説明

官能基化された磁性ナノ粒子およびその使用法

本発明は、官能基を含む、官能基化された磁性ナノ粒子を提供し、該官能基化された磁性ナノ粒子は、脳組織、骨、及び血管組織を含む組織に対する示差的結合を示す。本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子を含む薬学的組成物を含有する組成物を提供する。本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子の使用を含む、診断法及び調査法を提供する。本発明はさらに、核磁気共鳴画像法(MRI)可視薬物送達系およびその合成法を提供する。MRI可視薬物送達系は、MRIを用いた薬物の分布の決定及び組織特異的薬物送達における用途を有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、磁性ナノ粒子の分野、および、組織の画像化、例えば核磁気共鳴画像法における、その使用の分野に属する。なお本出願は、2005年3月21日に出願され、その全体が参照により本明細書に組み入れられている、米国仮特許出願第60/664,046号の恩典を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ナノ粒子は、そのサイズが典型的には直径1ナノメートル程度から数百ナノメートル程度の範囲にわたる、非常に小さな粒子である。その小さなサイズによって、染料及び顔料;美観的または機能的なコーティング;生物学的発見、医学的画像化、および治療のための道具;磁気記録媒体;量子ドット;ならびにさらに均質でナノサイズの半導体などの様々な製品の製造のために、ナノ粒子を活用することができる。
【0003】
磁性ナノ粒子の使用は、核磁気共鳴画像法、悪性細胞の高体温治療(hyperthermic treatment)、および薬物送達を含む、様々な生物医学的目的のために提唱されている。画像化における主要な課題とは、罹患組織と正常組織とを識別する能力である。本発明はこの需要に対処するほか、関連した利点も提供する。
【0004】
引用文献
米国特許第6,548,264号(特許文献1)、同第6,767,635号(特許文献2); Berry and Curtis (2003) J Phys. D: Applied Physics 36:R198-R206(非特許文献1); Pankhurst et al. (2003) J Phys. D: Applied Physics 36:R167-R181(非特許文献2); Dousset et al. (1999) Am. J. Neuroradiol. 20:223-227(非特許文献3); Dunning et al. (2004) J Neurosci. 24:9799-9810(非特許文献4); Dousset et al. (1999) Magnetic Resonance in Medicine 41:329-333(非特許文献5); Moghimi et al. (2001) Pharmacol. Rev. 53:283-318(非特許文献6)。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,548,264号
【特許文献2】米国特許第6,767,635号
【非特許文献1】Berry and Curtis (2003) J Phys. D: Applied Physics 36:R198-R206
【非特許文献2】Pankhurst et al. (2003) J Phys. D: Applied Physics 36:R167-R181
【非特許文献3】Dousset et al. (1999) Am. J. Neuroradiol. 20:223-227
【非特許文献4】Dunning et al. (2004) J Neurosci. 24:9799-9810
【非特許文献5】Dousset et al. (1999) Magnetic Resonance in Medicine 41:329-333
【非特許文献6】Moghimi et al. (2001) Pharmacol. Rev. 53:283-318
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、官能基を含む、官能基化された磁性ナノ粒子を提供し、該官能基化された磁性ナノ粒子は、脳組織、骨、及び血管組織を含む組織に対する示差的結合を示す。本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子を含む薬学的組成物を含有する組成物を提供する。本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子の使用を含む、診断法及び調査法を提供する。本発明はさらに、核磁気共鳴画像法(MRI)可視薬物送達系、および、その合成法を提供する。MRI可視薬物送達系は、MRIを用いた薬物の分布の決定及び組織特異的薬物送達における用途を有する。
【0007】
定義
本明細書で使用される「ナノ粒子」という用語は、直径約1〜1000nmの粒子を指す。同様に、「ナノ粒子」という用語は、平均直径が約1〜1000nmの複数の粒子を指す。
【0008】
ナノ粒子の「サイズ」に対する言及は、ナノ粒子の最長の直線の寸法の長さに対する言及である。例えば、完全に球形のナノ粒子のサイズとは、その直径である。
【0009】
本明細書で使用される「特異的に結合する」という語句は、1つの分子が、試料中の特定の第二の分子を認識して付着するが、該試料中の他の分子は実質的に認識も付着もしないという状況を指す。例えば、予め選択された抗原に「特異的に結合する」抗体とは、該抗原に、約10-7 Mを上回る結合親和性で結合する、例えば、少なくとも約10-7 M、少なくとも約10-8 M、もしくは少なくとも約10-9 Mの、または10-9 Mを上回る結合親和性で結合する、抗体である。
【0010】
本明細書で使用される「官能基」という用語は、「官能部分」および「官能リガンド」と同義で用いられ、化学基を有する物(例えばナノ粒子)に特定の機能を与える化学基を指す。例えば、官能基は、特定の分子に結合することが知られている抗体、オリゴヌクレオチド、ビオチン、もしくはストレプトアビジンなどの物質;または、アミン、カルボキシレートなどの小さな化学基を含むことができる。
【0011】
本明細書で使用される「対象」または「個体」または「患者」とは、それに対する診断、予後、または療法が望ましい任意の対象を指し、一般には、本発明にしたがって実施されるべき診断法、予後判定法(prognostic method)、または治療法のレシピエントを指す。対象は任意の脊椎動物であってよいが、典型的には哺乳動物である。哺乳動物の場合、多くの態様において対象はヒトであるが、家畜、実験対象、またはペットであってもよい。
【0012】
本明細書において用いられる「治療」、「治療すること」などの用語は、所望の薬理学的および/または生理学的な効果を得ることを指す。該効果は、疾病またはその症状の完全または部分的な防止という点で予防的であってもよく、かつ/または、疾病および/もしくは該疾病に起因する副作用に関する部分的または完全な治癒という点で治療的であってもよい。本明細書で用いられる「治療」とは、哺乳動物、特にヒトにおける疾病の全ての治療を包含し、かつ以下の段階を含む:(a)疾病の素因を持ちうるが、それを有するとまだ診断されていない(例えば、原疾病に関連または起因しうる疾病を含む)対象において、疾病または疾病の症状の発生を防止する段階;(b)疾病を阻害する、即ち、その進行を阻止する段階;および(c)疾病を緩和する、即ち、疾病の後退を引き起こす段階。
【0013】
本発明をさらに説明する前に、本発明はこのように当然変動しうるため、記載される特定の態様に限定されないことが理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されうるので、本明細書中で使用される専門用語は、単に特定の態様を説明することを目的として用いられ、限定を意図したものではないことも理解されるべきである。
【0014】
値の範囲が提供される場合には、その範囲の上限値と下限値の間の、特記されない場合は下限値の単位の10分の1までの各介在値(intervening value)、及び、該規定範囲内の任意の他の規定値または介在値が、本発明に含まれることが認識される。これらのより狭い範囲の上限値及び下限値は、該より狭い範囲に独立して含まれてもよく、かつ、任意の特に排除された境界値が該規定範囲内にあるならば、本発明にも含まれる。規定範囲が境界値の一方または両方を含む場合には、これら含まれる境界値のいずれかまたは両方とも含まない範囲も、本発明の範囲に含まれる。
【0015】
特に定義していない限り、本明細書で用いた全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施または検証においては、本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法および材料が使用可能であるが、以下に好ましい方法および材料を説明する。本明細書中で言及された全ての刊行物は、該刊行物が関連して引用される方法及び/または材料の開示および説明のために、参照により本明細書に組み入れられる。
【0016】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形の「1つの(a)」「ある(an)」および「その(the)」は、特記されない限り、複数の指示対象も含むことに留意しなければならない。したがって、例えば、「官能基化された磁性ナノ粒子」という言及は、複数のそのようなナノ粒子を含み、「薬物」という言及は、1つまたは複数の薬物および当業者に公知のその同等物に対する言及を含み、その他も同様である。さらに、添付の特許請求の範囲は、任意の必須でない要素を除外するように起草される可能性があることに留意されたい。このように、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連する「単独で(solely)」、「のみ(only)」などのような排他的な用語の使用についての、又は「消極的」な限定の使用についての根拠としてはたらくことが意図されている。
【0017】
本明細書に記述の刊行物は、本出願の出願日より以前の開示のみについて提供される。本明細書におけるいかなる記載も、先行発明に基づいて本発明がそのような刊行物に先立つ権利を有さないと自認したと解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日は、実際の公開日とは異なる可能性があり、それらは個別に確認する必要がありうる。
【0018】
発明の詳細な説明
本発明は、それに接合した官能部分を有する、官能基化された磁性ナノ粒子を提供し、該官能基化された磁性ナノ粒子は、特定の種類の組織、例えば脳組織、骨、または血管組織に対する示差的結合を示す。本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物を提供する。本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子の使用を含む、診断法、予後判定法、治療法、及び調査法を提供する。本発明はさらに、核磁気共鳴画像法(MRI)可視薬物送達系、および、その合成法を提供する。MRI可視薬物送達系は、MRIを用いた薬物の分布の決定及び組織特異的薬物送達における用途を有する。
【0019】
官能基化された磁性ナノ粒子
本発明は、それに接合した官能部分を有する、官能基化された磁性ナノ粒子(MNP)を提供し、該官能基化された磁性ナノ粒子は、特定の種類の組織、例えば脳、骨、または血管組織に対する示差的結合を示す。本官能基化された磁性ナノ粒子は、様々な診断、予後判定、治療、および調査の用途に関して有用である。
【0020】
磁性ナノ粒子
本ナノ粒子は、一般に、約1 nm〜約1000 nm、例えば、約1 nm〜約10 nm、約10 nm〜約50 nm、約50 nm〜約100 nm、約100 nm〜約250 nm、約250 nm〜約500 nm、約500 nm〜約750 nm、または約750 nm〜約1000 nmの範囲の平均サイズを有する。一部の態様において、平均直径は、約10 nm〜約1000 nm、例えば、約10 nm〜約20 nm、約20 nm〜約40 nm、約40 nm〜約60 nm、約60 nm〜約80 nm、約80 nm〜約100 nm、約100 nm〜約200 nm、約200 nm〜約400 nm、約400 nm〜約600 nm、約600 nm〜約800 nm、または約800 nm〜約1000 nmの範囲であると考えられる。
【0021】
ナノ粒子は、分子の単純な凝集体であってもよく、または、異なる物質の2つまたはそれ以上の層へと構造化されてもよい。例えば、磁鉄鉱または磁赤鉄鉱からなる単純なナノ粒子が、使用に適している。例えば、Scientific and Clinical Applications of Magnetic Microspheres, U. Hafeli, W. Schutt, J. Teller, and M. Zborowski (eds.) Plenum Press, New York, 1997;およびTiefenauer et al., Bioconjugate Chem. 4:347, 1993を参照されたい。より複雑なナノ粒子は、ある物質で作製されたコア、および、別の(複数の)物質で作製された1つまたは複数のシェルからなってよい。「磁性ナノ粒子」という用語は、常磁性ナノ粒子、反磁性ナノ粒子、および強磁性ナノ粒子を含む。
【0022】
本発明によるナノ粒子の典型的なコア材料は、一般組成MeOxFe2O3のフェライトであり、式中、MeはCo、Mn、またはFeなどの二価の金属である。その他の適切な材料は、γ-Fe2O3、純粋な金属のCo、Fe、Ni、ならびに、カーバイドおよびニトリドなどの金属化合物である。コア材料は一般に、MRI可視物質である。コア材料は、典型的にはコーティングされている。適切なコーティングには、デキストラン、アルブミン、デンプン、シリコンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
多くの異なる種類の小粒子(ナノ粒子またはミクロンサイズの粒子)が、以下を含むいくつかの異なる製造元より販売されている: Bangs Laboratories(Fishers, Ind.); Promega(Madison, Wis.); Dynal Inc.(Lake Success, N.Y.); Advanced Magnetics Inc.(Surrey, U.K.); CPG Inc.(Lincoln Park, N.J.); Cortex Biochem(San Leandro, Calif.); European Institute of Science(Lund, Sweden); Ferrofluidics Corp.(Nashua, N.H.); FeRx Inc.;(San Diego, Calif.); Immunicon Corp.;(Huntingdon Valley, Pa.); Magnetically Delivered Therapeutics Inc.(San Diego, Calif.); Miltenyi Biotec GmbH(USA); Microcaps GmbH(Rostock, Germany); PolyMicrospheres Inc.(Indianapolis, Ind.); Scigen Ltd.(Kent, U.K.); Seradyn Inc.;(Indianapolis, Ind.); およびSpherotech Inc.(Libertyville, Ill.)。これらの粒子の大部分は、摩砕および粉砕、乳化重合、ブロック共重合、ならびにマイクロエマルジョンなどの従来技術を用いて作製されている。
【0024】
シリカナノ粒子を作製する方法もまた報告されている。このプロセスには、微結晶コア凝集(Philipse et al., Langmuir, 10:92, 1994);介在シリカによる超常磁性ポリマーナノ粒子の強化(fortification)(Gruttner, C and J Teller, Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 194:8, 1999);および、マイクロ波媒介性自己集合(Correa-Duarte et al., Langmuir, 14:6430, 1998)が含まれる。
【0025】
本ナノ粒子コアは磁性であり、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、およびグレイジャイト(greigite)からなる群より選択される金属を含むことができる。磁性ナノ粒子は、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、およびグレイジャイトなどの磁性材料をコアの一部として用いて作製できる。そのような磁性コアの全体的なサイズおよび形状を変動させることにより、超常磁性のまたは安定な単一のドメイン(磁場から除去された後も安定な磁気モーメントを保持する粒子)を作製することができる。コアサイズは、磁性ナノ粒子が超常磁性または単一のドメインのいずれであるかに関連する。したがって、比較的等しい寸法の(equidimensional)超常磁性粒子は、一般に、サイズが50〜80nm未満のコアを有する。この上限を上回る粒子サイズにおいては、内部の磁性エネルギーを最小化するために、粒子の磁性は分割されて、異なる磁性ベクトルのドメインとなる。
【0026】
一部の態様において、コアは、過マンガン酸カリウム、重クロム酸カリウム、硫酸ニッケル、塩化コバルト、塩化鉄(III)、または硝酸銅などの無機塩でありうる顔料を含む。同様に、コアは、Ru/Bpy、Eu/Bpyなどの染料、または、AgおよびCdなどの金属を含むことができる。
【0027】
一部の態様において、本修正ナノ粒子は、コアおよび、コアを包むシリカシェルを含む。例えば米国特許第6,548,264号に記載のように、官能基はシリカシェルに接合される。官能基をシリカに接着させるための数多くの既知の方法を、本発明における使用のために適合化させることができる。例えば、Ralph K. Iler, The Chemistry of Silica: Solubility, Polymerization, Colloid and Surface Properties, and Biochemistry, Wiley-Interscience, NY, 1979; VanDerVoort, P. and Vansant, E. F., Journal of Liquid Chromatography and Related Technologies, 19:2723-2752, 1996; およびImmobilized Enzymes. Antigens, Antibodies, and Peptides: Preparation and Characterization, Howard H. Weetall (ed.), M. Dekker, NY, 1975を参照されたい。シリカでコーティングされたナノ粒子に官能基を加えるための典型的なプロセスには、化学基と反応してそれをナノ粒子のシリカ表面に共役させるシラン処理剤(silanizing agent)でナノ粒子を処置する段階が含まれる。化学基は、それ自身が官能基であってもよく、または官能基が共役できる基質としてはたらいてもよい。
【0028】
例えば、例示的な方法において、シリカでコーティングされたナノ粒子が上述のように調製され、粒子表面が、第1級アミン基をシリカ表面に接着させるシラン処理剤であるトリメチルシリルプロピルジエチレントリアミン(DETA)を用いて、シラン処理される。次に、臭化シアン(CNBR)法を用いて、抗体またはその他のタンパク質を、シラン処理された表面に共有結合により共役させることができる。一例として、予めDETAでシラン処理されたシリカでコーティングされたナノ粒子を2M炭酸ナトリウム緩衝液中で懸濁し、混合物を超音波処理して粒子懸濁物を作製することによって、CNBR媒介性共役を達成することができる。次に、CNBR溶液(例えば、2 gのCNBR/1 mlのアセトニトリル)を粒子懸濁物に加えて、ナノ粒子を活性化させる。ナノ粒子を中性緩衝液(例えばPBS(pH8))で洗浄した後、活性化ナノ粒子懸濁物に抗体溶液を加え、抗体をナノ粒子に結合させた。また、残りの未反応部位を全て遮断するために、抗体でコーティングされたナノ粒子にグリシン溶液を加えることもできる。
【0029】
一部の態様において、磁性ナノ粒子はデキストランでコーティングされている。磁性ナノ粒子は、任意の既知のプロセスを用いて作製される。例えば、磁性鉄-デキストラン粒子は、10 mlの50% (w/w) 水性デキストランT-40(Pharmacia)と、1.51 gのFeCl3-6H2Oおよび0.64 gのFeCl2-4H2Oを含む等量の水溶液とを混合することによって調製される。撹拌しながら、水浴で15分間加熱して60〜65℃にした7.5% (v/v) NH4OHの液滴を滴加することによって、混合物をpH10〜11まで滴定する。その後、低速臨床遠心機において600×gで5分間の遠心分離を3回繰り返すことによって、凝集体を除去する。強磁性鉄-デキストラン粒子は、Sephacryl-300を用いるゲル濾過クロマトグラフィーによって、未結合のデキストランから分離される。次に、5mlの反応混合物を2.5×33 cmカラムに流して、0.1 M酢酸ナトリウムおよび0.15 M NaCl(pH6.5)で溶出させる。空隙用量で収集された精製強磁性鉄-デキストラン粒子は、乾燥重量分析によって決定された7〜10mg/mlの濃度を有すると考えられる。Molday and Mackenzie (1982) Journal of Immunological Methods 52:353-367。Xianqiao (2003) China Particuology Vol.1, No.2, 76-79も参照されたい。
【0030】
一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は式M-(L)-Zであり、LとZの間の連結部位は共有結合した官能基を有し、式中、Mは磁性コア粒子を表し、Lは任意のリンカー基を表し、Zは官能基を表す。別の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は式M-S-(L)-Zであり、SとL、およびLとZの間の連結部位は共有結合した官能基を有し、式中、Mは磁性コア粒子を表し、SはMに固定された生体適合性の物質を表し、Mは磁性コア粒子を表し、Lは任意のリンカー基を表し、Zは官能基を表す。官能基には、特定の組織型または細胞型への結合を提供する部分;BBBの横断を提供する部分;治療剤などが含まれる。
【0031】
一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、同じコア粒子に接着した2つまたはそれ以上の異なる官能基を含む。例えば、一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、式M-(L)-Z1Z2またはM-S-(L)-Z1Z2であり、式中、Z1およびZ2は異なる官能基である。一部の態様において、例えば、Z1は組織特異的結合部分であり、Z2は治療剤である。他の態様において、例えば、Z1は細胞型特異的結合部分であり、Z2は治療剤である。他の態様において、例えば、Z1はBBBの横断を提供する部分であり、Z2は治療剤である。他の態様において、例えば、Z1はBBBの横断を提供する部分であり、Z2は組織特異的結合部分である。他の態様において、例えば、Z1は罹患組織への結合を提供する部分であり、Z2は治療剤である。一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、少なくとも第三の官能部分Z3を含む。
【0032】
上述のように、磁性コア粒子は、磁鉄鉱、磁赤鉄鉱、一般式MeOxFe2O3のフェライト(式中、Meはコバルト、マンガン、鉄などの二価の金属である)、または、コバルト、鉄、ニッケル、炭化鉄、もしくは窒化鉄からなる。存在する場合、基質Sは、デキストラン、カルボキシメチルデキストラン、デンプン、ジアルデヒドデンプン、キチン、アルジネート、セルロース、カルボキシメチルセルロースなどの多糖もしくはオリゴ糖またはそれらの誘導体、アルブミン、ペプチドなどのタンパク質またはその誘導体、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリメタクリレートなどの合成ポリマー、メルカプトコハク酸またはヒドロキシカルボン酸などの二官能性カルボン酸およびその誘導体などの化合物によって、形成される。
【0033】
リンカー基Lは、ポリカルボン酸およびジカルボン酸、ポリヒドロキシカルボン酸、ジアミン、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、脂質、リポタンパク質、糖タンパク質、レクチン、オリゴ糖、多糖、オリゴヌクレオチドおよびそのアルキル化誘導体、ならびに、一本鎖または二本鎖の形状のいずれかで存在する核酸(DNA、RNA、PNA)およびそのアルキル化誘導体などの化合物の反応によって形成され、該化合物は、少なくとも2つの同一または異なる官能基を含む。
【0034】
本官能基化された磁性ナノ粒子は、血液脳関門を通過することができる。例えば、本官能基化された磁性ナノ粒子は、1つまたは複数のポリマーを含んでもよく、これは、ナノ粒子に接着してもよく、もしくはナノ粒子と共に製剤化されてもよく、または、ナノ粒子をコーティングしてもよい。血液脳関門の横断を促進する適切なポリマーには、ポリソルベート(例えばTween(登録商標)20、40、60、および80)、Pluronic(登録商標)F 68などのポロキサマーなどの界面活性剤が含まれるが、これらに限定されるわけではない。一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、例えば、Tween(登録商標)80(モノオレイン酸ポリオキシエチレン-80-ソルビタン)、Tween(登録商標)40(モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、Tween(登録商標)60(モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)、Tween(登録商標)20(モノラウリン酸ポリオキシエチレン-20-ソルビタン)、モノパルミチン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレン20ソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレン20ソルビタンなどのポリソルベートでコーティングされる。また、例えば、ポリエーテル、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)、ポリエチレンオキシド(「PEO」)、ポリエチレンオキシド-コ-ポリプロピレンオキシド(「PPO」)、コ-ポリエチレンオキシドブロックまたはランダムコポリマー、およびポリビニルアルコール(「PVA」)などのポリアルキレンオキシド;ポリ(ビニルピロリドン)(「PVP」);ポリ(アミノ酸);デキストラン、ならびに、アルブミンなどのタンパク質を含む水溶性のポリマーも、使用に適している。例えば、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシド(PEO-PPO-PEO)トリブロックコポリマー(例えばPluronic(登録商標)F68)などのブロックコポリマーは、使用に適している(例えば米国特許第6,923,986号を参照されたい)。血液脳関門を横断するためのその他の方法は、例えばChen et al. (2004) Curr. Drug Delivery 1:361-376を含む、さまざまな刊行物において考察されている。
【0035】
一部の態様において、本官能基化されたMNPは、細網内皮系(RES)の回避(evasion)を提供する1つまたは複数の薬剤を含む。RESの回避を提供する薬剤には、ポロキサミン508、ポロキサミン908、ポロキサミン1508等のポロキサミンなどのブロックコポリマー非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。一部の態様において、本官能基化されたMNPは、約1%のポロキサミンを含む。
【0036】
ナノ粒子はまた、血液脳関門(BBB)内に存在する特定の送達チャネルを利用することによって、BBBを横断して移行することもできる。1つの非限定的な例として、ナノ粒子へのα-メチルトリプトファンの接着によって、トリプトファンチャネルがこれらの粒子を受容するようになり、かつ、BBBを横断する送達が補助される。その他の機構は、BBBに存在するチャネルを介するまたは介さない、経細胞輸送および血管外遊出である。
【0037】
本官能基化された磁性ナノ粒子は、神経外科的技術を用いて中枢神経系(CNS)に送達されうる。事故の被害者などの重体患者または様々な型の認知症患者の場合には、その付随するリスクにかかわらず、外科的介入が正当である。例えば、脳室内注射または髄腔内注射などのCNSへの直接の物理的導入によって、本官能基化された磁性ナノ粒子を送達することができる。脳室内注射は、例えばオマヤレザバーなどのレザバーに取り付けられた脳室内カテーテルによって、容易になりうる。また、導入法は、充電式装置または生分解性装置によっても提供されうる。別のアプローチは、血液脳関門の透過性を増大させる物質による、血液脳関門の混乱(disruption)である。例としては、マンニトールなどの難拡散性(poorly diffusible)薬剤、エトポシドなどの脳血管透過性を増大させる薬物、またはロイコトリエンなどの血管作用薬の動脈内注入が挙げられる。Neuwelt and Rappoport (1984) Fed. Proc. 43:214-219; Baba et al. (1991) J. Cereb. Blood Flow Metab. 11:638-643; およびGennuso et al. (1993) Cancer Invest. 11:638-643。
【0038】
さらに、診断または治療を必要とする領域に対して本官能基化された磁性ナノ粒子を局所的に投与するのが望ましい可能性がある;これは、例えば、手術中の局所注入、注射、カテーテル、またはインプラントにより達成されうる。該インプラントは、シラスティック膜などの膜、または繊維を含む、多孔性の、非多孔性の、またはゼラチン状の材料で作製される。
【0039】
また、本官能基化された磁性ナノ粒子が血液脳関門を横断するように、化学修飾を含む薬理学的技術を使用することによって、本官能基化された磁性ナノ粒子を送達することもできる。血液脳関門を横断して正常に移行するナノ粒子に似るように、ナノ粒子の疎水性を増大させるため、ナノ粒子の実効電荷もしくは分子量を減少させるため、またはナノ粒子を修飾するために、本官能基化された磁性ナノ粒子を修飾してもよい。Levin (1980) J. Med. Chem. 23:682-684; Pardridge (1991) in: Peptide Drug Delivery to the Brain;およびKostis et al. (1994) J. Clin. Pharmacol. 34:989-996。
【0040】
また、リポソームなどの疎水性環境における本官能基化された磁性ナノ粒子のカプセル化も、CNSへの薬物の送達に有効である。例えば、国際公開公報第91/04014号には、血液脳関門を横断して正常に移行する分子が添加されたリポソーム内で、薬物がカプセル化される、リポソーム送達系が記載されている。
【0041】
本官能基化された磁性ナノ粒子を製剤化して血液脳関門を通過させる別の方法とは、本官能基化された磁性ナノ粒子をシクロデキストリン中にカプセル化することである。α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない、血液脳関門を通過する任意の適切なシクロデキストリンを用いることができる。概して、米国特許第5,017,566号、同第5,002,935号、および同第4,983,586号を参照されたい。また、このような組成物は、米国特許第5,153,179号に記載のグリセロール誘導体も含む。
【0042】
一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、脳内の細胞に入ることができる、例えば、細胞膜を通過して細胞の細胞質に入ることができる。脳内の細胞に入るための機構には、例えば、適切な膜チャネルの媒介を伴うまたは伴わない、経細胞輸送および血管外遊出が含まれる。
【0043】
治療剤
一部の態様において、組織への送達のために、例えば、罹患脳組織、罹患血管組織、または罹患骨組織などの特定の組織への標的化された送達のために、本官能基化された磁性ナノ粒子は1つまたは複数の治療剤をさらに含む。治療剤の性質は、治療される状態または病理に部分的に依存しうる。例えば、疾患がてんかんである場合、適切な治療剤には抗てんかん性の(anti-eizure)薬剤が含まれるが、これに限定されない。疾患が脳腫瘍である場合、適切な治療剤には抗新生物薬が含まれるが、これに限定されない。疾患が、血管組織または骨組織の炎症状態である場合、適切な治療剤には抗炎症剤が含まれるが、これに限定されない。
【0044】
適切な治療剤には以下が含まれるが、これらに限定されない:シナプス部位および神経効果器接合部位で作用する薬物;オピオイド鎮痛剤およびアンタゴニストなどの全身性および局所性の鎮痛剤および麻酔剤;催眠剤および鎮静剤;うつ病、統合失調症などの精神疾患の治療用の薬物;抗てんかん剤および抗痙攣剤;ハンチントン病、加齢、およびアルツハイマー病;神経保護剤(興奮性アミノ酸アンタゴニストおよび向神経性因子など)および神経修復剤(neuroregenerative agent);脳由来神経栄養因子、毛様神経栄養因子、または神経成長因子などの栄養因子;CNS外傷または卒中の治療を目的とした薬物;依存症および薬物濫用の治療のための薬物;オータコイドおよび抗炎症剤;寄生虫感染症および微生物病に対する化学療法剤;免疫抑制剤および抗癌剤;ホルモンおよびホルモンアンタゴニスト;重金属および重金属アンタゴニスト;非金属毒性物質に対するアンタゴニスト;癌の治療のための細胞増殖抑制剤;放射線療法用の免疫活性剤および免疫反応剤;伝達物質、その各受容体-アゴニストおよび各受容体-アンタゴニスト、その各前駆体または代謝産物などの、その他いくつかの薬剤;抗生物質、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、制吐剤、弛緩薬、覚醒剤、「センス」および「アンチセンス」オリゴヌクレオチド、大脳拡張薬(cerebral dilator)、向精神薬、抗躁剤、血管拡張剤および血管収縮剤、高血圧治療剤、片頭痛治療剤、催眠剤、血糖上昇剤または血糖降下剤、ミネラル物質または栄養物質、抗肥満薬、タンパク質同化剤(anabolics)、ならびに抗喘息薬。
【0045】
いくつかの適切な治療剤は、Gilman et al. (1990), "Goodman and Gilman's-The Pharmacological Basis of Therapeutics", Pergamon Press, New Yorkに記載されており、以下を含む:
アセチルコリンおよび合成コリンエステル、天然のコリン作動性アルカロイドおよびその合成コンジナー、抗コリンエステラーゼ薬、神経節興奮薬、アトロピン、スコポラミン、および関連する抗ムスカリン薬、エピネフリン、ノルエピネフリン、およびドーパミンなどのカテコールアミンおよび交感神経作動薬、アドレナリン作動性アゴニスト、アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト、GABA、グリシン、グルタメート、アセチルコリン、ドーパミン、5-ヒドロキシトリプタミン、およびヒスタミンなどの伝達物質、神経刺激ペプチド;オピオイド鎮痛剤およびアンタゴニストなどの鎮痛剤および麻酔剤;ベンゾジアゼピン、バルビツレート、抗ヒスタミン剤、フェノチアジン、およびブチルフェノン(butylphenone)などの麻酔前投薬および麻酔投薬;オピオイド;制吐剤;アトロピン、スコポラミン、またはグリコピロレートなどの抗コリン作動薬;コカイン;クロラール誘導体;エトクロルビノール;グルテチミド;メチプリロン;メプロバメート;パラアルデヒド;ジルスフィラム;モルヒネ、フェンタニル、およびナロキソン;中枢作用性鎮咳剤;フェノチアジン、チオキサンテン、およびその他の複素環化合物(例えばハルペリオドール(halperiodol))などの精神病薬;デシミプラミンおよびイミプラミンなどの三環系抗うつ剤;異型抗うつ剤(atypical antidepressant)(例えばフルオキセチンおよびトラゾドン)、イソカルボキサジドなどのモノアミンオキシダーゼ阻害剤;リチウム塩;クロルジアゼポキシドおよびジアゼパムなどの抗不安薬;ヒダントイン、抗痙攣バルビツレート、イミノスチルビン(iminostilbine)(カルバマゼピンなど)、スクシンイミド、バルプロ酸、オキサゾリジンジオン、およびベンゾジアゼピンを含む抗てんかん剤;L-DOPA/CARBIDOPA、D2、およびD3アゴニストおよびアンタゴニスト、アポモルフィン、アマンタジン、エルゴリン、セレジリン(selegeline)、ロピニロール(ropinorole)、メシル酸ブロモクリプチン、および抗コリン作動薬などのパーキンソン病治療薬;バクロフェン、ジアゼパム、およびダントロレンなどの鎮痙剤;興奮性アミノ酸アンタゴニスト、神経栄養因子および脳由来神経栄養因子、毛様神経栄養因子、または神経成長因子などの神経保護剤;ニューロトロフィン(NT)3(NT3);NT4およびNT5;ガングリオシド;神経修復剤;オピオイドアンタゴニストおよび抗うつ剤を含む、依存症および薬物濫用の治療のための薬物;ヒスタミン、ブラジキニン、カリジン、それぞれの各アゴニストおよびアンタゴニストなどのオータコイドおよび抗炎症剤;寄生虫感染症および微生物病に対する化学療法剤;アルキル化剤(例えばニトロソ尿素)および代謝拮抗剤を含む抗癌剤;ナイトロジェンマスタード、エチレンアミン、およびメチルメラミン(methylmelamine);アルキルスルホネート;葉酸類似体;ピリミジン類似体、プリン類似体、ビンカアルカロイド;ならびに抗生物質。
【0046】
官能部分
広範な官能基(部分)を、磁性ナノ粒子に接着することができる。磁性ナノ粒子への接着に適した官能基は、予め選択された特定の脳組織、血管組織、または骨組織に、直接的または間接的に、示差的にまたは選択的に結合する。上述したとおり、一部の態様において、官能基は治療剤である。
【0047】
特定の組織(例えば脳組織、血管組織、または骨組織)に「示差的に結合する」または「選択的に結合する」とは、官能基化された磁性ナノ粒子が、第一の脳、血管、または骨組織への結合が第二の脳、血管、または骨組織への結合と識別可能であるような様式で、第一の組織に結合することを意味する。例えば、一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、第一の脳組織への結合が第二の脳組織への結合と識別可能であるような様式で、第一の脳組織に結合する。他の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、第一の血管組織への結合が第二の血管組織への結合と識別可能であるような様式で、第一の血管組織に結合する。他の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、第一の骨組織への結合が第二の骨組織への結合と識別可能であるような様式で、第一の骨組織に結合する。
【0048】
一例として、一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、第二の脳組織に対するよりも、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、または少なくとも約50倍もしくはそれ以上高い親和性で、第一の脳組織に結合する。別の例として、一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、第二の血管組織に対するよりも、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、または少なくとも約50倍もしくはそれ以上高い親和性で、第一の血管組織に結合する。一例として、一部の態様において、本官能基化された磁性ナノ粒子は、第二の骨組織に対するよりも、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、または少なくとも約50倍もしくはそれ以上高い親和性で、第一の骨組織に結合する。
【0049】
一部の態様において、第一の脳組織は罹患脳組織であり、第二の脳組織は正常な非罹患脳組織である。他の態様において、第一の脳組織は正常(非罹患)脳組織であり、第二の組織は罹患脳組織である。他の態様において、第一の脳組織は、第一組織型の第一の非罹患脳組織であり、第二の組織は、第二組織型の第二の非罹患脳組織である。他の態様において、第一の脳組織は、外部または内部の刺激による刺激前の脳組織であり、第二の脳組織は、外部または内部の刺激による刺激後の同じ脳組織である。
【0050】
一部の態様において、第一の血管組織は罹患血管組織であり、第二の血管組織は正常な非罹患血管組織である。他の態様において、第一の血管組織は正常(非罹患)血管組織であり、第二の組織は罹患血管組織である。例えば、罹患血管組織には、炎症を起こした(例えば炎症反応が該血管組織においてまたはその近傍で起こった)血管組織が含まれる。他の態様において、第一の血管組織は、任意の外部または内部の要因による損傷(compromise)前の血管組織であり、第二の血管組織は、同じ外部または内部の要因による損傷後の同じ血管組織である。損傷を受けた血管組織は、罹患するか、または、少なくとも1つの生理的パラメータが正常血管組織とは異なるような何らかの妨害を受ける。炎症を起こした血管組織は、損傷を受けた血管組織の一例である。
【0051】
一部の態様において、第一の骨組織は罹患骨組織であり、第二の骨組織は正常な非罹患骨組織である。他の態様において、第一の骨組織は正常(非罹患)骨組織であり、第二の組織は罹患骨組織である。例えば、罹患骨組織には、炎症を起こした(例えば炎症反応が該骨組織においてまたはその近傍で起こった)骨組織が含まれる(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、糖尿病などの炎症性骨吸収疾患における骨破壊)。その他の態様において、第一の骨組織は、任意の外部または内部の要因による損傷前の骨組織であり、第二の血管組織は、同じ外部または内部の要因による損傷後の同じ骨組織である。損傷を受けた骨組織は、罹患するか、または、少なくとも1つの生理的パラメータが正常骨組織とは異なるような何らかの妨害を受ける。
【0052】
一部の態様において、官能部分とは、非罹患正常脳組織よりもずっと大きな親和性で、罹患脳組織に結合するものである。他の態様において、官能部分とは、罹患脳組織よりもずっと大きな親和性で、正常脳組織に結合するものである。一部の態様において、官能部分とは、第二の非罹患脳組織よりもずっと大きな親和性で第一の非罹患脳組織に結合するものである。他の態様において、官能部分とは、外部または内部の刺激による刺激前の第一の脳組織よりもずっと大きな親和性で、外部または内部の刺激による刺激後の同じ脳組織に結合するものである。
【0053】
一部の態様において、官能部分とは、非罹患正常血管組織よりもずっと大きな親和性で、罹患血管組織に結合するものである。他の態様において、官能部分とは、罹患血管組織よりもずっと大きな親和性で、正常血管組織に結合するものである。他の態様において、官能部分とは、任意の外部または内部の要因による損傷前の第一の血管組織よりもずっと大きな親和性で、同じ外部または内部の要因による損傷後の同じ血管組織に結合するものである。
【0054】
一部の態様において、官能部分とは、非罹患正常骨組織よりもずっと大きな親和性で、罹患骨組織に結合するものである。他の態様において、官能部分とは、罹患骨組織よりもずっと大きな親和性で、正常骨組織に結合するものである。他の態様において、官能部分とは、任意の外部または内部の要因による損傷前の第一の骨組織よりもずっと大きな親和性で、同じ外部または内部の要因による損傷後の同じ骨組織に結合するものである。
【0055】
適切な官能基には以下が含まれるが、これらに限定されない:脳、血管、または骨組織内に存在するエピトープに特異的に結合する抗体;脳、血管、または骨組織の細胞の形質膜上に存在する受容体に特異的に結合するリガンド;脳、血管、または骨組織の細胞の細胞質内に存在する受容体に特異的に結合するリガンド;脳組織内に存在する構成要素、または、脳、血管、もしくは骨組織内に存在する細胞上に存在する構成要素に特異的に結合する受容体または受容体断片など。例示的には、非限定的な官能基には以下が含まれる:抗体;神経伝達物質(例えば、GABA、グルタメート、NMDA、アヘン剤、アヘン剤類似体、セロトニン、5HT1A、MPPAなど);サイトカイン(例えば、IL-1〜IL-16などのインターロイキン、IFN-γ、IFN-α、IFN-β);受容体アンタゴニストなど。官能基が抗体である場合、適切な抗体には、抗体全体(例えばIgG)、Fv、F(ab')2、およびFabなどの抗体断片、キメラ抗体などが含まれる。
【0056】
本官能基化された磁性ナノ粒子を用いて、罹患組織(例えば脳組織、血管組織、または骨組織)を画像化することができる。罹患脳組織が画像化される神経学的な疾病および疾患には以下が含まれるが、これらに限定されない:脳腫瘍;多発性硬化症(MS);ドヴィック病(ドヴィック症候群または視神経脊髄炎);ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症;ウォーラー変性;てんかん;パーキンソン病;ハンチントン病;筋萎縮性側索硬化症(ALD);アルツハイマー病(AD);クロイツフェルト-ヤコブ病(CJD);薬物依存疾患、例えば、抗うつ剤、抗不安化合物、幻覚誘発性化合物、またはその他の向精神化合物に対する依存;双極性気分疾患(bipolar mood disorder)、統合失調症などの精神疾患など。
【0057】
本官能基化された磁性ナノ粒子を用いて画像化できる血管の疾病および疾患には以下が含まれるが、これらに限定されない:血管手術による再吻合(reanastomosis)もしくは移植の結果としての炎症および/もしくは再狭窄、または、糖尿病などの疾病に起因する、末梢血管系もしくは全身血管系の炎症性疾患。
【0058】
本官能基化された磁性ナノ粒子を用いて画像化できる骨の疾患および変化には以下が含まれるが、これらに限定されない:糖尿病または化学物質または薬物に起因する炎症性応答によりもたらされる骨の変化、および、骨組織から生じるまたは骨組織へ転移する腫瘍性疾患。
【0059】
一部の態様において、官能部分とは、高いまたは低い親和性で脳内のてんかん組織に結合するものである。そのような官能部分の非限定的な例には以下が含まれる:
1) グルコースまたは、フルデオキシグルコースなどのグルコース誘導体、ここでグルコースは、正常な非てんかん組織と比べて、示差的にてんかん組織に取り込まれる;
2) N-メチル-D-アスパルテート(NMDA)、ここでNMDAは、細胞表面のNMDA受容体の増加または減少に応じて、てんかん組織細胞の受容体に示差的に結合する;
3) α-メチルトリプトファン、ここで、α-メチルトリプトファンは、結節性硬化症を有する小児の難知性てんかんにおいて、てんかん誘発性結節(epileptogenic tuber)に選択的に取り込まれる;
4) 腫瘍壊死因子(TNF)およびIL-1、IL-6、IL-10などのインターロイキンなどのサイトカイン、ここで、てんかん組織上のIL-1受容体、IL-6受容体、またはIL-10受容体の発現の増大により、てんかん組織によるIL-1接合磁性ナノ粒子またはIL-6接合磁性ナノ粒子の大量の取り込みがもたらされる;
5) γ-アミノ酪酸(GABA)、ここで、GABAA(GABAA-α1-6、GABAA-β1-3、GABAA-γ2、GABAA-δ、およびGABAA-ε)受容体のレベルにおいて、受容体の神経変性誘発性損失は、歯状回および海馬体のその他部分における受容体サブユニットの著しく改変された発現に付随して起こり、このことは、GABAA受容体の生理学的および薬理学的な改変を示す;
6) アルフェンタニル、ブプレノルフィン、カルフェンタニル(carfentanil)、コデイン、ジヒドロコデイン、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、LAAM、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナロキソン、ナルトレキソン、β-ヒドロキシ-3-メチルフェンタニル、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、レミフェンタニル(remifentanil)、スフェンタニル、チリジン、トラマドールなどの、アヘン剤またはオピオイド;
7) セロトニン、例えば5-ヒドロキシトリプタミン-1A(5HT1A)、およびその他のセロトニン受容体アゴニスト;
8) 3-メチルホスフィニコプロピオン酸(3-methylphosphinicopropionic;MPPA);
9) フルマゼニル、ロラゼパム、ジアゼパム、アルプラゾラム、ブロチゾラム、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、クロラゼペート、デモキセパム(demoxepam)、エスタゾラム、フルラゼパム、ハラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、プラゼパム、クアゼパム、テマゼパム、およびトリアゾラムなどの、ベンゾジアゼピン;
10) グルタメート;ならびに
11) アセチルコリンおよびその他のアセチルコリン受容体アゴニスト。
【0060】
一部の態様において、官能部分とは、ドーパミン神経終末に示差的に結合するものである(例えば、D2およびD3のアゴニストおよびアンタゴニスト)。コカイン認識部位は、それ自体がドーパミン神経終末に局在する、ドーパミン輸送体上に局在する。したがって、これらの部位に結合する薬物は、以下を含む利用可能性を有する:(i) 神経変性疾患に対する画像化プローブ;および(ii) ドーパミン輸送体/コカイン結合部位に対する画像化プローブ。ドーパミン神経終末に示差的に結合する適切な官能部分には、ヨードアルトロパン(Iodoaltropane)などのN-ハロアリルノルトロパン(N-haloallyl nortropane)が含まれる。そのような誘導体の例に関しては、例えば、米国特許第5,853,696号を参照されたい。N-ハロアリルノルトロパン誘導体で官能基化された、官能基化された磁性ナノ粒子は、ドーパミン神経終末の損失に関連する神経変性疾患の画像化に有用であり、そのような疾患にはパーキンソン病が含まれる。
【0061】
適切な官能部分には、アルツハイマー病(AD)に関連する罹患脳組織に示差的に結合する部分が含まれる。適切な官能部分には、β-アミロイドプラークに示差的に結合する薬剤;神経原線維変化(NFT)に示差的に結合する部分;CCR1受容体に結合する部分(例えば、米国特許第6,676,926号に記載の化合物を参照されたい)などが含まれる。適切な官能部分には以下が含まれるが、これらに限定されない:米国特許第6,274,119号に記載の化合物;β-アミロイドタンパク質に対する抗体;NFTの構成要素に対する抗体など。
【0062】
適切な官能部分には、脳腫瘍に示差的に結合する部分、例えば、脳腫瘍細胞の表面で発現したエピトープに示差的に結合する部分が含まれる。脳腫瘍マーカーには、神経膠腫、星状細胞腫などに対するマーカーが含まれる。例えば、Lu et al. (2001) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98:10851; Boon et al. (2004) BMC Cancer 4(1):39を参照されたい。
【0063】
適切な官能部分には、多発性硬化症に冒された脳組織に示差的に結合する部分、ならびに、MSの病理を媒介しかつMSに冒された脳またはその他CNS組織の近傍において見出されうる、単核細胞および/またはCD4+ T細胞の表面で発現した部分が含まれる。
【0064】
適切な官能部分には、外部または内部の刺激に曝露される前の同じ脳組織と比較して、外部または内部の刺激に曝露された後の脳組織に示差的に結合する部分が含まれる。そのような官能部分には以下が含まれる:外部または内部の刺激への曝露後にアップレギュレートされる受容体(例えば細胞表面受容体)に結合する抗体;外部または内部の刺激への曝露後にアップレギュレートされる受容体に結合する受容体リガンド;外部または内部の刺激への曝露後にダウンレギュレートされる受容体(例えば細胞表面受容体)に結合する抗体;外部または内部の刺激への曝露後にダウンレギュレートされる受容体に結合する受容体リガンドなど。外部および内部の刺激には以下が含まれるが、これらに限定されない:電気刺激;薬物、例えば向精神化合物や、抑制薬(オピオイドや、カルフェンタニル、バルビツレート、グルテチミド、メチプリロン、エトクロルビノール、メタクワロン、アルコールなどの合成麻薬);抗不安薬(フルマゼニル、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、アルプラゾラム、オキサゼパム、テマゼパム);覚醒剤(アンフェタミン、メタンフェタミン、コカイン);および幻覚剤(LSD、メスカリン、ペヨーテ、マリファナ)など;音;熱;光;思考;ストレスなど。
【0065】
組成物
本発明はさらに、本官能基化された磁性ナノ粒子を含む薬学的組成物を含有する組成物を提供する。本官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物は、1つまたは複数の、塩、緩衝液、pH調節剤、非イオン性界面活性剤、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤などを含有する。
【0066】
本官能基化された磁性ナノ粒子を含む薬学的組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む。本明細書において用いられる「薬学的に許容される担体」とは、組成物の活性成分と組みあわされた場合に、該成分が生物活性を保持することを可能にし、かつ対象の免疫系またはその他生理的機能の妨害反応を引き起こすことのない、任意の物質を意味する。例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:リン酸緩衝生理食塩水などの任意の標準の薬学的担体、水、油/水乳剤などの乳剤、および、様々な種類の湿潤剤。エアロゾルまたは非経口投与用の例示的な希釈剤は、リン酸緩衝生理食塩水または通常の(0.9%)生理食塩水である。そのような担体を含む組成物は、公知の従来法によって製剤化される(例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Chapter 43, 14th Ed., Mack Publishing Col, Easton PA 18042, USAを参照されたい)。薬学的に許容される賦形剤は、例えば以下を含む様々な刊行物において十分に記載されている:A. Gennaro (2000) "Remington: The Science and Practice of Pharmacy," 20th edition, Lippincott, Williams, & Wilkins; Remington's Pharmaceutical Sciences, 14th Ed. or latest edition, Mack Publishing Col, Easton PA 18042, USA; Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (1999) H.C. Ansel et al., eds., 7th ed., Lippincott, Williams, & Wilkins; およびHandbook of Pharmaceutical Excipients (2000) A.H. Kibbe et al., eds., 3rd ed. Amer. Pharmaceutical Assoc。
【0067】
本官能基化された磁性ナノ粒子を、必要に応じて溶解補助剤、等張剤、懸濁剤、乳化剤、安定剤および保存剤などの通常の添加物とともに、植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステルまたはプロピレングリコールなどの水性または非水性の溶媒中に溶解、懸濁または乳化させることにより、注射用調製物へと製剤化することができる。
【0068】
血液脳関門を横断する、官能基化された磁性ナノ粒子を作製する方法
本発明はさらに、血液脳関門(BBB)を横断する、本官能基化された磁性ナノ粒子を作製する方法を提供する。本方法は概して、直接的にまたはリンカーを介して、官能基を磁性ナノ粒子に接着する段階を含む。一部の態様において、磁性ナノ粒子は、共有結合的にまたは非共有結合的に、官能基またはリンカーが接着した層でコーティングされる。官能基化されたMNPは、いくつかの方法のいずれかでBBBを横断して移行するために調製される。
【0069】
一部の態様において、官能基化されたMNPは、官能基化されたMNPに接着したアポリポタンパク質(例えばapoA、apoB、またはapoE)をさらに含む。アポリポタンパク質は、BBBの内皮細胞への結合を提供し、したがって、官能基化されたMNPがBBBを横断することを提供する。
【0070】
一部の態様において、官能基化されたMNPは、官能基化されたMNPにヒト血清アルブミンおよび/またはアポリポタンパク質を接着することによって、さらに処理される。ヒト血清アルブミン(HSA)は、アセチル基を介して、アミノ基を介して、ポリ(エチレングリコール)(PEG)リンカーを介して、またはチオール結合を介して、共有結合的にまたは非共有結合的に(例えばイオン相互作用を介して)、官能基化されたMNPに接着する。アポリポタンパク質、またはその機能的断片は、共有結合的または非共有結合的にHSAに接着される。例えば、Muller and Keck ((2004) J Nanosci. Nanotechnol. 4:471); およびKreuter et al. ((2002) J Drug Target. 10:317)を参照されたい。アポリポタンパク質のアミノ酸配列は当技術分野で公知であり、例えば、apoEポリペプチドのアミノ酸配列は、例えばGenBankアクセッション番号AAD02505およびAAB59397に見出される。
【0071】
後述するように、一部の態様において、官能基化されたMNPはHSAマトリクス中でカプセル化される。
【0072】
別の態様において、官能基化されたMNPは、ポリソルベート-80を介して官能基化されたMNPに接着したアポリポタンパク質をさらに含む。一部の態様において、官能基化されたMNPにポリソルベート-80を共有結合的にまたは非共有結合的に接着させることによって、官能基化されたMNPがさらに処理される。一部の態様において、ポリソルベート-80は、アセチル基を介して、アミノ基を介して、PEGリンカーを介して、またはチオール結合を介して直接的に、コーティング層に接着する。アポリポタンパク質は、共有結合的にまたは非共有結合的に、ポリソルベート-80に接着する。
【0073】
他の態様において、官能基化されたMNPは、ポリ(ブチルシアノアクリレート)(PBCA)粒子に会合(例えば吸着、共有結合、非共有結合的に会合)し、例えば、官能基化されたMNPはPBCA粒子の表面に吸着される。さらに他の態様において、官能基化されたMNPは、官能基化されたMNPに共有結合的にまたは非共有結合的に接着したポリソルベート-80を含み、かつ、ポリ(ブチルシアノアクリレート)をさらに含む。
【0074】
微生物への取り込み
一部の態様において、官能基化されたMNPまたは官能基化されていないMNPは、微生物、例えば細菌またはウイルスに取り込まれる。官能基化されたまたは官能基化されていないMNPを含む微生物は、インビボにおけるそのような微生物の位置および/または動きの可視化(画像化)に有用である。
【0075】
MRI可視薬物送達系
本発明は、核磁気共鳴画像法(MRI)可視薬物送達系、および、その合成法を提供する。本MRI可視薬物送達系は、上述の官能基化されたMNPを含み、ここで、該官能基化されたMNPは少なくとも1つの薬物(例えば治療剤)を含む。本MRI可視薬物送達系は、体内の薬物分布を決定するための一部の態様において有用である。本MRI可視薬物送達系は、組織特異的薬物送達に関するその他の態様において有用である。例えば、本官能基化されたMNPが組織特異的結合部分および治療剤の両方を含む場合、官能基化されたMNPは組織特異的薬物送達系である。一部の態様において、本薬物送達系は、BBBの横断のために適合化されており、例えば、薬物送達系は、BBBの横断を提供する1つまたは複数の要素を含む。
【0076】
1つの非限定的な例として、第一の官能基が、脳内のてんかん組織への結合を提供し、第二の官能基が、てんかんを治療する治療剤である。てんかんを治療する治療剤には以下が含まれるが、これらに限定されない:ジランチン(硫酸フェニトイン);テグレトール(tegretol)(カルバマゼピン);エピリム(epilim)(バルプロ酸ナトリウム);ザロンチン(zarontin)(エトスクシミド);リベルトリル(rivertril)(クロナゼパム);フリシウム(frisium)(クロバゼパム(clobazepam))など。
【0077】
有用性
本発明はさらに、調査用途、診断用途、および治療用途を含む、本官能基化された磁性ナノ粒子の有用性が見出される様々な用途を提供する。
【0078】
診断方法
本発明は、特定の脳組織を同定または検出するための診断法を提供する。本方法は、概して、本官能基化された磁性ナノ粒子を個体に投与する段階;および、該官能基化された磁性ナノ粒子が結合した脳の領域を画像化する段階を含む。典型的には、本官能基化された磁性ナノ粒子を含む液状薬学的組成物を個体に注射し(例えば静注)、画像化技術によって、該官能基化された磁性ナノ粒子を検出する。多くの態様において、画像化は、核磁気共鳴画像法により行われる。したがって本発明の方法は、生きた対象における特定の脳組織の画像化を可能にする。本発明の方法は、脳内の罹患組織の検出を可能にし、かつ、医療従事者に、疾病の治療を受けている患者の経過をモニタリングする方法も提供する。
【0079】
本診断法は、神経学的な疾病の存在の診断、および/または、以下を非限定的に含む神経学的な疾病または疾患の治療に対する個体の応答のモニタリングに有用である:脳腫瘍;多発性硬化症(MS);てんかん;パーキンソン病;ハンチントン病;筋萎縮性側索硬化症(ALD);ドヴィック病;アルツハイマー病(AD);クロイツフェルト-ヤコブ病(CJD);皮質形成異常;ラスムッセン脳炎;薬物依存疾患、例えば、抗うつ剤、抗不安化合物、幻覚誘発性化合物、またはその他の向精神化合物に対する依存;双極性気分疾患、統合失調症などの精神疾患など。
【0080】
本発明は、再狭窄のリスクを有する血管組織を同定する方法を提供する。本方法は、概して、本官能基化された磁性ナノ粒子を個体に投与する段階;および、該官能基化された磁性ナノ粒子が結合した血管組織を画像化する段階を含む。一部の態様において、血管組織は、正常血管組織と比べて炎症を起こした血管組織に示差的に結合する官能基で官能基化された、本官能基化された磁性ナノ粒子を用いて画像化される。一部の態様において、官能基は、炎症性サイトカインまたは炎症性サイトカインに結合する部分(例えば抗体またはその抗原結合断片)である。適切なサイトカインには、IL-1〜IL-16、およびTNF-αが含まれる。
【0081】
さらに、未接合MNPを有する免疫学的に活性な細胞は血管組織の表面に結合し、血管組織、例えば罹患血管組織を同定するための本方法においてこれを使用することができる。適切な細胞には、単核細胞、T細胞(例えばCD4+ T細胞)などが含まれる。
【0082】
また、本発明は、個体において罹患骨組織を検出するための方法も提供する。本方法は概して、本官能基化された磁性ナノ粒子を個体に投与する段階;および、該官能基化された磁性ナノ粒子が結合した骨組織を画像化する段階を含む。一部の態様において、骨組織は、罹患骨組織に示差的に結合する官能基で官能基化された、本官能基化された磁性ナノ粒子を用いて画像化される。一部の態様において、官能基は、炎症性サイトカインまたは炎症性サイトカインに結合する部分(例えば抗体またはその抗原結合断片)である。適切なサイトカインには、IL-1〜IL-16、およびTNF-αが含まれる。
【0083】
さらに、未接合MNPを有する免疫学的に活性な細胞は骨組織の表面に結合し、骨組織、例えば罹患骨組織を同定するための本方法においてこれを使用することができる。適切な細胞には、単核細胞、T細胞(例えばCD4+ T細胞)などが含まれる。
【0084】
さらに本発明は、個体において、罹患血管組織または罹患骨組織、例えば、炎症に冒された血管組織または炎症に冒された骨組織を検出するための方法を提供する。本方法は概して、官能基化されていない磁性ナノ粒子を、炎症を起こした血管組織または炎症を起こした骨組織に該磁性ナノ粒子が結合するように、個体に投与する段階;および、MRIなどの画像化技術を用いて罹患血管組織または罹患骨組織を画像化する段階を含む。
【0085】
調査用途
本発明は、本官能基化された磁性ナノ粒子を用いる調査用途を提供する。本官能基化された磁性ナノ粒子を対象に注射し、該官能基化された磁性ナノ粒子を画像化により検出する。調査用途には、所与の被験薬剤が特定の疾病に与える効果の分析が含まれる。調査用途には、様々な外部および内部の刺激が正常なおよび罹患した脳組織に与える効果の試験がさらに含まれる。調査用途には、(外部または内部の)様々な損傷要因(compromising cause)が正常なおよび罹患した血管組織または骨組織に与える効果の試験がさらに含まれる。
【0086】
スクリーニング法
調査用途には、所与の被験薬剤が特定の疾病に与える効果を分析するためのスクリーニング法が含まれる。したがって、一部の態様において、本発明は、以下の段階を含む、神経疾患に対する候補治療剤を同定するための方法を提供する:神経疾患の実験用(非ヒト)動物モデル(例えば、多発性硬化症、アルツハイマー病、脳腫瘍、てんかんなどの実験用動物モデル)に、被験薬剤を投与する段階;および、存在する場合、被験薬剤が該神経疾患に関連する神経学的特徴に与える効果を決定する段階。被験薬剤の効果の決定は、以下の段階によって行われる:本官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物を非ヒト動物モデルに投与する段階であって、該官能基化された磁性ナノ粒子が、神経疾患に冒されたまたはそれに関連する罹患脳組織への示差的結合を示す段階;および、該動物の脳において該官能基化された磁性ナノ粒子を検出する段階。典型的には、検出は核磁気共鳴画像法により行われる。
【0087】
特定の神経疾患に関連する神経学的特徴には、例えば以下が含まれる:てんかん病変のサイズ(てんかんについて);多発性硬化症に冒された脳領域のサイズ(多発性硬化症について);β-アミロイドプラークのサイズおよび/または数、NFTのサイズおよび/または数(アルツハイマー病について);脳腫瘍のサイズ(脳腫瘍について)など。様々な神経疾患の動物モデルが、当技術分野で公知である。例えば、多発性硬化症(MS)について、実験的自己免疫性脳炎(EAE;文献においては実験的アレルギー性脳炎とも呼ばれる)モデルは、MSの齧歯類モデルである。ADの様々なマウスモデルが利用可能である;例えばButtini et al. (1999) J Neurosci. 19(12):4867-80を参照されたい。
【0088】
「候補薬剤」、「被験薬剤」、「薬剤」、「物質」、および「化合物」という用語は、本明細書において同義で用いられる。候補薬剤は、数多くの化学的クラス、典型的には、合成、半合成、または天然の無機または有機の分子を包含する。候補薬剤には、合成または天然の化合物の膨大なライブラリから見出されるものが含まれる。例えば、合成化合物ライブラリは、Maybridge Chemical Co.(Trevillet, Cornwall, UK)、ComGenex(South San Francisco, CA)、およびMicroSource(New Milford, CT)から市販されている。希少な化学的ライブラリは、Aldrich(Milwaukee, Wis.)から販売されている。または、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態にある天然化合物のライブラリがPan Labs(Bothell, WA)から販売されており、またはこれらを容易に作製することができる。
【0089】
候補薬剤は、分子量が50ダルトンを上回り約2,500ダルトン未満である、有機または無機の小さな化合物でありうる。候補作用物質は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合のために必要な官能基を含んでもよく、少なくとも1つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含んでもよく、少なくとも2つの化学的官能基を含んでもよい。候補薬剤は、1つまたは複数の前記官能基で置換された、環状炭素又は複素環構造、及び/又は芳香族もしくは多環式芳香族(polyaromatic)の構造を含みうる。また、候補作用物質は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造類似体、またはそれらの組み合わせを含む生体分子からも見出される。
【0090】
典型的にはスクリーニングアッセイ法は対照を含み、ここで、適切な対照は、神経疾患を有しかつ被験薬剤で治療されていない実験動物を含む。
【0091】
関心対象の被験薬剤とは、被験薬剤非存在下の対照と比較して、疾患の神経学的特徴を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、またはそれ以上低減するものである。
【0092】
また、本発明は、この外科的介入を必要とする様々な疾患において、末梢血管手術および中枢血管手術で実施される血管吻合術の再狭窄の原因となる免疫反応の特定の媒介物質を同定するためにも有用である。また、本発明は、特異的にタグ付けされた磁気ナノ粒子との反応を介して、再狭窄が起こりやすい特定の吻合術をMRI画像化するための方法を提供することによって、血管吻合術に派生する血管再狭窄の特定の前兆(predictor)を同定するためにも有用である。
【0093】
また、本発明は、MRIを介して、糖尿病によって起こるような骨の炎症および損傷の原因となる免疫反応の特定の媒介物質を同定するためにも有用である。また、本発明は、特異的にタグ付けされた磁気ナノ粒子(MNP)との反応を介して、炎症および損傷が起こりやすい骨組織をMR画像化するための方法を提供することによって、糖尿病による骨の炎症および損傷の特定の前兆を同定するためにも有用である。
【0094】
治療用途
本発明は、疾病、疾患、または状態を治療する方法を提供し、該方法は概して、本官能基化されたMNPの有効量を、その必要がある個人に投与する段階を含む。それらの態様の一部において、本官能基化されたMNPは、治療剤(「薬物」)、および、組織特異的な(例えば罹患組織特異的な)標的化を提供する官能部分を含む。
【0095】
一部の態様において、本官能基化されたMNPを含む薬学的組成物は、その必要がある個人に投与され、ここで、本官能基化されたMNPは治療剤を含む。一部の態様において、本官能基化されたMNPを含む本薬学的組成物は、その必要がある個人に投与され、ここで、本官能基化されたMNPは治療剤を含み、投与経路は、非経口、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、腫瘍内、頭蓋内、腫瘍周囲などである。
【0096】
本官能基化されたMNPの有効量とは、疾病、疾患、または状態の症状を少なくとも寛解するのに十分な量である。一部の態様において、本官能基化されたMNPの有効量とは、疾病または疾患の少なくとも1つの症状の重篤度および/または発生率を、該官能基化されたMNPで治療されていない個体における症状の重篤度および/または発生率と比較して、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%またはそれ以上低減するのに有効な量である。
【0097】
本官能基化されたMNPの有効量は、例えば、疾病、疾患、または状態の性質;疾病、疾患、または状態の重篤度または程度;個体の年齢またはその他の身体的特徴などを含む、様々な要素に応じて変動しうる。例えば、有効量には、約102〜約1018個の官能基化されたMNP、例えば、約102〜約103個の官能基化されたMNP、約103〜約104個の官能基化されたMNP、約104〜約105個の官能基化されたMNP、約105〜約106個の官能基化されたMNP、約106〜約107個の官能基化されたMNP、約107〜約108個の官能基化されたMNP、約108〜約109個の官能基化されたMNP、約109個の官能基化されたMNP〜約1010個の官能基化されたMNP、約1010個の官能基化されたMNP〜約1012個の官能基化されたMNP、約1012個の官能基化されたMNP〜約1014個の官能基化されたMNP、約1014個の官能基化されたMNP〜約1016個の官能基化されたMNP、または、約1016個の官能基化されたMNP〜約1018個の官能基化されたMNPが含まれる。
【0098】
官能基化されたMNPの単位用量には、約102〜約1018個の官能基化されたMNP、例えば、約102〜約103個の官能基化されたMNP、約103〜約104個の官能基化されたMNP、約104〜約105個の官能基化されたMNP、約105〜約106個の官能基化されたMNP、約106〜約107個の官能基化されたMNP、約107〜約108個の官能基化されたMNP、約108〜約109個の官能基化されたMNP、約109個の官能基化されたMNP〜約1010個の官能基化されたMNP、約1010個の官能基化されたMNP〜約1012個の官能基化されたMNP、約1012個の官能基化されたMNP〜約1014個の官能基化されたMNP、約1014個の官能基化されたMNP〜約1016個の官能基化されたMNP、または、約1016個の官能基化されたMNP〜約1018個の官能基化されたMNPが含まれる。
【0099】
一部の態様において、複数用量の官能基化されたMNPが投与される。例えば、単位用量の官能基化されたMNPは、1ヶ月に1回、1ヶ月に2回、1ヶ月に3回、1週間おき(qow)、1週間に1回(qw)、1週間に2回(biw)、1週間に3回(tiw)、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、1日おき(qod)、毎日(qd)、1日2回(qid)、または1日3回(tid)、投与される。一部の態様において、官能基化されたMNPは、約1日〜約1週間、約2週間〜約4週間、約1ヶ月〜約2ヶ月、約2ヶ月〜約4ヶ月、約4ヶ月〜約6ヶ月、約6ヶ月〜約8ヶ月、約8ヶ月〜約1年、約1年〜約2年、または約2年〜約4年、またはそれ以上にわたる期間の間、任意の適切な頻度で投与される。
【0100】
治療を必要とする個体には、任意の様々な疾患、特に脳またはCNSの疾患を有する個体、例えば、MS、てんかん、パーキンソン病などを有する個体が含まれる。治療を必要とする個体には、血管疾患、例えば糖尿病の結果として生じる血管疾患を有する個体、再狭窄を有するまたはそのリスクを有する個体などが含まれる。
【0101】
本発明は、疾病、疾患、または状態を治療する方法を提供し、該方法は概して、本官能基化されたMNPの有効量を、その必要がある個人に投与する段階を含み、ここで、本官能基化されたMNPは、MNPの組織特異的標的化を提供する官能部分を含む。例えば、疾病がてんかんである一部の態様において、官能基化されたMNPは、MNPをてんかん組織に対して標的化するための官能部分を含む。官能基化されたMNPがてんかんを有する個体に投与され;官能基化されたMNPがてんかん組織に結合し;その後、電磁放射線への曝露によって組織が加熱されて、罹患組織が切除される。電磁放射線には、例えば、約100キロヘルツ(kHz)〜約1000kHzの放射線が含まれる。
【0102】
実施例
以下の実施例は、本発明の作製法および使用法についての完全な開示および説明を当業者に提供するために述べられており、またこれは、本発明者らが本発明者らの発明とみなす範囲を制限することも、下記の実験が実施された全てまたは唯一の実験であると示すことも、意図してはいない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関する精度を保証するように努力がなされているが、いくらかの実験誤差および偏差が考慮されるべきであろう。特に示さない限り、割合とは重量あたりの割合、分子量とは重量平均分子量、温度とは摂氏度、圧力とは大気圧またはほぼ大気圧である。標準的な略語、例えば、bp(塩基対)、kb(キロベース)、pl(ピコリットル)、sまたはsec(秒)、min(分)、hまたはhr(時間)、aa(アミノ酸)、kb(キロベース)、bp(塩基対)、nt(ヌクレオチド)、i.m.(筋肉内)、i.p.(腹腔内)、s.c(皮下)などが使用されうる。
【0103】
実施例1:官能基化された磁性ナノ粒子の調製
ナノ粒子調製
ヒト血清アルブミン(HSA)200 mgを、磁性ナノ粒子(MNP;例えば磁鉄鉱粒子)を含む水2.0 mlに溶解させる。0.01 Mおよび0.1 MのNaOH溶液の滴加により、絶えず撹拌しながら溶液のpHを8.4まで上昇させる。絶えず撹拌しながら、エタノール8.0 mlの滴加により10% HSA溶液の脱溶媒和(desolvatation)を行う。エタノールの添加後、8%グルタルアルデヒド溶液235μlを加える。24時間後、得られたナノ粒子を3倍遠心分離(threefold centrifugation)(16.100 g、8 min)によって精製し、水中に再分散させる。再分散は、超音波処理槽中で行う。本方法を用いて合成されるHSA-MNPは、調製物のpHおよび、非接合型MNPまたは接合型MNPの添加に応じて、約60 nm〜約990 mnの平均直径を有する。AMT-MNPナノ粒子の平均直径は約20 nmであり、サイズの範囲は約10 nm〜約40 nmである。
【0104】
NeutrAvidin(商標)修飾されたNPの調製
ナノ粒子に結合するNeutrAvidin(商標)
スルフヒドリル反応性粒子系を得るために、精製ナノ粒子を、架橋剤NHS-PEG3400-Mal(Nektar, Huntsville, USA;ここで、「NHS」とは、N-ヒドロキシスクシンイミドであり、「Mal」とはマレイミドであり、「PEG3400」とは、平均分子量3400ダルトンのポリ(エチレングリコール)である)を用いて活性化させる。体積500μlの架橋溶液(PBS緩衝液(pH 8.0)中の60 mg/ml NHS-PEG3400-Mal)を、2.0 mlのナノ粒子(NP)分散(PBS緩衝液(pH 8.0)中の20 mg/ml)に加える。混合物を、振とうしながら室温で1時間インキュベートする。その後、上述のように、活性化されたナノ粒子を遠心分離および再分散によって精製する。
【0105】
続いて、記載されたように、ヘテロ二官能性の架橋によって、NeutrAvidin(商標)を、活性化されたHSA-NPに接合させる。NeutrAvidin(商標)は、非グリコシル化アビジンである。NeutrAvidin(商標)のアリコート(10.0 mg)を、TEA緩衝液(pH8.0)1.0 mlに溶解し、TEA-緩衝液1.0 ml中の2-イミノチオラン(2-iminothiolane)(トラウト(Traut)試薬)1.2 mgに加える。室温で12時間インキュベートした後、サイズ排除クロマトグラフィー(D-SaltTM脱塩カラム)によって、チオレート化(thiolated)タンパク質を精製する。接合のため、チオレート化された精製NeutrAvidin(商標)溶液1 mlを、スルフヒドリル反応性ヒト血清アルブミン(HSA)ナノ粒子1 mlに加える。混合物を、振とうしながら室温で12時間インキュベートする。未反応チオレート化NeutrAvidin(商標)を、NP遠心分離および水中再分散によって除去する。非共役NeutrAvidin(商標)を測定するために、遠心分離段階の上清を、280 nmにおいて分光光度的に分析する。
【0106】
NeutrAvidin(商標)修飾ナノ粒子のapoE表面修飾
apoEビオチン化
NeutrAvidin(商標)修飾ナノ粒子へのapoEの接着を可能にするために、PFP-ビオチン(Pierce, Rockford, USA)を用いた標準的タンパク質修飾プロトコールにしたがって、apoEをビオチン化する。PFP-ビオチンとは、ビオチンのペンタフルオロフェニルエステルである。apoEを、濃度167μg/mlでPBS(pH7.0)に溶解させる。ビオチン化タンパク質を、デキストラン脱塩カラムによって、低分子量化合物から分離させる。ビオチン化プロセスの効率は、後述のウエスタンブロッティングにより決定する。
【0107】
ビオチン化apoEのNeutrAvidin(商標)修飾ナノ粒子への結合
薬物を負荷されたNeutrAvidin(商標)修飾ナノ粒子を水中に再分散させ、粒子濃度20 mg/mlにする。続いて、167μgのビオチン化apoE(ビオチン-apoE)を添加し、10 mg/ml NPおよび80μg/ml apoEの最終濃度を得る。12時間のインキュベーション後、後述の免疫ブロット法により、未結合apoEについてNP上清を解析する。
【0108】
ナノ粒子の薬物負荷
約20 mgの精製NeutrAvidin(商標)修飾HSA-MNPを、6.6 mgの薬物と共に、エタノール/水溶液中でインキュベートする。2時間のインキュベーション期間後、遠心分離および再分散によって、未結合の薬物を除去する。
【0109】
PEG架橋剤を介したapoEのナノ粒子への共有結合
上述のスルフヒドリル反応性粒子系を達成するため、架橋剤NHS-PEG3400-Malを用いて、HSAナノ粒子を得る。続いて、ヘテロ二官能性架橋によって、apoEを活性化HSAナノ粒子に接合させる。異なるapoE誘導体(apoE3、apoE2 Argl42Cys、apoE Sendai)のアリコート(500μg)を、TEA緩衝液(pH8.0)1.0 mlに溶解させ、2-イミノチオラン(トラウト試薬)を50倍過剰モル濃度で添加する。室温で12時間インキュベートした後、サイズ排除クロマトグラフィー(D-SaltTMカラム)によって、チオレート化タンパク質を精製する。接合のため、チオレート化された精製apoE 500μgを、スルフヒドリル反応性HSAナノ粒子25 mgに加える。混合物を、振とうしながら室温で12時間インキュベートする。未反応のチオレート化apoEを、遠心分離、および、エタノール/水中(2.6%エタノールv/v)の粒子の再分散により除去する。
【0110】
精製apoE修飾HSAナノ粒子約20 mgを、薬物6.6 mgと共に、エタノール/水溶液中でインキュベートする。2時間のインキュベーション後、遠心分離によって、未結合の薬物を除去する。薬物を負荷されたapoE-PEGナノ粒子を水中に再分散させる。
【0111】
ポリソルベート80でコーティングされたHSAナノ粒子の調製
上述のように、apoEを含まないがポリソルベート80でコーティングされたナノ粒子(NP)を、NeutrAvidin(商標)修飾ナノ粒子への薬物の吸着によって調製する。次に、薬物を負荷されたナノ粒子を、ポリソルベート80(1% m/v)溶液と共に30分間インキュベートし、使用する。
【0112】
HSA-MNPの組織特異的リガンド修飾の調製
α-メチルトリプトファン(AMT)、神経伝達物質などの組織特異的リガンドは、遊離したアミノ基またはカルボキシル基とHSA中で共役するか、または、ポリカーボンリンカー(例えばPEG)を介して、もしくはチオール結合やその他の接着部分を通じて、共役する。
【0113】
ポリ(ブチルシアノアクリレート)-MNPの調製
安定剤(デキストラン70,000またはPluronic F68)0.1 gを、絶えず撹拌しながら10 mlの0.001 M HClに加えた。2種類の溶液を調製した:1) 10 mlの0.001 M HCl中にDextran 70,000(Sigma-Aldrich)0.1 gを含む溶液;および;2) 10 mlの0.001 M HCl中でPluronic F68(Sigma, Inc.)0.1 gを含む第二の溶液。以下の4種類の調製物を調製した:1) 官能基化されていないMNPをPluronic F68溶液に加えた;2) 官能基化されていないMNPをDextran溶液に加えた;3) 官能基化されたMNP(AMT-MNP)をPluronic F68溶液に加えた;および4) 官能基化されたMNP(AMT-MNP)をDextran溶液に加えた。500 rpmで撹拌しながら、100μgのシアノアクリレートモノマー(Sicomet, Sichel-Werke, GmbH)を、各調製物の流体の水面のすぐ下にゆっくりと添加した。
【0114】
各溶液を、撹拌しながら2〜2.5時間維持した。この期間の後、0.1 N NaOH 990μlの添加により、各溶液を中和した。最終的に、各溶液を濾過した。
【0115】
撹拌開始後1分間〜30分間の間に、薬物を溶液に添加する。
【0116】
安定剤としてPluronic F68を含む調製物には、界面活性剤は加えない。デキストランを安定剤として使用する場合、1 mgのポリソルベート80を、粒子溶液100 mlに加える。上述の様に調製された、官能基化されたMNPは、約80 nm〜約350 nmの直径を有し、-10 mV〜-50 mV、例えば約-30 mVのゼータ電位を有する。
【0117】
AMT官能基化されたMNPの合成
α-メチルトリプトファン(AMT)により官能基化され、デキストランでコーティングされた磁赤鉄鉱(γ-Fe2O3)MNPを、以下の様に調製した。
【0118】
AMTの構造を以下に示す。

【0119】
一般に、デキストランポリマーの化学構造は以下のとおりである。

【0120】
反応を、以下に概略的に示す。

式中、

はAMTを表し、「D」はデキストランを表す。
【0121】
α-メチレン基を介してMNP表面に共役したAMTを、以下に示す。

【0122】
修飾AMTを以下に示す。

式中、Xは、Hal、SH、NH2、または、接着を提供するその他の基である。
【0123】
官能基化されたMNPのTEM画像
図3A〜図3Bは、上述の様に調製されたHSAマトリクス内でのAMT-MNPの透過型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。図3AはHSA-MNP粒子を示すが、ここで、HSA(矢頭)およびAMT-MNP(矢印)が示されている。図3Bは、HSAマトリクス内のAMT-MNP粒子を示す。図3Cは、MNPの別の分布を示す;図3Dは、図3C内で黒い四角に仕切られた領域の拡大図を示し、これは、MNPのコア内での磁性粒子(TEM高密度領域、矢頭)の存在を示す。図4Aおよび図4Bは、上述の様に調製したPBCA-MNPのTEM顕微鏡写真を示す。図4Aは、PBCA粒子(矢頭)および、PBCA粒子の表面に吸着されたAMT-MNP(矢印)を示す。図4Bは、図4A内で黒い四角に区切られた領域の拡大図を示す。図4Bに示された拡大図は、PBCA粒子の表面へのAMT-MNP(矢印)の吸着を示す。
【0124】
実施例2:官能基化されたMNPのインビボ特徴決定
官能基化されていないMNPおよびAMT接合MNPを、てんかんのカイニン酸(KA)モデルに投与した。データにより、AMT-MNPがてんかん組織に対する親和性を示すことが実証された。
【0125】
2匹のルイスラット(90日齢)の右海馬に、KA溶液1μlを注射した。ラットは、KA注射の直後に、てんかん重積を生じた。てんかん重積は、注射後約48時間で止まった。KA注射から3日後に、T2シーケンス(TR=6000 ms; TE=50 ms; スライス厚=1.5 mm; スライス間隔=0.25 mm)を用いて、ベースラインMRIを得た。ベースラインMRIの後、第一のラットに、AMT-MNP(300μmol/kg)を注射し(i.v.)、第二のラットに、官能基化されていないMNP(300μmol/kg)を注射した(i.v.)。各ラットにMNPを注射してから6時間後に、MRIを繰り返した。
【0126】
図2Aは、第一のラットのベースラインMRIを示し、図2Bは、このAMT-MNP処置ラットにおけるKA注射部位の反対側のCA1(上方の矢頭)および歯状回(下方の矢頭)における(負の)増強の領域を示す。これらの変化は、同様に調製され、官能基化されていないMNPで処置されたラットでは起こらなかった(図2Cおよび図2D)。AMT-MNP処置ラットにおける反対側のCA1および歯状回でのシグナル変化は、急性てんかんに関連する組織変化と一致する。これらのデータにより、てんかん組織に対するAMT-MNPの親和性が示唆される。
【0127】
また、図2Bは、AMT-MNP注射部位と同側の、右海馬における(負の)増強の領域(白色矢印)も示す。図2Cは、官能基化されていないMNPで処置されたラットのベースラインMRIを示す。図2Dは、KA注射部位と同側の、右海馬における(負の)増強の領域を示す(白色矢印)。両動物の右海馬におけるシグナル変化は、KA注射部位において予想される炎症反応と一致している。シグナル増強は、経細胞輸送を通じてまたは定住グリア細胞によるナノ粒子の取り込みを通じて脳実質に入るいずれかのマクロファージにおける、磁気的にタグ付けされた粒子の存在のためであると考えられ、これらの細胞は、脳における炎症反応の調節因子と考えられる。
【0128】
AMT-MNP処置ラットにおける反対側のCA1および歯状回でのシグナル変化は、急性てんかんに関連する組織変化と一致し、炎症反応には関連しない可能性が高い。両ラットにおいて、海馬における増強領域はKA注射に対する急性炎症反応によるが、一方、CA1および歯状回におけるシグナル変化は、急性てんかん型放電および、これらてんかん組織に対するAMT接合粒子の親和性に起因する。
【0129】
本発明を、その特定の態様を参照しながら説明してきたが、当業者には、本発明の真の精神および範囲を逸脱することなく、さまざまな変更を加えうることおよび同等物を代用しうることが理解されるべきである。さらに、特定の状況、材料、物質組成、工程、工程の段階の1つまたは複数を、本発明の目的、精神および範囲に適合させるために多くの変更を加えることも可能である。このような変更はすべて、本明細書に添付される特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本官能基化された磁性ナノ粒子の例示的態様を概略的に示す。
【図2】図2A〜図2Dは、AMT-MNP注射から0時間後(図2A)、AMT-MNP注射から6時間後(図2B)、官能基化されていないMNPの注射から0時間後(図2C)、および、官能基化されていないMNPの注射から6時間後(図2D)の、カイニン酸処置ラットの脳の核磁気共鳴画像を示す。
【図3】図3A〜図3Dは、ヒト血清アルブミンマトリクス内部のAMT-MNP粒子の走査型電子顕微鏡(TEM)画像を示す。
【図4】図4Aおよび図4Bは、ポリ(ブチルシアノアクリレート)-MNPのTEM画像を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、薬学的組成物:
a) 脳内の組織に対して示差的親和性を有する官能基を含む、官能基化された磁性ナノ粒子(MNP)であって、哺乳動物対象の血流に導入された場合、該対象の血液脳関門を横断することができかつ脳組織に特異的に結合することができる、官能基化された磁性ナノ粒子;および
b) 薬学的に許容される担体。
【請求項2】
組織が罹患組織である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
罹患組織が、脳腫瘍、てんかん病変、アルツハイマー病に関連するプラーク、多発性硬化症に冒された組織、ハンチントン病に冒された組織、パーキンソン病に冒された組織、および、筋萎縮性側索硬化症に冒された組織から選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
組織が、外部または内部の刺激に曝露された組織である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
官能基が、脳組織中に存在するエピトープに特異的に結合する抗体である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
官能基が、脳組織中に存在する細胞の表面または内部に存在する受容体に特異的に結合するリガンドである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
官能基化されたMNPが治療剤をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
官能基化されたMNPがアルブミンマトリクス内でカプセル化される、請求項1記載の組成物。
【請求項9】
官能基化されたMNPがアポリポタンパク質を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項10】
官能基化されたMNPがポリ(ブチルシアノアクリレート)(PBCA)を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
官能基化されたMNPがPBCA粒子の表面に接着する、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
官能基化されたMNPが界面活性剤を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤が、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンから選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
界面活性剤が、ポリエチレンオキシドとポリプロピレンオキシドのブロックコポリマーである、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
官能基化されたMNPがポロキサミンを含む、請求項12記載の組成物。
【請求項16】
以下を含む、薬学的組成物:
a) 再狭窄のリスクを有する炎症を起こした血管組織に対して示差的親和性を有する官能基を含む、官能基化された磁性ナノ粒子であって、哺乳動物対象の血流に注射された場合、炎症を起こした血管組織に特異的に結合することができる、官能基化された磁性ナノ粒子;および
b) 薬学的に許容される担体。
【請求項17】
以下を含む、薬学的組成物:
a) 罹患骨組織に対して示差的親和性を有する官能基を含む、官能基化された磁性ナノ粒子であって、哺乳動物対象の血流に注射された場合、罹患骨組織に特異的に結合することができる、官能基化された磁性ナノ粒子;および
b) 薬学的に許容される担体。
【請求項18】
糖尿病、損傷、または、骨組織における炎症反応を引き起こすその他の損傷性の(compromising)要素の結果として、骨組織が炎症を起こす、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
以下を含む、薬学的組成物:
a) 脳内のてんかん組織に対して示差的親和性を有する官能基で誘導体化された磁性ナノ粒子であって、哺乳動物対象の血流に注射された場合、該対象の血液脳関門を横断することができかつ脳内のてんかん組織に特異的に結合することができる、磁性ナノ粒子;および
b) 薬学的に許容される担体。
【請求項20】
官能基がグルコースである、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項21】
官能基がN-メチル-D-アスパルテートである、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項22】
官能基がα-メチルトリプトファンである、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項23】
官能基がサイトカインである、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項24】
官能基がγ-アミノ酪酸である、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項25】
官能基がアヘン剤またはオピオイド化合物である、請求項19記載の薬学的組成物。
【請求項26】
以下の段階を含む、脳疾患の診断法:
a) 官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物を哺乳動物対象に投与する段階であって、該官能基化された磁性ナノ粒子が、脳疾患に冒された脳内の組織に対して示差的親和性を有する官能基を含み、かつ、哺乳動物対象の血流に注射された場合、該対象の血液脳関門を横断することができる、段階;および
b) 官能基化された磁性ナノ粒子の存在を脳内で検出する段階。
【請求項27】
脳疾患が、脳腫瘍、てんかん、アルツハイマー病、多発性硬化症、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、薬物依存、および精神疾患から選択される、請求項26記載の方法。
【請求項28】
組成物が静脈注射によって投与される、請求項26記載の方法。
【請求項29】
検出段階が、核磁気共鳴画像法によって行われる、請求項26記載の方法。
【請求項30】
以下の段階を含む、再狭窄のリスクを有する血管組織を検出する方法:
a) 官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物を哺乳動物対象に投与する段階であって、該官能基化された磁性ナノ粒子が、炎症を起こした血管組織に対して示差的親和性を有する官能基を含み、かつ、哺乳動物対象の血流に注射された場合、炎症を起こした血管組織に特異的に結合することができる、段階;および
b) 官能基化された磁性ナノ粒子の存在を血管組織内で検出する段階。
【請求項31】
以下の段階を含む、哺乳動物対象における罹患骨組織を検出する方法:
a) 官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物を哺乳動物対象に投与する段階であって、該官能基化された磁性ナノ粒子が、罹患骨組織に対して示差的親和性を有する官能基を含み、かつ、哺乳動物対象の血流に注射された場合、罹患骨組織に特異的に結合することができる、段階;および
b) 官能基化された磁性ナノ粒子の存在を骨組織内で検出する段階。
【請求項32】
以下の段階を含む、脳疾患を治療する薬剤の同定法:
被験薬剤を、脳疾患の非ヒト動物モデルに投与する段階;および
存在する場合、被験薬剤が脳疾患の神経学的特徴に与える効果を決定する段階であって、該決定段階が、i) 神経疾患に冒されたまたはそれに関連する罹患脳組織への示差的結合を示す官能基化された磁性ナノ粒子を含む組成物を、非ヒト動物モデルに投与すること;および、ii) 官能基化された磁性ナノ粒子を動物の脳内で検出することにより行われる、段階。
【請求項33】
検出が、核磁気共鳴画像法によって行われる、請求項32記載の方法。
【請求項34】
請求項1記載の組成物の有効量をその必要がある個体に投与する段階を含む、個体における疾患を治療する方法。
【請求項35】
官能基化されたMNPが、疾患を治療する治療剤をさらに含む、請求項34記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−533203(P2008−533203A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503113(P2008−503113)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/010334
【国際公開番号】WO2006/102377
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(592130699)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (364)
【氏名又は名称原語表記】The Regents of The University of California
【Fターム(参考)】