説明

定形ガスケット

【課題】平坦な取付面と中空シール部を有し、目地施工時に組付けられる定形のガスケットにおいて、シール性を損なうことなく、外壁パネル組付け時の中空シール部圧縮による反力を小さくし、施工性を改善する。
【解決手段】柱部13と、柱部13の両側の中空シール部14、15、16とよりなり、中空シール部14及び15は、一定距離離れて互いに独立し、そのうちの屋内側の中空シール部15は、外壁パネルの側端面又は小口に接着手段18によって接着され、前記柱部13と平行な平坦面を備えた取付部17を有する。取付部17は柱部13と上下の壁部21、22により連結され、下側の壁部22は傾斜して柱部13の屋外側への飛び出しを規制する。中空シール部16は三つの中空部25、26、27より構成され、屋外側の意匠面を備える中空部25は中空シール部14と共に屋外側の表面が意匠面となり、かつ中空部27と連結壁28によって連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物外壁の目地に組付けられる定形のガスケットに関する。なお、本明細書において上下とは、屋外側を上向き、屋内側を下向きとし、また左右方向とは前記上下方向と直交する向きをいう。
【背景技術】
【0002】
この種の定形のガスケットの多くは、柱部と、該柱部の両側より側方に突設される複数のリップよりなっている。図1は、その一つの例を示すもので、このガスケット1は芯金2を埋設した柱部3と、該柱部3の両側より側方に突設される複数のリップ4a、4b、4cと、表層側のリップ4aとその下側のリップ4bを連結するブリッジ5よりなり、外壁パネル6間で形成される目地7への装填は、目地端よりガスケット1を目地7に沿って押し込むか、屋外側から図1の矢印で示すようにガスケット1を目地7に押し込むことによって行われる。
【0003】
外壁パネルを組付けたのちに外壁パネル間の目地に定形のガスケットを前述するようにして押し込んで装填するほかに外壁パネル組付時に同時に定形のガスケットを組込んだ目地を施工することも知られる。
【0004】
下記特許文献1及び2には、縦又は横方向に隣り合って組み付けられる外壁パネルのうち、一方の外壁パネルを組付けたのち、該外壁パネルの側端面或いは小口に沿わせて定形のガスケットを両面粘着テープ等により仮止めして取付け、ついで他方の外壁パネルを組み付け、ガスケットを両側の外壁パネルで挟み込むようにして組み付けることが開示されている。
【0005】
外壁パネルを組付けたのちに外壁パネル間の目地にガスケットを装填する前者の方法による場合、目地によってはガスケットを装填する際に足場が必要となることがあるのに対し、外壁パネル組付けと同時にガスケットを組み込んだ目地が施工される後者の方法による場合、ガスケット組付けのための足場を設けなくてもよい利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−8512号
【特許文献2】特開2000−328677号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
平坦な取付面と中空のシール部を有する、前述の特許文献1及び2に開示されるような定形のガスケットにおいては、取付面で外壁パネルの側端面或いは小口に両面テープ等を用いて、しっかりと確実に取付けでき、また中空シール部が外壁パネルで圧縮されることにより、シールが確実に行える利点があるが、目地幅が小さくなるほど外壁パネル組付け時の中空シール部圧縮による反力が大きくなり、施工難をもたらす。
【0008】
本発明は、平坦な取付面と中空シール部を有し、目地施工時に組付けられる定形のガスケットにおいて、シール性を損なうことなく、外壁パネル組付け時の中空シール部圧縮による反力を小さくし、施工性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係わる発明は、外壁パネル間の目地に取付けられる定形のガスケットであって、目地取り付け状態において屋外側から屋内側に向けて延びる柱部と、該柱部を境にして、その両側に柱部と一体形成される中空シール部とを有し、柱部両側の中空シール部のうち、いずれか一方の側の中空シール部に柱部と平行をなして、外壁パネルの側端面又は小口に接着手段により接着される平坦面を備えた取付部が形成されることを特徴とし、
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明において、柱部両側の中空シール部のうち、平坦な取付面が形成される取付部を備えた中空シール部とは柱部を挟んだ反対側の中空シール部は仕切り壁によって屋外から屋内に向かって複数に分割されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、柱部両側の中空シール部のうち、平坦な取付面を備えた取付部が形成される側の中空シール部は複数の互いに独立した中空シール部より構成され、そのうちの屋内側の中空シール部に前記平坦な取付面を備えた取付部が形成されると共に、前記柱部と連結され、かつ屋外側に向かって傾斜する壁部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係わる発明のように、柱部の両側に中空シール部が設けられていると、片側に設けられているものよりも定形ガスケットが側方より圧縮され易くなって外壁パネル組付け時の反力が少なくなり、外壁パネル組付けの施工性を改善することができる。
【0012】
請求項2に係わる発明によると、中空シール部を仕切り壁によって複数に分割して形成される個々の中空部は、そのうちの一つの中空部を変形させようとすると、他の中空部も変形するようになり、中空部が個々に独立したものよりも変形が困難になる。したがって屋外側の外観面(その多くは意匠面となっている)を有する中空部も変形しにくくなり、前記外観面のめくれや変形を生じにくくし、外観面の平坦性を維持し易くなる。
【0013】
請求項3に係わる発明によると、柱部両側の中空シール部のうち、一方の側の互いに独立した中空シール部は、圧縮され易くなり、外壁パネル組付け時の反力を低減させることができると共に、屋外側の外観面を備える中空シール部は他の中空シール部の変形の影響を受けることがない。また取付部を備えた屋内側の中空シール部において、柱部と連結される壁部は屋外側に向けて傾斜しているため、
傾斜しないものよりも柱部の屋外側への変位を少なくでき、屋外側の外観面の平坦性を維持し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の定形ガスケットの目地に装填する前後の断面図。
【図2】本発明に係わる定形ガスケットの断面図。
【図3】図2に示す定形ガスケットを外壁パネル側端面に取付けた断面図。
【図4】目地施工後のガスケットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の定形ガスケットについて図面により説明する。
図2に示す定形ガスケット11は、全体がEPDM等のゴム又は熱可塑性エラストマーよりなる押出成形品で、後述する外壁パネル間の目地に取付けたとき、屋外側から屋内側に向けて延び、芯金12をインサートした柱部13と、該柱部13を境として、その両側に柱部13と一体形成される中空シール部14、15、16とよりなり、中空シール部14及び15は、屋外側より屋内側に向け、一定距離離れて互いに独立し、そのうちの屋内側の中空シール部15は、図3に示すように外壁パネルの側端面又は小口に両面テープや接着剤等よりなる接着手段18によって接着され、前記柱部13と平行な平坦面を備えた取付部17を有している。この取付部17は、断面太鼓腹状の厚肉で、剛性があるため外壁パネルの側端面又は小口に押し付けて接着する際、取付部17の変形が生じにくくなって接着性が上がる。
【0016】
取付部17はまた、上下端の薄肉部において、柱部13と連結される上下の壁部21、22のうち、上側の壁部21はV形状に折れ曲がっている。そして下側の壁部22は屋外側に向かい傾斜して屋外側への変位を少なくし、柱部13の屋外側(図の上向き)への飛び出しを規制する機能を有している。
【0017】
柱部両側の中空シール部14、15、16のうち、前記取付部17が形成される中空シール部15とは反対側の中空シール部16は、仕切壁23、24によって屋内外方向(図の上下方向)に三区分に分割され、三つの中空部25、26、27より構成されている。換言すれば、屋外側の中空部25と屋内側の中空部27とが連結壁28によって連結された形態をなしている。
【0018】
図中、29は例えば耐候性のあるゴム又は熱可塑性エラストマー等の樹脂による意匠層で、屋外側の表層面は柱部13と直交する平坦な意匠面に形成されている。
本実施形態の定形ガスケット11は以上のように構成され、目地の施工は次のようにして行われる。
【0019】
隣り合って左右方向に組み付けられる外壁パネル31のうち、先ず一方(図3の右側)の外壁パネル31を下地材32に組付け、その後、該外壁パネル31の側端面に前記定形ガスケット11の取付部17の平坦面を前述の接着手段18により接着してガスケット11を前記外壁パネル側端面に沿って取付ける(図3)。
【0020】
次に他方(図4の左側)の外壁パネル31をその側端面で定形ガスケット11を押し込むようにして組付ける。外壁パネル31の押し込みに伴い、中空シール部14及び15がほぼ均一に圧縮され、柱部13が壁部22によって飛び出しを規制されながら、前記一方の外壁パネル側端面に向かい平行状態を維持して変位する。そして中空シール部16の各中空部25、26、27も均一に圧縮される。圧縮時において中空部25は、中空部27と連結壁28によって連結され、単独での変形が規制される。
【0021】
以上のように柱部13が壁部22によって飛び出しを規制され、かつ中空部25の変形が規制されることにより屋外側表面の意匠面の変形が生じにくくなり、意匠面のフラット性が維持され易くなる。
前記実施形態は、縦目地の施工について示したが、横目地の施工についても縦目地と同様に施工し、同様の効果を挙げることができる。
【符号の説明】
【0022】
11・・定形ガスケット
13・・柱部
14、15、16・・中空シール部
17・・取付部
18・・接着手段
21、22・・壁部
23、24・・仕切壁
25、26、27・・中空部
29・・意匠層
31・・外壁パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁パネル間の目地に取付けられる定形のガスケット11であって、目地取り付け状態において屋外側から屋内側に向けて延びる柱部13と、該柱部13を境にして、その両側に柱部13と一体形成される中空シール部14、15、16とを有し、柱部両側の中空シール部14、15、16のうち、いずれか一方の側の中空シール部に柱部13と平行をなして、外壁パネル31の側端面又は小口に接着手段18により接着される平坦面を備えた取付部17が形成されることを特徴とする定形ガスケット。
【請求項2】
柱部両側の中空シール部14、15、16のうち、平坦な取付面が形成される取付部17を備えた中空シール部15とは柱部13を挟んだ反対側の中空シール部16は仕切り壁23、24によって屋外から屋内に向かって複数に分割されることを特徴とする請求項1記載の定形ガスケット。
【請求項3】
柱部両側の中空シール部14、15、16のうち、平坦な取付面を備えた取付部17が形成される側の中空シール部は複数の互いに独立した中空シール部14、15より構成され、そのうちの屋内側の中空シール部15に前記平坦な取付面を備えた取付部17が形成されると共に、前記柱部13と連結され、かつ屋外側に向かって傾斜する壁部22を有することを特徴とする請求項1又は2記載の定形ガスケット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−144848(P2012−144848A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1443(P2011−1443)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【出願人】(390037154)大和ハウス工業株式会社 (946)
【Fターム(参考)】