説明

完全縮合オリゴシルセスキオキサン立体異性体、それを用いた重合体及びそれらの製造方法

【課題】ダブルデッカー閉環型Tのトランス/シス異性体混合物を再結晶処理により、それぞれ単独に分離(単離)し、もしくは一方の異性体が過剰になる様に分離し、それを用いて重合したポリマー及びその製造方法の提供。
【解決手段】一般式(1)


(式中Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。アルキル基炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。アリール基炭素数は6から10であり、アリールアルキル基の炭素数は7から10であり、シクロアルキル基における炭素数は3から10であり、ハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス立体異性体またはそのシス体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、完全縮合オリゴシルセスキオキサン立体異性体、それを用いた重合体及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリシルセスキオキサンは、無機シリカ[SiO]と有機シリコーン[(RSiO)]の中間的な物質であり(RSiO3/2で表される。シロキサン結合をもつ無機構造部分は、優れた透明性、耐熱性、硬度、絶縁性など、無機材料としての特性を担う。一方、有機構造部分は、ケイ素原子に直接結合した有機官能基からなり、無機構造だけでは不足しがちな有機材料への溶解性や分散安定性、屈折率や誘電率の調整、光硬化性付与などの特性を担う。このように、無機材料と有機材料の特性を兼ね備えるポリシルセスキオキサンは有機/無機ハイブリッド材料として注目されている。
【0003】
ポリシルセスキオキサンはその構造により、ランダム構造、多面体構造、ラダー構造が知られている。その中でも、Si−O結合が三次元的に閉環した構造である多面体オリゴシルセスキオキサン(POSS)は、その特異的な三次元的構造ゆえに耐熱性、耐酸化性、耐薬品性及び高い機械的強度、絶縁性等、多くの優れた特徴を持ち、電子材料や光学材料への応用の期待が高まっている。POSSの中でも立方体の頂点がケイ素原子でその間に酸素原子を持つ完全縮合オリゴシルセスキオキサンであるT化合物([RSiO3/2;T構造とは、RSiO3/2を指す)は高収率で合成でき、かつ入手容易な為、これまでに多くの報告がなされ、新規機能の発現や機能性改善の研究に使用されている。
【0004】
【化1】


各ケイ素原子に結合する置換基全てが同じ、もしくは半分程度が同じT化合物については、比較的容易に合成でき、報告もされている(例えば、非特許文献1)。また、Tの一つの頂点が欠けているTをクロロシラン等で閉環させたTは、8つの置換基のうち7つが同じ種類となる(例えば、非特許文献2、非特許文献3)。これらTを主鎖や側鎖にもつポリマーの合成も多数報告されている。
【0005】
近年、Tの対面する二箇所のSi−O結合が開裂したダブルデッカー型とよばれるTや、これをジクロロシランで閉環させたダブルデッカー閉環型のTが合成され(例えば、特許文献1、特許文献2)、重合させてポリマーを得ている(例えば、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)。これらTやダブルデッカー閉環型Tの重合方法の多くは、ヒドロシリル化等の重付加反応である(例えば、特許文献3、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献7)。
【0006】
【化2】

【0007】
さて、ダブルデッカー閉環型Tにおいて置換基R’がR’’と異なる場合、シス異性体とトランス異性体の二種類の異性体が存在する。しかしながら、トランス/シス異性体混合物の分離、あるいは選択的な合成は報告されていない。また、モノマーがトランス/シス異性体混合物であるため、目的とする化合物の構造が物性・機能に反映しにくい。
【特許文献1】WO 2003/024870
【特許文献2】WO 2004/024741
【特許文献3】特開平2006−22207
【非特許文献1】ジャーナル・オブ・マテリアルズ・ケミストリー(Journal of Materials Chemistry)2005年,15巻,35〜36号,3725〜3744頁
【非特許文献2】マクロモレキュールズ(Macromolecules)1996年,29巻,22号,7302〜7304頁
【非特許文献3】マクロモレキュールズ(Macromolecules)2005年,38巻,4号,1264〜1270頁
【非特許文献4】マクロモレキュールズ(Macromolecules)2006年,39巻,10号,3473〜3475頁
【非特許文献5】マクロモレキュールズ(Macromolecules)2007年,40巻,16号,5698〜5705頁
【非特許文献6】マクロモレキュールズ(Macromolecules)2008年,41巻,10号,3481〜3487頁
【非特許文献7】ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソサエティー(Journal of American Chemical Society)1998年,120巻,33号,8380〜8391頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
高分子の一次構造は、その高次構造に大きな影響を与え、その結果、高分子の溶解性や結晶性をはじめとする諸物性を大きく変化させる。例えば、トランス体のポリイソプレンであるグッタペルカとシス体のポリイソプレンである天然ゴムでは、一次構造がポリマー物性に影響を及ぼしている為、融点差が40℃ある。また、ポリプロピレンは立体規則性により諸物性が異なる事は公知である。
【0009】
ダブルデッカー閉環型Tのトランス異性体とシス異性体を分離することができ、モノマーとして重合に用いた場合、トランス/シス異性体混合物と比べてモノマーの幾何異性をポリマーの分子量や熱物性に反映させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ダブルデッカー閉環型Tのトランス/シス異性体混合物を再結晶処理により、それぞれ単独に分離(単離)し、もしくは一方の異性体が過剰になる様に分離し、それを用いて重合したポリマー及びその製造方法を提供せんとするものである。
【0011】
すなわち、本発明者らは、ダブルデッカー閉環型Tの一方に立体的にかさ高い置換基を導入する事により、再結晶処理でトランス/シス異性体混合物から、一方が過剰な幾何異性体を分離(単離)し得ることを見出した。更に、該異性体をシロキサンと共重合させた結果、ダブルデッカー閉環型Tの幾何異性を反映して重合度が異なるポリマーを得、得られたポリマーの熱分解温度やガラス転移温度などの熱物性もトランス/シス異性体混合物由来のポリマーに比べて異なることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
本発明は、一般式(1)又は一般式(2)
【0013】
【化3】



【0014】
【化4】

【0015】
(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)
で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体である(請求項1)。
【0016】
また、本発明は、一般式(1)又は一般式(2)において、Rがフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体である(請求項2)。
【0017】
更に、本発明は、一般式(1)又は一般式(2)において、Xがイソブチル基であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体である(請求項3)。
【0018】
次に、本発明は、一般式(1)及び一般式(2)
【0019】
【化5】

【0020】
【化6】

【0021】
(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)
で示されるトランス/シス異性体混合物から再結晶処理により各異性体を分離することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体の製造方法である(請求項4)。
【0022】
また、本発明は、再結晶処理の溶媒が、炭素数6から10の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、飽和アルキル基を含む炭素数7から12の芳香族炭化水素、炭素数1から3のハロゲン化脂肪族炭化水素から選択される請求項4に記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体の製造方法である(請求項5)。
【0023】
更に、本発明は、再結晶処理の温度が、30℃からマイナス80℃までの間の温度から選択される請求項4乃至請求項5の何れかに記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体の製造方法である(請求項6)。
【0024】
次に、本発明は、一般式(3)又は一般式(4)
【0025】
【化7】

【0026】
【化8】

【0027】
(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。また、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基、nは0から9の整数であり、Rは夫々独立してアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。)
で示される構成単位からなることを特徴とするケイ素化合物又はその重合体である(請求項7)。
【0028】
また、本発明は、一般式(3)又は一般式(4)において、Rがフェニル基であることを特徴とする請求項7に記載のケイ素化合物又はその重合体である(請求項8)。
【0029】
更に、本発明は、一般式(3)又は一般式(4)において、Xがイソブチル基であることを特徴とする請求項7乃至請求項8の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体である(請求項9)。
【0030】
次に、本発明は、一般式(3)又は一般式(4)において、Rがメチル基であることを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体である(請求項10)。
【0031】
また、本発明は、一般式(3)又は一般式(4)の構成単位の繰り返しが1から1000であることを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体である(請求項11)。
【0032】
更に本発明は、一般式(1)又は一般式(2)
【0033】
【化9】

【0034】
【化10】

【0035】
(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)
で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体と、一般式(5)
【0036】
【化11】

【0037】
(式中、nは0から9の整数であり、Rは夫々独立してアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。)
で示されるケイ素化合物とを、ルイス酸触媒、反応溶媒の存在若しくは不存在下で反応させることを特徴とする請求項7乃至請求項11の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法である(請求項12)。
【0038】
次にまた、本発明は、ルイス酸触媒が、フッ化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、ヨウ化アルミニウム(III)などのハロゲン化アルミニウム;フッ化ホウ素(III)、塩化ホウ素(III)、臭化ホウ素(III)、ヨウ化ホウ素(III)などのハロゲン化ホウ素;トリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのようなトリアリールボラン;フッ化スズ(IV)、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)などのハロゲン化スズ;フッ化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、臭化チタン(IV)、ヨウ化チタン(IV)などのハロゲン化チタン;フッ化亜鉛(II)、塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)などのハロゲン化亜鉛;フッ化アンチモン(V)、塩化アンチモン(V)、臭化アンチモン(V)、ヨウ化アンチモン(V)などのハロゲン化アンチモンから選択されることを特徴とする請求項12に記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法である(請求項13)。
【0039】
更にまた、本発明は、ルイス酸触媒がトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランであることを特徴とする請求項13に記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法である(請求項14)。
【0040】
次に、本発明は、反応溶媒が炭素数6から10の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、飽和アルキル基を含む炭素数7から12の芳香族炭化水素から選択されることを特徴とする請求項12乃至請求項14の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法である(請求項15)。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、ダブルデッカー閉環型Tのトランス/シス異性体混合物を再結晶によりそれぞれを単離、もしくは、一方の異性体が過剰な化合物の提供と、その幾何異性の差を利用した異なる重合度、熱物性をもつポリマーを提供せんとするものである。
【0042】
これら異性体非等量混合物を用いた重合では、幾何異性を反映して重合度に差が出ることを明らかにした。また、熱物性、成膜性等が異なる性質を示し、機械的特性、熱安定性、抵抗性などの特性を改善した。
【0043】
重合については、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン等のルイス酸を用いる。トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いた場合、ケイ素原子の立体化学は保持される事が知られている。なおかつ、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒中、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いた重合においては、反応後、再沈殿処理で、触媒を容易に除去できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明を更に具体的詳細に説明する。
【0045】
本発明は、具体的には、前記一般式(1)又は一般式(2)
【0046】
【化12】

【0047】
【化13】


(式中、R,Xは前記の意味を表す)
で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体において、Xがイソブチル基である一般式(6)又は一般式(7)
【0048】
【化14】

【0049】
【化15】


(式中、Phはフェニル基を表す)
で代表される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体である。
本発明において、Xで表される炭素数4の飽和分枝状アルキル基の具体例としては、前記イソブチル基の他にsec−ブチル基及びtert−ブチル基が挙げられる。
【0050】
本発明は、前述のとおり、トランス/シス異性体混合物から再結晶処理により各異性体を分離することを特徴とする。ここで、該再結晶処理に用いられる溶媒としては、好ましくは、炭素数6から10の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、飽和アルキル基を含む炭素数7から12の芳香族炭化水素、炭素数1から3のハロゲン化脂肪族炭化水素から選択され、該再結晶処理に用いられる溶媒としては、具体的には、ヘキサン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルムである。
【0051】
再結晶処理の温度は、好ましくは30℃からマイナス80℃までの間の温度から選択される。特に好ましくは、25℃からマイナス10℃である。
【0052】
そして、再結晶溶媒の好ましい具体例は、前記一般式(6)のトランス体分離に用いる再結晶溶媒としてはトルエンとヘキサン、再結晶温度が0℃付近であり、また、前記一般式(7)のシス体分離に用いる再結晶溶媒と
してはクロロホルムとヘキサン、再結晶温度が25℃付近である。
【0053】
次に、本発明は、前記一般式(6)又は一般式(7)で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体と、例えば、一般式(8)
【0054】
【化16】


で示されるケイ素化合物を、ルイス酸触媒、反応溶媒の存在若しくは不存在下で反応させることを特徴とする一般式(9)又は一般式(10)
【0055】
【化17】

【0056】
【化18】


(式中、Phはフェニル基を表す)
で示される構成単位からなるケイ素化合物又はその重合体の製造方法である。
【0057】
上記本発明の重合体として、好ましい具体例としては、構成単位の繰り返しは1から1000であり、更に好ましい構成単位の繰り返しは15から40である。
【0058】
また、ルイス酸触媒による脱水素カップリングを用いた製造方法において、用いられるルイス酸は、特に好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランである。
【0059】
更にまた、上記重合体の製造方法において、反応溶媒は炭素数6から10の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、飽和アルキル基を含む炭素数7から12の芳香族炭化水素から選択され、好ましい具体例としては、反応溶媒がトルエン、キシレンである。更に好ましい例はトルエンである。
【0060】
特に、トルエンやキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒中、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いた重合においては、反応後、再沈殿により容易に触媒が除去できる利点がある。
【0061】
使用するルイス酸触媒量は、ダブルデッカー閉環型Tに対して10−5から10mol%であり、好ましい使用量は0.01から1mol%である。
【0062】
主鎖のTと直鎖状シロキサンの構成単位から成る上記ポリマーは、モノマーの幾何異性がポリマーの重合度に反映されるため、同じ分子構造であっても異なる分子量のポリマーを合成でき、これまで以上の機能、例えばイソプレンのトランス体とシス体の諸物性が異なるように、ポリマーに新しい機能を付与することができる。
また、ポリマー主鎖がTと直鎖状シロキサンから構成されている事で、主鎖中に含まれるSi−O組成比が高くなる為、優れた透明性、耐熱性、硬度、絶縁性、耐酸素プラズマエッチング性などが期待でき、適度にイソプロピル基や他の炭化水素置換基を有するので、溶解性、成膜性も付与できる。更に、通常のポリシロキサンと比べてTを主鎖にもつ為に剛直性も付与される。
【0063】
本発明で得られるポリマーは、半導体封止剤、各種レジスト及びパターン形成材料、酸素吸収剤及び酸素吸収樹脂組成物、プラズマディスプレイパネルなどの用途の合成素子として期待される。
【実施例】
【0064】
以下、合成例及び実施例により、本発明を更に具体的詳細に説明するが、本発明は以下の実施例の記載によって何ら制限されるものではない。なお、以下の合成例及び実施例において、Phはフェニル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基、Etはエチル基を表す。
【0065】
[合成例1]TPhPh(ONa)の合成
水酸化ナトリウム(6.4g,0.16mol)、イソプロパノール(240mL)、イオン交換水(5.0g,0.28mol)の入っている500mLの四口フラスコを窒素置換した。攪拌しながら、フェニルトリメトキシシラン(48.0g,0.24mol)を室温下で15分かけて滴下した後、4時間還流させた。反応終了後、15時間室温放冷し、析出した固体をろ過し、イソプロパノールで洗浄した後、真空下、70℃で5時間乾燥させ、目的物(23.9g,68%収率)を得た。
【0066】
【化19】

【0067】
[合成例2]TPhiBu(OH)の合成
PhPh(ONa)(3.00g,2.6mmol)、テトラヒドロフラン(30mL)、トリエチルアミン(0.78g,7.7mmol)の入っている100mLの二口フラスコを窒素置換した。攪拌しながら、イソブチルトリクロロシラン(1.5g,7.8mmol)を室温下で加え、12時間室温で反応させた。反応混合液にイオン交換水(13mL)を加えて20分攪拌後、反応終了とした。トルエン(70mL)を加えて水層を除去した後、イオン交換水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムを加えて脱水した後、濃縮し、0℃で一晩放置した。析出した結晶にヘキサンを加え、更に0℃で一晩放置した。再結晶体をろ過後、乾燥させ、目的物(1.00g、30%収率)を得た。
【0068】
生成物のサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、水素核磁気共鳴(H−NMR;図1)、ケイ素核磁気共鳴(29Si−NMR)、マトリックス支援レーザー脱離方式イオン化-飛行時間型質量分析(MALDI−TOF−MS)の測定結果を以下に示す。
【0069】
SEC:Mn=1300,Mw/Mn=1.0。
H−NMR δ(CDCl,ppm):0.80(d,J=7Hz,4H,トランス体のCHCH(CH),0.81(d,J=7Hz,4H,シス体のCHCH(CH),0.90(d,J=7Hz,12H,トランス体のCHCH(CH),0.92(d,J=7Hz,12H,シス体のCHCH(CH),1.81〜2.00(m,4H,CHCH(CH),2.59(s,4H,SiOH),7.19〜7.57(m,80H,Ph)。
29Si−NMR δ(CDCl,ppm):−79.33(シス体),−79.29(トランス体),−79.20(シス体),−78.91(トランス体とシス体),−55.95(トランス体とシス体)。
MALDI−TOF−MS(m/z):1292.35([M+Na], calc.1291.15) 。
【0070】
【化20】



【0071】
[実施例1]TPhiBu(OH)の異性体分離
トランス/シス異性体混合物のTPhiBu(OH)(1.00g)のトルエン溶液にヘキサンを加えて、0℃で一晩放置した。析出した結晶をろ過して、結晶(0.46g、92%回収率)と、ろ液に分離した。得られた結晶のトランス/シス異性体組成比は、8:2であった。結晶を再度、再結晶処理してトランス異性体のみを得た(0.36g、72%回収率)。
ろ液を濃縮したクロロホルム溶液にヘキサンを加えて室温で24時間再結晶させることにより、トランス/シス異性体組成比が2:8の結晶(0.44g、88%回収率)を得た。再度、再結晶させることでシス異性体のみを得た(0.34g、68%回収率)。
【0072】
トランス体
H−NMR δ(CDCl,ppm):0.80(d,J=7Hz,4H,CHCH(CH),0.90(d,J=7Hz,12H,CHCH(CH),1.81〜2.00(m,2H,CHCH(CH),2.59(s,2H,SiOH),7.19〜7.57(m,40H,Ph)。
29Si−NMR δ(CDCl,ppm):−79.30,−78.93,−55.96。
【0073】
シス体
H−NMR δ(CDCl,ppm):0.81(d,J=7Hz,4H,CHCH(CH),0.91(d,J=7Hz,12H,CHCH(CH),1.81〜2.00(m,2H,CHCH(CH),2.59(s,2H,SiOH),7.19〜7.57(m,40H,Ph)。
29Si−NMR δ(CDCl,ppm):−79.34,−79.21,−78.91,−55.96。
【0074】
トランス体、シス体、それぞれのTPhiBu(OH)H−NMRスペクトルを図2((a)トランス体、(b)シス体)、29Si−NMRスペクトルを図3((a)トランス体、(b)シス体)に示す。
シス異性体の結晶については、更にクロロホルム/ベンゼン(1:2)に溶解させて再結晶させ、単結晶を得たので、単結晶X−線構造回折を測定して構造を確認した(図4)。
【0075】
[実施例2]トランス−TPhiBu(OH)を用いた脱水素重合
アルゴン置換した30mL二口フラスコに、実施例1で得たトランス−TPhiBu(OH)結晶(0.400g,0.31mmol)、乾燥トルエン(2.5mL)、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(3.3mg,2.1mol%)を加えた。この溶液に、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン(0.088g,0.31mmol)をゆっくり加えた後、60℃で12時間攪拌した。メタノールを加えた後、溶媒を溜去し、乾燥させてポリマーP1を得た。
【0076】
ポリマーP1のH−NMRスペクトルチャートを図5(a)に示す。
【0077】
ポリマーP1
SEC:Mn=39000,Mw/Mn=1.6。
H−NMR δ(CDCl,ppm):−0.11(s,12H,Si(CHO),−0.03(s,12H,Si(CHO),0.71(d,J=7Hz,4H,CHCH(CH),0.87(d,J=7Hz,12H,CHCH(CH),1.75〜1.99(m,2H,CHCH(CH),7.11〜7.55(m,40H,Ph)。
29Si−NMR δ(CDCl,ppm):−79.68,−67.34,−21.25,−20.72。
【0078】
[実施例3]シス−TPhiBu(OH)を用いた脱水素重合
実施例1で得たシス−TPhiBu(OH)結晶(0.400g,0.31mmol)を用いて、実施例2と同様の実験操作を行い、ポリマーP2を得た。
ポリマーP2のH−NMRスペクトルチャートを図5(b)に示す。
【0079】
ポリマーP2
SEC:Mn=29000,Mw/Mn=1.7。
H−NMR δ(CDCl,ppm):−0.06(s,12H,Si(CHO),0.02(s,12H,Si(CHO),0.78(d,J=7Hz,4H,CHCH(CH),0.94(d,J=7Hz,12H,CHCH(CH),1.84〜2.03(m,2H,CHCH(CH),7.15〜7.60(m,40H,Ph)。
29Si−NMR δ(CDCl,ppm):−79.97,−79.70,−79.40,−67.31,−21.26,−20.69。
【0080】
【化21】

【0081】
【化22】

【0082】
[対照例1]トランス/シス異性体混合物のTPhiBu(OH)を用いた脱水素重合
トランス/シス異性体混合物のTPhiBu(OH)結晶(0.400g,0.31mmol)、を用いて、実施例2と同様の実験操作を行い、ポリマーP3を得た。
【0083】
ポリマーP3
ポリマーP3のH−NMRスペクトルチャートを図5(c)に示す。
【0084】
SEC:Mn=61000,Mw/Mn=2.6。
H−NMR δ(CDCl,ppm):−0.06(s,24H,Si(CHO),0.03(s,24H,Si(CHO),0.76(d,J=7Hz,4H,トランス体のCHCH(CH),0.77(d,J=7Hz,4H,シス体のCHCH(CH), 0.92(d,J=7Hz,12H,トランス体のCHCH(CH),0.93(d,J=7Hz,12H,シス体のCHCH(CH),1.88〜2.04(m,4H,CHCH(CH),7.12〜7.56(m,80H,Ph)。
29Si−NMR δ(CDCl,ppm):−79.91,−79.63,−79.36,−67.27,−21.18,−20.63。
【0085】
[実施例4]ポリマーの熱分析
実施例2、実施例3、対照例1で得たポリマーの熱物性を、熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)を用いて調べた。TGA測定から、窒素雰囲気下でのポリマーP1の5%重量損失温度は495℃、ポリマーP2の5%重量損失温度は494℃、ポリマーP3の5%重量損失温度は444℃で、758℃での残渣はそれぞれ、79%、77%、71%であった(図6)。DSC測定から、窒素雰囲気下でのポリマーP1のガラス転移温度(Tg)は35℃、ポリマーP2のガラス転移温度は30℃、ポリマーP3のそれは34℃であった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
これらの幾何異性を制御したT含有ポリマーは、これまで以上に構造の明確な重合体を合成することができる。これら化合物を用いることで、トランス/シス異性体混合物由来のポリマーと比べた場合、熱物性、成膜性、耐溶剤性、皮膜接着性、耐酸素プラズマエッチング性、等が異なる性質を示すと予測でき、各種レジスト及びパターン形成材料、酸素吸収剤及び酸素吸収樹脂組成物、プラズマディスプレイパネルなどの用途の合成素子として期待される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】トランス/シス異性体混合物のTPhiBu(OH)H−NMRスペクトル
【図2】(a)トランス体、(b)シス体のTPhiBu(OH)H−NMRスペクトル
【図3】(a)トランス体、(b)シス体のTPhiBu(OH)29Si−NMRスペクトル
【図4】シス−TPhiBu(OH)の単結晶X−線構造回折
【図5】(a)ポリマーP1、(b)ポリマーP2、(c)ポリマーP3のH−NMRスペクトル
【図6】(a)ポリマーP1、(b)ポリマーP2、(c)ポリマーP3のTGAチャート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)又は一般式(2)
【化1】



【化2】


(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)
で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体。
【請求項2】
一般式(1)又は一般式(2)において、Rがフェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体。
【請求項3】
一般式(1)又は一般式(2)において、Xがイソブチル基であることを特徴とする請求項1乃至請求項2に記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体。
【請求項4】
一般式(1)及び一般式(2)
【化3】


【化4】


(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)
で示されるトランス/シス異性体混合物から再結晶処理により各異性体を分離することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体の製造方法。
【請求項5】
再結晶処理の溶媒が、炭素数6から10の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、飽和アルキル基を含む炭素数7から12の芳香族炭化水素、炭素数1から3のハロゲン化脂肪族炭化水素から選択される請求項4に記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体の製造方法。
【請求項6】
再結晶処理の温度が、30℃からマイナス80℃までの間の温度から選択される請求項4乃至請求項5の何れかに記載の完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体の製造方法。
【請求項7】
一般式(3)又は一般式(4)
【化5】


【化6】


(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。また、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基、nは0から9の整数であり、Rは夫々独立してアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。)
で示される構成単位からなることを特徴とするケイ素化合物又はその重合体。
【請求項8】
一般式(3)又は一般式(4)において、Rがフェニル基であることを特徴とする請求項7に記載のケイ素化合物又はその重合体。
【請求項9】
一般式(3)又は一般式(4)において、Xがイソブチル基であることを特徴とする請求項7乃至請求項8の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体。
【請求項10】
一般式(3)又は一般式(4)において、Rがメチル基であることを特徴とする請求項7乃至請求項9の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体。
【請求項11】
一般式(3)又は一般式(4)の構成単位の繰り返しが1から1000であることを特徴とする請求項7乃至請求項10の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体。
【請求項12】
一般式(1)又は一般式(2)
【化7】


【化8】


(式中、Rは夫々独立して水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基またはシクロアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリール基における炭素数は6から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このアリールアルキル基における炭素数は7から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。このシクロアルキル基における炭素数は3から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。式中、Xは炭素数4の飽和分枝状アルキル基を表す。)
で示される完全縮合オリゴシルセスキオキサンのトランス及び/又はシス立体異性体と、一般式(5)
【化9】


(式中、nは0から9の整数であり、Rは夫々独立してアルキル基である。このアルキル基における炭素数は1から10であり、任意の水素原子はハロゲン原子または炭素数1から10のアルキル基で置き換えられてもよい。)
で示されるケイ素化合物とを、ルイス酸触媒、反応溶媒の存在若しくは不存在下で反応させることを特徴とする請求項7乃至請求項11の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法。
【請求項13】
ルイス酸触媒が、フッ化アルミニウム(III)、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、ヨウ化アルミニウム(III)などのハロゲン化アルミニウム;フッ化ホウ素(III)、塩化ホウ素(III)、臭化ホウ素(III)、ヨウ化ホウ素(III)などのハロゲン化ホウ素;トリフェニルボラン、トリス(4−フルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランのようなトリアリールボラン;フッ化スズ(IV)、塩化スズ(IV)、臭化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)などのハロゲン化スズ;フッ化チタン(IV)、塩化チタン(IV)、臭化チタン(IV)、ヨウ化チタン(IV)などのハロゲン化チタン;フッ化亜鉛(II)、塩化亜鉛(II)、臭化亜鉛(II)、ヨウ化亜鉛(II)などのハロゲン化亜鉛;フッ化アンチモン(V)、塩化アンチモン(V)、臭化アンチモン(V)、ヨウ化アンチモン(V)などのハロゲン化アンチモンから選択されることを特徴とする請求項12に記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法。
【請求項14】
ルイス酸触媒がトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランであることを特徴とする請求項13に記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法。
【請求項15】
反応溶媒が炭素数6から10の飽和脂肪族炭化水素、ベンゼン、飽和アルキル基を含む炭素数7から12の芳香族炭化水素から選択されることを特徴とする請求項12乃至請求項14の何れかに記載のケイ素化合物又はその重合体の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−120901(P2010−120901A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−297908(P2008−297908)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼「高分子学会予稿集」 第57巻 第2号 ▲2▼発効日 平成20年9月9日 ▲3▼発行所 社団法人高分子学会 ▲4▼該当ページ 第59頁及び2646頁 ▲5▼公開者 Md.Asadul HOQUE、川上 雄資 ▲6▼公開のタイトル 「Isolation and Characterization of Isomers of Isobutyl derivative of Double−decker Silsesquioxane:Polymerization and Characterization」
【出願人】(391010895)小西化学工業株式会社 (19)
【Fターム(参考)】