説明

安定化され凍結乾燥された放射性薬剤

放射性医薬組成物を急速に瞬間冷凍及び脱水して自己放射線分解を最小化するように設計された装置による、安定な、出荷可能な、凍結乾燥された形態の、放射性の診断用放射性医薬の新規な製造方法が記載される。当該方法は、周囲の蒸気の急速な冷却及び除去、並びに爆発性の液体酸素の可能性を除く場合は次いで超低温除去を行うことを提案する。放射性の診断用の放射性医薬は、安定化に続く出荷に関しても、更なる冷蔵又は冷凍保存を必要としない。好ましい組成物は、適切な希釈剤の添加により、「現場で」再構成されて、放射性医薬錯体を望ましい濃度の溶液にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【0002】
本発明は、例えば、哺乳動物の造影及び癌検出に有用な診断用又は治療用の放射性医薬の製造及び安定化の方法、並びに得られた組成物に関する。特に、本発明は、放射性医薬組成物を急速に瞬間冷凍及び脱水して自己放射線分解を最小化するように設計された装置による、安定な、出荷可能な、凍結乾燥された形態の、放射性の診断用の放射性医薬の新規な製造方法に関し、新規性は、周囲の蒸気の急速な冷却と除去、次いで、爆発性の液体酸素の可能性を除く場合には、超低温除去を行う点に重点をおいている。この放射性の診断用の放射性医薬は、安定化の後の出荷に関しても、更なる冷蔵又は冷凍保存を必要としない。好ましい組成物は、適切な希釈剤の添加により、「現場で」再構成されて、治療用又は診断用の放射性医薬を必要とする患者に投与される際に、放射性医薬錯体を望ましい濃度の溶液にすることができる。
【0003】
本発明は、安定化添加剤を用いないで形成され得る安定な放射性の診断用の放射性医薬組成物、及び、そのような組成物の調製方法に関する。安定化添加剤を添加してもよい。凍結乾燥のための従来の技術は、水の長時間にわたる結晶形成時間に供される。本組成物は、この長期にわたる結晶形成時間及び同時に起こる放射性医薬の自己放射線分解による診断特異性の損失を避けることにより形成される。従来の凍結乾燥技術の長さ及び自己放射線分解による診断特異性の損失は、核医学に必要とされる技術的正確性を妨げる。
【0004】
本発明者らの新規な技術は、低温に曝される表面積を増加させ、次いで蒸気圧を急速に減少させること、並びに放射性医薬組成物の超低温凍結乾燥と共に、瞬間冷凍技術を利用することを含み、それらの組み合わせは極度に急速な凍結乾燥をもたらし、リガンドを損傷することなく、放射性医薬造影において用いられる放射性核種を小スケールの量において一層高濃度で使用することを可能にする。この放射性医薬組成物は、リガンドをほとんど又は全く損傷しないこと、あるいは組成物の非放射性の結合及び化学構造をほとんど又は全く損傷しないことを確実にしながら、投与の直前に再構成することができる。
【0005】
好ましい組成物は、適切な溶媒、一般には水性溶液中で、γ線放射性核種とリガンドとの錯体を形成し、次いで、真空の圧力にて、少量の溶液を表面積の広い容器中で用いて、急速に零度以下に冷却することにより凍結乾燥して得られる。本発明の放射性の診断用放射性医薬は、安定化の後は、出荷に関しても、更なる冷蔵又は冷凍保存を必要としない。この凍結乾燥された放射性医薬組成物は、出荷及び保存され、しばしば、治療用又は診断用放射性医薬を必要とする患者に投与される際に、適切な希釈剤の添加により「現場で」再構成されて放射性医薬組成物から溶液とされる。本発明は、更に、この方法により調製された安定な放射性の診断用放射性医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0006】
γカメラの発明、及び同様に重要なことには、高速造影機器の発明に伴って、放射性「標識」を有する医薬物質が医学的造影及び治療において極めて重要になってきている。この考えは、化合物又は、リガンドと呼ばれ「薬剤」と呼ばれることもある、すなわち何らかの他の物質に結合するしばしば化合物の一部分を、哺乳動物の身体の特定の領域又は当該身体の特定のタイプの組織又は分子を標的とするように設計することである。化合物、リガンド又は薬剤を、簡便のためリガンドと呼ぶことにする。最も頻繁に用いられる哺乳動物はヒトの身体であり、本発明におけるヒトへの言及は、いかなる哺乳動物にも、あるいは、いかなる動物又は植物についての事項も、同等に適用できる。
【0007】
例えば、あるリガンドは、心筋組織に集まる傾向がある。放射性医薬の造影の背後にある考えは、ヘルスケア提供者がリガンドがどこに存在し又は集まっているかを見出すことができるよう、当該リガンドを放射性物質で「標識」化する(すなわち、物質に放射性によりマークを付けて「造影剤」を創出する)ことである。放射性標識化リガンドを投与し、患者を造影機器に配置することにより、ヘルスケア提供者は、患者の身体の「内部を見て」治療又は診断の助けとすることができる。ある人の心臓循環が弱い場合、Tc 99m TIBIのような放射性核種標識化リガンドは、血流の鈍った心筋の領域では良好に循環せず、それは人の「心臓の状態」の評価を可能にする。重要なことに、身体を実際に切開したり侵襲したりすることなく(非侵襲技術)ヘルスケア提供者は、しばしば「内部を見る」ことが可能になるか、又は身体への侵襲を最小化することができることである。明らかに、放射性物質が存在し続けることは望ましくない。従って、短い「半減期」を有する物質が選択される。半減期は、放射線の放射が2分の1だけ低下する時間であると定義される。放射能の減少を、放射性減衰という。本発明に関連して用いられた放射性医薬物質を身体から洗い流すことと、短い半減期の物質を使用することにより、患者の放射線曝露量は最小化される。
【0008】
放射性医薬は、心臓疾患、腎臓疾患及び新生物形成疾患を含む広範な疾患の診断を補助するために、造影の研究に一般的に用いられている。「造影剤」として当該分野で公知のこれらの医薬は、代表的には、担体分子すなわち「リガンド」に結合したγ線放射型の放射性核種に基づく。γ線照射放射は適切な造影装置を用いて検出可能である一方、実質的にβ線やα線放射よりもイオン化能が低いため、γ線放射型の放射性核種は、診断用造影の研究を行うためには選り抜きの放射性核種である。すなわち、γ線照射放射は、標的組織又は周囲組織に引き起こす損傷が最小である。
【0009】
現在、放射性医薬は、新生物形成性の疾患、特に腫瘍を発見するための診断用剤としての使用が増加している。診断用放射性医薬は、一般にγ線放射型の放射性核種を含んでおり、その放射は、特定の新生物形成障害の検出に有用である。
【0010】
放射性マーキング又は標識化は、望みの化学的特性が、外部錯体で遮蔽され単にマーカーとして担持されているものである標識を含んだ錯体の外部に向かって現れるように、しばしば、リガンドの群内に放射性物質を錯体化、すなわちリガンドの錯体で取り囲むことにより行われる。放射性元素(放射性核種ともいう)を含んだ錯体全体が、放射性マーカーとして機能し、より一般的には、放射性医薬と呼ぶことができる。
【0011】
そのような活性のために用いられる薬物は少量使用が、コストの理由から望ましく、また、放射性物質の使用量を最小化することが望ましい。
【0012】
放射性の診断用及び治療用の薬剤の効率は確立されているが、放射された放射線は、放射性医薬調製物中の種々の成分に対し実質的な化学的損傷又は不安定化を引き起こし得る(自己放射線分解という)こともまたよく知られている。放射された放射線は、水溶液中でフリーラジカルを生じ、このフリーラジカルは、一般に、過酸化物及びスーパーオキサイドである。そのようなフリーラジカルは、調製物中に存在するタンパク質を沈殿させる可能性があり、かつ、調製物中に存在する他の物質に化学的損傷を引き起こし得る。フリーラジカルは、放射性元素からの照射が水分子を叩いて分離させ、それにより水分子にヒドロキシルラジカル及び水素ラジカルを形成させて、他の分子及び原子と結合してそれら分子や原子を不安定化又は変化させようとする荷電した電子の殻を元素や化合物に残すことから生ずる、未結合の電子を有する分子である。放射線により引き起こされるタンパク質その他の成分の分解及び不安定化は、水性調製物において特に問題である。現在の技術では、放射線分解は、水性の保存されたリガンド及び当該リガンドに結合した放射性同位体が錯体の分解及び破壊を引き起こし、このことによって錯体を造影に役に立たなくしてしまうが、これは、錯体を組織に局在化させる生物学的特性が失われるからである。分解又は不安定化は、放射性医薬調製物の有効性を低減し又は失わせ、当該分野に深刻な問題をもたらしてきた。Wahl, et al, Journal of Nuclear Medicine, Vol 31, Issue 1 84-89は、放射性標識した抗体を−70℃で冷凍することにより、分子は無期限の期間安定化されるが、4℃で保存した場合は、24時間で80〜90%の免疫反応性が失われるという事実を論じている。
【0013】
もし、リガンドが、特に水性の(水ベースの)溶液中で、長期間にわたって放射性元素を保持することが許容されるならば、放射線分解は増加する。従って、化合物を乾燥形態に濃縮するいかなる方法も、急速であり、かつ、予測可能な結果をもたらさなければならない。更に、高濃度を避けかつリガンドを保護するために、現在は放射性医薬溶液を希釈しているが、このこと自体、乾燥時間を遅くするだけにすぎず、問題を複雑にし、かつ、放射線分解のために、放射性医薬の非放射性同位体部分の予測不可能性を増加させる。放射性医薬を溶液中で加熱して乾燥及び水の除去を促進することは、リガンドを損傷する可能性があるという望ましくない効果を有する。なぜなら、化学的活性は、通常は加熱すなわちエネルギー注入により増加し、従って、この加熱により延長された乾燥期間の間に、放射線分解の影響もまた増加するからである。ほとんどのタンパク質は、加熱によってひどく損傷する。イソニトリルのようなある種のリガンドは、加熱すると単に蒸発して消失するだけである。更に、局在化した加熱を原子スケールで最小化することは、少量の必要なものを保持し、かつ所望の製品の特定の濃度を与えるために重要である。
【0014】
「安定化した治療用放射性医薬錯体」と題されたWolfangelの米国特許第5,219,556号(1993年6月15日)は、出願人の懸念を次のように表している:「このプロセスに最も有用な同位体は、実用上の考慮によって決定される。やはりTc−99mは、使用するには非力な候補であろう。なぜなら、その半減期が6時間であることは、凍結乾燥工程それ自身、実施に通常約24時間を要するため、凍結乾燥を実用的にしてしまうからである。」
【0015】
見かけ上は、’556の発明は、有用なプロセス及びその結果の組成物を同定しているように思われたが、’556の発明の凍結乾燥工程は、当該出願が述べているところによれば、約24時間を要した。’556の発明はこう述べている:「凍結乾燥は、製品を予め冷凍し、次いで、凍結した製品を高真空に供して、昇華のプロセスにより水を実質的に完全に除去することにより行う。得られたペレットは、錯体を無水物の形態で含み、これは、放射性核種の半減期に対して実用面の考慮が払われつつ、一般には無期限に保存することができる。こうして、放射性医薬製品の意図される保存期間は、実際上は、放射性核種の半減期により限定される。Re−186の場合、例えば、保存の望ましい期間は、7〜約30日の範囲であろう。従って、このペレットは、製品のエンドユーザーに出荷されて、患者に投与される際に、ヘルスケアの専門家及び/又は核薬剤師側での非常に少ない努力で、希釈剤で再構成されることが可能である。」
【0016】
’556の手順は、製品を急速に凍結乾燥せず、かつ、凍結乾燥に24時間の期間を意図していることから、’556の発明の特許請求の範囲は、必然的に、「治療用量のα線又はβ線放射型の放射性核種」の利用に限られる。Wolfangelは、少なくとも12時間の半減期を有する化合物が好ましいことを観察した。対照的に、半減期が6時間しかないTc−99m(これもまたγ線を照射する)の使用、他の同様に短寿命の放射性同位体の使用は、実用的ではなくなる。
【0017】
Wolfangelの’556は、その実施例1で、最初に特定の化合物を凍結乾燥し、放射性核種錯体を添加し、気体を吹きかけ、バイアルを密封し、次いで加熱することを提案した。残念ながら、11℃に加熱すると、ほとんどのタンパク質又はペプチド、並びに多くの一般に用いられる錯体に関して、当該手順は有用でなくなる。更に、当該提案は、1mgのレニウムを含む1mlの過レニウム酸ナトリウムRe−186を、水を添加して3mlにして用いることであった。意図された量はかなりのものであり、作業者をかなりの量の放射線に曝露させるものであった。実施例3では、錯体を−30℃又はより低温で冷凍し、次いで真空にすることが提案されたが、1時間当たり6℃での棚の加熱を、30℃という製品温度に達するまで適用し、達したとき、その温度を2時間維持することが提案されている。これには12時間かかるであろう。当該手順は、水を速やかに除去できず、従って水の放射線分解が避けられず、そして、錯体を損傷するフリーラジカルの生成も避けられない、という弱点があった。第2の実施例2が第1の実施例に続くが、より少ない量を用い、かつ、加熱を提案している。実施例3は、30分間85℃に加熱し(これはほとんどのタンパク質を破壊するであろう)、その後、密封したバイアルを冷凍及び凍結乾燥することを提案した。
【0018】
診断用造影を目的として、γ線放射型の放射性核種及びキレートから構成される配位錯体に基づく放射性医薬が、身体の器官のネガティブ及びポジティブな双方の画像、骨格画像などを得るために用いられてきた。Tc−99m骨格造影剤は、そのような錯体のよく知られている例である。これらの放射性錯体を用いることの1つの欠点は、それらが溶液の形態で患者に投与されるが、錯体それ自体も、それらから調製される溶液も、余り安定ではないことである。従って、投与すべき配位錯体及び溶液は、通常、「現場」で調製される。すなわち、それらは、研究を行う直前に、核薬剤師又はヘルスケア技術者によって調製される。適切な放射性医薬組成物の製造は、数個の工程が関与し得、その各々の間、ヘルスケア作業者は放射性核種から遮蔽されなければならない、という事実によって、複雑である。
【0019】
安定な放射性医薬診断用剤の製造は、放射能のタイプによって、より大きな問題を生じる。これらの薬剤は、代表的には、キレートと錯体化した比較的活性なγ線照射放射性核種に基づく。放射性核種/キレート錯体は、しばしば、次いで、部位特異的受容体を有する担体分子に結合させられる。こうして、腫瘍特異的抗体又は抗体フラグメントに結合させたγ線放射型の放射性核種は、放射されたイオン化性放射線への曝露により、標的の新生物形成細胞又は他の疾患を有する細胞を破壊し得ることが知られている。診断用放射性核種を、抗体などの担体分子に結合させるのに有用な二官能性キレートは、当該分野で公知である。例えば、Meares et al., Anal. Biochem. 142: 68-78(1984)を参照のこと。
【0020】
上述したタイプの放射性医薬錯体の殆どの造影及び診断の用途のためには、錯体の非放射性活性部分は、調製され患者に投与するときまで保存されて、投与のときに、錯体の放射性部分が添加されて、目的の放射性医薬が形成される。例えば、放射性核種−抗体錯体を調製する試みは、調製直後に患者に投与しなければならない錯体をもたらしてきた。なぜなら、放射線分解の結果として、抗体に放射性核種を添加した後に免疫反応性が相当に減少し得るからである。Mather et al., J. Nucl. Med., 28:1034-1036(1987)には、N−ブロモスクシンイミド試薬を用いる、高い活性を有する放射性ヨウ素でモノクローナル抗体を標識化する技術が記載されている。その著者らは、この仕方で標識化された抗体は、免疫反応性の損失を避けるため、調製後すぐに患者に投与すべきであることを示唆している。錯体の非放射性部分の製造、それに続く放射性部分の現場での添加の他の例は、米国特許第4,652,440号(1987)に記載されている。更に、多くの状況では、錯体の放射性成分は、患者への投与のために放射性医薬が製造されるときに、製造及び/又は精製すべきである。米国特許第4,778,672号(1988)は、例えば、過テクネチウム酸塩及び過レニウム酸塩を、放射性医薬における使用のために精製する方法を記述している。
【0021】
Wolfangelの’556によれば、欧州特許出願第250,966号(1988)は、リガンド−錯体化放射性過レニウム酸塩に加えて、未錯体化リガンド、未錯体化過レニウム酸塩、二酸化レニウム及び種々の他の化合物を含む混合物から、無菌の、精製された、錯体化された放射性過レニウム酸塩を得る方法を記載している。具体的には、当該出願は、レニウム−186及び1−ヒドロキシエチリデンジホスホネート(HEDP)キレートの錯体を粗溶液から精製する方法を教示している。錯体の不安定性のため、低圧でのすなわち重力フローでのレニウム−HEDP錯体の精製又はクロマトグラフィー手順が必要とされる。精製手順は、いくつかの画分を無菌的に回収し、その後、どの画分を組み合わせるべきであるかを決定することを含む。適切な画分を組み合わせた後、画分を無菌濾過し、患者に注射する前に希釈する。精製したレニウム−HEDP錯体は、分解の可能性を避けるため調製から1時間以内に患者に注射する必要がある。レニウム錯体は、使用の前に2回精製しなければならなであろうが、これは不便であり、またヘルスケア技術者の放射線への曝露の可能性を高める。
【0022】
過去には、凍結乾燥プロセスが種々のタイプの医薬調製物に適用されてきたが、短寿命のγ線放射型の放射性医薬調製物を凍結乾燥するという考えは取り組まれてこなかった。部分的には、これは、そのような手順が安全に行われ得るのかという当業者の疑念によるものであったと考えられる。米国特許第4,489,053号(Azuma et al.;1984年12月18日)は、Tc−99mに基づく診断用造影剤に関する。この特許権者は、非放射性剤が凍結乾燥された形態で調製され得ること、及びTc−99mが一旦添加されると、放射線分解を防ぐために安定化剤を添加することが必要とされることに言及している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
【0023】
こうして、追加の安定化剤を必要とすることなく、診断用途におけるその投与の前に簡単に再構成する用意ができた形態で、使用場所に出荷するための安定化した診断用放射性医薬を主に調製及び精製する方法が、当該分野で必要とされている。Wolfangelのプロセスの長さの故に、放射性減衰によって起こるフリーラジカル攻撃に組み合わせたときのタンパク質の感受性の故に、多くのタンパク質と放射性核種との組み合わせは実用的ではない。従って、本発明は、放射性核種標識タンパク質及びペプチドの実用的な商業的使用を可能にする新規な手段である。この長さはまた、半減期がより短い放射性核種の使用を効果的に禁じる。なぜなら、Wolfangelのプロセスでそれらを用いるためには、放射性核種の濃度を、24時間の凍結乾燥及び出荷の期間の間の数回の半減期を補償するために、放射性核種の濃度を増加させなければならず、当該濃度は作業者をより高濃度の放射能に曝し、その時間はリガンドを放射線分解に曝し、たとえそれらが多少なりとも有効であっても、患者における使用の予測性を低減する。もし、高い濃度を避けるためにより希釈された量が用いられる場合、用いられる液体の量は、凍結乾燥の効率を台無しにする。一旦水溶液に溶解すると免疫反応性が比較的に不安定になる特性のために、放射性核種−標識化抗体及び抗体フラグメントを主に調製及び精製する方法が、当該分野で特に必要とされている。特に、本発明は、室温での有用な保存寿命を有する安定な、商業的に安価な仕方で出荷でき、かつ容易に再構成される、短い半減期の放射性核種を放射線分解を受ける可能性のあるリガンドと共に使用することを可能にする。
【0024】
本発明の目的は、放射線分解の低減により、放射性医薬のリガンド又は非放射性部分の濃度の安定化及び予測可能性を容易にする水の除去を促進して、放射線分解の過酸化に関連した効果を最小化することである。
【0025】
本発明の目的は、典型的に放射性核種を取り囲む化学的置換基の錯体の保持を改善するために、過酸化に関連する効果の最小化を使用することである。
【0026】
本発明の目的は、促進された凍結乾燥、より長い予測可能な保存及び一晩の出荷を可能にし、かつ作業者の安全性を増加させる濃度において、少量を使用することである。この目的の帰結は、冷蔵保存及び冷凍の必要性をなくすことである。
【0027】
本発明の目的は、凍結乾燥を容易にするために、拡張された表面積を有するバイアル、極端な低温及び非常に低レベルの圧力の組み合わせを用いることである。
【0028】
本発明の目的は、2段階システムを用いて、真空圧力を低下させるだけでなく、酸化剤を最初に除去した後、排気されつつある蒸気をより急速に過冷却することにより蒸気を抽出することによって、凍結乾燥を促進することである。
【0029】
本発明の目的は、毒性の放射性核種を標的組織に選択的に送達するための安定な担体を創り出すことである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
「凍結乾燥工程それ自身は、通常、実施するのに約24時間を要する」と述べているWolfangelの’556の発明とは対照的に、本発明は、錯体を5時間以下、通常は2〜4時間で「凍結乾燥」し、次いで更なる冷凍を何ら必要としない凍結乾燥プロセスにより、安定な放射性医薬錯体を製造することを提案する。
【0031】
本発明の好ましい態様は、ヨウ素−123(「I−123」(123は、陽子と中性子との和である))放射性核種と共に利用される。以下は、本発明の組成物及びプロセスを例示するが、いかなる仕方でも本発明の範囲を限定することを意味するものではない。
【0032】
メタヨードベンジルグアニジン(「MIBG」)のようなI−123標識化合物が調製される。濃度は、最終的に1/2ミリリットル又はこれより少量が1回の用量に等しくなるように、増加される。例えば、典型的な患者へのI−123 MIBGの通常の用量は、10mCi(ミリキュリー)であろう。半減期は12時間であるから、投与の際の用量が10mCiとなるように、出荷における通常の放射性減衰を可能にするため、一晩の出荷が見込まれる前日に、36mCiが混合され得るであろう。
【0033】
この望みの濃度に到達するための適切な手段は、I−123 MIBGを100MCi/mlの濃度で混合することであろう。滅菌又は無菌技術を用いて、100mCiの出発濃度の0.36倍である0.36mlが、10mlバイアルに分取されるであろう。
【0034】
本発明の目的を達成するため、及びWolfangelの’556に記載の24時間の凍結乾燥の期間とは対照的に、本発明は、以下の装置を使用することを提案する。第一に、バイアルは、無菌の凍結乾燥ストッパーで栓をされる。本発明では、凍結乾燥ストッパーは、蒸気の流れを許容するストッパーである。好ましいストッパーは、「三脚」ストッパーであり、これは、バイアル内部及びバイアルが存在する周囲雰囲気の間の圧力を同等にすることを可能にするための溝を有する。本発明に適した代表的な三脚ストッパーは、Wheaton Pharmaceutical(Wheaton, Illinois)製の三脚n−ブチルゴム凍結乾燥ストッパー224100-202である。バイアルは、外周壁が約1インチの標準的な円形焼成パンの形状のトレイ内に配置される。バイアルは平底であり、外周壁が約1インチの標準的な円形焼成パンの形状のトレイ内に配置される。トレイは、打栓フレーム内に配置される。打栓フレーム内のトレイは、凍結乾燥装置中のチャンバーに設置される。打栓フレームは、その頂部に配置された内部チューブ上に配置されており、それは、バイアルを密封するために、真空がチャンバー中で中断される前に膨張させられ、その平らな表面に当たっている栓を脱水後のバイアル内へと更に押し込むことができる。他の機械的装置も、バイアルを密封するために利用可能である。
【0035】
以下に記載する手順に従ってチャンバーは、打栓フレーム中のトレイを受けるように最終的に用いられるだけでなく、行われる手順における真空及び他の工程を可能にするために密封されるよう設計されている。
【0036】
チャンバーは、それらの強度のため、好ましくはレキサン(Lexan)又はアクリル系材料の平らなシートである基板から構成される。基板がレキサンである場合、約2分の1インチの厚みが好ましく、アクリル系の場合は、約1インチの厚みが好ましいであろう。基板は14×14インチであり、平らなシート上への配置が意図される直径12インチ、高さ18インチの端の開いたアクリル系シリンダよりも大きい。シリンダは、少なくとも4分の1インチの厚みの材料から作製されるべきである。露出しているアクリル系材料の端部は、通常はゴム又はシリコーンの気密シールで覆われる。シールの目的は、シリンダを基板上に設置して、シール上のシリンダの重みにより気密シールを形成するのを可能にすることである。チャンバーは、チャンバー外部からの、打栓フレーム上の内部チューブへのホースを介した接続を可能にするための、密封可能なポートを有する。
【0037】
チャンバーの蓋もまた、それにかかる真空に耐えるのに十分な強度のレキサン又はアクリル系のいずれかである。蓋がレキサンである場合、約2分の1インチの厚みが好ましく、アクリル系の場合は、約1インチの厚みが好ましいであろう。蓋は、蓋上に気体バルブを有し、これは、チャンバー内への気体の流入を可能にする。
【0038】
1インチのゴム栓からなるもう一つのアクセスポートが蓋の中心に配置されているが、これは、気体バルブが万一壊れた場合に用いられ、針を挿入してチャンバー上の真空を解除することを可能にする。ゴム栓にはまた、少なくとも1つのバイアル上にあるサーミスタプローブを繋ぐワイヤが、栓を通って外部モニタリング装置と接続されるのを可能にする電気的コネクタが配置されている。温度を測定する多くの手段の中で、サーミスタが最も楽である。
【0039】
底部プレートは、2インチの孔を有するが、これは、チャンバーから気体を排出して最終的にチャンバーを密封するために、ホースをチャンバーの基板に接続することを可能にするよう、当該孔に接続されたアダプタを有する。排気ホースは、意図される真空に耐える十分な強度のものである。チャンバーの基板に取り付けられていない側のホース端部は、最初には作動しない二次濃縮器に接続される。二次濃縮器は、最初に作動される一次濃縮器よりも最終的にずっと低温に保持される。二次濃縮器は、直径約1インチのステンレス管である。二次濃縮器を作動させるときには、二次濃縮器の当該管は、−196℃付近に維持されることになる超低温の液体窒素で包囲される。
【0040】
ホースが、二次濃縮器から一次濃縮器に接続される。
【0041】
一次濃縮器は、開口を有する底部、及び当該開口に接続されたアダプタ(このアダプタに密封可能なドレインホースが取り付けられる)を有するステンレス鋼ポットである。一次濃縮器のステンレス鋼ポットは、4分の1インチのステンレス鋼から作製され、密封することができ、体積が約8リットルであり、かつ、真空に耐えることができる。
【0042】
一次濃縮器は、温度を少なくとも−40℃に低下することができる標準的な冷凍システムにより包囲されている。
【0043】
凍結乾燥手順の開始時、一次濃縮器の温度は−40℃まで低下されるであろう。
【0044】
この濃縮システムは、厳重に隔絶されている。
【0045】
ホースが、一次濃縮器のステンレス鋼ポットの頂部又は側部から、真空ポンプまで延びている。
【0046】
少なくとも10-4Torrの真空を形成することができる真空ポンプが、チャンバー内を排気するために用いられるであろう。適切な真空ポンプは、国際的企業であるBOC Edwardsから、インターネット(edcom.bocedwards.com)により入手可能なRV−12モデルである。
【0047】
本発明で意図する組成物を達成するため、一次濃縮コイルを、−40℃又はそれ未満に準備する。放射性医薬組成物を混合した直後、放射性医薬組成物(好ましい態様では、0.36mlの水性のI−123MIBG)を含むバイアルに、凍結乾燥栓で、当該凍結乾燥栓が蒸気の通過を可能にするような位置にあるように栓をする。バイアル及び栓は、プロセスの最後に、完全に密封される。
【0048】
バイアルをトレイ内に配置し、水性のI−123MIBGからバイアル側面を介する熱転移によりバイアルを瞬間冷凍するために、十分な量の液体窒素をトレイに注ぎ込む。用いられる量が少ないこと及びバイアルの表面積が広ことから、冷却は、事実上瞬間的に起こる。トレイは、手順の最後において真空が中断される前に内部チューブに向かうポートを開くことができ、チューブが膨張して栓を完全にバイアル中に押し込んでそれらを密封することになるよう内部管が接続されかつ据え付けられた状態で、チャンバー内の打栓フレーム中に配置される。
【0049】
液体窒素が蒸発して行くとき、1つのバイアルの上にあるサーミスタは、外部の温度モニタリング装置に接続するゴムストッパー上の電気的コネクタに接続されている。液体窒素は蒸発を許容され、その間ずっと、バイアルの温度を−10℃又はそれ未満に保持する。
【0050】
チャンバーの頂部を据え付け、チャンバーのシリンダー側と共に密封を形成する。液体窒素の蒸発後、チャンバー頂部の気体バルブを閉じ、ゴムストッパーを取り付ける。
【0051】
瞬間冷凍したバイアルを含むトレイをチャンバー中に配置し、チャンバーを密封した後、真空ポンプを作動させる。まず、一次濃縮器中で真空圧力が感知され、チャンバー中の如何なる蒸気も、二次濃縮器を通って流出し始め、酸素の沸点より高い温度(好ましくは約−40℃を意味する)で保持された一次濃縮器中で凍結する。真空ポンプゲージが10-3Torrを示したとき(通常約20分後である)、−196℃の液体窒素を二次濃縮器を通して流動させ、チャンバーから排出された気体が流れている二次濃縮器中のステンレス鋼管を冷却する。二次濃縮器中の非常な低温の液体窒素は、二次濃縮器とバイアル内容物との温度差を増大させ、凍結乾燥を促進する。二次濃縮器を一次濃縮器と直列に配置し、バイアルのトレイを含むチャンバーから排気する。二次濃縮器が、より大きくかつ速いヒートシンクとして引き受け、気化した水を捕捉する。
【0052】
アクリル系チャンバーは冷却されないので、バイアルの温度及びバイアル内容物は、全ての水が除去された後、0℃を超えて上昇しようとする。これは、サイクルの完了のシグナルである。ゴム栓を介して外部モニタリング装置に接続されたサーミスタプローブは、バイアル温度のモニタリングを可能にする。次いで、バイアルは、完全に脱水された又は「乾燥」された医薬的に不活性な気体(医薬組成物と非反応性の気体を意味する)の分圧で密封され、当該気体は、好ましくはアルゴン又は窒素である。内部チューブが、膨張させられてストッパーをバイアルに押し込み密封するよう、チャンバー中に配置されているであろう。凍結乾燥された放射性核種に対して化学的に不活性な気体の補助ボンベが、バルブを介して内部管を徐々に膨張させ、ストッパーをバイアル内に押し込むために用いられる。真空が中断される。バイアルストッパーを、アルミニウムシールで更に固定する。加温しながらのプロセスの最後に、凍結され次いで融解された水を、一次濃縮器から排出させる。
【0053】
それらのバイアルは、放射性核種の予測可能な半減期を有すると共に、粉末形態の安定化したリガンドを含み、出荷の準備が完了している。
【0054】
凍結乾燥プロセスを速めることが望ましい場合には、如何なる酸素をも置換するよう気体バルブを介して不活性気体をチャンバーに導入し、かつ、二次濃縮器をより早期に作動させることを許容できる。この置換は、液体酸素が二次濃縮器に蓄積することを防止するのに必要である。通常の手順では、もし10-3レベルに達する前に二次濃縮器が作動されると、潜在的に爆発性である液体酸素を回収する危険性がある。
【0055】
二次濃縮器は、一次濃縮器と直列であり、排出及び濃縮システムにおいて一次濃縮器に続けて配置することができる。
【0056】
凍結乾燥プロセスの速度は、乾燥されつつある材料の外部の蒸気圧が低下することによりプラスの影響を受ける。第2に、速度は、冷却されつつある製品と、水が回収されつつある濃縮器との間の温度差が大きいほど、プラスの影響を受ける。
【0057】
本発明の放射性の診断用放射性医薬は、安定化の後の出荷に関しても、更なる冷蔵や冷凍保存を必要としない。凍結乾燥された放射性医薬組成物は、患者に投与される際に、放射性医薬錯体を溶液にするよう適切な希釈剤の添加により、患者への投与のために「現場で」再構成される。
【0058】
投与のためには、バイアル中のI−123標識MIBGは、再構成されなければならない。材料が少量であるため、放射性核種錯体のバイアルは、好ましい態様では、I−123標識MIBGが存在しないように見えるであろう。MIBGリガンドは、γ線と水分子との衝突によりフリーラジカルが生じる第1の物質である水を含まないため、数日にわたって安定である。γ線は、放射性核種であるI−123により照射されている。ヘルスケア供給者は、2mlまでの無菌の通常の食塩水を添加するであろう。望みの用量が回収され、Capintec (Montville, NJ)により製造されるタイプの用量校正器により測定されるであろう。ガラスバイアルが用量校正器により測定される場合、用量を測定する者は、ガラスバイアルが見かけの活性を低減することを認識しなければならない。所望の用量の校正をすると同時に、今や溶液へと再溶解されたI−123MIBGは、患者に直ちに投与される。
【0059】
利点は、瞬間冷凍及び蒸気圧の低下により、I−123MIBGからの水の迅速な形成及び蒸発又は昇華(氷から水蒸気(気体)への蒸発)が生じることである。I−123 MIBGは、ドライアイスに入れて凍らせて出荷される必要はないし、また、夜間配達で出荷される必要もない。ドライアイスに入れて週末に出荷することは、一般に商業上は実用的ではない。I−123MIBGは、室温又はそれ未満に保持されるだけで、週末を跨いで出荷され、月曜日に用いることができる。
【実施例】
【0060】
この新規なプロセス及び得られる組成物の利点を確立するため、放射性核種1−131がMIBG中のヨウ素であるメタヨードベンジルグアニジン(MIBG)を用いて、一連の試験を行った。
【0061】
MIBGを以下のように調製した:8つのバイアルを、MIBGの放射線濃度がバイアル当たり1mCiである溶液のMIBGから調製した。次いで、これらのバイアルのうち6つにおけるMIBGを、本発明に記載のプロセスに従って安定化及び冷凍した。1つのバイアルは冷凍して−10℃の温度で維持し、他のバイアルは約5℃で単に冷蔵した。
【0062】
いくつかが凍結乾燥された状態から再構成されてそれらの活性が記録されるように、6つのバイアルを、本発明のプロセスに従って調製した。
【0063】
1バイアル当たりのMIBGの放射性濃度は、1バイアル当たり1mCiであった。
【0064】
MIBGに結合した残存ヨウ素の割合を示す結果を、表1に示す。バイアルの1つずつを、24、48、72及び168時間後にそれぞれ再構成した。
【表1】


【0065】
要約すると、放射線分解による損傷は、本発明の下で安定化及び凍結乾燥された組成物からは事実上除かれたが、一方、先行技術が示唆するように、本発明に従って安定化及び凍結されなかったMIBGは、活性が明確に低下した。
【0066】
他の実施例として、I−131ヒップラン(Hippuran)を調製した。I−131ヒップランを以下のように調製した:9つのバイアルを、MIBGの放射線濃度が1バイアル当たり1mCiである溶液中でI−131ヒップランから調製した。各バイアルは4ccを含んだ。次いで、これらのバイアルのうち7つにおけるI−131を、本発明に記載のプロセスに従って安定化及び冷凍した。1つのバイアルは冷凍して−10℃の温度で維持し、もう一つのバイアルは室温で維持した。室温を選択したのは、ヒップランは放射性同位体と組み合わせた場合でさえも室温で安定であると考えられているからである。
【0067】
I−123に結合した残存ヒップランの割合を示す結果を、表2に示す。バイアルの1つずつを、24、48、72及び168時間後にそれぞれ再構成した。
【0068】
【表2】


【0069】
要約すると、放射線分解による損傷は、本発明の下で安定化及び凍結乾燥された組成物からは事実上除かれた。
【0070】
製品を出荷したくとも、製品を確実に冷凍して維持することは−10℃でさえも難しく、実用上の問題として高価である;本発明は、先行技術に対して、そのような出荷を実用化する。ある参考文献は、−70℃で保存することによって自己放射線分解による損傷を制限することができると示唆しているが、当該文献においてさえも、遊離のヨウ素(例、未結合のヨウ素)の百分率は、24時間で1.6%と思われるところから4.3%へと上昇する(Wahl, Inhibition of Autoradiolysis of Radiolabelled Monoclonal Antibody by Cryopreservation, 31(1) J. Nucl. Med. 84-89 (Jan.1990))。逆に、これらの結果を表1と類似の様式に当てはめた場合、Wahlの論文における遊離のヨウ素の百分率は、Wahlの表1において、98.4%から始まって24時間で95.7%へと減少する。Wahl文献では結合したヨウ素の24時間での減少が3.7%程度であったのに対し、本発明により安定化及び凍結乾燥された組成物が1週間で0.4%の減少であったという対比は、本方法及び得られる組成物の鮮明な利点を例示する。更に、実世界での条件では、冷却液を満たして−70℃に維持することは実際的ではなく、それをコスト効率よく出荷することは尚更である。
【0071】
I−123 MIBGのような放射性核種錯体が関わる微量は、関わる量がごく僅かであるという理由で、製造作業者及びヘルスケア提供者の曝露を実質的に低減する。
【0072】
より一般的には、好ましい態様は、半減期が1時間〜最大12時間の化合物を用いるであろう。これより長い半減期はあまり用いられない。なぜなら、放射性減衰がより遅いため身体がより多くの放射線に曝されるからである。一般には、瞬間冷凍を最初に適用することが好ましい。なぜなら、低圧の適用によって溶液のバイアルからの吹きこぼれが起こり得るからである。
【0073】
本発明をより一般的に適用して、安定化した放射性医薬組成物を製造するために本発明を利用することが意図されている。このような安定化した放射性医薬組成物は、診断又は診断的処置又は治療に有用なリガンドと組み合わせて溶液又は懸濁液中に放射性医薬錯体を形成する放射性核種を含む。次いで、これらの錯体は、選択された放射性核種について望みの放射性レベルに応じて、上記手順に従って凍結される。本発明に従って凍結乾燥された放射性医薬組成物の形態は、使用に必要とされるまで保存することができる。本発明は、使用前に再構成されるだけである放射性医薬錯体の、安定化した形態の中心的な製造、精製及び出荷を可能にする。従って、込み入った又は回りくどい構築手順や、使用現場における放射線曝露という不必要なリスクが避けられる。
【0074】
本発明の放射性の診断用放射性医薬は、安定化に続く出荷に関して、さらなる冷蔵保存や冷凍保存を必要としない。
【0075】
用語「放射性医薬組成物」は、放射性核種を含む如何なる化学的組成物をも含む。当該用語「放射性核種」は、M. Welch and C. Redvanly, Handbook of Radiopharmaceuticals: Radiochemistry and Applications(John Wiley & Sons, Ltd, Chichester, West Sussex, England 2003)(以下、「Handbook of Radiopharmaceuticals」という。)の第7頁の表1、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第77頁の表III、及びHandbook of Radiopharmaceuticalsの第1章及び第2章全体に記載の放射性核種に例示されたものを含む、サイクロトロンで生成された放射性核種を含む。当該用語「放射性核種」には、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第98頁の表2及びHandbook of Radiopharmaceuticalsの第3章に例示されたものを含む、原子炉で生成された放射性核種が挙げられる。放射性核種には、この段落に例示されている表1及び表2に例示された如何なる元素の放射性同位体も、並びにCu64(従来は有用と考えられていなかった)、Fe(Fe52及び5959及びFe3+放射性同位体が挙げられる)、Yt及びBiが挙げられる。ガリウム、インジウム及び銅放射性核種の詳細は、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第264頁の表1、第374頁の表4、第402頁の表1にそれぞれ例示されている。今言及した表1及び表2と重複するものもある他の有用な放射性核種は、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第424頁のヨウ素放射性核種、及びHandbook of Radiopharmaceuticalsの第442頁の臭素放射性核種について見出すことができる。テクネチウム放射性核種及びテクネチウム放射性医薬組成物も含まれる。放射性医薬組成物という用語は、放射性医薬及びそれらの一層長期間の保存への本発明の有用性の故に、包括的であることが意図されている。従って、当該用語は、放射性核種に結合したリガンド、放射性核種がリガンド又は化合物に一体化しているものである化合物、及びその中で放射性核種が錯体とされているものである化合物又は混合物を含むように定義される。従って、放射性医薬組成物の包括的範囲の更なる拡張が、本明細書中に記載される。
【0076】
用語「放射性医薬組成物」は、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第773頁、表2に列挙されたものを含むβ粒子放射体である同位体、並びにFe52、Cu64、Cu67、Ga68、Br77及び1124が挙げられる。
【0077】
用語「放射性医薬組成物」には、リガンドに結合した放射性核種が挙げられる。この出願の目的のため、用語「リガンド」はまた、生体適合性の担体、代表的には、放射性核種を結合して当該放射性核種を患者への投与に適切にすることができる分子が挙げられる。従って、用語「リガンド」は、例示のためであり限定するものではなく、放射性核種(通常、放射性核種の化学的に還元された形態)を包囲することが可能なキレート化剤及び担体分子の両方を包含し、例えば、放射性同位体標識した親油性カチオン、抗体、抗体フラグメント、脂肪酸、アミノ酸あるいは他のペプチド又はタンパク質が挙げられる。放射性医薬組成物との用語には、受容体特異性の薬剤、腫瘍剤、腫瘍関連抗原、抗血栓GPllb/lla受容体アンタゴニスト、神経受容体/輸送体及びアミロイドプラークのための薬剤、BZM及びモノクローナル又はポリクローナル抗体が挙げられ、特に、リガンドの保存が重要であるTc放射性医薬中におけるものである(その概略はHandbook of Radiopharmaceuticalsの第349頁にある)。多剤耐性状態の評価のための化合物への本発明の応用が意図される。キレート化剤には、二官能性及び多官能性キレートを挙げることができる。キレート化剤の網羅的でないリストは、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第366頁及び第376頁に言及されている。リガンドとの用語には、キレートを介して結合した抗体が含まれる。そのような抗体には、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体が含まれてよい。意図される他のリガンドには、神経受容体造影剤、及び受容体造影剤、及び心筋交感神経造影剤が挙げられ、その多くがHandbook of Radiopharmaceuticalsに言及されている。担体分子は、しばしば、観察及びそれに続く診断用目的で、又は治療での必要性のために、目的の腫瘍細胞又は腫瘍特異的抗原、器官又は系を特異的に狙って標的化される。担体分子は放射性核種を用いて直接に標的してよく、その場合、意図する治療又は診断用の医薬的に許容され得る如何なる対イオンも用いてよい。放射性核種は、キレート又は他の結合官能基を介して、担体分子に結合させてよい。用語「錯体」は、放射性核種とそれが取り付けられるリガンドとの結合物を広く意味すると解される。この結合物の化学的及び物理的性質は、リガンドの性質と共に変動する。本発明は、受容体に適合するアンタゴニストを含む、受容体を求めるHandbook of Radiopharmaceuticalsに記載の化合物を含み、部分的ではあるがそのかなり完全なリストは、Handbook of Radiopharmaceuticalsの第452−457頁及び717頁に見出される。
【0078】
用語「放射性医薬組成物」は、投与可能な医薬の製造における使用に適した放射性核種−リガンド錯体、並びに適切な安定化剤、保存剤及び/又は賦形剤を含む組成物を意味する。本発明は、冷凍プロセスによる破壊を受けやすいある種の大きなタンパク質のためには、そのような大きなタンパク質構造は、薬学の分野の相応に経験を積んだ熟練者に知られている凍結乾燥助剤、例えば、ラクトース、デキストロース、アルブミン、ゼラチン又は塩化ナトリウムによって補助されるであろうことを考慮している。
【0079】
用語「放射性医薬組成物」は、治療の目的のために、Handbook of Radiopharmaceuticalsの772頁及び776頁に記載されているようなオージェ電子放出体を含む治療的放射性核種を含む。オージェ電子放出体は、放射性医薬によって損傷しようとする組織にエネルギーの追加的堆積をもたらし得るため、有用であり得る。そのような損傷は、一般に、診断用途では最小化することが望ましい。
【0080】
本発明の一般的方法、及び創出が意図される組成物は、一般には、以下のように実施することができる、すなわち:放射性医薬組成物が組成物に適した公知の方法で調製された後、放射性錯体の部分量を、概説された手順に従って無菌のバイアル中に無菌的に分配し、放射性製品を、本発明の手順に従って凍結乾燥して、安定な凍結乾燥粉末を得る。実質的に完全に水が存在しない結果、製造の安定性が、放射性化学的純度及び化学的純度の両方の点から、先行技術の調製物に比べて実質的に改善される。この安定化された錯体は、予め数日前に調製され、出荷され、そして使用に必要とされるまで保存されることができる。本発明の好ましい態様は、診断上の価値があり、化合物の製造、凍結乾燥及び出荷を実用的なものにするのに十分に長い半減期を有するγ放射体である放射性核種に焦点が当てられているが、本発明は、α及びβ線放射型の放射性核種にも有用である。
【0081】
本発明のさらなる好ましい態様の例として、Cu64は、亜鉛イソニトリルと錯体化され得、Cu64イソニトリルは、PET(ポジトロン放射断層撮影)造影に用いることができる。本明細書中に記載のCu64イソニトリルのプロセス及び組成物を用いなければ、Cu64の半減期は、その造影剤としての使用が余り実用的ではないような半減期である。心臓造影のためのI123又はI124同位体の脂肪酸との組み合わせでの使用は、現在汎用されているFDG造影よりも広範囲の患者に有用である。2−デオキシ−2−[18F]フルオロ−D−グルコース[18FDG]を心臓の造影に用いるためには、患者に高レベルのグルコースを摂取させる(通常、3又は4個のキャンディーバーを摂取し、約1時間待つ)ことにより、心臓を脂肪酸代謝からグルコース代謝に転換しなければならない。これは糖尿病患者には不健康的である。本発明は、より短い半減期化合物及び特にI123又はI−124脂肪酸放射性医薬の使用を可能にし、心臓を脂肪酸代謝からグルコース代謝に転換する必要をなくす。本発明のこのプロセス及び組成物は、より短い半減期の放射性同位体を使用する新たな機会を提供する。一般に、I−124放射性核種、及びI−124脂肪酸放射性医薬は、PET造影と組み合わせて用いることができる。
【0082】
本発明の別の好ましい一態様は、いずれも本発明における凍結乾燥プロセスにより安定化した、神経内分泌造影のためのI124 MIBG及びI124脂肪酸の使用である。これらもまた、本発明によって初めて、I124放射性医薬組成物全体の一体性を保持しながらI124を十分に濃縮するためのI124の使用が、実用的なものとなる。I123放射性核種の使用もまた、特に脂肪酸標識と組み合わせて、本発明によってより実用的になる。
【0083】
本発明の放射性医薬組成物は、使用現場で、患者に投与するために調製される。そのような調製は、有利的なことに、錯体を適切な希釈剤で再構成して溶液にすることを伴うだけである。この希釈剤は、例えば、注射用の滅菌水(SWFI)、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液又は塩化ナトリウム(生理的食塩水)注射液であり得る。好ましい希釈剤は、米国薬局方に列挙された要件に適合する注射用水又は生理食塩水(9mg/ml)である。
【0084】
本発明は、癌その他の疾患の診断及び治療への使用のための安定な予め標識化した抗体の製造に特によく適合する。例えば、特定の腫瘍又は腫瘍関連抗原への親和性を示す抗体が、診断用放射性核種を用いて、直接又は二官能性キレートを用いて標識化され、その標識化された抗体が、凍結乾燥により安定化される。二官能性キレートを用いる場合、これは、一般に、抗体に共有結合によって取り付けられる。用いられる抗体はポリクローナル又はモノクローナルであることができ、放射性核種標識化抗体は、当該分野で公知の方法に従って製造することができる。製造方法は、放射性核種のタイプ及び用いる抗体に依存するであろう。この安定な、凍結乾燥された放射性標識化抗体は、意図された使用の際に適切な希釈剤で再構成されるだけであり、こうして、現場での調製プロセスが大幅に簡略化される。本発明のプロセスは、黒色腫、結腸癌、乳癌、前立腺癌などに関連する腫瘍に対するポリクローナル及びモノクローナル抗体を含むがそれらに限定されない、多くのタイプの予め標識化された抗体を安定化するのに適用することができる。そのような抗体は当該分野で公知であり、容易に入手可能である。放射線治療を必要とする部位に特定の親和性を有する他のリガンドは当該分野で公知であり、発見され続けるであろう。
【0085】
本発明の方法によりもたらされる放射性医薬組成物は、所望により、再構成の後で更に精製され得る。精製の1つの方法は、上記欧州特許出願第250966号に記載されている。他の方法は、当業者に公知である。
【0086】
この放射性医薬組成物は、所望により他の成分を含み得る。有用な追加成分には、化学的安定化剤、凍結乾燥助剤及び微生物保存剤が挙げられる。そのような化学的安定化剤には、特にアスコルビン酸、ゲンチシン酸、レダクチン酸、パラアミノ安息香酸及びエリソルビン酸などが挙げられる。いくつかの場合には、これらの剤は、酸素との優先的な反応又は直接的な効果により、放射性核種の酸化状態を保護するのに有益である。凍結乾燥助剤の語には、製品の良好な凍結乾燥を促進することが知られている物質が挙げられる。これらの助剤は、乾燥ペレットに嵩及び安定性を付与するのに用いられ、中でもラクトース、デキストロース、アルブミン、ゼラチン、塩化ナトリウム、マンニトール、デキストラン及び医薬的に許容され得る担体等が挙げられる。抗菌保存剤は、製造の間に製品に偶発的に加えられた微生物性の汚染物の成長を阻害するか又は殺す。抗菌保存剤の語は、メチルパラベン、プロピルパラベン及び安息香酸ナトリウムを含む。これらの成分は、一般に、リガンド及び放射性核種の間で錯体が形成された後であるがしかし凍結乾燥の前に、組成物に添加される。制菌剤、例えば、メチルパラベン及びプロピルパラベンを添加してよい。ポリエチレングリコールのような可溶化剤を添加して、放射性核種で標識化した脂肪酸化合物の通常の食塩水溶液又は他の水ベースの溶液中での溶解性を増強することもまた意図される。
【0087】
上記プロセス、装置及び得られる組成物は、最初の組成物に用いられた溶媒が何であれ、実質的に全ての放射性核種の安定化及び保存に適用可能である。いくつかの好ましい用途には、以下のものの安定化が挙げられる:放射性標識化ペプチド、[18F]デオキシグルコース、放射性標識アネキシン、99mTc−アネキシン、放射性標識単球化学誘引性タンパク質、すなわち、125−I−(MCP−1)、放射性標識ドーパミン輸送剤、(S)−N−(1−エチルピロリジン−2−イルメチル)−2−ヒドロキシ−3−ヨード−6−メトキシベンズアミド(3−IBZM)(より一般的には「BZM」)、(S)−N−(1−エチルピロリジン−2−イルメチル)−2−ヒドロキシ−5−ヨード−6−メトキシベンズアミド(5−IBZM)、I−123−2−β−カルボメトキシ−3−β(4−ヨードフェニル)N−(3−フルオロプロピル)ノルトロパン(「CIT」又は「β−CIT」)及び種々のトロパン誘導体、I−123脂肪酸(特に心血管造影用)、放射性標識オクトレオチド又は放射性標識デプレオチド、HEDP(診断用骨格造影又は転移性骨疼痛の治療)、黒色腫のような悪性腫瘍の腫瘍関連抗原の診断又はその場での放射性治療のための、選択的親和性を有する放射性標識抗体(ポリクローナル及びモノクローナルの双方)、並びに2,6−ジメチルアセトアニリドイミノジ酢酸及びその他のイミド酢酸基含有類縁体のファミリー(本明細書中で包括的に「HIDA剤」という)、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、リン酸塩、ジホスホネート及びイミドホスホン酸塩のような、モノ、ジ−及びポリリン酸並びにその医薬的に許容され得る塩を含む、肝胆道系(肝臓−腎臓系)に対し選択的親和性を有するリガンドが挙げられる。好ましいリガンドには、1−ヒドロキシエチリデンジホスホネート、メチレンジホスホネート、(ジメチルアミノ)メチルジホスホネート、メタンヒドロキシジホスホネート及びイミドジホスホネート(骨スキャンニング及び痛みの緩和用);ストロンチウム89エチレンジアミンテトラメチレンホスフェート、サマリウム153−エチレンジアミンテトラメチレンホスフェート、放射性標識モノクローナル抗体、99m−Tc HMPAO(ヘキサメチルプロピレンアミンオキシム)、イットリウム90−標識化イブリツモマブ チウキセタン(Zevalin(登録商標)、Biogen Idec,Inc.の登録商標)、並びにメタヨードベンジルグアニジンが挙げられる。エチレンジアミンテトラメチレンホスフェート及びエチレンジアミンテトラメチレンリン酸及び薬剤学的に関連するモノ、ジ−及びポリリン酸並びにその薬剤学的に許容され得る塩(ポリリン酸塩、ピロリン酸塩、ホスホン酸塩、ジホスホン酸塩及びイミドホスホン酸塩を含む)は、包括的にEDTMPと呼ばれる。
【0088】
当業者に周知の適切な放射性核種には、銅、テクネチウム−99m、レニウム−186、レニウム−188、アンチモン−127、ルテチウム−177、ランタン−140、サマリウム−153の放射性同位体、ヨウ素、インジウム−111、ガリウム−67及び68、クロム−51、ストロンチウム−89、ラドン−222、ラジウム−224、アクチニウム−225、カリホルニウム−246及びビスマス−210の放射性同位体が挙げられる。他の適切な放射性核種には、F−18、C−11、Y−90、Co−55、Zn−62、Fe−52、Br−77、Sr−89、Zr−89、Sm−153、Ho−166及びTl−201が挙げられる。
【0089】
本発明は、本明細書中の発明の最良の形態その他の開示に限定されることを意図したものでなく、ヒト、哺乳動物及び植物の科学に関し本発明の全ての均等物及び本発明の類似の実施態様が意図されている。均等物には、安定化剤及び保存を助ける添加剤の存在下又は非存在下での組み合わせ、並びに、適切な薬剤学的担体との組み合わせにおける、それらの薬理学的に活性なラセミ混合物、ジアステレオマー及びエナンチオマーが挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断用又は治療用の、病変組織に標的化するための、安定な、急速に凍結乾燥された放射性医薬組成物を製造する方法であって、該方法が完了したときは冷凍を必要とせず、且つ、放射線分解による損傷を低減することにより該放射性医薬組成物の完全性の予測性を高めるものであり、次のステップ、すなわち:
凍結乾燥栓を付しているがしかし未だ密封されていない少なくとも1つのバイアル中の少なくとも1種の放射性核種を有する該放射性医薬組成物の瞬間冷凍されたある量を含んだ密封可能なチャンバーを排気するステップであって、該瞬間冷凍された量が好ましくは超低温冷凍棚中において又は液化ガス、好ましくは窒素中において冷凍されたものであり、該密封可能なチャンバーの該排気が、一次濃縮器及び二次濃縮器を通る排気チューブに接続された真空ポンプによって、該一次濃縮器の温度を酸素の沸点より高く維持しつつ、液体酸素の爆発可能性を除去するに十分な圧まで低下させることにより行なわれるものであるステップと;
該排気チューブの温度を、好ましくは−196℃である窒素の沸点より高い温度まで低下させるために該二次濃縮器を作動させることにより該密封可能なチャンバーからの水の除去を加速させ、それにより、放射線分解によって生じる水分子を含む、水分子の存在を急速に減少させ、付随する還元性のフリーラジカルによる該放射性医薬組成物の損傷を減少させ且つ該放射性医薬組成物の完全性の予測性を高めるステップと;そして
望みどおり水の除去が完了したとき、該密封可能なチャンバー内の周囲圧を薬剤学的に不活性なガスによって復帰させて大気圧に近づけ、そしてそのように周囲圧を復帰させたとき該少なくとも1つのバイアルを外部の流体の流入を防ぐために密封するステップと、
を含んでなるものである方法。
【請求項2】
更に該密封可能なチャンバーの排気が、約−40℃の一次濃縮器温度で、液体酸素の爆発の可能性を除去するに十分な圧が約10-2Torrに達するまで行なわれるものである、請求項1の方法。
【請求項3】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項2の方法。
【請求項4】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項3の方法。
【請求項5】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項3の方法。
【請求項6】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項2の方法。
【請求項7】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項2の方法。
【請求項8】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項4及び5の方法。
【請求項9】
更に該少なくとも1種の放射性核種が、F−18、C−11、Y−90、I−123、I−124、I−125、I−131、Cu−64、Cu−67、Co−55、Zn−62、Fe−52、Ga−64、Ga−67、Ga−68、Br−77、Sr−89、Zr−89、Tc−99m、In−111、Sm−153、Ho−166、Lu−177、Re−186、及びTl−201よりなる群より選ばれるものである、請求項2の方法。
【請求項10】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項9の方法。
【請求項11】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項10の方法。
【請求項12】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項10の方法。
【請求項13】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項9の方法。
【請求項14】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項9の方法。
【請求項15】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項9の方法。
【請求項16】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項1の方法。
【請求項17】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項16の方法。
【請求項18】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項16の方法。
【請求項19】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項1の方法。
【請求項20】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項1の方法。
【請求項21】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項1の方法。
【請求項22】
更に該少なくとも1種の放射性核種が、F−18、C−11、Y−90、I−123、I−124、I−125、I−131、Cu−64、Cu−67、Fe−52、Co−55、Zn−62、Ga−64、Ga−67、Ga−68、Br−77、Sr−89、Zr−89、Tc−99m、In−111、Sm−153、Ho−166、Lu−177、Re−186、及びTl−201よりなる群より選ばれるものである、請求項1の方法。
【請求項23】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項22の方法。
【請求項24】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項23の方法。
【請求項25】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項23の方法。
【請求項26】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項22の方法。
【請求項27】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項22の方法。
【請求項28】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項22の方法。
【請求項29】
診断用又は治療用の、病変組織に標的化するための、安定な、急速に凍結乾燥された放射性医薬組成物を製造する方法であって、該方法が完了したときは冷凍を必要とせず、且つ、放射線分解による損傷を低減することにより該放射性医薬組成物の完全性の予測性を高めるものであり、次のステップ、すなわち:
凍結乾燥栓を付しているがしかし未だ密封されていない少なくとも1つのバイアル中の少なくとも1種の放射性核種を有する該放射性医薬組成物の瞬間冷凍されたある量を含んだ密封可能なチャンバーを排気するステップであって、該瞬間冷凍された量が好ましくは超低温冷凍棚中において又は液化ガス、好ましくは窒素中において冷凍されたものであり、該密封可能なチャンバーの該排気が、二次濃縮器を通って一時濃縮器まで延びる排気チューブを通して真空ポンプによって、冷却用の該一次濃縮器の温度を酸素の沸点より高く維持しつつ、液体酸素の爆発可能性を除去するに十分な圧まで低下させることにより行なわれるものであるステップと;
該排気チューブの温度を、好ましくは−196℃である窒素の沸点より高い温度まで低下させるために該二次濃縮器を作動させることにより該密封可能なチャンバーからの水の除去を加速させ、それにより、放射線分解によって生じる水分子を含む、水分子の存在を急速に減少させ、付随する還元性のフリーラジカルによる該放射性医薬組成物の損傷を減少させ且つ該放射性医薬組成物の完全性の予測性を高めるステップと;そして
望みどおりの除去が完了したとき、該密封可能なチャンバー内の周囲圧を薬剤学的に不活性なガスによって復帰させて大気圧に近づけ、そしてそのように周囲圧を復帰させたとき該少なくとも1つのバイアルを外部の流体の流入を防ぐために密封するステップと、
を含んでなるものである方法。
【請求項30】
更に該密封可能なチャンバーの排気が、約−40℃の一次濃縮器温度で、液体酸素の爆発の可能性を除去するに十分な圧が約10-2Torrに達するまで行なわれるものである、請求項29の方法。
【請求項31】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項30の方法。
【請求項32】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項31の方法。
【請求項33】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項31の方法。
【請求項34】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項30方法。
【請求項35】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項30の方法。
【請求項36】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項30の方法。
【請求項37】
更に該少なくとも1種の放射性核種が、F−18、C−11、Y−90、I−123、I−124、I−125、I−131、Cu−64、Cu−67、Co−55、Zn−62、Fe−52、Ga−64、Ga−67、Ga−68、Br−77、Sr−89、Zr−89、Tc−99m、In−111、Sm−153、Ho−166、Lu−177、Re−186、及びTl−201よりなる群より選ばれるものである、請求項30の方法。
【請求項38】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項37の方法。
【請求項39】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項38の方法。
【請求項40】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項38の方法。
【請求項41】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項37の方法。
【請求項42】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項37の方法。
【請求項43】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項37の方法。
【請求項44】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項29の方法。
【請求項45】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項44の方法。
【請求項46】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項44の方法。
【請求項47】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項29の方法。
【請求項48】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項29の方法。
【請求項49】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項29の方法。
【請求項50】
更に該少なくとも1種の放射性核種が、F−18、C−11、Y−90、I−123、I−124、I−125、I−131、Cu−64、Cu−67、Fe−52、Co−55、Zn−62、Ga−64、Ga−67、Ga−68、Br−77、Sr−89、Zr−89、Tc−99m、In−111、Sm−153、Ho−166、Lu−177、Re−186、及びTl−201よりなる群より選ばれるものである、請求項1の方法。
【請求項51】
更に該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを有するものである、請求項50の方法。
【請求項52】
更に該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項51の方法。
【請求項53】
更に該放射性医薬組成物がリガンドMIBGを有するものである、請求項51の方法。
【請求項54】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体と組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項50の方法。
【請求項55】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせでの構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項50の方法。
【請求項56】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項50の方法。
【請求項57】
更に該放射性医薬組成物が、肝胆道系に対する選択的親和性を有する造影剤よりなる群より選ばれる造影剤である、請求項1ないし56の方法。
【請求項58】
更に該放射性医薬組成物が、心臓系に対する選択的親和性を有する造影剤よりなる群より選ばれる造影剤である、請求項1ないし56の方法。
【請求項59】
更に該放射性医薬組成物が、大脳系に対する選択的親和性を有する造影剤よりなる群より選ばれる造影剤である、請求項1ないし56の方法。
【請求項60】
更に該放射性医薬組成物が、骨格系に対する選択的親和性を有する造影剤よりなる群より選ばれる造影剤である、請求項1ないし56の方法。
【請求項61】
更に該放射性医薬組成物が、前立腺造影に用いられる造影剤よりなる群より選ばれる造影剤である、請求項1ないし56の方法。
【請求項62】
更に該放射性医薬組成物が、肺造影に用いられる造影剤よりなる群より選ばれる造影剤である、請求項1ないし56の方法。
【請求項63】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の化学的安定化剤を有するものである、請求項1ないし56の方法。
【請求項64】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の制菌剤を有するものである、請求項1ないし56の方法。
【請求項65】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の抗菌保存剤を有するものである、請求項1ないし56の方法。
【請求項66】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の可溶化剤を有するものである、請求項1ないし44の方法。
【請求項67】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の凍結乾燥助剤を含むものである、請求項1ないし5、9ないし12、16ないし18、22ないし25、29ないし33、37ないし40、44ないし46、及び50ないし53の方法。
【請求項68】
更に該放射性医薬組成物が、乳糖、ブドウ糖、アルブミン、ゼラチン及び塩化ナトリウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種の凍結乾燥助剤を含むものである、請求項1ないし5、9ないし12、16ないし18、22ないし25、29ないし33、37ないし40、44ないし46、及び50ないし53の方法。
【請求項69】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体との組み合わせで構造的安定性を提供するために、乳糖、ブドウ糖、アルブミン、ゼラチン又は塩化ナトリウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のモノクローナル抗体を有するものである、請求項6、13、19、26、34、41、47、及び54の方法。
【請求項70】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、乳糖、ブドウ糖、アルブミン、ゼラチン又は塩化ナトリウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種のペプチドを有するものである、請求項7、14、20、27、35、42、48、及び55の方法。
【請求項71】
更に該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために、乳糖、ブドウ糖、アルブミン、ゼラチン又は塩化ナトリウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項8、15、21、28、36、43、49、及び56の方法。
【請求項72】
診断用又は治療用の、病変組織に標的化するための、安定な、急速に凍結乾燥された放射性医薬組成物を製造する方法であって、次のステップ、すなわち:
凍結乾燥栓を付しているがしかし未だ密封されていない少なくとも1つのバイアル中の少なくとも1種の放射性核種を有する該放射性医薬組成物の瞬間冷凍されたある量を含んだ密封可能なチャンバーを排気するステップであって、該瞬間冷凍された量が好ましくは超低温冷凍棚中において又は液化ガス、好ましくは窒素中において冷凍されたものであり、該密封可能なチャンバーの該排気が、一次濃縮器及び二次濃縮器を通る排気チューブにより又はこれを通して接続された真空ポンプによって、該一次濃縮器の温度を酸素の沸点より高く維持しつつ液体酸素の爆発可能性を除去するに十分な圧まで低下させることにより行なわれるものであるステップと;
該排気チューブの温度を、好ましくは−196℃である窒素の沸点より高い温度まで低下させるために該二次濃縮器を作動させることにより、該密封可能なチャンバーからの水の除去を加速させるステップと;そして
望みどおり水の除去が完了したとき、該密封可能なチャンバー内の周囲圧を薬剤学的に不活性なガスによって復帰させて大気圧に近づけ、そしてそのように周囲圧を復帰させたとき該少なくとも1つのバイアルを、外部の流体の流入を防ぐために密封するステップと、
を含んでなるものである方法。
【請求項73】
更に該密封可能なチャンバーの排気が、約−40℃の一次濃縮器温度で、液体酸素の爆発の可能性を除去するに十分な圧が約10-2Torrに達するまで行なわれるものである、請求項72の方法。
【請求項74】
該放射性医薬組成物が、MIBGではない少なくとも1種のリガンドを含んでなるものである、請求項72又は73の方法。
【請求項75】
該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項74の方法。
【請求項76】
該放射性医薬組成物が少なくとも1種のリガンドを含んでなるものである、請求項72又は73の方法。
【請求項77】
該少なくとも1種のリガンドが、BZM、β−CIT、EDTMP、HIDA又は脂肪酸よりなる群より選ばれるものである、請求項76の方法。
【請求項78】
該少なくとも1種のリガンドがMIBGである、請求項76の方法。
【請求項79】
該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のモノクローナル抗体との組み合わせで構造的安定性を提供するために少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた、少なくとも1種のモノクローナル抗体を含んでなるものである、請求項72ないし78の何れかの方法。
【請求項80】
該放射性医薬組成物が、少なくとも1種のペプチドとの組み合わせで構造的安定性を提供するために少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた、少なくとも1種のペプチドを含んでなるものである、請求項72ないし79の何れかの方法。
【請求項81】
該放射性医薬組成物が、少なくとも1種の分子認識ユニットとの組み合わせで構造的安定性を提供するために少なくとも1種の凍結乾燥助剤と組み合わせた、少なくとも1種の分子認識ユニットを有するものである、請求項72ないし80の何れかの方法。
【請求項82】
該少なくとも1種の放射性核種が、F−18、C−11、Y−90、I−123、I−124、I−125、I−131、Cu−64、Cu−67、Co−55、Zn−62、Fe−52、Ga−64、Ga−67、Ga−68、Br−77、Sr−89、Zr−89、Tc−99m、In−111、Sm−153、Ho−166、Lu−177、Re−186、及びTl−201よりなる群より選ばれるものである、請求項72ないし81の何れかの方法。
【請求項83】
該放射性医薬組成物が、肝胆道系、心臓系、大脳系及び/又は骨格系に対する選択的親和性を有する造影剤よりなる群より選ばれる造影剤を含んでなるものである、先行の請求項72ないし82の何れかの方法。
【請求項84】
該放射性医薬組成物が、前立腺造影及び/又は肺造影に用いられる造影剤よりなる群より選ばれる造影剤を含んでなるものである、先行の請求項72ないし83の何れかの方法。
【請求項85】
該放射性医薬組成物が、凍結乾燥助剤、化学的安定化剤、制菌剤、抗菌保存剤及び可溶化剤よりなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでなるものである、先行の請求項72ないし84の何れかの方法。
【請求項86】
該放射性医薬組成物が、乳糖、ブドウ糖、アルブミン、ゼラチン及び塩化ナトリウムよりなる群より選ばれる少なくとも1種の凍結乾燥助剤を含んでなるものである、先行の請求項72ないし85の何れかの方法。
【請求項87】
先行の請求項1ないし86の何れかの方法によって製造される放射性医薬組成物。
【請求項88】
診断用又は治療用の医薬の製造のための請求項87による放射性医薬組成物の使用。
【請求項89】
該放射性医薬組成物が、ヒトを造影するための肝胆道系及び/又は心臓系及び/又は大脳系及び/又は骨格系に対する選択的親和性を有する造影剤を含んでなるものである、請求項88の放射性医薬組成物の使用。
【請求項90】
該放射性医薬組成物が、ヒトを造影しつつ前立腺造影及び/又は肺造影のために用いられる造影剤を含んでなるものである、請求項88の放射性医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2008−510680(P2008−510680A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516831(P2007−516831)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2005/021847
【国際公開番号】WO2006/002122
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(506418585)アナザオヘルス コーポレーション (2)
【氏名又は名称原語表記】ANAZAOHEALTH CORPORATION
【住所又は居所原語表記】5710 Hoover Blvd., Tampa, FL 33634 USA
【出願人】(307046040)
【出願人】(307046051)
【出願人】(307046062)
【Fターム(参考)】