完全抑止型二腔ペーシングモード
【課題】埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法および装置を提供する。
【解決手段】一実施の形態では、心室拍動が抜けるか、又は、飛ばされることを許容するペーシングモードが提供される。モードは、内因性心室活動の存在を求めて全心周期(A−A間隔)を監視する。心室活動が存在する場合、次の心周期について有効であるフラグがセットされる。次の心周期の開始時に、デバイスは、フラグが存在するか否かを判定する。フラグが存在する限り、デバイスは、内因性心室活動がたとえ存在しない場合でも、その周期において心室ペーシングパルスを送出しないことになる。所与の心周期の開始時にフラグが存在しない場合、心室ペーシングパルスが送出され、この心室活動は、後続する心周期についてフラグをセットする。
【解決手段】一実施の形態では、心室拍動が抜けるか、又は、飛ばされることを許容するペーシングモードが提供される。モードは、内因性心室活動の存在を求めて全心周期(A−A間隔)を監視する。心室活動が存在する場合、次の心周期について有効であるフラグがセットされる。次の心周期の開始時に、デバイスは、フラグが存在するか否かを判定する。フラグが存在する限り、デバイスは、内因性心室活動がたとえ存在しない場合でも、その周期において心室ペーシングパルスを送出しないことになる。所与の心周期の開始時にフラグが存在しない場合、心室ペーシングパルスが送出され、この心室活動は、後続する心周期についてフラグをセットする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能医療デバイスに関する。より詳細には、本発明は、埋め込み可能なペースメーカ、カーディオバータ、及びディフィブリレータに関する。
本発明は、2000年12月21日に出願された特許出願第09/746,571号の一部継続出願である、2002年9月17日に出願された特許出願第10/246,816号の一部継続出願であり、両出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
心臓状況を監視し、適切である時に治療を送出するのに使用される種々の埋め込み可能医療デバイス(IMD)が存在する。ペースメーカ及びディフィブリレータは、単独で又は組み合わせて、通常、心周期に関連する事象を検知し、電気刺激を送出して所望の結果をもたらす。ペースメーカは、心調律を維持するか、又は、制御するために、心周期を検知し、所定の間隔で低いエネルギーパルスを送出して、心房、心室、又は両方の心臓組織を脱分極させる。ディフィブリレータは、心臓をディフィブリレーション(除細動)し、洞調律を回復するために、心房又は心室の細動を検知し、高いエネルギー刺激を送出する。一般に、埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータ(ICD)と呼ばれる単一のデバイス内に、両方の型の機能が含まれる。
【0003】
心周期は、EKG又はEGM上のP波によって表される、SA結節で開始する心房の脱分極で始まる。脱分極波は、心房を通って進むため、AV結節に遭遇し、遅延(AV間隔)を受け、遂には、心室を脱分極させ、心室の脱分極は、EKG又はEGM上にQRS群として現れる。心室の後続する再分極は、T波として現れる。その最も基本的なレベルにおいて、心周期は、心房(A)事象又はP波と、それに続く、心室(V)事象又はR波からなる。こうした事象は、内因性であるか、又は、ペーシングされるかのいずれかである。そのため、所定期間にわたって、複数の周期が、反復性のA−V−A−Vパターンを生成するだけである。
【0004】
タイミングをとるために、心周期のこの概要は、少数の比較的単純なオプションをもたらす。A−A間隔は、実際上、完全な周期であり、後続する心房事象間の間隔又は時間を表す。同様に、V−V間隔は、後続する心室事象間の時間であり、同様に、完全な周期を表す。AV間隔は、心房事象と心室事象との間の時間であり、VA間隔は、心室事象と後続する心房事象との間の時間である。
【0005】
非常に基本的であり、間違いなく、既知であるが、これらの種々の間隔は、ICDのタイミングをとるのに使用される枠組を表す。たとえば、完全房室ブロックを有する患者では、心房脱分極は、普通に起こる可能性があるが、脱分極波は、心室に達することができない。そのため、心室は、心房レートより通常低い、心室自身の内因性レートで、心房から独立して脱分極する。心室をペーシングするように構成されたICDは、心房脱分極を検知することになる。次に、Aが検知されると、AV補充収縮間隔タイマが開始される。AV補充収縮間隔の終了によって、ペーシングパルスが送出される。
【0006】
ICDが従うことになる、特定の規則、タイマ、トリガ、及びオペレーションは、動作モードによって規定される。NBGペースメーカコード(NASPE/BPEG包括(generic)ペースメーカコード)は、通常、所与のモード又はデバイスの機能を包括的に示すのに使用される。コードは5つの指示を含む。第1の指示はペーシングされる心腔(chamber)を示し、第2の指示は検知される心腔を示し、第3の指示は検知に対する反応を示し、第4の指示はプログラム可能性、より一般的には、レート応答性に関しており、第5の指示は抗頻脈機能に関しており、含まれないことが多い。そのため、VVI/Rペースメーカは、心室においてペーシングし、心室において検知し、検知事象に基づいてペーシングパルスを抑止し、レート応答性である。述べたように、このコードは、包括的にモードを示し、種々の製造業者は、こうしたモードを異なる方法で、また、異なる特定のパラメータによって実施してもよい。
【0007】
ICDは、検知された状況に基づいて、1つのモードから別のモードへ自動的に切り換わる能力を有することが多い。そのため、単一のリード線を有する単腔ペースメーカは、単腔モード(たとえば、VVI)で機能するだけである場合がある。たとえば、二腔式、三腔式、又は四腔式のペーシング/検知を有するより複雑なICDは、単腔モードを含む利用可能なモードのうちの任意のモードで機能することができることになる。
【0008】
デバイスが所与のモードである限り、デバイスは、他の能力に関係なく、そのモードの規則に従って機能することになる。たとえば、真にVVIモードにあるデバイスは、心房事象、心房不整脈等に応答しないであろう。こうした心房事象が、VVIにある間に検出され、応答を必要とする場合、デバイスは、適切なモードへモード切り換わることになる。これらのコードの性質が包括的であり、ICDの能力が常に変わるため、コードは、所与のモードについての最も近い近似を指示するのに使用されることが多い。そのため、特定のデバイスについての所与の文脈では、特定のモードは、コードの指示を超える能力を有する場合がある。しかし、全てのモードは、一組の規則を有することになり、デバイスは、そのモードで動作する時、これらの規則に違反しないことになる。
【発明の開示】
【0009】
一実施の形態では、本発明は、埋め込み可能医療デバイス、たとえば、ペースメーカ又はICD用のモードである。
本発明は、埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法を含む。本方法は、心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び、最新の心周期の開始時にフラグが存在する場合、最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを阻止することを含む。
【0010】
一実施の形態では、本発明は、心臓脱分極を検知する手段を備える埋め込み可能医療デバイスである。埋め込み可能医療デバイスはまた、ペーシングする手段と、選択されるモードに従ってペーシングする手段を制御する手段とを備え、1つの選択可能なモードは、完全抑止型(fully inhibited)DDI(FIDDI)モードである。
【0011】
別の実施の形態では、本発明は、心臓脱分極を検知する手段と、選択可能なモードに従ってペーシングする手段とを備える埋め込み可能医療デバイスである。埋め込み可能医療デバイスはまた、所与の心周期における心室活動の検知によって、心房ベースのペーシングモードへモード切り換えする手段と、所与の心周期の終了時に、心房ベースのペーシングモードから二腔モードへモード切り換えする手段とを含み、二腔モードは、二腔モードで動作している間の第1の心周期について実施される第1の組のパラメータであって、それによって、実施されるパラメータは、第1の心周期の間、心室ペーシングパルスの送出を阻止する、第1の組のパラメータと、二腔モードで動作している間の引き続く第2の心周期において実施される第2の組のパラメータであって、それによって、心室ペーシングは、抑止されなければ送出される、第2の組のパラメータとを含む。
【0012】
別の実施の形態では、本発明は、コントローラと、コントローラに動作可能に接続し、心室ペーシングパルスを送出するとともに心室脱分極を検知するように構成される心室リード線とを備える埋め込み可能医療デバイスである。埋め込み可能医療デバイスはまた、コントローラに動作可能に接続し、心房ペーシングパルスを送出するとともに心房脱分極を検知するように構成される心房リード線と、コントローラによって選択可能なペーシングモダリティを規定する複数のアルゴリズムを含むメモリとを含み、ペーシングモダリティのうちの1つは、完全抑止型DDIである。
【0013】
別の実施の形態では、本発明は、埋め込み可能医療デバイス上で実施されると、最新の心周期において起こる心室活動に応答してフラグをセットすることであって、フラグは後続する心周期について有効である、フラグをセットすることを、埋め込み可能医療デバイスにさせるペーシングモードを規定する命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体である。さらに、IMDは、フラグが、所与の心周期の開始時に存在するか否かを判定し、フラグが、所与の心周期の開始時に存在する場合、心房補充収縮間隔を始動し、所与の心周期の開始時に、フラグが存在しない場合、AV間隔を始動する。さらに、IMDは、AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出し、AV間隔の終了時にVA間隔を始動する。
【0014】
本発明はまた、或るモードで埋め込み可能デバイスを動作させる方法を含み、本方法は、予め制定される基準が、第1の心周期の間に満たされる場合、第1の心周期の間に、フラグをセットすることを含む。本方法はまた、第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、フラグが、セットされている否かを判定すること、フラグがセットされている場合、第2の心周期の間、そのモードにとどまったままで第1の方法で動作すること、及び、フラグがセットされていない場合、第2の心周期の間、そのモードにとどまったままで第2の方法で動作することを含む。
【0015】
別の実施の形態では、本発明は、心房リード線と、心室リード線と、メモリとを備える、選択されるモードでペーシング治療を送出するモード切り換え能力を有する埋め込み可能医療デバイス(IMD)である。IMDはまた、心室リード線及びメモリに電子的に接続した処理モジュールを含み、処理モジュールは、第1の心周期の間に、予め制定される基準が検知されるか、又は、心室リード線を介して送出される場合、第1の心周期の間に、メモリにフラグをセットし、第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、フラグがセットされているか否かを判定する。同様に、コントローラが含まれ、コントローラは、フラグがセットされている場合、第2の心周期の間、選択されたモードにとどまったままで、心房補充収縮間隔を始動し、心室ペーシングを阻止し、フラグがセットされていない場合、第2の心周期の間、選択されるモードにとどまったままで、AV間隔及び心室ペーシングパルスを始動する。
【0016】
本発明はまた、埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法を含む。本方法は、心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び、所与の心周期の開始時にフラグが存在しない場合にのみ、最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを送出することを含む。
【0017】
複数の実施の形態が開示されるように、本発明のさらに他の実施の形態は、本発明の例示的な実施の形態を示し、述べる以下の詳細な説明から、当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、本発明の精神及び範囲から全く逸脱することなく、種々の明らかな態様における変更が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示とみなされ、限定的であるとはみなされない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここで、図1を参照すると、システムを構成するICD(埋め込み可能医療デバイス)10並びにリード線15及び16が示される。ICD10は、埋め込み可能なカーディオバータ−ディフィブリレータであり、又は、埋め込み可能パルス発生器であることもできる。こうしたデバイスは、単独で又は組み合わせて、ペーシング、ディフィブリレーション、カーディオバージョン、及び/若しくは、他の治療を含んでもよいことが理解されるべきである。図示するリード線は、例示的であり、他の特定の形態のリード線が、本発明の範囲内に入ることが留意される。図示する心室リード線16は、リード線の遠位端に隣接して位置する、伸張可能ならせん電極26及びリング電極24を有し、らせん電極は、絶縁性電極ヘッド27内に伸縮自在に搭載される。電極24及び26は、双極心室ペーシングのため、また、心室脱分極の双極検知のために使用される。電極24及び26は、双極ペーシング及び双極検知のために使用される場合があるが、電極26は、その表面が、単極動作と呼ばれる状態において共通電極又は不関電極の役目を果たす、デバイスケーシング10の表面と共に使用されてもよい。心室リード線16はまた、ディフィブリレーションパルス及び/又はカーディオバージョンパルスを送出するための、RV(右心室)コイルと呼ばれることがある、コイル電極20を保持する。コイル電極20は、リード線16上に配置され、それによって、遠位先端が心室の心尖にある時に、コイル20が右心室内に配置される。リード線16はまた、カーディオバージョンパルスを印加するのに使用することができるSVCコイル30を、任意選択で、保持してもよい。リード線16は、管状絶縁シース等の適切な手段によって互いから分離され、ICDデバイス10と、電極20、24、26、及び30のそれぞれの電極との間で電気接続するための、リード線の長さに延びる、それぞれの同心コイル導体(図示せず)を保持する。
【0019】
図示する心房リード線15は、伸張可能ならせん電極17及びリング電極21を有し、らせん電極は、絶縁性電極ヘッド19内に伸縮自在に搭載される。電極17及び21は、双極心房ペーシングのため、また、心房脱分極の検知のために使用される。電極17及び21は、双極ペーシング及び双極検知のために使用される場合があるが、電極17は、その表面が、単極動作と呼ばれる状態において共通電極又は不関電極の役目を果たす、デバイスケーシング10の表面と共に使用されてもよい。この例では、心房リード線15は、カーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスの検知及び送出に使用するためのコイルを装備していないことに留意されたい。このことは、本発明と共に有利に使用されてもよい、こうしたアプリケーションを含むことを排除することを意味しない。
【0020】
ICDデバイス10は、リード線コネクタアセンブリ13、14、18、及び22がデバイス10のコネクタブロック12内に挿入された状態で、心房リード線及び心室リード線と共に示される。本発明の心室リード線と共に使用されてもよいディフィブリレーションパルス発生器の特定の例は、米国特許第4,953,551号に開示される。他のICD型ユニットを使用することができる。カーディオバージョンパルス及びディフィブリレーションパルスを送出するための装置の例示的な形態を開示する、米国特許第5,163,427号及び第5,188,105号が参照される。本明細書で使用される場合、用語「ICD型」デバイスは、不整脈を制御するために、ペーシング治療とショック治療の両方を適用することができる任意のデバイスを指す。
【0021】
図2は、本発明を有効に実施することができる埋め込み可能なペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータの機能略図である。心室不整脈の代わりに、又は、心室不整脈に加えて心房不整脈を処置するための治療を提供するデバイス、抗頻脈ペーシング治療を提供しないカーディオバータ及びディフィブリレータ、カーディオバージョン又はディフィブリレーションを提供しない抗頻脈ペーサ、並びに、神経刺激又は薬物投与等の異なる形態の抗不整脈治療を送出するデバイスを含む、いろいろなデバイスの実施態様で、本発明を有効に実施することができると考えられるため、この図は、本発明を具体化することができる1つのタイプのデバイスの適例として考えられるべきであり、制限するものとして考えらえるべきではない。
【0022】
デバイスは、図1に示すようなものであってもよい電極を含むリード線システムを備える。もちろん、代替のリード線システムで置き換えられもよい。図1の電極構成が採用される場合、図示する電極への対応関係は以下の通りである。電極311は、電極16に対応し、埋め込み可能なペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータのハウジングの非絶縁部分である。電極320は、電極20に対応し、右心室に配置されるディフィブリレーション電極である。電極318は、電極30に対応し、上大静脈に配置されるディフィブリレーション電極である。電極324及び326は、電極24及び26に対応し、心室における検知及びペーシングに使用される。電極317及び321は、電極17及び21に対応し、心房における検知及びペーシングに使用される。
【0023】
電極311、318、及び320は、高電圧出力回路234に接続される。電極324及び326は、心室上又は心室内に配置され、R波増幅器200に接続し、R波増幅器200は、好ましくは、調整可能な検知しきい値を、測定されたR波振幅に応じて提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極324と326との間で検知された信号が、その時の検知しきい値を越える時にはいつでも、R OUTライン202上に信号が生成される。
【0024】
電極317及び321は、心房上又は心房内に配置され、P波増幅器204に接続し、好ましくは、P波増幅器204もまた、調整可能な検知しきい値を、測定されたP波振幅に応じて提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極317と321との間で検知された信号が、その時の検知しきい値を越える時にはいつでも、P OUTライン206上に信号が生成される。R波増幅器200及びP波増幅器204の全体の動作は、参照により本明細書にその全体が援用される、「an Apparatus for Monitoring Electrical Physiologic Signals」について、1992年6月2日に発行された、Keimel他による米国特許第5,117,824号に開示される動作に相当してもよい。
【0025】
スイッチマトリクス208を使用して、信号解析で使用するために、利用可能な電極のうちのどれが広帯域(0.5〜200Hz)増幅器210に連結されるかが選択される。電極の選択は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ(μP)224によって制御され、電極の選択は、所望に応じて変更されてもよい。バンドパス増幅器210に接続するために選択された電極からの信号は、マルチプレクサ(MUX)220に供給され、その後、ダイレクトメモリアクセス(DMA)回路228の制御下でランダムアクセスメモリ(RAM)226に記憶するために、A/D変換器222によってマルチビットデジタル信号に変換される。マイクロプロセッサ224は、デジタル信号解析技法を使用して、ランダムアクセスメモリ226に記憶されたデジタル化された信号を特徴付けし、当該技術分野で知られている多くの信号処理方法(methodology)のうちの任意の方法を使用して、患者の心調律を認識し分類してもよい。
【0026】
回路要素の残りは、心臓ペーシング治療、カーディオバージョン治療及びディフィブリレーション治療を提供するのに専用であり、本発明のために、従来技術で知られている回路要素に相当してもよい。以下のように、ペーシング機能、カーディオバージョン機能、及びディフィブリレーション機能を達成する適例の装置が開示される。ペーサタイミング/制御回路212は、プログラム可能デジタルカウンタを含み、プログラム可能デジタルカウンタは、DDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、及び当該技術分野でよく知られている単腔ペーシング及び二腔ペーシングの他のモードに関連する基本時間間隔を制御する。ペーサタイミング/制御回路212は、当該技術分野で知られている任意の抗頻脈性不整脈ペーシング治療を使用する、心房及び心室の両方での抗頻脈性不整脈ペーシングと関連する補充収縮間隔も制御する。
【0027】
ペーサタイミング/制御回路212によって規定される間隔は、心房ペーシング補充収縮間隔及び心室ペーシング補充収縮間隔、並びに、検知されたP波及びR波が、補充ペーシング間隔のタイミングをその間、再開しない不応期を含む。これらの間隔の持続時間は、メモリ226内の記憶されたデータに応答して、マイクロプロセッサ224によって確定され、アドレス/データバス218を介してペーサタイミング/制御回路212に伝達される。ペーサタイミング/制御回路212もまた、マイクロプロセッサ224の制御下で、心臓ペーシングパルスの振幅及びパルス幅を確定する。
【0028】
ペーシングの間に、ペーサタイミング/制御回路212内の補充収縮間隔カウンタは、R波及びP波の検知がライン202及び206上の信号によって示されるとリセットされ、また、電極317、321、324、及び326に接続するペーサ出力回路214(Aペース)及び216(Vペース)によってペーシングパルスのタイムアウトトリガが生成されると、選択されたペーシングモードに従ってリセットされる。補充収縮間隔タイマはまた、ペーシングパルスが生成されるとリセットされ、それによって、抗頻脈性不整脈ペーシングを含む心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。補充収縮間隔タイマによって規定される間隔の持続時間は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって確定される。検知されたR波及びP波によってリセットされた時の補充収縮間隔タイマに存在するカウント値を使用して、R−R間隔、P−P間隔、P−R間隔、及びR−P間隔の持続時間が測定されてもよく、その測定値は、メモリ226に記憶され、以下でより詳細に説明するように、種々の頻脈性不整脈の発生を診断するために、本発明と共に使用される。
【0029】
マイクロプロセッサ224は、割り込み駆動式デバイスとして動作し、検知されたP波及びR波の発生に対応し、また、心臓ペーシングパルスの生成に対応するペーサタイミング/制御回路212からの割り込みに応答する。これらの割り込みは、アドレス/データバス218を介して提供される。マイクロプロセッサ224によって実行される任意の必要な数学的計算、及び、ペーサタイミング/制御回路212によって制御される値すなわち間隔の任意の更新は、こうした割り込みに続いて起こる。メモリ226の一部分は、一連の測定された間隔を保持することが可能な複数の再循環バッファとして構成されてもよく、測定された間隔は、ペース割り込み又はセンス割り込みの発生に応答して解析されてもよく、患者の心臓が、その時、心房頻脈性不整脈又は心室頻脈性不整脈を示しているか否かが判定される。
【0030】
ICDの不整脈検出方法は、従来技術の頻脈性不整脈検出アルゴリズムを含んでもよい。以下で述べるように、現在利用可能なMedtronic社のペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータの全体の心室不整脈検出方法は、本発明の開示される好ましい実施形態による、不整脈検出方法及び分類方法の一部として採用される。しかし、上記本発明の背景の章で説明したように、当該技術分野で知られている種々の不整脈検出方法のうちの任意の方法もまた、ICDの代替の実施形態で有効に採用されるであろう。
【0031】
心房頻脈性不整脈又は心室頻脈性不整脈が検出され、抗頻脈性不整脈療法が望まれる場合、抗頻脈性不整脈ペーシング治療の生成を制御する適切なタイミング間隔が、マイクロプロセッサ224からペーサタイミング/制御回路212にロードされて、ペーサタイミング/制御回路212内の補充収縮間隔タイマの動作が制御され、そして不応期が規定される。不応期の間、R波及びP波の検出は補充収縮間隔タイマの再開に影響しない。別法として、その全てが、参照により本明細書にその全体が援用される、1986年3月25日にBerkovits他に発行された米国特許第4,577,633号、1989年11月14日にPless他に発行された米国特許第4,880,005号、1988年2月23日にVollmann他に発行された米国特許第4,726,380号、及び1986年5月13日にHolley他に発行された米国特許第4,587,970号に記載される、抗頻脈ペーシングパルスのタイミング及び生成を制御する回路要素も使用されてもよい。
【0032】
カーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスの生成が必要とされる場合、マイクロプロセッサ224は、補充収縮間隔タイマを使用して、こうしたカーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスのタイミング及び関連する不応期が制御される。カーディオバージョンパルスを必要とする、心室細動又は心室細動或いは頻脈性不整脈の検出に応答して、マイクロプロセッサ224は、カーディオバージョン/ディフィブリレーション(CV/DEFIB)制御回路230を作動させ、制御回路230は、高電圧充電制御ライン240の制御下で、HV充電回路236を介して、高電圧コンデンサ246、248の充電を始動する。高電圧コンデンサ上の電圧は、VCAPライン244を介して監視され、マルチプレクサ220を通過し、マイクロプロセッサ224によって設定された所定の値に達することに応答して、Cap Full(CF)ライン254に論理信号の生成をもたらし、充電を打ち切る。その後、ディフィブリレーションパルス又はカーディオバージョンパルスの送出のタイミングが、ペーサタイミング/制御回路212によって制御される。細動治療又は頻脈治療の送出に続いて、マイクロプロセッサは、次に、デバイスを心臓ペーシングに戻し、ペーシング或いは心房脱分極又は心室脱分極の検知の発生による次に続く割り込みを待つ。
【0033】
心室カーディオバージョンパルス及び心室ディフィブリレーションパルスの送出並びに同期のための、また、それらに関するタイミング機能を制御するための、適切なシステムの一実施形態は、1993年2月23日に発行され、参照により本明細書にその全体が援用される、Keimelによる本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,188,105号により詳細に開示される。心房ディフィブリレーション能力がデバイス内に含まれる場合、心房カーディオバージョンパルス及び心房ディフィブリレーションパルスの送出及び同期のための、また、それらに関するタイミング機能を制御するための、適切なシステムは、共に、参照により本明細書にその全体が援用される、1992年10月29日に公開されたAdams他によるPCT特許出願第WO92/18198号及び1982年2月23日に発行されたMirowski他による米国特許第4,316,472号に見出すことができる。
【0034】
しかし、いずれの既知のカーディオバージョンパルス制御回路要素又はディフィブリレーションパルス制御回路要素も、本発明と共には使用できないと信じられている。たとえば、全てが、参照により本明細書にその全体が援用される、1983年5月24日にZipesに発行された米国特許第4,384,585号、先に引用したPless他に発行された米国特許第4,949,719号、及び、Eagle他に発行された米国特許第4,375,817号に開示される、カーディオバージョンパルス及びディフィブリレーションパルスのタイミング及び生成を制御する回路要素が採用されてもよい。
【0035】
図示するデバイスでは、カーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスの送出は、制御バス238を介してCV/DIFIB制御回路230の制御下で、出力回路234によって達成される。出力回路234は、多相パルスが送出されるか、二相パルスが送出されるか、ハウジング311がカソードとして働くか、アノードとして働くか、どの電極がパルス送出に関係しているかを判定する。二相パルス療法の送出のための出力回路要素の例は、参照によりその全体が援用される、Mehraに発行された先に引用した特許及び米国特許第4,727,877号に見出すことができる。
【0036】
単相パルスの送出を制御するのに使用されてもよい回路要素の例は、同様に、参照により本明細書にその全体が援用される、1992年11月17日に発行された、Keimelによる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,163,427号に記載される。しかし、共に、参照により本明細書にその全体が援用される、1990年9月4日にMehra他に発行された米国特許第4,953,551号又は1989年1月31日にWinstromに発行された米国特許第4,800,883号に開示される出力制御回路要素もまた、二相パルスの送出のための本発明を具体化するデバイスと共に使用されてもよい。
【0037】
最新の埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータでは、医師は、通常提供される治療メニューから、特定の治療をデバイス内にプログラムする。たとえば、心房頻脈又は心室頻脈の最初の検出によって、抗頻脈ペーシング治療が選択され、頻脈が診断された心腔又は両方の心腔に送出されてもよい。頻脈の再検出によって、より攻撃的な抗頻脈ペーシング治療が計画されてもよい。抗頻脈ペーシング治療の反復した試みが失敗する場合、後続する送出について、高エネルギーカーディオバージョンパルスが選択されてもよい。頻脈を終了させるための治療は、検出される頻脈レートと共に変わってもよく、検出される頻脈レートが増加すると、治療は、攻撃性が増す。たとえば、検出される頻脈レートが、プリセットされたしきい値より小さい場合、カーディオバージョンパルスの送出前に、抗頻脈ペーシングにおいて企てられる試みはより少なくてもよい。従来技術の頻脈検出及び処置治療の説明に関連して先に引用した文献は、ここでも同様に適用可能である。
【0038】
細動が特定される場合、一般的な治療は、通常、5ジュールを超える、大振幅ディフィブリレーションパルスの送出であることになる。低エネルギーレベルは、カーディオバージョンについて採用されてもよい。現在入手可能なICDの場合と同様に、また、先に引用した文献に説明されるように、ディフィブリレーションパルスの振幅は、細動を終了させるための1回又は複数回の初期パルスの失敗に応答して、増分されてもよいと考えられる。抗頻脈性不整脈治療のこうしたプリセットされた治療メニューを例示する従来技術の特許は、Haluska他に発行された米国特許第4,830,006号、Vollmann他に発行された米国特許第4,727,380号、及び先に引用した、Holley他に発行された米国特許第4,587,970号を含む。
【0039】
図3は、本発明によるプログラミングユニット(プログラマ)20の斜視図が示される。内部的に、プログラマ20は、開示中の本発明によれば、パーソナルコンピュータタイプのマザーボード、たとえば、Intel Pentium 3マイクロプロセッサ及びデジタルメモリ等の関連する回路要素を含むコンピュータマザーボードである処理ユニット(図示せず)を含む。プログラマのコンピュータシステムの設計及び動作の詳細は、こうした詳細が当業者によく知られていると考えられるため、本開示では詳細には述べられないであろう。
【0040】
図3を参照すると、プログラマ20は、熱可塑性の材料、又は、別の適度に頑丈であるが比較的軽量な材料でできているのが好ましい外部ハウジング60を備える。図3において全体が62として示される、運搬ハンドルは、ハウジング60の前部に一体に形成される。ハンドル62を用いると、プログラマ20を、ブリーフケースのように運ぶことができる。
【0041】
関節式ディスプレイスクリーン64は、ハウジング60の上部表面に配設される。ディスプレイスクリーン64は、プログラマ20が使用中でない時には、閉じた位置(図示せず)に折り畳まれ、それによって、プログラマ20の輸送及び保管中に、プログラマ20のサイズが減り、ディスプレイ50のディスプレイ表面が保護される。
【0042】
フロッピィディスクドライブは、ハウジング60内に配設され、ディスク挿入スロット(図示せず)を介してアクセスできる。ハードディスクドライブもまた、ハウジング60内に配設され、ハードディスクドライブ・アクティビティインジケータ(たとえば、LED、図示せず)を、ハードディスクの起動の目に見える指示を与えるために設けることができることが考えられる。
【0043】
当業者によって理解されるように、患者の伝導系の状態、心調律、電気的活性化、及び多くの他のパラメータを求める手段を設けることが望ましいことが多い。通常、プログラマ20は外部ECGリード線24を装備する。
【0044】
本発明によれば、プログラマ20は、内部プリンタ(図示せず)を装備し、それによって、プログラマのディスプレイスクリーン64上に表示される、患者のECG又はグラフィックスのハードコピーを生成することができる。General Scanning Co.から入手できるAR−100プリンタ等の、いくつかのタイプのプリンタが知られており、市販されている。
【0045】
図3の斜視図において、ディスプレイエリアが、プログラマ20の前にいるユーザに見えるように、関節式ディスプレイスクリーン64が複数の可能な開いた位置のうちの1つに持ち上げられている状態でプログラマ20が示される。関節式ディスプレイスクリーンは好ましくは、たとえば、陰極線管(CRT)等と比べると、比較的薄いことを特徴とする、LCD又はエレクトロルミネッセンスタイプである。
【0046】
当業者によって理解されるように、ディスプレイスクリーン64はハウジング60内に配設されたコンピュータ回路要素に動作可能に接続し、内部コンピュータの制御下でグラフィックス及び/又はデータの視覚的表示を提供するようになっている。
【0047】
図3を参照して本明細書で述べるプログラマ20は、その特許が、参照により本明細書にその全体が援用される、Thomas J. Winklerに発行された「Portable Computer Apparatus With Articulating Display Panel」と題する米国特許第5,345,362号により詳細に記載される。Medtronic Model9790プログラマは、それを用いて本発明が有利に実施されることができる埋め込み可能デバイス−プログラミングユニットである。
【0048】
先に述べたように、ICD10は、検知及びペーシング等の種々の心調律管理能力を含んでもよい。したがって、ICD10は、所与の時刻においてICD10が置かれるモードによって規定される所与の規則の組の下で動作する。選択されるモードは、所定期間にわたって変わる可能性がある患者の生理的ニーズに依存するであろう。そのため、ICD10は、こうした状況に最もうまく対処するように、モード間で選択的に切り換わってもよい。
【0049】
図4は、ICD10等のデバイスが、AAIモードでいかに動作することになるかを示すはしご図(ladder diagram)であり、AAI/Rモード、ADIモード、及びADI/Rモードの理解にも関連する。AAIで動作する単一のリード線デバイスは、単にAAIモードで動作する、複数のリード線を有するデバイスに比べて制限されることになることが理解されるべきである。そのため、単一のリード線デバイスでは、例示される心室のデータが利用できないことになる。一方、二腔デバイスでは、心室のデータを得ることができるが、AAIで動作する場合、そのデータは選択的に無視される。
【0050】
例示のために、或る事象が提示されるが、種々のモードの以下の説明は、網羅的であること、制限的であること、又は、全てを包含することを意味しない。したがって、種々の要素が、明確にするために選択的に省略され、種々の任意選択の要素が、例示のために提示される。さらに、これらのモードは、種々の方法で実施されてもよく、そのため、提示される特定のパラメータは、制限的であると考えられるべきではない。たとえば、1つのデバイスは、心周期をA−A間隔で規定してもよいが、別のデバイスは、心周期をV−V間隔で規定してもよい。さらに、レート応答性が供給される場合、既知の方法でモードを変更することになることを理解した上で、モードは、一般に、その基本形態で提示される。
【0051】
はしご図は、所定の期間にわたって、心房チャネルA(上側バー)及び心室チャネルV(下側バー)について、或る事象、間隔、及びタイマを示す。ペーシングされるか、又は、検知された心房事象及び心室事象は、垂直線で示され、種々のタイマ又は間隔は、斜め線によって表される。
【0052】
AAIモードでは、デバイスは、心房において検知し、心房においてペーシングし、適切な事象が検知される場合、心房におけるペーシングを抑止する。たとえば、時刻T1にて、心房ペースAPが送出される。同時に、心房不応期ARP及び心房ブランキング期ABPが始動される。これらの期間は、所定の時間長の間、続くだけである。ブランキングの間、事象は検知されず、一方、不応期の間、事象が検知されるが、これらの検知された事象は、或るタイミング間隔を再開するのに使用されない。これによって、遠方場(far field)R波に基づく心房検知及び/又はトリガリングが阻止される。同様に、T1にて、心房補充収縮間隔AEIすなわちA−A補充収縮間隔が開始される。AEIは、単に、プログラム可能であることが多い、タイミング調整された間隔である。間隔の終了時に、抑止されなければ、心房ペース(AP)が送出される。
【0053】
時刻T2にて、内因性心室事象VSが、APによってトリガされた標準的な伝導の結果として起こる。時刻T3にて、AEIは終了し、APが送出され、プロセスを再開する。このサイクルが無限に続いてもよい。
【0054】
時刻T4にて、別のAEIを開始させるAPが送出される。AEIが終了する前に、内因性心房事象ASが、ARPの外側で起こり、検知される。AAIモードは、内因性心房事象が検知されると、心房ペースを抑止する。そのため、AEIが終了しているはずである、時刻T6にて、APは送出されない。次のAEIは、時刻T5にて、ASによって始動される。そのため、プログラムされた低レート間隔LRI(図示するAEIに相当する)より速いレートで起こる内因性心房脱分極が存在する場合、心房ペーシングが抑止される。レート応答性は、既知の方法で、これらのパラメータを変えることになる。
【0055】
前のAEIの終了後、時刻T7にて、APが送出され、間隔が再開する。図示されるように、この心周期又は後続する心周期の間、心室事象は存在しない。デバイスが、AAIで動作し続けるため、心室事象の欠如は影響を及ぼさない。心房ペーシングは、通常、時刻T8及びT9で送出される。
【0056】
図5Aは、DDIモードの動作を示すはしご図である。DDIモードでは、心房及び心室の両方において、検知及びペーシングが存在し、適切な内因性事象が検知される場合、ペーシングが抑止される。図示する例では、心房ペースAPは、時刻T1にて送出される。心室ブランキング期VBP、ARP、ABP、心室後心房不応期PVARP、及び、ブランキング期を含む心室不応期VRP等の、種々のブランキング期及び不応期が始動される。ARP及びPVARPは共に、総心房不応期TARPを規定する。
【0057】
心房−心室間隔AVI(又はAV間隔)もまた、時刻T1にて始動される。AVIの終了時に、内因性事象によって抑止されなければ、心室ペースが送出されることになる。そのため、時刻T2にて、AVIが終了し、心室ペーシングパルスVPが送出される。その時点で、心室−心房(VA)間隔が始動される。VA間隔が終了すると、抑止されなければ、APが送出されることになり、時刻T3にて、APが送出される。このプロセスは繰り返され、VPは、時刻T4にて送出され、APは、時刻T5にて送出される。時刻T3及びT5において送出されるAP間の時間は、低レート間隔LRIに等しい。すなわち、内因性事象(又は、レート応答性)が無い場合、LRIは、デバイスが許容する得られる最低心拍数である。
【0058】
時刻T5にて、APが送出され、AVIが始動する。AVIが終了する前に、内因性心室事象VSが、時刻T6にて検知される。VSは、AVIを終了させ、標準的な持続時間のVA間隔を開始する。計画されたが、抑止されたVPは、そのVPによって開始しているはずであるVA間隔のタイミングと共に示される。そのため、時刻T7にて、VA間隔が終了し、APが送出される。時刻T5とT7との間で規定されるA−A間隔は、VSと抑止されたVPとの間の時間に等しい時間量だけ、LRIより短い。時刻T7におけるAPによって、新しいAVIが開始し、時刻T8にて、次のVPが送出される。こうして、ペーシングされたV−V間隔は、一定のままである。
【0059】
固定レートの場合、AVI及びVA間隔がわかっている。そのため、デバイスは、事前に、又は、所与の間隔についての始動時点の前に反応するように構成される。
図5Bは、心室センスVSが時刻T6にて起こる時に、A−A間隔の一貫性が維持されることを除いて、図5Aのタイミングと同様のタイミングを示す。この実施形態では、時刻T6にて始動されるVA間隔は、計算され、「標準的な」VA間隔(点線で示す)と比較して長い時間間隔に設定される。そのため、この長いVA間隔は、時刻T7にて終了し、そのため、A−A間隔は、LRIに相当する。したがって、A−A間隔の間に一貫性が存在する。そのため、VA間隔が、計算され、心室センスVSのタイミングによって決められることになる。
【0060】
引き続き図5Aに関して、APは、時刻T9にて送出され、AVIが始動する。VPが、時刻T10にて送出され、次のVA間隔が開始する(破線)。しかし、VA間隔の間で、且つ、VRP後に、内因性心室事象VS(たとえば、心室性期外収縮PVC)が、時刻T11にて検知される。VSは、有効に、全VA間隔を再開する。示すように、再開したVA間隔が、終了することを許される場合、次の計画されたAPが、時刻T12にて、送出され、VPが時刻T13にて続く。やはり、ペーシングされたV−V間隔及びVS−VP間隔は、一定のままである。
【0061】
時刻T13におけるVPによって、VA間隔が開始される。VA間隔が終了する前に、心房事象ASが、時刻T15にて検知される。そのため、時刻T15について計画されたAPは抑止される。変更されたAV間隔は、ASにおいて「始動される」。変更されたAV間隔は、時刻T16にて送出されるVPが、一定のV−V間隔を維持する(facilitate)ように、標準的なAV間隔より長い。換言すれば、ASは、実際には、継続しているVA間隔を終了させない。むしろ、その間隔は継続し、時刻T15にて終了し、APが抑止され、標準的なAV間隔が開始する。したがって、ASに反応し、有効にAV間隔を延長しなければならないにもかかわらず、タイミング調整された間隔は、わかっている一定の値のままであり、一定の値は、時刻T15における全VA間隔の終了等の適切な事象で即座に実施することができる。
【0062】
図6は、DDDモードでの動作を示すはしご図である。そのため、検知及びペーシングは、心房と心室の両方で起こり、応答は、抑止又はトリガリングであることができる。時刻T1にて、APが送出される。上述した不応期及びブランキング期が始動する。さらに、AVIが開始される。AVIの終了時(時刻T2)に、VPが送出され、VA間隔が開始される。VA間隔は、時刻T3にて終了し、APが送出される。次のVPは、時刻T4にて送出され、VA間隔が始動する。VA間隔が終了する前に、心房事象ASが、時刻T5にて検知される。これは、VA間隔を打ち切り、APを抑止し、新しいAV間隔が、時刻T5にて開始される。
【0063】
DDDモードでは、種々の間隔は、先に述べたように予め決められる。しかし、トリガリング事象が、ペーシングされたか、又は検知されたかに応じて実施される異なる間隔が存在することができる。そのため、T5にて、AV(検知された)間隔が始動する。AV(検知された)間隔は、時刻T3にて開始されたAV(ペーシングされた)間隔と同じか、又は、異なるようにプログラムされてもよい。いずれにしても、検知される事象がトリガの役目を果たそうが、ペーシングされる事象がトリガの役目を果たそうが、開始されることになる後続する間隔は予め決められる。
【0064】
時刻T6のVPに続いて、VA間隔が始動し、終了すると、APが、T7にて送出される。新しいAVIが開始されるが、終了する前に、VSが、時刻T8にて起こる。VSは、AVIを終了させ、VA間隔を始動する。或るデバイスでは、心房ベースタイミングと呼ばれるVA間隔が、A−Aタイミングの一貫性を維持するように、時刻T8にて選択される。他のデバイスでは、VA間隔は、予め決められるが、ペーシングされた事象に続く第1の所定のVA間隔と、検知された事象に続く第2の所定のVA間隔が存在してもよく、第1と第2の間隔は、同じ値か、又は、異なる値にプログラムされることができる。
【0065】
標準的な動作に続いて、VPが、時刻T9にて送出され、VA間隔が開始される。VA間隔が終了する前に、不応期の外側にあるVS(PVC)が、時刻T10にて起こる。これは、VA間隔を再開し、終了すると、APが、時刻T11にて送出される。
【0066】
ICD10等のデバイスは、AAI、DDI、DDD、又は、任意の数の他の知られているモード等の任意のモードで動作してもよい。さらに、1つのモードで動作しながら、デバイスは、別のモードが、採用されるべきであること、及び、そのモードへモード切り換えを行うべきであることを判定してもよい。
【0067】
本明細書で説明される適例の二腔モードで述べるように、心室ペーシングパルスは、AVIの終了に続いて送出されることになる。AV同期性が維持される点で、これは望ましいが、AVIの実際的な考慮事項のために、十分な時間が許される場合、たとえ最後には内因性伝導が起こることになっても、心室ペーシングパルスが送出されることが多い。さらに、参照により本明細書に援用されるアプリケーションにおいて或る程度詳細に説明されるように、不必要な心室ペーシングは、或る望ましくない結果をもたらす場合があるという認識が増えている。
【0068】
全ての心室ペーシングをなくすために、AAI等のモードが選択されてもよい。述べたように、このモードにおいて、内因性伝導が失敗する場合、心室ペーシングは供給されない。もちろん、これは、追加の心室ペーシングより望ましくなく、且つ、有害である。したがって、臨床医は、慎重さに失し、DDD等のモードに頼る傾向がある。
【0069】
先に参照した関連アプリケーションは、心室ペーシングを減らし、制限し、最適化し、且つ/又は、最小にする、いくつかのプロトコルを含む。本明細書で使用される場合、「管理される心室ペーシング」、「心室ペーシングを管理する」、又は「心室ペーシング管理」等の用語(及び、その文法的な変形)は、個々に、又は、一まとめにこれらのプロトコルを指すことを意味する。これらのプロトコルが本発明に関連するため、全体の概要が提示される。しかし、この説明は、概念の例示に過ぎず、網羅的であることを意味せず、これらの発明の概念をいずれの点でも限定することを意図しない。
【0070】
図7に示す第1の実施形態では、心室ペーシングは、「AAI」又は「ADI」モード(やはり、これらの指示は、プログラムされる働きの近似として使用される)を使用するモード切り換えプロトコルによって管理される。一般に、このプロトコルの下で、内因性伝導は、所与の心周期においてそれ自体が現れる最大の機会が与えられ、また、その機会を促進し、1つの完全な周期が、心室活動が無い状態で推移する場合がある。換言すれば、このプロトコルは、内因性伝導についての可能性を最大にするために、1つの心室拍動が飛ばされることを許容することになる。
【0071】
まず第1に、プロトコルは、この「AAI」モードで動作し、時刻T1にて、APが送出される。理想的な単一のリード線AAIと違って、心室事象が検知され、心室事象が、所与のA−A間隔内のどこかで検知される限り、プロトコルは、この「AAI」モードのままである。2つの標準的な周期が図示され、時刻T2にて、APが送出される。同時に、心房補充収縮間隔AEIが開始され、時刻T3にて終了する。T3にて、次の計画されたAPは、普通に送出される。しかし、T2とT3との間で、VSは起こらない。VSが、T3の前のいずれかの時刻に起こっている場合、デバイスは、この「AAI」モードのままになっているはずである。VSが起こらないため、デバイスモードは、時刻T3にてDDIに切り換わり、(一般的なDDI動作に関して)短縮されたAVI後に、時刻T4にて支持ペース(support pace)を送出する。そのため、1つのA−A周期は、心室活動が無い状態で進行してしまう。しかし、次の周期に関して、DDIへのモード切り換えが、心室脱分極を確実にする。
【0072】
管理される心室ペーシングの一実施形態と一貫性があるように、デバイスモードは、時刻T5にて、DDD「ロング」に切り換わる。実際には、この実施形態の下では、デバイスは、DDIの一周期後に、DDDへの切り換えが起こることになることを「知る」ことになる。したがって、その切り換え又は切り換えのための準備が、時刻T4と時刻T5との間の任意の時点で起こるか、又は、起こり始めることができる。いずれにしても、時刻T5にて始動されたAVIは、標準的なDDDペーシングと比較して長い。したがって、内因性心室脱分極についての機会が増える。内因性活動が検知される場合、デバイスモードは、もとの「AAI」に切り換わる。図示するように、AVIは、内因性センスが無い状態で終了し、そのため、VPは、時刻T6にて送出される。次のVA間隔が、開始され、時刻T7にて終了し、APが送出される。同時に、デバイスは、ここで、標準的なDDDモードで動作する。これは、モード切り換えではなく、むしろ、AVIについての値が、標準的な持続時間に設定される。デバイスは、一定期間の間、DDDで動作し続け、次に、内因性伝導があるかを定期的にチェックすることになる。可能である場合、デバイスは、こうした内因性伝導が見出されると、「AAI」に切り換わることになる。
【0073】
図7では、時刻T8は、上述したDDD「ロング」でのAPの送出を示す(時刻T8の直前の周期は、先に述べた、時刻T5の前の周期に相当する)。延長したAVIが始動し、それが終了する前に、VSが、時刻T9にて起こる。VSは、AVIを終了させ、VA間隔が開始される。VA間隔の終了時(時刻T10)に、APが送出され、デバイスモードは、「AAI」に切り換わる。VSが一旦起こると、デバイスは、次の周期に影響を及ぼすことになるモード切り換えの準備をすることができる。このシーケンスは、内因性伝導を可能にすることの選択、及び、内因性伝導が存在する時に、もとの「AAI」に切り換える能力を立証する。
【0074】
図8は、心室ペーシング管理の別の実施形態を示す。モードスーパバイザMSは、発生している事象を監視し、一組の規則、とりわけ、モード切り換えを課す。モードスーパバイザMSは、ハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェア内に存在するプログラム、プロトコル、又はモジュールであり、モードそれ自体とは全く異なる。所与のモードを支配するものを超える、モードスーパバイザは、データを利用してモード変更に着手し、データに基づいて他のオペレーションを利用することになる。モードは、一連の論理オペレーションによって規定される。モードスーパバイザは、たとえば、傾向、履歴、又はパターン等の付加的な情報を収集し、最新の組のモード特定論理オペレーションに限定されない決定を行う。
【0075】
たとえば、一実施形態では、デバイスは、先に述べたのと同じように、心室活動が無い状態で、完全なA−A周期後に、DDIへモード切り換えすることになる(時刻T1)。しかし、その後、基本プロトコルは、まさに次の周期について、(DDD等への切り換えと対照的に)もとの「AAI」に、常に、モード切り換えすることになる(時刻T2)。そのため、基本モードは、一周期が、心室活動が無い状態で終了することを可能にするが、2つの連続する周期がそうすることを可能にしないことになる。内因性伝導が完全にブロックされた場合、基準モードは、「AAI」と「DDI」との間を交互に切り換わるはずである。これは、心室レートを実質的に半減するはずであり、或る期間にわたって望ましくないはずである。そのため、モードスーパバイザMSは、活動を監視し、一定の条件が満たされると、モードを変更する。
【0076】
たとえば、一実施形態では、「DDI」から、もとの「AAI」へのモード切り換えは、最後の4つのうちの3つのA−A間隔において、心室活動が存在した場合にだけ許される。そのため、時刻T3にて、DDIへのモード切り換えが起こり、モードスーパバイザMSは、前の4つの周期の中で、少なくとも3つに心室活動があったと判定する。ここで、基本モードは、時刻T4にて「AAI」へモード切り換えすることが可能になる。
【0077】
デバイスは、先行するA−A間隔において心室活動が存在しないために、時刻T5にてDDIに再びモード切り換えする。今度は、モードスーパバイザMSは、心室活動を有する、最後の4つのうちの2つ以下の周期が存在したことに留意する。そのため、モードスーパバイザMSによって、デバイスが、DDIから、もとの「AAI」ではなく、DDDにモード切り換えする。その後、モードスーパバイザMSは、内因性伝導があるかを定期的に再チェックし、見つかれば、もとの「AAI」に切り換えてもよい。モードスーパバイザは、種々のパラメータ及び規則の組の下で動作してモード切り換えを誘導してもよい。モードスーパバイザMSに特定の動作を始動するようにさせる種々のパターン又はパラメータが提供される。
【0078】
要約すると、デバイスは、完全なA−A間隔が、心室活動が無い状態で起こるまで、「AAI」で動作する。これは、所与の周期、すなわち、全周期の間に、内因性伝導を可能にするための最大期間を提示する。心室活動が無い状態のA−A間隔後に、デバイスは、モード切り換えし、心室ペーシングパルスを送出する。そのため、心房追従が起こり、心室活動が無い状態の過剰な数の連続するA−A間隔は存在しない。説明されるように、「AAI」から、心室ペーシングが送出される二腔モード(DDI、又は、その他)へのモード切り換えに続く活動に対処する、いくつかの実施形態が提示される。
【0079】
心室ペーシングを管理するプロトコルは、先に説明されたように、デバイスにおいて実施することができる。所与のデバイスの、特定のハードウェア、ソフトウェア、及び機能中のパラメータの実際の制限に依存して、モード切り換えのタイミングが、多少の困難さを提示する場合がある。さらに、心室管理プロトコルが、既存のデバイス内にプログラムされる場合、時として、同じ困難さが存在する場合がある。
【0080】
再び図7を参照すると、デバイスは、時刻T3まで「AAI」で動作する。時刻T3にて、前のAEIが終了し、APが送出され、デバイスは、DDIへモード切り換わる。換言すれば、デバイスは、モード切り換えが必要とされることを判定すると同時に、そのモード切り換えを実施する。その理由は、VSが、AEIの間の任意の時点で起こることがあるからである。デバイスが、VSが起こらなかったと判定し、それに応じて応答することができるのは、実際には、AEIの終了時又は終了後だけである。
【0081】
やはり、時刻T3の同じ時点で、(DDIの)AVIが開始される。トリガリング事象が起こる(たとえば、AP、AEIの終了)時を開始するのはタイマである。そのため、そのタイマは、トリガリング事象が起こる前に開始するように設定され、準備が整った状態にされなければならない。そうでなければ、タイマを準備が整った状態にし、始動する時に遅延がかけられる。モード切り換え自体は、或る程度の有限な時間量がかかり、規則、機能中のパラメータ、並びに、種々の間隔及びタイマについての値が、得られ、次に、開始されなければならない。実際問題として、或るハードウェア/ソフトウェア構成は、特に、埋め込み可能医療デバイスの制限された環境で、同時に、これらの機能の全てを実施することができない場合があり、そのため、さらなる遅延が生じる。持続時間によって、生じる遅延が問題となる可能性がある。
【0082】
モード切り換えの発生が、切り換えを実施する前の周期において、わかっているか、又は、予測されるため、後続するモード切り換え(たとえば、DDIからDDDへ)は、必ずしも問題にならない。そのため、デバイスは、モード切り換えを始動し、行うのに十分な時間がある。換言すれば、デバイスは、将来の或る時点において、又は、将来に検知事象が発生すると、モード切り換えが起こることになり、そのため、必要とされる値が、得られ、準備が整った状態にされることができることを「わかっている」。
【0083】
プロトコルを実施する時に、許容できないか、又は、望ましくない遅延を、普通なら有するはずであるデバイスの場合、本発明の一実施形態は、先に述べた遅延の問題を回避しながら、図7と図8に図示するのと同じ結果を達成するモード切り換えプロトコルを可能する。この実施形態を本明細書において「AAIに偏倚したDDI」と呼ぶ。
【0084】
図9を参照すると、標準的な心室伝導が、時刻T1の前に起こった。そのため、時刻T1にて、デバイスは、AAIモードで動作しながら、APを送出する。APの送出によって、AEIが始動される。AAIモードプロトコル内の規定によって、APは、内因性心房センスによって抑止されなければ、AEIが終了すると送出されることになる。AEIの始動に続いて、デバイスは、時刻T2にて、DDIへモード切り換えする。デバイスは、現在DDIモードにあるが、最新のA−A間隔について、働きは、一般に変化しない。換言すれば、DDIへのモード切り換えが起こるが、AEIを停止させることも、妨げることもない。AEIは継続し、終了すると、計画された事象が、DDIへの切り換えに関係なく起こることになる。
【0085】
内因性伝導が起こり、時刻T3にて、心室事象が検知される。心室事象が検知されるため、デバイスは、検知されると即座に、又は、その直後の時刻T4にて、もとのAAIへモード切り換えする。これらのモード切り換えのいずれもが、時刻T5にて終了するAEIに影響を及ぼさず、APが送出される。デバイスは、T4時点からAAIにあったため、モードは、時刻T5にて、後続するAEIの始動を指示する。
【0086】
このプロセスは、時刻T5〜T9を有する次のA−A周期にわたって繰り返される。再び、時刻T9にて、AAIにてAEIが始動している間に、APが送出される。時刻T10にて、デバイスは、DDIにモード切り換えし、AEIが継続する。図示するように、VSは存在せず、そのため、もとのAAIにモード切り換えをトリガするものは存在せず、したがって、デバイスは、AEIが時刻T11にて終了すると、DDIのままである。AEIの終了時における予想される動作は、時刻T11にて起こるAPの送出である。デバイスは、その時にDDIにあったため、AV間隔が、時刻T11にて始まり、VPの送出によって時刻T12によって終了する。同時に、VA間隔が開始され、時刻T13にて終了する。後続するモード切り換えが起こる場合、モード切り換えは、時刻T12後の任意の時点で起こってもよい。
【0087】
T10とT11との間の期間に戻ると、デバイスは、たとえAEIが続いていても、DDIで動作する。そのため、後続するモード切り換えで取り消されなければ、デバイスは、AEIの終了時にAV間隔を始動することを「予想し」、そうするよう準備する。したがって、デバイスが、この時点でAAIからDDIへモード切り換えられている場合に普通なら起こる、時刻T11における遅延は存在しない。同様に、VSが実際に起こる場合、DDIからAAIへのモード切り換えは、デバイスが、後続するAEIを始動する準備をするための十分な時間がある状態で起こる。
【0088】
上記の実施形態は、先に説明した遅延問題をなくすが、或る特別な状況で、特定の例外が起こる可能性がある。図10は、AAIに偏倚したDDIでのデバイスの動作を示す。シーケンスは、時刻T1におけるAPで始まる。この時点で、デバイスは、AAIにあり、AEIが始動する。心房不応期ARPと心房ブランキング期ABPも始まる。その後、デバイスは、時刻T2にて、DDIへモード切り換えする。時刻T3にて、VSが起こる。VSは、時刻T4にて、もとのAAIへのモード切り換えをトリガする。VSが起こった時にデバイスが、DDIで動作していたため、PVARP(心室後心房不応期)が始動し、非常に短い間続く。これが起こる理由は、AAIへのモード切り換えが、即座でなく、さらに、PVARPの終了が、処理するのに或る程度の短い期間を要するためである。この時間の重なりは、動作の全体のタイミング又は性能に重大な影響を及ぼさないが、PVARPが、実際に始まり、AAIへのモード切り換えが達成される前に、短い期間の間、続く点で、例外を生じる。
【0089】
時刻T4におけるAAIへの切り換え後に、AEIが終了し、次のAPが、時刻T5にて送出される。次のAEIが始動し、デバイスはその後、時刻T6にて、DDIへモード切り換えする。時刻T7にて、遅発性VSが実際に起こる。デバイスがDDIにあるため、PVARPが始まる。時刻T8にて、デバイスは、AAIへモード切り換えする。先に示したように、PVARPをクリアすることができる前に、短い遅延が存在する。その期間の間、内因性心房事象Aが起こるが、ブランキングされ、そのため、デバイスによって認識されない。その後、AEIが終了し、計画されたAPが、時刻T10にて送出される。AAIへの切り換えと内因性心房事象との互いを基準にした正確なタイミング、又はそれらの時間的連続性は重要ではないことが理解されるべきであり、問題は、PVARPが、クリアする前に続く期間、及び、その期間の間に心房事象が起こるか否かである。
【0090】
こうしたシナリオは、めったになく、心房が既に不応性であるため、影響を及ぼさない場合がある。しかし、こうした異質のペーシングは、望ましくなく、回避されるのが好ましい。複数のモード切り換えによって、他のこうした例外の可能性がある。これらを回避するために、1つの解決策は、おそらくは問題になる種々の不応期/ブランキング期を変更するか、又は、なくすことである。もちろん、これは、付加的なプログラミング及び複雑さを必要とし、こうした機能の利点もなくす。AAIに偏倚したDDIの使用は、既存のデバイス又はインフラストラクチャが再プログラムされるか、又は、変更されるが、既存の利用可能なパラメータに依存する必要がある場合に望ましい。こうした例外が起こるか否か、また、もし存在すれば、こうした例外が、問題となる結論をもたらすか否かは、AAIに偏倚したDDIが、所与のデバイスに組み込まれることになるか否か、また、組み込む方法を決定するであろう。
【0091】
上述した実施形態では、心室ペーシングを管理するのに使用されるプロトコルは、制御プロトコルによって制定された規則に従って種々のモード間で切り換える能力によっている。本発明はまた、「完全抑止型DDI」(FIDDI)モード又は「完全抑止型二腔」(FIDC)モードと呼ばれる新しいペーシングモードを可能にする。繰り返すが、この文脈におけるDDIという呼称は、好都合な名称の問題であり、本発明をいずれの点においても限定しない。FIDDI及びDDIは、完全に異なり且つ別個のモダリティであり、混同されるべきではない。やがて明らかになるように、FIDDIモードは、心室ペーシングの管理を促進する、或る特徴を有する。しかし、FIDDIは、新しく、且つ、独立のペーシングモダリティであるため、こうした目的に限定されず、種々の状況において容易に適用されてもよい。
【0092】
FIDDIの一実施形態におけるデバイスの動作は、図11に示される。心房ペーシングパルスAPは、時刻T1にて送出される。心房補充収縮間隔AEI又はA−A間隔は、同時に開始される。AEIは、低いレート間隔LRIを規定し、レート応答性は、利用される場合、既知の方法で、FIDDIパラメータに影響を及ぼすことになる。AEIの終了時に、心房パルスが送出されることになる。心房事象が、AEIが終了する前に検知される場合、APが抑止され、次のAEIが始動する。望ましい場合、心房チャネルと心室チャネルの両方で、種々のブランキング期及び不応期を採用することができるが、詳述しない。
【0093】
時刻T1にて始動されたAEIの間に、時刻T2にて、内因性心室事象VSが検知される。心室センスによって、フラグF1がメモリにセットされる。AEIは、時刻T3にて終了するまで続く。デバイスは、適切なメモリロケーションを読み取り、フラグF1の存在を特定する。フラグF1が存在するため、次のAPは、時刻T3にて送出され、別のAEIが始動する。VSが、所与のAEIの間のいずれかの時点で起こる場合、フラグは、次の心周期の間、セットされることになる。
【0094】
本明細書で使用される場合、フラグは、選択的にセットすることができるインジケータに過ぎず、フラグが存在するか、又は、存在しないかは、デバイス又はデバイスの構成要素によって後で特定されてもよい。たとえば、フラグは、任意の形態のメモリに入れられる、任意のアナログデータ若しくはデジタルデータ又はインジケータ、作動される物理的構成要素、閉じるか、又は、開くスイッチ、回路要素内で生成される信号、電圧レベル又は電流レベル、或いは、任意の他の識別可能なインジケータであってもよい。フラグは、基準(たとえば、心室活動)に応答してセットされるものとして述べられるが、逆も同様に適用できる。すなわち、フラグは、プリセットされ、心室活動が存在する場合、取り除かれる。そのため、フラグが存在することではなく、フラグが存在しないことが、心室活動を示す。
【0095】
その後、時刻T4にて、VSが起こり、フラグF2をセットする。AEIの終了時に、次のAPが、時刻T5にて送出される。フラグF2がセットされたため、APが送出され、次のAEIが開始される。図示するように、デバイスは、AEIの終了時に、フラグがあるかをチェックする。別法として、フラグが、T4にて、又は、その後に初めてセットされると、デバイスは、AEIの終了時にとられることになる適切な動作方針を決定することができる。換言すれば、デバイスは、AEIの終了まで待ち、フラグがあるかをチェックするか、又は、早い時期にセットされたフラグ(又は、心室活動自体)に応答することができる。もちろん、VSは、AEIの終了に接近して起こることができ、やはり同じ影響を及ぼすことになる。
【0096】
フラグF2が存在したため、APが、T5にて送出され、次のAEIが開始される。AEIが終了する前に、時刻T7にて、心房センスASが存在する。そのため、時刻T8にて送出されたはずであるAPは、抑止される。さらに、次のAEIが、時刻T7におけるASから始動する。フラグF3が存在したため、AEIが始動される。それは、フラグF3がVSによって時刻T6にてセットされたためである。
【0097】
標準的な周期の進行を仮定すると、フラグが立ったAPが、時刻T9にて送出され、次のAEIが開始される。この周期において、VSが起こっていない状態で、AEIは終了する。したがって、フラグはセットされなかった。時刻T10にて、APが送出される。フラグが存在しない状態では、次のAEIは開始されない。そうではなくて、AV間隔が始動する。AV間隔は、支持パルスを送出するために、比較的短い間隔、たとえば、80ミリ秒に設定されてもよい。もちろん、選択される間隔は、所望に応じてプログラムされてもよい。どんな時間間隔がプログラムされようが、フラグがセットされていない状態で、APにて始動されることになる。AV間隔が終了した後、VPが、時刻T11にて送出される。心室事象、この場合、VPが存在したため、フラグF4がセットされる。VA間隔は、時刻T11にて開始される。時刻T12にて、VA間隔の終了時に、APが送出され、フラグF4がセットされたため、後続するAEIが始動する。
【0098】
図12Aは、FIDDIモードにおけるデバイスの動作を同様に示すはしご図である。時刻T1にて、APが送出され、AEIが始動する。AEIの間、心室センスが存在せず、したがって、フラグはセットされない。時刻T2にて、次のAPが送出され、事前プログラムされたAV間隔が始動する。AV間隔の終了時に、VPが、時刻T3にて送出され、VA間隔が始動する。VPは、フラグF1をセットする。その後、時刻T4にて、次のAPが、送出され、フラグF1がセットされたため、AEIが開始される。内因性心室事象が無い場合、デバイスは、心室活動の無い心周期と、ペーシングされた心室事象を有する心周期との間を行き来する。換言すれば、周期一つおきに心室活動が存在する。周期C1、C3、及びC5は、心室活動を持っておらず、周期C2、C4、及びC6は、心室支持ペーシングを含む。その基本モードでは、これは、患者が、たとえば、完全伝導ブロックを有する時に、FIDDIが働くことになる方法である。長い期間にわたって患者をこのペーシングパターンに留めることは、心室レートを実質的に半減するため、望ましくないはずである。しかし、その基本形態におけるFIDDIは、以下でより詳細に説明されるように、促進心房しきい値ペーシング試験に有益である。
【0099】
引き続き図12Aを参照すると、APは、フラグがセットされていない状態で、時刻T5にて送出される。そのため、AV間隔が始動し、その終了時点で、VPが、時刻T6にて送出される。そのため、フラグF2がセットされ、VA間隔が開始される。VA間隔が終了する前に、内因性心室事象が、時刻T7にて検知される。このVSは、たとえば、心室性期外収縮(PVC)であることができる。VSは、セットされたフラグに影響を及ぼさないことになる。すなわち、フラグF2は、セットされており、変更される必要がない。しかし、VSによって、VA間隔はリセットされる。このVA間隔は、時刻T8にて終了し、次のAPが送出され、フラグF2がセットされたため、次のAEIが始動する。そのため、FIDDIでは、心室ペース後に検知された後続する各心室事象は、VA間隔をリセットすることになる。
【0100】
フラグが立ったAPは、時刻T8にて送出され、AEIが始動する。その後、時刻T9にて、内因性心室活動が検知され、フラグが、次の周期についてセットされる。AEIが終了する前に、別の心室事象が、時刻T10にて検知される。2回目の(又は、後続する)心室事象が所与のA−A間隔において起こることによって、AEIは、終了し、VA間隔が、時刻T10にて開始される。すなわち、AEIは、有効に延長される。VA間隔の終了時に、APが、時刻T11にて送出される。VA間隔の間に、さらなる心室事象が存在した場合、VA間隔は、各事象によってリセットされるはずである。
【0101】
次の周期について、APが、時刻T11にて送出され、AEEIが開始される。VSが、時刻T12にて起こり、AEIの終了前に、2回目のVSが、時刻T13にて起こる。前の周期とちょうど同じように、後続するこの心室事象は、VA間隔をトリガし、有効にAEIを延長する。むしろ、AEIは、もはや適用できず、VA間隔が、使用中のタイマである。実際問題として、A−A間隔は、AEIが生成したはずである期間を超えて延長する。VA間隔が終了する前に、ASが、時刻T14にて起こる。フラグがセットされているため、この内因性心房事象は、次のAEIの開始を始動する。
【0102】
図12Bは、フラグがセットされていない周期において、内因性心房センスが起こる例を示す。時刻T1にて、APが送出され、AEIが始動する。心室事象は検知されず、時刻T2にて、内因性心房事象が検知される。これは、時刻T3にて起こったはずである、後続するAPの送出を抑止することになる。APが、たとえ抑止されても、AEIは、継続し、その終了によって、時刻T3にて、AV間隔が開始される。これは、A−A間隔の間の一貫性を維持することになる。別法として、こうした一貫性が望まれない場合、AV間隔が、時刻T2にて始動されることができる。
【0103】
一般に、FIDDIは、所与の心周期においてフラグをセットし、フラグは、後続の連続する心周期について有効である。したがって、連続するわずか一心周期が、心室活動が無い状態で起こることになる。たとえば、完全伝導ブロックが存在する場合、FIDDIは、1つおきの心周期をペーシングすることになる。FIDDIの種々の他の実施形態が、本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。たとえば、パラメータは、所与のフラグが、付加的な、後続する周期について有効であるように調整されてもよい。フラグが、たとえば、2つの心周期について有効である場合、2つの連続する心室拍動の抜けが許容されるはずである。心室ペーシングに完全に依存することによって、デバイスは、2周期おきにペーシングするはずである。したがって、フラグが有効である心周期の数を調整することによって、心房追従を維持しながら、許容される連続する心室拍動の抜けの数が、それに応じて調整される。
【0104】
説明したように、その基本動作モードにおいて、一実施形態では、FIDDIは、1つおきの心周期(たとえば、A−A間隔)のみが、心室活動(たとえば、完全伝導ブロック)を含む状況を許容することになる。程度の低いブロックに関して、又は、他の状況下では、他のシーケンスがもたらされることになるが、少なくとも1つおきの周期が、心室事象を含むことになる。最も極端な場合、これは、心室レートを半減する。(標準的な心房レートに関して)半減した心室レートは、生命を維持することになるが、生活の質を低くするはずである。すなわち、所定期間にわたるこうした心室レートは、患者の健康及び幸福にとってマイナスの結果をもたらすはずである。
【0105】
FIDDIは、モード切り換えすることなく、上述した規則及びパラメータに従って動作することになる完全なペーシングモダリティである。したがって、デバイスにおいて実施される場合、FIDDIは、多くの状況において心室ペーシングの管理を達成することになる。たとえば、内因性伝導が大部分の心周期において起こる患者において、FIDDIは、こうした伝導を十分に促進し、一周期についての心室拍動の抜けを許容し、次の周期において支持ペーシングを供給し、次に、内因性伝導を促進し続けることになる。さらに、心房過剰駆動ペーシングが利用される状況では、FIDDIのレート半減効果が望ましい場合がある。
【0106】
他の状況では、FIDDIのみが、望ましくない長期のペーシングパターン(たとえば、標準的な心房レートに関して半減する心室レート)をもたらす場合がある。そのため、本発明は、心室ペーシング管理のためにFIDDIを使用するための種々のプロトコルを含む。
【0107】
図13を参照すると、FIDDIは、心室ペーシングを管理するために、モード切り換えと共に使用される。時刻T1の前に、デバイスは、FIDDIモードで動作していた。時刻T1にて、APが送出され、フラグがセットされたために、AEIが開始される。VSが、時刻T2にて起こり、フラグをセットする。そのため、時刻T3にて、次のAPが送出され、次のAEIが開始される。心室センスが起こらず、時刻T4にて、AEIが終了し、APが送出され、AV間隔が開始される。このAV間隔の終了時に、心室支持ペースが、時刻T5にて送出され、VA間隔が開始される。この時点を通して、デバイスは、FIDDIモードで動作しており、そのため、遅延問題がなくなる。
【0108】
AV間隔の間に、デバイスは、FIDDIからDDDへのモード切り換えを準備する。AV間隔の終了時に、次のVPが、時刻T5にて送出され、デバイスは、実際に、DDDへモード切り換えする。先の実施形態と同様に、DDDの第1の周期は、内因性伝導を可能にする長いAV間隔を有する「DDDロング」と呼ばれる。標準的なDDDモードへ、モード切り換えを行うことができるため、これは任意選択である。図示する例では、長いAV間隔が始まり、心室ペースの送出によって、時刻T7にて終了する。心室センスが存在した場合、デバイスは、次の周期及び後続する周期についてFIDDIに戻ることができる。心室活動が検知されない場合、デバイスは、時刻T8にて、「標準的な」DDDで動作する。すなわち、AV間隔は、標準的な持続時間である。
【0109】
デバイスは、伝導チェックが起こるまで、DDDモードを継続することになる。たとえば、時刻T9にて、デバイスは、FIDDIからDDDへモード切り換えし、或る期間、DDDモードで動作する。或る所定の間隔後に、デバイスは、時刻T10にて伝導チェックを行い、デバイスは、FIDDIへモード切り換えする。DDDの最後の周期が、(おそらく、ペーシングされた)心室事象を含んだため、T10にてフラグが存在し、APが送出される。フラグは、実際にセットされてもよく、又は、デフォルトは、FIDDIへのモード切り換え後の第1の周期についてフラグが存在すると仮定することであることができる。いずれの場合も、AEIが、T10にて開始され、デバイスは、内因性心室事象が、そのAEIの間の任意の時点で起こるか否かを監視する。VSが存在する場合、デバイスは、FIDDIのままであり、述べたように継続することになる。VSが存在しない場合、デバイスは、説明したように、次の周期についてFIDDIのままであり、心室支持ペースを送出し、次に、DDDへモード切り換えする。
【0110】
そのため、本実施形態は、FIDDIが、DDDへのモード切り換えと共に採用されて、心室ペーシングを管理するプロトコルを提供する。要約すると、デバイスは、支持ペースが送出されるFIDDIの周期に後続する少なくとも一周期について、DDDへ切り換わることになる。デバイスは、次に、内因性伝導があるかを定期的にチェックし、見つかればFIDDIへ切り換わるか、伝導チェックが実施されるべきでないと判定される場合にDDDのままであるか、又は、内因性伝導がペーシングされたレートより高いレートで起こる場合にFIDDIへ切り換わることになる。
【0111】
別の実施形態では、心室ペーシングを最小にするか、又は、減らすために、モードスーパバイザと共に、FIDDIが使用される。一般に、この実施形態では、デバイスは、FIDDIで動作し、モードスーパバイザは、その機能の1つとして、心室ペーシングのパターン及び内因性心室伝導のパターンを監視する。そのため、FIDDIにおいて、抜けた心室拍動は許容され、次の周期はペーシングされ、後続する周期によって、全A−A間隔が、心室活動について検知されることが可能になる。すなわち、FIDDIが心室ペースを送出する周期後にDDDへモード切り換えするのではなく、この実施形態は、心室ペーシングが送出される周期後もFIDDIのままである。モードスーパバイザは、心室活動を監視し、或る他のパラメータが満たされる場合、モード切り換えを生じることになる。たとえば、モードスーパバイザは、最後の4つのうちの3つの心周期に心室活動が存在した場合、デバイスをFIDDIに保つことになる。逆に、最後の4つのうちの2つ以下の心周期にしか心室活動が存在しなかった場合、モードスーパバイザは、たとえば、DDDへのモード切り換えをトリガすることになる。種々の他のパターン又はパラメータを使用して、モード切り換えが起こる時を規定することができる。
【0112】
そのため、モードスーパバイザは、任意の数のパラメータ及び変数を監視し、必要とされる時に、モード切り換えをトリガすることができる。こうした変数及びパラメータは、所定期間にわたって、且つ/又は、検知された状況に基づいて調整されることができる。これによって、デバイスが、FIDDIのままとなり、心室拍動の抜けが存在する時はいつでも即座にモード切り換えするのではなく、いくつかの心室拍動の抜けを許容することが可能になる。こうした断続的に抜けた心室拍動は、標準的であることが多く、一般に無害である。これらの事象を許容することによって、本実施形態は、さらに、心室ペーシングを減らす。モードスーパバイザは、問題となる状況を示すパターンを監視し、適切であれば、モード切り換えをトリガする。多くのこうした問題となる状況は、過渡的であるか又は一時的であり、モードスーパバイザは、伝導チェックを始動し、適切であれば、デバイスをFIDDIへ戻すことができる。さらに、或る状況は、所定期間にわたって悪化する。そのため、モードスーパバイザは、その基準を所定期間にわたって調整することができる。たとえば、モードスーパバイザは、モード切り換えする前の、所与の数の周期の中の、たとえば、抜けた心室拍動の数に、初めは寛容であってもよい。所定期間にわたって、モードスーパバイザが、悪化する状況を示すパターンを認識する場合、パラメータは、抜けた心室拍動の数に寛容でないように調整されることができ、したがって、それに応じて、モードが切り換わる。
【0113】
この実施形態の動作は、図14のはしご図によって図示される。最初に、デバイスは、FIDDIモードで、且つ、心周期C1〜C3において動作し、標準的な内因性心室脱分極が存在する。周期C4にて、心室センスが存在せず(したがって、心室拍動が抜ける)、したがって、周期C5にて、FIDDIが心室支持ペースを送出する。デバイスが、FIDDIで動作し続けることが留意されるべきである。周期C6〜C9において、適切な心室活動が検知される。
【0114】
心室拍動の抜けは、周期C10の間、及び、周期C11の間に起こり、FIDDIは、心室支持ペースを送出する。次の周期C12の間、心室拍動の別の抜けが存在する。FIDDIは、周期C12のA−A間隔を監視し、終了すると、周期C13についてAV間隔を始め、次に、支持ペースを送出する。そのため、デバイスは、この周期まで、FIDDIで動作し続ける。しかし、モードスーパバイザは、DDDへのモード切り換えが適切であり、同じことが周期C14について行われると判定する。たとえば、採用される基準は、前の4つのうちの3つの心周期が心室活動を含む限り、FIDDIの中にあるままであることができる。示す例では、2つ以下の周期しか心室活動を含まなかった場合、モード切り換えが実施される。
【0115】
モードスーパバイザが、DDDへのモード切り換えをトリガすることに続いて、種々のオプションが存在する。たとえば、デバイスがDDDのままであってもよく、又は、定期的な伝導チェックを行うことができ、もしうまくいけば、モードスーパバイザは、デバイスが、FIDDIへモード切り換えするようにさせることになる。
【0116】
本明細書で述べるように、FIDDIは、完全で、且つ、独立のペーシングモードである。FIDDIは、その基本形態でペーシング療法として使用されてもよく、モード切り換えプロトコル又はモードスーパバイザと共に使用されて心室ペーシングを管理してもよく、種々の治療についての他のパラメータと共に使用されてもよく、心室レート半減のために使用されてもよく、又は、しきい値試験を行うのに使用されてもよい。
【0117】
1999年9月21日にCasavantに発行され、Medtronic, Inc.に譲渡された米国特許第5,954,755号は、促進心房ペーシングしきい値試験(FAPTT)を開示しており、参照によりその全体が本明細書に援用される。FIDDIは、FAPTTを実施するのに使用することができる。非常に一般化され、且つ、単純化された概要として、FAPTTは、少なくとも2つの方法でしきい値試験を可能にする。第1に、損なわれていないAV伝導が存在する場合、デバイスは、心室センスが無いことによって示される捕捉の喪失が存在するまで、ADIモードでペーシングする。それが起こると、デバイスは、DDIへモード切り換えし、支持ペースを送出する。デバイスは、次に、もとのADIへモード切り換えし、捕捉の喪失をそのレベルで検証するか、又は、心房ペーシングしきい値を再調整するかのいずれかによって、しきい値試験を継続する。
【0118】
完全ブロックが存在し、且つ、患者が、心室ペーシングに関してペースメーカ依存性がある場合、FAPTTを使用して、得られるEKGの混乱をなくす。すなわち、ペーシングしきい値試験について、心房レートが比較的高く(たとえば、90〜200bpm)駆動される。この高いレートに心室レートを追従させることは望ましくないはずである。実際に、心室レートが追従する場合、得られる標準的なEKGは、非常に込み入っており、解釈するのが難しい。そのため、FAPTTは、単一の拍動ごとにADIとDDIとの間で、又は、その逆にモード切り換えする。ADIの各周期は、心室活動を持っていない。したがって、得られるEKGは、解釈するのが容易である。心室レートは、心房レートと比較して、実質的に半減するが、心房レートは、試験のために高く設定されるため、心室レートは、結局、標準的になる。しきい値試験は、EKG又は他の手段を介して心房における捕捉の喪失があるかを監視することによって行われる。
【0119】
いずれの実施態様においても、FAPTTは、非常に制限された期間について、且つ、一般に、医療介護人の直接統括の下で実施されるしきい値試験に過ぎない。ペーシングモードとしてのFIDDIを使用して、FAPTTプロトコルによるしきい値試験を行うことができる。すなわち、FIDDIは、内因性AV伝導を十分に促進し、前の周期が心室活動を持っていない場合に心室ペースを送出するだけであることになる。そのため、心房しきい値を調整しながら、FIDDIを使用することによって、患者が、普通なら良好な伝導を有し、試験が、モード切り換えを必要としない時に、捕捉の喪失を、心室活動の喪失によって特定することができる。逆に、完全AVブロックが存在する場合、心房レートを高いレートに設定しながら、FIDDIを使用することができる。一つおきの拍動は、モード切り換えを必要としない状態で、心室活動を持っていないことになる。そのため、EKGの混乱及びこうした頻繁なモード切り換えの固有の問題が無い状態で、しきい値試験を容易に実施することができる。
【0120】
図15は、FIDDIモダリティを示すフローチャートである。或る時点にて、デバイスは、FIDDIで動作し始める(S500)。一般に、これは、デバイスが、別のモードにある間に、ペーシングされたか、又は、検知された心室事象によって起こることになる。他のモードの最後の周期の間に、デバイスは、FIDDIへモード切り換えし、心室事象は、まさしく次の周期についてフラグをセットする。別法として、FIDDIは、心房事象によって始動することができ、その周期についてフラグが仮定されるか、又は、第1の周期が、デフォルトによってペーシングされてもよい。いずれの場合も、FIDDIの動作の最初の全周期について、フラグがセットされる。
【0121】
FIDDIの始動(S500)後に、FIDDIの動作の最初の全周期について、フラグが存在し、もし存在すれば、心房ペーシングパルス又は心房検知事象によって、AEIが始動する(S505)。AEIが進行する時に、デバイスは、心室事象があるかを監視する(S510)。心室センスが存在する場合、デバイスは、心室センスが、最新のA−A間隔の最初の心室センスであるか否かを判定する(S515)。最初の心室センスである場合、デバイスは、フラグをセットし(S520)、AEIが終了するまで、監視し続ける(510)。検知された心室事象が、最新のA−A間隔の2回目の、又は、後続する心室センスである場合、VA間隔が開始される(S525)か、又は、再開される(たとえば、図12Aを参照されたい)。タイミングは、ここで、VA間隔によって駆動されるが、これは、AEIを有効に延長するか、又は、延ばすことになる。
【0122】
最新のA−A間隔は、AEIがなくなるか、VA間隔がなくなるか、又は、心房センスが起こるかのいずれかによって、終了することになる。最新のタイマ(AEI又はVA)が終了しなかった場合(S530)で、且つ、心房センスが存在しなかった場合(S535)、プロセスは、心室活動があるかを監視し続ける(S510)。
【0123】
最新のタイマが終了した場合(S530)、心房ペースが送出される(S540)。この例示のために、タイマの終了(S530)は、タイマが、心房事象を検知することなく終了したことを意味する。実際に、心房事象の検知が存在した場合(S535)、プロセスは、タイマが、実際に、継続するか、又は、終了するかに関わらず、以下で説明する異なった方法で進む。
【0124】
APが送出されると(S540)、デバイスは、セットされたフラグが存在したか否かを判定する。セットされたフラグが存在した場合、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。フラグがセットされなかった場合(S545)、プログラムされたAV(PAV)間隔が開始される(S550)。一実施形態では、PAVは、支持ペースを送出するために、比較的短い(たとえば、80ミリ秒)が、任意の所望の間隔にプログラムされてもよい。PAVが終了すると、心室ペース(VP)が送出される(S555)。内因性心室事象が感知された場合、モダリティは、この心室ペースを抑止することになる。いずれの場合も、心室活動の結果として、フラグがセットされ(S560)、VA間隔が開始される(S565)。この期間の間、デバイスは、内因性活動があるかを監視し(S570)、内因性活動が、心房性であるか、又は、心室性であるかを判定する(S575)。心房事象である場合、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。VA間隔の間に心室センスが存在する場合、VA間隔が再開される(S565)。VA間隔が、中断無しで終了する場合、APが送出され(S580)、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。
【0125】
S530に戻ると、最新のタイマ(AEI又はVA)が、心房センス(S535)のために、終了するか、又は、中断される場合、計画されたAPは抑止され(S590)、デバイスは、フラグがセットされているか否か(S600)を判定する。フラグが存在する場合(S600)、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。セットされたフラグが存在しなかった場合(S600)、プログラムされたAV間隔(PAV)が始動する(S610)。この実施形態では、PAVの始動は遅延する。実際には、前のAEI(内因性心房活動によって抑止される)が、続くことが許され、その終了時に、PAVが始動する。代替の実施形態では、PAVは、検知された心房活動によって始動する。PAVが終了すると、(抑止されなければ)VPが送出され(S615)、フラグが、次の周期についてセットされる(S620)。心室活動は、VA間隔を始動させ(S625)、VA間隔の間に、デバイスは、さらなる心室事象があるかを監視する(S630)。プロセスは、S570に進み、先に述べたように継続する。
【0126】
ステップS545及びS600にて、フラグが、以前にセットされたか否かについて判定が行われる。両方の場合において、フラグが存在する場合、プロセスは、S505に戻り、AEIが始動する。これらのステップの両方において有効であったフラグは、次の周期内まで持続しない。そのため、フラグは、メモリからクリアされる。図示していないが、これは、S545及びS600の後に起こってもよく、又は、S505とともに、又は、その直後に起こってもよい。別法として、フラグをメモリからクリアするのではなく、各フラグは、所与の間隔に関連付けられることができ、そのため、その間隔について有効であるに過ぎないことになる。
【0127】
本明細書を通して、NBGペースメーカコードによる指示を含む種々の用語が、ペーシングモダリティを示すのに使用されてきた。こうした専門用語の使用は、例示のためのものに過ぎず、限定的であると考えられるべきではない。本文脈で使用される、これらのコードは、述べられるモードの、特徴、規則、及び機能を単に近似することができる。たとえば、ペーシングを減らすか、又は、最小にするための、本明細書で述べる一実施形態では、オペレーションは、或る状況下で、AAIモードで動作し、次に、DDIモードへモード切り換えするものとして述べられる。たとえば、AAI/R、ADI、又はADI/Rはまた、AAIではないデバイスの関連する動作を述べ、したがって、交換可能であることが理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「心房ベースのペーシング」モード又はモダリティは、これらのモード(AAI、AAI/R、ADI、ADI/R)及びその変形のうちの任意のものを述べるのに使用される。
【0128】
広範囲には説明されないが、レート応答性は、FIDDIを含む、説明されるモダリティのうちの任意のモダリティに適用可能である。そのため、説明されるか、又は、近似される任意のモダリティは、本発明の範囲から逸脱することなく、レート応答性の変形形態と交換されてもよい。
【0129】
説明されるモードは、ハ−ドウェア、ファームウェア、ソフトウェア、コード、命令、或いは、適切な医療デバイスによってアクセス可能な、メモリ又は任意のコンピュータ読み取り可能媒体に記憶された任意の適切なフォーマットにおいて具体化されてもよい。モダリティは、設計若しくは製造によってデバイス内に組み込まれてもよく、又は、既存のデバイスに付加されてもよい。
【0130】
本発明は、好ましい実施形態を参照して述べられたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部において、変更を行ってもよいことを、当業者は認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明によるICDシステムの図である。
【図2】本発明の特徴を実行するようになっているICDの機能ブロック図である。
【図3】図1の外部プログラミングユニットの斜視図である。
【図4】AAI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図5A】DDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図5B】DDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図6】DDD動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図7】本発明の一実施形態による、心室ペーシングを管理している間の、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図8】モードスーパバイザによる、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図9】本発明の別の実施形態による、心室ペーシングを管理している間の、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図10】埋め込み可能医療デバイスの動作をさらに示すはしご図である。
【図11】本発明の一実施形態による、完全抑止型DDI(FIDDI)動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図12A】本発明の一実施形態による、完全抑止型DDI(FIDDI)動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図12B】本発明の一実施形態による、完全抑止型DDI(FIDDI)動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図13】心室ペーシングを管理している間の、FIDDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図14】心室ペーシングを管理している間の、FIDDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図15】FIDDIモードを実施するプロセスを示すフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋め込み可能医療デバイスに関する。より詳細には、本発明は、埋め込み可能なペースメーカ、カーディオバータ、及びディフィブリレータに関する。
本発明は、2000年12月21日に出願された特許出願第09/746,571号の一部継続出願である、2002年9月17日に出願された特許出願第10/246,816号の一部継続出願であり、両出願は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
心臓状況を監視し、適切である時に治療を送出するのに使用される種々の埋め込み可能医療デバイス(IMD)が存在する。ペースメーカ及びディフィブリレータは、単独で又は組み合わせて、通常、心周期に関連する事象を検知し、電気刺激を送出して所望の結果をもたらす。ペースメーカは、心調律を維持するか、又は、制御するために、心周期を検知し、所定の間隔で低いエネルギーパルスを送出して、心房、心室、又は両方の心臓組織を脱分極させる。ディフィブリレータは、心臓をディフィブリレーション(除細動)し、洞調律を回復するために、心房又は心室の細動を検知し、高いエネルギー刺激を送出する。一般に、埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータ(ICD)と呼ばれる単一のデバイス内に、両方の型の機能が含まれる。
【0003】
心周期は、EKG又はEGM上のP波によって表される、SA結節で開始する心房の脱分極で始まる。脱分極波は、心房を通って進むため、AV結節に遭遇し、遅延(AV間隔)を受け、遂には、心室を脱分極させ、心室の脱分極は、EKG又はEGM上にQRS群として現れる。心室の後続する再分極は、T波として現れる。その最も基本的なレベルにおいて、心周期は、心房(A)事象又はP波と、それに続く、心室(V)事象又はR波からなる。こうした事象は、内因性であるか、又は、ペーシングされるかのいずれかである。そのため、所定期間にわたって、複数の周期が、反復性のA−V−A−Vパターンを生成するだけである。
【0004】
タイミングをとるために、心周期のこの概要は、少数の比較的単純なオプションをもたらす。A−A間隔は、実際上、完全な周期であり、後続する心房事象間の間隔又は時間を表す。同様に、V−V間隔は、後続する心室事象間の時間であり、同様に、完全な周期を表す。AV間隔は、心房事象と心室事象との間の時間であり、VA間隔は、心室事象と後続する心房事象との間の時間である。
【0005】
非常に基本的であり、間違いなく、既知であるが、これらの種々の間隔は、ICDのタイミングをとるのに使用される枠組を表す。たとえば、完全房室ブロックを有する患者では、心房脱分極は、普通に起こる可能性があるが、脱分極波は、心室に達することができない。そのため、心室は、心房レートより通常低い、心室自身の内因性レートで、心房から独立して脱分極する。心室をペーシングするように構成されたICDは、心房脱分極を検知することになる。次に、Aが検知されると、AV補充収縮間隔タイマが開始される。AV補充収縮間隔の終了によって、ペーシングパルスが送出される。
【0006】
ICDが従うことになる、特定の規則、タイマ、トリガ、及びオペレーションは、動作モードによって規定される。NBGペースメーカコード(NASPE/BPEG包括(generic)ペースメーカコード)は、通常、所与のモード又はデバイスの機能を包括的に示すのに使用される。コードは5つの指示を含む。第1の指示はペーシングされる心腔(chamber)を示し、第2の指示は検知される心腔を示し、第3の指示は検知に対する反応を示し、第4の指示はプログラム可能性、より一般的には、レート応答性に関しており、第5の指示は抗頻脈機能に関しており、含まれないことが多い。そのため、VVI/Rペースメーカは、心室においてペーシングし、心室において検知し、検知事象に基づいてペーシングパルスを抑止し、レート応答性である。述べたように、このコードは、包括的にモードを示し、種々の製造業者は、こうしたモードを異なる方法で、また、異なる特定のパラメータによって実施してもよい。
【0007】
ICDは、検知された状況に基づいて、1つのモードから別のモードへ自動的に切り換わる能力を有することが多い。そのため、単一のリード線を有する単腔ペースメーカは、単腔モード(たとえば、VVI)で機能するだけである場合がある。たとえば、二腔式、三腔式、又は四腔式のペーシング/検知を有するより複雑なICDは、単腔モードを含む利用可能なモードのうちの任意のモードで機能することができることになる。
【0008】
デバイスが所与のモードである限り、デバイスは、他の能力に関係なく、そのモードの規則に従って機能することになる。たとえば、真にVVIモードにあるデバイスは、心房事象、心房不整脈等に応答しないであろう。こうした心房事象が、VVIにある間に検出され、応答を必要とする場合、デバイスは、適切なモードへモード切り換わることになる。これらのコードの性質が包括的であり、ICDの能力が常に変わるため、コードは、所与のモードについての最も近い近似を指示するのに使用されることが多い。そのため、特定のデバイスについての所与の文脈では、特定のモードは、コードの指示を超える能力を有する場合がある。しかし、全てのモードは、一組の規則を有することになり、デバイスは、そのモードで動作する時、これらの規則に違反しないことになる。
【発明の開示】
【0009】
一実施の形態では、本発明は、埋め込み可能医療デバイス、たとえば、ペースメーカ又はICD用のモードである。
本発明は、埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法を含む。本方法は、心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び、最新の心周期の開始時にフラグが存在する場合、最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを阻止することを含む。
【0010】
一実施の形態では、本発明は、心臓脱分極を検知する手段を備える埋め込み可能医療デバイスである。埋め込み可能医療デバイスはまた、ペーシングする手段と、選択されるモードに従ってペーシングする手段を制御する手段とを備え、1つの選択可能なモードは、完全抑止型(fully inhibited)DDI(FIDDI)モードである。
【0011】
別の実施の形態では、本発明は、心臓脱分極を検知する手段と、選択可能なモードに従ってペーシングする手段とを備える埋め込み可能医療デバイスである。埋め込み可能医療デバイスはまた、所与の心周期における心室活動の検知によって、心房ベースのペーシングモードへモード切り換えする手段と、所与の心周期の終了時に、心房ベースのペーシングモードから二腔モードへモード切り換えする手段とを含み、二腔モードは、二腔モードで動作している間の第1の心周期について実施される第1の組のパラメータであって、それによって、実施されるパラメータは、第1の心周期の間、心室ペーシングパルスの送出を阻止する、第1の組のパラメータと、二腔モードで動作している間の引き続く第2の心周期において実施される第2の組のパラメータであって、それによって、心室ペーシングは、抑止されなければ送出される、第2の組のパラメータとを含む。
【0012】
別の実施の形態では、本発明は、コントローラと、コントローラに動作可能に接続し、心室ペーシングパルスを送出するとともに心室脱分極を検知するように構成される心室リード線とを備える埋め込み可能医療デバイスである。埋め込み可能医療デバイスはまた、コントローラに動作可能に接続し、心房ペーシングパルスを送出するとともに心房脱分極を検知するように構成される心房リード線と、コントローラによって選択可能なペーシングモダリティを規定する複数のアルゴリズムを含むメモリとを含み、ペーシングモダリティのうちの1つは、完全抑止型DDIである。
【0013】
別の実施の形態では、本発明は、埋め込み可能医療デバイス上で実施されると、最新の心周期において起こる心室活動に応答してフラグをセットすることであって、フラグは後続する心周期について有効である、フラグをセットすることを、埋め込み可能医療デバイスにさせるペーシングモードを規定する命令を含むコンピュータ読み取り可能媒体である。さらに、IMDは、フラグが、所与の心周期の開始時に存在するか否かを判定し、フラグが、所与の心周期の開始時に存在する場合、心房補充収縮間隔を始動し、所与の心周期の開始時に、フラグが存在しない場合、AV間隔を始動する。さらに、IMDは、AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出し、AV間隔の終了時にVA間隔を始動する。
【0014】
本発明はまた、或るモードで埋め込み可能デバイスを動作させる方法を含み、本方法は、予め制定される基準が、第1の心周期の間に満たされる場合、第1の心周期の間に、フラグをセットすることを含む。本方法はまた、第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、フラグが、セットされている否かを判定すること、フラグがセットされている場合、第2の心周期の間、そのモードにとどまったままで第1の方法で動作すること、及び、フラグがセットされていない場合、第2の心周期の間、そのモードにとどまったままで第2の方法で動作することを含む。
【0015】
別の実施の形態では、本発明は、心房リード線と、心室リード線と、メモリとを備える、選択されるモードでペーシング治療を送出するモード切り換え能力を有する埋め込み可能医療デバイス(IMD)である。IMDはまた、心室リード線及びメモリに電子的に接続した処理モジュールを含み、処理モジュールは、第1の心周期の間に、予め制定される基準が検知されるか、又は、心室リード線を介して送出される場合、第1の心周期の間に、メモリにフラグをセットし、第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、フラグがセットされているか否かを判定する。同様に、コントローラが含まれ、コントローラは、フラグがセットされている場合、第2の心周期の間、選択されたモードにとどまったままで、心房補充収縮間隔を始動し、心室ペーシングを阻止し、フラグがセットされていない場合、第2の心周期の間、選択されるモードにとどまったままで、AV間隔及び心室ペーシングパルスを始動する。
【0016】
本発明はまた、埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法を含む。本方法は、心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び、所与の心周期の開始時にフラグが存在しない場合にのみ、最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを送出することを含む。
【0017】
複数の実施の形態が開示されるように、本発明のさらに他の実施の形態は、本発明の例示的な実施の形態を示し、述べる以下の詳細な説明から、当業者に明らかになるであろう。理解されるように、本発明は、本発明の精神及び範囲から全く逸脱することなく、種々の明らかな態様における変更が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示とみなされ、限定的であるとはみなされない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここで、図1を参照すると、システムを構成するICD(埋め込み可能医療デバイス)10並びにリード線15及び16が示される。ICD10は、埋め込み可能なカーディオバータ−ディフィブリレータであり、又は、埋め込み可能パルス発生器であることもできる。こうしたデバイスは、単独で又は組み合わせて、ペーシング、ディフィブリレーション、カーディオバージョン、及び/若しくは、他の治療を含んでもよいことが理解されるべきである。図示するリード線は、例示的であり、他の特定の形態のリード線が、本発明の範囲内に入ることが留意される。図示する心室リード線16は、リード線の遠位端に隣接して位置する、伸張可能ならせん電極26及びリング電極24を有し、らせん電極は、絶縁性電極ヘッド27内に伸縮自在に搭載される。電極24及び26は、双極心室ペーシングのため、また、心室脱分極の双極検知のために使用される。電極24及び26は、双極ペーシング及び双極検知のために使用される場合があるが、電極26は、その表面が、単極動作と呼ばれる状態において共通電極又は不関電極の役目を果たす、デバイスケーシング10の表面と共に使用されてもよい。心室リード線16はまた、ディフィブリレーションパルス及び/又はカーディオバージョンパルスを送出するための、RV(右心室)コイルと呼ばれることがある、コイル電極20を保持する。コイル電極20は、リード線16上に配置され、それによって、遠位先端が心室の心尖にある時に、コイル20が右心室内に配置される。リード線16はまた、カーディオバージョンパルスを印加するのに使用することができるSVCコイル30を、任意選択で、保持してもよい。リード線16は、管状絶縁シース等の適切な手段によって互いから分離され、ICDデバイス10と、電極20、24、26、及び30のそれぞれの電極との間で電気接続するための、リード線の長さに延びる、それぞれの同心コイル導体(図示せず)を保持する。
【0019】
図示する心房リード線15は、伸張可能ならせん電極17及びリング電極21を有し、らせん電極は、絶縁性電極ヘッド19内に伸縮自在に搭載される。電極17及び21は、双極心房ペーシングのため、また、心房脱分極の検知のために使用される。電極17及び21は、双極ペーシング及び双極検知のために使用される場合があるが、電極17は、その表面が、単極動作と呼ばれる状態において共通電極又は不関電極の役目を果たす、デバイスケーシング10の表面と共に使用されてもよい。この例では、心房リード線15は、カーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスの検知及び送出に使用するためのコイルを装備していないことに留意されたい。このことは、本発明と共に有利に使用されてもよい、こうしたアプリケーションを含むことを排除することを意味しない。
【0020】
ICDデバイス10は、リード線コネクタアセンブリ13、14、18、及び22がデバイス10のコネクタブロック12内に挿入された状態で、心房リード線及び心室リード線と共に示される。本発明の心室リード線と共に使用されてもよいディフィブリレーションパルス発生器の特定の例は、米国特許第4,953,551号に開示される。他のICD型ユニットを使用することができる。カーディオバージョンパルス及びディフィブリレーションパルスを送出するための装置の例示的な形態を開示する、米国特許第5,163,427号及び第5,188,105号が参照される。本明細書で使用される場合、用語「ICD型」デバイスは、不整脈を制御するために、ペーシング治療とショック治療の両方を適用することができる任意のデバイスを指す。
【0021】
図2は、本発明を有効に実施することができる埋め込み可能なペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータの機能略図である。心室不整脈の代わりに、又は、心室不整脈に加えて心房不整脈を処置するための治療を提供するデバイス、抗頻脈ペーシング治療を提供しないカーディオバータ及びディフィブリレータ、カーディオバージョン又はディフィブリレーションを提供しない抗頻脈ペーサ、並びに、神経刺激又は薬物投与等の異なる形態の抗不整脈治療を送出するデバイスを含む、いろいろなデバイスの実施態様で、本発明を有効に実施することができると考えられるため、この図は、本発明を具体化することができる1つのタイプのデバイスの適例として考えられるべきであり、制限するものとして考えらえるべきではない。
【0022】
デバイスは、図1に示すようなものであってもよい電極を含むリード線システムを備える。もちろん、代替のリード線システムで置き換えられもよい。図1の電極構成が採用される場合、図示する電極への対応関係は以下の通りである。電極311は、電極16に対応し、埋め込み可能なペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータのハウジングの非絶縁部分である。電極320は、電極20に対応し、右心室に配置されるディフィブリレーション電極である。電極318は、電極30に対応し、上大静脈に配置されるディフィブリレーション電極である。電極324及び326は、電極24及び26に対応し、心室における検知及びペーシングに使用される。電極317及び321は、電極17及び21に対応し、心房における検知及びペーシングに使用される。
【0023】
電極311、318、及び320は、高電圧出力回路234に接続される。電極324及び326は、心室上又は心室内に配置され、R波増幅器200に接続し、R波増幅器200は、好ましくは、調整可能な検知しきい値を、測定されたR波振幅に応じて提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極324と326との間で検知された信号が、その時の検知しきい値を越える時にはいつでも、R OUTライン202上に信号が生成される。
【0024】
電極317及び321は、心房上又は心房内に配置され、P波増幅器204に接続し、好ましくは、P波増幅器204もまた、調整可能な検知しきい値を、測定されたP波振幅に応じて提供する自動利得制御式増幅器の形態をとる。電極317と321との間で検知された信号が、その時の検知しきい値を越える時にはいつでも、P OUTライン206上に信号が生成される。R波増幅器200及びP波増幅器204の全体の動作は、参照により本明細書にその全体が援用される、「an Apparatus for Monitoring Electrical Physiologic Signals」について、1992年6月2日に発行された、Keimel他による米国特許第5,117,824号に開示される動作に相当してもよい。
【0025】
スイッチマトリクス208を使用して、信号解析で使用するために、利用可能な電極のうちのどれが広帯域(0.5〜200Hz)増幅器210に連結されるかが選択される。電極の選択は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ(μP)224によって制御され、電極の選択は、所望に応じて変更されてもよい。バンドパス増幅器210に接続するために選択された電極からの信号は、マルチプレクサ(MUX)220に供給され、その後、ダイレクトメモリアクセス(DMA)回路228の制御下でランダムアクセスメモリ(RAM)226に記憶するために、A/D変換器222によってマルチビットデジタル信号に変換される。マイクロプロセッサ224は、デジタル信号解析技法を使用して、ランダムアクセスメモリ226に記憶されたデジタル化された信号を特徴付けし、当該技術分野で知られている多くの信号処理方法(methodology)のうちの任意の方法を使用して、患者の心調律を認識し分類してもよい。
【0026】
回路要素の残りは、心臓ペーシング治療、カーディオバージョン治療及びディフィブリレーション治療を提供するのに専用であり、本発明のために、従来技術で知られている回路要素に相当してもよい。以下のように、ペーシング機能、カーディオバージョン機能、及びディフィブリレーション機能を達成する適例の装置が開示される。ペーサタイミング/制御回路212は、プログラム可能デジタルカウンタを含み、プログラム可能デジタルカウンタは、DDD、VVI、DVI、VDD、AAI、DDI、及び当該技術分野でよく知られている単腔ペーシング及び二腔ペーシングの他のモードに関連する基本時間間隔を制御する。ペーサタイミング/制御回路212は、当該技術分野で知られている任意の抗頻脈性不整脈ペーシング治療を使用する、心房及び心室の両方での抗頻脈性不整脈ペーシングと関連する補充収縮間隔も制御する。
【0027】
ペーサタイミング/制御回路212によって規定される間隔は、心房ペーシング補充収縮間隔及び心室ペーシング補充収縮間隔、並びに、検知されたP波及びR波が、補充ペーシング間隔のタイミングをその間、再開しない不応期を含む。これらの間隔の持続時間は、メモリ226内の記憶されたデータに応答して、マイクロプロセッサ224によって確定され、アドレス/データバス218を介してペーサタイミング/制御回路212に伝達される。ペーサタイミング/制御回路212もまた、マイクロプロセッサ224の制御下で、心臓ペーシングパルスの振幅及びパルス幅を確定する。
【0028】
ペーシングの間に、ペーサタイミング/制御回路212内の補充収縮間隔カウンタは、R波及びP波の検知がライン202及び206上の信号によって示されるとリセットされ、また、電極317、321、324、及び326に接続するペーサ出力回路214(Aペース)及び216(Vペース)によってペーシングパルスのタイムアウトトリガが生成されると、選択されたペーシングモードに従ってリセットされる。補充収縮間隔タイマはまた、ペーシングパルスが生成されるとリセットされ、それによって、抗頻脈性不整脈ペーシングを含む心臓ペーシング機能の基本タイミングを制御する。補充収縮間隔タイマによって規定される間隔の持続時間は、アドレス/データバス218を介してマイクロプロセッサ224によって確定される。検知されたR波及びP波によってリセットされた時の補充収縮間隔タイマに存在するカウント値を使用して、R−R間隔、P−P間隔、P−R間隔、及びR−P間隔の持続時間が測定されてもよく、その測定値は、メモリ226に記憶され、以下でより詳細に説明するように、種々の頻脈性不整脈の発生を診断するために、本発明と共に使用される。
【0029】
マイクロプロセッサ224は、割り込み駆動式デバイスとして動作し、検知されたP波及びR波の発生に対応し、また、心臓ペーシングパルスの生成に対応するペーサタイミング/制御回路212からの割り込みに応答する。これらの割り込みは、アドレス/データバス218を介して提供される。マイクロプロセッサ224によって実行される任意の必要な数学的計算、及び、ペーサタイミング/制御回路212によって制御される値すなわち間隔の任意の更新は、こうした割り込みに続いて起こる。メモリ226の一部分は、一連の測定された間隔を保持することが可能な複数の再循環バッファとして構成されてもよく、測定された間隔は、ペース割り込み又はセンス割り込みの発生に応答して解析されてもよく、患者の心臓が、その時、心房頻脈性不整脈又は心室頻脈性不整脈を示しているか否かが判定される。
【0030】
ICDの不整脈検出方法は、従来技術の頻脈性不整脈検出アルゴリズムを含んでもよい。以下で述べるように、現在利用可能なMedtronic社のペースメーカ/カーディオバータ/ディフィブリレータの全体の心室不整脈検出方法は、本発明の開示される好ましい実施形態による、不整脈検出方法及び分類方法の一部として採用される。しかし、上記本発明の背景の章で説明したように、当該技術分野で知られている種々の不整脈検出方法のうちの任意の方法もまた、ICDの代替の実施形態で有効に採用されるであろう。
【0031】
心房頻脈性不整脈又は心室頻脈性不整脈が検出され、抗頻脈性不整脈療法が望まれる場合、抗頻脈性不整脈ペーシング治療の生成を制御する適切なタイミング間隔が、マイクロプロセッサ224からペーサタイミング/制御回路212にロードされて、ペーサタイミング/制御回路212内の補充収縮間隔タイマの動作が制御され、そして不応期が規定される。不応期の間、R波及びP波の検出は補充収縮間隔タイマの再開に影響しない。別法として、その全てが、参照により本明細書にその全体が援用される、1986年3月25日にBerkovits他に発行された米国特許第4,577,633号、1989年11月14日にPless他に発行された米国特許第4,880,005号、1988年2月23日にVollmann他に発行された米国特許第4,726,380号、及び1986年5月13日にHolley他に発行された米国特許第4,587,970号に記載される、抗頻脈ペーシングパルスのタイミング及び生成を制御する回路要素も使用されてもよい。
【0032】
カーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスの生成が必要とされる場合、マイクロプロセッサ224は、補充収縮間隔タイマを使用して、こうしたカーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスのタイミング及び関連する不応期が制御される。カーディオバージョンパルスを必要とする、心室細動又は心室細動或いは頻脈性不整脈の検出に応答して、マイクロプロセッサ224は、カーディオバージョン/ディフィブリレーション(CV/DEFIB)制御回路230を作動させ、制御回路230は、高電圧充電制御ライン240の制御下で、HV充電回路236を介して、高電圧コンデンサ246、248の充電を始動する。高電圧コンデンサ上の電圧は、VCAPライン244を介して監視され、マルチプレクサ220を通過し、マイクロプロセッサ224によって設定された所定の値に達することに応答して、Cap Full(CF)ライン254に論理信号の生成をもたらし、充電を打ち切る。その後、ディフィブリレーションパルス又はカーディオバージョンパルスの送出のタイミングが、ペーサタイミング/制御回路212によって制御される。細動治療又は頻脈治療の送出に続いて、マイクロプロセッサは、次に、デバイスを心臓ペーシングに戻し、ペーシング或いは心房脱分極又は心室脱分極の検知の発生による次に続く割り込みを待つ。
【0033】
心室カーディオバージョンパルス及び心室ディフィブリレーションパルスの送出並びに同期のための、また、それらに関するタイミング機能を制御するための、適切なシステムの一実施形態は、1993年2月23日に発行され、参照により本明細書にその全体が援用される、Keimelによる本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,188,105号により詳細に開示される。心房ディフィブリレーション能力がデバイス内に含まれる場合、心房カーディオバージョンパルス及び心房ディフィブリレーションパルスの送出及び同期のための、また、それらに関するタイミング機能を制御するための、適切なシステムは、共に、参照により本明細書にその全体が援用される、1992年10月29日に公開されたAdams他によるPCT特許出願第WO92/18198号及び1982年2月23日に発行されたMirowski他による米国特許第4,316,472号に見出すことができる。
【0034】
しかし、いずれの既知のカーディオバージョンパルス制御回路要素又はディフィブリレーションパルス制御回路要素も、本発明と共には使用できないと信じられている。たとえば、全てが、参照により本明細書にその全体が援用される、1983年5月24日にZipesに発行された米国特許第4,384,585号、先に引用したPless他に発行された米国特許第4,949,719号、及び、Eagle他に発行された米国特許第4,375,817号に開示される、カーディオバージョンパルス及びディフィブリレーションパルスのタイミング及び生成を制御する回路要素が採用されてもよい。
【0035】
図示するデバイスでは、カーディオバージョンパルス又はディフィブリレーションパルスの送出は、制御バス238を介してCV/DIFIB制御回路230の制御下で、出力回路234によって達成される。出力回路234は、多相パルスが送出されるか、二相パルスが送出されるか、ハウジング311がカソードとして働くか、アノードとして働くか、どの電極がパルス送出に関係しているかを判定する。二相パルス療法の送出のための出力回路要素の例は、参照によりその全体が援用される、Mehraに発行された先に引用した特許及び米国特許第4,727,877号に見出すことができる。
【0036】
単相パルスの送出を制御するのに使用されてもよい回路要素の例は、同様に、参照により本明細書にその全体が援用される、1992年11月17日に発行された、Keimelによる、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,163,427号に記載される。しかし、共に、参照により本明細書にその全体が援用される、1990年9月4日にMehra他に発行された米国特許第4,953,551号又は1989年1月31日にWinstromに発行された米国特許第4,800,883号に開示される出力制御回路要素もまた、二相パルスの送出のための本発明を具体化するデバイスと共に使用されてもよい。
【0037】
最新の埋め込み可能なカーディオバータ/ディフィブリレータでは、医師は、通常提供される治療メニューから、特定の治療をデバイス内にプログラムする。たとえば、心房頻脈又は心室頻脈の最初の検出によって、抗頻脈ペーシング治療が選択され、頻脈が診断された心腔又は両方の心腔に送出されてもよい。頻脈の再検出によって、より攻撃的な抗頻脈ペーシング治療が計画されてもよい。抗頻脈ペーシング治療の反復した試みが失敗する場合、後続する送出について、高エネルギーカーディオバージョンパルスが選択されてもよい。頻脈を終了させるための治療は、検出される頻脈レートと共に変わってもよく、検出される頻脈レートが増加すると、治療は、攻撃性が増す。たとえば、検出される頻脈レートが、プリセットされたしきい値より小さい場合、カーディオバージョンパルスの送出前に、抗頻脈ペーシングにおいて企てられる試みはより少なくてもよい。従来技術の頻脈検出及び処置治療の説明に関連して先に引用した文献は、ここでも同様に適用可能である。
【0038】
細動が特定される場合、一般的な治療は、通常、5ジュールを超える、大振幅ディフィブリレーションパルスの送出であることになる。低エネルギーレベルは、カーディオバージョンについて採用されてもよい。現在入手可能なICDの場合と同様に、また、先に引用した文献に説明されるように、ディフィブリレーションパルスの振幅は、細動を終了させるための1回又は複数回の初期パルスの失敗に応答して、増分されてもよいと考えられる。抗頻脈性不整脈治療のこうしたプリセットされた治療メニューを例示する従来技術の特許は、Haluska他に発行された米国特許第4,830,006号、Vollmann他に発行された米国特許第4,727,380号、及び先に引用した、Holley他に発行された米国特許第4,587,970号を含む。
【0039】
図3は、本発明によるプログラミングユニット(プログラマ)20の斜視図が示される。内部的に、プログラマ20は、開示中の本発明によれば、パーソナルコンピュータタイプのマザーボード、たとえば、Intel Pentium 3マイクロプロセッサ及びデジタルメモリ等の関連する回路要素を含むコンピュータマザーボードである処理ユニット(図示せず)を含む。プログラマのコンピュータシステムの設計及び動作の詳細は、こうした詳細が当業者によく知られていると考えられるため、本開示では詳細には述べられないであろう。
【0040】
図3を参照すると、プログラマ20は、熱可塑性の材料、又は、別の適度に頑丈であるが比較的軽量な材料でできているのが好ましい外部ハウジング60を備える。図3において全体が62として示される、運搬ハンドルは、ハウジング60の前部に一体に形成される。ハンドル62を用いると、プログラマ20を、ブリーフケースのように運ぶことができる。
【0041】
関節式ディスプレイスクリーン64は、ハウジング60の上部表面に配設される。ディスプレイスクリーン64は、プログラマ20が使用中でない時には、閉じた位置(図示せず)に折り畳まれ、それによって、プログラマ20の輸送及び保管中に、プログラマ20のサイズが減り、ディスプレイ50のディスプレイ表面が保護される。
【0042】
フロッピィディスクドライブは、ハウジング60内に配設され、ディスク挿入スロット(図示せず)を介してアクセスできる。ハードディスクドライブもまた、ハウジング60内に配設され、ハードディスクドライブ・アクティビティインジケータ(たとえば、LED、図示せず)を、ハードディスクの起動の目に見える指示を与えるために設けることができることが考えられる。
【0043】
当業者によって理解されるように、患者の伝導系の状態、心調律、電気的活性化、及び多くの他のパラメータを求める手段を設けることが望ましいことが多い。通常、プログラマ20は外部ECGリード線24を装備する。
【0044】
本発明によれば、プログラマ20は、内部プリンタ(図示せず)を装備し、それによって、プログラマのディスプレイスクリーン64上に表示される、患者のECG又はグラフィックスのハードコピーを生成することができる。General Scanning Co.から入手できるAR−100プリンタ等の、いくつかのタイプのプリンタが知られており、市販されている。
【0045】
図3の斜視図において、ディスプレイエリアが、プログラマ20の前にいるユーザに見えるように、関節式ディスプレイスクリーン64が複数の可能な開いた位置のうちの1つに持ち上げられている状態でプログラマ20が示される。関節式ディスプレイスクリーンは好ましくは、たとえば、陰極線管(CRT)等と比べると、比較的薄いことを特徴とする、LCD又はエレクトロルミネッセンスタイプである。
【0046】
当業者によって理解されるように、ディスプレイスクリーン64はハウジング60内に配設されたコンピュータ回路要素に動作可能に接続し、内部コンピュータの制御下でグラフィックス及び/又はデータの視覚的表示を提供するようになっている。
【0047】
図3を参照して本明細書で述べるプログラマ20は、その特許が、参照により本明細書にその全体が援用される、Thomas J. Winklerに発行された「Portable Computer Apparatus With Articulating Display Panel」と題する米国特許第5,345,362号により詳細に記載される。Medtronic Model9790プログラマは、それを用いて本発明が有利に実施されることができる埋め込み可能デバイス−プログラミングユニットである。
【0048】
先に述べたように、ICD10は、検知及びペーシング等の種々の心調律管理能力を含んでもよい。したがって、ICD10は、所与の時刻においてICD10が置かれるモードによって規定される所与の規則の組の下で動作する。選択されるモードは、所定期間にわたって変わる可能性がある患者の生理的ニーズに依存するであろう。そのため、ICD10は、こうした状況に最もうまく対処するように、モード間で選択的に切り換わってもよい。
【0049】
図4は、ICD10等のデバイスが、AAIモードでいかに動作することになるかを示すはしご図(ladder diagram)であり、AAI/Rモード、ADIモード、及びADI/Rモードの理解にも関連する。AAIで動作する単一のリード線デバイスは、単にAAIモードで動作する、複数のリード線を有するデバイスに比べて制限されることになることが理解されるべきである。そのため、単一のリード線デバイスでは、例示される心室のデータが利用できないことになる。一方、二腔デバイスでは、心室のデータを得ることができるが、AAIで動作する場合、そのデータは選択的に無視される。
【0050】
例示のために、或る事象が提示されるが、種々のモードの以下の説明は、網羅的であること、制限的であること、又は、全てを包含することを意味しない。したがって、種々の要素が、明確にするために選択的に省略され、種々の任意選択の要素が、例示のために提示される。さらに、これらのモードは、種々の方法で実施されてもよく、そのため、提示される特定のパラメータは、制限的であると考えられるべきではない。たとえば、1つのデバイスは、心周期をA−A間隔で規定してもよいが、別のデバイスは、心周期をV−V間隔で規定してもよい。さらに、レート応答性が供給される場合、既知の方法でモードを変更することになることを理解した上で、モードは、一般に、その基本形態で提示される。
【0051】
はしご図は、所定の期間にわたって、心房チャネルA(上側バー)及び心室チャネルV(下側バー)について、或る事象、間隔、及びタイマを示す。ペーシングされるか、又は、検知された心房事象及び心室事象は、垂直線で示され、種々のタイマ又は間隔は、斜め線によって表される。
【0052】
AAIモードでは、デバイスは、心房において検知し、心房においてペーシングし、適切な事象が検知される場合、心房におけるペーシングを抑止する。たとえば、時刻T1にて、心房ペースAPが送出される。同時に、心房不応期ARP及び心房ブランキング期ABPが始動される。これらの期間は、所定の時間長の間、続くだけである。ブランキングの間、事象は検知されず、一方、不応期の間、事象が検知されるが、これらの検知された事象は、或るタイミング間隔を再開するのに使用されない。これによって、遠方場(far field)R波に基づく心房検知及び/又はトリガリングが阻止される。同様に、T1にて、心房補充収縮間隔AEIすなわちA−A補充収縮間隔が開始される。AEIは、単に、プログラム可能であることが多い、タイミング調整された間隔である。間隔の終了時に、抑止されなければ、心房ペース(AP)が送出される。
【0053】
時刻T2にて、内因性心室事象VSが、APによってトリガされた標準的な伝導の結果として起こる。時刻T3にて、AEIは終了し、APが送出され、プロセスを再開する。このサイクルが無限に続いてもよい。
【0054】
時刻T4にて、別のAEIを開始させるAPが送出される。AEIが終了する前に、内因性心房事象ASが、ARPの外側で起こり、検知される。AAIモードは、内因性心房事象が検知されると、心房ペースを抑止する。そのため、AEIが終了しているはずである、時刻T6にて、APは送出されない。次のAEIは、時刻T5にて、ASによって始動される。そのため、プログラムされた低レート間隔LRI(図示するAEIに相当する)より速いレートで起こる内因性心房脱分極が存在する場合、心房ペーシングが抑止される。レート応答性は、既知の方法で、これらのパラメータを変えることになる。
【0055】
前のAEIの終了後、時刻T7にて、APが送出され、間隔が再開する。図示されるように、この心周期又は後続する心周期の間、心室事象は存在しない。デバイスが、AAIで動作し続けるため、心室事象の欠如は影響を及ぼさない。心房ペーシングは、通常、時刻T8及びT9で送出される。
【0056】
図5Aは、DDIモードの動作を示すはしご図である。DDIモードでは、心房及び心室の両方において、検知及びペーシングが存在し、適切な内因性事象が検知される場合、ペーシングが抑止される。図示する例では、心房ペースAPは、時刻T1にて送出される。心室ブランキング期VBP、ARP、ABP、心室後心房不応期PVARP、及び、ブランキング期を含む心室不応期VRP等の、種々のブランキング期及び不応期が始動される。ARP及びPVARPは共に、総心房不応期TARPを規定する。
【0057】
心房−心室間隔AVI(又はAV間隔)もまた、時刻T1にて始動される。AVIの終了時に、内因性事象によって抑止されなければ、心室ペースが送出されることになる。そのため、時刻T2にて、AVIが終了し、心室ペーシングパルスVPが送出される。その時点で、心室−心房(VA)間隔が始動される。VA間隔が終了すると、抑止されなければ、APが送出されることになり、時刻T3にて、APが送出される。このプロセスは繰り返され、VPは、時刻T4にて送出され、APは、時刻T5にて送出される。時刻T3及びT5において送出されるAP間の時間は、低レート間隔LRIに等しい。すなわち、内因性事象(又は、レート応答性)が無い場合、LRIは、デバイスが許容する得られる最低心拍数である。
【0058】
時刻T5にて、APが送出され、AVIが始動する。AVIが終了する前に、内因性心室事象VSが、時刻T6にて検知される。VSは、AVIを終了させ、標準的な持続時間のVA間隔を開始する。計画されたが、抑止されたVPは、そのVPによって開始しているはずであるVA間隔のタイミングと共に示される。そのため、時刻T7にて、VA間隔が終了し、APが送出される。時刻T5とT7との間で規定されるA−A間隔は、VSと抑止されたVPとの間の時間に等しい時間量だけ、LRIより短い。時刻T7におけるAPによって、新しいAVIが開始し、時刻T8にて、次のVPが送出される。こうして、ペーシングされたV−V間隔は、一定のままである。
【0059】
固定レートの場合、AVI及びVA間隔がわかっている。そのため、デバイスは、事前に、又は、所与の間隔についての始動時点の前に反応するように構成される。
図5Bは、心室センスVSが時刻T6にて起こる時に、A−A間隔の一貫性が維持されることを除いて、図5Aのタイミングと同様のタイミングを示す。この実施形態では、時刻T6にて始動されるVA間隔は、計算され、「標準的な」VA間隔(点線で示す)と比較して長い時間間隔に設定される。そのため、この長いVA間隔は、時刻T7にて終了し、そのため、A−A間隔は、LRIに相当する。したがって、A−A間隔の間に一貫性が存在する。そのため、VA間隔が、計算され、心室センスVSのタイミングによって決められることになる。
【0060】
引き続き図5Aに関して、APは、時刻T9にて送出され、AVIが始動する。VPが、時刻T10にて送出され、次のVA間隔が開始する(破線)。しかし、VA間隔の間で、且つ、VRP後に、内因性心室事象VS(たとえば、心室性期外収縮PVC)が、時刻T11にて検知される。VSは、有効に、全VA間隔を再開する。示すように、再開したVA間隔が、終了することを許される場合、次の計画されたAPが、時刻T12にて、送出され、VPが時刻T13にて続く。やはり、ペーシングされたV−V間隔及びVS−VP間隔は、一定のままである。
【0061】
時刻T13におけるVPによって、VA間隔が開始される。VA間隔が終了する前に、心房事象ASが、時刻T15にて検知される。そのため、時刻T15について計画されたAPは抑止される。変更されたAV間隔は、ASにおいて「始動される」。変更されたAV間隔は、時刻T16にて送出されるVPが、一定のV−V間隔を維持する(facilitate)ように、標準的なAV間隔より長い。換言すれば、ASは、実際には、継続しているVA間隔を終了させない。むしろ、その間隔は継続し、時刻T15にて終了し、APが抑止され、標準的なAV間隔が開始する。したがって、ASに反応し、有効にAV間隔を延長しなければならないにもかかわらず、タイミング調整された間隔は、わかっている一定の値のままであり、一定の値は、時刻T15における全VA間隔の終了等の適切な事象で即座に実施することができる。
【0062】
図6は、DDDモードでの動作を示すはしご図である。そのため、検知及びペーシングは、心房と心室の両方で起こり、応答は、抑止又はトリガリングであることができる。時刻T1にて、APが送出される。上述した不応期及びブランキング期が始動する。さらに、AVIが開始される。AVIの終了時(時刻T2)に、VPが送出され、VA間隔が開始される。VA間隔は、時刻T3にて終了し、APが送出される。次のVPは、時刻T4にて送出され、VA間隔が始動する。VA間隔が終了する前に、心房事象ASが、時刻T5にて検知される。これは、VA間隔を打ち切り、APを抑止し、新しいAV間隔が、時刻T5にて開始される。
【0063】
DDDモードでは、種々の間隔は、先に述べたように予め決められる。しかし、トリガリング事象が、ペーシングされたか、又は検知されたかに応じて実施される異なる間隔が存在することができる。そのため、T5にて、AV(検知された)間隔が始動する。AV(検知された)間隔は、時刻T3にて開始されたAV(ペーシングされた)間隔と同じか、又は、異なるようにプログラムされてもよい。いずれにしても、検知される事象がトリガの役目を果たそうが、ペーシングされる事象がトリガの役目を果たそうが、開始されることになる後続する間隔は予め決められる。
【0064】
時刻T6のVPに続いて、VA間隔が始動し、終了すると、APが、T7にて送出される。新しいAVIが開始されるが、終了する前に、VSが、時刻T8にて起こる。VSは、AVIを終了させ、VA間隔を始動する。或るデバイスでは、心房ベースタイミングと呼ばれるVA間隔が、A−Aタイミングの一貫性を維持するように、時刻T8にて選択される。他のデバイスでは、VA間隔は、予め決められるが、ペーシングされた事象に続く第1の所定のVA間隔と、検知された事象に続く第2の所定のVA間隔が存在してもよく、第1と第2の間隔は、同じ値か、又は、異なる値にプログラムされることができる。
【0065】
標準的な動作に続いて、VPが、時刻T9にて送出され、VA間隔が開始される。VA間隔が終了する前に、不応期の外側にあるVS(PVC)が、時刻T10にて起こる。これは、VA間隔を再開し、終了すると、APが、時刻T11にて送出される。
【0066】
ICD10等のデバイスは、AAI、DDI、DDD、又は、任意の数の他の知られているモード等の任意のモードで動作してもよい。さらに、1つのモードで動作しながら、デバイスは、別のモードが、採用されるべきであること、及び、そのモードへモード切り換えを行うべきであることを判定してもよい。
【0067】
本明細書で説明される適例の二腔モードで述べるように、心室ペーシングパルスは、AVIの終了に続いて送出されることになる。AV同期性が維持される点で、これは望ましいが、AVIの実際的な考慮事項のために、十分な時間が許される場合、たとえ最後には内因性伝導が起こることになっても、心室ペーシングパルスが送出されることが多い。さらに、参照により本明細書に援用されるアプリケーションにおいて或る程度詳細に説明されるように、不必要な心室ペーシングは、或る望ましくない結果をもたらす場合があるという認識が増えている。
【0068】
全ての心室ペーシングをなくすために、AAI等のモードが選択されてもよい。述べたように、このモードにおいて、内因性伝導が失敗する場合、心室ペーシングは供給されない。もちろん、これは、追加の心室ペーシングより望ましくなく、且つ、有害である。したがって、臨床医は、慎重さに失し、DDD等のモードに頼る傾向がある。
【0069】
先に参照した関連アプリケーションは、心室ペーシングを減らし、制限し、最適化し、且つ/又は、最小にする、いくつかのプロトコルを含む。本明細書で使用される場合、「管理される心室ペーシング」、「心室ペーシングを管理する」、又は「心室ペーシング管理」等の用語(及び、その文法的な変形)は、個々に、又は、一まとめにこれらのプロトコルを指すことを意味する。これらのプロトコルが本発明に関連するため、全体の概要が提示される。しかし、この説明は、概念の例示に過ぎず、網羅的であることを意味せず、これらの発明の概念をいずれの点でも限定することを意図しない。
【0070】
図7に示す第1の実施形態では、心室ペーシングは、「AAI」又は「ADI」モード(やはり、これらの指示は、プログラムされる働きの近似として使用される)を使用するモード切り換えプロトコルによって管理される。一般に、このプロトコルの下で、内因性伝導は、所与の心周期においてそれ自体が現れる最大の機会が与えられ、また、その機会を促進し、1つの完全な周期が、心室活動が無い状態で推移する場合がある。換言すれば、このプロトコルは、内因性伝導についての可能性を最大にするために、1つの心室拍動が飛ばされることを許容することになる。
【0071】
まず第1に、プロトコルは、この「AAI」モードで動作し、時刻T1にて、APが送出される。理想的な単一のリード線AAIと違って、心室事象が検知され、心室事象が、所与のA−A間隔内のどこかで検知される限り、プロトコルは、この「AAI」モードのままである。2つの標準的な周期が図示され、時刻T2にて、APが送出される。同時に、心房補充収縮間隔AEIが開始され、時刻T3にて終了する。T3にて、次の計画されたAPは、普通に送出される。しかし、T2とT3との間で、VSは起こらない。VSが、T3の前のいずれかの時刻に起こっている場合、デバイスは、この「AAI」モードのままになっているはずである。VSが起こらないため、デバイスモードは、時刻T3にてDDIに切り換わり、(一般的なDDI動作に関して)短縮されたAVI後に、時刻T4にて支持ペース(support pace)を送出する。そのため、1つのA−A周期は、心室活動が無い状態で進行してしまう。しかし、次の周期に関して、DDIへのモード切り換えが、心室脱分極を確実にする。
【0072】
管理される心室ペーシングの一実施形態と一貫性があるように、デバイスモードは、時刻T5にて、DDD「ロング」に切り換わる。実際には、この実施形態の下では、デバイスは、DDIの一周期後に、DDDへの切り換えが起こることになることを「知る」ことになる。したがって、その切り換え又は切り換えのための準備が、時刻T4と時刻T5との間の任意の時点で起こるか、又は、起こり始めることができる。いずれにしても、時刻T5にて始動されたAVIは、標準的なDDDペーシングと比較して長い。したがって、内因性心室脱分極についての機会が増える。内因性活動が検知される場合、デバイスモードは、もとの「AAI」に切り換わる。図示するように、AVIは、内因性センスが無い状態で終了し、そのため、VPは、時刻T6にて送出される。次のVA間隔が、開始され、時刻T7にて終了し、APが送出される。同時に、デバイスは、ここで、標準的なDDDモードで動作する。これは、モード切り換えではなく、むしろ、AVIについての値が、標準的な持続時間に設定される。デバイスは、一定期間の間、DDDで動作し続け、次に、内因性伝導があるかを定期的にチェックすることになる。可能である場合、デバイスは、こうした内因性伝導が見出されると、「AAI」に切り換わることになる。
【0073】
図7では、時刻T8は、上述したDDD「ロング」でのAPの送出を示す(時刻T8の直前の周期は、先に述べた、時刻T5の前の周期に相当する)。延長したAVIが始動し、それが終了する前に、VSが、時刻T9にて起こる。VSは、AVIを終了させ、VA間隔が開始される。VA間隔の終了時(時刻T10)に、APが送出され、デバイスモードは、「AAI」に切り換わる。VSが一旦起こると、デバイスは、次の周期に影響を及ぼすことになるモード切り換えの準備をすることができる。このシーケンスは、内因性伝導を可能にすることの選択、及び、内因性伝導が存在する時に、もとの「AAI」に切り換える能力を立証する。
【0074】
図8は、心室ペーシング管理の別の実施形態を示す。モードスーパバイザMSは、発生している事象を監視し、一組の規則、とりわけ、モード切り換えを課す。モードスーパバイザMSは、ハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェア内に存在するプログラム、プロトコル、又はモジュールであり、モードそれ自体とは全く異なる。所与のモードを支配するものを超える、モードスーパバイザは、データを利用してモード変更に着手し、データに基づいて他のオペレーションを利用することになる。モードは、一連の論理オペレーションによって規定される。モードスーパバイザは、たとえば、傾向、履歴、又はパターン等の付加的な情報を収集し、最新の組のモード特定論理オペレーションに限定されない決定を行う。
【0075】
たとえば、一実施形態では、デバイスは、先に述べたのと同じように、心室活動が無い状態で、完全なA−A周期後に、DDIへモード切り換えすることになる(時刻T1)。しかし、その後、基本プロトコルは、まさに次の周期について、(DDD等への切り換えと対照的に)もとの「AAI」に、常に、モード切り換えすることになる(時刻T2)。そのため、基本モードは、一周期が、心室活動が無い状態で終了することを可能にするが、2つの連続する周期がそうすることを可能にしないことになる。内因性伝導が完全にブロックされた場合、基準モードは、「AAI」と「DDI」との間を交互に切り換わるはずである。これは、心室レートを実質的に半減するはずであり、或る期間にわたって望ましくないはずである。そのため、モードスーパバイザMSは、活動を監視し、一定の条件が満たされると、モードを変更する。
【0076】
たとえば、一実施形態では、「DDI」から、もとの「AAI」へのモード切り換えは、最後の4つのうちの3つのA−A間隔において、心室活動が存在した場合にだけ許される。そのため、時刻T3にて、DDIへのモード切り換えが起こり、モードスーパバイザMSは、前の4つの周期の中で、少なくとも3つに心室活動があったと判定する。ここで、基本モードは、時刻T4にて「AAI」へモード切り換えすることが可能になる。
【0077】
デバイスは、先行するA−A間隔において心室活動が存在しないために、時刻T5にてDDIに再びモード切り換えする。今度は、モードスーパバイザMSは、心室活動を有する、最後の4つのうちの2つ以下の周期が存在したことに留意する。そのため、モードスーパバイザMSによって、デバイスが、DDIから、もとの「AAI」ではなく、DDDにモード切り換えする。その後、モードスーパバイザMSは、内因性伝導があるかを定期的に再チェックし、見つかれば、もとの「AAI」に切り換えてもよい。モードスーパバイザは、種々のパラメータ及び規則の組の下で動作してモード切り換えを誘導してもよい。モードスーパバイザMSに特定の動作を始動するようにさせる種々のパターン又はパラメータが提供される。
【0078】
要約すると、デバイスは、完全なA−A間隔が、心室活動が無い状態で起こるまで、「AAI」で動作する。これは、所与の周期、すなわち、全周期の間に、内因性伝導を可能にするための最大期間を提示する。心室活動が無い状態のA−A間隔後に、デバイスは、モード切り換えし、心室ペーシングパルスを送出する。そのため、心房追従が起こり、心室活動が無い状態の過剰な数の連続するA−A間隔は存在しない。説明されるように、「AAI」から、心室ペーシングが送出される二腔モード(DDI、又は、その他)へのモード切り換えに続く活動に対処する、いくつかの実施形態が提示される。
【0079】
心室ペーシングを管理するプロトコルは、先に説明されたように、デバイスにおいて実施することができる。所与のデバイスの、特定のハードウェア、ソフトウェア、及び機能中のパラメータの実際の制限に依存して、モード切り換えのタイミングが、多少の困難さを提示する場合がある。さらに、心室管理プロトコルが、既存のデバイス内にプログラムされる場合、時として、同じ困難さが存在する場合がある。
【0080】
再び図7を参照すると、デバイスは、時刻T3まで「AAI」で動作する。時刻T3にて、前のAEIが終了し、APが送出され、デバイスは、DDIへモード切り換わる。換言すれば、デバイスは、モード切り換えが必要とされることを判定すると同時に、そのモード切り換えを実施する。その理由は、VSが、AEIの間の任意の時点で起こることがあるからである。デバイスが、VSが起こらなかったと判定し、それに応じて応答することができるのは、実際には、AEIの終了時又は終了後だけである。
【0081】
やはり、時刻T3の同じ時点で、(DDIの)AVIが開始される。トリガリング事象が起こる(たとえば、AP、AEIの終了)時を開始するのはタイマである。そのため、そのタイマは、トリガリング事象が起こる前に開始するように設定され、準備が整った状態にされなければならない。そうでなければ、タイマを準備が整った状態にし、始動する時に遅延がかけられる。モード切り換え自体は、或る程度の有限な時間量がかかり、規則、機能中のパラメータ、並びに、種々の間隔及びタイマについての値が、得られ、次に、開始されなければならない。実際問題として、或るハードウェア/ソフトウェア構成は、特に、埋め込み可能医療デバイスの制限された環境で、同時に、これらの機能の全てを実施することができない場合があり、そのため、さらなる遅延が生じる。持続時間によって、生じる遅延が問題となる可能性がある。
【0082】
モード切り換えの発生が、切り換えを実施する前の周期において、わかっているか、又は、予測されるため、後続するモード切り換え(たとえば、DDIからDDDへ)は、必ずしも問題にならない。そのため、デバイスは、モード切り換えを始動し、行うのに十分な時間がある。換言すれば、デバイスは、将来の或る時点において、又は、将来に検知事象が発生すると、モード切り換えが起こることになり、そのため、必要とされる値が、得られ、準備が整った状態にされることができることを「わかっている」。
【0083】
プロトコルを実施する時に、許容できないか、又は、望ましくない遅延を、普通なら有するはずであるデバイスの場合、本発明の一実施形態は、先に述べた遅延の問題を回避しながら、図7と図8に図示するのと同じ結果を達成するモード切り換えプロトコルを可能する。この実施形態を本明細書において「AAIに偏倚したDDI」と呼ぶ。
【0084】
図9を参照すると、標準的な心室伝導が、時刻T1の前に起こった。そのため、時刻T1にて、デバイスは、AAIモードで動作しながら、APを送出する。APの送出によって、AEIが始動される。AAIモードプロトコル内の規定によって、APは、内因性心房センスによって抑止されなければ、AEIが終了すると送出されることになる。AEIの始動に続いて、デバイスは、時刻T2にて、DDIへモード切り換えする。デバイスは、現在DDIモードにあるが、最新のA−A間隔について、働きは、一般に変化しない。換言すれば、DDIへのモード切り換えが起こるが、AEIを停止させることも、妨げることもない。AEIは継続し、終了すると、計画された事象が、DDIへの切り換えに関係なく起こることになる。
【0085】
内因性伝導が起こり、時刻T3にて、心室事象が検知される。心室事象が検知されるため、デバイスは、検知されると即座に、又は、その直後の時刻T4にて、もとのAAIへモード切り換えする。これらのモード切り換えのいずれもが、時刻T5にて終了するAEIに影響を及ぼさず、APが送出される。デバイスは、T4時点からAAIにあったため、モードは、時刻T5にて、後続するAEIの始動を指示する。
【0086】
このプロセスは、時刻T5〜T9を有する次のA−A周期にわたって繰り返される。再び、時刻T9にて、AAIにてAEIが始動している間に、APが送出される。時刻T10にて、デバイスは、DDIにモード切り換えし、AEIが継続する。図示するように、VSは存在せず、そのため、もとのAAIにモード切り換えをトリガするものは存在せず、したがって、デバイスは、AEIが時刻T11にて終了すると、DDIのままである。AEIの終了時における予想される動作は、時刻T11にて起こるAPの送出である。デバイスは、その時にDDIにあったため、AV間隔が、時刻T11にて始まり、VPの送出によって時刻T12によって終了する。同時に、VA間隔が開始され、時刻T13にて終了する。後続するモード切り換えが起こる場合、モード切り換えは、時刻T12後の任意の時点で起こってもよい。
【0087】
T10とT11との間の期間に戻ると、デバイスは、たとえAEIが続いていても、DDIで動作する。そのため、後続するモード切り換えで取り消されなければ、デバイスは、AEIの終了時にAV間隔を始動することを「予想し」、そうするよう準備する。したがって、デバイスが、この時点でAAIからDDIへモード切り換えられている場合に普通なら起こる、時刻T11における遅延は存在しない。同様に、VSが実際に起こる場合、DDIからAAIへのモード切り換えは、デバイスが、後続するAEIを始動する準備をするための十分な時間がある状態で起こる。
【0088】
上記の実施形態は、先に説明した遅延問題をなくすが、或る特別な状況で、特定の例外が起こる可能性がある。図10は、AAIに偏倚したDDIでのデバイスの動作を示す。シーケンスは、時刻T1におけるAPで始まる。この時点で、デバイスは、AAIにあり、AEIが始動する。心房不応期ARPと心房ブランキング期ABPも始まる。その後、デバイスは、時刻T2にて、DDIへモード切り換えする。時刻T3にて、VSが起こる。VSは、時刻T4にて、もとのAAIへのモード切り換えをトリガする。VSが起こった時にデバイスが、DDIで動作していたため、PVARP(心室後心房不応期)が始動し、非常に短い間続く。これが起こる理由は、AAIへのモード切り換えが、即座でなく、さらに、PVARPの終了が、処理するのに或る程度の短い期間を要するためである。この時間の重なりは、動作の全体のタイミング又は性能に重大な影響を及ぼさないが、PVARPが、実際に始まり、AAIへのモード切り換えが達成される前に、短い期間の間、続く点で、例外を生じる。
【0089】
時刻T4におけるAAIへの切り換え後に、AEIが終了し、次のAPが、時刻T5にて送出される。次のAEIが始動し、デバイスはその後、時刻T6にて、DDIへモード切り換えする。時刻T7にて、遅発性VSが実際に起こる。デバイスがDDIにあるため、PVARPが始まる。時刻T8にて、デバイスは、AAIへモード切り換えする。先に示したように、PVARPをクリアすることができる前に、短い遅延が存在する。その期間の間、内因性心房事象Aが起こるが、ブランキングされ、そのため、デバイスによって認識されない。その後、AEIが終了し、計画されたAPが、時刻T10にて送出される。AAIへの切り換えと内因性心房事象との互いを基準にした正確なタイミング、又はそれらの時間的連続性は重要ではないことが理解されるべきであり、問題は、PVARPが、クリアする前に続く期間、及び、その期間の間に心房事象が起こるか否かである。
【0090】
こうしたシナリオは、めったになく、心房が既に不応性であるため、影響を及ぼさない場合がある。しかし、こうした異質のペーシングは、望ましくなく、回避されるのが好ましい。複数のモード切り換えによって、他のこうした例外の可能性がある。これらを回避するために、1つの解決策は、おそらくは問題になる種々の不応期/ブランキング期を変更するか、又は、なくすことである。もちろん、これは、付加的なプログラミング及び複雑さを必要とし、こうした機能の利点もなくす。AAIに偏倚したDDIの使用は、既存のデバイス又はインフラストラクチャが再プログラムされるか、又は、変更されるが、既存の利用可能なパラメータに依存する必要がある場合に望ましい。こうした例外が起こるか否か、また、もし存在すれば、こうした例外が、問題となる結論をもたらすか否かは、AAIに偏倚したDDIが、所与のデバイスに組み込まれることになるか否か、また、組み込む方法を決定するであろう。
【0091】
上述した実施形態では、心室ペーシングを管理するのに使用されるプロトコルは、制御プロトコルによって制定された規則に従って種々のモード間で切り換える能力によっている。本発明はまた、「完全抑止型DDI」(FIDDI)モード又は「完全抑止型二腔」(FIDC)モードと呼ばれる新しいペーシングモードを可能にする。繰り返すが、この文脈におけるDDIという呼称は、好都合な名称の問題であり、本発明をいずれの点においても限定しない。FIDDI及びDDIは、完全に異なり且つ別個のモダリティであり、混同されるべきではない。やがて明らかになるように、FIDDIモードは、心室ペーシングの管理を促進する、或る特徴を有する。しかし、FIDDIは、新しく、且つ、独立のペーシングモダリティであるため、こうした目的に限定されず、種々の状況において容易に適用されてもよい。
【0092】
FIDDIの一実施形態におけるデバイスの動作は、図11に示される。心房ペーシングパルスAPは、時刻T1にて送出される。心房補充収縮間隔AEI又はA−A間隔は、同時に開始される。AEIは、低いレート間隔LRIを規定し、レート応答性は、利用される場合、既知の方法で、FIDDIパラメータに影響を及ぼすことになる。AEIの終了時に、心房パルスが送出されることになる。心房事象が、AEIが終了する前に検知される場合、APが抑止され、次のAEIが始動する。望ましい場合、心房チャネルと心室チャネルの両方で、種々のブランキング期及び不応期を採用することができるが、詳述しない。
【0093】
時刻T1にて始動されたAEIの間に、時刻T2にて、内因性心室事象VSが検知される。心室センスによって、フラグF1がメモリにセットされる。AEIは、時刻T3にて終了するまで続く。デバイスは、適切なメモリロケーションを読み取り、フラグF1の存在を特定する。フラグF1が存在するため、次のAPは、時刻T3にて送出され、別のAEIが始動する。VSが、所与のAEIの間のいずれかの時点で起こる場合、フラグは、次の心周期の間、セットされることになる。
【0094】
本明細書で使用される場合、フラグは、選択的にセットすることができるインジケータに過ぎず、フラグが存在するか、又は、存在しないかは、デバイス又はデバイスの構成要素によって後で特定されてもよい。たとえば、フラグは、任意の形態のメモリに入れられる、任意のアナログデータ若しくはデジタルデータ又はインジケータ、作動される物理的構成要素、閉じるか、又は、開くスイッチ、回路要素内で生成される信号、電圧レベル又は電流レベル、或いは、任意の他の識別可能なインジケータであってもよい。フラグは、基準(たとえば、心室活動)に応答してセットされるものとして述べられるが、逆も同様に適用できる。すなわち、フラグは、プリセットされ、心室活動が存在する場合、取り除かれる。そのため、フラグが存在することではなく、フラグが存在しないことが、心室活動を示す。
【0095】
その後、時刻T4にて、VSが起こり、フラグF2をセットする。AEIの終了時に、次のAPが、時刻T5にて送出される。フラグF2がセットされたため、APが送出され、次のAEIが開始される。図示するように、デバイスは、AEIの終了時に、フラグがあるかをチェックする。別法として、フラグが、T4にて、又は、その後に初めてセットされると、デバイスは、AEIの終了時にとられることになる適切な動作方針を決定することができる。換言すれば、デバイスは、AEIの終了まで待ち、フラグがあるかをチェックするか、又は、早い時期にセットされたフラグ(又は、心室活動自体)に応答することができる。もちろん、VSは、AEIの終了に接近して起こることができ、やはり同じ影響を及ぼすことになる。
【0096】
フラグF2が存在したため、APが、T5にて送出され、次のAEIが開始される。AEIが終了する前に、時刻T7にて、心房センスASが存在する。そのため、時刻T8にて送出されたはずであるAPは、抑止される。さらに、次のAEIが、時刻T7におけるASから始動する。フラグF3が存在したため、AEIが始動される。それは、フラグF3がVSによって時刻T6にてセットされたためである。
【0097】
標準的な周期の進行を仮定すると、フラグが立ったAPが、時刻T9にて送出され、次のAEIが開始される。この周期において、VSが起こっていない状態で、AEIは終了する。したがって、フラグはセットされなかった。時刻T10にて、APが送出される。フラグが存在しない状態では、次のAEIは開始されない。そうではなくて、AV間隔が始動する。AV間隔は、支持パルスを送出するために、比較的短い間隔、たとえば、80ミリ秒に設定されてもよい。もちろん、選択される間隔は、所望に応じてプログラムされてもよい。どんな時間間隔がプログラムされようが、フラグがセットされていない状態で、APにて始動されることになる。AV間隔が終了した後、VPが、時刻T11にて送出される。心室事象、この場合、VPが存在したため、フラグF4がセットされる。VA間隔は、時刻T11にて開始される。時刻T12にて、VA間隔の終了時に、APが送出され、フラグF4がセットされたため、後続するAEIが始動する。
【0098】
図12Aは、FIDDIモードにおけるデバイスの動作を同様に示すはしご図である。時刻T1にて、APが送出され、AEIが始動する。AEIの間、心室センスが存在せず、したがって、フラグはセットされない。時刻T2にて、次のAPが送出され、事前プログラムされたAV間隔が始動する。AV間隔の終了時に、VPが、時刻T3にて送出され、VA間隔が始動する。VPは、フラグF1をセットする。その後、時刻T4にて、次のAPが、送出され、フラグF1がセットされたため、AEIが開始される。内因性心室事象が無い場合、デバイスは、心室活動の無い心周期と、ペーシングされた心室事象を有する心周期との間を行き来する。換言すれば、周期一つおきに心室活動が存在する。周期C1、C3、及びC5は、心室活動を持っておらず、周期C2、C4、及びC6は、心室支持ペーシングを含む。その基本モードでは、これは、患者が、たとえば、完全伝導ブロックを有する時に、FIDDIが働くことになる方法である。長い期間にわたって患者をこのペーシングパターンに留めることは、心室レートを実質的に半減するため、望ましくないはずである。しかし、その基本形態におけるFIDDIは、以下でより詳細に説明されるように、促進心房しきい値ペーシング試験に有益である。
【0099】
引き続き図12Aを参照すると、APは、フラグがセットされていない状態で、時刻T5にて送出される。そのため、AV間隔が始動し、その終了時点で、VPが、時刻T6にて送出される。そのため、フラグF2がセットされ、VA間隔が開始される。VA間隔が終了する前に、内因性心室事象が、時刻T7にて検知される。このVSは、たとえば、心室性期外収縮(PVC)であることができる。VSは、セットされたフラグに影響を及ぼさないことになる。すなわち、フラグF2は、セットされており、変更される必要がない。しかし、VSによって、VA間隔はリセットされる。このVA間隔は、時刻T8にて終了し、次のAPが送出され、フラグF2がセットされたため、次のAEIが始動する。そのため、FIDDIでは、心室ペース後に検知された後続する各心室事象は、VA間隔をリセットすることになる。
【0100】
フラグが立ったAPは、時刻T8にて送出され、AEIが始動する。その後、時刻T9にて、内因性心室活動が検知され、フラグが、次の周期についてセットされる。AEIが終了する前に、別の心室事象が、時刻T10にて検知される。2回目の(又は、後続する)心室事象が所与のA−A間隔において起こることによって、AEIは、終了し、VA間隔が、時刻T10にて開始される。すなわち、AEIは、有効に延長される。VA間隔の終了時に、APが、時刻T11にて送出される。VA間隔の間に、さらなる心室事象が存在した場合、VA間隔は、各事象によってリセットされるはずである。
【0101】
次の周期について、APが、時刻T11にて送出され、AEEIが開始される。VSが、時刻T12にて起こり、AEIの終了前に、2回目のVSが、時刻T13にて起こる。前の周期とちょうど同じように、後続するこの心室事象は、VA間隔をトリガし、有効にAEIを延長する。むしろ、AEIは、もはや適用できず、VA間隔が、使用中のタイマである。実際問題として、A−A間隔は、AEIが生成したはずである期間を超えて延長する。VA間隔が終了する前に、ASが、時刻T14にて起こる。フラグがセットされているため、この内因性心房事象は、次のAEIの開始を始動する。
【0102】
図12Bは、フラグがセットされていない周期において、内因性心房センスが起こる例を示す。時刻T1にて、APが送出され、AEIが始動する。心室事象は検知されず、時刻T2にて、内因性心房事象が検知される。これは、時刻T3にて起こったはずである、後続するAPの送出を抑止することになる。APが、たとえ抑止されても、AEIは、継続し、その終了によって、時刻T3にて、AV間隔が開始される。これは、A−A間隔の間の一貫性を維持することになる。別法として、こうした一貫性が望まれない場合、AV間隔が、時刻T2にて始動されることができる。
【0103】
一般に、FIDDIは、所与の心周期においてフラグをセットし、フラグは、後続の連続する心周期について有効である。したがって、連続するわずか一心周期が、心室活動が無い状態で起こることになる。たとえば、完全伝導ブロックが存在する場合、FIDDIは、1つおきの心周期をペーシングすることになる。FIDDIの種々の他の実施形態が、本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。たとえば、パラメータは、所与のフラグが、付加的な、後続する周期について有効であるように調整されてもよい。フラグが、たとえば、2つの心周期について有効である場合、2つの連続する心室拍動の抜けが許容されるはずである。心室ペーシングに完全に依存することによって、デバイスは、2周期おきにペーシングするはずである。したがって、フラグが有効である心周期の数を調整することによって、心房追従を維持しながら、許容される連続する心室拍動の抜けの数が、それに応じて調整される。
【0104】
説明したように、その基本動作モードにおいて、一実施形態では、FIDDIは、1つおきの心周期(たとえば、A−A間隔)のみが、心室活動(たとえば、完全伝導ブロック)を含む状況を許容することになる。程度の低いブロックに関して、又は、他の状況下では、他のシーケンスがもたらされることになるが、少なくとも1つおきの周期が、心室事象を含むことになる。最も極端な場合、これは、心室レートを半減する。(標準的な心房レートに関して)半減した心室レートは、生命を維持することになるが、生活の質を低くするはずである。すなわち、所定期間にわたるこうした心室レートは、患者の健康及び幸福にとってマイナスの結果をもたらすはずである。
【0105】
FIDDIは、モード切り換えすることなく、上述した規則及びパラメータに従って動作することになる完全なペーシングモダリティである。したがって、デバイスにおいて実施される場合、FIDDIは、多くの状況において心室ペーシングの管理を達成することになる。たとえば、内因性伝導が大部分の心周期において起こる患者において、FIDDIは、こうした伝導を十分に促進し、一周期についての心室拍動の抜けを許容し、次の周期において支持ペーシングを供給し、次に、内因性伝導を促進し続けることになる。さらに、心房過剰駆動ペーシングが利用される状況では、FIDDIのレート半減効果が望ましい場合がある。
【0106】
他の状況では、FIDDIのみが、望ましくない長期のペーシングパターン(たとえば、標準的な心房レートに関して半減する心室レート)をもたらす場合がある。そのため、本発明は、心室ペーシング管理のためにFIDDIを使用するための種々のプロトコルを含む。
【0107】
図13を参照すると、FIDDIは、心室ペーシングを管理するために、モード切り換えと共に使用される。時刻T1の前に、デバイスは、FIDDIモードで動作していた。時刻T1にて、APが送出され、フラグがセットされたために、AEIが開始される。VSが、時刻T2にて起こり、フラグをセットする。そのため、時刻T3にて、次のAPが送出され、次のAEIが開始される。心室センスが起こらず、時刻T4にて、AEIが終了し、APが送出され、AV間隔が開始される。このAV間隔の終了時に、心室支持ペースが、時刻T5にて送出され、VA間隔が開始される。この時点を通して、デバイスは、FIDDIモードで動作しており、そのため、遅延問題がなくなる。
【0108】
AV間隔の間に、デバイスは、FIDDIからDDDへのモード切り換えを準備する。AV間隔の終了時に、次のVPが、時刻T5にて送出され、デバイスは、実際に、DDDへモード切り換えする。先の実施形態と同様に、DDDの第1の周期は、内因性伝導を可能にする長いAV間隔を有する「DDDロング」と呼ばれる。標準的なDDDモードへ、モード切り換えを行うことができるため、これは任意選択である。図示する例では、長いAV間隔が始まり、心室ペースの送出によって、時刻T7にて終了する。心室センスが存在した場合、デバイスは、次の周期及び後続する周期についてFIDDIに戻ることができる。心室活動が検知されない場合、デバイスは、時刻T8にて、「標準的な」DDDで動作する。すなわち、AV間隔は、標準的な持続時間である。
【0109】
デバイスは、伝導チェックが起こるまで、DDDモードを継続することになる。たとえば、時刻T9にて、デバイスは、FIDDIからDDDへモード切り換えし、或る期間、DDDモードで動作する。或る所定の間隔後に、デバイスは、時刻T10にて伝導チェックを行い、デバイスは、FIDDIへモード切り換えする。DDDの最後の周期が、(おそらく、ペーシングされた)心室事象を含んだため、T10にてフラグが存在し、APが送出される。フラグは、実際にセットされてもよく、又は、デフォルトは、FIDDIへのモード切り換え後の第1の周期についてフラグが存在すると仮定することであることができる。いずれの場合も、AEIが、T10にて開始され、デバイスは、内因性心室事象が、そのAEIの間の任意の時点で起こるか否かを監視する。VSが存在する場合、デバイスは、FIDDIのままであり、述べたように継続することになる。VSが存在しない場合、デバイスは、説明したように、次の周期についてFIDDIのままであり、心室支持ペースを送出し、次に、DDDへモード切り換えする。
【0110】
そのため、本実施形態は、FIDDIが、DDDへのモード切り換えと共に採用されて、心室ペーシングを管理するプロトコルを提供する。要約すると、デバイスは、支持ペースが送出されるFIDDIの周期に後続する少なくとも一周期について、DDDへ切り換わることになる。デバイスは、次に、内因性伝導があるかを定期的にチェックし、見つかればFIDDIへ切り換わるか、伝導チェックが実施されるべきでないと判定される場合にDDDのままであるか、又は、内因性伝導がペーシングされたレートより高いレートで起こる場合にFIDDIへ切り換わることになる。
【0111】
別の実施形態では、心室ペーシングを最小にするか、又は、減らすために、モードスーパバイザと共に、FIDDIが使用される。一般に、この実施形態では、デバイスは、FIDDIで動作し、モードスーパバイザは、その機能の1つとして、心室ペーシングのパターン及び内因性心室伝導のパターンを監視する。そのため、FIDDIにおいて、抜けた心室拍動は許容され、次の周期はペーシングされ、後続する周期によって、全A−A間隔が、心室活動について検知されることが可能になる。すなわち、FIDDIが心室ペースを送出する周期後にDDDへモード切り換えするのではなく、この実施形態は、心室ペーシングが送出される周期後もFIDDIのままである。モードスーパバイザは、心室活動を監視し、或る他のパラメータが満たされる場合、モード切り換えを生じることになる。たとえば、モードスーパバイザは、最後の4つのうちの3つの心周期に心室活動が存在した場合、デバイスをFIDDIに保つことになる。逆に、最後の4つのうちの2つ以下の心周期にしか心室活動が存在しなかった場合、モードスーパバイザは、たとえば、DDDへのモード切り換えをトリガすることになる。種々の他のパターン又はパラメータを使用して、モード切り換えが起こる時を規定することができる。
【0112】
そのため、モードスーパバイザは、任意の数のパラメータ及び変数を監視し、必要とされる時に、モード切り換えをトリガすることができる。こうした変数及びパラメータは、所定期間にわたって、且つ/又は、検知された状況に基づいて調整されることができる。これによって、デバイスが、FIDDIのままとなり、心室拍動の抜けが存在する時はいつでも即座にモード切り換えするのではなく、いくつかの心室拍動の抜けを許容することが可能になる。こうした断続的に抜けた心室拍動は、標準的であることが多く、一般に無害である。これらの事象を許容することによって、本実施形態は、さらに、心室ペーシングを減らす。モードスーパバイザは、問題となる状況を示すパターンを監視し、適切であれば、モード切り換えをトリガする。多くのこうした問題となる状況は、過渡的であるか又は一時的であり、モードスーパバイザは、伝導チェックを始動し、適切であれば、デバイスをFIDDIへ戻すことができる。さらに、或る状況は、所定期間にわたって悪化する。そのため、モードスーパバイザは、その基準を所定期間にわたって調整することができる。たとえば、モードスーパバイザは、モード切り換えする前の、所与の数の周期の中の、たとえば、抜けた心室拍動の数に、初めは寛容であってもよい。所定期間にわたって、モードスーパバイザが、悪化する状況を示すパターンを認識する場合、パラメータは、抜けた心室拍動の数に寛容でないように調整されることができ、したがって、それに応じて、モードが切り換わる。
【0113】
この実施形態の動作は、図14のはしご図によって図示される。最初に、デバイスは、FIDDIモードで、且つ、心周期C1〜C3において動作し、標準的な内因性心室脱分極が存在する。周期C4にて、心室センスが存在せず(したがって、心室拍動が抜ける)、したがって、周期C5にて、FIDDIが心室支持ペースを送出する。デバイスが、FIDDIで動作し続けることが留意されるべきである。周期C6〜C9において、適切な心室活動が検知される。
【0114】
心室拍動の抜けは、周期C10の間、及び、周期C11の間に起こり、FIDDIは、心室支持ペースを送出する。次の周期C12の間、心室拍動の別の抜けが存在する。FIDDIは、周期C12のA−A間隔を監視し、終了すると、周期C13についてAV間隔を始め、次に、支持ペースを送出する。そのため、デバイスは、この周期まで、FIDDIで動作し続ける。しかし、モードスーパバイザは、DDDへのモード切り換えが適切であり、同じことが周期C14について行われると判定する。たとえば、採用される基準は、前の4つのうちの3つの心周期が心室活動を含む限り、FIDDIの中にあるままであることができる。示す例では、2つ以下の周期しか心室活動を含まなかった場合、モード切り換えが実施される。
【0115】
モードスーパバイザが、DDDへのモード切り換えをトリガすることに続いて、種々のオプションが存在する。たとえば、デバイスがDDDのままであってもよく、又は、定期的な伝導チェックを行うことができ、もしうまくいけば、モードスーパバイザは、デバイスが、FIDDIへモード切り換えするようにさせることになる。
【0116】
本明細書で述べるように、FIDDIは、完全で、且つ、独立のペーシングモードである。FIDDIは、その基本形態でペーシング療法として使用されてもよく、モード切り換えプロトコル又はモードスーパバイザと共に使用されて心室ペーシングを管理してもよく、種々の治療についての他のパラメータと共に使用されてもよく、心室レート半減のために使用されてもよく、又は、しきい値試験を行うのに使用されてもよい。
【0117】
1999年9月21日にCasavantに発行され、Medtronic, Inc.に譲渡された米国特許第5,954,755号は、促進心房ペーシングしきい値試験(FAPTT)を開示しており、参照によりその全体が本明細書に援用される。FIDDIは、FAPTTを実施するのに使用することができる。非常に一般化され、且つ、単純化された概要として、FAPTTは、少なくとも2つの方法でしきい値試験を可能にする。第1に、損なわれていないAV伝導が存在する場合、デバイスは、心室センスが無いことによって示される捕捉の喪失が存在するまで、ADIモードでペーシングする。それが起こると、デバイスは、DDIへモード切り換えし、支持ペースを送出する。デバイスは、次に、もとのADIへモード切り換えし、捕捉の喪失をそのレベルで検証するか、又は、心房ペーシングしきい値を再調整するかのいずれかによって、しきい値試験を継続する。
【0118】
完全ブロックが存在し、且つ、患者が、心室ペーシングに関してペースメーカ依存性がある場合、FAPTTを使用して、得られるEKGの混乱をなくす。すなわち、ペーシングしきい値試験について、心房レートが比較的高く(たとえば、90〜200bpm)駆動される。この高いレートに心室レートを追従させることは望ましくないはずである。実際に、心室レートが追従する場合、得られる標準的なEKGは、非常に込み入っており、解釈するのが難しい。そのため、FAPTTは、単一の拍動ごとにADIとDDIとの間で、又は、その逆にモード切り換えする。ADIの各周期は、心室活動を持っていない。したがって、得られるEKGは、解釈するのが容易である。心室レートは、心房レートと比較して、実質的に半減するが、心房レートは、試験のために高く設定されるため、心室レートは、結局、標準的になる。しきい値試験は、EKG又は他の手段を介して心房における捕捉の喪失があるかを監視することによって行われる。
【0119】
いずれの実施態様においても、FAPTTは、非常に制限された期間について、且つ、一般に、医療介護人の直接統括の下で実施されるしきい値試験に過ぎない。ペーシングモードとしてのFIDDIを使用して、FAPTTプロトコルによるしきい値試験を行うことができる。すなわち、FIDDIは、内因性AV伝導を十分に促進し、前の周期が心室活動を持っていない場合に心室ペースを送出するだけであることになる。そのため、心房しきい値を調整しながら、FIDDIを使用することによって、患者が、普通なら良好な伝導を有し、試験が、モード切り換えを必要としない時に、捕捉の喪失を、心室活動の喪失によって特定することができる。逆に、完全AVブロックが存在する場合、心房レートを高いレートに設定しながら、FIDDIを使用することができる。一つおきの拍動は、モード切り換えを必要としない状態で、心室活動を持っていないことになる。そのため、EKGの混乱及びこうした頻繁なモード切り換えの固有の問題が無い状態で、しきい値試験を容易に実施することができる。
【0120】
図15は、FIDDIモダリティを示すフローチャートである。或る時点にて、デバイスは、FIDDIで動作し始める(S500)。一般に、これは、デバイスが、別のモードにある間に、ペーシングされたか、又は、検知された心室事象によって起こることになる。他のモードの最後の周期の間に、デバイスは、FIDDIへモード切り換えし、心室事象は、まさしく次の周期についてフラグをセットする。別法として、FIDDIは、心房事象によって始動することができ、その周期についてフラグが仮定されるか、又は、第1の周期が、デフォルトによってペーシングされてもよい。いずれの場合も、FIDDIの動作の最初の全周期について、フラグがセットされる。
【0121】
FIDDIの始動(S500)後に、FIDDIの動作の最初の全周期について、フラグが存在し、もし存在すれば、心房ペーシングパルス又は心房検知事象によって、AEIが始動する(S505)。AEIが進行する時に、デバイスは、心室事象があるかを監視する(S510)。心室センスが存在する場合、デバイスは、心室センスが、最新のA−A間隔の最初の心室センスであるか否かを判定する(S515)。最初の心室センスである場合、デバイスは、フラグをセットし(S520)、AEIが終了するまで、監視し続ける(510)。検知された心室事象が、最新のA−A間隔の2回目の、又は、後続する心室センスである場合、VA間隔が開始される(S525)か、又は、再開される(たとえば、図12Aを参照されたい)。タイミングは、ここで、VA間隔によって駆動されるが、これは、AEIを有効に延長するか、又は、延ばすことになる。
【0122】
最新のA−A間隔は、AEIがなくなるか、VA間隔がなくなるか、又は、心房センスが起こるかのいずれかによって、終了することになる。最新のタイマ(AEI又はVA)が終了しなかった場合(S530)で、且つ、心房センスが存在しなかった場合(S535)、プロセスは、心室活動があるかを監視し続ける(S510)。
【0123】
最新のタイマが終了した場合(S530)、心房ペースが送出される(S540)。この例示のために、タイマの終了(S530)は、タイマが、心房事象を検知することなく終了したことを意味する。実際に、心房事象の検知が存在した場合(S535)、プロセスは、タイマが、実際に、継続するか、又は、終了するかに関わらず、以下で説明する異なった方法で進む。
【0124】
APが送出されると(S540)、デバイスは、セットされたフラグが存在したか否かを判定する。セットされたフラグが存在した場合、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。フラグがセットされなかった場合(S545)、プログラムされたAV(PAV)間隔が開始される(S550)。一実施形態では、PAVは、支持ペースを送出するために、比較的短い(たとえば、80ミリ秒)が、任意の所望の間隔にプログラムされてもよい。PAVが終了すると、心室ペース(VP)が送出される(S555)。内因性心室事象が感知された場合、モダリティは、この心室ペースを抑止することになる。いずれの場合も、心室活動の結果として、フラグがセットされ(S560)、VA間隔が開始される(S565)。この期間の間、デバイスは、内因性活動があるかを監視し(S570)、内因性活動が、心房性であるか、又は、心室性であるかを判定する(S575)。心房事象である場合、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。VA間隔の間に心室センスが存在する場合、VA間隔が再開される(S565)。VA間隔が、中断無しで終了する場合、APが送出され(S580)、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。
【0125】
S530に戻ると、最新のタイマ(AEI又はVA)が、心房センス(S535)のために、終了するか、又は、中断される場合、計画されたAPは抑止され(S590)、デバイスは、フラグがセットされているか否か(S600)を判定する。フラグが存在する場合(S600)、プロセスは、S505に戻り、次のAEIが始動する。セットされたフラグが存在しなかった場合(S600)、プログラムされたAV間隔(PAV)が始動する(S610)。この実施形態では、PAVの始動は遅延する。実際には、前のAEI(内因性心房活動によって抑止される)が、続くことが許され、その終了時に、PAVが始動する。代替の実施形態では、PAVは、検知された心房活動によって始動する。PAVが終了すると、(抑止されなければ)VPが送出され(S615)、フラグが、次の周期についてセットされる(S620)。心室活動は、VA間隔を始動させ(S625)、VA間隔の間に、デバイスは、さらなる心室事象があるかを監視する(S630)。プロセスは、S570に進み、先に述べたように継続する。
【0126】
ステップS545及びS600にて、フラグが、以前にセットされたか否かについて判定が行われる。両方の場合において、フラグが存在する場合、プロセスは、S505に戻り、AEIが始動する。これらのステップの両方において有効であったフラグは、次の周期内まで持続しない。そのため、フラグは、メモリからクリアされる。図示していないが、これは、S545及びS600の後に起こってもよく、又は、S505とともに、又は、その直後に起こってもよい。別法として、フラグをメモリからクリアするのではなく、各フラグは、所与の間隔に関連付けられることができ、そのため、その間隔について有効であるに過ぎないことになる。
【0127】
本明細書を通して、NBGペースメーカコードによる指示を含む種々の用語が、ペーシングモダリティを示すのに使用されてきた。こうした専門用語の使用は、例示のためのものに過ぎず、限定的であると考えられるべきではない。本文脈で使用される、これらのコードは、述べられるモードの、特徴、規則、及び機能を単に近似することができる。たとえば、ペーシングを減らすか、又は、最小にするための、本明細書で述べる一実施形態では、オペレーションは、或る状況下で、AAIモードで動作し、次に、DDIモードへモード切り換えするものとして述べられる。たとえば、AAI/R、ADI、又はADI/Rはまた、AAIではないデバイスの関連する動作を述べ、したがって、交換可能であることが理解されるべきである。本明細書で使用される場合、「心房ベースのペーシング」モード又はモダリティは、これらのモード(AAI、AAI/R、ADI、ADI/R)及びその変形のうちの任意のものを述べるのに使用される。
【0128】
広範囲には説明されないが、レート応答性は、FIDDIを含む、説明されるモダリティのうちの任意のモダリティに適用可能である。そのため、説明されるか、又は、近似される任意のモダリティは、本発明の範囲から逸脱することなく、レート応答性の変形形態と交換されてもよい。
【0129】
説明されるモードは、ハ−ドウェア、ファームウェア、ソフトウェア、コード、命令、或いは、適切な医療デバイスによってアクセス可能な、メモリ又は任意のコンピュータ読み取り可能媒体に記憶された任意の適切なフォーマットにおいて具体化されてもよい。モダリティは、設計若しくは製造によってデバイス内に組み込まれてもよく、又は、既存のデバイスに付加されてもよい。
【0130】
本発明は、好ましい実施形態を参照して述べられたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部において、変更を行ってもよいことを、当業者は認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明によるICDシステムの図である。
【図2】本発明の特徴を実行するようになっているICDの機能ブロック図である。
【図3】図1の外部プログラミングユニットの斜視図である。
【図4】AAI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図5A】DDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図5B】DDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図6】DDD動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図7】本発明の一実施形態による、心室ペーシングを管理している間の、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図8】モードスーパバイザによる、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図9】本発明の別の実施形態による、心室ペーシングを管理している間の、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図10】埋め込み可能医療デバイスの動作をさらに示すはしご図である。
【図11】本発明の一実施形態による、完全抑止型DDI(FIDDI)動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図12A】本発明の一実施形態による、完全抑止型DDI(FIDDI)動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図12B】本発明の一実施形態による、完全抑止型DDI(FIDDI)動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図13】心室ペーシングを管理している間の、FIDDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図14】心室ペーシングを管理している間の、FIDDI動作モードにおける、埋め込み可能医療デバイスの動作を示すはしご図である。
【図15】FIDDIモードを実施するプロセスを示すフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法であって、
心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び
最新の心周期の開始時に前記フラグが存在する場合、前記最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを阻止すること、
を含む心臓ペーシングを選択的に供給する方法。
【請求項2】
前記フラグは、前記所与の周期の直後の心周期についてだけ有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フラグは、前記所与の心周期に後続する心周期についてだけ有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所与の心周期は、A−A間隔によって規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記心室活動は、前記フラグをセットするように、前記A−A間隔中にいつ起こってもよい、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最新の心周期の開始時に前記フラグが存在する場合、前記最新の心周期の開始時に心房補充収縮間隔を始動することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記心房補充収縮間隔の前記始動時に心房ペーシングパルスを送出することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
内因性心房脱分極は、前記心房補充収縮間隔を始動する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
計画された心房ペーシングパルスは抑止される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記最新の心周期の開始時に前記フラグが無い場合、AV間隔を始動すること、
前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出すること、
後続する心周期について前記フラグをセットすること、及び
前記送出される心室ペースによってVA間隔を始動すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
心室活動が前記VA間隔の間に検知される場合、前記VA間隔を再開することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記心室ペーシングパルスの送出に後続する少なくとも1つの心周期の間、二腔モードへモード切り換えすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
モードスーパバイザによって、複数の心周期にわたって心室ペーシングを監視すること、及び
前記モードスーパバイザが心室ペーシングの所定のパターンを特定する場合、前記モードスーパバイザの指示下で二腔モードへモード切り換えすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前のY個の心周期のうちのX個が心室ペーシングパルスを含む場合、前記所定のパターンが存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
モードスーパバイザによって複数の心周期を監視して心室活動を持っていない心周期を特定すること、及び
前記モードスーパバイザが、心室活動を持っていない心周期の所定のパターンを特定する場合、前記モードスーパバイザの指示下で二腔モードへモード切り換えすること、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記モードスーパバイザは、前記前のY個の心周期のうちのX個以上が心室活動を含まなければ、モード切り換えを指示する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
X=3で、且つ、Y=4である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
埋め込み可能医療デバイスであって、
心臓脱分極を検知する手段と、
ペーシングする手段と、
選択されるモードに従って前記ペーシングする手段を制御する手段と、
を備え、1つの選択可能なモードは、完全抑止型DDI(FIDDI)モードである、埋め込み可能医療デバイス。
【請求項19】
モード統括手段をさらに備える、請求項18に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項20】
促進心房ペーシングしきい値試験を行うために、前記FIDDIモードを実施する手段をさらに備える、請求項18に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項21】
内因性伝導が不十分である時に、前記FIDDIモードから別のモードへモード切り換えする手段をさらに備える、請求項18に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項22】
FIDDIが心室ペーシングパルスを送出する場合、内因性伝導は不十分である、請求項21に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項23】
複数の心周期にわたって心室活動を監視して、心室活動を欠いている、監視される心周期の所定のパターンに基づいて、内因性伝導が不十分である時を判定するモード統括手段をさらに備える、請求項21に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項24】
埋め込み可能医療デバイスであって、
心臓脱分極を検知する手段と、
選択されるモードに従ってペーシングする手段と、
所与の心周期における心室活動の検知によって、心房ベースのペーシングモードへモード切り換えする手段と、
前記所与の心周期の終了時に、前記心房ベースのペーシングモードから二腔モードへモード切り換えする手段と、
を備え、該二腔モードは、該二腔モードで動作している間の第1の心周期について実施される第1の組のパラメータであって、それによって、実施されるパラメータは、前記第1の心周期の間、心室ペーシングパルスの前記送出を阻止する、第1の組のパラメータと、前記二腔モードで動作している間の引き続く第2の心周期において実施される第2の組のパラメータであって、それによって、心室ペーシングは、抑止されなければ送出される、第2の組のパラメータとを含む、埋め込み可能医療デバイス。
【請求項25】
前記第1の組のパラメータは、AV間隔をA−A間隔に等しい持続時間に設定することを含む、請求項24に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項26】
埋め込み可能医療デバイスであって、
コントローラと、
前記コントローラに動作可能に接続し、心室ペーシングパルスを送出するとともに心室脱分極を検知するように構成される心室リード線と、
前記コントローラに動作可能に接続し、心房ペーシングパルスを送出するとともに心房脱分極を検知するように構成される心房リード線と、
前記コントローラによって選択可能なペーシングモダリティを規定する複数のアルゴリズムを含むメモリと、
を備え、前記ペーシングモダリティのうちの1つは、完全抑止型DDIである埋め込み可能医療デバイス。
【請求項27】
コンピュータ読み取り可能媒体であって、
埋め込み可能医療デバイス上で実施されると、
最新の心周期において起こる心室活動に応答してフラグをセットすることであって、該フラグは後続する心周期について有効である、フラグをセットすること、
フラグが、所与の心周期の開始時に存在するか否かを判定すること、
前記フラグが、前記所与の心周期の開始時に存在する場合、心房補充収縮間隔を始動すること、
前記所与の心周期の開始時に、フラグが存在しない場合、AV間隔を始動すること、
前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルス送出すること、及び
前記AV間隔の終了時にVA間隔を始動すること、
を、前記埋め込み可能医療デバイスにさせるペーシングモードを規定する命令を含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項28】
前記心室活動は、心室ペース又は内因性心室脱分極を含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
前記AV間隔は80ミリ秒である、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項30】
心室ペースは、前記心房補充収縮間隔の間、送出されない、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項31】
前記VA間隔の間に起こる検知された心室活動は、前記VA間隔を再開することになる、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項32】
前記所与の心周期中の2回目の心室センスは、前記心房補充収縮間隔を終了させ、前記VA間隔を始動させることになる、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項33】
前記所与の心周期中の3回目の、又は、後続する心室センスは、前記VA間隔を再開させることになる、請求項32に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項34】
最初の心房センス又は最初の心室センスは、計画されたペーシングパルスを抑止し、後続する間隔を始動する、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項35】
前記心室ペーシングパルスが送出された前記心周期の直後の少なくとも1つの心周期について二腔モードへモード切り換えすることを、前記埋め込み可能デバイスにさせる命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項36】
複数の心周期を監視すること、
心室活動を持っていない心周期を特定すること、及び
心室活動を持っていない心周期の所定のパターンが特定される場合、二腔モードへモード切り換えすること、
を、前記埋め込み可能デバイスにさせる命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項37】
前記所定のパターンは、引き続く一連の前の心周期の中からの、心室活動を持っていない所定の数の心周期である、請求項36に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項38】
心室活動を監視するとともにモード切り換えを選択的に始動するように、モードスーパバイザを動作させることを、前記埋め込み可能デバイスにさせる命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項39】
或るモードで埋め込み可能デバイスを動作させる方法であって、
予め制定される基準が、第1の心周期の間、満たされる場合、前記第1の心周期の間にフラグをセットすること、
前記第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、前記フラグが、セットされているか否かを判定すること、
前記フラグがセットされている場合、前記第2の心周期の間、前記モードにとどまったままで第1の方法で動作すること、及び
前記フラグがセットされていない場合、前記第2の心周期の間、前記モードにとどまったままで第2の方法で動作すること、
を含む埋め込み可能デバイスを動作させる方法。
【請求項40】
前記フラグをセットすることは、情報をメモリに入れることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記フラグをセットすることは、情報をメモリから出すことを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記フラグは、前記第2の心周期についてのみ有効である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記予め制定された基準は、心室活動が存在することである、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記心室活動は、心室ペーシング又は検知される内因性脱分極を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の方法で動作することは、心房補充収縮間隔を始動することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
心室ペーシングは、前記心房補充収縮間隔の間、阻止される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の方法で動作することは、
AV間隔を始動すること、
前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出すること、及び
VA間隔を始動すること、
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記心室ペーシングパルスに応答して前記第2の心周期の間に第2のフラグをセットすることをさらに含み、該第2のフラグは、前記第2の心周期に引き続く第3の心周期について有効である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記モードにある間に、複数の心周期を監視すること、及び
前記予め制定された基準が、所定の数の引き続く心周期の中で、2つ以上の心周期において存在しない場合、モード切り換えをトリガすること、
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
選択されるモードでペーシング治療を送出するモード切り換え能力を有する埋め込み可能デバイス(IMD)であって、
心房リード線と、
心室リード線と、
メモリと、
前記心室リード線及び前記メモリに電子的に接続した処理モジュールであって、該処理モジュールは、前記第1の心周期の間に、予め制定された基準が、検知されるか、又は、前記心室リード線を介して送出される場合、前記第1の心周期の間に、前記メモリにフラグをセットし、前記第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、前記フラグがセットされているか否かを判定する、処理モジュールと、
コントローラであって、前記フラグがセットされている場合、前記第2の心周期の間、前記選択されるモードにとどまったままで、心房補充収縮間隔を始動するとともに心室ペーシングを阻止し、前記フラグがセットされていない場合、前記第2の心周期の間、前記選択されるモードにとどまったままで、AV間隔及び心室ペーシングパルスを始動する、コントローラとを備える、埋め込み可能デバイス。
【請求項51】
前記選択されるモードのままで、複数の心周期を監視し、心室活動を持たない心周期の再発が、所定のしきい値に達する場合、モード切り換えを始動するモードスーパバイザモジュールをさらに備える、請求項50に記載の埋め込み可能デバイス(IMD)。
【請求項52】
前記再発は、時間的に近い引き続く心周期に関連する、請求項51に記載の埋め込み可能デバイス(IMD)。
【請求項53】
所与のモードでペーシング治療を送出するための、埋め込み可能医療デバイスを動作させる方法であって、
心房補充収縮間隔を始動することであって、それによって、心周期を開始する、始動すること、
前記心房補充収縮間隔の全体にわたって内因性心室活動があるかを監視すること、
心室活動の最初の発生が前記心房補充収縮間隔の間に検知される場合、フラグをセットすること、
心室活動の2回目の発生が前記心房補充収縮間隔の間に検知される場合、前記心房補充収縮間隔を終了するとともにVA間隔を始動し、心室活動の後続する発生が前記VA間隔の間に検知されるたびに、前記VA間隔を再開すること、
前記心周期の終了を特定することであって、前記終了は、前記心房補充収縮間隔の終了、前記VA間隔の終了、又は心房事象の検知のいずれかによって規定される、特定すること、
前記検出された心房事象によって抑止されなければ、前記周期の前記終了時に心房ペーシングパルスを送出すること、
前記心周期の前記終了時に前記フラグが存在するか否かを判定すること、
前記心周期の前記終了時に前記フラグが存在する場合、最初のステップに戻ること、
最新の心周期の前記終了時に前記フラグが存在しない場合、AV間隔を始動すること、
抑止されなければ、前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出すること、
別のフラグをセットすること、
VA間隔を始動すること、
心室活動が検知される場合、前記VA間隔を再開すること、及び
前記VA間隔の終了によって最初のステップに戻ることであって、前記VA間隔の終了は、前記VA間隔の終了、又は、内因性心房事象を検知することのいずれかを含む、最初のステップに戻ること、
を含む方法。
【請求項54】
埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法であって、
心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び
最新の心周期の開始時にフラグが存在する場合にのみ、前記最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを送出すること、
を含む方法。
【請求項1】
埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法であって、
心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び
最新の心周期の開始時に前記フラグが存在する場合、前記最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを阻止すること、
を含む心臓ペーシングを選択的に供給する方法。
【請求項2】
前記フラグは、前記所与の周期の直後の心周期についてだけ有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フラグは、前記所与の心周期に後続する心周期についてだけ有効である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記所与の心周期は、A−A間隔によって規定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記心室活動は、前記フラグをセットするように、前記A−A間隔中にいつ起こってもよい、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記最新の心周期の開始時に前記フラグが存在する場合、前記最新の心周期の開始時に心房補充収縮間隔を始動することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記心房補充収縮間隔の前記始動時に心房ペーシングパルスを送出することをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
内因性心房脱分極は、前記心房補充収縮間隔を始動する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
計画された心房ペーシングパルスは抑止される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記最新の心周期の開始時に前記フラグが無い場合、AV間隔を始動すること、
前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出すること、
後続する心周期について前記フラグをセットすること、及び
前記送出される心室ペースによってVA間隔を始動すること、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
心室活動が前記VA間隔の間に検知される場合、前記VA間隔を再開することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記心室ペーシングパルスの送出に後続する少なくとも1つの心周期の間、二腔モードへモード切り換えすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
モードスーパバイザによって、複数の心周期にわたって心室ペーシングを監視すること、及び
前記モードスーパバイザが心室ペーシングの所定のパターンを特定する場合、前記モードスーパバイザの指示下で二腔モードへモード切り換えすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前のY個の心周期のうちのX個が心室ペーシングパルスを含む場合、前記所定のパターンが存在する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
モードスーパバイザによって複数の心周期を監視して心室活動を持っていない心周期を特定すること、及び
前記モードスーパバイザが、心室活動を持っていない心周期の所定のパターンを特定する場合、前記モードスーパバイザの指示下で二腔モードへモード切り換えすること、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記モードスーパバイザは、前記前のY個の心周期のうちのX個以上が心室活動を含まなければ、モード切り換えを指示する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
X=3で、且つ、Y=4である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
埋め込み可能医療デバイスであって、
心臓脱分極を検知する手段と、
ペーシングする手段と、
選択されるモードに従って前記ペーシングする手段を制御する手段と、
を備え、1つの選択可能なモードは、完全抑止型DDI(FIDDI)モードである、埋め込み可能医療デバイス。
【請求項19】
モード統括手段をさらに備える、請求項18に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項20】
促進心房ペーシングしきい値試験を行うために、前記FIDDIモードを実施する手段をさらに備える、請求項18に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項21】
内因性伝導が不十分である時に、前記FIDDIモードから別のモードへモード切り換えする手段をさらに備える、請求項18に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項22】
FIDDIが心室ペーシングパルスを送出する場合、内因性伝導は不十分である、請求項21に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項23】
複数の心周期にわたって心室活動を監視して、心室活動を欠いている、監視される心周期の所定のパターンに基づいて、内因性伝導が不十分である時を判定するモード統括手段をさらに備える、請求項21に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項24】
埋め込み可能医療デバイスであって、
心臓脱分極を検知する手段と、
選択されるモードに従ってペーシングする手段と、
所与の心周期における心室活動の検知によって、心房ベースのペーシングモードへモード切り換えする手段と、
前記所与の心周期の終了時に、前記心房ベースのペーシングモードから二腔モードへモード切り換えする手段と、
を備え、該二腔モードは、該二腔モードで動作している間の第1の心周期について実施される第1の組のパラメータであって、それによって、実施されるパラメータは、前記第1の心周期の間、心室ペーシングパルスの前記送出を阻止する、第1の組のパラメータと、前記二腔モードで動作している間の引き続く第2の心周期において実施される第2の組のパラメータであって、それによって、心室ペーシングは、抑止されなければ送出される、第2の組のパラメータとを含む、埋め込み可能医療デバイス。
【請求項25】
前記第1の組のパラメータは、AV間隔をA−A間隔に等しい持続時間に設定することを含む、請求項24に記載の埋め込み可能医療デバイス。
【請求項26】
埋め込み可能医療デバイスであって、
コントローラと、
前記コントローラに動作可能に接続し、心室ペーシングパルスを送出するとともに心室脱分極を検知するように構成される心室リード線と、
前記コントローラに動作可能に接続し、心房ペーシングパルスを送出するとともに心房脱分極を検知するように構成される心房リード線と、
前記コントローラによって選択可能なペーシングモダリティを規定する複数のアルゴリズムを含むメモリと、
を備え、前記ペーシングモダリティのうちの1つは、完全抑止型DDIである埋め込み可能医療デバイス。
【請求項27】
コンピュータ読み取り可能媒体であって、
埋め込み可能医療デバイス上で実施されると、
最新の心周期において起こる心室活動に応答してフラグをセットすることであって、該フラグは後続する心周期について有効である、フラグをセットすること、
フラグが、所与の心周期の開始時に存在するか否かを判定すること、
前記フラグが、前記所与の心周期の開始時に存在する場合、心房補充収縮間隔を始動すること、
前記所与の心周期の開始時に、フラグが存在しない場合、AV間隔を始動すること、
前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルス送出すること、及び
前記AV間隔の終了時にVA間隔を始動すること、
を、前記埋め込み可能医療デバイスにさせるペーシングモードを規定する命令を含む、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項28】
前記心室活動は、心室ペース又は内因性心室脱分極を含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項29】
前記AV間隔は80ミリ秒である、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項30】
心室ペースは、前記心房補充収縮間隔の間、送出されない、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項31】
前記VA間隔の間に起こる検知された心室活動は、前記VA間隔を再開することになる、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項32】
前記所与の心周期中の2回目の心室センスは、前記心房補充収縮間隔を終了させ、前記VA間隔を始動させることになる、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項33】
前記所与の心周期中の3回目の、又は、後続する心室センスは、前記VA間隔を再開させることになる、請求項32に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項34】
最初の心房センス又は最初の心室センスは、計画されたペーシングパルスを抑止し、後続する間隔を始動する、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項35】
前記心室ペーシングパルスが送出された前記心周期の直後の少なくとも1つの心周期について二腔モードへモード切り換えすることを、前記埋め込み可能デバイスにさせる命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項36】
複数の心周期を監視すること、
心室活動を持っていない心周期を特定すること、及び
心室活動を持っていない心周期の所定のパターンが特定される場合、二腔モードへモード切り換えすること、
を、前記埋め込み可能デバイスにさせる命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項37】
前記所定のパターンは、引き続く一連の前の心周期の中からの、心室活動を持っていない所定の数の心周期である、請求項36に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項38】
心室活動を監視するとともにモード切り換えを選択的に始動するように、モードスーパバイザを動作させることを、前記埋め込み可能デバイスにさせる命令をさらに含む、請求項27に記載のコンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項39】
或るモードで埋め込み可能デバイスを動作させる方法であって、
予め制定される基準が、第1の心周期の間、満たされる場合、前記第1の心周期の間にフラグをセットすること、
前記第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、前記フラグが、セットされているか否かを判定すること、
前記フラグがセットされている場合、前記第2の心周期の間、前記モードにとどまったままで第1の方法で動作すること、及び
前記フラグがセットされていない場合、前記第2の心周期の間、前記モードにとどまったままで第2の方法で動作すること、
を含む埋め込み可能デバイスを動作させる方法。
【請求項40】
前記フラグをセットすることは、情報をメモリに入れることを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記フラグをセットすることは、情報をメモリから出すことを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記フラグは、前記第2の心周期についてのみ有効である、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記予め制定された基準は、心室活動が存在することである、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
前記心室活動は、心室ペーシング又は検知される内因性脱分極を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の方法で動作することは、心房補充収縮間隔を始動することを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項46】
心室ペーシングは、前記心房補充収縮間隔の間、阻止される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第2の方法で動作することは、
AV間隔を始動すること、
前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出すること、及び
VA間隔を始動すること、
を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項48】
前記心室ペーシングパルスに応答して前記第2の心周期の間に第2のフラグをセットすることをさらに含み、該第2のフラグは、前記第2の心周期に引き続く第3の心周期について有効である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記モードにある間に、複数の心周期を監視すること、及び
前記予め制定された基準が、所定の数の引き続く心周期の中で、2つ以上の心周期において存在しない場合、モード切り換えをトリガすること、
をさらに含む、請求項39に記載の方法。
【請求項50】
選択されるモードでペーシング治療を送出するモード切り換え能力を有する埋め込み可能デバイス(IMD)であって、
心房リード線と、
心室リード線と、
メモリと、
前記心室リード線及び前記メモリに電子的に接続した処理モジュールであって、該処理モジュールは、前記第1の心周期の間に、予め制定された基準が、検知されるか、又は、前記心室リード線を介して送出される場合、前記第1の心周期の間に、前記メモリにフラグをセットし、前記第1の心周期に引き続く第2の心周期の始動時に、前記フラグがセットされているか否かを判定する、処理モジュールと、
コントローラであって、前記フラグがセットされている場合、前記第2の心周期の間、前記選択されるモードにとどまったままで、心房補充収縮間隔を始動するとともに心室ペーシングを阻止し、前記フラグがセットされていない場合、前記第2の心周期の間、前記選択されるモードにとどまったままで、AV間隔及び心室ペーシングパルスを始動する、コントローラとを備える、埋め込み可能デバイス。
【請求項51】
前記選択されるモードのままで、複数の心周期を監視し、心室活動を持たない心周期の再発が、所定のしきい値に達する場合、モード切り換えを始動するモードスーパバイザモジュールをさらに備える、請求項50に記載の埋め込み可能デバイス(IMD)。
【請求項52】
前記再発は、時間的に近い引き続く心周期に関連する、請求項51に記載の埋め込み可能デバイス(IMD)。
【請求項53】
所与のモードでペーシング治療を送出するための、埋め込み可能医療デバイスを動作させる方法であって、
心房補充収縮間隔を始動することであって、それによって、心周期を開始する、始動すること、
前記心房補充収縮間隔の全体にわたって内因性心室活動があるかを監視すること、
心室活動の最初の発生が前記心房補充収縮間隔の間に検知される場合、フラグをセットすること、
心室活動の2回目の発生が前記心房補充収縮間隔の間に検知される場合、前記心房補充収縮間隔を終了するとともにVA間隔を始動し、心室活動の後続する発生が前記VA間隔の間に検知されるたびに、前記VA間隔を再開すること、
前記心周期の終了を特定することであって、前記終了は、前記心房補充収縮間隔の終了、前記VA間隔の終了、又は心房事象の検知のいずれかによって規定される、特定すること、
前記検出された心房事象によって抑止されなければ、前記周期の前記終了時に心房ペーシングパルスを送出すること、
前記心周期の前記終了時に前記フラグが存在するか否かを判定すること、
前記心周期の前記終了時に前記フラグが存在する場合、最初のステップに戻ること、
最新の心周期の前記終了時に前記フラグが存在しない場合、AV間隔を始動すること、
抑止されなければ、前記AV間隔の終了時に心室ペーシングパルスを送出すること、
別のフラグをセットすること、
VA間隔を始動すること、
心室活動が検知される場合、前記VA間隔を再開すること、及び
前記VA間隔の終了によって最初のステップに戻ることであって、前記VA間隔の終了は、前記VA間隔の終了、又は、内因性心房事象を検知することのいずれかを含む、最初のステップに戻ること、
を含む方法。
【請求項54】
埋め込み可能医療デバイスによって心臓ペーシングを選択的に供給する方法であって、
心室活動に応答して、所与の心周期の間にフラグをセットすること、及び
最新の心周期の開始時にフラグが存在する場合にのみ、前記最新の心周期の間、心室ペーシングパルスを送出すること、
を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−533373(P2007−533373A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506263(P2007−506263)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/009776
【国際公開番号】WO2005/097259
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PENTIUM
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/009776
【国際公開番号】WO2005/097259
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PENTIUM
【出願人】(591007804)メドトロニック・インコーポレーテッド (243)
【住所又は居所原語表記】710Medtronic Parkway,Minneapolis,Minnesota 55432,U.S.A
【Fターム(参考)】
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