説明

定位置洗浄システム

旋回ヒンジ領域を形成するため回転ロッドにより連結された挿入連結端部を有するモジュールベルト(306)用の定位置洗浄システムが、流体の加圧源と流体接続するように構成された第1開口端(304)を有する非回転の中空軸(303)を有している。定位置洗浄システムは更に、前記中空軸(303)に回転可能に設けられ、モジュールベルト(306)が通過し、旋回するときに、前記中空軸(303)の周り回転駆動する少なくとも1つのスプロケット(301)を有している。定位置洗浄システムは、前記中空軸(303)に互いに間隔を空けて横方向に配置された複数のノズル部材(300)であって、前記流体の加圧源と流体接続している個々のノズル部材(300)を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュール搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モジュールベルトを駆動するスプロケットは通常、機械加工された、若しくは鋳造で作られたステンレス鋼またはプラスチックから構成されている。食品加工に適用するには、スプロケットの駆動部が、洗浄にとって特に重要な領域である。ベルト上で、細菌の増殖を阻止し、加工された食品の腐敗を回避するため、スプロケットから、またはベルトの後側で残留物を完全に、定期的に除去できることが重要である。この目的のため、スプロケットは、側方から射出された洗浄液を、洗浄されるべき重要な領域に到達させる大きな開口を備えるように設計されている。このようなスプロケットは、米国特許第38,607号公報の中で開示されている。典型的には、スプロケットのリムおよび歯が、ヒンジを覆い、前記液体が適切な洗浄のためのヒンジ領域に到達するのを妨げる。従って、前記特許で開示されたスプロケットは更に、一対の歯がオフセットされるように、2列に対の歯を設けている。この配置は、後方のベルト側面への洗浄用アクセスをより一層簡単にし、後方のベルト側面に集まった残留物を簡単に除去することができる。しかし、重要なヒンジ領域がまだ、スプロケットと係合するときに所定の範囲をスプロケットのリムに覆われているので、この設計は問題を部分的に解決するだけである。従って、これらヒンジへの良好なアクセスが、一番重要である。
【0003】
米国特許公報第2004/0,222,072号には、この公報の図3A,3Bに示されているように、斜め形状を備えたスプロケットを使用することにより、この問題の解法を提案している。この設計により、歯は、ベルトの後側で横方向に位置を変え、より良い洗浄用のアクセスのため、定期的にベルト上の他の場所を露出する。これは洗浄性を向上するが、提案された解法はまだ、所定の位置でヒンジを定期的に完全に覆うという欠点を有している。開示されたスプロケットの他の典型的な特徴は、ヒンジ間隔(図3Bの参照番号74)内に係合する追加の歯により、ベルト上で後を追うことである。これらの歯と係合するスプロケットが、2つの連結部の間のヒンジ間隔内に入り込み、これにより、この間隔に残留物を押し込むとき、再び洗浄を困難にする。また、スプロケットの駆動ポケット(pocket,公報の図3Aに示された72を参照されたい)が、ベルトの後側にある中央横棒と一致する駆動面と密接に噛合している。駆動ポケットを覆うことで全体的に被覆される駆動面は、洗浄をより困難にする領域の間で、残留物が物理的に押し出される他の領域である。
【0004】
同様の解法を提案している他の特許は、米国特許第6,740,172号である。この特許は、駆動用の係合を開示していないが、係合領域を定期的に横方向に移すために使用される断面スプロケットが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、前述した欠点を解消するモジュールベルト用定位置洗浄システム(cleaning-in-place system)を改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、独立請求項1または11に係るモジュールベルト用定位置洗浄システムを提供することにより、上述の必要性に適合する。好適な実施形態は、従属項から明らかになる。
【0007】
本発明の本質は、以下にある。
【0008】
旋回ヒンジ領域を形成するため回転ロッドにより連結された挿入連結端部を有するモジュールベルト用の定位置洗浄システムが、流体の加圧源と流体接続するように構成された第1開口端を有する非回転の中空軸を有している。定位置洗浄システムは更に、前記中空軸に回転可能に設けられ、モジュールベルトが通過し、旋回するときに、前記中空軸周り回転駆動する少なくとも1つのスプロケットを有している。定位置洗浄システムは、前記中空軸に互いに間隔を空けて横方向に配置された複数のノズル部材であって、前記流体の加圧源と流体接続している個々のノズル部材を有している。前記少なくとも1つのスプロケットは中央に、前記中空軸を挿通する開口を有する本体を備え、前記本体は、該本体の外周に沿って対に配置された複数の歯と、隣り合う前記対の歯の間に形成された少なくとも1つの第1開口とを有し、前記第1開口は、前記モジュールベルトが前記スプロケットと係合する際に、流体を適用する前記ヒンジ領域にアクセスできるようにするため、前記スプロケットの中心に向かって延び、前記ヒンジ領域に合致するように配設されている。
【0009】
本発明の1つの実施形態において、前記複数のノズル部材は、前記中空軸の縦軸に対し15°以上の角度が付けられた直線に沿って位置決めされた扁平な噴霧パターンを提供する。
【0010】
本発明の更なる特徴によれば、旋回ヒンジ領域を形成するため回転ロッドにより連結された挿入連結端部を有するモジュールベルト用の定位置洗浄システムが、流体の加圧源と流体接続するように構成された第1開口端を有する非回転の中空軸を有している。定位置洗浄システムは更に、前記中空軸に回転可能に設けられ、モジュールベルトが通過し、旋回するときに、前記中空軸周り回転駆動する少なくとも1つのスプロケットを有している。定位置洗浄システムは、前記中空軸に互いに間隔を空けて横方向に配置された複数のノズル部材であって、前記流体の加圧源と流体接続している個々のノズル部材(300)を有している。前記複数のノズル部材は、前記中空軸の縦軸に対し15°以上の角度が付けられた直線に沿って位置決めされた均一な噴霧パターンを提供する。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、前記複数のノズル部材は、前記軸の縦軸に対し約10°の角度が付けられた直線に沿って位置決めされた。
【0012】
本発明の実施形態によれば、前記少なくとも1つのスプロケットが、前記軸に沿って配設された複数のスプロケットからなる。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、少なくとも1つのノズル部材が、それぞれ対となる隣り合うスプロケットの間に配設された。
【0014】
本発明の更なる実施形態によれば、少なくとも1つの前記ノズル部材は、前記ノズル部材からの噴霧が前記スプロケット上の隣り合う対の歯の間に形成された前記第1開口を通過するように位置決めされた。
【0015】
本発明の他の実施形態によれば、第1ノズル部材からの前記噴霧が、前記第1開口を通過する一連のノズル部材からの噴霧とオーバラップする。
【0016】
本発明の更なる他の実施形態によれば、前記ノズル部材が、90°から120°までの噴霧角度を有する噴霧パターンを生み出す。
【0017】
本発明の実施形態によれば、前記流圧が、2バールから10バールである。
【0018】
本発明の更なる他の実施形態によれば、前記スプロケットのピッチ径が、130mmから200mmである。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、ヒンジを形成する横旋回部材により連結された挿入連結端部を有する複数のベルトモジュールを備えたモジュールベルトを駆動する駆動スプロケットが、軸により駆動される。ベルトモジュールは横断リブを有してもよい。駆動スプロケットは、前記軸を挿通するための中央開口を有する。本体は、本体の外周に沿って対に設けられた複数の歯を有する。本体は、隣り合う対の歯の間に形成され、ベルトがスプロケットと係合する際に、ここで詳述する洗浄媒体または他の媒体を適用するため、ヒンジ領域にアクセスできる目的で、スプロケットの中心に向かって延びる第1開口を有する。
【0020】
スプロケットにはまた、第1開口に隣接した湾曲凹部を設けることができる。複数の第2開口が、中央開口と第1開口との間のスプロケット本体内に配設されてもよい。
【0021】
対の歯は、中心軸に対してオフセットされた態様で配置され、または、歯がスプロケットの全幅にわたって延びてもよい。
【0022】
本発明は図面の中で示され、同じ参照番号は図面を通じて同じ、または同様の部分を指定する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスプロケットの側面図である。
【図2】図1のスプロケットの端面図である。
【図3】モジュールベルトと係合する図1のスプロケットの側面図である。
【図4】図3の斜視図である。
【図5】図4の他の斜視図である。
【図6】本発明に係るスプロケットの代案の実施形態である。
【図7】本発明の他の代案に係る実施形態の側面図である。
【図8】図7のスプロケットの端面図である。
【図9】ベルトと係合する図7のスプロケットの斜視図である。
【図10】本発明の他の代案に係る実施形態の側面図である。
【図11】図10のスプロケットの端面図である。
【図12】モジュールベルトと係合する図11のスプロケットの側面図である。
【図13】図12の斜視図である。
【図14】本発明の他の代案に係る実施形態の側面図である。
【図15】図14のスプロケットの端面図である。
【図16】ベルトと係合する図14のスプロケットの斜視図である。
【図17】本発明に係るスプロケット周りを旋回するモジュールベルトと定位置洗浄システムの実施形態の斜視図である。
【図18】図17の定位置洗浄システムの斜視図である。
【図19】明確にするためにベルトの一部が取り外された図17の定位置洗浄システムを旋回するベルトの斜視図である。
【図20】明確にするためにベルトの一部が取り外された図17の定位置洗浄システムを旋回するベルトの他の斜視図である。
【図21】図17の定位置洗浄システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
最初に図1を参照すると、駆動スプロケット20は、駆動スプロケット20の外周周りに対27に配置された複数のスプロケットの歯23,26を有している。スプロケット20はまた、矩形に形成された中央開口29を有している。矩形形状の開口29は、スプロケット20を回転し、モジュールベルト32(図3)を駆動する矩形のシャフト(図示せず)を挿通するような大きさを有している。中央開口29は、本開示に基づく技術分野の当業者に明らかなように、種々のシャフト形状に適応する他の形状に形成されてもよい。図示されたように卵型であってもよい大きな第1開口35は、スプロケット20の本体内に形成されている。第1開口35は、隣り合う対27の歯の間に位置し、図3に最もよく示すように、モジュールベルト32がスプロケット20と係合するとき、モジュールベルト32のヒンジ領域に合致するように配置されている。図示するように、歯23は一対の側壁38,41(側壁38に対向している)、一対の端壁44,47および上壁50から形成されている。上壁50と65は、互いに間隔を空けて配置され、若干、上壁50と65の平面的な上面に関して一致するように、それぞれの側壁に対して角度が付けられている。スプロケット20はまた、第1開口35の端部からスプロケット20の中央に向かって延びる湾曲凹部68を有している。この湾曲凹部68は、歯23,26に向かって延び、個々の歯の間の棚状部71で仕切られている。
【0025】
図2を参照すると、歯23,26は駆動スプロケット20の外周に沿って、2列に配置されている。歯23,26は、モジュールベルト32を駆動している間、歯の1つがベルト32の連結端部33の1つと係合し、かつ、他の歯がベルト32上の横断リブ34と係合するように、スプロケットの円周に沿ってオフセットされ、中心軸28の対向側に配置されている。棚状部71は、隣り合う歯23,26の間に延び、湾曲凹部68により対向する側で縁取られている。
【0026】
図3を参照すると、モジュールベルト32と係合するスプロケット20が示されている。歯23,26は個々のベルトモジュール36の連結端部33と横断リブ34に係合している。歯23,26は横断リブ34の対向側に合致し、ベルト32を追従する。また、第1開口35は、大きな開口を提供し、ベルト32が駆動スプロケット20を通過する際に、洗浄のためのヒンジ領域へのアクセスを向上させる。湾曲凹部68はまた、ヒンジ近くに空間を提供し、洗浄媒体を重要なヒンジ領域に案内する。洗浄媒体は、液体、気体、液体と気体との混合物、粉末、泡、または洗浄に適する任意の他の形態から成ってもよい。媒体はまた、衛生や乾燥など、洗浄に替えて、または追加して他の目的を果たしてもよい。
【0027】
図4と5を参照すると、歯23の端壁47は、歯23の面がベルト32との接触面を減らし、ベルト32とスプロケット20との間に捕捉されるであろう残留物を“押し”出すように、所定の角度で配設してもよい。
【0028】
図6には、スプロケット20の代案の実施形態が示されている。スプロケット60は、歯23、26、第1開口35および湾曲凹部68の構造が同じであるが、比較的大きく、中心軸の開口の外周周りに配置された開口63を備えている。開口63は、スプロケット60の側方から適用されるウォータジェットなどのアクセス性を向上させることが望まれるであろう。この代案構造は、必ずしもヒンジ領域の洗浄性を改善するものではない。
【0029】
図7から9を参照すると、特に鋳造に適したスプロケット本体の代案の実施形態が示されている。スプロケット80は中央開口81と、対となるスプロケットの歯86、89をオフセットされた(図8に最もよく示すように円周に対して)配置に準ずる湾曲凹部83を有している。歯は対91で配設され、中心軸94を間にして対向側に個々の歯を備えている。湾曲凹部83は、1つの歯86の端壁92から、スプロケット80の同じ側にある隣の歯86の端壁95まで延在している。近接する歯86,89の間に形成された第1開口98は、ヒンジ領域周りに開口を提供している。スプロケットの歯86,89の対91は、図9に示すように、ベルト32の横断リブ34と連結端部33とに係合するように設けられている。湾曲凹部83は、径方向軸93に対して角度βで配設されている。角度βは、洗浄媒体の流れを改善する必要性に応じて、変更してもよい。
【0030】
図10から図13を参照すると、スプロケットの代案の実施形態が示されている。スプロケット110は中央開口114を有している。スプロケット110は、スプロケット110とベルト32のヒンジとの間の空間を広げている。スプロケット110は、ベルト32がベルト32の縁にある案内形状によって案内されるような、追従する必要がない場合に使用することができる。図11に最もよく示すように、スプロケット110は、いずれのオフセットもなされていない一列の歯の対113,116を有している。幅広の歯113,116と歯113,116の間の閉じたV字型空間118により、スプロケット110の接触域はより広くなり、スプロケット110の洗浄特性に否定的な影響を与えるであろう。スプロケット110はまた、湾曲凹部121を備えている。湾曲凹部121は、図12に示すように、ベルト32のヒンジ領域に合致する第1開口124まで延在している。
【0031】
図14を参照すると、スプロケットの他の実施形態が示されている。駆動スプロケット200は、駆動スプロケット200の外周周りに対207に配置された複数のスプロケットの歯203,206を有している。駆動スプロケット200はまた、矩形形状に形成された中央開口209を有している。矩形形状の開口209は、図16に示すように、モジュールベルト32を駆動するスプロケット200を回転するための矩形シャフト(図示せず)を挿通するような大きさとなっている。複数の第1開口215は、スプロケット200の外周周りに、対207の間に配設されている。第1開口215はスプロケット200の中心に向かって内方に延びており、湾曲内側壁218に沿って仕切られている。複数の第2開口221が、第1開口215と中央開口209の間に配設されている。第2開口221は、スプロケット200の側方から適用されるウォータジェットなどのアクセス性を改善することが望まれるであろう。スプロケット200は、第1開口215の下方に凹部または溝を備えていない。スプロケット200は、ベルトのヒンジ領域へのアクセスを可能にし、スプロケット自体のより簡単な洗浄を可能にするため、大きな開口を備えた平滑面を有することを意図されている。
【0032】
図15においては、歯203,206が、駆動スプロケット200の外周に沿って2列に配設されている。歯203,206は、スプロケット200の円周に沿ってオフセットされており、中心軸230を間にして対向する側に設けられている。モジュールベルト32が駆動している間、1つの歯がベルト32の連結端部33の1つと係合し、他の歯がベルト32の横断リブ34と係合している。ベルト32の横断リブ34は、歯203,206の間の空間238に嵌り込む。
【0033】
図16において、モジュールベルト32と係合するスプロケット200が示されている。歯203,206は、個々のモジュール36の連結端部33と横断リブ34とに係合している。歯203,206は横断リブ34の対向する両側に嵌合し、ベルト32に追従する。また、第1開口215は、大きな開口を提供し、ベルト32が駆動スプロケット200の周りを通過する際に、洗浄のためにヒンジ領域へのアクセスを向上させる。矢印250により示されるように、第1開口215は、ベルト32がスプロケット200の周りを通過する際に、ベルト32のヒンジ領域と合致する。
【0034】
前述したスプロケットは、ベルトのヒンジが常に開口し、スプロケットの位置に関わらず自由にアクセスできるように設計されている。このスプロケットの設計は、以下に詳述する噴霧法を組合せることにより、モジュールベルトの最適な洗浄を提供する。図17から図21に示すように、噴霧ノズル300はスプロケット軸303上に配設されている。この軸303は、固定された中空軸または厚肉管を備えている。スプロケット301は、スチールからなり、またはセラミック被覆もしくはプラスチック塗料で被覆された軸303上を回転する。洗浄媒体は、注入口304を介して注入され、中空軸303を通過し、ノズル300を介しスプレーのように軸303から射出される。図17,18に最もよく示されているように、ノズル300は主として、スプロケット間の軸303に配設されている。ノズル300はまた、軸303の端から延びる屈曲部307の端部に配置されてもよい。軸303上のノズル300の配置により、以下に詳述するように最適な噴霧角度αを提供する。噴霧は、媒体の消費を最小にし、かつ噴霧の可能性を改善するため、媒体がスプロケットの歯311の間の隙間k(図19)とベルト用ヒンジ313とに入り込むように、均一に設計されている(図20に最もよく示す)。
【0035】
ベルト306は、この開示に基づく技術分野の同業者に明らかなように、煉瓦積みの方法で隣接する列の両端を連結されたベルトモジュール308の列315により形成されている。隣接する列315は、ヒンジを形成する回転ロッドにより連結される挿入連結端部319(図19に最もよく示す)を有している。
【0036】
以下に詳述するように、最小限の洗浄媒体の消費での最もよい洗浄性能は、スプロケットの径(すなわち、ベルト表面から噴霧ノズルの距離)に対する噴霧角度および噴霧圧の組合せにより達成される。洗浄媒体の温度もまた、特定の推移に適応する必要がある。そして、洗浄媒体の供給は、洗浄媒体の使用を可能な限り少なくするため、噴霧時間を制限する専用プログラムにより制御できる。このプログラムは、顧客の製造工程の特別な要求に適応するように構成できる。
【0037】
図17に示すように、本発明の定位置洗浄システムは、モジュール搬送ベルト306のアイドリング軸または非駆動軸303上に設置することができる。ベルト306は複数のスプロケット301の周りを駆動する。スプロケット301は、固定された中空軸または圧肉管303上に、回転可能に設けられている。軸303は、スプロケット301の間に配置された複数の噴霧ノズル300を備えている。噴霧は、ベルト306がスプロケット301の周りを通過するときに、ベルト306の内側に方向付けられている。噴霧は、ほぼ放射状に向けられ、ベルト306の列315がスプロケット301により折り曲げられ、ベルト306の面に達するように方向付けられる。同業者に公知なように、簡単に洗浄できるモジュールベルトは、スプロケットまたはドラムを回転しているときにヒンジを開くように設計され、これにより、洗浄および検査のためのヒンジへのアクセスを可能にする。従って、噴霧は適切な洗浄のために、ヒンジの中に入ることができる。前述したように、スプロケット301自体の設計は、汚染および洗浄に関して、ベルトの最も重要な領域であるヒンジが覆われず、それゆえ、洗浄媒体がヒンジの中に入ることができる。
【0038】
図18を参照すると、明確にするためにベルト306が取り外された定位置洗浄システムが示されている。隣り合うスプロケット301の中心線330の間の間隔(d)は、噴霧が伝達する必要がある距離を決定し、噴霧角度αにより決められる。噴霧角度が広いと、スプロケット301は更に離して配置できる。図示するように、一対の支持部329が、定位置で固定軸303を保持している。噴霧パターンは、両側でオーバラップしている。
【0039】
図19を参照すると、噴霧のオーバラップは、洗浄媒体がベルトのヒンジの隙間に入り込み、スプロケットの歯の間の溝状開口kを通過できるのに十分である。
【0040】
図20において、噴霧ノズル300が、扁平であり、それによりスプロケットの歯の間の溝状間隔kに入り込み、かつ、ヒンジ間隔に入り込むのに適した噴霧パターン339を有している。ノズル300は、軸303の中心線340に対し角度βで位置決めされている。この角度は、5°から15°の間であり、好ましくは10°である。この角度は、隣り合うノズル300の噴霧パターン間の乱れを回避し、スプロケットの両側から開口および間隔を貫通する噴霧液の浸透を確実にする。オーバラップの結果、ベルト表面を十分に覆うことができる。
【0041】
以下の表は、165mmのピッチ径を備えたスプロケット用の噴霧形状を示す。
【表1】

【0042】
スプロケットのピッチ径は130mm(5インチ)よりも小さくなく、200mm(8インチ)よりも大きくてはいけない。他のスプロケット寸法のため、噴霧角度および/または噴霧/スプロケットの間隔を調整すべきである。上で識別されたノズルは、複数の供給源から市販されている公知の銘柄である。本開示に基づく技術分野の当業者に明らかなように、他のノズルもまた、適切である。
【0043】
図21において、ベルト306がウェアストリップ(wear strip)350の上を通過し、スプロケット301に到達している。スプロケット301は、ベルト306がスプロケット301を旋回するときにヒンジの開口を維持するため、ヒンジの周りに空間を設ける大きな開口379を有している。ベルトは、回転ロッド360により連結されている。軸303と噴霧ノズル300は、固定されている。図示するように、噴霧は外側に向かって均一であり、洗浄媒体を歯の間のスロット状間隔kとヒンジ間隔内とにより一層浸透させる。
【0044】
本発明は、所定の実施形態に関連して述べる一方、発明の範囲を説明した特定の形態に限定することを意図せず、しかし、それどころか、添付した特許請求の範囲により規定された発明の範囲内に包含されるであろう代案、改良例および均等物を含むように意図している。
【符号の説明】
【0045】
300 ノズル部材
301 スプロケット
303 中空軸
304 第1開口端
306 モジュールベルト
311 歯
313 旋回ヒンジ領域
319 挿入連結端部
340 直線
360 回転ロッド
379 第1開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回ヒンジ領域(313)を形成するため回転ロッド(360)により連結された挿入連結端部(319)を有するモジュールベルト(306)用の定位置洗浄システムであって、
流体の加圧源と流体接続するように構成された第1開口端(304)を有する非回転の中空軸(303)と、
前記中空軸(303)に回転可能に設けられ、モジュールベルト(306)が通過し、旋回するときに、前記中空軸(303)の周りに回転駆動する少なくとも1つのスプロケット(301)と、
前記中空軸(303)に互いに間隔を空けて横方向に配置された複数のノズル部材(300)であって、前記流体の加圧源と流体接続している個々のノズル部材(300)と、
を備えた洗浄システムにおいて
前記少なくとも1つのスプロケット(301)は中央に、前記中空軸(303)を挿通する開口を有する本体を備え、
前記本体は、該本体の外周に沿って対に配置された複数の歯(311)と、隣り合う前記対の歯(311)の間に形成された少なくとも1つの第1開口(379)とを有し、
前記第1開口(379)は、前記モジュールベルト(306)が前記スプロケット(301)と係合する際に、流体を適用する前記ヒンジ領域(313)にアクセスできるようにするため、前記スプロケット(301)の中心に向かって延び、前記ヒンジ領域(313)に合致するように配設されていることを特徴とする定位置洗浄システム。
【請求項2】
前記複数のノズル部材(300)は、前記軸(303)の縦軸に対し15°以上の角度(β)が付けられた直線(340)に沿って位置決めされた扁平な噴霧パターンを提供することを特徴とする請求項1に記載の定位置洗浄システム。
【請求項3】
前記複数のノズル部材(300)は、前記軸(303)の縦軸に対し約10°の角度(β)が付けられた直線(340)に沿って位置決めされたことを特徴とする請求項1または2に記載の定位置洗浄システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのスプロケット(301)が、前記軸(303)に沿って配設された複数のスプロケット(301)からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項5】
少なくとも1つのノズル部材(300)が、それぞれ対となる隣り合うスプロケット(301)の間に配設されたことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項6】
少なくとも1つの前記ノズル部材(300)は、前記ノズル部材(300)からの噴霧が前記スプロケット(301)上の隣り合う対の歯(311)の間に形成された前記第1開口(379)を通過するように位置決めされたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項7】
第1ノズル部材(300)からの前記噴霧が、前記第1開口(379)を通過する一連のノズル部材(300)からの噴霧とオーバラップすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項8】
前記ノズル部材(300)が、90°から120°までの噴霧角度(α)を有する噴霧パターンを生み出すことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項9】
前記流圧が、2バールから10バールであることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項10】
前記スプロケットのピッチ径が、130mmから200mmであることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項11】
旋回ヒンジ領域(313)を形成するため回転ロッド(360)により連結された挿入連結端部(319)を有するモジュールベルト(306)用の定位置洗浄システムであって、
流体の加圧源と流体接続するように構成された第1開口端(304)を有する非回転の中空軸(303)と、
前記中空軸(303)に回転可能に設けられ、モジュールベルト(306)が通過し、旋回するときに、前記中空軸(303)の周りを回転駆動する少なくとも1つのスプロケット(301)と、
前記中空軸(303)に互いに間隔を空けて横方向に配置された複数のノズル部材(300)であって、前記流体の加圧源と流体接続している個々のノズル部材(300)と、からなり、
前記複数のノズル部材(300)が、前記中空軸(303)の縦軸に対し15°以上の角度(β)が付けられた直線(340)に沿って位置決めされた扁平な噴霧パターンを提供することを特徴とする請求項1に記載の定位置洗浄システム。
【請求項12】
前記少なくとも1つのスプロケット(301)が、前記中空軸(303)に沿って配設された複数のスプロケット(301)からなることを特徴とする請求項11に記載の定位置洗浄システム。
【請求項13】
少なくとも1つのノズル部材(300)が、それぞれ対となる隣り合うスプロケット(301)の間に配設されたことを特徴とする請求項11または12に記載の定位置洗浄システム。
【請求項14】
少なくとも1つの前記ノズル部材(300)が、前記ノズル部材(300)からの噴霧が前記スプロケット(301)上の隣り合う対の歯(311)の間に形成された前記第1開口(379)を通過するように位置決めされたことを特徴とする請求項11から13のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項15】
第1ノズル部材(300)からの前記噴霧が、前記第1開口(379)を通過する一連のノズル部材(300)からの噴霧とオーバラップすることを特徴とする請求項14に記載の定位置洗浄システム。
【請求項16】
前記ノズル部材(300)が、90°から120°までの噴霧角度(α)を有する噴霧パターンを生み出すことを特徴とする請求項11から15のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項17】
前記流圧が、2バールから10バールであることを特徴とする請求項11から16のいずれかに記載の定位置洗浄システム。
【請求項18】
前記スプロケットのピッチ径が、130mmから200mmであることを特徴とする請求項11から17のいずれかに記載の定位置洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−506353(P2012−506353A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532632(P2011−532632)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063887
【国際公開番号】WO2010/046440
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(591270796)ハバシット アクチエンゲゼルシャフト (25)
【Fターム(参考)】