説明

安定化したヨードカーボン組成物

【課題】環境破壊の低減性の熱伝達組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのヨードカーボン化合物および好ましくはジエンベース化合物を含む少なくとも1つの安定剤を含む組成物を開示する。この組成物は加熱および冷却用冷媒として、発泡剤として、エーロゾル推進薬として、溶媒組成物として、消火剤および火炎抑制剤として、有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ハロゲン化炭化水素は、様々な工業用途での広範な使用法が見出され、冷媒、エーロゾル推進薬、発泡剤、熱伝導媒体および気体絶縁体として含まれている。
【背景技術】
【0002】
これらの用途の多くは、以前、クロロフルオロカーボン(chlorofluorocabons)(“CFCs”)およびヒドロクロロフルオロカーボン(hydrochlorofluorocarbons)(“HCFCs”)を主な量で含む組成物を使用してきた。しかしながら、懸念される環境問題が、これらのあるハロゲン化炭化水素の利用と関連付けられるようになってきた、例えば、CFCsとHCFCsは両方とも、比較的高い地球温暖化係数を示す傾向にある。従って、意図された用途に受け入れられる一方、同時にCFCsおよびその他の好ましくないハロゲン化化合物より低い地球温暖化係数を有する組成物を用いることが、多くの用途で望まれるようになってきた。
【0003】
出願人らは、冷凍(およびその他の)用途において、それを原因とする環境破壊の可能性を減少させるため、その多くが高い地球温暖化係数を有する様々な塩素化化合物を代替するために、ヨウ素化化合物を含むある組成物、特にトリフルオロヨードメタンを含む組成物を用いると好都合であることを認識した。しかしながら、出願人らは、トリフルオロヨードメタンのようなヨウ素化化合物が比較的不安定である傾向があり、特に従来のある冷却条件下では、場合により、CFCs、HCFCsおよびヒドロフルオロカーボン(hydrofluorocarbons)(HFCs)より明らかに不安定であることも認識した。
【0004】
冷媒として、さらに、他のCFC、HCFCおよびHFC流体の代替品として有用であるために、ヨウ素化化合物を含む適当な組成物は安定である必要がある。出願人らは、好ましく安定なヨード組成物(iodo−compositions)を製造するための一つの可能性のある方法が化合物内に安定化化合物を用いることであることを見出した。
【0005】
HCFCおよびCFC組成物と共に用いられる様々な安定剤が知られている。HFCsは、例外的に安定であるが故に、この技術分野で知られているような安定剤を組成物内に組み込んで用いても良いが、用いなくても良い。例えば、米国特許第5,380,449号は、ジクロロトリフルオロエタンならびに安定化に必要な量のフェノールを少なくとも一種類および芳香族またはフッ素化アルキルエポキシドを少なくとも一種類含む組成物について、開示している。しかしながら、ヨード化合物は、CFCsおよびHCFCsより安定性が有意に低い傾向にあるため、同一または類似の化合物がCFC/HCFCの代替品として用いるに充分なほどヨード化合物を安定化することができるか否かを、CFCsおよびHCFCsに関しての安定剤の教示(例えば‘449号開示)から予測することはできない。即ち、当業者らは認識しているであろうが、C−ClおよびC−F結合は、C−I結合より少なくとも約1.5−2倍強い傾向がある。従って、HCFCまたはCFCを安定にする化合物が冷媒用途に有益であるためには、付加安定剤の量を約2倍必要とするヨード化合物に関して適当であると期待することは本質的にも必然的にも適正ではない。
【0006】
このように、出願人らは、CFC、HCFCおよびHFC冷媒の代替として含まれる様々な用途で充分安定であるトリフルオロヨードメタンのようなヨード化合物を含む組成物を作り出す必要性を認識した。
【0007】
以前から用いられてきたように、若干のCFCsおよびHCFCsの代替として、冷凍用途にヨードカーボン化合物(iodocarbon compounds)を用いることが提案されてきた。例えば、日本公開09−059612(出願番号07−220964)は、トリフルオロヨードメタンおよび1以上のフェノール化合物を含む冷媒組成物について開示している。該特許書類は、フェノール組成物が劣化に対してトリフルオロヨードメタンを安定化する様に作用することを示している。
【0008】
トリフルオロヨードメタンの安定剤としてフェノール化合物を含む組成物はある程度成功しているであろうが、ある用途では、フェノール化合物を使用しないか、または該化合物をより低い濃度で使用することが望ましいであろう。例えば、フェノールは水酸基の解離により一般に酸性であり、比較的反応性である。これらの特徴は、ある用途および/またはある状況で望ましくないであろう。
【発明の概要】
【0009】
発明の要約
本発明は、トリフルオロヨードメタン(CFI)の様なヨードカーボン化合物を含む様々な組成物であって、驚異的な安定性を有し、様々な冷却システムの冷媒として内包される様々な用途に有利に用いることができる該組成物を提供する。特に、出願人らは、ヨードカーボン化合物、一般的にはC1−C5ヨードカーボン、およびさらにより好ましくはC1−C2ヨードカーボン、特に(好ましいC1ヨードカーボンのような)トリフルオロヨードメタンを様々な安定剤化合物1以上と結合させて、安定なヨードカーボン含有組成物、好ましくはトリフルオロヨードメタン含有組成物を製造できることを予期せず発見した。該組成物は、商業用途、工業用途および個人用途で、特に、冷凍システムおよび(自動車用空調システムを含む)空調システム等で用いられる熱伝達流体として適当である。さらに、該組成物は、様々な用途で充分安定であるだけでなく、不燃性であり、オゾン層破壊性および地球温暖化傾向が共に低いユニークな組み合わせを示す傾向にもあり、該組成物はCFC、HCFCおよびHFCの冷媒の代替として特に有用な候補となりうる。
【0010】
それ故、本発明は、一つの実施態様に於いて、少なくとも一つのヨードカーボン化合物、好ましくはC1−C5ヨードカーボン、さらにより好ましくはC1ヨードカーボン、および少なくとも一つの安定化化合物を含む組成物を指向する。ある場合には、組成物は遊離基捕獲機能性に基づく任意のあるクラスの安定剤を一種類以上含んで良いが、多くの好ましい実施態様では安定剤は、好ましくは少なくとも主要な割合でジエンベース化合物、さらにより好ましくはイソプロペンベースの化合物を含む。本明細書中で用いられている用語「ジエンベース化合物」は、C3−C5ジエン、C3−C5ジエンを含む反応によって形成されうる化合物を指す。本明細書中で用いられている用語「イソプロペンベース化合物」は、イソプロペン、イソプロペン部分を有する化合物、およびイソプロペンを含む反応によって形成されうる化合物を指す。例えば、本明細書中で用いられているように、ジエン化合物はミルセンおよびファルセノールを含み、その各々は3つの炭素−炭素二重結合を有する。このように、用語「ジエンベース」は2つの二重結合のみ有する化合物に限定されず、2つの炭素−炭素二重結合より少ない、またはより多く有する化合物をも含む。C3−C5ジエンの組み合わせによって形成されるジエンベース化合物の場合、組み合わされる分子は、同一あっても、または異なっていてもよい。本明細書中に用いられている用語「ヨードカーボン」は、少なくとも1つの炭素−ヨウ素結合を含む任意の化合物を指し、ヨードフルオロカーボン(少なくとも1つの炭素−ヨウ素結合および少なくとも1つの炭素−フッ素を結合を有するが、炭素−炭素結合を除くその他の結合を持たない化合物)およびヒドロヨードフルオロカーボン(少なくとも1つの炭素−ヨウ素結合、少なくとも1つの炭素−フッ素結合、少なくとも1つの炭素−水素結合を有するが、炭素−炭素結合を除くその他の結合を持たない化合物)をカバーするつもりである。
【0011】
出願人らは、ある使用条件下では、一般的にヨードカーボン化合物がC−I結合の代わりにC−ClおよびC−F結合を有する化合物より安定性が低い傾向にあることを、認識するに至った。このように、出願人らは、CFCおよびHCFC冷媒の代替として含まれる様々な用途で充分安定であるトリフルオロヨードメタンのようなヨードカーボン化合物を含む組成物を提供することが望ましいことを認識した。そのような組成物は、本発明の組成物の代えてCFCおよびHCFC−ベース組成物を用いる場合に生じるであろう環境破壊を減ずる可能性を提供する。しかしながら、出願人らは、さらに、ヨウ素化化合物が比較的不安定である傾向にあり、慣用の冷凍システム内に存在する条件下などのある使用条件下では、CFCsおよびHCFCsより有意に安定ではない場合があることを認識した。例えば、様々な冷媒に関する標準の推薦されるASHRAEおよびSAE試験を行ったが、本発明者らは、ヨードフルオロカーボンを含む化合物が茶/黒色のヨウ素を生成し、該ヨウ素は試験条件中にヨードフルオロカーボンの分解から形成されたと考えられることを発見した。
【0012】
本発明は、ヨードカーボン化合物、好ましくはC1−C2ヨードカーボン、より好ましくはC1ヨードカーボン、さらにより好ましくはトリフルオロヨードメタンが少なくとも1つの安定化化合物、好ましくは遊離基捕集機能性を有する化合物、さらにより好ましくは少なくとも1つのジエン−ベース化合物と組み合わせると、広範な用途での使用に適した安定化組成物を生成できることを予期せず発見した。さらに、本組成物は、様々な用途で充分安定であるだけでなく、不燃性であり且つオゾン層破壊性が低いというユニークな組み合わせを示す傾向にもあり、それ故、熱伝導流体として、特にCFCおよびHCFC冷媒の代替品のように、現在用いられている冷媒の代替候補として有用となる。さらに、出願人らは、本発明に従って、数多くの長所が、ヨードカーボンに加えて、好ましくは安定剤、1以上のその他の化合物(特に、HFCs、好ましくはC1−C4 HFCsおよびハロゲン化オレフィン、好ましくはC2−C5ハロゲン化オレフィンを含む)を含む組成物に関して達成されることを見出した。
【0013】
さらに、出願人らは、本発明の好ましい組成物が安定であり、多くのシステム、装置および方法での使用に適していることを認識した。例えば、本発明の1つの面は、特に自動車用空調用途を含む冷凍用途の様な、(潜熱伝導および/または顕熱伝導に基づく)加熱または冷却流体として含まれている本発明の組成物を含む、システム、装置および方法を提供する。以下により完全に説明するように、その他のシステム、装置および方法もまた、本発明の範囲内にある。
【0014】
さらにもう一つの面では、本発明は、安定剤の使用による少なくとも1つのヨードカーボンを含む、好ましくは本発明によるジエンベース化合物を含む、組成物を安定化するための方法、システムおよび装置を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好ましい実施態様の説明
1.組成物−一般
好ましい組成物は、少なくとも1つのヨードカーボン、好ましくは(トリフルオロヨードメタン(CFI)の様な)C1ヨードフルオロカーボン、および好ましくはさらに少なくとも1つの安定剤、好ましくはジエン−ベース化合物を、使用条件下で分解からヨードカーボンを安定化するために有効な量で含む。
【0016】
本発明のある好ましい組成物は、ヨードカーボンおよび少なくとも1つのC2−C5ハロアルケン、好ましくはC2−C4ハロアルケン、およびさらにより好ましくは少なくとも2つ、および好ましくは少なくとも3つのフッ素置換基を有するC2−C4ハロアルケンを含む。それらのハロアルケンの中で、特に自動車用空調のような熱伝導適用と関連した使用に特に好ましいのは、テトラフルオロプロペン、特に2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)である。そのようなある好ましい実施態様では、組成物は、ヨードカーボンおよびハロアルケンの全重量をベースにして、約20%から約40重量%のヨードカーボン、より好ましくは約25%から約35%のヨードカーボン、および約60から約80重量%のC2−C4ハロアルケン、さらにより好ましくは約65%から約75%のハロアルケンを含む。
【0017】
本発明のある好ましい組成物は、ヨードカーボンおよび少なくとも1つのC1−C4 HFC、好ましくはC1−C3 HFC、さらにより好ましくはC1−C2 HFCを含む。そのようなある好ましい実施態様では、組成物は、ヨードカーボンとHFCの全重量をベースにして、約50%から約95重量%のヨードカーボン、より好ましくは約65%から約85%のヨードカーボン、および約5%から約50重量%のHFC、さらにより好ましくは約15%から約35%のHFCを含む。
【0018】
好ましい実施態様では、本組成物は、地球温暖化係数(Global Warming Potential)(GWP)が1000未満、より好ましくは500未満、さらにより好ましくは約150未満、ある場合には約100未満である。ある実施態様では、本発明のGWPは、約75未満である。本明細書中に用いられている“GWP”は、”The Scientific Assesment of Ozone Depletion(オゾン層破壊の科学的評価)、2002、A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitorting Project(世界気象学会の地球オゾン層の研究および監視プロジェクトの報告)”(本明細書中に参照として採用する)で定義の通り、二酸化炭素の当該効果に対して相対的に、また100年以上の範囲で、測定される。
【0019】
好ましくは、組成物はまた、オゾン層破壊係数(Ozone Depleting Potential)(ODP)が約0.05未満、より好ましくは約0.02未満、さらにより好ましくはほぼ0である。本明細書中に用いられている“ODP”は、”The Scientific Assessment of Ozone Depletion(オゾン層破壊の科学的評価)、2002、A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project(世界気象学会の地球オゾン層の研究および監視プロジェクトの報告)”(本明細書中に参照として採用する)に定義されている通りである。
【0020】
A. ヨードカーボン
本明細書に含まれる教示から、本発明によるヨードカーボン化合物は、1以上の広範な該化合物を含んで良いと予想される。例えば、ある好ましい実施態様では、ヨードカーボンは、C1−C6ヨードカーボン、さらにより好ましくはC1−C3ヨードフルオロカーボンであると考えられる。ヨードカーボンは、炭素、水素、フッ素およびヨウ素を含むことができる。
【0021】
本発明のある好ましい組成物では、ヨードカーボンは、C1−C3ヨードカーボン、より好ましくはC1ヨードカーボン、さらにより好ましくはC1ヨードフルオロカーボンを含む。ある非常に好ましい実施態様では、少なくとも1つのヨードカーボンは、全ヨードカーボン化合物ベースで主な割合で、トリフルオロヨードメタン(CF3I)を含む。このように、ある非常に好ましい実施態様では、本組成物は、さらにより好ましくは、少なくとも2つの炭素−フッ素結合および少なくとも1つの炭素−ヨウ素結合を含むC1化合物を有する、炭素−フッ素結合と炭素−ヨウ素結合のみを含む少なくとも1つのC1化合物を含む。
【0022】
トリフルオロヨードメタンは、Matheson TriGas,Inc.を含む、様々な供給源より容易に入手できる。加えて、任意の様々な慣用の方法によって製造されたトリフルオロヨードメタンを用いることもできる。トリフルオロヨードメタンを製造する該慣用方法の1つの例は、JACS72,3806(1950)、Albert L. HenneおよびWilliam G. Finneganによる、”The Degradation of Silver Trifluoroacetate to Trifluoroiodomethane(三フッ化酢酸銀のトリフルオロヨードメタンへの分解)”に開示されており、本明細書中に参照として採用する。
【0023】
一般に、ヨードカーボン化合物は、例えば該化合物の特定の意図した使用条件を含む、多数の要素に依存して、広範囲の量で組成物中に存在することができる。ある好ましい実施態様では、ヨードカーボン化合物(単数または複数)は、該組成物中に、重量ベースで、約10%から約100%未満、より好ましくは約20%から約100%未満で存在する。ある好ましい実施態様では、特に、HFC(s)を含む該組成物における態様では、ヨードカーボン化合物は、重量ベースで、約35%から約95%、より好ましくは約45%から約95%、さらにより好ましくは65%から約95%の量で該組成物内に存在する。ある好ましい実施態様では、特にハロゲン化アルケン(単数または複数)を含む該組成物における態様では、ヨードカーボン化合物は、重量ベースで、約15%から約50%、より好ましく約20%から約40%、さらにより好ましくは約25%から約35%の量で、該組成物中に存在する。
【0024】
ヨードカーボン化合物および安定剤の相対量に関しては、ある実施態様では、ヨードカーボンは、ヨードカーボンおよび安定剤、好ましくは組成物中のジエンベース化合物、の全量をベースにして、約90%から約99.999重量%、より好ましくは約95重量%から約99.99重量%、さらにより好ましくは約96重量%から約99.7重量%の量で存在する。
【0025】
B.ジエンベース化合物(単数または複数)
任意の1以上の入手可能なジエンベース化合物が本発明での使用に適していること、および、本明細書に含まれる教示から、当業者らが過度の実験を行うことなく任意の特定の用途に適した該化合物の数およびタイプを選択できるであろうことが期待される。用いられるジエンベース化合物のタイプおよび性質は、少なくともある程度、組成物中で使用される特定のヨードカーボン化合物、組成物使用時に期待される条件、および関連因子に依存するであろう。
【0026】
一般に、本発明の組成物中で用いられるジエンベース安定剤の量は、様々な要素の中で、組成物中のヨードカーボンのタイプ、組成物使用時に期待される条件のような因子に依存して大きく変化しうると考えられる。一般に、用いられるヨードカーボンに関して有効な量でジエンベース安定剤を用いることが好ましい。本明細書中に用いられている用語「有効(な)量」は、トリフルオロヨードメタンのような関連するヨードカーボン化合物を含む組成物に加える場合、ジエンベース化合物を含まない同一組成物と比較して、同一または類似の条件下でヨードカーボンがよりゆっくりと、および/またはより少ない程度分解する安定化された組成物を結果として生ずるジエンベース化合物の量を指す。トリフルオロヨードメタンの特定の例では、有力な破壊生成物の1つはトリフルオロメタンであり、該生成物はCFI分子内のヨウ素が水素に置換されることによって形成される。また、水素をその他のヨードメタン内のヨウ素と置換し、そうすることによって比較的高いGWP値、例えば150より大きい値を有する化合物を生成させることもできる。このような破壊生成物は、ヨードカーボンを用いる冷媒混合物のGWPを上昇させると言う影響を与える。それ故、低い地球温暖化係数を有すると言う目標を達成できない。好ましくは、有効量の安定剤は、冷媒組成物のGWPが1000以下であるように、より好ましくは150未満であるように、ヨードカーボンの分解量を減少させるであろう。GWP値を考慮しない場合ですら、冷媒組成物の成分が分解されることは望ましくない。従って、上記の分解生成物のレベルは、全冷媒組成物の2.0重量%未満であり、より好ましくは約1.0重量%未満であり、さらにより好ましくは約0.5重量%未満である。ある好ましい実施態様では、該量のジエンベース化合物(単数または複数)は、SAE J1662(1993年6月発行)および/またはASHRAE97−1983R(1997年発行)標準試験に従って試験した場合、該組成物中の少なくとも1つのヨードカーボン化合物が、ジエンベース化合物を含まない同一組成物と比較して、よりゆっくり、および/またはより少ない程度でしか分解しない、安定な組成物を結果として生ずるに充分である。例えば、ある好ましい実施態様では、破壊生成物の量、即ちヨードカーボン内のヨウ素が水素に置換されることによって形成される生成物は、組成物を約2週間の間、約300°Fに維持した後で、約0.9重量%未満であり、より好ましくは約0.7重量%より少ない。
【0027】
ある好ましい実施態様では、ジエンベース化合物は、組成物、好ましくはヨードカーボンからなる組成物、より好ましくはヨードカーボンからなる冷媒組成物の全量をベースにして、約0.001%から約15重量%、より好ましくは約0.01重量%から約10重量%、さらにより好ましくは約0.3重量%から約5重量%、さらにより好ましくは約1から約2重量%の量で、組成物中に存在する。ある場合には、ジエンベース化合物は、潤滑剤および安定剤の全重量をベースとして、約0.001%から約15重量%、より好ましくは0.01重量%から約10重量%、さらにより好ましくは約0.3重量%から約5重量%、さらにより好ましくは約1から約2重量%の量で組成物中に存在する。ある好ましい実施態様では、ジエンベース化合物は、組成物、好ましくはヨードカーボンからなる組成物の全重量をベースにして、約0.5重量%から約2重量%の量で存在する。
【0028】
本発明のジエンベース化合物は、環式または非環式化合物であって良いが、非環式化合物が多くの実施態様で一般的に好まれている。本発明で用いられる非環式ジエンベース化合物は、好ましくは、C5−C30ジエンベース化合物、より好ましくはC5−C20ジエンベース化合物、さらにより好ましくはC5−C15ジエンベース化合物である。環式ジエンベース化合物では、化合物は芳香族または非芳香族化合物であって良いが、非芳香族ジエンベースの環式化合物がある実施態様では好ましい。
【0029】
好ましい実施態様では、ジエンベース化合物は、アリルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、(ミルセンのようなテルペン、およびファルネソールおよびゲラニオールのようなテルペン誘導体を含む)イソプロペン−ベース化合物ならびに任意の2以上の該化合物の組み合わせからなる群から選択される。本明細書中で用いられている様に、直前の前述リスト内で確認された各々の化合物は、確認された化合物の置換型および非置換型の両方を含むつもりである。ある好ましい実施態様では、ジエンベース化合物はプロぺジエンを主な割合で含み、さらにより好ましくは本質的にプロパジエンからなる。
【0030】
あるその他の好ましい実施態様では、ジエンベース化合物は、テルペン、テルペン誘導体またはこれらの組み合わせを主な割合で含み、さらにより好ましくは本質的にからなる。本明細書中に用いられている用語「テルペン」は、少なくとも10の炭素原子からなり、少なくとも1、好ましくは少なくとも2のイソプレン部分を含む化合物を意味する。多くの好ましい実施態様では、本発明のテルペン化合物は、少なくとも2つのイソプレンC5ユニット(CH=C(CH)−CH=CH)(個々のユニットは置換されているか、あるいは非置換である)の反応から形成されており、従って、本発明のテルペン化合物の多くは、好ましくは、少なくとも10炭素原子を有し、少なくとも1つのイソプレン部分を含む。本明細書中で用いられている用語「イソプレン部分」は、置換または非置換のイソプレンから形成されうる基を含む分子の任意部分を指す。ある好ましい実施態様では、非置換テルペンが好ましい。
【0031】
多くの好ましい実施態様では、本発明のテルペン化合物は、修飾または非修飾のイソプレン分子の少なくとも1つの頭尾縮合(head−to−tail condensation)生成物を含む。任意の1以上のテルペン化合物が本発明での使用に適しており、また当業者らは、本明細書に含まれる教示から、過度の実験を行うことなく任意の特定の用途でのテルペン化合物の数およびタイプを選択できるであろうと考えられる。本発明の好ましいテルペンは、分子式(Cを有する、環式または非環式、飽和または不飽和、置換または非置換構造の炭化水素であり、該式中、nは好ましくは2から約6、さらにより好ましくは2から4である。式C1016を有する本発明によるテルペン(置換型を含む)を本明細書中ではモノテルペンと呼ぶことがあリ、これに対して式C1524(置換型を含む)を本明細書中ではセスキテルペンと呼ぶこともある。式C2032を有する本発明のテルペン(置換型を含む)を、本明細書中ではジテルペンと呼ぶこともあり、これに対して式C3024を有するテルペン(置換型を含む)をトリテルペン等と呼ぶこともある。30以上の炭素を含むテルペンは、2つのテルペン前駆体を規則的なパターンで融解することによって形成される。そのようなテルペンはすべて本発明での使用に適していると考えられるが、モノテルペンの使用が一般的に好ましい。
【0032】
ある好ましい実施態様では、本組成物のテルペン化合物(単数または複数)は、1以上の非環式テルペン化合物を、好ましくは主な割合で含み、さらにより好ましくは本質的にからなる。非環式テルペンの中では、該化合物は頭尾結合イソプレノイドとして同定される化合物のクラス、または該様式では結合していない化合物のクラスであっても良いと考えられる。本発明のある面での使用に好ましい非環式テルペンには、ミルセン(2−メチル−6−メチレンオクタ−1,7−ジエン)、アロ−シメン、β−オシメンが含まれる。
【0033】
ある実施態様では、本発明のテルペン化合物は、環式テルペン化合物を含んで良い。環式テルペン中、異なる不飽和度を有するモノ−、ジ−、トリ−、またはテトラ−環式化合物が本発明にしたがう使用に関して考えられる。
【0034】
本発明の様々な態様に関連する用途に適したテルペン化合物の例としては、テレベン、ミルセン、リモネン、レチナール、ピネン、メントール、ゲラニオール、ファルネソール、フィトール、ビタミンA、テルピネン、δ−3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンチェン等およびその配合物ならびに該化合物の全異性体が含まれる。
【0035】
本発明によるテルペン誘導体の例としては、水酸基またはカルボニル基を含むアルコール、アルデヒドまたはケトンのようなテルペンの酸素含有誘導体、ならびにハロゲン化誘導体が含まれる。本明細書中では、テルペンの酸素含有誘導体を、テルペノイドと呼ぶこともある。ある実施態様では、本発明のジエンベース化合物は、テルペノイドカルノシック酸(terpenoid Carnosic acid)を含む。カルノシック酸は、実験式C2028O4に対応するフェノール性ジテルペンである。カルノシック酸は、Libiatae科の植物で自然に作られる。例えば、カルノシック酸は、Salvia Officinalis種(セージ)およびRosmarinus officinalis種(ローズマリー)の葉に主に認められる成分である。また、カルノシック酸は、タイムおよびマジョランでも認められ(Salvia officinalisについてはLinde,Helb.Chim.Acta,1234,1962を、Rosmarinus officinalisについては、Wenkertら、J.Org.Che.,30,2931,1965を参照の事)、さらに様々なその他のセージ種でも認められる(Salvia canariensisについては、SavonaおよびBruno、J.Natl.Prod.,46,594,1983を、Salvia willeanaについてはde la Torreら、Phytochemistry,29,668,1990を参照の事)。また、Salvia trilobaおよびSalvia sclareaにも存在する。その他の考えられるテルペノイドを以下に示す。
【0036】
【化1】

【0037】
C. その他の成分
本組成物は、任意に、考えられる特定の用途ならびに用いられる具体的ヨードカーボンおよびジエンベース化合物によって、その他の成分を組み込んでも良い。
【0038】
1−その他の安定剤
例えば、本組成物は、限定するわけではないがフェノール、エポキシド、ホスファイトおよびホスフェートおよびこれらの組み合わせのような、その他の安定剤をさらに含んでも良く、該安定剤は同時係属米国特許出願11/109,575、2005年4月18日出願に開示されており、本明細書に参照として採用する。エポキシドの内、芳香族エポキシドおよびフッ素化アルキルエポキシドは、ある実施態様では、さらなる安定剤を付加した方がよい。
【0039】
様々なフェノール化合物はいずれも、本組成物中で任意の安定剤としての使用に適当である。出願人らは、いずれの操作理論に裏付けされることを欲するわけではないが、該フェノールは本組成物中でラジカル捕集剤として作用し、それによって該組成物の安定性が増加すると考えられる。本明細書中に用いられている用語「フェノール化合物」は、一般に、任意の置換または非置換のフェノールを指す。適当なフェノール化合物の例には、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2−または4,4−ビフェニルジオール(4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノールを含む);2,2−または4,4−ビフェニルジオール誘導体;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール):4,4−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール);2,6−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT);2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール;2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール):4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド;およびビス(3−5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド;等が含まれる。その他の適当なフェノールには、トコフェノール、ヒドロキノン;t−ブチルヒドロキノン;およびその他のヒドロキノン誘導体等が含まれる。ある好ましいフェノールにはトコフェノール、BHT、ヒドロキノン等が含まれる。ある特に好ましいフェノールには、トコフェノール等が含まれる。大多数のフェノールは、CibaからのIrganox化合物の様に、商品として入手できる。単一のフェノール化合物および/または2以上のフェノール混合物を、本組成物中で用いることができる。
【0040】
また、任意の様々なエポキシドは、本発明の組成物中での使用に適していると考えられる。出願人らは、有効性の任意の理論に裏付けされることを望むわけではないが、本発明のエポキシドは、CFI内で酸捕集剤として作用し、それによって該組成物の安定性が増す傾向にあると考えられる。適当な芳香族エポキシドの例としては、以下の式I:
【0041】
【化2】

【0042】
式中、Rはハロゲン、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリールまたは
【0043】
【化3】

【0044】
であり;Arは置換または非置換のフェニレンまたはナフチレン部分である:
で定義される該エポキシドが含まれる。ある好ましい式Iの芳香族エポキシドには、ブチルフェニルグリシジルエーテル;ペンチルフェニルグリシジルエーテル;ヘキシルフェニルグリシジルエーテル;ヘプチルフェニルグリシジルエーテル;オクチルフェニルグリシジルエーテル;ノニルフェニルグリシジルエーテル;デシルフェニルグリシジルエーテル;グリシジルメチルフェニルエーテル;1,4−ジグリシジルフェニルジエーテルおよびその誘導体;1,4−ジグリシジルナフチルジエーテルおよびその誘導体;ならびに2,2’[[[5−ヘプタデカフルオロオクチル]−1,3−フェニレン]ビス[[2,2,2−トリフルオロメチル]エチリデン]オキシメチレン]ビスオキシラン等が含まれる。その他の好ましい芳香族エポキシドには、ナフチルグリシジルエーテル、4−メトキシフェニルグリシジルエーテル、およびナフチルグリシジルエーテルの誘導体等が含まれる。あるより好ましい芳香族エポキシドには、ブチルフェニルグリシジルエーテル等が含まれる。単一の芳香族エポキシドおよび/または2以上の芳香族エポキシドの混合物を、本組成物に用いることができる。
【0045】
任意の様々なアルキルおよび/またはアルケニルエポキシドは、本組成物内での使用に適している。適当なアルキルおよびアルケニルエポキシドには式II:
【0046】
【化4】

【0047】
式中、Ralkは置換または非置換のアルキルまたはアルケニル基である:
のエポキシドが含まれる。好ましくは、Ralkは、約1から約10、より好ましくは約1から約6の炭素原子、を有する置換または非置換のアルキルまたはアルケニル基である。ある好ましい式IIのアルキルエポキシドには、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテル、ヘキサンジオールグリシジルエーテル等、ならびにフッ素化および過フッ素化アルキルエポキシドが含まれる。より好ましいアルキルエポキシドには、ヘキサンジオールグリシジルエーテルが含まれる。ある好ましい式IIのアルケニルエポキシドには、
アリルグリシジルエーテル、フッ素化および過フッ素化アルケニルエポキシド等が含まれる。より好ましいアルケニルエポキシドには、アリルグリシジルエーテル等が含まれる。
【0048】
ある好ましい実施態様に従って、本組成物は、(イソプレン、プロパジエンおよびミルセンのような)少なくとも1つのジエンベース化合物および1つのさらなる安定化化合物の組合せを含み、該安定化化合物は、芳香族エポキシドおよびフッ化アルキルエポキシドのようなエポキシド;DL−α−トコフェノールおよび2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノールの様なヒンダードフェノール(hindered phenol);ジフェニルホスフェート(例えばDoverphos213)の様なホスファイトおよびトリフェニルホスファイトを単独およびDoverphos 9EIIのような混合物中でのようなホスファイト;Doverphos 613の様な亜リン酸エーテルならびに上記物質の混合物から選択される。
【0049】
任意の少なくとも1つのジエンベース化合物および所望による補足的安定剤化合物を、適当な相対量で、用いても良い。例えば、ある好ましい実施態様では、ジエンベース化合物対その他の安定剤化合物の重量比は、約1:99から約100:0の範囲である。より好ましい実施態様では、ジエンベース化合物(単数又は複数)対所望の安定剤の重量比は、約10:1から約1:1、より好ましくは約2:1から約1:1、さらにより好ましくは約1:1である。
【0050】
2.共冷媒、共発泡剤等
ある実施態様では、以下により充分説明するように、本発明の組成物は、さらに、ヨードカーボンおよび安定剤に加えて、組成物の予想される用途によっては、1以上の成分を含んでも良い。例えば、本組成物は、一般に、以下の用途と関連した使用に適当であり、様々な共成分を以下の用途と関連する組成物に加えても良く、該用途には:熱伝達(冷凍、チラー用途、クローズドランキンサイクル(closed rankine cycle)(CRC)操作を含む);有機ランキンサイクル(organic rankine cycle)(ORC)操作;泡および/または泡形成操作(前混合および/または発泡剤として、または一部を含む)ならびに/または泡(ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、およびフェノール性のような熱硬化性泡、およびポリスチレンおよびポリオレフィンのような熱可塑性泡、積み重ねスキンフォーム、ならびに1または2の加圧式起泡成分等を含む);溶媒(洗浄および抽出用溶媒を含む);エーロゾル;オリゴマーおよび/または(重合反応用モノマーのような)ポリマー生成物;推進薬;消火補助剤;界面活性剤;フラッシング適用;定量噴霧式吸入器(metered dose inhalers)(MDI);潤滑剤、火炎抑制剤;治療用組成物;殺虫剤組成物;除草剤組成物;溶媒適用(洗浄、抽出泳ぎ沈積適用を含む)等;が含まれる。
【0051】
多くの共成分を本組成物内で有効に用いうると考えられるが、いくつかの実施態様では、本組成物が共成分として1以上の以下の成分;
CO
炭化水素(置換および非置換、特にC2−C6の炭化水素);
アルコール(置換および非置換、特にC2−C6のアルコール)
ケトン(置換および非置換、特にC2−C5のケトン);
アルデヒド(置換および非置換、特にC2−C5のアルデヒド);
エーテル/ジエーテル(置換および非置換、特にC2−C5エーテル);
フルオロエーテル(置換および非置換、特にC2−C5のフルオロエーテル);
フルオロアルケン(置換および非置換、特にC2−C6フルオロアルケン);
CFC(特にC2−C5 CFCs);
HFC(特にC2−C5 HFCs);
HCC(特にC2−C5 HCCs);
HCFC(特にC2−C5 HCFCs);
ハロアルケン、好ましくはフルオロアルケンを含む(置換および非置換、特にC2−C6フルオロアルケン);
HFO(特にC2−C5 HFOs);
HClFO(特にC2−C5 HClFOs);
HBrFO(特にC2−C5 HBrFOs);
カーボネート/ジカーボネート;
カルボン酸およびその誘導体(例えば、ギ酸メチルのようなカルボン酸エステル);および、
水:
を有することが好ましい。
【0052】
本明細書中に用いられている用語“HFO”は、炭素原子、フッ素原子および水素原子からなる化合物であって、これ以外の原子を含まず、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する該化合物を意味する。
【0053】
本明細書中に用いられている用語“HClFO”は、炭素原子、塩素原子、フッ素および水素原子からなる化合物であって、これ以外の原子を含まず、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する該化合物を意味する。
【0054】
本明細書中に用いられている用語“HBrFO”は、炭素原子、臭素原子、フッ素および水素原子からなる化合物であって、これ以外の原子を含まず、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する該化合物を意味する。
【0055】
本明細書および請求の範囲を通して用いられている、記号C1−C5等の使用は、少なくとも1つの炭素原子、最大で5の炭素原子等を有する化合物を指す。
広範なHFCsを本組成物および方法内で用いうると考えられるが、ある好ましい実施態様では、組成物内に1以上の以下の成分:
ジフルオロメタン(HFC−32);
ペンタフルオロエタン(HFC−125);
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a):
トリフルオロエタン(HFC−143a);
ジフルオロエタン(HFC−152a);
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea):
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);および
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);
(それぞれの任意およびすべての異性体を含む):を用いることが好ましい。
【0056】
広範なHCFCsを本組成物および方法内で用いて良いと考えられるが、ある好ましい実施態様では、ジクロロトリフルオロエタン(2,2−ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン(HCFC−123)等);および、クロロテトラフルオロエタン(HCFC−124);それぞれの任意のおよび全ての異性体を含む:を分けて、または任意の組み合わせで用いることが好ましい。
【0057】
広範なHCCsを、本組成物および方法内で用いて良いと考えられるが、ある好ましい実施態様では、(trans−1,2−ジクロロエタンを含む1,2−ジクロロエタンのような)ジクロロエタン;エチルクロリド;および2−クロロプロパン:を、分けて、または任意の組み合わせで用いることが好ましい。
【0058】
広範なCFCsを本組成物および方法内で用いうると考えられるが、好ましい実施態様では、(1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン(CFC−113)の様な)トリクロロトリフルオロエタン、特にオリゴマーおよび/ポリマー製造用のモノマーとしての用途に用いることが好ましい。
【0059】
広範なフルオロアルケンを本組成物および方法内で用いうると考えられるが、多くの実施態様では、特に、組成物が1以上のC3またはC4フルオロアルケン、好ましくは次の式I:
XCF3−2 (I)
式中、XはCまたはCの不飽和の、置換または非置換のアルキル基であり、Rはそれぞれ独立的にCl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である:を有する化合物を含むことが特に好ましい。式I化合物の内、非常に好ましいのは、以下の化合物:
フルオロエテン;
フルオロプロペン;
フルオロブテン;
クロロフルオロエテン;
クロロフルオロプロペン;および
クロロフルオロブテン:
である。
【0060】
フルオロエテンの中で、本発明のある実施態様での使用に好ましいのは:CF(モノフルオロエチレンまたはフッ素化ビニルまたはVF);C(1,1−ジフルオロエチレン(フッ素化ビニリデンまたはVDF);CHF(トリフルオロエチレンまたはTHFE);および、C(テトラフルオロエチレンまたはTFE):である。
【0061】
フルオロプロペンの内、本発明のある実施態様での使用に好ましいのは: (3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)の様な全異性体を含む) C; (1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO1234ze)および2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)のシスおよびトランス異性体のような) C;および(HFO−1225の異性体のような)CHF:である。
【0062】
用語“HFO−1234”は、本明細書中では、すべてのテトラフルオロプロペンを指すために用いられる。テトラフルオロプロペン中には、HFO−1234yfおよびそのすべての立体−または幾何−異性体が含まれる。用語HFO−1234yfおよびHFO−1234zeは、本明細書中では、一般的には、それぞれ、その立体異性体とは無関係に、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンおよび1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを指すために用いられる。
【0063】
HFO−1234化合物は、既知の物質であり、Chemical Abstractsデータベースに記載されている。様々な飽和および不飽和のハロゲン含有C化合物の触媒気相フッ素化によるCHCH=CHの様なフルオロプロペンの生成は、米国特許第2,889,379号;第4,798,818号および第4,465,786号に記載されており、そのそれぞれを参照として明細書中に採用する。EP974,571もまた、参照としてここに採用するが、該EP特許は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を、気相中、高い温度でクロムベース触媒と接触させる、または液相でKOH、NaOH、Ca(OH)またはMg(OH)のアルコール溶液と接触させることによって、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを製造することについて開示している。
【0064】
フルオロブテン中、本発明のある実施態様での使用に好ましいのは、:C(その全異性体を含む);C(HFO−1345の全異性体を含む);およびC(HFO−1336の全異性体を含む):である。
【0065】
クロロフルオロエテンの内、本発明のある実施態様での使用に好ましいのは、CCl(CTFE)である。
クロロフルオロプロペンの内、本発明のある実施態様での使用に好ましいのは、モノ−またはジ−塩素化化化合物であり、例えば:2−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233xfを含む)および1−クロロ−3,3,3−トリフルオロ−1−プロペン(HCFO−1233zdの全異性体を含む)の様なCClが含まれる。
【0066】
本発明のある好ましい実施態様では、組成物は、以下の少なくとも1つの式IIのフルオロアルケン:
【0067】
【化5】

【0068】
式中、各Rは独立にCl、F、Br、IまたはHである;
R’は(CRYである;
YはCRFである;および
nは0または1である:
を含む。
【0069】
非常に好ましい実施態様では、YはCFであり、nは0であり、少なくとも1つの残りのRsはFである。
出願人らは、一般に、上で同定された式IおよびIIの化合物は、本組成物内に含まれる場合、一般に有効であり、上で同定された用途のすべて:特に、本発明の冷媒組成物、発泡剤組成物、融和剤、エーロゾル、推進薬、芳香剤、香味調合物、および溶媒組成物を含む:に有効であると考えている。しかしながら、出願人らは、上記の式の構造を有するある化合物が、他のそのような化合物と比較すると、毒性のレベルが非常に低く望ましいことを、驚きを持って思いがけず発見した。容易に分かるように、この発見は、冷媒組成物のみならず任意のすべての組成物の調合にとって、潜在的に数多くの利点および利益をもたらすが、一方では、上記の式を満足させる比較的毒性を有する化合物をも含むであろう。より特別には、出願人らは、式II化合物が比較的低い毒性レベルと関連し、好ましくは、該式中YがCFであり、不飽和末端炭素上のRの少なくとも1つはHであり、残りのRsの内少なくとも1つはFであると考えている。出願人らは、また、該化合物の構造−、幾何−および立体−異性体はすべて有効であり、かつ低毒性で有益であると考えている。
【0070】
非常に好ましい実施態様では、特に上記の低毒性化合物を含む実施態様では、nは0である。ある非常に好ましい実施態様では、本発明の組成物は、1以上のテトラフルオロプロペンを含む。用語「HFO−1234」は、本明細書中では、すべてのテトラフルオロプロペンを指すために使われている。テトラフルオロプロペン中、HFO−1234yfは、熱伝達組成物、方法およびシステムと関連した用途で、非常に好ましい。
【0071】
その他の実施態様では、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)のシス−およびトランス−型のいずれか、または両方を用いることが好ましいであろう。用語HFO−1234zeは、本明細書中では、一般に、シス−またはトランス−型の別なく、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを指すために用いられる。用語「シス−HFO−1234ze」および「トランス−HFO−1234ze」は、本明細書中では、それぞれ、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンのシス型およびトランス型を表すものとして用いられる。それ故、用語「HFO−1234ze」は、その範囲内に、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、およびこれらの全組み合わせならびに混合物を含む。
【0072】
シス−HFO−1234zeおよびトランス−HFO−1234zeの性質は少なくともいくつかの点で異なるが、個々の該化合物は、本明細書中に記載の個々の用途、方法およびシステムと関連して、単独で、またはその立体異性体を含むその他の化合物と一緒でのいずれかで、使用に適していると考えられる。例えば、トランス−HFO−1234zeは、その比較的低い沸点(−19℃)故に、ある冷凍システム内での使用に適しているであろうが、それにも関わらず、沸点が+19℃であるシス−HFO−1234zeもまた、本発明のある冷凍システムでは有用であると考えられる。従って、用語「HFO−1234ze」および1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは、両立体異性体を指すと考えられ、該用語を用いた場合、別に指示しない限り、シス−およびトランス−型のそれぞれが用いられ、記載した目的に有用であることを示すつもりである。
【0073】
HFO−1234化合物は既知の物質であり、Chemical Abstractsデータベースに記載されている。様々な飽和および不飽和ハロゲン含有C3化合物の気相触媒フッ素化によるCHCH=CHの様なフルオロプロペンの生成は、米国特許第2,889,379号、4,798,818号および4,465,786号に記載されており、そのそれぞれを本明細書中に参照として採用する。EP974,571もまた本明細書中に参照として採用されるが、該EP特許は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を気相中、高温でクロム−ベース触媒と、または液相中、KOH、NaOH、Ca(0OH)またはMg(OH)のアルコール溶液と、接触させることによる1,1,1,3−テトラフルオロプロペンの製造について開示している。さらに、本発明による化合物製造方法は、例を制限するものではないが、米国同時係属出願10/694,272「フルオロプロペンの生成方法」(“Process for Producing Fluoropropenes”)および米国仮特許出願60/733355(2005年11月3日提出)に記載されており、各々を本明細書中に参照として採用する。
【0074】
本組成物、特にHFO−1234およびHFO−1234yfを含む該組成物は、数多くの重要な理由から都合良い性質を持つと考えられる。例えば、出願人らは、少なくとも数学的モデルの一部に基づいて、本発明のフルオロオレフィンは、いくつかの他のハロゲン化種と比較してオゾン層の破壊については無視できる物質であり、環境化学への負の影響を実質的には持たないであろうると考えられる。このように、本発明の好ましい組成物は、実質上オゾン層破壊に関与しない長所を持つ。また、好ましい組成物は、現在使用されている多数のヒドロフルオロアルカンと比較して、地球温暖化に実質上寄与しない。
【0075】
本組成物中に含まれる式I化合物、特にHFO−1234、の量は特定の用途によって広範に変えることができ、約1重量%より多く100%より少ない化合物を含む組成物は、広く本発明の範囲である。好ましい実施態様では、本組成物は、HFO−1234、好ましくはHFO−1234yfを、約5重量%から約99重量%の量で、さらにより好ましくは約5%から約95%の量で含む。
【0076】
例としてであり、制限するつもりはないが、本組成物のある好ましい実施態様は、本発明のヨードカーボン化合物に加えて(さらに、存在する場合には安定剤化合物に加えて)、本発明のフルオロアルケン化合物および/またはHFCsを含んで良く、組成物の広域、中間域、および特定域の範囲(量はすべてその前に「約」が付いていると理解されたい)を、以下の表1に示した三つの成分の総重量をベースにして、%で示している。
【0077】
【表1】

【0078】
本組成物のある好ましい実施態様は、本発明では存在していることが望ましい安定剤、および熱伝達流体中にも存在していることが望ましい任意の油または潤滑剤に加えて、CFIおよび1以上のフッ化アルケン化合物を含んで良い。ある好ましい形では、フルオロアルケンは、本質的にテトラフルオロプロペン、より好ましくはHFO−1234yfからなる。組成物の広域、中間域、および特定域の範囲(量はすべて前に「約」が付いているものと理解されたい)を、以下の表2に示した成分総重量をベースにした%で示す。
【0079】
【表2】

【0080】
本発明のある非常に好ましい実施態様は、特に自動車用空調システムに用いられる熱伝達流体を含み、約65から約75重量%のHFO−1234yfと約25から約35重量%のCFI、さらにより好ましくは約70重量%のHFO−1234yfと約30重量%のCFIを含む。(該%は、HFOとCFIを合わせた総重量をベースにしている。)
本組成物のある非常に好ましい実施態様は、本発明で存在する任意の安定剤に加え、CFI、本発明のあるフルオロアルケン化合物(好ましくはHFO−1234ze)および/またはあるHFCs(好ましくはHFC−152a)を以下の表のように含んで良く、組成物の広域、中間域および特定域の範囲(量はすべて前に「約」が付くと理解されたい)を、以下の表3に示す三つの成分の総重量をベースにした%で、示す。
【0081】
【表3】

【0082】
本組成物のある好ましい実施態様は、本発明の安定剤に加えて、CF3I、本発明のあるフルオロアルケン化合物および/またはあるHFCs(好ましくはHFC−32)を以下の表に示したように含んで良く、組成物の広域、中間域および限定域の範囲(量はすべて前に「約」が付くと理解されたい)を、表4に示す三つの成分の総重量をベースにした%で、示す。
【0083】
【表4】

【0084】
3.潤滑剤
本発明のある面に従って、組成物は、ヨードカーボン化合物(単数または複数)に加えて、潤滑剤または油を含む。任意の様々な慣用の潤滑剤を、本発明の組成物中で用いることができる。そのような組成物は、以後により詳しく説明するように、加熱または冷却循環装置内の冷媒としての用途に特に適している。
【0085】
4.その他の成分
任意の様々なその他の付加物を、本発明の組成物中で使用して良い。適当な付加物の例としては、ニトロメタンのような金属パッシベーター、潤滑剤のなめらかさ、およびロードベアリング特性を改良する極圧(extreme pressurez)(EP)添加物が含まれる。EP添加物の例は、米国特許第4,755,316号(表D)に記載されており、本明細書中に採用する。EP添加物の例は、Lubrizol Corporationで製造されているLubrizol(登録商標)8478を含むオルガノホスフェートである。腐食阻害剤もまた有効であり、米国特許第4,755,316号(表D)に開示されている。
【0086】
熱伝達組成物
本発明の組成物は、本明細書中に記した化合物をそれぞれ広範な量で含んで良いと考えられるが、熱伝達組成物、特に本発明の冷媒組成物は、ヨードカーボン化合物(単数または複数)、さらにより好ましくはC1−C3のヨードフルオロカーボン化合物を、組成物の少なくとも約25重量%の量で含むことが一般に好ましい。組成物がHFC、特にHFC−152aを含むある好ましい実施態様では、該組成物は、少なくとも約40重量%、さらにより好ましくは少なくとも約50重量%のHFC−152aを含む。
【0087】
本発明による好ましい冷媒または熱伝達組成物、特に蒸気圧縮システム内で用いられる該組成物は、潤滑剤を、一般的には組成物の約30から約50重量%の量で含む。潤滑剤についての重要な要求は、コンプレッサーがなめらかに動くようにシステムのコンプレッサーへ潤滑剤が充分に戻る必要があることである。従って、潤滑剤の適合性は、部分的には冷媒/潤滑剤特性によって、部分的にはシステム特性によって、決まる。適当な潤滑剤の例としては、鉱物油、アルキルベンゼン、ポリオールエステル(ポリアルキレングリコールを含む)およびポリビニルエーテル(PVEs)等が含まれる。鉱物油には、パラフィン油またはナフテン油が含まれ、商品として入手可能である。商品として入手できる鉱物油には、WitcoからのWitco LP250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS(登録商標)およびCalumetからのCalumet R015が含まれる。商品として入手できるアルキルベンゼン潤滑剤には、Zerol150(登録商標)、が含まれる。商品として入手できるエステルには、ネオペンチルグリコールジペラルゴネートが含まれ、該物質は、Emery 2917(登録商標)およびHatcol 2370(登録商標)として入手できる。その他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステルおよびフルオロエステルが含まれる。ある場合には、炭化水素ベース油はヨードカーボンからなる冷媒に充分な溶解度を有し、ヨードカーボンと炭水化物油の組み合わせは、他の型の潤滑剤より安定であろう。それ故、該組み合わせは有益であろう。好ましい潤滑剤には、ポリアルキレングリコールおよびエステルが含まれる。ポリアルキレングリコールは、現在では可動空調のような特定用途で用いられているために、ある実施態様では非常に好ましい。もちろん、異なる種類の別の潤滑剤を混合して用いても良い。
【0088】
また、本組成物の好ましい形では、プロパンのような融和剤を、潤滑剤の融和性および/または溶解性を助ける目的で、含んでいても良い。プロパン、ブタンおよびペンタンを含むそのような融和剤は、好ましくは、組成物の約0.5から約5重量%の量で存在する。界面活性剤と溶解剤の組み合わせもまた、油溶解性を助けるために本組成物に加えても良く、該内容は米国特許第6,516,837号に開示されており、本明細書中に参照として採用する。
【0089】
多くの現存する冷凍システムは、目下のところ、現存する冷媒を用いての使用に適しており、本発明のある組成物は、多くのそのようなシステムで、システム修正を伴う、または伴わないままでの使用に適していると考えられる。多くの適用では、本発明の組成物は、冷媒をベースにして現在比較的大容量を有するシステムでの代替として利点を提供する。さらに、本発明のより低容量の冷媒組成物の使用が好ましい実施態様では、例えば、より高い容量の冷媒を置き換える場合と比較して、価格面から、本組成物の該実施態様は、潜在的な利点を提供する。従って、ある実施態様では、特にHFC−134aのような現在用いられている冷媒の代替として、本発明の組成物、特にトランスHFO−1234yfを実質的な割合で含む、またある実施態様では、該物質を主な割合で含む組成物を用いることが好ましい。ある適用に於いて、本発明の冷媒は、より大きいコンプレッサーを置換して有益に使用することを潜在的に可能にし、それによって、HFC−134aのような他の冷媒よりエネルギー効率が良くなる。それ故、本発明の冷媒組成物、特にトランスHFP−1234zeを含む組成物は、冷媒置換適用にエネルギーベース上競争的利益を達成する可能性を提供する。
【0090】
本発明の組成物、特にHFO−1234(特にHFO−1234yf)を含む該組成物はまた、(オリジナルシステムで、またはR−12およびR−500の様な冷媒を置換するために用いられる場合のいずれかで、)市販の空調システムで典型的に用いられるチラーで、利点を有すると考えられる。そのようなある実施態様では、該HFO−1234組成物中に、約0.5から約60%の火炎抑制剤、より好ましくは約20から約50重量%、好ましくは本発明のCFIの様なヨードカーボン、を含むことが好ましい。
このように、該方法、システムおよび組成物は、自動車用空調システムおよび装置、市販の冷凍システムおよび装置、チラー、住宅用冷凍冷蔵庫、一般の空調システム、ヒートポンプ、ORCsならびにCRCs等での使用に適している。
【0091】
III. 発泡剤、泡および発泡性組成物
発泡剤もまた、1以上の本組成物を含む、または、該組成物から構成されて良い。上記のように、本発明の組成物は、本発明のヨードカーボン化合物およびジエン−ベース化合物を、広範囲の量で含んで良い。しかしながら、一般的には、本発明による発泡剤としての使用に好ましい組成物では、ヨードカーボン化合物は、本組成物の少なくとも約1重量%、さらにより好ましくは少なくとも約50重量%である量で存在することが好ましい。
【0092】
ある好ましい実施態様では、本発明の発泡剤組成物は、HFO−1234(好ましくはHFO−1234ze)に加えて、1以上の以下の成分:
ジフルオロメタン(HFC−32);
ペンタフルオロエタン(HFC−125);
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134);
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a);
ジフルオロエタン(HFC−152a);
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea);
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa);
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc);
水;
CO2;
メチルホルメートおよびその誘導体;
アルコール(C1−C4)およびその誘導体;
ケトンおよびその誘導体;
アルデヒドおよびその誘導体;
エーテル/ジエーテルおよびその誘導体;
カルボネートおよびその誘導体;
ジカルボネートおよびその誘導体;および、。
カルボン酸およびそれらの誘導体:
を、共発泡剤、増量剤、蒸気圧調節剤として、もしくは任意のその他の目的のために含んでいて良い。
【0093】
本発明の発泡剤組成物は、シスHFO−1234ze、トランスHFO−1234zeまたはその組み合わせを含んで良いと考えられる。ある好ましい実施態様では、本発明の発泡剤組成物は、シスHFO−1234zeおよびトランスHFO−1234zeをシス:トランス重量比が約1:99から約30:70、さらにより好ましくは約1:99から約5:95の組み合わせで含む。
【0094】
その他の実施態様では、本発明は、発泡性組成物、好ましくはポリウレタン、ポリイソシアヌレート、フェノール性泡、押し出し熱可塑性泡組成物、インテグラルスキンフォーム(integral skin foam)および本発明の組成物を用いて製造した泡を加圧する1または2の成分を提供する。そのような泡での実施態様では、1以上の本組成物を、発泡性組成物中に発泡剤として、またはその一部として含み、該組成物には、好ましくは、この技術分野で周知の泡または気泡構造を形成する適当な条件下で反応するおよび/または発泡する能力を持つ1以上のさらなる成分が含まれる。また、本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマー泡調合物から製造される泡、好ましくはクローズドセルフォーム(closed cell foam)に関する。さらなるその他の実施態様では、本発明は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)およびポリエチレンテレフタレート(PET)泡、好ましくは低密度泡のような、熱可塑性泡を含む発泡性組成物を提供する。
【0095】
ある好ましい実施態様では、分散剤、気泡安定剤、界面活性剤およびその他の添加物もまた、本発明の発泡剤組成物内に組み込んでも良い。界面活性剤は、所望によるが、気泡安定剤として供与されるために加えることが好ましい。代表的な物質のいくつかは、一般的にポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーであり、DC−193、B−8404およびL−5340の名前で販売されている。また、該コポリマーは米国特許第2,834,748号、2,917,480号および2,846,458号に開示されており、本明細書中に参照として採用する。発泡剤混合物用のその他の所望の添加物は、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2,3−ジブロモプロピル)−ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、様々なハロゲン化芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム3水和物および塩化ポリビニル等を含んで良い。
【0096】
IV. 推進薬組成物
もう一つの面では、本発明は、本発明の組成物を含む、または実質上からなる推進薬組成物を提供し、該推進薬組成物は、好ましくは、噴霧可能な組成物である。好ましくは、本発明の推進薬組成物は、噴霧される材料および本発明による組成物を含む、本質的にからなる、またはからなる推進薬を含む。不活性成分、溶媒およびその他の材料もまた、噴霧可能混合物内に存在しても良い。好ましくは、噴霧可能組成物はエーロゾルである。噴霧される適当な物質には、限定するつもりはないが、脱臭剤、香料、ヘアスプレー、クレンザーおよび研磨剤のような化粧品材料、ならびに抗喘息薬および抗口臭薬のような医療用材料、および吸入予定の任意のその他の医薬または薬剤を含むその他の任意の医薬等が含まれる。医薬またはその他の治療剤は、好ましくは、本発明の式I化合物、好ましくはHFO−1234、さらにより好ましくはHFO−1234zeを含む組成物を実質的に優位な割合で含む組成物内に治療に必要な量で存在する。
【0097】
工業、消費または医療用途のためのエーロゾル生成物は、典型的には、1以上の活性成分、不活性成分または溶媒と共に、1以上の推進薬を含む。推進薬は、生成物をエーロゾル化形式にする力を提供する。いくつかのエーロゾル生成物は、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素および空気のような圧縮ガスで推進されるが、ほとんどの商品として販売されているエーロゾルには液化ガス推進薬が用いられている。大多数で共通に用いられている液化ガス推進薬は、ブタン、イソブタンおよびプロパンのような炭化水素である。ジメチルエーテルおよびHFC−152(1,1−ジフルオロエタン)もまた、単独または炭化水素推進薬との混合物としてのいずれかで、用いられる。残念なことに、これらの液化ガス推進薬はすべて可燃性が高く、エーロゾル調合物内へ該推進薬を加えると、場合によっては可燃性エーロゾル生成物を生ずるであろう。
【0098】
出願人らは、エーロゾル推進薬を調合するための不燃性液化ガス推進薬を引き続き必要とすると考えるに至った。本発明は、本発明の組成物、特に好ましくはHFO−1234、さらにより好ましくはHFO−1234zeおよび/またはHFO−1234yfを含む組成物を、例えば噴霧洗浄剤、潤滑剤等を含むある工業用エーロゾル生成物に、および例えば肺または粘膜へ薬物を運ぶために含まれる薬用エーロゾルに、提供する。該薬用エーロゾルには、喘息治療およびその他の慢性肺動脈閉鎖症を治療する、ならびに到達可能な粘膜または鼻孔内近辺へ薬剤を配達するための定量噴霧吸入器(metered dose inhalers)(MDIs)が含まれる。このように、本発明は、不快、病気および(ヒトまたは動物のような)生物体の類似の健康関連問題を治療する方法を含み、該方法には、治療を必要とする生物体へ薬剤またはその他の治療成分を含む本発明の組成物を適用することが含まれる。ある好ましい実施態様では、本組成物を適用する手順には、本発明の組成物を含むMDIを提供(例えばMDIへの組成物を導入)し、次にMDIから本組成物を放出することが含まれる。
【0099】
本発明の組成物、特に、HFO−1234(好ましくはHFO−1234zeおよび/またはHFO−1234yf)を含む、または主要な割合で含む該組成物は、実質上地球温暖化に寄与しない不燃性、液化ガス推進薬およびエーロゾルを提供することができる。本組成物を用いて、様々な工業用エーロゾルまたはコンタクトクリーナー、ダスターおよび潤滑剤スプレー等の様なその他の噴霧可能組成物、ならびに個人用ケア製品、家庭用製品および自動車用製品の様な消費者用エーロゾルを調合することができる。特に、HFO−1234zeは、定量噴霧式吸入器のような医薬用エーロゾル内に、推進剤組成物の重要成分として用いることが好ましい。多くの適用に於いて、本発明の医療用エーロゾルおよび/または推進薬および/または噴霧可能組成物は、式(I)または(II)の化合物(好ましくはHFO−1234ze)に加えて、β−作用薬、コルチコステロイドまたはその他の薬剤のような薬剤、および所望により、界面活性剤、溶媒、その他の推進薬、香料およびその他の付形剤のようなその他の成分を含む。本発明の組成物は、以前これらの用途に用いられた多くの組成物と違って、環境によい性質を有し、地球温暖化への潜在的一因になるとは考えられない。それ故、本組成物は、ある好ましい実施態様では、実質上、非常に低い地球温暖化係数を有する不燃性の液化ガス推進薬を提供する。
【0100】
V. 香味料および芳香剤
また、本発明の組成物は、香味剤調合物および芳香剤調合物の一部分として、特別には該組成物のキャリヤーとして用いる場合に、利点を提供する。本目的での本組成物の適合性は、以下の試験方法によって証明される。0.39gのジャスモンを重壁のガラス管内に入れ、1.73gのR−1234zeを該ガラス管に加えた。次に該管を凍結し封印した。該管を融解したとき、混合物は、液相が一相であることが分かった。溶液はジャスモンを20重量%、R−1234zeを80重量%含み、エーロゾルおよびその他の調合物内で香味調合物のキャリヤーまたは配達システムの一部としての使用が好ましいことを確証した。植物成分を含む芳香抽出物の可能性もまた、立証される。ある実施態様では、超臨界状態で本液体との抽出適用に本組成物を用いることは、望ましいことであって良い。超臨界状態またはこれに近い状態での本組成物の使用を含む様々な適用を以下に記載する。
【0101】
VI. 安定剤組成物
本発明は、1つの面では、任意の1つの上記組成物中の添加物として、より一般的には、ヨードカーボン化合物(単数または複数)を含む、またはこれに晒されるであろう任意の組成物用の添加物として使用するための安定剤組成物を提供する。それ故、該組成物中では、ヨードカーボン化合物(単数または複数)の存在は必要ではないが、上記のジエンベース化合物は存在する必要がある。好ましい実施態様では、本発明の安定剤組成物は、ジエンベース化合物、ならびに上記の添加安定剤の群から選択された、好ましくはフェノール化合物(単数または複数)、エポキシ化合物(単数または複数)、ホスファイト、ホスフェートおよびこれらの組み合わせから選択された、少なくとも1つの添加安定剤を含む。
【0102】
VI. 方法およびシステム
本発明の組成物は、数多くの方法およびシステムで有効であり、冷凍、空調およびヒートポンプシステムにおいて用いる冷媒のような熱伝達の方法およびシステム内に熱伝達流体として含まれる。また、本組成物は、エーロゾルを生成するシステムならびに方法での使用に有利であり、該システムおよび方法では、好ましくはエーロゾル推進薬を含む、またはからなる。泡形成法および火炎消火および抑制法もまた、本発明のある態様に含まれる。また、本発明は、ある態様に於いて、本組成物を該方法およびシステム内の溶媒組成物として用いる製品から残留物を除く方法を提供する。
【0103】
A. 熱伝達法
一般的に、好ましい熱伝達法は、本発明の組成物を提供すること、好ましくは組成物の相変化および/または顕熱伝達によって本組成物へ又は該組成物から伝達される熱を原因とすることを含む。例えば、本方法は、液体または製品から熱を吸収することによる冷却、好ましくは冷却されるボディーまたは流体付近で本冷媒組成物を蒸発させ本組成物を含む蒸気を発生させることにより、冷却を提供する。好ましくは、該方法は、通常はコンプレッサーまたは類似の装置で冷媒蒸気を圧縮し比較的高圧で本組成物の蒸気を発生させる工程をさらに含む。一般的に、蒸気を圧縮する工程は蒸気に熱を付加する結果となり、従って、比較的高圧な蒸気の温度を上昇させる原因となる。好ましくは、本方法は、比較的高い温度の高圧蒸気から蒸発および圧縮工程によって付加された熱の少なくとも一部分を除去することを含む。熱除去工程は、好ましくは高温高圧蒸気を凝縮することを含むが、一方で蒸気は比較的高圧状態内にあり、本発明の組成物を含む比較的高圧の液体を生じる。この比較的高圧な液体は、好ましくは、この後、圧力における見かけの等エンタルピー減少を起こして、比較的低温で低圧の液体を生ずる。そのような実施態様において、該液体は、冷却されるボディーまたは流体から伝達された熱によって蒸発する、温度が低下した該冷媒液体である。
【0104】
本発明のもう一つのプロセス実施態様では、本発明の組成物を加熱を発生させる方法に用いることができ、該方法は加熱される液体またはボディーの近くで組成物を含む冷媒を凝縮することを含む。以下に記載するような、そのような方法は、しばしば上記の冷凍循環の逆循環である。
【0105】
B. 発泡法
本発明の1つの実施態様は、泡、好ましくはポリウレタンおよびポリイソシアヌレート泡を形成する方法に関する。一般に、その方法は、本発明の発泡剤組成物を提供し、該発泡剤組成物を発泡性組成物に(直接または間接的に)加え、さらにこの技術分野で周知のような泡または気泡構造形成に有効な条件下で発泡性組成物を反応させることを含む。“polyurethane Chemistry and Technology” Volumes I and II, Saunders and Frisch, 1962,New York, NY(「ポリウレタンの化学および技術」第1巻および第2巻)(本明細書中に参照として採用する)に記載の方法の様な、この技術分野で周知の任意の方法を、本発明の泡の実施態様で使用できる、または使用に適している。一般に、そのような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオールまたはポリオールの混合物、1以上の本組成物を含む発泡剤または発泡剤の混合物、ならびに触媒、界面活性剤、所望により難燃剤、着色剤またはその他の添加物のようなその他の材料を組み合せることにより、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート泡を製造することを含む。
【0106】
多くの適用では、前混合調合物内にポリウレタンまたはポリイソシアヌレート泡のための成分を提供すると都合がよい。最も典型的には、泡調合物を2つの成分内に前もって混合する。イソシアネートならびに所望によりある界面活性剤および発泡剤は、第一成分、通例A成分と呼ばれる、に含まれる。ポリオールまたはポリオール混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、およびその他のイソシアネート反応成分は、第二成分、通例B成分と呼ばれる、に含まれる。従って、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレート泡は、AおよびB副成分を一緒に、少量製造では手動混合、好ましくは機械混合技術のいずれかにもたらし、ブロック、スラブ、ラミネート、pour−in−placeパネルならびにその他のアイテム、噴霧適用泡、および泡(froth)等を形成することによって、容易に製造される。所望により、難燃剤、着色料、発泡剤のようなその他の成分およびさらなるその他のポリオールを、第三の流れとして混合ヘッドまたは反応サイトに加えることができる。また、所望により、これらの成分のそれぞれを、一部分はB成分に、さらに、一部分は混合ヘットまたは反応サイトへ第三流として加えることができる。しかしながら、最も好ましくは、該成分はすべて、上記のように1つのB成分内に組み込まれる。
【0107】
また、本発明の組成物を用いて熱可塑性泡を生成することも可能である。例えば、慣用のポリスチレンおよびポリエチレン調合物は、硬い泡を生成する慣用の方式で該組成物と組み合せることができる。
【0108】
C. 洗浄方法
また、本発明は、本発明の組成物を製品に適用することにより、生産品、部品、コンポーネント、基板または任意のその他の製品およびその部分から汚染物質を除去する方法を提供する。便宜上の目的で、用語「製品」は、本明細書中では、そのような生産品、部品、コンポーネントおよび基板等のすべてを指すために用いられ、さらにその任意の表面または部分をも指すつもりである。さらに、用語「汚染物質」は、製品上に存在する任意の望ましくないの材料または物質を指すつもりであり、該物質が意図的に製品上に置かれている場合も含まれる。例えば、半導体装置の製造では、フォトレジスト材料を基板上に堆積させエッチング操作のためのマスクを形成させ、後に基板からフォトレジスト材料を除去することが一般的である。ここで用いられている用語「汚染物質」は、該フォトレジスト材料を覆うおよび取り巻くものを指すつもりである。
【0109】
本発明の好ましい方法は、本組成物を製品に適用することを含む。数多くの多様な洗浄技術で、本発明の組成物を有利に用いることができると考えられるが、本組成物を超臨界洗浄技術に用いることは特に好都合であると考えられる。超臨界洗浄は、米国特許第6,589,355号に開示されており、該特許は本発明の譲渡人に譲渡され、本明細書中に参照として採用する。超臨界洗浄適用については、ある実施態様では、HFO−1234(好ましくはHFO−1234ze)に加えて、COおよび超臨界洗浄適用に関する使用が知られているその他の添加成分のような1以上の添加成分を、本洗浄組成物内に含むことが好ましい。また、ある実施態様では、本洗浄組成物を、ある用途、特に汚れを除去することが難しい複雑な部品を含む用途に特に好ましい、蒸気脱脂および溶媒洗浄法や特定の蒸気脱脂および溶媒洗浄法で用いることも可能であり望ましいであろう。好ましい蒸気脱脂溶媒洗浄法は、製品を、好ましくは室温で沸騰溶媒の蒸気に晒すことからなる。物体上に凝縮された蒸気は、グリースまたはその他の汚れを洗い流すために比較的清浄な蒸留された溶媒を提供すると言う利点を有する。このように、該方法は、物体を液体溶媒内で単純に洗う場合と比較して、物体からの本溶媒組成物の最終蒸発が比較的少量の残留物しか残さないと言う利点を有する。
【0110】
除去が難しい汚れを製品が含む用途に関して、本方法は、本発明の溶媒組成物の温度を周辺より上げる、または該用途で溶媒の洗浄作用を実質上改善するに有効な任意のその他の温度に上昇させることを含むことが好ましい。また、一般に、該方法は、製品、特に金属部品および組み立て品の洗浄を有効かつ迅速に行わねばならない大容量組み立てライン操作に関して好ましい。
【0111】
好ましい実施態様では、本発明の洗浄方法は、洗浄される製品を、高温、さらにより好ましくはおおよそ溶媒の沸点で、液体溶媒中に浸すことを含む。該操作において、この工程は、好ましくは、製品から標的汚染物質を実質量、さらにより好ましくはその主要部分を除去する。好ましくは、該工程の後、溶媒、好ましくは新たに蒸留した溶媒に製品を浸すが、該溶媒は、前の浸せき工程での液体溶媒の温度より低い温度、好ましくはおおよそ周辺温度または室温である。また、好ましい方法は、次に製品を比較的高温の蒸気の本溶媒組成物と、好ましくは最初に記した浸せき工程に関連する熱い/沸騰溶媒から生じる溶媒蒸気に製品を晒すことによって、接触させる工程を含む。好ましくは、この工程は製品上に溶媒蒸気を凝縮させる。ある好ましい実施態様では、製品に最終洗浄前の蒸留した溶媒を噴霧しても良い。
【0112】
多数の種類とタイプの蒸気脱脂装置が、本方法に関連する用途における使用に適している。そのような装置および操作の一例が、Sherlikerら、米国特許第3,085,918号に開示されており、ここに参照として採用する。Sherlikerらに開示された装置は、溶媒組成物を含むための沸騰だめ、蒸留した溶媒を含むためのクリーンだめ、水分離器およびその他の補助装置を含む。
【0113】
また、本洗浄方法は、汚れた製品を周辺温度または室温条件で本発明の流体組成物内に浸すか、あるいは同様の条件下で溶媒内に浸されたラグまたは同様の物品でふき取る、コールドクリーニング(cold cleaning)を含む。
【0114】
ある好ましい洗浄法は、本発明の組成物で基板をフラッシングすることを含む。
D. 可燃性低減法
あるその他の好ましい実施態様では、本発明は、液体の可燃性を低減する方法を提供し、該方法は、本発明の化合物または組成物を該流体に加えることを含む。可燃性流体の任意の広範な範囲の可燃性を、本発明に従って低減できる。例えば、酸化エチレン、可燃性フッ化炭化水素および炭化水素:HFC−152a、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロメタン(HFC−32)、プロパン、ヘキサン、オクタン等を含む:の様な流体に関連する可燃性を、本発明により低減できる。例えば、本発明のある組成物は、CFIおよびHFC−152aを、これら2成分の総量をベースにして、0より大きく約38.5%のCFI、より好ましくは0より大きく約35%のCFI、および約61.5から100未満、さらにより好ましくは約65から約100未満のHFC−152aの量で含む。本発明の目的に関して、可燃性流体は、ASTME−681等の様な任意の標準慣用試験法等によって測定されるように、空気中で可燃性範囲を示す任意の流体であって良い。
【0115】
本化合物または組成物の任意の適当な量を添加すると、本発明に従って、流体の可燃性を低減できる。当業者らに認識されるであろうように、加えられる量は、少なくとも部分的には、流体が可燃性である程度、およびその可燃性の低減を望む程度に依存するであろう。ある好ましい実施態様では、可燃性流体に加えられる化合物または組成物の量は、結果的に流体を実質上不燃性にするのに効果的な量である。
【0116】
E. 火炎抑制法
さらに、本発明は、火炎を抑制する方法を提供し、該方法は、火炎を本発明の1つの化合物または組成物を含む流体と接触させることを含む。本組成物と火炎を接触させる任意の適当な方法を用いることができる。例えば、本発明の組成物を火炎上に噴霧および注入等して良く、または火炎の少なくとも一部分を組成物内に浸しても良い。本明細書中での教示にかんがみて、当業者らは、本発明における用途について、様々な慣用の火炎抑制のための装置および方法を容易に適合できるであろう。
【0117】
F. 滅菌法
特に医療分野で使用するための、多くの製品、装置および材料は、患者および病院職員の健康および安全と言ったような、健康および安全の理由で使用前に滅菌されねばならない。本発明は、滅菌される製品、装置または材料を本発明の化合物または組成物と接触させることを含む、滅菌方法を提供する。該方法は、高温滅菌法または低温滅菌法のいずれかであって良い。ある実施態様では、高温滅菌は、滅菌される製品、装置または材料を、温度約250゜Fから約270゜Fで、好ましくは実質上密封したチャンバ内で本発明の化合物または組成物を含む高温流体に晒すことを含む。方法は、通常約2時間以内で終えることができる。しかしながら、プラスチック製品および電気部品のようないくつかの物品は、そのような高温に耐えることができず、低温での滅菌が必要である。
【0118】
本発明の低温殺菌は、本発明の化合物または組成物を約100゜Fから約200゜Fの温度で使用することを含む。本発明の化合物を、例えば、酸化エチレン(EO)、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素およびオゾンを含む他の共通の化学滅菌剤と合わせると、本発明の滅菌組成物を形成することができる。
【0119】
本発明の低温殺菌は、好ましくは少なくとの2工程の方法であり、実質上密封された、好ましくは気密のチャンバ中で行われる。第一工程(滅菌工程)では、洗浄されガス浸透性バック内に包まれた製品をチャンバ内に置く。次に、バキュームを引き、さらに多分蒸気で空気を置換することにより、空気をチャンバから排気した。ある実施態様では、チャンバ内に蒸気を注入し、好ましくは約30%から約70%の範囲の相対湿度を達成することが好ましい。該湿度は、滅菌剤の滅菌効果を最大にすることができ、所望の相対湿度が達成された後に該滅菌剤をチャンバ内に導入する。滅菌剤がラッピングを浸透し製品の隙間に到達するに充分な時間の後、滅菌剤および蒸気をチャンバから排気する。
【0120】
好ましい方法の第二工程(通気工程)では、製品を通気し滅菌剤残留物を取り除く。該残留物を除去することは、特に毒性を有する滅菌剤を用いる場合に重要であるが、本発明の実質上無毒な化合物を用いる場合には、任意である。典型的な通気工程は、空気洗浄、連続通気、および両方の組み合わせを含む。空気洗浄は、バッチ法であり、通常チャンバを比較的短時間、例えば12分間、排気にし、次に空気を大気圧またはより高圧でチャンバ内に導入することを含む。このサイクルを、所望の滅菌剤の除去が達成されるまで、任意の回数、繰り返す。典型的には、連続通気は、チャンバの片側の入り口を通して空気を導入し、次に出口をわずかに真空にすることにより、それをチャンバの反対側の出口を通して引き出すことを含む。しばしば、2つのアプローチは組み合わされる。例えば、共通のアプローチは、空気洗浄およびこれに続く通気サイクルを行うことを含む。
【0121】
G. 安定化法
さらに、本発明は、トリフルオロヨードメタンのようなヨードカーボンを含む組成物を安定化する方法を提供する。好ましい方法工程は、少なくとも1つのヨードカーボン化合物を提供し、本発明のジエンベース化合物に化合物を晒すことによって該少なくとも1つのヨードカーボン化合物を安定化することを含む。多くの実施態様では、ヨードカーボン提供工程は、上記の具体的なタイプの組成物を含む組成物を提供し、好ましくは本発明の有効量の安定剤組成物を該ヨードカーボン組成物と混合することによって、本発明の該組成物およびジエンベース化合物に加えることを含む。
【0122】
H. 超臨界法
一般に、本明細書中に記載されている多くの用途および方法は、超臨界または超臨界に近い状態で本組成物で行うことができると考えられる。例えば、本組成物を溶媒中および本明細書中に記載の溶媒抽出適用に、特に(一般に植物源から誘導される)アルカロイド、例えばカフェイン、コデインおよびパパベリン、の様な材料に関連する用途、一般には触媒として有効なメタロセンような有機金属材料、ならびにジャスモンのような香料および香味に、用いることができる。
【0123】
本組成物を、好ましくは超臨界または超臨界に近い状態で、触媒、特に有機金属触媒の固体担体上への堆積を含む方法に関連して、使用できる。1つの好ましい実施態様では、これらの方法は、好ましくは、超臨界または超臨界に近い状態で本組成物から該触媒粒子を沈殿させることによって、微粉化された触媒粒子を生成する工程を含む。ある好ましい実施態様では、本方法に従って製造された触媒は、優れた活性を示すであろうと期待される。
【0124】
また、本明細書中に記載のMDI法および装置のあるものは、薬剤を微粉化された形で利用できると考えられ、そのような状況では、本発明は、好ましくは超臨界または超臨界に近い状態で、好ましくは本発明の組成物に該粒子を溶解することによって、本流体内にアルブテロールの様なそのような微粉化された薬剤粒子を組み込む工程を含む方法を提供すると考えられる。本発明の流体が超臨界または超臨界に近い状態内にあるとき材料の溶解性が比較的低い場合には、アルコールのような添加溶剤の使用が好ましいであろう。
【0125】
また、超臨界または超臨界に近い状態では、本組成物を、回路基板ならびにその他の電気材料および製品を洗浄するために用いることができると考えられる。
ある材料は、特に超臨界または超臨界に近い状態のとき、本組成物中の溶解度が非常に制限される場合がある。そのような状況に関して、本組成物を、二酸化炭素のようなもう一つの超臨界または超臨界に近い溶媒中の溶液からの該低溶解度溶質の沈殿に対する対抗溶媒(anti−solvent)として用いることができる。例えば、超臨界二酸化炭素を、時折、熱可塑性泡の押出プロセスにおいて使用し、本組成物を、その中に含まれるある材料を沈殿させるために用いることができる。
【0126】
また、ある実施態様では、超臨界または超臨界に近い状態のとき、発泡剤として本組成物を用いることが望ましいであろう。
【実施例】
【0127】
実施例
以下の実施例によって、さらに用途を説明するが、該実施例は実例であっていかなる場合も制限を意図するものではない。
【0128】
実施例1
本実施例は、CFI、PAG油およびイソプレンを含む本発明の安定化組成物について説明する。
【0129】
トリフルオロヨードメタン(25重量%)およびHFO−1234yf(75重量%)の混合物(1.6g)を、PAG99重量%およびイソプレン1重量%を含む組成物3gに加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片(metal coupon)と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブンに2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0130】
観察上、混合物は1つの相であり、このことは冷媒が期間中混和性を残しており、PAG油に可溶であることを示している。さらに、管内の液体は透明な薄黄色である。スチール片にも変化は認められない。
【0131】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ素化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.23±0.07重量%である。
【0132】
実施例2
本実施例は、CFI、PAG油およびミルセンを含む本発明の安定化組成物について説明している。
【0133】
トリフルオロヨードメタン(25重量%)およびHFO−1234yf(75重量%)の混合物(1.6g)を、99重量%のPAGおよび1重量%のミルセンを含む組成物3gに加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブンに2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0134】
観察上、混合物は1つの相であり、冷媒が期間中混和性を残しており、PAG油に可溶であることを示している。さらに、管内の液体は透明な薄黄色である。スチール片にも変化は認められない。
【0135】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.27重量%である。実験を繰り返した結果、HFC−23は0.28重量%である。
【0136】
実施例3
本実施例は、CFI、PAG油およびファルネソールを含む本発明の安定化組成物について説明している。
【0137】
トリフルオロヨードメタン(25重量%)およびHFO−1234yf(75重量%)の混合物(1.6g)を、99重量%のPAGおよび1重量%のファルネソールを含む組成物3gに加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0138】
観察上、混合物は1つの相であり、冷媒が期間中混和性を残しており、PAG油に可溶であることを示している。さらに、管内の液体は透明な薄黄色である。スチール片にも変化は認められない。
【0139】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.16重量%である。
【0140】
実施例4
本実施例は、CFI、PAG油およびゲラニオールを含む本発明の安定化組成物について説明している。
【0141】
トリフルオロヨードメタン(25重量%)およびHFO−1234yf(75重量%)の混合物(1.6g)を、99重量%のPAG油および1重量%のゲラニオールを含む組成物3gに加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0142】
観察上、混合物は1つの相であり、冷媒が期間中混和性を残しており、PAG油に可溶であることを示している。さらに、管内の液体は透明な薄黄色である。スチール片にも変化は認められない。
【0143】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.14重量%である。
【0144】
実施例5
本実施例は、添加物として油中にトリフェニルホスファイト(DP−213、Dover Chemicalから入手できる)と共にCFI、ポリアルキレングリコール潤滑剤およびミルセンを含む本発明の安定化組成物について説明している。
【0145】
トリフルオロヨードメタン(約9重量%)およびHFO−1234yf(91重量%)の混合物(1.6g)を、99重量%のポリアルキレングリコール潤滑剤(Motorcraft PAG Refrigerant Compressor Oilとして入手可能)および上記のような1重量%の添加物を含む組成物3gに加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0146】
観察上、混合物は1つの相であり、ヨードカーボン化合物は期間中混和性を残しており、PAG油に可溶であることを示している。さらに、管内の液体は透明な薄黄色である。スチール片にも変化は認められない。
【0147】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるHFC−23の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.2重量%である。
【0148】
実施例6
本実施例は、CFI、ポリアルキレングリコール潤滑剤およびミルセンからなる安定剤を含む本発明の安定化組成物について説明している。
【0149】
トリフルオロヨードメタン(1.6g)を、ミルセンを含むポリアルキレングリコール潤滑剤(ミルセンは潤滑剤全重量の1重量%存在する)3gに加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0150】
観察上、混合物は1つの相であり、このことは冷媒が混和性であり、PAG油に可溶であることを示している。さらに、管内の液体は透明な薄黄色である。スチール片にも変化は認められない。
【0151】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.23重量%である。
【0152】
実施例7
本実施例は、鉱油中のCFIの分解レベルが添加物ミルセンおよびDoverphos DP213の組み合わせによって劇的に減少することを示している。
【0153】
トリフルオロヨードメタン(25重量%)およびHFO−1234yf(75重量%)の混合物(1.6g)を鉱油3gに加える。鉱油は、0.5重量%のミルセンと0.5重量%のDoverphos DP−213を含んでいた。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。2週間後、チューブを取り出す。
【0154】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.08重量%である。実験を繰り返したが、結果は0.008重量%のHFC−23である。
【0155】
比較実施例1
トリフルオロヨードメタン(約9重量%)およびHFO−1234yf(約91重量%)の混合物(1.6g)を、99重量%のポリアルキレングリコール潤滑剤(Motorcraft PAG Refrigerant Compressore Oilとして市販されている)を含む組成物3gに加えた。安定剤付加物は用いなかった。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。2週間後、チューブを取り出し、観察する。
【0156】
観察上、混合物は1つの相であり、このことは、該期間中、冷媒が混和性を保持し、鉱油に可溶であることを示している。さらなる暴露後では、金属片は脱色され、潤滑剤の色は暗褐色である。
【0157】
ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるHFC−23の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約1.0重量%である。
【0158】
比較実施例2
トリフルオロヨードメタン(25重量%)およびHFO−1234yf(75重量%)の混合物(1.6g)を、3gの鉱油に加える。得られた混合物を、アルミニウム、スチールおよび銅の金属片と共にガラス管内に入れ、ガラス管をシールする。シールされたガラス管を300゜Fのオーブン内に2週間置く。
【0159】
2週間さらした後、ガラス管をあけ、ガスを抽出した。油とトリフルオロヨウ化物との反応の分解生成物であるトリフルオロメタン(HFC−23)の存在について、ガスをガスクロマトグラフィーで試験する。認められたHFC−23のレベルは、約0.76重量%である。実験を繰り返したが、結果は1.51重量%のHFC−23である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つのヨードカーボン(iodocarbon);および
(b)該少なくとも1つのヨードカーボンを分解に対して安定化するために有効な量の、少なくとも1つのジエンベース化合物;
を含む、熱伝達組成物。
【請求項2】
該少なくとも1つのヨードカーボン化合物が少なくとも1つのヨードフルオロカーボンを含む、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項3】
該少なくとも1つのヨードフルオロカーボンが少なくとも1つのC1−C3ヨードフルオロカーボンを含む、請求項2記載の熱伝達組成物。
【請求項4】
該少なくとも1つのC1−C3ヨードフルオロカーボンがCFIを含む、請求項3記載の熱伝達組成物。
【請求項5】
該少なくとも1つのC1−C3ヨードフルオロカーボンが本質的にCFIからなる、請求項4記載の熱伝達組成物。
【請求項6】
該少なくとも1つのジエンベース化合物がイソプレンである、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項7】
該少なくとも1つのジエンベース化合物がプロパジエンを含む、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項8】
該少なくとも1つのジエンベース化合物が少なくとも1つのイソプレンベース化合物を含む、請求項1記載の熱伝導組成物。
【請求項9】
該少なくとも1つのジエンベース化合物が少なくとも1つのテルペンベース化合物を含む、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項10】
該テルペンベース化合物がミルセンである、請求項9記載の熱伝達組成物。
【請求項11】
該テルペンベース化合物がファルネソールである、請求項9記載の熱伝導組成物。
【請求項12】
該テルペンベース化合物がゲラニオールである、請求項9記載の熱伝導組成物。
【請求項13】
該少なくとも1つのジエンベース化合物が組成物の約0.0001から約30重量%の量で組成物中に存在する、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項14】
少なくとも1つの非ヨードカーボン冷媒化合物をさらに含む、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項15】
該少なくとも1つの非ヨードカーボン冷媒化合物が少なくとも1つのヒドロフルオロアルケンを含む、請求項14記載の熱伝達組成物。
【請求項16】
該少なくとも1つのヒドロフルオロアルケンが少なくとも1つのヒドロフルオロプロペンを含む、請求項15記載の熱伝導組成物。
【請求項17】
該少なくとも1つのヒドロフルオロプロペンが少なくとも1つのテトラフルオロプロペン(HFO−1234)を含む、請求項16記載の熱伝達組成物。
【請求項18】
該少なくとも1つの非ヨードカーボン冷媒化合物が少なくとも1つのヒドロフルオロカーボンを含む、請求項14記載の熱伝達組成物。
【請求項19】
約100未満の地球温暖化係数を有する、請求項1記載の熱伝導組成物。
【請求項20】
少なくとも1つの潤滑剤をさらに含む、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項21】
該潤滑剤がナフテン鉱油、パラフィン鉱油、エステル油、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルベンゼン、ポリαオレフィン、およびこれらの2以上の組み合わせからなる群より選択される、請求項20記載の熱伝達組成物。
【請求項22】
該少なくとも1つのヨードカーボンがトリフルオロヨードメタンを主な割合(重量)で含む、請求項1記載の熱伝達組成物。
【請求項23】
(a)少なくとも1つのヨードカーボン;および
(b)少なくとも1つの該ヨードカーボンを分解に対して安定化するために有効な量の少なくとも1つのジエンベース組成物;
を含む、炭素−ヨウ素結合の分解に対して安定化されたヨードカーボン含有組成物。
【請求項24】
請求項23記載の組成物を含む組成物と流体またはボディーを接触させることを含む、流体またはボディーへ、または該流体またはボディーから熱を伝達する方法。
【請求項25】
約150未満の地球温暖化係数(Global Warming Potential)(GWP)を有する、請求項23記載の組成物。
【請求項26】
約0.05未満のオゾン層破壊係数(Ozone Depleting Potential)(ODP)を有する、請求項23記載の組成物。
【請求項27】
請求項23記載の組成物を含む発泡剤を含有するポリマー泡調合物を含むクローズドセルフォーム。
【請求項28】
請求項23記載の組成物を含む、泡前混合組成物。
【請求項29】
ヨードカーボン含有組成物を提供し、該組成物をジエンベース化合物と接触させることを含む、組成物を安定化させる方法。
【請求項30】
(a)少なくとも1つの式(I)のフルオロアルケン;
XCRzR3−z (I)
式中、XはC2またはC3不飽和、置換または非置換のアルキル基であり、Rは独立にCl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である:および
(b)少なくとも1つのヨードカーボン:
を含む熱伝達組成物。
【請求項31】
該少なくとも1つのフルオロアルケンが式II:
【化1】

式中、Rはそれぞれ独立にCl、F、Br、IおよびHであり;
R’は(CRYであり;
YはCRFであり;
nは0または1である:
の化合物である、請求項30記載の熱伝導組成物。
【請求項32】
該ヨードカーボンがCFIを含む、請求項31記載の熱伝導組成物。
【請求項33】
約1000未満の地球温暖化係数(GWP)を有する、請求項32記載の熱伝導組成物。
【請求項34】
該少なくとも1つのフルオロアルケンが少なくとも一つのテトラフルオロプロペン(HFO−1234)を含む、請求項32記載の熱伝導組成物。
【請求項35】
該少なくとも1つのHFO−1234がHFO−1234yfを含む、請求項34記載の熱伝導組成物。
【請求項36】
HFO−1234yfおよびCFIの合計重量ベースの約5重量%から約99重量%のHFO−1234yfを含む、請求項35記載の熱伝導組成物。
【請求項37】
HFO−1234yfおよびCFIの合計重量ベースの約50重量%から約95重量%のHFO−1234yfを含む、請求項35記載の熱伝導組成物。
【請求項38】
HFO−1234yfおよびCFIの合計重量ベースの約65重量%から約75重量%のHFO−1234yfを含む、請求項35記載の熱伝導組成物。
【請求項39】
HFO−1234yfおよびCFIの合計重量ベースの約70重量%のHFO−1234yfおよび約30重量%のCFIを含む、請求項35記載の熱伝導組成物。
【請求項40】
ジエンまたはジエンベース安定剤をさらに含む、請求項30〜39のいずれか1項に記載の熱伝導組成物。
【請求項41】
該安定剤が組成物総重量ベースの約0.001から約15重量の量で存在する、請求項40記載の熱伝導組成物。
【請求項42】
該安定剤が組成物総重量ベースの約0.01から約10重量%の量で存在する、請求項41記載の熱伝導組成物。
【請求項43】
該安定剤が組成物総重量ベースの約0.3から約5重量%の量で存在する、請求項42記載の熱伝導組成物。
【請求項44】
該安定剤が組成物総重量ベースの約1から約2重量%の量で存在する、請求項43記載の熱伝導組成物。
【請求項45】
請求項40記載の組成物を含む、自動車用冷媒。
【請求項46】
請求項40記載の組成物を含む、チラー作動液。
【請求項47】
請求項40記載の組成物を含む、ランキンサイクル運転用の作動液。
【請求項48】
請求項40記載の組成物を含む、有機ランキンサイクル運転用の作動液。
【請求項49】
該組成物が泡、熱硬化性泡、インテグラルスキンフォーム、泡前混合、発泡剤、加圧式起泡(pressurized forth foam)、溶媒、洗浄溶媒、抽出溶媒、エーロゾル、推進薬、消火補助剤、界面活性剤、フラッシング液、定量噴霧式吸入器、潤滑剤、火炎抑制剤、治療用組成物、殺虫剤組成物、除草剤組成物、オリゴマーおよびポリマーからなる群より選択される生成物内に安定化流体として用いられる、請求項23記載の組成物。
【請求項50】
ヨードフルオロカーボン、ならびに、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、水、COおよび2以上のこれらの組み合わせからなる群より選択された少なくとも1つの化合物を含む、熱伝達組成物。
【請求項51】
該ヨードカーボンがCFIを含む、請求項50記載の熱伝導組成物。
【請求項52】
1以上の潤滑剤をさらに含む、請求項50または41に記載の熱伝導組成物。
【請求項53】
熱伝導組成物の約30から約50重量%の量で1以上の潤滑剤をさらに含む、請求項52記載の熱伝導組成物。
【請求項54】
冷媒システム内に含まれる現存冷媒を取り替える方法であって、該システムから該現存冷媒の少なくとも一部分を取り出し、少なくとも1つのヨードカーボン化合物および少なくとも1つの式Iのフルオロアルケン:
XCF3−z(I)
式中、XはCまたはCの不飽和、置換または非置換のアルキル基であり、Rは独立にCl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である:
を含む冷媒組成物を該システム内に導入することによって該現存冷媒の少なくとも一部分を取り替えることを含む、該方法。
【請求項55】
該現存冷媒がHFC−134aを含む、請求項54記載の方法。
【請求項56】
該現存冷媒システムがチラーシステムである、請求項54記載の方法。
【請求項57】
該式IのフルオロアルケンがHFO−1234yfを含む、請求項54記載の方法。
【請求項58】
該HFO−1234yfが該冷媒組成物の約5重量%から約95重量%含まれる、請求項57記載の方法。
【請求項59】
該現存冷媒システムが自動車用空調システムを含む、請求項54記載の方法。
【請求項60】
発泡性ポリマーまたはプレポリマーおよび少なくとも1つの式Iのフルオロアルケン:
XCF3−z(I)
式中、XはCまたはC不飽和、置換または非置換のアルキル基であり、Rは独立にCl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である:
を含む発泡剤であり、該発泡剤が少なくとも1つのヨードカーボン化合物をさらに含む発泡剤、
を含む発泡性組成物
【請求項61】
約1000未満の地球温暖化係数(Global Warming Potential)(GWP)を有する、請求項60記載の発泡性組成物。
【請求項62】
請求項60記載の発泡性組成物から作られた泡。
【請求項63】
ポリマーまたはプレポリマーならびにヨードカーボン化合物および少なくとも1つの式Iのフルオロアルケン:
XCF3−z(I)
式中、XはCまたはC飽和、置換または非置換のアルキルラジカルであり、Rは独立的にCl、F、Br、IまたはHであり、zは1から3である:
を含む発泡剤、該泡
を含む、泡前混合組成物
【請求項64】
請求項23記載の組成物を含む、発泡剤。
【請求項65】
請求項23記載の組成物を含む、発泡性組成物。
【請求項66】
(a)少なくとも1つのヨードカーボン;
(b)ヒドロフルオロカーボン;および
(c)少なくとも1つのジエンベース安定剤:
を含む熱伝導組成物。
【請求項67】
該ヒドロフルオロカーボンがジフルオロエタンの異性体を含む、請求項66記載の熱伝導組成物。
【請求項68】
該ジフルオロエタンがHFC−152aを含む、請求項67記載の熱伝導組成物。
【請求項69】
該ヨードカーボンがCFIを含む、請求項68記載の熱伝導組成物。
【請求項70】
該HFC−152aがHFC−152aおよびCFIの全重量ベースの約20から約40重量%の量で存在し、該CFIがHFC−152aおよびCFIの全重量ベースの約60から約80重量%の量で存在する、請求項69記載の熱伝導組成物。
【請求項71】
該HFC−152aがHFC−152aおよびCFIの全重量ベースの約25重量%の量で存在し、該CFIがHFC−152aおよびCFIの全重量ベースの約75重量%の量で存在する、請求項70記載の熱伝導組成物。
【請求項72】
該安定剤が組成物全重量ベースの約0.001から約15重量%の量で存在する、請求項71記載の熱伝導組成物。
【請求項73】
該安定剤が組成物全重量ベースの約0.01から約10重量%の量で存在する、請求項72記載の熱伝導組成物。
【請求項74】
該安定剤が組成物全重量ベースの約0.3から約5重量%の量で存在する、請求項73記載の熱伝導組成物。
【請求項75】
該安定剤が組成物全重量ベースの約1から約2重量%の量で存在する、請求項74記載の熱伝導組成物。
【請求項76】
請求項75記載の組成物を含む自動車用冷媒。
【請求項77】
請求項76または請求項45に記載の冷媒を含む、自動車用冷凍システム。
【請求項78】
請求項75の組成物を含む、チラー作動液。
【請求項79】
請求項75記載の組成物を含む、ランキン−サイクル運転用作動液。
【請求項80】
請求項75記載の組成物を含む、有機ランキン−サイクル運転用作動液。
【請求項81】
ヒドロフルオロオレフィンをさらに含み、該ヨードカーボンがCFIを含む、請求項49記載の組成物。
【請求項82】
該ヒドロフルオロオレフィンがHFC−1234yfを含む、請求項81記載の組成物
【請求項83】
ヒドロフルオロカーボンをさらに含み、該ヨードカーボンがCFIを含む、請求項49記載の組成物。
【請求項84】
該ヒドロフルオロカーボンがHFC−152aを含む、請求項83記載の組成物。

【公開番号】特開2012−237001(P2012−237001A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−167191(P2012−167191)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2007−548568(P2007−548568)の分割
【原出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】