説明

安定化方法

【課題】ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの臭いの発生、含量低下等を抑制し、安定性を改善する新規の方法の提供。
【解決手段】ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを共存せしめることを特徴とする、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の安定化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの安定性を改善する新規の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE、ガンマーオリザノールといった成分は種々の薬理作用・生理作用を有し、医薬品、医薬部外品、化粧品分野等において汎用されている、極めて有用性の高い成分である。ニンニク加工物は、疲労回復作用、滋養強壮作用等を有することが知られており、滋養強壮剤の成分として汎用されている。また、ビタミンは必須の栄養素であり、その欠乏症の治療に利用されるほか、ビタミンB群については神経痛、筋肉痛、関節痛、手足のしびれ、眼精疲労等の諸症状の緩和に、ビタミンEについては末梢血行障害における肩・首すじのこり、手足のしびれ・冷え、しもやけ等の諸症状の緩和に利用されている。また、ガンマーオリザノールは米ヌカ油、米胚芽油、トウモロコシ油、その他の穀類のヌカ油中に存在する物質で、トリテルペンアルコールのフェルラ酸(3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)エステルの混合物であり(非特許文献1)、成長促進作用、自律神経失調症の緩和作用、性腺刺激作用、皮脂分泌促進作用、血流促進作用、皮膚温度上昇作用、抗酸化作用、紫外線吸収作用、チロシナーゼ活性抑制作用などを有することが知られており、さらには安全性も高い物質である。
【0003】
しかしながら、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールはいずれも不安定であり、これらの成分を含有する組成物等においては経時的な品質安定性が問題となる。ニンニク加工物については、時間の経過に伴いニンニク特有の不快な臭いが発生し、ビタミンB群、ビタミンE、ガンマーオリザノールについては、時間の経過に伴い分解・成分変化等により含量低下が生じる。不快臭の発生や成分の含量低下は、それぞれ組成物等の使用感の悪化や均一性の低下の原因となり、ひいては組成物等の品質を悪化せしめ、その商品価値を低下させることとなる。
【0004】
ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE、ガンマーオリザノールの安定性を改善する試みは、従来より多数なされている。例えば、ニンニク加工物における時間の経過に伴う不快臭の発生の問題に対しては、ニンニクを低酸素又は無酸素状態で1〜40℃の条件下、1週間〜1年間放置する方法(特許文献1)、ニンニクを20℃以上で7日間以上保持した後、0〜65℃の温度条件下で300MPa以上の静水圧で処理する方法(特許文献2)、ニンニク加工物を含有する固形製剤及び活性炭を、密閉系容器中で保存する方法(特許文献3)等の解決手段が提案されている。また、ビタミンB群、ビタミンE、ガンマーオリザノールにおける時間の経過に伴う分解・成分変化等の問題に対しては、ビタミンB1とクロスポビドンを1:1〜1:10の重量比で組み合わせる方法(特許文献4)、ビタミンB6を75〜97重量%含む顆粒状造粒物に、ビタミンB1、ビタミンB12及びその他の有効成分の合計含有量が素錠中65〜80重量%となるように配合して製錠する方法(特許文献5)、ポリエチレンナフタレート製容器にビタミンEなどの油溶性ビタミン含有溶液を充填する方法(特許文献6)、ガンマーオリザノール含有水溶液に、水溶性抗酸化剤及び/又は水溶性着色剤を含有せしめる方法(特許文献7)等の解決手段が提案されている。しかしながら、これらの方法は、処理に時間がかかりすぎる、特定の容器での保存を必須とする、特定の成分の特定量の配合を必須とする、水溶液に対してしか適用できない等、必ずしも汎用性のあるものではない。
以上のとおり、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE、ガンマーオリザノールといった成分の公知の安定化方法は、未だ満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第WO2004/077963号パンフレット
【特許文献2】特開平6−335360号公報
【特許文献3】特開2009−78981号公報
【特許文献4】特開2002−302446号公報
【特許文献5】特開平9−169651号公報
【特許文献6】特開2003−321353号公報
【特許文献7】特開平7−258165号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】FRAGRANCE JOURNAL,3,p71−77,1998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの臭いの発生、含量低下等を抑制し、安定性を改善する新規の方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、斯かる実情に鑑み鋭意研究した結果、驚くべきことに、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上が、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの臭いの発生、含量低下等を抑制し、安定性を改善する作用を有することを見出した。
さらに、本発明者らは、上記各成分の組み合わせの薬理作用について検討したところ、驚くべきことに、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上とを併用することにより、優れた眼精疲労回復作用が得られることをも見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上、並びにニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上を含有する、組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを共存せしめることを特徴とする、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の安定化方法を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明は、次の成分(A)及び(B)
(A)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上;
(B)ニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上;
を含有する眼精疲労改善用組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経時的に発生するニンニク加工物由来の臭いが抑制され、あるいは、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の含量低下が抑制され、これらの成分の安定性が高められた、経時的な安定性が改善された品質安定性の良好な商品価値の高い組成物を提供することができる。
また、本発明の安定化方法によれば、ニンニク加工物由来の臭いを抑制でき、あるいは、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の含量低下を抑制でき、これらの成分の安定性を改善することができ、これらの成分を含有する組成物等の商品価値を高めることができる。
さらに、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上、並びにニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上を含有する態様の本発明の組成物は、優れた眼精疲労回復作用を有し、眼精疲労(特に、調節性眼精疲労)の治療、緩和に好適に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、「安定化」とは、ニンニク加工物由来の臭いの抑制及び/又はビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の含量低下の抑制をいう。
【0014】
本発明において、「アスパラギン酸」としては、L−アスパラギン酸、D−アスパラギン酸のいずれを用いてもよく、さらに、これらの混合物を用いてもよい。本発明においては、L−アスパラギン酸が好ましい。
本発明において、「アスパラギン酸の塩」としては、上記「アスパラギン酸」の、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩などが挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、カリウム塩、カルシウム塩及びマグネシウム塩が好ましい。
【0015】
本発明において、「アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上」としては、アスパラギン酸のフリー体、アスパラギン酸のカリウム塩、アスパラギン酸のカルシウム塩及びアスパラギン酸のマグネシウム塩よりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、アスパラギン酸のカリウム塩及びアスパラギン酸のマグネシウム塩よりなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、アスパラギン酸のカリウム塩及びアスパラギン酸のマグネシウム塩の混合物がさらに好ましく、アスパラギン酸のカリウム塩及びアスパラギン酸のマグネシウム塩の等量混合物(アスパラギン酸カリウム・マグネシウム等量混合物)が特に好ましい。これらのアスパラギン酸やその塩は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0016】
本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を合計で1〜4000mg程度、より好適には5〜800mg程度、特に好適には10〜400mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
本発明においては、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を組成物全質量に対して、合計0.5〜80質量%含有するのが好ましく、1〜75質量%含有するのがより好ましく、1.5〜50質量%含有するのが特に好ましい。
【0017】
本発明において、「ニンニク加工物」としては、ニンニク(Allium sativum )を加工して得られるものであればいかなるものを用いてもよい。ニンニクの使用部位は特に限定されず、その全草若しくはその一部(地上部、地下部、鱗茎、葉、茎、花等)又はそれらの2種以上の組み合わせを使用できるが、鱗茎を使用するのが好ましい。
また、「加工」としては、加熱、乾燥、粉砕、抽出などが挙げられ、当該加工の種類は特に限定されず、具体的には例えば、加熱処理をすること;生ニンニクを乾燥後粉末化すること;油、水、熱水又は水溶性有機溶媒等で抽出処理することなどが挙げられる。抽出に用いる油としては、菜種油、オリーブ油、大豆油等の食用植物油が挙げられ、水溶性有機溶媒としては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール等が挙げられる。
【0018】
本発明において、ニンニク加工物としては、例えば加工大蒜、ニンニク抽出液、ニンニクエキス、乾燥ニンニク等が挙げられ、加工大蒜が好ましい。加工大蒜としては、例えば、オキソアミヂン(登録商標)、オキソアミヂン(登録商標)末、オキソレヂン(登録商標)末(以上、理研化学工業(株)製)等が市販されている。ニンニクエキスとしては、例えば、ニンニクエキス(アルプス薬品工業(株)製)、ニンニク流エキス(日本粉末薬品(株)製)等が市販されている。乾燥ニンニクとしては、例えば、ガーリックパウダー、ローストガーリックパウダーEX(以上、理研化学工業(株)製)等が市販されている。これらのニンニク加工物のうち、オキソアミヂン(登録商標)、オキソアミヂン(登録商標)末、オキソレヂン(登録商標)末が好ましい。
【0019】
なお、本発明の組成物の形状は特に限定されないが、本発明の組成物が少なくともニンニク加工物を含む態様である場合においては、固形状の組成物であるのが好ましい。後記試験例に記載の通り、本発明の組成物は、ニンニク加工物由来の臭いが特に問題となる固形製剤等の固形状の組成物の場合において、ニンニク加工物由来の臭いが抑制されるという優れた効果を有する。
【0020】
本発明の組成物におけるニンニク加工物の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりニンニク加工物を2〜2000mg程度、より好適には10〜400mg程度、特に好適には20〜200mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0021】
本発明においては、ニンニク加工物を組成物全質量に対して0.1〜70質量%含有するのが好ましく、0.5〜50質量%含有するのがより好ましく、1〜30質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物の含有質量比率は特に限定されないが、ニンニク加工物由来の臭いの抑制作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ニンニク加工物0.001〜500質量部が好ましく、0.01〜100質量部がより好ましく、0.05〜50質量部が特に好ましい。
【0022】
本発明において、「ビタミンB群」としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9及びビタミンB12が挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においてビタミンB群としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上であるのが好ましく、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる2種以上であるのがより好ましく、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる3種以上であるのがさらに好ましく、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12の組み合わせが特に好ましい。なお、後記試験例から明らかなように、上記ビタミンB群のうち、ビタミンB12が特に含量安定性に問題を有しており、本発明者らは、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上が当該ビタミンB12を特に有意に安定化することを見出している。
【0023】
本発明の組成物におけるビタミンB群の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB群を0.0001〜3500mg程度、より好適には0.001〜1000mg程度、特に好適には0.005〜500mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0024】
本発明においては、ビタミンB群を組成物全質量に対して0.000001〜95質量%含有するのが好ましく、0.00001〜80質量%含有するのがより好ましく、0.0001〜60質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB群の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB群の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB群0.00000005〜3000質量部が好ましく、0.0000005〜300質量部がより好ましく、0.000005〜100質量部が特に好ましい。
【0025】
本発明において、「ビタミンB1」には、チアミンそのもののほか、その誘導体(ビスチアミン、チアミンジスルフィド、ジセチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、チアミン二リン酸など)及びそれらの塩(硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩などの無機酸塩など)も包含され、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、チアミンジスルフィド、チアミンジセチル硫酸エステル塩、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、フルスルチアミン、プロスルチアミン及びベンフォチアミンよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、ベンフォチアミンが特に好ましい。これらのビタミンB1は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0026】
本発明の組成物におけるビタミンB1の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB1を0.1〜1000mg程度、より好適には0.5〜300mg程度、特に好適には1〜200mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0027】
本発明においては、ビタミンB1を組成物全質量に対して0.005〜60質量%含有するのが好ましく、0.01〜40質量%含有するのがより好ましく、0.05〜30質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB1の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB1の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB1 0.00005〜500質量部が好ましく、0.0005〜100質量部がより好ましく、0.001〜50質量部が特に好ましい。
【0028】
本発明において、「ビタミンB2」には、リボフラビンそのもののほか、その誘導体(リン酸リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチドなど)及びそれらの塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩など)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム及び酪酸リボフラビンよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、リボフラビンが特に好ましい。これらのビタミンB2は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0029】
本発明の組成物におけるビタミンB2の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB2を0.1〜450mg程度、より好適には0.5〜100mg程度、特に好適には1〜50mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0030】
本発明においては、ビタミンB2を組成物全質量に対して0.005〜40質量%含有するのが好ましく、0.01〜30質量%含有するのがより好ましく、0.05〜20質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB2の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB2の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB2 0.00005〜200質量部が好ましく、0.0005〜50質量部がより好ましく、0.001〜25質量部が特に好ましい。
【0031】
本発明において、「ビタミンB3」には、ニコチン酸、ニコチン酸アミドそのもののほか、それらの誘導体(イノシトールヘキサニコチネート、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ヘプロニカートなど)及びそれらの塩も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、ニコチン酸及びニコチン酸アミドよりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらのビタミンB3は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0032】
本発明の組成物におけるビタミンB3の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB3を1〜600mg程度、より好適には5〜150mg程度、特に好適には10〜100mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0033】
本発明においては、ビタミンB3を組成物全質量に対して0.05〜40質量%含有するのが好ましく、0.1〜30質量%含有するのがより好ましく、0.5〜20質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB3の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB3の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB3 0.0005〜200質量部が好ましく、0.005〜100質量部がより好ましく、0.01〜50質量部が特に好ましい。
【0034】
本発明において、「ビタミンB5」には、パントテン酸そのもののほか、その誘導体(パンテノール、パンテチン、パンテテイン、補酵素Aなど)及びそれらの塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩など)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、パンテノール、パンテチン、パントテン酸カルシウム及びパントテン酸ナトリウムよりなる群から選ばれる1種以上が好ましい。これらのビタミンB5は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0035】
本発明の組成物におけるビタミンB5の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB5を0.5〜300mg程度、より好適には2.5〜100mg程度、特に好適には5〜50mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0036】
本発明においては、ビタミンB5を組成物全質量に対して0.01〜50質量%含有するのが好ましく、0.05〜30質量%含有するのがより好ましく、0.1〜15質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB5の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB5の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB5 0.0001〜200質量部が好ましく、0.001〜50質量部がより好ましく、0.01〜25質量部が特に好ましい。
【0037】
本発明において、「ビタミンB6」には、ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサールそのもののほか、それらの誘導体(リン酸ピリドキサールなど)及びそれらの塩(カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩;塩酸塩などの無機酸塩など)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、塩酸ピリドキシン及びリン酸ピリドキサールよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、塩酸ピリドキシンが特に好ましい。これらのビタミンB6は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0038】
本発明の組成物におけるビタミンB6の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB6を0.5〜1000mg程度、より好適には1〜500mg程度、特に好適には2.5〜100mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0039】
本発明においては、ビタミンB6を組成物全質量に対して0.01〜90質量%含有するのが好ましく、0.05〜70質量%含有するのがより好ましく、0.1〜40質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB6の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB6の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB6 0.0001〜1000質量部が好ましく、0.0005〜300質量部がより好ましく、0.001〜50質量部が特に好ましい。
【0040】
本発明において、「ビタミンB7」には、ビオチンそのもののほか、その塩(ナトリウム塩などのアルカリ金属塩など)も包含される。これらのビタミンB7は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0041】
本発明の組成物におけるビタミンB7の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB7を1〜5000μg程度、より好適には5〜1000μg程度、特に好適には10〜500μg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0042】
本発明においては、ビタミンB7を組成物全質量に対して0.000001〜1質量%含有するのが好ましく、0.0001〜0.5質量%含有するのがより好ましく、0.0005〜0.1質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB7の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB7の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB7 0.00000005〜10質量部が好ましく、0.000001〜5質量部がより好ましく、0.00001〜1質量部が特に好ましい。
【0043】
本発明において、「ビタミンB9」には、葉酸そのもののほか、その誘導体(ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸など)及びそれらの塩も包含される。本発明においては、葉酸が好ましい。これらのビタミンB9は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0044】
本発明の組成物におけるビタミンB9の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB9を0.05〜50mg程度、より好適には0.25〜10mg程度、特に好適には0.5〜5mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0045】
本発明においては、ビタミンB9を組成物全質量に対して0.001〜20質量%含有するのが好ましく、0.005〜5質量%含有するのがより好ましく、0.01〜2.5質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB9の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB9の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB9 0.00005〜100質量部が好ましく、0.00001〜10質量部がより好ましく、0.00001〜5質量部が特に好ましい。
【0046】
本発明において、「ビタミンB12」には、シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンそのもののほか、それらの誘導体(メコバラミン、デオキシアデノシルコバラミンなど)及びそれらの塩(塩酸塩などの無機酸塩;酢酸塩などの有機酸塩など)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、塩酸ヒドロキソコバラミン、酢酸ヒドロキソコバラミン、シアノコバラミン及びヒドロキソコバラミンよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、シアノコバラミンが特に好ましい。これらのビタミンB12は公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0047】
本発明の組成物におけるビタミンB12の含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンB12を0.0001〜50mg程度、好適には0.001〜50mg程度、より好適には0.0005〜10mg程度、さらに好適には0.005〜10mg程度、さらにより好適には0.001〜5mg程度、特に好適には0.01〜5mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0048】
本発明においては、ビタミンB12を組成物全質量に対して0.00005〜2質量%含有するのが好ましく、0.0001〜1質量%含有するのがより好ましく、0.0005〜0.5質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB12の含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンB12の安定化作用及び眼精疲労回復作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンB12 0.0000005〜5質量部が好ましく、0.000005〜5質量部がより好ましく、0.00001〜1質量部が特に好ましい。
【0049】
本発明において、「ビタミンE」には、d−α−トコフェロール、l−α−トコフェロール及びそれらの混合物(dl−α−トコフェロール)そのもののほか、それらの誘導体(酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロールなど)及びそれらの塩(カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩など)も包含され、本発明においては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール及びニコチン酸dl−α−トコフェロールよりなる群から選ばれる1種以上が好ましく、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウムが特に好ましい。これらのビタミンEは公知の化合物であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0050】
本発明の組成物におけるビタミンEの含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりビタミンEを1〜3000mg程度、より好適には2〜600mg程度、特に好適には5〜300mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0051】
本発明においては、ビタミンEを組成物全質量に対して0.01〜90質量%含有するのが好ましく、0.05〜70質量%含有するのがより好ましく、0.1〜50質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンEの含有質量比率は特に限定されないが、ビタミンEの安定化作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ビタミンE0.0001〜1000質量部が好ましく、0.001〜200質量部がより好ましく、0.01〜100質量部が特に好ましい。
【0052】
「ガンマーオリザノール」は、イネ(Oryza sativa L.)の種皮等から得られ、主としてトリテルペンアルコールのフェルラ酸(3−メトキシ−4−ヒドロキシ桂皮酸)エステルからなるものである。本発明において、ガンマーオリザノールの原料、精製方法、製造方法等は特に限定されないが、医薬部外品原料規格2006に記載のガンマーオリザノールが好ましい。ガンマーオリザノールは公知の成分であり、市販のものを用いてもよく、また、公知の方法により製造することも可能である。
【0053】
本発明の組成物におけるガンマーオリザノールの含有量は特に限定されず、組成物の投与方法、形状、利用目的等に応じて適宜選択可能である。例えば、経口投与用の組成物の場合、1日当たりガンマーオリザノールを0.5〜100mg程度、より好適には2.5〜50mg程度、特に好適には5〜30mg程度服用できる量を含有せしめることができる。
【0054】
本発明においては、ガンマーオリザノールを組成物全質量に対して0.01〜30質量%含有するのが好ましく、0.05〜20質量%含有するのがより好ましく、0.1〜10質量%含有するのが特に好ましい。
また、本発明の組成物におけるアスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ガンマーオリザノールの含有質量比率は特に限定されないが、ガンマーオリザノールの安定化作用の観点から、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上の合計1質量部に対し、ガンマーオリザノール0.0001〜150質量部含有するのが好ましく、0.001〜20質量部含有するのがより好ましく、0.005〜5質量部含有するのが特に好ましい。
【0055】
本発明における一つの好適な態様としては、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上、並びにニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上を含有する組成物が挙げられる。係る態様の組成物は、後記試験例に具体的に開示されているとおり、優れた眼精疲労回復作用を有する。
なお、係る態様において、「ニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上」としては、ニンニク加工物とビタミンB群の両者を共に含む態様であるのが好ましく、ニンニク加工物に加えてさらにビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上のビタミンB群を含む態様であるのがより好ましく、ニンニク加工物に加えてさらにビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12から選ばれる2種以上のビタミンB群を含む態様であるのがさらに好ましく、ニンニク加工物に加えてさらにビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12から選ばれる3種以上のビタミンB群を含む態様であるのがさらにより好ましく、ニンニク加工物、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12の組み合わせが特に好ましい。
本発明の組成物が、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物及びビタミンB群を含有する組成物である場合は、ニンニク加工物とビタミンB群の含有質量比率は特に限定されないが、眼精疲労回復作用の観点から、ニンニク加工物の合計1質量部に対し、ビタミンB群0.0000002〜1500質量部が好ましく、0.000005〜100質量部がより好ましく、0.00005〜25質量部が特に好ましい。
【0056】
ニンニク加工物とビタミンB群の両者を共に含有する態様の組成物においては、ニンニク加工物由来の臭いが抑制されているため使用しやすく、かつ、ビタミンB群の安定性が良好で、特に経時的な品質安定性が良好であり、さらに、優れた眼精疲労回復作用を有するので、眼精疲労(特に、調節性眼精疲労)の治療、緩和に好適に利用できる。
【0057】
本発明の組成物には、その利用目的に応じて上記成分以外に、他の薬物や漢方処方を配合することができる。
薬物としては、具体的には例えば、レチノール類(酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA油など)、肝油類(肝油、強肝油など)、ビタミンD類(エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロールなど)、ビタミンC類(アスコルビン酸、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸ナトリウムなど)、アデノシン三リン酸二ナトリウム、ウルソデオキシコール酸、アミノ酸類(L−塩酸システイン、L−システイン、L−塩酸リジン、L−塩酸アルギニン、L−メチオニン、アミノエチルスルホン酸など)、オロチン酸、カルシウム塩類(グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、クエン酸カルシウムなど)、グルクロン酸類(グルクロノラクトン、グルクロン酸アミドなど)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ニンジン(人参)、ヨクイニン(ヨク苡仁)、インヨウカク、ロクジョウ(鹿茸)、ハンピ(反鼻)、ゴオウ(牛黄)、ローヤルゼリー、オウセイ(黄精)、クコシ(枸杞子)、ボレイ(牡蠣)、カフェイン類(カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインなど)、イノシトール、塩化カルニチン、ルチン、充血除去成分(エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、dl−塩酸メチルエフェドリンなど)、メチル硫酸ネオスチグミン、消炎・収れん成分(イプシロン−アミノカプロン酸、アラントイン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチームなど)、抗ヒスタミン剤(塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミンなど)、サルファ剤(スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム)、無機塩類(塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウムなど)、粘稠剤(ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ブドウ糖、メチルセルロースなど)、アルキルポリアミノエチルグリシン、ホウ酸などが挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明においては、カルシウム塩類を含有するのが好ましい。
【0058】
漢方処方としては、具体的には例えば、カミショウヨウサン(加味逍遙散)、ホチュウエッキトウ(補中益気湯)、リックンシトウ(六君子湯)、カミキヒトウ(加味帰脾湯)、ジュウゼンタイホトウ(十全大補湯)、ショウケンチュウトウ(小建中湯)、ハチミジオウガン(八味地黄丸)、セイシンレンシイン(清心蓮子飲)などが挙げられ、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
本発明において、「組成物」は固形状、半固形状、液状のいずれの形状であってもよく、その利用目的等に応じて医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等において通常利用される形状とすることができる。具体的には例えば、錠剤(チュアブル錠、発泡錠、口腔内崩壊錠などを含む)、トローチ剤、ドロップ剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、丸剤、ドライシロップ剤、坐剤、パップ剤、プラスター剤などの固形製剤;舐剤、チューインガム剤、ゼリー剤、ゼリー状ドロップ剤、ホイップ剤、軟膏剤、クリーム剤、フォーム剤、インへラー剤、ナザールジェル剤などの半固形製剤;シロップ剤、ドリンク剤、懸濁剤、酒精剤、液剤、点眼剤、エアゾール剤、噴霧剤、スプレー剤などの液状製剤などの、第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の剤形とすることができる。
【0060】
本発明においては、固形状の組成物であるのが好ましく、錠剤、カプセル剤(液体充填カプセルを除く)、丸剤、顆粒剤、散剤、細粒剤などの固形製剤であるのがより好ましく、錠剤であるのがさらに好ましく、糖衣錠であるのが特に好ましい。後記試験例に具体的に開示されている通り、本発明者らは、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上が優れた結合能を有し、結合剤として固形状の組成物における製剤添加物として利用が可能であることを見出した。従って、本発明の組成物が固形状である場合においては、他の結合剤を使用せずとも製剤化でき、組成物に配合する製剤添加物等の成分の種類・量を低減せしめることができる結果、組成物を安価に製造することが可能となるという優れた効果を有する。特に、固形状の組成物が錠剤である場合においては、錠剤の硬度を増強することができるので、本発明によれば、流通下における破損等の抑制された錠剤を提供できる。
【0061】
本発明の組成物は、上記具体的な形状に応じて医薬品分野、医薬部外品分野、化粧品分野、食品分野等において公知の方法、例えば第十五改正日本薬局方 製剤総則等に記載の方法に従って製造することができる。例えば、組成物の形状が錠剤の場合、通常用いられる各種製剤添加物を用いて、公知の方法に基づき、混合または造粒し、得られた混合物または造粒物を、所望により滑沢剤を混合した後に打錠すればよい。また、さらに所望により、糖衣液またはフィルムコーティング液を用いて、公知の方法に基づき、糖衣錠やフィルムコーティング錠とすることもできる。
【0062】
製剤添加物としては、具体的には例えば賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等が挙げられる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、プルラン等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク等が挙げられる。
【0063】
本発明の組成物は、利用目的に応じて、経口投与、又は経直腸や経膣等の非経口投与により使用できる。本発明においては、経口投与が好ましい。また、本発明の組成物を経口投与する場合、例えば、組成物を1日あたり1〜4回程度に分けて、食前、食間、食後、就寝前等に服用できる。
【0064】
本発明の組成物は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等として利用でき、例えば、滋養強壮保健薬、ビタミン主薬製剤、ビタミン含有保健剤等として利用できる。より具体的には例えば、組成物が含有する成分の作用に基づき、神経痛、筋肉痛・関節痛(腰痛、肩こり、五十肩など)、手足のしびれ、便秘、眼精疲労、口角炎、口唇炎、口内炎、舌炎、湿疹、皮膚炎、かぶれ、ただれ、にきび、肌あれ、赤鼻、目の充血、目のかゆみ等の諸症状の緩和;末梢血行障害による肩・首すじのこり、手足のしびれ・冷え、しもやけ等の諸症状の緩和;更年期における肩・首すじのこり、冷え、手足のしびれ、のぼせ等の諸症状の緩和;月経不順;肉体疲労時、妊娠・授乳期、病中病後の体力低下時、老年期におけるビタミンの補給等のための医薬品、医薬部外品として利用できる。本発明においては、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上とを組み合わせることにより奏される優れた眼精疲労回復作用に基づき、眼精疲労改善用組成物として好適に用いることができる。ここで、「眼精疲労改善用組成物」とは、眼精疲労(特に、調節性眼精疲労)の治療、緩和に用いられる組成物を意味し、医薬品、医薬部外品として好適に利用できるものである。
【0065】
本発明の安定化方法において、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを「共存せしめる」とは、両成分が同一系内(例えば、同一の組成物中、同一の密閉系内など)に存在している状態を直接的に又は間接的に作り出すことを意味する。従って、両成分を積極的に同一系内に存在させることのほか、成分の変化等により結果的に両成分が同一系内に存在する状態になる場合も、本発明の安定化方法に包含される。
【0066】
本発明の安定化方法における、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを共存せしめる態様としては例えば、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを混合する態様;ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを同一の組成物(特に、固形状の組成物)中に含有せしめる態様などが挙げられる。
【0067】
本発明の安定化方法としては、具体的には例えば、以下の(a)〜(p)の方法が挙げられる。
(a)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物とを共存せしめることを特徴とする、ニンニク加工物由来の臭いの抑制方法。
(b)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物とを混合することを特徴とする、ニンニク加工物由来の臭いの抑制方法。
(c)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ニンニク加工物由来の臭いの抑制方法。
(d)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物の臭いの抑制方法。
【0068】
(e)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB群とを共存せしめることを特徴とする、ビタミンB群の安定化方法。
(e−i)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB1とを共存せしめることを特徴とする、ビタミンB1の安定化方法。
(e−ii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB2とを共存せしめることを特徴とする、ビタミンB2の安定化方法。
(e−iii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB6とを共存せしめることを特徴とする、ビタミンB6の安定化方法。
(e−iv)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB12とを共存せしめることを特徴とする、ビタミンB12の安定化方法。
【0069】
(f)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB群とを混合することを特徴とする、ビタミンB群の安定化方法。
(f−i)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB1とを混合することを特徴とする、ビタミンB1の安定化方法。
(f−ii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB2とを混合することを特徴とする、ビタミンB2の安定化方法。
(f−iii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB6とを混合することを特徴とする、ビタミンB6の安定化方法。
(f−iv)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB12とを混合することを特徴とする、ビタミンB12の安定化方法。
【0070】
(g)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB群とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ビタミンB群の安定化方法。
(g−i)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB1とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ビタミンB1の安定化方法。
(g−ii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB2とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ビタミンB2の安定化方法。
(g−iii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB6とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ビタミンB6の安定化方法。
(g−iv)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB12とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ビタミンB12の安定化方法。
【0071】
(h)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB群とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のビタミンB群の含量低下抑制方法。
(h−i)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB1とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のビタミンB1の含量低下抑制方法。
(h−ii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB2とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のビタミンB2の含量低下抑制方法。
(h−iii)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB6とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のビタミンB6の含量低下抑制方法。
(h−iv)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンB12とを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のビタミンB12の含量低下抑制方法。
【0072】
(i)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンEとを共存せしめることを特徴とする、ビタミンEの安定化方法。
(j)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンEとを混合することを特徴とする、ビタミンEの安定化方法。
(k)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンEとを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ビタミンEの安定化方法。
(l)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ビタミンEとを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のビタミンEの含量低下抑制方法。
【0073】
(m)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ガンマーオリザノールとを共存せしめることを特徴とする、ガンマーオリザノールの安定化方法。
(n)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ガンマーオリザノールとを混合することを特徴とする、ガンマーオリザノールの安定化方法。
(o)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ガンマーオリザノールとを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、ガンマーオリザノールの安定化方法。
(p)アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ガンマーオリザノールとを同一の組成物中に含有せしめることを特徴とする、組成物中のガンマーオリザノールの含量低下抑制方法。
【0074】
また、上記安定化方法においては、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物と、ビタミンB群と、ビタミンEと、ガンマーオリザノールとを共存せしめることにより、安定化するのが好ましい。
【0075】
なお、本発明の安定化方法における、各文言の意義、各成分の使用量、添加方法等は前記の組成物の場合と同様である。
【実施例】
【0076】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
〔実施例1〕
アスパラギン酸の塩(L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウム:アルプス薬品工業(株))2400g、ニンニク加工物(オキソアミヂン末:理研化学工業(株))480g、ビタミンB1(ベンフォチアミン:米沢浜理薬品工業(株))1106.4g、ビタミンB2(リボフラビン Riboflavin High Flow 100:BASFジャパン(株))96g、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン:DSM ニュートリション ジャパン(株))400g、ビタミンB12(シアノコバラミンゼラチン粒状物 理研ドライB12−B1−CN−GP:理研ビタミン(株))480g、ガンマーオリザノール(γ−オリザノール:オリザ油化(株))80g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L:日本曹達(株))194.4g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)64.8g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL:アイエスピー・ジャパン(株))518.4gを高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーター FM−VG−25:(株)パウレック)に投入し、エタノールを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(フローコーター FLO−5B:フロイント産業(株))にて乾燥し、その後整粒機(ニュースピードミル ND−10S:岡田精工(株))にて乾燥物を整粒した。
【0078】
得られた整粒物5820g、ビタミンE(コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム:タマ生化学(株))414.3g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)129.6g、結晶セルロース(セオラスPH−102:旭化成ケミカルズ(株))51.3g、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株))64.8gを混合機(ボーレ容器混合機 PM−50:コトブキ技研工業(株))へ投入後混合し、打錠用顆粒を得た。
これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:畑鐵工所)にて打錠し、1錠当たり270mgの素錠を製造した。
得られた素錠6480gに、ヒプロメロース(TC−5R:信越化学工業(株))384g、タルク(タルクMS:日本タルク(株))96g及び精製水4320gからなる懸濁したプロテクト掛液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にてプロテクト掛液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり280mgのプロテクト錠を得た。
得られたプロテクト掛錠6720gに、精製白糖(グラニュ糖CH:塩水港精糖(株))1472g、タルク(タルクMS:日本タルク(株))2496g、沈降炭酸カルシウム(カルシーF:三共精粉(株))2496g、アラビアゴム(アラビアゴム末:日本粉末薬品(株))608g、ゼラチン(ゼラチンE1:(株)ニッピ)128g及び精製水2400gからなる懸濁した下掛液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて下掛液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり430mgの下掛錠を得た。
【0079】
得られた下掛錠10320gに、精製白糖(グラニュ糖CH:塩水港精糖(株))2208g、酸化チタン(酸化チタンNA−61:東邦チタニウム(株))176g、ゼラチン(ゼラチンE1:(株)ニッピ)16g及び精製水1280gからなる懸濁した色掛液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて色掛液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり480mgの色掛錠を得た。
得られた色掛錠11520gに、精製白糖(グラニュ糖CH:塩水港精糖(株))240g及び精製水128gからなる溶解した上掛液を用い、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて上掛液を噴霧しながら乾燥を行い、1錠当たり485mgの上掛錠を得た。
得られた上掛錠11640gに、カルナウバロウ(ポリシングワックス103:フロイント産業(株))1.2gを投入し、コーティング機(ドリアコーター DRC−650DS:(株)パウレック)にて艶出を行い、1錠当たり485mgの糖衣錠を得た。
【0080】
〔比較例1〕
アスパラギン酸の塩の代わりに結晶セルロース(セオラスPH−101:旭化成ケミカルズ(株))を用いたほかは実施例1と同様にして、1錠当たり485mgの糖衣錠を得た。
【0081】
〔試験例1〕ニンニク加工物由来の臭いの抑制の評価
実施例1及び比較例1で得た各錠剤それぞれ180錠を25℃、60%RHの条件下で、8時間、1日、3日及び1週間保存したときの臭いの発生について、
0:ニンニク加工物由来の不快臭を全く感じない
1:ニンニク加工物由来の不快臭をほとんど感じない
2:ニンニク加工物由来の不快臭を感じる
3:ニンニク加工物由来の不快臭を強く感じる
の4段階で評価した。評価は10人で行い、平均値を算出した。結果を表1に示す。
【0082】
【表1】

【0083】
表1の結果より、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムを含有しない比較例1の錠剤においては、1日保存後においてニンニク加工物由来の不快臭が感じられた。一方、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムを含有する実施例1の錠剤においては、1週間保存後においてもニンニク加工物由来の不快臭はほとんど感じられなかった。
【0084】
以上の試験結果より、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上は、ニンニク加工物由来の臭いの抑制作用を有することが明らかとなった。
なお、ニンニク加工物由来の臭いの発生原因・メカニズムの詳細は明らかでないが、ニンニク由来の臭いは一般に空気中の酸素による酸化によって生じるものと考えられており、従ってニンニク加工物が空気と接触し易い固形状の組成物において特に問題となる。本発明によれば、組成物が上記試験例のように固形状である場合においても、ニンニク加工物由来の臭いが有効に抑制された。
従って、本発明によれば、ニンニク加工物由来の臭いが抑制された、品質に優れる組成物が提供できる。
【0085】
〔試験例2〕ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの含量安定性の評価
実施例1及び比較例1で得た各錠剤それぞれ180錠ずつをガラスビン及び金属キャップを用いて包装し、40℃、75%RHの条件下で2ヶ月間及び4ヶ月間保存した。各保存期間後、錠剤をビンから取り出し、ベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム及びガンマーオリザノールの含量を、それぞれ日本薬局方外医薬品規格1997に記載のベンフォチアミンの定量法、第十五改正日本薬局方 医薬品各条に記載のリボフラビンの定量法、第十五改正日本薬局方 医薬品各条に記載の塩酸ピリドキシンの定量法、第十五改正日本薬局方 医薬品各条に記載のシアノコバラミンの定量法、医薬部外品原料規格2006に記載のトコフェロールコハク酸エステルカルシウムの定量法、及び医薬部外品原料規格2006に記載のガンマ−オリザノールの定量法に準じて定量し、各薬物の含量を算出した。得られた各薬物の各保存期間後における含量を、試験開始時における含量を100%としたときの相対値として評価し、含量安定性の指標とした。結果を表2〜表7に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
【表3】

【0088】
【表4】

【0089】
【表5】

【0090】
【表6】

【0091】
【表7】

【0092】
表2〜表7の結果より、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムを含有しない比較例1の錠剤においては、4ヶ月保存後においてベンフォチアミン、リボフラビン、ガンマーオリザノールで3%程度、塩酸ピリドキシン、コハク酸トコフェロールカルシウムで4%程度、シアノコバラミンで11%程度の含量低下が認められた。一方、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムを含有する実施例1の錠剤においては、いずれの成分についても4ヶ月保存後において含量低下がほとんど認められず含量安定性に優れていた。従って、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウムはベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコバラミン、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム及びガンマーオリザノールの安定化作用を有することが明らかとなった。特に、シアノコバラミンに対する安定化作用は顕著であった。
【0093】
以上の試験結果より、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12などのビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの安定化作用を有し、経時的な含量安定性を高めることが明らかとなった。
従って、本発明によれば、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールの経時的な含量安定性が良好で、品質に優れる組成物が提供できる。
【0094】
〔実施例2〕
アスパラギン酸の塩(L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウム:アルプス薬品工業(株))2400g、ニンニク加工物(オキソアミヂン末:理研化学工業(株))480g、ビタミンB1(ベンフォチアミン:米沢浜理薬品工業(株))1106.4g、ビタミンB2(リボフラビン Riboflavin High Flow 100:BASFジャパン(株))96g、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩:DSM ニュートリション ジャパン(株))400g、ビタミンB12(シアノコバラミンゼラチン粒状物 理研ドライB12−B1−CN−GP:理研ビタミン(株))480g、ガンマーオリザノール(γ−オリザノール:オリザ油化(株))80g、結晶セルロース(セオラスPH−101:旭化成ケミカルズ(株))194.4g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)64.8g、クロスポビドン(ポリプラスドンXL:アイエスピー・ジャパン(株))518.4gを高速攪拌造粒機(バーチカルグラニュレーター FM−VG−25:(株)パウレック)に投入し、エタノールを加えることで造粒物を調製した。これを流動層乾燥機(フローコーター FLO−5B:フロイント産業(株))にて乾燥し、その後整粒機(ニュースピードミル ND−10S:岡田精工(株))にて乾燥物を整粒した。
【0095】
得られた整粒物5820g、ビタミンE(コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム:タマ生化学(株))414.3g、ケイ酸カルシウム(フローライトRE:(株)トクヤマ)129.6g、結晶セルロース(セオラスPH−102:旭化成ケミカルズ(株))51.3g、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:太平化学産業(株))64.8gを混合機(ボーレ容器混合機 PM−50:コトブキ技研工業(株))へ投入後混合し、打錠用顆粒を得た。
これをロータリー式打錠機(HP−AP18−SS:畑鐵工所)にて打錠圧:600、900、1200、1500又は1800kg/cm2の条件で打錠し、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
【0096】
〔比較例2〕
アスパラギン酸の塩の代わりに結晶セルロース(セオラスPH−101:旭化成ケミカルズ(株))を用いたほかは実施例2と同様にして、1錠当たり270mgの錠剤を製した。
【0097】
〔試験例3〕アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上を含有する錠剤の硬度の評価
実施例2及び比較例2で得た錠剤の硬度を測定した。具体的には、実施例2及び比較例2の錠剤を各打錠圧の条件につきそれぞれ20錠ずつとり、1錠毎に錠剤硬度計(PTB−311E:PHARMATEST)で錠剤硬度を測定し、平均値を算出した。結果を表8に示す。
【0098】
【表8】

【0099】
表8の結果より、アスパラギン酸の塩を含有する実施例2の錠剤は、アスパラギン酸の塩を含有しない比較例2の錠剤と比較して、いずれの打錠圧の条件においても硬度が約2倍となった。
【0100】
以上の試験結果より、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上は、錠剤の硬度を増強する作用を有することが判明した。また、このことから、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上は、優れた結合能を有し、固形状の組成物において結合剤として利用できることが明らかとなった。
従って、本発明の組成物が固形状である場合、他の結合剤を使用せずとも製剤化でき、組成物に配合する製剤添加物等の成分の種類・量を低減せしめつつ製造することができる。
【0101】
〔試験例4〕毛様体筋疲労モデルを用いた、眼精疲労回復作用の評価
特開2003−10158号公報に記載の試験方法を参考に、以下の試験方法に従い、毛様体筋疲労モデルにおける毛様体筋収縮力の増強作用を評価し、眼精疲労回復作用の指標とした。
【0102】
雄性白色家兎((株)日本医科学動物資材研究所より購入)をペントバルビタール過麻酔により致死せしめた後、直ちに眼球を摘出し、円周方向に幅約5mmの毛様体筋標本を作成した。標本の一端をマグヌス実験装置(アイソメトリックトランスデューサー(TRI 202P :Letica社製))に接続し、37℃で酸素95%と炭酸ガス5%の混合ガスを通気した緩衝液(118.0mM NaCl、4.7mM KCl、2.5mM CaCl2、1.2mM KH2PO4、25.0mM NaHCO3、11.1mM グルコース:pH7.8)20mLを満たしたマグヌス槽中に0.1gの負荷をかけて懸垂した。なお、張力変化はトランスデューサーを介してレコーダーにより記録した。
上記操作後30分程度静置した後、収縮剤(1mM カルバコール(SIGMA社製))10μLを緩衝液に添加して毛様体筋の収縮反応を惹起し、収縮力が最大ピークに達した後、ベースラインに低下するまで緩衝液で洗浄した。この収縮剤添加・洗浄の操作を8回程度繰り返し行い毛様体筋を繰り返し収縮・弛緩させることで収縮力を試験開始時から70%程度低下させ、毛様体筋疲労モデルを作成した。なお、上記収縮剤添加・洗浄操作のうち、最後の1回の収縮剤添加による収縮力の最大ピーク値を薬物添加直前の収縮力(Pre値)とした。
上記方法により作成した毛様体筋疲労モデルにおいて、被験薬物をマグヌス槽中の緩衝液に添加し、10分後に収縮剤を添加し、収縮力の最大ピーク値(Post値)を測定した。得られたPost値を、Pre値を100とした相対値で収縮力増強率(%)として評価した。また、Post値をPre値で除した値を相対指数として評価した。
【0103】
被験薬物は、下記成分(A)投与群、成分(B)投与群、及び成分(A)と(B)の併用投与群((A)+(B)投与群)の3群に分け、マグヌス槽中の緩衝液における終濃度がそれぞれ下記濃度となるよう各薬物を注射用水に溶解させ添加した。
【0104】
成分(A):アスパラギン酸(アスパラギン酸カリウム・マグネシウム:(株)日生化学工業所)550μg/mL
成分(B):ニンニク加工物(オキソアミヂン末:理研化学工業(株)製)110μg/mL、ビタミンB1(ベンフォチアミン:金剛化学(株)製)250μg/mL、ビタミンB2(リボフラビン:DSMニュートリションジャパン(株)製)22μg/mL、ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩:武田薬品工業(株)製)91μg/mL、ビタミンB12(シアノコバラミン:和光純薬工業(株)製)0.11μg/mL
【0105】
なお、被験薬物投与群それぞれ各群につき、3〜4例の試験を行なった。
結果を表9に示す。なお、収縮力増強率は、平均値±標準誤差で、相対指数は平均値でそれぞれ表示した。
【0106】
【表9】

【0107】
表9の結果より、成分(A)、(B)の単独投与群では、薬物投与前と比較して約1.2〜1.3倍程度の毛様体筋の収縮力の増強が認められたものの、著しい作用ではなかった。しかし、成分(A)と(B)の併用投与群においては、薬物投与前と比較して約2倍もの毛様体筋の収縮力の増強が認められた。また、相対指数は、成分(A)投与群において1.24、成分(B)群において1.33であり、それらの積(1.65)は成分(A)と(B)の併用投与群の2.02より小さく、バルジの方法により、成分(A)と(B)の組み合わせは、毛様体筋収縮力の増強作用に関し相乗効果を発揮しているものと結論付けられた。
【0108】
以上の試験結果より、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上とを組み合わせることにより優れた眼精疲労回復作用が得られ、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上と、ニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上とをそれぞれ単独で投与する場合と比較して眼精疲労回復作用に対し相乗効果が得られることが明らかとなった。
従って、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上、並びにニンニク加工物及びビタミンB群よりなる群から選ばれる1種以上を含有する態様の本発明の組成物は、眼精疲労改善用組成物として好適に利用できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の安定化方法によれば、ニンニク加工物由来の臭いを抑制でき、あるいは、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の含量低下を抑制でき、これらの成分の安定性を改善することができ、これらの成分を含有する組成物等の商品価値を高めることができるため、医薬品産業、化粧品産業、食品産業等において利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを共存せしめることを特徴とする、ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上の安定化方法。
【請求項2】
ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを同一の組成物中に含有せしめるものである、請求項1記載の安定化方法。
【請求項3】
組成物が、固形状の組成物である、請求項2記載の安定化方法。
【請求項4】
ニンニク加工物、ビタミンB群、ビタミンE及びガンマーオリザノールよりなる群から選ばれる1種以上と、アスパラギン酸及びその塩よりなる群から選ばれる1種以上とを混合するものである、請求項1記載の安定化方法。
【請求項5】
ビタミンB群が、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6及びビタミンB12よりなる群から選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれか1項記載の安定化方法。
【請求項6】
ニンニク加工物が加工大蒜であり、ビタミンB群がベンフォチアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン及びシアノコバラミンよりなる群から選ばれる1種以上であり、ビタミンEがコハク酸dl−α−トコフェロールカルシウムである、請求項1〜5のいずれか1項記載の安定化方法。

【公開番号】特開2011−63581(P2011−63581A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149179(P2010−149179)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】