説明

安定性トロンビン組成物

【課題】安定したトロンビン組成物を提供する。
【解決手段】本発明の安定したトロンビン組成物は、精製トロンビン、ヒトのアルブミンおよび中性塩を含み、凍結乾燥または凍結させたものとして保存した場合に、得られた生成物は安定であり、溶液1ml当たり500IU以上のトロンビンの公称強度に調節され、ヒトのアルブミンは0.05%(w/v)を超える濃度、好ましくは0.1%(w/v)〜1%(w/v)の濃度である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスを保持するために二重ナノろ過にかけることができ、かつ凍結乾燥または凍結した状態で保存することができる、フィブリン接着剤の成分としての治療上の使用または他の止血用使用のための、溶液中で安定であるトロンビン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トロンビンは、その不活性前駆体であるプロトロンビンの活性化によって、循環血液中で生成するセリンプロテアーゼである。凝固過程において、トロンビンは、フィブリン凝固体を形成しかつ止血を維持するために、フィブリノーゲン分子をフィブリンモノマーに分割するという基本的な役割を有している。したがって、トロンビンは、局所止血剤として、およびフィブリン接着剤(活性成分として主にフィブリノーゲンおよびトロンビンを含む化合物)の成分としての治療用途を有している。
【0003】
通常使用されるトロンビンは動物由来(ウシまたはウマ)のものである。これらの調製物は多くの場合、異種タンパク質過負荷に起因する免疫反応をもたらしている。最近では、ヒトトロンビンは、ヒト血漿から相当な精製度で精製されている。より最近では、血漿由来[Biochem.(Tokyo)2004 May;135(5):577〜582頁]または遺伝子組み換え由来のトロンビンの活性と同一活性を有する工業規模での組換え由来のヒトトロンビンを得ることが可能になってきている。
【0004】
その由来が何であれ、精製トロンビン溶液には、製造工程の最終段階および販売時の保管の間(最終製品の安定性)の両方で、安定性の問題が生じてくる。また、適切に安定化されていない場合、相当な活性の損失をきたす懸念がある。
【0005】
これに加え、生物由来の生成物として、トロンビンを、トロンビンが由来する血漿中の出発材料に付随する、あるいは組換え生成物の場合の培地または遺伝子組み換え生成物の場合の生成有機体に付随する病原体を除去するために、特定の段階にかけなければならない。最近の傾向では、少なくとも2つの補足的なウイルス除去段階が含まれる。
【0006】
血漿タンパク質の精製プロセスでウイルス負荷を低減させるために用いられる方法の中で、その広範囲の使用と顕著な効率のために、以下のものを挙げるべきであろう。
【0007】
−熱処理。この熱処理は潜在的に、エンベロープ型ウイルスおよび裸のウイルスの両方の有効なウイルス量を低減させる。その効率はタンパク質の熱安定性と加えられた安定剤に直接関係し、新抗原性(neoantigenicity)の出現を誘発するタンパク質分子中におけるさらなる変化を回避する必要がある[CPMP/Note for guidance on plasma derived products(CPMP/BWP/269/95rev.3)January 2001]。
【0008】
−有機溶媒(OSD)処理。脂質エンベロープを有するウイルスを不活性化する効率が非常に高いことから、これは、広範に使用される処理形態であり、この種のウイルスのための標準的処理と見なすことができる。逆にこれは、パルボウイルスおよびA型肝炎ウイルスなどの脂質エンベロープを有していないウイルスに対して効果はない[Burnouf T.Blood Reviews(2000)14、94〜110頁;Martinowitz U.Curr.Opin.Hematol.(1996)3、395〜402頁]。
【0009】
−ウイルス粒子を阻止することができる細孔径のフィルターによる溶液のろ過は、原理的に、タンパク質の構造を変える潜在能力を有しておらず、用いる細孔径に応じてウイルス量を除去するのに有効な能力を有する物理的方法なので、最近広く用いられてきている方法の1つである。この細孔径は特に、ろ過すべきタンパク質分子(これはフィルターを通過しなければならない)の空間的寸法によって選択される。15nmフィルターを通したろ過によって、20〜30nmの範囲にあるA型肝炎ウイルスおよびパルボウイルスなどの小さい裸のウイルスの著しい削減が保証可能である。2つの15nmフィルターを直列に用いたろ過の実施が可能であることによって、ウイルス量の削減のレベル、したがってこれらのウイルスに関わる安全性のレベルを増大させることになる。このナノろ過を最終段階で実施した場合、続く溶液組成物の濃縮操作および濃度の調節が回避され、ナノフィルター製品を偶発的に汚染する可能性を排除することになる。
【0010】
以下の文献も引用することができる:
トロンビンの調製のための方法を記載するスペイン特許第2108738号(Michalski)は、グルコン酸塩緩衝剤を、2g/lのアルブミン、5g/lのサッカロースおよび60mMのCaClと一緒にした調合物を作製しており、これは、アルブミン、ショ糖およびカルシウムが、溶液中での取り扱い(24時間安定性)、凍結およびそれに続く凍結乾燥の際の安定化に必須であることを示している。
【0011】
フィブリン接着剤の成分としてのフィブリノーゲンおよびトロンビンを得るための方法を記載している国際出願PCT WO99/23111(Haemacure)は、トロンビン活性を保持するためには、溶出後直ちにアルブミンを加えることが必須であることを明らかにしている。安定化および調合のために加えるアルブミンの濃度は2%である。
【0012】
【非特許文献1】Biochem.(Tokyo)2004 May;135(5):577〜582頁
【非特許文献2】CPMP/Note for guidance on plasma derived products(CPMP/BWP/269/95rev.3)January 2001
【非特許文献3】Burnouf T.Blood Reviews(2000)1494〜110頁
【非特許文献4】Martinowitz U.Curr.Opin.Hematol.(1996)3、395〜402頁
【特許文献1】スペイン特許第2108738号(Michalski)
【特許文献2】国際特許出願WO99/23111(Haemacure)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、安定したトロンビン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、精製トロンビン、ヒトのアルブミンおよび中性塩を含み、得られる生成物を凍結乾燥するかまたは凍結して保存することを特徴とするトロンビン組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、トロンビンを、タンパク質1mg当たり1500IU以上のトロンビンの比活性、および1ml当たり500IU以上のトロンビンの強度まで精製し、その溶液を、ヒトのアルブミンおよび中性塩を加え、混合して安定化させ、続いて前記溶液を二重ナノろ過系にかけることを特徴とするトロンビン組成物の調製方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明者等は、ヒトのアルブミンおよび中性塩、場合により可溶化剤およびpH緩衝剤の存在下で、高度に精製されたトロンビン調合物を開発した。
【0017】
この調合物は、最大で35nm、好ましくは15ナノメータ(nm)の公称細孔径(nominal pore size)の直列にした2つのフィルターによってナノろ過可能である。これらのフィルターは、高いろ過能力を有し、かつ製品回収率の低下およびナノろ過した材料の劣化がなく、それによって、単分散されたブタのパルボウイルスなどの最も小さいウイルス(ヒトB19のモデルとして)でも、log4(ベース10)を超えるレベルに保持される。また、ナノろ過した材料は、処方(formula)または最終組成の調節のため後続の処理を必要とせず、交差汚染の危険性が回避され、得られた生成物は後続の処理に対して十分安定しており、凍結乾燥または凍結状態で安定的に保存される。
【0018】
この調合物においては、アルブミンは安定剤として働き、ナノろ過の過程での液体状態での操作の際および凍結乾燥または凍結の際のトロンビンの活性を保持する。また、アルブミンはpH緩衝剤としての効果を有しており、凍結乾燥したペレットに稠密さを付与する。塩化ナトリウムなどの中性塩に関しては、トロンビンが非常に不溶性であり低いイオン強度では沈澱する場合のことを考えると、これは、トロンビンを溶解させ、溶液の等張性を維持するように働く。
【0019】
pH減衰効果、また凍結乾燥物の稠密化および可溶化も、グリシン、またはクエン酸ナトリウムもしくは酢酸ナトリウムなどの可溶化剤および/またはpH緩衝剤の添加によって補うことができる。
【0020】
本発明者等は0.05%を超えるアルブミン濃度と塩化ナトリウムの存在が必要であることを明確にした。塩化ナトリウム濃度は少なくとも0.05モルでなければならない。ほぼ等張性であるかまたは0.15モルであればよりよい。このようにして、それ程の活性の損失もなく(トロンビン回収率>90%)、良好な生産性(ナノろ過面積1m当たり最大で1500万IUのトロンビン、またはより高い負荷)で、トロンビン溶液を、最大で35nm、好ましくは15nmの公称細孔径のフィルターよって二重ナノろ過することができる。ナノろ過した材料を、0.2μm膜を用いて殺菌し、適当な容器(バイアル、瓶、シリンジ等)中に無菌状態で量り込み、続く凍結乾燥のために−18℃で凍結させ、凍結状態で保存する。後者の場合、凍結させる前に、塩化カルシウム溶液をトロンビンに加えて、その安定性にこれが影響を及ぼすことなく、処方を調節することができる。
【0021】
本発明の組成物を得るための方法を以下の実施例で説明する。これは説明のためであって、限定しようとするものではない。
【0022】
タンパク質1mg当たり1500IU以上のトロンビンに等しい比活性特性と、1ml当たり500IU以上のトロンビンの能力を有する生成物をもたらす方法で精製したトロンビン溶液を、0.05%(w/v)を超える濃度、好ましくは0.1%(w/v)〜1%(w/v)濃度のヒトのアルブミンと0.05以上のモルの濃度の塩化ナトリウムとを5.0〜8.5のpHで加え、混合して安定化する。
【0023】
このトロンビン溶液を、最大で35nm、好ましくは15nmの公称細孔径まで二重ナノろ過系を用いて処理する。使用したナノフィルターの種類はPlanova15N(登録商標)(Asahi−Kaseiから)の商品名で市販されており、異なるろ過面積を有する再生セルロースでできた中空繊維カートリッジの構造を有している。特定の調合条件下で、第1のナノフィルターからのろ液を第2のナノフィルターに供給し、それによって、各ナノフィルター中での1.0バール未満、好ましくは0.2バール〜1.0バールの正の差圧に相当する、このナノフィルターの製造メーカーが推奨するナノろ過条件を変更することなく、2つのナノフィルターを直列に連結することによって、二重ナノろ過を同時に行うことができる。フィルター1個当たりのナノろ過能力は30l/mより大きくてよいが、最も小さいウイルス(パルボウイルス)の効果的な削減を達成するために、1m当たり30リットル以下の溶液を用いることが好ましく、5〜30l/mを用いることがより好ましい。
【0024】
ナノろ過した溶液は、それが凍結乾燥かまたは続く凍結のために最終処方にすでに調節されておれば、追加の操作を行うことなく、約500IU/mlの公称強度(nominal strength)を有することができる。
【0025】
最終処方を調節するために、必要なら、例えば、0.01〜0.1モルの濃度のグリシンなどのアミノ酸、例えば10mMの濃度のクエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムなどのカルボン酸の塩、および塩化カルシウムまたは同等の塩(通常20〜60mM)を加えることができる。得られた調合物は引き続きナノろ過可能であり、この工程の間安定である。
【0026】
凍結乾燥した場合でも凍結させた場合でも、得られる生成物は長期間安定である。凍結乾燥した生成物は、高温で短い曝露時間、例えば、90〜115℃で0.5〜8時間、好ましくは約100℃で1〜2時間加熱して、任意にウイルス不活性化にかけることができる。
【0027】
本発明の特徴を以下の通りまとめることができる:
精製トロンビン組成物は、その処方がヒトのアルブミンおよび塩化ナトリウムなどの中性塩を含むものであって、凍結させるか凍結乾燥して保存した場合、得られた生成物は安定である。この組成物においては、トロンビンは溶液1ml当たり500IU以上のトロンビンの公称強度に調節され、ヒトのアルブミンは0.05%(w/v)を超える濃度、好ましくは0.1%(w/v)〜1%(w/v)の濃度に調節される。塩化ナトリウム濃度は少なくとも0.05モルにすべきであり、ほぼ等張性であるかまたは0.15モルであればよりよい。
【0028】
このトロンビン組成物は、最大で35nm、好ましくは15nmの公称細孔径までの直列にした二重ナノろ過によってろ過することができ、それぞれのナノフィルターで、ろ過面積1m当たり最大で30リットルの溶液をろ過することができる。
【0029】
この凍結乾燥したトロンビン組成物を、90〜115℃で1/2時間〜8時間、好ましくは100℃で1〜2時間乾燥加熱によって処理することができる。
本発明の非限定的な様々な実施例を以下に示す。
【実施例1】
【0030】
全タンパク質のmg当たり>1500IUの比活性を有する精製トロンビン(ロットT−1006)を、75mMのNaCl、50mMのグリシンおよび10mMの酢酸ナトリウムをpH6.5で含む5容積部の溶液に対して、10kDa限外ろ過膜を用いて透析し、最終的に654IUのトロンビン/ml溶液に濃縮した。続いてこれを、最大で0.25%のヒトのアルブミン(Albumina Grifols20%)を加えて安定化させた。
【0031】
この方法で安定化させた溶液を<−20℃で凍結させてナノろ過試験を開始した。最大で15nm公称細孔径までの二重ナノろ過に対する先行予備ろ過(清澄化)の効果を、再生銅アンモニウムセルロースナノフィルター(Asahi−KaseiからのPlanova 15N(登録商標))を用いて検討した。この目的のために、3つの一定分量の安定化溶液を水浴中、20±2℃で解凍させた。その結果、生成物の最終温度は2〜8℃であり、トロンビン活性は591.0〜614.5IU/mlであり、全タンパク質は2.54〜2.80mg/mlであった。溶液を、異なる細孔径:0.22μm(MilliporeからのPVDF)、0.1μm(Pall Corp.からのPVDF)および35nm(Asahi−Kaseiからの再生銅アンモニウムセルロース、Planova35N(登録商標))の3種類のフィルターを用いて個別に予備ろ過し、続いて二重の15nmのナノろ過(0.001mからの、2×Planova 15N(登録商標))で同時にろ過し、生成物の当初の容積の20〜28%相当量で最終的な後洗浄を行った。プロセスの実行可能性と予備ろ過の効果を、得られた適用比(application ratio)(kg/m)、ナノろ過の間の膜貫通圧力(TMP)の変化または増大、全タンパク質、トロンビン活性およびトロンビン回復率に関して試験を行った。
試験条件および得られた結果は以下の通りである:
【0032】
【表1】

【0033】
この検討から、ナノろ過の間のTMPの増大に関しては、<−20℃で予め凍結させた調合済みの材料の予備ろ過は、ほぼ同じ適用比とろ液流量について、検討した0.22μm〜35nmの細孔径範囲内の15nmでの二重ナノろ過に対して差分的効果を有していないことが認められよう。また、タンパク質、活性および回復率%に関しても、実施した試験の間で有意の差はなかった。同様に、塩化ナトリウム、グリシンおよび酢酸ナトリウムと一緒に、高度に精製したトロンビンとアルブミンとを含む開発した製品処方を用いた、15nmでの二重ナノろ過の実行可能性を検討したところ、すべての場合において、適用比値>30kg/mおよび96%を超える回復率であり、その実行可能性が実証された。
【実施例2】
【0034】
凍結乾燥で乾燥させた最終生成物を、非常に高温での短時間の曝露熱処理にかける可能性を検討した。同一ロットの精製生成物から出発して、調合物を2つの異なる組成で調製した。すなわち、処方A:約500IU/mlのタンパク質トロンビン、1%アルブミン、10mM酢酸ナトリウムおよび75mM塩化ナトリウム;処方B:約500IU/mLのトロンビン、2%マンニトール、10mMヒスチジン、0.03%のPEG−3350および175mMの塩化ナトリウムであった。
【0035】
組成物を15nmでナノろ過し、ナノろ過した生成物を10mlバイアル中で凍結乾燥し、装置の最大真空条件下(<0.1mバール)、37℃で24時間最終的な乾燥を実施した。残留水分は1%未満であった。
【0036】
得られたバイアルを、100℃、105℃、110℃および115℃で、1/2時間、1時間、2時間、4時間および8時間熱処理にかけ、続いてトロンビン活性を測定した。熱処理にかけていない元の生成物に対する活性回復率の割合は以下の通りである。
【0037】
【表2】

【0038】
上記の表に示す結果は、アルブミンの熱保護効果を示しており、かつ100〜105℃の温度で概ね最大4時間まで、110℃で2時間まで、115℃で1時間まで熱をかけることができ、90±5%の活性の回復率またはそれ以上が得られることを示している。
【実施例3】
【0039】
凍結乾燥した生成物の安定性を評価するために、以下の最終生成物を調製した。
【0040】
【表3】

【0041】
これらの調製物を5℃と30℃で保存し、サンプルを異なる保存時間で分析した。分析したパラメータにおいて不安定性を示す徴候は認められず、以下の活性回復率(%)を得た。
【0042】
【表4】

【実施例4】
【0043】
凍結生成物の安定性を評価するために以下の最終生成物を調製した。
【0044】
【表5】

【0045】
これらの調製物を−18℃で保存し、サンプルを異なる保存時間で分析した。分析したパラメータにおいて不安定性を示す徴候は認められず、以下の活性回復率(%)を得た。
【0046】
【表6】

【0047】
これらの調製物のいくつかについて、5℃および25℃での溶液の安定性も検討した。分析したパラメータにおいて不安定性を示す徴候は認められず、以下の活性回復率(%)を得た。
【0048】
【表7】

【0049】
例示した実施例をもとに、本発明をその本質的な特徴において説明してきたが、これらの説明は、上記特許請求の範囲で定義する本発明の範囲を制限しようとするものではないことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
精製トロンビン、ヒトのアルブミンおよび中性塩を含み、得られる生成物を凍結乾燥するかまたは凍結して保存することを特徴とするトロンビン組成物。
【請求項2】
前記トロンビンを、溶液1ml当たり500IU以上のトロンビンの公称強度に調節することを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項3】
前記ヒトのアルブミンが0.05%(w/v)を超える濃度、好ましくは0.1%(w/v)〜1%(w/v)を有することを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項4】
pH緩衝剤の添加を含むことを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項5】
前記pH緩衝剤が0.01〜0.1のモルの濃度でグリシンを含むことを特徴とする請求項4に記載のトロンビン組成物。
【請求項6】
前記pH緩衝剤がクエン酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項4に記載のトロンビン組成物。
【請求項7】
前記pH緩衝剤が酢酸ナトリウムを含むことを特徴とする請求項4に記載のトロンビン組成物。
【請求項8】
20〜60mMの塩化カルシウムまたは同等物を含むことを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項9】
前記中性塩が塩化ナトリウムであることを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項10】
前記塩化ナトリウムが少なくとも0.05のモルの濃度を有することを特徴とする請求項9に記載のトロンビン組成物。
【請求項11】
前記溶液を、最大で35nm、好ましくは15nmの公称細孔径までの直列にした二重ナノろ過によってろ過できることを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項12】
各ナノフィルターのろ過面積1m当たり、最大で30リットルの溶液をろ過できることを特徴とする請求項11に記載のトロンビン組成物。
【請求項13】
前記凍結乾燥した組成物を、90〜115℃で1/2時間〜8時間、好ましくは100℃で1〜2時間乾燥加熱処理にかけることを特徴とする請求項1に記載のトロンビン組成物。
【請求項14】
トロンビンを、タンパク質1mg当たり1500IU以上のトロンビンの比活性、および1ml当たり500IU以上のトロンビンの強度まで精製し、その溶液を、ヒトのアルブミンおよび中性塩を加え、混合して安定化させ、続いて前記溶液を二重ナノろ過系にかけることを特徴とするトロンビン組成物の調製方法。
【請求項15】
前記ナノろ過を最大で35nmの公称細孔径まで実施することを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ナノろ過を15nmの細孔径まで実施することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ナノろ過を、各ナノフィルターについてろ過面積1平方メートル当たり5〜30リットルの溶液で実施することを特徴とする請求項14乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液を凍結プロセスにかけることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記溶液を凍結乾燥にかけることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記凍結乾燥した生成物を、90〜115℃の温度で1/2時間〜8時間乾燥加熱処理することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記凍結乾燥したトロンビン組成物を、100℃で1〜2時間乾燥加熱処理することを特徴とする請求項20に記載の方法。

【公開番号】特開2006−117678(P2006−117678A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308548(P2005−308548)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(505395973)
【Fターム(参考)】