説明

安定化電源装置

【課題】連続最大出力よりも大きい電流を一時的に負荷へ供給することができ、かつ、部品点数の少ない安定化電源装置を提供すること。
【解決手段】入力電流の電流値を監視し、電流値が所定の閾値を超えた場合には入力電流を調整して出力電流として出力するように構成された安定化電源装置10であって、閾値設定回路15は、閾値の引き上げ要求を入力した場合には閾値を所定の期間に亘って引き上げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定化電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来の安定化電源装置110の構成図である。
【0003】
安定化電源装置110は、図3を参照すると、電流検出回路111、電圧変換回路112、制御回路113、過電流判定回路114を備える。
【0004】
電流検出回路111は、入力電流の大きさを検出し、電流値を過電流判定回路114へ通知する。
【0005】
過電流判定回路114は、通知された電流値が自身の保持する閾値を超えた場合には、制御回路113に向けて、入力電流が過大であることを通知する。
【0006】
制御回路113は、入力電流が過大である旨の通知を受信した場合には、電圧変換回路112を介して出力電流の大きさを制御する。
【0007】
安定化電源装置110は、以上の構成に基づいて、過電流保護機能を実現している。
【0008】
従来の安定化電源装置110では、過電流判定回路114が保持する閾値は一定値であった。
【0009】
なお、特許文献1において、部品の破損を防ぐための過電流保護回路を備え、電流起動時において過電流保護の閾値を変化させるように構成された、スイッチング電源装置が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−245064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以下の分析は本発明者によってなされたものである。
【0012】
起動時においてのみ一時的に大電流を必要とするようなモータ等の負荷に対して電源を供給する場合、従来は、この大電流に応じた連続最大出力を備えた安定化電源装置が使用されてきた。
【0013】
このような安定化電源装置は、大電流を必要としない通常時においては、過剰性能であって、経済性が悪く、大型化する問題があった。
【0014】
また、安定化電源装置が通常動作している場合には、部品のディレーティングには余裕があるため、一時的な過大負荷には十分耐えられると考えられる。
【0015】
そこで、出力過電流保護機能が動作を開始する出力電流の閾値を可変とすることが考えられる。
【0016】
しかし、特許文献1に開示されたスイッチング電源装置は、直流出力のみを想定し、過電流として容量性負荷へ充電する際の電流のみを対象としている。
【0017】
また、このスイッチング電源装置は、過電流保護回路を1次系および2次系の2系統において備えた構成であるため、部品点数が多いという問題がある。
【0018】
さらに、このスイッチング電源装置は、電源起動時における過電流にのみ対応し、電源起動後に大電流が必要になった場合に対応することができないという問題がある。
【0019】
したがって、連続最大出力よりも大きい電流を一時的に負荷へ供給することができ、かつ、部品点数の少ない安定化電源装置を提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の視点に係る安定化電源装置は、入力電流の電流値を監視し、前記電流値が所定の閾値を超えた場合には前記入力電流を調整して出力電流として出力するように構成された安定化電源装置であって、前記閾値の引き上げ要求を入力した場合には前記閾値を所定の期間に亘って引き上げるように構成された閾値設定回路を備えたことを特徴とする。
【0021】
第1の展開形態の安定化電源装置は、前記閾値設定回路が、前記閾値の引き上げ後、所定の期間を経過した場合には正常復帰信号を出力するように構成されることが好ましい。
【0022】
第2の展開形態の安定化電源装置は、前記安定化電源装置を構成する部品の温度を計測し、前記閾値設定回路へ送信する温度検出回路をさらに備え、前記閾値設定回路が、前記閾値の引き上げ要求を入力した場合には前記閾値を前記温度に応じた期間に亘って引き上げるように構成されてもよい。
【0023】
第3の展開形態の安定化電源装置は、前記安定化電源装置を構成する部品の温度を計測し、前記閾値設定回路へ送信する温度検出回路をさらに備え、前記閾値設定回路が、前記安定化電源装置の構成部品の温度が所定の温度を下回った場合には正常復帰信号を出力するように構成されてもよい。
【0024】
第4の展開形態の安定化電源装置は、前記安定化電源装置を構成する部品の温度を計測し、前記閾値設定回路へ送信する温度検出回路をさらに備え、前記閾値設定回路が、前記閾値の引き上げ要求を入力した場合には前記閾値を前記温度に応じた期間に亘って引き上げ、前記安定化電源装置の構成部品の温度が所定の温度を下回った場合には正常復帰信号を出力するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の安定化電源装置によって、連続最大出力よりも大きな電流を一時的に負荷へ供給することができる。また、本発明の安定化電源装置は、絶縁型電源の場合には1次側、非絶縁型電源の場合には入力側のみにおいて、少ない部品点数で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
電源が供給される負荷が、例えば、モータである場合、大きな電流が必要とされるのは、起動時における一時的な期間に限られる。そこで、出力過電流保護機能が動作を開始する出力電流の閾値を必要なときに限って一時的に上昇させる機能を安定化電源に設けることが好ましい。
【0027】
また、継続的に大きな電流が流れることによる安定化電源装置の部品が破損することを防ぐため、閾値を上昇させる際には、時間制限を設けることが好ましい。
【0028】
負荷の起動時においてのみ大電流が必要とされる場合には、以上の機能によって、本発明の効果を奏することができる。
【0029】
一方、負荷の起動時において、閾値を上昇させる制御を行った後に、再び、閾値を上昇させる制御が必要とされる場合は、安定化電源装置の電圧変換回路の部品温度を監視し、それらの温度が所定の温度以下になった場合には正常復帰信号を出力することが好ましい。
【0030】
また、閾値を上昇させる制御の直後においては、正常復帰信号が安定化電源装置から出力されるまで一時的に大電流を必要とするモータの停止を禁止するなどして、これらの負荷の動作に障害を与えないようにし、同時に、安定化電源装置の部品が破損することも防止するようにしても良い。
【0031】
部品温度の正常復帰信号が安定化電源装置から出力された後、再び、閾値の上昇制御が必要な場合は、閾値上昇要求信号を受信して閾値の上昇制御を行う機能を設けることで、負荷が起動する前に、一時的な大電流を負荷へ供給できるようにすることが好ましい。
【0032】
このような機能を備えた安定化電源装置において、部品の温度が所定の温度以下になる前に閾値を上昇させる制御が引き続いて生じることを防ぎ、安全性と信頼性を確保することができる。また、かかる安定化電源装置によって、通常動作時の電流値に応じた適度な閾値に設定された、出力過電流保護機能を実現することができる。
【実施例1】
【0033】
図1は、本発明の第1の実施例に係る安定化電源装置10の構成図である。
【0034】
安定化電源装置10は、図1を参照すると、電流検出回路11、電圧変換回路12、制御回路13、過電流判定回路14、閾値設定回路15を備える。
【0035】
電流検出回路11は、入力電流の大きさを検出し、電流値を過電流判定回路14へ通知する。
【0036】
過電流判定回路14は、通知された電流値が自身の保持する閾値を超えた場合には、制御回路13に向けて、入力電流が過大であることを通知する。
【0037】
制御回路13は、入力電流が過大である旨の通知を受信した場合には、電圧変換回路12を介して出力電流の大きさを制御する。
【0038】
以上の構成によって、安定化電源装置10は、過電流保護機能を実現することができる。
【0039】
本発明の第1の実施例に係る安定化電源装置10は、さらに、過電流判定回路14が保持する閾値の大きさを変化させるとともにその期間を制限する閾値設定回路15を備える。
【0040】
負荷を起動させる場合など、一時的に大電流が必要とされる場合には、閾値設定回路15へ閾値上昇要求信号を送信する。
【0041】
閾値設定回路15は、閾値上昇信号を受信した場合、過電流判定回路14へ閾値上昇要求信号を転送する。
【0042】
過電流判定回路14は、閾値上昇要求信号を受信した場合、自身の保持する閾値を上昇させる。
【0043】
これにより、安定化電源装置10は、一時的に大電流を出力することができる状態に置かれる。
【0044】
閾値設定回路15は、閾値上昇要求信号の転送を開始した後、所定の期間が経過した場合、かかる閾値上昇要求信号の転送を停止する。
【0045】
これによって、大きな電流が連続して流れることによる、電圧変換回路12の部品の破損を防ぐことができる。
【実施例2】
【0046】
図2は、本発明の第2の実施例に係る安定化電源装置20の構成図である。
【0047】
安定化電源装置20は、図2を参照すると、電流検出回路11、電圧変換回路12、制御回路13、過電流判定回路14、閾値設定回路15を備える。
【0048】
負荷において、起動時以外に再び大電流の供給が必要とされる場合を想定して、閾値設定回路15は、閾値上昇要求信号を入力するとともに、正常復帰信号を出力するようにしてもよい。
【0049】
閾値設定回路15は、閾値上昇要求信号を過電流判定回路14へ転送した場合、正常復帰信号の出力を停止する。
【0050】
閾値設定回路15は、閾値上昇要求信号の転送を停止した後、電圧変換回路12を構成する部品が正常温度に復帰するために要する所定の期間を経過すると、正常復帰信号を出力する。
【0051】
安定化電源装置20を利用する側は、起動時以外の時点おいて、負荷が大電流の供給を必要とする場合、正常復帰信号が出力されている期間中、かつ、負荷を起動する直前に、閾値上昇要求信号を閾値設定回路15へ送信する。
【0052】
閾値設定回路15は、閾値上昇要求信号を入力した場合、起動時と同様に、過電流判定回路14へ閾値上昇要求信号を転送するとともに正常復帰信号の出力を停止する。
【0053】
過電流判定回路14は、閾値上昇要求信号を入力した場合、自身の保持する閾値を上昇させることにより、安定化電源装置20において一時的に大電流を出力することができるようにする。
【0054】
この場合も実施例1と同様に、閾値設定回路15は、閾値上昇要求信号の転送を開始した後、所定の期間が経過すると、閾値を上昇させる信号の送信を停止し、大電流が継続することによる電圧変換回路12の破損を防止する。
【0055】
安定化電源装置20は、図2を参照すると、温度検出回路16をさらに備えてもよい。
【0056】
温度検出回路16は、安定化電源装置20を構成する部品の温度を計測し、閾値設定回路15へ送信する。
【0057】
閾値設定回路15は、閾値の引き上げ要求を入力した場合には閾値を計測された部品の温度に応じた期間に亘って引き上げることが好ましい。
【0058】
また、閾値設定回路15は、安定化電源装置20の構成部品の温度が所定の温度を下回った場合、正常復帰信号を出力するようにしてもよい。
【0059】
さらに、閾値設定回路15は、閾値の引き上げ要求を入力した場合には閾値を温度に応じた期間に亘って引き上げるとともに、安定化電源装置20の構成部品の温度が所定の温度を下回った場合、正常復帰信号を出力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施例に係る安定化電源装置の構成図である。
【図2】本発明の第2の実施例に係る安定化電源装置の構成図である。
【図3】従来の安定化電源装置の構成図である。
【符号の説明】
【0061】
10、20、110 安定化電源装置
11、111 電流検出回路
12、112 電圧変換回路
13、113 制御回路
14、114 過電流判定回路
15 閾値設定回路
16 温度検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電流の電流値を監視し、前記電流値が所定の閾値を超えた場合には前記入力電流を調整して出力電流として出力するように構成された安定化電源装置であって、
前記閾値の引き上げ要求を入力した場合には前記閾値を所定の期間に亘って引き上げるように構成された閾値設定回路を備えたことを特徴とする安定化電源装置。
【請求項2】
前記閾値設定回路が、前記閾値の引き上げ後、所定の期間を経過した場合には正常復帰信号を出力するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の安定化電源装置。
【請求項3】
前記安定化電源装置を構成する部品の温度を計測し、前記閾値設定回路へ送信する温度検出回路をさらに備え、
前記閾値設定回路が、前記閾値の引き上げ要求を入力した場合には前記閾値を前記温度に応じた期間に亘って引き上げるように構成されたことを特徴とする、請求項1または2に記載の安定化電源装置。
【請求項4】
前記安定化電源装置を構成する部品の温度を計測し、前記閾値設定回路へ送信する温度検出回路をさらに備え、
前記閾値設定回路が、前記安定化電源装置の構成部品の温度が所定の温度を下回った場合には正常復帰信号を出力するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の安定化電源装置。
【請求項5】
前記安定化電源装置を構成する部品の温度を計測し、前記閾値設定回路へ送信する温度検出回路をさらに備え、
前記閾値設定回路が、前記閾値の引き上げ要求を入力した場合には前記閾値を前記温度に応じた期間に亘って引き上げ、前記安定化電源装置の構成部品の温度が所定の温度を下回った場合には正常復帰信号を出力するように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載の安定化電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−5435(P2009−5435A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161472(P2007−161472)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000222060)東北日本電気株式会社 (16)
【Fターム(参考)】