくは2〜25%、例えば、3〜15%、例えば、5〜12%(例えば、少なくとも50,000 ppm)であってよい(常に顆粒の総重量に基づく重量%として算出する)。
【0056】
得られた顆粒を、球状化装置、例えば、MARUMERISER(商標)マシンなどにおける角取り(例えば、球状化)および/または圧縮にかけることができる。得られた顆粒を乾燥させる場合、球状化を乾燥前に行うのが好ましい。顆粒を乾燥前に球状化してもよいが、これはそのことが最終的な顆粒において塵の形成を減少させ、および/または顆粒のコーティングを容易にし得るからである。
【0057】
次いで、顆粒を、流動床乾燥装置などにおいて乾燥するか、または流動床集塊化の場合、即時に乾燥して(集塊化装置中)、(固体乾燥)顆粒を得ることができる。当業者であれば、食品、飼料または酵素工業において顆粒を乾燥するための他の公知の方法を用いることができるであろう。好適には、顆粒は流動可能なものである。乾燥は25〜60℃、例えば、30〜50℃の温度で起こるのが好ましい。ここで、乾燥は10分〜数時間継続してもよい。工程に必要な時間の長さは、乾燥しようとする顆粒の量に依存する。
【0058】
顆粒を乾燥した後、得られた乾燥顆粒は3〜10重量%、例えば、5〜9重量%の含水量を有するのが好ましい。
【0059】
本発明の好ましい実施形態においては、
a) 酵素を含む水性液体を、固体担体および安定化剤と混合すること;
b) a)で得られた混合物を機械的に加工して、酵素含有顆粒を取得すること;ならびに
c) b)で得られた酵素含有顆粒を乾燥すること、
を含み、安定化剤がアラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される方法が、提供される。
【0060】
本発明のさらなる実施形態においては、顆粒がコーティングされる。コーティングを顆粒に適用して、低ダスト含量、色、周囲環境からの酵素の保護、1つの顆粒中での異なる酵素活性またはそれらの組合せのような、追加的な(例えば、香りを有する)特徴もしくは特性を与えることができる。顆粒を、予備乾燥を用いるか、または用いずにコーティングすることができる。顆粒を、脂肪、ワックス、ポリマー、塩、膏薬および/もしくは軟膏または(第2の)酵素を含むコーティング(例えば、液体)、またはそれらの組合せを用いてコーティングすることができる。必要に応じて、いくつかの(異なる)コーティングの層を適用することができることは明らかであろう。顆粒上にコーティングを適用するために、流動床、高剪断造粒機、ミキサー造粒機、またはNautaミキサーの使用を含む、いくつかの公知の方法が利用可能である。
【0061】
一実施形態においては、顆粒を、好ましくは乾燥後に、例えば、約10重量%未満の残存水分まで、飼料にとって好適である有機ポリマーを用いて、以下(a)または(b):
(a) 流動床中の顆粒に有機ポリマーの融解物、溶液もしくは分散物を噴霧すること、もしくは流動床中で有機ポリマーを用いる粉末コーティングを行うこと;または
(b) 有機ポリマー上での融解によりミキサー中で顆粒をコーティングすること、もしくは粗顆粒に有機ポリマーの融解物、溶液もしくは分散物を噴霧すること、もしくは有機ポリマーを用いる粉末コーティングを行うこと;
によりコーティングし、さらに必要に応じて、それぞれの得られたポリマーによりコーティングされた顆粒について、後乾燥、冷却および/もしくは粗画分の除去を行う。
【0062】
本発明の方法の好ましい実施形態に従って、顆粒を流動床に投入し、流動させ、および水性もしくは非水性の、好ましくは水性の、有機ポリマーの溶液または分散物を用いて、噴霧によりコーティングする。この目的のために、できるだけ高度に濃縮されているが依然として噴霧可能である液体、例えば、
a) 約400〜15,000、例えば、約400〜10,000の数平均分子量を有するポリアルキレングリコール、特に、ポリエチレングリコール;
b) 約4000〜20,000、たとえば、約7700〜14,600の数平均分子量を有するポリアルキレンオキシドポリマーまたはコポリマー;特に、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー;
c) 約7000〜1,000,000、例えば、約44,000〜54,000の数平均分子量を有するポリビニルピロリドン;
d) 約30,000〜100,000、例えば、約45,000〜70,000の数平均分子量を有するビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー;
e) 約10,000〜200,000、例えば、約20,000〜100,000の数平均分子量を有するポリビニルアルコール;ならびに
f) 約6000〜80,000、例えば、約12,000〜65,000の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体、
からなる群より選択される、10〜50重量%の少なくとも1種のポリマーを含む水性もしくは非水性の溶液または分散物を用いる。
【0063】
さらに好ましい変法に従えば、コーティングのために、
g) 約100,000〜1,000,000の数平均分子量を有するアルキル(メタ)アクリレートポリマーおよびコポリマー;特に、エチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーおよびメチルアクリレート/エチルアクリレートコポリマー;ならびに
h) 場合によりポリビニルピロリドンを用いて安定化された、約250,000〜700,000の数平均分子量を有するポリビニル酢酸、
からなる群より選択される、10〜40重量%、好ましくは約20〜35重量%の少なくとも1種のポリマーを含む、噴霧可能な水性または非水性の溶液または分散物を用いる。
【0064】
一般的には、以下の理由から、水性溶液または水性分散物が好ましい:溶媒を用意したり回収するために特別な措置が必要とされない;一部のコーティング材料は水性の溶液または分散物として選択的に提供されている。
【0065】
しかしながら、特定の事例においては、非水性の溶液または分散物の使用も有利である場合がある。このコーティング材料は非常に容易に溶解するか、または有利に高い割合のコーティング材料を分散させることができる。この様式では、高い固形含量を有するスプレー液を噴霧することができ、これがより短いプロセス時間をもたらす。非水性溶媒の蒸発のより低いエンタルピーもまた、より短いプロセス時間をもたらす。
【0066】
本発明に従って用いることができる分散物を、慣用の分散剤を用いるか、または用いずに、水性もしくは非水性の、好ましくは水性の液相中で、上記ポリマーを分散させることにより取得する。ポリマー溶液または分散物を、顆粒が流動床装置またはミキサー中に投入され、噴霧材料が該投入物の同時的加熱と共に噴霧されるような様式で噴霧するのが好ましい。加熱された乾燥用気体、しばしば空気との接触により流動床装置中で、ならびに加熱された壁、および適宜、加熱された混合ツールとの接触によりミキサー中でエネルギーを供給する。その結果として噴霧材料を高乾燥物質含量で噴霧することができる場合、溶液または分散物を予備加熱するのが適当である。有機液相を用いる場合、溶媒の回収が適当である。コーティングの際の生成物温度は約35〜50℃の範囲にあるべきである。コーティングを、原理的には、底噴霧プロセス(ノズルが気体分配器プレート中にあり、上向きにスプレーする)または上部噴霧プロセス(コーティングが上部から流動床に噴霧される)において流動床装置中で行うことができる。
【0067】
好適なポリアルキレングリコールa)の例は、ポリプロピレングリコール、および特に、変動分子量のポリエチレングリコール、例えば、Lutrol E 4000およびLutrol E 6000の商標でBASF AGから入手可能なPEG 4000またはPEG 6000である。
【0068】
好ましい実施形態においては、ポリアルキレングリコールコーティングを、参照により本明細書に組み入れられるものとするWO 00/47060、4頁、第11〜14行および10頁、第28行〜11頁、第9行に記載のように実施する。
【0069】
上記ポリマーb)の例は、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド、エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合ポリマーならびにポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドブロックから作製されたブロックコポリマー、例えば、Lutrol F 68およびLutrol F127の商標でBASF AGから入手可能であるポリマーである。
【0070】
ポリマーa)およびb)のうち、好ましくは、溶液の総重量に基づいて、最大で約50重量%、例えば、約30〜50重量%の高濃縮溶液を有利に用いることができる。
【0071】
上記ポリマーc)の例は、例えば、KollidonまたはLuviskolの商標でBASF AGにより販売されているような、ポリビニルピロリドンである。溶液の総重量に基づいて、約30〜40重量%の固体含量を有する、これらのポリマーの高濃縮溶液を有利に用いることができる。
【0072】
上記ポリマーd)の例は、Kollidon VA64の商標でBASF AGにより販売されているビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマーである。これらのコポリマーの、溶液の総重量に基づいて約30〜40重量%の高濃縮溶液を、特に有利に用いることができる。
【0073】
上記ポリマーe)の例は、例えば、Mowiolの商標でHoechstにより販売されていたものなどの製品である。約8〜20重量%の範囲の固体含量を有するこれらのポリマーの溶液を有利に用いることができる。
【0074】
好適なポリマーf)の例は、例えば、Pharmacoatの商標でShin Etsuにより販売されているヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0075】
上記ポリマーg)の例は、アルキル基が1〜4個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートポリマーおよびコポリマーである。好適なコポリマーの具体例は、例えば、Kollicoat EMM 30Dの商標でBASF AGにより、またはEutragit NE 30Dの商標でRoehmにより販売されているエチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー、また、例えば、Kollicoat MAE 30DPの商標でBASF AGにより、またはEutragit 30/55の商標でRoehmにより販売されているメタクリレート/エチルアクリレートコポリマーである。この型のコポリマーを、例えば、10〜40重量%の分散物として、本発明に従って加工することができる。
【0076】
上記ポリマーh)の例は、ポリビニルピロリドンを用いて安定化され、また、例えば、Kollicoat SR 30Dの商標でBASF AGにより販売されているポリビニル酢酸分散物(約20〜30重量%の固体含量の分散物)である。
【0077】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態に従って、顆粒を流動床に投入し、粉末コーティングする。粉末コーティングを、約6000〜80,000の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)からなる群より選択される固体ポリマーの粉末を用いて、可塑剤との混合物中で行うのが好ましい。粉末コーティングのための好適な材料はまた、粉末形態で存在することができ、かつ融解物としても高濃縮溶液(例えば、HPMCを用いる場合)としても適用することができない全ての他のコーティング材料である。
【0078】
コーティング材料を、流動床中に投入された顆粒に連続的に添加するような様式で、粉末コーティングを行うのが好ましい。コーティング材料の微細粒子(約10〜100μmの範囲の粒子径)が、粗顆粒の比較的粗い表面に付着する。可塑剤溶液中に入れて噴霧することにより、コーティング材料粒子を一緒に張り付ける。好適な可塑剤の例は、ポリエチレングリコール溶液、クエン酸トリエチル、ソルビトール溶液、パラフィン油などである。溶媒を除去するために、コーティングはわずかに加熱しながら行う。この場合の生成物温度は約60℃未満、例えば、約40〜50℃である。原理的には、粉末コーティングをミキサー中で行うこともできる。この場合、粉末混合物を添加し、可塑剤を、ノズルを介して注入することもできる。ミキサーの壁を介して、および必要に応じて、混合ツールを介してエネルギーを供給することにより、乾燥を行う。ここでまた、流動床でのコーティングおよび乾燥と同様に、低い生成物温度を維持しなければならない。
【0079】
本発明の方法のさらに好ましい実施形態に従って、顆粒を流動床またはミキサー中に投入するか、または以下a)およびb):
a) 約1000〜15,000の数平均分子量を有する、ポリアルキレングリコール、特に、ポリエチレングリコール;および
b) 約4000〜20,000の数平均分子量を有する、ポリアルキレンオキシドポリマーまたはコポリマー、特に、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー、
からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーの融解物を用いてコーティングする。
【0080】
融解コーティングを、流動床中で、好ましくは、コーティングしようとする顆粒を流動床装置中に投入する様式で行う。例えば加熱線を介して、コーティング材料を外部容器中で融解させ、スプレーノズルに注入する。ノズルを加熱するには、気体が適当である。噴霧速度および融解物注入口温度を、コーティング材料が顆粒の表面上で容易に流れ、これを均一にコーティングするような様式に設定しなければならない。融解物を噴霧する前に、顆粒を予備加熱することができる。コーティング材料が高い融点を有する場合、生成物温度を高すぎないように設定して、酵素活性の喪失を最小化しなければならないという事実に注意を払わなければならない。生成物温度は約35〜50℃の範囲であるべきである。融解コーティングを、原理的には、底噴霧プロセスまたは上部噴霧プロセスにより行うこともできる。融解コーティングをミキサー中、2つの異なる方法で行うことができる。コーティングしようとする顆粒を好適なミキサー中に投入し、コーティング材料の融解物を該ミキサー中に噴霧するか、または別の可能性では、固体形態のコーティング材料を生成物と混合する。容器の壁または混合ツールを介してエネルギーを供給することにより、コーティング材料を融解させ、そしてそれが粗顆粒をコーティングする。必要に応じて、時には、何らかの剥離剤を添加してもよい。好適な剥離剤は、例えば、サリチル酸、タルカム、ステアリン酸およびリン酸三カルシウムである。
【0081】
コーティングに用いられるポリマー溶液、ポリマー分散物またはポリマー融解物には、他の添加物、例えば、微結晶セルロース、タルカムまたはカオリンを加えてもよい。
【0082】
本発明の別の実施形態においては、顆粒を、WO 03/059087、2頁、第19行〜4頁、第15行に記載のようにポリオレフィンでコーティングすることができる。
【0083】
本発明のさらなる実施形態においては、顆粒を、WO 03/059086、2頁、第18行〜4頁、第8行に記載のように好適な溶媒中に分散させた疎水性基質の粒子を含む分散物でコーティングすることができる。このコーティングの好ましい実施形態においては、ポリオレフィン、特に、好ましいポリエチレンおよび/またはポリプロピレンを用いる。
【0084】
好ましくは、顆粒は比較的狭いサイズ分布を有する(例えば、これらは単分散性である)。これにより、動物飼料中の顆粒中での酵素の均一な分布が促進される。本発明の方法は狭いサイズ分布を有する顆粒を製造するのに役立つ。しかしながら、必要に応じて、顆粒のサイズ分布をさらに狭くするために、追加的な工程、例えば、スクリーニングを前記方法中に含めることもできる。顆粒の平均粒子径分布は、好適には100μm〜2000μm、好ましくは200μm〜1800μm、好ましくは300μm〜1600μmである。顆粒は、不規則(しかし、好ましくは規則的)な形状、例えば、ほぼ球状のものであってよい。好ましい実施形態においては、顆粒は約500〜2000μm、好ましくは500〜1800μm、好ましくは600〜1000μmの平均粒子径分布を有する。平均粒子径分布を、Malvern Instruments GmbHの機械であるMastersizer S、製品番号32734-08を用いることにより決定することができる。平均粒子径分布は、D(v,0.1)、D(v,0.5)およびD(v,0.9)の値ならびに分布D(4,3)の平均粒子径によって特徴付けられる。平均粒子径分布を、例えば、Fa.Retschにより販売されたふるい分け機Typ Vibro VS 1000を用いて、ふるい分けすることにより、決定することができる。
【0085】
従って、本発明による好ましい方法は、
a) (任意で)水、酵素、安定化剤、および少なくとも15%(w/w)の食用炭水化物ポリマーを含む固体担体を混合すること、例えば、固体担体および少なくとも1種の安定化剤を、水性の酵素含有液体と混合すること;
b) 必要に応じて、得られた混合物を混練すること;
c) 酵素含有顆粒を得るために、例えば機械的加工により、例えば、造粒機を用いるかまたは押出成型により、混合物を造粒すること;
d) 必要に応じて、その顆粒を球状化すること;
e) 得られた顆粒を乾燥させて、酵素含有顆粒を得ること、
を含み、ここで、その安定化剤はアラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される、前記方法を含む。
【0086】
好ましい実施形態においては、工程e)で得られる酵素含有顆粒をさらにコーティングする。
【0087】
好ましい実施形態においては、酵素を曝す最大温度をプロセス全体の間で80℃未満に維持することを目標にするであろう。
【0088】
水または酵素含有液体は、1種以上の酵素を含みうるものであり、通常、例えば微生物発酵から得られた、微生物起源のものである。通常、この酵素は活性形態であろう(例えば、それは触媒活性または生理学的活性を有しうる)。この液体は、所望の活性レベルを有する顆粒の製造を可能にし得る、限外濾過液(UF)または保持液などの、濃縮された形態であるのが好ましい。
【0089】
本発明のさらなる態様においては、少なくとも1種の酵素および少なくとも1種の安定化剤を含み、該安定化剤がアラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される、液体製剤が提供される。
【0090】
この液体製剤を、食品、飼料および酵素製剤の加工において一般的に用いられる技術を用いて製造することができる。一実施形態においては、安定化剤を、酵素を溶解するか、または分散させる液体に対して直接添加することができる。本発明の別の実施形態においては、安定化剤を最初に別途に水に溶解し、必要に応じて、得られた溶液のpHを調整し、次いで、そのように得られた溶液を酵素または酵素濃縮物または液体酵素調製物と混合することができる。そのように得られた混合物のpH調整は任意である。pHを、有機もしくは無機塩および/または酸を用いて調整することができる。
【0091】
好ましい実施形態においては、液体製剤は少なくとも1種のホスファターゼ、好ましくは少なくとも1種のフィターゼを含む。
【0092】
安定化剤は、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択する。安定化剤を、1種類の薬剤、例えば、アラビアゴムのみから選択してもよいし、または例えば、1種の植物タンパク質およびアラビアゴムの混合物、または2もしくは3種もしくはそれ以上の異なる植物タンパク質の混合物から構成されるものでもよいことは理解されよう。好ましい実施形態においては、安定化剤はアラビアゴムである。好ましい実施形態においては、安定化剤は少なくとも1種の植物タンパク質である。
【0093】
一実施形態においては、安定化剤はアラビアゴムである。アラビアゴムの別名はアラビアガム(gum Arabic)またはアカシアゴム(gum acacia)である。アラビアゴムは、アカディアの木(マメ科)、例えば、サハラ砂漠下部(サヘル地域)のアカシア・セネガル(Acacia Senegal)およびアカシス・セヤル(Acacis seyal)のアカディアの木の幹および枝からの滲出液から調製され、木の樹皮の傷を密封するためのゴム病と呼ばれるプロセスの間に大きなこぶとして天然に産生される。アラビアゴムはアラビノガラクタンのオリゴ糖、多糖および糖タンパク質の複雑で変動的な混合物である。起源により、グリカン成分は、D-ガラクトースに比べてより高割合のL-アラビノース(アカシア・セヤル)またはL-アラビノースに比べてより高割合のD-ガラクトース(アカシア・セネガル)を含有する。アカシア・セヤル由来のゴムはまた、有意に多い4-O-メチル-D-グルクロン酸を含むが、L-ラムノースおよび非置換D-グルクロン酸はアカシア・セネガルのものよりも少ない。本発明によるアラビアゴムは、アカシア・セネガルおよび/またはアカシア・セヤルおよび/またはアカシア・ラータ(Acacia laeta)および/またはアカシア・カロッド(Acacia karrod)に由来するアラビアゴムを包含する。
【0094】
アラビアゴムは、分枝糖タンパク質とラムノグルクロノアラビノガラクトース五糖側鎖を有するβ-1,3-ガラクトピランコアの主要部分との混合物である。好ましい実施形態においては、100,000〜2,000,000、好ましくは200,000〜1,500,000、好ましくは300,000〜1,200,000の分子量MRを有するアラビアゴムを用いる。
【0095】
アラビアゴムは、例えば、Colloides Naturels International CNI (129 Chemin de Croisset, PO BOX 4151-76723 Rouen Cedex, France)から、CAS No 9000-01-5の元で市販されている。
【0096】
アラビアゴムはE 414分類(参照:Merck Index, 12, 11. SAX, AQQ 500)の元で食品用の技術的添加物として登録されている。
【0097】
一実施形態においては、安定化剤は少なくとも1種の植物タンパク質である。本発明による植物タンパク質は、任意の植物、例えば、穀類(穀物)、豆類、野菜または果物から取得することができる。植物タンパク質は、葉、種子、茎、花などの任意の種類の植物から単離することができる。植物タンパク質を植物から単離する際にはいつでも、それは最大で20重量%、好ましくは、最大15重量%、好ましくは最大10重量%、特に好ましくは最大5重量%の非タンパク質成分を含んでもよい。本発明による植物タンパク質は、植物タンパク質から得られた完全な、または部分的な加水分解物であってもよい。好ましい実施形態においては、植物タンパク質を、穀類タンパク質、豆類タンパク質、野菜タンパク質、果物タンパク質、それらの加水分解物およびそれらの混合物からなる群より選択する。
【0098】
植物タンパク質を、例えば、コムギ、ライ麦、オートムギ、オオムギ、トウモロコシ(zea mays)、コメおよびアワなどの穀類(穀物)から取得することができる。これらの穀類の複数のタンパク質画分を、単独の画分で、または混合物として用いることができる。穀類のタンパク質画分は、アルブミン、グロブリン、プロラミンおよびグルテリンであり、いわゆるオズボーン画分である。以下の表は好ましい穀類のタンパク質画分を列挙するものである。
【表1】

【0099】
本発明の一実施形態においては、穀類の単独画分、または上記画分の混合物からなるタンパク質を用いることができる。
【0100】
好ましい実施形態においては、コムギから得られる穀類タンパク質(穀物タンパク質)、特に、コムギのプロラミンおよびグルテリン画分を含む、いわゆるコムギグルテンを用いる。
【0101】
植物タンパク質は、限定されるものではないが、ダイズ(グリシンマックス(Glycine max))、ソラマメ(Vicia faba)、サヤインゲン(ファセオルス・バルガリス(Phaseolus vulgaris)、ファセオルス・コッキネウス(P. coccineus))、ライマメ(ファセオルス・ルナタス(Phaseolus lunatus))、グリーンピース(ピサ・サチバ(Pisa sativa)ならびにピーナッツ(アラキス・ヒオプゲア(Arachis hyopgaea))およびカシューなどのマメ科のマメ(bean、pea)などの、マメ(bean、pea)(豆類、マメ)などの豆類から取得することができる。
【0102】
好ましい実施形態においては、植物タンパク質を、穀類タンパク質および/または豆類タンパク質から選択する。
【0103】
植物タンパク質を、限定されるものではないが、ジャガイモ、サツマイモ、トマト、キュウリ、スプラウト、キャベツなどの野菜から取得することができる。
【0104】
植物タンパク質を、限定されるものではないが、バナナ、リンゴ、西洋ナシなどの果物から取得することができる。
【0105】
以下の表は、本発明に従って用いることができる、市販の植物タンパク質を列挙するものである。
【表2】

【0106】
好ましい実施形態においては、植物タンパク質を、マメ科(Facaceae)、イネ科(Poaceae)、マメ科(Leguminosae)およびナス科(Solanaceae)の植物ならびにそれらの混合物から選択する。
【0107】
好ましい実施形態においては、植物タンパク質を、ダイズタンパク質、コムギタンパク質およびジャガイモタンパク質ならびにそれらの混合物からなる群より選択する。
【0108】
本発明に従って安定化剤として用いる植物タンパク質を、例えば、以下の植物から取得することができる:
ピスタチア(Pistacia)、マンギフェラ(Mangifera)、アナカルディウム(Anacardium)属、例えば、ピスタチア・ヴェラ(Pistacia vera)[ピスタチオ]、マンギフェラ・インディカ(Mangifer indica)[マンゴー]もしくはアナカルディウム・オクシデンタル種(Anacardium occidentale)[カシュー]などのウルシ科、
カレンデュラ(Calendula)、カルタマス(Carthamus)、センタウレア(Centaurea)、シコリウム(Cichorium)、シナラ(Cynara)、ヘリアンタス(Helianthus)、ラクツカ(Lactuca)、ロクスタ(Locusta)、タゲテス(Tagetes)、ヴァレリアーナ(Valeriana)属、例えば、カレンデュラ・オフィシナリス(Calendula officinalis)[マリゴールド]、カルタマス・チンクトリウス(Carthamus tinctorius) [ベニバナ]、センタウレア・シアヌス(Centaurea cyanus) [ヤグルマソウ]、シコリウム・インタイバス(Cichorium intybus)[ブルーデイジー]、シナラ・スコリムス(Cynara scolymus) [チョウセンアザミ]、ヘリアンタス・アヌス(Helianthus annus)[ヒマワリ]、ラクツカ・サチーヴァ(Lactuca sativa)、ラクツカ・クリスパ(Lactuca crispa)、ラクツカ・エスクレンタ(Lactuca esculenta)、ラクツカ・スカリオラL. spp.サティバ(Lactuca scariola L. spp. sativa)、ラクツカ・スカリオラ変種インテグラータ(Lactuca scariola L. var. integrata)、ラクツカ・スカリオラ変種インテグリフォリア(Lactuca scariola L. var. integrifolia)、ラクツカ・サチーヴァ亜種ロマーナ(Lactuca sativa subsp. romana)、ロクスタ・コミュニス(Locusta communis)、バレリアーナ・ロクスタ(Valeriana locusta)[レタス]、タゲテス・ルシーダ(Tagetes lucida)、タゲテス・エレクタ(Tagetes erecta)もしくはタゲテス・テヌイフォリア(Tagetes tenuifolia) [マリゴールド]種などのキク科、
ダウカス(Daucus)属、例えば、ダウカス・カロタ(Daucus carota)種[ニンジン]などのセリ科、
コリラス(Corylus)属(ハシバミ)、例えば、コリラス・アヴェラナ種(Corylus avellana)もしくはコリラス・コラーナ種(Corylus colurna)[ヘイゼルナッツ]などのカバノキ科、
ボラーゴ(Borago)属、例えば、ボラーゴ・オフィシナリス種(Borago officinalis)[ルリチシャ]などのムラサキ科、
ブラシカ(Brassica)、メラノシナピス(Melanosinapis)、シナピス(Sinapis)、アラバドプシス(Arabadopsis)属、例えば、ブラシカ・ナプス(Brassica napus)、ブラシカ・ラパspp.(Brassica rapa ssp.)[キャノーラ、ナタネ、アブラナ]、シナピス・アーヴェンシス(Sinapis arvensis)、ブラシカ・ジュンセア(Brassica juncea)、ブラシカ・ジュンセア変種ジュンセア(Brassica juncea var. juncea)、ブラシカ・ジュンセア変種クリスピフォリア(Brassica juncea var. crispifolia)、ブラシカ・ジュンセア変種フォリオーサ(Brassica juncea var. foliosa)、ブラシカ・ニグラ(Brassica nigra)、ブラシカ・シナピオイデス(Brassica sinapioides)、メラノシナピス・コミュニス(Melanosinapis communis) [カラシ]、ブラシカ・オレラセア(Brassica oleracea)[飼料ビート]もしくはアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)種などのアブラナ科、
アナナ(Anana)、ブロメリア(Bromelia)(パイナップル)属、例えば、アナナ・コモサス(Anana comosus)、アナナ・アナナス(Ananas ananas)もしくはブロメリア・コモサ(Bromelia comosa)[パイナップル]などのパイナップル科、
カリカ(Carica)属、例えば、カリカ・パパイヤ(Carica papaya)[パパイヤ]などのパパイヤ科、
カナビス(Cannabis)属、例えば、カナビス・サチブ(Cannabis sative)種[アサ]などのアサ科、
イポメア(Ipomea)、コンボルブラス(Convolvulus)属、例えば、イポメア・バタタス(Ipomoea batatus)、イポメア・パンデュラータ(Ipomoea pandurata)、コンボルブラス・バタタス(Convolvulus batatas)、コンボルブラス・チリアセウス(Convolvulus tiliaceus)、イポメア・ファスチギアータ(Ipomoea fastigiata)、イポメア・チリアセア(Ipomoea tiliacea)、イポメア・トリロバ(Ipomoea triloba)もしくはコンボルブラス・パンデュラタス(Convolvulus panduratus)[サツマイモ、スウィートポテト、マン・オブ・ジ・アース、ワイルドポテト]種などのヒルガオ科、
ベータ(Beta)属、すなわち、ベータ・バルガリス種(Beta vulgaris)、ベータ・バルガリス変種アルチシマ(Beta vulgaris var. altissima)、ベータ・バルガリス変種バルガリス(Beta vulgaris var. Vulgaris)、ベータ・マリチナ(Beta maritima)、ベータ・バルガリス変種ペレニス(Beta vulgaris var. perennis)、ベータ・バルガリス変種コンディチバ(Beta vulgaris var. conditiva)もしくはベータ・バルガリス変種エスクレンタ(Beta vulgaris var. esculenta)[テンサイ]などのアカザ科、
ククビタ(Cucubita)属、例えば、ククビタ・マキシマ(Cucurbita maxima)、ククビタ・ミキスタ(Cucurbita mixta)、ククビタ・ペポ(Cucurbita pepo)もしくはククビタ・モシャータ(Cucurbita moschata)種 [カボチャ]などのウリ科、
エレグナス(Elaeagnus)属、例えば、オレア・ヨーロパエ(Olea europaea)種[オリーブ]などのグミ科、
カルミア(Kalmia)属、例えば、カルミア・ラチフォリア(Kalmia latifolia)、カルミア・アングスチフォリア(Kalmia angustifolia)、カルミア・ミクロフィラ(Kalmia microphylla)、カルミア・ポリフォリア(Kalmia polifolia)、カルミア・オクシデンタリス(Kalmia occidentalis)、シスタス・チャメロデンドロス(Cistus chamaerhodendros)もしくはカルミア・ルシーダ(Kalmia lucida)種[アメリカンローレル、広葉ローレル、アメリカシャクナゲ、スプーンウッド、シープローレル、高山ローレル、湿地ローレル、西部湿地ローレル、細葉ローレル]などのツツジ科、
マニホット(Manihot)、ジャニファ(Janipha)、ジャトロファ(Jatropha)、リシヌス(Ricinus)属、例えば、マニホット・ウチリシマ(Manihot utilissima)、ジャニファ・マニホット(Janipha manihot)、ジャトロファ・マニホット(Jatropha manihot)、マニホット・アイピル(Manihot aipil)、マニホット・ダルシス(Manihot dulcis)、マニホット・マニホット(Manihot manihot)、マニホット・メラノバシス(Manihot melanobasis)、マニホット・エスクレンタ(Manihot esculenta)[マニホット、アロールート、タピオカ、キャッサバ]もしくはリシヌス・コミュニス(Ricinus communis)種[ヒマ、ヒマシ油草、ヒマシ油植物、パルマ・クリスティ、ワンダーツリー]などのトウダイグサ科、
ピサム(Pisum)、アルビジア(Albizia)、カトルミオン(Cathormion)、フェイレア(Feuillea)、インガ(Inga)、ピテコロビウム(Pithecolobium)、アカシア(Acacia)、ミモザ(Mimosa)、メジカジョ(Medicajo)、グリシン(Glycine)、ロリコス(Dolichos)、ファセオラス(Phaseolus)、ソジャ(Soja)属、例えば、ピサム・サチバム(Pisum sativum)、ピサム・アルヴェンス(Pisum arvense)、ピサム・ヒュミル(Pisum humile)[エンドウマメ]、アルビジア・バーテリアナ(Albizia berteriana)、アルビジア・ジュリブリシン(Albizia julibrissin)、アルビジア・レベック(Albizia lebbeck)、アカシア・バーテリアナ(Acacia berteriana)、アカシア・リトラリス(Acacia littoralis)、アルビジア・バーテリアナ(Albizia berteriana)、アルビジア・バーテリアナ(Albizzia berteriana)、カトルミオン・バーテリアナ(Cathormion berteriana)、フェイレア・バーテリアナ(Feuillea berteriana)、インガ・フラグランス(Inga fragrans)、ピテセロビウム・バーテリアナム(Pithecellobium berterianum)、ピテセロビウム・フラグランス(Pithecellobium fragrans)、ピテコロビウム・バーテリアナム(Pithecolobium berterianum)、シューダルビジア・バーテリアナ(Pseudalbizzia berteriana)、アカシア・ジュリブリシン(Acacia julibrissin)、アカシア・ネム(Acacia nemu)、アルビジア・ネム(Albizia nemu)、フェイレア・ジュリブリシン(Feuilleea julibrissin)、ミモサ・ジュリブリシン(Mimosa julibrissin)、ミモサ・スペシオサ(Mimosa speciosa)、セリカンダ・ジュリブリシン(Sericanrda julibrissin)、アカシア・レベック(Acacia lebbeck)、アカシア・マクロフィラ(Acacia macrophylla)、アルビジア・レベック(Albizia lebbek)、フェイレア・レベック(Feuilleea lebbeck)、ミモサ・レベック(Mimosa lebbeck)、ミモサ・スペシオサ(Mimosa speciosa) [バスタードロッグウッド、シルクツリー、西インドウォルナット]、メジカゴ・サチバ(Medicago sativa)、メジカゴ・ファルカタ(Medicago falcata)、メジカゴ・バリア(Medicago varia)[アルファルファ]、グリシン・マックス ドリコス・ソジャ(Glycine max Dolichos soja)、グリシン・グラシリス(Glycine gracilis)、グリシン・ヒスピダ(Glycine hispida)、ファセオラス・マックス(Phaseolus max)、ソジャ・ヒスピダ(Soja hispida)もしくはソジャ・マックス(Soja max)種[ダイズ] などのマメ科、
ペラルゴニウム(Pelargonium)、ココス(Cocos)、オレウム(Oleum)属、例えば、ココス・ヌシフェラ(Cocos nucifera)、ペラルゴニウム・グロスラリオイデス(Pelargonium grossularioides)もしくはオレウム・ココイス(Oleum cocois) [ココナッツ]などのフクロソウ科、
サッカラム(Saccharum)属、例えば、サッカラム・オフィシナルム(Saccharum officinarum)などのイネ科、
ジュグランス(Juglans)、ワリア(Wallia)属、例えば、ジュグランス・レギラ(Juglans regia)、ジュグランス・アイランシフォリア(Juglans ailanthifolia)、ジュグランス・シエボルジアナ(Juglans sieboldiana)、ジュグランス・シネレア(Juglans cinerea)、ワリア・シネレア(Wallia cinerea)、ジュグランス・ビクスビ(Juglans bixbyi)、ジュグランス・カリフォルニカ(Juglans californica)、ジュグランス・ヒンジ(Juglans hindsii)、ジュグランス・インターメディア(Juglans intermedia)、ジュグランス・ジャマイセンシス(Juglans jamaicensis)、ジュグランス・メジャー(Juglans major)、ジュグランス・ミクロカルパ(Juglans microcarpa)、ジュグランス・ニグラ(Juglans nigra)もしくはワリア・ニグラ(Wallia nigra)種[ウォルナット、ブラックウォルナット、コモンウォルナット、ペルシアウォルナット、ホワイトウォルナット、バターナット、ブラックウォルナット]などのクルミ科、
ペルセア(Persea)(アボカド)、ラウラス(Laurus)属、例えば、ローレル、ラウラス・ノビリス(Laurus nobilis)、[ベイ、ローレル、ベイローレル、スウィートベイ]、ペルセア・アメリカーナ(Persea americana)、ペルセア・グラチシマ(Persea gratissima)もしくはペルセア・ペルセア(Persea persea)[アボカド]などのクスノキ科、
アラキス(Arachis)属、例えば、アラキス・ヒポゲア(Arachis hypogaea)[ピーナット]などのマメ科、
リナム(Linum)、アデノリナム(Adenolinum)属、例えば、リナム・ウシタチシマム(Linum usitatissimum)、リナム・ヒュミル(Linum humile)、リナム・オーストリアカム(Linum austriacum)、リナム・ビエネ(Linum bienne)、リナム・アングスチフォリウム(Linum angustifolium)、リナム・カタルチカム(Linum catharticum)、リナム・フラバム(Linum flavum)、リナム・グランジフロラム(Linum grandiflorum)、アデノリナム・グランジフロラム(Adenolinum grandiflorum)、リナム・レウィシイ(Linum lewisii)、リナム・ナルボネンス(Linum narbonense)、リナム・ペレン(Linum perenne)、リナム・ペレン変種レウィシイ(Linum perenne var. lewisii)、リナム・プラテンス(Linum pratense)もしくはリナム・トリギナム(Linum trigynum)[亜麻]などのアマ科、
プニカ(Punica)属、例えば、プニカ・グラナタム(Punica granatum)種[ザクロ]などのザクロ科、
ゴシピウム(Gossypium)属、例えば、ゴシピウム・ヒルサタム(Gossypium hirsutum)、ゴシピウム・アルボレウム(Gossypium arboreum)、ゴシピウム・バルバデンス(Gossypium barbadense)、ゴシピウム・ハーバセウム(Gossypium herbaceum)もしくはゴシピウム・サーベリ(Gossypium thurberi)種[ワタ]などのアオイ科、
ムサ(Musa)属、例えば、ムサ・ナナ(Musa nana)、ムサ・アクミナタ(Musa acuminata)、ムサ・パラジシアカ(Musa paradisiaca)種、ムサspp.(Musa spp.)[バナナ]などのバショウ科、
カミソニア(Camissonia)、オエノテラ(Oenothera)属、例えば、オエノテラ・ビエニス(Oenothera biennis)もしくはカミソニア・ブレビペス種(Camissonia brevipes)[サクラソウ、メマツヨイグサ]などのアカバナ科、
エラシス(Elacis)属、例えば、エラシス・ギネンシス(Elaeis guineensis)[オイルプラム]などのヤシ科、
パパヴェル(Papaver)属、例えば、パパヴェル・オリエンタル(Papaver orientale)、パパヴェル・ロエアス(Papaver rhoeas)、パパヴェル・デュビウム(Papaver dubium)種[ポピー、オリエンタルポピー、コーンポピー、フィールドポピー、シャーリーポピー、フィールドポピー、長頭ポピー、ロングポッドポピー]などのケシ科、
セサマム(Sesamum)属、例えば、セサマム・インディカム(Sesamum indicum)種[ゴマ]などのゴマ科、
パイパー(Piper)、アルタンテ(Artanthe)、ペペロミア(Peperomia)、ステフェンシア(Steffensia)属、例えば、パイパー・アダンカム(Piper aduncum)、パイパー・アマラゴ(Piper amalago)、パイパー・アンガスチフォリウム(Piper angustifolium)、パイパー・アウリタム(Piper auritum)、パイパー・ベテル(Piper betel)、パイパー・クベバ(Piper cubeba)、パイパー・ロンガム(Piper longum)、パイパー・ニグラム(Piper nigrum)、パイパー・レトロフラクタム(Piper retrofractum)、アルタンテ・アダンカ(Artanthe adunca)、アルタンテ・エロンガタ(Artanthe elongata)、ペペロミア・エロンガタ(Peperomia elongata)、パイパー・エロンガタム(Piper elongatum)、ステフェンシア・エロンガタ(Steffensia elongata)種[カイエンヌペッパー、ワイルドペッパー]などのコショウ科、
ホルデウム(Hordeum)、セカレ(Secale)、アヴェナ(Avena)、ソルガム(Sorghum)、アンドロポゴン(Andropogon)、ホルカス(Holcus)、パニカム(Panicum)、オリザ(Oryza)、ジー(Zea)(コーン)、トリチコ・セカレ(Tritico saecale)、トリチカム(Triticum)属、例えば、ホルデウム・バルガレ(Hordeum vulgare)、ホルデウム・ジュバタム(Hordeum jubatum)、ホルデウム・ムリナム(Hordeum murinum)、ホルデウム・セカリナム(Hordeum secalinum)、ホルデウム・ジスチチョン(Hordeum distichon)、ホルデウム・アギセラス(Hordeum aegiceras)、ホルデウム・ヘキサスチチョン(Hordeum hexastichon)、ホルデウム・ヘキサスチカム(Hordeum hexastichum)、ホルデウム・イレグラレ(Hordeum irregulare)、ホルデウム・サチバム(Hordeum sativum)、ホルデウム・セカリナム(Hordeum secalinum)[オオムギ、マルムギ、フォックステイルオオムギ、ムギクサ、牧草オオムギ]、セカレ・セレアル(Secale cereale)[ライ]、アヴェナ・サチバ(Avena sativa)、アヴェナ・ファツア(Avena fatua)、アヴェナ・ビザンチナ(Avena byzantina)、アヴェナ・ファツア変種サチバ(Avena fatua var. sativa)、アヴェナ・ハイブリダ(Avena hybrida)[オートムギ]、ソルガム・バイカラー(Sorghum bicolor)、ソルガム・ハレペンス(Sorghum halepense)、ソルガム・サッカラタム(Sorghum saccharatum)、ソルガム・バルガレ(Sorghum vulgare)、アンドロポゴン・ドラモンジ(Andropogon drummondii)、ホルカス・バイカラー(Holcus bicolor)、ホルカス・ソルガム(Holcus sorghum)、ソルガム・エチオピカム(Sorghum aethiopicum)、ソルガム・アルンジナセウム(Sorghum arundinaceum)、ソルガム・カフロラム(Sorghum caffrorum)、ソルガム・セルナム(Sorghum cernuum)、ソルガム・ドクナ(Sorghum dochna)、ソルガム・ドラモンジ(Sorghum drummondii)、ソルガム・デュラ(Sorghum durra)、ソルガム・ギネンス(Sorghum guineense)、ソルガム・ランセオラタム(Sorghum lanceolatum)、ソルガム・ネルボサム(Sorghum nervosum)、ソルガム・サッカラタム(Sorghum saccharatum)、ソルガム・スブグラブレセンス(Sorghum subglabrescens)、ソルガム・バーチシリフロラム(Sorghum verticilliflorum)、ソルガム・バルガレ(Sorghum vulgare)、ホルカス・ハレペンシス(Holcus halepensis)、ソルガム・ミリアセウムミレット(Sorghum miliaceum millet)、パニカム・ミリタセウム(Panicum militaceum)[モロコシ、アワ]、オリザ・サチバ(Oryza sativa)、オリザ・ラチフォリア(Oryza latifolia)[コメ]、ジーメイズ(Zea mays)[コーン、トウモロコシ]、トリチカム・エスチバム(Triticum aestivum)、トリチカム・デュラム(Triticum durum)、トリチカム・ツルギダム(Triticum turgidum)、トリチカム・ハイベルナム(Triticum hybernum)、トリチカム・マチャ(Triticum macha)、トリチカム・サチバム(Triticum sativum)、もしくはトリチカム・バルガレ(Triticum vulgare) [コムギ、パン小麦、一般小麦]、トリチコ・セカレ(Tritico saecale)種[トリチカレ]などのイネ科、
マカダミア(Macadamia)属、例えば、マカダミア・インテグリフォリア(Macadamia intergrifolia)種[マカダミア]などのヤマモガシ科、
コフィア(Coffea)属、例えば、コフィアspp.(Cofea spp.)、コフィア・アラビカ(Coffea arabica)、コフィア・カネフォラ(Coffea canephora)もしくはコフィア・リベリカ(Coffea liberica)種[コーヒー]などのアカネ科、
ベルバスカム(Verbascum)属、例えば、ベルバスカム・ブラッタリア(Verbascum blattaria)、ベルバスカム・チャイキシ(Verbascum chaixii)、ベルバスカム・デンシフロラム(Verbascum densiflorum)、ベルバスカム・ラグラス(Verbascum lagurus)、ベルバスカム・ロンギフォリウム(Verbascum longifolium)、ベルバスカム・リクニチス(Verbascum lychnitis)、ベルバスカム・ニグラム(Verbascum nigrum)、ベルバスカム・オリンピカム(Verbascum olympicum)、ベルバスカム・フロモイデス(Verbascum phlomoides)、ベルバスカム・フォエニカム(Verbascum phoenicum)、ベルバスカム・パルベルレンタム(Verbascum pulverulentum)もしくはベルバスカム・タプサス(Verbascum thapsus)種[ビロードモウズイカ、ホワイトモスマレン]、トゲ葉マレン、高密花マレン、銀マレン、長葉マレン、白マレン、暗マレン、ギリシアマレン、オレンジマレン、ムラサキマレン、灰白色マレン、グレートマレン]などのゴマノハグサ科、
カプシカム(Capsicum)、ニコチアナ(Nicotiana)、ソラナム(Solanum)、リコペルシコン(Lycopersicon)属、例えば、カプシカム・アヌム(Capsicum annuum)、カプシカム・アヌム変種グラブリウスクラム(Capsicum annuum var. glabriusculum)、カプシカム・フルテセンス(Capsicum frutescens)[コショウ]、カプシカム・アヌム(Capsicum annuum)[パプリカ]、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ニコチアナ・アラタ(Nicotiana alata)、ニコチアナ・アテヌアタ(Nicotiana attenuata)、ニコチアナ・グラウカ(Nicotiana glauca)、ニコチアナ・ラングスドルフィ(Nicotiana langsdorffii)、ニコチアナ・オブツシフォリア(Nicotiana obtusifolia)、ニコチアナ・クアドリバルビス(Nicotiana quadrivalvis)、ニコチアナ・レパンダ(Nicotiana repanda)、ニコチアナ・ラスチカ(Nicotiana rustica)、ニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)[タバコ]、ソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)[ジャガイモ]、ソラナム・メロンゲナ(Solanum melongena)種[ナス](リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)、リコペルシコン・リコペルシカム(Lycopersicon lycopersicum)、リコペルシコン・ピリフォルム(Lycopersicon pyriforme)、ソラナム・インテグリフォリウム(Solanum integrifolium)もしくはソラナム・リコペルシカム(Solanum lycopersicum))[トマト]などのナス科、
テオブロマ(Theobroma)属、例えば、テオブロマ・カカオ(Theobroma cacao)種[カカオ]などのアオギリ科、
カメリア(Camellia)属、例えば、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)種[茶]などのツバキ科。
【0109】
安定化剤は、通常、加工しようとする混合物の総重量に基づいて(固体製剤に関して)、または最終液体製剤に基づいて、0.01〜50重量%、例えば、1〜30重量%、例えば、1〜20重量%、例えば、3〜10重量%の量で添加する。安定化剤を担体もしくは酵素と混合するか、またはそれらを液体製剤に直接添加してもよい。
【0110】
他の実施形態においては、ペレット化安定性および/または保存安定性のさらなる改良のために、例えば、加工助剤として、追加の成分を酵素製剤中に組み入れることができる。いくつかのそのような好ましい添加物を以下に述べる。
【0111】
塩を、安定化された固体または液体の酵素製剤中に(例えば、固体担体または水を用いて)含有させることができる。好ましくは(EP-A-0,758,018に示唆されるように)、加工安定性および保存安定性を改善し得る無機塩を添加することができる。好ましい無機塩は水溶性のものである。これらは、亜鉛(特に)、マグネシウム、およびカルシウムなどの二価陽イオンまたはナトリウムもしくはカリウムなどの一価陽イオンを含みうる。スルフェートが最も好ましい陰イオンであるが、水溶性をもたらす他の陰イオンも用いることができる(例えば、カルボネート)。この塩を(例えば、混合物に対して)固体形態で添加することができる。しかしながら、水または酵素含有液体に塩を溶解した後で、それを固体担体と混合することもできる。
【0112】
液体製剤のためには、塩を液体酵素製剤に直接的に添加することができる。好適には、塩を、0.1〜40重量%、好ましくは0.5〜30重量%、特に1〜25重量%、好ましくは1〜20重量%(最終的な液体製剤に基づく重量%)である量で提供する。
【0113】
従って、固体製剤、例えば、顆粒は25%(w/w)未満の塩、好ましくは12%未満、例えば、2.5〜7.5%、例えば、4〜6%(最終的な固体製剤に基づく重量%)の塩を含んでもよい。
【0114】
さらに、公知の安定化剤、例えば、尿素、グリセロール、ポリエチレングリコール、好ましくは、6000 Daの分子量を有するポリエチレングリコール、またはそれらの混合物を、固体および/または液体酵素製剤に添加できることが意図される。固体または液体製剤に添加することができるさらなる安定化剤の他の例は、C5糖、好ましくはキシリトールもしくはリビトール、またはソルビトール、600〜4000 Da、好ましくは1000〜3350 Daの分子量を有するポリエチレングリコール、マロン酸、グルタル酸およびコハク酸のジナトリウム塩、カルボキシメチルセルロース、およびアルギン酸塩、好ましくはアルギン酸ナトリウムである。
【0115】
ペレット化安定性のさらなる改良を、疎水性、ゲル形成性または遅延溶解性(例えば、水中で)の化合物の組込みにより得ることができる。これらを、1〜10重量%、例えば、2〜8重量%、および好ましくは4〜6重量%(固体製剤についての水および固体担体成分の重量に基づく)または液体製剤の重量に基づいて1〜20%で、提供することができる。好適な物質としては、HPMC(ヒドロキシ-プロピル-メチル-セルロース)、CMC(カルボキシ-メチル-セルロース)、HEC(ヒドロキシ-エチル-セルロース)、微結晶セルロースなどの誘導体化セルロース;ポリビニルアルコール(PVA);および/または食用油が挙げられる。ダイズ油またはキャノーラ油などの食用油を、加工助剤として添加することができる(例えば、顆粒化しようとする混合物に対して)。
【0116】
本発明の好ましい実施形態においては、安定化された固体または液体酵素製剤はアラビアゴムおよび微結晶セルロースを含む。
【0117】
本発明の特に好ましい実施形態においては、安定化された固体または液体酵素製剤は、フィターゼ、アラビアゴムおよび微結晶セルロースを含む。
【0118】
本発明の好ましい実施形態においては、安定化された固体または液体酵素製剤はアラビアゴムおよび無機塩を含む。
【0119】
本発明の特に好ましい実施形態においては、安定化された固体または液体製剤はフィターゼ、アラビアゴムおよび無機塩を含む。
【0120】
本明細書で用いる用語「酵素」は、単一の酵素ならびに異なる酵素の混合物(例えば、フィターゼおよびキシラナーゼ)ならびに異なる起源の同じ酵素の混合物(例えば、菌類のフィターゼおよび細菌のフィターゼ)を包含する。
【0121】
本発明の製剤にとって好ましい酵素としては、食品(ベイキングを含む)および飼料産業において有用なそのような酵素が挙げられる。
【0122】
そのような酵素としては、限定されるものではないが、好ましくは中性および/または酸性の至適pHを有する、プロテアーゼ(細菌、菌類、酸、中性もしくはアルカリ性)が挙げられる。
【0123】
プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)は、細菌性酵素、好ましくは、細菌もしくは菌類株から得られたプロテアーゼであってもよく、またプロテアーゼはトリプシンもしくはペプシンであってもよい。好ましい実施形態においては、タンパク質分解酵素は、バチルス(Bacillus)菌株、好ましくはバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)菌株またはバチルス・リチェニフォルミス(Bacillus licheniformis)菌株から得られた細菌性プロテアーゼである。市販のバチルスプロテアーゼはAlcase(商標)およびNeutrase(商標)(Novozymes, Denmark)がある。別の好ましい実施形態においては、タンパク質分解酵素は、アスペルギルス(Aspergillus)菌株、好ましくは、アスペルギルス・アクレアタス(Aspergillus aculeatus)菌株、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)菌株、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)菌株から得られた菌類プロテアーゼである。市販のアスペルギルスプロテアーゼはFlacourzyme(商標)(Novozymes, Denmark)がある。
【0124】
そのような酵素としては、限定されるものではないが、リパーゼ(菌類性、細菌性、哺乳動物性)、好ましくは、哺乳動物の膵臓ホスホリパーゼA2または任意のトリアシルグリセロールリパーゼ(E.C.3.1.1.3)などのホスホリパーゼが挙げられる。
【0125】
そのような酵素としては、限定されるものではないが、グルコースオキシダーゼが挙げられる。
【0126】
そのような酵素としては、限定されるものではないが、グリコシダーゼ(E.C.3.2、カルボヒドラーゼとしても知られる)、例えば、アミラーゼ(αもしくはβ)、セルラーゼ(全セルラーゼもしくはその機能成分)、特に、キシラナーゼ、グルカナーゼ、好ましくは、β-グルカナーゼ、ガラクトシダーゼ、ペクチナーゼ、およびα-もしくはβ-ガラクトシダーゼなどの-ガラクトシダーゼが挙げられる。
【0127】
そのような酵素としては、限定されるものではないが、フィターゼ(3-フィターゼおよび6-フィターゼの両方)などのホスファターゼおよび/または酸ホスファターゼが挙げられる。好ましいホスファターゼはフィターゼである。
【0128】
グリコシダーゼ酵素は任意のグリコシダーゼ酵素(EC3.2.1、カルボヒドラーゼとしても知られる)であってよい。好ましくは、グリコシダーゼ酵素はアミラーゼ、特にα-アミラーゼまたはβ-アミラーゼ、セルラーゼ、グルカナーゼ、特に、エンド-1,4-β-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.4)またはエンド-1,3-β-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.6)、キシラナーゼ、特に、エンド-1,4-β-キシラナーゼ(E.C.3.2.1.8)またはキシラン-エンド-1,3-β-キシロシダーゼ(E.C.3.2.1.32)、α-ガラクトシダーゼ(E.C.3.2.1.22)、ポリガラクツロナーゼ(E.C.3.2.1.15、ペクチナーゼとしても知られる)、セルロース-1,4-β-セロビオシダーゼ(E.C.3.2.1.91、セロビオヒドロラーゼとしても知られる)、エンド-グルカナーゼ、特に、エンド-1,6-δ-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.75)、エンド-1,2-β-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.71)、エンド-1,3-β-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.39)またはエンド-1,3-α-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.59)である。また、これらとしては、β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.25)およびマンナン-エンド-1,4-β-マンノシダーゼ(EC3.2.1.78)などのマンナナーゼが挙げられる。
【0129】
本発明による好ましいエンド-1,4-β-グルカナーゼ(E.C.3.2.1.4)は、参照により本明細書に組み入れられるものとするWO 01/70998(BASF AG)に記載のエンド-1,4-β-グルカナーゼである。
【0130】
好ましい実施形態においては、前記酵素はホスファターゼ、グリコシダーゼおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0131】
好ましい実施形態においては、前記酵素はフィターゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼおよびそれらの混合物からなる群より選択される。
【0132】
本発明の好ましい実施形態においては、前記酵素は少なくとも1種のキシラナーゼである。キシラナーゼを、アスペルギルス・ニガー、クロストリジウム・サーモセルム(Clostridium thermocellum)、トリコダーマ・レーセイ(Trichoderma reesei)、ペニシリウム・ジャンチネルム(Penicillium janthinellum)、ならびにバチルスおよびストレプトミセス(Streptomyces)種などの微生物起源から取得することができる。キシラナーゼを、例えば、EP 121 138に記載のように、組換え発現により取得することもできる。好ましい実施形態においては、EP 0 463 706 B1(BASF AG)および/またはWO 02/24926 A1(BASF AG)に記載のキシラナーゼを、本発明に従って用いることができる。
【0133】
本発明に従って好適なキシラナーゼはエンド-キシラナーゼおよび/またはエキソ-キシラナーゼ、好ましくはエンド-キシラナーゼ、特に、エンド-β-キシラナーゼでありうる。
【0134】
好適な酵素は、ペットフードを含む動物飼料および/またはヒトの栄養食品中に含有させようとするものである。これらの酵素の機能は、多くは、例えば、粘性を減少させるか、または特定の飼料化合物の抗栄養作用を減少させることにより、飼料変換率を改善するためのものである。飼料酵素を用いて、環境に対して有害である肥料中の化合物量を減少させることなどもできる。
【0135】
本発明の酵素製剤を食品用途に用いる場合、この酵素は食品品質でなければならない。
【0136】
少なくとも1種、好ましくは2種、好ましくは3種以上の異なる酵素を用いることは本発明の範囲内にある。これらは同じクラスに由来する酵素、例えば、2種の異なるフィターゼであってもよく、または異なるクラスに由来する酵素、例えば、フィターゼおよびキシラナーゼであってもよい。特定の酵素またはある酵素について言及する時はいつでも、これらの用語には酵素の混合物も含まれ、そのような混合物が単独の発酵において直接的に取得可能であるか、または異なる発酵において取得可能な酵素を混合することによって取得可能であるかには関係ないし、またさらに組換え生物の発酵により取得可能である酵素を包含する。
【0137】
好ましい実施形態においては、前記酵素は少なくとも1種のフィターゼである。
【0138】
用語「フィターゼ」は、天然のフィターゼ酵素だけでなく、フィターゼ活性、例えば、ミオ-イノシトールリン酸からの無機リン(ホスフェート)の除去または放出を伴う反応を触媒する能力を有する任意の酵素をも意味する。フィターゼはクラスEC3.1.3.8に属するのが好ましい。フィターゼは3-フィターゼおよび/または6-フィターゼであってよい。
【0139】
1ユニットのフィターゼ活性(=FTU)は、pH 5.5かつ37℃で、0.0051 mol/lのフィチン酸ナトリウムから、1分間あたりに1マイクロモルの無機リンを放出する酵素の量として定義する。
【0140】
分析方法は、過剰に添加されたフィチン酸ナトリウムからの無機リン酸の放出に基づく。pH 5.5かつ37℃でのインキュベーション時間は60分である。放出されたリン酸を、黄色モリブデン-バナジウム複合体を介して測定し、415 nmの波長で測光的に評価する。公知の活性のフィターゼ標準物を比較のために並行して測定する。生成物サンプルにおける吸光度の測定された増加を、標準に対する比率として表す(相対法、公式AOAC法)。
【0141】
フィターゼ活性を、「比色酵素法による飼料中のフィターゼ活性の測定(Determination of Phytase Activity in Feed by a Colorimetric Enzymatic Method)」: Collaborative Interlaboratory Study Engelenら、Journal of AOAC International Vol.84, No. 3, 2001に従って決定することができる。
【0142】
本発明によるフィターゼは微生物起源のものであってよく、ならびに/またはそれを天然のフィターゼの遺伝子改変および/もしくはde-novo構築(遺伝子工学)により取得することができる。
【0143】
好ましい実施形態においては、フィターゼは植物フィターゼ、菌類フィターゼ、細菌フィターゼまたは酵母により産生可能なフィターゼである。
【0144】
フィターゼは、細菌、菌類および酵母などの微生物起源に由来するものであるのが好ましいが、植物起源のものであってもよい。好ましい実施形態においては、フィターゼは菌類株、特に、アスペルギルスの菌株、例えば、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリザエ、アスペルギルス・フィキューム(Aspergillus ficuum)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)およびアスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)の菌株に由来するものである。最も好ましいのは、アスペルギルス・ニガーの株またはアスペルギルス・オリザエの株に由来するフィターゼである。
【0145】
別の好ましい実施形態においては、フィターゼは細菌株、特に、バチルスの菌株またはシュードモナス(Pseudomonas)の菌株に由来する。フィターゼ酵素はバチルス・サブチリスの株に由来するものであるのが好ましい。
【0146】
別の好ましい実施形態においては、フィターゼは細菌株、特に、大腸菌(E.coli)の株に由来するものである。
【0147】
さらに別の好ましい実施形態においては、フィターゼは、酵母、特に、クルベロミセス(Kluveromyces)の株またはサッカロミセス(Saccharomyces)の株に由来するものである。フィターゼはサッカロミセス・セレビジアの株に由来するものであるのが好ましい。
【0148】
本発明の内容においては、「由来する酵素」は、特定の株から回収されるか、またはこの株から単離されたDNA配列によりコードされ、このDNA配列を用いて形質転換された宿主生物中で産生される、その株により天然に産生される酵素を包含する。
【0149】
フィターゼを、任意の好適な技術の使用により、目的の微生物から得ることができる。特に、フィターゼ酵素を、好適な栄養培地中でフィターゼを産生する微生物を発酵させた後、当業界で公知の方法により該酵素を単離することにより取得できる。
【0150】
培養に用いられるブロスまたは培地は、目的の宿主細胞を増殖させるのに好適な任意の従来の培地であってよく、また、従来技術の原理に従って構成すればよい。この培地は、炭素源および窒素源ならびに他の無機塩を含むのが好ましい。好適な培地、例えば、最少培地または複合培地は商業的な供給者から入手可能であり、または公開された処方、例えば、American Type Culture Collection(ATCC)の株カタログに従って調製してもよい。
【0151】
培養後、フィターゼ酵素を、培養液からタンパク質の単離および精製のための従来の方法により回収する。周知知の精製手順は、遠心分離または濾過により培地から細胞を分離すること、硫酸アンモニウムなどの塩を用いて培地のタンパク質性成分を沈降させること、および例えば、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーなどのクロマトグラフィー法を含む。
【0152】
あるいは、フィターゼ酵素を、例えば、参照により本明細書に組み入れられるものとするEP-A1-0 420 358に記載のように、組換えDNA技術を用いて大量に生産するのが好ましい。
【0153】
好ましくは、アスペルギルス・フィキュームまたはアスペルギルス・ニガー種から得られたフィターゼコード遺伝子を用いて形質転換されたアスペルギルス種の真菌を、EP-A1-0 420 358に記載のようなフィターゼコード遺伝子の発現を誘導する条件下で培養する。
【0154】
フィターゼを含有する発酵ブロスを、濾過および限外濾過の両方により処理した後、本発明の製剤において用いるのが好ましい。
【0155】
本発明のさらに好ましい実施形態においては、分子工学により得られたフィターゼ、例えば、WO 94/03072(Rohm)、WO 99/49022(Novozymes)、WO 00/43503(Novozymes)またはWO 03/102174(BASF AG)に記載のような遺伝的に改変されたフィターゼを用いる。
【0156】
本発明において好ましく用いられる別のフィターゼは、いわゆるコンセンサスなフィターゼである。これは、アスペルギルスのフィターゼと比較してより高い内在的安定性を有する、理論分子生物学的手法に従って開発されたフィターゼである。欧州特許出願公開第897985号を参照されたい。本発明の実施においては、特に実施例3〜13に記載のコンセンサスフィターゼを用いることもできる。
【0157】
菌類から得られた遺伝子を細菌(例えば、大腸菌)、酵母または別の菌類などの宿主生物に導入するための遺伝子工学法により、そのようなフィターゼを製造することもでき、さらなる詳細については、例えば、欧州特許出願第684313号および欧州特許出願第897010号を参照されたい。
【0158】
本発明の好ましい実施形態においては、EP-B1 420 358に記載のフィターゼを用いることができる。
【0159】
酵素が、フィターゼなどホスファターゼである場合、固体または液体酵素製剤は1,000〜80,000、例えば、2,000〜70,000、例えば、3,000〜60,000、好ましくは4,000〜50,000、例えば、5,000〜25,000、例えば、5,000〜15,000、例えば、5,000〜10,000、例えば、6,000〜8,000 FTU/gの活性を有するのが好ましい。
【0160】
酵素がキシラナーゼなどの植物細胞壁分解酵素である場合、固体または液体製剤は3,000〜500,000、好ましくは、4,000〜250,000、好ましくは5,000〜100,000、好ましくは6,000〜80,000、および最適には8,000〜70,000 EXU/gの活性を有してもよい。
【0161】
酵素がグルカナーゼ、好ましくはβ-グルカナーゼなどのセルラーゼである場合、固体または液体酵素製剤は100〜150,000、例えば、500〜100,000、好ましくは750〜50,000、好ましくは1,000〜10,000、および最適には1,500〜7,000 BGU/gの酵素活性を有してもよい。
【0162】
1 エンド-キシラナーゼ活性(EXU)は、試験条件(pH 3,5かつ55℃)下で1分間あたり、キシロース当量として測定された、1.00マイクロモルの還元糖を放出する酵素の量として定義する。
【0163】
1 β-グルカナーゼユニット(BGU)は、試験条件(pH 3.5かつ40℃)下で1分間あたり、グルコース当量として測定された、0.258マイクロモルの還元糖を放出する酵素の量として定義する。
【0164】
エンド-キシラナーゼ活性(EXU)およびβ-グルカナーゼ活性(BGU)を、Engelenら、Journal of AOAC International Vol.79, No.5, 1019(1996)に従って決定することができる。
【0165】
固体製剤、例えば、顆粒は、1〜20、例えば、5〜20、例えば、7〜15重量%の酵素を含んでもよい。
【0166】
液体製剤は0.5〜20、例えば、5〜15重量%の酵素を含んでもよい。
【0167】
本発明のさらなる態様は、動物飼料、または動物飼料の予混合物もしくは前駆物質の製造方法であって、請求項1〜10のいずれか1項および/または請求項26に記載される固体および/もしくは液体酵素製剤を、1種以上の動物飼料物質(例えば、種子)もしくは成分と混合することを含む、前記方法に関する。次いで、例えば、熱処理などにかけて、これを滅菌することができる。次いで、得られた組成物をペレットへと好適に加工し、必要に応じて乾燥させる。
【0168】
酵素を補給した飼料を、押出成型、伸展およびペレット化などのいくつかの飼料加工方法にかけることができ、一時的な高温が発生してもよいが、熱安定化が有利である。
【0169】
本発明の安定化された酵素製剤を、例えば、飼料ペレットに適用することができる。熱安定化された液体酵素製剤を、水道水で希釈して、所望の酵素活性を有する溶液を得ることができる。酵素または酵素の1つがフィターゼである場合、この溶液を、100〜1000、好ましくは200〜700、特に300〜500 FTU/g溶液の活性が得られるように希釈するのが好ましい。飼料ペレットを機械的ミキサーに移し、希釈された酵素製剤を、攪拌しながら飼料ペレット上に噴霧して、追加された酵素活性を有する均質な製品を得ることができる。フィターゼを含む飼料ペレットの例は、飼料ペレット1kg当たり約500 FTUの活性をもたらすのが好ましい。
【0170】
あるいは、固体または液体酵素製剤を、マッシュ飼料と直接混合した後、この混合物をペレット化、伸展または押出成型などのプロセスにかけることができる。
【0171】
本発明のさらなる態様は、ヒト栄養摂取にとって好適な組成物、または予混合物もしくは前駆物質の製造方法であって、請求項1〜10のいずれか1項および/または請求項26に記載される固体および/もしくは液体酵素製剤を、1種以上の食品物質もしくは成分と混合することを含む、前記方法に関する。次いで、熱処理にかけるなどしてこれを滅菌することができる。次いで、得られた組成物をペレットに好適に加工し、必要に応じて乾燥させることができる。
【0172】
固体製剤、例えば、顆粒、および飼料または食品物質または成分を、一定量の顆粒中で混合するのが好ましい:すなわち、飼料または食品物質または成分は、1g:1kgより低比率、好ましくは0.5g:1kgより低比率、特に、0.1g:1kgより低比率、好ましくは0.05g:1kgより低比率。
【0173】
本発明のさらなる態様は、ヒトおよび/または動物の栄養摂取のための請求項1〜10のいずれか1項および/または請求項26に定義される固体および/または液体酵素製剤の使用に関する。従って、本発明は、動物飼料組成物またはヒト栄養摂取にとって好適な組成物などの組成物を包含する。これらの組成物は、ペレット形態であるのが好ましい(1ペレットあたり1〜5、例えば2〜4個の乾燥顆粒が存在してもよい)。これらの組成物は8〜20%、例えば、12〜15%の含水量を有してもよい。酵素の量は、0.0001〜0.005重量%、好適には0.0005〜0.0012重量%、例えば、少なくとも5 ppmであってよい。
【0174】
本発明のさらなる態様は、単胃動物に本発明に従う飼料を与えて、それにより追加的なリン酸を飼料に添加しないようにする、食餌上のリン必要分を単胃動物に提供する方法に関する。
【0175】
さらなる態様は、動物の成長を促進しおよび/または飼料変換率を改善する方法であって、動物に、請求項1〜10のいずれか1項および/または請求項26に記載される固体および/または液体酵素製剤を含む食餌を与えることを含む、前記方法に関する。
【0176】
好適には、前記組成物は、0.05〜2.0、例えば、0.3〜1.0、最適には0.4〜0.6 FTU/gのホスファターゼ、例えば、フィターゼを含む。キシラナーゼは、0.5〜50、例えば、1〜40 EXU/g、好ましくは2〜25、特に2〜15 EXU/gで存在させてもよい。あるいは、またはさらに、セルラーゼを、0.05〜1.5、例えば、0.1〜1.0、例えば、0.2〜0.6 BGU/gで存在させてもよい。
【0177】
本発明のさらなる態様は、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載される固体および/もしくは液体酵素製剤の、動物飼料における使用または動物用食餌における使用のための成分としての使用に関する。
【0178】
動物および/またはヒトに与える場合、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載される固体および/または液体酵素製剤は環境汚染の減少に貢献する。これらはさらに、動物に与える場合、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載される固体および/または液体酵素製剤を与えた動物から得られる動物製品(例えば、肉、卵)の品質を改善する。
【0179】
好適な動物としては、農業用動物(ブタ、家禽、家畜)、非反芻動物または単胃動物(ブタ、ニワトリ、家禽、魚などの水産動物)、反芻動物(ウシもしくはヒツジ、例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、シカ、子ウシ、子ヒツジ)が挙げられる。家禽としては、ニワトリ、めんどり、七面鳥、ガチョウおよびアヒルが挙げられる。
【0180】
本発明のさらなる態様は、酵素のペレット化安定性を改善するための、酵素含有組成物における、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤の使用に関する。
【0181】
本発明のさらなる態様は、固体および/または液体酵素製剤、好ましくは、固体酵素製剤の製造のための添加剤としての、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質またはそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤の使用に関する。本発明のこの実施形態においては、安定化剤を固体化合物として標準的な顆粒混合物に添加するのが好ましい。そのような製剤は、45℃で15分間の流動床乾燥装置上での顆粒の乾燥工程を含む高剪断造粒プロセス後に決定される例えばフィターゼ活性の回復率の増加(最大20%)をもたらし得る。さらに、本発明による安定化剤を含むそのような顆粒は、飼料および/または食品と混合した場合、そのような添加剤を用いない顆粒と比較して、飼料および/または食品処理(例えば、85℃でのペレット化プロセス)後の酵素活性の回復の増加を示し得る。
【0182】
本発明の一態様の好ましい特徴および特性は、別に必要に応じて変更を加えても等しく適用可能である。
【実施例】
【0183】
全ての%は、特に指摘しない限り(w/w)である。
【0184】
実施例V1(比較例)
混練、押出成型、球状化および乾燥による、コーンスターチベースの酵素顆粒の調製
第1工程において、コーンスターチを実験室用ミキサー(Loedige Typ M5 RMK)中に充填し、ゆっくり攪拌した。フィターゼを含む限外濾過液、ZnSO4 x 6H2O、PVA(ポリビニルアルコール)および追加の水の混合物をビーカーに注ぎ入れ、溶解/分散させた。この混合物をLoedigeミキサー中でコーンスターチ上に注いだ。
【0185】
かくして、66%(w/w)のコーンスターチ、20%(w/w)のフィターゼ含有限外濾過物、1%(w/w)のPVA、0.3%(w/w)のZnSO4 x 6H2Oおよび12.7%(w/w)の追加の水を、Loedigeミキサー中、100〜250 rpmで混合および混練することにより、酵素含有生地を取得した。
【0186】
第2工程において、この酵素含有生地を、Fuji Paudal実験室用押出成型機(DG-L1型)を用いて押出成型して、湿った押出成型物を得た後、実験室用球状化装置中で球状化させて、平均直径500〜800μmの丸い粒子を得た。
【0187】
続いて、これらの粒子を流動床乾燥装置(Niro-Aeromatic、MP-1型)中、約40℃の床温度で60〜90分間、乾燥させた。約1.5 kgの湿った顆粒を乾燥させた後、冷却した。得られた乾燥酵素顆粒は8920 FTU/gの活性を有していた。
【表3】

【0188】
実施例1:安定化剤としての大豆タンパク質
酵素(フィターゼ)を含有する顆粒を、実施例V1に従って取得した。大豆タンパク質(Supro 670; Name:IP Non GM; Batch IP 094/2003、Protein Technologies Internationalにより販売、CAS No. 9010-10-0)をPVAの代わりに用いた。
【0189】
得られた乾燥酵素顆粒は7840 FTU/gの活性を有していた。
【表4】

【0190】
実施例2:安定化剤としての大豆タンパク質
酵素(フィターゼ)を含有する顆粒を、実施例V1に従って取得した。大豆タンパク質Supro 1751(Batch M 330000575、Protein Technologies Internationalにより販売、CAS No. 9010-10-0)をPVAの代わりに用いた。
【0191】
得られた乾燥酵素顆粒は7890 FTU/gの活性を有していた。
【表5】

【0192】
実施例3:安定化剤としてのジャガイモタンパク質
酵素(フィターゼ)を含有する顆粒を、実施例V1に従って取得した。ジャガイモタンパク質Alburex SP (SP, Roquetteにより販売、CAS No. 100209-45-8)をPVAの代わりに用いた。
【0193】
得られた乾燥酵素顆粒は8110 FTU/gの活性を有していた。
【表6】

【0194】
実施例4:安定化剤としてのアラビアゴム
酵素(フィターゼ)を含有する顆粒を、実施例V1に従って取得した。アラビアゴム(Instant Senegal、Spraygum IRX 51693、Batch 3S4120、Colloides Naturels Internationalにより販売、CAS No. 9000-01-5)をPVAの代わりに用いた。
【0195】
得られた乾燥酵素顆粒は7720 FTU/gの活性を有していた。
【表7】

【0196】
実施例5:安定化剤としてのコムギタンパク質
酵素(フィターゼ)を含有する顆粒を、実施例V1に従って取得した。コムギタンパク質Solpro 100 (Batch E 031579、Amylumにより販売、CAS No. RN 100684-25-1)をPVAの代わりに用いた。
【0197】
得られた乾燥酵素顆粒は8570 FTU/gの活性を有していた。
【表8】

【0198】
ペレット化安定性の比較
本発明の種々の酵素顆粒を、ペレット化試験にかけ、そのペレット化安定性を標準的製法(=実施例V1(実施例2))に従って作製された顆粒と比較した。ペレット化試験は、種々の酵素顆粒を、1 g/kg飼料のレベルで標準的なブロイラー食餌と混合することから構成されていた。この酵素含有飼料を、コンディショナー中での蒸気の噴射により処理し、その直後にペレット化プレス機でペレット化して飼料ペレットを得て、続いてそれを冷却した。ペレット化プレス後に直接測定されたペレット温度は78℃であった。飼料ペレットを取得するために、飼料産業においては通常はこの種の方法が用いられる。全ての実施例は、実施例V1と比較して、ペレット化安定性において少なくとも10%、いくつかは20%を超える増加を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の酵素と、アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の安定化剤とを含む安定化された固体または液体酵素製剤。
【請求項2】
前記酵素がホスファターゼ、グリコシダーゼおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の酵素製剤。
【請求項3】
前記酵素がフィターゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼおよびそれらの混合物から選択される、請求項1〜2のいずれか1項に記載の酵素製剤。
【請求項4】
前記酵素がフィターゼ、好ましくは、植物フィターゼ、菌類フィターゼ、細菌フィターゼ、酵母により産生可能なフィターゼまたはコンセンサスフィターゼである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酵素製剤。
【請求項5】
植物タンパク質が、穀類タンパク質、豆類タンパク質、野菜タンパク質、果物タンパク質、それらの加水分解物およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酵素製剤。
【請求項6】
前記製剤が液体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酵素製剤。
【請求項7】
前記製剤が固体であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の酵素製剤。
【請求項8】
固体製剤が顆粒形態であることを特徴とする、請求項7に記載の酵素製剤。
【請求項9】
前記顆粒が少なくとも1種の酵素、少なくとも15%(w/w)の食用炭水化物ポリマーを含む固体担体、および少なくとも1種の安定化剤を含み、該安定化剤がアラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項8に記載の酵素製剤。
【請求項10】
前記顆粒がコーティングされている、請求項9に記載の酵素製剤。
【請求項11】
酵素含有顆粒の製造方法であって、
(i) 少なくとも1種の酵素、
(ii) 少なくとも15%(w/w)の食用炭水化物ポリマーを含む固体担体、ならびに
(iii) アラビアゴム、少なくとも1種の植物タンパク質およびそれらの混合物からなる群より選択される、少なくとも1種の安定化剤、
を加工することを含む、前記方法。
【請求項12】
前記加工に水を添加する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
水および酵素を、酵素含有水性液体として提供する、請求項11〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記液体が前記酵素の産生をもたらす発酵プロセスから得られた濾液である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記顆粒を、前記加工後に乾燥させる、請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記植物タンパク質が、穀類タンパク質、豆類タンパク質、野菜タンパク質、果物タンパク質、それらの加水分解物およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記方法が、
a) 酵素を含む水性液体を、固体担体および安定化剤と混合すること;
b) a)で得られた混合物を機械的に加工して、酵素含有顆粒を取得すること;ならびに
c) b)で得られた酵素含有顆粒を乾燥すること、
を含む、請求項11〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記加工が機械的なものであり、押出成型、ペレット化、高剪断造粒、伸展、流動床集塊化、球状化、ドラム造粒またはそれらの組合せを含む、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
酵素含有水性液体、固体担体および安定化剤を混合し、得られた混合物を混練した後、造粒する、請求項11〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記加工を、低圧で、および/またはバスケット押出成型機もしくはドーム押出成型機中で行う、請求項11〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記顆粒を球状化する、請求項11〜20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記顆粒をコーティングする、請求項11〜21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記酵素がホスファターゼ、グリコシダーゼおよびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項11〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記酵素がフィターゼ、好ましくは植物フィターゼ、菌類フィターゼ、細菌フィターゼ、酵母により産生可能なフィターゼまたはコンセンサスフィターゼである、請求項11〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記酵素がフィターゼである場合、前記顆粒が1,000〜80,000 FTU/g、好ましくは2,000〜70,000 FTU/g、好ましくは3,000〜60,000 FTU/g、より好ましくは4,000〜50,000 FTU/gおよびさらに好ましくは5,000〜15,000 FTU/gの範囲のフィターゼ活性を有する、請求項11〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
請求項11〜25のいずれか1項に記載される方法により取得可能な酵素含有顆粒。
【請求項27】
動物飼料、または動物飼料の予混合物もしくは前駆物質の製造方法であって、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載の安定化された固体および/または液体製剤を、1種以上の動物飼料物質または成分と混合することを含む、前記方法。
【請求項28】
ヒト栄養摂取にとって好適な組成物、または予混合物もしくは前駆物質の製造方法であって、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載の安定化された固体および/または液体製剤を、1種以上の食品物質または成分と混合することを含む、前記方法。
【請求項29】
飼料もしくは食品物質と、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載の安定化された固体および/または液体製剤との混合物を滅菌するか、または蒸気で処理し、ペレット化し、必要に応じて乾燥する、請求項27〜28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
ヒトおよび/または動物の栄養摂取のための、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載の安定化された固体および/または液体製剤の使用。
【請求項31】
動物に、請求項1〜10のいずれか1項および/もしくは請求項26に記載の安定化された固体および/または液体製剤を含む食餌を与えることを含む、動物の成長を促進し、および/または飼料変換率を改善する方法。

【公表番号】特表2007−519408(P2007−519408A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−550111(P2006−550111)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000826
【国際公開番号】WO2005/074705
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】