説明

定流量弁

【課題】 供給する流量の変更が可能であり、しかもコンパクトな定流量弁を提供する。
【解決手段】 定流量弁1は、流体入口7および流体出口8を有するケーシング2の内側に、このケーシング2の軸方向へ沿って伸びる有底の筒状部13を設ける。筒状部13の周側壁18には、複数の貫通孔21を形成する。複数の貫通孔21の各々には、定流量エレメント14を、または定流量エレメント14と封止用栓部材15とを取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上流側の圧力の高低にかかわらず一定の流量を下流側へ供給する定流量弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、原水中の溶存気体を除去する手段としては、中空糸状気体分離膜を用いた脱気装置が、装置のコンパクトさ、取り扱いの簡便さから多用されている。この種の装置は、図17に示されるように、原水供給源101に接続された給水ライン102中に中空糸状気体分離膜等の気体分離膜を収納してなる気体分離膜モジュール103を接続し、気体分離膜モジュール103内を真空引きして、原水中の溶存気体を分離除去する構成となっている。気体分離膜モジュール103へ供給する原水の流量は、所定脱気度の脱気水を得るために、予め設定した所定流量を供給する定流量弁104を給水ライン102に設けている。給水ラインには、定流量弁104の他に、原水の逆流を防止するための逆止弁105も設けられている(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平11−190448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術にあっては、供給する流量を変更しようとする場合に、定流量弁104を交換しなければならない。また、供給する流量にバリエーションがある場合には、バリエーション毎に定流量弁を備えなければならない。これらの問題点に対処する方法としては、少ない流量を供給する定流量弁を並列に複数設置することが考えられるが、設置スペースを大きくとらなければならないという問題点を有する。
【0004】
この発明が解決しようとする課題は、供給する流量の変更が可能であり、しかもコンパクトな定流量弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明となる定流量弁は、ケーシングに設けた流体入口、流体出口のいずれか一方の内側に、前記ケーシングの軸方向へ沿って伸びる有底の筒状部を設け、該筒状部の周側壁には複数の貫通孔を形成し、該複数の貫通孔の各々には定流量エレメントを、または定流量エレメントと封止用栓部材とを取り付けることを特徴としている。このような請求項1に記載の発明によれば、流体入口から流入した流体は、ケーシングの軸方向へ流れた後に、定流量エレメントに作用する。流体の定流量エレメントに対する作用方向は、前記軸方向へ直交する方向となり、流体はこの方向へ流れて一定流量が確保される。定流量エレメントを通過した流体は、再度、ケーシングの軸方向へ流れた後に、流体出口から流出する。流量に関しては、筒状部の複数の貫通孔全てに定流量エレメントを取り付けた場合に、本発明の定流量弁の持てる最大の流量が確保される。また、筒状部の複数の貫通孔の一つに定流量エレメントを取り付け、残りを封止用栓部材で封止すれば、最小の流量が確保される。
【0006】
また、同じく前記課題を解決するためになされた請求項2に記載の発明となる定流量弁は、ケーシングに設けた流体出口の内側に、前記ケーシングの軸方向へ沿って伸びる有底の筒状部を設け、該筒状部の周側壁には複数の貫通孔を形成し、該複数の貫通孔の各々には定流量エレメントを、または定流量エレメントと封止用栓部材とを取り付ける一方、前記ケーシングに設けた流体入口の内側には、逆止弁機構を備えることを特徴としている。このような請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に逆止弁の機能が付加される。すなわち、流体の逆流防止もなされるようになる。
【0007】
請求項3に記載の発明となる定流量弁は、請求項1または請求項2に記載の定流量弁において、前記筒状部の底壁に前記貫通孔と同じ貫通孔を更に形成し、該底壁の貫通孔にも前記定流量エレメントまたは前記封止用栓部材を取り付けることを特徴としている。このような請求項3に記載の発明によれば、筒状部の底壁側からも流体を流すことが可能になる。
【0008】
さらに、請求項4に記載の発明となる定流量弁は、請求項2に記載の定流量弁において、前記筒状部の底壁に前記逆止弁機構を構成する弁軸の軸支持部を設けることを特徴としている。このような請求項4に記載の発明によれば、逆止弁機構の弁軸が筒状部の底壁に設けた軸支持部によって支持される。ケーシングは、逆止弁機構を設けた場合であっても極力簡素化された内部形状を有することになる。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、供給する流量を変更することができる。また、コンパクトに構成することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に逆止弁の機能を付加したものであることから、定流量弁としての機能においては流量を変更するとともにコンパクトに構成することができる。また、逆止弁としての機能においては流体の逆流を防止することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、より一層多くの流量を供給することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、ケーシングの構造を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、この発明の実施の形態について説明する。この発明、すなわち定流量弁は、流体が流れる流路の途中に設けられる。また、定流量弁は、上流側の圧力の高低にかかわらず一定の流量を下流側へ供給する。定流量弁は、流体の圧力に十分耐えることができるケーシングを備える。ケーシングの軸方向の両端には、流体入口、流体出口が設けられる。これら流体入口、流体出口のいずれか一方でケーシングの内側には、定流量弁としての機能が設けられる。先ず、流体出口の内側に定流量弁としての機能を設けた場合の形態(実施の形態1)について説明し、次いで、流体入口の内側に定流量弁としての機能を設けた場合の形態(実施の形態2)について説明する。また、他の実施の形態としては、逆止弁の機能を付加した場合の形態(実施の形態3)について説明する。
【0014】
(実施の形態1)
この形態の定流量弁は、流体出口の内側に定流量を供給する機能を設ける。具体的には、定流量エレメントを取り付けた筒状部を流体出口の内側に設けて定流量を供給するように機能させる。この形態の定流量弁の構造についてもう少し詳しく説明すると、定流量弁は、中空のケーシングを備える。ケーシングの両端には、流体入口と流体出口とを形成する。流体出口には、筒状部を設ける。筒状部は、ケーシングの内側でさらにケーシングの内面から離れた状態に配置する。筒状部は、ケーシングの軸方向へ沿って伸びるとともに、内部が中空となる筒状の形状に形成する。また、筒状部は、底壁を有する形状に形成する。すなわち、筒状部は、一方の端部が開口し他端が底壁となる有底筒状の部分または部材として形成する。このような筒状部の開口側は、流体出口と連通する。筒状部は、流体出口とともに一体物で形成する。筒状部と流体出口とを別体で形成する場合には、筒状部の開口側が流体出口側となるように配置して、この配置状態で適宜手段により固定する。
【0015】
筒状部は、有底筒状の部分または部材であることから周側壁を有する。この周側壁は、ケーシングの軸を囲むとともに前記軸方向へ沿って伸びる。本明細書においては、周側壁と前記軸が平行であるものとして説明するがこの限りでないものとする。すなわち、周側壁と前記軸は、平行でなく傾きがあってもよく、具体的には筒状部の外観形状が略フラスコ形状またはこの逆の形の形状に形成されてもよいものとする。
【0016】
筒状部は、周側壁を介して流体を周側壁の外側から内側へ通過させて所定流量を確保する。そのためには、周側壁に複数の貫通孔を形成し、この複数の貫通孔の各々に定流量エレメントを、または定流量エレメントと封止用栓部材とを取り付ける。定流量エレメントおよび封止用栓部材は、貫通孔に対して着脱自在の形状を有するものを用い、脱落防止を図る場合には、定流量エレメントおよび封止用栓部材の直径よりも若干小さな径の貫通孔を有するエレメントカバーで押さえ付ければよい。または、C形止め輪等で抜け止め構造を構成してもよい。エレメントカバーで定流量エレメントを押さえ付ける場合には、定流量エレメントの流路を形成する部分を塞がないようにする。
【0017】
複数の貫通孔を形成するに当たり、周側壁を平坦な面を有する多面体で構成することが好ましい。このようにすることにより、貫通孔の形成が容易になることは勿論のこと、曲面の場合よりも定流量エレメントや封止用栓部材の突出および凹みがなくなり、保持やカバーでの押さえつけが容易になる。貫通孔を形成することができる多面体としては、三面体、四面体、五面体…がある。多面体は、各面を有する壁が連続する場合のみならず、後述する実施例の欄の説明にもある間接的な部分を介在させて形成してもよいものとする。貫通孔は、前記各面を有する壁に一つ、二つ、或いは三つ形成する。多面体の前記壁の数や前記壁の貫通孔の数は特に限定するものではないが、最大流量や定流量エレメントのサイズや定流量弁の全長等を考慮するものとする。貫通孔は、周側壁のみならず前記底壁にも形成可能である。底壁に形成した場合には、最大流量の増大を図る一つの手段となる。
【0018】
定流量エレメントは、流量調整装置や水ガバナの名称で呼ばれることもあり、熱機器、水使用機器、無タンク式水洗トイレ、ホテル等の蛇口の最大流量規制等に用いるものを利用する。定流量エレメントの構造としては、たとえば、特公昭51−23059号公報に開示される構造(ケーシング、センターコア、および弾性部材としてのOリングを有する略円盤状の部材)が古くから知られる。定流量エレメントは、市販されるものにおいて、たとえば4〜16リットル/分までの複数種類が存在する。これらを組み合わせれば何通りもの流量を設定することが可能になる。封止用栓部材は、定流量エレメントを取り付けない場合に貫通孔を塞ぐことができればよく、流体に応じた耐久性を有する材料を用いて形成する。簡易的なものの一例としてはゴム栓があるが、この限りではないものとする。
【0019】
定流量エレメントおよび封止用栓部材は、貫通孔に対して着脱自在、または、はめごろしの状態で取り付ける。定流量エレメントおよび封止用栓部材が貫通孔に対して着脱自在の場合には、メンテナンス性が向上する。これに対し、はめごろしの場合には、前記エレメントカバーで押さえ付けなくとも脱落防止を可能にする。
【0020】
上記構成において、最大流量を確保するためには、筒状部の複数の貫通孔全てに定流量エレメントを取り付ける。また、最小流量でよい場合には、筒状部の複数の貫通孔の一つに定流量エレメントを取り付け、残りを封止用栓部材で封止する。このように所定流量を確保することができる分だけ定流量エレメントを取り付ける。
【0021】
流体入口から流入した流体は、ケーシングの軸方向へ流れた後に、筒状部の周側壁に取り付けた定流量エレメントに作用する。流体の定流量エレメントに対する作用方向は、ケーシングの前記軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ流れる。定流量エレメントを通過した流体は、筒状部の内側において再度、ケーシングの軸方向へ流れた後に、流体出口から流出する。流体出口からは、一定流量の流体が流出する。
【0022】
(実施の形態2)
この形態の定流量弁は、流体入口の内側に定流量を供給する機能を設ける。具体的には、定流量エレメントを取り付けた筒状部を流体入口の内側に設けて定流量を供給するように機能させる。定流量弁の構造は、定流量エレメントの取り付け方向が反対になるだけで実施の形態1で説明した構造と同じである。筒状部の開口側は、流体入口と連通する。筒状部は、流体入口とともに一体物で形成する。筒状部と流体入口とを別体で形成する場合には、筒状部の開口側が流体入口側となるように配置して、この配置状態で適宜手段により固定する。
【0023】
流体入口から流入した流体は、筒状部の内側へ流入する。流体は、筒状部の内側においてケーシングの軸方向へ流れた後に、筒状部の周側壁に取り付けた定流量エレメントに作用する。流体の定流量エレメントに対する作用方向は、ケーシングの前記軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ流れる。定流量エレメントを通過した流体は、筒状部の外側を介して再度、ケーシングの軸方向へ流れた後に、流体出口から流出する。流体出口からは、一定流量の流体が流出する。
【0024】
(実施の形態3)
この形態の定流量弁は、流体出口の内側に定流量を供給する機能を設けるとともに、流体入口の内側に逆止弁の機能を設ける。具体的には、定流量エレメントを取り付けた筒状部を流体出口の内側に設けて定流量を供給するように機能させるとともに、逆止弁機構を流体入口の内側に設けて流体の逆流を防止するように機能させる。
【0025】
この形態の定流量弁の構造は、実施の形態1で説明した構造と同じである。逆止弁機構は、板状弁部材やチャッキボール等を用いる既知の逆止弁の機構を適用することができるのは勿論のこと、本願出願人が先に提案した特願2003−155459号等の機構、すなわち「弁箱内の流体入口と流体出口の間に弁室が形成され、該弁室の流体入口側に、弁孔を開口する弁座が形成され、弁室内には流体出口側から弁座に当接する弁体が流体の流れる方向へ移動自在に設けられ、前記弁体は、弾性素材で形成された弾性弁体部と、該弾性弁体部の流体入口側の面に重ねられた前記弾性弁体部より小径の非弾性素材で形成された非弾性弁体部とで構成され、また、前記弁座は、前記弾性弁体部が当接する第一弁座部と、弾性弁体部が第一弁座部に当接した後に非弾性弁体部が当接する第二弁座部とで構成されており、前記弁体が、両端部を弁箱の流体入口と流体出口側に備えた軸支持部で軸方向へ移動自在に支持された弁軸にその中心が貫通されて固定されている逆止弁であって、前記弁軸には、前記弁体の弾性弁体部の流体出口側に配置され弾性弁体部に当接可能な弁体当接板が、その中心を貫通して軸方向へ移動自在に支持されており、前記弁体当接板には、その外周に設けられて前記弾性弁体部の外周部を押える弾性弁体部押え部と、流体出口側からの流体圧を前記弾性弁体部に作用させる逆流流体圧作用孔とが設けられ、更に前記弁体当接板と流体出口側に備えた軸支持部との間には、弁体当接板を介して前記弁体を弁座に当接する方向に付勢するスプリングが介装されていることを特徴とする逆止弁。」の機構を適用することでもよい。
【0026】
上記構成において、流体入口から流入した流体は、先ず、逆止弁機構に作用する。流体は、逆止弁機構が前記特願2003−155459号の機構の場合、流体圧がスプリングの弾発力を越えたときに弁体が弁座から離れてケーシングの内部へ流入する。そして、流体は、ケーシングの内部で前記軸方向へ流れる。次に、流体は、ケーシングの軸方向へ流れた後に、筒状部の周側壁に取り付けた定流量エレメントに作用する。流体の定流量エレメントに対する作用方向は、ケーシングの前記軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ流れる。定流量エレメントを通過した流体は、筒状部の内側において再度、ケーシングの軸方向へ流れた後に、流体出口から流出する。流体出口からは、一定流量の流体が流出する。
【0027】
この実施の形態3において、逆止弁機構の弁軸を支持するため、ケーシングに軸支持部を設ける場合と、筒状部の底壁に軸支持部を設ける場合とがある。筒状部の底壁に軸支持部を設けると、ケーシングは極力簡素化された内部形状になる。これは、耐圧を考慮した金属製のケーシングにおいて、ケーシングの分割を低減することになる。
【実施例】
【0028】
以下、この発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
図1はこの発明の第一実施例を示す断面図である。また、図2は図1の定流量弁機構の側面図、図3はエレメントカバーを取り付ける前の定流量弁機構の側面図、図4はエレメントカバーを取り付ける前の定流量弁機構の断面図、図5は第二ケーシングおよび定流量弁機構の正面図、図6はエレメントカバーを取り付ける前の定流量弁機構の背面図、図7はエレメントカバーの正面図、図8は図7のA視方向の図、図9は図7のB視方向の図である。
【0030】
図1において、定流量弁1は、特に図示しないが、流体を流す流路の途中に設けられている。流体の流れ方向は、図1において、左から右へ流れるように設定されている。定流量弁1は、上流側の圧力の高低にかかわらず一定の流量を下流側へ供給するように構成されている。定流量弁1は、流体の圧力に十分耐えることができるケーシング2を備えている。ケーシング2は、金属製が好ましく、本例では「SCS13」で製造したものが用いられている。ケーシング2は、第一ケーシング3、第二ケーシング4、及び第三ケーシング5を組み合わせることにより形成されている。このような構成のケーシング2の内側には、定流量弁機構6が設けられている。定流量弁1は、ケーシング2と定流量弁機構6とを備えて構成されている。以下、図1ないし図9を参照しながら上記各構成部材について詳細に説明する。
【0031】
第一ケーシング3は、流体入口7を有している。また、第二ケーシング4は、流体出口8を有している。第一ケーシング3と第二ケーシング4は、ケーシング2におけるケーシング軸方向の両端に配置されている。第一ケーシング3と第二ケーシング4との間には、第三ケーシング5が配置されている。第一ケーシング3と第三ケーシング5、および、第二ケーシング4と第三ケーシング5は、それぞれ流体の洩れが生じないように固定されている。本例ではねじ込み式の固定方法が採用されているが、溶接によって固定する方法や、ねじ込みと溶接の併用によって固定する方法等もある。
【0032】
第一ケーシング3は、配管接続部9とケーシング螺合部10とを有している。配管接続部9は、略ナット状の形状に形成されている。配管接続部9には、図示しない上流側の配管が螺合によって接続されるようになっている。ケーシング螺合部10は、配管接続部9に連成されている。ケーシング螺合部10には、第三ケーシング5に対する螺合部(符号省略)が形成されている。流体入口7は、前記ケーシング軸に沿って第一ケーシング3を貫通するように形成されている。流体(図示省略)は、流体入口7を通過して第三ケーシング5内へ流入するようになっている。
【0033】
第二ケーシング4は、第一ケーシング3と同様に、配管接続部11とケーシング螺合部12とを有している。また、第二ケーシング4は、流体出口8に連続する定流量弁機構6を有している。定流量弁機構6については後述する。配管接続部11は、略ナット状の形状に形成されている。配管接続部11には、下流側の配管(図示省略)が螺合によって接続されるようになっている。ケーシング螺合部12は、配管接続部11に連成されている。ケーシング螺合部12には、第三ケーシング5に対する螺合部(符号省略)が形成されている。流体出口8は、前記ケーシング軸に沿って第二ケーシング4を貫通するように形成されている。流体(図示省略)は、定流量弁機構6を通過して流体出口8から下流側の配管(図示省略)へ流出するようになっている。
【0034】
第三ケーシング5は、前記ケーシング軸方向の両端が開口する円筒形状に形成されている。第三ケーシング5の両端部には、第一ケーシング3のケーシング螺合部10が螺合する螺合部(符号省略)と、第二ケーシング4のケーシング螺合部12が螺合する螺合部(符号省略)とが形成されている。第三ケーシング5は、前記ケーシング軸方向の長さが定流量弁機構6を収容することができる長さに形成されている。また、第三ケーシング5は、定流量弁機構6を通過する前の流体がある程度の量でためられる長さに形成されている。第三ケーシング5は、従来の定流量弁104(図17参照)と同じ直径を有するように形成されている。
【0035】
定流量弁機構6は、筒状部13と定流量エレメント14と封止用栓部材15とエレメントカバー16とを備えて構成されている。定流量弁機構6は、第二ケーシング4のケーシング螺合部12と連続するように設けられている。すなわち、定流量弁機構6は、第二ケーシング4に対して一体となるように設けられている。また、定流量弁機構6は、流体出口8と連通するように配置されている。
【0036】
筒状部13は、内側が中空となる有底筒状の形状に形成されている。すなわち、筒状部13は、一方の端部が開口するとともに他端が底壁17となっており、両端の間には前記ケーシング軸を囲む周側壁18が存在する有底筒状の形状に形成されている。筒状部13の開口側は、流体出口8と連通するように配置形成されている。筒状部13は、前記ケーシング軸方向へ沿って伸びるように形成されている。このような筒状部13は、第三ケーシング5の内面全周から所定の間隔で離れるように配置されている。筒状部13は、第二ケーシング4に対して一体であることから、第二ケーシング4と同じ材料で形成されている。
【0037】
底壁17は、適宜肉厚でさらには平坦な面を有するように形成されている。底壁17の周縁には、周側壁18が連成されている。周側壁18は、多面体を有するように形成されている。すなわち、周側壁18は、平坦な面を有する四つの壁19と、この四つの壁19の各壁同士を繋ぐ幅狭の壁(実施の形態1に記載した間接的な部分に相当)20とを有している。壁19同士は、90゜の角度で配置されている。また、壁20同士も90゜の角度で配置されている。各壁19には、前記ケーシング軸方向へ沿って並ぶ二つの貫通孔21が形成されている。本例の周側壁18には、合計八つの貫通孔21が形成されている。各壁19には、ネジ穴22と位置決め突起23とが形成されている。
【0038】
貫通孔21は、前記ケーシング軸と直交する方向に貫通形成されている。貫通孔21は、定流量エレメント14または封止用栓部材15を取り付けることができるように段付きの形状に形成されている。すなわち、貫通孔21は、大径の部分と小径の部分とに分かれるように形成されている。前記大径の部分には、定流量エレメント14または封止用栓部材15が差し込まれるようになっている。一方、前記小径の部分は、定流量エレメント14を通過した流体が流れるようになっている。小径の部分は、定流量エレメント14の流路を形成する部分を塞がないように形成されている。大径の部分と小径の部分との段差は、定流量エレメント14または封止用栓部材15が筒状部13の内部空間24に落ち込まないようにするための部分として形成されている。前記段差は、ストッパとして機能するように形成されている。
【0039】
ネジ穴22および位置決め突起23は、各壁19の二つの貫通孔21の間に配置形成されている。ネジ穴22および位置決め突起23は、エレメントカバー16を周側壁18に取り付けるために形成されている。ネジ穴22および位置決め突起23は、エレメントカバー16を取り付ける場合にのみ必要になってくる。
【0040】
定流量エレメント14は、略円盤状の部材であって、特に図示しないが、ケーシングとセンターコアと弾性部材としてのOリングとを有している。また、定流量エレメント14は、筒状部13の貫通孔21との間においてシールを行うOリング25も有している。本例では、流量調整装置や水ガバナの名称で呼ばれる市販品が定流量エレメント14として用いられている。定流量エレメント14は、4〜16リットル/分までの範囲で複数種類のものがあり、所望の流量を供給することができるものが選定されている。
【0041】
封止用栓部材15は、筒状部13の貫通孔21を塞ぐことができる形状に形成されている。封止用栓部材15は、定流量エレメント14を貫通孔21に取り付けない場合に用いられる部材として設定されている。本例では、ゴム栓が封止用栓部材15として用いられている。
【0042】
エレメントカバー16は、筒状部13の貫通孔21に取り付けた定流量エレメント14または封止用栓部材15の脱落防止をすることができるような形状に形成されている。エレメントカバー16は、本例において二つ備えられている。エレメントカバー16は、周側壁18の二つの壁19と、この壁19に挟まれる壁20とを覆うように形成されている。エレメントカバー16は、金属薄板を折り曲げて形成することが好ましく、本例では「SUS304」の薄板をプレス加工したものが用いられている。エレメントカバー16は、周側壁18の二つの壁19を覆う押さえ付け板26と、壁19に挟まれる壁20を覆う連結板27とを有して略L字形状に折り曲げ形成されている。押さえ付け板26は、連結板27によって連結されている。
【0043】
エレメントカバー16の各押さえ付け板26には、二つの貫通孔28が形成されている。また、二つの貫通孔28の間には、ネジ穴29と位置決め穴30とが形成されている。貫通孔28は、筒状部13の貫通孔21の位置に合わせて形成されている。貫通孔28は、筒状部13の貫通孔21よりも若干小さな大きさに貫通形成されている。貫通孔28は、定流量エレメント14の流路を形成する部分を塞がないように形成されている。ネジ穴29および位置決め穴30は、筒状部13のネジ穴22および位置決め突起23の位置に合わせて形成されている。エレメントカバー16は、ネジ31をネジ穴29に差し込んでネジ穴22に螺合させると筒状部13に固定されるようになっている。このとき、位置決め穴30には、位置決め突起23が差し込まれるようになっている。
【0044】
上記構成において、定流量弁1は、次のような手順で組み立てられる。先ず、第二ケーシング4に対して一体となる筒状部13の複数の貫通孔21に定流量エレメント14を必要な数だけ各々取り付ける。最大流量を確保する場合には、筒状部13の複数の貫通孔21全てに定流量エレメント14を取り付ける。また、最小流量でよい場合には、筒状部13の複数の貫通孔21の一つに定流量エレメント14を取り付け、残りを封止用栓部材15で封止する。このように所定流量を確保することができる分だけ定流量エレメント14を取り付ける。次に、二つのエレメントカバー16を筒状部13の周側壁18に各々固定する。二つのエレメントカバー16の固定が完了すると、貫通孔21からの定流量エレメント14や封止用栓部材15の脱落が防止される。これにより第二ケーシング4に一体化した定流量弁機構6の形成が完了する。最後に、第一ケーシング3を第三ケーシング5の一方の端部に液密に固定するとともに、定流量弁機構6を一体化した第二ケーシング4を第三ケーシング5の他方の端部に液密に固定すると、定流量弁1の一連の組み立てが完了する。
【0045】
このように組み立てられた定流量弁1を配管(図示省略)の途中に取り付け、そして、前記流体の流れ方向に流体(図示省略)を流すと、この流体は定流量弁1の流体入口7から内部へ流入する。流入した流体は、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、筒状部13の周側壁18に取り付けた定流量エレメント14に作用する。流体の定流量エレメント14に対する作用方向は、前記ケーシング軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ沿って流れる。定流量エレメント14を通過した流体は、筒状部13の内部空間24において再度、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、流体出口8から流出する。流体出口8からは、一定流量の流体が下流側の配管(図示省略)へ流出する。
【0046】
以上、図1ないし図9を参照しながら説明してきたように、定流量弁1は、定流量エレメント14の種類および数によって供給する流量を所望の流量に調整することができる。したがって、従来のものよりも汎用性を有する定流量弁1を提供することができる。また、定流量弁1は、供給する流量を所望の流量に調整できるにもかかわらず、全体が大型化しない構成および構造になる。したがって、コンパクトな定流量弁を提供することができる。
【0047】
(実施例2)
図10はこの発明の第二実施例を示す断面図である。第二実施例では、第一実施例と基本的に同じ構成部材に対して同一の符号を付しており、ここでは詳細な説明を省略する。
【0048】
図10において、定流量弁1は、特に図示しないが、流体を流す流路の途中に設けられている。流体の流れ方向は、図10において、左から右へ流れるように設定されている。定流量弁1は、上流側の圧力の高低にかかわらず一定の流量を下流側へ供給するように構成されている。定流量弁1は、流体の圧力に十分耐えることができるケーシング2を備えている。ケーシング2は、流体入口7を有する第一ケーシング3と、流体出口8を有する第二ケーシング4と、第一ケーシング3および第二ケーシング4の間に配置される第三ケーシング5とを組み合わせることにより形成されている。このような構成のケーシング2の第一ケーシング3の内側には、定流量弁機構6が設けられている。定流量弁1は、ケーシング2と、第一ケーシング3に対して一体となる定流量弁機構6とを備えて構成されている。
【0049】
定流量弁1は、第一実施例の定流量弁1(図1参照)とは異なり、流体入口7の内側に定流量弁機構6を設けたものになっている。定流量弁機構6の構造は、定流量エレメント14の取り付け方向が第一実施例の定流量弁機構6(図1参照)と比べて反対になるだけで、その他は同じになっている。
【0050】
上記構成において、定流量弁1は、次のような手順で組み立てられる。先ず、第一ケーシング3に対して一体となる筒状部13の複数の貫通孔21に定流量エレメント14を必要な数だけ各々取り付ける。定流量エレメント14の取り付け方向は、定流量弁1へ流入する流体が筒状部13の内部空間24から筒状部13の外部へ流れるような方向に取り付ける。最大流量を確保する場合には、筒状部13の複数の貫通孔21全てに定流量エレメント14を取り付ける。また、最小流量でよい場合には、筒状部13の複数の貫通孔21の一つに定流量エレメント14を取り付け、残りを封止用栓部材15で封止する。このように所定流量を確保することができる分だけ定流量エレメント14を取り付ける。次に、二つのエレメントカバー16を筒状部13の周側壁18に各々固定する。二つのエレメントカバー16の固定が完了すると、貫通孔21からの定流量エレメント14や封止用栓部材15の脱落が防止される。これにより第一ケーシング3に一体化した定流量弁機構6の形成が完了する。最後に、定流量弁機構6を一体化した第一ケーシング3を第三ケーシング5の一方の端部に液密に固定するとともに、第二ケーシング4を第三ケーシング5の他方の端部に液密に固定すると、定流量弁1の一連の組み立てが完了する。
【0051】
このように組み立てられた定流量弁1を配管(図示省略)の途中に取り付け、そして、前記流体の流れ方向へ流体(図示省略)を流すと、この流体は定流量弁1の流体入口7から筒状部13の内部空間24へ流入する。流入した流体は、内部空間24において前記ケーシング軸方向へ流れた後に、筒状部13の周側壁18に取り付けた定流量エレメント14に作用する。流体の定流量エレメント14に対する作用方向は、前記ケーシング軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ沿って流れる。定流量エレメント14を通過した流体は、筒状部13の外側を介して再度、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、流体出口8から流出する。流体出口8からは、一定流量の流体が下流側の配管(図示省略)へ流出する。
【0052】
以上、図10を参照しながら説明してきたように、定流量弁機構6を流体入口7の内側に設けた定流量弁を提供することができる。定流量弁1は、第一実施例の定流量弁1(図1参照)と同様、定流量エレメント14の種類および数によって供給する流量を所望の流量に調整することができる。したがって、従来のものよりも汎用性を有する定流量弁1を提供することができる。また、定流量弁1は、供給する流量を所望の流量に調整できるにもかかわらず、全体が大型化しない構成および構造になる。したがって、コンパクトな定流量弁を提供することができる。
【0053】
(実施例3)
図11はこの発明の第三実施例の要部を示す拡大断面図である。第三実施例では、第一、第二実施例と基本的に同じ構成部材に同一の符号を付しており、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
図11において、定流量弁機構6を構成する筒状部13の底壁17には、周側壁18の貫通孔21と同じ貫通孔21が形成されている。そして、この底壁17の貫通孔21には、定流量エレメント14(または封止用栓部材15)が取り付けられている。底壁17の貫通孔21に取り付けられた定流量エレメント14(または封止用栓部材15)は、エレメントカバー16の押さえ付け板26あるいは連結板27に連続する底壁押さえ付け板32によって保持されている。このような定流量弁機構6を備えた定流量弁1によれば、より一層多くの流量を供給することができる。
【0055】
(実施例4)
図12はこの発明の第四実施例を示す断面図である。また、図13は流体入口側の弁孔および軸支持部の説明図、図14は流体出口側の弁孔および軸支持部の説明図である。第四実施例では、第一実施例と基本的に同じ構成部材に同一の符号を付しており、ここでは詳細な説明を省略する。
【0056】
図12において、定流量弁41は、特に図示しないが、流体を流す流路の途中に設けられている。流体の流れ方向は、図12において、左から右へ流れるように設定されている。定流量弁41は、上流側の圧力の高低にかかわらず一定の流量を下流側へ供給するように構成されている。定流量弁41は、流体の圧力に十分耐えることができるケーシング42を備えている。ケーシング42は、金属製が好ましく、本例では「SCS13」で製造したものが用いられている。ケーシング42は、第一ケーシング43、第二ケーシング4、及び第三ケーシング44を組み合わせることにより形成されている。このような構成のケーシング42の内側には、定流量弁機構6と逆止弁機構45とが設けられている。定流量弁41は、ケーシング42と定流量弁機構6と逆止弁機構45とを備えて構成されている。以下、図12ないし図14を参照しながら上記各構成部材について詳細に説明する。
【0057】
第一ケーシング43は、流体入口7を有している。また、第二ケーシング4は、流体出口8を有している。第一ケーシング43と第二ケーシング4は、ケーシング42におけるケーシング軸方向の両端に配置されている。第一ケーシング43と第二ケーシング4との間には、第三ケーシング44が配置されている。第一ケーシング43と第三ケーシング44、および、第二ケーシング4と第三ケーシング44は、それぞれ流体の洩れが生じないように固定されている。本例ではねじ込み式の固定方法が採用されているが、溶接によって固定する方法や、ねじ込みと溶接の併用によって固定する方法等もある。
【0058】
第一ケーシング43は、配管接続部9とケーシング螺合部10とを有している。配管接続部9は、略ナット状の形状に形成されている。配管接続部9には、上流側の配管(図示省略)が螺合によって接続されるようになっている。ケーシング螺合部10は、配管接続部9に連成されている。ケーシング螺合部10の外側には、第三ケーシング44に対する螺合部(符号省略)が形成されている。また、ケーシング螺合部10内側には、逆止弁機構45を構成する第一弁座46および第二弁座47と、軸支持部48と、弁孔49とが形成されている。上流側の配管(図示省略)を流れる流体(図示省略)は、流体入口7から逆止弁機構45を通過して第三ケーシング44内へ流入するようになっている。
【0059】
第二ケーシング4は、配管接続部11とケーシング螺合部12とを有している。また、第二ケーシング4は、流体出口8に連続する定流量弁機構6を有している。逆止弁機構45を通過した流体(図示省略)は、定流量弁機構6を通過して流体出口8から下流側の配管(図示省略)へ流出するようになっている。
【0060】
第三ケーシング44は、前記ケーシング軸方向の両端が開口する円筒形状に形成されている。第三ケーシング44の両端部には、第一ケーシング43のケーシング螺合部10が螺合する螺合部(符号省略)と、第二ケーシング4のケーシング螺合部12が螺合する螺合部(符号省略)とが形成されている。また、第三ケーシング44の内部中間には、逆止弁機構45を構成する軸支持部50と弁孔51とが形成されている。第三ケーシング44は、前記ケーシング軸方向の長さが定流量弁機構6と逆止弁機構45とを収容することができるとともに、弁室52を設けることができる長さに形成されている。第三ケーシング44は、従来の定流量弁104(図17参照)と同じ直径を有するように形成されている。
【0061】
逆止弁機構45は、前記の第一弁座46、第二弁座47、軸支持部48、弁孔49、軸支持部50、弁孔51、および弁室52を備えるとともに、弁体53と弁軸54と弁体保持板55とスプリング56とをさらに備えて構成されている。
【0062】
弁体53は、弾性弁体部57と非弾性弁体部58とを備えて構成されている。弁体53は、前記流体の流れ方向へ移動自在に設けられている。弾性弁体部57は、弾性素材で形成されている。非弾性弁体部58は、弾性弁体部57の流体入口7側の面に重ねられている。また、非弾性弁体部58は、弾性弁体部57よりも小さな直径の非弾性素材で形成されている。非弾性弁体部58は、第一弁座46に当接するようになっている。また、弾性弁体部57は、第二弁座47に当接するようになっている。弁体53は、弾性弁体部57が第二弁座47に当接した後に非弾性弁体部58が第一弁座46に当接するようになっている。
【0063】
弁軸54は、軸支持部48の軸挿入孔59および軸支持部50の軸挿入孔60に差し込まれて前記流体の流れ方向へ移動自在に支持されている。また、弁軸54は、弁体53の中心を貫通してこの弁体53を固定している。弁体53は、弁軸54の中間に固定されて弁軸54と共に移動するようになっている。弁軸54の中間であって弁体53よりも流体出口8側には、筒部61が設けられている。筒部61は、ストッパとしての機能を有している。
【0064】
弁体保持板55は、弾性弁体部57の外径と同径あるいは若干大径となるように形成されている。弁体保持板55は、弾性弁体部57を背面側から支えて変形を防止するようになっている。弁体保持板55には、弾性弁体部57の外周部から若干離反する方向に傾斜する傾斜面62が形成されている。傾斜面62は、弾性弁体部57の流体入口7側への若干の移動を可能にするために形成されている。弁体保持板55には、特に図示しないが、逆流流体圧を作用させる作用孔が複数形成されている。
【0065】
スプリング56は、弁体保持板55と軸支持部50との間に介装されている。スプリング56は、弁体53を第一弁座46および第二弁座47に当接させる方向へ付勢する機能を有している。
【0066】
このように構成された逆止弁機構45では、流体入口7へ流入した流体(図示省略)の流体圧が弁体53に掛かり、そして、スプリング56の弾発力を超えたときに、弁体53が第一弁座46および第二弁座47から離れる。すなわち、流体は、弁体53に流体圧をかけて弁体53を開弁する。弁体53が開弁すると、流体は弁孔49を介して弁室52側へ流れる。このとき、弾性弁体部57は弁室52へ流れる流体の流体圧を受けることになるが、弾性弁体部57は背面側から弁体保持板55により保持されているので、流体圧による変形が防止される。
【0067】
流体入口7へ流入した流体(図示省略)の流体圧がスプリング56の弾発力を遙かに超えるものであるとき、弁体53は強い流体圧を受けて前記弾発力に抗しながら流体出口8側へ移動するが、弁体53が所定の位置まで移動したとき、弁軸54の筒部61の端部が軸支持部50に当接してこれ以上の移動が阻止される。逆止時には、弁体53がスプリング56や逆流する流体の流体圧を受けて第一弁座46および第二弁座47に当接し、流体の逆流が防止される。
【0068】
上記構成において、逆止弁機構45によって弁室52へ流れた流体(図示省略)は、ケーシング42の内部で前記ケーシング軸方向へ流れる。そして、流体は、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、筒状部13の周側壁18に取り付けた定流量エレメント14に作用する。流体の定流量エレメント14に対する作用方向は、前記ケーシング軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ流れる。定流量エレメント14を通過した流体は、筒状部13の内部空間24において再度、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、流体出口8から流出する。流体出口8からは、一定流量の流体が下流側の配管(図示省略)へ流出する。
【0069】
以上、図12ないし図14を参照しながら説明してきたように、逆止弁機構45を流体入口7の内側に設けるとともに、定流量弁機構6を流体出口8の内側に設けた定流量弁41を提供することができる。定流量弁41は、第一実施例の定流量弁1(図1参照)と同様、定流量エレメント14の種類および数によって供給する流量を所望の流量に調整することができる。したがって、従来のものよりも汎用性を有する定流量弁41を提供することができる。また、定流量弁41は、供給する流量を所望の流量に調整できるにもかかわらず、全体が大型化しない構成および構造になる。したがって、コンパクトな定流量弁を提供することができる。さらに、定流量弁41は、逆止弁機構45を備えることから、流体の逆流を防止することができる。
【0070】
(実施例5)
図15はこの発明の第五実施例を示す断面図である。第五実施例では、第四実施例と基本的に同じ構成部材に同一の符号を付しており、ここでは詳細な説明を省略する。
【0071】
図15において、定流量弁41は、第四実施例の定流量弁41(図12参照)と比べて若干構造が異なっている。すなわち、第四実施例の定流量弁41では、第三ケーシング44が用いられていたが、本例では第一、第二実施例で用いた第三ケーシング5となっている。また、第四実施例の定流量弁41では、第三ケーシング44に軸支持部50を設けていたが、本例では定流量弁機構6を構成する筒状部13の底壁17に軸支持部50を設けている。逆止弁機構45の弁軸54の端部は、筒状部13に形成した軸支持部50によって支持される。本例の定流量弁41によれば、構造を簡素化したケーシングを用いることができる。
【0072】
(実施例6)
図16はこの発明の第六実施例を示す断面図である。第六実施例では、第四実施例と基本的に同じ構成部材(引用符号42〜45を除く)に同一の符号を付しており、ここでは詳細な説明を省略する。
【0073】
図16において、第六実施例の定流量弁41は、第四実施例の定流量弁41(図12参照)と比べて若干構造が異なっている。すなわち、ケーシング42と逆止弁機構45の構造が第四実施例と比べて異なっている。第六実施例の定流量弁41は、ケーシング42と定流量弁機構6と逆止弁機構45とを備えて構成されている。
【0074】
ケーシング42は、流体の圧力に十分耐えることができるように構成されている。ケーシング42は、金属製が好ましく、本例では「SCS13」で製造したものが用いられている。ケーシング42は、第一ケーシング43、第二ケーシング4、及び第三ケーシング44を組み合わせることにより形成されている。このような構成のケーシング42の内側には、定流量弁機構6と逆止弁機構45とが設けられている。
【0075】
第一ケーシング43は、流体入口7を有している。また、第二ケーシング4は、流体出口8を有している。第一ケーシング43と第二ケーシング4は、ケーシング42におけるケーシング軸方向の両端に配置されている。第一ケーシング43と第二ケーシング4との間には、第三ケーシング44が配置されている。第一ケーシング43と第三ケーシング44、および、第二ケーシング4と第三ケーシング44は、それぞれ流体の洩れが生じないように固定されている。
【0076】
第一ケーシング43は、流体入口7を有する円盤状に形成されている。第二ケーシング4は、配管接続部11とケーシング螺合部12とを有している。また、第二ケーシング4は、流体出口8に連続する定流量弁機構6を有している。逆止弁機構45を通過した流体(図示省略)は、定流量弁機構6を通過して流体出口8から下流側の配管(図示省略)へ流出するようになっている。第三ケーシング44は、前記ケーシング軸方向の両端が開口する略円筒形状に形成されている。第三ケーシング44は、第一ケーシング43が固着される小径の筒部63と、小径の筒部63に連続するテーパ部64と、テーパ部64に連続する大径の筒部65とを有している。大径の筒部65の端部には、第二ケーシング4のケーシング螺合部12が螺合する螺合部(符号省略)が形成されている。
【0077】
第三ケーシング44における小径の筒部63の内部中間には、逆止弁機構45を構成する弁座シート66が設けられている。弁座シート66は、本例では「EPDM」で製造したものが用いられている。弁座シート66には、弁孔67と弁座68とが形成されている。弁孔67は、後述するチャッキボール72の直径よりも小さな直径となるように形成されている。弁座68は、テーパ状に形成されている。弁座シート66は、小径の筒部63との間にOリング69を設けてシールされている。大径の筒部65の内部中間には、逆止弁機構45を構成するボール保持片70が複数形成されている。各ボール保持片70には、流体入口7から流体(図示省略)が流れ込んだ際に後述するチャッキボール72が移動して接触するテーパ面71が形成されている。各ボール保持片70は、大径の筒部65に対して一体に形成されている。大径の筒部65は、従来の定流量弁104(図17参照)と同じ直径を有するように形成されている。
【0078】
逆止弁機構45は、弁座シート66とボール保持片70とを備えるとともに、チャッキボール72をさらに備えて構成されている。第六実施例における逆止弁機構45は、第四実施例と比べて各段に構成及び構造が簡素化されている。チャッキボール72は、流体(図示省略)の流れによって移動することができる材料により形成されている。本例では「PVC」で製造したものが用いられている。チャッキボール72は、流体(図示省略)によって押されてボール保持片70へ移動すると開弁状態を形成し、弁座シート66の弁座68に密着すると閉弁状態を形成するようになっている。
【0079】
上記構成において、逆止弁機構45によってケーシング42の内部へ流れた流体(図示省略)は、ケーシング42の内部で前記ケーシング軸方向へ流れる。そして、流体は、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、筒状部13の周側壁18に取り付けた定流量エレメント14に作用する。流体の定流量エレメント14に対する作用方向は、前記ケーシング軸方向と直交する方向となり、流体はこの方向へ流れる。定流量エレメント14を通過した流体は、筒状部13の内部空間24において再度、前記ケーシング軸方向へ流れた後に、流体出口8から流出する。流体出口8からは、一定流量の流体が下流側の配管(図示省略)へ流出する。
【0080】
以上、図16を参照しながら説明してきたように、逆止弁機構45を流体入口7の内側に設けるとともに、定流量弁機構6を流体出口8の内側に設けた定流量弁41を提供することができる。第六実施例の定流量弁41は、第四実施例の定流量弁41(図12参照)と同様、定流量エレメント14の種類および数によって供給する流量を所望の流量に調整することができる。したがって、従来のものよりも汎用性を有する定流量弁41を提供することができる。また、第六実施例の定流量弁41は、供給する流量を所望の流量に調整できるにもかかわらず、全体が大型化しない構成および構造になる。したがって、コンパクトな定流量弁を提供することができる。さらに、第六実施例の定流量弁41は、逆止弁機構45を備えることから、流体の逆流を防止することができる。第六実施例の定流量弁41は、第四実施例の定流量弁41(図12参照)と比べて安価に提供することができる。
【0081】
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】この発明の第一実施例を示す断面図である。
【図2】図1の定流量弁機構の側面図である。
【図3】エレメントカバーを取り付ける前の定流量弁機構の側面図である。
【図4】エレメントカバーを取り付ける前の定流量弁機構の断面図である。
【図5】第二ケーシングおよび定流量弁機構の正面図である。
【図6】エレメントカバーを取り付ける前の定流量弁機構の背面図である。
【図7】エレメントカバーの正面図である。
【図8】図7のA視方向の図である。
【図9】図7のB視方向の図である。
【図10】この発明の第二実施例を示す断面図である。
【図11】この発明の第三実施例の要部を示す拡大断面図である。
【図12】この発明の第四実施例を示す断面図である。
【図13】流体入口側の弁孔および軸支持部の説明図である。
【図14】流体出口側の弁孔および軸支持部の説明図である。
【図15】この発明の第五実施例を示す断面図である。
【図16】この発明の第六実施例を示す断面図である。
【図17】従来の給水ラインに逆止弁と定流量弁とを設けた脱気装置のフロー説明図である。
【符号の説明】
【0083】
1 定流量弁
2 ケーシング
3 第一ケーシング
4 第二ケーシング
5 第三ケーシング
6 定流量弁機構
7 流体入口
8 流体出口
9、11 配管接続部
10、12 ケーシング螺合部
13 筒状部
14 定流量エレメント
15 封止用栓部材
16 エレメントカバー
17 底壁
18 周側壁
19、20 壁
21 貫通孔
22 ネジ穴
23 位置決め突起
24 内部空間
25 Oリング
26 押さえ付け板
27 連結板
28 貫通孔
29 ネジ穴
30 位置決め穴
31 ネジ
32 底壁押さえ付け板
41 定流量弁
42 ケーシング
43 第一ケーシング
44 第三ケーシング
45 逆止弁機構
46 第一弁座
47 第二弁座
48、50 軸支持部
49、51 弁孔
50 軸支持部
53 弁体
54 弁軸
55 弁体保持板
56 スプリング
57 弾性弁体部
58 非弾性弁体部
59、60 軸挿入孔
61 筒部
62 傾斜面
63 小径の筒部
64 テーパ部
65 大径の筒部
66 弁座シート
67 弁孔
68 弁座
69 Oリング
70 ボール保持片
71 テーパ面
72 チャッキボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング2に設けた流体入口7、流体出口8のいずれか一方の内側に、前記ケーシング2の軸方向へ沿って伸びる有底の筒状部13を設け、該筒状部13の周側壁18には複数の貫通孔21を形成し、該複数の貫通孔21の各々には定流量エレメント14を、または定流量エレメント14と封止用栓部材15とを取り付ける
ことを特徴とする定流量弁1。
【請求項2】
ケーシング42に設けた流体出口8の内側に、前記ケーシング42の軸方向へ沿って伸びる有底の筒状部13を設け、該筒状部13の周側壁18には複数の貫通孔21を形成し、該複数の貫通孔21の各々には定流量エレメント14を、または定流量エレメント14と封止用栓部材15とを取り付ける一方、前記ケーシング42に設けた流体入口7の内側には、逆止弁機構45を備える
ことを特徴とする定流量弁41。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の定流量弁1、41において、
前記筒状部13の底壁17に前記貫通孔21と同じ貫通孔21を更に形成し、該底壁17の貫通孔21にも前記定流量エレメント14または前記封止用栓部材15を取り付ける
ことを特徴とする定流量弁1、41。
【請求項4】
請求項2に記載の定流量弁41において、
前記筒状部13の底壁17に前記逆止弁機構45を構成する弁軸54の軸支持部50を設ける
ことを特徴とする定流量弁41。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−9814(P2006−9814A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−183292(P2004−183292)
【出願日】平成16年6月22日(2004.6.22)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】