説明

官能性付加ポリマー及び前記ポリマーの製造方法

非ゲル化した、官能性付加ポリマーを線状の不飽和無水物から製造する方法が開示される。前記方法は、線状の不飽和無水化合物、活性水素化合物、及びエポキシド化合物を、以下の3つの各反応:(i)重合可能なC=C結合の重合、(ii)前記活性水素化合物により前記の線状の不飽和無水化合物の無水官能基を開環し、酸官能基を生成する反応、及び(iii)前記の無水物の開環から生じる酸官能基と、前記エポキシド化合物との反応が生じる反応条件に供する。反応(iii)の際に、前記の無水物の開環から生じる酸官能基は、エチレン性不飽和モノマー、ポリマー、又は両者から選択されてよい。一実施態様において、前記方法は、いかなる酸官能性モノマー又は重合生成物の物理的な除去を含まない。また、硬化可能なコーティング組成物及びコーティングされた基材も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、U.S.特許出願No. 10/285,214, 10月31日, 2002提出の一部継続出願であり、これは本出願に参照により組み込まれる。
【0002】
発明の背景
本発明は、官能性付加ポリマー、係るポリマーの製造方法、前記材料を組み込む硬化可能なコーティング組成物、及び設け、かつ硬化させた前記コーティング組成物を含むコーティングされた基材に関する。
【0003】
発明の背景
硬化可能なコーティング組成物、特に熱硬化性被覆は、被覆分野において広範囲に使用される。前記組成物はしばしば、自動車の及び工業的な被覆産業におけるトップコートのために使用される。
【0004】
高光沢かつカラープラスクリアー複合コーティング(color-plus-clear composite coating)は、格段の光沢、色の深み(depth of color)、像の識別性(distinctness of image)、又は特殊な金属効果が所望されるトップコートとして特に便利である。自動車産業は、係るコーティングを自動車のボディパネルのために大規模に使用している。係るコーティングは、所望の視覚効果、例えば高い像の識別性(DOI)を達成するために、極めて高い程度の鮮明性及び低い程度の視覚的な収差を前記コーティングの表面上で必要とする。
【0005】
結果として、高光沢かつ複合カラープラスクリアーコーティングは、環境腐食として既知である現象を受けやすい。環境腐食は、しばしばこすりとることができない斑点又はマークとしてコーティングの仕上の上に又は中に現れる;高光沢又はカラープラスクリアー複合コーティングが示すであろう環境腐食に対する耐性の程度を予測することは困難である可能性がある。外部用塗料中で使用される場合の耐久性及び/又は耐候性が知られている多くのコーティング組成物、例えば高固形エナメルは、高光沢コーティング及びカラープラスクリアー複合コーティング中で使用される場合に、環境腐食に対する所望のレベルの耐性を提供しない。
【0006】
多くの組成物が、カラープラスクリアー複合コーティング系のクリアーコートの一部としての使用のために提案されており、例えばポリウレタン、酸−エポキシ系、及びこの類似物である。しかしながら、多くの公知技術の系は、欠点、例えば被覆能の問題、顔料着色したベースコートとの相容性の問題、及び/又は溶解性の問題を有する。更に、環境腐食に対する満足のいく耐性を、特に要求の厳しい自動車コーティングの環境において提供するワンパックコーティング組成物は、ほとんど見出されていない。
【0007】
カルバマート官能性ポリマー、例えばU.S. 特許No. 5,356,669中で説明されるカルバマート官能性ポリマーが、著しく改善した環境腐食耐性を示すコーティング組成物を提供するために使用できることが見出された。カルバマート官能性ポリマーは、商業上の有利なコーティング組成物を提供するために使用されており、特に複合カラープラスクリアーコーティングにおいてクリアーコートとして使用されている。
【0008】
カルバマート官能性材料の一つの製造方法は、ヒドロキシル官能性材料と、アルキルカルバマート(例えばメチルカルバマート、エチルカルバマート、又はブチルカルバマート)とのトランスカルバミル化又はトランスエステル化反応による。前記反応は、触媒、例えば有機金属触媒(例えばジブチルスズジラウラート)を用いて実施される。この方法は特定の欠点を有し、このうちの1つは前記スズ触媒の酸毒(acid poison)の存在である。前記カルバマート材料が、トランスカルバミル化により製造され、かつ酸官能性が所望される場合には、この酸官能性を、前記トランスカルバミル化が完了した後に導入することが必要である。その他の欠点は、前記トランスカルバミル化方法は、この方法において典型的に使用される低分子量カルバマート化合物を処理するための付加的な、高価な装置を必要とする可能性があることである。
【0009】
様々なカルバマート官能性ポリマーを、低コストかつ容易に入手可能な反応体、例えば不飽和の線状無水物から製造することが望ましいものである。あいにく、出発反応体である線状の不飽和無水物から付加ポリマーを製造するための公知技術の方法は、無水化合物、特に線状の不飽和無水化合物の反応から生じる不所望の酸官能性化合物に関する精製工程を典型的に必要とする。係る精製工程は、通常は、前記酸官能性化合物の物理的な除去を伴い、かつしばしば、無水化合物の反応から得られるモノマーに関して使用される。又は、線状の不飽和無水化合物の使用はしばしば、高い酸価を有する付加ポリマーの製造方法に限定される。
【0010】
発明の要旨
開示される方法は、官能性の非ゲル化付加ポリマーの製造方法を提供する。
【0011】
線状の不飽和無水物からの非ゲル化官能性付加ポリマーの製造方法が開示される。前記方法は、線状の不飽和無水化合物、活性水素化合物、及びエポキシド化合物を、以下の3つの各反応:(i)重合可能なC=C結合を重合する反応、(ii)前記活性水素化合物により前記の線状の不飽和無水化合物の無水官能基を開環し、酸官能基を生成する反応、及び(iii)前記の無水物の開環から生じる酸官能基と、前記エポキシド化合物との反応が生じる反応条件に供する。反応(iii)の際に、前記の無水物の開環から生じる酸官能基は、エチレン性不飽和モノマー、ポリマー、又は両者から選択されてよい。
【0012】
例示的な一実施態様において、前記方法がいかなる酸官能性モノマー又は重合生成物の物理的な除去を含まないことが開示される方法の一観点である。
【0013】
また、この生じる官能性付加ポリマーを含有する硬化可能なコーティング組成物、また同様に、開示される硬化可能なコーティング組成物を設け、かつ硬化させることから生じる硬化したフィルムを含むコーティングされた基材も開示される。
【0014】
有利な実施態様の詳細な説明
有利な実施態様の以下の説明は、本来は単なる例示であって、本発明、その適用、又は使用を限定することを意図するものではない。
【0015】
本出願において使用される場合に単数形は、項目の「少なくとも1つ」が存在することを示唆する;項目の複数が、可能である場合には存在してよい。「約」は、数値に適用される場合には、計算又は測定がこの数値中のわずかな不正確性を認めることを示唆する(この数値中の正確性に対する幾つかのアプローチ;概算で又はこの値にかなり近い;ほぼ)。幾つかの理由から、「約」により提供される正確性が、この通常の意味合いを有した様式で理解されない限りは、本出願において使用される「約」は、この数値の5%までの可能性のある偏差を示唆する。
【0016】
この開示された方法は、線状の不飽和無水物の、官能性付加ポリマーの製造における出発反応体としての有利な使用を可能にする。
【0017】
少なくとも3つの化合物、即ち、線状の不飽和無水化合物、活性水素化合物、及びエポキシド化合物を、以下の3つの各反応:(i)重合可能なC=C結合を重合する反応、(ii)前記活性水素化合物により前記の線状の不飽和無水化合物の無水官能基を開環し、酸官能基を生成する反応、及び(iii)前記の無水物の開環から生じる酸官能基と、前記エポキシド化合物との反応が生じる反応条件に供することは、開示される方法の一観点である。反応(iii)の際に、前記の無水物の開環から生じる酸官能基は、エチレン性不飽和モノマー、ポリマー、又はこれらの混合物から選択されてよい。
【0018】
前記の3つの必要とされる反応(i)、(ii)及び(iii)は、任意の順序で又は順序なしに生じてよい。一実施態様において、前記の3つの反応は、同時に生じてよい。別の実施態様において、前記の3つの反応は、段階的な反応方法で生じてよい。
【0019】
例示的な一実施態様において、前記開環反応(ii)は、反応(i)及び(iii)の1つ又は両方の前に生じる。特別な例示的な一実施態様において、前記開環反応(ii)は、反応(i)及び(iii)の両方の前に生じる。この実施態様の例示的な一見解において、反応(iii)は反応(i)の後に生じる。
【0020】
一実施態様において、反応(ii)は、重合可能なC=C結合を含む2つのモノマーを提供するための前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応を含み、その際少なくとも1つの係るエチレン性不飽和モノマーは酸官能基を含む。これには、前記エポキシ官能性化合物と反応する酸官能性重合生成物を提供するための、この生じる2つのエチレン性不飽和モノマーの重合が引き続く。又は、前記の酸官能性のエチレン性不飽和モノマーを前記エポキシ官能性化合物と反応させて、エチレン性不飽和ヒドロキシルエステル化合物を提供してよく、前記化合物は引き続き又は同時に重合する。最後に、一実施態様において、1つ又は複数の、又は全てのこれら反応の組み合わせが、任意の点で、開示された方法において進行してよいことが認識されるものである。
【0021】
この開示された方法が、いかなる酸官能性モノマー又は酸官能性重合生成物の物理的な除去を含む工程を含まないことが本発明の一観点である。加えて、一実施態様において、この開示された方法は、「ワンポット」プロセスであり、即ち、単一の反応器又はタンクのみが使用される方法である。別の実施態様において、この非ゲル化付加ポリマーは、以下に説明するように、低酸価を有する官能性付加ポリマーである。
【0022】
本出願における使用に適する前記の線状の不飽和無水物は、一般的に、モノカルボン酸の無水物である。一実施態様において、前記の線状の不飽和無水物は、以下の式:
【化1】

[前記式中、R1〜R6は、同一又は異なっていてよく、かつ各R1、R2、R3、R4、R5及びR6の置換基は、少なくとも1つのH、1〜4つの炭素のアルキル基、又は1〜4つの炭素の脂環式基であり、かつLは選択的に、連結基である]である。一実施態様において、基R1〜R6は、環式構造を含んでよい。例えばR1及びR3は、それぞれ、このC=C結合と組み合わせて5員環を形成する−CH2−CH2−CH2−基のアンカー炭素であってよい。存在する場合には、Lは、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式連結基であってよく、かつ1つ又は複数の異種原子、例えば、O、P、Si、N、又はこれらの組み合わせを含んでよい。
【0023】
適した線状の不飽和無水物を説明する例は、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、メチルメタクリル酸無水物、及びこの類似物を含む。例示的な一実施態様において、前記の不飽和の線状無水物は、無水メタクリル酸である。
【0024】
例示的な一実施態様において、前記の不飽和の線状無水物を、反応(ii)において、活性水素化合物と反応させ、重合可能なC=C結合を含む2つのモノマーを提供し、その際係るエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つは酸官能基を含む。適した活性水素化合物は、前記の不飽和の線状無水物の無水官能基と反応性である少なくとも1つの官能基を含む。
【0025】
一実施態様において、前記活性水素化合物は、式R−A[前記式中、Aは活性水素基を示し、かつRは、脂肪族、脂環式、アリール、複素環式、又はこれらの混合物であってよい]である。例となる活性水素基Aは、ヒドロキシル基、チオ基、アミン基、及びこの類似物を含む。一実施態様において、Aは、XR’n[前記式中、Xは、O、N、S、又はこれらの類似物であり、R’は、H又は1〜4つの炭素のアルキル基であり、かつnは0〜4であってよい]である。例示的な一実施態様において、AはOHである。
【0026】
一実施態様において、Rは、1つ又は複数の異種原子、例えばO、S、Fl、Si、N、又はこの類似物を含んでよい。更なる別の実施態様において、Rは、前記の線状の不飽和無水物の無水基と非反応性である付加的な官能基Yを含む。従って、一実施態様において、前記活性水素化合物は式Y−R−A[前記式中、R及びAは、上記で説明したとおりであり、かつYは、前記無水基と非反応性である選択的な官能基である]である。前記無水基と非反応性である例となる官能基Yは、ハロゲン、例えばフッ素、シラン、尿素、カルバマート、アミド、環式カルボナート、酸性基(acid group)、炭素−炭素二重結合、カルバマート基又は尿素基に変換可能である基、これらの組み合わせ、及びこの類似物を含む。
【0027】
例示的な一実施態様において、前記方法は、カルバマート官能性ポリマーでない非ゲル化官能性付加ポリマーを製造するために使用される。この場合には、前記活性水素化合物は、カルバマート官能性でなくてよい。従って、例示的な一実施態様において、Yはカルバマート基でない。この実施態様において、例となる官能基Yは、少なくとも1つのハロゲン、例えばフッ素、シラン、尿素、アミド、環式カルボナート、酸性基、炭素−炭素二重結合、カルバマート基又は尿素基に変換可能であるがカルバマートでない基、これらの組み合わせ、及びこの類似物である。
【0028】
別の例示的な実施態様において、前記活性水素化合物は、1つ又は複数の付加的な官能基Yを含み、前記基は少なくとも1つの尿素、カルバマート、特に第一級カルバマート基、カルバマート基又は尿素基に変換可能である基、又はこれらの組み合わせを含む。特定の例示的な一実施態様において、式Y−R−Aを有する前記活性水素化合物のRは、1つ又は複数の付加的な官能基Yを含み、前記基はカルバマートであり、特に第一級カルバマート基である。
【0029】
本発明において使用される場合に「カルバマート」基は、構造
【化2】

[前記式中、R’は、H又はアルキルである]を指す。有利には、R’はH又は1〜4つの炭素原子のアルキルであり、より有利には、R’はHである(第一級カルバマート)。「第二級カルバマート基」との用語は、R’がアルキル基である基を参照すべく使用される。末端尿素基は、構造
【化3】

[前記式中、R"及びR"’は、それぞれ独立して、H又はアルキル又は、R"及びR"’は一緒になって複素環式環構造を形成する]により示されてよい。有利には、R"及びR"’は、それぞれ独立して、又は一緒になってエチレン架橋を形成してよく、より有利には、R"及びR"’は、それぞれHである(第一級末端尿素)。
【0030】
カルバマート基に変換可能である基は、環式カルボナート基、エポキシド基、及び不飽和結合を含む。環式カルボナート基は、アンモニア又は第一級アミンとの反応によりカルバマート基に変換可能であってよく、前記アンモニア又は第一級アミンは、環式カルボナートを開環してβ−ヒドロキシカルバマートを形成する。エポキシド基は、CO2との反応により環式カルボナート基に最初に変換することにより、カルバマート基に変換可能である。これは、任意の圧力、雰囲気圧力から超臨界CO2圧力までで為されてよく、しかしながら有利には加圧下(例えば60〜150psi)で為されてよい。この反応のための温度は、有利には、前記エポキシド基と、前記無水物から放出される遊離酸との反応を実質的に妨げるべく十分低く維持される。使用可能である触媒は、オキシラン環を活性化する任意の触媒、例えば第三級アミン又は第四級塩、例えばテトラメチルアンモニウムブロミド、錯体の有機スズハロゲン化物、例えばトリメチルスズヨウ化物の組み合わせ、テトラブチルカリウムヨウ化物、カリウム塩、例えばヨウ化カリウム及び炭酸カリウム、有利にはクラウンエーテルと組み合わせたもの、スズオクトアート、カルシウムオクトアート等である。前記環式カルボナート基は次いで、既に説明したとおり、カルバマート基に変換されてよい。六員環の環式カルボナートは、前記環式カルボナートを形成するための適切な条件下でホスゲンと1,3−プロパンジオールとの反応により合成されてよい。環式カルボナートはまた、1,2−ジオールとジエチルカルボナートとの反応により形成されてもよい。不飽和結合は、これをエポキシド基に変換するための過酸化物との最初の反応により、次いで環式カルボナートを形成するためのCO2との反応により、そして次いでカルバマート基を形成するためのアンモニア又は第一級アミンとの反応により、カルバマート基に変換されてよい。しかしながら、エポキシド基は有利でなく、かつ一実施態様において、選択的な官能基Yとして適さず、というのも前記無水物からのこの酸性基との潜在的な反応のためである。
【0031】
基、例えばオキサゾリドンは、末端尿素基に変換されてよい。例えば、ヒドロキシエチルオキサゾリドンを、前記カルボン酸無水物基と反応させ、次いでこの生成物上のオキサゾリドン基をアンモニア又は第一級アミンと反応させ、末端尿素官能基を生じさせてよい。
【0032】
カルバマート基Yを有する活性水素化合物の適した例は、限定することなしに、ヒドロキシアルキルカルバマート、例えばヒドロキシエチルカルバマート、β−ヒドロキシプロピルカルバマート、γ−ヒドロキシルプロピルカルバマート、β−ヒドロキシルブチルカルバマート、γ−ヒドロキシルブチルカルバマート、δ−ヒドロキシルブチルカルバマートを含み、この際β−ヒドロキシルカルバマートはグリシジルネオデカノアートから調整され、及び係るヒドロキシルカルバマートとE−カプロラクトンとの反応生成物を含む。
【0033】
尿素基Yを有する活性水素化合物の適した例は、限定することなしに、任意のアミン又はヒドロキシル官能性尿素又は環式尿素を含む。例示的な一実施態様において、付加的な官能基Yとして、尿素基を有する活性水素化合物は、HEEU又はn−(2−ヒドロキシエチル)エチレン尿素である。
【0034】
カルバマート基又は末端尿素基に変換可能である官能基Yを有する活性水素化合物の適した例は、限定することなしに、グリシドール(このエポキシド基は、CO2によりカルボナートに変換可能であってよく、次いでアンモニア又は第一級アミンと反応してカルバマート基を提供する)、グリセリンカルボナート、3−ヒドロキシプロピルカルボナート(このカルボナート基を、カルバマート基を提供すべくアンモニア又は第一級アミンと反応させてよい)、不飽和アルコール、例えばヒドロキシエチルオキサゾリドン、アリルアルコール、ヒドロキシエチルアクリラート、及びヒドロキシエチルメタクリラート(上記で説明したように、この二重結合を酸化してエポキシド基に、次いでカルバマート基に変換してよい)を含む。
【0035】
例示的な一実施態様において、前記非ゲル化付加ポリマーがカルバマート官能性である場合には、前記活性水素化合物は、上記で説明したように、ヒドロキシアルキルカルバマートである。ヒドロキシアルキルカルバマートは、アンモニア又は第一級アミンと4,4,6−トリメチル−1,3−ジオキサン−2−オン(XTC-27としてHuntsmanから入手可能)との反応により生成されてよく、アンモニアの場合には3−カルバモイル−3,3,1−トリメチルプロパノールを生じる。ヒドロキシカルバマートは、1つの第一級ヒドロキシル基及び第二級ヒドロキシル基を含有する化合物、例えば2,4−エチル−1,5−オクタンジオールのトランスカルバマート化(transcarbamation)により製造されてもよい。このトランスカルバマート化は、前記カルバマートが前記第一級ヒドロキシル部位にのみ導入されている生成物を90%を上回って生成すべく十分に特異的である。
【0036】
一実施態様において、ヒドロキシアルキルカルバマートである前記活性水素化合物は、前記の線状の不飽和無水物との反応前に又はこの間にアルキルカルボナート前駆体の15質量%までを含有する。
【0037】
別の実施態様において、前記活性水素化合物は、β−ヒドロキシカルバマート化合物である。適したβ−ヒドロキシカルバマート基は、異性体の構造を有する;
【化4】

【0038】
適したβ−ヒドロキシカルバマート化合物は、グリシジル基含有化合物を最初に二酸化炭素と反応させて、このオキシラン基を環式カルボナート基に変換し、次いでアンモニア又は第一級アミンと反応させてこの環式カルボナート基をβ−ヒドロキシカルバマート基に変換させることで製造されてよい。適したオキシラン基含有化合物の例は、限定することなしに、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、及びモノアルケンのエポキシドを含む。前記オキシラン基を最初に、CO2との反応により環式カルボナート基に変換する。これは、任意の圧力、雰囲気圧力から超臨界CO2圧力で為されてよく、しかしながら有利には加圧下(例えば60〜150psi)で為されてよい。この反応のための温度は有利には、60〜150℃である。使用可能である触媒は、オキシラン環を活性化する任意の触媒、例えば第三級アミン又は第四級塩(例えば、テトラメチルアンモニウムブロミド)、錯体の有機スズハロゲン化物及びアルキルホスホニウムハロゲン化物(例えば(CH33SnI、Bu4SnI、Bu4PI及び(CH34PI))の組み合わせ、カリウム塩(例えばK2CO3、KI)、有利にはクラウンエーテルと組み合わせたもの、スズオクトアート、カルシウムオクトアート、及びこの類似物を含む。前記環式カルボナート基を次いで、アンモニア又は第一級アミンと反応させる。前記第一級アミンは有利には、4つまでの炭素を有し、例えばメチルアミンである。有利には、前記環式カルボナートをアンモニアと反応させる。前記アンモニアは、水性アンモニアであってよい(例えばNH4OH)。
【0039】
β−ヒドロキシカルバマート化合物はまた、環式カルボナート含有化合物とアンモニア又は第一級アミンとを反応させて、この環式カルボナート基をβ−ヒドロキシカルバマート基に変換することにより製造されてもよい。
【0040】
適したγ−ヒドロキシルカルバマート化合物は、2つ以上の環式カルボナート基(bi)を含み、かつ以下の構造:
【化5】

[前記式中、nは1であり、qは2〜50の数であり、かつPは炭化水素ベースの材料であって、化合物、オリゴマー及びポリマー(これは6つより多い炭素原子を有する)からなるグループから選択される材料である]である出発材料を使用して、この少なくとも1つの環式カルボナート官能基(bi)とアンモニアとを反応させて、構造:
【化6】

[前記式中、X及びYは、第一級カルバマート基又はヒドロキシル基であるが、しかしながら同一でなくてよく、mは2〜50の数、R1、R2、R3、R4、及びR5は、それぞれ少なくとも1つのH、アルキル基、異種原子含有基、又はこれらの混合物であり、かつPは、化合物、又はオリゴマー、又はポリマー(これは6つより多い炭素原子を有する)から選択される少なくとも1つの炭化水素ベースの要素である]
のγ−ヒドロキシ第一級カルバマート基を提供することにより製造されてよい。
【0041】
別の実施態様において、適したγ−ヒドロキシ第一級カルバマート官能性化合物は、化合物(a)及び化合物(b)を反応させることにより製造されてよく、その際化合物(a)は一般的には以下の構造:
【化7】

[前記式中、全ての可変部は、上記で説明したとおりであり、かつ官能基Fi及びFiiは、少なくとも3つの炭素原子により隔てられていて、その際前記官能基Fi及びFiiは、独立して、第一級カルバマート基に変換可能である官能基からなるグループから選択される]のうちの1つである。第一級カルバマート基に変換可能である官能基Fi及びFiiの有利な例は、ヒドロキシ基及びハロゲン化物基である。適したハロゲン化物基は、塩化物、臭化物、及びヨウ化物を含み、塩化物が最も有利なハロゲン化物である。最も有利には、官能基Fi及びFiiはヒドロキシル基である。適した化合物(a)は、ポリオール、ジオール、ポリハロゲン化物、及びジハロゲン化物を含んでよい。しかしながら、ジオール及びジハロゲン化物の化合物(a)としての使用が特に有利であり、というのはこれらは販売による入手可能性が最も高く、かつ経済的に有利である。ジオールは、化合物(a)としての使用に最も有利である。
【0042】
化合物(b)の選択は、化合物(a)の官能基Fi及びFiiの選択にある程度依存する。一般的に、官能基(i)がヒドロキシル基である場合には、これは、アルキルカルバマート、シクロアルキルカルバマート、エーテルカルバマート、β−ヒドロキシアルキルカルバマート、アリールカルバマート(シアン酸から製造される、例えば尿素の分解による)からなるグループから選択される化合物(b)及びホスゲンとの反応、そしてアンモニアとの引き続く反応により第一級カルバマートに変換される。官能基(i)がハロゲン化物基である場合には、前記基は、金属カルバマート、例えば銀カルバマートとの反応により第一級カルバマート基に変換されてよい。
【0043】
適した活性水素化合物の別の例は、環式カルボナート、官能性及び非官能性のSi含有化合物、不飽和アルコール(重合条件下で反応可能でない)、ハロゲン化アルコール、及びこの類似物を含む。
【0044】
前記活性水素化合物としての使用に適する、例となる環式カルボナートは、ペンダントヒドロキシル基を有する、環式の5〜8員環の環式カルボナートを含む。適した例は、全てのヒドロキシアルキル−1,3−ジオキソラン−2−オン、例えばグリセリンカルボナート、及び全てのヒドロキシアルキル−1,3−ジオキサン−2−オン、例えば4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキサン−2−オンを含む。
【0045】
適した官能性Si含有化合物は、式Y−R−Aの活性水素化合物のY部としてSi原子に取り付けられたアルコキシ基又は酸エステルを含有する化合物を含む。非官能性のSi含有化合物は、このSi原子が、Si−O基又はSi−R"基に連結している化合物を含み、その際R"はアルキル、シクロアルキル、又は芳香族基である。この場合には、前記活性水素化合物のA部は、ヒドロキシルアルキル基又はアミノアルキル基であってよい。適したSi含有活性水素化合物の説明となる例は、3−トリエトキシシリルプロピルアミン(官能性Si含有化合物)及び非官能性Si含有化合物、例えばトリメチルシリルプロパノール及びペンタメチルシクロトリシロキサンプロパノールを含む。
【0046】
適した不飽和アルコールは、アリルアルコールを含み、その一方で例となるハロゲン化アルコールは、フルオロアルコール、例えば2−ペルフルオロブチルエチルアルコールを含む。この場合には、ヒドロキシル基はAであり、その一方でフッ素元素はYである。
【0047】
例示的な一実施態様において、前記活性水素化合物を反応(ii)において前記の線状の不飽和無水物と反応させ、重合可能なC=C結合を有する2つのモノマーを提供し、係るエチレン性不飽和モノマーの少なくとも1つは酸官能基を含む。例示的な一実施態様において、開環反応(ii)の温度は約50〜約120℃である。塩基性触媒、例えばジメチルドデシルアミン又はジメチルアミノピリジンが含まれていてよい。
【0048】
一実施態様において、前記活性水素化合物の過剰量を前記の線状の不飽和無水物と反応(ii)において反応させる。この過剰量の未反応の活性水素化合物を次いで、ポリイソシアナート化合物と反応させてよく、例えばこれはRehfuss, Ohrbom, St. Aubin 及びTaylor, U.S.特許5,719,237に説明されている。
【0049】
前記活性水素化合物と前記の線状の不飽和無水物との反応(ii)は、前記の無水物の、不飽和を含む2つのモノマーへの開裂又は分解を生じ、即ち少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が付加重合条件下で重合可能である。一実施態様において、前記2つのモノマーの少なくとも1つは、カルボン酸官能基を含む。別の実施態様において、少なくとも1つの別の不飽和モノマーは、残基(Y−R−)を含み、これは前記活性水素化合物Y−R−Aと前記の不飽和の線状無水物との反応から生じる。例示的な一実施態様において、前記活性水素化合物Y−R−Aと前記の不飽和の線状無水物との反応から生じる反応生成物は、重合可能な炭素−炭素二重結合を有する少なくとも2つのモノマーを含み、前記モノマーのうちの少なくとも1つは、カルボン酸官能基を含み、このうちの他のものは、前記活性水素化合物Y−R−Aと前記の不飽和の線状無水物との反応から生じる残基(Y−R−)を含む。
【0050】
一実施態様において、反応(i)は、前記の少なくとも2つの不飽和モノマーの重合を含み、前記モノマーは前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応から生じる。この実施態様において、重合反応(ii)は、酸官能性重合生成物を生じる。
【0051】
別の実施態様において、重合反応(i)は、反応(iii)のヒドロキシルエステル反応生成物の、反応(ii)から生じる酸官能性エチレン性不飽和モノマー及びエポキシ官能性化合物との間での重合を含む。この実施態様の例示的な一見解において、重合反応(i)は、前の反応(ii)における前記の線状の不飽和無水物の開裂から生じるこの他のエチレン性不飽和モノマーの重合をも含む。前記のこの他の不飽和モノマーが、前記活性水素化合物の残部、即ち−R−Yを含むことが考慮される。
【0052】
別の実施態様において、重合反応(i)は、前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応から生じる不飽和モノマーも、反応(ii)から生じる酸官能性エチレン性不飽和モノマーとエポキシ官能性化合物との間での反応(iii)のヒドロキシルエステル反応生成物も両者を重合することを含んでよい。
【0053】
「重合生成物」との用語は、本出願において使用される場合に、オリゴマー及びポリマーの両方を指す。「ポリマー」との用語は、本出願において使用される場合に、少なくとも10つの繰り返し単位、より有利には10つよりも多くの繰り返し単位を有する材料を指す。「繰り返し単位」との用語は、本出願における定義によれば、2つ以上の前記モノマーの反応生成物の結果又はこの反応の残分である原子群を指す。係る繰り返し単位は、約28〜約750ダルトンの範囲内の個々の数平均分子量を有してよい。「オリゴマー」との用語は、本出願において使用される場合には、2〜9つの繰り返し単位又は繰り返し単位の混合物を有する材料を指す。オリゴマーは、約202〜約1499ダルトンの範囲内の数平均分子量を有してよい。当業者は、オリゴマー及びポリマーが両方共にモノマー材料の繰り返し単位をベースとするために、高分子量のオリゴマーが、ポリマーにとっての低分子量の末端範囲に重なる可能性があることを考慮するものである。
【0054】
重合反応(i)は、一実施態様において、可能性のあるコモノマーの任意の数を有する、上記で定義したエチレン性不飽和種の1つ又は複数の場合による共重合を更に含むものである。適したコモノマーは、例示的に、そして限定するものではなく、アルキレン炭化水素、例えばエチレン、プロピレン ブチレン、及びオクテン;芳香族炭化水素ビニル化合物、例えばスチレン及びα−メチルスチレン;ビニルエステルモノマー、例えばビニルアセタート;(メタ)アクリルモノマー、例えばメチル(メタ)アクリラート、エチル(メタ)アクリラート、プロピル(メタ)アクリラート、n−ブチル(メタ)アクリラート、t−ブチル(メタ)アクリラート、イソブチル(メタ)アクリラート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリラート、シクロヘキシル(メタ)アクリラート等;及びこれらの組み合わせを含む。一実施態様において、選択的なコモノマーが、前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応から生じる前記の2つの不飽和モノマーの重合において使用されるものである。一実施態様において、選択的なコモノマーは、メチルメタクリラートであってよい。
【0055】
重合反応(i)は、任意の使用可能な付加重合方法により実施されてよく、前記方法は塊状重合、溶液重合及び乳化重合を含む。反応(ii)又は(iii)の1つ又は両方から生じる重合可能な任意の種の重合のために適した方法は、フリーラジカル重合方法であって、UV及び/又は熱開始方法を含むフリーラジカル重合方法、イオン重合方法であって、アニオン性又はカチオン性方法を含むイオン重合方法、及び制御重合又はリビング重合反応、例えばATRP、RAT重合方法、及びこの類似方法を含む。
【0056】
本出願において使用される場合に、「重合」とはオリゴマー化又はポリマー化反応の条件を指し、その際この温度は室温(約20℃/68゜F)であり、そして多くとも180℃/356゜F、より有利には70〜140℃/158〜284゜F、最も有利には110〜140℃/230〜284゜Fである。
【0057】
開示された方法の一実施態様において、本出願において使用される場合に重合は、オキシラン基を活性化できる任意の触媒なしの反応条件を指す。係るオキシラン活性化触媒を説明する例は、第三級アミン又は第四級塩(例えばテトラメチルアンモニウムブロミド)、錯体の有機スズハロゲン化物及びアルキルホスホニウムハロゲン化物の組み合わせ(例えば(CH33SnI、Bu4SnI、Bu4PI及び(CH34PI)、カリウム塩(例えばK2CO3、KI)をクラウンエーテルと組み合わせたもの、スズオクトアート、カルシウムオクトアート、及びこの類似物である。
【0058】
反応(i)のための最も有利な重合技術は、フリーラジカル重合であり、これは溶媒又は水中で起こってよいが、しかし最も有利には溶媒中で起こる。適した有機溶媒の説明する例は、芳香族溶媒、ケトン溶媒、エステル溶媒、エーテル溶媒、アルコール溶媒及びこれらの組み合わせを含む。本発明の有利な一実施態様において、触媒、例えばルイス酸及び強力なスルホン酸(2.0よりも小さいpKaを有する)なしであるフリーラジカル重合反応条件が使用される。
【0059】
有利な一実施態様において、この2つの不飽和モノマーのフリーラジカル重合は、約80℃〜140℃の温度の存在下で、いかなるエポキシ環活性化触媒の存在なしに、かつ任意の選択的な官能基Yと係る温度下で反応性であるいかなる水又はアルコールの存在なしに起こるものである。
【0060】
代替的に、この所望のエチレン性不飽和モノマーは、Matyjaszewski及びKrysztof ,Chem. Reviews, 第101巻、2921〜2990頁 (2001)により説明される制御重合又はリビングラジカル重合方法を用いて、又はKuchanov, J. of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry 第32巻 1557〜1568頁 (1994), 及び Gaofenzi Xuebao 第2巻 127〜136頁 (2002)により説明されるイニファーター(iniferter)方法により、Zaremski, Russian Polymer News 第4巻、 17〜21頁 (1999)及びWang, Abstracts of Papers, 224th ACS National Meeting, Boston, MA, United States, August 18-22, 2002 (2002)により説明されるニトロキシド媒介重合により重合されてよく、これら全ては参照により本発明に組み込まれる。
【0061】
例示的な一実施態様において、前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応から生じる2つの不飽和モノマーの重合反応(i)は、前記の線状の不飽和無水物の開環反応(ii)の後に生じる。一実施態様において、重合反応(i)は、前記の線状の不飽和無水物と前記活性水素化合物との反応(ii)の少なくとも50%が完了するまで起こらず、即ち前記の線状の不飽和無水物上の無水基の少なくとも50%が、前記活性水素化合物により開環されているまで起こらない。別の実施態様において、重合反応(i)は、前記の線状の不飽和無水物と前記活性水素化合物との反応(ii)の少なくとも80%が完了するまで開始しない。別の実施態様において、重合は、前記無水物の環の存在を測定するIRピークが消失するまで開始しない。
【0062】
別の実施態様において、重合反応(i)が、反応(ii)及び(iii)のための反応速度よりも遙かにより早い反応速度を常に有することが考慮される。従って、例示的な一実施態様において、反応(i)、(ii)及び(iii)は、任意の時間に、かつ任意の順番で生じてよいことが考慮される。
【0063】
一実施態様において、前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応(ii)から生じる2つの不飽和モノマーの重合反応(i)は、前記の線状の不飽和無水物の反応から生じる酸官能基を含有する重合反応生成物を生じる。一実施態様において、前記酸官能性重合生成物はまた、前記活性水素化合物Y−R−Aと前記の不飽和の線状無水物との反応から生じる残基(Y−R−)も含む。例示的な一実施態様において、前記酸官能性重合生成物は、カルバマート基又はカルバマート又は尿素基に変換可能である基を含む。特定の例示的な一実施態様において、前記酸官能性重合生成物を、エポキシ官能性化合物と、反応(iii)に引き続き又は同時に反応させる。
【0064】
別の一実施態様において、前記エポキシ官能性化合物の反応(iii)は、前記の線状の不飽和無水物と前記活性水素化合物との開環反応(ii)から生じる酸官能性エチレン性不飽和モノマーと共に生じてよい。例示的な一実施態様において、前記エポキシ官能性化合物を、反応(iii)において、反応(i)からの1つ又は複数の前記酸官能性重合生成物、また同様に反応(ii)からの前記酸官能性エチレン性不飽和モノマーと反応させる。
【0065】
一実施態様において、前記エポキシ官能性化合物は、モノエポキシド化合物である。一実施態様において、前記エポキシ官能性化合物は、式R""−Z[前記式中、R""は、前記活性水素化合物の基Rに関して上記で定義したとおりであり、かつZはエポキシ基である]である。
【0066】
別の実施態様において、適したエポキシ官能性化合物は、例示的に、かつ限定するものでなく、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、及びアルケンのエポキシドから選択されてよい。有利な一実施態様において、前記エポキシドはグリシジルエステルである。グリシジルエステルは、単官能性カルボン酸(例えばオクタン酸、安息香酸、ベンジル酸(benzylic acid)、シクロヘキサンカルボン酸)と、エピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)とを、この分野で公知の条件下で反応させることにより製造されてよい。グリシジルエステル、例えばCardura(R) Eは市販されている。前記グリシジルエステルの酸性部分は、約40つまでの炭素原子、有利には約20つまでの炭素原子、特に有利には約12つまでの炭素原子を有してよい。例示的な一実施態様において、前記エポキシ官能性化合物は、ネオデカン酸(neodecanoate acid)のグリシジルエステルである。特定の例示的な一実施態様において、前記エポキシ官能性化合物は、グリシジルエステル、例えばCardura(R) Eである。
【0067】
適したグリシジルエーテルは、単官能性アルコール(例えばn−ブタノール、プロパノール、2−エチルヘキサノール、ドデカノール、フェノール、クレゾール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)とエピハロヒドリン(例えばエピクロロヒドリン)との反応により製造されてよい。使用可能であるグリシジルエーテルは、2−エチルヘキサノールのグリシジルエーテル、ドデカノールのグリシジルエーテル、フェノールのグリシジルエーテル、及びこの類似物を含む。
【0068】
エポキシドはまた、二重結合を含有する化合物と、過酸化物又は過酢酸とを反応させることにより製造されてもよい。使用可能である二重結合含有化合物は、限定することなしに、脂環式の一不飽和化合物、例えばシクロヘキセン及び置換したシクロヘキサン、エチレン、プロピレン、スチレン、スチレンオキシド、及びこの類似物を含む。
【0069】
反応(iii)のために、1つ又は両方の、反応(i)からの酸官能性重合生成物及び/又は反応(ii)からの酸官能性エチレン性不飽和モノマー及び前記エポキシ官能性化合物を、一緒に適した条件下で反応させる。適した反応温度は、典型的には約50℃〜約150℃であり、塩基触媒が含有されていてよく、例えばジメチルドデシルアミン又はジメチルアミノピリジンである。特定の例示的な一実施態様において、反応(iii)のためには、両方の、反応(i)からの酸官能性重合生成物及び反応(ii)からの酸官能性エチレン性不飽和モノマー及び前記エポキシ官能性化合物を一緒に、適した条件下で反応させる。
【0070】
前記カルボン酸基の全てを、前記モノエポキシド化合物と反応させる必要はない。一実施態様において、この最終的に生じる付加ポリマーは、前記の線状の不飽和無水物の反応から生じる酸性基を実質的に含まない。別の実施態様において、前記酸性基の一部のみを、前記エポキシ官能性化合物と反応させ、前記の線状の不飽和無水物の反応から生じる、酸性基の少ない数を有する付加ポリマーを製造する。つまり、いくつかの場合には、前記の線状の不飽和無水物の開裂からの残留するカルボン酸基のために、所定の酸価を有する付加ポリマーを製造することが望ましい可能性がある。一実施態様において、この開示された方法から生じる付加ポリマーは、特にYが第一級カルバマート基である場合に、選択的な官能基Yの20%以下に相当する酸価を有する。一実施態様において、この開示された方法から生じる付加ポリマーは、前記官能基Yの10%以下に相当する酸価を有し、その一方で別の実施態様においては、この開示された方法から生じる付加ポリマーは、前記官能基Yの7%以下に相当する酸価を有する。
【0071】
一実施態様において、この方法が、酸官能性モノマー又は酸官能性重合生成物の物理的な除去を含むいかなる工程を含まないことが、この開示された方法の一観点である。物理的な除去は、本出願において使用される場合に、方法又は工程、例えばストリッピング、蒸留、又はこの類似の方法又は工程を指す。むしろ、一実施態様においては、酸官能性モノマー又は重合生成物の量が、この方法の開示された工程により制御され、即ち不飽和の線状無水物を活性水素化合物と反応させて、重合可能なC=C結合を含む2つのモノマーを提供し、その際少なくとも1つのモノマーが酸官能基を有し、この2つのモノマーの重合可能なC=C結合を重合して酸官能性重合生成物を提供し、かつ前記酸官能性重合生成物を、エポキシ官能性化合物と反応させて、非ゲル化付加ポリマーを製造する工程により制御されることが、この開示された方法の基本的かつ重要な一観点である。
【0072】
本出願においてはまた、開示された非ゲル化付加ポリマー、特に開示されたカルバマート官能性付加ポリマーを含有する硬化可能なコーティング組成物も提供される。一実施態様において、係る硬化可能なコーティング組成物は、係るポリマーを、以下に定義する非揮発性ビヒクルの1〜99質量%の量で含有してよい。別の実施態様において、係る硬化可能なコーティング組成物は、係るポリマーを、以下に定義する非揮発性ビヒクルの30〜80質量%の量で含有してよい。
【0073】
前記コーティング組成物は、更なるカルバマート官能性化合物を含んでよい。係るカルバマート官能性化合物は、限定することなしに、U.S. 特許 No. 6,160,058, 6,084,038, 6,080,825, 5,994,479に説明される任意の化合物を含み、この化合物の開示は参照により組み込まれる。
【0074】
前記コーティング組成物は更に、活性水素基と反応性である、1つ又は複数の架橋剤を含有する。特に有利な架橋剤は、限定することなしに、活性メチロール又はメチルアルコキシ基を有する材料、例えばアミノプラスト架橋剤又はフェノール/ホルムアミドアダクトを含む。有利な硬化剤化合物の例は、メラミンホルムアルデヒド架橋剤を含み、例えばモノマーの又はポリマーのメラミン樹脂及び部分的に又は完全にアルキル化したメラミン樹脂、尿素樹脂、及びメチロール尿素、例えば尿素ホルムアルデヒド樹脂、アルコキシ尿素、例えばブチル化尿素ホルムアルデヒド樹脂を含む。その他の使用可能な架橋剤は、限定することなしに、ポリイソシアナート及びブロックトポリイソシアナートを含む。前記硬化剤は、これらの組み合わせであってよい。アミノプラスト樹脂、例えばメラミンホルムアルデヒド樹脂又は尿素ホルムアルデヒド樹脂は特に有利である。
【0075】
有利な実施態様において、前記架橋剤は、非揮発性ビヒクルの少なくとも約5質量%、より有利には少なくとも約10質量%である。「非揮発性ビヒクル」は、フィルム形成成分を指す。前記架橋剤は、前記非揮発性ビヒクルの約40質量%まで、より有利には約30質量%までであることも有利である。前記架橋剤は有利には、前記非揮発性ビヒクルの約5質量%〜約40質量%、より有利には約10質量%〜約35質量%、更により有利には約15質量%〜約35質量%である。
【0076】
前記コーティング組成物は、硬化反応を促進すべく触媒を含有してよい。例えば、アミノプラスト化合物、特にモノマーメラミン類が硬化剤として使用される場合には、強酸触媒が、硬化反応を促進すべく使用されてよい。係る触媒は、この分野において公知であり、かつ、限定することなしに、p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、フェニル酸ホスファート、モノブチルマレアート、ブチルホスファート、及びヒドロキシホスファートエステルを含む。強酸触媒は、しばしばブロック化されていて、例えばアミンでブロック化されている。本発明の組成物中で使用可能であるその他の触媒は、ルイス酸、亜鉛塩、及びスズ塩を含む。
【0077】
溶媒を、前記コーティング組成物中で使用してよい。一般的に、前記溶媒は任意の有機溶媒及び/又は水であってよい。有利な一実施態様において、前記溶媒は極性有機溶媒を含む。より有利には、前記溶媒は、極性脂肪族溶媒又は極性芳香族溶媒から選択される1つ又は複数の有機溶媒を含む。更により有利には、前記溶媒は、ケトン、エステル、アセタート、非プロトン性アミド、非プロトン性スルホキシド、非プロトン性アミン、又は任意の前記溶媒の組み合わせを含む。使用可能である溶媒の例は、限定することなしに、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、m−アミルアセタート、エチレングリコールブチルエーテル−アセタート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、キシレン、N−メチルピロリドン、芳香族炭化水素のブレンド、及びこれらの混合物を含む。別の有利な実施態様において、前記溶媒は水又は水と少量の共溶媒との混合物である。
【0078】
前記コーティング組成物がプライマー組成物又は着色したトップコート組成物、例えばベースコート組成物である場合には、1つ又は複数の顔料及び/又は充填物が含有されてよい。顔料及び充填剤を、典型的には、前記コーティング組成物の全質量に対して40質量%までの量で使用してよい。使用される顔料は、無機顔料であってよく、これは金属酸化物、クロマート、モリブダート、ホスファート、及びシリケートを含む。使用されてよい無機顔料及び充填剤の例は、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、オーカー、シェンナ、アンバー、ヘマタイト、褐鉄鉱、赤色酸化鉄、透明赤色酸化鉄(transparent red iron oxide)、黒色酸化鉄、褐色酸化鉄、酸化クロムグリーン、クロム酸ストロンチウム、リン酸亜鉛、シリカ、例えば煙霧シリカ、炭酸カルシウム、タルク、バライト、フェロシアン化第二鉄アンモニウム(プルシアンブルー)、ウルトラマリン、クロム酸鉛、モリブデン酸鉛、及びマイカフレーク顔料である。有機顔料も使用されてよい。使用可能である有機顔料の例は、金属化及び非金属化アゾレッド、キナクリドンレッド及びバイオレット、ペリレンレッド、銅フタロシアニンブルー及びグリーン、カルバゾールバイオレット、モノアリーリド及びジアリーリドイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、トリルオレンジ(tolyl orange)、ナフトールオレンジ、及びこの類似物である。
【0079】
付加的な剤は、例えば立体障害アミン光安定剤、紫外光吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、安定剤、湿潤剤、レオロジー制御剤、分散剤、付着促進剤等が、前記コーティング組成物中に組み込まれていてよい。係る添加剤は公知であり、かつコーティング組成物のために使用される典型的な量で含有されていてよい。
【0080】
コーティング組成物は、この分野で公知である任意の種々の技術により物品上に被覆されてよい。係る技術は例えば、吹付けコーティング、浸漬コーティング、ロールコーティング、フローコーティング、及びこの類似技術を含む。自動車のボディパネルのためには、吹付けコーティングが有利である。
【0081】
前記コーティング組成物は、多くの様々な基材上に設けられてよく、前記基材は金属基材、例えば裸鋼、ホスファート処理鋼、亜鉛メッキ鋼、又はアルミニウムを含み、かつ非金属基材、例えばプラスチック及び複合材料を含む。前記基材はまた、上に既に他のコーティングの層を有する前記材料の任意のものであってもよく、例えば電着したプライマー、プライマーサーフェイサー、及び/又はベースコートの層であり、これらは硬化又は未硬化であってよい。
【0082】
適用は、例えば静電吹付けにより、又は流動床の使用によってよい。静電吹付けは有利な方法である。前記コーティング組成物は、典型的には約20〜約100ミクロンの硬化後のフィルム厚さを提供すべく、1つ又は複数の段階で適用されてよい。
【0083】
前記コーティング組成物の基材への適用後に、前記コーティングを硬化させ、有利にはこの反応体に非溶解性のポリマーネットワークを形成させるために十分な温度かつ期間加熱することにより硬化させる。この硬化温度は通常は、約105℃から約175℃であり、この硬化期間は通常は、約15分間〜約60分間である。有利には前記コーティングを約120℃〜約150℃、約20分間〜約30分間硬化させる。加熱を赤外線加熱炉及び/又は対流炉中で実施してよい。
【0084】
前記コーティング組成物を有利には、自動車の複合カラープラスクリアーコーティングのクリアーコートとして使用する。前記組成物上に設けられる着色したベースコート組成物は、この分野で公知である任意の数々の種類であってよく、かつ本出願においては詳細な説明を必要としない。ベースコート組成物中で使用可能であることがこの分野で公知であるポリマーは、アクリル類、ビニル類、ポリウレタン類、ポリカルボナート類、ポリエステル類、アルキド類、及びポリシロキサン類を含む。有利なポリマーは、アクリル類及びポリウレタン類を含む。本発明の有利な一実施態様において、前記ベースコート組成物はまた、カルバマート官能性アクリルポリマーを使用してもよい。ベースコートポリマーは、熱可塑性であってよく、しかしながら有利には、架橋可能であり、かつ1つ又は複数の種類の架橋可能な官能基を含有する。係る基は、例えばヒドロキシ、イソシアナート、アミン、エポキシ、アクリラート、ビニル、シラン、及びアセトアセタート基を含む。係る基は、ブロック解除され、かつ架橋反応のために所望の硬化条件下で、一般的には高温で使用可能であるようにマスク又はブロックされていてよい。使用可能である架橋可能な官能基は、ヒドロキシ、エポキシ、酸、無水物、シラン、及びアセトアセタート基を含む。有利な架橋可能である官能基は、ヒドロキシ官能基及びアミノ官能基を含む。
【0085】
ベースコートポリマーは、自体で架橋可能であるか、又は別個の架橋剤を必要とし、これは前記ポリマーの官能基と反応性である。前記ポリマーが、ヒドロキシ官能基を含む場合には、例えば前記架橋剤は、アミノプラスト樹脂、イソシアナート及びブロックトイソシアナート(イソシアヌラートを含む)、及び酸又は無水官能性架橋剤であってよい。
【0086】
前記クリアーコートコーティング組成物は、一般的にベースコートコーティング組成物上にウェット−オン−ウェット式に設けられ、これはこの産業において幅広くなされている。本出願において説明されるコーティング組成物は、有利には、前記コーティング層を硬化させるための条件に曝される。様々な硬化方法が使用されてよいものの、熱硬化が有利である。一般的に熱硬化は、このコーティングされた物品を、最初に放射熱源により供給される高温に曝すことで引き起こされる。硬化温度は、架橋剤中で使用される特定のブロック基に依存して変動し、しかしながらこの温度は一般的に90℃〜180℃の範囲にある。有利な一実施態様において、ブロック化された酸により触媒される系(blocked acid catalyzed system)にとって、この硬化温度は有利には115℃〜150℃であり、より有利には115℃〜140℃の温度である。非ブロック化酸により触媒される系にとって、硬化温度は有利には80〜100℃である。硬化時間は、使用される特定の成分及び物理的パラメーター、例えば前記層の厚さに依存して変動する;しかしながら、典型的な硬化時間は、ブロック化された酸により触媒される系にとっては15〜60分間、有利には15〜25分間、そして非ブロック化酸により触媒される系にとっては10〜20分間の範囲にある。硬化時間はまた、金属の温度がベーキング温度に達した後の時間として表現されてもよい(「金属温度」)。例えば、硬化時間は、金属温度で5分間〜30分間、有利には10〜20分間であってよい。
【0087】
本発明を以下の実施例により更に説明する。実施例は単に例証するものであって、記載し請求した本発明の範囲を限定するものではない。全ての部は特に記載がない限りは質量部である。
【0088】
実施例1
開示された方法によるカルバマート官能性ポリマーの製造
適したフラスコに無水メタクリル酸532g、ヒドロキシエチルカルバマート(CarboLink HEC、Huntsmanにより提供)341g、トリフェニルホスフィット1.5g及び2.6−ジ−t−ブチルメチルフェノール2.6gを装入した。この混合物を105℃に加熱し、かつ1750cm-1での無水物のIRピークが消失するまで維持した。
【0089】
適したフラスコに、プロピレングリコールのモノプロピルエーテル(Propyl Propasol)211g、プロピレングリコールのモノメチルエーテル100g及びCardura E (Shellにより提供)378.3gを窒素保護下で装入した。この混合物を130℃に加熱した。上記のCEMA/MAA混合物425g、2,2′−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)65.5g(Vazo 67、DuPontにより提供)及びプロピレングリコールのモノメチルエーテル122.2gを、3時間にわたりこのフラスコに添加した。この添加が完了すると、この生じる重合生成物を120℃に冷却した。この冷却した樹脂に、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Vazo 67、DuPontにより提供)7.7g、メチルメタクリラート21.3g、及びプロピレングリコールのモノメチルエーテル50gを30分間にわたり添加した。この添加が完了すると、以下を前記フラスコに30分間にわたり添加した:2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(Vazo 67、DuPontにより提供)3.9g及びプロピレングリコールのモノメチルエーテル25g。この添加が完了すると、この樹脂を140℃に加熱し、このエポキシ基が滴定によりもはや検出可能でなくなるまで維持した。この生じる樹脂を次いで80℃に冷却し、注ぎ空けた。
【0090】
この開示された方法は、線状の不飽和無水物を出発材料として使用する方法を提供する点で有利である。この開示された方法は、線状の不飽和無水物を使用する公知技術の方法で典型的に遭遇するゲル化の問題を回避するための方法を提供する。更に、前記無水物の反応から生じる酸官能性モノマー又は重合生成物に関してコストのかかる精製工程がないから、開示された方法は有利である。本方法は更に、低酸官能性を有する非ゲル化付加ポリマーの製造を含む、付加ポリマー上の酸官能性の所望の量に関する変動を可能にする方法を同時に提供する点で有利である。最後に、開示された方法の他の利点は、以前は公知技術の方法により廃棄されていた、線状の不飽和無水物の出発材料の半分(one-half)の使用を可能にすることである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ゲル化付加ポリマーの製造方法であって、
線状の不飽和無水化合物、活性水素化合物、及びエポキシド化合物を、以下の3つの各反応:
(i)重合可能なC=C結合を重合する反応、
(ii)前記活性水素化合物により前記の線状の不飽和無水化合物の無水官能基を開環し、酸官能基を生成する反応、及び
(iii)前記の無水物の開環から生じる酸官能基と、前記エポキシド化合物との反応
が生じる反応条件に供し、
その際、
(1)反応(iii)の際に、前記の無水物の開環から生じる酸官能基は、エチレン性不飽和モノマー、ポリマー、又はこれらの混合物から選択されてよく、かつ
(2)この方法は、いかなる酸官能性モノマー又は酸官能性重合生成物の物理的な除去を含む工程を含まない、非ゲル化ポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記の3つの反応は同時に生じる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記の3つの方法は段階的に生じる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
反応(i)及び(iii)は、反応(ii)の後に生じる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
反応(iii)は、反応(i)の後に生じる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
反応(ii)は、重合可能なC=C結合を含む2つのモノマーを提供するための前記の不飽和の線状無水物と前記活性水素化合物との反応を含み、その際少なくとも1つのモノマーは酸官能基を含む、請求項4記載の方法。
【請求項7】
反応(iii)の少なくとも一部は、反応(i)の前に又は(i)と同時に生じる、請求項4記載の方法。
【請求項8】
反応(iii)の少なくとも一部は、反応(i)と同時に生じる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
非ゲル化付加ポリマーが、前記酸官能基を含むモノマーを実質的に含まない、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記の不飽和の線状無水物が、式
【化1】

[前記式中、R1〜R6は、同一又は異なっていてよく、かつ少なくとも1つのH、1〜4つの炭素のアルキル基、1〜4つの炭素の脂環式基、又はこれらの混合物であり、かつLは選択的に、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式連結基である]
である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
Lが存在し、かつ更に少なくとも1つのO、P、Si、N、又はこれらの組み合わせを含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記の不飽和の線状無水物は、無水メタクリル酸である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記活性水素化合物が、式Y−R−A[前記式中、Aは活性水素基を示し、Rは、脂肪族、脂環式、アリール、複素環式、又はこれらの混合物であってよく、かつYは、前記の線状の不飽和無水物の無水基と非反応性である官能基である]である、請求項1記載の方法。
【請求項14】
Aが、少なくとも1つのヒドロキシル基、チオ基、又はアミン基である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
Aが、XR’n[前記式中、Xは、O、N、S、又はこれらの類似物であり、R’は、H又は1〜4つの炭素のアルキル基であり、かつnは0〜4である]である、請求項13記載の方法。
【請求項16】
AがOHである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
Rが、少なくとも1つのO、S、Fl、Si、N、又はこれらの組み合わせを含んでよい、請求項13記載の方法。
【請求項18】
官能基Yが、少なくとも1つのフッ素、シラン、尿素、アミド、カルバマート基、環式カルボナート、酸性基、炭素−炭素二重結合、カルバマート基又は尿素基に変換可能である基、又はこれらの組み合わせである、請求項13記載の方法。
【請求項19】
官能基Yが、カルバマートでない、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記活性水素化合物が、少なくとも1つのヒドロキシアルキルカルバマート、β−ヒドロキシアルキルカルバマート、γ−ヒドロキシルアルキルカルバマート、β−ヒドロキシルブチルカルバマート、γ−ヒドロキシルブチルカルバマート、δ−ヒドロキシルブチルカルバマート、ヒドロキシルアルキルカルバマートとE−カプロラクトンとの反応生成物、又はこれらの組み合わせである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記エポキシ官能性化合物は、ネオデカン酸のグリシジルエステルである、請求項1記載の方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法により製造される、非ゲル化付加ポリマー。
【請求項23】
請求項22記載の非ゲル化付加ポリマーを含む、硬化可能なコーティング組成物。
【請求項24】
請求項23記載の硬化可能なコーティング組成物を設け、かつ硬化させることから生じる硬化したフィルムを含む、コーティングされた基材。
【請求項25】
硬化したフィルムが、クリアーコートである、請求項24記載のコーティングされた基材。

【公表番号】特表2008−514785(P2008−514785A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−534632(P2007−534632)
【出願日】平成17年9月16日(2005.9.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/033201
【国際公開番号】WO2006/039122
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(591020700)ビー・エイ・エス・エフ、コーポレーション (53)
【氏名又は名称原語表記】BASF Corporation
【Fターム(参考)】