説明

官能化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法

【課題】本発明は、官能化PPEを製造方法の改良に関し、また該方法により製造されたポリフェニレンエーテル樹脂及び該樹脂を含有するブレンドに関する。
【解決手段】本方法は、反応溶液中で含酸素ガスと金属錯体触媒を用いて1種類以上の一価フェノール化学種を酸化カップリングしてPPEを生成させ、反応溶媒の脱揮のための1以上の単離段階の前及び/又はその間にPPEを官能化することからなる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、官能化ポリフェニレンエーテル樹脂の新規製造方法に関する。
【0002】
本発明は、該方法で製造した官能化ポリフェニレンエーテル樹脂、並びに該方法で製造した官能化ポリフェニレンエーテル樹脂を含むブレンド及び物品にも関する。
【従来の技術】
【0003】
ポリフェニレンエーテル樹脂(以下「PPE」という。)は、その物理的性質、化学的性質及び電気的性質の比類のない組合せのため、商業的魅力のある材料である。さらに、PPEと他の樹脂を組み合わせると、全体として耐薬品性、高強度及び高流動性などの付加的性質をもつブレンドが得られる。
【0004】
かかるブレンドを開発する際の障害の一つはPPEと多数の樹脂との間に相溶性がないことである。こうした相溶性の欠如は、極めて劣悪な物理的性質及び成形品における層間剥離として顕在化することが多い。PPEとポリエステルやポリアミドのような樹脂との相溶性を改良するための方法が開発されている。特に有用な方法の一つは、PPEを官能化し、ブレンドに含まれる他の樹脂との反応性をもつ残基部分を含んだ官能化PPEを作る方法である。官能化PPEを他の樹脂と反応させるとそれらの樹脂間に比較的少量のコポリマーが形成されると考えられる。このコポリマーが、PPEと他の樹脂と相溶性の向上の大半を担っていると考えられる。相溶性の改善の指標としては、耐積層性、向上した引張特性及び衝撃特性のような物理的性質の向上、及び静止及び/又は低剪断条件下での
ブレンド成分相間の形態の安定化などがある。
【0005】
従来の官能化PPEの製造方法には、無水トリメリト酸クロライドのような酸ハライドを有する化合物で溶液官能化して反応性部分を有する末端封鎖PPEとするものがある。この方法では製造できる官能化PPEの種類がかなり限られる。また、封鎖反応の副生物は、プロセスの溶媒沈殿段階で乳化及び/又は単離の問題を起こし易い。
【0006】
もう一つの公知の官能化PPEの製造方法は押出機内でPPEを溶融官能化するものである。この方法は、PPEを官能化剤と共に溶融・混合して官能化PPEとするものである。同じ押出機に他のポリマーを供給することもできるし、或いは、官能化PPEを単離した後他の組成物の製造に使用することもできる。溶融官能化には、嵩密度が低く粒度分布が広いため、押出機にPPEを供給するのが難しいなどの問題がある。さらに、PPEは粉末であることが多く、粉体爆発の危険性を避けるために特殊な取扱いが必要とされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、官能化PPEを製造するための改良法に対するニーズが依然として存在していることは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記ニーズは、今般、反応溶液中での含酸素ガスと金属錯体触媒を用いた1種類以上の一価フェノール化学種の酸化カップリングによってPPEを生じさせ、反応溶媒の脱揮のための1以上の単離段階の前及び/又は途中にPPEを官能化することを含んでなる官能化PPEの製造方法の発見によって概ね満足される。
【0009】
以下の説明では、本発明の様々な実施形態の詳細を説明する。
【発明の実施の形態】
【0010】
本発明の一実施形態は、酸化剤として含酸素ガス及び金属−アミン錯体触媒(好ましくは銅(I)−アミン触媒)を用いて、1種類以上の一価フェノール化学種(好ましくはその少なくとも一部分が少なくとも2つのオルト位に置換基を有するとともにパラ位に水素又はハロゲンを有するもの)を酸化カップリングし、好ましくは水含有溶液により金属触媒の少なくとも一部を金属−有機酸塩として抽出し、反応溶媒の脱揮のための1以上の単離段階の前及び/又はその間にPPEを官能化することによって、官能化PPE(好ましくは約0.08〜0.60dl/gの固有粘度を有するもの)の製造方法を提供する。一実施形態では、官能化は少なくとも部分的にPPE反応溶液を濃縮するフラッシュ法で行う。別の実施形態では、PPE反応溶液を濃縮するフラッシュプロセスに先立って少なく
とも部分的に官能化を行う。さらに別の実施形態では、官能化を少なくとも部分的に脱揮式押出機で行う。これらの実施形態及びその他の実施形態は以下の説明で明らかとなろう。
【0011】
本発明で用いるPPEは次式の構造単位を複数含んでなる公知のポリマーである。
【0012】
【化1】

【0013】
式中、各構造単位は同一でも異なるものでもよく、各構造単位において、各Q1は独立にハロゲン、第一又は第二低級アルキル(すなわち炭素原子数7以下のアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、或いは2以上の炭素原子でハロゲン原子と酸素原子とが隔てられているハロ炭化水素オキシ基であり、各Q2は独立に水素、ハロゲン、第一又は第二低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、炭化水素オキシ或いはQ1について定義したハロ炭化水素オキシである。大抵は、各Q1はアルキル又はフェニル、特にC1-4アルキル基であり、各Q2は水素である。
【0014】
単独重合体及び共重合体のPPE共に包含される。好ましい単独重合体は2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を含むものである。好適な共重合体には、かかる単位を(例えば)2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と共に含むランダム共重合体がある。その他、ビニル単量体又はポリスチレンのようなポリマーをグラフトして得られる部分を含んだPPE、並びに低分子量ポリカーボネートやキノンや複素環式化合物やホルマールのようなカップリング剤を公知の方法で2本のポリ(フェニレンエーテル)鎖のヒドロキシ基と反応させてさらに高分子量のポリマーとしたカップリング化ポリフェニレンエーテル(ただし、実質量の遊離OH基が残存していることを条件とする)も包含される。さらに、官能性末端基をもつ反応性化合物との反応で得られる官能
性末端基含有PPEも包含される。
【0015】
PPEの分子量及び固有粘度は、意図するPPEの最終用途に応じて、広く変化し得る。PPEの固有粘度(以下「IV」という。)は25℃のクロロホルム中で測定して大抵は約0.08〜0.60dl/gの範囲内にあり、好ましくは約0.10〜0.49dl/gの範囲内にある。本発明の方法の意外な一面は極めて広範囲のIVを利用できることである。
【0016】
PPEは通例2,6−キシレノールや2,3,6−トリメチルフェノール又はこれらの混合物のような1種類以上のモノヒドロキシ芳香族化合物の酸化カップリングによって製造される。かかる酸化カップリングには概して触媒系が使用されるが、触媒系は通例、銅、マンガン又はコバルト化合物のような少なくとも1種類の重金属化合物を通常はその他様々な物質との組合せで含んでいる。
【0017】
以上の説明から当業者には自明であろうが、本発明での使用が想定されるPPEには、構造単位及び副次的な化学的特徴の変化とは無関係に、現在公知のすべてのものが包含される。
【0018】
フェノール系モノマーの重合は、適当な反応溶媒及び好ましくは銅−アミン触媒に1種類以上のフェノール系モノマーを添加することによって実施し得る。例えば塩化第二銅とジ−n−ブチルアミンのような第二銅−第二アミン触媒の存在下で重合を実施するのが好ましい。重合は、無機臭化アルカリ金属又は臭化アルカリ土類金属の存在下で実施するのが有利である。この無機臭化物はフェノール系モノマー100モル当たり約0.1〜約150モルの量で使用し得る。こうした触媒物質は米国特許第3733299号(Cooper他)に記載されている。所望に応じて、テトラアルキルアンモニウム塩も促進剤として使用し得る。こうした促進剤は米国特許第3988297号(Bennett他)に開示されている。
【0019】
触媒錯体の第一、第二又は第三アミン成分は概して米国特許第3306874号及び同第3306875号(Hay)に開示されているものに対応する。具体例には、脂肪族モノアミン及びジアミンを始めとする脂肪族アミンがあり、脂肪族基は直鎖又は枝分れ鎖の炭化水素又は環式脂肪族とし得る。好ましいのは、脂肪族第一・第二・第三モノアミン及び第三ジアミンである。特に好ましいのは、アルキル基の炭素原子数が1〜6のモノ−、ジ−又はトリ−(低級)アルキルアミンである。通例、モノ−、ジ−又はトリ−メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル又はn−ブチル置換アミン、モノ−又はジ−シクロヘキシルアミン、エチルメチルアミン、モルホリン、N−(低級)アルキル環式脂肪族アミン、例えばN−メチルシクロヘキシルアミン、N,N′−ジアルキルエチレンジアミン
、N,N′−ジアルキルプロパンジアミン、N,N,N′−トリアルキルペンタンジアミンなどを使用できる。さらに、ピリジン、α−コリジン、γピコリンなどの環式第三アミンも使用できる。特に有用なのは、N,N,N′,N′−テトラアルキルエチレンジアミン、ブタン−ジアミンなどである。
【0020】
かかる第一・第二・第三アミンの混合物を使用してもよい。好ましいモノアルキルアミンはn−ブチルアミンであり、好ましいジアルキルアミンはジ−n−ブチルアミンであり、好ましいトリアルキルアミンはトリエチルアミンである。好ましい環式第三アミンはピリジンである。反応混合物中での第一及び第二アミンの濃度は広い範囲で変え得るが、低濃度で添加するのが望ましい。第三アミン以外のアミンで好ましい範囲は、一価フェノール100モル当たり約2.0〜約25.0モルである。第三アミンの場合、好ましい範囲はかなり広く、一価フェノール100モル当たり約0.2〜約1500モルである。第三アミンを用いる場合、反応混合物から水を除去しないときは、フェノール100モル当たり約500〜約1500モルのアミンを使用するのが好ましい。反応混合物から水を除去
する場合、トリエチルアミンやトリエチルアミンのような第三アミンはフェノール100モル当たり下限として約10モル使用すれば足りる。N,N,N′,N′−テトラメチルブタンジアミンのような第三アミンはさらに少量で使用でき、フェノール100モル当たり約0.2モル程度まで減らすことができる。
【0021】
このプロセスに適した第一銅塩及び第二銅塩の典型例は上記Hayの米国特許に記載されている。こうした塩には、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、アジ化第一銅、硫酸テトラミン第一銅、酢酸第一銅、酪酸第一銅、トルイル酸第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、アジ化第二銅、硫酸テトラミン第二銅、酢酸第二銅、酪酸第二銅、トルイル酸第二銅などがある。好ましい第一銅又は第二銅塩には、ハロゲン化物、アルカン酸塩又は硫酸塩があり、例えば、臭化第一銅及び塩化第一銅、臭化第二銅及び塩化第二銅、硫酸第二銅、フッ化第二銅、酢酸第一銅及び酢酸第二銅がある。第一及び第二アミンの場合、銅塩の濃度は低く保つのが望ましく、好ましくは一価フェノール100モル当たり約0.2〜2.5モルである。第三アミンの場合、銅塩は好ましくは一価フェノー
ル100モル当たり約0.2〜約15モルとなる量で使用される。
【0022】
銅アミン触媒の製造には、概してハロゲン化第二銅の方がハロゲン化第一銅よりも低コストである点で好ましい。銅(I)化学種を用いると、重合反応の初期段階での酸素利用率も大幅に増大するが、反応器ヘッドスペースの酸素濃度の低下は反応器中での火災又は爆発の危険性を減らすのに役立つ。好適な銅−アミン触媒の製造・使用方法は米国特許第3900445号(Cooper他)に記載されている。
【0023】
銅(I)系触媒で初期反応速度を高めると、未反応モノマーの蓄積も減り、不要なテトラメチルジフェニルキノンの生成量が減少する。テトラメチルジフェニルキノンはバックワードダイマーであり、平衡化反応を通じてPPEに組み込まれると考えられる。平衡化反応は、このダイマーの組込みによってPPEの分子量が減少するため、PPEの固有粘度の低下を招く。分子量の減少並びにバックワードダイマーによる平衡化の際の損失を相殺するため所望の分子量よりも高い分子量にしなければならないという付随した問題を避けるため、酸化カップリング時のテトラメチルジフェニルキノンを最小限に抑えるのが望ましい。意外なことに、本発明は、フェノール系モノマーの酸化重合後の平衡化段階の際に反応混合物中のPPEが示すIV低下が10%未満、好ましくは5%未満、最も好まし
くは3%未満となる方法を与えることが判明した。
【0024】
重合反応は好ましくは溶媒中で行われる。好適な溶媒は上記Hayの米国特許に開示されている。ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン及びo−ジクロロベンゼンのような芳香族溶媒が特に好ましいが、テトラクロロメタン、トリクロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン及びトリクロロエチレンも使用できる。溶媒とモノマーの重量比は通常1:1〜20:1の範囲、換言すれば最大で溶媒が20倍過剰までである。溶媒とモノマーの重量比は好ましくは1:1〜10:1の範囲内にある。
【0025】
本発明の方法を低IVのPPEの製造に用いたときの予想外の利点の一つは、高IV(すなわちIV>0.28)PPEの製造プロセスと比べて固形分配合量を高めることができることである。高分子量ポリマーにつきものの溶液粘度の増大を生じることなく、最終固形分濃度を20%以上に増大させることができ、30%以上に増やすことも可能である。従って、本発明の方法は、反応容器のサイズや数を増大させずに、反応器の利用性及び生産性を高める方法を与える。
【0026】
反応時間、温度、酸素流量などの重合のプロセス・反応条件は所望の正確な目標分子量に基づいて変更する。重合の終点はインライン式粘度計で決定するのが便利であるが、分子量を測定する、所定の反応時間まで反応を続ける、所定の末端基濃度に調節する、溶液中の酸素濃度を調節するなどといった他の方法も利用できる。
【0027】
本発明の重合段階を実施する温度は概して約0〜約95℃の範囲にある。さらに好ましくは温度範囲は約35〜約45℃であり、反応の終了点付近で反応温度は高くなる。これよりかなり高い温度では不都合な反応副生物を生じる副反応が起こりかねず、かなり低い温度では溶液中で氷晶が形成される。
【0028】
本発明の実施に当たっては、重合反応終了後に触媒と錯化させるため多種多様な抽出剤又はキレート剤を使用し得る。例えば、硫酸、酢酸、アンモニウム塩、重硫酸塩及び各種キレート剤を使用し得る。これらの物質をPPE反応溶液に加えると、銅−アミン触媒が被毒され、酸化はそれ以上起こらなくなる。多種多様な物質を使用し得るが、米国特許第3838102号(Bennett他)に開示されたキレート剤を用いるのが好ましい。
【0029】
有用なキレート剤には、例えば酒石酸カリウムナトリウム、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸、グリシンのような多官能性カルボン酸含有化合物があり、特に好ましくは、ポリアルキレンポリアミンポリカルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノカルボン酸、ポリカルボン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアルカリ金属−アルカリ土類金属混合塩から選択される。好ましい試薬には、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸及びこれらの塩がある。特に好ましいのは、エチレンジアミノ四酢酸又はその一、二、三もしくは四ナトリウム塩であり、得られる銅錯体は銅カルボン酸塩錯体と呼ぶことができる。
【0030】
キレート化した金属触媒成分は、液体/液体遠心分離を利用することにより、重合反応で生じた水で抽出することができる。本発明の方法に使用するのに好ましい抽出液は低級アルカノールの水溶液、すなわち水と炭素原子数1〜4のアルカノールとの混合物である。一般に、約1〜約80体積%のアルカノール又はグリコールを使用し得る。これらの比は、水性抽出液と分離有機相との体積にして約0.01:1〜約10:1に変更し得る。
【0031】
反応媒質は概して水性環境を含んでいる。銅(I)化学種の沈殿を促進するため水性媒質と共に反溶剤を併用してもよい。適当な反溶剤の選択は、沈殿させようとする銅(I)化学種の溶解度係数にある程度依存する。ハロゲン化物は水に極めて不溶性であり、25℃でのlogK[sp]値はCuCl、CuBr及びCuIでそれぞれ−4.49、−8.23及び−11.96である。水への溶解度は、CuCl2、CuCl3及びCuCl4などの形成による過剰のハロゲンイオンの存在によって、また他の錯形成種によって増大する。反溶剤の非限定的な例には、水溶液に若干の溶解度をもつ低分子量アルキル炭化水素及び芳香族炭化水素、ケトン、アルコールなどがある。当業者であれば、反溶媒を使用する場合、その種類及び量を適宜選択できるはずである。
【0032】
触媒の除去後、PPEの単離の一貫として含PPE溶液を濃縮して固形分を高める。意外なことに、この溶剤除去プロセスの前及び/又は途中で、相溶化剤又は官能化剤としても知られる1種類以上の官能化試薬の添加によって、PPEを容易に官能化できることが判明した。1種類以上の官能化剤の添加位置は、試薬の安定性、単離条件下での試薬の揮発性、添加点に関する装置の順応性などの幾つかの因子に依存する。単離プロセスにおいて揮発性であるような官能化剤の場合、PPEを官能化する前に官能化剤が除去されてしまわないように溶剤除去の前に官能化剤を添加するのが好ましいことが多い。揮発性の低い官能化剤については、添加位置に関する自由度を増すことができる。プロセス途中の幾つかの点で官能化剤を添加することも可能である。
【0033】
一実施形態では、官能化剤には、(i)炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)カルボン酸、酸無水物、酸アミド、酸エステル、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群の1以上の化学種とを共に有する化合物がある。PPEの官能化を達成するのに有用な例示的化合物には、無水マレイン酸、フマル酸、N−フェニルマレイミドや1,4−フェニレン−ビス−メチレン−α,α′−ビスマレイミドのようなマレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水メチルナジン酸、脂肪油(例えば、大豆油、キリ油、アマニ油、ゴマ油など)、アクリル酸オルトエステル及びメタクリル酸オルトエステル、アクリル酸やクロトン酸やメタクリル酸やオレイン酸のような不飽和カルボン酸、アリルアルコールやクロチルアルコールのような不飽和アルコ
ール、アリルアミンのような不飽和アミン、並びにフマル酸トリエチルアンモニウムやフマル酸トリ−n−ブチルアンモニウムのような不飽和酸のトリアルキルアミン塩がある。有用な官能化PPEを製造するためのかかる試薬の典型例は米国特許第4315086号、同第4755566号、同第4888397号及び同第5247006号に記載されている。
【0034】
非高分子系脂肪族ポリカルボン酸も官能化PPEの製造に有用である。この群の化学種には、例えば、次式で表される脂肪族ポリカルボン酸及び酸エステルがある。
【0035】
(RIO)mR(COORII)n(CONRIIIIV)s
式中、Rは炭素原子数2〜20、好ましくは2〜10の直鎖又は枝分れ飽和脂肪族炭化水素であり;RIは水素又は炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜4のアルキル、アリール、アシルもしくはカルボニルジオキシ基からなる群から選択され、水素が特に好ましく;RIIは各々独立に水素又は炭素原子数1〜20、好ましくは1〜10のアルキルもしくはアリール基からなる群から選択され;RIII及びRIVは各々独立に水素又は炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、最も好ましくは1〜4のアルキル基もしくはアリール基から基本的になる群から選択され;mは1に等しく、(n+s)は2以上であって、好ましくは2又は3に等しく、n及びsは各々0以上であり、(ORI)はカルボニル基に対してα位又はβ位にあり、少なくとも2つのカルボニル基は炭素原子
2〜6個で隔てられている。RI、RII、RIII及びRIVは、各置換基の炭素原子数が6未満のときは、アリールとなり得ないことは自明である。
【0036】
好適なポリカルボン酸の具体例は、クエン酸、リンゴ酸及びアガリシン酸であり、これらの酸の各種の市販形態、例えば無水物及び水和物も包含される。本発明で有用な酸エステルの具体例には、クエン酸アセチル、クエン酸モノステアリル及び/又はクエン酸ジステアリルなどがある。本発明で役立つ好適な酸アミドには、N,N′−ジエチルクエン酸アミド、N,N′−ジプロピルクエン酸アミド、N−フェニルクエン酸アミド、N−ドデシルクエン酸アミド、N,N′−ジドデシルクエン酸アミド及びN−ドデシルリンゴ酸アミドがある。以上のポリカルボン酸の誘導体も本発明の実施に使用するのに適している。好適な官能化剤の例は、米国特許第4315086号、同第4755566号、同第4873286号及び同第5000897号明細書に見いだすことができる。
【0037】
本発明の方法で官能化PPEを製造するのに有用な他の官能化剤としては、アシル官能基と、カルボン酸、酸無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群の1以上の化学種とを有する化合物がある。非限定的な例には、クロロホルミルコハク酸無水物、クロロエタノイルコハク酸無水物、無水トリメリト酸クロライド、1−アセトキシ−アセチル−3,4−ジ安息香酸無水物、テレフタル酸クロライド、及びエポキシアルキルクロロシアヌレートやクロロアリールオキシトリアジンを始めとする反応性トリアジンがある。その他の例は米国特許第4600741号及び同第4642358号に見いだすことができる。
【0038】
PPEの適切な官能化に必要とされる上述の官能化剤の量は、最終組成物中の各種成分間の相溶性を改善するのに十分な量である。前述の通り、相溶性の改善の指標としては、耐積層性、向上した引張特性及び衝撃特性のような物理的性質の向上、及び静止及び/又は低剪断条件下でのブレンド成分相間の形態の安定化などがある。
【0039】
上述の官能化剤の有効量は、PPEの量を基準にして、一般に約8重量%以下であり、好ましくは約0.05〜約4重量%である。最も好ましい実施形態では、官能化剤の量は、PPEの量を基準にして約0.1〜約2.0重量%の範囲にある。実際の使用量は、官能化剤の分子量、官能化剤1分子当たりの反応性種の数と種類、及び最終樹脂ブレンド組成物に望まれる相溶性の程度にも依存する。
【0040】
PPE含有溶液の濃縮は、好ましくは含PPE溶液の温度を上げながら、溶剤フラッシュ容器の内圧を下げることによって達成される。約35〜50バールの圧力が望ましく、溶液の温度は200℃以上、好ましくは230℃以上に上げる。PPEの固形分は55%以上、好ましくは65%以上であるのが望ましい。
【0041】
PPEの単離には全体単離(トータルアイソレーション)プロセスが好ましい。全体単離プロセスの一部として、全体単離装置上での溶剤負荷を低減すべく溶媒の一部を除去するのが好ましい。官能化剤は、単離プロセスの幾つかの地点でPPEに有効に添加できる。例えば、官能化剤は、溶剤の除去前に添加してもよいし、反応混合物の濃縮時に添加してもよいし、その両方であってもよい。同様に、官能化剤は、濃縮反応溶液と共に、最終溶剤除去装置に添加することもできる。或いは、官能化剤は幾つかの異なる位置で同時に加えてもよい。添加位置の選択は実際に使用する装置及び官能化剤の特性によって決まり、最適位置が求まる。
【0042】
PPEの単離は好ましくは脱揮式押出機で行うが、噴霧乾燥、拭取式薄膜蒸発装置(wiped-film evaporator)、フレーク蒸発、及びメルトポンプ付フラッシュ容器を含む方法も、これらの方法の様々な組み合わせを含めて有用であり、場合によっては好ましい。前述の通り、オリゴマー種が沈殿の場合と同程度には除去されないという点で、全体単離が好ましい。同様に、単離収率は極めて高く、ほぼ定量的である。ただし、これらの技術では、溶液中に触媒が少しでも残っていると必然的にPPE中に単離されてしまうので、前段のプロセス段階で触媒の除去を終えておく必要がある。
【0043】
脱揮式押出機及び脱気法は当技術分野で公知であり、典型的には、溶剤除去用のベントセクションを複数備えた二軸押出機が用いられる。脱揮式押出機は、大抵は、単純供給、脱揮及び液体シール形成のような操作に適した数多くのタイプのエレメントをもつスクリューを含んでいる。こうしたエレメントには、単純輸送用に設計された前進フライトスクリューエレメント、並びに強力混合用及び/又はシール形成用の後退フライト付スクリュー及びシリンドリカルエレメントがある。特に有用なものは、一方のスクリューが他方よりも長く押出される材料がダイを効率的に流れる異方向回転非噛合型二軸押出機である。かかる装置は上記Welding Engineers, Inc.を始めとする様々な製造業者から入手可能である。
【0044】
本発明の実施に当たっては、予め予熱した含PPE濃縮溶液を脱揮式押出機に供給し、約300℃未満、好ましくは約275℃未満の温度に維持し、真空ベント内圧力を約1バール未満とする。正確な温度は、PPEのIV及びそのIV樹脂に関連する相当粘度に大きく依存する。官能化剤は押出機の長さ方向の様々な位置で添加でき、良好な結果を与える。その結果、その結果、溶剤量は約1200ppm未満、好ましくは約600ppm未満、最も好ましくは約400ppm未満に低下する。
【0045】
脱揮式押出機の使用によって得られるもう一つの予想外の結果は、このプロセスで得られる収率が極めて高いことであった。例えば、低IV(典型的には約0.08〜約0.25dl/g程度)PPEでも99%を上回るPPE収率が得られたのに対して、当技術分野で公知の沈殿法では同様の低IV PPEの収率は90%未満であった。このように、脱揮式押出機を含む本発明の方法は、酸化カップリングに使用した一価フェノールの量を基準として、90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上の収率で通例約0.08〜約0.25dl/gの固有粘度範囲にある低分子量官能化ポリフェニレンエーテル樹脂を製造する方法を与える。
【0046】
上述の通り、低IV官能化PPEの全体単離に脱揮式押出機を用いる場合、従来と同様に押出物のストランドを水中冷却又は水噴霧冷却した後で押出物をペレットに細断すると、おそらくは低IV PPEの低い溶融強度と固有の脆性のため、不十分な結果を与えることが判明した。こうした問題は特殊な造粒(ペレット化)技術で克服できることが判明した。有効な技術には、水中ペレット化とフレーク化、水噴霧を用いる低角度ストランドペレット化及び振動落下ペレット化を始めとするダイフェースペレット化があり、水中ペレット化が特に好適である。
【0047】
回収PPEペレットは、遠心乾燥機、回分式又は連続式オーブン乾燥機及び流動床などを始めとする当技術分野の標準的手法を用いて乾燥させることができる。適当な一群の条件は、多大な実験を行わなくても、当業者が容易に決定することができる。
【0048】
官能化PPEを完全に単離する代わりに、同一プロセスでの脱気官能化PPEに1種類以上の樹脂を添加してもよい。1種類以上の樹脂は脱揮式押出機に供給してもよいが、追加の押出機を使用してもよい。可能な変形には、1種類以上の樹脂を脱揮式押出機中に溶融供給すること、脱揮式押出機からの官能化PPEを第二のコンパウンディング押出機に溶融供給すること、及びこれらの組合せがある。従って、一実施形態では、官能化PPEを完全に単離しなくても本発明の方法で相溶化ブレンドが得られる。1種類以上の樹脂は広範囲で選択でき、そうした相溶化ブレンドに共通した添加剤を含んでいてもよい。かかる添加剤には、耐衝撃性改良剤、滑剤、難燃剤、顔料、着色剤、充填材、強化材、炭素繊維及びフィブリルなどがある。好ましい樹脂には、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリ
ーレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、官能化ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなどがある。
【0049】
引用した特許の開示内容は援用によって本明細書に取り込まれる。
【0050】
当業者が本発明を容易に実施することができるように、以下に限定ではなく例示を目的とした実施例を挙げる。
【実施例】
【0051】
重合反応
典型的な実験室での反応方法及び反応条件を以下に示す。
【0052】
触媒溶液は、100mlのトルエン中で0.41gの臭化第一銅と10.9gのジ−n−ブチルアミンを攪拌することによって調製できる。触媒を、内部冷却コイルと酸素導入管とモノマー導入管を備えた1リットル攪拌ガラス反応器に移す。反応器の底近くに酸素の急速流を導入し、高速攪拌した溶液に、100mlトルエン中の70gの2,6−キシレノールの溶液を計量ポンプを通して15分かけて加える。恒温浴から冷却コイルに水を循環させて温度を最初は約40℃、反応終期にかけて約45℃/48℃に維持する。目標IVに達する約100〜107分の典型的な反応時間で分子量増加を連続的にモニターする。
【0053】
ガラス反応容器中で、銅触媒を水相に溶解させるためニトリロ三酢酸(NTA)又は他の銅錯体形成試薬のような錯化剤を添加して銅触媒を錯化した。平衡化時間は約70分であり、温度は約55℃であった。触媒は遠心で除去した。
【0054】
以上の条件は実験室規模の反応のためのものであるが、当業者に多大な負担を与えることなく工業設備で実施される商業プロセスに拡大できる。
【0055】
予備濃縮
商業規模での典型的条件は次の通りである。含PPE溶液を約40バールの圧力で240℃以上の温度に予熱する。溶液をフラッシュ容器中で低圧にフラッシュして約65%以上のPPE固形分とする。予備濃縮を行わないときの全体単離装置に対する溶剤負荷を低減するため、こうした高い固形分が望ましい。典型的条件を次の表に示す。
【0056】
【表1】

【0057】
全体単離
単離は好ましくは脱揮式押出機内で行う。好ましい脱揮式押出機は、バックフィード能力を備えた同方向回転式二軸押出機である。低揮発物含量とするため脱揮用ベントセクションが複数あるのが好ましい。
【0058】
押出機内におけるPPE官能化
比較のために、PPE粉末(IV=0.32dl/g)を官能化するため以下に記載の押出機を用いた。
【0059】
【表2】

【0060】
以下の各官能化剤を、PPEの重量を基準として2重量%の量でPPEと混合した。
a)フマル酸(FA)、粉末(M=116、mp=300℃)
b)無水マレイン酸(MA)、ミルドペレット(M=98、mp=55℃、bp=200℃)
c)メタクリル酸グリシジル(GMA)、液体(M=142、bp=189℃)
押出試料を90℃/50mmHgで8時間乾燥した。
【0061】
精製
PPEグラフト試料10gをトルエン75mlに溶解した後、FA及びMAについては1リットルのメタノール中で沈殿させ、濾過し、少量のメタノールで洗浄した。
【0062】
GMAについては、メタノールの代わりにアセトンを用いた。試料を90℃/50mmHgで8時間乾燥した。
【0063】
【表3】

【0064】
グラフト計算
a.PPE−g−FA:ナトリウムメトキシドによる酸滴定で測定。
出発:2重量%FA≡172μmolFA/g≡345μeq酸/g
押出後:146μeq酸/g≡73μmolFA/g≡0.85重量%
沈殿後:63μeq酸/g≡32μmolFA/g≡0.37重量%
転化率:32/172×100%=18.6%グラフト化
b.PPE−g−MA:ナトリウムメトキシドによる酸滴定で測定。
出発:2重量%MA≡204μmolFA/g≡204μeq酸/g
押出後:144μeq酸/g≡144μmolMA/g≡1.41重量%
沈殿後:80μeq酸/g≡80μmolMA/g≡0.78重量%
転化率:80/204×100%=39.2%グラフト化
c.PPE−g−GMA:エポキシ基に対するFTIRで測定。
出発:2重量%GMA≡141μmolGMA/g≡141μeqエポキシ/g
押出後:0.97重量%エポキシ/g≡69μmolGMA/g≡69μeqエポキシ/g
抽出後:0.31重量%エポキシ/g≡22μmolGMA/g≡22μeqエポキシ/g
転化率:22/141×100%=15.6%グラフト化。
【0065】
溶液中でのPPEの官能化
反応溶液中でのPPEの官能化の有用性を例証するため、5.5重量%の官能化剤を含有するトルエン中に溶解した20重量%PPE溶液を窒素でパージし、攪拌しながら約240℃に約30分間加熱した。脱揮により反応溶媒を除去した。抽出と生成物単離を含む官能性測定の手順は押出機グラフト部と同様に行った。
【0066】
無水マレイン酸のグラフト化効率は67.2%、フマル酸は87.1%であった。これらの代表的データから分かる通り、従来技術のPPE官能化に比べて、本発明の方法で高いグラフト効率が得られることは予想し得ないことであった。
【0067】
本明細書の開示内容からこれらの実施形態及びその他の実施形態は明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
官能化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法であって、当該方法が、反応溶液中で含酸素ガスと金属錯体触媒を用いて1種類以上の一価フェノール化学種を酸化カップリングしてポリフェニレンエーテル樹脂を生成させ、反応溶媒の脱揮のための1以上の単離段階時にポリフェニレンエーテル樹脂を官能化することを含んでなる方法。
【請求項2】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化を少なくとも部分的にフラッシュ法で行ってポリフェニレンエーテル樹脂反応溶液を濃縮する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化を少なくとも部分的に脱揮式押出機で行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化が、ポリフェニレンエーテル樹脂を、(i)炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)カルボン酸、酸無水物、酸エステル、酸アミド、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群の1以上の化学種とを共に有する官能化剤と反応させることからなる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記官能化剤が、無水マレイン酸、フマル酸、N−フェニルマレイミド、1,4−フェニレン−ビス−メチレン−α,α′−ビスマレイミド、マレイン酸ヒドラジド、無水メチルナジン酸、脂肪油、アクリル酸オルトエステル、メタクリル酸オルトエステル、不飽和カルボン酸、不飽和アルコール、不飽和アミン、及び不飽和酸のトリアルキルアミン塩からなる群の1種類以上の化学種である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記官能化剤が、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、フマル酸、及びこれらの誘導体からなる群の1種類以上の化学種である、請求項4記載の方法。
【請求項7】
ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化が、ポリフェニレンエーテル樹脂を、次式で表される脂肪族ポリカルボン酸及び酸エステルからなる官能化剤と反応させることからなる、請求項1記載の方法。
(RIO)mR(COORII)n(CONRIIIIV)s
(式中、Rは炭素原子数2〜20の直鎖又は枝分れ飽和脂肪族炭化水素であり、RIは水素又は炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基、アシル基もしくはカルボニルジオキシ基からなる群から選択され、RIIは各々独立に水素又は炭素原子数1〜20のアルキル基もしくはアリール基からなる群から選択され、RIII及びRIVは各々独立に水素又は炭素原子数1〜10のアルキル基もしくはアリール基から基本的になる群から選択され、mは1に等しく、(n+s)は2以上であり、n及びsは各々0以上であり、(ORI)はカルボニル基に対してα又はβであり、少なくとも2つのカルボニル基は炭素原子2〜6個で隔てられており、RI、RII、RIII及びRIVは各置換基の炭素原子数が6未満のときはアリール基とはなりえない。)
【請求項8】
前記脂肪族ポリカルボン酸及び酸エステルがクエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸、並びにこれらの無水物及び水和物からなる群の1種類以上の化学種である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化が、ポリフェニレンエーテル樹脂を、アシル官能基とカルボン酸、酸無水物、酸アミド、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群の1以上の化学種とを有する1種類以上の官能化剤と反応させることからなる、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記官能化剤がクロロホルミルコハク酸無水物、クロロエタノイルコハク酸無水物、無水トリメリト酸クロライド、1−アセトキシ−アセチル−3,4−ジ安息香酸無水物、テレフタル酸クロライド、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド、エポキシアルキルクロロシアヌレート、及びクロロアリールオキシトリアジンの1種類以上である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
脱揮を少なくとも部分的に脱揮式押出機で達成する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記一価フェノール化学種が2,6−ジメチルフェノールからなる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記官能化ポリフェニレンエーテル樹脂が25℃のクロロホルム中で測定して約0.08〜約0.60dl/gの範囲内の固有粘度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記官能化ポリフェニレンエーテル樹脂が25℃のクロロホルム中で測定して約0.08〜約0.16dl/gの範囲内の固有粘度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
脱揮を少なくとも部分的に脱揮式押出機及び水中ペレタイザで達成する、請求項1記載の方法。
【請求項16】
ポリフェニレンエーテル樹脂と他の1種類以上のポリマー樹脂との相溶化ブレンドの製造方法であって、当該方法が、(i)反応溶液中で含酸素ガスと金属錯体触媒を用いて1種類以上の一価フェノール化学種を酸化カップリングしてポリフェニレンエーテル樹脂を生成させ、反応溶媒の脱揮のための1以上の単離段階時にポリフェニレンエーテル樹脂を官能化することを含んでなる方法で製造した官能化ポリフェニレンエーテル樹脂と、(ii)該官能化ポリフェニレンエーテル樹脂を単離せずに、該官能化ポリフェニレンエーテル樹脂とは別の1種類以上のポリマー樹脂とを混合することを含んで
なる、方法。
【請求項17】
ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化を少なくとも部分的にフラッシュ法で行ってポリフェニレンエーテル樹脂反応溶液を濃縮する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化を少なくとも部分的に脱揮式押出機で行う、請求項16記載の方法。
【請求項19】
脱揮を少なくとも部分的に脱揮式押出機で達成する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
他の1種類以上のポリマー樹脂を少なくとも部分的に脱揮式押出機に添加する、請求項16記載の方法。
【請求項21】
官能化PPEをコンパウンディング押出機に溶融供給することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
他の1種類以上のポリマー樹脂を少なくとも部分的にコンパウンディング押出機に添加する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
ポリマー樹脂が、ポリアミド、ポリエステル、ポリアリーレンスルフィド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、官能化ポリオレフィン、ポリスルホン及びポリエーテルスルホンからなる群から選択される1種類以上の樹脂である、請求項16記載の方法。
【請求項24】
ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化が、ポリフェニレンエーテル樹脂を、(i)炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合と(ii)カルボン酸、酸無水物、酸アミド、イミド、アミン、オルトエステル、ヒドロキシ及びカルボン酸アンモニウム塩からなる群の1以上の化学種とを共に有する官能化剤と反応させることからなる、請求項16記載の方法。
【請求項25】
一価フェノール化学種が2,6−ジメチルフェノールからなる、請求項16記載の方法。
【請求項26】
官能化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法であって、反応溶液中で含酸素ガスと金属錯体触媒を用いて1種類以上の一価フェノール化学種を酸化カップリングしてポリフェニレンエーテル樹脂を生成させ、金属錯体触媒の少なくとも一部を除去し、反応溶媒の脱揮のための1以上の単離段階の前にポリフェニレンエーテル樹脂を官能化することを含んでなる方法。
【請求項27】
反応溶媒の脱揮を少なくとも部分的に脱揮式押出機で行う、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ポリフェニレンエーテル樹脂の官能化が反応溶液のフラッシュ除去の前である、請求項26記載の方法。

【公開番号】特開2009−35747(P2009−35747A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295395(P2008−295395)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【分割の表示】特願2000−597344(P2000−597344)の分割
【原出願日】平成11年12月7日(1999.12.7)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】