説明

定型チェック業務管理システム

【課題】チェックシートへの入力作業を簡易化するとともに入力データの入力誤り、あるいは不正入力を防止することのできる定型チェック業務の管理システムを提供する。
【解決手段】予め設定された、監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間帯を記憶したチェックシートマスタデータ12をもとに、タブレット端末に、今回監視すべき監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間、監視対象機器のチェック結果を入力する入力チェック欄を含むチェックシート13を表示するとともに、前記入力チェック欄へのチェック入力があったとき、チェック入力が前記チェック順序に従っているか否か、その入力時刻が前記チェックすべき時間を含む所定の時間帯に含まれるか否かを判定し、判定結果が否であるとき警告メッセージを発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定型チェック業務を管理する管理システムに係り、特に、チェック業務に伴う入力作業を簡易化するとともに不正入力を抑制することのできる定型チェック業務管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
定型チェック業務に関しては、日々行われるチェック内容を、例えばチェックリストとして自動的に生成し、生成されたチェックリストにしたがってチェック作業が行われる。 例えば、特許文献1には、図面や仕様書などのチェック作業に際して、チェックシートあるいは確認シートを予め作成しておき、それをもとにチェックを行うことにより、チェックの効率化を図るとともにチェック洩れを防ぐことが示されている。また、特許文献2には、過去の点検結果に基づいて、優先して点検すべき点検箇所を表示し、また点検項目を目立たせて点検表を作成することにより、点検漏れを抑制することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−303072号公報
【特許文献2】特開2001−273170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、日々に行うチェック項目あるいはチェックの手順を自動的に作成することは可能である。しかし、チェック項目あるいはチェックの手順が作成されたとしても、チェック作業が適正に行われたか否かを確認することはできない。
【0005】
例えば、チェック作業の担当者は、チェックを実施すべき期間(時間帯)として指定された期間にチェックを実施しなくとも、前記チェックの実施時間をチェックを実施すべき期間として指定された期間に改変することが可能であった。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、チェックシートへの入力作業を簡易化するとともに入力データの不正入力あるいは入力誤りを防止することのできる定型チェック業務の管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
【0008】
監視対象機器の現在の状態のチェック結果が入力できるチェックシートをタブレット端末に表示し、表示されたチェックシートにしたがって入力されたチェック結果をネットワークを介してサーバに伝送する定型チェック業務管理システムにおいて、前記タブレット端末は、予め設定された、監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間帯を記憶したチェックシートマスタデータをもとに、前記タブレット端末に、今回監視すべき監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間、監視対象機器のチェック結果を入力する入力チェック欄を含むチェックシートを表示するとともに、前記入力チェック欄へのチェック入力があったとき、チェック入力が前記チェック順序に従っているか否か、その入力時刻が前記チェックすべき時間を含む所定の時間帯に含まれるか否かを判定し、判定結果が否であるとき警告メッセージを発する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、以上の構成を備えるため、チェックシートへの入力作業を簡易化するとともに入力データの入力誤りあるいは不正入力を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】タブレット端末の処理を説明する図である。
【図2】チェックシートマスタデータの例を示す図である。
【図3】当日分チェックシートおよび当日分検証用データの例を示す図である。
【図4】定型チェック業務管理システムの全体構成を説明する図である。
【図5】定型チェック業務管理システムの処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の定型チェック業務管理システムを構成するタブレット端末の処理を説明する図である。
【0012】
図1において、11はタブレット端末の記憶装置である。該記憶装置11には後述するチェックシートマスタデータ12、当日分のチェックシート13,当日分の検証用データ14が記憶されている。チェックシートマスタデータ12には監視対象機器のチェック対象部位、チェックすべき順序、チェックすべき時間帯を表すデータが予め記憶されている。当日分のチェックシート13には、今回監視すべき監視対象機器のチェック対象部位、チェックすべき順序、チェックすべき時間、監視対象機器をチェックしたときにそのチェック結果を入力する入力チェック欄を含むチェックシートが記憶されている。当日分の検証用データ14にはタブレット端末で行ったチェック業務の検証に用いるデータが記憶される。
【0013】
15は、前記タブレット端末と接続されるサーバの記憶装置であり、タブレット端末から送信された当日分のチェックシート16および当日分の検証用データ17を記憶する。
【0014】
チェック業務を開始するに際して、作業者はタブレット端末を操作して、当日分チェックシートの作成処理を開始させる(ステップS11)。
【0015】
タブレット端末はチェックシートマスタデータをもとに当日の日付を自動入力して当日分のチェックシート13および当日分の検証用データ14を作成して記憶装置11に保存する。
【0016】
また、タブレット端末は記憶装置11に保存されている当日分チェックシート13をタブレット端末の表示画面に表示する。このとき、タブレット端末は端末を入力可能な状態とし、作業者によるチェック結果を表す入力(OK,NG)を随時を受け付ける。
【0017】
また、入力を受け付けた後には、チェックした日時の入力誤り、チェック順序の誤り、の有無、チェック漏れの有無を検証する(ステップS12,13)。
【0018】
当日分のチェック業務が終了したら、当日分チェックシート13および当日分検証用データ14を記憶装置11から読み取り、サーバの記憶装置15に伝送し、該記憶装置に当日分チェックシート16および当日分検証用データ17として保存する(ステップS14)。
【0019】
サーバは、記憶装置15から検証対象である当日分チェックシート16および当日分検証用データ17を読み込み、チェックした日時の入力誤りおよびチェック順序の誤りの有無、チェック漏れの有無を検証し、入力誤り、あるいはチェック漏れがある場合には、その旨をサーバの表示画面等で報知する(ステップS15,16)。
【0020】
図2は、チェックシートマスタデータの例を示す図である。チェックシートマスタデータ12はテキストデータで作成する。図2に示すように、チェック業務毎にタイトル20を指定し、以後、ユニークな通し番号21に続けて、チェック項目内容22、チェック時刻(タブレット端末にチェックすべき時刻として表示する時刻)23、許容チェック時間帯(前記チェック時刻23の許容幅)24,前提チェック項目(当該チェック作業に先行してチェックしておかなければならないチェック項目)25、担当する作業者のリスト26を記載する。なお、必要に応じて図面、イラスト、写真等の添付資料のリンクを貼り付けることもできる。
【0021】
図3(a)は、図2に示すチェックシートマスタデータ11をもとに作成された当日分チェックシート13の例を示す図である。
【0022】
当日分チェックシート13はタブレット端末の画面に表示され、作業者はこの画面を見ながらチェック作業を実施する。
【0023】
当日分チェックシートの作成に際しては、図2に示すチェックシートマスタデータのタイトル20からタイトルを取得し、タイトル30に入力する。日付33にはタブレット端末のシステム日付を入力する。チェック項目31はチェックシートマスタデータのチェック項目21から情報を取得し、チェック項目内容32はチェックシートマスタデータのチェック項目内容22より取得する。また、空白のテキストエリア34を表示する。また、各チェック作業項目には作業者が正常と判断したときにチェックするOKチェックボックス35、異常と判断したときにチェックするNGチェックボックス、作業者名選択入力用のリストボックスを表示させる。チェックボックスの表示は、現在時刻を取得し、取得した現在時刻においてチェック可能なチェックボックスのみ表示する。チェック作業に際して、OKチェックボックス35あるいはNGチェックボックス36をチェックすると、当該チェックボックスにチェックが入り、同時に前記空白のテキストエリア34にタブレット端末のシステム日時が入力される。なお、タブレット端末はチェック入力を受け付けたとき、入力された日時がチェックシートマスタデータで指定されたチェック時間帯24に含まれるか否かをチェックし、含まれない場合は警告メッセージを出力するようにしても良い。
【0024】
また、タブレット端末は前提チェック条件65で示されるチェック項目のチェックが完了しているかをチェックし、チェック作業が終わっていれば正常、チェック作業が終わっていなければ、チェック作業の手順を飛ばしたとみなし警告メッセージを出力する。
【0025】
図3(b)は当日分検証用データ14の例を示す図である。当日分検証用データの作成に際しては、タイトル60には図2に示すチェックシートマスタデータのタイトル20からタイトルを取得して入力する。日付62にはタブレット端末のシステム日付を入力する。チェック項目63はチェックシートマスタデータのチェック項目21から取得し、チェック時間64はチェックシートマスタデータのチェック時間24より取得し、前提チェック項目65はチェックシートマスタデータの前提チェック項目25から取得する。
【0026】
図4は、定型チェック業務の管理システムの構成を説明する図である。図において、41はタブレット端末、42はタブレット端末とサーバを接続するネットワーク、43はサーバ、10はタブレット端末の記憶装置、15はサーバの記憶装置である。タブレット端末41は、チェックシートマスタデータを保管し、当日分チェックシートの作成と当日分検証用データの作成を行う。
【0027】
当日分のチェック業務が完了した場合には、当日分チェックシートデータと当日分検証用データを、ネットワークをを介してサーバ43に転送する。サーバ43では、受信した当日分チェックシートデータと当日分検証用データを記憶装置15に保存する。サーバ43は保存された前記当日分チェックシートデータと当日分検証用データを用いてチェックシートの検証を行う。
【0028】
チェックシートの検証に際しては、例えばチェック項目を、その昇順にチェックする。チェック内容としては、チェック実施時間34がチェックすべき時間帯64内であること、前提チェック条件65が付与されているチェック項目においては、前提チェック条件65で示されるチェック項目のチェックが完了した後にチェックが行われていること、およびリストボックス37がすべて入力されていることである。
【0029】
図5は、定型チェック業務管理システムの処理を説明する図である。
【0030】
タブレット端末は、システム時計をチェックしてチェック作業を行う時間が近づいたか否かを判断し、作業開始時間が近づくと、画面表示を開始し、例えば警報を発して作業時間の到来を報知する。また、このときチェックシートマスタデータ12をタブレット端末41の記憶装置から読み込む(ステップS51)。その後、当日分のチェックシート13を作成して、タブレット端末の記憶装置10に出力する(ステップS52)。次に当日分の検証用データ14を作成して、タブレット端末の記憶装置10に出力する(ステップS53)。
【0031】
次に、タブレット端末の記憶装置10から当日分チェックシート13を読み込み、画面に表示してチェック業務を支援する。例えば、当日分のチェックシート13にはチェック可能な時間帯にあるチェック項目のみを表示する。また、チェック作業時においては常時、チェック入力と当日分検証用データ14との照合を行う(ステップS54、55)。
【0032】
当日チェック業務が完了したか否かを判定し、完了した場合は、当日分チェックシートと当日分検証用データをサーバへ転送する(ステップS56)。
【0033】
転送された当日分チェックシート13と当日分検証用データ14はサーバの記憶装置15に記憶される。サーバは記憶装置から当日分チェックシート13と当日分検証用データ14を読み込み、全項目のチェックが完了しているか否かを確認する(ステップS57、58)。
【0034】
次にチェック時刻が正しいか否かを確認確認する。すなわち、チェック実施時間34がチェックすべき時間帯64内であることをチェックする(ステップS59)。
【0035】
次に、チェック作業がチェック作業順序どおりに行われているか(チェック時刻の追い越しがないか)を確認する(ステップS60)。次に、ステップ57,58,59,60においてチェックした項目のチェック結果を表示する。チェックに際して不正を検出したときは不正メッセージを出力する(ステップS61)。
【0036】
以上説明したように、本発明は、同じチェック業務を繰り返し行う定型チェック業務において、チェックシートの生成、チェック業務における入力日時(チェック日を行った日時)をタブレット端末のシステム日時で管理することから、不正入力を抑制することができる。また、検証用の情報(検証用データ)を別途作成し、このデータとチェックシートを利用して検証を行うため、チェックシートを簡略化してチェックシートへの入力誤り、あるいは不正入力をを抑制することができる。
【符号の説明】
【0037】
11 記憶装置(タブレット端末用)
12 チェックシートマスタデータ
13 当日分チェックシート
14 当日分検証用データ
15 記憶装置(サーバ用)
16 当日分チェックシート
17 当日分検証用データ
41 タブレット端末
42 ネットワーク
43 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象機器の現在の状態のチェック結果が入力できるチェックシートをタブレット端末に表示し、表示されたチェックシートにしたがって入力されたチェック結果をネットワークを介してサーバに伝送する定型チェック業務管理システムにおいて、
前記タブレット端末は、予め設定された、監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間帯を記憶したチェックシートマスタデータをもとに、前記タブレット端末に、今回監視すべき監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間、監視対象機器のチェック結果を入力する入力チェック欄を含むチェックシートを表示するとともに、前記入力チェック欄へのチェック入力があったとき、チェック入力が前記チェック順序に従っているか否か、その入力時刻が前記チェックすべき時間を含む所定の時間帯に含まれるか否かを判定し、判定結果が否であるとき警告メッセージを発することを特徴とする定型チェック業務管理システム。
【請求項2】
監視対象機器の現在の状態のチェック結果が入力できるチェックシートをタブレット端末に表示し、表示されたチェックシートにしたがって入力されたチェック結果をネットワークを介してサーバに伝送する定型チェック業務管理システムにおいて、
前記タブレット端末は、予め設定された、監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間帯を記憶したチェックシートマスタデータをもとに、前記タブレット端末に、今回監視すべき監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間、監視対象機器のチェック結果を入力する入力チェック欄を含むチェックシートを表示し、
さらに今回監視すべき監視対象機器のチェック対象部位、チェック対象部位のチェック順序、チェックすべき時間帯を表す検証用データを生成するとともに、
前記入力チェック欄へのチェック入力があったとき、その入力順序が前記チェック順序に従っているか否か、その入力時刻が前記チェックすべき時間帯に含まれるか否かを、前記検証用データをもとに判定し、判定結果が否であるとき警告メッセージを発するとともに前記チェックシートおよび検証用データをサーバに伝送することを特徴とする定型チェック業務管理システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の定型チェック業務管理システムにおいて、
前記入力チェック欄へ入力があったときその入力時刻としてタブレット端末のシステム時刻を入力するとともに全てのチェック入力が完了したとき前記チェックシートを前記サーバに伝送することを特徴とする定型チェック業務管理システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の定型チェック業務管理システムにおいて、
チェックすべき時間の予め設定した時間前に、タブレット端末を起動してチェック開始時間の到来を報知することを特徴とする定型チェック業務管理システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の定型チェック業務管理システムにおいて、
前記サーバは、前記チェックシートおよび検証用データをもとにチェック入力が前記チェック順序に従っているか否か、その入力時刻がチェックすべき時間帯に含まれるか否かを判定し、判定結果が否であるとき警告メッセージを発することを特徴とする定型チェック業務管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−185643(P2012−185643A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47845(P2011−47845)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)